説明

血管内デバイスならびに関連のシステムおよび方法

管腔を通した送達のための縮小された送達外形と、管腔内での配置のためのより大きい解放された外形とを有する管腔内デバイス。縮小された外形構成は、標的部位への送達システムの薬剤または他の構成要素のコンパクトな送達を可能にする。本管腔内デバイスは、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に少なくとも部分的に配置するように構成される少なくとも1つの可撓性支持部材と、該支持部材によって運ばれる少なくとも1つの薬剤とを備え、該支持部材は、第1の比較的縮小した放射状構成と、第2の比較的増大した放射状構成との間で変化可能であり、該第1の縮小した放射状構成において、該支持部材は、第1の端から第2の端までの距離に延在する長さを有する細長い部材を備え、該第2の増大した放射状構成において、該第1の端と該第2の端との間の該距離は、比較的縮小される、デバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本開示は、概して、管腔内デバイスならびに関連システムおよび方法を対象とする。本開示のいくつかの側面は、より具体的には、血管壁に管腔内補綴を固着することを対象とする。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、血管壁の疾患または弱体化によって引き起こされる、血管の局部的な血液で充満した拡張である。動脈瘤は、流体を伝導する血管の能力に影響を及ぼし、治療されないままであれば、生命を脅かし得る。動脈瘤は、脳の基底部における動脈内または大動脈内で最も多く発生する。動脈瘤のサイズが増大するにつれて、重度の出血、または突然死を含む他の合併症をもたらし得る、破裂の増加した危険性がある。
【0003】
動脈瘤は、典型的には、動脈瘤の一部または全体的に外科医的に除去し、身体管腔に置換補綴部を埋め込むことによって治療される。しかしながら、そのような手技は、広範囲の手術および回復時間を必要とし得る。患者はしばしば、手技後の数日間入院したままであり、数ヶ月の回復時間を必要とし得る。また、そのような大手術と関連する罹患率または死亡率が、有意に高くなり得る。
【0004】
動脈瘤を治療するための別のアプローチは、罹患部位での血管内グラフトアセンブリの展開を伴う。そのような手技は、典型的には、動脈瘤の部位への血管内グラフトアセンブリの血管内送達を含む。次いで、グラフトは、原位置で拡張または展開され、グラフトの端は、動脈瘤の両側の身体管腔に固着される。このようにして、グラフトは、循環から動脈瘤嚢を効果的に除外する。
【0005】
しかしながら、多くの従来の血管内グラフトアセンブリに対する1つの懸念は、そのような構造の長期耐久性である。例えば、経時的に、グラフトが身体管腔の内面から分離され得て、そのような分離が内部漏出をもたらし得る。本明細書で使用されるように、内部漏出は、管腔グラフトの管腔外であるが、デバイスによって治療されている動脈瘤嚢または隣接血管セグメント内での持続的な血液または他の流体の流動として定義される。内部漏出が発生すると、動脈瘤嚢の連続加圧を引き起こし得て、破裂の増加した危険性をもたらす場合がある。
【0006】
内部漏出に加えて、多くの従来の血管内グラフトアセンブリに対する別の懸念は、そのようなデバイスへの管腔内反応物の送達である。例えば、施術者がグラフトのための最適な場所を見つけた後に、デバイスは、身体管腔の壁に固定され、内部漏出を防止し、後続のデバイス移動および/または抜去を防止する、ある程度の固定を達成するように、グラフトの各端で完全に密閉されなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の側面では、本発明は、被検体の血管に薬剤を送達するための管腔内デバイスを提供し、該管腔内デバイスは、
管腔内補綴と身体管腔の壁との間に少なくとも部分的に配置するために構成される少なくとも1つの可撓性支持部材と、
支持部材によって運ばれる、少なくとも1つの薬剤と
を備え、
該支持部材は、第1の比較的縮小した放射状構成と、第2の比較的増大した放射状構成との間で変化可能であり、
該第1の縮小した放射状構成において、該支持部材は、第1の端から第2の端までの距離に延在する長さを有する細長い部材を備え、
該第2の増大した放射状構成において、該第1の端と該第2の端との間の該距離は、比較的縮小されている。
【0008】
(発明の実施形態の説明)
別の側面では、本発明は、
少なくとも1つの支持部材と、
該支持部材によって運ばれる少なくとも1つの薬剤であって、該支持部材は、第1の比較的縮小した放射状構成と第2の比較的増大した放射状構成との間で変化可能である、薬剤と
を含む、管腔内アセンブリを提供し、
該第1の縮小した放射状構成において、支持部材は、第1の端から第2の端までの距離に延在する長さを有する細長い部材を備え、該第2の増大した放射状構成において、該第1の端と該第2の端との間の該距離は、比較的縮小されており、
該アセンブリは、該第1の縮小した放射状構成において該支持部材を保持するように構成される送達手段をさらに含み、該送達手段は、血管内の標的部位へ管腔内補綴を送達するようにも構成され、
該アセンブリの該少なくとも1つの支持部材は、少なくとも部分的に該管腔内補綴と身体管腔の壁との間に配置するように構成される。
【0009】
なおもさらなる側面では、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達する方法が提供され、該方法は、
身体管腔内の所望の場所まで密閉デバイスを前進させるステップであって、該密閉デバイスは、支持部材と、支持部材によって運ばれる少なくとも1つの薬剤とを備える、ステップと、
該支持部材を、第1の比較的縮小した放射状構成から第2の比較的増大した放射状構成まで変化させるか、または該支持部材が変化することを可能にするステップであって、該第2の増大した放射状構成において、該支持部材は、管腔内補綴の少なくとも一部分を受容する受容領域を画定する、ステップと、
所望の場所まで管腔内補綴を前進させるステップであって、補綴の少なくとも一部は、該支持部材の該受容領域内に受容される、ステップと、
管腔内補綴の管腔内に拡張型部材を設置し、該支持部材に力を及ぼすように拡張型部材を放射状に拡張するステップであって、該力は、該支持部材からの該薬剤の放出を生じさせる、ステップと
を含む。
【0010】
なおもさらなる側面では、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達する方法が提供され、方法は、
身体管腔内の所望の場所まで管腔内補綴を前進させるステップであって、管腔内補綴は、補綴と身体管腔の壁との間に設置される密閉デバイスを含み、密閉デバイスは、(a)形状記憶材料を含む支持部材と、(b)支持部材によって運ばれるカプセルとを含む、ステップと、
拡張型バルーンと身体管腔の壁との間にある密閉デバイスとともに、身体管腔内に拡張型バルーンを設置するステップと、
カプセルがカプセル内に含有された薬剤を放出するまで、身体管腔の壁に密閉デバイスを押し付けるようにバルーンを放射状に拡張するステップと
を含む。
【0011】
(薬剤の放出)
薬剤は、支持部材がその第2の増大した放射状構成である場合に、放出されてもよい。さらに、薬剤の放出は、支持部材の構成の変化によって引き起こされてもよい。
【0012】
代替として、薬剤は、該支持部材の構成の変化後に放出されてもよい。薬剤は、支持部材が圧力を受けるまで放出されなくてもよい。圧力は、外向きの半径方向圧力を引き起こすように、該管腔内補綴内でのバルーンの膨張によって引き起こされてもよい。
【0013】
具体的には、薬剤は、支持部材のカプセルの中で保持されてもよく、そうするとすぐに、拡張するバルーンから及ぼされる圧力が、カプセルの壁を破裂させてそこから薬剤を放出することに十分である。
【0014】
さらなる実施形態では、カプセル壁の少なくとも一部は、分解性材料でできていてもよい。いったん原位置になると、壁は、その中で保持された薬剤が放出されるように分解する。この実施形態は、ある期間にわたってゆっくりと放出される薬剤を送達する時に特に有用であってもよい。分解性材料の実施例は、酵素分解性材料、光またはUV分解性材料、または熱分解性材料を含む。
【0015】
圧力の印加を介した薬剤の放出に加えて、該放出を達成するための多くの他の機構がある。例えば、薬剤は、ある期間にわたって周辺環境の中へ放出されるように、支持部材に含浸されてもよい。
【0016】
薬剤は、そこから放出されるように、支持部材上の被覆の中で保持されてもよい。
【0017】
さらに、薬剤は、圧力の印加時に破裂するよりもむしろ、ユーザによって破壊されてもよい、カプセルの壁の中の壊れやすい領域を有する、カプセルの中で保持されてもよい。壁を破壊すると、薬剤が放出されてもよい。壊れやすい領域は、リップコード構成または同等物の使用によって破壊されてもよいことが構想される。コードは、デバイスの配置領域からユーザまで延在してもよい。リップコードを引っ張ることにより、カプセル壁を破壊し、薬剤を放出する。
【0018】
薬剤は、体内へのデバイスの導入時に、比較的固体の状態で光硬化性物質を含んでもよい。いったん原位置になると、薬剤は、光活性化を受け、薬剤を異なる比較的固体ではない状態に変化させる。薬剤が接着剤である実施形態では、比較的固体ではない状態への状態の変化は、接着剤が血管壁に結合し、そこに管腔内デバイスを保持することを可能にする。
【0019】
同様に、薬剤は、熱硬化性薬剤を含んでもよい。この実施形態では、薬剤は、体外の温度から原位置での温度への相対的変化の結果として、体内への挿入のための比較的固体の状態から、原位置にある時の比較的固体ではない状態に変化してもよい。
【0020】
支持部材がそこから放出するための該薬剤で含浸される、該実施形態では、薬剤は、支持部材の材料内の実質的に閉鎖した細孔の中で保持されてもよい。第1の構成から第1の構成への支持部材の移動時に、細孔は、支持部材の外面へと開いて該薬剤を放出してもよい。
【0021】
さらに、放出機構は、浸透圧差を含んでもよい。
【0022】
別の実施形態では、1つ以上の薬剤が、標的部位への送達のために収められてもよい。いったん標的部位に設置されると、1つ以上の薬剤は、周辺環境への放出を可能にするように抜き出されてもよい。この実施形態は、固体または半固体状態の薬剤に対する特定の用途を有してもよい。
【0023】
支持部材がカプセルを含む時の実施形態では、カプセルは、支持部材内で単一の環状区画を備えてもよい。この実施形態では、支持部材が、その第2の増大した放射状構成である時に、カプセルは、完全に管腔内補綴の周囲に延在する。代替として、カプセルは、補綴の周囲で部分的にしか延在しなくてもよい。2つ以上のカプセルが補綴の周囲に延在してもよい。
【0024】
他の実施形態では、カプセルは、1つ以上の区画を含むように区分化されてもよい。区画は、比較的密接に離間されてもよい。さらに、隣接する区画間の距離が変化してもよい。
【0025】
この実施形態の区分化されたカプセルは、支持部材がその第2の増大した放射状構成である時に、完全に管腔内補綴の周囲に延在しなくてもよい。
【0026】
支持部材がカプセルを含む、一実施形態では、該カプセルは、該支持部材によって実質的に包囲されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、カプセルは、該支持部材によって部分的にしか包まれなくてもよい。
【0027】
該カプセルは、その中で薬剤を保持するように、外壁を備えてもよい。外壁は、好適に可撓性かつ生分解性の材料でできていてもよい。代替として、カプセルは、そこからの薬剤の放出を可能にするように、事前設計された破損機構を有する、より剛体の構造を備えてもよい。好適な材料の実施例は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、またはフルオロシリコーンを含むが、それらに限定されない。カプセルの構築に使用されてもよい、他のフッ素重合体は、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂、フッ素化エチレンプロピレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、エチレンクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロポリエーテル、フッ素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレンのターポリマー、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン、ポリスルホン、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。それはまた、ガラス、バイオガラス、セラミック、プラチナ、およびチタン等の非ポリマー材料を含んでもよい。それはさらに、架橋コラーゲンまたはアルギン酸塩等の生物学に基づく材料を含んでもよい。先述のリストは、好適な材料の実施例として提供されるにすぎず、包括的リストではないことが理解されるであろう。カプセルは、上記で提供されるものとは異なる材料または材料の組み合わせから構成されてもよい。
【0028】
支持部材自体は、薬剤で含浸されてもよい。支持部材はさらに、その外面に接続または含浸される薬剤の個々の貯蔵部を備えてもよい。
【0029】
支持部材が1つ以上のカプセルを含む、一実施形態では、薬剤は、カプセルの破裂によって放出されてもよい。上述のように、そのような破裂は、カプセルに圧力を受けさせることによって達成されてもよい。典型的には、カプセルは、半径方向圧力を受ける。
【0030】
薬剤がカプセル内に保持されようと、貯蔵部内に保持されようと、被覆内に保持されようと、または支持部材の材料に含浸されようと、いくつかの異なる薬剤が該支持部材から放出されてもよい。
【0031】
例えば、支持部材がカプセルを含む実施形態において、カプセルは、区画を2つ以上のサブ区画に分離するように、壊れやすい壁によって分割される環状区画を備えてもよい。異なる薬剤は、各サブ区画の中で保持されてもよい。一実施形態では、環状区画は、少なくとも1つの内側サブ区画および少なくとも1つの外側サブ区画で縦方向に分割されてもよい。代替として、カプセルは、2つ以上のサブ区画に半径方向に分割されてもよく、サブ区画は、相互に対して同心性であってもよい。
【0032】
カプセルが区分化される実施形態では、異なる区画が、異なる薬剤をその中で保持してもよい。
【0033】
支持部材からの薬剤の放出速度が変化してもよい。既述のように、いくつかの実施形態では、カプセルを破裂させるように該支持部材に及ぼされる圧力は、1つ以上の薬剤を放出してもよい。このほぼ即時放出の速度は、血管壁に補綴を付加するように血管に接着剤を送達するために、特に有用である。
【0034】
しかしながら、他の薬剤は、より遅い速度で、または少なくとも可変速度で放出されてもよいことが構想される。さらに、該薬剤は、主要な薬剤(例えば、接着剤)の初期放出後に放出されてもよい。
【0035】
例えば、支持材が区分化されたカプセルを含む、実施形態では、放出される第1の薬剤は、所定の初期圧力下で破裂するように構成される外壁を備える、1つ以上の「即時放出」サブ区画の中で保持されてもよい。支持部材は、該初期圧力に耐えるように構成されるが、より大きい圧力を受けると破裂するか、または代替として、破裂しないがむしろ、ある期間にわたって分解してその中で保持された薬剤を放出する、外壁を有する、1つ以上の徐放サブ区画を備えてもよい。
【0036】
典型的には、カプセルは、所定の圧力の範囲で破裂して1つ以上の薬剤を放出するように構成される。破裂圧力の範囲は、5から250psiの間を含む。実施形態では、破裂圧力の範囲は、5から125psiの間である。さらなる実施形態では、破裂圧力の範囲は、10から75psiの間である。なおもさらなる実施形態では、破裂が発生する圧力は、約50psiである。
【0037】
薬剤はさらに、他の管腔内アセンブリのグラフトアセンブリの構成要素を備えてもよく、該構成要素は、支持部材によって標的部位に運ばれる。
【0038】
支持部材は、材料の適合バンドを含んでもよい。この実施形態では、適合バンドの材料は、管腔内補綴と血管壁との間の不整形に適合するように十分可撓性であってもよい。材料のバンドは、放出された薬剤をその中で捕捉するように、メッシュ状構造を備えてもよい。この実施形態は、血管中の標的部位からの薬剤の塞栓を低減するという利点を有する。
【0039】
該第2の縮小した放射状構成では、支持部材は、略リング状の構造を備えてもよい。該第2の構成では、リング状構造は、補綴の一部分と血管壁との間に設置されるように、管腔内補綴の少なくとも該一部分を受容するように構成される。
【0040】
さらなる実施形態では、該支持部材は、第2の縮小した放射状構成である時に、実質的にらせん状の構成を形成してもよい。支持部材のらせん状構成は、管腔内補綴の少なくとも一部分を受容するように、その中に内部通路を提供する。
【0041】
支持部材は、形状記憶材料を含んでもよい。形状記憶材料は、1つ以上の形状記憶合金を含んでもよい。この実施形態では、所定の方式での形状記憶材料の移動が、支持部材を該第1の縮小した放射状構成から該第2の増大した放射状構成に移動させる。
【0042】
形状記憶材料は、ニッケル・チタン合金(Nitinol)を含んでもよい。代替として、形状記憶材料は、銅・亜鉛・アルミニウム、銅・アルミニウム・ニッケル、銅・アルミニウム・ニッケル、鉄・マンガン・シリコン・クロム・マンガン、および銅・ジルコニウムといった、金属の組み合わせのうちのいずれか1つの合金を含んでもよい。加えて、チタン・パラジウム・ニッケル、ニッケル・チタン・銅、金・カドミウム、鉄・亜鉛・銅・アルミニウム、チタン・ニオブ・アルミニウム、ウラン・ニオブ、ハフニウム・チタン・ニッケル、鉄・マンガン・シリコン、ニッケル・鉄・亜鉛・アルミニウム、銅・アルミニウム・鉄、チタン・ニオブ、ジルコニウム・銅・亜鉛、ニッケル・ジルコニウム・チタンである。
【0043】
支持部材の少なくとも一部は、Ag−Cd44/49at%Cd、Au−Cd46.5/50at%Cd、Cu−Al−Ni14/14.5wt%Alおよび3/4.5wt%Ni、Cu−Sn約15at%Sn、Cu−Zn38.5/41.5wt%Zn、Cu−Zn−X(X=Si、Al、Sn)、Fe−Pt約25at%Pt、Mn−Cu5/35at%Cu、Pt合金、Co−Ni−Al、Co−Ni−Ga、Ni−Fe−Ga、種々の濃度におけるTi−Pd、Ni−Ti(〜55%Ni)といった金属の組み合わせのうちのいずれか1つを含んでもよい。先述のリストは、好適な材料の実施例として提供されるにすぎず、包括的なリストではないことが理解されるであろう。支持部材は、上記で提供されるものとは異なる合金または他の材料を含む。
【0044】
支持部材の形状記憶材料は、該支持部材の長さに沿った脊柱の役割を果たしてもよい。
【0045】
支持部材の少なくとも一部は、透過性材料から構成されてもよい。代替として、支持部材の少なくとも一部は、半透過性であってもよい。さらなる実施形態では、支持部材の少なくとも一部は、不透過性材料から構成されてもよい。
【0046】
支持部材は、ポリエーテルまたはポリエステル、ポリウレタンまたはポリビニルアルコールから構成されてもよい。材料はさらに、低密度から高密度に及び、小さい、大きい、または双方の細孔サイズを有し、閉鎖または開放セル、可撓性または半剛性、平面、メラミン、または後処理をした含浸発泡体といった特徴を有する、セルロースを含んでもよい。支持部材に対する付加的な材料は、ポリビニルアセタールスポンジ、シリコーンスポンジゴム、閉鎖セルシリコーンスポンジ、シリコーン発泡体、フルオロシリコーンスポンジを含むことができる。PTFE、PET、およびナイロンの織り糸等の血管グラフト材料を使用した、特別に設計された構造も使用されてもよい。
【0047】
支持部材はさらに、いくつかの材料でできている半透過性膜を含んでもよい。実施例は、ポリイミド、リン脂質二重層、複合薄膜(TFCまたはTFM)、セルロースエステル膜(CEM)、電荷モザイク膜(CMM)、両極性膜(BPM)、またはアニオン交換膜(AEM)を含む。
【0048】
支持部材は、組織内方成長のための基質を提供するように、少なくとも多孔質領域を含んでもよい。該領域はさらに、組織内方成長を推進するように、薬剤で含浸されてもよい。
【0049】
支持部材から放出される薬剤は、多数の化合物および材料のうちの1つ以上を含んでもよい。実施例は、接着剤、組織成長推進材料、密閉材料、薬物、生物剤、遺伝子送達剤、および/または遺伝子標的分子のうちのいずれか1つまたは組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0050】
接着剤は、シアノアクリレート類(2−オクチルシアノアクリレート、n−ブチルシアノアクリルレート、イソ−ブチル−シアノアクリルレート、およびメチル−2−およびエチル−2−シアノアクリルレートを含む)、アルブミンベースのシーラント、フィブリン接着剤、レソルシノール・ホルムアルデヒド接着剤(例えば、ゼラチン・ソルシノール・ホルムアルデヒド)、紫外線(UV)光硬化性接着剤(例えば、スチレン誘導化(スチレン化)ゼラチン)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のカルボキシル化カンファーキノン、ヒドロゲルシーラント、アクリレート末端キャップを伴うポリエチレングリコールの共重合体から構成されるエオシンベースのプライマーならびにポリエチレングリコールおよびポリ乳酸から構成されるシーラント、コラーゲンベースの接着剤およびポリメタクリル酸メチル、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、肝細胞成長因子、結合組織成長因子、胎盤由来成長因子、アンジオポイエチン−1、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を含む。
【0051】
細胞挙動を変調するための薬剤は、微線維性コラーゲン、フィブロネクチン、フィブリンゲル、合成Arg−Gly−Asp(RGD)接着ペプチド、テネイシン−C、DeI−I、CCN族(例えば、Cyr61)低酸素誘導因子1、アセチルコリン受容体作動薬、および単球走化性タンパク質を含む。
【0052】
遺伝子送達剤は、遺伝子送達用ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス)および非ウイルス遺伝子送達剤/方法(例えば、ポリカチオンポリエチレンイミン、架橋ヒドロゲル微粒子内のシクロデキストリン環またはDNAとともにカチオン性ポリマーから構成される機能的ポリカチオン等)を含む。
【0053】
細胞複製/増殖を変調する薬剤は、ラパマイシンの標的(TOR)阻害剤(シロリムス、エベロリムス、およびABT−578を含む)、アルキル化剤を含む、パクリタキセルおよび抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン、ロムスチン、イホスファミド、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロマイド、アルトレタミン、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン)、抗腫瘍構成物質(例えば、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、ミトマイシンC、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、およびミトキサントロン)、代謝拮抗剤(例えば、デオキシコホルマイシン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2−クロロデオキシアデノシン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、カペシタビン、シトシンアラビノシド、アザシチジン、ゲムシタビン、リン酸フルダラビン、およびアスパラギナーゼ)、抗分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドセタキセル、エストラムスチン)、および分子標的剤(例えば、イマチニブ、トレチノイン、ベキサロテン、ベバシズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、およびデニロイキンジフチトクス)を含む。
【0054】
一実施形態では、1つ以上の薬剤は、モノクローナル抗体を含んでもよい。モノクローナル抗体は、抗腫瘍性質を備えてもよい。例えば、モノクローナル抗体は、ベバシズマブ等の血管形成阻害剤であってもよい。モノクローナル抗体はまた、抗炎症性質を備えてもよい。
【0055】
具体的なモノクローナル抗体のさらなる実施例は、アダリムマブ、バシリキシマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、またはトラスツズマブを含むが、それらに限定されない。
【0056】
薬剤は、コルチコステロイド等のステロイド、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲストゲン、および副腎アンドロゲンであってもよい。
【0057】
なおもさらに、薬剤は、抗血小板物質、糖タンパク質Ilb/IIIa阻害剤、直接トロンビン阻害剤、ヘパリン、低分子量ヘパリン、血小板アデノシン二リン酸(ADP)受容体阻害剤等の抗血栓および線維素溶解薬、線維素溶解薬(例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子、レテプラーゼ、およびテネクテプラーゼ等)を含んでもよい。加えて、低分子干渉RNA、マイクロRNA、DNAザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド等の遺伝子標的分子、または前駆細胞(例えば、内皮前駆細胞、CD34+またはCD133+単球、造血幹細胞、間充織幹細胞、胚幹細胞、多能性成人前駆細胞、および誘導型多能性幹細胞)等の細胞、および分化細胞(例えば、内皮細胞、線維芽細胞、単球、および平滑筋細胞)が、薬剤108であってもよい。さらに、粘膜付着性ポリマー(例えば、チオール化ポリマー)のような薬物送達剤、または高比重リポタンパクコレステロール(HDL)、HDL模倣剤、ヘムオキシゲナーゼ−1誘導因子(例えば、プロブコールおよびその類似体、レスベラトロールおよびその類似体)、ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素阻害剤、およびフィブラート(フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート等を含む)等のアテローム性動脈硬化の局所治療の薬剤が、含まれた薬剤であってもよい。
【0058】
さらなる側面では、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するための装置が提供され、装置は、
補綴と身体管腔の壁との間での配置のために構成される支持部材であって、支持部材は、非展開状態から展開状態までの変化可能な形状記憶材料を含む、支持部材と、
支持部材によって運ばれるカプセルと、
カプセルの中の薬剤と
を備える。
【0059】
別の側面では、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するための装置が提供され、装置は、
管腔内補綴の周囲に延在する略適合可能な基礎部分と、
基礎部分内の単一のカプセルであって、カプセルは、薬剤送達圧力の所定の範囲を有する、カプセルと、
カプセルの中に配置される薬剤と
を備える。
【0060】
さらなる側面では、管腔内補綴と身体管腔の壁との間の界面の役割を果たすように構成される、密閉デバイスが提供され、装置は、
形状記憶合金材料から構成される可撓性支持部材であって、支持部材は、(a)支持部材が所望の場所での配置のために設置される、第1の縮小した外形構成から、(b)支持部材が血管壁と管腔内デバイスとの間で同心円状に延在する、第2の展開構成へと変化可能であり、支持部材は、管腔内補綴の外面に固定して取り付けられない、支持部材と、
支持部材によって運ばれるカプセルと、
カプセルの中の薬剤であって、カプセルは、圧力の所定の範囲で破裂し、薬剤を放出するように構成される、薬剤と
を備える。
【0061】
本明細書で開示される全ての側面および実施形態の装置および管腔内デバイスは、管腔内で管腔内補綴を密閉するために使用されてもよい。該管腔は、心室、心耳、心臓壁、心臓弁、動脈、静脈、鼻道、副鼻腔、気管、気管支、口腔、食道、小腸、大腸、肛門、尿管、膀胱、尿道、膣、子宮、卵管、胆道、または耳道といった、1つ以上を含むが、それらに限定されない。
【0062】
具体的実施形態では、デバイスは、患者の大動脈内でグラフトまたはステントを密閉するために使用されてもよい。さらなる実施形態では、デバイスは、心耳を密閉するために使用されてもよい。この実施形態では、デバイスは、該心耳への開口部を横断する補綴構成要素の密閉を達成するように薬剤を送達してもよい。
【0063】
さらなる実施形態では、本発明のデバイスは、血管の解離を密閉するために使用されてもよい。この実施形態では、支持部材は、偽腔の開口部に隣接して設置され、後に腔内ステントがそこに送達される。ステントの放射状拡張時に、支持部材は、そこから接着剤を放出して、真の血管壁に対して偽腔を作成する組織を密閉させられる。
【0064】
さらなる実施形態では、本発明のデバイスは、1つ以上の気腫性血管を密閉するために使用される。
【0065】
なおもさらなる実施形態では、デバイスは、被検体の血管内の人工弁を密閉するために使用されてもよい。実施例は、人工心臓弁の密閉を含む。本デバイスによって提供されるシールは、弁傍漏出を防止することが構想される。
【0066】
管腔内デバイスは、管腔内補綴とは無関係に移動するように構成されてもよい。代替として、管腔内デバイスは、標的部位への送達のために該補綴に接続されてもよい。管腔内デバイスは、縫合、圧着、接着接続を含む、任意の数の手段によって、該補綴に接続されてもよい。
【0067】
さらなる実施形態では、管腔内デバイスは、1つ以上の係合部材をさらに含んでもよい。1つ以上の係合部材は、血管と係合し、したがって、そこにデバイスを固定するように、ステープル、フック、または他の手段を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1Aおよび1Bは、本開示の実施形態に従って構成されたデバイスの部分概略図である。
【図2A】図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するためのデバイスを展開する方法を図示する。
【図2B】図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するためのデバイスを展開する方法を図示する。
【図2C】図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するためのデバイスを展開する方法を図示する。
【図2D】図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するためのデバイスを展開する方法を図示する。
【図2E】図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するためのデバイスを展開する方法を図示する。
【図2F】図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するためのデバイスを展開する方法を図示する。
【図3】図3A−3Cは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するための密閉デバイスの部分概略図である。
【図4】図4Aおよび4Bは、本開示の別の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するための密閉デバイスの部分概略図である。
【図5A】図5A−5Dは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された密閉デバイスの一部分の部分概略図である。
【図5B】図5A−5Dは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された密閉デバイスの一部分の部分概略図である。
【図5C】図5A−5Dは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された密閉デバイスの一部分の部分概略図である。
【図5D】図5A−5Dは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された密閉デバイスの一部分の部分概略図である。
【図6】図6は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成された圧力作動型カプセルまたは区画の一部分の部分概略等角図である。
【図7A】図7Aおよび7Bは、本開示の別の実施形態に従って構成された可撓性支持部材の一部分の説明図である。
【図7B】図7Aおよび7Bは、本開示の別の実施形態に従って構成された可撓性支持部材の一部分の説明図である。
【図8A】図8Aおよび8Bは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された可撓性支持部材の一部分の説明図である。
【図8B】図8Aおよび8Bは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された可撓性支持部材の一部分の説明図である。
【図9】図9は、本開示の支持部材のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
(A.はじめに)
本開示の側面は、管腔内デバイスならびに関連システムおよび方法を対象とする。一般に、以下で説明される技法および関連デバイスの多くは、第1の非展開および縮小外形構成で身体管腔を通して管腔内補綴および密閉デバイスを前進させるステップを含む。原位置に設置されると、本発明の密閉デバイスは、その縮小放射状外形構成から、増大放射状外形を伴う第2の構成へ移動することが可能である。原位置で、およびその第2の構成では、密閉デバイスは、補綴と身体管腔の壁との間に設置されるように構成される。一実施形態では、管腔内補綴は、身体管腔の中の所望の場所にある時に、典型的には、導入器カテーテルから展開され、そうするとすぐに、いくつかの機構によって拡張放射状構成に移動してもよい。いくつかの実施形態では、補綴は、バネで拡張可能であってもよい。代替として、バルーンまたは拡張型部材を、血管内で拡張放射状構成に移動させるように、補綴の管腔内で膨張させることができる。次に、この放射状拡張は、密閉デバイスがその中またはその上に含有された薬剤を放出するまで、身体管腔の壁に密閉デバイスを押し付ける。特に、補綴の拡張は、密閉デバイスのカプセルの破裂を引き起こして、カプセル内に含有された薬剤を所望の領域に放出してもよい。いくつかの実施形態では、密閉デバイスは、血管内動脈瘤修復(EVAR)用の管腔内補綴の近位および/または遠位端を完全に密閉し、補綴の後続の移動および/または抜去を防止するように構成される。
【0070】
以下の項のうちの1つ以上で詳細に説明される多くの技法およびデバイスは、同じ項および/または他の項で説明される技法および/またはデバイスと組み合わせられてもよい。関連技術の当業者であって、そのようなデバイスおよび過程としばしば関連付けられる当業者に周知であるデバイスおよび過程を説明する、いくつかの詳細は、簡略にする目的で以下の説明で記載しない。関連技術の当業者であれば、さらなる実施形態が、以下の項で開示されていない特徴を含んでもよく、および/または図1A−5Dを参照して以下で説明される特徴のうちのいくつかを排除してもよいことを理解するであろう。また、以下で説明される特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つ以上の実施形態において任意の好適な方式で組み合わせられてもよい。
【0071】
状況が許容する場合、単数または複数の用語は、それぞれ、複数または単数の用語も含んでもよい。また、「または」という言葉が、2つ以上の事項のリストを参照して他の用語から排他的な単一の事項のみを意味するように明示的に限定されない限り、そのようなリストでの「または」の使用は、(a)リストの中の任意の単一の事項、(b)リストの中の事項の全て、または(c)リストの中の事項の任意の組み合わせを含むものとして解釈されるものである。加えて、「〜を備える」という用語は、任意の多数の同じ特徴および/または付加的な種類の特徴が除外されないように、少なくとも記載された特徴を含むことを意味するように、全体を通して使用される。
【0072】
(B.血管内デバイスならびに関連システムおよび方法の実施形態)
図1Aおよび1Bは、本開示の実施形態による、管腔内補綴102と身体管腔の壁(図示せず)との間に薬剤を送達するための装置100の部分概略図である。より具体的には、図1Aは、管腔内補綴102の周囲に延在する装置100の部分概略等角図であり、図1Bは、実質的に図1Aの線1B−1Bに沿って得られた垂直断面図である。図1Aおよび1Bをともに参照すると、この実施形態の装置100は、管腔内補綴102の周囲に延在する略適合バンドまたは格納バンド104と、適合バンド104内のカプセルまたは環状区画106と、カプセル106の中に配置された1つ以上の薬剤または反応物質108とを含む。カプセル106は、圧力の所定の範囲(例えば、15〜25psi)において破裂し、薬剤108を放出するように構成される。
【0073】
図示した実施形態では、装置100は、管腔内補綴102の端に近接する。しかしながら、他の実施形態では、装置100は、管腔内補綴102に対して異なる場所に設置されてもよい。また、図1Aおよび1Bで図示された実施形態の装置100は、管腔内補綴102とは別個の分離構成要素である。しかしながら、他の実施形態では、装置100は、管腔内補綴102の一体構成要素となり得る。図1Aおよび1Bの管腔内補綴102の配設は、そのような構造の代表的な配設として示されているにすぎず、管腔内補綴102は、種々の異なる長さ、直径、および/または構成を有することができると理解されるであろう。
【0074】
適合バンド104は、管腔内補綴102と血管壁(図示せず)との間の不規則性に対応するように構成される可撓性構成要素を含むことができる。図1Bで最も良く見られるように、適合バンド104は、第1の表面または内面110および第2の表面または外面112を有する、略リング状の構造を備える。適合バンド104は、カプセル106が適合バンド104内に「吊り下げられる」ように、カプセル106を完全に包囲する。しかしながら、他の実施形態では、適合バンド104は、異なる形状および/または構成を有することができる。
【0075】
適合バンド104は、透過性、半透過性、または不透過性材料から構成されてもよい。それは、生物学的安定性または生分解性であってもよい。例えば、適合バンド104は、低密度から高密度に及び、小さい、大きい、または双方の細孔サイズを有し、閉鎖または開放セル、可撓性または半剛性、平面、メラミン、または後処理をした含浸発泡体といった特徴を有する、ポリエーテルまたはポリエステルポリウレタン、PVA、セルロースから構成されてもよい。適合バンド104に対する付加的な材料は、ポリビニルアセタールスポンジ、シリコーンスポンジゴム、閉鎖セルシリコーンスポンジ、シリコーン発泡体、フルオロシリコーンスポンジを含むことができる。PTFE、PET、ナイロンの織り糸、PP、コラーゲン、またはタンパク質ベースの基質を含む、血管グラフト材料を使用した、特別に設計された構造も使用されてもよい。
【0076】
適合バンド材料は、(以下で詳述されるような)形状記憶合金でできているメッシュとは無関係に、またはそれと組み合わせて使用されてもよい。ポリイミド、リン脂質二重層、複合薄膜(TFCまたはTFM)、セルロースエステル膜(CEM)、電荷モザイク膜(CMM)、両極性膜(BPM)、アニオン交換膜(AEM)といった材料で作ることができる、半透過性膜も使用されてもよい。
【0077】
1つの具体的実施形態では、例えば、適合バンド104は、カプセル106からの放出された薬剤108の塞栓(遠位または近位)を防止するように構成される、多孔質材料を含むことができる。適合バンドは、比較的多孔質から比較的無孔質まで、段階的な程度の相対的多孔性を有してもよい。
【0078】
適合バンド104はさらに、組織内方成長のための多孔質基質としての機能を果たすことができ、かつ(例えば、成長因子を添加すること等によって)組織内方成長の推進に役立つことができる。この特徴は、管腔内補綴102の長期固定を向上させることが見込まれる。別の具体的実施例では、適合バンド104は、薬剤108がカプセル106から放出された後に薬剤(例えば、組織接着剤)の急速活性化を誘発する、活性剤(例えば、接着活性剤)で含浸することができる。しかしながら、他の実施形態では、適合バンド104は、異なる材料から成り、および/または異なる特徴を含むことができる。
【0079】
図示した実施形態では、カプセル106は、適合バンド104内の単一の環状区画であり、完全に管腔内補綴102の周囲に延在する。しかしながら、他の実施形態では、カプセル106は、1つ以上の付加的な区画またはセクションを含んでもよく、完全に管腔内補綴102の周囲に延在しなくてもよい。また、カプセル106は、適合バンド104内に含有されてもされなくてもよく、適合バンド104に対して装置100上の異なる場所に設置することができる。加えて、カプセル106は、特定の用途、薬剤108、管腔内補綴102の構成、およびいくつかの他の要因に応じて、種々の異なる形状および/またはサイズを有することができる。
【0080】
カプセル106の中の薬剤108は、接着剤、組織成長推進物質、密閉物質、薬物、生物剤、遺伝子送達薬剤、および/または遺伝子標的分子を含むことができる。例えば、薬剤108は、シアノアクリレート類(2−オクチルシアノアクリレート、n−ブチルシアノアクリルレート、イソ−ブチル−シアノアクリルレート、およびメチル−2−およびエチル−2−シアノアクリルレートを含む)、アルブミンベースのシーラント、フィブリン接着剤、レソルシノール・ホルムアルデヒド接着剤(例えば、ゼラチン・ソルシノール・ホルムアルデヒド)、紫外線(UV)光硬化性接着剤(例えば、スチレン誘導化(スチレン化)ゼラチン)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のカルボキシル化カンファーキノン、ヒドロゲルシーラント、アクリレート末端キャップを伴うポリエチレングリコールの共重合体から構成されるエオシンベースのプライマーならびにポリエチレングリコールおよびポリ乳酸から構成されるシーラント、コラーゲンベースの接着剤およびポリメタクリル酸メチル、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、肝細胞成長因子、結合組織成長因子、胎盤由来成長因子、アンジオポイエチン−1、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0081】
薬剤108はまた、微線維性コラーゲン、フィブロネクチン、フィブリンゲル、合成Arg−Gly−Asp(RGD)接着ペプチド、テネイシン−C、DeI−I、CCN族(例えば、Cyr61)低酸素誘導因子1、アセチルコリン受容体作動薬、および単球走化性タンパク質等の、生体補綴に関する細胞挙動を変調するための薬剤を含んでもよい。付加的な薬剤108は、遺伝子送達用ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス)および非ウイルス遺伝子送達剤/方法(例えば、ポリカチオンポリエチレンイミン、架橋ヒドロゲル微粒子内のシクロデキストリン環またはDNAとともにカチオン性ポリマーから構成される機能的ポリカチオン等)を含むことができる。なおもさらなる薬剤108は、ラパマイシンの標的(TOR)阻害剤(シロリムス、エベロリムス、およびABT−578を含む)、アルキル化剤を含む、パクリタキセルおよび抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン、ロムスチン、イホスファミド、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロマイド、アルトレタミン、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン)、抗腫瘍構成物質(例えば、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、ミトマイシンC、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、およびミトキサントロン)、代謝拮抗剤(例えば、デオキシコホルマイシン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2−クロロデオキシアデノシン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、カペシタビン、シトシンアラビノシド、アザシチジン、ゲムシタビン、リン酸フルダラビン、およびアスパラギナーゼ)、抗分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドセタキセル、エストラムスチン)、および分子標的剤(例えば、イマチニブ、トレチノイン、ベキサロテン、ベバシズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、およびデニロイキンジフチトクス)等の、細胞複製/増殖を変調する薬剤を含むことができる。
【0082】
加えて、薬剤108は、コルチコステロイド等のステロイド、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲストゲン、および副腎アンドロゲンであってもよい。なおもさらなる薬剤108は、抗血小板物質、糖タンパク質Ilb/IIIa阻害剤、直接トロンビン阻害剤、ヘパリン、低分子量ヘパリン、血小板アデノシン二リン酸(ADP)受容体阻害剤等の抗血栓および線維素溶解薬、線維素溶解薬(例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子、レテプラーゼ、およびテネクテプラーゼ等)を含んでもよい。加えて、低分子干渉RNA、マイクロRNA、DNAザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド等の遺伝子標的分子、または前駆細胞(例えば、内皮前駆細胞、CD34+またはCD133+単球、造血幹細胞、間充織幹細胞、胚幹細胞)等の細胞、および分化細胞(例えば、内皮細胞、線維芽細胞、単球、および平滑筋細胞)が、薬剤108であってもよい。さらに、粘膜付着性ポリマー(例えば、チオール化ポリマー)のような薬物送達剤、または高比重リポタンパクコレステロール(HDL)、HDL模倣剤、およびヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素阻害剤等のアテローム性動脈硬化の局所治療の薬剤が、含まれた薬剤108であってもよい。なおもさらなる実施形態では、薬剤108は、1つ以上の異なる材料を含むことができる。
【0083】
図1Aおよび1Bをともに再び参照すると、動作中、管腔内補綴102および装置100は、装置100が血管壁に沿って所望の場所にあるように、患者(図示せず)内の血管内に設置される。次いで、血管壁に対して装置100を押し付けるか、または押し進めるように、バルーンまたは他の拡張型部材(図示せず)が管腔内補綴102内から放射状に拡張される。バルーンが拡張するにつれて、カプセル106が破裂し、薬剤108が放出される。1つの具体的実施形態では、例えば、薬剤108は、接着剤を含み、カプセル106が破裂すると、接着剤が適合バンド104の細孔を通って流れる。上述のように、適合バンド104は、接着剤の塞栓を防止するように、接着剤の流動を制御することができる。
【0084】
装置100は、従来の血管内グラフトアセンブリに優るいくつかの利点を提供することが見込まれる。例えば、装置100が装置100の単一のカプセルまたは環状区画106を含む、実施形態では、カプセル106内の薬剤108の保管期間が延長させられ得る。非常に小さいパケットまたは区画の中で多くの種類の薬剤108(例えば、シアノアクリルレート接着剤)を貯蔵することと関連する1つの技術的問題は、そのような材料がカプセル化材料と極めてよく反応することである。装置100の周囲の単一のカプセルまたは環状区画106は、複数の個々の区画よりも低い表面積対容量の比を有する。したがって、装置100の単一の環状区画106は、薬剤108とカプセル化材料との間の反応の可能性を低減して、薬剤108の保管期間を延長させることが見込まれる。
【0085】
装置100の上記の実施形態の別の特徴は、単一のカプセルまたは環状区画106が、放射状拡張時にカプセル106の均一な円周方向破裂を制御する能力を提供し、送達カテーテル内の所望の場所への送達のために、管腔内補綴102および装置100の外形を縮小することである。装置100のさらに別の特徴は、適合バンド104が、動脈瘤頸部の輪郭に対応することによく適していることである。これは、薬剤108(例えば、接着剤)が、管腔内補綴102と動脈瘤頸部との間の不規則性に対応して、効果的な流体密封シールを得ることを可能にする。
【0086】
適合バンドは、補綴の周囲に成形型バンドを提供するように原位置で拡張する、ヒドロゲル材料でできていてもよい。
【0087】
図2A−2Fは、本開示の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するための装置200を展開する方法を図示する、拡大断面図である。より具体的には、図2A−2Fは、略非展開の第1の構成で患者の血管内の所望の場所へと装置200を前進させ、後に、身体管腔の壁に管腔内補綴を取り付けて密閉するために、装置200を第2の構成に展開する方法を図示する。好適な身体管腔は、心室、心耳、心臓壁、心臓弁、動脈、静脈、鼻道、副鼻腔、気管、気管支、口腔、食道、小腸、大腸、肛門、尿管、膀胱、尿道、膣、子宮、卵管、胆道、または耳道といった、1つ以上を含むことができる。
【0088】
図2Aから始めて、施術者は、ガイドワイヤ212に沿って患者の血管202内の所望の場所まで送達カテーテル210を前進させる。送達カテーテル210は、例えば、突出部分214と、導入器シース216とを含むことができる。図2Aに示された構成は、装置200の種々の構成要素(以下でより詳細に説明される)が管腔内補綴とは無関係に設置されることを可能にし、したがって、送達カテーテル210の長さに沿った質量の分布を可能にする。これは次に、カテーテル210の単位長さ当たりの装置の「充填密度」または体積を低減する。充填密度の低減は、送達システムの外形(またはフレンチサイズ)を有意に縮小することが見込まれ、また、(例えば、内部構成要素の摩擦の低減により)展開力を低減することに役立ち、それにより、医師にとって使いやすさを増加させることができる。外形の縮小はまた、アクセス血管のサイズにおける制限により、現在未治療のままである患者の大部分の治療を可能にすることもできる。
【0089】
装置200は、患者の血管202内での展開中に管腔内補綴224(例えば、ステントグラフト)の端(近位または遠位)に近接する密閉デバイス206を含むことができる。密閉デバイス206は、例えば、可撓性支持部材222と統合された円筒形カプセル220を含むことができる。薬剤221(例えば、接着剤等)が、カプセル220内に配置される。ステントグラフト224は、この過程の段階において導入器シース216内で「圧着」または圧縮状態にある。支持部材222は、アセンブリの「背骨」の役割を果たすように構成される。支持部材222は、(図2Aに示されるような)非展開または初期状態から、密閉デバイス206がステントグラフト224の外側にあり、かつグラフトと血管202の壁203との間にある、(図2Eに示されるような)展開または最終状態へ変化可能である、形状記憶材料を含むことができる。
【0090】
支持部材222は、ニッケル・チタン(ニチノールワイヤ)、または銅・亜鉛・アルミニウム、銅・アルミニウム・ニッケル、銅・アルミニウム・ニッケル、鉄・マンガン・シリコン・クロム・マンガン、および銅・ジルコニウムといった、金属の組み合わせの形状記憶合金から構成され得る。加えて、チタン・パラジウム・ニッケル、ニッケル・チタン・銅、金・カドミウム、鉄・亜鉛・銅・アルミニウム、チタン・ニオブ・アルミニウム、ウラン・ニオブ、ハフニウム・チタン・ニッケル、鉄・マンガン・シリコン、ニッケル・鉄・亜鉛・アルミニウム、銅・アルミニウム・鉄、チタン・ニオブ、ジルコニウム・銅・亜鉛、ニッケル・ジルコニウム・チタンである。支持部材222は、またAg−Cd44/49at%Cd、Au−Cd46.5/50at%Cd、Cu−Al−Ni14/14.5wt%Alおよび3/4.5wt%Ni、Cu−Sn約15at%Sn、Cu−Zn38.5/41.5wt%Zn、Cu−Zn−X(X=Si、Al、Sn)、Fe−Pt約25at%Pt、Mn−Cu5/35at%Cu、Pt合金、Co−Ni−Al、Co−Ni−Ga、Ni−Fe−Ga、種々の濃度におけるTi−Pd、Ni−Ti(約55%Ni)といった、金属の組み合わせから構成され得る。先述のリストは、好適な材料の実施例として提供されるにすぎず、包括的なリストではないことが理解されるであろう。支持部材222は、上記で提供されるものとは異なる合金または他の材料から構成され得る。
【0091】
カプセル220は、ポリマーおよび非ポリマー材料から構成されてもよい。ポリマー材料は、LDPE、HDPE、PP、PTFE、シリコーン、またはフルオロシリコーンを含んでもよい。カプセル220の構築に使用されてもよい、他のフッ素重合体は、Teflonという商標名の下でDuPontによって販売され、AlgoflonおよびPolymistという商標名の下でSolvay Solexisによって販売されているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、Teflon Hyflonという商標名の下でDuPontによって販売されているPFA(ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂)、Teflonという商標名の下でDuPontによって販売されているFEP(フッ素化エチレンプロピレン)、ETFEポリエチレンテトラフルオロエチレン(Tefzel)、(Fluon)、PVFポリフッ化ビニル(Tedlar)、ECTFEポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(Halar)、PVDFポリフッ化ビニリデン(Kynar、Solef、Hylar)、PCTFE(KeI−F、CTFE)ポリクロロトリフルオロエチレン、FFKM(Kalrez、Tecnoflon)、FPM/FKM(Viton、Tecnoflon FKM)、PFPEペルフルオロポリエーテル(Fomblin、Galden)、Nafion(有機フッ素、有機ハロゲン)、EP(フッ素化エチレンプロピレン)、THV(テトラフルオロエチレンのターポリマー、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデン)、およびPEEKを含む。それはまた、ガラス、バイオガラス、セラミック、プラチナ、およびチタン等の非ポリマー材料を含んでもよい。それはさらに、架橋コラーゲンまたはアルギン酸塩等の生物学に基づく材料を含んでもよい。先述のリストは、好適な材料の実施例として提供されるにすぎず、包括的リストではないことが理解されるであろう。カプセル220は、上記で提供されるものとは異なる材料または材料の組み合わせから構成されてもよい。
【0092】
次に、図2Bを参照すると、施術者は、導入器シース216を後退させ始め、それにより、装置200の少なくとも一部分を露出させる。より具体的には、導入器シース216が後退させられるにつれて、密閉デバイス206は、もはや放射状に閉じ込められなくなり、カプセル220および支持部材222が略直線的である非展開構成から、カプセル220および支持部材222が略らせん状または円形の構成を有する展開構成に遷移し始めることができる。この段階で、ステントグラフト224は、依然として導入器シース216内において圧縮または圧着した状態である。
【0093】
図2Cでは、導入器シース216は、密閉デバイス206を完全に解放しており、カプセル220および支持部材222の対応する部分は、構成要素が略円形または同心の配設を有する展開構成に移動している。ステントグラフト224は、依然として導入器シース216内にある。次に図2Dを参照すると、ステントグラフト224の「シール域」が密閉デバイス206の少なくとも一部分と整列させられるように、ステントグラフト224は導入器シース216内から近位に押される。
【0094】
次に、図2Eを参照すると、ステントグラフト224は、血管202から送達カテーテル210を完全に後退させることによって、完全に拡張される。方法のこの段階で、カプセル220は、ステントグラフト224と血管壁203との間に設置される。図2Fでは、膨張型部材230がカプセル220の少なくとも一部分およびステントグラフト224の「シール域」と整列させられるまで、施術者は、血管202を通して膨張型部材230(例えば、バルーン等)を前進させる。カプセル220は、膨張型部材230と血管202の壁203との間にある。
【0095】
膨張型部材230が(例えば、生理食塩水または別の好適な膨張媒体を用いて)送達圧力の指定範囲まで膨張させられると、膨張型部材230は、放射状に拡張し、カプセル220が破裂して薬剤221を放出するまで壁203にカプセル220を押し付ける。カプセル220は、ステントグラフト224の周囲全体で均一または少なくともほぼ均一に、薬剤221を放出するように構成される。特定の実施形態では、薬剤221は、接着剤を含み、それにより、血管壁203にステントグラフト224を密閉し、固定する。他の実施形態では、他の種類の薬剤または反応物質を領域に送達することができる。
【0096】
形状記憶材料から構成される支持部材222を有するという1つの利点は、展開過程が不適切であるか、望ましくない場所にあるか、またはそうでなければ繰り返される必要がある場合に、密閉デバイス206を送達カテーテル210の中へ収め、非展開構成に戻すことができる。また、ある実施形態では、カプセル220からの薬剤221の放出は、膨張型部材230が圧力の指定範囲を越えて膨張させられた後にしか発生しない。したがって、装置200は、膨張型部材230があまり膨張させられていない場合、(再展開のために)完全に回復可能となり得る。
【0097】
図3A−5Dは、本開示の別の実施形態による、管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達するための密閉デバイスの部分概略図である。図3A−5Dに関して以下で説明される密閉デバイスは、例えば、図2A−2Fを参照して上記で説明される装置200とともに使用することができ、上記で説明される密閉デバイス206と同じ特徴および利点の多くを有することができる。しかしながら、他の実施形態では、以下で説明される密閉デバイスは、他の好適なアセンブリとともに、および/または他の用途で使用することができる。
【0098】
図3A−3Cを参照すると、例えば、密閉デバイス302は、支持部材304と、支持部材304によって運ばれる円筒形カプセル306と、支持部材304によって運ばれる格納バンド308とを含むことができる。薬剤(図示せず)がカプセル306内に配置される。図3Cで最も良く見られるように、支持部材304、カプセル306、および格納バンド308は、取付部材310を介してともに取り付けられる。上記で説明される密閉デバイス206と同様に、支持部材304は、アセンブリの「背骨」の役割を果たすように構成され、非展開または初期状態から、密閉デバイス302がステントグラフト224の外側にあり、かつグラフトと血管壁203との間にある、(図3Aに示されるような)展開または最終状態へ変化可能である、形状記憶材料(例えば、ニチノールワイヤ)を含むことができる。
【0099】
密閉デバイス302の中の格納バンド308の1つの特徴は、格納バンド308が、デバイスの展開中に内皮細胞層の除去を可能にできることである。特に、格納バンド308は、支持部材304が非展開状態から展開状態になるにつれて、「擦過」動作を行うことによって、展開中に内皮細胞層の全体または少なくとも一部分を除去することができる。
【0100】
格納バンド308は、また展開または膨張過程中に、または展開後に、薬剤(例えば、接着剤)が血流中に塞栓を生じさせることを防止することも見込まれる。例えば、カプセル306から接着剤が放出されると、接着剤の一部が格納バンド308に沿って重合し、それにより、補強密閉層を形成する。これは、急性的に動脈瘤の密閉を強化し、長期的にデバイスを維持することに役立つことが見込まれる。また、格納バンド308の多孔質性を考慮すると、組織がバンドを覆って成長し、密閉および固定の両方の強化のための補強層を形成することが見込まれる。これは、従来の配設と比較して、管腔内補綴の長期性能の有意な向上をもたらすことが見込まれる。
【0101】
図4Aおよび4Bは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された密閉デバイス402を図示する。より具体的には、図4Aは、初期または非展開構成の密閉デバイス402を図示し、図4Bは、展開構成の密閉デバイス402を図示する。密閉デバイス402は、密閉デバイス402が複数の支持部材404を含むという点で、上記で説明される密閉デバイス206および302とは異なる。各支持部材404(例えば、ニチノールワイヤ)は、カプセル406を運ぶ。図4Aおよび4Bに示された密閉デバイス402は、2つの支持部材404を含むが、密閉デバイス402は、異なる数の支持部材404を含むことができる。
【0102】
複数の支持部材404を使用するという1つの利点は、この配設が、各個別支持部材へのひずみを低減し、密閉デバイス402の性能を強化することに役立つことができるということである。例えば、密閉デバイス402は、個々の支持部材404に取り付けられる、より多くの構成要素を有することができ、支持部材404は、より多くの重量を運ぶことができる。この特徴は、複数の薬剤の送達が必要であってもよい場合、または関心の部位で1つより多くの機能を有することが望ましい場合に、特に有用である。密閉デバイス402の別の利点は、複数の支持部材404の使用が、個々の支持部材404の有効長の縮小を可能にできることである。この特徴は、より迅速で、潜在的により正確な展開をもたらし、それにより、臨界手技時間を節約することが見込まれる。
【0103】
図5A−5Dは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された密閉デバイス502の一部分の部分概略図である。より具体的には、図5Aは、密閉デバイス502の一部分の部分概略等角図であり、図5Bは、図5Aの領域5Bの拡大図である。図5Aおよび5Bをともに参照すると、密閉デバイス502は、可撓性支持部材504と、支持部材504によって運ばれるカプセル506とを含む。図示した実施形態では、カプセル506は、可撓性取付部材507を介して支持部材504に取り付けられる。しかしながら、他の実施形態では、カプセル506は、支持部材504に直接取り付けられてもよく、またはカプセル506は、異なる構成を有する取付部材507を使用して支持部材506に取り付けられてもよい。支持部材504は、ニチノールワイヤまたは同等物(図示せず)等の形状記憶材料を収納する管腔505を含む。管腔505は、形状記憶材料(例えば、ニチノールワイヤ)の直径に基づいてサイズ決定することができる。薬剤508がカプセル506内に配置される。薬剤508は、図1を参照して上記で説明される薬剤108と略同様である、1つ以上の材料を含むことができる。他の実施形態では、支持部材504および/またはカプセル506は、異なる配設を有し、および/または異なる特徴を含むことができる。
【0104】
密閉デバイス502は、カプセル506が、支持部材504によって運ばれ、支持部材504に沿って縦方向に延在する複数の個々のカプセレット510を含むという点で、説明される密閉デバイスとは異なる。カプセレット510は、個々の屈曲点または屈折点512で相互に結び付けられる。屈曲点512は、展開過程中に付加的な対応性および可撓性を提供する、縮小断面積のセクションである。したがって、屈曲点512は、ヒンジとして機能し、個々のカプセレット510は、それぞれの屈曲点512に対して旋回し、支持部材504が非展開構成から展開構成に駆動されると相互に近づくように構成される。このようにして、屈曲点512は、支持部材504への応力を最小化しながら、密閉デバイス502が展開構成において所望のレベルの曲率を達成することに役立つことができる。
【0105】
図示した実施形態では、カプセレット510は、相互に流体連通している。この配設の1つの特徴は、動作中に、結び付けられたカプセレット510内の圧力の再分配を可能にできることである。これは、圧力が密閉デバイス502に不均一に印加された場合でさえも、カプセル506が均一または少なくともほぼ均一に薬剤508を放出することに役立つことができる。
【0106】
他の実施形態では、個々のカプセレット510は、相互に流体連通しておらず、各カプセレット510は、別々の量の薬剤508を含有する。この場合、カプセレット510は、圧力の所定の範囲(例えば、15〜25psi)で個別に破裂可能である。カプセレット510はそれぞれ、同じ薬剤508または異なる薬剤を含有してもよく、または薬剤508の組み合わせがカプセレット510の中に配置されてもよい。また、カプセレット510は、圧力の同じ範囲で破裂するように構成することができ、または一式のカプセレット510は、異なる一式のカプセレット510とは異なる圧力の範囲で破裂するように構成されてもよい。
【0107】
図5Bで良く見られるように、個々のカプセレット510は、約1mmから3mm(例えば、約2mm)の外側寸法Dを有することができる。外側寸法Dは、カプセレット510の中に配置される薬剤508の所望の容量、密閉デバイス502が使用される特定の用途、およびいくつかの他の要因に応じて変化し得る。1つの実施形態では、個々のカプセレット510およびカプセレット510の間の対応する連結512は、形成された単一の統合ユニットを備える。単一のユニットは、単一の材料または2つ以上の異なる材料から形成することができる。しかしながら、他の実施形態では、カプセレット510および連結512は、所望の配設でともに取り付けられる、分離した個々の構成要素となり得る。
【0108】
図5Cは、展開構成の密閉デバイス502の部分概略図であり、図5Dは、図5Cの領域5Dの拡大図である。図5Cおよび5Dをともに参照すると、密閉デバイス502は、展開構成の略曲線または同心の配設を有することができる。各カプセレット510は、支持部材504に対面する第1の側面520と、支持部材504から離れる方向を向く第2の側面522とを含む。個々のカプセレット510の第1の側面520は、第1の寸法Dおよび略連続した円形を有する内周524を画定する。カプセレット510の第2の側面522は、第1の寸法Dよりも大きい第2の寸法Dを有する外周526を画定する。個々のカプセレット510の第2の側面522のうちの1つ以上は、血管壁(図示せず)に接触するように設置される。
【0109】
(C.圧力作動型カプセルまたは区画およびそのような構造を形成するための方法)
図6は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成された圧力作動型カプセル600または区画の一部分の部分概略等角図である。カプセル600は、図1A−5Dを参照して上記で説明される任意のデバイスとともに、または他の好適なデバイスとともに使用されてもよい。以下の論議はまた、そのようなカプセル600および圧力作動型カプセルまたは区画の他の実施形態を形成するための種々の技法または過程も概説する。
【0110】
カプセル600は、支持部材(図示せず)によって運ばれるように構成され、薬剤602は、カプセル600内に配置することができる。カプセル600はまた、カプセル600の外面に沿って縦方向に延在する応力集中部分610も含む。応力集中部分610は、例えば、(例えば、図2Fの膨張型部材230等の膨張型部材またはバルーンからの)外圧を受けると破裂する、カプセル600の上の亀裂、応力点、または他の種類の破損点を含むことができる。これは、身体の管腔内で10〜20%の限定した及ぼされたひずみ以内でカプセル600の破裂を可能にすることができる。
【0111】
カプセル600はまた、カプセル600の周囲で円周方向に延在し、応力集中部分610に略垂直である、1つ以上のひずみ保持部材または補剛部材612を含むことができる。補剛部材612は、例えば、カプセル600が(例えば、膨張型部材からの)外圧を受けると、円周方向へのカプセル600の伸展を阻害または最小化するように設置される、リブまたは支持材を含むことができる。このようにして、補剛部材612は、「ひずみ制約」としての機能を果たし、応力集中部分610の上に及ぼされたひずみを集中させるか、または方向付ける。補剛部材612は、いくつかの実施形態では含まれなくてもよい、随意的な構成要素である。さらに他の実施形態では、カプセル600は、異なる構成を有し、および/または異なる特徴を含むことができる。
【0112】
圧力作動型カプセルまたは区画(例えば、カプセル600)を形成するために、種々の異なる技法または過程を使用することができる。以下で説明される方法は、図1A−5Dを参照して上記で説明されるデバイスのうちのいずれかとともに、または他の好適なデバイスとともに使用することができる。1つの特定の実施形態では、例えば、圧力作動型カプセルを形成するための過程は、形成中にカプセルに圧縮応力を与えることを含むことができる。圧縮応力を与えられた材料は、外圧を受けると伸張する限定された能力を有し、応力・ひずみ曲線上の臨界応力に達すると破損する。この方法の第1の段階は、その内容物(例えば、接着剤または多種多様な他の種類の材料を含むことができる薬剤602)にも適合する、生体適合性カプセル材料を選択することを含む。カプセル材料はまた、カプセルが使用される特定の用途に好適な引張強度も有するべきである。
【0113】
この方法の次の段階は、小型カプセルを形成することを含む。小型カプセルは、(例えば、浸漬、ディップ成形、真空形成、ブロー成形等によって)管の一方の端が密閉されている、押出した細長い管(例えば、「ソーセージ形」)として本質的に成形される。過程は、カプセルをその最終形状に拡張することによって継続する。カプセルは、例えば、カプセル材料が応力レベル以内まで圧縮応力を与えられ、それにより、臨床的関連バルーン膨張圧力がカプセル材料の破損応力を超えるように、適切な工具を使用して伸張する(例えば、高温または低温)ことによって、拡張することができる。方法はさらに、単一のステップで圧縮応力を与えることを達成するように、カプセルが圧力下にある間に、所望の内容物でカプセルを充填することを含むことができる。カプセルを充填した後に、(例えば、熱溶接過程、レーザ溶接過程、溶剤溶接過程等を使用して)カプセルを密閉することができる。
【0114】
別の特定の実施形態では、真空形成過程または他の好適な技法を使用して、空気枕または気泡シート型カプセルアセンブリを形成することによって、カプセルを形成することができる。この過程の次の段階は、カプセルアセンブリの基部におけるフィルムを穿孔し、不活性雰囲気下で個々のカプセルを所望の内容物で充填することを含む。カプセルを充填した後に、穿刺孔を覆う別のフィルムの塗布、あるいは熱および/または溶剤の局所的塗布によって、穿刺孔を再密閉することができる。他の実施形態では、穿刺孔を密閉するために他の方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、管腔内補綴の対応する部分の上へ流れる何らかの薬剤(例えば、カプセル内の接着剤)があるように、カプセルは、穿刺孔がカプセル自体と同じ圧力で再破裂するように構成することができる。
【0115】
さらに別の特定の実施形態では、1つ以上の破損点をカプセル内に作成することができる。この過程は、(例えば、浸漬、ディップ成形、真空形成、ブロー成形等によって)管の一方の端が密閉されている、押出した細長い管として成形される、カプセルを作成することを含むことができる。カプセルは、ポリマー材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン/Teflon族、およびシリコーンゴム)または別の好適な材料から構成されることができる。細長い管に沿った1つ以上の所定の場所で、過程は、実質的に低減した厚さの領域を作成することを含むことができる。これらの領域は、例えば、ツール(例えば、カプセルの長さに沿ってかみそり刃仕上げを伴うコアピン)、レーザアブレーション、部分貫通穴の作成、基材よりも弱い軸方向接着接合部(シートからの管)の作成、または他の好適な技法を使用して形成することができる。方法は次に、薄くなった、または弱くなった領域を破裂させるために必要とされる圧力を下回る圧力において、カプセルを所望の内容物を充填することを含む。カプセルを充填した後に、上記で説明される溶接過程のうちの1つ、または他の好適な過程を使用して、カプセルの開放端を密閉することができる。
【0116】
さらに別の特定の実施形態では、1つ以上の応力点をカプセル内に作成することができる。この方法は、カプセルを形成し、上記で説明される技法のうちのいずれかを使用して、カプセルを所望の内容物で充填することを含むことができる。カプセルを形成した後、カプセルが非展開構成であると、過程はさらに、所定のピッチおよび張力でカプセルの周囲に縫合糸(例えば、ニチノールワイヤ)を巻き付けることを含むことができる。カプセルが非展開状態から展開構成に移動させられ、曲線または円周形状を帯びると、縫合糸が所定の点でカプセルを圧縮する。応力点は、そのような点における増加した圧力により、これらの点においてカプセル壁に作成される。
【0117】
別の実施形態では、デバイスは、いったん所定の圧力がそこに印加されるとカプセルの貫通を引き起こす、スパイクまたは他の隆起領域等の支持部材上の1つ以上の圧力点を含んでもよい。
【0118】
圧力作動型カプセルまたは区画を形成するためのなおもさらに別の特定の実施形態は、カプセルの内側区画が密閉され、接着剤または他の所望の薬剤を含有するカプセルの外側区画から分離される、二重壁カプセルを作成することを含む。内側区画は、柔軟または可撓性材料から構成されることができ、外側区画は、実質的にあまり柔軟ではない材料から構成されることができる。外側区画は、破損点を有しても有さなくもよい。内側区画は、一方向弁を介して、低コンプライアンス貯留部と流体連通している。貯留部は、拡張型部材またはバルーンの膨張によって高い圧力まで加圧されるように構成され、それにより、弁が開き、内側区画を加圧して拡張することを可能にする。この過程は次に、外側区画が破裂するまで外側区画(接着剤を含有する)を加圧する。この特定の実施形態の1つの利点は、カプセル内の圧力を、そうでなければ外部拡張型部材またはバルーンのみで可能であるよりも高い値まで増加させることができることである。
【0119】
さらに他の実施形態では、カプセルは、比較的剛体の材料でできている内側区画と、比較的可撓性の材料でできている外側区画とを有する。この実施形態では、内側区画は、薬剤を含有する貯留部としての役割を果たし、所定の圧力で破壊または破裂するように設計されている。外側区画もまた、薬剤の放出を可能にするように破損圧力点を有してもよい。内側区画の剛性は、カプセル化された薬剤の長期安定性および保管期間を提供してもよい。
【0120】
破裂圧力の印加は、例えば、送達デバイス入口部位(例えば、大腿動脈)において外部源に接続される、カプセルに直接接続された管を介して、局所的に、または遠隔で実行されてもよい。
【0121】
(D.可撓性支持部材ならびに関連システムおよび方法の付加的な実施形態)
図7A−8Bは、本開示の付加的な実施形態に従って構成された可撓性支持部材の説明図である。以下で説明される可撓性支持部材は、図7A−8Bの支持部材が、薬剤を含有するカプセル以外の構成要素またはデバイスを運ぶように構成される送達システムであるという点で、上記で説明されるものとは異なる。図7A−8Bに関して以下で説明される可撓性支持部材は、図1A−6に関して上記で説明されるデバイスのうちのいずれかとともに使用することができ、上記で説明される可撓性支持部材と同じ特徴および利点の多くを有することができる。しかしながら、他の実施形態では、以下で説明される可撓性支持部材を、他の好適なアセンブリとともに、および/または他の用途で使用することができる。そのような用途の実施例を以下でさらに詳細に説明する。
【0122】
図7Aおよび7Bは、例えば、複数の構造要素または特徴704を運ぶ可撓性支持部材702を図示する。可撓性支持部材702は、上記で説明される形状記憶材料と略同様の形状記憶材料(例えば、ニチノールワイヤ等)から構成されることができ、非展開または初期状態から(支持部材702が円周構成を有する、図7Aおよび7Bに示されるような)展開または最終状態へ移動するように構成される。構造要素704は、多種多様な異なる好適な材料または要素(例えば、デバイスが展開される場所を補強する補強要素、展開部位で特定の機能を実行する要素等)を含むことができる。他の実施形態では、可撓性支持部材702および/または構造要素704は、異なる配設を有するか、または異なる特徴を含むことができる。
【0123】
図8Aおよび8Bは、本開示のさらに別の実施形態に従って構成された可撓性支持部材802を図示する。より具体的には、図8Aは、初期または非展開構成の可撓性支持部材802を図示し、図8Bは、展開構成の支持部材802を図示する。この実施形態では、支持部材802は、擦過器構成要素804(例えば、略粗面紙やすり状の構成要素、真っ直ぐな「ナイフ」の刃を有する構成要素等)を運んでいる。可撓性支持部材802は、以前に説明された形状記憶材料(例えば、ニチノールワイヤ等)と略同様の形状記憶材料から構成されることができる。1つの特定の実施例では、可撓性支持部材802が、非展開状態(図8A)から、支持部材が曲線または円周構成(図8B)である展開状態へと移動するにつれて、擦過器構成要素804は、「血管擦過」、内皮細胞剥離過程、プラーク除去等を行うために使用することができる。擦過器構成要素804は、少なくとも部分的に、構成要素が使用される特定の用途で選択される、多種多様の異なる種類の材料を含むことができる。他の実施形態では、可撓性支持部材802および/または擦過器構成要素804は、異なる配設を有するか、または異なる特徴を含むことができる。
【0124】
他の実施形態では、上記で説明される可撓性支持部材702および802は、他の種類のデバイスまたは材料を運ぶために使用することができる。例えば、支持部材は、支持部材の所望の部分に沿って配置される、能動または受動的被覆(例えば、薬物、成長因子等)あるいは他の種類の材料を有することができる。別の具体的実施例では、可撓性支持部材702は、カーボンナノチューブを運び、管腔の壁の中へマイクロナノマシン(例えば、マイクロロボット)を展開するために使用することができる。例えば、マイクロロボットは、深部組織層の中へ、または壁内の特定の深度まで、または壁を通して、難容性または生物学的薬物を送達することができる。さらに他の実施形態では、可撓性支持部材は、他の種類の材料および/または構成要素を運ぶために使用することができる。
【0125】
上記で説明される可撓性支持部材702および802の1つの利点は、カテーテルの内側の単位面積当たりの質量を低減することによって、これらのデバイスは、患者内の所望の場所への送達のために、所望の1つまたは複数の構成要素の外形を有意に縮小することが見込まれる。この特徴は、デバイスが複数の構成要素から構成され、経皮的にそれらを体内に導入することが実用的にもっともらしくない状況で、デバイスの生体内アセンブリにとって有用となり得る。この特徴はまた、関心の部位で1つより多くの機能を有することが望ましい時にも有用である。この特徴はさらに、所望の構成要素または材料のより迅速で潜在的により正確な展開をもたらし、それにより、臨界手技時間を節約することが見込まれる。
【0126】
図9に示された実施形態では、デバイスは、グラフト805の遠位端804から延在するループ状構成を形成する、可撓性支持材802を備える。支持材802は、領域806および807においてグラフト805に取り付けられる。図9の描写は、その縮小放射状外形構成で支持部材を示す。いったん原位置になると、支持部材は、拡張して、遠位端804にある、または遠位端804に隣接するグラフト805の領域を実質的に包囲する。
【0127】
全ての実施形態で、支持部材は、繋留部材によってグラフトまたはステントに接続されてもよい。繋留部材は、エラストマー材料でできていてもよい。代替として、繋留部材は、非エラストマーであってもよく、比較的固定した長さを有してもよい。
【0128】
(E.結論)
前述の内容から、本開示の具体的実施形態は、例証の目的で本明細書に説明されているが、これらの実施形態から種々の修正が行われてもよいことが理解されるであろう。特定の実施形態との関連で説明される本開示のある側面は、他の実施形態で組み合わせられるか、または排除されてもよい。例えば、特定の実施形態による密閉デバイスは、前述の構成要素および特徴のうちのいくつかのみを含んでもよく、他のデバイスは、上記で開示されるもことに加えて、他の構成要素および特徴を含んでもよい。さらに、ある実施形態と関連付けられる利点が、これらの実施形態との関連で説明されているが、他の実施形態もそのような利点を提示してもよく、全ての実施形態がそのような利点を必ずしも提示する必要はない。したがって、本開示は、上記で示されていない、または説明されていない、他の実施形態を含むことができる。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の血管に薬剤を送達する管腔内デバイスであって、該管腔内デバイスは、
管腔内補綴と身体管腔の壁との間に少なくとも部分的に配置するように構成される少なくとも1つの可撓性支持部材と、
該支持部材によって運ばれる少なくとも1つの薬剤と
を備え、該支持部材は、第1の比較的縮小した放射状構成と、第2の比較的増大した放射状構成との間で変化可能であり、
該第1の縮小した放射状構成において、該支持部材は、第1の端から第2の端までの距離に延在する長さを有する細長い部材を備え、
該第2の増大した放射状構成において、該第1の端と該第2の端との間の該距離は、比較的縮小される、デバイス。
【請求項2】
前記支持部材は、形状記憶材料を含む、請求項1に記載の管腔内デバイス。
【請求項3】
前記第2の増大した放射状構成において、前記支持部材は、前記補綴の周囲に延在する、請求項1または請求項2に記載の管腔内デバイス。
【請求項4】
前記支持部材は、カプセルを含み、該カプセルは、前記少なくとも1つの薬剤を保持する、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項5】
前記支持部材は、適合バンドをさらに備える、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項6】
前記適合バンドは、略多孔質の材料または半多孔質の材料を含む、請求項5に記載の管腔内デバイス。
【請求項7】
前記適合バンドは、比較的多孔質の領域および比較的無孔質の領域の両方を備える、請求項5に記載の管腔内デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの薬剤は、前記支持部材から放出可能である、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項9】
2つ以上の異なる薬剤を備える、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、二部分接着剤を含み、第1の薬剤および第2の薬剤は、該薬剤の一方または両方の放出まで相互から隔離される、請求項9に記載の管腔内デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの薬剤は、前記支持部材への圧力の印加によって放出される、請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項12】
前記薬剤がバルーンの膨張によって前記支持部材から放出されることにより、該支持材を前記血管の壁に対して加圧させる、請求項11に記載の管腔内デバイス。
【請求項13】
前記補綴に対して独立して移動可能である、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項14】
前記管腔内補綴は、血管内動脈瘤修復用である、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項15】
複数の支持部材を備える、請求項1〜14のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項16】
管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達する装置を含む管腔内デバイスであって、該装置は、
該補綴と該身体管腔の該壁との間での配置のために構成される支持部材であって、該支持部材は、非展開状態から展開状態へと変化可能な形状記憶材料を含む、支持部材と、
該支持部材によって運ばれるカプセルと、
該カプセルの中の薬剤と
を備える、デバイス。
【請求項17】
複数の個々のカプセレットを有するカプセルをさらに含む、請求項1〜16のうちのいずれか一項に記載の管腔内デバイス。
【請求項18】
前記個々のカプセレットは、相互に流体連通している、請求項17に記載の管腔内デバイス。
【請求項19】
前記個々のカプセレットは、相互に流体連通しておらず、各カプセレットは、別個の量の薬剤を含有する、請求項17に記載の管腔内デバイス。
【請求項20】
前記カプセレットは、各々、放出に対して個々の所定の圧力範囲を有するように構成される、請求項17に記載の管腔内デバイス。
【請求項21】
前記個々のカプセレットおよび該カプセレット間の対応する連結は、単一の統合ユニットを備える、請求項17に記載の管腔内デバイス。
【請求項22】
管腔内アセンブリであって、
少なくとも1つの支持部材と、
該支持部材によって運ばれる少なくとも1つの薬剤であって、該支持部材は、第1の比較的縮小した放射状構成と第2の比較的増大した放射状構成との間で変化可能である、薬剤と
を含み、
該第1の縮小した放射状構成において、該支持部材は、第1の端から第2の端までの距離に延在する長さを有する細長い部材を備え、該第2の増大した放射状構成において、該第1の端と該第2の端との間の該距離は、比較的縮小され、
該アセンブリは、該第1の縮小した放射状構成において該支持部材を保持するように構成される送達手段をさらに備え、該送達手段は、また血管中の標的部位へ管腔内補綴を送達するように構成され、
該アセンブリの該少なくとも1つの支持部材は、該管腔内補綴と身体管腔の壁との間に少なくとも部分的に配置するように構成される、アセンブリ。
【請求項23】
管腔内補綴と身体管腔の壁との間に少なくとも1つの薬剤を送達する方法であって、該方法は、
該身体管腔内の所望の場所まで密閉デバイスを前進させることであって、該密閉デバイスは、支持部材と、該支持部材によって運ばれる少なくとも1つの薬剤とを備える、ことと、
該支持部材を、第1の比較的縮小した放射状構成から第2の比較的増大した放射状構成まで変化させるか、または該支持部材が変化することを可能にすることであって、該第2の増大した放射状構成において、該支持部材は、該管腔内補綴の少なくとも一部分を受容する受容領域を画定する、ことと、
所望の場所まで該管腔内補綴を前進させることであって、該補綴の少なくとも一部は、該支持部材の該受容領域内に受容される、ことと、
該管腔内補綴の管腔内に拡張型部材を設置し、該支持部材に力を及ぼすように該拡張型部材を放射状に拡張することであって、該力は、該支持部材からの該薬剤の放出を生じさせる、ことと
を含む、方法。
【請求項24】
管腔内補綴と身体管腔の壁との間に薬剤を送達する方法であって、
該身体管腔内の所望の場所まで該管腔内補綴を前進させることであって、該管腔内補綴は、該補綴と該身体管腔の壁との間に設置される密閉デバイスを含み、該密閉デバイスは、(a)形状記憶材料を含む支持部材と、(b)該支持部材によって運ばれるカプセルとを含む、ことと、
拡張型バルーンと該身体管腔の壁との間にある該密閉デバイスとともに、該身体管腔内に該拡張型バルーンを設置することと、
該カプセルが該カプセル内に含有された薬剤を放出するまで、該身体管腔の壁に該密閉デバイスを押し付けるように、該バルーンを放射状に拡張することと
を含む、方法。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−515578(P2012−515578A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546527(P2011−546527)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000050
【国際公開番号】WO2010/083558
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(511178898)エンドールミナル サイエンシーズ プロプライエタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】