説明

血管性及び代謝性疾患の処置のためのシロスタゾールの硝酸エステル誘導体

シロスタゾールの硝酸エステル誘導体が記載されている。それらは、血管性及び代謝性疾患の処置においてシロスタゾールと比較して優れた特性及び臨床的利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管性及び代謝性疾患の処置に有用なシロスタゾールの硝酸エステル誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管性及び代謝性疾患は、ガンをよそに、西洋諸国において死亡の主要原因である。血管性及び代謝性疾患を処置する多くの異なる方法が知られているが、改良された薬物治療の必要が依然としてある。ライフスタイルの変更及び薬物療法によって、これらの疾患に関連する羅病率及び死亡率を減少及び遅延させることができる。血管性疾患の羅病率及び死亡率の危険を減らすことが証明されている処置は典型的に、血管機能障害を改善すること、又は、高血圧、アテローム性動脈硬化もしくは他の古典的な代謝危険因子によって引き起こされた血管機能不全の進行を遅延/防止することのいずれかが示されている。そのような処置の例は、カルシウムチャンネル遮断薬、β遮断薬、アンジオテンシン(angiotension)変換酵素阻害薬、又はアンジオテンシン受容体遮断薬である。
【0003】
例えば狭心症を患っている、アテローム性動脈硬化患者において、確立されている標準的処置のうちの1つは、有機硝酸エステル、具体的には硝酸エステル、例えば三硝酸グリセリン(ニトログリセリン)、二硝酸イソソルビド、又は四硝酸ペンタエリスリトールによる処置を含む、それらは全て冠血管拡張薬として作用し、症状及び運動耐容能を改善する。大抵の有機硝酸エステル(例えば一硝酸エステル及び三硝酸エステル)は、比較的短い半減期を有する速効性医薬品であり、患者が硝酸エステル耐性を高めるという典型的な不都合点を有し、これは薬力学的効果の一部が、長期的処置及び1日に3回の投与療法により失われることを意味する。
【0004】
高血圧及びアテローム性動脈硬化によって典型的に引き起こされ、臨床的に間欠性跛行が現れる末梢動脈疾患(PAD)の場合、血管拡張特性を有する化合物は、症状及び歩行を改善するということが示されている。PAD患者の処置のために確立され認可された2つの化合物は、シロスタゾール(ホスホジエステラーゼIII阻害剤)及びペントキシフィリンである。シロスタゾール(米国特許第4,277,479号)は、直接動脈拡張薬として作用する。その報告された血管拡張薬及び抗血小板効果に加えて、シロスタゾールは、血漿リポタンパク質への有益効果を有し、血漿高密度リポタンパク質コレステロール及びアポリポタンパク質を増加させると提唱されている。
【0005】
硝酸エステルの薬物全般は、国際出願第00/61357号に記載されている。ジアゼニウムジオレート誘導体が、硝酸エステルの代替物として最近になって認められ、生理学的条件下で遊離した2分子のNOをもたらす。タクリンのジアゼニウムジオレート誘導体は、L. Fang et al., J. Med. Chem. 51, 7666-7669 (2008)に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式:
【化1】


で示される化合物、又は対応するオキシ−イミン誘導体
【化2】


[式中、Aは、
−(C=O)−(CH−O−NO
−(C=O)−(CHOCHCH−O−NO
−(CHCHO)CHCH−O−NO
−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO
−(C=O)−NR−(CH−O−NO
−(C=O)−O−(CH−O−NO
−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO;又は
−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO
−CHO−(C=O)−(CH−O−NOであり;
aは0又は1であり;
bは1から10までの間であり;
cは1、2又は3であり;
dは0、1又は2であり;
eは1から4までの間であり;
は、H、C1−4−アルキル又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである];及び、−O−NOが、
【化3】


[式中、R及びR双方が、エチルもしくは2−アミノエチルであるか、又はNRが一緒にピロリジン、ピペリジン、ピペラジンもしくは4−メチルピペラジンを表す]によって置き換えられている該化合物に関する。
【0007】
さらに本発明は、本明細書において上記で定義したとおりの化合物を含む医薬組成物、血管性及び代謝性疾患の処置のための本明細書において上記で定義したとおりの化合物、ならびに、本明細書において上記で定義したとおりの化合物及び医薬組成物を使用して血管性及び代謝性疾患を処置する方法に関する。
【0008】
本発明の化合物は、血管性及び代謝性疾患、例えば、とりわけ高血圧、また高眼圧及び肺高血圧にも関連するアテローム性動脈硬化、とりわけ心臓発作(心筋梗塞)後の慢性心不全、発作、脳卒中、狭心症、脳血管疾患、冠動脈疾患、左室機能不全及び肥大である心不全、ならびに、とりわけ間欠性跛行である末梢動脈疾患(PAD)の処置のための有用な医薬を表す。本発明の化合物は、シロスタゾール(式1、A=水素)と比較して、優れた血管拡張特性を有する。
【0009】
発明の詳細な説明
式1で示される化合物[ここでAは水素である]は、シロスタゾールという名前で知られている。式1Aで示される化合物[ここでAは水素である]は、シロスタゾールの互変異性型であり、ここでアミド官能基は、オキシ−イミン官能基として存在する(ケト−エノール互変異性)。式1Aで示される化合物において、Aが水素と異なる場合、オキシ−イミン官能基はアミド官能基に戻り、互変異性平衡を形成することができない。式1Aで示されるそのような化合物は、式1で示される対応する化合物の安定な位置異性体を表す。
【0010】
1−4−アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチルであり、好ましくはメチル、エチル又はn−プロピルであり、とりわけメチルである。
【0011】
式1及び1Aで示される化合物[ここでAは指示された意味を有する]は、血管性及び代謝性疾患の処置に有用である。
【0012】
検討される血管性疾患は例えば、高血圧及びアテローム性動脈硬化、ならびに典型的な関連継続疾患及びそれらの対応する合併症、とりわけ高眼圧及び肺高血圧、慢性心不全、心臓発作(心筋梗塞)後の心不全、脳虚血全般、具体的には一過性脳虚血発作(TIA)、遷延性神経学的欠損(PRIND)、発作(虚血性及び非虚血性)、慢性脳血管疾患、安定及び不安定狭心症、冠動脈疾患、心機能不全、具体的には左室又は右室機能不全及び肥大、全ての段階における末梢動脈疾患(PAD)(具体的には微小血管及び大血管機能における異常を含み、例えば神経病である)、内皮機能不全、冷たい足、創傷治癒障害、虚血性潰瘍及び壊死、重症虚血肢、間欠性跛行、末梢動脈疾患に関連する慢性又は間欠性疼痛症候群、多発性神経障害、ならびに慢性及び急性炎症性血管性疾患である。さらに、治療及び予防は、例えばバルーン血管形成及び/又はステント挿入などの末梢血管インターベンション後の合併症、門脈高圧症、慢性炎症性血管性疾患、血管合併症を伴う混合性結合組織疾患、レイノー病(Morbus Raynaud)又はオスラー病(Morbus Osler)の患者における血管合併症の処置、真性糖尿病の典型的微小血管及び大血管合併症の処置、血小板機能の異常、例えば血小板粘着の増加及び結果として生じる凝固性亢進、ならびに前述のような血管性疾患に典型的に付随する状態に対するものが検討される。
【0013】
検討される代謝性疾患は、例えば、1型及び2型真性糖尿病、耐糖能異常、全ての脂質異常症、例えば高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高密度リポタンパク質の単独又は他の脂質異常症との組み合わせの異常、アポリポタンパク質A1又は他のリポタンパク質細画分の異常、ならびに、血管合併症及び/又は血小板機能障害をもたらす他の代謝性疾患である。
【0014】
式1及び1Aで示される化合物は、当技術分野で周知の方法によって製造することができる。好ましくは、シロスタゾール、すなわち式1で示される化合物[ここでAは水素である]を、当技術分野で周知の標準手順に従って、それぞれさらに1又は2個の臭素、塩素又はヨウ素原子を担持しているアシル化化合物又はアルキル化化合物で処理する。好ましい合成の最終工程において、臭素、塩素、又はヨウ素を、硝酸銀との反応、又は、双極性非プロトン性溶媒中の強塩基の存在下でジアゼニウムジオレートとの反応によって、それぞれ硝酸エステル又はジアゼニウムジオレート官能基によって置き換える。代替合成において、アシル化又はアルキル化化合物は、1又は2個のヒドロキシ官能基もしくは保護されたヒドロキシ官能基を担持する。次にこれらのヒドロキシ基を、硝酸を用いて硝酸エステルに変換する。第3の合成手順は、対応する予め形成した反応性ニトロキシアルキル又はニトロキシアシル誘導体、例えば4−ニトロキシブタン酸ペンタフルオロフェノールエステルを用いたアルキル化又はアシル化を含む。−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO基の導入は、対応する高度に反応性のクロリドを用いて直接実施することができ、それは同時に化合物[ここでAは−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NOであり、反応性クロリドにおいてRが水素である場合にRはさらなる−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NO基である]を生成する。−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO、又は−CHO−(C=O)−(CH−O−NO官能基を含む対応する化合物を同様に調製する。
【0015】
式中、Aが−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CHOCHCH−O−NO;−(CHCHO)CHCH−O−NO;又は−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;であり;そしてa、b、c、d及びeが指示された意味を有する、式1で示される化合物が好ましい。
【0016】
式中、Aが−(C=O)−(CH−O−NO又は−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NOであり;そしてaが0又は1であり;bが1から6までの間であり;dが0、1又は2であり;eが1又は2である、式1で示される化合物がより好ましい。
【0017】
式中、Aが−(C=O)−(CH−O−NO又は−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NOであり;そして、aが1であり;bが2、3、4又は5であり;dが0又は1であり;eは1又は2である、式1で示される化合物がさらにより好ましい。
【0018】
式中、Aが−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NOであり;そしてaが1であり;dが0又は1であり;eが1又は2である、式1で示される化合物がさらにより好ましい。
【0019】
式中、Aが−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−(C=O)−O−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO;又は−CHO−(C=O)−(CH−O−NOであり;aが0又は1であり;bが1から10までの間であり;dが0、1、又は2であり;eが1から4までの間であり;RがH、C1−4−アルキル又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、式1又は1Aで示される化合物;及び、−O−NOが、
【化4】


[式中、R及びR双方がエチルもしくは2−アミノエチルであるか、又はNRが一緒にピロリジン、ピペリジン、ピペラジンもしくは4−メチルピペラジンを表す]で置き換えられている該化合物がさらに好ましい。
【0020】
式中、Aが−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−(C=O)−O−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO;又は−CHO−(C=O)−(CH−O−NOであり;aが0又は1であり;bが1から6までの間であり;dが0、1又は2であり;eが1又は2であり;RがH、メチル、又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、式1又は1Aで示される化合物;及び、−O−NOが、
【化5】


[式中、R及びR双方がエチルであるか、又はNRが一緒にピロリジンを表す]によって置き換えられている該化合物がさらに好ましい。
【0021】
式中、Aが−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;又は−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NOであり;aが1であり;bが2、3、4、又は5であり;dが0又は1であり;eが1又は2であり;RがH又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、式1で示される化合物;及び、−O−NOが、
【化6】


[式中、NRが一緒にピロリジンを表す]によって置き換えられている該化合物がさらにより好ましい。
【0022】
最も好ましいのは実施例で示される化合物である。
【0023】
本発明はまた、活性成分として式1又は1Aで示される化合物を含み、また上記で言及した疾患の処置において特に使用することができる、医薬組成物に関する。温血動物、特にヒトへの、経腸投与、例えば経鼻、頬側、直腸、又は特に経口投与のための組成物、及び、非経口投与、例えば静脈内、筋肉内、又は皮下投与のための組成物が、特に好ましい。組成物は、活性成分を単独か、又は好ましくは薬学的に許容しうる担体と共に含む。活性成分の投薬量は、処置されるべき疾患、ならびに、種、その年齢、体重及び個々の状態、個々の薬物動態学的データ及び投与様式に依存する。
【0024】
本発明は特に、式1又は1Aで示される化合物、及び少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物に関する。
【0025】
本発明はまた、ヒト又は動物体の予防もしくは特に治療管理のための方法、とりわけ、血管性及び代謝性疾患、特に上記で言及したものを処置するための方法において、使用するための医薬組成物に関する。
【0026】
本発明はまた、有効成分(活性成分)として式1又は1Aで示される化合物を含む医薬調剤の調製のための、プロセス及び式1又は1Aで示される化合物の使用に関する。
【0027】
温血動物、特にヒトの血管性及び代謝性疾患の予防又は特に治療管理のための医薬組成物であって、活性成分として式1又は1Aで示される新規化合物を、該疾患に対して予防的又は特に治療的活性がある量で含む、医薬組成物が同様に好ましい。
【0028】
医薬組成物は、ほぼ1%〜ほぼ95%の活性成分を含み、単一用量投与形態は好ましい実施態様において、ほぼ20%〜ほぼ90%の活性成分を含み、単一用量型ではない形態では好ましい実施態様において、ほぼ5%〜ほぼ20%の活性成分を含む。単位用量形態は、例えば、被覆及び被覆されていない錠剤、アンプル、バイアル、坐剤又はカプセル剤である。さらなる投薬形態は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、フォーム剤、チンキ剤、リップスティック、滴剤、スプレー剤、分散剤などである。例としては、約0.001g〜約1.0gの活性成分を含有しているカプセル剤である。
【0029】
本発明の医薬組成物は、本質的に既知の方法で、例えば従来の混合、顆粒化、コーティング、溶解、又は凍結乾燥プロセスの手段によって調製される。
【0030】
活性成分の溶液の使用が好ましく、懸濁液又は分散液、特に、例えば活性成分を単独もしくは担体(例えばマンニトール)と共に含む凍結乾燥組成物の場合、使用前に用意することができる等張水溶液、分散液又は懸濁液の使用もまた好ましい。医薬組成物は、滅菌されることもでき、ならびに/あるいは、賦形剤、例えば防腐剤、安定剤、湿潤剤及び/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調整するための塩、及び/又は緩衝液を含むことができ、本質的に既知の方法で、例えば従来の溶解及び凍結乾燥プロセスによって調製される。該溶液又は懸濁液は、典型的にはカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン又はゼラチンである粘度増加剤を、あるいは可溶化剤、例えばTween 80(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート)もまた、含むことができる。
【0031】
油の懸濁液は油成分として、注射目的に慣習的な、植物、合成又は半合成の油を含む。そのようなものに関して、酸成分として8〜22個、特に12〜22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸を含有する液体脂肪酸エステルを特記することができる。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、最大で6個の炭素原子を有し、一価又は多価、例えば一価、二価もしくは三価のアルコール、特にグリコール及びグリセリンである。脂肪酸エステルの混合物として、綿実油、扁桃油、オリーブ油、ヒマシ油、胡麻油、ダイズ油及び落花生油などの植物油が特に有用である。
【0032】
例えばアンプル又はバイアル内への充填及び容器の密閉などの注射調剤の製造は、通常無菌状態で実施される。
【0033】
適切な担体は、特に、糖(例えばラクトース、サッカロース、マンニトールもしくはソルビトール)、セルロース製剤、及び/又はリン酸カルシウム(例えばリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウム)などの充填剤、また、デンプン(例えばトウモロコシ、小麦、米もしくはジャガイモデンプン)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンなどの結合剤、ならびに/あるいは、必要に応じて、前述のデンプン、またカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸もしくはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)などの崩壊剤である。追加的な賦形剤は、特に、例えば珪酸、タルク、ステアリン酸又はその塩(ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムなど)、及び/又はポリエチレングリコール、あるいはそれらの誘導体である、流動調整剤(flow conditioner)及び潤滑剤である。
【0034】
錠剤コアに、特に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタンを含むことができる濃縮糖溶液、又は適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物のコーティング溶液、あるいは腸溶コーティングの調製のためには適切なセルロース製剤の溶液(フタル酸アセチルセルロースもしくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の使用によって、適切な任意に腸溶性のコーティングを提供することができる。染料又は色素が、例えば識別目的、又は異なる用量の活性成分を指示するために、錠剤又は錠剤コーティングに加えられてもよい。
【0035】
経口投与のための医薬組成物にはまた、ゼラチンからなる硬カプセル剤、また、ゼラチン及び可塑剤(グリセリン又はソルビトールなど)からなる軟質の密封されたカプセル剤が含まれる。硬カプセル剤は、活性成分を顆粒形態で、例えば充填剤(トウモロコシデンプンなど)、結合剤及び/又は流動促進剤(タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、また場合によっては安定剤との混合剤で含有することもできる。軟カプセル剤において、活性成分を好ましくは、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型の安定剤及び洗浄剤も加えることができる適切な液体賦形剤(脂肪油、パラフィン油もしくは液体ポリエチレングリコール、又はエチレンもしくはプロピレングリコールの脂肪酸エステルなど)に溶解するか、あるいは懸濁させる。
【0036】
直腸投与に適する医薬組成物は例えば、活性成分及び坐剤基剤の組合せからなる坐剤である。適切な坐剤基剤は、例えば、天然もしくは合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコール、又は高級アルカノールである。
【0037】
非経口投与のために、水溶性形態の活性成分、例えば水溶性塩の水溶液、又は、粘度増加物質(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストラン)及び必要に応じて安定剤を含有する水性注射懸濁剤が、特に適している。活性成分はまた、場合によって賦形剤と共に、凍結乾燥物の形態であることができ、適切な溶媒を加えることによって非経口投与前に溶液にすることができる。
【0038】
例えば非経口投与のために使用されるような溶液を注射液剤として利用することもできる。
【0039】
好ましい防腐剤は、例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤、又は、ソルビン酸もしくは安息香酸などの殺菌剤である。
【0040】
本発明はさらに、血管性及び代謝性疾患の処置のための方法に関し、それは、式1又は1Aの化合物(ここで基及び符号は式1及び1Aについて上記で定義したとおりの意味を有する)を、該疾患に対して有効な量で、そのような処置を必要としている温血動物に投与することを含む。式1又は1Aの化合物を、それ自体、又は特に医薬組成物の形態で、予防的又は治療的に、好ましくは該疾患に対して有効な量で、そのような処置を必要としている温血動物、例えばヒトに投与することができる。約70kgの体重を有する個人の場合、本発明の化合物の投与される一日の用量は、ほぼ0.001g〜ほぼ5g、好ましくは、ほぼ0.25g〜ほぼ1.5gである。
【0041】
本発明はまた特に、血管性及び代謝性疾患、とりわけ末梢動脈疾患の治療的及び予防的管理のため、式1又は1Aの化合物をそれ自体で、あるいは少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体を含む医薬製剤の形態で、使用することに関する。
【0042】
いずれの場合においても使用されることになる医薬製剤(薬)の好適な用量、組成、及び調製は、前述されている。
【0043】
さらに本発明は、代謝性疾患の処置のための方法を提供し、それは、式1又は1Aの化合物(ここで基及び符号は上記で定義したとおりの意味を有する)を、該疾患に対して有効な量で、そのような処置を必要としている温血動物に投与することを含む。
【0044】
以下の実施例は、本発明をその範囲に限定することのなく本発明を例示する働きをする。
【実施例】
【0045】
実施例1:2−{2−(6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−2−オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1H−イル)−2−オキソエチル}−プロパン−1,3−ジイルアセトンジケタール(2)
【0046】
【化7】

【0047】
等量の6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(シロスタゾール、式1、A=H、554mg、1.5mmol)、4−ヒドロキシ−(3−ヒドロキシメチル)ブタン酸ジメチルケタール(261mg、1.5mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、309mg、1.5mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、183mg、1.5mmol)を、CHCl 5ml中、室温で3日間撹拌した。ジシクロヘキシルウレアを濾別し、液体を蒸発させ、クロマトグラフィー(ジクロロメタン/ジイソプロピルケトン 97.5:2.5)によって精製した。標記化合物2を収率67%で得た。
H−NMR(400MHz,CDOD/CDCl 9:1):δ1.27−1.58(m,4H)、1.40(s,3H)、1.41(s,3H)、1.72−2.06(m,12H)、2.28−2.37(m,1H)、2.66−2.71(m,2H)、2.84−2.89(m,2H)、3.01(t,J=7.6Hz,2H)、3.05(d,J=6.7Hz,2H)、3.71(dd,J=7.2,11.8Hz,2H)、3.99−4.07(m,2H)、4.31−4.40(m,1H)、6.78(dd,J=2.8,8.7,1H)、6.82(d,J=2.8,1H)、7.23(d,J=8.7,1H)。
【0048】
実施例2:1−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ブタノイル]−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(3)
【0049】
【化8】

【0050】
CHCl 20mL中の2−{2−(6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−2−オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1H−イル)−2−オキソエチル}−プロパン−1,3−ジイルアセトンジケタール(2、実施例1) 5mmol、及びFeCl−SiO試薬 0.10gの混合物を、室温で撹拌した。反応をTLCによってモニタリングした。ケタール開裂の完了後、混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0051】
実施例3:1−[4−ブロモ−3−(ブロモメチル)ブタノイル]−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(4)
【0052】
【化9】

【0053】
窒素下0℃のTHF(100mL)中の6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(シロスタゾール、1、A=H、2.0g、3.50mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(0.043g、0.35mmol)、及びトリエチルアミン(0.5ml、0.35mmol)の溶液に、THF(5mL)中の4−ブロモ−3−(ブロモメチル)ブタノイルクロリド(0.97g、3.50mmol)の溶液をゆっくりと加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次にそれを酢酸エチルとリン酸緩衝液(pH=3)との間で分配し、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/アセトン 7:3)によって精製した。
【0054】
実施例4:2−{2−(6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−2−オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1H−イル)−2−オキソエチル}−プロパン−1,3−ジイル二硝酸エステル(5)
【0055】
【化10】

【0056】
1−[4−ブロモ−3−(ブロモメチル)ブタノイル]−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(4、1.5g、2.5mmol、実施例3)をCHCN(30ml)に溶解し、AgNO(0.93g、5.5mmol)を窒素下暗所で加えた。混合物を85℃で24時間撹拌した。次にそれを冷却し、リン酸緩衝溶液(pH=3)に注いだ。固体塩化ナトリウムを加えて、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をリン酸緩衝液(pH=3、1×25mL)、ブライン(3×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/アセトン 8:2)によって精製して、粗化合物をもたらし、それをHO/CHCNに溶解し、凍結乾燥させて、所望の二硝酸エステルを提供した。
【0057】
代替的に、化合物を以下の方法で対応するジオール3(実施例2)から調製した:1−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ブタノイル]−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(23.7g、0.049mol)をHNO(100%、0.24mol) 15gに−10℃でゆっくりと加えた。結果として生じた混合物を0℃で10分間撹拌し、氷 15gをそれに加えて、褐色の気体(NO)が消えるまで室温で2時間撹拌を継続した。混合物を5℃に冷却し、2−ブタノールを注意深く加えた。混合物を0℃でNaHCO 15.6gを用いてpH=6まで中和した。相の分離後、有機相をMgSOで乾燥させた。結果として生じた粗混合物を上記のように精製して、所望の二硝酸エステルを提供した。
【0058】
実施例5:1−(4−クロロブタノイル)−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(6)
【0059】
【化11】

【0060】
室温のクロロホルム 135mL中の6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(シロスタゾール、1、A=H、15.00g、40.6mmol)、ピリジン(6.42g、81.2mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、6.45g、52.8mmol)の溶液に、4−クロロブタノイルクロリド(7.45g、52.8mmol)をゆっくりと加えた。混合物を70℃で20時間撹拌した。反応混合物をCHCl 1000mLで希釈し、1N HCl、飽和NaHCO溶液、及びブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/tert−ブチルメチルエーテル 90:10)によって精製し、標記化合物を収率42%で提供した。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 1.25−1.48(m,3H)、1.75−1.81(m,1H)、1.87−2.01(m,1H)、2.28−2.37(m,10H)、2.19−2.25(m,2H)、2.70−2.73(m,2H)、2.83−2.87(m,2H)、2.92(t,J=7.6Hz,2H)、3.21(t,J=7.0Hz,2H)、3.67(t,J=6.4Hz,2H)、4.05(d,J=6.1Hz,2H)、4.08−4.17(m,1H)、6.72(d,J=2.9,1H)、6.75(dd,J=2.9,8.8,1H)、7.29(d,J=8.8,1H)。
【0061】
実施例6:1−(4−ニトロキシブタノイル)−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(7)
【0062】
【化12】

【0063】
1−(4−クロロブタノイル)−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(6、実施例5、1.0g、2.1mmol)をCHCN(50mL)に溶解し、AgNO(0.53g、3.15mmol)を窒素下暗所で加えた。混合物を75℃で12時間撹拌した。次に、それを冷却し、リン酸緩衝溶液(pH=3)に注いだ。固体塩化ナトリウムを加えて混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をリン酸緩衝液(pH=3、1×25mL)、ブライン(3×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/アセトン 8:2)によって精製し、所望の硝酸エステルをもたらした。
【0064】
実施例7:1−{4−(6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−2(1H)−オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1H−イル)−4−オキソ−1−ブチルオキシ}−2−ピロリジノジアゼン−2−オキシド(8)
【0065】
【化13】

【0066】
1−(4−クロロブタノイル)−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ)]3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(6、実施例5、1.0g、2.1mmol)をCHCN(50mL)に溶解し、1.5当量のナトリウムピロリジニルジアゼニウムジオレート(0.48g、3.15mmol)で処理した。反応混合物を、出発物質が完全に消費されたとTLCによって示されるまで、室温で2日間撹拌した。次に混合物を濃縮して、残留物を酢酸エチル 50mLに溶解した。有機溶液を水(3×50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒の除去後、粗生成物を、酢酸エチル及びヘキサンの溶媒混合物で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物を無色のシロップとして得た。
【0067】
実施例8:1−(2−ニトロキシエチルアミノカルボニルオキシメチル)−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(9)及び1−[N−(2−ニトロキシエチル)−N−(2−ニトロキシエチルアミノカルボニルオキシメチル)−アミノカルボニルオキシメチル]−6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(10)
【0068】
【化14】

【0069】
乾燥THF(12mL)中の6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(シロスタゾール、1、A=H、1.00g、2.71mmol)の溶液に、NaH(鉱油中60%、0.217g、5.41mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。反応混合物を30分間加熱還流し、次に0℃に冷却した。THF(1.3mL)中のクロロメチル2−(ニトロキシ)カルバミン酸エチル(1.075g、5.41mmol、CHCl中の2−ニトロキシエチル硝酸アンモニウム及びクロロギ酸クロロメチルにより0℃で、収率80%で得ることができる)の溶液を0℃で滴下し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水(5mL)で注意深くクエンチし、THFをロータリエバポレーターで除去した。結果として生じた水性混合物をCHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空下で除去して黄色の油状物を残した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン/酢酸エチル 1:9)によって精製して、無色の油状物として標記化合物9を収率19%で提供した。
H NMR(CDCl):δ 6.95(d,J=10,1H)、6.7−6.6(m,2H)、5.8(br s,2H)、5.4(t,J=7,1H)、4.5(t,J=7,2H)、4.1−4.0(m,1H)、3.9(t,J=7,2H)、3.55−3.45(m,2H)、2.9−2.7(m,4H)、2.6−2.5(m,2H)、2.0−1.6(m,11H)、1.4−1.2(m,3H)。
13C NMR(CDCl)δ:171.3、155.8、155.5、153.9、132.9、128.1、116.6、114.9、113.4、72.1、68.4、67.9、58.0、38.8、33.3、32.2、28.9、25.9、25.7、25.2、24.3、23.4。
LCMS: 554(M+Na)。
【0070】
2つのニトロキシエチルアミノカルボニルオキシメチル官能基を担持している化合物10を、副生成物として収率5%で得た。
H NMR(カルバミン酸エステル回転異性体に起因する幅広いピーク、CDCl):δ 6.95(1H)、6.7−6.6(2H)、5.8(2H)、5.4−5.1(3H)、4.6−4.4(4H)、4.1−4.0(1H)、3.9(2H)、3.8−3.6(2H)、3.5−3.45(2H)、2.9−2.7(4H)、2.6−2.5(2H)、2.0−1.6(11H)、1.4−1.2(3H)。
13C NMR(CDCl):δ 171.0、156.1、155.5、154.8、153.9、132.6、128.0、116.3、114.5、113.2、73.2、72.0、70.0、69.5、67.7、57.8、45.5、38.6、33.1、32.0、28.9、25.7、25.5、25.0、24.1、23.2。
LCMS: 716(M+Na)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1又は1A:
【化15】


[式中、Aは
−(C=O)−(CH−O−NO
−(C=O)−(CHOCHCH−O−NO
−(CHCHO)CHCH−O−NO:又は
−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO
−(C=O)−NR−(CH−O−NO
−(C=O)−O−(CH−O−NO
−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO
−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO;又は
−CHO−(C=O)−(CH−O−NOであり;
aは0又は1であり;
bは1から10までの間であり;
cは1、2又は3であり;
dは0、1又は2であり;
eは1から4までの間であり;
は、H、C1−4−アルキル又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである]で示される化合物;及び、−O−NOが、
【化16】


[式中、R及びR双方が、エチルもしくは2−アミノエチルであるか、又はNRが一緒にピロリジン、ピペリジン、ピペラジンもしくは4−メチルピペラジンを表す]によって置き換えられている該化合物。
【請求項2】
Aが、−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CHOCHCH−O−NO;−(CHCHO)CHCH−O−NO;又は−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NOである、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項3】
Aが、−(C=O)−(CH−O−NO又は−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO2であり;aが0又は1であり;bが1から6までの間であり;dが0、1又は2であり;eが1又は2である、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項4】
Aが、−(C=O)−(CH−O−NO又は−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NOであり;aが1であり;bが2、3、4、又は5であり;dが0又は1であり;eが1又は2である、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項5】
Aが、−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NOであり、aが1であり、dが0又は1であり、eが1又は2である、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項6】
Aが、−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−(C=O)−O−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO;又は−CHO−(C=O)−(CH−O−NOであり;
aが0又は1であり;bが1から10までの間であり;dが0、1又は2であり;eが1から4までの間であり;RがH、C1−4−アルキル又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、請求項1記載の式1又は1Aで示される化合物;及び、−O−NOが、
【化17】


[式中、R及びR双方がエチルもしくは2−アミノエチルであるか、又はNRが一緒にピロリジン、ピペリジン、ピペラジンもしくは4−メチルピペラジンを表す]によって置き換えられている該化合物。
【請求項7】
Aが、−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−(C=O)−O−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NO;−CHO−(C=O)−O−(CH−O−NO;又は−CHO−(C=O)−(CH−O−NOであり;aが0又は1であり;bが1から6までの間であり;dが0、1又は2であり;eが1又は2であり;RがH、メチル又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、請求項1記載の式1又は1Aで示される化合物;及び、−O−NOが、
【化18】


[式中、R及びR双方がエチルであるか、又はNRが一緒にピロリジンを表す]によって置き換えられている該化合物。
【請求項8】
Aが、−(C=O)−(CH−O−NO;−(C=O)−(CH−CH[(CH−O−NO;又は−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NOであり;aが1であり;bが2、3、4又は5であり;dが0又は1であり;eが1又は2であり;RがH又は−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、請求項1記載の式1で示される化合物;及び、−O−NO
【化19】


[式中、NRが一緒にピロリジンを表す]によって置き換えられている、該化合物。
【請求項9】
Aが−(C=O)−CH−CH[CH−O−NOである、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項10】
Aが−(C=O)−CH−CH−CH−O−NOである、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項11】
Aが−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項12】
Aが−CHO−(C=O)−NR−(CH−O−NOであり、Rが−CHO−(C=O)−NH−(CH−O−NOである、請求項1記載の式1で示される化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項14】
血管性及び代謝性疾患の処置のための請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
血管性及び代謝性疾患の処置の方法であって、
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物を、該疾患に対して有効な量で、そのような処置を必要としている温血動物に投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2012−510502(P2012−510502A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538999(P2011−538999)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066159
【国際公開番号】WO2010/063724
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511134492)カーディオリンクス・アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】CARDIOLYNX AG
【Fターム(参考)】