説明

血液浄化装置

【課題】プライミング工程前において、採取口に対する接続ラインの接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる血液浄化装置を提供する。
【解決手段】採取口11が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得る閉回路形成手段(電磁弁V1〜V12)と、該閉回路形成手段で形成された閉回路内を加圧可能な複式ポンプ7と、閉回路形成手段で形成された閉回路内の液圧上昇を検出する液圧測定手段12と、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段で閉回路を形成させ、複式ポンプ7で当該閉回路内を加圧させた後、液圧測定手段12にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行わせる制御手段16とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液回路に接続された血液浄化器にて血液浄化治療を行わせる血液浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、血液浄化装置としての透析装置では透析治療(特に、オンラインHDF又はオンラインHF)時においてダイアライザに供給するための透析液を用いてプライミング、返血及び補液(緊急補液)を行う技術が提案されるに至っている。例えば、特許文献1には、一端が透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続されるとともに、他端が血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に接続された接続ライン(補液ライン)と、該接続ライン(補液ライン)に配設された補液ポンプとを具備した透析装置が開示されている。かかる透析装置により、プライミング、返血又は補液(緊急補液)を行うには、補液ポンプを駆動させることにより、透析液導入ラインの透析液を血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に供給し得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−313522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の血液浄化装置においては、採取口に対する接続ラインの接続確認(接続が正常に行われているか否かの確認)を作業者が目視にて確認する必要があったため、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることが不十分であった。また、近時においては、プライミング作業の自動化が求められているが、採取口に対する接続ラインの接続確認を目視で行う必要がある従来のものでは、当該プライミング作業の自動化を図ることができないという問題があった。
【0005】
ところで、本出願人は、血液回路(動脈側血液回路及び静脈側血液回路)内をプライミング液で満たした後、採取口が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し、補液ポンプを逆転駆動させることにより当該採取口に対して圧力を付与させ、その圧力上昇をセンサ等にて検出することにより、採取口に対する接続ラインの接続確認を自動的に行わせることを検討するに至った。しかしながら、その場合、予め血液回路(動脈側血液回路及び静脈側血液回路)及び接続ライン内を生理食塩水等のプライミング液で満たしておく必要があることから、プライミング作業の自動化が困難となってしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プライミング工程前において、採取口に対する接続ラインの接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる血液浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、血液浄化膜を内在するとともに当該血液浄化膜にて血液浄化を施す血液浄化器と、基端が前記血液浄化器に接続され、その途中において血液ポンプが配設された動脈側血液回路と、基端が前記血液浄化器に接続された静脈側血液回路と、前記血液浄化器に透析液を導入する透析液導入ラインと、前記血液浄化器から透析液を排出する透析液排出ラインと、一端が前記透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続されるとともに、他端が前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続され、当該透析液導入ラインの透析液を前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給させ得る接続ラインとを具備した血液浄化装置であって、前記採取口が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得る閉回路形成手段と、該閉回路形成手段で形成された閉回路内を加圧可能な加圧手段と、前記閉回路形成手段で形成された閉回路内の液圧上昇を検出する液圧上昇検出手段と、前記動脈側血液回路及び静脈側血液回路内に前記透析液を充填させるプライミング工程前に、前記閉回路形成手段で閉回路を形成させ、前記加圧手段で当該閉回路内を加圧させた後、前記液圧上昇検出手段にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記液圧上昇検出手段は、前記透析液排出ラインに接続された液圧測定手段から成り、前記制御手段は、当該液圧測定手段にて液圧上昇を検出させることにより前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認が可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の血液浄化装置において、前記制御手段は、前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認の際、前記閉回路形成手段にて閉回路を形成した状態で前記加圧手段にて当該閉回路内を加圧する加圧工程と、該加圧工程の後、前記閉回路を解いて圧力を解放させる解放工程とを行うものとされ、且つ、前記解放工程前における前記液圧測定手段で測定された液圧、及び解放工程後における前記液圧測定手段で測定された液圧をそれぞれ記憶可能な記憶手段と、該記憶手段で記憶された解放工程前後の液圧を比較し、前記採取口に対する前記接続ラインの接続状態を判定する判定手段とを具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記液圧上昇検出手段は、前記閉回路形成手段で形成される閉回路内の流路に接続された液圧測定手段から成り、前記制御手段は、当該液圧測定手段にて液圧上昇を検出させることにより前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認が可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記静脈側血液回路の途中には静脈側エアトラップチャンバが接続され、当該静脈側エアトラップチャンバには静脈圧センサが接続されて成るとともに、前記液圧上昇検出手段は、当該静脈圧センサから成り、前記制御手段は、当該静脈圧センサにて液圧上昇を検出させることにより前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認が可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記加圧手段は、前記閉回路内を加圧し得る所定のポンプから成ることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の血液浄化装置において、前記ポンプは、前記透析液導入ラインと透析液排出ラインとに跨って配設され、透析液を前記血液浄化器に導入させるとともに当該血液浄化器から透析液を排出させる複式ポンプから成ることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の血液浄化装置において、前記ポンプは、血液浄化器を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、動脈側血液回路及び静脈側血液回路内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段で閉回路を形成させ、加圧手段で当該閉回路内を加圧させた後、液圧上昇検出手段にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口に対する接続ラインの接続確認を行わせる制御手段を備えたので、プライミング工程前において、採取口に対する接続ラインの接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、液圧上昇検出手段は、透析液排出ラインに接続された液圧測定手段から成り、制御手段は、当該液圧測定手段にて液圧上昇を検出させることにより採取口に対する接続ラインの接続確認が可能とされたので、透析液排出ラインに液圧測定手段を具備させた汎用的なものを流用して接続ラインの接続確認を自動的に行わせることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、制御手段は、解放工程前における液圧測定手段で測定された液圧、及び解放工程後における液圧測定手段で測定された液圧をそれぞれ記憶可能な記憶手段と、該記憶手段で記憶された解放工程前後の液圧を比較し、採取口に対する接続ラインの接続状態を判定する判定手段とを具備したので、閉回路内に液圧測定手段を配設させることなく接続ラインの接続確認を自動的に行わせることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、液圧上昇検出手段は、閉回路形成手段で形成される閉回路内の流路に接続された液圧測定手段から成り、制御手段は、当該液圧測定手段にて液圧上昇を検出させることにより採取口に対する接続ラインの接続確認が可能とされたので、加圧手段による加圧過程で採取口に対する接続ラインの接続不良を確認することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、制御手段は、静脈圧センサにて液圧上昇を検出させることにより採取口に対する接続ラインの接続確認が可能とされたので、当該接続ラインの接続確認に加え、動脈側血液回路及び静脈側血液回路を含む流路の接続確認も同時に行わせることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、加圧手段は、閉回路内を加圧し得る所定のポンプから成るので、閉回路を所望程度まで確実に加圧させることができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、ポンプは、透析液導入ラインと透析液排出ラインとに跨って配設され、透析液を血液浄化器に導入させるとともに当該血液浄化器から透析液を排出させる複式ポンプから成るので、血液浄化治療時に用いられる複式ポンプを加圧手段として流用させることができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、ポンプは、血液浄化器を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプから成るので、血液浄化治療時に用いられる除水ポンプを加圧手段として流用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る血液透析装置(血液浄化装置)を示す模式図
【図2】同血液透析装置における準備運転時の状態を示す模式図
【図3】同血液透析装置における閉回路形成時の状態を示す模式図
【図4】同血液透析装置における加圧工程時の状態を示す模式図
【図5】同血液透析装置における液圧測定手段による液圧測定が行われている状態を示す模式図
【図6】同血液透析装置における解放工程時の状態であって液圧測定手段による液圧測定が行われている状態を示す模式図
【図7】同血液透析装置における採取口を示す断面模式図
【図8】同採取口に対して接続ラインが接続された状態を示す断面模式図
【図9】同血液透析装置における制御手段による接続確認時の制御内容を示すフローチャート
【図10】本発明の第2実施形態に係る血液透析装置(血液浄化装置)を示す模式図
【図11】同血液透析装置における準備運転時の状態を示す模式図
【図12】同血液透析装置における閉回路形成時の状態を示す模式図
【図13】同血液透析装置における加圧工程時の状態を示す模式図
【図14】同血液透析装置における液圧測定手段による液圧測定が行われている状態を示す模式図
【図15】同血液透析装置における制御手段による接続確認時の制御内容を示すフローチャート
【図16】本発明の第3実施形態に係る血液透析装置(血液浄化装置)を示す模式図
【図17】同血液透析装置における準備運転時の状態を示す模式図
【図18】同血液透析装置における閉回路形成時の状態を示す模式図
【図19】同透析装置における加圧工程時の状態を示す模式図
【図20】同血液透析装置における静脈圧センサによる液圧測定が行われている状態を示す模式図
【図21】同血液透析装置における制御手段による接続確認時の制御内容を示すフローチャート
【図22】本発明の第4実施形態に係る血液透析装置(血液浄化装置)における準備運転時の状態を示す模式図
【図23】同血液透析装置における閉回路形成及び加圧工程時の状態を示す模式図
【図24】同血液透析装置における液圧測定手段による液圧測定が行われている状態を示す模式図
【図25】同血液透析装置における制御手段による接続確認時の制御内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1実施形態に係る血液浄化装置は、血液透析装置に適用されるものであり、図1に示すように、血液浄化器としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、加圧手段としての複式ポンプ7と、接続ラインL8と、液圧上昇検出手段としての液圧測定手段12と、制御手段16とから主に構成されている。
【0025】
ダイアライザ1は、不図示の血液浄化膜(本実施形態においては中空糸型の血液透析濾過膜であるが、平膜型の血液透析膜又は血液濾過膜を含む)を内在し、血液を導入する血液導入口1a及び導入した血液を導出する血液導出口1bが形成されるとともに、透析液を導入する透析液導入口1c及び導入した透析液を排出する透析液排出口1dが形成されたもので、中空糸膜を介して血液導入口1aから導入した血液に透析液を接触させて血液を浄化するものである。
【0026】
動脈側血液回路2は、主に可撓性チューブから成り、一端がダイアライザ1の血液導入口1aに接続されて患者の血管から採取した血液をダイアライザ1の中空糸膜内に導くものである。かかる動脈側血液回路2の他端には、動脈側穿刺針(不図示)を取り付け得るコネクタaが形成されているとともに、途中に除泡のための動脈側エアトラップチャンバ5が接続され、且つ、血液ポンプ4が配設されている。なお、血液ポンプ4は、しごき型のポンプ(正転させると可撓性チューブをしごいて血液を動脈側穿刺針側からダイアライザ1の血液導入口1aの方向に流動させる構成のもの)である。
【0027】
静脈側血液回路3は、動脈側血液回路2と同様に主に可撓性チューブから成り、一端がダイアライザ1の血液導出口1bに接続されて中空糸膜内を通過した血液を導出させるものである。かかる静脈側血液回路3の他端には、静脈側穿刺針(不図示)を取り付け得るコネクタbが形成されているとともに、途中に除泡のための静脈側エアトラップチャンバ6が接続されている。すなわち、動脈側穿刺針で採取された患者の血液は、動脈側血液回路2を介してダイアライザ1に至り、血液浄化がなされた後、静脈側血液回路3を流動し、静脈側穿刺針を介して患者の体内に戻るようになっており、これによって体外循環がなされるよう構成されている。
【0028】
動脈側血液回路2の先端側(コネクタaと血液ポンプ4との間であって当該コネクタa近傍)には、電磁弁V10が接続されるとともに、静脈側血液回路3の先端側(コネクタbと静脈側エアトラップチャンバ6との間であって当該コネクタb近傍)には、電磁弁V11が接続されている。また、静脈側血液回路3の途中に形成された静脈側エアトラップチャンバ6の上部からは、オーバーフローラインL10が延設されており、当該オーバーフローラインL10の途中には電磁弁V8が接続されている。
【0029】
しかして、透析治療前には、図1に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させ得るようになっている。そして、この閉回路内に接続ラインL8(具体的には、プライミングラインL8b)を介して透析液を供給することにより、血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)及び当該接続ラインL8に対して透析液を充填させてプライミング作業が可能とされている。なお、プライミング作業の過程において、オーバーフローラインL10から透析液をオーバーフローさせて血液回路側の閉回路内を洗浄し得るようになっている。
【0030】
ダイアライザ1の透析液導入口1c及び透析液排出口1dには、それぞれ透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2の端部が接続されており、当該透析液導入ラインL1を介してダイアライザ1に導入された透析液が、中空糸膜の外側を通過して透析液排出ラインL2から排出され得るよう構成されている。また、透析液導入ラインL1を介して透析液をダイアライザ1に導入させるとともに当該ダイアライザ1から透析液を排出させる複式ポンプ7が透析装置本体B内に配設されている。
【0031】
透析装置本体Bは、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有するとともに、複式ポンプ7、バイパスラインL3〜L6及び電磁弁V1〜V7を有したものである。このうち複式ポンプ7は、透析液導入ラインL1と透析液排出ラインL2とに跨って配設され、所定濃度に調製された透析液をダイアライザ1に導入させるとともに当該ダイアライザ1から透析後の透析液を排出させるものである。本実施形態に係る複式ポンプ7は、後述する閉回路内を加圧可能な加圧手段を構成している。
【0032】
透析液導入ラインL1の途中(透析液導入ラインL1における接続ラインL8との連結部より下流側(ダイアライザ1側))には、電磁弁V1が接続されるとともに、透析液排出ラインL2の途中(透析液排出ラインL2におけるバイパスラインL3との連結部より上流側(ダイアライザ1側))には、電磁弁V2が接続されている。また、透析液導入ラインL1における複式ポンプ7と電磁弁V1との間には、濾過フィルタ8、9が接続されている。
【0033】
この濾過フィルタ8、9は、透析液導入ラインL1を流れる透析液を濾過して浄化するためのものであり、当該濾過フィルタ8、9には透析液排出ラインL2にバイパスして透析液を導くためのバイパスラインL3、L4がそれぞれ接続されている。かかるバイパスラインL3、L4には、それぞれ電磁弁V3、V4が接続されている。なお、透析液導入ラインL1における濾過フィルタ8と濾過フィルタ9との間には、電磁弁V6及び大気導入ラインL7が接続されており、当該大気導入ラインL7には電磁弁V12が接続されている。
【0034】
一方、透析液排出ラインL2におけるバイパスラインL3との連結部及びバイパスラインL4との連結部の間には、透析液の液圧を測定し得る液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)が接続されている。さらに、透析液排出ラインL2には、複式ポンプ7をバイパスするバイパスラインL5、L6がそれぞれ接続されており、バイパスラインL5には、ダイアライザ1中を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプ10が配設されるとともに、バイパスラインL6には、流路を開閉可能な電磁弁V5が接続されている。
【0035】
また、透析液排出ラインL2における複式ポンプ7より上流側(バイパスラインL5との連結部と複式ポンプ7との間)には、複式ポンプ7における排液側の液圧調整を行うためのポンプ14が配設されている。また、透析液排出ラインL2における複式ポンプ7より上流側(ポンプ14と複式ポンプ7との間)には、チャンバ15が接続されており、当該チャンバ15にはチェックバルブ等を介して大気開放ラインL9が接続されているとともに、当該大気開放ラインL9には、電磁弁V7が接続されている。
【0036】
ここで、電磁弁V1〜V12は、採取口11が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得る閉回路形成手段を構成するものであり、本実施形態においては、プライミング工程前において、電磁弁V1〜V12を任意選択的に開閉することで、採取口11が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得るよう構成されている。具体的には、プライミング工程前、図3に示すように、電磁弁V5及びV6を開状態(本実施形態においては電磁弁V10、V11も開状態)とするとともに、他の電磁弁(電磁弁V1〜V4、及び電磁弁V7〜V9、V12)を閉状態とすることにより、採取口11が形成された所定部位を含む流路において閉回路が形成されることとなる。
【0037】
なお、閉回路形成手段にて形成される閉回路は、採取口11が形成された所定部位を含んだ閉回路であれば足り、例えば電磁弁V5及びV6に加えて電磁弁V2や血液回路側の電磁弁V8を開状態とし、或いは電磁弁V10、V11を閉状態としつつ他の電磁弁を閉状態として閉回路(採取口11が形成された所定部位を含む流路において形成される閉回路)を形成するものであってもよい。
【0038】
接続ラインL8は、一端が透析液導入ラインL1の所定部位(本実施形態においては、透析液導入ラインL1から分岐した分岐ラインL1aの先端)に形成された採取口11に接続されるとともに、他端が動脈側血液回路2(又は静脈側血液回路3であってもよい)に接続され、当該透析液導入ラインL1の透析液を動脈側血液回路2(又は静脈側血液回路3)に供給させ得る流路から成るものである。
【0039】
本実施形態に係る接続ラインL8は、その途中において、補液ポンプ13が配設されるとともに先端が動脈側エアトラップチャンバ5の上部に接続された補液ラインL8aと、先端が動脈側血液回路2における電磁弁V10と血液ポンプ4との間に接続されるとともに当該先端側に電磁弁V9が配設されたプライミングラインL8bとに分岐した流路から成る。この接続ラインL8は、1回の血液浄化治療が終了した後、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3と共に廃棄されるもので、当該動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3と同様、例えば可撓性チューブから成る。
【0040】
補液ポンプ13は、接続ラインL8における補液ラインL8aの途中に配設され、透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3)に供給させ得るものである。かかる補液ポンプ13は、血液ポンプ4と同様、しごき型のポンプ(駆動させると補液ラインL8aを構成する可撓性チューブをしごいて透析液を流動させ得る構成のもの)である。
【0041】
しかるに、プライミング時において、プライミングラインL8bを介して血液回路(動脈側血液回路2及び/又は静脈側血液回路3)側の閉回路に対して透析液の供給を可能とするとともに、血液浄化治療中において補液ポンプ13を駆動させることにより、補液ラインL8aを介して動脈側血液回路2内に透析液を供給し、血液浄化治療中における緊急補液等を行い得るようになっている。なお、本実施形態に係る接続ラインL8は、補液ラインL8aが動脈側エアトラップチャンバ5の上部に接続されているが、動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3における他の部位(例えば静脈側血液回路3に形成された静脈側エアトラップチャンバ6の上部)に接続したものとしてもよく、或いは補液ラインL8a又はプライミングラインL8bの何れか一方のみ形成されたものとしてもよい。
【0042】
一方、採取口11は、接続ラインL8を接続し得る透析装置本体Bに形成されたポート(接続ポート)から成り、図7に示すように、シャフト21を中心に回動可能な蓋部材20によって開閉可能とされている。具体的には、蓋部材20は、採取口11を覆う閉位置と当該採取口11を外部に臨ませる開位置との間で回動可能とされるとともに、閉位置にあるとき、スプリング22の付勢力によって採取口11の開口端を閉塞し得るようになっている。
【0043】
そして、閉位置にある蓋部材20をスプリング22の付勢力に抗して図中右方向に移動させ、シャフト21を中心に回動させることにより、蓋部材20を閉位置から開位置とすることができ、その状態で、図8に示すように、接続ラインL8の一端(基端)が採取口11に接続されるようになっている。接続ラインL8の一端(基端)には、同図に示すように、コネクタ部材25が形成されており、当該一端を採取口11に嵌入させた状態で当該コネクタ部材25に形成された雌ネジ部を採取口11に形成された雄ネジ部に螺合させることにより、採取口11と接続ラインL8の一端(基端)とを強固に接続させ得るよう構成されている。
【0044】
さらに、蓋部材20の所定部位には、磁力を生じ得るマグネット23が形成されているとともに、当該蓋部材20が閉位置にあるとき、当該マグネット23と対向する位置に磁力を検知して電気的なオン・オフ信号を生成し得るリードスイッチ24が配設されている。これにより、リードスイッチ24のオン信号又はオフ信号に基づいて、蓋部材20が閉位置にあるのか或いは開位置にあるのかを検出することができる。
【0045】
制御手段16は、任意の電磁弁V1〜V12(閉回路形成手段)の開閉、複式ポンプ7(加圧手段)、血液ポンプ4及び補液ポンプ13等の任意アクチュエータの駆動又は停止に関する制御を行い得るとともに、液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)と電気的に接続された、例えばマイコン等から成るものであり、特に本実施形態においては、記憶手段17及び判定手段18が形成されたものである。
【0046】
特に、本実施形態に係る制御手段16は、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内(接続ラインL8を含む)に透析液を充填させるプライミング工程前に、任意の電磁弁V1〜V12(閉回路形成手段)で閉回路(採取口11が形成された所定部位を含む閉回路)を形成させ、複式ポンプ7(加圧手段)で当該閉回路内を加圧させた後、液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行わせ得るよう構成されている。
【0047】
より具体的には、制御手段16は、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認の際、任意の電磁弁V1〜V12(閉回路形成手段)にて閉回路を形成した状態で複式ポンプ7(加圧手段)にて当該閉回路内を加圧する加圧工程(図4参照)と、該加圧工程の後、閉回路を解いて圧力を解放させる解放工程(図6参照)とを行うものとされ、且つ、解放工程前における液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)で測定された液圧、及び解放工程後における液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)で測定された液圧をそれぞれ記憶可能な記憶手段17と、該記憶手段17で記憶された解放工程前後の液圧を比較し、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定する判定手段18とを具備している。
【0048】
しかして、接続ラインL8が採取口11に正常に接続されている場合、加圧工程において複式ポンプ7(加圧手段)で閉回路内の液圧が十分に上昇するので、解放工程で閉回路を解いて圧力を解放させると、液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)で測定される液圧が上昇することとなる。一方、接続ラインL8が採取口11に正常に接続されていない場合、加圧工程において当該採取口11から透析液が漏れて圧力が逃げるため、複式ポンプ7(加圧手段)にて閉回路内を加圧しても当該閉回路内における液圧が十分に上昇せず、解放工程で閉回路を解いて圧力を解放させても、液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)で測定される液圧は十分には上昇しない。
【0049】
したがって、記憶手段17で記憶された解放工程前後の液圧を比較し、その変化(解放工程前と解放工程後の液圧の差や比)が所定より大きい場合、判定手段18は、接続ラインL8が採取口11に正常に接続されていると判定(合格判定)するとともに、その変化(解放工程前と解放工程後の液圧の差や比)が所定より小さい場合、判定手段18は、接続ラインL8が採取口11に正常に接続されていない(接続不良)と判定(不合格判定)することができる。
【0050】
なお、本実施形態においては、接続ラインL8が未接続のとき、蓋部材20が閉位置とされて採取口11を覆うよう構成されているとともに、リードスイッチ24のオン信号又はオフ信号に基づいて蓋部材20が閉位置にあるのか開位置にあるのかを検出可能とされているので、接続ラインL8が未接続の状態で上記の如き採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行ってしまうのを回避することができる。
【0051】
以下、本実施形態の採取口11に対する接続ラインL8の接続確認時における制御手段16の制御内容について図9のフローチャート及び図2〜図8に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、図2に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。そして、電磁弁V3、V5、V6を開状態(本実施形態においては電磁弁V10、V11も開状態)としつつ他の電磁弁(電磁弁V1、V2、V4、V7〜V9、V12)を閉状態とし、その状態で複式ポンプ7を駆動させることにより、準備運転を行う(S1)。なお、当該準備運転(S1)が終了した時点で複式ポンプ7のピストンを所定位置に位置決めしておくのが好ましい。また、本実施形態においては、一連の接続確認の際、血液回路側のV10、V11を常時閉状態としてもよい。
【0052】
そして、準備運転を終了させた後、図3に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させるとともに、電磁弁V5、V6を開状態としつつ他の電磁弁を閉状態とすることにより、閉回路を形成する(閉回路形成工程S2)。すなわち、本実施形態に係る閉回路は、複式ポンプ7を駆動させた際に採取口11に対して圧力(正圧)が付与されるよう、透析液の流路のうち所定の部位を所定の電磁弁により閉塞させて成るもので、本発明の「採取口11が形成された所定部位を含む流路において形成された閉回路」とされている。
【0053】
その後、図4に示すように、加圧手段としての複式ポンプ7を駆動させ、閉回路形成手段によって形成された閉回路内を加圧(正圧の付与)させる(加圧工程S3)。しかるに、加圧工程S3時、複式ポンプ7の駆動を予め定められた時間行わせることにより、所望の(設定された)液圧上昇を行わせることができる。また、加圧工程時、電磁弁V5が開状態とされるため、複式ポンプ7(加圧手段)の駆動による、排液側の透析液をバイパスラインL6にて循環させておくことができる。
【0054】
続いて、図5に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させて加圧工程S3を終了した後、電磁弁V1〜V12の状態を維持しつつ液圧測定手段12で液圧を測定する。そして、その測定された液圧を「解放工程前における液圧測定手段12で測定された液圧(A)」として記憶手段17にて記憶する(解放前記憶工程S4)。なお、本実施形態においては、液圧測定手段12が閉回路外に配設されているため、各電磁弁及び配管の機能が正常であれば、加圧手段(複式ポンプ7)による加圧が行われても、それによって当該液圧測定手段12にて測定される液圧は上昇せず変化しない。
【0055】
次に、図6に示すように、電磁弁V3を開状態とすることにより、閉回路(閉回路形成手段で形成された閉回路)を解いて圧力を解放させる(解放工程)とともに、液圧測定手段12で再び液圧を測定する。そして、その測定された液圧を「解放工程後における液圧測定手段12で測定された液圧(B)」として記憶手段17にて記憶する(解放後記憶工程S5)。このようにして、記憶手段17により、解放工程前における液圧測定手段12で測定された液圧、及び解放工程後における液圧測定手段12で測定された液圧をそれぞれ記憶することが可能とされている。
【0056】
その後、判定手段18によって、記憶手段17で記憶された解放工程前後の液圧(液圧(A)及び液圧(B))を比較する(比較工程S6)。かかる比較工程S6は、例えば液圧(A)の値及び液圧(B)の値の減算や比をとるための演算を行い両者を比較する工程とされるが、液圧(A)の値及び液圧(B)の値を比較し得るものであれば他の工程(例えば予め作成したテーブルを参照して液圧(A)と液圧(B)とを比較させる等)を行わせるものとしてもよい。
【0057】
しかるに、判定手段18による比較工程S6での比較によって、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定する(判定工程S7)。すなわち、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態が良好であれば付与した圧力が閉回路外に漏れることがないことから、加圧工程(S3)にて閉回路内の流路を加圧した後、その閉回路が解放工程にて解放されると、液圧(B)は、顕著に上昇するため、その液圧上昇を検出することにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定することができるのである。例えば、比較結果(例えば減算や比をとるための演算結果)が所定範囲内とされた場合、所定の液圧上昇が得られたとして合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が良好)とする一方、所定範囲内でないとされた場合、所定の液圧上昇が得られなかったとして不合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が不良)とすることができるのである。
【0058】
以上で採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が終了するので、当該接続確認で合格判定とされていれば、その後、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程を行わせる。かかるプライミング工程は、例えばコネクタaとコネクタbとの接続を維持しつつ電磁弁V9を開状態とし、血液ポンプ4を駆動させることにより、採取口11を介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む))に供給して充填させる工程とされる。なお、接続ラインL8の接続確認で不合格と判定された場合、その後のプライミング工程及び治療工程に移行しないよう制御してもよく、或いは不合格判定である旨の警告(接続が不良である旨の表示や警報音の出力等)を行わせてもよい。
【0059】
本実施形態によれば、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段(電磁弁V1〜V12)で閉回路を形成させ、加圧手段(複式ポンプ7)で当該閉回路内を加圧させた後、液圧上昇検出手段(液圧測定手段12)にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行わせる制御手段16を備えたので、プライミング工程前において、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる。
【0060】
また、液圧上昇検出手段は、透析液排出ラインL2に接続された液圧測定手段12から成り、制御手段16は、当該液圧測定手段12にて液圧上昇を検出させることにより採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が可能とされたので、透析液排出ラインL2に液圧測定手段12を具備させた汎用的なものを流用して接続ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができる。
【0061】
さらに、制御手段16は、解放工程前における液圧測定手段12で測定された液圧(A)、及び解放工程後における液圧測定手段12で測定された液圧(B)をそれぞれ記憶可能な記憶手段17と、該記憶手段17で記憶された解放工程前後の液圧を比較し、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定する判定手段18とを具備したので、閉回路内に液圧測定手段12を配設させることなく接続ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができる。
【0062】
またさらに、加圧手段は、閉回路内を加圧し得る所定のポンプ(本実施形態においては複式ポンプ7)から成るので、閉回路を所望程度まで確実に加圧させることができる。特に、本実施形態においては、閉回路内を加圧し得る所定のポンプは、透析液導入ラインL1と透析液排出ラインL2とに跨って配設され、透析液をダイアライザ1に導入させるとともに当該ダイアライザ1から透析液を排出させる複式ポンプ7から成るので、血液浄化治療時に用いられる複式ポンプ7を加圧手段として流用させることができる。
【0063】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る血液浄化装置は、第1実施形態と同様、血液透析装置に適用されるものであり、図10に示すように、血液浄化器としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、加圧手段としての複式ポンプ7と、接続ラインL8と、液圧上昇検出手段としての液圧測定手段12と、制御手段16とから主に構成されている。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態に係る液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)は、透析液導入ラインL1における複式ポンプ7と濾過フィルタ8との間に接続されたもので、閉回路形成手段(電磁弁V1〜V12)で形成される閉回路内の流路に接続されている。すなわち、閉回路形成手段により形成される閉回路は、図12に示すように、電磁弁V6及びV5を開状態としつつ他の電磁弁を閉状態として得られるようになっており、その得られた閉回路内に本実施形態に係る液圧測定手段12(液圧上昇検出手段)が形成されているのである。
【0065】
以下、本実施形態の採取口11に対する接続ラインL8の接続確認時における制御手段16の制御内容について図15のフローチャート及び図11〜図14に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、図11に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。そして、電磁弁V3、V5、V6を開状態(本実施形態においては電磁弁V10、V11も開状態)としつつ他の電磁弁(電磁弁V1、V2、V4、V7〜V9、V12)を閉状態とし、その状態で複式ポンプ7を駆動させることにより、準備運転を行う(S1)。なお、当該準備運転(S1)が終了した時点で複式ポンプ7のピストンを所定位置に位置決めしておくのが好ましい。また、本実施形態においては、一連の接続確認の際、血液回路側の電磁弁V10、V11を常時閉状態としてもよい。
【0066】
そして、準備運転を終了させた後、図12に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させるとともに、電磁弁V5、V6を開状態としつつ他の電磁弁を閉状態とすることにより、閉回路を形成する(閉回路形成工程S2)。すなわち、本実施形態に係る閉回路は、複式ポンプ7を駆動させた際に採取口11に対して圧力(正圧)が付与されるよう、透析液の流路のうち所定の部位を所定の電磁弁により閉塞させて成るもので、本発明の「採取口11が形成された所定部位を含む流路において形成された閉回路」とされている。
【0067】
その後、図13に示すように、加圧手段としての複式ポンプ7を駆動させ、閉回路形成手段によって形成された閉回路内を加圧(正圧の付与)させる(加圧工程S3)。しかるに、加圧工程S3時、複式ポンプ7の駆動を予め定められた時間行わせることにより、所望の(設定された)液圧上昇を行わせることができる。また、加圧工程時、電磁弁V5が開状態とされるため、複式ポンプ7(加圧手段)の駆動による、排液側の透析液をバイパスラインL6にて循環させておくことができる。
【0068】
続いて、図14に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させて加圧工程S3を終了した後、電磁弁V1〜V12の状態を維持しつつ液圧測定手段12で液圧を測定する。ここで、本実施形態に係る液圧測定手段12は、閉回路内に形成されているため、複式ポンプ7(加圧手段)の駆動によって当該閉回路内が液圧上昇すると、それに伴って液圧測定手段12で測定される液圧も上昇することとなる。
【0069】
しかるに、液圧測定手段12で検出される液圧上昇に基づく判定手段18による判定によって、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定する(判定工程S5)。すなわち、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態が良好であれば付与した圧力が閉回路外に漏れることがないことから、加圧工程(S3)にて閉回路内の流路を加圧する過程で、その閉回路内の液圧上昇に伴って液圧測定手段12で測定される液圧が顕著に上昇するため、その液圧上昇を検出することにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定することができるのである。例えば、所定の液圧上昇が得られた場合、合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が良好)とする一方、所定の液圧上昇が得られなかった場合、不合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が不良)とすることができるのである。
【0070】
以上で採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が終了するので、当該接続確認で合格判定とされていれば、その後、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程を行わせる。かかるプライミング工程は、例えばコネクタaとコネクタbとの接続を維持しつつ電磁弁V9を開状態とし、血液ポンプ4を駆動させることにより、採取口11を介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む))に供給して充填させる工程とされる。なお、接続ラインL8の接続確認で不合格と判定された場合、その後のプライミング工程及び治療工程に移行しないよう制御してもよく、或いは不合格判定である旨の警告(接続が不良である旨の表示や警報音の出力等)を行わせてもよい。
【0071】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段(電磁弁V1〜V12)で閉回路を形成させ、加圧手段(複式ポンプ7)で当該閉回路内を加圧させた後、液圧上昇検出手段(液圧測定手段12)にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行わせる制御手段16を備えたので、プライミング工程前において、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる。
【0072】
また、液圧上昇検出手段は、閉回路形成手段で形成される閉回路内の流路に接続された液圧測定手段12から成り、制御手段16は、当該液圧測定手段12にて液圧上昇を検出させることにより採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が可能とされたので、加圧手段(複式ポンプ7)による加圧過程で採取口11に対する接続ラインの接続不良を確認することができる。
【0073】
さらに、加圧手段は、第1実施形態と同様、閉回路内を加圧し得る所定のポンプ(本実施形態においては複式ポンプ7)から成るので、閉回路を所望程度まで確実に加圧させることができる。特に、本実施形態においては、閉回路内を加圧し得る所定のポンプは、透析液導入ラインL1と透析液排出ラインL2とに跨って配設され、透析液を血液浄化器(ダイアライザ1)に導入させるとともに当該血液浄化器(ダイアライザ1)から透析液を排出させる複式ポンプ7から成るので、血液浄化治療時に用いられる複式ポンプ7を加圧手段として流用させることができる。
【0074】
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。
第3実施形態に係る血液浄化装置は、第1、2実施形態と同様、血液透析装置に適用されるものであり、図16に示すように、血液浄化器としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、加圧手段としての複式ポンプ7と、接続ラインL8と、液圧上昇検出手段としての静脈圧センサ19と、制御手段16とから主に構成されている。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0075】
本実施形態に係る静脈圧センサ19(液圧上昇検出手段)は、静脈側血液回路3の途中に接続された血液静脈側エアトラップチャンバ6における上部に接続されたもので、血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)にて患者の血液を体外循環させた状態で当該静脈側エアトラップチャンバ6の空気層側の圧力(静脈圧)を検出し得るものである。すなわち、本実施形態においては、第1、2実施形態における液圧測定手段12の代わりに、静脈圧センサ19を用いて閉回路内の液圧上昇を検出させるのである。
【0076】
また、本実施形態に係る閉回路形成手段にて形成される閉回路は、図18に示すように、採取口11が形成された所定部位を含む流路から成るとともに、電磁弁V9が開状態とされることから、血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)の流路を含むものとされている。しかして、静脈圧センサ19は、閉回路形成手段にて形成される閉回路のうち、血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)側の閉回路を構成する所定部位(静脈側エアトラップチャンバ6)に形成されている。
【0077】
以下、本実施形態の採取口11に対する接続ラインL8の接続確認時における制御手段16の制御内容について図21のフローチャート及び図17〜図20に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、図17に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。そして、電磁弁V3、V5、V6、V10、V11を開状態としつつ他の電磁弁(電磁弁V1、V2、V4、V7〜V9、V12)を閉状態とし、その状態で複式ポンプ7を駆動させることにより、準備運転を行う(S1)。なお、当該準備運転(S1)が終了した時点で複式ポンプ7のピストンを所定位置に位置決めしておくのが好ましい。
【0078】
そして、準備運転を終了させた後、図18に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させるとともに、電磁弁V5、V6、V9、V10、V11を開状態としつつ他の電磁弁を閉状態とすることにより、閉回路を形成する(閉回路形成工程S2)。すなわち、本実施形態に係る閉回路は、複式ポンプ7を駆動させた際に採取口11に対して圧力(正圧)が付与されるよう、透析液の流路及び血液回路の流路のうち所定の部位を所定の電磁弁により閉塞させて成るもので、本発明の「採取口11が形成された所定部位を含む流路において形成された閉回路」とされている。
【0079】
その後、図19に示すように、加圧手段としての複式ポンプ7を駆動させ、閉回路形成手段によって形成された閉回路内を加圧(正圧の付与)させる(加圧工程S3)。ここで、本実施形態においては、電磁弁V9が開状態とされるため、閉回路は血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)を含んで形成されることとなり、複式ポンプ7(加圧手段)の駆動により血液回路側(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3)も加圧されることとなる。
【0080】
しかるに、加圧工程S3時、複式ポンプ7の駆動を予め定められた時間行わせることにより、所望の(設定された)液圧上昇(厳密には、透析液導入ラインL1における液圧上昇に伴う血液回路側の圧力上昇)を行わせることができる。また、加圧工程時、電磁弁V5が開状態とされるため、複式ポンプ7(加圧手段)の駆動による、排液側の透析液をバイパスラインL6にて循環させておくことができる。
【0081】
続いて、図20に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させて加圧工程S3を終了した後、電磁弁V1〜V12の状態を維持しつつ静脈圧センサ19で液圧(圧力)を測定する。ここで、本実施形態に係る静脈圧センサ19は、閉回路内に形成されているため、複式ポンプ7(加圧手段)の駆動によって当該閉回路内が液圧上昇すると、それに伴って静脈圧センサ19で測定される液圧も上昇することとなる。
【0082】
しかるに、静脈圧センサ19で検出される液圧上昇に基づく判定手段18による判定によって、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定する(判定工程S5)。すなわち、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態が良好であれば付与した圧力が閉回路外に漏れることがないことから、加圧工程(S3)にて閉回路内の流路を加圧する過程で、その閉回路内の液圧上昇に伴って静脈圧センサ19で測定される液圧が顕著に上昇するため、その液圧上昇を検出することにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定することができるのである。例えば、所定の液圧上昇が得られた場合、合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が良好)とする一方、所定の液圧上昇が得られなかった場合、不合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が不良)とすることができるのである。
【0083】
以上で採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が終了するので、当該接続確認で合格判定とされていれば、その後、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程を行わせる。かかるプライミング工程は、例えばコネクタaとコネクタbとの接続を維持しつつ電磁弁V9を開状態とし、血液ポンプ4を駆動させることにより、採取口11を介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む))に供給して充填させる工程とされる。なお、接続ラインL8の接続確認で不合格と判定された場合、その後のプライミング工程及び治療工程に移行しないよう制御してもよく、或いは不合格判定である旨の警告(接続が不良である旨の表示や警報音の出力等)を行わせてもよい。
【0084】
本実施形態によれば、第1、2実施形態と同様、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段(電磁弁V1〜V12)で閉回路を形成させ、加圧手段(複式ポンプ7)で当該閉回路内を加圧させた後、液圧上昇検出手段(液圧測定手段12)にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行わせる制御手段16を備えたので、プライミング工程前において、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、制御手段16は、静脈圧センサ19にて液圧上昇を検出させることにより採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が可能とされたので、当該接続ラインL8の接続確認に加え、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3を含む流路の接続確認(例えば動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3とダイアライザ1との接続確認等)も同時に行わせることができる。
【0086】
さらに、加圧手段は、第1、2実施形態と同様、閉回路内を加圧し得る所定のポンプ(本実施形態においては複式ポンプ7)から成るので、閉回路を所望程度まで確実に加圧させることができる。特に、本実施形態においては、閉回路内を加圧し得る所定のポンプは、透析液導入ラインL1と透析液排出ラインL2とに跨って配設され、透析液をダイアライザ1に導入させるとともに当該ダイアライザ1から透析液を排出させる複式ポンプ7から成るので、血液浄化治療時に用いられる複式ポンプ7を加圧手段として流用させることができる。
【0087】
次に、本発明に係る第4実施形態について説明する。
第4実施形態に係る血液浄化装置は、第1〜第3実施形態と同様、血液透析装置に適用されるものであり、図22に示すように、血液浄化器としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、複式ポンプ7と、加圧手段としての除水ポンプ10と、接続ラインL8と、液圧上昇検出手段としての液圧測定手段12と、制御手段16とから主に構成されている。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0088】
本実施形態に係る加圧手段は、ダイアライザ1を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプ10から成るものであり、特に本実施形態にて用いられる除水ポンプ10は、正転及び逆転可能な除水ポンプから成る。すなわち、血液浄化治療時においては、除水ポンプ10が正転して複式ポンプ7における排液側の透析液の流量を供給側に比べて増加させ、除水し得るとともに、閉回路に対する加圧時には逆転して、当該閉回路に対して加圧し得るようになっているのである。
【0089】
以下、本実施形態の採取口11に対する接続ラインL8の接続確認時における制御手段16の制御内容について図25のフローチャート及び図22〜図24に基づいて説明する。
まず、透析治療前(プライミング前)において、図22に示すように、コネクタaとコネクタbとを接続することにより、動脈側血液回路2の先端と静脈側血液回路3の先端とを連結させ、これら動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む)にて血液回路側の閉回路を形成させる。そして、電磁弁V3、V5、V6を開状態(本実施形態においては電磁弁V10、V11も開状態)としつつ他の電磁弁(電磁弁V1、V2、V4、V7〜V9、V12)を閉状態とし、その状態で複式ポンプ7を駆動させることにより、準備運転を行う(S1)。なお、本実施形態においては、一連の接続確認の際、血液回路側の電磁弁V10、V11を常時閉状態としてもよい。
【0090】
そして、準備運転を終了させた後、図23に示すように、複式ポンプ7の駆動を停止させるとともに、電磁弁V5、V6を開状態としつつ他の電磁弁を閉状態とすることにより、閉回路を形成する。その後、除水ポンプ10を逆転駆動させることにより、閉回路形成手段によって形成された閉回路内を加圧(正圧の付与)させる(S2)。すなわち、本実施形態に係る閉回路は、除水ポンプ10を逆転駆動させた際に採取口11に対して圧力(正圧)が付与されるよう、透析液の流路のうち所定の部位を所定の電磁弁により閉塞させて成るもので、本発明の「採取口11が形成された所定部位を含む流路において形成された閉回路」とされている。しかるに、除水ポンプ10の逆転駆動を予め定められた時間行わせることにより、所望の(設定された)液圧上昇を行わせることができる。
【0091】
続いて、図24に示すように、除水ポンプ10の駆動(逆転駆動)を停止させて加圧工程を終了した後、電磁弁V1〜V12の状態を維持しつつ液圧測定手段12で液圧を測定する。ここで、本実施形態に係る液圧測定手段12は、閉回路内に形成されているため、除水ポンプ10(加圧手段)の駆動によって当該閉回路内が液圧上昇すると、それに伴って液圧測定手段12で測定される液圧も上昇することとなる。
【0092】
しかるに、液圧測定手段12で検出される液圧上昇に基づく判定手段18による判定によって、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定する(判定工程S4)。すなわち、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態が良好であれば付与した圧力が閉回路外に漏れることがないことから、加圧工程にて閉回路内の流路を加圧する過程で、その閉回路内の液圧上昇に伴って液圧測定手段12で測定される液圧が顕著に上昇するため、その液圧上昇を検出することにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続状態を判定することができるのである。例えば、所定の液圧上昇が得られた場合、合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が良好)とする一方、所定の液圧上昇が得られなかった場合、不合格判定(採取口11に対する接続ラインL8の接続が不良)とすることができるのである。
【0093】
以上で採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が終了するので、当該接続確認で合格判定とされていれば、その後、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程を行わせる。かかるプライミング工程は、例えばコネクタaとコネクタbとの接続を維持しつつ電磁弁V9を開状態とし、血液ポンプ4を駆動させることにより、採取口11を介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3(ダイアライザ1内の血液が流通する流路を含む))に供給して充填させる工程とされる。なお、接続ラインL8の接続確認で不合格と判定された場合、その後のプライミング工程及び治療工程に移行しないよう制御してもよく、或いは不合格判定である旨の警告(接続が不良である旨の表示や警報音の出力等)を行わせてもよい。
【0094】
本実施形態によれば、第1〜第3実施形態と同様、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段(電磁弁V1〜V12)で閉回路を形成させ、加圧手段(複式ポンプ7)で当該閉回路内を加圧させた後、液圧上昇検出手段(液圧測定手段12)にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を行わせる制御手段16を備えたので、プライミング工程前において、採取口11に対する接続ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができるとともに、当該接続確認を確実且つ精度よく行わせることができる。
【0095】
また、液圧上昇検出手段は、閉回路形成手段で形成される閉回路内の流路に接続された液圧測定手段12から成り、制御手段16は、当該液圧測定手段12にて液圧上昇を検出させることにより採取口11に対する接続ラインL8の接続確認が可能とされたので、加圧手段(複式ポンプ7)による加圧過程で採取口11に対する接続ラインの接続不良を確認することができる。
【0096】
さらに、加圧手段は、第1実施形態と同様、閉回路内を加圧し得る所定のポンプ(本実施形態においては複式ポンプ7)から成るので、閉回路を所望程度まで確実に加圧させることができる。特に、本実施形態においては、閉回路内を加圧し得る所定のポンプは、血液浄化器を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプから成るので、血液浄化治療時に用いられる除水ポンプを加圧手段として流用させることができる。
【0097】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば採取口11が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得る閉回路形成手段を電磁弁V1〜V12に代えて他の手段(流路の開閉を任意に行い得る他の手段)としてもよい。また、閉回路形成手段で形成された閉回路内を加圧可能な加圧手段を複式ポンプ7や除水ポンプ10に代えて他の手段(閉回路外から閉回路内に対して圧力を付与し得る他の手段)としてもよい。さらに、閉回路形成手段で形成された閉回路内の液圧上昇を検出する液圧上昇検出手段は、液圧測定手段12や静脈圧センサ19とは異なる形態のものとしてもよく、或いは上記実施形態とは異なる部位に配設されたものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
採取口が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得る閉回路形成手段と、該閉回路形成手段で形成された閉回路内を加圧可能な加圧手段と、閉回路形成手段で形成された閉回路内の液圧上昇を検出する液圧上昇検出手段と、動脈側血液回路及び静脈側血液回路内に透析液を充填させるプライミング工程前に、閉回路形成手段で閉回路を形成させ、加圧手段で当該閉回路内を加圧させた後、液圧上昇検出手段にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、採取口に対する接続ラインの接続確認を行わせる制御手段とを備えた血液浄化装置であれば、他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1…ダイアライザ(血液浄化器)
2…動脈側血液回路
3…静脈側血液回路
4…血液ポンプ
5…動脈側エアトラップチャンバ
6…静脈側エアトラップチャンバ
7…複式ポンプ
8、9…濾過フィルタ
10…除水ポンプ
11…採取口
12…液圧測定手段(液圧上昇検出手段)
13…補液ポンプ
14…ポンプ
15…チャンバ
16…制御手段
17…記憶手段
18…判定手段
19…静脈圧センサ
20…蓋部材
21…シャフト
22…スプリング
23…マグネット
24…リードスイッチ
25…コネクタ部材
L1…透析液導入ライン
L2…透析液排出ライン
L8…接続ライン
V1〜V12 電磁弁(閉回路形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化膜を内在するとともに当該血液浄化膜にて血液浄化を施す血液浄化器と、
基端が前記血液浄化器に接続され、その途中において血液ポンプが配設された動脈側血液回路と、
基端が前記血液浄化器に接続された静脈側血液回路と、
前記血液浄化器に透析液を導入する透析液導入ラインと、
前記血液浄化器から透析液を排出する透析液排出ラインと、
一端が前記透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続されるとともに、他端が前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続され、当該透析液導入ラインの透析液を前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給させ得る接続ラインと、
を具備した血液浄化装置であって、
前記採取口が形成された所定部位を含む流路において閉回路を形成し得る閉回路形成手段と、
該閉回路形成手段で形成された閉回路内を加圧可能な加圧手段と、
前記閉回路形成手段で形成された閉回路内の液圧上昇を検出する液圧上昇検出手段と、
前記動脈側血液回路及び静脈側血液回路内に前記透析液を充填させるプライミング工程前に、前記閉回路形成手段で閉回路を形成させ、前記加圧手段で当該閉回路内を加圧させた後、前記液圧上昇検出手段にて当該閉回路内の液圧上昇を検出させることにより、前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認を行わせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
前記液圧上昇検出手段は、前記透析液排出ラインに接続された液圧測定手段から成り、前記制御手段は、当該液圧測定手段にて液圧上昇を検出させることにより前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認が可能とされたことを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認の際、前記閉回路形成手段にて閉回路を形成した状態で前記加圧手段にて当該閉回路内を加圧する加圧工程と、該加圧工程の後、前記閉回路を解いて圧力を解放させる解放工程とを行うものとされ、且つ、
前記解放工程前における前記液圧測定手段で測定された液圧、及び解放工程後における前記液圧測定手段で測定された液圧をそれぞれ記憶可能な記憶手段と、
該記憶手段で記憶された解放工程前後の液圧を比較し、前記採取口に対する前記接続ラインの接続状態を判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする請求項2記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記液圧上昇検出手段は、前記閉回路形成手段で形成される閉回路内の流路に接続された液圧測定手段から成り、前記制御手段は、当該液圧測定手段にて液圧上昇を検出させることにより前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認が可能とされたことを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記静脈側血液回路の途中には静脈側エアトラップチャンバが接続され、当該静脈側エアトラップチャンバには静脈圧センサが接続されて成るとともに、前記液圧上昇検出手段は、当該静脈圧センサから成り、前記制御手段は、当該静脈圧センサにて液圧上昇を検出させることにより前記採取口に対する前記接続ラインの接続確認が可能とされたことを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記加圧手段は、前記閉回路内を加圧し得る所定のポンプから成ることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記ポンプは、前記透析液導入ラインと透析液排出ラインとに跨って配設され、透析液を前記血液浄化器に導入させるとともに当該血液浄化器から透析液を排出させる複式ポンプから成ることを特徴とする請求項6記載の血液浄化装置。
【請求項8】
前記ポンプは、血液浄化器を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプから成ることを特徴とする請求項6記載の血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−192101(P2012−192101A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59818(P2011−59818)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】