説明

血管の電気刺激

血管の第一の通路(52)及び第二の通路(54)に配置されるように構成されかつ1つまたはそれ以上の電極(32)を含む分岐ステント(50)及び血管の壁に信号を与えるために電極(32)を駆動しかつ壁による一酸化窒素(NO)分泌を増大するように信号を構成するように構成される制御ユニット(34)、を含む装置が提供される。他の実施態様についても説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、(a)2005年7月25日に提出された「血管の電気刺激」と題する米国仮特許出願第60/702,491号及び(b)2005年9月28日に提出された「血管の電気刺激」と題する米国仮特許出願第60/721,728号(両方の出願は参照によって本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【0002】
本発明は一般的に言って植込み式医療装置に関するものであり、特に血管を刺激し置き換えるための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
Dev他に対する米国特許第6,865,416号及び6,347,247号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、血管に電気インパルスを与えるステップを含む血管の拡張またはこれを通る血流を誘発または増大するための方法について説明している。416号及び247号出願の発明者によれば、電気インパルスによる血管拡張の誘発または増大は血管に与えられる電流によって生じる直接的影響または現在一酸化窒素として特定されている内皮誘導弛緩因子(EDRF)または血管細胞に与えられる電気パルスによって引き起こされるその他の血管拡張物質の放出など血管拡張を促進する因子の放出または刺激から生じる間接的効果から引き起こされるようである。1つの実施態様において、内腔内に電気インパルスを与えるために電気穿孔技術を組み込む二重バルーンカテーテルシステムが使用される。
【0004】
Padua他の米国特許出願公示第2003/0204206号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、治療用蛋白及び核酸の送達を調整するための技法について説明している。この技法は、治療用遺伝子配列に作用可能にリンクされる遺伝子組み換え電気反応プロモータを用いる。遺伝子配列の表示は電気パルス発生器によって制御される。1つの実施態様において、パルス発生器は約10から100Hzまで、好ましくは30から80Hzまで、さらに好ましくは50から60Hzまでの速度で電荷平衡電気パルス(charge balanced electrical pulse)を送ることができる。1つの実施態様において、植込み式システムは通信のため及びコイル状ステントにおいて電流を発生させるためにRF信号を用いる。1つの実施態様において、平行電極を有する導体マトリックスか導体ステントマトリックスを用いて、足場で成長した組み換え細胞に電界が与えられる。
【0005】
Harrison他に対する米国特許第6,845,267号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、循環還流に影響する予め決められたエリアに刺激薬及び(または)電気パルスを与えるのに適する植込み式制御ユニットについて説明している。1つの実施態様において、植込み式制御ユニットは、平滑筋の収縮状態を変調するために平滑筋に直接電気刺激を与える。267号特許は、比較的低い周波数の([原文のまま]約50−100Hzより低い)電気刺激は、平滑筋を刺激して収縮をもたらす傾向があり、比較的高い周波数の電気刺激は平滑筋を弛緩させ拡張をもたらす傾向がある。1つの実施態様において、冠状動脈を拡張して心臓虚血から救うために冠状動脈の神経支配を担う自律神経部位へ及び(または)冠状動脈を取り囲む平滑筋へ直接、電気及び(または)薬物刺激が与えられる。一部の応用の場合、植込み式制御ユニットは電気コイルまたはパッケージ内部でエネルギー及び(または)情報を受け取るためのその他の手段を含み、体外に配置される伝送コイルへの誘導または高周波(RF)結合によって電力及び(または)データを受け取る。一部の応用の場合、制御ユニットは例えばRFリンク、超音波リンクまたは光学リンクを通じて他の植込み刺激器、他の植込み装置及び(または)患者体外の装置と通信する。
【0006】
Picconeに対する米国特許第6,871,092号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、血管、筋肉及び(または)腱の治療、血管内皮成長因子(VEGF)の生成を増大するため、抗炎症治療及び(または)微小循環の活性化のための装置について説明している。この装置は、電気パルスを生成しこれを患者の表皮を通して与える。パルスは、治療対象の部位から炎症を取り除き、痛みを減少または除去するだけでなく、急速な筋肉弛緩効果を有し血管拡張及びVEGF生成を刺激する生化学反応を誘発するものとして説明されている。
【0007】
Whitehurst他の米国特許出願公示第2004/0106954号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、カテーテルの排出部及び任意にリード線の電極を刺激対象である組織付近に植え込むことによってうっ血性心不全(CHF)を治療するための技法について説明している。薬物注入パルス及び任意の電気パルスなど刺激パルスは遠隔に植え込まれた刺激器によって刺激器と刺激部位の間の皮下に通されるカテーテルまたはリード線を通して与えられる。刺激部位は、特に冠状動脈、大動脈、左心室、左心房及び(または)肺静脈を含む。一部の応用の場合、刺激器は、誘導、高周波(RF)またはその他の電磁結合によって体外からデータ及び(または)電力を受け取るための電気回路構成(例えば誘導コイルを含む)を含む。一部の応用の場合、刺激器は例えばRFリンク、超音波リンク、熱リンクまたは光学リンクを通じて他の植込み刺激器、他の植込み装置及び(または)患者体外の装置と通信する。
【0008】
Kieval他の米国特許出願公示第2006/0074453号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、少なくとも1つの圧反射活性化装置で患者の圧反射系を活性化し、患者の心臓と心臓再同期化装置とを再同期化させるステップを含む、患者の心不全を治療するための方法について説明している。様々な実施態様において、圧反射系の活性化及び心臓の再同期化を同時にまたは順次行うことができる。心不全を治療するための装置は心臓再同期化部材と結合される圧反射活性化部材を含む。圧反射活性化部材は、圧受容体及び(または)その他の組織を活性化するために機械、電気、熱、化学、生物またはその他の手段を利用する多様な装置を含むことができる。多くの実施態様において、特に機械的な活性化の実施態様において、圧反射装置は圧受容体を取り囲む血管壁を伸長または変形させることによって間接的に1つまたはそれ以上の圧受容体を活性化する。
【0009】
Keival他の米国特許出願公示第2003/0060858号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、圧受容体を活性化することによって血圧、神経系活動及び神経ホルモン活動を選択的かつ制御可能に低下させるための技法について説明している。圧受容体活性化装置は圧受容体例えば頚動脈洞の圧受容体付近に配置される。圧受容体活性化装置を調整するために制御システムを使用することができる。一部の実施態様において、圧受容体活性化装置は血管内変形可能構造の形をとる。変形可能構造装置は血管内に配置されるコイル、編み紐またはその他のステント様構造を含む。他の実施態様において、圧受容体活性化装置は、血管壁付近に配置されるので血管壁を拡張するのではなくこれを圧する血管外変形可能構造の形をとる。変形可能構造装置はコイル、編み紐またはその他のステント様構造を含む。
【0010】
Talpadeに対する米国特許第6,086,527号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、心臓病を治療するために腎系など脈管系の一部への血流を調整するためのシステムについて説明している。調整器は心臓への過負荷状態を緩和するために生理学的フィードバック反応を制御するように血流を維持する。
【0011】
Sackner他の米国特許出願公示第2002/0103454号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、循環への外部パルスの付加によって刺激された内皮細胞によって放出される媒介物を用いる治療及び診断方法について説明する。外部パルスは体液経路において周囲せん断力を生じ、これがその後内皮細胞を刺激して、治療及び診断に利用可能な媒介物を生成する。外部パルスを付加する望ましい手段は往復運動プラットフォームによって身体または身体の一部の周期的加速を機械的に誘発するものである。
【0012】
Libbus他の米国特許出願公示第2005/0149130号(参照によって本明細書に組み込まれる)は、電極を通じて圧反射刺激信号を与えるためのパルス発生器及び日周期リズムテンプレートに基づき圧反射刺激信号を調整するための変調器を含む圧反射刺激器について説明している。一部の実施態様において、刺激器は自律神経系(ANS)活動を検知するためのセンサを含む。閉鎖ループ制御システムにおいてフィードバックを行うためにこの種のセンサを使用することができる。例えば、様々な実施態様はANS活動を示す呼吸及び血圧など代替パロメータを検知する。
【0013】
下記の特許及び特許出願公示(全てが参照によって本明細書に組み込まれる)が重要かも知れない:
Soykan他に対する米国特許第6,824,561号及び米国特許出願公示第2004/00399417号
Donovan他に対する米国特許第6,810,286号
Conrad−Vlasak他に対する米国特許第6,463,323号
Kingに対する米国特許第6,058,331号
Marchに対する米国特許第6,200,259号
Whitehurst他の米国特許出願公示第2003/0036773号
Charmillo他のヨーロッパ特許出願公示第EP 0 109 935 A1号
「ヒトの胚幹細胞由来の内皮細胞」と題するLevenberg他の論文(Proc Natl Acad Sci USA 99(7):4391−6(2002)Epub 2002 Mar 26)(参照によって本明細書に組み込まれる)は、血管様構造を形成する内皮細胞へのヒトの胚幹細胞の分化ステップについて説明している。
【発明の開示】
【0014】
本発明の一部の実施態様において、電極装置は血管の中へ挿入されるのに適する。電極装置は血管壁に電気信号を与えかつ血管壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するのに適する1つまたはそれ以上の電極を含む。
【0015】
一部の応用の場合、電極装置を用いる刺激は血管の治癒をもたらす。例えば、刺激は、(a)血管のアテローム性動脈硬化のレベルを下げ、(b)血管に対する抗炎症性及び(または)抗血栓性効果を有し、(c)内皮細胞成長を増大し、(d)平滑筋細胞成長を減少し(例えば血管の閉塞を減少し)、かつ(または)(e)プラーク活性を低下させることができる。血管が冠状動脈を含む応用の場合、電極装置を用いる刺激は一般に冠状動脈を拡張し、それによって心臓虚血を治療する。
【0016】
本発明の一部の実施態様において、電極装置は患者に植え込まれている人工血管移植片に信号を与えるのに適する。内皮細胞はしばしばこの移植片の内腔の中へ向かって成長する。この成長は一般に望ましいものと見られる。しかし、この成長は時には血小板を内腔の中に蓄積させ、それによって内腔を閉塞させる。電極装置によって与えられる信号は内腔の内皮細胞によるNO分泌の増大を誘発するように構成され、NO分泌の増大は血小板を脱凝集させる。その代わりにまたはそれに加えて、電極装置によって与えられる信号は人工移植片の内腔の細胞成長を刺激するように構成される。
【0017】
一部の応用の場合、電極装置は少なくとも1つのステントを含む。電極はステントに結合されるか、またはステントの構造要素の中に組み込まれる。一部の応用の場合、ステントは分岐ステントを含む。電極装置は、一般にステント外部(ステントと血管の壁との間など)における血小板凝集を減少しかつ(または)再狭窄を最小限に抑えるために、血管の壁によるNO分泌増大を誘発するように構成される。
【0018】
本発明の一部の実施態様において、電極装置は胚幹細胞など幹細胞から血管(すなわち、静脈または動脈)を派生させる処置中に電気刺激を与えるために使用される。その代わりにまたはそれに加えて、電極装置は血管が患者体内に植え込まれた後に幹細胞から派生した血管に電気刺激を与えるために使用される。さらにその代わりにまたはそれに加えて、電極装置は、別の技法によって作られる組織を基盤とする血管に電気刺激を与えるために使用される。この種の刺激によって引き起こされるNO生成の増大は血管にとって有益であろう。例えば、血管への幹細胞の分化プロセスを助けるだろう。
【0019】
本発明の一部の実施態様において、カウンターパルセイション装置は患者の上行大動脈及び(または)下行大動脈へ挿入されるのに適する。カウンターパルセイション装置は、1つまたはそれ以上の電極及び植込み式または外部の制御ユニットを含む。制御ユニットは心収縮期に大動脈の壁に電気信号を与えるために電極を駆動しかつ壁によるNO分泌の増大を誘発するように信号を構成するのに適する。心収縮期中壁がエネルギーを蓄積して心臓への圧力が減少するようにNO分泌の増大は壁を拡張する。心拡張期には、壁は絞窄して、蓄積されたエネルギーを放出し、それによって血圧及び冠状血流を増大する。一部の応用の場合、制御ユニットはさらに心拡張期に大動脈の急激な絞窄を強化するように構成される刺激を与えるために電極を駆動するよう構成される。
【0020】
本発明の一部の実施態様において、心臓周期の第一期(例えば、心収縮期または心拡張期)中第一の断面形状をとるように構成されかつ心臓周期の第二期(例えば、心拡張期また心収縮期)中第二の断面形状を取るように構成される人工動脈が提供される。一般に、どちらの断面形状も楕円形であり、異なる長さを持つ長径を持つ。一部の応用の場合、断面形状のうち1つはほぼ円形である(すなわち、長径と短径がほぼ同じである)。各心臓周期中のこのような形状変化は一般に人工動脈が時間の経過に伴い閉塞する尤度を減少する。
【0021】
本発明の1つの実施態様において、1つまたはそれ以上の電極は患者の眼の中にまたはこれに隣接して配置され、眼病を治療するために電極に隣接してNO生成を誘発する信号を与えるために駆動される。例えば、緑内障を治療するためにNO生成の増大を用いて眼内圧力を減少することができる。その代わりにまたはそれに加えて、NO生成によって生じる動脈拡張によって誘発される血流の増大は加齢性黄斑変性(AMD)に見られるような視神経の変性を最小限に抑える。その代わりにまたはそれに加えて、1つまたはそれ以上の網膜動脈の血流の増大は糖尿病性網膜症を治療または予防する。
【0022】
従って、本発明の1つの実施態様に従って、
血管の第一の通路及び第二の通路に配置されるように構成される、1つまたはそれ以上の電極を含む分岐ステントと、
血管の壁に信号を与えるために電極を駆動しかつ壁による一酸化窒素(NO)分泌を増大するように信号を構成するように構成される制御ユニットと、
を含む装置が提供される。
【0023】
一部の応用の場合、制御ユニットは、ステント外部のステントと血管の壁との間の血小板凝集を減少するように信号を構成するのに適する。
【0024】
一部の応用の場合、制御ユニットは3から20Hzまでの周波数及び(または)5ボルト未満の電圧を持つ信号を与えるために電極を駆動するように構成される。
【0025】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
大動脈の中へ挿入されるのに適する1つまたはそれ以上の電極と、
制御ユニットであり、
心収縮期の少なくとも一部において大動脈の壁に心収縮期信号を与えるために電極を駆動し、
壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように心収縮期信号を構成し、かつ
心拡張期の少なくとも一部において壁に心収縮期信号を与えるために電極を駆動することを控える、
ように構成される制御ユニットと、
を含む、患者の大動脈にカウンターパルセイションを与えるための装置が提供される。
【0026】
1つの実施態様において、装置はセンサ信号を生成するように構成される生理学センサを含み、制御ユニットはセンサ信号に応じて心収縮期信号の少なくとも1つのパラメータを設定するように構成される。
【0027】
一部の応用の場合、制御ユニットは心収縮期開始の僅か前に心収縮期信号を与え始めるために電極を駆動するように構成される。一部の応用の場合、制御ユニットは心収縮期開始の50ms未満前に心収縮期信号を与え始めるために電極を駆動するように構成される。
【0028】
一部の応用の場合、制御ユニットは1から10mAまでの振幅及び(または)30Hzの未満の周波数を持つように心収縮期信号を構成するのに適する。
【0029】
1つの実施態様において、制御ユニットは心拡張期の少なくとも一部において壁に心拡張期電気信号を与えるために電極を駆動しかつ心拡張期中大動脈の絞窄を強化するように心拡張期信号を構成するのに適する。一部の応用の場合、制御ユニットは、心収縮期信号のあるパラメータの心収縮期値の1.5倍から4倍までになるように心拡張期信号のそのパラメータの心拡張期値を構成するのに適する。パラメータは、振幅及び周波数から成るグループから選択される。一部の応用の場合、制御ユニットは5から20mAまでの振幅及び(または)15から100Hzまでの周波数を持つように心拡張期信号を構成するのに適する。
【0030】
1つの実施態様において、装置は心収縮期の少なくとも一部において大動脈を機械的に拡張するように構成される要素を含む。一部の応用の場合、この要素は少なくとも部分的に大動脈の中に配置されるように構成される。その代わりにまたはそれに加えて、要素は少なくとも部分的に大動脈の外部に配置されるように構成される。一部の応用の場合、要素は1つまたはそれ以上の電極のうち少なくとも1つとして作用するように構成される。
【0031】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、心臓周期の第一期中第一の断面形状をとりかつ心臓周期の第二期中第二の断面形状をとるように構成される人工動脈を含む装置が提供される。
【0032】
一部の応用の場合、第一及び第二の断面形状のうち1つはほぼ円形である。
【0033】
一部の応用の場合、第一期及び第二期はそれぞれ心収縮期及び心拡張期を含み、人工動脈は心収縮期及び心拡張期中それぞれ第一及び第二の断面形状をとるように構成される。
【0034】
1つの実施態様において、第一及び第二の断面形状はそれぞれ第一及び第二の長さを有するそれぞれの長径を有する楕円形である。一部の応用の場合、第一の長さ対第二の長さの比は少なくとも1.3など少なくとも1.1である。
【0035】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
少なくとも部分的に眼の中に配置されるように構成される1つまたはそれ以上の電極と、
一酸化窒素(NO)の生成を誘発する電気信号を眼に与えるために電極を駆動することによって眼を治療するように構成される制御ユニットと、
を含む、患者の眼を治療するための装置が提供される。
【0036】
1つの実施態様において、制御ユニットは患者の網膜動脈の拡張を誘発するのに充分なNO生成を誘発するために信号を与えるために電極を駆動するように構成される。
【0037】
1つの実施態様において、制御ユニットは患者の視神経の変性を最小限に抑えるのに充分なNO生成を誘発するために信号を与えるために電極を駆動するように構成される。
【0038】
一部の応用の場合、制御ユニットは眼の中に配置されるように構成され、装置は制御ユニットに電力を供給するように構成される光電池を含む。一部の応用の場合、電極のうち少なくとも1つは制御ユニットから誘導的にエネルギーを受け取るように構成されるコイルを含む。一部の応用の場合、電極のうち少なくとも1つは眼の網膜の後の部位に配置されるように構成される。
【0039】
1つの実施態様において、制御ユニットは眼内圧力を下げるのに充分なNO生成を誘発するために信号を与えるために電極を駆動するように構成される。一部の応用の場合、電極は眼の角膜の周りに配置されるように構成され、制御ユニットは眼の線維性帯網付近におけるNO生成を誘発するために信号を与えるために電極を駆動するように構成される。
【0040】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
電極が血管と電気的に通信するように圧受容体付近の患者の血管の中または外部に配置されるように構成される1つまたはそれ以上の電極と、
血管に電気信号を与えるために電極を駆動しかつ血管の壁の拡張を生じそれによって圧受容体を活性化するのに充分な壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するように構成される制御ユニットと、
を含む、患者の血管に(信号を)与えるための装置が提供される。
【0041】
1つの実施態様において、装置は圧受容体付近の血管を機械的に拡張するように構成される要素を含む。1つの実施態様において、電極は壁の形状を変化させるのに充分な機械的力を壁に与えるように構成される。
【0042】
1つの実施態様において、装置は患者の心臓周期の特徴を検知し、これに応じてセンサ信号を出力するように構成されるセンサを含み、制御ユニットはセンサ信号に応じて信号を与えるために電極を駆動するように構成される。一部の応用の場合、制御ユニットは心収縮期の少なくとも一部において信号を与えかつ心拡張期の少なくとも一部において信号を与えることを控えるように構成される。
【0043】
1つの実施態様において、電極は血管の中に配置されるように構成され、バネ状のリブ形要素を形成するように成形される。一部の応用の場合、装置はリブ形要素と直接または間接的に機械接触するように配置される1つまたはそれ以上の圧電性要素を含み、装置は、血管の脈動によって圧電性要素が発電するように構成され、制御ユニットは信号を与えるために電極を駆動するためにこの電力を使用する。
【0044】
また、本発明の1つの実施態様に従って、
血管の第一の通路及び第二の通路に1つまたはそれ以上の電極を含む分岐ステントを配置するステップと、
血管の壁に信号を与えるために電極を駆動するステップと、
壁による一酸化窒素(NO)分泌を増大するように信号を構成するステップと、
を含む方法が提供される。
【0045】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
心収縮期の少なくとも一部において大動脈の壁に心収縮期電気信号を与えるステップと、
壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように心収縮期信号を構成するステップと、
心拡張期の少なくとも一部において壁に心収縮期信号を与えることを控えるステップと、
を含む、患者の大動脈にカウンターパルセイションを与えるための方法が提供される。
【0046】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
心臓周期の第一期中第一の断面形状をとりかつ心臓周期の第二期中第二の断面形状をとるように構成される人工動脈を用意するステップと、
患者の本来の動脈に人工動脈を移植するステップと、
を含む方法が提供される。
【0047】
1つの実施態様において、人工動脈を移植するステップは冠状動脈バイパス手術中移植するステップを含む。
【0048】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
患者が眼の症状を患っていることを確認するステップと、
眼に電気信号を与えることによって眼における一酸化窒素(NO)の生成を誘発することによって眼の症状を治療するステップと、
を含む、患者を治療するための方法が提供される。
【0049】
1つの実施態様において、患者の症状を確認するステップは患者が緑内障を患っていることを確認するステップを含み、信号を与えるステップは眼内圧力を下げるのに充分なNO生成を誘発するように信号を構成するステップを含む。一部の応用の場合、信号を与えるステップは眼の線維性帯網付近のNO生成を誘発するために角膜の周りに信号を与えるステップを含む。
【0050】
また、本発明の1つの実施態様に従って、
患者の圧受容体付近の血管に電気信号を与えるステップと、
血管の壁の拡張を生じるのに充分な血管の壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成することによって圧受容体を活性化するステップと、
を含む方法が提供される。
【0051】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
患者の体内に人工血管を植え込むステップと、
人工血管に電気信号を与えるステップと、
人工血管の内腔において成長する内皮細胞による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するステップと、
を含む方法が提供される。
【0052】
1つの実施態様において、信号を構成するステップは内皮細胞の成長の結果として蓄積された血小板を脱凝集するためにNO分泌を誘発するように信号を構成するステップを含む。1つの実施態様において、信号を構成するステップは内腔における内皮細胞の成長を誘発するように信号を構成するステップを含む。1つの実施態様において、信号を構成するステップは3から20Hzまでの周波数を持つように信号を構成するステップを含む。
【0053】
一部の応用の場合、信号を構成するステップは5ボルト未満の電圧を持つように信号を構成するステップを含む。
【0054】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、血管へ分化するように幹細胞を誘導するステップと、
幹細胞のうちの1つ、血管が派生するときの血管の細胞及び血管が派生した後の血管の細胞から成るグループから選択される少なくとも1つの細胞に電気信号を与えるステップと、
選択された少なくとも1つの細胞による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するステップと、
を含む、幹細胞から血管を派生させるための方法が提供される。
【0055】
1つの実施態様において、少なくとも1つの細胞は幹細胞のうちの1つを含み、信号を与えるステップは幹細胞のうちの1つに信号を与えるステップを含む。1つの実施態様において、少なくとも1つの細胞は血管が派生するときの血管の細胞を含み、信号を与えるステップは血管が派生するときの血管の細胞に信号を与えるステップを含む。1つの実施態様において、少なくとも1つの細胞は血管が派生した後の血管の細胞を含み、信号を与えるステップは血管が派生した後の血管の細胞に信号を与えるステップを含む。
【0056】
さらに、本発明の1つの実施態様に従って、
患者の圧受容体付近など患者の血管の壁でのプラークの集積を確認するステップと、
動脈からプラークを除去することによって圧受容体付近の動脈の柔軟性を増すステップと、
を含む方法が提供される。
【0057】
1つの実施態様において、血管は頚動脈及び大動脈弓付近の大動脈から成るグループから選択される。
【0058】
本発明は添付図面を参照する下記の本発明の詳細な説明からさらによく理解できるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
図1は、本発明の1つの実施態様に従った、患者の血管30の中へ挿入されるのに適する電極装置20の略図である。電極装置20は、1つまたはそれ以上の電極32及び植込み式または外部制御ユニット34を含む。制御ユニットは、血管30の壁36に電気信号を与えるために電極32を駆動しかつ壁36による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するのに適する。一部の応用の場合、壁36は血管の内腔の中へNOを分泌する。その代わりにまたはそれに加えて、壁36は血管の組織の中へNOを分泌する。一部の応用の場合、血管30はアテローム性硬化血管を含む。一部の応用の場合、血管30は冠状動脈、バイパス移植片(冠状動脈バイパス移植片(CABG)など)、網膜動脈、膵臓動脈または陰茎動脈(例えば勃起不全を治療するため)を含む。与えられる信号は血流を強化するため(例えば、糖尿病患者の場合)のポンプとして機能することによってかつ(または)勃起を強化する信号分子としてNOを生成することによって、勃起不全を治療する。
【0060】
一部の応用の場合、電極装置20を用いる刺激は血管30の治癒をもたらす。例えば、刺激は、(a)血管のアテローム性硬化のレベルを下げ、(b)血管に対して抗炎症及び(または)抗血液凝固効果を有し、(c)内皮細胞成長を増大し、(d)平滑筋細胞成長を減少し(例えば、血管の閉塞を減少する)、かつ(または)プラーク活性を抑える。一部の応用の場合、電極装置20は少なくとも1ヶ月または少なくとも数ヶ月など少なくとも1週間の期間信号を与えるために電極32を駆動するように構成される。このような長期の刺激は血管の治癒に貢献するだろう。血管30が冠状動脈を含む応用の場合、電極装置20を用いる刺激は一般に冠状動脈を拡張し、それによって心臓虚血を治療する。
【0061】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は、患者に植え込まれている人工血管移植片に信号を与えるのに適する。内皮細胞はしばしば移植片の内腔の中へ成長する。この成長は一般に望ましいものと見られる。ただし、この種の成長は時には血小板を蓄積させ、それによって内腔を閉塞させる。電極装置20によって与えられる信号は、内腔における内皮細胞によるNO分泌の増大を誘発するように構成される。このNO分泌の増大は血小板を脱凝集する。その代わりにまたはそれに加えて、電極装置20によって与えられる信号は人工移植片の内腔における細胞成長を刺激するように構成される。例えばW.L.Gore & Associates(Newark,DE,USA)社製造の合成血管移植片にこのような刺激法を使用することができる。
【0062】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は、少なくとも1つのステント40を含む。一部の応用の場合、図1に示される通り電極32はステント40に結合される。その代わりにまたはそれに加えて、ステント40の構造要素はさらに電極32のうちの1つまたはそれ以上として作用する。一部の応用の場合、電極32は図1に示される通りリング電極を含む。一部の応用の場合、電極32は細長いシリンダを含み、それを通って血液が流れることができる(この形態は図には示されていない)。1つの実施態様において、電極32は中空ではなく、電極はこれを通って流れない。その代わりに、例えば電極はポイント電極であるか、または隣接する組織を多少貫通するニードル電極の形をとることができる。このように、特定の用途に応じて電極32は妥当に様々な形状をとることができることが分かるはずである。
【0063】
図2を参照すると、本発明の1つの実施態様に従ってステント40は分岐ステント50を含むものとして示されている。制御ユニット34は、一般にステントと血管の壁36との間などステント外部での血小板凝集を減少するために血管30の壁36によるNO分泌増大を誘発するのに適する。一部の応用の場合、電極装置20は2つまたはそれ以上のステント40を含み、そのうち少なくとも第一のステントは血管30の第一の通路52に配置するのに適し、少なくとも第二のステントは血管30の第二の通路54の分岐56付近に配置されるのに適する。
【0064】
図1及び2に示されるステント40の特定の格子形態は単なる例である。ステント40は技術上既知の他の形態を含むことができる。一部の応答の場合、ステント40は二重螺旋に配列される2つの要素を含む(この形態は図には示されていない)。一般に、要素のうち一方は電極32の陽極として作用し、他方は陰極として作用する。
【0065】
図3は本発明の1つの実施態様に従った電極装置20の別の形態の略図である。この実施態様において、電極はバネ状であり、拡張して血管30の壁36と接触するように構成される。例えば、電極は、バネ状のリブ形要素を形成するように成形される。一部の応用の場合、電極32は壁の形状を変化させるのに充分な機械的力を壁36に与えように構成される。一部の応用の場合、電極装置20は、圧受容体付近に配置され、圧受容体に電気信号を与えかつ圧受容体付近の壁36の形状を変化させるように構成される。一部の応用の場合、電極のリブのバネ性は、機械、電気または熱手段などによって調整可能である(例えば、電極の少なくとも一部はニチノールを含むことができる)。リブの一部が弾性を持たなくなるようにリブのこの部分をチェンバの中へスライドさせることによってバネ性を機械的に調節することができる。
【0066】
一部の応用の場合、電極装置20は電極のリブと直接または間接的に接触して配置される1つまたはそれ以上の圧電性要素を含む。血管30にパルスを与えると、圧電性要素は電気信号を与えるのに充分な電力を発生する。
【0067】
図4は本発明の1つの実施態様に従った電極装置20のさらに別の形態の略図である。この実施態様において、電極32は拡張して血管30の壁36と接触するように構成される。電極32はカテーテル60を用いて血管30の中へ挿入される。電極は収縮状態でカテーテルの中に保管される。カテーテルが血管の希望の位置まで前進させられた後、カテーテルは血管から引き出され、電極を露出して、電極が拡張して血管の壁に接するようにする。一部の応用の場合、カテーテル60はさらに治療後血管30から電極32を取り除くために使用される。カテーテルは電極に被さるように前進させられ、電極を収縮させてカテーテルに保管されるようにする。電極を保持するカテーテルはその後血管から引き出される。その代わりに、血管内における電極の方位のおかげで電極を接続するリード線を引っ張ることによって電極をその血管との接触点から解放することができるので、電極はカテーテルを使用せずに引き出される。
【0068】
本発明の1つの実施態様において、制御ユニット34は所定の時に電極32の一部のみを駆動するのに適する。一部の応用の場合、制御ユニット34は、1組のワイヤを通じて電極の全てに多重化信号を送ることによって電極の一部のみを駆動する。例えば、制御ユニット34は時間分割、周波数分割またはデジタル多重化を使用することができる。この種の多重化を可能にするために、各電極は、一般に制御ユニット20によって生成される信号がその電極付近の組織に電極が電流を与えるようにさせるためのものであるか否かを解釈するマイクロチップを含む。この種の多重化技術を使用することによって、一般に電極の全てを制御するために数本(例えば、3−4本)のワイヤだけを使用すればよい。
【0069】
次に図1−4を参照する。一部の応用の場合、制御ユニット34は、下記のパラメータのうち1つまたはその両方を持つように電極32によって与えられる信号を構成するのに適する:約3から約20Hzまで(例えば、約5から約10Hzまで)の周波数及び(または)約5V未満の電圧。一部の応用の場合、信号は単相であり、他の応用の場合信号は二相である。一部の応用の場合制御ユニットはデューティサイクル(例えば、約1−15%または約15−50%)を有する信号を与える。
【0070】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20の全てまたは一部は生分解性であり、ある期間血管30の中に滞留した後分解するのに適する。一部の応用の場合、血管30の中に配置される電極装置20の一部だけ生分解性であるが、制御ユニット34は生分解性ではない。1つの実施態様において、血管30の中の電極装置20の部分は生分解性カーボンポリマーまたは生分解性シュガーポリマーを含む。適切な電極特性を与えるために、これらのポリマーの一方または両方の中に、適宜、金属粒子が分散されている。
【0071】
再び図1を参照する。一部の応用の場合、制御ユニット34はワイヤ38を通じて電極装置20に結合される。制御ユニット34は体内の血管30外部に植え込まれるか、患者の体外に配置される。他の応用の場合、制御ユニット34は、エネルギー及び(または)データの無線伝送のために電極装置20に無線で結合される。例えば、誘導的に制御ユニットを電極装置に結合するか、または制御ユニットは電極装置にエネルギーを伝達する超音波トランスデューサを含むことができる。電極装置は圧電性トランスデューサなど超音波トランスデューサを用いてエネルギーを受け取る。一部の応用の場合、ステント40自体が制御ユニット34から誘導エネルギー及び(または)無線データ信号を受け取るためのアンテナとして作用する。制御ユニット34はバッテリまたはガルバニ電源(この場合、電極32の各々はガルバニ電池の陽極及び陰極として機能することができる)など電源を含む。
【0072】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は血液凝固阻止剤(例えば、ヘパリン)、免疫抑制剤(例えば、シロリマス)、化学療法薬(例えば、タクソール)、ホルモン(例えば、エストラジオール)またはNO放出化合物など局所または全身薬を血管30の中に放出するように構成される。
【0073】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は心筋によるNO分泌の増大を誘発するために患者の心筋と直接接触するように配置されるのに適する。
【0074】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は非血管平滑筋(例えば、胃腸管の平滑筋)と接触するよう配置されるのに適する。
【0075】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は患者の眼の中に配置され、例えば糖尿病性網膜症を治療するために網膜動脈の拡張を誘発するのに適する。一部の応用の場合、電極装置20は接触するまたは隣接する組織の中へ電流を送るために誘導的にエネルギーを受ける小さいコイルを含む。組織の中の電流の流れを誘導的に駆動することによってまたはコイルに結合される電極を通じてエネルギーを放出することができる。外科的制約または治療対象の特定の病理に基づいて適宜、眼球の前部または後部にまたはその代わりに網膜の後にコイルを配置することができる。
【0076】
本発明の1つの実施態様において、1つまたはそれ以上の電極は患者の眼の中またはこれに隣接して配置され、眼病を治療するために電極に隣接してNO生成を誘発する信号を与えるために駆動される。例えば、緑内障を治療するためにNO生成の増大を使用して眼内圧力を下げることができる。その代わりにまたはそれに加えて、NO生成によって誘発される血流の増大は、加齢性黄斑変性(AMD)に見られるような視神経変性を最小限に抑える。その代わりにまたはそれに加えて、上に述べたように、1つまたはそれ以上網膜動脈における血流の増大は糖尿病性網膜症を治療または予防する。
【0077】
本発明の1つの実施態様において、緑内障を治療するためのシステムは、角膜の周りに配置されるのに適する1つまたはそれ以上(例えば、ちょうど2つの)の電極、及び眼の線維性帯網付近のNO生成を誘発する信号を与えるために電極を駆動する制御ユニットを含む。このNO生成は線維性帯網を通ってシュレム管までの眼房水の流れを強化し、それによって眼内圧力を下げて緑内障を治療する。
【0078】
一部の応用の場合、制御ユニットは眼の中に配置されるように構成され(充分小さいことを含めて)、システムは制御ユニットに電力を供給するように構成される光電池を含む。
【0079】
本発明の1つの実施態様において、電極装置20は、胚幹細胞など幹細胞から血管(すなわち、静脈または動脈)が派生する過程において電気刺激を与えるために使用される。その代わりにまたはそれに加えて、電極装置20は血管が患者に植え込まれた後幹細胞から派生した血管に電気刺激を与えるために使用される。電気刺激によって生じるNO生成の増大は血管にとって有利である可能性がある。例えば幹細胞を血管に分化する過程を助ける可能性がある。例えば上記のLevenberg S他による論文において説明される幹細胞を血管に分化させるための技法と一緒にこの刺激法を使用することができる。
【0080】
図5を参照すると、本発明の1つの実施態様に従った患者の上行大動脈72へ挿入されたカウンターパルセイション装置70の略図が示されている。図5は限定的ではなく例として上行大動脈72の中への挿入を示しており、本発明の範囲は、その代わりにまたはこれに加えて、下行大動脈の中への装置の挿入を含む。それに加えて、望ましいカウンターパルセイション効果の範囲に応じて装置70のサイズを図5に示されるよりかなり長く(例えば、5−15cmまたは15−30cm)できることが特記される。
【0081】
カウンターパルセイション装置70は1つまたはそれ以上の電極74及び植込み式または外部制御ユニット76を含む。制御ユニット76は心収縮期に上行大動脈72の壁に電気信号を与えるために電極74を駆動しかつ壁によるNO分泌の増大を誘発するように信号を構成するのに適する。心収縮期に壁はエネルギーを蓄積し心臓への圧力が減少するようにNO分泌の増大は壁を拡張する。心拡張期に、壁は絞窄し、蓄積されたエネルギーを放出し、それによって血圧及び冠状動脈血流を増大する。一部の応用の場合、制御ユニット76は、さらに心拡張期に大動脈72の急速な絞窄を強化するように構成される刺激を与えるために電極74を駆動するように構成される。
【0082】
1つの実施態様において、電極74は心収縮期に約1−30Hz(例えば、約1−20Hzまたは約10−30Hz、一般には約10Hz)で約1−10mA(例えば、約1−7mAまたは約4−10mA、一般には約4−5mA)の信号を与えるために駆動される。一部の応用の場合、心拡張期中に与えられる信号は心収縮期の対応する値の約1.5倍から4倍までの振幅及び(または)信号周波数を有する。1つの実施態様において、電極74は、心拡張期に約15から100Hzまで例えば約50Hzの周波数で約5−20mA(例えば、約10mA)の信号を与えるために駆動される。
【0083】
一部の応用の場合、カウンターパルセイション装置70は約25cmの長さであり、上行大動脈72の10%の拡張及び25cmの上行大動脈に沿って約40ccの体積増大を誘発する。一部の応用の場合、カウンターパルセイション装置70は、うっ血性心不全(CHF)の患者を治療するために使用されるのに対して、他の応用の場合、この装置は収縮期高血圧の患者など非CHFの患者を治療するために使用される。
【0084】
一部の応用の場合、カウンターパルセイション装置70は心電図モニタまたは圧力モニタなど少なくとも1つの生理学センサ78を含む。制御ユニット76はセンサ78によって発せられるセンサ信号に応じて信号発信の1つまたはそれ以上のパラメータ(タイミングパラメータなど)を決定する。一部の応用の場合、制御ユニット76は心拍ごとに信号を与えるために電極74を駆動するのに適し、他の応用の場合、信号は心拍数回ごとなど心拍ごとより少ない頻度で与えられる。一部の応用の場合、制御ユニットは、心収縮期の開始より僅か前(例えば、収縮期の開始50ms未満前)に一般に大動脈の拡張誘発を強化する心収縮期信号を与え始めるために電極を駆動するように構成される。
【0085】
一部の応用の場合、カウンターパルセイション装置70は、その代わりにまたはそれに加えて、大動脈がもっと楕円形の形状をとるようにすることによって、心収縮期の少なくとも一部において上行大動脈72(または下行大動脈)を機械的に拡張するように構成される要素を含む。一部の応用の場合この要素は大動脈内部に配置されるのに対して、他の応用の場合要素は大動脈外部に配置される。例えば、要素は、電気、圧電性要素及び(または)液圧を用いて要素の形状を変化させるために駆動される1つまたはそれ以上のマグネット及び(または)コイルを含むことができる。一部の応用の場合、要素は機械的力を与え、かつ電極74のうち1つまたはそれ以上として機能する。電気信号及び機械的力の両方が心収縮期に与えられる応用の場合、カウンターパルセイション効果は電気誘導拡張、機械誘導断面形状変化及び心収縮期の大動脈の自然な拡張の組み合わせによって強化される。
【0086】
一部の応用の場合、カウンターパルセイション装置70は大動脈以外の動脈に応用される。
【0087】
図6を参照すると、本発明の1つの実施態様に従った人工動脈100の断面略図が示されている。人工動脈100は一般に冠状動脈バイパス手術のための移植片として使用される。一部の応用の場合、人工動脈100は5mm未満または3mm未満など7mm未満の直径を有する。人工動脈100は心臓周期の第一期(例えば、心収縮期または心拡張期)に第一の断面形状をとり、心臓周期の第二期(例えば、心拡張期または心収縮期)に第二の断面形状をとるように構成される。一般に、断面形状の一方または両方は楕円形であり、それぞれ異なる長さL1及びL2の長径を有する。一部の応用の場合、断面形状のうち1つは実質的に円形である。一部の応用の場合、L1対L2の比は1.1、1.2、1.3、1.4または1.5より大きい。各心臓周期中のこのような形状変化は一般に人工動脈100が時間の経過に伴い閉塞する尤度を減少する。特定の理論に拘束されることなく、発明者は、筋肉の動きによって生じる骨格筋の動脈の頻繁な形状変化はこの種の動脈の閉塞を予防するのに役立つという仮説を立てている。人工動脈100の形状変化はこの同じ一般的に有利な影響を持つ可能性がある。
【0088】
本発明の1つの実施態様において、電極装置は1つまたはそれ以上の電極を含む。電極装置は、電極が血管の外部において血管と常に電気的に通信するように動脈など血管の外部の血管付近に配置されるように構成される。植込み式または外部制御ユニットは、血管に電気信号を与えるために電極を駆動しかつ血管の壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するように構成される。一部の応用の場合、電極装置は複数の電極を含み、制御ユニットは、ランダムにまたは準ランダムに電極のサブセットを活性化しかつサブセットに含まれる電極を反復的に変化させるように構成される。一部の応用の場合、電極装置は内面を有するチューブの形状を持ち、この内面に電極が結合される。一部の応用の場合、電極装置は少なくとも1本の細長いリード線を含み、リード線は、血管に中に配置されかつ血管外部の電極と反対の極性を有する電極として作用するように構成される。
【0089】
本発明の1つの実施態様において、システムは電極装置及び植込み式または外部制御ユニットを含む。電極装置は圧受容体付近の血管の中または外に配置されるように構成される1つまたはそれ以上の電極を含む。制御ユニットは、動脈の壁によるNO分泌を誘導する電気信号を血管に与えるために電極を駆動する。このようなNO分泌は血管の壁の拡張を生じ、それによって圧受容体を活性化する。一部の応用の場合、システムは、心臓周期の特徴を検知するためのセンサを含み、制御ユニットは信号発信をこの特徴と同期化するように構成される。例えば、1心拍ごとにまたは2心拍または3心拍ごとなどn心拍ごとに信号を与えるように制御ユニットを構成することができる。一部の応用の場合、制御ユニットは心収縮期にのみ信号を与える。一部の応用の場合、システムは圧力センサを含み、制御ユニットは検知された血圧に応じて信号を与えるために電極装置を駆動する。例えば、血管は頚動脈または大動脈弓付近の大動脈である。
【0090】
その代わりにまたはそれに加えて、システムは上述の通り心収縮期などに圧受容体付近の血管を機械的に拡張させるように構成される要素を含む。一部の応用の場合この要素は血管内部に配置されるが、他の応用の場合この要素は血管外部に配置される。例えば、要素は電気、圧電性要素及び(または)液圧を用いて要素の形状を変化させるために駆動される1つまたはそれ以上のマグネット及び(または)コイルを含むことができる。一部の応用の場合、要素は心臓周期の1つの段階中エネルギーを蓄積しかつ心臓周期の別の段階中この蓄積されたエネルギーを使用して要素の形状を変化させるように構成される。一部の応用の場合、機械的力を与えるための要素は電極のうちの1つまたはそれ以上としても作用する。
【0091】
一部の応用の場合、要素は血管の断面形状を心拡張期にもっと楕円形にするように構成される(硬い血管は一般にほぼ円形の断面形状を持つことに留意すること)。その結果、圧受容体は一般に心収縮期により大きな形状変化を検出する。例えば、要素は断面形状を変化させるために弱いバネとして機能するように構成される。
【0092】
本発明の1つの実施態様において、治療法は、動脈の柔軟性を従って圧受容体の感度を増すために圧受容体付近の動脈からプラークを取り除くステップを含む。例えば、プラークを取り除くためにSilverHawkTMプラーク捻除システム(FoxHollow Technologies,Inc.,カリフォルニア州レッドウッド)を使用することができる。
【0093】
本発明が特に図に示され上に説明されるものに限定されないことが当業者には分かるだろう。本発明の範囲は上述の様々な特徴の結合及び小結合並びに以上の説明を読んで当業者が思いつくような先行技術にないその変形及び修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の1つの実施態様に従った、患者の血管の中へ挿入されるのに適する電極装置の略図である。
【図2】本発明の1つの実施態様に従った、分岐ステントを含む図1の電極装置の略図である。
【図3】本発明の1つの実施態様に従った、図1の電極装置の別の形態の略図である。
【図4】本発明の1つの実施態様に従った、図1の電極装置のさらに別の形態の略図である。
【図5】本発明の1つの実施態様に従った、患者の上行大動脈に挿入されたカウンターパルセイション装置の略図である。
【図6】本発明の1つの実施態様に従った、人工動脈の略図的断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の第一の通路及び第二の通路に配置されるように構成される、1つまたはそれ以上の電極を含む分岐ステントと、
前記血管の壁に信号を与えるために前記電極を駆動しかつ前記壁による一酸化窒素(NO)分泌を増大するように前記信号を構成するように構成される制御ユニットと、
を含む装置。
【請求項2】
該装置において、前記制御ユニットが前記ステント外部の前記ステントと前記血管の前記壁との間における血小板凝集を減少するように前記信号を構成するのに適する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該装置において、前記制御ユニットが3から20Hzまでの周波数を持つ前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
該装置において、前記ユニットが5ボルト未満の電圧を持つ前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項1−3のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
患者の大動脈の中へ挿入されるのに適する1つまたはそれ以上の電極と、
制御ユニットであり、
心収縮期の少なくとも一部において前記大動脈の壁に心収縮期電気信号を与えるために前記電極を駆動し、
前記壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように前記心収縮期信号を構成し、かつ
心拡張期の少なくとも一部において前記壁に前記心収縮期信号を与えるために電極を駆動することを控える、
ように構成される制御ユニットと、
を含む、患者の大動脈にカウンターパルセイションを与えるための装置。
【請求項6】
さらに、センサ信号を生成するように構成される生理学センサを含み、該装置において、前記制御ユニットが前記センサ信号に応じて前記心収縮期信号の少なくとも1つのパラメータを設定するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該装置において、前記制御ユニットが心収縮期開始の僅か前に前記心収縮期信号を与え始めるために前記電極を駆動するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
該装置において、前記制御ユニットが心収縮期開始の50ms未満前に前記心収縮期信号を与え始めるために前記電極を駆動するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
該装置において、前記制御ユニットが1から10mAまでの振幅を持つように前記心収縮期信号を構成するのに適する、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
該装置において、前記制御ユニットが30Hz未満の周波数を持つように前記心収縮期信号を構成するのに適する、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
該装置において、前記制御ユニットが心拡張期の少なくとも一部において前記壁に心拡張期電気信号を与えるために前記電極を駆動しかつ心拡張期中前記大動脈の絞窄を強化するように前記心拡張期信号を構成するのに適する、請求項5−10のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
該装置において、前記制御ユニットが、前記心収縮期信号のあるパラメータの心収縮期値の1.5倍から4倍までになるように前記心拡張期信号の前記パラメータの心拡張期値を構成するのに適し、前記パラメータが振幅及び周波数から成るグループから選択される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
該装置において、前記制御ユニットが5から20mAまでの振幅を持つように前記心拡張期信号を構成するのに適する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
該装置において、前記制御ユニットが15から100Hzまでの周波数を持つように前記心拡張期信号を構成するのに適する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
さらに心収縮期の少なくとも一部において前記大動脈を機械的に拡張するように構成される要素を含む、請求項5−10のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
該装置において、前記要素が少なくとも部分的に前記大動脈の中に配置されるように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
該装置において、前記要素が少なくとも部分的に前記大動脈の外部に配置されるように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
該装置において、前記要素が前記1つまたはそれ以上の電極のうち少なくとも1つとして作用するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
心臓周期の第一期中第一の断面形状をとりかつ前記心臓周期の第二期中第二の断面形状をとるように構成される人工動脈を含む装置。
【請求項20】
該装置において、前記第一及び第二の断面形状のうち1つがほぼ円形である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
該装置において、前記第一期及び第二期がそれぞれ心収縮期及び心拡張期を含み、かつ該装置において、前記人工動脈が心収縮期及び心拡張期中それぞれ前記第一及び第二の断面形状をとるように構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
該装置において、前記第一及び第二の断面形状がそれぞれ第一及び第二の長さを有するそれぞれの長径を有する楕円形である、請求項19−21のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
該装置において、前記第一の長さ対前記第二の長さの比が少なくとも1.1である、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
該装置において、前記第一の長さ対前記第二の長さの比が少なくとも1.3である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
患者の眼を治療するための装置であり、該装置が、
少なくとも部分的に前記眼の中に配置されるように構成される1つまたはそれ以上の電極と、
一酸化窒素(NO)の生成を誘発する電気信号を前記眼に与えるために前記電極を駆動することによって前記眼を治療するように構成される制御ユニットと、
を含む、装置。
【請求項26】
該装置において、前記制御ユニットが前記患者の網膜動脈の拡張を誘発するのに充分なNO生成を誘発するために前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
該装置において、前記制御ユニットが前記患者の視神経の変性を最小限に抑えるのに充分なNO生成を誘発するために前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
該装置において、前記制御ユニットが少なくとも部分的に前記眼の中に配置されるように構成され、かつ該装置において、該装置が前記制御ユニットに電力を供給するように構成される光電池を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
該装置において、前記電極のうち少なくとも1つが前記制御ユニットから誘導的にエネルギーを受け取るように構成されるコイルを含む、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
該装置において、前記電極のうち少なくとも1つが前記眼の網膜の後の部位に配置されるように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項31】
該装置において、前記制御ユニットが眼内圧力を下げるのに充分な前記NO生成を誘発するために前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項25−30のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
該装置において、前記電極が前記眼の角膜の周りに配置されるように構成され、かつ該装置において、前記制御ユニットが前記眼の線維性帯網付近における前記NO生成を誘発するために前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
患者の血管に信号を与えるための装置であり、該装置が、
電極が前記血管と電気的に通信するように前記患者の圧受容体付近の前記血管の中または外部に配置されるように構成される1つまたはそれ以上の電極と、
前記血管に電気信号を与えるために前記電極を駆動しかつ前記血管の壁の拡張を生じそれによって圧受容体を活性化するのに充分な前記壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように信号を構成するように構成される制御ユニットと、
を含む、装置。
【請求項34】
さらに、前記圧受容体付近の前記血管を機械的に拡張するように構成される要素を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
該装置において、前記電極が前記壁の形状を変化させるのに充分な機械的力を前記壁に与えるように構成される、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
さらに、前記患者の心臓周期の特徴を検知し、これに応じてセンサ信号を出力するように構成されるセンサを含み、該装置において、前記制御ユニットは前記センサ信号に応じて前記信号を与えるために前記電極を駆動するように構成される、請求項33−35のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
該装置において、前記制御ユニットが心収縮期の少なくとも一部において前記信号を与えかつ心拡張期の少なくとも一部において前記信号を与えることを控えるように構成される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
該装置において、前記電極が前記血管の中に配置されるように構成され、バネ状のリブ形要素を形成するように成形される、請求項33−35のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
さらに、前記リブ形要素と直接または間接的に機械接触するように配置される1つまたはそれ以上の圧電性要素を含み、該装置において、該装置が、前記血管の脈動によって前記圧電性要素が発電するように構成され、かつ該装置において、前記制御ユニットが前記信号を与えるために前記電極を駆動するためにこの電力を使用する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
血管の第一の通路及び第二の通路に1つまたはそれ以上の電極を含む分岐ステントを配置するステップと、
前記血管の壁に信号を与えるために前記電極を駆動するステップと、
前記壁による一酸化窒素(NO)分泌を増大するように前記信号を構成するステップと、
を含む方法。
【請求項41】
該方法において、前記電極を駆動するステップが前記ステント外部の前記ステントと前記血管の前記壁との間における血小板凝集を減少するように前記信号を構成するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該方法において、前記電極を駆動するステップが3から20Hzまでの周波数を持つ前記信号を与えるために前記電極を駆動するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
該方法において、前記電極を駆動するステップが5ボルト未満の電圧を持つ前記信号を与えるために前記電極を駆動するステップを含む、請求項40−42のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
患者の大動脈にカウンターパルセイションを与えるための方法であり、該方法が、
心収縮期の少なくとも一部において前記大動脈の壁に心収縮期電気信号を与えるステップと、
前記壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように前記心収縮期信号を構成するステップと、
心拡張期の少なくとも一部において前記壁に前記心収縮期信号を与えることを控えるステップと、
を含む、方法。
【請求項45】
該方法において、前記心収縮期信号を与えるステップが前記患者の生理学パラメータを検知するステップ及び前記検知された生理学パラメータに応じて前記心収縮期信号の少なくとも1つのパラメータを設定するステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該方法において、前記心収縮期信号を与えるステップが、心収縮期の開始の50ms未満前に前記心収縮期信号を与え始めるステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
該方法において、前記心収縮期信号を与えるステップが1から10mAまでの振幅を持つように前記心収縮期信号を構成するステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
該方法において、前記心収縮期信号を与えるステップが30Hz未満の周波数を持つように前記心収縮期信号を構成するステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
さらに、心拡張期の少なくとも一部において前記壁に心拡張期信号を与えるステップ及心拡張期中前記大動脈の絞窄を強化するように前記心拡張期信号を構成するステップを含む、請求項44−48のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
該方法において、前記心拡張期信号を与えるステップが前記心収縮期信号のあるパラメータの心収縮期値の1.5倍から4倍までになるように前記心拡張期信号の前記パラメータの心拡張期値を構成するステップを含み、前記パラメータが振幅及び周波数から成るグループから選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
該方法において、前記心拡張信号を与えるステップが5から20mAまでの振幅を持つように前記心拡張期信号を構成するステップを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
該方法において、前記心拡張期信号を与えるステップが15から100Hzまでの周波数を持つように前記心拡張期信号を構成するステップを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
心収縮期の少なくとも一部において前記大動脈を機械的に拡張するステップを含む、請求項44−48のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
該方法において、前記血管を機械的に拡張するステップが前記大動脈内部から前記大動脈を機械的に拡張するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記血管を機械的に拡張するステップが前記大動脈外部から前記大動脈を機械的に拡張するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
心臓周期の第一期中第一の断面形状をとりかつ前記心臓周期の第二期中第二の断面形状をとるように構成される人工動脈を用意するステップと、
前記患者の本来の動脈に前記人工動脈を移植するステップと、
を含む方法。
【請求項57】
該方法において、前記人工動脈を移植するステップが冠状動脈バイパス手術中移植するステップを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
該方法において、前記第一及び第二の断面形状のうち1つがほぼ円形である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
該方法において、前記第一及び第二期がそれぞれ心収縮期及び心拡張期を含み、かつ該方法において、前記人工動脈が心収縮期及び心拡張期中それぞれ前記第一及び第二の断面形状をとるように構成される、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
該方法において、前記第一及び第二の断面形状がそれぞれ第一及び第二の長さを有するそれぞれの長径を有する楕円形である、請求項56−59に記載の方法。
【請求項61】
該方法において、前記第一の長さ対前記第二の長さの比が少なくとも1.1である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
該方法において、前記第一の長さ対前記第二の長さの比が少なくとも1.3である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記患者が眼の症状を患っていることを確認するステップと、
前記眼に電気信号を与えることによって前記眼における一酸化窒素(NO)の生成を誘発することによって前記眼の症状を治療するステップと、
を含む、患者を治療するための方法。
【請求項64】
該方法において、前記信号を与えるステップが前記患者の網膜動脈の拡張を誘発するのに充分なNO生成を誘発するように前記信号を構成するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
該方法において、前記信号を与えるステップが前記患者の視神経の変性を最小限に抑えるのに充分な前記NO生成を誘発するように前記信号を構成するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
該方法において、前記電気信号を与えるステップが前記眼の中に光電池を配置するステップ及び前記電池が発生した電力を用いて前記信号を与えるステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
該方法において、前記信号を与えるステップが前記眼の内部で誘導的にエネルギーを受け取るステップ及び前記受け取ったエネルギーを用いて前記信号を与えるステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
該方法において、前記信号を与えるステップが前記眼の網膜の後の部位に前記信号を与えるステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
該方法において、前記患者の症状を確認するステップが、前記患者が緑内障を患っていることを確認するステップを含み、かつ該方法において、前記信号を与えるステップが前記眼の眼内圧力を下げるため充分なNO生成を誘発するように信号を構成するステップを含む、請求項63−68のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
該方法において、前記信号を与えるステップが前記眼の線維性帯網付近におけるNO生成を誘発するために角膜の周りに前記信号を与えるステップを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
患者の圧受容体付近の前記患者の血管に電気信号を与えるステップと、
前記血管の壁の拡張を生じるのに充分な前記血管の前記壁による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように前記信号を構成することによって前記圧受容体を活性化するステップと、
を含む方法。
【請求項72】
さらに前記圧受容体付近の前記血管を機械的に拡張するステップを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
該方法において、前記信号を与えるステップが前記患者の心臓周期の特徴を検知するステップ及び前記検知された特徴に応じて前記信号を与えるステップを含む、請求項71−72のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
該方法において、前記信号を与えるステップが心収縮期の少なくとも一部において前記信号を与えるステップ及び心拡張期の少なくとも一部において前記信号を与えることを控えるステップを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
患者体内に人工血管を植え込むステップと、
前記人工血管に電気信号を与えるステップと、
前記人工血管の内腔において成長する内皮細胞による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように前記信号を構成するステップと、
を含む方法。
【請求項76】
該方法において、前記信号を構成するステップが前記内皮細胞の成長の結果として蓄積された血小板を脱凝集するためにNO分泌を誘発するように前記信号を構成するステップを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
該方法において、前記信号を構成するステップが前記内腔における内皮細胞の成長を誘発するように前記信号を構成するステップを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
該方法において、前記信号を構成するステップが3から20Hzまでの周波数を持つように前記信号を構成するステップを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
該方法において、前記信号を構成するステップが5ボルト未満の電圧を持つように前記信号を構成するステップを含む、請求項75−78のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
血管へ分化するように幹細胞を誘導するステップと、
前記幹細胞のうちの1つ、血管が派生するときの血管の細胞及び血管が派生した後の血管の細胞から成るグループから選択される少なくとも1つの細胞に電気信号を与えるステップと、
選択された少なくとも1つの細胞による一酸化窒素(NO)分泌の増大を誘発するように前記信号を構成するステップと、
を含む、幹細胞から血管を派生させるための方法。
【請求項81】
該方法において、前記少なくとも1つの細胞が前記幹細胞のうちの少なくとも1つを含み、かつ該方法において、前記信号を与えるステップが前記幹細胞のうちの前記1つに前記信号を与えるステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
該方法において、前記少なくとも1つの細胞が前記血管が派生するときの前記血管の前記細胞を含み、かつ該方法において、前記信号を与えるステップが前記血管が派生するときの前記血管の前記細胞に前記信号を与えるステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
該方法において、前記少なくとも1つの細胞が前記血管が派生した後の前記血管の前記細胞を含み、かつ該方法において、前記信号を与えるステップが前記血管が派生した後の前記血管の前記細胞に前記信号を与えるステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
患者の圧受容体付近など前記患者の血管の壁でのプラークの集積を確認するステップと、
動脈から前記プラークを除去することによって前記圧受容体付近の前記動脈の柔軟性を増すステップと、
を含む方法。
【請求項85】
該方法において、前記血管が頚動脈及び大動脈弓付近の大動脈から成るグループから選択される、請求項84に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−502302(P2009−502302A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523533(P2008−523533)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000856
【国際公開番号】WO2007/013065
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508026618)
【Fターム(参考)】