説明

血液成分採取装置

【課題】容易かつ確実に、製剤規格に適合した量の血液成分を採取することができる血液成分採取装置を提供する。
【解決手段】血液成分採取装置1は、血液成分採取回路2を有し、血液成分採取回路2は、遠心分離器20、採血針29を有する第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23、血漿採取バッグ25、エアーバッグ27b、中間バッグ27a、血小板採取バッグ26、白血球除去フィルター261およびバッグ28を備えている。そして、この血液成分採取装置1には、遠心分離器20を迂回し、血漿採取バッグ25と中間バッグ27aとを接続する血漿供給ラインと、前記血漿供給ラインを経由して、血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給することにより、血小板採取バッグ26に採取される血小板製剤の量を調整する量調整手段とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液成分採取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
採血を行う場合、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還する成分採血が行われている。
【0003】
このような成分採血においては、血液成分採取装置を用いて、供血者から採血した血液を血液成分採取回路に導入し、該血液成分採取回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、バフィーコートおよび赤血球に分離し、そのうちのバフィーコートから血小板(所定の血液成分)を分離し、血小板採取バッグに回収して血小板製剤とし、血漿も血漿採取バッグに回収して血漿製剤または血漿分画製剤の原料とし、残りの血漿、白血球および赤血球は、供血者に返血することが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような血液成分採取装置により血小板を採取する際は、血小板の量が製剤規格に適合するように、血小板成分に血漿成分を添加して血小板の量を調整する操作(量調整操作)が行われる。この量調整操作では、回路の構成上、血漿採取バッグ内の血漿を、遠心分離器を経由させて、血小板を貯留したバッグに供給(送液)する。
【0005】
ところで、複数のサイクルで血小板を採取する場合、例えば、採血の途中で供血者の体調が悪くなったときや、供血者の希望等により、必要に応じてサイクル数を減少させて採血を中止することがある。
【0006】
しかしながら、従来の血液成分採取装置では、サイクル数を減少させた際、既に、遠心分離器を経由して血漿を供給するタイミングを過ぎていると、量調整操作は不可能となり、血小板採取バッグに採取される血小板の量が製剤規格を下回ってしまうことがある。この場合は、得られた血小板は、その数が十分に採取できているにもかかわらず、数に見合った単位の血小板製剤にすることができず、廃棄されるか、低単位製剤化するか、または、血漿分画製剤の原料として使用されることとなり、不経済である。
【0007】
また、従来の血液成分採取装置では、量調整操作において、血漿採取バッグ内の血漿を、遠心分離器を経由させて、血小板採取バッグに供給するので、その量調整操作は、遠心分離器が回転しており、遠心分離器内が血液で完全に満たされ、かつ血小板を採取していない期間のみしか行なうことができないという欠点がある。例えば、返血中や、血小板を採取している際は、量調整操作を行なうことができない。
【0008】
従って、従来の血液成分採取装置では、血小板の量が不足している場合、量を製剤規格に合わせるべく、オペレータが手動で、血漿採取バッグ内の血漿を血小板採取バッグに供給して、血小板の量を調整する作業を行なうこともある。
【0009】
しかしながら、血液成分採取装置の回路構成は複雑であり、このため、作業に手間がかかり、また、操作ミスにより赤血球や白血球を血小板採取バッグに混入させてしまうリスクがある。また、血小板採取バッグに供給する血漿の量は目分量となるため、血小板の量を調整する作業を行なっても、血小板の量が製剤規格を外れてしまう恐れがある。
【0010】
【特許文献1】特開平9−164194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、容易かつ確実に、製剤規格に適合した量の血液成分を採取することができる血液成分採取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された血漿を採取する血漿採取バッグと、
前記遠心分離器により分離された血漿を含む所定の血液成分を採取する第1のバッグとを備える血液成分採取回路を有し、
採取した血液を遠心分離し、血漿および前記血漿を含む所定の血液成分を採取して、残りの血液成分を前記供血者に返還する血液成分採取装置であって、
前記遠心分離器を迂回し、前記血漿採取バッグと前記第1のバッグとを接続する血漿供給ラインと、
前記血漿供給ラインを経由して、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記第1のバッグに供給することにより、前記第1のバッグに採取される前記血漿を含む所定の血液成分の量を調整する量調整手段とを有することを特徴とする血液成分採取装置。
【0013】
(2) 供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された血漿を採取する血漿採取バッグと、
前記遠心分離器により分離された血漿を含む所定の血液成分中から所定の細胞を分離除去する細胞分離フィルターと、
前記細胞分離フィルター内を通過した後の前記血漿を含む所定の血液成分を貯留する第1のバッグと、
前記遠心分離器により分離され、前記細胞分離フィルターを通過する前の前記血漿を含む所定の血液成分を一時的に貯留する第2のバッグとを備える血小板採取回路を有し、
採取した血液を遠心分離し、血漿および前記血漿を含む所定の血液成分を採取して、残りの血液成分を前記供血者に返還するとともに、前記第2のバッグへ一時的に貯留された前記血漿を含む所定の血液成分を前記細胞分離フィルターへ供給し、該細胞分離フィルターにより、前記血漿を含む所定の血液成分中から所定の細胞を分離除去する濾過操作を行なう血小板採取装置であって、
前記遠心分離器を迂回し、前記血漿採取バッグと、前記第1のバッグおよび前記第2のバッグの少なくとも一方とを接続する血漿供給ラインと、
前記血漿供給ラインを経由して、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記第1のバッグおよび前記第2のバッグの少なくとも一方に供給することにより、前記第1のバッグに採取される前記血漿を含む所定の血液成分の量を調整する量調整操作を行なう量調整手段とを有することを特徴とする血液成分採取装置。
【0014】
(3) 前記量調整操作における前記血漿の供給は、前記第2のバッグに対してなされる上記(2)に記載の血液成分採取装置。
【0015】
(4) 前記量調整操作における前記血漿の供給は、前記濾過操作の前に行なわれる上記(2)または(3)に記載の血液成分採取装置。
【0016】
(5) 前記濾過操作が開始された後に、前記量調整操作を行なう場合は、前記濾過操作を中断して前記量調整操作を行なう上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0017】
(6) 前記量調整操作における前記血漿の供給は、前記第2のバッグへの前記血漿を含む所定の血液成分の採取が終了した後に行なわれる上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0018】
(7) 前記細胞分離フィルターは、白血球除去フィルターである上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0019】
(8) 当該血液成分採取装置は、採取した血液を遠心分離し、血漿および前記血漿を含む所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、残りの血液成分を返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を少なくとも1サイクル行なうものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0020】
(9) 前記量調整操作は、少なくとも前記血液成分採取操作のサイクル数が減少した場合に行なわれる上記(8)に記載の血液成分採取装置。
【0021】
(10) 前記量調整手段は、最終的に採取される前記所定の血液成分の総数を予測する予測手段と、
前記予測手段の予測結果に基づいて、前記量調整操作において供給する血漿の量を決定する供給量決定手段とを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0022】
(11) 前記量調整操作における前記血漿の供給は、落差によりなされる上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0023】
(12) 前記血漿を含む所定の血液成分は、血漿を含む血小板または血漿を含む赤血球である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、血漿供給ラインが遠心分離器を迂回しているので、例えば、遠心分離器が作動(回転)を停止している返血中や、遠心分離器が作動(回転)しており、血液成分(血小板)を採取している期間であっても量調整操作を自動的に行なうことができる。すなわち、略すべての期間において、量調整操作を自動的に行なうことができる。
【0025】
これにより、容易かつ確実に、製剤規格に適合した量の血液成分を採取することができる。すなわち、容量(量)不足による単位割れを防止することができる。
【0026】
また、血液成分採取工程と血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を少なくとも1サイクル行なうように構成されている場合、設定された血液成分採取操作のサイクル数を減少させても、略すべての期間において量調整操作を行なうことができ、これにより、採取した血小板(血小板の数)を無駄にすることなく、容易かつ確実に、製剤規格に適合した量の血液成分を採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の血液成分採取装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図である。
【0029】
図1に示す血液成分採取装置1は、血液を複数の血液成分に分離するとともに分離された血液成分を採取、本実施形態では、血漿を含む血小板(血液成分)と、血漿(血液成分)とを採取するための装置である。この血液成分採取装置1は、内部に貯血空間146を有するローター142と、貯血空間146に連通する流入口143および排出口(流出口)144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間146内で遠心分離する遠心分離器20と、採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続する第1のライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続された第3のライン23と、チューブ49および50を介して第1のライン21に接続され、かつチューブ43および44を介して第2のライン22に接続された血漿採取バッグ(採取バッグ)25と、チューブ42を介して第2のライン22に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43および45を介して第2のライン22に接続された中間バッグ(一時貯留バッグ)(採取バッグ)27aと、チューブ46、47および48を介して中間バッグ27aに接続された血小板採取バッグ(採取バッグ)26と、チューブ51を介して血小板採取バッグ26に接続されたバッグ28とを有する血液成分採取回路(採取回路)2を備えている。
【0030】
さらに、血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の途中を開閉し得る複数(本実施形態では、第1〜第7の7個)の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜87を制御するための制御部(制御手段)13と、濁度センサ(血小板濃度センサ)14と、光学式センサ15と、重量センサ16と、複数(本実施形態では、6個)の気泡センサ31、32、33、34、35、36とを備えている。
【0031】
そこで、最初に、血液成分採取回路2について説明する。
この血液成分採取回路2は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備える第1のライン(採血および返血ライン)21と、一端側が遠心分離器20の排出口(流出口)144に接続された第2のライン22と、第1のライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える第3のライン(抗凝固剤注入ライン)23と、第1のライン21のポンプチューブ21gより採血針29側に接続されたチューブ50と、チューブ50に接続されたチューブ49と、第2のライン22に接続されたチューブ43と、チューブ43に接続されたチューブ44と、チューブ44および49に接続された血漿採取バッグ25と、第2のライン22に接続されたチューブ42と、チューブ42に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43に接続されたチューブ45と、チューブ45に接続された中間バッグ27aと、中間バッグ27aに接続されたチューブ46と、チューブ46に接続されたチューブ47と、チューブ48と、チューブ48に接続された血小板採取バッグ26と、血小板採取バッグ26に接続されたチューブ51と、チューブ51に接続されたバッグ28とを備えている。エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
【0032】
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと、一端側が採血針側第1ライン21aに接続され、他端側が遠心分離器20の流入口143に接続された遠心分離器側第1ライン21bとを有している。採血針29としては、例えば、公知の金属針が使用される。
【0033】
この採血針側第1ライン21a、遠心分離器側第1ライン21b、後述する第2のライン22、第3のライン23は、それぞれ、軟質樹脂製チューブ、または、その軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。
【0034】
採血針側第1ライン21aは、採血針29側より、第3のライン23との接続用分岐コネクター21cと、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dと、チューブ50との接続用分岐コネクター21fとを備えている。
【0035】
また、採血針側第1ライン21aに沿って、採血針29側より、気泡センサ35、36および32が設置されている。この場合、気泡センサ35および36は、分岐コネクター21cとチャンバー21dとの間に配置され、気泡センサ32は、チャンバー21dと分岐コネクター21fとの間に配置されている。
【0036】
気泡センサ35、36および32は、チューブの外側から超音波を送受信し、液体と気泡(気体)とで超音波の伝導率が異なるのを利用して、チューブ内の気体および液体(気/液の別、気/液面等)を検出することができる検出手段である。なお、気泡センサ31、33および34も、上記と同様の機能を有している検出手段である。また、気泡センサ(気体および液体検出手段)としては、上記超音波式センサに限らず、例えば、光学式センサ、赤外線センサ等を用いてもよい。
【0037】
また、チャンバー21dには、チューブ21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
【0038】
一方、遠心分離器側第1ライン21bは、チューブ50との接続用分岐コネクター21fに接続されており、その途中に形成された第1のポンプチューブ21gを有している。
【0039】
第2のライン22は、その一端側が遠心分離器20の排出口144に接続されている。
この第2のライン22は、チューブ42および43との接続用分岐コネクター22bとを備えている。
【0040】
また、第2のライン22に沿って、遠心分離器20側より、濁度センサ14および気泡センサ34が設置されている。この場合、濁度センサ14および気泡センサ34は、遠心分離器20と分岐コネクター22bとの間に配置されている。
【0041】
また、分岐コネクター22bには、チューブ41を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター22fが接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
【0042】
第3のライン23は、その一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。すなわち、第3のライン(流路)23は、分岐コネクター(分岐部)21cを介して第1のライン(流路)21から分岐している。また、分岐コネクター21cは、採血針29の近傍に位置している(設けられている)。
【0043】
この第3のライン23は、分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23aと、除菌フィルター(異物除去用フィルター)23bと、気泡除去用チャンバー23cと、抗凝固剤容器接続用針23dとを備えている。
【0044】
また、第3のライン23に沿って、気泡センサ31が設置されている。この気泡センサ31は、分岐コネクター21cと第2のポンプチューブ23aとの間に配置されている。
【0045】
この第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23dは、抗凝固剤(抗凝固剤液)が収納(収容)された図示しない容器に接続され、これにより、容器内の抗凝固剤は、後述するように、抗凝固剤容器接続用針23dから分岐コネクター21cに向かって第3のライン23を流れ、採血針側第1ライン21aに供給(注入)される。これにより、例えば、第3のライン23を介して、採血針29により採取された血液に抗凝固剤を添加(混合)することができる。
【0046】
なお、抗凝固剤としては、特に限定されないが、例えば、ACD−A液等を用いることができる。
【0047】
血液成分採取バッグである血漿採取バッグ(第3のバッグ)25は、血漿(第2の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。チューブ49の一端は、この血漿採取バッグ25に接続され、その途中に接続用分岐コネクター22dが設けられている。そして、チューブ50の一端は、この分岐コネクター22dに接続され、他端は、分岐コネクター21fに接続されている。
【0048】
また、チューブ43の一端は、分岐コネクター22bに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22cが設けられている。そして、チューブ44の一端は、この分岐コネクター22cに接続され、他端は、血漿採取バッグ25に接続されている。
【0049】
また、チューブ46の途中には、そのチューブ46に沿って、気泡センサ33が設置されている。
【0050】
なお、血漿採取バッグ25、チューブ43および44により、血漿を採取する血漿採取用分岐ラインが構成されている。
【0051】
血液成分採取バッグである血小板(血小板製剤)採取バッグ(第1のバッグ)26は、後述する白血球除去フィルター261を通過した後の血漿を含む血小板(第1の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。なお、以下の説明では、血漿を含む血小板(第1の血液成分)を、「濃厚血小板」と言い、血小板採取バッグ26内に採取(貯留)された濃厚血小板を、「血小板製剤」と言う。
【0052】
チューブ51の一端は、この血小板採取バッグ26に接続され、その他端にはバッグ28が接続されている。
【0053】
エアーバッグ27bは、空気(エアー)を一時的に収納(貯留)するための容器である。
【0054】
後述する採血の際は、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納される。そして、返血工程(血液成分返還工程)の際、エアーバッグ27b内に収納されている空気は、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻される。これにより、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
【0055】
チューブ42の一端は、分岐コネクター22bに接続され、他端は、このエアーバッグ27bに接続されている。
【0056】
中間バッグ(一時貯留バッグ)(第2のバッグ)27aは、濃厚血小板、すなわち、血漿を含む血小板(第1の血液成分)を一時的に貯留するための容器(貯留部)である。チューブ45の一端は、分岐コネクター22cに接続され、他端は、この中間バッグ27aに接続されている。
【0057】
また、チューブ46の一端は、この中間バッグ27aに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22eが設けられている。前記チューブ49の他端は、この分岐コネクター22eに接続されている。
【0058】
また、接続用分岐コネクター22eには、チューブ47の一端が接続され、このチューブ47の途中には、濃厚血小板中から白血球(所定の細胞)を分離除去する白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)(濾過器)261が設置されている。
【0059】
また、チューブ47の他端には、接続用分岐コネクター22gが設けらており、一端が前記血小板採取バッグ26に接続されたチューブ48の他端が、この分岐コネクター22gに接続されている。
【0060】
また、分岐コネクター22gのポートには、ベントフィルターが設けられたフィルター本体およびキャップを備えたフィルター22hが設置されている。
【0061】
ここで、後述する濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作等において、チューブ46および47は、中間バッグ27aから白血球除去フィルター261に濃厚血小板を供給する供給用チューブを構成し、また、チューブ48は、白血球除去フィルター261から白血球を分離除去した後の濃厚血小板を排出する(血小板採取バッグ26に供給する)排出用チューブを構成する。
【0062】
すなわち、チューブ46、47、48、中間バッグ27a、白血球除去フィルター261および血小板採取バッグ26により、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過ラインが構成されている。
【0063】
また、後述する血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給することにより、中間バッグ27aに採取される濃厚血小板の量、すなわち、血小板採取バッグ26に採取される血小板製剤の量を調整する量調整操作等において、例えば、チューブ46および49は、血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給する供給用チューブを構成する。
【0064】
すなわち、チューブ46および49により、遠心分離器20を迂回し、血漿採取バッグ25と中間バッグ27aとを接続する血漿供給ラインが構成されている。
【0065】
なお、チューブ46および49の他のチューブにより、前記供給用チューブ、すなわち、血漿供給ラインを構成することもできる。
【0066】
血液成分採取装置1を組み立てた状態で(血液成分採取装置1を使用する際)、これらの中間バッグ27a、白血球除去フィルター261、血小板採取バッグ26および血漿採取バッグ25は、それぞれ、中間バッグ27aが血漿採取バッグ25より低い位置(鉛直方向下方)に、白血球除去フィルター261が中間バッグ27aより低い位置に、さらに、血小板採取バッグ26が白血球除去フィルター261より低い位置にセットされる(位置する)。そして、中間バッグ27aおよび血漿採取バッグ25は、それぞれ、遠心分離器20のローター142の貯血空間146より高い位置(鉛直方向上方)に位置する。
【0067】
この場合、血液成分採取装置1には、血漿採取バッグ25と、中間バッグ27aおよびエアーバッグ27bとを着脱自在に支持する支持部である図示しないハンガー(フック)が、それぞれ、設けられている。そして、血漿採取バッグ25および中間バッグ27aは、それぞれ、出口側(入口側)が鉛直方向下方になるように、対応するハンガーに引っ掛けられ、吊り下げられる(吊られる)。
【0068】
また、白血球除去フィルター261としては、例えば、両端に流入口および排出口を有するケーシング内に、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂よりなる織布、不織布、メッシュ、発泡体等の多孔質体を1層または2層以上積層した濾過部材を挿入して構成したもの等を用いることができる。
【0069】
上述した第1〜第3のライン21〜23の形成に使用される各チューブ、各ポンプチューブ21g、23a、さらに、その他の各チューブ41〜51、21hの構成材料としては、それぞれ、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0070】
これらのチューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
【0071】
また、上述した各分岐コネクター21c、21f、22b、22c、22d、22e、22gの構成材料についても、それぞれ、前記チューブで挙げた構成材料と同様のものを用いることができる。
【0072】
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、それぞれ、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12により押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
【0073】
血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26、中間バッグ27a、エアーバッグ27b、バッグ28は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。なお、前述したように、エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
【0074】
各バッグ25、26、27a、27b、28に使用される材料としては、それぞれ、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
【0075】
なお、血小板採取バッグ26に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。
【0076】
このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。
【0077】
このような血液成分採取回路2の主要部分は、図示しないが、例えば、カセット式となっている。すなわち、血液成分採取回路2は、各ライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23)および所定の各チューブを部分的に収納し、かつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジングを備えている。
【0078】
このカセットハウジングには、第1のポンプチューブ21gの両端および第2のポンプチューブ23aの両端が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジングより、各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1および第2のポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。また、このカセットハウジングには、後述する各流路開閉手段81〜87等が設置される。
【0079】
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を複数の血液成分に分離する。
【0080】
遠心分離器20は、図2に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の回りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とを有している。
【0081】
ローター142には、その周壁内面に沿って環状の貯血空間146が形成されている。この貯血空間146は、図2中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ローター142の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体141の下端開口に連通し、その上部は、排出口(流出口)144に連通している。また、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされ、ローター142の回転軸からの最大内径(最大半径)は、例えば、55〜65mm程度とされる。
【0082】
このようなローター142は、血液成分採取装置1が備える遠心分離器駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
【0083】
本実施形態では、図2に示すように、血液がローター142の貯血空間146内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
【0084】
次に、図1に示す血液成分採取装置1の全体構成について説明する。
血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21の途中に設置された第1の送液ポンプ11と、第3のライン23の途中に設置された第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2(第1のライン21、チューブ42、チューブ44、チューブ45、チューブ47、チューブ49、チューブ50)の流路の途中を開閉し得る複数の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87と、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)および各操作を行なう操作手段である表示・操作部17と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、複数の流路開閉手段81〜87および表示・操作部17を制御するための制御部(制御手段)13とを備えている。
【0085】
さらに、血液成分採取装置1は、第2のライン22に装着(設置)された濁度センサ14と、遠心分離器20の近傍に設置された光学式センサ15と、複数の気泡センサ31〜36と、血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと重量測定するための重量センサ16とを備えている。
【0086】
制御部13は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部13と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されている。
【0087】
遠心分離器駆動装置10が備える駆動コントローラ(図示せず)は、制御部13と電気的に接続されている。
【0088】
各流路開閉手段81〜87は、それぞれ、制御部13に電気的に接続されている。
また、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、表示・操作部17は、それぞれ、制御部13と電気的に接続されている。
【0089】
制御部13は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御部13には、上述した濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36からの検出信号が、それぞれ、随時入力される。また、表示・操作部17からの信号(入力)も、制御部13に入力される。
【0090】
制御部13は、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36からの検出信号および表示・操作部17からの信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の各部の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段81〜87の開閉、遠心分離器駆動装置10の作動および表示・操作部17の駆動をそれぞれ制御する。
【0091】
なお、この制御部13、重量センサ16、後述する第6の流路開閉手段86により、前記チューブ46および49で構成される血漿供給ラインを経由して、血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給することにより、中間バッグ27aに採取される濃厚血小板の量を調整することによって、血小板採取バッグ26に採取される血小板製剤の量を調整する量調整操作を行なう量調整手段が構成される。
【0092】
また、この量調整手段は、最終的に採取された血小板の総数(または単位数)に基づいて量調整操作において供給する血漿の量を決定するが、最終的に採取される血小板の総数(または単位数)を予測する血小板数予測手段(予測手段)と、前記血小板数予測手段の予測結果に基づいて、量調整操作において供給する血漿の量を決定する供給量決定手段とを有していてもよく、制御部13、第1の送液ポンプ11および濁度センサ14により、前記血小板数予測手段が構成され、制御部13により、前記供給量決定手段が構成される。
【0093】
第1の流路開閉手段81は、第1のポンプチューブ21gより採血針29側、すなわち、分岐コネクター21fとチャンバー21dとの間において第1のライン21を開閉するために設けられている。
【0094】
第2の流路開閉手段82は、チューブ50を開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、チューブ44を開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、チューブ45を開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、チューブ42を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、チューブ49を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、チューブ47を開閉するために設けられている。
【0095】
各流路開閉手段81〜87は、それぞれ、第1のライン21、チューブ50、44、45、42、49、47を挿入可能な挿入部を備え、該挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有している。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
【0096】
これらの流路開閉手段(クランプ)81〜87は、それぞれ、制御部13からの信号に基づいて作動する。
【0097】
表示・操作部17は、例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えたタッチパネル等で構成される。
【0098】
なお、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)である表示部(例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等)と、各操作を行なう操作手段である操作部(例えば、操作ボタン、操作スイッチ、操作ダイヤル等)とを、別個に設けてもよい。
【0099】
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング201と、脚部202と、駆動源であるモータ203と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台205とを有している。
【0100】
ハウジング201は、脚部202の上部に載置、固定されている。また、ハウジング201の下面には、ボルト206によりスペーサー207を介してモータ203が固定されている。
【0101】
モータ203の回転軸204の先端部には、固定台205が回転軸204と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台205の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
【0102】
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング201に固定されている。
【0103】
このような遠心分離器駆動装置10では、モータ203を駆動すると、固定台205およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpm程度で回転する。
【0104】
ハウジング201には、その側部(図2中、左側)に光学式センサ15が設置されている。
【0105】
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
【0106】
光学式センサ15は、投光部151から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面147で反射された反射光を受光部152で受光する。そして、受光部152においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
【0107】
ここで、光学式センサ15は、片面に反射面を有し、光路を変更する反射板153を有しており、投光部151から照射された光は、反射板153を介して反射面147に照射され、反射面147で反射した光は、反射板153を介して受光部152で受光されるように構成されている。
【0108】
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層131とバフィーコート層132との界面B)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部152での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部152からの出力電圧の変化として検出することができる。
【0109】
すなわち、光学式センサ15は、受光部152での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
【0110】
なお、光学式センサ15が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層132と赤血球層133との界面であってもよい。
【0111】
ここで、貯血空間146内の各層131〜133は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、特に、赤血球層133は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
【0112】
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度(血小板の濃度)を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度センサ14は、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
【0113】
この濁度センサ14により、例えば、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度、血漿中の血小板濃度の変化、血漿中への赤血球の混入等を検出することができる。
【0114】
また、気泡センサ34により、例えば、第2のライン22中を流れる流体の空気から血漿への置換等を検出することができる。
【0115】
濁度センサ14および各気泡センサ31〜36としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。
【0116】
第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11、および、第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、それぞれ、例えば、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適に用いられる。
【0117】
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
【0118】
この血液成分採取装置1は、遠心分離器20を迂回し、血漿採取バッグ25と中間バッグ27aとを接続する血漿供給ラインを経由して、血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給することにより、中間バッグ27aに採取される濃厚血小板の量を調整することによって、血小板採取バッグ26に採取される血小板製剤の量を調整する量調整操作を行なうことが可能なように構成されている。血漿供給ラインは、本実施形態では、チューブ46および49で構成されている。
【0119】
この量調整操作における血漿の供給は、どのようなタイミングで行なってもよいが、濾過操作の前に行なわれるのが好ましい。血漿の供給を濾過操作の前に行なう場合は、濾過中に行なう場合に比べ、濾過開始時の中間バッグ27a内の濃厚血小板中の血小板の濃度が低くなり、これにより、濾過操作における白血球除去フィルター261の目詰りを防止することができる。
【0120】
また、量調整操作における血漿の供給は、中間バッグ27aへの濃厚血小板の採取が終了した後に行なわれるのが好ましい。これにより、より正確に、最終的に採取された血小板の総数を推定(推測)することができ、これによって、より正確に、供給すべき血漿の量を求めることができる。また、これにより、より正確に、血小板製剤の量を調整することができる。
【0121】
また、本実施形態では、量調整操作において、血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給するように構成されている。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿を、白血球除去フィルター261を介して血小板採取バッグ26に供給する場合に比べ、白血球除去フィルター261から血小板採取バッグ26側へ白血球が漏出し難くなる。
【0122】
血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aに供給する際は、第6の流路開閉手段86を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿は、落差(自重)により、チューブ46、49を経て、中間バッグ27a内に移送される。
【0123】
なお、本発明では、例えば、血漿採取バッグ25内の血漿を血小板採取バッグ26に供給するように構成してもよい。この場合は、第6の流路開閉手段86および第7の流路開閉手段87を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の濃厚血小板は、落差(自重)により、チューブ49、47、白血球除去フィルター261およびチューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送される。従って、チューブ47、48、49および白血球除去フィルター261により、遠心分離器20を迂回し、血漿採取バッグ25と血小板採取バッグ26とを接続する血漿供給ラインが構成される。
【0124】
また、本発明では、例えば、血漿採取バッグ25内の血漿を中間バッグ27aおよび血小板採取バッグ26に同時に供給するように構成してもよい。この場合は、チューブ46、47、48、49および白血球除去フィルター261により、遠心分離器20を迂回し、血漿採取バッグ25と、血小板採取バッグ26および中間バッグ27aとを接続する血漿供給ラインが構成される。
【0125】
また、白血球除去性能がより高いフィルターを用いる場合には、血漿を直接的に血小板採取バッグ26に供給してもよい。これらにより、濾過中でも量調整操作が可能となり、略すべてのタイミングで量調整することができる。
【0126】
次に、血液成分採取装置1の作用(動作)について説明する。
まず、血液成分採取装置1を用いた血小板採取操作(血液成分採取操作)を説明する。
【0127】
血液成分採取装置1は、制御部13の制御により、第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程と、返血工程(血液成分返還工程)とを有する血小板採取操作(血液成分採取操作)を行なうよう作動する。
【0128】
前記第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程とにより、血液成分採取工程が構成されており、この血液成分採取工程を行なうことにより、血漿採取バッグ25に血漿が採取され、中間バッグ27aに濃厚血小板が採取される。また、返血工程を行なうことにより、遠心分離器20のローター142の貯血空間146内に残存する血液成分(残りの血液成分)(主に、赤血球、白血球)は、遠心分離器20の流入口143から排出され、第1のライン21(採血針29)を介してドナーに返血(返還)される。この血液成分採取工程と返血工程とを有する血小板採取操作は、少なくとも1回行われる。
【0129】
本実施形態では、血小板採取操作を繰り返して複数回(第1サイクル〜第nサイクル、nは2以上の整数)行なうようになっている。
【0130】
なお、前記血小板採取操作は、回路構成は若干異なるが、例えば、特開2000−107279号公報等に記載されている方法を用いて行なうことができる。
【0131】
また、最終サイクルの血小板採取操作を行なうのに並行して、または、最終サイクルの血小板採取操作終了後、血液成分採取装置1は、制御部13の制御により、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作(濾過工程)を行なうよう構成されている。
【0132】
この濾過操作では、第7の流路開閉手段87を開放する。これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板は、落差(自重)により、チューブ46、47、白血球除去フィルター261およびチューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送される。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
【0133】
なお、濃厚血小板の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
【0134】
次に、量調整操作について、血小板採取操作のサイクル数が減少した場合であって、血小板数予測手段を用いたときを例に挙げ、前記濾過操作(濾過工程)およびライン洗浄操作(ライン洗浄工程)を含めて説明する。
【0135】
図3は、図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートであり、この図3には、血小板採取操作のサイクル数が減少した場合の量調整操作等における制御部13の制御動作が示されている。
【0136】
血液成分採取装置1において、血小板採取操作のサイクル数が減少すると、図3に示すプログラム(フローチャート)が実行(開始)される。
【0137】
このサイクル数の変更(減少)は、例えば、採血の途中でドナーの体調が悪くなったときや、ドナーの希望等により、必要に応じて、オペレータの操作によりなされる。なお、自動的に、サイクル数が変更されるように構成されていてもよいことは、言うまでもない。
【0138】
図3に示すように、まず、変更後のサイクル数での予測採取血小板数を演算で求める(ステップS101)。すなわち、最終的に採取される血小板の総数(または単位数)を予測する。
【0139】
ここで、遠心分離器20の貯血空間146から排出され、中間バッグ27aに採取(貯留)される濃厚血小板中の血小板の数は、リアルタイムで検出(算出)されている。この血小板の数は、濁度センサ14からの出力電圧(PC濃度電圧)、すなわち、濃厚血小板中の血小板の濃度と、第1の送液ポンプ11の回転回数、すなわち、中間バッグ27aへの濃厚血小板の採取量とに基づいて、算出される。
【0140】
そして、最終的に採取される血小板の総数は、現時点までに消化したサイクルで採取された血小板の数(採取済PLT数)に基づいて予測され、メモリーに記憶される。すなわち、最終的に採取される血小板の総数の予測値(予測血小板総数)PLT_Zは、下記(1)式から求める。
【0141】
PLT_Z(個)=[(採取済PLT数)+(設定cy数−動作済cy数)×(予測PLT数/設定cy)]×濾過回収率 ・・・(1)
但し、採取済PLT数(個):現時点までに採取された血小板の数
予測PLT数(個):採血開始前にドナーの血算と動作サイクル数とをオペレータが入力した時に計算される予測採取血小板数
設定cy数:全サイクル数
動作済cy数:現時点までに消化したサイクル数
濾過回収率:白血球除去フィルター261で生じるロスを考慮した回収率であり、中間バッグ27aから供給され、白血球除去フィルター261を経て、血小板採取バッグ26に回収される血小板製剤(濃厚血小板)の、中間バッグ27aから供給される濃厚血小板に対する比率(この値は、例えば、90%程度)
【0142】
次いで、目標血小板量を設定する(ステップS102)。
このステップS102では、血小板製剤の規格(製剤規格)に基づいて、前記PLT_Zに対応する血小板製剤の種類(5単位製剤、10単位製剤、15単位製剤、20単位製剤のうちのいずれか)を特定し、特定された血小板製剤に適合するように、血小板(血漿を含む血小板)の量を求め、その値を、最終的に採取すべき血小板(血漿を含む血小板)の量(目標血小板量)として設定する。これにより、目標血小板量は、血小板採取操作のサイクル数が変更される前の値から変更される。
ここで、血小板の「1単位」は、0.2×1011個である。
【0143】
また、血小板製剤としては、下記(1)〜(4)の4種類のものがある。
(1)5単位製剤
容量(量)が、100mL±20%、個数が、1.0×1011〜1.9×1011
(2)10単位製剤
容量(量)が、200mL±20%、個数が、2.0×1011〜2.9×1011
(3)15単位製剤
容量(量)が、250mL±20%、個数が、3.0×1011〜3.9×1011
(4)20単位製剤
容量(量)が、250mL±20%、個数が、4.0×1011個以上
【0144】
このように、各血小板製剤に適合する血小板の量は、それぞれ、所定の範囲を有しており、前記設定される目標血小板量は、特定された血小板製剤に適合する範囲内の値であれば、いくつに設定されてもよい。本実施形態では、例えば、特定された血小板製剤に適合する範囲の中間値等の所定の値(プリセット値)に設定される。
【0145】
なお、前記PLT_Zに対応する血小板製剤が存在しない場合は、前記ステップS102を実行せずに、このプログラムを終了する(図示せず)。この場合は、例えば、表示・操作部17に、前記PLT_Zに対応する血小板製剤が存在しない旨が表示されるようにしてもよい。
【0146】
次いで、血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aに供給する血漿の量を設定する(ステップS103)。
【0147】
このステップS103では、濾過操作およびライン洗浄操作が終了したときに、前記設定された目標血小板量に対して、どの程度の量の血小板(血漿を含む血小板)が不足するかを求め、その値を、血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aに供給する血漿の量(目標血漿量)として設定する。
【0148】
ここで、メモリーに記憶された、前記血小板の総数の予測値(予測血小板総数)PLT_Zと、最終的に採取する血小板の目標単位数(目標血小板単位数)の値と、前記目標血小板量の値とが、それぞれ書き換えられ、目標血小板単位数および目標血小板量が、それぞれ設定される。
【0149】
前記目標血小板単位数の初期値としては、前記PLT_Zに対応する血小板の単位数がメモリーに記憶され、表示・操作部17のドナー情報画面に表示される。
【0150】
また、前記目標血小板量の初期値としては、特定された血小板製剤に適合するプリセット値がメモリーに記憶され、表示・操作部17のドナー情報画面に表示される。
【0151】
これら目標血小板単位数の値および目標血小板量の値は、それぞれ、オペレータの操作により、変更することができるようになっている。
【0152】
次いで、血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aへ血漿を供給する血漿供給操作を行なう(ステップS104)。
【0153】
このステップS104では、まず、第6の流路開閉手段86を開放する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿は、落差(自重)により、チューブ46、49を経て(遠心分離器20を迂回して)、中間バッグ27a内に移送(供給)される。
【0154】
血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内から前記設定された目標血漿量の血漿が中間バッグ27aに移送(供給)されたか否か、すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿が前記設定された目標血漿量分減少したか否か判断し、血漿採取バッグ25内から前記設定された目標血漿量の血漿が中間バッグ27aに移送されたと判断した場合には、第6の流路開閉手段86を閉鎖する。
【0155】
これにより、血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aへ目標血漿量の血漿が供給される。
【0156】
なお、血漿の血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aへの移送は、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
【0157】
また、血漿供給操作(ステップS104)は、ライン洗浄操作(ステップS106)の後に行ってもよい。
【0158】
次いで、第7の流路開閉手段87を開放し、濾過操作を開始する(行なう)(ステップS105)。
【0159】
そして、気泡センサ33により空気が検出されたか否かを判断し(図示せず)、空気が検出されない場合には、濾過操作を継続し、空気が検出された場合には、第7の流路開閉手段87を閉鎖して濾過操作を終了し、ライン洗浄操作(ライン洗浄工程)を行なう(ステップS106)。ライン洗浄操作では、血漿採取バッグ25内から所定量の血漿を濾過ラインに供給し(濾過ラインへの血漿供給を行ない)、その血漿により濾過ラインを洗浄する。
【0160】
すなわち、ステップS106では、まず、第6の流路開閉手段86を開放してライン洗浄操作を開始する。第7の流路開閉手段87は閉鎖しており、第6の流路開閉手段86を開放すると、血漿採取バッグ25内の血漿は、落差(自重)により、チューブ49、46を経て、中間バッグ27a内に移送(供給)される。
【0161】
制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内から所定量の血漿が中間バッグ27aに移送されたか否か、すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿が所定量減少したか否かを判断し、血漿採取バッグ25内から所定量の血漿が中間バッグ27aに移送されたと判断した場合には、第6の流路開閉手段86を閉塞するとともに第7の流路開閉手段87を開放する。これにより、中間バッグ27a内の血漿は、落差(自重)により、チューブ46、47、白血球除去フィルター261、チューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送され、貯留される。
【0162】
この際、白血球除去フィルター261内およびチューブ48の流路内に残留する血小板(白血球を分離除去した後の濃厚血小板)は、血漿とともに血小板採取バッグ26内に回収されるので、濾過による血小板の損失を抑えることができる。
【0163】
しかも、一旦、血漿を中間バッグ27aに供給することにより、中間バッグ27a内、チューブ46、47の流路内に残留する濃厚血小板は白血球除去フィルター261を介して回収される(洗い出される)ので、血小板の損失をより小さくすることができる。
【0164】
なお、血漿の血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aへの移送、血漿の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、それぞれ、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
【0165】
次いで、気泡センサ33により空気が検出されたか否かを判断し、空気が検出されると、ライン洗浄操作が終了する。これにより、別途行われる血小板採取操作が終了している時、オペレータは、血小板採取回路2を取り外すことが可能となる。ライン洗浄操作の終了後も第7の流路開閉手段87は開放状態を保ち、落差により血小板が血小板採取バッグ26に回収される。
【0166】
なお、本発明では、量調整操作は、血小板採取操作のサイクル数が減少した場合に限らず、例えば、サイクル数が増加した場合、サイクル数が変更されない場合等に行なわれるようになっていてもよい。すなわち、本発明では、量調整操作がどのような場合に行なわれるかは、何ら限定されるものではない。
【0167】
また、量調整操作は、ライン洗浄工程の前後のどちらに行ってもよく、また、ライン洗浄工程の一部として行ってもよい。
【0168】
また、採取される血小板数を予測せずに、血小板を採取し終えた後に、計測された血小板数に基づいて量調整操作を行ってもよい。
【0169】
また、血小板採取操作は、複数回行なう場合に限定されず、例えば、1回のみ行なってもよい。
【0170】
また、血液成分採取回路2の構成も、適宜設定可能であり、図示の構成に限定されない。
【0171】
以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、血漿を添加することにより血小板採取バッグ26に採取される血小板製剤の量(総量)を調整する量調整操作を行なう量調整手段を有しているので、その量調整操作を自動的に行なうことができる。これにより、血小板製剤の総量が製剤規格に対し過剰になることや不足することを防止することができる。すなわち、製剤規格に適合した量の血小板製剤を採取することができる(血漿量不足による単位割れを防止することができる)。
【0172】
特に、血漿供給ラインが遠心分離器20を迂回しているので、例えば、返血中や、血漿や濃厚血小板を採取している際等、遠心分離器20が使用されている期間であっても量調整操作を行なうことができる。すなわち、略すべての期間において、量調整操作を自動的に行なうことができる。これにより、容易かつ確実に、製剤規格に適合した量の血小板製剤を採取することができる。
【0173】
また、設定された血小板採取操作のサイクル数を減少させても、略すべての期間において量調整操作を行なうことができ、これにより、採取した血小板(血小板の数)を無駄にすることなく、容易かつ確実に、製剤規格に適合した量の血小板製剤を採取することができる。
【0174】
そして、この血液成分採取装置1では、血液より分離、採取された濃厚血小板中から、白血球除去フィルター261により白血球を分離除去するため、白血球の混入が極めて低い血小板製剤を得ることができる。
【0175】
以上、本発明の血液成分採取装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
【0176】
また、本発明では、図4に示すように、血液成分採取装置1における中間バッグ(第2のバッグ)27aや白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)261を省略してもよい。この血液成分採取装置1では、遠心分離器20を迂回して、血漿採取バッグ25内の血漿を血小板採取バッグ(第1のバッグ)26に供給することにより、血小板採取バッグ26に採取される血小板製剤(血漿を含む血小板)の量を調整する。
【0177】
また、本発明の血液成分採取装置は、血小板製剤や血漿製剤(または血漿分画製剤の原料血漿)を得るのに適用する場合に限らず、例えば、血液中から、赤血球製剤、白血球製剤等を得る場合に適用してもよい。すなわち、本発明の血液成分採取装置では、第1のバッグや第2のバッグに採取される血液成分は、血漿を含む血小板に限らず、例えば、血漿を含む赤血球、血漿を含む白血球等であってもよい。
【0178】
また、本発明では、細胞分離フィルター(濾過器)により分離除去する細胞も、白血球に限定されない。
【0179】
また、本発明の血液成分採取装置の方式は、間歇式に限らず、例えば、連続式であってもよい。
【0180】
また、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図である。
【図3】図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の血液成分採取装置の他の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0182】
1 血液成分採取装置
2 血液成分採取回路
10 遠心分離器駆動装置
11 第1の送液ポンプ
12 第2の送液ポンプ
13 制御部
14 濁度センサ
15 光学式センサ
151 投光部
152 受光部
153 反射板
16 重量センサ
17 表示・操作部
20 遠心分離器
21 第1のライン
21a 採血針側第1ライン
21b 遠心分離器側第1ライン
21c 分岐コネクター
21d チャンバー
21f 分岐コネクター
21g ポンプチューブ
21h チューブ
21i フィルター
22 第2のライン
22b 分岐コネクター
22c 分岐コネクター
22d 分岐コネクター
22e 分岐コネクター
22f フィルター
22g 分岐コネクター
22h フィルター
23 第3のライン
23a ポンプチューブ
23b 除菌フィルター
23c 気泡除去用チャンバー
23d 抗凝固剤容器接続用針
25 血漿採取バッグ
26 血小板採取バッグ
261 白血球除去フィルター
27a 中間バッグ
27b エアーバッグ
28 バッグ
29 採血針
31〜36 気泡センサ
41〜51 チューブ
81〜87 第1〜第7の流路開閉手段
131 血漿層
132 バフィーコート層
133 赤血球層
141 管体
142 ローター
143 流入口
144 排出口
145 上部
146 貯血空間
147 反射面
153 反射板
201 ハウジング
202 脚部
203 モータ
204 回転軸
205 固定台
206 ボルト
207 スペーサー
S101〜S106 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された血漿を採取する血漿採取バッグと、
前記遠心分離器により分離された血漿を含む所定の血液成分を採取する第1のバッグとを備える血液成分採取回路を有し、
採取した血液を遠心分離し、血漿および前記血漿を含む所定の血液成分を採取して、残りの血液成分を前記供血者に返還する血液成分採取装置であって、
前記遠心分離器を迂回し、前記血漿採取バッグと前記第1のバッグとを接続する血漿供給ラインと、
前記血漿供給ラインを経由して、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記第1のバッグに供給することにより、前記第1のバッグに採取される前記血漿を含む所定の血液成分の量を調整する量調整手段とを有することを特徴とする血液成分採取装置。
【請求項2】
供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された血漿を採取する血漿採取バッグと、
前記遠心分離器により分離された血漿を含む所定の血液成分中から所定の細胞を分離除去する細胞分離フィルターと、
前記細胞分離フィルター内を通過した後の前記血漿を含む所定の血液成分を貯留する第1のバッグと、
前記遠心分離器により分離され、前記細胞分離フィルターを通過する前の前記血漿を含む所定の血液成分を一時的に貯留する第2のバッグとを備える血小板採取回路を有し、
採取した血液を遠心分離し、血漿および前記血漿を含む所定の血液成分を採取して、残りの血液成分を前記供血者に返還するとともに、前記第2のバッグへ一時的に貯留された前記血漿を含む所定の血液成分を前記細胞分離フィルターへ供給し、該細胞分離フィルターにより、前記血漿を含む所定の血液成分中から所定の細胞を分離除去する濾過操作を行なう血小板採取装置であって、
前記遠心分離器を迂回し、前記血漿採取バッグと、前記第1のバッグおよび前記第2のバッグの少なくとも一方とを接続する血漿供給ラインと、
前記血漿供給ラインを経由して、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記第1のバッグおよび前記第2のバッグの少なくとも一方に供給することにより、前記第1のバッグに採取される前記血漿を含む所定の血液成分の量を調整する量調整操作を行なう量調整手段とを有することを特徴とする血液成分採取装置。
【請求項3】
前記量調整操作における前記血漿の供給は、前記第2のバッグに対してなされる請求項2に記載の血液成分採取装置。
【請求項4】
前記量調整操作における前記血漿の供給は、前記濾過操作の前に行なわれる請求項2または3に記載の血液成分採取装置。
【請求項5】
前記濾過操作が開始された後に、前記量調整操作を行なう場合は、前記濾過操作を中断して前記量調整操作を行なう請求項2ないし4のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項6】
前記量調整操作における前記血漿の供給は、前記第2のバッグへの前記血漿を含む所定の血液成分の採取が終了した後に行なわれる請求項2ないし5のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項7】
当該血液成分採取装置は、採取した血液を遠心分離し、血漿および前記血漿を含む所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、残りの血液成分を返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を少なくとも1サイクル行なうものである請求項1ないし6のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項8】
前記量調整操作は、少なくとも前記血液成分採取操作のサイクル数が減少した場合に行なわれる請求項7に記載の血液成分採取装置。
【請求項9】
前記量調整手段は、最終的に採取される前記所定の血液成分の総数を予測する予測手段と、
前記予測手段の予測結果に基づいて、前記量調整操作において供給する血漿の量を決定する供給量決定手段とを有する請求項1ないし8のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項10】
前記量調整操作における前記血漿の供給は、落差によりなされる請求項1ないし9のいずれかに記載の血液成分採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−109978(P2006−109978A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298765(P2004−298765)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】