説明

血液検査装置

血液検査に使用される使い捨て装置であって、この装置は、血液サンプルを受ける手段(41)と、希釈剤および希釈されたサンプルのための複数の受け部(28−33)と、複数のチャネル(34−39)を有するハウジング(21)を含む。凹部がハウジングの表面(27)に形成され、これら凹部が受け部(28−33)およびチャネルを形成する。ダイアフラム(40)が受け部およびチャネルを表面(27)に対して密閉している。圧力の変化が受け部を密閉しているダイアフラムの一部に加えられると液体はそこからまたはそこへ移動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液検査装置、その操作に使用する機器および該装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検査を行う場合、単純であるが信頼性があり、比較的未熟な者でさえも扱うことができる装置でこのような検査を行うことが望まれている。しかしながら、依然として血液サンプルを厳しい衛生条件で採取し取り扱うこと、および、サンプル自体またはその残渣もしくはサンプルを試験する際に使用する希釈またはフラッシング液が人間に接触しないようにすることが求められている。従って、廃棄物を出してはならず、全ての汚染物を装置内に留めておかなければならない。
【0003】
当業界ではある量の希釈された血液サンプルを通常ルビー(ruby)内の毛細管と言われる血液細胞より大きい、約80μmの直径を有する極小の穴を通過させて血液細胞を数えることが知られている。電圧を毛細管に加え、血液細胞が穴を通過した際に電気抵抗が変化する。これは細胞が絶縁体として機能するからである。この抵抗の変化をそれぞれ好適な電気装置で検出し、検出された全ての変化が毛細管を通過した血液細胞の数に対応する。元のサンプル中の細胞の濃度を得るためには例えば赤血球(RBC)を数える場合、希釈されたサンプル中の細胞の濃度を通常、1:40000の希釈因子で乗じる。当然サンプルの量と希釈液の量の測定は、常に同じように希釈されるだけでなく、これら2つの量が完全かつ均一に確実に混合されるように正確かつ反復可能な方法で行われなければならない。
【0004】
例えば血液サンプル中の血液細胞など液体に含まれる粒子を数えるための機械用の使い捨ての装置が下記特許文献1から知られている。この装置は、希釈工程を1回行うことができる。
【特許文献1】国際公開第99/01742号
【0005】
毛細管に含まれる少量の血液サンプルの希釈を行うための血液検査装置が下記特許文献2に記載されている。この希釈は、予備希釈工程と最終希釈工程とからなる。
【特許文献2】米国特許第6,284,548号
【0006】
C反応性蛋白(CRP)試験を行うための血液サンプルなどの液体サンプルを希釈し、混合する装置が下記特許文献3に記載されている。サンプルは、毛細管に入れられ、希釈されたサンプルを供するために希釈剤で第1の工程で希釈される。第2の工程では、抗体などの第3の媒体とこの希釈されたサンプルが混合される。
【特許文献3】国際公開第01/75416号
【0007】
これら従来の装置のいくつかが2種類の希釈液を製することができたとしても、これら装置のいずれも例えば白血球と赤血球を同時に数えるために必要な異なる希釈比の2つの希釈液を同時に製することはできない。
【0008】
本発明の発明者の1人による血液検査に使用する使い捨て装置が本願出願時にはまだ公開されていなかった2001年11月21日に出願されたスエーデン特許出願第0103877−7号に記載されている。この装置は、2つの所定の希釈比に同時に血液サンプルを希釈する装置を提供するという課題の解決策を提示している。この装置は、またその中に全ての汚染された材料を保持することができる。
【0009】
この装置は、第1および第2の受け部を有するブロック状のハウジングと、それぞれ一定量の希釈剤を含む第1と第2のシリンダー(各々その中で可動なピストンを有する)と、3つのバルブ胴体チャネルを有するバルブ胴体とを含み、これらバルブ胴体チャネルはバルブ胴体内を延び、3つの別々の位置に位置せしめることが可能である。ある1つの位置では受け部は、対のチャネルを介して各シリンダーと同時に連通するように置かれる。血液サンプルを受けるための第1の手段としての受け部の1つは、血液のサンプリングを行う毛細管を受けるように適合されている。
【0010】
この装置は、上記の課題を解決することができるが、この装置にはいくつかの不便な点がある。その内の1つは、ブロック状のハウジングの高い製造費であり、またその種々のシリンダーにより構造が複雑であるため射出成形には適さない。もう1つは、希釈剤を含む手段としてのシリンダーの使用に関することと、希釈剤を移動させるためにシリンダー内を可動であるピストンに関することである。これは空気の輸送中、ピストンの動きが周囲空気圧の変動によって制御しにくくなるときに特に明らかになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、血液サンプルを2種類の所定の希釈比に同時に希釈することができ、全ての汚染された材料を保持することができる血液検査に使用する使い捨て装置を提供する上での別の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために本発明は、添付の請求項1に記載されている特徴を有する使い捨て装置を提案する。この装置の好適な態様は従属請求項2乃至7に記載されている。またこの装置を制御するための機器が請求項8に記載されており、この装置を制御するための方法が請求項9に記載されている。
【0013】
本発明では少なくとも1側面にいくつかの凹部を有するブロック形状のハウジングまたはカートリッジを提供する。これらの凹部は、ハウジング内の受け部およびチャネルの主要部を形成し、これらが形成されているハウジングの側で開口している。ダイアフラムがそのハウジングの側面の少なくとも部分的に位置し、各受け部およびチャネルを密閉し、ハウジングの一側面を形成する。受け部上に位置するダイアフラムの部分は、ハウジングのその側面に対して可動であり、これにより受け部内の圧力を変動させたり、圧力の変動に応じたり、受け部内の容量の変化に応じて作動する。チャネルは、ハウジング内に設けられた種々の受け部とバルブを接続し、受け部内の流れを制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施態様を添付の図面を参照し、以下に詳述する。
【0015】
本発明によるカートリッジ20を図1に示す。このカートリッジは、ブロック形状で好ましくは半透明な材料で成形されたハウジング21からなる。このカートリッジは、対向する長側部壁22,23と対向する短側部壁24,25と、底部壁26と、頂部壁27とからなる平行六面体形状を有する。通常、平坦な頂部27に複数の凹部が形成され、この態様では受け部28乃至33を形成する6つの比較的大きな凹部と、チャネル34乃至39を形成する5つの比較的狭い凹部が設けられている。
【0016】
ダイアフラム40(図2、7、8および10参照)がハウジング21の頂部側27を封止するように取り付けられており、受け部およびチャネルを形成する全ての凹部を覆い、これらを周囲に対して密閉する。
【0017】
孔41がハウジングの短側部壁24の中央からハウジング内の中心に向かって延びている(図2および7参照)。この孔41は、壁24に近い外方の比較的幅の広い円筒状部分41aとこれと内方の比較的狭い円筒状の部分41cを接続する中間に位置する円錐状部分41bとを含む。
【0018】
孔42がその外端付近で円筒状部分41aをチャネル34の一端に接続し、チャネルの他端は、受け部28に開口している。
【0019】
孔41の内端で孔43が狭い円筒状部分41cをチャネル37の第1端部に接続し、その第2端部である他端は、開口部45内に開口した孔44aに接続し、この開口部45は、ハウジング21内をその長側部壁21、22の間を横断して延びている。
【0020】
孔41は、ハウジング21内で毛細管47のためのホルダー46を受ける役割を果たす。このホルダーを図1および2aに示し、図7に挿入された状態を断面にて示している。このホルダーは、孔41の幅の広い部分41aに嵌め込まれ、孔41の円錐状部分41bと合致する円錐状部分48aを有する胴体部48を含む。胴体部48の後端に位置するキャップ部48bは、穴41の周囲の側壁24の凹部24’に当接し、これにより毛細管ホルダーが孔41内に挿入される度合いが制限される(図7参照)。毛細管ホルダー46の先端から延びた中央の孔49は、毛細管47の主要部を受け、その前方の自由端は、孔41の狭い円筒状部分41c内に開口している孔43の付近で開口している。毛細管47の外径は、孔部41cの内径より小さいので、毛細管と孔部41cの壁との間に環状の空間50が維持される。環状の溝51がハウジングに設けられた孔42に対向して位置するように胴体部48に形成されており、そこから孔52が反対方向に胴体部を横断して延びて反対の溝51の位置で開口している。この孔52は、孔49と交差しており、これにより環状溝51と毛細管47が孔52を介して連通し、従って受け部28からチャネル34、孔42、溝51、孔52、毛細管47および孔43を介してチャネル37へと通じることになる。
【0021】
図1に部分的に示し、図7により明確に示すように毛細管ホルダー46の胴体部48は、その最先端から環状溝51に延びたスロット53を有し、環状空間50と環状溝51とを連通させている。またスロット53を設けることによって、毛細管ホルダーは可撓性になるので、その中に毛細管47を挿入しやすくなる。
【0022】
ハウジングの開口部45にチャネル35、36、37、38および39の一端が開口している。これらチャネルの他端は、それぞれ受け部29、30、32および33に開口している。
【0023】
チャネル35、36は位置合わせされており、同じようにチャネル37、39も位置合わせされている。チャネル35および37は、互いに平行であり、同じようにチャネル36、38および39も互いに平行である。チャネル35と37との横方向の間隔は、チャネル36と39およびチャネル39と38との間隔に等しい。
【0024】
開口部45は、図2および7さらに図9に示すようにバルブスライド54を摺動式に受ける役割を果たす。バルブスライド54は、対向する平行な面54a、54bを有する平行6面体形状の胴体からなる。面54aには、開口部45の横方向に延び、通常10μlの所定の容量を有する直線状のチャネル55と、開口部45の横方向、即ち直線状のチャネル55と平行に延びた第1脚部56aとチャネル55に対して垂直方向に延びた第2脚部56bとを有するL字型のチャネル56が形成されている。チャネル55と第1脚部56aとの間の間隔は、チャネル35と37およびチャネル36と39と38との間の間隔に等しく、第2脚部56bの長さは、チャネル36と38との間の間隔に等しい。
【0025】
図10は、開口部45の断面形状を最も具体的に示している。開口部45は、それぞれバルブスライドの面54a、54bを摺動式に支持する平行な側部45a、45bを有する中央部分を含む。バルブスライド54は、表面45bから突出した平行なリブ57によってハウジングの横方向に案内される。バルブスライドを開口部45内に挿入することによって開口部の側部45bとハウジング21の底面26間で撓みが生じないように開口部はリブ57を越えた所で幅が広くなっており、開口部の側部45bとハウジング21の底面間の材料の厚みは、平行な一部円筒状の凹部45c、45dに沿って薄くなっており、これによりバルブスライド54を開口部45の表面45aの方へ付勢させるスプリング特性が薄い部分以外の所に付与される。これとは別にスライドをある程度の弾性を有する材料で製し、確実に密閉できるようにしてもよい。
【0026】
ハウジングの対向する長側壁22、23には孔60、61、62、64が設けられており、それぞれ受け部31、32、30、33に通じている。これらの受け部が満たされると(下記参照)、これらの孔は、各受け部内にまたは受け部から液体を注入または取り出すために注射針を刺すことが可能なプラグによって閉鎖される。これらのプラグの内、受け部31および32を密閉するプラグ62および63のみを図1に示す。
【0027】
カートリッジ20の操作工程を4つの連続する工程を示す図3乃至6を参照して以下に説明する。
【0028】
図3に準備段階にあるカートリッジ20を示す。通常3mlの容量を有する受け部33には予め所定量、通常2mlの液体希釈剤Dが入っている。同様に通常3mlの容量を有する受け部30には所定量、通常2mlの液体希釈剤Dが入っている。これらの希釈剤は、通常、等張(isotonic)塩化ナトリウム溶液である。さらに通常2mlの容量を有する受け部32は、所定量、通常2mlの液体溶血剤Hが入っている(これとは別に乾燥溶血剤を使用することも可能である)。最後に通常3mlの容量を有する受け部31は、洗浄液、通常等張塩化ナトリウム溶液が入っている。1mlの容量を有する受け部28および29には何も入っていない。
【0029】
この準備段階では毛細管ホルダー46は、孔41に完全に挿入されない。バルブスライド54は、チャネル35、36、37、38、39の口がバルブスライドの面54aの滑らかな窪みの無い部分によって覆われる位置にある。したがってこれらのチャネルは、バルブスライドによって閉じられる。
【0030】
図4はサンプリングをする段階を示している。毛細管ホルダーは、孔41から抜かれており、血液サンプルSが図4に示すように毛細管で採取される。毛細管は、穿刺された指先F上の血液Bの小滴に近づけられ、所定量、通常10μlの血液サンプルSで毛細管46を満たすために毛細管作用によってこの小滴を採取する。サンプルを採取した後、毛細管を再度、孔41に挿入し、図7に示すように完全に挿入される位置まで押し込まれる。その位置で図示していない毛細管ホルダー胴体48のO字状のリングを有する後部が効果的に孔41内の胴体48を封止する。バルブスライドは、この時点ではまだ初期位置にある。
【0031】
図5は、第1の希釈、混合工程を示す。バルブスライド54は、その横方向に延びたチャネル55の一端がチャネル37と連通し、他端がチャネル39と連通するように移動する。毛細管が完全に挿入された位置で環状溝52が孔42に対向して位置するので、受け部28と受け部33とが連通することになる。
【0032】
ここで希釈剤Dは、受け部33からチャネル39、バルブスライドのチャネル55およびチャネル37を介して孔41の比較的幅の狭い部分41c内へと流される。そこで希釈剤Dの一部が毛細管47を介して案内され、その中に含まれている血液サンプルSを毛細管ホルダーの孔52および環状溝51に変位させる。また希釈剤Dの別の一部は、毛細管の外部に沿ってスロット53内へと案内され、そこから孔52および環状溝51内へと案内され、そこで希釈剤Dは、血液サンプルと混合され、これを希釈する。これら2つの流れは、受け部28で終わる。血液サンプルと希釈剤の混合物は、同じ2つの経路に沿って受け部33内に戻り、まだそこに残っている希釈剤Dと混合される。この流れの往復は、適した混合物が得られるまで繰り返される。第1の混合工程が完了すると、所定の第1工程希釈サンプル(S+D)がバルブスライドのチャネル55内に留まる。これは、受け部33が空にならないことを確実にする受け部28と33間の所定容量の相関によるものである。上述の所定容量によって第1工程後の希釈比は、1:200となる。
【0033】
第2の希釈・混合工程を図6に示す。バルブスライド54は、その横方向に延びたチャネル55の一端がチャネル35と連通し、他端がチャネル36と連通するように移動し、これにより受け部29および30が連通する。バルブスライドの移動の際、そのチャネル55内に取り込まれた所定量の第1工程希釈サンプルも一緒に移動する。同時にL字型チャネル56の第1の脚部56aの一端は、チャンネル37と連通し、第2脚部56bの一端は、チャネル37と連通し、脚部56aと56bの共通の他端は、チャネル39と連通する。従って、受け部28、32および33は互いに連通することになる。
【0034】
この第2混合工程は、2つの同時に進行する工程からなる。
【0035】
第1の工程は、受け部29と30の間で行われる。受け部30内の希釈液Dは、取り込まれた第1工程の希釈されたサンプルを移動させるバルブスライドのチャネル55内へと流され、チャネル35を介して何も入っていない空の受け部29内へと流れる。上記のように混合物は、所定の混合物が得られるまで同じ経路に沿って繰り返し流される。第2混合工程の第1の工程は、受け部30に残った2段階に希釈されたサンプル(S+D+D)によって終了し、上述の希釈剤の所定量により希釈比が1:40000になる。この希釈比は、RBC試験において標準的な希釈比である。
【0036】
第2の工程は、受け部28、32および33間で行われ、受け部28および33には、第1工程で希釈されたサンプル(S+D)が入っており、受け部32には溶血剤Hが入っている。これらの液体は、適当な混合物が確実に得られるまでこれら3つの受け部の間を繰り返し流れる。溶血剤が乾燥したものである場合、溶血剤は受け部32を繰り返しフラッシングする間に溶解する。第2混合工程の第2工程は、受け部33内に混合物(S+D+H)の主要部分が留まることによって停止する。この混合物は、上記所定量により1:400の希釈比になり、この希釈比は白血球試験に適している。
【0037】
ハウジング21は、半透明な合成樹脂で形成されるのが好ましい。これによりハウジングを通過する光の経路64を設けることができる。受け部33の一部は、厳密に形成された長さおよび平行な端部壁66、67を有する凹部65で形成されている。この凹部は、ハウジング21の壁部22、25が形成する角を横切って延びており、この角は、端部壁66、67にそれぞれ平行な平坦な壁部68、69で形成されている。光の経路はさらに光源69、好ましくは光ダイオードと光センサー70を含む。光経路は、凹部65の対向壁部を介して最初に希釈液の参照値およびその後最終混合物の特定の値などの受け部33に含まれる液体の特定のパラメーターを光分析することができる。
【0038】
受け部30および33に含まれる希釈されたサンプルに行われる他の試験は、これら受け部から液体を取り出して行われる。これは図11に略式に示した測定システムによって行われる。このシステムは、針部73、74から始まる2つの導管71、72を含む。これらの針部は開口部60、61を密閉するプラグを介して受け部30、33内に挿入される。導管71、72にはそれぞれ細胞をカウントするステーションが設けられており、これらステーションにはそれぞれオリフィス75、76が設けられている。当業界では知られているようにオリフィスは、統計的には1回に血液細胞を1つのみ通過させる小さい開口部である。図示していない電線によってオリフィスに電圧が加えられ、カウントされる血液細胞の通路を示すオリフィスの抵抗の変化をシステムに含まれる好適な電気機器によって検出してもよく、検出された抵抗の変化の合計がオリフィスを通過した血液細胞の数に相当する。
【0039】
導管71、72は、それぞれバルブ79、80および測定部81、82を含む枝管(branch)77、78を有する。これら測定部にはカウント開始検出器81a、82aおよび所定の間隔をおいて配されたカウント停止検出器81b、82bが設けられている。
【0040】
枝管77、78は、バルブ84およびポンプ85を有する共通の導管83に継合している。枝管77、78およびバルブ84間の導管83から延びている枝管86は、バルブ87を有し、周囲に開口している。
【0041】
各枝管77、78を越えた所で、導管71、72はそれぞれバルブ88、89を有し、端部に図示していないプラグ62を介して洗浄液を含む受け部31内に挿入される針部91を有する共通の導管90に継合している。
【0042】
測定の開始段階において導管71、72および導管90は、液体、通常受け部30および31に使用されるのと同じ等張塩化ナトリウム溶液で満たされる。この時バルブ88、89および87は閉じており、一方バルブ79、80および84は開いている。ポンプ85は、受け部30および33から液体を抜き始める。導管71、72にもともと入っている液体が各カウント開始検出器81a、82aに到達するとオリフィス75、76内でカウントを開始する。その時受け部30、31からの液体は、オリフィスに到達している。液体が各カウント停止検出器81b、82bに到達するとカウントは停止する。その時受け部30、33からの液体は、枝管77、78に到達していなくてもよい。
【0043】
その後、バルブ84は閉じ、バルブ87は開き、その際液体は、受け部30、33に戻り、これにより測定部81、82内の液体は、少なくともカウント開始検出器81a、82aに戻る。バルブ79、80および87は閉じ、バルブ88および89は開いて洗浄工程が行われる。
【0044】
洗浄工程ではより多量の液体が受け部30および33に入り込むが、ここでは少なくとも受け部31からの新鮮な液体が受け部30、33に到達するまで受け部31から抜かれる。この工程において全ての汚染された物および液体は、安全にカートリッジ内に保持され、針73、74、91は、回収され、カートリッジは、廃棄される。
【0045】
種々の受け部からまたはこれらへの液体の移動を行うために種々の方法が可能であり、選択した受け部のダイアフラム40の一部を指で押して空気圧を加えるという単純な方法が挙げられる。本発明では選択した受け部に対応するダイアフラムを減圧するのが好ましい。この操作を行うために図11に示す測定システムを含む図5および6に示す機器内にカートリッジは設置される。図10にその機器の一部のみを示す。この機器は、選択される受け部の外形に対応した外形を有する複数の真空ドームを含む。受け部28上に位置する真空ドーム92を示す。この真空ドームは、ダイアフラム40を密封するリム93と図示していない真空源に取り付け可能な管状のステム部94を有する。ドーム92に加えられる減圧によって符号40aで示すようにダイアフラムは上方に隆起し、液体を例えば図5に示す位置にある受け部33から受け部28へと吸引する。受け部33に対応する真空ドームに減圧を加えると受け部28から液体が抜かれ、この受け部28に対応するダイアフラムは、符号40bで示す形状になる。明らかに真空ドーム内の過圧によってダイアフラムは同じ形状になる。
【0046】
ここではバルブスライドについて説明してきたが、回転(turning)バルブなどの他の種類のバルブを使用してもよい。
【0047】
また受け部を形成する凹部とその側部の1つ以上、例えば2つの対向する側部にチャネルおよびこれらの側部にバルブを有する装置を提供することも本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一側部に受け部とチャネルを有するカートリッジと、これと伴に使用されるサンプリングチューブと、光度計の斜視図。
【図2】図1のカートリッジの中央断面を示す斜視図。
【図2a】毛細管ホルダーの斜視図。
【図3】輸送位置にあるカートリッジの平面図。
【図4】サンプリング位置にあるカートリッジの平面図であり、またサンプリング機器と指先の一部を示す。
【図5】第1の希釈または混合位置にあるカートリッジの平面図。
【図6】第2の希釈または混合位置にあるカートリッジの平面図。
【図7】図8のVII−VII線に沿ったカートリッジの縦断面図。
【図8】ダイアフラムの部分を切り欠きにて示したカートリッジの半分の平面図。
【図9】バルブスライドの斜視図。
【図10】本発明の装置の操作をより詳細に示す図8のX−X線に沿ったカートリッジの断面図。
【図11】測定工程およびその後の清掃工程を示す略図。
【符号の説明】
【0049】
20 カートリッジ
28−33 受け部
34−39 チャネル
40 ダイアフラム
45 開口部
46 毛細管ホルダー
54 バルブスライド
64 光経路
71、72 導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプル(S)を少なくとも2つの異なる希釈比に同時に希釈することができ、血液サンプル(S)を受けるための手段(41)を有するハウジング(21)と、希釈剤および希釈されたサンプルの複数の受け口(28−33)と、複数のチャネル(34−39)を含む血液検査用使い捨て装置において、ハウジングの少なくとも1表面に凹部が設けられ、これら凹部が少なくとも部分的に受け部(28−33)およびチャネルを形成し、ダイアフラム(40)が少なくとも1つの面(27)を覆うことによって前記受け部およびチャネルを密閉することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ダイアフラムが前記少なくとも1つの表面全体を覆うことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
希釈剤および希釈されたサンプルを選択した受け部に案内するために制御可能なバルブ手段(45、54)がハウジング(21)内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記バルブがハウジングの開口部(45)に摺動自在に案内されるバルブスライド(54)を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
受け部を密閉するダイアフラム(40)のある部分がそれに加えられる圧力の変換に応じて変形することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングの血液サンプルを受けるチャネル(41)がチャネル(34、37)を形成する2つの凹部と連通していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
ハウジング(21)が半透明であり、このハウジングに少なくとも1つの凹部(33)に含まれる材料の光分析を行うための光の経路(64)が一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
選択した受け部(33)を密閉するダイアフラムの少なくとも一部に圧力を加えるために圧力作動手段(92)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置を制御するための機器。
【請求項9】
選択した受け部を密閉するダイアフラムの少なくとも一部に圧力を加えることを特徴とする請求項1記載の装置を制御するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2006−506638(P2006−506638A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553357(P2004−553357)
【出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001796
【国際公開番号】WO2004/045770
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(599017461)ブール メディカル アーベー (6)
【Fターム(参考)】