説明

血管の境界検出システムおよび方法

血管のイメージ上の少なくとも1つの境界(例えば、組織の境界等)を識別するために血管の組織から後方散乱した無線周波数(RF)信号の周波数スペクトルを使用するためにシステムおよび方法が提供される。本発明の実施の形態は、カテーテル経由で計算装置とトランスデューサに電気的に接続されたデータ収集装置(例えば、血管内超音波法(IVUS)装置等)にしたがって動作する。トランスデューサは、血管の組織から後方散乱した無線周波数(RF)データを収集するために使用される。次にRFデータは、データ収集装置経由で計算装置に提供される(または、計算装置により取得される)。本発明の1つの実施の形態では、計算装置は、(1)複数の組織のタイプと、それらに関連するパラメータを格納する少なくとも1つのデータ格納装置(例えば、データベース、メモリ等)および(2)少なくとも1つのアプリケーションを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管のイメージ、より具体的には血管の組織から後方散乱した無線周波数(RF)信号の周波数スペクトルを使用して、対応する血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を同定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は医療イメージング技術に関する。(例えば血管内超音波法(IVUS)イメージ、バーチャルヒストロジー(Virtual Histology(登録商標))イメージ等)血管のイメージ上の境界を同定するシステムおよび方法への特定の用途を本発明は発見した。本発明は、IVUSまたはVHイメージ上の管腔で、中間の外膜の境界を識別する観点で説明していて、本発明を限定しているわけではない。したがって、例えば、任意の血管イメージ上の任意の境界(または境界線)を識別することは、本発明の範囲内にある。
【0003】
患者の体の一部の超音波イメージングは、最良の治療のタイプと治療方法を決定する医療の種々の分野で有用なツールを提供する。患者の冠状血管を超音波技術でイメージングすると、医師に価値ある情報を提供できる。例えば、イメージデータは、患者の狭窄の度合いを示すことができ、病気の進行を示すことができ、血管形成ないしはアテローム切除術などの進行が示されているか否かの決定を支援することができ、より進行が進んでいるか否かが保証できる。
【0004】
典型的な超音波イメージングシステムでは、超音波トランスデューサがカテーテルの端部に取り付けられ、カテーテルは、血管中などのように患者の体を通って関心地点まで注意深く操作される。トランスデューサは、単一部材の水晶またはプローブであって、機械的に走査されるか、あるいは前後に回転させられて、選択された角度の範囲にわたるセクションを対象とする。次に音響信号が伝達され、これらの音響信号からのエコー(または後方散乱)が受信される。後方散乱データは、走査された組織のタイプを識別するために使用できる。プローブがそのセクションをさっと通過すると、セクタの形の患者のイメージを構築して多くの音響線が処理される。データが集められた後で、既知の技術を使用して、血管のイメージ(例えばIVUSイメージ)が再構成できる。次に、このイメージを心臓内科医が視覚的に解析して、血管の構成と血小板の成分を判断する。
【0005】
典型的な解析は、管腔の大きさと血管中の血小板の量を判断するステップを含む。これは、血管のイメージを生成し、臨床医学者が管腔と中間の外膜との境界が位置していると思う場所のイメージ上の体型に合わせた境界を手で描くことにより実施される。
別の言い方をすると、血液と脈管内膜とが接する境界を定める管腔の境界、および中膜と外膜との間の外側の弾力性のある膜または境界の境界を定める中間の外膜の境界が、手書きで描かれて、それらの間に位置する血小板の中膜の複合体を同定する。これはとても時間のかかる方法である。更に、この方法は複数のイメージが解析されるか(例えば血管の3次元イメージを再生成するために)、またはそのイメージの品質が悪いと(例えば境界を見つけるのをより困難にすると)この方法はより困難になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、これらの欠点の少なくとも1つを克服する血管のイメージ上の境界を識別するシステムおよび方法があると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、血管組織から後方散乱する無線周波数(RF)信号の周波数スペクトルを使用して、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を識別するシステムおよび方法を提供する。本発明の実施の形態は、カテーテル経由で計算装置およびトランスデューサに電気的に接続されたデータ収集装置にしたがって動作する。トランスデューサは患者の血管に挿入され、血管の組織から後方散乱した無線周波数(RF)データを集めるために使用される。次にRFデータは、データ収集装置経由で計算装置に提供される(あるいは計算装置により取得される)。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態では、計算装置が少なくとも1つのデータ格納装置(データベース、メモリ等)を含み、少なくとも1つのアプリケーション(例えば、特性化アプリケーション、傾斜境界のアプリケーション、周波数境界のアプリケーション、および/または有効な体型に合わせたアプリケーション)を含む。データ格納装置は、複数の組織のタイプおよび関連するパラメータを格納するために使用される。好ましくは、各組織のタイプが少なくとも一つの対応するパラメータにリンクされるように情報が格納される。
【0009】
本発明の1つの実施の形態では、RFデータ(典型的には時間領域にある)が特性化アプリケーションに提供され、周波数領域に変換される(または変更される)。次に特性化アプリケーションは、変換されたRFデータ(またはその一部)と関連する複数のパラメータを同定するために使用される。次に、同定されたパラメータは、データ格納装置内に格納されたパラメータと比較されて、対応する組織のタイプ(または、解析されたRFデータを後方散乱させた組織のタイプ)を識別する。そのような方法は、例えば、少なくとも境界線に関連した組織のタイプ(例えば、中間、外膜、血小板、血液等)に関連したRFデータ(またはそれらの集合)の複数の部分を識別するために使用できる。
【0010】
本発明のもう1つの実施の形態では、特性化アプリケーションが、さらに、RFデータ(典型的には時間領域)からパラメータを同定するために使用される。RFデータに関連するパラメータは、例えばある周波数(またはそれらに関連するパラメータ)を空間的に識別するために使用できる。したがって、例えば、血管の壁が複数の組織の壁を含むと、対応するRFデータはこれらの組織の位置を同定するために使用することができ、関連する周波数スペクトルは組織のタイプを同定するために使用することができる。
【0011】
同定された組織のタイプおよび対応するRFデータ(またはそれらを変換したもの)(すなわち同定された情報)は、有効な体型に合わせたアプリケーションに提供される。次にこのデータは、血管の対象物のイメージ(例えば、血管内超音波法(IVUS)イメージ、バーチャルヒストロジー(VH)イメージ等)上の少なくとも1つの境界を識別するために使用される。例えば、血液および血小板の組織に関連するRFデータは、血管のイメージ上の管腔の境界を同定(または実質的に近似する)ために使用できる。同様に血小板、中間、および/または外膜の組織に関連するRFデータは、血管のイメージ上の中間の外膜の境界を同定(または実質的に近似する)するために使用できる。
【0012】
本発明のもう1つの実施の形態では、計算装置は、更に、周波数境界アプリケーションを含む。この実施の形態では、特性化アプリケーションは、同定された情報を周波数境界アプリケーションに提供するようになっており、周波数境界アプリケーションは、スペクトル情報を判断するために使用される。次にスペクトル情報が有効な体型に合わせたアプリケーションに提供され、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界(すなわちイメージ−境界データ)を決定するために使用される。本発明の1つの実施の形態では、スペクトル情報が、スペクトルの強度データ、またはイメージ境界データに利用可能な(またはイメージ境界データの構成成分である)周波数基準の強度を表すデータを含む。本発明のもう1つの実施の形態では、スペクトル情報は、スペクトル境界のデータ、または血管のイメージ上の少なくとも1つの境界の予測を表すデータを含む。
【0013】
本発明の1つの実施の形態では、計算装置は更に傾斜境界のアプリケーションを含む。傾斜境界のアプリケーションは、取得したRFデータを使用して、傾斜情報を決定するようになっており、次に傾斜情報は、境界または境界線を識別するために使用できる。これは、画素の色の変化(例えば、明るいから暗い、暗いから明るい、陰影1から陰影2等)が境界の存在を示すからである。本発明のもう1つの実施の形態では、傾斜情報が傾斜強度データ、またはイメージ境界データに利用可能な(またはイメージ境界データの構成成分の)傾斜基準の強度を表すデータを含む。本発明のもう1つの実施の形態では、傾斜情報が傾斜境界のデータ、または血管のイメージ(例えば、IVUSイメージ、VHイメージ等)上の少なくとも1つの境界の予測を表すデータを含む。傾斜境界のデータは、例えば、単独かまたは他の境界に関連する情報(例えば、スペクトル情報等)と共に使用されて、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を決定する。
【0014】
本発明のもう1つの実施の形態では、有効な体型に合わせたアプリケーションが、さらに、他の境界情報を使用して血管のイメージ上の境界を決定するようになっている。言い換えると、もう1つのイメージ上の少なくとも1つの境界に関連する情報(例えば、前のイメージ、後に続くイメージ、複数のイメージ等)が、組織の血管イメージ(すなわち現在の血管イメージ)上の少なくとも1つの境界を決定(または近似)するために使用される。
【0015】
本発明のもう1つの実施の形態では、有効な体型に合わせたアプリケーションが、境界を調節して血管の対象物の実際の境界により正確に一致するように使用できる。これは、連続性データ、曲率データ、および/または関連性データを考慮することにより実行される。
【0016】
本発明の他の実施の形態では、周波数境界アプリケーションは、スペクトル情報を生成するために使用される前に変換されたRFデータを更にフィルタするようになっており、傾斜境界のアプリケーションは、従来のIVUSイメージング技術を使用して取得したRFデータをさらに処理するようになっている。IVUSイメージ上の境界を同定するシステムおよび方法のより完全な理解が、以下の好ましい実施の形態の詳細な説明を考慮することにより追加の効果とそれらの目的の実現と共に当業者に提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明は、血管の組織から後方散乱する無線周波数(RF)信号の周波数スペクトルを使用して、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を識別するシステムおよび方法を提供する。以下の発明を実施するための最良の形態では、同様な部材番号が、1以上の図に示された同様な部材を説明するために使用されている。
【0019】
本発明の実施の形態は、データ収集装置とそれに電気的に接続された計算装置にしたがって動作する。図1は、本発明の1つの実施の形態にかかる血管の境界識別システム10を示す。特に、データ収集コンソール200は、カテーテル210経由で計算装置100およびトランスデューサ220に電気的に接続されている。トランスデューサ220は患者の血管(図示されていない)に挿入され、血管の組織から後方散乱した無線周波数(RF)データを収集するために使用される。次にRFデータはデータ収集装置200に提供され(またはデータ収集装置200により取得され)、データ収集装置200は血管のイメージ(例えば、血管内超音波法(IVUS)イメージ等)を作成するために使用される(または使用できる)。
【0020】
さらに具体的には、RFデータは回転トランスデューサまたは円周に位置するトランスデューサの配列のどちらかにより、典型的にはセグメントで収集され、各セグメントが、得られたイメージの角度部分を表す。したがって、複数のセグメント(またはRFデータの組)を用いて血管の対象物の全段面をイメージ化する。さらに、RFデータの複数の組は、血管の対象物の中の複数の場所から(例えば、トランスデューサを血管経由で線形に移動させることにより)典型的には収集される。次に、これらのデータの複数の組は、複数の2次元(2D)イメージまたは1つの3次元(3D)イメージを作成するために使用できる。データ収集装置200は、IVUSコンソール、サーモグラフィック装置、光学装置(例えば、光コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)コンソール)、MRI装置、または当業者に一般的に知られている全ての血管イメージング装置を含むけれどもそれらに限定されない。さらに、図1に示された計算装置100は、パーソナルコンピュータまたは当業者に一般的に知られている全ての他のデータ処理装置(汎用または特定用途向け)を含むけれどもそれらに限定されない。
【0021】
RFデータ(またはそれらの複数の集合)は計算装置100に提供される(または計算装置100により取得される)。本発明の1つの実施の形態では、計算装置100は、少なくとも1つのデータ格納装置(例えば、データベース130、メモリ150)と複数のアプリケーション(例えば、特性化アプリケーション110、傾斜境界のアプリケーション120、周波数境界アプリケーション140、および/または有効な体型に合わせたアプリケーション160)とを含む。本発明の好ましい実施の形態では、計算装置100に提供された(または計算装置100により取得された)RFデータは、心電図(ECG)情報にゲートで制御されている。ゲートで制御しているRFデータの概念は、2003年8月25日に出願された、米国特許出願第10/647,977で詳細に説明されていて、参照によりその全体がここに組み入れられている。
【0022】
本発明の第1の実施の形態では、複数の組織のタイプ(例えば、中間の、外膜の、血小板、血液等)および関連するパラメータがデータベース130の中に格納される。好ましくは、各組織のタイプがそれらの対応するパラメータにリンクされるように、情報が格納される。そうすることにより、各組織のタイプが、そこにリンクされたパラメータにより識別することができる(または定義することができる)。用語パラメータは、その用語がここで使用されているように最大出力、最小出力、最大および/または最小出力での周波数、y切片(予想されるまたは実際の)、傾き、中間波帯域フィット(mid−band fit)、統合された後方散乱、組織の深さ、および一般的に当業者に知られている(または当業者が認識できる)全てのパラメータ(時間基準または周波数基準のどちらか)を含むけれどもそれらに限定されない。パラメータを取得するために使用される方法またはそれらの組織のタイプとの関係(例えば、科学理論、実験、コンピュータシミュレーション等)は本発明を限定していない。用語組織のタイプは、ここで使用されているように、血液の組織、血小板の組織(例えば、石灰化した組織、繊維状の組織、石灰化して壊死した組織、および繊維状で脂質の組織)、中間の組織、外膜の組織、および一般的に当業者に知られている全ての他の血管の組織またはそれらの組み合わせ(例えば中間の外膜の組織)を含むけれどもそれらに限定されない。ここで示されているデータ格納装置(例えば、データベース130、メモリ150)は、RAM、キャッシュメモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク、光ディスク、リムーバブルディスク、SCSIディスク、IDEハードドライブ、テープドライブ、および一般的に当業者に知られている全ての他のタイプのデータ格納装置(および、RAID装置などのそれらの他の組み合わせ)を含むけれども、それらに限定されない。
【0023】
図1に示されているように、RFデータ(典型的には時間領域)は、特性化アプリケーション110に与えられ、特性化アプリケーション110は周波数領域に変換(または変更)される。次に、特性化アプリケーション110は、変換されたRFデータ(またはそれらの一部)に関連する複数のパラメータを識別するために使用される。次に、識別されたパラメータはデータベース130の中に格納されたパラメータと比較されて、対応する組織のタイプ(または、解析されたRFデータを後方散乱した組織のタイプ)を識別する。そのような方法は、格納された組織のタイプ(例えば中間の、外膜の、血小板、血液等)の各々に関連するRFデータ(またはそれらの集合)の複数の部分を識別するために使用できる。
【0024】
ここで説明している周波数変換は、高速フーリエ変換(FFT)、平均ピリオドグラム(Welch法)、自己回帰パワースペクトル(AR)解析、または一般的に当業者に知られた全ての他の周波数変換またはスペクトル解析の使用を含むけれども、それらに限定されない。RFデータは、リアルタイム(例えば、患者が手術室内にいる間)かまたは一定時間の遅延の後(例えば、CD−ROM等を経由して)かのどちらかに受信される。同定されたパラメータは、(一般的に)格納されたパラメータと関連するべきである。したがって、例えば、信号の予想されるY切片がデータベース130の中に格納され、少なくとも1つの組織タイプにリンクされていると、予想されるY切片パラメータが同定される。
【0025】
本発明の第2の実施の形態では、特性化アプリケーション110が、RFデータ(典型的には時間領域)からのパラメータを同定するためにさらに使用される。例えば、ある周波数(またはそれらに関連するパラメータ)を空間的に同定するために、RFデータに関連するパラメータ(またはそれらの一部)が使用できる。したがって、例えば、血管の壁が複数の組織の層を含むと、対応するRFデータが、これらの組織の位置を同定するために使用でき、関連する周波数スペクトルは、組織のタイプを同定するために使用できる。組織のタイプを識別するパラメータの使用は、2001年3月13日に特許になっている米国特許第6,200,268号、および2003年3月13日に出願された米国特許出願第10/647,971に詳細に説明されており、参照によりそれらの全体がここに組み込まれている。
【0026】
本発明の実施の形態のいずれかにおいて、RFデータ(またはそれらを変換したデータ)および同定された組織のタイプ(それらの間の関連性も含む)が、有効な体型に合わせたアプリケーション160に提供される。次に、このデータは、血管の対象物のイメージ(例えば、血管内超音波法(IVUS)イメージ、バーチャルヒストロジー(VH)イメージ等)上の少なくとも1つの境界を同定するために使用される。例えば、血液および血小板の組織に対応するRFデータは、血管イメージ上の管腔の境界を識別(または実質的に近似)するために使用できる。同様に、血小板、中間、および/または外膜の組織に対応するRFデータは、血管のイメージ上の中間の外膜の境界を識別(または実施的に近似)するために使用できる。
【0027】
本発明は血管のイメージ上のどの特定の境界(または境界線)の識別にも限定されず、一般的に当業者に知られている全ての境界を含む。ここに示していて説明しているアプリケーション(例えば、特性化アプリケーション110、傾斜境界のアプリケーション120、周波数境界アプリケーション140、有効な体型に合わせたアプリケーション)は、ローカルおよび/またはリモートに格納された1つのアプリケーションとして、または複数のアプリケーションとして存在できる。図1に示された較正要素の数および位置は、本発明を限定することを意図しておらず、本発明が実施できる環境を示すだけのために提供している。したがって、例えば、1つのデータ格納装置および/またはリモートに位置する特性化アプリケーション(部分的にまたは全体として)を備えた計算装置は、本発明の範囲内である。
【0028】
本発明のもう1つの実施の形態では、計算装置100は、周波数境界アプリケーション140をさらに含む。この実施の形態では、特性化アプリケーション110が、RFデータ(またはそれらを変換したもの)と同定された組織のタイプ(それらの間の関連性を含む)とを周波数境界アプリケーション140に提供するようになっていて、周波数境界アプリケーション140はスペクトル情報を判断するために使用される。次にスペクトル情報が有効な体型に合わせたアプリケーション160に提供され、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界(すなわちイメージ境界データ)を判断するために使用される。
【0029】
本発明の1つの実施の形態では、スペクトル情報がスペクトル強度データを含む。スペクトル強度データは、特性化アプリケーション110により提供される情報に(直接的または間接的のいずれかで)基づき、イメージ境界データ(またはその構成成分)に応用できる周波数基準の強度を表す。スペクトル強度データは、例えばイメージ境界データ(例えば有効な体型に合わせたアプリケーション160により決定されるように)を決定または絞り込むために使用できる。言い換えると、スペクトル強度データは、血管のイメージ上の境界を決定するために他の境界に関連する情報と共に使用することができ、境界に関連する情報(例えば外部の力として)を使用して決定された境界に適用できる。したがって、得られた境界は、少なくとも部分的に、スペクトル強度のデータに基づく。
【0030】
本発明の1つの実施の形態では、スペクトル強度のデータは引力フィールドまで解析され、そのフィールド内では、強度(またはフィールド)が境界を与えられた方向に引きつけるために使用されるか、または与えられた形状を維持するために使用される。この実施の形態では、力の強さ(または引力の引っ張り)は、境界に関連する組織のタイプに対応するRFデータの関連性に直接的に比例する。
【0031】
本発明のもう1つの実施の形態では、スペクトル情報がスペクトル境界データを含む。スペクトル境界データは、特性化アプリケーション110により提供される情報に基づき(直接的にかまたは間接的にかのいずれかにより)、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界の予想を表す。例えば、スペクトル境界データが、イメージ境界データを判断するために(例えば、有効な体型に合わせたアプリケーション160により判断されるように)、単独で、または他の境界に関連する情報と共に使用できる。用語スペクトル情報は、その用語がここで使用されているように、スペクトル強度データおよび/またはスペクトル境界データに限定されないけれど、取得したRFデータのスペクトル解析から得られるどのデータもさらに含む。
【0032】
本発明のもう1つの実施の形態では、周波数境界アプリケーション140が、スペクトル情報を生成するために使用される前に、変換されたRFデータをさらにフィルタリングするようになっている。特に、本発明の1つの実施の形態では、血管対象物の一部が選択される。次に、対応する変換されたRFデータおよびデータベース130に格納された情報は、それらのデータおよび情報に関連する組織のタイプを同定するために使用される。次に量の少ない組織のタイプはフィルタリングで除かれる。これは、例えば、量の少ない組織のタイプに関連するRFデータを再評価することにより、達成することができ、量の多い組織のタイプに関連するようになる。例えば、対応するRFデータの第1の部分(または95%)が血液の組織に関連し、対応するRFデータの第2の部分(または5%)が血小板の組織に関連すると、第2の部分が、血液の組織に関連するように、再評価される(すなわち均質な組織を構成する)。しかし、本発明がそのようなフィルタリングアルゴリズムに限定されず、一般的に当業者に知られている全ての他のフィルタリングアルゴリズムを含む。
【0033】
図1を参照すると、本発明の1つの実施の形態では、計算装置100は、傾斜境界のアプリケーション120をさらに含む。傾斜境界のアプリケーション120は、取得したRFデータを使用して、傾斜情報を判断するようになっており、次に、境界情報は境界または境界線を識別するために使用できる(例えば、少なくとも1つの境界を予想する傾斜境界のアプリケーション120を使用し、有効な体型に合わせたアプリケーションに提供され、イメージ境界データを判断するためにスペクトル情報と共に使用される)。これは、ピクセルの色の変化(例えば、明暗、暗明、陰影1から陰影2等)により、境界の存在が示されるからである。
【0034】
例えば、図2は、血管の対象物の典型的なIVUSイメージ20を示す。中央から開始して、外方向に作用すると、カテーテルは第1の明暗遷移(または、傾斜)により識別できる。カテーテルの境界は図3(すなわち330)でさらに識別される。図2を参照し、続けて外方向へ移動すると、次の暗明遷移(または傾斜)は管腔の境界を識別する(図3の320参照)。次に、管腔の境界から外方向に次の暗明遷移(または傾斜)が見つかるまで移動すると、中間の外膜の境界が識別できる(図3の310参照)。IVUSイメージがグレースケールを使用して構築されるので、アルゴリズムおよび/または少なくとも1つの閾値を利用して、どこでイメージが明暗に変化したか(または暗明に変化したか)を識別する必要がある可能性がある。しかし、本発明は、前記の遷移を識別するどの特定のアルゴリズムにも限定されず、一般的に当業者に知られている全てのアルゴリズム(および/または閾値)を含む。
【0035】
本発明のもう1つの実施の形態では、傾斜境界アプリケーション120は、従来のIVUSイメージング技術を使用して、取得したRFデータをさらに処理するようになっている。例えば、傾斜境界のアプリケーション120は、RFデータをフィルタリングするようになっていてもよく、当該部分を検出する(包絡線検出等)ようになっていてもよく、それらの内のどの部分の調子を変えるようになっていてもよい(例えば、補整、対数圧縮等)。そのような技術は、全て当業者によく知られている。次に得られるデータは、IVUSイメージを生成するため、または傾斜情報を判断するために使用できる。
【0036】
本発明の1つの実施の形態では、傾斜情報が傾斜強度データを含む。傾斜強度のデータはIVUSイメージ内の傾斜に(直接的にかまたは間接的にかのいずれかにより)基づき、イメージ境界データに利用可能な(または、そのコンポーネントである)傾斜に基づいた強度を表す。言い換えると、傾斜強度のデータは、血管のイメージ上の境界を判断するために他の境界に関連する情報と共に使用することができ、境界に関連する情報を使用して判断される(例えば、外部の力として)境界に適用することができる。したがって、得られる境界は、少なくとも部分的に、傾斜強度データに基づく。
【0037】
本発明の1つの実施の形態では、傾斜強度のデータは、引力フィールドまで解析できて、そこでは、強度(またはフィールド)が、境界を与えられた方向に引きつけるかまたは与えられた形状を維持するために使用される。この実施の形態では、強度(または引力の引っ張り)は、IVUSイメージ(またはその中での遷移)の中での傾斜に直接的に比例する。
【0038】
本発明のもう1つの実施の形態では、傾斜情報が傾斜境界データを含み、傾斜境界データは、IVUSイメージの中の傾斜に(直接的にかまたは間接的にかのいずれかにより)基づき、血管のイメージ(例えば、IVUSイメージ、VHイメージ等)上の少なくとも1つの境界の予想を表す。傾斜境界データは、血管のイメージ上に少なくとも1つの境界を決定するために、例えば単独で、または他の境界に関連した情報(例えば、スペクトル情報等)と共に使用できる。用語境界情報は、その用語がここで使用されているように、傾斜強度のデータおよび/または傾斜境界のデータに限定されないけれども、IVUSイメージ内の傾斜の解析から得られるどのデータもさらに含む。
【0039】
本発明のもう1つの実施の形態では、有効な体型に合わせたアプリケーション160は、さらに他の境界情報を使用した血管のイメージ上の境界を判断するようになっている。言い換えると、もう1つのイメージ(例えば、前のイメージ、後に続くイメージ、複数のイメージ等)の上の境界に関連する情報は、未解決の血管のイメージ(すなわち、現在の血管のイメージ)上の少なくとも1つの境界を判断(または近似)するために使用される。
【0040】
例えば、本発明の1つの実施の形態では、境界検出アルゴリズム160は、もう1つのイメージの境界上の少なくとも1つの基準点を識別するようになっている。図3および図4を参照すると、境界検出アルゴリズムは、例えば、管腔の境界320上の複数の基準点22を識別するために使用できる。図4に示されている場所と基準点の数は、本発明を限定することを意図しておらず、本発明が動作できる環境を示すためにのみ提供している。代わりの実施の形態では、有効な体型に合わせたアプリケーション160が、ユーザが識別した基準点を使用して、境界を識別するようになっている。そのような実施の形態は、2002年4月30日に特許になった米国特許第6,381,350号に詳細に説明されていて、参照によりその全体がここに組み入れられている。
【0041】
図1を参照すると、一旦境界と基準点がもう1つのイメージ上で識別され、有効な体型に合わせたアプリケーション160が現在の血管のイメージ上の少なくとも1つの基準点を識別するために使用できる。本発明の1つの実施の形態では、これは、前に識別された基準点を現在の血管のイメージに対して推定することにより実施される。これを実施することにより、複数の2次元イメージ(または少なくとも1つの3次元イメージ)が生成できる。例えば図5に示されているように、複数の2次元イメージ(例えば、20、52a−52d等)が、管状の(例えば血管の)対象物50を生成するために使用される。メモリ装置150(図1参照)は、この実施の形態に関連する情報(例えば、もう1つのイメージ上の境界、そのような境界上の基準点、推定される基準点、得られるイメージ境界データ等)を格納するために使用できる。
【0042】
図6は、識別された基準点が、どのように現在の血管のイメージに対して推定できるかに関する1つの方法を示す。特に、図4に示されている基準点(すなわち、22)は現在のイメージ(例えば、52d)に対して推定される(またはコピーされる)ので、基準点の第2の組62を作成する。本発明の1つの実施の形態では、デカルト座標を使用して基準点が推定される。図6は隣接するイメージに対して推定された基準点を示しているけれども、本発明はそれだけに限定されない。したがって、基準点を追加のイメージ(例えば、52c、52b、等)に対して(または追加のイメージから)抽出するステップは、本発明の範囲内にある。
【0043】
一旦、基準点が推定されると、有効な体型に合わせたアプリケーション160は、さらに、推定された点に基づく境界を識別(または近似)するようになっている。例えば、図6に示されているように、推定された点62は複数の線64を使用して連結されていてもよく、これらの線は直線でも曲線(図示されていない)でもよい。本発明のもう1つの実施の形態では、推定アプリケーションはアルゴリズム(例えば、三次保管法アルゴリズム等)を使用して線の形状を識別するようになっている。境界の推定は、2003年8月26日に出願された米国特許出願第10/647,473号に詳細に説明されていて、参照によりその全体がここに組み入れられている。
【0044】
次に、図1を参照すると、有効な体型に合わせたアプリケーション160は、境界を調節して、血管の対象物の実際の境界により接近して一致させるために使用される。そのように実施するに当たって、有効な体型に合わせたアプリケーション160は、少なくとも(1)推定された点の各々への境界の近接位置(すなわち、連続性または基準点要素)、(2)境界の屈曲度または平滑度(すなわち、屈曲度または境界線要素)、および/または(3)複数の境界の間の関係(すなわち、関連性要素)を考慮してもよい。例えば、連続性または基準点要素を考慮することにより、境界が、推定された点の各々を通るように調整できる。屈曲度または境界要素を考えることにより、境界が急激に遷移する(例えば角等)のを防ぐように調整できる。さらに、関連性要素を考慮することにより、複数の境界の互いの関係を調整できる(例えば、管腔の境界は、常に、中間の外膜の境界の内部に位置できる等)。
【0045】
本発明の1つの実施の形態では、これらの3つの要素は、隣接するイメージ上の関連する境界を判断するためにも使用される。複数の要素が考慮されると、個々の要素に、他の要素よりも重要度をもたせることができる。これらの要素により異なる結果が生成されると、これは重要になる。本発明は、境界の最適化のための前記の要素の使用に限定されず、境界を調整するための追加の要素の使用は本発明の範囲内にある。
【0046】
本発明の1つの実施の形態では、調整された境界は、手書きで修正される。言い換えると、境界上の少なくとも1つの点が選択でき、手書きで新しい場所に移動させられる。次に、有効な体型に合わせたアプリケーション160が、その結果、境界を再構築するために使用される。本発明のもう1つの実施の形態では、有効な体型に合わせたアプリケーション160が、隣接したイメージ内の関連する境界をさらに調整するようになっている。複数の関連する境界の表面上(複数のIVUS表面上に同定されるよう)に幾何学的モデル(例えば、テンソル積B−スプライン)を適用することにより実施される。次に、幾何学的モデル上の複数の点は、不自然な最小二乗法連立方程式にパラメータ化および定式化される。境界上の一点が、手書きで移動させられると、有効な体型に合わせたアプリケーションは、得られる表面(または、基準点の網)を計算するためにこれらの方程式を利用できる。次に、影響を受けた境界(例えば、隣接した境界)は、その結果、調整できる。
【0047】
一旦、境界が十分に調整されると、前記の方法は追加の境界を識別するために繰り返されてもよい。本発明の代わりの実施の形態では、複数の境界(例えば、管腔および中間の外膜の境界)は、同時に識別される。言い換えると、例えば、有効な体型に合わせたアプリケーション160は、血管のイメージ上の1つの境界を識別するために使用(例えば、開始)して、血管のイメージ上のもう1つの境界を識別するために連続して使用することを要求するか、または、血管のイメージ上の複数の境界を識別するために使用(例えば、開始)されるかのどちらかであってもよい。後者の場合、複数の境界が実質的に同時に識別される。次に、複数の境界は、イメージをつくられ(2次元または3次元のいずれかで)、熟達した開業医かまたはコンピュータアルゴリズムのいずれかにより解析される。例えば、図7に示されているように、管腔の境界74および中間の外膜の境界76は、血管対象物の血小板中膜複合体78を識別するために使用(臨床医学者またはアルゴリズムのいずれかにより)できる。
【0048】
血管イメージ上の境界を識別する1つの方法は、図8に示されている。特に、ステップ800において、血管の組織から後方散乱したRFデータが取得される。次にRFデータが、ステップ810とステップ820の各々において、(1)時間領域から周波数領域に変換され、(2)従来のIVUSイメージング技術を使用して処理される。変換されたRFデータに関して、複数のパラメータがステップ812において同定され、ステップ814において、格納されたパラメータと比較されて複数の組織のタイプを識別する。ステップ816において、少なくとも(例えば、境界に関連した)当該組織タイプに対応するRFデータ(またはそれらを変換したデータ)が、識別される。次に、対応するRFデータは、ステップ818において、スペクトル情報(例えば、スペクトル強度データ、スペクトル境界データ等)を判断するために使用される。
【0049】
IVUSデータに関して、ステップ822において、傾斜情報(例えば、傾斜強度データ、傾斜境界データ等)を判断するために傾斜が使用される。ステップ824において、他の境界データ(例えば、少なくとも1つの他のイメージ上の少なくとも1つの境界に関連するデータ)は、現在の血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を近似するために使用される。ステップ826において、傾斜情報およびスペクトル情報が、現在の血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を変更するために使用され、ステップ828においてこの方法が終了する。本発明は、図8に示されている方法に限定されず、一般的にここで説明および提案され、当業者が認識できる全ての実施方法をさらに含む。例えば、スペクトル情報のみを使用して、血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を判断する方法は、本発明の範囲内である。
【0050】
したがって、血管のイメージ上の境界を識別するシステムおよび方法の好ましい実施の形態を説明すると、このシステムのある効果が達成される。種々の変更、適用、およびそれらの代わりの実施の形態は、本発明の範囲内にある。本発明は添付の請求の範囲により、さらに定められる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の1つの実施の形態にかかる血管の境界識別システムを示す図
【図2】典型的な血管内超音波法(IVUS)イメージを示す図
【図3】IVUSイメージに共通の複数の境界を示す図
【図4】IVUSイメージの1つの強化以上の複数の制御地点を示す図
【図5】複数の2次元血管にイメージから3次元血管イメージを生成するために使用できる方法を示す図
【図6】図4に示されたイメージから制御地点をもう1つのイメージ上に推定できる方法を示す図
【図7】管腔の境界線、中間の外膜の境界線、およびそれらの間に位置する血小板成分を含む血管のイメージを示す図
【図8】本発明の1つの実施の形態にかかる血管の対象物の境界を識別する方法を示す図
【符号の説明】
【0052】
10 境界識別システム
20 IVUSイメージ
22 基準点
50 管状の対象物
62 基準点の第2の組
64 線
74 管腔の境界
76 中間の外膜の境界
78 血小板中膜複合体
100 計算装置
210 カテーテル
220 トランスデューサ
310 中間の外膜の境界
320 管腔の境界
330 カテーテルの境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の対象物のイメージ上の境界を識別する方法であって、
血管の組織から後方散乱したRFデータを取得するステップ;
上記RFデータを周波数領域に変換するステップ;
上記の変換されたRFデータの複数のパラメータを識別するステップ;
上記血管の組織の血液部分および非血液部分の各々に対応する上記の変換されたRFデータの少なくとも第1および第2の部分を同定するために、上記の複数のパラメータと前に格納したデータとを使用するステップ;および
上記の変換されたRFデータの上記第1および第2の部分にしたがって、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記境界を判断するステップ
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、上記血管の組織の上記第2の部分が、上記血管の組織の血小板部分に対応する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、上記境界を判断する上記ステップが、上記の変換されたRFデータの上記第1および第2の部分にしたがって、上記血管の対象物の上記イメージ上の管腔の境界を判断するステップをさらに含む方法。
【請求項4】
(1)上記の変換されたRFデータの少なくとも第1および第2の部分を同定するために、上記複数のパラメータおよび前に格納されたデータを使用するステップおよび(2)上記境界を判断するステップから成る請求項3に記載の方法であって、
上記血管の組織の少なくとも第3の組織のタイプに対応する上記の変換されたRFデータの少なくとも第3の部分を識別する上記複数のパラメータおよび前に格納されたデータを使用するステップであり、上記第3の組織のタイプが、中間の組織および外膜の組織からなる組織のタイプのリストから選択されるステップ;および
上記の変換されたRFデータの上記第2および第3の部分にしたがって、上記血管の対象物の上記イメージ上の中間の外膜の境界を判断するステップ
をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、上記第3の組織のタイプが中間および外膜の組織の両方に対応する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、上記RFデータから得られる傾斜情報にしたがって、上記境界を判断する上記ステップが、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記境界を判断するステップをさらに備える方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記境界を近似するために、上記血管の対象物の少なくとも1つの他のイメージのうちの他の境界のデータを使用するステップをさらに備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、上記境界を判断する上記ステップが、上記RFデータから得られた傾斜情報にしたがって、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記境界を判断するステップをさらに備える方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、上記傾斜情報が、傾斜強度データおよび傾斜境界データをさらに含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、上記の変換されたRFデータの上記第1および第2の部分が、上記境界を判断するために使用される前に、上記の変換されたRFデータの上記第1および第2の部分をフィルタリングするステップをさらに含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、フィルタリングする上記ステップが、上記変換されたRFデータの上記第2の部分のイメージ内に見ることができる非血液の粒子の量を減らすために、上記の変換されたRFデータの上記第2の部分をフィルタリングするするステップをさらに備える方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、フィルタリングする上記ステップが、上記変換されたRFデータの上記第1の部分のイメージ内に見ることのできる組織のタイプの数を減らすために、上記変換されたRFデータの上記第1の部分をフィルタリングするステップをさらに含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、上記境界を判断する上記ステップが、上記の変換されたRFデータから得られるスペクトル強度データおよびスペクトル境界データにしたがって、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記境界を判断するステップをさらに含む方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、上記境界を判断する上記ステップが、連続性アルゴリズム、屈曲性アルゴリズム、および関連性アルゴリズムから成るアルゴリズムのリストから選択される少なくとも一つのアルゴリズムにしたがって、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記境界を判断するステップをさらに含む方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、上記RFデータを変換する上記ステップが、上記RFデータを自己回帰(AR)周波数強度スペクトルに変換するステップをさらに含む方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、複数のパラメータを同定する上記ステップが、上記の変換されたRFデータの少なくとも1つのパラメータを同定するステップをさらに含み、上記少なくとも1つのパラメータが、最大出力、最小出力、最大出力における周波数、最小出力における周波数、y切片、中間波帯域フィット、および一体型後方散乱装置から選択される方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、RFデータを取得する上記ステップが、上記血管の組織から後方散乱し、心電図(ECG)情報にゲートで制御されているRFデータを取得するステップをさらに含む方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、上記変換されたRFデータの複数のパラメータを同定する上記ステップが、上記RFデータの少なくとも1つのパラメータを同定するステップをさらに含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、上記RFデータの上記少なくとも1つのパラメータが、組織の深さを含む方法。
【請求項20】
データ収集装置に電気的に接続されるようにして、血管の組織から後方散乱されたRFデータを上記データ収集装置RFから取得するようにした上記計算装置を備えた境界識別システムであって、
複数のパラメータおよび複数の対応する組織のタイプを格納するデータベース;
上記RFデータを周波数領域に変換するようにして、上記の変換されたRFデータに関連する複数のパラメータを同定するようにして、上記血管の組織の少なくとも2つの組織のタイプを識別するために上記データベースに格納された上記複数のパラメータおよび情報を使用するようにして、上記の変換されたRFデータの一部が上記少なくとも2つの組織のタイプに対応し、上記データベースに電気的に接続された特性化アプリケーション;
傾斜情報を決定するために上記RFデータを使用するようにした傾斜境界アプリケーション;
スペクトル情報を判断するために上記の変換されたRFデータの少なくとも上記部分を使用するようにした周波数境界アプリケーション;および
上記血管の組織を含む血管の対象物のイメージ上の少なくとも1つの境界を判断するために、上記傾斜情報および上記スペクトル情報を使用するようにした有効な体型に合わせたアプリケーション
を上記計算装置が含むシステム。
【請求項21】
請求項20に記載の境界識別システムであって、他の境界情報を格納するメモリ、上記他の境界情報を使用する上記有効な体型に合わせたアプリケーション、上記少なくとも1つの境界を判断する上記傾斜情報および上記スペクトル情報をさらに含むシステム。
【請求項22】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記データ収集装置が血管内超音波法(IVUS)コンソールを含むシステム。
【請求項23】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記データベースが、さらに少なくとも1つのパラメータを格納するようにして、上記少なくとも1つのパラメータが、最大出力、最小出力、最大出力での周波数、最小出力での周波数、y切片、傾斜、中間波帯域フィット、および一体型後方散乱装置から成るパラメータのリストから選択されるシステム。
【請求項24】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記データベースが、上記複数のパラメータの一部を、上記複数の組織のタイプの1つにさらにリンクするようにして、上記複数の組織のタイプの上記1つが、血液と血小板とから成る組織のタイプのリストから選択されるシステム。
【請求項25】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記少なくとも2つの組織のタイプが血液と血小板の組織を含むシステム。
【請求項26】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記少なくとも2つの組織のタイプが、血小板、中間、および外膜の組織から成る組織のタイプのリストから選択されるシステム。
【請求項27】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記傾斜情報が、傾斜境界データをさらに含み、上記有効な体型に合わせたアプリケーションが、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記少なくとも1つの境界を判断するために上記傾斜境界データをさらに使用するようにして、上記傾斜境界のデータが、上記RFデータに基づき、上記少なくとも1つの境界の近似を表すシステム。
【請求項28】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記スペクトル情報はスペクトル境界データをさらに含み、上記有効な体型に合わせたアプリケーションは、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記少なくとも1つの境界を判断するために上記スペクトル境界データを使用するようにして、上記スペクトル境界データは、上記の変換されたRFデータの少なくとも上記部分に基づき、上記少なくとも1つの境界の近似を表すシステム。
【請求項29】
請求項21に記載の境界識別システムであって、上記他の境界情報が、上記血管の対象物の少なくとも1つの後に続くイメージからの少なくとも1つの境界に対応するシステム。
【請求項30】
請求項21に記載の境界識別システムであって、上記他の境界情報が、上記血管の対象物の複数のイメージからの複数の境界に対応するシステム。
【請求項31】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記有効な体型に合わせたアプリケーションが、上記少なくとも1つの境界の連続性および屈曲度を考慮することにより、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記少なくとも1つの境界をさらに判断するようにしたシステム。
【請求項32】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記有効な体型に合わせたアプリケーションが、上記血管の対象物の上記イメージ上の管腔および中間の外膜の境界をさらに判断するようにしたシステム。
【請求項33】
請求項32に記載の境界識別システムであって、上記管腔の境界が上記中間の外膜の境界の常に内側であるように、上記有効な体型に合わせたアプリケーションが、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記管腔および中間の外膜の境界をさらに判断するようにしたシステム。
【請求項34】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記傾斜情報が傾斜強度データをさらに備え、上記有効な体型に合わせたアプリケーションが、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記少なくとも1つの境界を判断するために、さらに上記傾斜強度データを使用するようにしたシステム。
【請求項35】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記スペクトル情報がスペクトル強度データをさらに備え、上記有効な体型に合わせたアプリケーションが、上記血管の対象物の上記イメージ上の上記少なくとも1つの境界を判断するために上記スペクトル強度データをさらに使用するようにしたシステム。
【請求項36】
請求項20に記載の境界識別システムであって、上記特性化アプリケーションが、上記RFデータに関連する少なくとも1つのパラメータをさらに同定するようにしたシステム。
【請求項37】
請求項36に記載の境界識別システムであって、上記RFデータに関連する上記少なくとも1つのパラメータが組織の深さを含むシステム。
【請求項38】
血管のイメージ上の少なくとも1つの境界を識別する方法であって、
血管の組織から後方散乱されたRFデータを取得するステップ;
上記RFデータを周波数領域に変換するステップ;
上記の変換されたRFデータの少なくとも1つのパラメータを同定するステップ;
上記少なくとも1つの組織のタイプとそれに対応する変換されたRFデータ(対応するRFデータ)を同定するために、上記少なくとも1つのパラメータと前に格納されたデータとを使用するステップ;
上記血管のイメージ上の上記少なくとも1つの境界線を貫く傾斜情報を判断するために上記RFデータを使用するステップ;および
上記血管のイメージ上の上記少なくとも1つの境界を判断するために、少なくとも1つの上記傾斜情報と、上記対応するRFデータとを使用するステップ
を含む方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、少なくとも1つの上記傾斜情報と、上記対応するRFデータとを使用する上記ステップが、上記血管のイメージ上の上記少なくとも1つの境界線を判断するために、少なくとも上記傾斜情報と上記変換されたRFデータとを使用するステップをさらに含む方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法であって、上記少なくとも1つのパラメータが、最大出力、最小出力、最大出力時の周波数、最小出力時の周波数、y切片、傾斜、中間波帯域フィット、および一体型後方散乱装置からなるパラメータのリストから選択される方法。
【請求項41】
請求項38に記載の方法であって、上記傾斜情報と上記対応するRFデータとを使用する上記ステップが、上記血管のイメージ上の上記少なくとも1つの境界線を判断するために、他の境界線データを使用するステップをさらに含む方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、スペクトル強度データとスペクトル境界線データとを判断するために上記対応するRFデータを使用するステップをさらに含み、少なくとも上記スペクトル強度データ、上記スペクトル境界線データ、および上記傾斜情報が、上記血管のイメージ上の上記少なくとも1つの境界線を判断するために使用される方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法であって、傾斜強度データおよび傾斜境界データを判断するために上記傾斜情報を使用するステップをさらに含み、少なくとも上記傾斜情報データ、上記傾斜境界線データ、および対応するRFデータが、上記血管のイメージ上の上記少なくとも1つの境界線を判断するために使用される方法。
【請求項44】
請求項42に記載の方法であって、傾斜強度データと傾斜境界データとを判断するために上記傾斜情報を使用するステップをさらに含み、少なくとも上記傾斜強度データ、上記スペクトル強度データ、上記傾斜境界データ、および上記スペクトル境界データが、上記血管のイメージ上の少なくとも1つの境界線を判断するために使用される方法。
【請求項45】
請求項42に記載の方法であって、上記対応するRFデータが、上記スペクトル強度データと上記スペクトル境界線データとを判断するために使用される前に、上記対応するRFデータをフィルタリングするステップをさらに含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−526083(P2007−526083A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501859(P2007−501859)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/006159
【国際公開番号】WO2005/091885
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(500064708)ザ クリーブランド クリニック ファウンデーション (12)
【Fターム(参考)】