説明

血液成分採取装置

【課題】採血・返血ラインが、該ライン内の気体および液体を検出する所定の検出手段に正しく装着されているかどうかを自動的に判断することができる血液成分採取装置を提供すること。
【解決手段】本発明の血液成分採取装置1は、採血・返血ライン21を装着する気泡センサ35、36と、抗凝固剤注入ライン23を装着する気泡センサ31を備える。採血の開始に先立って抗凝固剤送液ポンプ12の作動により抗凝固剤注入ライン23の他端から抗凝固剤を注入して採血・返血ライン21の一部と抗凝固剤注入ライン23とに該抗凝固剤を充填するプライミング動作を行った際、気泡センサ31が抗凝固剤を検出した時点からの抗凝固剤送液ポンプ12の送液量が第1の所定量に到達する前に気泡センサ35または36が抗凝固剤を検出した場合、抗凝固剤注入ライン23が気泡センサ35、36に誤って装着されているものと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液成分採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
採血を行う場合、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者(ドナー)に返還する成分採血が行われている。
【0003】
このような成分採血において、例えば血小板製剤を得る場合、供血者から採血した血液を血液成分採取回路に導入し、該血液成分採取回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、バフィーコートおよび赤血球に分離し、その内のバフィーコートから血小板(所定の血液成分)を分離し、容器に回収して血小板製剤とし、残りの血漿、白血球および赤血球は、供血者に返血することが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
成分採血に用いられる装置には、返血の際に供血者の体内に気泡を注入するのを防止するために採血・返血ライン内の気泡を検出する気泡センサや、採血・返血ラインに抗凝固剤を注入する抗凝固剤注入ラインに抗凝固剤が供給されたことを確認するための気泡センサ等の、気体および液体を検出する検出手段が複数個所に設けられている。血液成分採取回路は使い捨てであるので、新たな供血者に対して採血を行う際には、新しい血液成分採取回路を装置本体にセットし、所定のラインのチューブをこれらの気泡センサに装着する作業を行う。
【0005】
しかしながら、各気泡センサに所定のラインのチューブを装着する際、オペレーター(看護士)の錯誤により、採血・返血ラインのチューブを装着すべき気泡センサに、誤って抗凝固剤注入ラインのチューブを装着してしまうことがある。この装着間違いに気付かないまま、採血および返血を行うと、返血中の気泡を検出できずに見逃してしまい、供血者の体内に気泡を注入するおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特表平8−509403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、採血・返血ラインが、該ライン内の気体および液体を検出する所定の検出手段に正しく装着されているかどうかを自動的に判断することができる血液成分採取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。また、下記(10)〜(12)であるのが好ましい。
【0009】
(1) 供血者から採取した血液を遠心分離し、所定の血液成分を採取して、残りの血液成分を該供血者に返還する血液成分採取装置であって、
供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグと、
前記採血手段と前記遠心分離器とを接続する採血・返血ラインと、
前記採血・返血ラインの途中に一端が接続された抗凝固剤注入ラインとを有する血液成分採取回路と、
前記抗凝固剤注入ラインの抗凝固剤を送液する抗凝固剤送液ポンプと、
前記採血・返血ラインに装着され、該採血・返血ライン内の気体および液体を検出する第1の検出手段と、
前記抗凝固剤送液ポンプの作動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、採血の開始に先立って前記抗凝固剤注入ラインの他端から抗凝固剤を送液したときに、前記第1の検出手段により該抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されているかどうかを判断することを特徴とする血液成分採取装置。
【0010】
(2) 前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段に誤って装着されているものと判断する上記(1)に記載の血液成分採取装置。
【0011】
(3) 前記制御部は、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段に誤って装着されたものと判断したとき、前記抗凝固剤送液ポンプの作動を停止する上記(2)に記載の血液成分採取装置。
【0012】
(4) 前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達しても前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記抗凝固剤の送液を継続し、前記抗凝固剤の送液量が前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量に到達する前に前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されているものと判断する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0013】
(5) 前記制御部は、前記抗凝固剤の送液量が前記第2の所定量に到達しても前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されていないものと判断する上記(4)に記載の血液成分採取装置。
【0014】
(6) さらに、前記採血・返血ラインに装着された前記第1の検出手段よりも前記遠心分離器側に装着され、該採血・返血ライン内の気体および液体を検出する第2の検出手段を備え、
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段および/または前記第2の検出手段に誤って装着されているものと判断する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0015】
(7) さらに、前記抗凝固剤注入ラインに装着され、該抗凝固剤注入ライン内の気体および液体を検出する第3の検出手段を備え、
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記第3の検出手段により前記抗凝固剤を検出してから前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤の送液量によって、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されているかどうかを判断する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0016】
(8) 前記制御部は、前記第3の検出手段により前記抗凝固剤を検出してから前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段に誤って装着されているものと判断する上記(7)に記載の血液成分採取装置。
【0017】
(9) さらに、前記採血・返血ラインに装着された前記第1の検出手段よりも前記遠心分離器側に装着され、該採血・返血ライン内の気体および液体を検出する第2の検出手段と、
前記抗凝固剤注入ラインに装着され、該抗凝固剤注入ライン内の気体および液体を検出する第3の検出手段とを備え、
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記第3の検出手段により前記抗凝固剤を検出してから前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段および/または前記第2の検出手段に誤って装着されているものと判断する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0018】
(10) 前記制御部は、前記抗凝固剤の送液量が前記第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合には、前記抗凝固剤送液ポンプの作動を停止する上記(6)に記載の血液成分採取装置。
【0019】
(11) 前記制御部は、前記抗凝固剤の送液量が前記第1の所定量に到達しても前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記抗凝固剤の送液を継続し、前記抗凝固剤の送液量が前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量に到達する前に前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段および/または前記第2の検出手段に装着されているものと判断する上記(6)に記載の血液成分採取装置。
【0020】
(12) 前記制御部は、前記抗凝固剤の送液量が前記第1の所定量に到達しても前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記抗凝固剤の送液を継続し、前記抗凝固剤の送液量が前記第2の所定量に到達しても前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段および前記第2の検出手段に装着されていないものと判断する上記(6)に記載の血液成分採取装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、採血・返血ラインが、該ライン内の気体および液体を検出する所定の検出手段に正しく装着されているかどうかを自動的に判断することができる。よって、採血・返血ラインが所定の検出手段に装着されていない場合には、オペレーターに知らせて正しく装着し直させることができるので、安全に血液成分採取装置を使用することができる。
【0022】
特に、採血・返血ラインが所定の検出手段に装着されているかどうかを、供血者から採血を開始する前の段階であるプライミング動作時に検知することができるので、極めて安全性が高く、また、操作性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の血液成分採取装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す血液成分採取装置における血液成分採取回路を展開して示す図、図3は、図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図である。
【0025】
図1および図2に示す血液成分採取装置1は、血液を複数の血液成分に分離するとともに分離された血液成分を採取するための装置である。この血液成分採取装置1は、装置本体3と、装置本体3に対して着脱自在に設けられる血液成分採取回路(採取回路)2とを備えている。
【0026】
図2に示すように、血液成分採取回路2は、内部に貯血空間146を有するローター142と、貯血空間146に連通する流入口143および排出口(流出口)144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間146内で遠心分離する遠心分離器20と、採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続する採血・返血ライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された採取バッグ側ライン22と、採血・返血ライン21に接続された抗凝固剤注入ライン23と、チューブ49および50を介して採血・返血ライン21に接続され、かつチューブ43および44を介して採取バッグ側ライン22に接続された血漿採取バッグ25と、チューブ42を介して採取バッグ側ライン22に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43および45を介して採取バッグ側ライン22に接続された中間バッグ(一時貯留バッグ)27aと、チューブ46、47および48を介して中間バッグ27aに接続された血小板採取バッグ26と、チューブ51を介して血小板採取バッグ26に接続されたバッグ28とを有している。
【0027】
また、装置本体3は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、採血・返血ライン21のための第1の送液ポンプ11と、抗凝固剤注入ライン23のための第2の送液ポンプ(抗凝固剤送液ポンプ)12と、血液成分採取回路2の流路の途中を開閉し得る複数(本実施形態では、第1〜第7の7個)の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜87を制御するための制御部(制御手段)13と、濁度センサ(血小板濃度センサ)14と、光学式センサ15と、重量センサ16と、複数(本実施形態では、6個)の気泡センサ31、32、33、34、35、36とを備えている。
【0028】
血液成分採取回路2は、供血者(ドナー)から血液を採取する採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備える採血・返血ライン21と、一端側が遠心分離器20の排出口(流出口)144に接続された採取バッグ側ライン22と、採血・返血ライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える抗凝固剤注入ライン23と、採血・返血ライン21のポンプチューブ21gより採血針29側に接続されたチューブ50と、チューブ50に接続されたチューブ49と、採取バッグ側ライン22に接続されたチューブ43と、チューブ43に接続されたチューブ44と、チューブ44および49に接続された血漿採取バッグ25と、採取バッグ側ライン22に接続されたチューブ42と、チューブ42に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43に接続されたチューブ45と、チューブ45に接続された中間バッグ27aと、中間バッグ27aに接続されたチューブ46と、チューブ46に接続されたチューブ47と、チューブ48と、チューブ48に接続された血小板採取バッグ26と、血小板採取バッグ26に接続されたチューブ51と、チューブ51に接続されたバッグ28とを備えている。エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
【0029】
採血・返血ライン21は、採血針29が接続された採血針側ライン21aと、一端側が採血針側ライン21aに接続され、他端側が遠心分離器20の流入口143に接続された遠心分離器側ライン21bとを有している。採血針29としては、例えば、公知の金属針が使用される。
【0030】
この採血針側ライン21a、遠心分離器側ライン21b、後述する採取バッグ側ライン22、抗凝固剤注入ライン23は、それぞれ、軟質樹脂製チューブ、または、その軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。
【0031】
採血針側ライン21aは、採血針29側より、抗凝固剤注入ライン23との接続用分岐コネクター21cと、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dと、チューブ50との接続用分岐コネクター21fとを備えている。
【0032】
また、採血針側ライン21aのチューブには、装置本体3に設置された気泡センサ35(第1の検出手段)、気泡センサ36(第2の検出手段)、および気泡センサ32が、採血針29側よりこの順で装着される。この場合、気泡センサ35および36は、分岐コネクター21cとチャンバー21dとの間に配置され、気泡センサ32は、チャンバー21dと分岐コネクター21fとの間に配置される。
【0033】
図1に示すように、気泡センサ35および36は、装置本体3の前面に上下に並んで設置されている。気泡センサ32は、装置本体3の上面の手前側に、気泡センサ31と並んで設置されている。
【0034】
これらの気泡センサ35、36および32は、円柱が溝を介して縦半分に分割されたような形状をなしたハウジングと、このハウジングの溝を挟んで一方側に設けられた超音波送信部と、他方側に設けられた超音波受信部とを有している。そして、ハウジングの溝にチューブを挿入すると、チューブが溝に保持(挟持)され、チューブが超音波送信部および超音波受信部に密着するように構成されている。気泡センサ35、36および32は、チューブの外側から超音波を送受信し、液体と気泡とで超音波の透過率が異なるのを利用して、チューブ内の気体および液体(気/液の別)を検出することができる。よって、各気泡センサは、プライミング時などに液体が到達したかどうかや、チューブ内の気泡の有無などを検出することができる。
【0035】
血液成分採取装置1では、気泡センサ35、36を設けたことにより、返血の際、供血者の体内に気泡を注入しないように採血針側ライン21a内の気泡の有無を監視することができる。特に、本実施形態では、気泡センサ35および36の二つの気泡センサを設けたことにより、ダブルチェックを行うことができ、より精確に採血針側ライン21a内の気泡の有無を監視することができる。
【0036】
なお、気泡センサ31、33および34も、上記と同様の機能を有している。また、本発明では、気泡センサとしては、上記超音波式センサに限らず、光学式センサ、赤外線センサ等を用いてもよい。
【0037】
図2に示すように、チャンバー21dには、チューブ21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
【0038】
一方、遠心分離器側ライン21bは、チューブ50との接続用分岐コネクター21fに接続されており、その途中に形成された第1のポンプチューブ21gを有している。
【0039】
採取バッグ側ライン22は、その一端側が遠心分離器20の排出口144に接続されている。この採取バッグ側ライン22は、チューブ42および43との接続用分岐コネクター22bとを備えている。
【0040】
また、採取バッグ側ライン22には、遠心分離器20側より、濁度センサ14および気泡センサ34が装着される。濁度センサ14および気泡センサ34は、装置本体3においては上面の手前側にまとめて設置されており(図1参照)、回路上では遠心分離器20と分岐コネクター22bとの間に配置される。
【0041】
また、分岐コネクター22bには、チューブ41を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター22fが接続されている。このラインは、例えば、採取バッグ側ライン22の内圧の検出等に用いることができる。
【0042】
抗凝固剤注入ライン23は、その一端が採血・返血ライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。すなわち、抗凝固剤注入ライン23は、分岐コネクター(分岐部)21cを介して採血・返血ライン21から分岐している。また、分岐コネクター21cは、採血針29の近傍に位置している(設けられている)。
【0043】
この抗凝固剤注入ライン23は、分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23aと、除菌フィルター(異物除去用フィルター)23bと、気泡除去用チャンバー23cと、抗凝固剤容器接続用針23dとを備えている。
【0044】
また、抗凝固剤注入ライン23のチューブには、気泡センサ31(第3の検出手段)が装着される。この気泡センサ31は、装置本体3においては前述したように気泡センサ32と並んで設置されており、回路上では分岐コネクター21cと第2のポンプチューブ23aとの間に配置される。
【0045】
この抗凝固剤注入ライン23の抗凝固剤容器接続用針23dは、抗凝固剤(抗凝固剤液)が収納(収容)されたバッグ(容器)61に接続され、これにより、容器内の抗凝固剤は、後述するように、抗凝固剤容器接続用針23dから分岐コネクター21cに向かって抗凝固剤注入ライン23を流れ、採血針側ライン21aに供給(注入)される。これにより、例えば、抗凝固剤注入ライン23を介して、採血針29により採取された血液に抗凝固剤を添加(混合)することができる。
【0046】
なお、抗凝固剤としては、特に限定されないが、例えば、ACD−A液等を用いることができる。
【0047】
血液成分採取バッグである血漿採取バッグ25は、血漿を採取(貯留)するための容器である。チューブ49の一端は、この血漿採取バッグ25に接続され、その途中に接続用分岐コネクター22dが設けられている。そして、チューブ50の一端は、この分岐コネクター22dに接続され、他端は、分岐コネクター21fに接続されている。
【0048】
また、チューブ43の一端は、分岐コネクター22bに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22cが設けられている。そして、チューブ44の一端は、この分岐コネクター22cに接続され、他端は、血漿採取バッグ25に接続されている。
【0049】
また、チューブ46の途中には、気泡センサ33が装着される。気泡センサ33は、装置本体3においては、上面の奥側に設置されている(図1参照)。
【0050】
なお、血漿採取バッグ25、チューブ43および44により、血漿を採取する血漿採取用分岐ラインが構成されている。
【0051】
血液成分採取バッグである血小板(血小板製剤)採取バッグ26は、後述する白血球除去フィルター261を通過した後の血小板を含む血漿を採取(貯留)するための容器である。なお、以下の説明では、血小板を含む血漿を、「濃厚血小板」と言い、血小板採取バッグ26内に採取(貯留)された濃厚血小板を、「血小板製剤」と言う。
【0052】
チューブ51の一端は、この血小板採取バッグ26に接続され、その他端にはバッグ28が接続されている。
【0053】
エアーバッグ27bは、空気(エアー)を一時的に収納(貯留)するための容器である。
【0054】
後述する採血の際は、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納される。そして、返血工程(血液成分返還工程)の際、エアーバッグ27b内に収納されている空気は、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻される。これにより、所定の血液成分が、供血者へ返還される。
【0055】
チューブ42の一端は、分岐コネクター22bに接続され、他端は、このエアーバッグ27bに接続されている。
【0056】
血液成分採取バッグである中間バッグ(一時貯留バッグ)(第1の容器)27aは、濃厚血小板(第1の血液成分)を採取(一時的に貯留)するための容器(貯留部)である。チューブ45の一端は、分岐コネクター22cに接続され、他端は、この中間バッグ27aに接続されている。
【0057】
また、チューブ46の一端は、この中間バッグ27aに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22eが設けられている。前記チューブ49の他端は、この分岐コネクター22eに接続されている。
【0058】
また、接続用分岐コネクター22eには、チューブ47の一端が接続され、このチューブ47の途中には、濃厚血小板中から白血球(所定の細胞)を分離除去する白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)(濾過器)261が設置されている。
【0059】
また、チューブ47の他端には、接続用分岐コネクター22gが設けらており、一端が前記血小板採取バッグ26に接続されたチューブ48の他端が、この分岐コネクター22gに接続されている。
【0060】
また、分岐コネクター22gのポートには、ベントフィルターが設けられたフィルター本体およびキャップを備えたフィルター22hが設置されている。
【0061】
ここで、チューブ46および47は、中間バッグ27aから白血球除去フィルター261に濃厚血小板を供給する供給用チューブを構成し、また、チューブ48は、白血球除去フィルター261から白血球を分離除去した後の濃厚血小板を排出する(血小板採取バッグ26に供給する)排出用チューブを構成する。
【0062】
すなわち、チューブ46、47、48、中間バッグ27a、白血球除去フィルター261および血小板採取バッグ26により、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過ラインが構成されている。
【0063】
血液成分採取装置1を組み立てた状態で(血液成分採取装置1を使用する際)、これらの中間バッグ27a、白血球除去フィルター261、血小板採取バッグ26および血漿採取バッグ25は、それぞれ、中間バッグ27aが血漿採取バッグ25より低い位置(鉛直方向下方)に、白血球除去フィルター261が中間バッグ27aより低い位置に、さらに、血小板採取バッグ26が白血球除去フィルター261より低い位置にセットされる(位置する)。そして、中間バッグ27aおよび血漿採取バッグ25は、それぞれ、遠心分離器20のローター142の貯血空間146より高い位置(鉛直方向上方)に位置する。
【0064】
この場合、装置本体3には、血漿採取バッグ25と、中間バッグ27aおよびエアーバッグ27bと、バッグ61とを着脱自在に支持する支持部であるハンガー(フック)301、302および303が、それぞれ、設けられている。
【0065】
また、白血球除去フィルター261としては、例えば、両端に流入口および排出口を有するケーシング内に、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂よりなる織布、不織布、メッシュ、発泡体等の多孔質体を1層または2層以上積層した濾過部材を挿入して構成したもの等を用いることができる。
【0066】
上述した第1〜抗凝固剤注入ライン21〜23の形成に使用される各チューブ、各ポンプチューブ21g、23a、さらに、その他の各チューブ41〜51、21hの構成材料としては、それぞれ、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0067】
これらのチューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
【0068】
また、上述した各分岐コネクター21c、21f、22b、22c、22d、22e、22gの構成材料についても、それぞれ、前記チューブで挙げた構成材料と同様のものを用いることができる。
【0069】
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、それぞれ、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12により押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
【0070】
血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26、中間バッグ27a、エアーバッグ27b、バッグ28および61は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。なお、前述したように、エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
【0071】
各バッグ25、26、27a、27b、28、61に使用される材料としては、それぞれ、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
【0072】
なお、血小板採取バッグ26に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。
【0073】
このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。
【0074】
このような血液成分採取回路2の主要部分は、例えば、カセット式となっている。すなわち、血液成分採取回路2は、各ライン(採血・返血ライン21、採取バッグ側ライン22、抗凝固剤注入ライン23)および所定の各チューブを部分的に収納し、かつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジング70を備えている。
【0075】
このカセットハウジング70には、第1のポンプチューブ21gの両端および第2のポンプチューブ23aの両端が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジング70より、各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1および第2のポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。また、このカセットハウジング70には、後述する各流路開閉手段81〜87が挿入可能な孔(開口)が形成されている。
【0076】
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を複数の血液成分に分離する。
【0077】
遠心分離器20は、図3に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の回りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とを有している。
【0078】
ローター142には、その周壁内面に沿って環状の貯血空間146が形成されている。この貯血空間146は、図3中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ローター142の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体141の下端開口に連通し、その上部は、排出口(流出口)144に連通している。また、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされ、ローター142の回転軸からの最大内径(最大半径)は、例えば、55〜65mm程度とされる。
【0079】
このようなローター142は、装置本体3に搭載された遠心分離器駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
【0080】
本実施形態では、図3に示すように、血液がローター142の貯血空間146内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
【0081】
血液成分採取装置1の装置本体3は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、採血・返血ライン21の途中に設置された第1の送液ポンプ11と、抗凝固剤注入ライン23の途中に設置された第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2(採血・返血ライン21、チューブ42、チューブ44、チューブ45、チューブ47、チューブ49、チューブ50)の流路の途中を開閉し得る複数の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87と、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)および各操作を行なう操作手段である表示・操作部17と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、複数の流路開閉手段81〜87および表示・操作部17を制御するための制御部(制御手段)13とを備えている。
【0082】
さらに、血液成分採取装置1の装置本体3は、採取バッグ側ライン22に装着(設置)された濁度センサ14と、遠心分離器20の近傍に設置された光学式センサ15と、複数の気泡センサ31〜36と、血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと重量測定するための重量センサ16とを備えている。
【0083】
制御部13は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部13と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されている。
【0084】
遠心分離器駆動装置10が備える駆動コントローラ(図示せず)は、制御部13と電気的に接続されている。
【0085】
各流路開閉手段81〜87は、それぞれ、制御部13に電気的に接続されている。
また、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、表示・操作部17は、それぞれ、制御部13と電気的に接続されている。
【0086】
制御部13は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御部13には、上述した濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36からの検出信号が、それぞれ、随時入力される。また、表示・操作部17からの信号(入力)も、制御部13に入力される。
【0087】
制御部13は、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36からの検出信号および表示・操作部17からの信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の各部の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段81〜87の開閉、遠心分離器駆動装置10の作動および表示・操作部17の駆動をそれぞれ制御する。
【0088】
また、制御部13は、第2の送液ポンプ12の作動量に基づいて、抗凝固剤の送液量を計測する機能を有している。装置本体3には、第2の送液ポンプ12の回転量を検出するロータリーエンコーダ(図示せず)が設置されており、制御部13は、検出された第2の送液ポンプ12の回転量と、既知であるポンプチューブ23aの内径とに基づき、第2の送液ポンプ12の送液量を計測(算出)することができる。なお、遠心分離器駆動装置10のモータ203をパルスモータで構成した場合には、その駆動パルス数によって第2の送液ポンプ12の回転量を検出するようにしてもよい。
【0089】
第1の流路開閉手段81は、第1のポンプチューブ21gより採血針29側、すなわち、分岐コネクター21fとチャンバー21dとの間において採血・返血ライン21を開閉するために設けられている。
【0090】
第2の流路開閉手段82は、チューブ50を開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、チューブ44を開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、チューブ45を開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、チューブ42を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、チューブ49を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、チューブ47を開閉するために設けられている。
【0091】
各流路開閉手段81〜87は、それぞれ、採血・返血ライン21、チューブ50、44、45、42、49、47を挿入可能な挿入部を備え、該挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有している。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
【0092】
これらの流路開閉手段(クランプ)81〜87は、それぞれ、制御部13からの信号に基づいて作動する。
【0093】
表示・操作部17は、例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えたタッチパネル等で構成される。
【0094】
なお、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)である表示部(例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等)と、各操作を行なう操作手段である操作部(例えば、操作ボタン、操作スイッチ、操作ダイヤル等)とを、別個に設けてもよい。
【0095】
遠心分離器駆動装置10は、図3に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング201と、脚部202と、駆動源であるモータ203と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台205とを有している。
【0096】
ハウジング201は、脚部202の上部に載置、固定されている。また、ハウジング201の下面には、ボルト206によりスペーサー207を介してモータ203が固定されている。
【0097】
モータ203の回転軸204の先端部には、固定台205が回転軸204と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台205の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
【0098】
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング201に固定されている。
【0099】
このような遠心分離器駆動装置10では、モータ203を駆動すると、固定台205およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpm程度で回転する。
【0100】
ハウジング201には、その側部(図3中、左側)に光学式センサ15が設置されている。
【0101】
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
【0102】
光学式センサ15は、投光部151から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面147で反射された反射光を受光部152で受光する。そして、受光部152においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
【0103】
ここで、光学式センサ15は、片面に反射面を有し、光路を変更する反射板153を有しており、投光部151から照射された光は、反射板153を介して反射面147に照射され、反射面147で反射した光は、反射板153を介して受光部152で受光されるように構成されている。
【0104】
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層131とバフィーコート層132との界面B)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部152での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部152からの出力電圧の変化として検出することができる。
【0105】
すなわち、光学式センサ15は、受光部152での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
【0106】
なお、光学式センサ15が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層132と赤血球層133との界面であってもよい。
【0107】
ここで、貯血空間146内の各層131〜133は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、特に、赤血球層133は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
【0108】
濁度センサ14は、採取バッグ側ライン22中を流れる流体の濁度(血小板の濃度)を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度センサ14は、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
【0109】
この濁度センサ14により、例えば、採取バッグ側ライン22中を流れる血漿中の血小板濃度、血漿中の血小板濃度の変化、血漿中への赤血球の混入等を検出することができる。濁度センサ14としては、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。
【0110】
また、気泡センサ34により、例えば、採取バッグ側ライン22中を流れる流体の空気から血漿への置換等を検出することができる。
【0111】
第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11、および、第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、それぞれ、例えば、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適に用いられる。
【0112】
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
【0113】
さて、このような血液成分採取装置1を用いて供血者から採血を行う際には、新しい血液成分採取回路2を装置本体3に装着するが、このとき、気泡センサ31〜36には、それぞれ、前述したような所定のラインのチューブを正しく装着する必要がある。
【0114】
しかしながら、オペレーター(看護士)の錯誤により、採血・返血ライン21(採血針側ライン21a)を装着すべき気泡センサ35、36に、誤って抗凝固剤注入ライン23のチューブが装着されてしまう場合がある。
【0115】
図4は、上記のような誤装着(以下、単に「チューブ誤装着」とも言う)が起きた場合における血液成分採取回路を展開して示す図である。同図に示すように、チューブ誤装着が起きた場合、抗凝固剤注入ライン23には、気泡センサ31の分岐コネクター21c側に連続して気泡センサ35、36が装着された状態となる。
【0116】
気泡センサ35、36は、返血の際、供血者の体内に気泡を注入しないように採血針側ライン21a内の気泡の有無を監視するという重要な役目を果たすが、チューブ誤装着の状態のままで後述するような血液成分採取操作を行うと、その役目を果たせない。
【0117】
そこで、本発明の血液成分採取装置1では、供血者からの採血を開始する前(供血者の血管に採血針29を穿刺する前)のプライミング動作の際に、チューブ誤装着を検知し、誤装着が起きている場合にはオペレーターにその旨を報知するようにした。
【0118】
図5は、プライミング動作時にチューブ誤装着を検知する際の制御部13のフローチャートである。以下、同図に基づいて、制御部13がチューブ誤装着を検知する際の制御について説明する。
【0119】
プライミング動作では、バッグ61内の抗凝固剤を、抗凝固剤注入ライン23の全部と、採血・返血ライン21の採血針29からチャンバー21dまでとに充填する。表示・操作部17に表示されたプライミング開始ボタンをオペレーターが押下すると、プライミング動作が開始され、第2の送液ポンプ12が回転を開始する(ステップS001)。これにより、バッグ61内の抗凝固剤が抗凝固剤注入ライン23に抗凝固剤容器接続用針23d側より注入されていき、抗凝固剤の先端の気液分離面は、抗凝固剤容器接続用針23d側から分岐コネクター21c側へ向かって進んでいく。
【0120】
制御部13は、第2の送液ポンプ12の回転を開始したら、第2の送液ポンプ12の作動量に基づき、第2の送液ポンプ12の回転開始時からの抗凝固剤の送液量(積算送液量)の測定を開始する(ステップS002)。
【0121】
その後、制御部13は、気泡センサ31が液体を検出するのを監視する(ステップS003)。抗凝固剤注入ライン23内の抗凝固剤が気泡センサ31の位置に到達して、気泡センサ31が液体を検出したら、制御部13は、第2の送液ポンプ12の作動量に基づき、気泡センサ31通過後の抗凝固剤の送液量(積算送液量)の測定を開始する(ステップS004)。
【0122】
そして、制御部13は、気泡センサ31通過後の送液量が第1の所定量(本実施形態では10mLとする)に到達したか否かを判断する(ステップS005)。気泡センサ31通過後の送液量が10mLに到達していない場合には、気泡センサ35または36が液体を検出したか否かを判断し(ステップS006)、気泡センサ35および36の双方が液体を検出していない場合には、ステップS005に戻り、再度、ステップS005以降を実行する。
【0123】
ここで、気泡センサ35、36に正しく採血・返血ライン21(採血針側ライン21a)が装着されている場合には、図2に示すように、抗凝固剤注入ライン23内の抗凝固剤は、気泡センサ31に到達した後、抗凝固剤注入ライン23を全長に渡って満たし、さらに分岐コネクター21cを通過して採血針側ライン21aを進んでから気泡センサ35、36に到達する。この場合、気泡センサ31から気泡センサ35、36までの回路長は、1〜2m程度と長いので、抗凝固剤が気泡センサ31に到達してから気泡センサ35、36に到達するまでの第2の送液ポンプ12の送液量は、10mLよりも必ず多くなる。
【0124】
これに対し、気泡センサ35、36に誤って抗凝固剤注入ライン23が装着されている場合には、図4に示すように、気泡センサ31のすぐ後に気泡センサ35、36があり、気泡センサ31から気泡センサ35、36までの回路長は数十cm程度と短いので、抗凝固剤が気泡センサ31に到達してから気泡センサ35、36に到達するまでの第2の送液ポンプ12の送液量は10mL以下になる。このように、第1の所定量は、気泡センサ31と気泡センサ35、36との間の距離(位置関係)によって設定されている。
【0125】
よって、ステップS006において気泡センサ35または36が液体を検出した場合、すなわち、気泡センサ31通過後の送液量が10mLに達するまでの間に抗凝固剤が気泡センサ35、36に到達した場合には、制御部13は、チューブ誤装着が起きているものと判断し、その旨をオペレーターに知らせるため、チューブ誤装着を警告する文面、図柄またはマーク等を表示・操作部17に表示する(ステップS007)。あるいは、警報音や音声等で報知してもよい。
【0126】
制御部13は、チューブ誤装着が起きているものと判断した場合には、さらに、第2の送液ポンプ12の回転を停止させ、プライミング動作を停止する(ステップS008)。この間に、オペレーターは、気泡センサ35、36から抗凝固剤注入ライン23を取り外して、正しく採血・返血ライン21(採血針側ライン21a)を装着し直すことができる。その後、オペレーターが表示・操作部17に表示されたプライミング再開ボタンを押下すると、プライミング動作が再開される。
【0127】
一方、気泡センサ31通過後の送液量が10mLに達するまでの間に気泡センサ35または36が液体を検出しなかった場合には、制御部13は、第2の送液ポンプ12の作動による抗凝固剤の送液を継続し、プライミング動作を継続する(ステップS009)。
【0128】
そして、制御部13は、第2の送液ポンプ12の回転開始時からの送液量が第2の所定量(本実施形態では35mLとする)に到達したか否かを判断する(ステップS010)。この第2の所定量は、採血・返血ライン21(採血針側ライン21a)が正しく気泡センサ35、36に装着されている場合には抗凝固剤が気泡センサ35、36に確実に到達しているであろうと判断されるような量であり、抗凝固剤注入ライン23および採血針側ライン21aの長さに基づいて予め設定されている。
【0129】
ステップS010において、第2の送液ポンプ12の回転開始時からの送液量が35mLに到達していない場合には、気泡センサ35または36が液体を検出したか否かを判断し(ステップS011)、気泡センサ35および36の双方が液体を検出していない場合には、ステップS010に戻り、再度、ステップS010以降を実行する。
【0130】
ステップS011において、気泡センサ35または36が液体を検出した場合、すなわち、第2の送液ポンプ12の回転開始時からの送液量が35mLに達するまでの間に抗凝固剤が気泡センサ35、36に到達した場合には、制御部13は、採血・返血ライン21(採血針側ライン21a)が正しく気泡センサ35、36に装着されているものと判断する。その後、制御部13は、送液量が予め設定された所定量(採血・返血ライン21のチャンバー21dまで抗凝固剤が充填されるような量)に達したら、第2の送液ポンプ12の回転を停止する(ステップS013)。これにより、プライミング動作が正常に終了する。
【0131】
また、第2の送液ポンプ12の回転開始時からの送液量が35mLに達するまでの間に気泡センサ35または36が液体を検出しなかった場合には、制御部13は、気泡センサ35、36に採血・返血ライン21が装着されていない(気泡センサ35、36にどのラインのチューブも装着されていない)ものと判断し、その旨をオペレーターに知らせるため、チューブ未装着を警告する文面、図柄またはマーク等を表示・操作部17に表示する(ステップS012)。あるいは、警報音や音声等で報知してもよい。
【0132】
以上説明したように、本発明の血液成分採取装置1では、供血者から採血を開始する前の段階であるプライミング動作時に、チューブ誤装着を検知することができ、チューブ誤装着が起きたときであっても、事前にオペレーターに正しく装着し直させることができるので、極めて安全性が高い。
【0133】
さらに、本実施形態では、気泡センサ35、36への採血・返血ライン21の装着し忘れを検出することもできるので、オペレーターが気泡センサ35、36にどのラインのチューブをも装着し忘れている場合であっても、これを検出してオペレーターに知らせることができ、さらに安全性が高い。
【0134】
なお、本実施形態では、ステップS005においては気泡センサ31通過後の送液量に基づいた判断をし、ステップS010においては第2の送液ポンプ12の回転開始時からの送液量に基づいた判断を行っているが、ステップS005、S010の両方とも気泡センサ31通過後の送液量に基づいて判断することとしてもよく、あるいはステップS005、S010の両方とも第2の送液ポンプ12の回転開始時からの送液量に基づいて判断することとしてもよい。
【0135】
また、制御部13は、送液量が第1の所定量(10mL)に達するまでの間に気泡センサ35または36が液体を検出しなかった場合に、採血・返血ライン21が正しく気泡センサ35、36に装着されているものと判断することとし、ステップS010の判断を行わないようにしてもよい。
【0136】
以上のようなプライミング動作を終了したら、供血者の血管に採血針29を穿刺して、血小板採取操作(血液成分採取操作)を開始する。この血小板採取操作を、図2、図6および図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0137】
血液成分採取装置1は、制御部13の制御により、第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程と、返血工程(血液成分返還工程)とを有する血小板採取操作(血液成分採取操作)を行なうよう作動する。この血小板採取操作は、少なくとも1回行われる。
【0138】
本実施形態では、血小板採取操作を繰り返して複数回(第1サイクル〜第nサイクル、nは2以上の整数)行なうようになっている。
【0139】
また、最終サイクルの血小板採取操作を行なうのに並行して、血液成分採取装置1は、制御部13の制御により、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作(濾過工程)を行なうよう構成されている。
【0140】
この濾過操作を開始するタイミングは、特に限定されないが、供血者の拘束時間を短縮する観点からは、この濾過操作を、最終サイクルの血小板採取操作と同時に(特に、血小板採取操作の早い段階の工程において)開始するのが好ましい。なお、本実施形態の血液成分採取装置1では、濾過操作を最終サイクルの血小板採取操作における第2の血漿採取工程の開始とほぼ同時に開始するように構成されているが、フローチャートには、その濾過操作(濾過工程開始)のステップの記載を省略する。
【0141】
[1] 第1サイクルの血小板採取操作(図6および図7参照)
[11] まず、血液成分採取装置1は、第1の血漿採取工程を行なう。第1の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿(PPP)を血漿採取バッグ25内に採取する。
【0142】
第1の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿(第2の血液成分)の採取を行なう(図6のステップS101)。
【0143】
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放し、他の流路開閉手段を閉塞した状態で、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは250mL/min以下程度、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば60mL/min)で作動(正転)して、供血者から採血を開始する。
【0144】
また、この採血と同時に、制御部13の制御により、第2の送液ポンプ12を作動して、抗凝固剤注入ライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に混入させる。
【0145】
このとき、第2の送液ポンプ12の回転速度は、制御部13により、採血血液に対して抗凝固剤が所定比率(好ましくは1/20〜1/6程度、例えば1/10)で混合されるように制御される。
【0146】
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、採血・返血ライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入される。
【0147】
このとき、遠心分離器20内の空気(滅菌空気)は、採取バッグ側ライン22およびチューブ42を介してエアーバッグ27b内に送り込まれる。
【0148】
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、制御部13は、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転するよう制御する。
【0149】
このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)131、バフィーコート層(BC層)132、赤血球層(CRC層)133の3層に分離される。
【0150】
なお、ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4200〜5800rpm程度とされる。また、以下の工程において、特に記載しない限り、制御部13は、ローター142の回転数を変更させない。
【0151】
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を越える血液(約270mL)が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は血液により満たされ、遠心分離器20の排出口144から血漿(PPP)が流出する。
【0152】
このとき、採取バッグ側ライン22に設置された気泡センサ34は、採取バッグ側ライン22中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検出し、制御部13は、この気泡センサ34の検出信号に基づき、第5の流路開閉手段85を閉塞し、かつ、第3の流路開閉手段83を開放するよう制御する。
【0153】
これにより、採取バッグ側ライン22、チューブ43および44を介して血漿を血漿採取バッグ(第3の容器)25内に導入、採取する。
【0154】
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。
【0155】
次いで、制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図6のステップS102)。
【0156】
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは10〜150g程度、より好ましくは20〜40g程度とされる。
【0157】
ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されていない場合には、制御部13は、ステップS101に戻り、再度、ステップS101以降を繰り返す。
【0158】
また、ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[11](第1の血漿採取工程)を終了して、定速血漿循環工程に移行する。
【0159】
[12] 次に、血液成分採取装置1は、定速血漿循環工程を行なう。定速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に通して定速で循環させる。
【0160】
定速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行なう(図6のステップS103)。
【0161】
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉鎖し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは60〜250mL/min程度、例えば200mL/min)で作動(正転)する。
【0162】
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および採血・返血ライン21を介して貯血空間146内に一定速度で導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を採取バッグ側ライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に定速にて循環させる。
【0163】
次いで、制御部13は、定速血漿循環を開始してから所定時間(好ましくは10〜90秒程度、例えば30秒)が経過したか否かを判断する(図6のステップS104)。
【0164】
ステップS104において、定速血漿循環を開始してから所定時間が経過していない場合には、制御部13は、ステップS103に戻り、再度、ステップS103以降を繰り返す。
【0165】
また、ステップS104において、定速血漿循環を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[12](定速血漿循環工程)を終了して、第2の血漿採取工程に移行する。
【0166】
[13] 次に、血液成分採取装置1は、第2の血漿採取工程を行なう。第2の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
【0167】
なお、この第2の血漿採取工程では、重量センサ16により血漿の採取量を計測するのに代わり、血漿層131とバフィーコート層132との界面Bの位置を検出する以外、前記工程[11](第1の血漿採取工程)と同様の工程を行なう。
【0168】
第2の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行なう(図6のステップS105)。
【0169】
なお、このとき、制御部13は、第2の流路開閉手段82を閉塞し、第1の流路開閉手段81を開放するよう制御する。
【0170】
これにより、貯血空間146内の赤血球量が増加、すなわち、赤血球層133の層厚が増大するのに伴い、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動する。
【0171】
次いで、制御部13は、光学式センサ15からの検出信号(界面位置検出情報)に基づき、界面Bが所定レベル(第1の位置)に到達したか否かを判断する(図6のステップS106)。
【0172】
なお、この界面Bの第1の位置としては、第1の光学式センサ15からの検出信号(受光部152からの出力電圧)が、好ましくは1〜2V程度となった時点の位置とされる。
【0173】
ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達していない場合には、制御部13は、ステップS105に戻り、再度、ステップS105以降を繰り返す。
【0174】
また、ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達した場合には、制御部13は、本工程[13](第2の血漿採取工程)を終了して、加速血漿循環工程に移行する。
【0175】
[14] 次に、血液成分採取装置1は、加速血漿循環工程を行なう。加速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
【0176】
加速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行なう(図6のステップS107)。
【0177】
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉鎖し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度が一定の加速度にて増加(増大)するように作動(正転)する。
【0178】
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および採血・返血ライン21を介して貯血空間146内に加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を採取バッグ側ライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
【0179】
なお、このとき、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記定速血漿循環より遅い速度(初速:例えば60mL/min)から、一定の加速度にて増加(増大)するように制御する。
【0180】
この加速条件(加速度)としては、好ましくは1〜10mL/min/sec程度、より好ましくは3〜6mL/min/sec程度とされる。また、加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
【0181】
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が所定速度(好ましくは130〜250mL/min程度、例えば155mL/min)に到達したか否かを判断する(図6のステップS108)。
【0182】
このステップS108は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで継続される。
【0183】
また、ステップS108において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合、制御部13は、本工程[14](加速血漿循環工程)を終了して、第3の血漿採取工程に移行する。
【0184】
[15] 次に、血液成分採取装置1は、第3の血漿採取工程を行なう。第3の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
【0185】
第3の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行なう(図6のステップS109)。
【0186】
次いで、制御部13は、第1の送液ポンプ11の1回転当たりの送液量および回転回数に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図6のステップS110)。
【0187】
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは2〜30g程度、より好ましくは5〜15g程度とされる。
【0188】
また、ステップS110において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[15](第3の血漿採取工程)を終了して、血小板採取工程に移行する(図7の1に移行する)。
【0189】
[16] 次に、血液成分採取装置1は、血小板採取工程を行なう。血小板採取工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を、貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させ、次いで、第1の加速度より大きい第2の加速度に変更して、この第2の加速度にて加速させながら循環させて、貯血空間146内より血小板を流出させ、濃厚血小板を中間バッグ27a内に採取(貯留)する。
【0190】
血小板採取工程では、まず、制御部13は、第1の加速度による血漿循環を行なう(図7のステップS111)。
【0191】
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉塞し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度を第1の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。
【0192】
これにより、採血を中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および採血・返血ライン21を介して貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を採取バッグ側ライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させる。
【0193】
このとき、貯血空間146内に血漿を第1の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動する。
【0194】
この第1の加速度としては、好ましくは0.5〜10mL/min/sec程度、より好ましくは1.5〜2.5mL/min/sec程度とされる。なお、第1の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
【0195】
また、第1の加速度による血漿循環での第1の送液ポンプ11の初速としては、好ましくは40〜150mL/min程度、より好ましくは50〜80mL/min程度とされる。
【0196】
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで、ステップS111を継続する(図7のステップS112)。
【0197】
なお、この所定の速度、すなわち、第1の加速度による血漿循環が終了するときの第1の送液ポンプ11の回転速度としては、好ましくは100〜180mL/min程度、より好ましくは140〜160mL/min程度とされる。
【0198】
また、ステップS112において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、第2の加速度による血漿循環を行なう(図7のステップS113)。
【0199】
具体的には、制御部13の制御により、第1の送液ポンプ11の加速度を、第1の加速度から第2の加速度に変更して、第1の送液ポンプ11の回転速度を第2の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第2の加速度にて加速させながら循環させる。
【0200】
このとき、貯血空間146内に血漿を第2の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動するとともに、バフィーコート層132中の血小板(PC)が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、ローター142の排出口144へ向って移動する。
【0201】
この第2の加速度としては、第1の加速度より大きくなるよう設定され、好ましくは3〜20mL/min/sec程度、より好ましくは5〜10mL/min/sec程度とされる。なお、第2の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
【0202】
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が所定速度(好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/min)に到達したか否かを判断する(図7のステップS114)。
【0203】
ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達していない場合には、制御部13は、ステップS113に戻り、再度、ステップS113以降を繰り返す。
【0204】
また、ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、血漿循環を継続する(図7のステップS115)。
【0205】
具体的には、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記ステップS114における所定速度で維持(保持)するよう制御する。これにより、血漿の貯血空間146内への循環速度を、好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/minとする。
【0206】
次いで、制御部13は、ステップS115を開始してから所定時間(好ましくは5〜15秒程度、例えば10秒)が経過したか否かを判断する(図7のステップS116)。
【0207】
ステップS116において、ステップS115を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(PC濃度電圧)が所定値(好ましくは2.5〜3.5V程度、例えば、3.0V)以下に低下したか否かを判断する(図7のステップS117)。
【0208】
ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下していない場合には、制御部13は、ステップS115に戻り、再度、ステップS115以降を繰り返す。
【0209】
ステップS115〜S117を繰り返している間に、ステップS116において、ステップS115を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
【0210】
また、ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下した場合には、すなわち、ローター142の排出口144から血小板が流出するのに伴い、採取バッグ側ライン22中を流れる血漿中の血小板濃度が所定値以上に到達した場合には、制御部13は、血小板(PC)の採取を行なう(図7のステップS118)。
【0211】
具体的には、制御部13は、濁度センサ14の検出信号に基づき、第3の流路開閉手段83を閉塞し、かつ、第4の流路開閉手段84を開放するよう制御する。
【0212】
これにより、採取バッグ側ライン22、チューブ43および45を介して濃厚血小板を中間バッグ27a内へ導入し、採取(貯留)する。なお、このとき、第7の流路開閉手段87は、閉塞しているため、濃厚血小板は、中間バッグ27a内から流出しない。
【0213】
また、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(検出信号)に基づき、中間バッグ27a内の血小板濃度(累積PC濃度)を算出する。なお、この血小板濃度は、PC採取を開始してから上昇を続け、一旦、最高濃度に到達した後、下降に転じる。
【0214】
次いで、制御部13は、PC採取を開始してから所定時間(好ましくは10〜25秒程度、例えば15秒)が経過したか否かを判断する(図7のステップS119)。
【0215】
ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14の出力電圧(PC濃度電圧)が所定値以下に到達したか否かを判断する(図7のステップS120)。
【0216】
この濁度センサ14の出力電圧の所定値としては、採取バッグ側ライン22中を流れる血漿中に赤血球の混入が生じる時点付近の値とされ、好ましくは0.5V以下程度とされる。
【0217】
ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達していない場合には、次いで、制御部13は、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達したか否かを判断する(図7のステップS121)。
【0218】
なお、この濃厚血小板の採取量(所定量)としては、好ましくは20〜100mL程度、より好ましくは40〜80mL程度とされる。
【0219】
ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達しない場合には、制御部13は、ステップS118に戻り、再度、ステップS118以降を繰り返す。
【0220】
ステップS118〜S121を繰り返している間に、ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過した場合、または、ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
【0221】
また、ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達した場合には、制御部13は、第5の流路開閉手段85を開放し、この他の全ての流路開閉手段81〜84、86、87を閉塞した状態とし、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[16](血小板採取工程)を終了する。
【0222】
[17] 次に、血液成分採取装置1は、遠心分離器20を停止する工程を行なう。
この工程では、まず、制御部13は、遠心分離器20の減速を行なう(図7のステップS122)。
【0223】
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転数を減少して、ローター142を減速する。
さらに、制御部13は、遠心分離器20の停止を行なう(図7のステップS123)。
【0224】
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転を停止して、ローター142を停止する。
【0225】
[18] 次に、血液成分採取装置1は、返血工程を行なう。返血工程では、ローター142の貯血空間146内の血液成分(残りの血液成分)を返血する。
【0226】
返血工程では、制御部13は、返血を行なう(図7のステップS124)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放するとともに、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは20〜120mL/min程度、例えば90mL/min)で作動(逆転)する。
【0227】
これにより、ローター142の貯血空間146内に残存する血液成分(主に、赤血球、白血球)は、遠心分離器20の流入口143から排出され、採血・返血ライン21(採血針29)を介して供血者に返血(返還)される。
【0228】
そして、気泡センサ32によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、所定の回数だけ第1の送液ポンプ11を回転した後、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[18](返血工程)を終了する。
これにより、第1サイクルの血小板採取操作を終了する。
【0229】
[2] 最終サイクルではない第2サイクルの血小板採取操作(図6および図7参照)
続いて、第2サイクルの血小板採取操作を行なう。
【0230】
第2サイクルの血小板採取操作では、下記の通り、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行なう。
【0231】
[21]〜[28] 前記工程[11]〜[18]と同様の工程をそれぞれ行なう。
これにより、第2サイクルの血小板採取操作を終了する。
なお、最終サイクルではない第3サイクル以降の血小板採取操作も同様である。
【0232】
[3] 最終サイクルの血小板採取操作(図6および図7参照)
続いて、最終サイクルの血小板採取操作を行なう。
【0233】
最終サイクルの血小板採取操作では、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過工程を行なうこと以外は、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行なう。
【0234】
[31]〜[37] 前記濾過工程を行なうこと以外は、前記工程[11]〜[17]と同様の工程をそれぞれ行なう。なお、濾過工程については、後に詳述する。
【0235】
[38] 気泡センサ35または36によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[38](返血工程)を終了すること以外は、前記工程[18]と同様の工程を行なう。
これにより、最終サイクルの血小板採取操作を終了する。
【0236】
次に、濾過工程について説明する。
本実施形態では、第2の血漿採取工程を行なうのとほぼ同時に、制御部13は、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球の分離除去を行なう。
【0237】
具体的には、ステップS105の前に、制御部13の制御により、第7の流路開閉手段87を開放して濾過工程を開始する(図示せず)。なお、濾過工程を開始するタイミングは、これに限定されないことは、言うまでもない。
【0238】
これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板を、落差(自重)により、チューブ46、47、白血球除去フィルター261およびチューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送する。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
【0239】
なお、濃厚血小板の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
【0240】
また、第7の流路開閉手段87は、制御部13の制御により作動するものに代わり、手動によりチューブ47の流路の途中を開閉し得るクレンメ等であってもよい。
【0241】
なお、血小板採取操作は、複数回行なう場合に限定されず、例えば、1回のみ行なってもよい。
【0242】
また、血液成分採取回路2の構成も、適宜設定可能であり、図示の構成に限定されない。
【0243】
以上、本発明の血液成分板採取装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
【0244】
例えば、本発明の血液成分採取装置は、血小板製剤のみを得る(採取対象の血液成分が濃厚血小板(血小板)のみである)血液成分板採取装置、血漿製剤のみを得る(採取対象の血液成分が血漿のみである)血液成分板採取装置等にも適用することができる。
【0245】
また、本発明の血液成分採取装置は、血小板製剤や血漿製剤を得るのに適用する場合に限らず(採取対象の血液成分は、血小板や血漿に限定されず)、例えば、血液中から白血球製剤、赤血球製剤等を製造する場合に適用してもよい(採取対象の血液成分は、白血球や赤血球等であってもよい)。
【0246】
また、本発明では、細胞分離フィルター(濾過器)により分離除去する細胞も、白血球に限定されない。
【0247】
また、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
【0248】
また、本発明の血液成分採取装置の方式は、間欠式に限らず、例えば、連続式であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】本発明の血液成分採取装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す血液成分採取装置における血液成分採取回路を展開して示す図である。
【図3】図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図である。
【図4】気泡センサへのチューブの誤装着が起きた場合における血液成分採取回路を展開して示す図である。
【図5】プライミング動作時にチューブ誤装着を検知する際の制御部のフローチャートである。
【図6】図1および図2に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1および図2に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0250】
1 血液成分採取装置
2 血液成分採取回路
3 装置本体
10 遠心分離器駆動装置
11 第1の送液ポンプ
12 第2の送液ポンプ
13 制御部
14 濁度センサ
15 光学式センサ
151 投光部
152 受光部
153 反射板
16 重量センサ
17 表示・操作部
20 遠心分離器
21 採血・返血ライン
21a 採血針側ライン
21b 遠心分離器側第1ライン
21c 分岐コネクター
21d チャンバー
21f 分岐コネクター
21g ポンプチューブ
21h チューブ
21i フィルター
22 採取バッグ側ライン
22b 分岐コネクター
22c 分岐コネクター
22d 分岐コネクター
22e 分岐コネクター
22f フィルター
22g 分岐コネクター
22h フィルター
23 抗凝固剤注入ライン
23a ポンプチューブ
23b 除菌フィルター
23c 気泡除去用チャンバー
23d 抗凝固剤容器接続用針
25 血漿採取バッグ
26 血小板採取バッグ
261 白血球除去フィルター
27a 中間バッグ
27b エアーバッグ
28 バッグ
29 採血針
31〜36 気泡センサ
41〜51 チューブ
61 バッグ
70 カセットハウジング
81〜87 第1〜第7の流路開閉手段
131 血漿層
132 バフィーコート層
133 赤血球層
141 管体
142 ローター
143 流入口
144 排出口
145 上部
146 貯血空間
147 反射面
201 ハウジング
202 脚部
203 モータ
204 回転軸
205 固定台
206 ボルト
207 スペーサー
301〜303 ハンガー
S001〜S013、S101〜S124 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供血者から採取した血液を遠心分離し、所定の血液成分を採取して、残りの血液成分を該供血者に返還する血液成分採取装置であって、
供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグと、
前記採血手段と前記遠心分離器とを接続する採血・返血ラインと、
前記採血・返血ラインの途中に一端が接続された抗凝固剤注入ラインとを有する血液成分採取回路と、
前記抗凝固剤注入ラインの抗凝固剤を送液する抗凝固剤送液ポンプと、
前記採血・返血ラインに装着され、該採血・返血ライン内の気体および液体を検出する第1の検出手段と、
前記抗凝固剤送液ポンプの作動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、採血の開始に先立って前記抗凝固剤注入ラインの他端から抗凝固剤を送液したときに、前記第1の検出手段により該抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されているかどうかを判断することを特徴とする血液成分採取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段に誤って装着されているものと判断する請求項1に記載の血液成分採取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段に誤って装着されたものと判断したとき、前記抗凝固剤送液ポンプの作動を停止する請求項2に記載の血液成分採取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達しても前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記抗凝固剤の送液を継続し、前記抗凝固剤の送液量が前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量に到達する前に前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されているものと判断する請求項1ないし3のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記抗凝固剤の送液量が前記第2の所定量に到達しても前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出していない場合には、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されていないものと判断する請求項4に記載の血液成分採取装置。
【請求項6】
さらに、前記採血・返血ラインに装着された前記第1の検出手段よりも前記遠心分離器側に装着され、該採血・返血ライン内の気体および液体を検出する第2の検出手段を備え、
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段および/または前記第2の検出手段に誤って装着されているものと判断する請求項1ないし5のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項7】
さらに、前記抗凝固剤注入ラインに装着され、該抗凝固剤注入ライン内の気体および液体を検出する第3の検出手段を備え、
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記第3の検出手段により前記抗凝固剤を検出してから前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤の送液量によって、前記採血・返血ラインが前記第1の検出手段に装着されているかどうかを判断する請求項1ないし6のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第3の検出手段により前記抗凝固剤を検出してから前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段に誤って装着されているものと判断する請求項7に記載の血液成分採取装置。
【請求項9】
さらに、前記採血・返血ラインに装着された前記第1の検出手段よりも前記遠心分離器側に装着され、該採血・返血ライン内の気体および液体を検出する第2の検出手段と、
前記抗凝固剤注入ラインに装着され、該抗凝固剤注入ライン内の気体および液体を検出する第3の検出手段とを備え、
前記制御部は、前記抗凝固剤送液ポンプの作動量に基づいて、前記抗凝固剤の送液量を計測し、前記第3の検出手段により前記抗凝固剤を検出してから前記第1の検出手段により前記抗凝固剤を検出するまでの前記抗凝固剤の送液量が第1の所定量に到達する前に前記第1の検出手段または前記第2の検出手段により前記抗凝固剤を検出した場合に、前記抗凝固剤注入ラインが前記第1の検出手段および/または前記第2の検出手段に誤って装着されているものと判断する請求項1ないし5のいずれかに記載の血液成分採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−15072(P2006−15072A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198463(P2004−198463)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】