説明

血管の障害を治療するための組成物、システムおよび方法

動脈瘤を形成している弱くなった壁を持つ大脳動脈などの障害を有する血管構造を治療するための方法およびシステムが提供される。当該方法は、血管障害内のある量の血液を実質的に閉じ込めるステップと、ある量の架橋剤を、例えば溶液として閉じ込めた血液の中へ導入するステップを含む。架橋剤は化合物であって、化合物のそれぞれの分子が少なくとも2つの求核反応性の官能基を有する。架橋剤は、実質的に閉じ込められた血液と混合して反応できるようになり、架橋した血液でできている実質的に固体である塊が障害内で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して医療方法に関し、さらに具体的には、動脈瘤および血管構造の他の障害の治療に有用な方法、構成およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くのカテーテルを用いた血管内介入手順が一般的になってきている。例えば、心臓、末梢および神経血管の疾病を治療するために血管形成およびステントグラフト留置術が使用されている。ステント移植は胸部および腹部大動脈瘤を治療するために使用される。また、血管内塞栓術は、血管からの出血を制御し、腫瘍への血液供給を閉塞し、血管動脈瘤、特に頭蓋内動脈瘤を閉塞するために使用されている。典型的には、脳動脈瘤の治療を意図した塞栓手順では、プラチナコイルが血管動脈瘤を含む身体全体にわたる血管構造を閉塞するために使用される。
【0003】
血管壁中の薄いまたは弱い部位が拡張するときに、血管動脈瘤が形成され、ひいては破裂する可能性を伴う健康上のリスクがもたらされる。動脈瘤はどんな血管にも生じるが、大部分が大動脈と大脳動脈に生じる。動脈瘤形成の病因は完全には理解されていないが、流体力学、アテローム性動脈硬化の血管変性、血管外傷、感染、喫煙、高血圧、および血管変性につながる他の原因の影響と関連があると思われる。治療しないでおくと、動脈瘤は漸進的な血管拡張につながり、血栓形成は脳卒中または他の血管閉塞、血管破裂、ショック状態、および最終的には死につながる可能性がある。
【0004】
いくつかの異なる治療のモダリティが、血管動脈瘤の血管内閉塞に採用されてきた。例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Dormandy Jr.らへの特許文献1は、血管内カテーテルによって動脈瘤部位に供給された取り外し可能なバルーンを採用する血管塞栓システムについて説明している。バルーンはカテーテルの先端で動脈瘤へ運ばれ、動脈瘤を閉塞するために凝固流体(典型的に重合可能な樹脂またはゲル)を使用して動脈瘤の内部で膨張させられる。その後、バルーンはカテーテルを静かに牽引することによってカテーテルから取り外される。Dormandy Jr.らにより説明されたようなバルーンタイプの塞栓装置は、動脈瘤の多くのタイプの有効な閉塞を提供することができる一方で、凝固流体が固まった後では、該装置を取り出すまたは動かすことが困難となり得る。さらに、該装置は視覚化するのが難しい。その上に、膨張中のバルーンの破裂、およびカテーテルからバルーンの取り外しが早過ぎるというリスクがある。
【0005】
近年、取り外し可能なプラチナコイルは、動脈瘤、瘻孔、動静脈奇形および血管などの脳血管構造を治療するために広く使用されるようになった。プラチナコイルは、血管構造中のうっ血および血栓形成を引き起こす。いくつかの構造では、プラチナコイルは望ましい患者予後を達成する。例えば、小さな頚を有する小さな動脈瘤では、プラチナコイルは極めて有効である。しかしながら、大きい、頚の広い、または紡錘状の動脈瘤では、プラチナコイルの予後は最適ではない。例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Guglielmiらの特許文献2に開示される装置など、これらの装置のうちのいくつかでは、螺旋形状などの二次的構造またはいくつかの類似の外形を有する。これらの装置は、動脈瘤の内部で配置されると、三次元の非最小のエネルギー状態の構造を形成するが、それらは、時間とともに最小のエネルギー状態の構造に戻る傾向を示した。言い換えると、これは「コインスタッキング」(すなわち、二次的ならせん構造に戻る)により圧縮をもたらし、それによって、動脈瘤の再疎通を可能にする。
【0006】
さらなる発展型は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Greeneらの特許文献3に説明されている。Greeneらは、線維状のキャリアの長さに沿って開放不可能なように運ばれる、1つ以上の拡張可能で親水性の塞栓要素を含む塞栓装置を説明している。
【0007】
他の手法は、液体ポリマーの塞栓剤を閉塞すべき血管部位の中へ直接注入することである。直接注入技術に使用される液体ポリマーの1つのタイプは、液体として標的部位に供給され、その後その場で重合される、シアノアクリレート樹脂、特にイソブチルシアノアクリレートなどの急速に重合される液体である。あるいは、キャリア溶液からの標的部位で沈殿する液体ポリマーが使用されてきた。このタイプの塞栓剤の一例は、三酸化ビスマスと混合され、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解された酢酸セルロースポリマーである。別のタイプはDMSOに溶解されたエチレンビニルアルコールである。血液に接触することで、DMSOは外に拡散し、ポリマーは外に沈殿し、動脈瘤の形状に一致する塞栓の塊に急速に固まる。この「直接注入」法で使用される他の物質の例は、Pasztorらへの特許文献4、Leshchinerらへの特許文献5、Itoらへの特許文献6、およびGreffらへの特許文献7に開示される。本明細書で引用されたそれぞれの文書の開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【特許文献1】米国特許第4,819,637号明細書
【特許文献2】米国特許第5,122,136号明細書
【特許文献3】米国特許第6,602,261号明細書
【特許文献4】米国特許第4,551,132号明細書
【特許文献5】米国特許第4,795,741号明細書
【特許文献6】米国特許第5,525,334号明細書
【特許文献7】米国特許第5,580,568号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
塞栓物質の性能におけるこれらの進歩にもかかわらず、血管構造の障害を治療する、より有効な方法が必要であり、該方法はカテーテル、例えばマイクロカテーテルを使用して容易に遂行することができ、塞栓のリスクを減らし、生理的な治癒反応の影響を受けやすい構造を形成できる。本発明はかかる方法およびシステム、またはかかる方法を行うためのキットを提供し、前記方法およびシステムは様々な適用において使用可能であり、医療移植片適用を含めるが限定されず、前記物質は、動脈瘤、瘻孔、動静脈奇形、血管閉塞および他の血管構造として、またはそれらとともに使用される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
従って、本発明は血管構造の障害を治療するための新しい方法およびシステムを提供し、前記障害は、例えば、動脈瘤、例えば、脳動脈瘤、動静脈奇形、血管構造の壁の傷口、裂傷、穿孔または他の開口部、または本発明の前記方法およびシステムを使用して治療できる、他の血管障害を含むが、それらに限定されない。
【0010】
本発明の広い側面では、方法は例えば、血管構造の障害を治療するためにヒトまたは獣医の患者の病状を治療するために提供され、前記方法は一般に、患者の身体内の標的部位へ架橋剤を導入するステップと、架橋剤が血液と混合し、また実質的に固体である塊を形成するように血液と反応させることを可能にするステップとを含む。従って、架橋剤を導入、特に血管構造へ架橋剤を導入すること(例えば、注入する、染み込ませる、注ぎ込む、または例えば、カニューレ、カテーテル、マイクロカテーテル、針または他の導入装置によって導入すること)により、ヒトまたは獣医の患者の様々な疾病、条件、奇形または疾患を治療する方法、および架橋剤が血管構造中の血液と反応できる方法が提供される。本発明のこれらの方法では、血液と架橋剤との反応は、血管構造内、例えば血管構造中の障害内の実質的に固体である塊の構成をもたらす。実質的に固体である塊は、安定した線維性結合組織の中への生理的な治癒過程による治癒および再形成の影響を受けやすい架橋したネットワークとして説明されることができる。
【0011】
本方法は、血管からの出血を治療または制御、腫瘍への血液供給を閉塞、頭蓋内動脈瘤を含むがそれに限定されない血管動脈瘤を閉塞する手段として利用される、例えば血管塞栓などの従来の血管内治療の代わりに使用されてもよい。
【0012】
本発明の前記方法に有用な架橋剤は、前記化合物のそれぞれの分子が少なくとも2つの求核反応性の官能基、より好ましくは少なくとも3つの求核反応性の官能基を有する、化合物を含む架橋剤を含んでもよく、それは本発明の特定の医学的応用によって決まってもよい。かかる化合物の分子構造はコア部分(例えば分子の背骨)および複数の求核反応性の官能基を含んでもよい。本発明のいくつかの実施形態では、前記コア部分は水溶性であってもよく、また前記官能基を形成または付着させる誘導体化に適切な少なくとも2つの化学基を有してもよい。前記化合物の前記コア部分は線形または分岐した、キラルまたは非キラルな、環状または非環状の低分子を含んでもよく、またペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、ニトリロ酢酸、グリセリン、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ポリ酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ヘキサデカン二酸、多官能性芳香族化合物、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオールおよびピロガロールから選択されてもよい。それぞれの官能基は、求電子基、エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビニルスルホン、N−エチルマレイミド、ヨードアセトアミド、オルトピリジルジスルフィド、アルデヒド、塩化スルホニル、ハロゲン化アリール、エポキシド、活性エステル、カルボニルジイミダゾール、ニトロフェニルカーボネート、トレシレート(tresylates)、トシラート、メシラートおよびイソシアネートから独立して選択されてもよい。
【0013】
前記低分子は少なくとも1つの分岐ポリマーまたは非分岐ポリマーに結合しており、水溶性であってもよい。前記ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖類、タンパク質、グリコサミノグリカン、および炭水化物から選択されてもよい。
【0014】
前記架橋剤は、エトキシ化トリメチロールプロパンスクシンイミジルスクシネート、エトキシ化ペンタエリスリトールスクシンイミジルスクシネート、4アームポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルスクシネート、4アームポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルスクシネートおよびエトキシ化フロログルシノールスクシンイミジルスクシネートから選択される少なくとも1つの化合物を含んでもよい。
【0015】
本発明のいくつかの方法に従って、前記架橋剤は、創傷、腫瘍または前記腫瘍へ血液を供給する血管、臓器に、異常血管または血管構造、組織もしくは解剖学的構造の間もしくは中に位置する空間、または外科的に作られた嚢もしくは空間内の皮下に導入される。このように、本発明の方法は、動脈瘤、瘻孔、動静脈奇形、血管閉塞および他の病状の治療に有用である。
【0016】
本発明のより具体的な側面では、動脈瘤などの血管障害を治療するための方法が提供され、前記血管障害は内部空洞、および前記血管構造の壁を通って、前記内部空洞へ延びる開口部を有する。かかる血管障害では、前記血管構造の前記管腔を通って流れる少なくとも多少の血液は、前記開口部を通って前記内部空洞へ入る可能性がある。発明に従う前記方法は、前記内部空洞にある量の血液を実質的に閉じ込めるために、前記内部空洞を実質的に密封するステップを含んでもよい。より具体的には、この密封するステップは、前記障害を実質的に密封する開口部に隣接させて、拡張可能な部材、例えばバルーンなどの閉塞部材を配置するステップと、それによって、前記内部空洞内にある量の血液を閉じ込めるステップとを含んでもよい。より具体的には、例えば、閉塞部材を配置する前記ステップは、前記拡張可能な閉塞部材が実質的に非拡張構成にある間、前記血管構造の管腔を通して、前記障害に隣接する位置まで前記拡張可能な閉塞部材を進めるステップと、その後、前記拡張可能な部材が前記障害を実質的に密封するように前記拡張可能な部材を拡張させるステップと、それによって、前記障害内にある量の血液を閉じ込めるステップとを含む。
【0017】
前記方法は、例えば、前記開口部を通して前記障害の前記内部空洞へ挿入されるカテーテルの手段によって、前記架橋剤を実質的に閉じ込められたある量の血液の中へ導入するステップと、前記架橋剤を反応させるステップと、それによって前記内部空洞内に実質的に固体である塊を形成するステップとをさらに含む。その後、前記架橋剤が導入された後、例えば、前記実質的に固体である塊が前記内部空洞内に形成された後、前記閉塞部材は前記血管構造から除去されてもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態に従って、前記血管障害は、前記血管構造の前記壁に傷口、裂傷、穿孔または他の開口部を含んでもよい。
【0019】
前記閉塞部材は、前記架橋剤を導入するのに使用される前記カテーテルと一体化して形成されるか、または、前記カテーテルに接続されていてもよい。あるいは、前記閉塞部材は、前記架橋剤を導入するのに使用される前記カテーテルとは別個の要素である。
【0020】
任意的に、本発明の前記方法およびシステムで使用される前記架橋剤は、視覚化強化剤と混合されてもよい。例えば、前記架橋剤は、X線画像化のもとで視覚化するために、放射線不透過性にされてもよい。前記架橋剤は、全架橋剤に放射線不透過性を与えるように、放射線不透過性の粒子(例えば、タンタル、金、白金、バリウム、他の重金属など)と混合してもよい。
【0021】
あるいは、または加えて、前記架橋剤は、磁気共鳴によって撮像されることを可能にする磁気特性を有するよう作られてもよい。例えば、前記架橋剤は、ガドリニウムおよびガドリニウム含有化合物の粒子と混合されてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、前記架橋剤は、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水およびジメチルスルホキシドのうちの1つの、有効量の溶媒、例えば、N−ラウロイルサルコシン、ラウリル硫酸塩およびTriton X−100のうちの1つの界面活性剤と混合しており、および、または、例えば、治療薬、薬物、プロドラッグ、調合薬、タンパク質、細胞、遺伝子的に改変された細胞、遺伝子およびベクターを含む遺伝子治療製剤、増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インシュリン様増殖因子、骨形態形成タンパク質、インヒビン、増殖分化因子、アクチビン、上皮増殖因子、血管内皮増殖因子、結合組織活性化ペプチド、骨形成因子およびフラグメント、アナログ、増殖因子の誘導体、自家移植細胞または組織、同種移植細胞または組織、異種移植細胞または組織、天然に存在する細胞または組織、遺伝子的に改変された細胞または組織、分化細胞、未分化細胞、幹細胞、線維性結合組織の形成または内部成長を促進する細胞、および線維性結合組織の形成または内部成長を促進する物質から選択される物質に限定されないが、前記障害内または近くの生物学的反応を向上および/または改変するのに効果的な生物活性物質と混合されてもよい。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、前記架橋剤は、溶媒中で分散または溶解し、さらに、i)視覚化強化剤、ii)界面活性剤、およびiii)生物活性物質のうち少なくとも1つの他のものと混合される。
【0024】
本発明の別の側面は、多機能の架橋剤、および調製および使用の方法を提供することである。
【0025】
血管および血管部位を閉塞する方法が本明細書に説明され、また本発明の形式および側面も説明される。特定の実施形態では、流体の架橋剤、例えば液体の架橋剤が、バルーンカテーテルおよび混合コイルを用いて注入される。他の実施形態では、注入は、血管部位内、前記部位に隣接している血管(例えば、動脈瘤に隣接している親血管)中のどちらかの流れを混乱させる装置の配置の後に行われる。
【0026】
本発明の別のさらなる側面では、血管障害を治療するためのキットが提供され、例えば、キットは、障害を有する血管構造へ導入されるように構成されたカテーテル、および、前記障害内で反応して実質的に固体である塊を形成するのに有効な量の架橋剤を含む。前記キットは、前記障害内にある量の血液を実質的に閉じ込めるために、前記障害を実質的に密封するための、適切な大きさの構造にされた閉塞部材をさらに含む。
【0027】
本発明のさらなる側面は、添付の図面を参照し、本説明書で説明される典型的な実施形態の詳細な説明を読むと、当業者には明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
詳細な説明
以下の詳細な説明および実施例は、本発明の可能性のあるすべての実施形態を網羅的に説明する目的ではなく、本発明の典型的な実施形態を示す、限定された目的のために提供される。
【0029】
患者または患畜を治療するための方法が提供され、一般に、患者または患畜の標的部位へ架橋剤を導入するステップと、架橋剤が標的部位の血液と混合および反応させるステップと、それによって、その場で実質的に固体である塊を形成するステップとを含む。この実質的に固体である塊は、筋線維芽細胞および治癒過程の他の要素によって、浸透、改造および/または分解できる、架橋したネットワークを提供する。
【0030】
架橋剤は、一般に化合物を含み、化合物のそれぞれの分子は、コア部分および複数の求核反応性の官能基を含む。典型的には、コア部分は、水溶性であり、誘導体化のために適切な、少なくとも2つの化学基を有する化合物を含む。化合物のコア部分は、直鎖または分岐鎖の、キラルまたは非キラルな、環状または非環状の低分子である。
【0031】
例えば、架橋剤は、非毒性、生物学的に不活性、水溶性であり、また誘導体化に適切な少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの化学基を有する核分子を含む。適切な低分子コアの例は、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、ニトリロ酢酸、グリセリン、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ポリ酸、(すなわち、ヘプタン二酸、オクタン二酸、およびヘキサデカン二酸)、および多官能性芳香族化合物(すなわち、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオールおよびピロガロール)を含む。望ましい低分子コアは、トリメチロールプロパン、グリセリンおよびフロログルシノールである。
【0032】
水溶性のポリマーの結合は、低分子コアの水溶性を向上する可能性がある。重合に適切な例は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖類、タンパク質、グリコサミノグリカン、および炭水化物を含む。ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)を含む。
【0033】
さらに、例えば、蛍光透視法または磁気共鳴映像法によって、架橋剤の視覚化を可能にするために、核は修飾、例えば化学修飾されてもよい。蛍光透視のもとでの視覚化に適切な薬剤の例は、ヨウ素化された分子、タンタルとバリウムを含む特定の重金属を含む。本発明のいくつかの実施形態では、架橋剤が蛍光透視法を可能にするために、ヨウ素化された芳香族核分子(すなわち、ヨウ素化されたフロログルシノール)と混合される。磁気共鳴映像法のもとの視覚化のための適切な薬剤の例はガドリニウム化合物を含む。
【0034】
架橋剤は、血液中に存在する可能性のある求核基と反応するために、少なくとも2つ、一部の例では少なくとも3つの求電子基を有してもよい。適切な求電子基の例は、ビニルスルホン、N−エチルマレイミド、ヨードアセトアミド、オルトピリジルジスルフィド、アルデヒド、塩化スルホニル、ハロゲン化アリール、エポキシド、活性エステル、カルボニルジイミダゾール、ニトロフェニルカーボネート、トレシレート、トシラート、メシラートおよびイソシアネートを含む。好ましい求電子基は活性エステルであり、より好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0035】
架橋剤は好ましくは、カテーテル、例えば、マイクロカテーテルの手段によって、身体の中へ導入することを可能にする形式で提供される。したがって、架橋剤の要素が固体の物質として利用可能である本発明の実施形態では、架橋剤は、適切な溶媒と架橋剤を混合して溶液として作ってもよい。例えば、水溶性の架橋剤については、0.9%の生理食塩水は適切な溶媒である。有機水溶性の架橋剤のための適切な溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態では、架橋剤は、調合薬、タンパク質、細胞、遺伝子的に改変された細胞、遺伝子治療ベクターを含む生理活性薬剤などの1つ以上の活性薬剤と混合される。1つ以上のこれらの薬剤は、生物学的反応を改変または向上させるために架橋剤溶液に混合してもよく、またすることができる。活性薬剤の限定されない例は、形質転換増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インシュリン様増殖因子、骨形態形成タンパク質、インヒビン、増殖分化因子、アクチビン、上皮増殖因子、血管内皮増殖因子、結合組織活性化ペプチド、骨形成因子およびフラグメント、アナログ、かかる増殖因子の誘導体を含む。
【0037】
さらに、架橋剤が水溶液である本発明のいくつかの実施形態では、細胞は血管構造に供給されてもよい。これらの細胞は実際には、自家移植片、同種移植片、異種移植片であってもよい。これらの細胞は天然に存在するものであってもよく、または遺伝子的に改変されていてもよい。分化細胞または未分化細胞(すなわち、幹細胞)は、架橋剤薬剤に組み込まれてもよい。本発明に従う血管構造の治療のために、かかる細胞は線維性結合組織の形成を促進するように選択されてもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、架橋剤は、例えば、実質的に固体である塊の架橋時間および/または強度を増加または減少するために、実質的に固体である塊のその場での形成の割合を制御するのに有効な薬剤と混合されてもよい。例えば、界面活性剤は架橋剤に加えられてもよい。典型的な界面活性剤は、N−ラウロイルサルコシン、ラウリル硫酸塩およびTriton X−100を含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態に従って、血管構造の治療のための使用が可能な、特にポリ(エチレングリコール)から成る架橋したネットワークを形成するよう反応する様々な2液性の液剤が開発されてきた。共にGraselらへの米国特許第5,104,909号明細書および同第5,296,518号明細書は、イソシアネート官能基とアミン官能基を使用して、架橋したネットワークの形成を開示している。Weisslederらへの米国特許第5,514,379号明細書は、複数の求核および求電子構成成分を有するポリマー前駆物質を使用して、架橋した構造の形成を説明している。Tuckerへの米国特許第5,426,148号明細書は、アセトアセチレート官能基およびアミン官能基との間に形成される架橋したネットワークを示している。Rheeらへの米国特許第5,162,430号明細書は、架橋したネットワークを形成する求電子基により誘導体化されるポリ(エチレングリコール)の溶液と混合されるコラーゲンの懸濁液を開示している。Rheeらへの米国特許第5,874,500号明細書は、架橋したネットワークを形成する求核基により誘導体化されるポリ(エチレングリコール)分子の溶液と混合される求電子基により誘導体化されるポリ(エチレングリコール)分子の溶液を開示している。Barrowsらへの米国特許第5,583,114号明細書およびCruiseらへの米国特許第6,458,147号明細書は、架橋したネットワークを形成するために反応する求核基により誘導体化されるポリ(エチレングリコール)分子の溶液と混合されるアルブミンの溶液を開示している。Pathakらへの米国特許第6,566,406号明細書は、低分子の溶液およびポリ(エチレングリコール)の溶液を開示しており、1つは求核であり、他方は求電子であり、架橋したネットワークを形成するために反応する。本明細書で引用されたそれぞれの文書の開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
本発明の方法は、カテーテルまたはマイクロカテーテルなどの手段によって、治療すべき血管構造中の障害などの標的部位へ架橋剤を供給または導入するステップを含む。本発明のいくつかの実施形態では、架橋剤溶液は、バルーンカテーテルを用いてマイクロカテーテルを介して血管構造に血管内的に供給される。任意に、架橋剤は、血管障害内に含まれる血液と随意的に混合されてもよい。かかる混合は、架橋剤の導入中および/または導入後、物体(例えば、閉塞コイル、ワイヤーなど)を血管障害へ、繰り返し出し入れことにより実行されてもよい。あるいは、他のどんな適切なタイプの混合も使用されてもよい。例えば、ワイヤー、カテーテルまたは他の部材は、血管障害に挿入され、振動(例えば、機械的振動、超音波などによる)をもたらし、それによって、架橋剤を血液と混合してもよい。
【0041】
本発明は、障害を有する血管構造を治療するのに有用なシステムまたはキットをさらに提供する。図1は、本発明に従って、障害6を有する血管2、およびシステムまたはキット10を示す。キット10は一般に、治療されるべき血管2または他の血管構造へ導入されるように構成されるマイクロカテーテルなどのカテーテル20、および反応して実質的に固体である塊を形成するのに有効な量の架橋剤を含み、それによって血管2の障害6を治療する。キット10は、障害6内のある量の血液を実質的に閉じ込めるために、障害6を実質的に密封するための、適切な大きさの構造にされた閉塞部材30をさらに含んでもよい。
【0042】
図1は、本発明に従う方法もまた示す。図のように、閉塞部材30は例えば、障害6に近接した血管20の内部で配置されたバルーンカテーテル34を含む。この説明図では、血管2は血液の流れる大脳動脈であってもよく、血管2は、病巣または動脈瘤6を形成するように膨れた、弱くなった部分を有する壁4を含む。バルーンカテーテル34は、血管2内に膨張または拡張する拡張可能な部材36をもたらすのに有効なカテーテルチューブ38に連結された柔軟で拡張可能な部材36を含む。この手順では、バルーンカテーテル34は、血管に経皮的に挿入され、動脈瘤6の位置に進められている。拡張可能な薄膜36およびカテーテルチューブ38の特定のサイズおよび形状は、動脈瘤が形成されたところの標的となる動脈または血管に最良適合するために推定されてもよい。それによって、拡張可能な部材36は、動脈瘤6を実質的に隔離し、ある量の血液をそこに閉じ込めるように、動脈瘤6に近接している血管の内壁を並置するために膨張する。
【0043】
マイクロカテーテル20の遠位端42が動脈瘤6に近接するように、血管2中に位置するマイクロカテーテル20が示される。より具体的には、遠位端42は動脈瘤6の内部空洞の開口部に隣接するように、または開口部内に延びる。拡張可能な部材36は、血管2内の適切な位置にマイクロカテーテルを保持または固定するために、血管2内に拡張している。
【0044】
蛍光透視法の薬剤は、マイクロカテーテル20の位置決めを確認、また血管構造の隔離を確認するために、例えば、マイクロカテーテル20を介して部位へ導入されてもよい。適切な場合、血液のボーラスは、弱くなった血管壁に対するどんな追加の圧力も防止するために、動脈瘤6から除去または回収されてもよい。本明細書に詳しく別記された適量の適切な架橋剤は、その後、マイクロカテーテル20の手段によって動脈瘤6の内部空洞へ導入される。先に論じられたステップで動脈瘤から回収された血液のボーラスの量は、実質的に同等な圧力を動脈瘤に維持するために、動脈瘤へ注入された架橋剤の量と実質的に同等となるように選択されてもよいことが留意される。
【0045】
今から図2を参照すると、架橋剤は病巣6内の実質的に閉じ込められた血液へ混合されてもよい。これは、例えば、マイクロカテーテル20などの遠位端を通り抜けて、内部空洞へ少なくとも1回通るコイル40などの混合機構の手段によって、遂行されてもよい。この目的のために使用されてもよい市販のコイルの例は、MicroPlex(登録商標)コイルシステム(MicroVention,Inc.、カリフォルニア州、アリソビエホ)、HelipaqTMコイルシステム(Micrus,Inc.、カリフォルニア州、サニーベール)およびGuglielmiコイルシステム(Boston Scientific、マサチューセッツ州、ネーティック)を含むが、必ずしも限定されない。架橋剤は、例えば図3に示すように、障害6内で実質的に固体である塊48を形成するように、1つ以上の血液の構成要素と反応する。本発明の少なくともいくつかの適用では、この実質的に固体である塊48は、約3分から約20分の時間で形成できる可能性がある。塊48の形成後、拡張可能な部材36は収縮してもよく、図4の中で示されるように、その後、マイクロカテーテル20および閉塞部材30は部位から除去または回収されてもよい。
【0046】
閉塞部材30およびカテーテル20は、図1〜図4では別個の要素として示されるが、本発明の他の実施形態は、カテーテルと一体化して形成されるか、またはカテーテルに取り付けられている閉塞部材を利用してもよい。図5は、血管2の障害6を治療するために使用される本発明に従う別のキット110を示し、キット110は、障害6内の血液を隔離し、閉じ込めるために、ある量の架橋剤、障害6の中へ架橋剤を導入するためのカテーテル120、前記カテーテル120に一体化して形成される閉塞部材130を含む。
【0047】
架橋剤溶液の一部またはすべてが障害に外部の血管に入った場合、架橋剤溶液の性質および反応の比較的遅い動態のため、好ましくない塞栓形成のリスクは低い。どんな固体の塞栓も形成されることが可能となる前に、血管中の血流は架橋剤を希釈する。
【0048】
得られた架橋したネットワークは、自然な手段によって形成された血栓に構造において類似している。血栓の自然形成は、トロンビンによって触媒されたフィブリンへのフィブリノゲンの変換によって生じる。繊維素溶解は、tPAによって触媒されたプラスミンへのプラスミノゲンの変換によって生じる。実質的に固体である塊は架橋剤による血液の架橋によって形成され、自然な繊維素溶解機構による分解の影響を受けにくい。
【0049】
自然血栓と同じように、また他の液体塞栓剤とは違って、本発明の方法およびシステムによって形成された実質的に固体である塊は、筋線維芽細胞および治癒過程の他の要素によって、浸透、改造および分解できる、架橋したネットワークを直ちに提供する。この治癒過程は、事実上無細胞の合成血栓を線維性結合組織に変換し、コラーゲン細胞外マトリクス中の筋線維芽細胞を特徴とする。マクロファージおよび治癒過程の他の要素は、分解された合成血栓を貪食する。
【0050】
以下は、上述の実質的に固体である塊を形成する架橋剤の生物医学的適用のうちのいくつかの実施例である。しかしながら、本明細書に説明される具体的な実施例に加えて、この架橋したネットワークの物質が他の多くの医学的および非医学的な適用を有することは理解されるであろう。
【実施例】
【0051】
実施例1
サンプル架橋剤、トリメチロールプロパン20/3の調製
エトキシ化トリメチロールプロパン20/3(20g、Aldrich)をキシレンに溶解させる。水を共沸蒸留によってシステムから除去する。無水コハク酸(8.1g、Aldrich)およびピリジン(100mL、Aldrich)を加えた。一晩還流させながら反応を進める。ピリジンおよびキシレンの一部を蒸留する。エトキシ化トリメチロールプロパンスクシネートを、冷却によりキシレンから除去し、分液漏斗を使用して収集した。エトキシ化トリメチロールプロパンスクシネートを、50mLのジクロロメタン中に再溶解させ、過剰の無水コハク酸を再結晶させるために−20℃で一晩保存した。結晶をろ過し、200mLの量を調製するためにジクロロメタンを加えた。N−ヒドロキシスクシンイミド(7.8g、Aldrich)およびジイソプロピルカルボジイミド(10.5mL、Aldrich)を順次加えた。室温で約4時間反応を進める。真空濾過を使用して尿素を除去する。エトキシ化トリメチロールプロパンスクシンイミジルスクシネートを、過剰なヘキサンでの沈殿によって回収し、分液漏斗を使用して収集した。真空オーブンを使用して残留有機溶媒を除去した。
【0052】
実施例2
架橋時間の決定
研究所において架橋時間を決定するために、様々な他の架橋剤と同様、実施例1に従って調製された架橋剤を合成および評価した。評価された架橋剤は、エトキシ化トリメチロールプロパン20/3スクシンイミジルスクシネート(TMP−SS)、エトキシ化ペンタエリスリトール15/4スクシンイミジルスクシネート(PE−SS)、4アームポリ(エチレングリコール)2kスクシンイミジルスクシネート(PEG2k−SS)、4アームポリ(エチレングリコール)10kスクシンイミジルスクシネート(PEG10k−SS)、およびエトキシ化フロログルシノール30/3スクシンイミジルスクシネート(ePG−SS)を含む。
【0053】
それぞれの架橋剤を望ましい濃度で適切な溶媒に溶解させる。それぞれの架橋剤溶液(100マイクロリットル)を、EDTAで処理された350マイクロリットルのブタ血液と混合する。架橋時間、すなわち溶液が実質的に凝固するために必要な時間を決定したが、架橋時間の結果を以下の表1に示す。
【0054】
【表1−1】

【0055】
【表1−2】

上記の実験は、TMP−SS、PEG2k−SSおよびPEG10k−SSが、本発明の方法およびシステムに従う使用に適切な架橋剤であることが決定したことを明示している。
【0056】
実施例3
架橋した塊の圧縮強度
この実施例では、研究所において圧縮強度を決定するために、様々な架橋剤を合成および評価した。これらの架橋剤は、エトキシ化トリメチロールプロパン20/3スクシンイミジルスクシネート(TMP−SS)、エトキシ化ペンタエリスリトール15/4スクシンイミジルスクシネート(PE−SS)、4アームポリ(エチレングリコール)2kスクシンイミジルスクシネート(PEG2k−SS)、4アームポリ(エチレングリコール)10kスクシンイミジルスクシネート(PEG10k−SS)、およびエトキシ化フロログルシノール30/3スクシンイミジルスクシネート(ePG−SS)を含む。
【0057】
それぞれの架橋剤を、例えば、上述の実施例2に従って、望ましい濃度で適切な溶媒に溶解する。それぞれの架橋剤溶液(1mL)を、EDTAで処理された3.5mLのブタ血液と混合する。混合物を3ccの注射器(Becton Dickinson)に注入し、約30分間、約37℃で凝固させる。Luer固定具をカミソリの刃を使用して注射器から切り取り、架橋した塊を注射器から取り出し、0.9%の生理食塩水で満たされた15ccの遠心分離機に入れる。塊を室温で一晩保存する。定温保存の後、塊を長さ約8.5mmの切片に切り、Instron5543圧縮アセンブリ上の2つのプラテン間に装着する。Instronにより、破壊が起きるまで15mm/分の割合で合成血栓を圧縮した。応力およびひずみのデータを収集し、表2に示す。
【0058】
【表2−1】

【0059】
【表2−2】

上記の実験は、PEG2k−SS、PEG10k−SS、およびePG−SSが、本発明の方法およびシステムに従う実質的に固体である塊の形成に適切な架橋剤であることを明示している。
【0060】
実施例4
架橋した塊の耐久性
架橋した実質的に固体である塊の耐久性は、側壁動脈瘤の流動力学をシミュレートする流動モデルで試験される。架橋剤を、1mLのジメチルスルホキシドにTSAT(50mg、Pierce)を加えることにより、溶液として調製する。100マイクロリットルの架橋剤溶液を、350マイクロリットルのEDTAで処理されたブタ血液に加え、混合する。架橋剤溶液を6mmの側壁、シリコーン動脈瘤に注入し、20分間架橋させる。動脈瘤を流動モデルに置き、またリン酸緩衝化生理食塩水を、流速300mL/分、温度37℃、圧力120/80mmHgで、動脈瘤の親動脈を通して送り込む。塊は、16時間を超えてもこれらの条件のもとで安定していることが分かった。
【0061】
次に、実質的に固体である塊の耐久性が、分岐動脈瘤の流動力学をシミュレートする流動モデルで試験される。架橋剤溶液は、1mLのジメチルスルホキシドにTSAT(50mg、Pierce)を加えることにより、上記に示されるように調製される。その後、100マイクロリットルの架橋剤溶液を、350マイクロリットルのEDTAで処理されたブタ血液に加え、混合する。溶液を5mmの分岐、シリコーン動脈瘤に注入し、20分間架橋させた。動脈瘤を流動モデルに置き、またリン酸緩衝化生理食塩水を、流速300mL/分、温度37℃、圧力120/80mmHgで、動脈瘤の親動脈を通して送り込む。合成凝血塊は、2時間を超えてもこれらの条件のもとで安定している。
【0062】
実施例5
実験動脈瘤中の架橋した塊の形成
Cloftらの、Radiology、213:223−228(1999)によって説明された方法に従って、右総頸動脈の隔離およびエラスターゼ分解によって実験動脈瘤をウサギに形成させる。動脈瘤は、本発明の方法に従って、治療される前に約6週間成熟させる。
【0063】
治療の時点で、動脈瘤は約3mm×約8mmであると測定された。大腿鞘を通して、マイクロカテーテル(Rebar Microcatheter,Micro Therapeutics,Inc.、カルフォルニア州、アービン)を、動脈瘤の内部に設置する。3方向の栓をRebarのハブに取り付ける。回転止血弁を、マイクロカテーテルの長さと一致して3方向に取り付ける。1方向の栓を、回転止血弁のサイドポートへ取り付ける。生理食塩水を使用して、空気を装置から除去する。混合コイルを、3方向の栓に近接している回転止血弁に設置する。4mm×10mmのバルーンカテーテル(例えば、HyperGlide,MicroTherapeutics,Inc.、カルフォルニア州、アービン)を、動脈瘤の頚に設置する。
【0064】
続いて、マイクロカテーテルを、ヘパリン化食塩水(数ミリリットル)およびメチルピロリジノン(0.35mL)で洗い流す。架橋剤溶液は、メチルピロリジノンの中の190mg/mLのエトキシ化ペンタエリスリトール15/4スクシンイミジルグルタレートである。マイクロカテーテルを架橋剤溶液で満たす。動脈瘤頚を密封するためにバルーンを膨張させる。架橋剤溶液を、混合コイルと同時に動脈瘤嚢へ導入させる。混合コイルは、架橋溶液およびもとの場所の血液を混合するために、動脈瘤嚢に配置され、除去され、配置され、除去される。5分後、バルーンを収縮させる。
【0065】
デジタルサブトラクション血管造影は、動脈瘤嚢がほとんど完全に(すなわち、95%)閉塞されたことを示した。引き続き行われた治療後2週間の血管造影は、動脈瘤嚢がほとんど閉塞されたことを明示した。組織学的評価は、組織化されていない凝血が動脈瘤嚢の大部分を満たしていることを示した。事実上、炎症は存在していない。
【0066】
本発明は、特定の実施例および実施形態のみを参照して本明細書に説明されてきた。本発明の考え得るすべての実施例および実施形態を網羅的に説明する試みはされていない。確かに、当業者は、様々な追加、削除、修正および他の変更が、以下の請求項で列挙される本発明の意図した精神および範囲から逸脱することなく、上述の実施例および実施形態に行われてもよいことを理解するであろう。かかる追加、削除、修正および他の変更はすべて以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明の方法に従い、血管の障害内のある量の血液を閉じ込めるために使用される閉塞部材、および閉じ込められた血液へ架橋剤を供給するために使用されるマイクロカテーテルを示す。
【図2】図2は、図1に類似する図を示し、マイクロカテーテルは、架橋剤と閉じ込められた血液の混合を強化するために、前記障害の中へ混合コイルを導入するために使用される。
【図3】図3は、図1に類似する図を示し、本発明の側面に従って、障害内に実質的に固体である塊が形成されているが、前記塊は架橋剤が反応可能となった結果である。
【図4】図4は、図1に示される血管の別の図面を示し、カテーテルおよび閉塞部材は、今は血管から除去されており、障害内に実質的に固体である塊が残っている。
【図5】図5は、障害を有する血管を治療するために使用される本発明の別の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管構造における障害を治療する方法であって、前記血管構造は管腔および壁を有し、前記方法は、
A)架橋剤が前記障害内の血液と混合されるように、前記障害に前記架橋剤を導入するステップと、
B)前記障害内に実質的に固体である塊を形成させるように、前記架橋剤を血液と反応させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップAは、i)前記障害の中へカテーテルを挿入するステップと、ii)前記カテーテルを介して、前記障害の中へ前記架橋剤を導入するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップAは、i)前記障害の中へカテーテルを挿入するステップと、ii)前記障害内にある量の血液を実質的に閉じ込めるために、前記障害を実質的に密封するステップと、iii)前記架橋剤が前記障害内に実質的に閉じ込められた血液と混合するように、前記カテーテルを介して、前記障害の中へ前記架橋剤を導入するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記障害内にある量の血液を閉じ込めるために、前記障害を実質的に密封する前記ステップは、前記障害を実質的に密封するために、前記障害に隣接させて閉塞部材を配置するステップを含み、それによって、前記障害内にある量の血液を閉じ込める、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記架橋剤が前記障害の中へ導入された後、前記閉塞部材を除去するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋剤が前記障害の中へ導入された後、前記カテーテルを除去するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記血管障害は動脈瘤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記血管障害は脳動脈瘤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記架橋剤は血液中のタンパク質と反応する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記障害は動静脈奇形を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記障害は、血管構造の壁の傷口、裂傷、穿孔または他の開口部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記血管障害は、前記血管構造の管腔を通って流れる少なくともいくらかの血液が、開口部を通って前記障害の内部空洞に入り得るような、前記血管構造の前記壁を通って延びる前記内部空洞および前記開口部を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップBは、i)前記障害の前記内部空洞内にある量の血液を実質的に閉じ込めることができるように、前記開口部を実質的に閉塞するステップと、その後、ii)前記架橋剤が前記障害内に実質的に閉じ込められている血液と混合できるように、前記障害の中へ前記架橋剤を導入するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップBは、i)前記開口部を通して、前記障害の前記内部空洞へカテーテルを挿入するステップと、ii)ある量の血液が前記障害の前記内部空洞内に実質的に閉じ込められ、前記カテーテルが前記障害の前記内部空洞の中へ挿入された状態を維持できるように、前記開口部を実質的に閉塞するステップと、iii)前記架橋剤を前記障害内に実質的に閉じ込められている血液と混合させることができるように、前記カテーテルを介して、前記障害の中へ前記架橋剤を導入するステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記開口部を実質的に閉塞する前記ステップは、前記開口部を実質的に密封するために、前記開口部隣接させて閉塞部材を配置するステップを含み、それによって、前記障害の前記内部空洞内にある量の血液を閉じ込める、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記架橋剤が前記障害の中へ導入された後、前記閉塞部材を除去するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記架橋剤が前記障害の中へ導入された後、前記カテーテルを除去するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
閉塞部材を配置する前記ステップは、拡張可能な閉塞部材が実質的に非拡張構成にある間、前記血管構造の管腔を通して、前記障害に隣接する位置まで前記拡張可能な閉塞部材を進めるステップと、その後、前記拡張可能な部材が前記障害を実質的に密封するように前記拡張可能な部材を拡張させるステップと、それによって、前記障害内にある量の血液を閉じ込めるステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
閉塞部材を配置する前記ステップは、拡張可能な閉塞部材が実質的に非拡張構成にある間、前記血管構造の管腔を通して、前記開口部に隣接する位置まで前記拡張可能な閉塞部材を進めるステップと、その後、前記拡張可能な閉塞部材が前記開口部を実質的に閉塞するように前記拡張可能な部材を拡張させるステップと、それによって、前記障害内にある量の血液を実質的に閉じ込めるステップと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記閉塞部材は前記カテーテルと一体化して形成されるか、または、前記カテーテルに接続されている、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記閉塞部材は前記カテーテルと離れている、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
前記閉塞部材はバルーンを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項23】
前記架橋剤は化合物を含み、前記化合物のそれぞれの分子は少なくとも2つの求核反応性の官能基を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物のそれぞれの分子は、少なくとも3つの求核反応性の官能基を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記架橋剤は化合物を含み、前記化合物のそれぞれの分子はコア部分および複数の求核反応性の官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記コア部分は、水溶性で、誘導体化に適切な少なくとも2つの化学基を有する化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物の前記コア部分は、直鎖または分岐鎖の、キラルまたは非キラルな、環状または非環状の低分子である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記コア部分は、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、ニトリロ酢酸、グリセリン、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ポリ酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ヘキサデカン二酸、多官能性芳香族化合物、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオールおよびピロガロールから選択され、
それぞれの官能基は、求電子基、エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビニルスルホン、N−エチルマレイミド、ヨードアセトアミド、オルトピリジルジスルフィド、アルデヒド、塩化スルホニル、ハロゲン化アリール、エポキシド、活性エステル、カルボニルジイミダゾール、ニトロフェニルカーボネート、トレシレート、トシラート、メシラートおよびイソシアネートから独立して選択される、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記低分子は少なくとも1つの分岐ポリマーまたは非分岐ポリマーに結合している、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマーは水溶性である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖類、タンパク質、グリコサミノグリカン、および炭水化物から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記架橋剤は、エトキシ化トリメチロールプロパンスクシンイミジルスクシネート、エトキシ化ペンタエリスリトールスクシンイミジルスクシネート、4アームポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルスクシネート、およびエトキシ化フロログルシノールスクシンイミジルスクシネートから選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記架橋剤は放射線不透過性である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記架橋剤は、磁気共鳴によって撮像されることを可能にする磁気特性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記架橋剤は溶媒と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒は生理食塩水溶液を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記溶媒はジメチルスルホキシドを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記架橋剤は視覚化強化剤と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記視覚化強化剤は放射線不透過物質を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線不透過物質は、タンタル、バリウムおよび他の重金属から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記視覚化強化剤は、磁気共鳴映像法によって撮像されることを可能にする磁気特性を有する物質を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
磁気共鳴映像法によって撮像されることを可能にする磁気特性を有する前記物質は、ガドリニウムおよびガドリニウム含有化合物から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記架橋剤は、界面活性剤と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記界面活性剤は、N−ラウロイルサルコシン、ラウリル硫酸塩およびTriton X−100から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記架橋剤は、前記障害内または近くの生物学的反応を向上および/または改変するのに効果的な生物活性物質と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記生物活性物質は、治療薬、薬物、プロドラッグ、調合薬、タンパク質、細胞、遺伝子的に改変された細胞、遺伝子およびベクターを含む遺伝子治療製剤、増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インシュリン様増殖因子、骨形態形成タンパク質、インヒビン、増殖分化因子、アクチビン、上皮増殖因子、血管内皮増殖因子、結合組織活性化ペプチド、骨形成因子およびフラグメント、増殖因子のアナログおよび誘導体、自家移植細胞または組織、同種移植細胞または組織、異種移植細胞または組織、天然に存在する細胞または組織、遺伝子的に改変された細胞または組織、分化細胞、未分化細胞、幹細胞、線維性結合組織の形成または内部成長を促進する細胞、および線維性結合組織の形成または内部成長を促進する物質から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記架橋剤は、溶媒中で分散または溶解し、さらに、i)視覚化強化剤、ii)界面活性剤、およびiii)生物活性物質のうち少なくとも1つの他のものと混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
血管障害を治療するためのキットであって、
障害を有する血管構造内へ導入されるような構造にされたカテーテルと、
前記障害内で血液と反応して実質的に固体である塊を形成するのに効果的な量の架橋剤と、
を有するキット。
【請求項49】
前記障害内にある量の血液を実質的に閉じ込めるために、前記障害を実質的に密封するための、適切な大きさの構造にされた閉塞部材をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
前記カテーテルは、大脳動脈の中へ導入されるような構造にされる、請求項48に記載のキット。
【請求項51】
前記カテーテルは、大動脈の中へ導入されるような構造にされる、請求項48に記載のキット。
【請求項52】
前記閉塞部材は、拡張可能な閉塞部材を含む、請求項49に記載のキット。
【請求項53】
前記閉塞部材は、前記カテーテルと一体化して形成されるか、または、前記カテーテルに接続されている、請求項49に記載のキット。
【請求項54】
前記閉塞部材は、前記カテーテルと離れている、請求項49に記載のキット。
【請求項55】
前記閉塞部材は、バルーンを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項56】
前記架橋剤とその場で血液を混合するための混合機構をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項57】
前記混合機構は前記カテーテルを介して配置されるような構造にされる混合コイルを含む、請求項56に記載のキット。
【請求項58】
前記架橋剤は、化合物を含み、前記化合物のそれぞれの分子は少なくとも2つの求核反応性の官能基を有する、請求項48に記載のキット。
【請求項59】
前記化合物のそれぞれの分子は、少なくとも3つの求核反応性の官能基を有する、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
前記架橋剤は化合物を含み、前記化合物のそれぞれの分子はコア部分および複数の求核反応性の官能基を含む、請求項48に記載のキット。
【請求項61】
前記コア部分は、水溶性で、誘導体化に適切な少なくとも2つの化学基を有する化合物を含む、請求項58に記載のキット。
【請求項62】
前記化合物の前記コア部分は、直鎖または分岐鎖の、キラルまたは非キラルな、環状または非環状の低分子である、請求項58に記載のキット。
【請求項63】
前記コア部分は、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、ニトリロ酢酸、グリセリン、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ポリ酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ヘキサデカン二酸、多官能性芳香族化合物、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオールおよびピロガロールから選択され、
それぞれの官能基は、求電子基、エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビニルスルホン、N−エチルマレイミド、ヨードアセトアミド、オルトピリジルジスルフィド、アルデヒド、塩化スルホニル、ハロゲン化アリール、エポキシド、活性エステル、カルボニルジイミダゾール、ニトロフェニルカーボネート、トレシレート、トシラート、メシラートおよびイソシアネートから独立して選択される、
請求項58に記載のキット。
【請求項64】
前記低分子は少なくとも1つの分岐ポリマーまたは非分岐ポリマーに結合している、請求項62に記載のキット。
【請求項65】
前記ポリマーは水溶性である、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
前記ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖類、タンパク質、グリコサミノグリカン、および炭水化物から選択される、請求項65に記載のキット。
【請求項67】
前記架橋剤は、エトキシ化トリメチロールプロパンスクシンイミジルスクシネート、エトキシ化ペンタエリスリトールスクシンイミジルスクシネート、4アームポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルスクシネート、およびエトキシ化フロログルシノールスクシンイミジルスクシネートから選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項48に記載のキット。
【請求項68】
前記架橋剤は放射線不透過性である、請求項48に記載のキット。
【請求項69】
前記架橋剤は、磁気共鳴によって撮像されることを可能にする磁気特性を有する、請求項48に記載のキット。
【請求項70】
前記架橋剤と混合される溶媒をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項71】
前記溶媒は生理食塩水溶液を含む、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
前記溶媒はジメチルスルホキシドを含む、請求項70に記載のキット。
【請求項73】
前記架橋剤と混合される視覚化強化剤をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項74】
前記視覚化強化剤は放射線不透過物質を含む、請求項73に記載のキット。
【請求項75】
前記放射線不透過物質は、タンタル、バリウムおよび他の重金属から選択される、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
前記視覚化強化剤は、磁気共鳴映像法によって撮像されることを可能にする磁気特性を有する物質を含む、請求項73に記載のキット。
【請求項77】
磁気共鳴映像法によって撮像されることを可能にする磁気特性を有する前記物質は、ガドリニウムおよびガドリニウム含有化合物から選択される、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記架橋剤と混合される界面活性剤をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項79】
前記界面活性剤は、N−ラウロイルサルコシン、ラウリル硫酸塩およびTriton X−100から選択される、請求項78に記載のキット。
【請求項80】
前記障害内または近くの生物学的反応を向上および/または改変するのに効果的な生物活性物質をさらに含み、前記生物活性物質は前記架橋剤と混合される、請求項48に記載のキット。
【請求項81】
前記生物活性物質は、治療薬、薬物、プロドラッグ、調合薬、タンパク質、細胞、遺伝子的に改変された細胞、遺伝子およびベクターを含む遺伝子治療製剤、増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インシュリン様増殖因子、骨形態形成タンパク質、インヒビン、増殖分化因子、アクチビン、上皮増殖因子、血管内皮増殖因子、結合組織活性化ペプチド、骨形成因子およびフラグメント、増殖因子のアナログおよび誘導体、自家移植細胞または組織、同種移植細胞または組織、異種移植細胞または組織、天然に存在する細胞または組織、遺伝子的に改変された細胞または組織、分化細胞、未分化細胞、幹細胞、線維性結合組織の形成または内部成長を促進する細胞、ならびに線維性結合組織の形成または内部成長を促進する物質から選択される、請求項80に記載のキット。
【請求項82】
血液を架橋剤に反応させた結果、血管障害内でその場で形成される実質的に固体の塊
を含む、製品。
【請求項83】
前記実質的に固体の塊は、ヒトまたは動物の被験体の血管障害内でその場で形成される、請求項82に記載の製品。
【請求項84】
前記血管障害は動脈瘤である、請求項83に記載の製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−520283(P2008−520283A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541483(P2007−541483)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/041637
【国際公開番号】WO2006/055690
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(500285576)マイクロ ベンション インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】