説明

行動判定装置及び行動判定方法

【課題】ユーザの活動の種類を類別して活動量を計測できる技術を提供する。
【解決手段】行動判定計10の行動判別部31は、3軸加速度計である加速度センサ20の計測結果をもとにユーザの活動状態を5種類に類別する。さらに、活動年齢算出部32は、行動判別部31が類別した活動状態の構成比をもとに活動年齢を算出し、さらに、肥満活動指数算出部33はユーザの肥満活動指数を算出する。算出結果は、表示部15に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動判定装置及び行動判定方法に係り、ユーザの行動や活動、動作等の種類を類別して活動量を推定する行動判定装置及び行動判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より生活習慣病の予防及び改善について、その重要性が様々な場面で喚起されてきたが、近年特に具体的なデータや指標をもとに様々な取り組みが実施されるようになってきた。厚生労働省による「健康づくりのための運動基準2006」において、生活習慣病の予防策として日常の生活活動を含む3MET(Metabolic Equivalent)s以上の身体活動を1日およそ60分行うことが推奨されており、日常生活活動量の評価の確立がこれまで以上に求められるようになっている。
【0003】
標準的な体型の日本人の場合、1日の総エネルギ消費量の内訳のうち基礎代謝量60%、食事誘発性体熱産生10%という値はほぼ決まっていると言われている。また、ある研究結果によると、1日の総エネルギ消費量の個人差が生まれる原因は家事活動を含む運動以外の身体活動(Nonexercise activity thermogenesis;NEAT)と呼ばれる部分であり、実に総エネルギ消費量の20〜30%を占め、個人差±200〜300kcalとなり、身体活動レベルの大きな個人差を生む原因となっている。
【0004】
現在、1日の身体活動量を評価する手段として、例えば、加速度計を用いた活動量計がある。活動量計は、各行動の身体活動強度METs、活動時間、消費エネルギを推定することができる。そして、その推定の精度を向上させた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の技術では、ユーザの運動強度を精度良く計測する目的で、3軸加速度計を備えた運動量計測装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−204446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示の技術では、加速度の大きさから単位時間毎の消費エネルギは推定できるが、その活動の種類までは把握できないという課題があった。また、活動の種類が把握できないため、一日のおける消費エネルギの推定や、活動(行動)の状態が把握できなかった。つまり、日常生活の中でどのような活動が高い消費エネルギを生むか分からず、1日の生活活動の改善につながりにくかった。
【0007】
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものであって、その目的は、ユーザの活動の種類を類別して活動量を計測できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る装置は、行動判定装置に関する。この行動判定装置は、水平方向の加速度と、鉛直方向の加速度を取得する加速度取得手段と、前記水平方向及び前記鉛直方向の各加速度をもとにユーザの活動状態を類別する行動判別手段と、を備える。
前記加速度取得手段として、前記水平方向の加速度と前記鉛直方向の加速度を計測する3軸加速度センサを備えてもよい。
また、前記加速度取得手段は、外部の加速度センサの計測結果を取得してもよい。
また、前記行動判別手段は、前記ユーザの活動状態を類別するときに、前記水平方向及び前記鉛直方向の加速度の大きさの比を参照してもよい。
また、当該行動判定装置は、前記類別したユーザの活動状態をもとに、ユーザの消費エネルギを算出する活動量算出手段を備えてもよい。
また、当該行動判定装置は、前記類別された活動状態の構成比と、年齢と活動状態とが関連づけられた第1の基準構成パターンとを比較してユーザの活動年齢を推定する活動年齢算出手段を備えてもよい。
また、当該行動判定装置は、前記類別された活動状態の構成比と、体型と活動状態とが関連づけられた第2の基準構成パターンと比較してユーザの肥満活動指数を算出する肥満活動指数算出手段を備えてもよい。
また、当該行動判定装置は、外部機器と通信を行うインタフェイスを備えてもよい。
また、水平方向の角速度と鉛直方向の角速度とを取得する角速度取得手段を備え、前記行動判別手段は、前記角速度取得手段が取得した角速度を、ユーザの活動状態の類別の処理に反映させてもよい。
また、前記行動判別手段は、前記角速度取得手段が取得した角速度の変動係数をユーザの活動状態の類別の処理に反映させてもよい。
本発明に係る方法は、行動判定方法に関する。この方法は、水平方向の加速度と、鉛直方向の加速度を取得する加速度取得工程と、前記水平方向及び前記鉛直方向の各加速度をもとにユーザの活動状態を類別する行動判別工程と、を備える。
また、前記行動判別工程は、ユーザの活動状態を類別するために、前記水平方向の加速度と前記鉛直方向の加速度との大きさの比を参照してもよい。
また、当該行動判定方法は、前記類別したユーザの活動状態をもとに、ユーザの消費エネルギを算出する活動量算出工程を備えてもよい。
また、当該行動判定方法は、前記類別された活動状態の構成比と、年齢と活動状態とが関連づけられた第1の基準構成パターンとを比較してユーザの活動年齢を推定する活動年齢算出工程を備えてもよい。
また、当該行動判定方法は、前記類別された活動状態の構成比と、体型と活動状態とが関連づけられた第2の基準構成パターンと比較してユーザの肥満活動指数を算出する肥満活動指数算出工程を備えてもよい。
また、水平方向の角速度と鉛直方向の角速度とを取得する角速度取得工程を備え、前記行動判別工程は、ユーザの活動状態の類別の処理に、前記角速度取得工程において取得した角速度を反映させてもよい。
また、前記行動判別工程は、前記角速度取得工程において取得した角速度の変動係数をユーザの活動状態の類別の処理に反映させてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、活動の種類を類別して活動量を計測できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る、行動判定計の概略外観を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る、行動判定計の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】身体活動レベル別に見た活動内容と活動時間の代表的な例を示したテーブルである。
【図4】第1の実施形態に係る、肥満活動指数と身体活動レベルの関係を示したテーブルの例である。
【図5】第1の実施形態に係る、行動判定計の表示部に表示される活動状態の構成比、身体活動レベル、及び肥満活動指数の表示例を示した図である。
【図6】第1の実施形態に係る、ユーザの消費エネルギをグラフにして表示させた例を示している。
【図7】第1の実施形態に係る、行動判定計における加速度の計測及び動作の判定処理を示したフローチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る、ユーザに対して活動状態の履歴を表示する動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る、行動判定計と連携して機能する管理用コンピュータやアプリケーションサーバ及び体組成計が接続された状態を示した図である。
【図10】第3の実施形態に係る、5種類の活動状態における加速度センサと角速度センサの計測結果を時系列に示した図である。
【図11】第3の実施形態に係る、歩行時及び走行時に進行ピッチと加速度センサの出力の計測例を示した図である。
【図12】第3の実施形態に係る、歩行時及び走行時における推定消費エネルギと実測消費エネルギの関係を示したグラフである。
【図13】第3の実施形態に係る、デスクワークと座位(安静)の測定結果を時系列連続して示した図である。
【図14】第3の実施形態に係る、行動判定計の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図15】第3の実施形態に係る、行動判定計における加速度の計測及び動作の判定処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る行動判定計10の概略外観を示す図である。図1(a)は、表示部15に何も表示されていない状態を示しており、図1(b)〜(d)は、後述する判定結果を表示した状態を示している。また、図2は、行動判定計10の概略構成を示す機能ブロック図である。行動判定計10は、3軸方向の加速度を測定できる加速度センサ20(3軸加速時計)を備えており、この加速度センサ20を用いることによって、水平方向の加速度と鉛直方向の加速度を測定し、測定結果をもとにユーザの活動の種類を類別し、活動量の推定精度を向上させる。
【0013】
特に、本実施形態では、水平方向の加速度の大きさと鉛直方向の加速度の大きさの比(「水平/鉛直成分比」という。)を算出することにより、ユーザの行動状態(「活動状態」ともいう)を、「座位」「立位」「歩行」「運動」「家事活動」の5種類に類別する。具体的な類別処理については後述するが、まず、行動判定計10は、加速度の大きさが第1の所定値より小さいときに比較的低い強度の活動状態と判断し、さらに水平/鉛直成分比をもとに活動状態を「座位」または「立位」に類別する。つづいて、加速度の大きさが第1の所定値と第2の所定値の間にあるときに、行動判定計10は、中程度の強度の活動状態であると判断し、さらに水平/鉛直成分比をもとに活動状態が「家事活動」または「歩行」に類別する。さらにまた、加速度の大きさが第2の所定値より大きいときには、行動判定計10は活動状態を「運動」に類別する。なお、類別の種類については、上記の5種類に限る趣旨ではない。
【0014】
そして、上述の行動状態の類別結果をもとに、1日の総消費エネルギや、行動の種類毎の活動時間、各行動による時間内訳を表示する。また、加齢に伴い身体活動の質的な変化が生じることから(恒吉ら、日本体力医学会2004)、各年代の標準的な行動パターンと比較して、活動年齢を算出しユーザに提示する。さらに、肥満者と非肥満者とでは1日の行動パターンに占める座位及び立位の各姿勢状態の割合が異なることから、座位、立位、家事活動、歩行といった行動を判別して、ユーザの行動パターンが肥満体型の人の行動パターンに対してどの程度近似しているかを肥満活動指数として提示する。
【0015】
ここで肥満活動指数について説明する。肥満活動指数は、身体活動レベル(1日総消費エネルギ量/基礎代謝;PAL)に応じて算出する。図3は、「個人の身体活動レベル」別に見た活動内容と活動時間の代表的な例を示したテーブルである。このテーブルは、年齢が15〜69歳のケースの平均的なデータを示している。「個々の活動の分類」については、5種類に分類しており、各分類中の括弧内の数字は、睡眠状態の基礎代謝を「1」としたときの、各分類における代謝値を示している。そして、各活動の分類の時間が、3種類の個人の身体活動レベル別について示されている。例えば、「個人の身体活動レベル」が「普通(II)」の場合、日常生活の内容として、「座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む」活動である旨を示している。さらに、普通(II)の場合の「個々の活動」の分類について例示すると、「睡眠時間」(PAL=1.0)が7〜8時間、「長時間持続可能な運動・労働など中強度の活動(普通歩行を含む)」(PAL=4.5:3.0〜5.9)が2時間である旨を示している。そして、「個々の活動の分類」における代謝値とそれら各分類の時間との関係から「個人の身体活動レベル」が「低い(I)」「普通(II)」「高い(III)」に分類され、各PAL値は、1日の平均値として、それぞれ1.50(1.40〜1.60)、1.75(1.60〜1.90)、2.00(1.90〜2.20)となっている。
【0016】
そして、ユーザの各行動(座位、立位、家事活動、運動など)の時間とそれぞれの行動の代謝値から身体活動レベルを算出し、算出結果より肥満活動指数を10段階で算定する。肥満活動指数は大きいほど肥満体型の人のパターンを示し、肥満になりやすいことを示している。図4は、肥満活動指数と身体活動レベルの関係を示したテーブルの例である。図示のような基準に基づいて、肥満活動指数が算出される。例えば、身体活動レベルが「1.75」の場合、肥満活動指数は3になり、身体活動レベルが「1.25」の場合、肥満活動指数は「8」になる。また、図5(a)及び(b)は、活動状態の構成比、身体活動レベル、及び肥満活動指数の表示例を示しており、ここでは、(a)が身体活動レベル「1.75」であり(b)が身体活動レベル「1.25」である。なお、図5や後述の図6においては、睡眠状態については表示していないが、当然に、睡眠状態について表示されてもよい。また、「歩行」と「立位」が一緒になっているが、当然個々に表示されてもよい。
【0017】
図2の説明に戻り、行動判定計10の詳細について説明する。行動判定計10は、主制御部11と、演算部12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、入出力インタフェイス16と、加速度センサ20と、判定部30と、を備えて構成されている。ここで、主制御部11は、行動判定計10の各構成要素を統括的に制御する。操作部14は、ボタンなどのユーザインタフェイスであって、ユーザによる操作を受け付ける。操作部14による操作を受けると、主制御部11が各構成要素と協働して後述する各種の処理を実行する。表示部15は、液晶パネル等の表示手段であり、図1(b)〜(d)のように測定結果や判定内容を表示する。図1(b)は、5種類の活動について、当日の活動時間(分)、消費エネルギ(kcal)が表示されている。また、図1(c)には、ユーザの活動年齢が示されており、図示では「45歳」と判定された旨が表示されている。図1(d)には、肥満活動指数が「7」と判定された旨が表示されている。また、図6(a)及び(b)は、ユーザの消費エネルギをグラフにして表示させた例を示している。図6(a)は、1日の総消費エネルギの割合(構成比)を示しており、また、図6(b)は1日の総消費エネルギの割合の推移を示している。どのような表示態様をとるかは、行動判定計10の演算部12や記憶部13、表示部15等の処理能力に応じて適宜選択されればよい。
【0018】
入出力インタフェイス16は、パーソナルコンピュータや携帯電話等の外部機器と通信接続する。この通信接続は、有線無線を問わず、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェイスによる接続であったり、赤外線通信による接続であったり、ブルートゥース(登録商標)による接続であってもよい。なお、行動判定計10が、外部機器と連携しない場合は、入出力インタフェイス16は不要となる。外部機器と連携する構成及び動作については、第2の実施形態で後述する。
【0019】
加速度センサ20は、X軸加速度センサ21、Y軸加速度センサ22、Z軸加速度センサ23を備え3軸加速度計を構成しており、3軸方向の加速度を所定のサンプリング周期で計測する。なお、本実施形態では、水平方向と鉛直方向の各加速度を利用する。そして、水平方向の加速度は、加速度センサ20において算出されて主制御部11に出力されてもよいし、主制御部11を介して出力された加速度センサ20のデータをもとに演算部12が算出してもよい。本実施形態では、演算部12が水平方向の加速度を算出するものとする。また、測定結果は、加速度センサ20においてデジタル変換され、必要に応じて増幅処理がなされ主制御部11に出力される。
【0020】
演算部12は、CPU(中央演算装置)等のLSI(大規模集積回路)で構成され、水平方向及び鉛直方向の各加速度の大きさと、それらの加速度の大きさから合成加速度の大きさを算出する。以下、便宜的に、水平方向の加速度の大きさを「水平成分加速度Ah」といい、鉛直方向の加速度の大きさを「鉛直成分加速度Av」という。なお、本実施形態では、加速度センサ20の各サンプリングの出力値が所定の閾値を超えたときに、上下方向または水平方向へのユーザの動きがなされたと判断し、鉛直成分加速度Avまたは水平成分加速度Ahとして1カウントだけインクリメントする。つまり、鉛直成分加速度Avまたは水平成分加速度Ahの大きさを、カウント値によって代表している。また、所定の閾値は、加速度センサ20の仕様により異なり、適宜設定すればよい。当然に、CPU等の処理負荷やコスト、消費電力に関して所望の性能・仕様を実現できるようであれば、加速度センサ20の各サンプリングの出力値に応じた加速度値が算出されて利用されてもよい。
【0021】
さらに、記憶部13は、ROMやRAM等のメモリであり、演算部12の算出処理のために、所定期間だけ加速度センサ20の計測結果を保持する機能と、後述の判定部30による判定結果を蓄積する。また、記憶部13は、図3に示したような、各種判定の基準となる基準データを保持する。図3では、年齢が15〜69歳のユーザを対象とした、身体活動レベルが3種類のテーブルであった。基準データとして、このテーブルを全年代、全体型、男女とも共通に使用されてもよいし、さらに、年代別パターン、体型別パターン(肥満者パターン、標準体型者パターン等)に細分化された基準データが使用されてもよい。その場合、行動判定計10の使用開始のときに、ユーザが自己の年齢、体型、性別を入力して設定する構成とする。
【0022】
判定部30は、CPU等のLSIやメモリ、任意のプログラムにより実現され、行動判別部31と、活動年齢算出部32と、肥満活動指数算出部33と、活動量算出部34とを備えている。行動判別部31は、記憶部13に記憶されている水平成分加速度Ahや鉛直成分加速度Avの所定期間(例えば、直前の10秒)のデータをもとに、3軸合成加速度Atotalと、水平/鉛直成分比Ah/Avを算出し、算出結果から後述の図7のフローチャートに従い、ユーザの活動を「座位」「立位」「歩行」「運動」「家事活動」の5種類に類別し、記憶部13に記憶し判定履歴データとして蓄積する。
【0023】
活動量算出部34は、記憶部13に蓄積されているユーザの活動の状況をもとに、活動の種類毎の所定期間の積算時間、活動の種類の割合、消費エネルギを算出する。算出結果は、図1(b)に示したように必要に応じて表示部15に表示される。消費エネルギは、総消費エネルギだけでなく、各活動のエネルギも算出される。さらに、実際の積算時間における消費エネルギだけでなく、1日の推定消費エネルギが算出されてもよい。また、活動量算出部34は、1日毎に、上述の活動の種類の割合、消費エネルギを算出結果を消費エネルギ履歴データとして記憶部13に蓄積する。
【0024】
活動年齢算出部32は、記憶部13に蓄積されている消費エネルギ履歴と基準データを比較して、ユーザの行動がどの年代の行動パターンに相当するかを算定する。この算定は、例えば、ユーザの指示に基づいてなされ、算定結果は、図1(c)に示したように表示部15に表示される。
【0025】
肥満活動指数算出部33は、記憶部13に蓄積されている消費エネルギ履歴と基準データをもとに、ユーザの行動パターンが肥満者パターンに対してどの程度近いパターンであるかを肥満活動指数として算定する。算定結果は、図1(d)に示したように表示部15に表示される。
【0026】
以上の構成による、行動判定計10の動作について図7及び図8のフローチャートをもとに説明する。図7は、行動判定計10における加速度の計測及び動作の判定処理を示している。行動判定計10がオンの状態において、主制御部11は、加速度センサ20(X軸加速度センサ21、Y軸加速度センサ22、Z軸加速度センサ23)の計測したデータを読み込み、記憶部13に保持する(S10)。
【0027】
つづいて、演算部12が、所定の期間の計測データに基づいて水平成分加速度Ah、鉛直成分加速度Av、3軸合成加速度Atotalを算出する(S12)。そして、行動判別部31が、その算出結果をもとに、3軸合成加速度Atotalが100カウント未満であるか否かを判断する(S14)。3軸合成加速度Atotalが100カウント未満の場合(S14のY)、行動判別部31は、比較的軽度の活動状態であると判断し、さらに、水平/鉛直成分比Ah/Avを算出し、その値が1未満であるか否かを判断する(S16)。水平/鉛直成分比Ah/Avが1未満である場合(S16のY)、ユーザの活動において上下動が少ないことを示しており、行動判別部31は、ユーザの活動状態が「座位」の状態にあると判定する(S18)。また、水平/鉛直成分比Ah/Avが1以上である場合(S16のN)、ユーザの活動状態が「立位」の状態にあると判断する(S20)。
【0028】
S14のステップにおいて、3軸合成加速度Atotalが100カウント以上であると判断された場合(S14のN)、行動判別部31は、3軸合成加速度Atotalが200未満であるか否かを判断する(S22)。3軸合成加速度Atotalが200カウント以上である場合(S22のN)、行動判別部31は、ユーザの活動状態がランニングなどの「運動」の状態であると判断する(S24)。3軸合成加速度Atotalが200カウント未満である場合(S22のY)、行動判別部31は、水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であるか否かを判断する(S26)。水平/鉛直成分比Ah/Avが5以上の場合(S26のN)、行動判別部31は、ユーザの活動状態が「家事活動」の状態であると判断する(S28)。また、水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満の場合(S26のY)、行動判別部31はユーザの活動状態が「歩行」であると判断する(S30)。
【0029】
そしてS18、S20、S24、S28、S30の処理において判定結果が出ると、行動判別部31の判定結果を、日付及び時刻情報に関連づけて記憶部13に判定履歴データとして記憶し蓄積する(S32)。
【0030】
図8は、ユーザに対して活動状態の履歴を表示する動作を示すフローチャートである。まず、行動判定計10の主制御部11が、表示のための操作指示を操作部14によりユーザから取得する(S50)。
【0031】
すると、活動量算出部34が記憶部13に蓄積されている判定履歴データをもとに、各活動の消費エネルギの算出、各活動の累積時間、活動時間の種類別構成比を算出する(S52)。なお、前日に前述の算出の処理がなされていない場合、例えば、行動判定計10がオンしたときに、活動量算出部34が算出して記憶部13に記録し蓄積してもよい。
【0032】
つぎに、活動量算出部34は、記憶部13に記憶されている、各種の活動パターン(年代別パターンや肥満者パターン)を読み込む(S54)。
【0033】
つづいて、活動年齢算出部32は、算出された各活動の消費エネルギの算出し、各活動の累積時間と、活動時間の種類別構成比と、記憶部13から読み込んだ年代別パターンとを比較して、ユーザの活動状態がどの年代のパターンに近いかを判断し、ユーザの活動年齢として算出する(S56)。
【0034】
さらに、肥満活動指数算出部33が、肥満者パターンと比較して、ユーザの活動状態が、肥満者の活動パターンにどの程度近いかを肥満活動指数として算出する(S58)。なお、上述の通り、行動判別部31における判定結果は時刻情報を含んでいる。活動年齢の算出や肥満活動指数の算出の際に、判定結果がない時刻については、ユーザの行動の種別を推定する処理がなされてもよい。例えば、ユーザが睡眠していると想定される時刻のデータとして、身体活動レベルの値として「PAL=1」が使用されてもよい。
【0035】
そして、活動年齢算出部32及び肥満活動指数算出部33による算出処理が終了すると、主制御部11は、図1(b)〜(d)や図5等に示したように算出結果を表示部15に表示するとともに(S60)、算出結果を記憶部13に記憶する(S62)。表示可能な算出結果は、上述したように、算出された各活動の消費エネルギの算出、各活動の累積時間、活動時間の種類別構成比、活動年齢、肥満活動指数であり、それぞれ、算出結果が単独で表示されてもよいし、全ての項目が1度に表示されてもよい。さらに、典型的なパターン(標準的パターンや肥満パターン、目標とすべきパターンなど)とともに表示されてもよい。
【0036】
以上、本実施形態のような構成及び動作の行動判定計10によると、ユーザの活動状態がより正確に把握することができる。さらに、ユーザに対して、ユーザの活動状態が、どのようなパターンに属するかを提示することができる。これによって、ユーザは、自分の活動状態を的確に把握することができる。
【0037】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、行動判定計10が単独で機能する状態について説明した。本実施形態では、行動判定計10の測定結果を、パーソナルコンピュータやネットワーク上のアプリケーション上、さらに、体組成計で利用するケースについて説明する。
【0038】
図9は、行動判定計10と連携して機能する管理用コンピュータ50やアプリケーションサーバ40及び体組成計70が接続された状態を示した図である。行動判定計10は、計測データを管理用コンピュータ50やアプリケーションサーバ40、体組成計70に送信する。そして、ユーザは、管理用コンピュータ50やアプリケーションサーバ40、体組成計70がそれぞれ備える所定の健康管理用アプリケーションを起動して、第1の実施形態で行動判定計10が実現した機能と同様の機能を利用する。
【0039】
まず、管理用コンピュータ50と行動判定計10の連携について説明する。行動判定計10の構成は、第1の実施形態と同様である。そして、入出力インタフェイス16は、USBインタフェイスを備えており、USB規格に基づいて外部機器と通信可能になっている。
【0040】
一方、管理用コンピュータ50は、主制御部51と、行動判定管理部52と、データ蓄積部53と、モデル記憶部54と、表示部55と、入出力インタフェイス56とを備えている。主制御部51は、管理用コンピュータ50を統括的に制御する。行動判定管理部52は、データ蓄積部53と、モデル記憶部54とともに、行動判定計10と同様の機能を実行する。
【0041】
まず、ユーザは、行動判定計10と管理用コンピュータ50とを通信可能な状態に設定する。より具体的には、行動判定計10及び管理用コンピュータ50の各入出力インタフェイス16、56は、例えば、USBインタフェイスを備えており、USBインタフェイスを備えており、USB規格による通信が可能となっている。
【0042】
行動判定管理部52は、行動判定計10から判定履歴データを取得し、データ蓄積部53に蓄積する。このとき、判定履歴データは、行動判定計10の個体識別をする認証コードに関連づけて記憶されてもよい。そして、同じ認証コードのデータが、データ蓄積部53において蓄積されているデータに付加される。このとき、データ蓄積部53に複数の行動判定計10のデータが存在する場合、ユーザから指定を受けてもよいし、認証コードと一致するデータが更新されるようになっていてもよいし、両方の認証処理がなされてもよい。
【0043】
そして、管理用コンピュータ50ではユーザの操作を受けて、行動判定管理部52が判定履歴データをもとに、総消費エネルギと各活動のエネルギを算出する。算出結果は、上述の活動の種類の割合、消費エネルギを算出結果を消費エネルギ履歴データとしてデータ蓄積部53に蓄積する。
【0044】
つづいて、行動判定管理部52は、ユーザの操作を受けて、第1の実施形態で示したように、各活動の消費エネルギの算出、各活動の累積時間、活動時間の種類別構成比を算出し、さらに、活動年齢、肥満活動指数を算出する。そして、算出結果は、表示部55に表示される。
【0045】
なお、行動判定計10が、加速度センサ20の計測データを蓄積する構成の場合、行動判定管理部52は、その計測データを取得してデータ蓄積部53に記録してもよい。そして、データ蓄積部53は、その計測データをもとに、ユーザの活動を「座位」「立位」「歩行」「運動」「家事活動」の5種類に類別し、上述同様に、各活動の消費エネルギの算出、各活動の累積時間、活動時間の種類別構成比を算出し、さらに、活動年齢、肥満活動指数を算出する。そして、モデル記憶部54は、各種パターン(標準的パターンや肥満パターン、年代別パターン)などについて、行動判定計10よりも多くのパターンを備えており、行動判定管理部52は、ユーザの体型、年齢、性別などを考慮にして、比較対象となる基準パターンの選択可能としてもよい。
【0046】
そして、表示部55に各算出結果を表示するときに、グラフィック表示や、基準となるモデルを並列にして表示すれば、より、ユーザ自身の活動状態の把握が容易となる。また、行動判定管理部52は、上記機能の他に、例えば、行動判定計10から取得したデータの修正を可能としてもよい。例えば、ユーザは、激しい運動をする場合や水泳をする場合などにおいて行動判定計10を外すときもある。そこで、行動判定管理部52が、活動の種類を時系列で表示し、期間と行動の種別の修正を受け付ける。このような機能を備えるようにすることで、ユーザの活動量の算出精度が向上できる。
【0047】
さらに、図9に示すように、管理用コンピュータ50は、ネットワーク回線90を介して所定のアプリケーションサーバ40と接続される場合、アプリケーションサーバ40は、例えば、ユーザデータ管理部41と、ユーザデータ入出力部42と、モデル記憶部43と、ユーザデータ蓄積部44とを備える。
【0048】
ユーザデータ管理部41は、管理用コンピュータ50からの接続を制御し、管理用コンピュータ50からのリクエスト指示に基づいて処理を実行する。ユーザデータ入出力部42は、管理用コンピュータ50の認証処理やデータの入出力制御を行う。モデル記憶部43は、各種パターン(標準的パターンや肥満パターン、年代別パターン)を記憶しており、管理用コンピュータ50へ送信可能となっている。また、ユーザデータ蓄積部44には、管理用コンピュータ50を介して、または行動判定計10から直接に、多くのユーザからデータを取得し、蓄積する。このような構成の場合、ユーザはネットワーク上で自身の活動量を管理できる。
【0049】
例えば、行動判定計10の機能が、携帯電話などに搭載される場合を想定する。近年、携帯電話には、モーションセンサなどの3次元センサ(3軸加速時計)が搭載される製品がある。このような場合、活動量を算出するアプリケーションを搭載することで、携帯電話を行動判定計10として機能させることができる。さらに、携帯電話の通信機能を利用して、アプリケーションサーバ40に接続し、ユーザの活動量の管理、アプリケーションのバージョンアップが容易にできる。また、所定時間までの肥満活動指数を算出し、行動判定計10が携帯電話の機能を利用して、例えば、肥満活動指数が高い場合に携帯電話の小型ディスプレイの色を赤色に表示させたりしてもよい。これによって、ユーザに運動を促すことができる。
【0050】
また、行動判定計10と体組成計70とが連携可能な構成の場合、体組成計70は、行動判定計10の計測結果または判定結果を取得し、体組成計70が計測した体重や体脂肪率、筋肉量とともに一括して管理することで、ユーザの身体健康管理がより効果的に実行できる。さらに、体組成計70が管理用コンピュータ50やアプリケーションサーバ40と連携可能であれば、ユーザの身体健康管理がより一層詳細にかつ効果的に行える。また、行動判定計10と他の装置(アプリケーションサーバ40、管理用コンピュータ50、体組成計70)との各種データの授受に、記憶領域を備える認証用キー装置が使用されてもよい。
【0051】
<第3の実施形態>
本実施形態では、上記の実施形態の判別精度を向上させるために、行動判定計110に新たに図14で後述の角速度センサ(2軸ジャイロスコープ)25を追加し、加速度センサ20の計測データの他に、角速度センサ25の計測データを利用して、ユーザの行動を判別する。具体的には、上記では図7のフローチャートに従いユーザの活動を5種類に類別したが、本実施形態は、「家事活動」をさらに2種類に分けて判別して、最終的に「座位」「立位」「運動」「歩行」「日常活動動作」「デスクワーク」の6種類にユーザの活動を類別する。
【0052】
まず、「家事活動」を「日常活動動作」と「デスクワーク」とに類別する手法について説明する。ここでは、(1)座位と立位、(2)歩行と走行、(3)歩行と家事活動(掃除機かけ)、(4)座位とデスクワーク、の4種類の違いについて検証したので説明する。図10に、5種類の状態について加速度センサ20と角速度センサ25の計測結果を時系列に示す。図10(a)は「座位」、図10(b)は「立位」、図10(c)は「座位(椅子にもたれた状態)」、図10(d)に「歩行」、図10(e)に「家事活動(掃除機かけ)」の条件のデータを示している。なお、計測におけるサンプリング周波数は32Hz、行動判定計110は、左胸に固定した。なお、前後方向の加速度を「acc−x」、鉛直方向の加速度を「acc−z」、左右方向の加速度を「acc−y」で示している。また、水平方向の角速度を「jya−x」、鉛直方向の角速度を「jya−z」で示している。
【0053】
(1)座位と立位の違いについて
人は、一般に、安静座位の時は安静立位と比較して前傾になる傾向があり、下向きにかかる重力加速度が鉛直方向(acc−z)と前方向(acc−x)に分解される(図10(a)及び(b)参照)。また、座位の場合椅子などにもたれると、下向きの重力加速度は、詳細に見ると鉛直方向(acc−z)と後方向(acc−x)に分解される(図10(c)参照)。以上のことから、前後方向加速度(acc−x)と鉛直方向加速度(acc−z)との比により座位と立位が判別可能であることが確認できた。なお、FFT解析を用いた揺らぎの観点で判別する手法もあるが、前後方向加速度(acc−x)と鉛直方向加速度(acc−z)との比を用いる手法と比べ、判別精度に改善の余地がある。
【0054】
(2)歩行と走行の違いについて
同速度で歩行・走行を行うとピッチ及び振幅の変動が見られる。図11に示すように、同速度・同ピッチで歩行及び走行を行ったところ、走行のときに振幅が大きくなることが確認できた。このことから、ピッチと振幅の積を用いることで、歩行と走行が判別できる。また、ピッチと振幅の積に身体情報である身長を掛けることにより、判別精度を向上させる可能性がある。一般に、歩行から走行に移行すると加速度値が劇的に増加してしまう。図12に歩行時及び走行時における推定消費エネルギと実測消費エネルギの関係を示している。ここで走行時における推定消費エネルギは、歩行時における推定消費エネルギの算出式を用いている。このように、走行時において、実測消費エネルギ量に対して、推定式が大幅に過大評価してしまうという課題がある。そこで歩行又は走行の判別を行ない、歩行と走行で別々の推定式又は補正式を用いることで、消費エネルギの算出精度を向上させることができる。
【0055】
(3)歩行と家事活動の違いについて
図10(d)及び(e)で示すように、図10(d)の歩行では周期的な加速度の変化及び角速度の変化を示すのに対し、図10(e)の掃除機かけ(家事活動)では非周期的な加速度の変化及び角速度の変化を示す。ここで、角速度の変動係数は歩行のとき0.044であり、掃除機かけ(家事活動)のとき0.149であった。したがって、加速度及び角速度の変動係数を用いることで、歩行と家事活動との判別を精度良く行うことができる。
【0056】
(4)座位とデスクワークの違いについて
図13に、デスクワークと座位(安静)の測定結果を時系列連続して示している。図示のように、デスクワークの状態では、非周期的な加速度変化及び角速度変化が見られるが、座位の状態では、非周期的な変化は見られない。なお、加速度変化に関しては、実際には微小であり、乗り物等の揺れを検出しないように設定される現在の閾値以下の値となるため、静止状態と判断されてしまうので、角速度の閾値を適切に設定することによりデスクワークと座位(安静)とを区別できる。
【0057】
以上の知見をもとに、「座位」「立位」「運動」「歩行」「日常活動動作」「デスクワーク」の6種類にユーザの活動を類別する行動判定計110および類別判断の処理について以下に説明する。
【0058】
図14は、本実施形態に係る行動判定計110の概略構成を示す機能ブロック図である。上述したように、この行動判定計110は、第1の実施形態の行動判定計10に、2軸の角速度センサ25を追加したものである。追加構成以外は同一であるので、同一構成及びその動作等については説明を省略する。
【0059】
角速度センサ25は、水平方向及び鉛直方向への各動きの角速度を計測する。より具体的には、角速度センサ25は、所定のサンプリング周期で主制御部11に出力する。そして、演算部12は主制御部11を介して角速度センサ25の出力を取得して、所定期間の変動係数を算出する。ここで便宜的に、x成分角速度の変動係数をx成分変動係数CVx、y成分角速度の変動係数をy成分変動係数CVyとする。
【0060】
つぎに、上記構成による類別判断処理について図15のフローチャートをもとに説明する。このフローチャートの処理は、図7のフローチャートにおいて、S10の処理でデータの読み込み対象として角速度センサ25の出力を追加し、S12の処理で変動係数CVx、CVyの算出を追加している。さらに、3軸合成加速度Atotalが200カウント未満である場合(S22のY)の処理(S26〜S30)を以下の説明のように置き換えたものである。したがって同一の処理については説明を適宜省略する。
【0061】
行動判定計10がオンの状態において、主制御部11は、加速度センサ20(X軸加速度センサ21、Y軸加速度センサ22、Z軸加速度センサ23)の計測データ及び角速度センサ25の計測データを読み込み、記憶部13に保持する(S10a)。
【0062】
つづいて、演算部12が、水平成分加速度Ah、鉛直成分加速度Av、3軸合成加速度Atotal、x成分変動係数CVx及びy成分変動係数CVyを算出する(S12a)。そして、S12aにつづいて、S14、S16、S18、S20、S22の処理がなされる。S22の処理で3軸合成加速度Atotalが200カウント以上の場合(S22のN)、S24の処理がなされる。
【0063】
つぎに、3軸合成加速度Atotalが200カウント未満である場合(S22のY)、本実施形態で特徴的な処理(S25a〜S29a)がなされる。具体的には、行動判別部31は、水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつ水平方向の角速度変動係数であるx成分変動係数CVxが1未満であるか否かを判断する(S25a)。水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつx成分変動係数CVxが1未満である場合(S25aのY)、行動判別部31は、ユーザの活動状態が「歩行」の状態にあると判断する(S26a)。
【0064】
水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつ鉛直方向の角速度変動係数であるx成分変動係数CVxが1未満である条件を満たさないとき(S25aのN)、行動判別部31は、水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつ鉛直方向の角速度変動係数であるy成分変動係数CVyが1以上であるか否かを判断する(S27a)。水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつy成分変動係数CVyが1以上である場合(S27aのY)、行動判別部31は、ユーザの活動状態が「デスクワーク」の状態にあると判断する(S28a)。水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつy成分変動係数CVyが1未満である条件を満たさないとき(S27aのN)、行動判別部31は、ユーザの活動状態が「日常生活動作」の状態にあると判断する(S29a)。
【0065】
そしてS18、S20、S24、S26a、S28a、S29aの処理において判定結果が出ると、行動判別部31の判定結果が、日付及び時刻情報に関連づけて記憶部13に判定履歴データとして記憶し蓄積される(S32)。
【0066】
なお、S25において、水平/鉛直成分比Ah/Avが5未満であり、かつy成分変動係数CVyが1未満である場合(S25aのY)に、そのまま直ぐに「歩行」の状態であると判断せずに、歩行速度及び歩行ピッチをもとに、「歩行」または「走行」の状態が類別されてもよい。歩行速度及び歩行ピッチは、加速度センサ20の計測結果より容易に算出が可能である。この場合、演算部12は、S12の処理において、歩行速度及び歩行ピッチを算出する。
【0067】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、各構成要素を機能ブロックとして説明したが、当然に、各構成要素の機能は、共通のCPUやメモリ等により、各機能の処理のプログラムを実行することにより発揮されてもよく、特に限定するものではないことは、当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0068】
10、110 行動判定計
11 主制御部
12 演算部
13 記憶部
14 操作部
15 表示部
16 入出力インタフェイス
20 加速度センサ
21 X軸加速度センサ
22 Y軸加速度センサ
23 Z軸加速度センサ
25 角速度センサ
30 判定部
31 行動判別部
32 活動年齢算出部
33 肥満活動指数算出部
34 活動量算出部
40 アプリケーションサーバ
41 ユーザデータ管理部
42 ユーザデータ入出力部
43 モデル記憶部
44 ユーザデータ蓄積部
50 管理用コンピュータ
51 主制御部
52 行動判定管理部
53 データ蓄積部
54 モデル記憶部
55 表示部
56 入出力インタフェイス
70 体組成計
90 ネットワーク回線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の加速度と、鉛直方向の加速度を取得する加速度取得手段と、
前記水平方向及び前記鉛直方向の各加速度をもとにユーザの活動状態を類別する行動判別手段と、
を備えることを特徴とする行動判定装置。
【請求項2】
前記加速度取得手段として、前記水平方向の加速度と前記鉛直方向の加速度を計測する3軸加速度センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の行動判定装置。
【請求項3】
前記加速度取得手段は、外部の加速度センサの計測結果を取得することを特徴とする請求項1に記載の行動判定装置。
【請求項4】
前記行動判別手段は、前記ユーザの活動状態を類別するときに、前記水平方向及び前記鉛直方向の加速度の大きさの比を参照することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項5】
前記類別したユーザの活動状態をもとに、ユーザの消費エネルギを算出する活動量算出手段を備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項6】
前記類別された活動状態の構成比と、年齢と活動状態とが関連づけられた第1の基準構成パターンとを比較してユーザの活動年齢を推定する活動年齢算出手段を備えることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項7】
前記類別された活動状態の構成比と、体型と活動状態とが関連づけられた第2の基準構成パターンと比較してユーザの肥満活動指数を算出する肥満活動指数算出手段を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項8】
外部機器と通信を行うインタフェイスを備える請求項1から7までのいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項9】
水平方向の加速度と、鉛直方向の加速度を取得する加速度取得工程と、
前記水平方向及び前記鉛直方向の各加速度をもとにユーザの活動状態を類別する行動判別工程と、
を備えることを特徴とする行動判定方法。
【請求項10】
前記行動判別工程は、ユーザの活動状態を類別するために、前記水平方向の加速度と前記鉛直方向の加速度との大きさの比を参照することを特徴とする請求項9に記載の行動判定方法。
【請求項11】
前記類別したユーザの活動状態をもとに、ユーザの消費エネルギを算出する活動量算出工程を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の行動判定方法。
【請求項12】
前記類別された活動状態の構成比と、年齢と活動状態とが関連づけられた第1の基準構成パターンとを比較してユーザの活動年齢を推定する活動年齢算出工程を備えることを特徴とする請求項9から11までのいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項13】
前記類別された活動状態の構成比と、体型と活動状態とが関連づけられた第2の基準構成パターンと比較してユーザの肥満活動指数を算出する肥満活動指数算出工程を備えることを特徴とする請求項9から12までのいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項14】
水平方向の角速度と鉛直方向の角速度とを取得する角速度取得手段を備え、
前記行動判別手段は、前記角速度取得手段が取得した角速度を、ユーザの活動状態の類別の処理に反映させることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項15】
前記行動判別手段は、前記角速度取得手段が取得した角速度の変動係数をユーザの活動状態の類別の処理に反映させることを特徴とする請求項14に記載の行動判定装置。
【請求項16】
水平方向の角速度と鉛直方向の角速度とを取得する角速度取得工程を備え、
前記行動判別工程は、ユーザの活動状態の類別の処理に、前記角速度取得工程において取得した角速度を反映させることを特徴とする請求項9から13までのいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項17】
前記行動判別工程は、前記角速度取得工程において取得した角速度の変動係数をユーザの活動状態の類別の処理に反映させることを特徴とする請求項16に記載の行動判定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−17525(P2010−17525A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35680(P2009−35680)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】