説明

血液循環を増加する方法および装置

【課題】深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)、下肢浮腫および他の関連する病状を予防する方法および装置の提供。
【解決手段】足108または脚の筋肉の温度を調整し、および/または真空または負圧を加えて血液流を増加させることにより、脚などの人の四肢が、医療デバイス内で負圧環境および/または温度制御環境に曝される。1つの態様では、この医療デバイスは携帯型である。血液流および血管拡張を増加させるために、熱交換ユニット、および場合によって、真空または負圧ユニットが設けられる。デバイスは、下肢の血液滞留を低減するために下肢の筋肉を刺激するように、制御器160によってプログラムされる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、循環を増加させるおよび/または人体の温度を調整する方法および装置に関する。また、本発明は、例えば、深部静脈血栓症(DVT)を予防するために用いることができる。
【関連技術の説明】
【0002】
[0002]静脈血栓塞栓症は、大きな疾病率や死亡率の原因となり続けている。年間300,000人から600,000人の入院者は、静脈内の血液凝固や肺に移動する何らかの凝血塊から生じる静脈血栓症や肺塞栓症(PE)による。PEは、米国で3番目の最も一般的な死因であり、この結果、年間50,000人から200,000人もの人が亡くなっていると推定されている。
【0003】
[0003]各種の外科的処置並びに外傷や神経障害の後に、患者はDVTやPEを発症する傾向がある。入院の元々の理由とは無関係に、全国で100人の入院患者のうち1人がPEで死亡している。整形外科手術を受けて股関節骨折、脛骨骨折、膝骨折に苦しむ患者、脊髄損傷に苦しむ患者、または脳卒中に苦しむ患者は、特に危険性が高い。したがって、DVTやPEを予防することが臨床的に重要である。
【0004】
[0004]研究によると、DVTの発症に関与する要因には、血液流の減少、血管のうっ血、血管壁接触時間の増加、凝固変化、血管の損傷、および下肢の血液滞留が含まれる。血液流または脚からの血液戻りシステムの低下が、手術中段階において最も影響が大きい、DVTに関する第一要因であると考えられている。手術後期間もまた重要である。飛行機または自動車で長時間の移動中に動けない個人でさえ、危険性があり得る。通常、動かないと、心臓への血液の戻りが低下し、個人の静脈は血管運動状態および/または軟質筋肉の限定された収縮にのみ頼って、心臓に血液を送り返す。ある研究では、3〜4時間といった短い旅行でもDVTやPEを引き起こす可能性があることを示している。
【0005】
[0005]現在の予防方法には、抗凝固療法や、空気圧縮デバイスで筋肉に圧力を加える機械的圧縮法が含まれている。抗凝固療法は、静脈内の凝血塊を取り除くために、抗凝固剤を必要とする。これは、効果が表れるまでに数日を要する。さらに、これらの薬剤は、出血合併症の危険性をもたらす。空気圧縮デバイスは、機械的に圧縮し、ふくらはぎと足の筋肉に順次、正のメッセージ型圧力を直接加えるのであるが、快適ではなく、病院においてですら使用するのが難しく、移動する患者にとって、または長期旅行中に使用するには極めて扱いにくい。それに加え、空気圧縮デバイスの多くは重量が重く、携帯可能なまたは使いやすいデバイスではない。
【0006】
[0006]したがって、人の四肢内の凝血塊を減らし、深部静脈血栓を予防するのに用いられることが可能な、血液流を増加させ、および/または人体の体温を調節する装置および方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明の実施形態は、深部静脈血栓を予防するのに用いることが可能な、血液流を増加させ、および/または体温を制御する方法および装置を提供する。一実施形態においては、温度を調節し、および/または人の四肢(例えば、脚、足または脚のふくらはぎ)に真空または負圧を加えることにより、人の四肢の血液流を増加させ、深部静脈血栓を予防するための下肢デバイスが提供される。下肢デバイスには、内部に硬質または軟質のチャンバを画成する硬質または軟質のチャンバ本体と、その内部で人の四肢と接触するためおよびシールと硬質または軟質チャンバ本体との間に空間を提供するための、硬質または軟質のチャンバ本体の開口に取り付けられた真空シールと、硬質または軟質のチャンバ本体上の1つ以上のアパーチャとが含まれる。1つ以上の熱交換ユニットが、下肢デバイスの内部に固定して、または取り外し可能に設置され、1つ以上の熱交換ラインに接続されている。1つ以上の熱交換ユニットは、人の四肢の温度を調節するために、1つ以上の供給ラインと戻りラインとを介して、硬質または軟質のチャンバ本体の1つ以上のアパーチャを通って、熱源、加熱源、冷却源および/または熱流体源にも接続されている。さらに、硬質または軟質のチャンバに真空を加えるために、1つ以上の真空ラインが、硬質または軟質のチャンバ本体の1つ以上のアパーチャを通って、1つ以上の真空ポンプに接続可能である。別の実施形態においては、下肢デバイスは、機械的圧縮デバイスと組み合わせて用いるか、下肢デバイス自体を、1つ以上の圧力印加パッドを含むように変更することにより、温度調節および/または下肢に真空を加えることの他に、哺乳動物の下肢に機械的圧縮を加えることができる。
【0008】
[0008]さらに別の実施形態においては、DVTを予防する方法は、哺乳動物に対する下肢デバイスを提供するステップであって、下肢デバイスが、硬質または軟質のチャンバ本体と、下肢デバイスを内部で接触させ、シールと硬質または軟質のチャンバ本体との間に空間を提供するために、硬質または軟質のチャンバ本体の開口に取り付けられたシールと、1つ以上の熱交換ユニットとを備える、提供するステップと、下肢デバイスを用いて下肢の温度を調節するステップと、哺乳動物の下肢の動静脈吻合(AVA)血管を血管拡張するステップと、下肢デバイスを用いてAVA血管の狭窄を低減させ、それによって下肢の血液流を増加させ、静脈内の凝固を減少させるステップと、を含んでいる。この方法は、哺乳動物の下肢に機械的圧縮を加えるステップをさらに含むことができる。この方法は、下肢デバイスの硬質または軟質チャンバの圧力を、例えば、真空レベルにまで下げるステップを場合によって含んでもよい。
【0009】
[0009]別の実施形態においては、DVTを予防する方法は、哺乳動物の1つ以上の肢の温度を調節するステップと、1つ以上の肢を真空または減圧環境に曝すステップとを含む。
【0010】
[0010]本発明の上記の特徴を詳細に理解できるようにするために、先で簡単に概説された本発明が、実施形態を参照することによって、より詳しく説明される。上記実施形態のうちのいくつかは添付図面に示されている。しかし、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを図示しているのであって、本発明の範囲を限定すると考えるべきではなく、本発明では他の同等に効果のある実施形態を認めることができることに留意されたい。
【発明の詳細な説明】
【0011】
[0021]本発明の実施形態は、深部静脈血栓(DVT)を予防する方法および装置を含む。一実施形態においては、深部静脈血栓(DVT)を予防する装置は、哺乳動物の四肢の温度を調節すること、哺乳動物の四肢の動静脈吻合(AVA)血管を血管拡張すること、AVA血管の狭窄を減少すること、および/または血管運動状態を高めることによって、哺乳動物の四肢の血液流を増加させるために提供される。特に、本発明によると、血液流を増加させ、静脈血の戻りを促進し、血液凝固を低減するために、温度を効率よく調節し、真空を供給し、哺乳動物の四肢に圧縮圧力または圧縮力を印加するための非侵襲的で好都合な装置が提供される。
【0012】
[0022]動静脈吻合(AVA)血管は、手のひらと足の足裏に位置する特定の血管であり、動脈と静脈に接続されている。理論に拘束されるのは望まないが、加熱することによってまたは温度の冷却を防ぐことによって、AVA血管を開き、AVA血管の狭窄を減少させ、血管運動状態を高め、四肢の温度を調節することにより、AVA血管の血液流を増加させ、静脈の戻り圧力を増加させ、それによって静脈内の凝血塊を予防し、DVTを予防できる、と考えられている。
【0013】
[0023]さらに、本発明の実施形態は、哺乳動物の四肢の各部を減圧環境、好ましくは真空下に曝して、減圧下で哺乳動物の四肢の各部内の血管構造を拡大させ、血液流を増加させ、それによって静脈の凝血塊を減少し、DVTを予防することを提供する。本発明の態様による装置は、硬質または軟質のチャンバ本体と、これらの間で硬質または軟質のチャンバ空間を画成する真空シールとを含んでいる。硬質または軟質のチャンバ空間の圧力は、例えば、0mm−Hg〜約−120mm−Hgの圧力レベルなど、大気圧よりも低いレベルに調節することができる。
【0014】
[0024]通常、血液流を増加させ、深部静脈血栓(DVT)を予防する装置は、内部で硬質または軟質のチャンバを画成する硬質または軟質のチャンバ本体と、真空シールと、硬質または軟質のチャンバ本体内の1つ以上のアパーチャと、1つ以上のアパーチャを介して硬質または軟質のチャンバ本体に取り付けられた1つ以上の熱交換ユニットとを含む。シールは、硬質または軟質のチャンバ本体の開口に取り付けられ、硬質または軟質のチャンバ本体に真空シールを設けるようになっている封止部分を含んでもよい。シールはさらに、人の四肢の一部と接触するようになっている真空シール本体部分を含み、これにより、シールと硬質または軟質のチャンバ本体との間で硬質または軟質のチャンバ空間を形成し、その結果、真空または減圧が硬質または軟質のチャンバ空間内に加えられるようになる。
【0015】
[0025]一実施形態においては、硬質または軟質のチャンバ本体は、哺乳動物の四肢の温度を調節または維持するために、1つ以上の熱源と熱交換ユニットとの間に、1つ以上の熱交換供給ラインと、硬質または軟質のチャンバ本体内の少なくとも1つのアパーチャを貫通する1つ以上の熱交換戻りラインとを介して、接続されるようになっている。別の実施形態においては、硬質または軟質のチャンバ本体は、硬質または軟質のチャンバ空間内部の圧力を低減し、哺乳動物の四肢の血管系を血管拡張する負圧環境を与えるために、硬質または軟質のチャンバ本体内の1つ以上の開口を通る1つ以上の追加ラインを介して、真空ポートとポンプに接続される。血管系の血管拡張によっても、1つ以上の熱交換ユニットと哺乳動物の四肢との間の熱交換が促進される。
【0016】
[0026]哺乳動物の四肢には、脚、足、つま先、ふくらはぎ、肢、足首、手などが含まれる。本発明の実施形態は、足デバイスに関してさらに以下で説明するが、以下に記載する足デバイスは、ここで記載する血管拡張方法に適した血管系構造を有する他の四肢とともに用いられるようになっていてもよいことが認識される。哺乳動物の四肢の温度調節には、温度上昇および/または温度の維持が含まれてもよい。哺乳動物は、人または他の哺乳動物であってもよい。DVT、PEおよび他の状態の危険性が高い人(例えば、とりわけ、水腫、傷による腫れ、静脈うっ滞性潰瘍、糖尿病による傷、褥瘡性潰瘍、整形外科手術の患者、脊髄損傷の個人など)が本発明から利益を受けることができる。
【0017】
[0027]図1は、足デバイス100と熱交換ユニット104の一実施形態の断面図である。足デバイス100は、真空シール108と、硬質または軟質のチャンバ150を画成する硬質または軟質のチャンバ本体102とを含み、哺乳動物の四肢が内部で位置し、温度調節および/または真空環境に曝される筐体を提供する。熱交換ユニット104は、硬質または軟質のチャンバ150内に固定または取り外し可能に配置され、チャンバ内に収容される足の熱交換を実現する。
【0018】
[0028]硬質または軟質のチャンバ本体102は、例えば、エラストマ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、複合材料、アクリル材料、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリウレタン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス、ゴム、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、軽合金(例えば、アルミニウム合金、チタン合金など)、ポリマ材料、または任意の生体適合性の使い捨て可能な材料などの、任意の耐久性のある材料から作ることができる。硬質または軟質のチャンバ本体102は、使い捨て可能な低コストの材料で製作できる。例えば、硬質または軟質のチャンバ本体102は、硬質または軟質のチャンバ150の内部に位置付けられた足を見ることができる、使い捨て可能なアクリル材料で作られる。別の例として、硬質または軟質のチャンバ本体102は、加圧滅菌またはエチレンオキシド滅菌によって滅菌できる材料で作られてもよい。これは、装置が、無菌状態が極めて重要な手術中に用いられる場合に、特に重要である。
【0019】
[0029]真空シール108は、生体適合性があり(すなわち、哺乳動物の皮膚と接触しても安全で)、気密封止を形成することが可能な材料で作られてもよい。一実施形態においては、真空シール108は、硬質または軟質のチャンバ150内に取り外し可能に配置される。別の実施形態においては、真空シール108は、使い捨て可能ではない硬質または軟質のチャンバ本体102において用いられる、使い捨て可能な材料(例えば使い捨て可能なライナまたは挿入材料)で作られている。例えば、真空シール108の材料は、特に、ポリウレタン、ウレタンであってもよい。シール材料の一例として、Deerfield Urethane, Inc.から販売されているPSシリーズの熱可塑性ポリウレタンがある。使い捨て可能なシール材料は、使用前に滅菌状態であるように、製造および包装することができる。別の実施形態においては、健康上および安全上の要求を満たすために、硬質または軟質のチャンバ本体102は使い捨てできない材料で作られ、一方、真空シール108は、使い捨て可能な材料で作られる。
【0020】
[0030]真空シール108は足デバイス100の上部開口128回りに配置された真空封止部120を含むことにより、真空シール108と熱交換ユニット104との間に硬質または軟質のチャンバ空間110を提供することができる。上部開口128は、哺乳動物の足、脚、または他の四肢を受け入れるように構成されている。硬質または軟質のチャンバ150内に置かれた足は、足デバイス100の真空シール108の封止部分120を介して足デバイス100に取り付けられた真空シール108によって、足デバイス100に固定される。
【0021】
[0031]硬質または軟質のチャンバ150内の硬質または軟質のチャンバ空間110は、真空封止部分120によって真空封止され、硬質または軟質のチャンバ本体102のアパーチャ114を介して真空ポート112に接続されるようになっている。真空ポート112はまた、硬質または軟質のチャンバ150内の硬質または軟質のチャンバ空間110の圧力を低減するための真空ポンプ(図示せず)に接続されるようになっている。真空ポート112は、保護シースで被覆されていてもよい。アパーチャ114の位置は、硬質または軟質のチャンバ本体102のうち任意の都合のよい部分の近くに配置することができる。さらに、硬質または軟質のチャンバ150内の圧力レベルは、硬質または軟質のチャンバ空間110内に配置され、真空センサポートを備えた真空センサ(図示せず)によって監視可能である。真空センサポートは、硬質または軟質のチャンバ本体102内のアパーチャを介して硬質または軟質のチャンバ本体102に取り付けられている。
【0022】
[0032]したがって、硬質または軟質のチャンバ150内の圧力は、大気圧から準大気圧のレベルの範囲で調節できる。例えば、硬質または軟質のチャンバ150内の硬質または軟質のチャンバ空間110は、真空封止部分120が真空封止されている場合に、負圧レベル(例えば、約0〜約−120mmHgの間、または約−20mmHg〜約−80mmHgの間)に調整することができる。
【0023】
[0033]1つ以上の熱交換ユニット104が、硬質または軟質のチャンバ本体102のうち1つ以上の部分に設けられ、内部に受け入れられた足の温度を調整する(上げる、下げるまたは維持する)ことができる。熱交換ユニット104は、内部を流れ、1つ以上の流体供給ラインを通して流体源(図示せず)から供給される、熱交換流体媒体、加熱流体、加熱空気、冷却流体、または冷却空気を含む。あるいは、熱交換ユニットは、図3〜図5に詳細に示されているとおり、電気パッドを含んでもよい。例えば、熱交換ユニット104は、加熱水をそこに流す水加熱パッドであってもよい。熱交換ユニット104と流体源との間に、内部に流れる熱交換流体媒体を有する1つ以上の流体供給ラインおよび/または1つ以上の流体戻りラインが、硬質または軟質のチャンバ本体102内の1つ以上の開口(図示せず)または孔を貫通してもよい。硬質または軟質のチャンバ本体102内の1つ以上の流体供給ラインおよび1つ以上の流体戻りライン用のアパーチャの位置は、単一の開口を介して硬質または軟質のチャンバ本体102を貫通するために、硬質または軟質のチャンバ本体102のうち任意の都合の良い部分の近くに位置し、開口114の近くに位置することができるか、または真空ポート112と一緒に1つに集めることもできる。
【0024】
[0034]足デバイス100は、足デバイス100の機能を調節するために、足デバイス100の種々の部分に接続された制御ユニット160をさらに含むことができる。上記機能の制御には、特に、熱交換ユニット104に出入りする流体の流量を調整することと、熱交換ユニット104の温度を調節することと、1つ以上の真空センサによって硬質または軟質のチャンバ150内部の圧力レベルを監視することと、真空ポンプと、硬質または軟質のチャンバ150内の真空レベルを調整することと、硬質または軟質のチャンバ150内に受け入られる足の温度を監視することとが含まれる。
【0025】
[0035]熱交換ユニットと良好に接触することは、哺乳動物の四肢への熱伝達を最大にするのに重要である。しかし、周囲圧力と硬質または軟質のチャンバの内部との圧力差は、例えば、足が痛くなったり、足の裏近くが引っ張り上げられたりする原因となり、効率よく熱交換するための接触が最適でなくなることがある。圧力差により生じる力は、足裏の面積×圧力差にほぼ等しい。例えば、圧力差は、約3ポンドとなることもある。さらに、足は、患者の普段の動きや位置によって、熱交換ユニットから押し出される可能性がある。
【0026】
[0036]したがって、熱交換ユニット104と足130との間の表面接触を高めるために、熱交換ユニット104と硬質または軟質のチャンバ本体102との間に軟質膜106が設けられる。軟質膜106は、硬質または軟質のチャンバ150内で、準大気圧または真空圧レベル下で、熱交換ユニット104に接触して壊れる可能性がある。軟質膜106は、任意の適切な軟質材料、例えば、ガス透過性熱可塑性エラストマ材料(例えば、C−FLEX.RTM.(フロリダ州ラーゴにあるConsolidated Polymer Technologies, Inc.)、DynaFlex(イリノイ州マックヘンリーにあるGLS Corporation)および同様の特性を持った他のエラストマ材料)を含んでもよい。一実施形態においては、軟質膜106は、耐熱性の材料を含む。
【0027】
[0037]図2は、内部に足130を置いた真空シール108の断面図である。真空シール108は、真空封止部分120と、例えば人の足130など、哺乳動物の四肢に形作られることが可能な本体部分122とを含む。真空封止部分120は、真空の硬質または軟質のチャンバ150の内側から外側へ真空シール108を重ねることによって、真空の硬質または軟質のチャンバ150の上部開口128に取り付けられる。本体部分122は、靴下など、足130の形状に一致するよう形成されてもよい。角度αは、90°未満、例えば、約70°から約90°の間(例えば約75°)であってもよい。
【0028】
[0038]さらに、真空封止部分120と真空シール本体部分122との間に、孔124が設けられている。一実施形態においては、孔124は、足首と真空の硬質または軟質のチャンバとの間で真空封止を提供する足130の足首領域で覆われる。孔124は、足首の形状とサイズにまで伸びて(材料を選択することにより)、真空シールを形成するようなサイズにされる。哺乳動物の足に応じて、様々な孔124の形状とサイズであってもよい。
【0029】
[0039]真空シール本体部分122は、温度センサ140を含むことができる。温度センサ140は、足130の温度を測定するために、足130と接して位置付けられている。足デバイス100内に置かれた足は、熱交換ユニット104上方の真空シール本体部分122上に置かれる。温度センサ140は、例えば、オハイオ州デイトンにあるYSI Temperatureから入手可能な400系サーミスタ温度プローブであってもよい。温度センサ140は、足デバイス100の制御ユニット160に接続されている。代替実施形態では、真空シール108は、熱交換ユニットを含んでもよい。別の実施形態では、真空シール108は、製品の使用を示す使用時センサを含んでもよい。さらに、真空シール108の使用センサは、真空シール108が何回使用されたかを示すことができる。
【0030】
[0040]真空シール本体部分122は、空気等の流れを可能にするために、透過膜材料または呼吸材料でできた空気透過部分126をさらに含むことができる。呼吸材料の例は、Securon Manufacturing Ltd.または3M companyから入手可能である。透過部分126は、透過性の出口を設けるために、本体部分の任意の部分の近くに位置付けられて、真空によって四肢に適切な効果が与えられ、患者の快適さを求めて硬質または軟質のチャンバ150を汚染から守る障壁部が設けられる。図2に例示的に示したとおり、透過部分126は、足130のつま先部分の近くに位置付けられている。
【0031】
[0041]真空封止部分120は、真空シール108の孔124近くの、硬質または軟質のチャンバ150の上部開口128回りに巻きつけられている。真空封止部分120を硬質または軟質のチャンバ150に対して真空封止し、空気口を通して真空シール108の真空封止部分120から空気を排出することによって、最終的に、加圧シールが形成される。さらに、硬質または軟質のチャンバ150内部の空気は、真空ポンプに接続された真空ポート112を通して排出できる。真空下で足130に適切に封止された真空封止部分120を用いると、真空ポート112を介して硬質または軟質のチャンバ150に印加された負の真空圧によっても、真空シール108は、足130から引き離される。この理由は、Fvacu−sealとFvacとが、互いに反対に作用するからであり、それによって、全体の力Ftotalを低減し、その結果止血効果を低下させる。例えば、Fvacu−sealが80mmHgでFvacが大きいと、Ftotalを40mmHgまで低下させることができる。
【0032】
[0042]真空下で足130を硬質または軟質のチャンバ150に封止する真空シール108は、足デバイスの性能に重要な役割を果たす。これは、真空シール108が、硬質または軟質のチャンバ150の真空または準大気圧環境へ空気が漏れるのを防いでいるからである。真空シール108は、硬質または軟質のチャンバ150において使用できるシールの一例であると認識される。漏れが最小の封止部分を有するシールが望ましいが、これは、漏れが少ないことは、真空が加えられたとき、収納された足を有する装置から連続して除去されなければならない空気量を低減させるからである。しかし、足に過大な力を加える真空シールは、体に戻る血液流を低下または削減させ、これにより、足デバイスの効果を低下させ、健康に対する悪影響を生じる可能性がある。真空シール108はまた、機械的な留め具または他の固定部で、硬質または軟質のチャンバ150に取り付けられてもよい。一実施例では、真空の硬質または軟質のチャンバ150に嵌め込み可能な1つ以上の噛み合いリングが含まれている。別の実施例には、3Mの着脱可能なテープなど、使用時に除去可能な、着脱可能なライナを備えたテープを使用することが含まれる。
【0033】
[0043]一実施形態においては、真空シール108は、1回使い切りタイプのシールである。別の実施形態では、1回使い切りタイプのシールは、使用後に硬質または軟質のチャンバに取り付けられたままであり、硬質または軟質のチャンバと取り付けられたシールは、1回使用した後、捨てられる。さらに別の実施形態においては、真空シール108は、硬質または軟質のチャンバから除去でき、硬質または軟質のチャンバは、別の真空シールとともに繰り返し使用できる。
【0034】
[0044]一実施形態においては、真空封止部分120は、幅が0.5インチ〜6インチの範囲(例えば、足130の底を覆うのに十分な大きさの幅)の帯状の剥離可能な接着テープを備える。真空封止部分120は、真空封止部分120と真空封止本体部分122との間の界面に沿って、幅が異なっていてもよい。真空封止部分120は、接着面と裏当て部分とを備えることができる。真空封止部分120は、一般に、上部開口の縁部回りに巻きつけられる場合、約0.5インチ以上(例えば約2インチ)の重なり部分が存在するほどに十分に長い。重なり部分は、好ましくは、使用者が、真空シールを足の回りにきつく巻きつけすぎない程度であり、これにより、適度な真空封止力(例えば、20mmHg未満)を生成する。
【0035】
[0045]真空封止部分120の材料は、特定部分においては哺乳動物の四肢に取り付けるための剥離可能な接着材料と、別の部分においては真空シール108を硬質または軟質のチャンバ本体102に取り付けるためのより恒久的な接着剤とを備えることができる。剥離可能な接着材料は、初期接着性が高く、接着の除去力が小さい市販されている広範囲の材料のうちのいずれであってもよく、それによって、真空シール108は髪の毛や皮膚を引き離さず、真空シール108を取り外す際に、痛みが生じないものであればよい。例えば、剥離可能な接着剤は、1回使い切りタイプの接着剤であってもよい。さらに、接着材料は厚くて柔軟であるために、変形またはたわむことにより隙間を埋めることができる。ポリマゲル中に懸濁している水分を有する接着剤(例えばヒドロゲル)は、一般に、効果的である。このような接着剤の一例に、Tagaderm(商標)の3Mの接着剤(品番9841)がある。これは、典型的には、やけどや傷を覆うのに用いられる、薄くて(5mm)呼吸可能な接着剤である。別の例に、例えば3Mの品番MSX5764などの心電図(EKG)接着剤がある。これは、より厚い接着剤(25mm)である。真空シールは、真空が漏れないように固定されるべきである。一旦真空が加えられると、圧力差によって、真空シール108が足130に近づいて引っ張られ、それによって、足130回りの真空シール108効果が高められ、漏れなくなる。
【0036】
[0046]真空封止部分120の裏当ては、薄い、非弾性の軟質材料であってもよい。裏当ては接着剤を支持し、接着剤が、真空下で、外肢開口へ引っ張られないようにしている。裏当てによって、接着剤は、足の形状と、硬質または軟質のチャンバ150の上部開口128の形状の両方と一致することもでき、並びに、真空シール内の足の回りに存在する隙間を埋めるために、折れ曲がることもできる。さらに、裏当ては、接着剤が他の表面にくっつくのを防ぐ。裏当てには、厚さが最大約10ミリメートルの市販されているポリエチレンを用いることができる。約10ミリメートルよりも厚いポリエチレンは、折り曲がり、隙間を埋めるという接着剤の能力を制限することがある。裏当てはまた、薄くて非弾性の軟質材料に製造可能な任意のポリマを含んでもよい。
【0037】
[0047]一実施形態においては、真空封止部分120は、真空封止部分120が2つの対向する接着面を含むように、接着剤によって取り囲まれた裏当てを含む。例えば、3MのEKG接着剤製品であるMSX5764は、接着剤の多層膜の間に支持裏当てを含んでいる。裏当ての多層膜は、真空シール108を支持するために用いることもできる。
【0038】
[0048]弾性裏当ては、真空シール108内で用いてもよいが、弾性支持裏当ては、通常、非弾性支持裏当てに比べて、劣ったシールを生成する。これは、弾性支持裏当てによって、隙間を埋めるために折り曲がり、過度な接着材料を吸い取る接着剤の能力を低下させるからである。また、弾性裏当ては、使用者が真空シール108に張力をかけすぎ、それによって血液流を低下させる機会をより多く引き起こす。
【0039】
[0049]硬質または軟質のチャンバ150の上部開口128は、真空シール108が覆わなければならない寸法差を最小限にするために、患者の足のサイズに近いことが好ましい。許容可能な範囲の足のサイズに適合する、最も小さい開口サイズが好ましい。開口サイズを最小限にすることによって、硬質または軟質のチャンバの外側と硬質または軟質のチャンバの内側との間の圧力差によって生成される足にかかる力が低減される。この理由は、圧力差によって生じる力が、上部開口の面積×圧力差にほぼ等しいからである。真空シール108は、典型的には、最小は小柄な大人の足のサイズから最大は大柄な大人の種々の足のサイズまで、足のサイズに適合させるために、種々のサイズで形成することができる。例えば、小サイズ、中サイズ、および大きいサイズといった多数の開口サイズが、広範囲の足のサイズに適合させるために用いられる。
【0040】
[0050]あるいは、上部開口128は、この力をさらに最小限にし、真空封止をより簡単にするために、足の血液流を低下させずに、ある大きさの範囲内で縮小するように製造されてもよい。例えば、上部開口128を足に締め付けるために、1つ以上の紐が用いられてもよい。別の実施形態では、特に、外付けのバックル、ベルクロ、および革紐もまた、硬質または軟質のチャンバ150の上部開口128を取り囲んで、上部開口128を足の回りで固定するために用いることができる。
【0041】
[0051]本発明の別の実施形態においては、硬質または軟質のチャンバ150は、保管しやすく、例えば離れた地点へ持ち運びしやすいように折り曲げ可能であってよい。折り曲げ可能な硬質または軟質のチャンバは使い捨て可能であってもよい。硬質または軟質のチャンバ150は、保管の際には平らで、その後拡大または展開して、負圧による崩壊に耐える3次元の硬質または軟質のチャンバを形成してもよく、または、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)または任意の他の適切なポリマなどのポリマを含む任意の軟質材料から形成されてもよい。硬質または軟質のチャンバの材料の柔軟性によって、硬質または軟質のチャンバ150は保管のために折り曲げられ、使用するために広げることができる。硬質または軟質のチャンバは、負圧下で外肢に接触して壊れるのを防ぐために、広げた後に、支持体を追加することによって補強してもよい。
【0042】
[0052]さらに、硬質または軟質のチャンバ本体102の1つ以上の部分は、装置の機能と足の状態を装置の使用中に監視できるように、透明な材料からできていてもよい。代替実施形態では、硬質または軟質のチャンバ本体102は、2つ以上の本体部分に分けて硬質または軟質のチャンバ150内に組み込み、ベルクロやスナップなどの1つ以上の固定部によって固定することができる。
【0043】
[0053]図3は、本発明の熱交換ユニット104の一例である。熱交換ユニット104は、熱交換本体146を含む。熱交換本体146の片側には、真空シール108に直接、および足130に間接的に、熱接触面147を提供するために、複数の熱接触ドーム148が含まれている。熱接触面147の直径と、その形状または大きさとは、熱接触面147の全面積の合計が最大限大きくなるように変更できる。熱交換ユニット104は、熱交換ユニット104の熱交換本体146を通って熱流体媒体を循環させるために、熱流体供給ライン142と、熱流体源に接続された熱流体戻りライン144とをさらに含むことができる。
【0044】
[0054]熱交換本体146の材料は、その内部を流れる熱流体媒体に熱伝導性を有する任意の丈夫な材料であってもよく、例えば、硬質または軟質のチャンバ本体102に適した材料のうちのいずれかであってもよい。一実施形態においては、熱交換本体146は、足130の形状に容易に一致することが可能な軟質材料でできている。別の実施形態では、熱接触ドーム148は、足130に剛性接点を実現するために、剛性材料でできている。
【0045】
[0055]さらに、熱接触ドーム148の材料は、高い熱伝導性、好ましくは、熱交換主体146の材料よりもはるかに高い熱伝導性を有する材料であってもよい。例えば、熱接触ドーム148は、プラスチックやゴムよりも少なくとも400倍高い熱伝導性を与えるアルミニウムで形成されてもよい。
【0046】
[0056]一実施形態においては、熱交換ユニット104は、高周波溶接を用いて形成および組み立てることができる。別の実施形態では、熱交換ユニット104は、射出成形によって形成および組み立てることができる。漏れない、柔軟な熱交換ユニットを提供するために、熱交換ユニットを設計および製造可能にする方法は数多くある。
【0047】
[0057]図4は、本発明の熱交換ユニット204の別の実施例である。熱交換ユニット204には、熱交換ユニット204の熱交換本体246を通って熱流体媒体を循環させるために、熱交換本体246と、熱流体供給ライン242と、熱流体源に接続された熱流体戻りライン244とを含むことができる。内部を流れる熱流体用の内側流体流路を形成するために、熱交換ユニットが一体に結合された数種の材料層として製造されると、結果的に表面が平坦でなくなり、内側流体流路が存在するために、表面が凹凸になり、接触が少なくなり、それによって、熱伝達を最大限にするのに必要な表面面積を減少させる。ポリウレタンなどの熱交換本体146の材料は、熱伝達に適する導体とはならない可能性がある。したがって、熱交換本体246は、足に対して平坦で平らで、その結果、全接触面積が大きくなる表面を実現できるように、1つ以上のバックシート248によって覆われてもよい。さらに、バックシート248は、熱交換ユニット204と足130との間で、真空シール108を介して高い熱伝導性を与えるために、高い熱伝導性材料で形成することもできる。例えば、バックシート248は、アルミニウムなど(金属箔のように)薄い金属シートまたは他の金属シートでできていてもよい。一般的に、アルミニウムまたは他の金属材料は、プラスチックまたはゴムよりも高い(例えば、少なくとも400倍高い)熱伝導性を提供できる。
【0048】
[0058]図5は、本発明の熱交換ユニット504の別の例である。熱交換ユニット504は、電源に接続された1つ以上の電気ワイヤ542、544を有する電気パッドであってもよい。例えば、電源は、低電圧DC電源であってもよい。さらに、熱交換ユニット504は、温度を監視するための熱電対502やサーモスイッチ514を含み、これらは、電気パッドの温度が安全レベルを超えると、自動的に電力を遮断することができる。
【0049】
[0059]本発明の実施形態による熱交換ユニット104、204、504は、一般に、哺乳動物の四肢の温度を加熱および/または調節して、約20℃以上の温度、例えば、約10℃〜約42℃の間、または約15℃〜約40℃の間温度に維持する、熱交換表面を備える。温度を変化させることにより、装置が適用される皮膚の温度に応じて、血液流が種々の速度で増加することが判明している。
【0050】
[0060]1つ以上の熱交換ユニット104、204、504を、個別または組み合わせて、硬質または軟質のチャンバ本体102のうち1つ以上の部分に位置決めし、取り付けることにより、熱交換を実現し、硬質または軟質のチャンバ150内部に置かれた哺乳動物の四肢の温度を調節することができることに留意されたい。一実施形態においては、硬質または軟質のチャンバ150内部に1つ以上の熱交換ユニットを予め組み込むことができる。別の実施形態では、足デバイスの使用時に、硬質または軟質のチャンバ150内に1つ以上の熱交換ユニットを組み込むことができる。
【0051】
[0061]さらに、本発明の熱交換ユニット104、204、504は、哺乳動物の四肢の温度を監視し、温度制御をフィードバックするために、1つ以上の温度センサと熱電対とを含むことができる。中核体温を監視し、制御ユニット160に中核体温をフィードバックするために、例えば、鼓膜温度プローブが、哺乳動物の他の身体部分(例えば外耳道など)に挿入される。
【0052】
[0062]図6は、別の足デバイス600の一例の斜視図である。足デバイス600は、硬質または軟質のチャンバ本体602と、供給ライン642と、戻りライン644と、真空ポート612とを含む。図6に示されるとおり、1つ以上のチューブ、ライン、およびポートが、運搬および操作しやすいように、チューブセット670に一緒に束ねられ、制御ユニット(図示せず)に接続されることができる。
【0053】
[0063]図7は、ほぼ同サイズの、右または左の足に適合する、2つの例示的な足デバイス700および710の斜視図である。あるいは、足デバイス700および710は、様々な足サイズに適した種々のサイズに製造されることができる。
【0054】
[0064]図8は、本発明の脚デバイス800の別の例を示している。脚デバイス800は、上部硬質または軟質のチャンバ本体802Aと下部硬質または軟質のチャンバ本体802Bとを含む。これらは、上部硬質または軟質のチャンバ850Aと下部硬質または軟質のチャンバ850Bとをそれぞれ形成する。脚デバイス800はまた、軟質部分803を含み、上部硬質または軟質のチャンバ本体802Aと下部硬質または軟質のチャンバ本体802Bとの間を柔軟に接続できる。さらに、軟質部分803の内部には、上部硬質または軟質のチャンバ850Aと下部硬質または軟質のチャンバ850Bとを通して接続する、圧力空気ラインと流体チューブとが存在する。軟質部分803を軟質材料で作製して、脚デバイス800の内部に置かれる哺乳動物の脚830に柔軟性を与えることができる。例えば、軟質部分803は、脚830の足首部分の近くにぴったりはまり込むことができる。あるいは、上部硬質または軟質のチャンバ850Aと下部硬質または軟質のチャンバ850Bは、単一の真空硬質または軟質のチャンバに形成されてもよい。別の実施形態では、脚デバイス800は、上部硬質または軟質のチャンバ850Aと下部硬質または軟質のチャンバ850Bをそれぞれ有した2つ以上の個別の装置(例えば足デバイスとふくらはぎ装置)を含んでもよい。
【0055】
[0065]脚デバイス800はまた、1つ以上の熱交換ユニット(図示せず)と、上部硬質または軟質のチャンバ本体802Aと下部硬質または軟質のチャンバ本体802Bの1つ以上の部分に取り付けられた軟質膜とを含むことができる。真空シールが、脚830に対するライナとして、脚デバイス800の内部に取り外し可能にまたは取り外し不可能に据え付けられることができ、真空下で脚830に対して脚デバイスを封止するために、脚デバイス800の上部開口近くで真空封止部分820を含むこともできる。
【0056】
[0066]さらに、脚デバイス800は、上部硬質または軟質のチャンバ850Aと下部硬質または軟質のチャンバ850Bの1つ以上の部分周りに1つ以上の圧縮パッド860を含むことができる。各圧縮パッド860は、ガスラインに接続された1つ以上の空気ポケットと、脚830が脚デバイス800の内部に位置付けられると、空気または種々の流体で充填されるガス源とを含んでもよい。さらに、圧縮パッド860上の空気ポケットは、空気または流体を交互にポンプ送られてベロー状の運動をし、これにより、脚830の部分に、間欠的、連続的、またはその他の時間的に適切な方法で種々の圧縮圧力または圧縮力を加えることができる。脚830の部分に空気圧縮圧力または圧縮力を加えることによって、脚内の血液流を増加させ、静脈内の凝固や血液滞留を防ぎ、深部静脈血栓を防止でいると考えられる。
【0057】
[0067]1つ以上の熱流体供給ラインと、戻りラインと、電気ラインと、センサラインと、ガスラインと、温度センサポートと、真空ポートと、真空センサポートとが、上部硬質または軟質のチャンバ本体802Aおよび/または下部硬質または軟質のチャンバ本体802B内の1つ以上のアパーチャを通して脚デバイス800に提供できる。これらのチューブと流体ラインと電気ラインとガスラインと真空ポートとは、硬質または軟質のチャンバ本体上のアパーチャ872を介してチューブセット870に一緒に束ねられ、持ち運びと操作をしやすくするために、制御ユニット160に接続することができる。
【0058】
[0068]図9は、本発明の脚デバイス900の別の例である。脚デバイス900は、硬質または軟質のチャンバ本体902と、硬質または軟質のチャンバ本体902の先端部分に近接した閉塞カフ920とを含むことができる。硬質または軟質のチャンバ本体902は、従来は、脚が内部に置かれる前または後に、ファスナ980、982、984、986、988を用いて組み立てられることができる。本発明のファスナは、硬質または軟質のチャンバ本体902を一体に接合するための、例えば、スナップ、タブ、クリップ、トング、接着剤、ベルクロであってもよい。
【0059】
[0069]脚デバイス900は、閉塞カフ920に取り付け、脚デバイス900と脚との間に真空シールを設けるために、封止部分を有する真空シールとともに用いることができる。脚デバイスはまた、真空シールなしに用いられてもよく、閉塞カフ920が、脚に対して脚デバイス900を封止するために設けられる。
【0060】
[0070]硬質または軟質のチャンバ本体902は、内部に配置された1つ以上の熱交換ユニット904を有する硬質または軟質のチャンバ950を画成している。1つ以上の熱交換ユニット904は、内部に熱流体媒体を流す流体パッド、電気パッドまたは、他の適切な熱交換ユニットを個別、または組み合わせたものであってもよい。熱エネルギーを熱交換ユニット904から脚に伝達して、脚を暖めまたは冷やすことができる。
【0061】
[0071]脚デバイス900はさらに、1つ以上の圧縮パッド960A、960B、960Cを含む。圧縮パッドは、それぞれ、空気圧縮圧力を脚の部分に加えるために、空気ラインに接続された1つ以上の空気ポケットと空気源とを有する。1つ以上の熱交換ユニットと脚デバイス900の圧縮パッドとが、硬質または軟質のチャンバ950内部の硬質または軟質のチャンバ本体902の1つ以上の部分上に、重なってまたは別個に位置決めされることができる。
【0062】
[0072]作動中、足、脚または下肢は、真空シール内にぴったり収まり、真空シールで覆われた下肢は、下肢デバイス内に位置決定される。あるいは、取り外し可能な真空シールが下肢デバイス内部に最初に組み込まれ、その後、下肢が組立後の下肢デバイスにはめ込まれる。さらに、1つ以上の取り外し可能な熱交換ユニットが、下肢デバイス内部に予め組み込まれてもよく、または下肢が下肢デバイス内に位置決めされ次第組み立てられてもよい。その後、気密封止を形成し、足と足デバイスの間の空間に空気が入るのを防ぐために、真空シールの真空封止部分が、足デバイスの上部開口回りに巻きつけられる。
【0063】
[0073]図10は、本発明のデバイス300の種々の部分に接続された制御ユニット160の一実施形態を図示している。内部に制御ユニット160を有する制御モジュール360は、デバイス300の硬質または軟質のチャンバ150に提供される温度と真空圧力レベルと加圧縮力とを調節するのに必要な全ての電子回路と機械部品を収容している。制御モジュールは、典型的には、例えば、特に、制御ユニット160によって制御される、真空ポンプ332、真空ポンプ334、熱交換媒体源336、流体の流量センサ352、熱交換媒体ポンプ、ヒータと、クーラ、熱電対、加熱媒体ポンプ、真空および温度のプロセス制御のための比例積分微分(PID)制御器、1つ以上の電源、表示パネル、アクチュエータ、コネクタを含んでいる。制御ユニット160の設置は、好都合には、オペレータインタフェースを提供する表示パネル上に位置決めされてもよい。制御ユニット160は、本発明のデバイス300を最適に操作するための追加の電子回路を含んでもよい。代替実施形態では、真空制御および温度制御が、2つの異なった制御器によって制御されてもよい。
【0064】
[0074]制御ユニット160は、温度センサや圧力センサなどのデバイスセンサが故障または切断状態になった場合に作動するデバイス運転停止機能を含む安全機能を提供できる。制御ユニット160はまた、装置の温度が正確に調節されない場合にアラーム回路または警報信号を含むことができる。硬質または軟質のチャンバ内の真空が一定レベルを超える場合、硬質または軟質のチャンバが通気されるように、デバイスの真空ループ内に安全弁が設けられる。
【0065】
[0075]一実施形態においては、温度プローブ362を設けて、デバイスが取り付けられる足、脚または他の四肢以外の哺乳動物の部分の温度を測定できる。例えば、コア温度を読み取るために、鼓膜を温度プローブとして外耳道に取り付けることができる。したがって、患者など人の基準温度が得られる。他のセンサには、患者の血液流と血圧と心拍数とを含むことができる。これらのデータは、DVTが形成されるのを防ぎ、患者を正常な温度範囲で維持する際に、適切な患者の健康管理に重要である。
【0066】
[0076]図10に示されるとおり、真空封止部分120は、真空シールの圧力Fvacu−sealを与えるために、真空ポート324を介して真空ポンプ332に接続できる。硬質または軟質のチャンバ150は、硬質または軟質のチャンバ150内部で真空圧または負圧を与えるために、真空ポート312と真空センサ戻りライン322とを介して真空ポンプ334に接続できる。
【0067】
[0077]さらに、内部に1つ以上の熱交換ユニットを有する硬質または軟質のチャンバは、熱交換媒体供給ライン342と熱交換媒体戻りライン344とを介して、熱交換媒体源336に接続される。さらに、熱交換媒体供給ライン342の内部を流れる熱交換媒体の流れは、流体の流量センサ352によって監視および調節されることができる。
【0068】
[0078]本発明のこれらのラインおよびポートは、制御ユニット160に接続された同一または異なる保護シースに、束ねられ、収容され、ひずみ取りされる。これらのラインはまた、流体、真空、電熱および空気ラインなど、使用される各媒体に対して異なった筐体を備えた、同一または異なったチューブセットに収容されてもよい。
【0069】
[0079]一実施形態においては、熱交換ユニットは、閉ループ構成で、熱交換媒体を供給する熱交換媒体源に結合される。例えば、熱交換ユニットは、閉じた流体ループ構成で、制御モジュール360内に収容された流体タンクと接続される。閉ループ構成は、操作者のメンテナンス要件を軽減する。この理由は、閉ループ構成によって、典型的に、熱交換ユニットが熱交換媒体源から取り外される場合に生じる熱交換媒体の損失を最小限にするからである。熱交換媒体源の汚染も、閉ループ構造によって最小限になる。水などの熱交換媒体の汚染はまた、熱交換媒体源に抗菌剤を加えることによって低減できる。様々な実施形態において、熱交換媒体は、流体または気体のいずれであってもよい。実際には、熱交換媒体の流量は、機械と騒音の実用上の限界内で、できるだけ大きくすべきである。流量が大きいと、より良好に温度を安定させることができ、その結果、熱損失が少なくなり、より良好な熱交換を形成する。熱交換ユニットと熱交換媒体源とを含み、システムの全容積が0.75リットルの閉ループ構成では、毎分2リットルの流量は、毎分0.35リットルの流量よりも熱交換ユニットを通して2倍の流体を移送する。
【0070】
[0080]代替実施形態においては、熱交換ユニットと真空ラインとが、自動遮断機構を備えたクイックリリース付属品などの作動付属品を用いて制御ユニットに接続される。自動遮断機構は、真空ラインが切断状態になるとすぐに、真空適用と加熱媒体の流れを停止する。作動付属品によって、操作者に熱交換ユニットの交換を可能にしてもよい。
【0071】
[0081]上述の装置の実施形態は、深部静脈血栓(DVT)を予防するために、哺乳動物の1つ以上の四肢内で血液流を増加させ、静脈内の凝血塊を減少させる方法を提供する。この方法は、本発明の1つ以上の装置を哺乳動物に提供するステップと、その装置を用いて哺乳動物の1つ以上の四肢の温度を調節するステップとを含む。その結果、哺乳動物の四肢の内部の1つ以上の動静脈吻合(AVA)血管が拡張し、AVA血管の狭窄が減り、それによって、1つ以上の四肢内の血液流と血液量が増加し、血液流の血管壁の接触時間を低減し、滞留による静脈内の凝血塊を低減する。一実施形態においては、四肢のうち適切な部分、好ましくは、足などの、装置によって血管拡張することができる血管系を備えた四肢が、装置内に配置され、内部に封止される。
【0072】
[0082]足が硬質または軟質のチャンバに収容されると、負圧が真空ポートに印加され、それによって硬質または軟質のチャンバ内の圧力が低下し、大気圧を下回る0〜約−120mm−Hg(例えば、約−10mmHg〜約−50mm−Hg)の範囲の減圧に足を曝す。同時にまたは連続的に、熱交換媒体が硬質または軟質のチャンバ本体内部に位置決めされた熱交換ユニットに導入される。真空ポンプの流量は、毎分約4リットルより多く、好ましくは毎分約12リットル以上であってもよい。一態様においては、真空ポンプの流量は、装置の漏れを最小限にするために、毎分約4リットル〜約20リットルの間であり、好ましくは、毎分約12リットル〜約20リットルの間である。負圧はまた、装置の封止部分と、硬質または軟質のチャンバと足との間の閉鎖圧を増加することによって、装置の封止を高める。
【0073】
[0083]一実施形態においては、制御ユニットは、例えば約30分間であり得る治療継続時間の間に、熱交換媒体と負圧とを管理する。治療時間は、治療される足もしくは脚のサイズや足もしくは脚の温度によって、より長くまたは短くなることもあり、また繰り返されることもある。場合によっては、治療時間は、例えば、1〜5分間以上の期間を5サイクル以上など、繰り返される時間であってもよい。制御器は、各治療期間後に治療を停止するよう構成されている。制御ユニット上の「停止」ボタンが、熱交換媒体供給と真空の両方を停止するのに用いられる。
【0074】
[0084]本発明の実施形態を用いて、DVTを予防するために、患者の血液流を増加させることができる。本発明の実施形態を用いて、患者の温度を調節することもできる。このような方法では、熱交換媒体の温度は、患者を火傷させずに、できるだけ高温であるのがよい。健康な患者の場合、細胞の温度が約43℃を超えると、外肢の細胞の燃焼が起こる可能性がある。しかし、これは、露出時間と熱伝達の速度で変動する可能性がある。したがって、熱交換媒体の温度は、皮膚の温度が43℃未満で維持されるように調節されることが好ましい。例えば、年齢や健康状態などによって、それぞれの温度範囲に対する許容レベルは人によって様々である。さらに、装置は、患者の温度を下げるだけでなく、上昇させ、維持するために用いられることができる。通常、約10℃〜約42度の温度範囲が維持可能である。
【0075】
[0085]さらに、負圧は、四肢への血液流を制限せずに、血管拡張を最大にするためにできるだけ大きいことが好ましい。しかし、温度と負圧のレベルが上がると、中には、感温性や負圧の過敏性ゆえに、患者によっては痛みが生じることもある。さらに、温度と負圧の過敏性は、治療時間の延長や反復治療で増大することもある。さらに、患者の中には、点状出血、すなわち負圧下で毛細血管がマイクロバーストする状態になりがちな人がいる可能性がある。
【0076】
[0086]結果として、患者の不快感を軽減するために、制御器は、種々の温度と真空設定で構成することができる。一実施形態においては、1つの治療設定は「高」で、これは最も高い温度と負圧の設定を含んでいる。「中」と「低」の設定は、温度および/または負圧に対して徐々に低い設定となっている。点状出血の危険性が高いか、または時間を延長して治療している患者は、「低」設定で治療される。真空設定は、麻酔下にある患者に、より少ない負圧を与えるように調整できる。これは、麻酔下にある患者はすでに血管拡張されているためである。一方、温度は高設定で維持される。別の態様においては、デバイスは、約4℃/時間〜約12℃/時間の間の速度で体内のコア温度を上昇させるために、約5ワット〜約250ワットの間のエネルギー電力で使用できる。最大約250ワットの電力を使用できるが、供給電力は約5ワット〜約80ワットの間であるのが好ましい。これに対して、体全体を暖める対流温水ブランケットは、約500ワットを使用できる。
【0077】
[0087]前述の内容は、本発明の実施形態に関するが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態が、本発明の基本範囲から逸脱することなく考案され可能であり、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】例示的な下肢デバイスの一実施形態の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による、足が内部に置かれる例示的なシールの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による、例示的な熱交換ユニットの斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態による、別の熱交換ユニットの上面図である。
【図5】本発明の別の実施形態による、別の熱交換ユニットの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による、例示的な足デバイスの斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による、2つの例示的な足デバイスの斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による、例示的な脚デバイスの斜視図である。
【図9】本発明の別の例示的な脚デバイスの上面図である。
【図10】本発明の一実施形態による、装置に接続された制御ユニットの一実施形態を示している。
【符号の説明】
【0079】
100…足デバイス、102…チャンバ本体、104…熱交換ユニット、106…軟質膜、108…真空シール、110…チャンバ空間、112…真空ポート、120…真空封止部分、122…真空シール本体部分、124…孔、126…空気透過部分、130…足、140…温度センサ、142…熱流体供給ライン、144…熱流体戻りライン、146…熱交換本体、147…熱接触面、148…熱接触ドーム、150…チャンバ、204…熱交換ユニット、242…熱流体供給ライン、244…熱流体戻りライン、246…熱交換本体、248…バックシート、300…デバイス、312…真空ポート、322…真空センサ戻りライン、324…真空ポート、332…真空ポンプ、336…熱交換媒体源、352…流量センサ、360…制御モジュール、502…熱電対、504…熱交換ユニット、514…サーモスイッチ、542…電気ワイヤ、544…電気ワイヤ、600…足デバイス、602…チャンバ本体、612…真空ポート、642…熱流体供給ライン、644…熱流体戻りライン、670…チューブセット、700…足デバイス、710…足デバイス、800…脚デバイス、802A…上部チャンバ本体、802B…下部チャンバ本体、803…軟質部分、820…真空封止部分、830…脚、850A…上部チャンバ、850B…下部チャンバ、860…圧縮パッド、870…チューブセット、872…チャンバ本体開口、900…脚デバイス、902…チャンバ本体、904…熱交換ユニット、920…閉塞カフ、960A、960B、960C…圧縮パッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液流を増加させて、深部静脈血栓症(DVT)を予防する装置であって、
(1)内部に硬質または軟質のチャンバを画成する硬質または軟質のチャンバ本体と、
(2)硬質または軟質のチャンバ本体の開口に取り付けられ、硬質または軟質チャンバ本体に真空シールを提供するようになっている真空シール部分と、
その内部で人の四肢の部分に接触し、および前記真空シールと硬質または軟質チャンバ本体との間に空間を提供するようになっている真空シール本体部分と、
を備える真空シールと、
(3)前記硬質または軟質のチャンバ本体に取り付けた1つ以上の熱交換ユニットと、
(4)前記1つ以上の熱交換ユニットに取り付けられた、1つ以上の熱交換供給ラインおよび1つ以上の熱交換戻りラインと、
(5)前記硬質または軟質のチャンバ本体の1つ以上のアパーチャであって、前記熱交換ユニットが、前記硬質または軟質のチャンバ本体の少なくとも1つ以上のアパーチャを通って、前記硬質または軟質のチャンバ本体と、前記1つ以上の熱交換供給ラインおよび前記1つ以上の熱交換戻りラインを介する1つ以上の熱源とに接続されている、1つ以上のアパーチャと、
(6)前記真空シールと、前記熱交換ユニットと、前記熱交換供給ラインと、前記1つ以上の熱交換戻りラインとに接続された、制御ユニットと、
を備える装置。
【請求項2】
前記硬質または軟質のチャンバ本体上の前記1つ以上のアパーチャの少なくとも1つに取り付けられ、および一端を少なくとも1つの真空ポンプに接続され、他端を前記真空シールと前記硬質または軟質のチャンバ本体との間の空間に接続されるようになっている、1つ以上の真空ポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記真空シールと前記硬質または軟質のチャンバ本体との間の前記空間の圧力が、約ゼロから約120mmHgの間に維持されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の開口の少なくとも1つに接続された真空センサポートをさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記真空シールが使い捨て式である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記真空シールが前記硬質または軟質のチャンバ本体に着脱可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の熱交換ユニットが、内部に、加熱流体、加熱空気、冷却流体、冷却空気、およびこれらの混合物からなる群から選択された流体媒体を提供するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上の熱交換ユニットが電気パッドである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の熱交換ユニットが、前記硬質または軟質のチャンバ本体の1つ以上の部分の近傍に恒久的に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上の熱交換ユニットが、前記硬質または軟質のチャンバの内部に着脱可能に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の熱交換ユニットを囲み、熱交換を容易にするようになっている1つ以上の裏当てをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記硬質または軟質のチャンバ本体が、軟質であり、さらに、前記人の四肢の1つ以上の部分上に間欠的に加圧圧縮力を供給するために1つ以上の圧縮パッドを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の熱交換ユニットと前記硬質または軟質のチャンバ本体との間に位置決めされた、1つ以上の軟質膜をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記真空シールが、前記人の四肢の前記部分の温度を監視するようになっている温度センサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記硬質または軟質のチャンバ本体が、エラストマ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル材料、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリウレタン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス、ゴム、ステンレス鋼、ガラス、アルミニウム、ポリマ材料、複合材料、チタン、軽合金、アルミニウム合金、チタン合金、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
哺乳動物の下肢の前記部分が、足、脚、ふくらはぎ、足首、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
DVTを予防する方法であって、
(1)硬質または軟質のチャンバ本体と、
(2)前記硬質または軟質のチャンバ本体の開口に取り付けられた真空シール部分と、内部で脚に接触し、前記真空シールと前記硬質または軟質チャンバ本体との間に空間を提供するためのシールライナ体と、を有する真空シールと、
(3)1つ以上の熱交換ユニットと
をそれぞれが備える1つ以上のデバイスを、哺乳動物の1つ以上の四肢に取り付けるステップと、
前記1つ以上のデバイスを用いて前記哺乳動物の前記1つ以上の四肢の温度を調節するステップと、
前記哺乳動物の前記1つ以上の四肢の動静脈吻合(AVA)血管を血管拡張するステップと、
前記1つ以上のデバイスを用いて前記AVA血管の狭窄を低減させ、それによって前記1つ以上の四肢の血液流を増加させ、前記1つ以上の四肢の静脈内の凝固を減少させるステップと、
を備える、方法。
【請求項18】
前記哺乳動物の前記1つ以上の四肢に加圧圧縮力を加えるステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記加圧圧縮力が個別の加圧圧縮デバイスにより加えられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加圧圧縮力が前記1つ以上のデバイス内部の1つ以上の加圧圧縮パッドにより加えられる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上のデバイスの前記硬質または軟質のチャンバの圧力を低減するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記圧力が、ゼロから約120mmHgの間に低減される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の四肢の前記温度が、前記1つ以上のデバイスにより約10℃〜約42℃の間に維持される、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の四肢が1つ以上の脚である、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114043(P2008−114043A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−202099(P2007−202099)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(506099867)ダイナサーム メディカル,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】