説明

衛生薄葉紙

【課題】薄さ、柔らかさを損なうことなく、不衛生であるとの問題を完全に解決した衛生薄葉紙とする。
【解決手段】衛生薄葉紙10を3層とする。そして、一方の外層11以外の層21を、液不透過性とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーやトイレットペーパー等の衛生薄葉紙に関するものである。より詳しくは、鼻水などのウィルスを含む液を処理する衛生薄葉紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の衛生薄葉紙には、鼻水などのウィルスを含む液が裏抜けして手などに付くことがあり、不衛生であるとの問題があった。もちろん、衛生薄葉紙を何重にも重ねれば、かかる裏抜けの問題は回避される。しかしながら、衛生薄葉紙を何重にも重ねるのは、不経済である。しかも、衛生薄葉紙を何重にも重ねると、薄さ、柔らかさが損なわれるため、せっかく薄さ、柔らかさに富むものとなった近年の衛生薄葉紙のメリットが、減殺されてしまう。
【0003】
そこで、薄さ、柔らかさを損なうことなく不衛生であるとの問題を解決した衛生薄葉紙として、抗ウィルス剤を含んだ衛生薄葉紙が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、現実には、この衛生薄葉紙においても、抗ウィルス剤の殺菌作用が発現する前に、鼻水などのウィルスを含む液が裏抜けしてしまうことがあるため、不衛生であるとの問題が完全に解決されているとはいえない。
【特許文献1】特表2003−512542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主たる課題は、薄さ、柔らかさを損なうことなく、不衛生であるとの問題を完全に解決した衛生薄葉紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
2層以上の多層とされた衛生薄葉紙であって、
一方の外層以外の少なくともいずれかの層が、液不透過性とされている、ことを特徴とする衛生薄葉紙。
【0007】
〔請求項2記載の発明〕
液不透過性の層は、10点法に基づく液不透過度が、0〜9点とされている、請求項1記載の衛生薄葉紙。
【0008】
〔請求項3記載の発明〕
液不透過性の層の、一方外層側の表面に、抗ウィルス剤が塗布されている、請求項1又は請求項2記載の衛生薄葉紙。
【0009】
〔請求項4記載の発明〕
液不透過性の層に、抗ウィルス剤が内添されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【0010】
〔請求項5記載の発明〕
液不透過性の層は、パルプ繊維を原料とし、サイズ剤を、パルプ絶乾質量に対する固形分質量比で0.02〜0.06%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【0011】
〔請求項6記載の発明〕
液不透過性の層は、複数の微孔が形成されており、この複数の微孔の開口径が、0.1〜40nmとされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【0012】
〔請求項7記載の発明〕
相互に重なり合う各層が、熱融着、超音波融着、粘着剤及びプライボンディングの少なくともいずれか1つの加工を施されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【0013】
〔請求項8記載の発明〕
ソフトネスが0.5〜3.0gとされ、かつKES肌触り指数が8〜15とされている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【発明の効果】
【0014】
本発明の衛生薄葉紙によると、薄さ、柔らかさが損なわれることなく、不衛生であるとの問題は、完全に解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
〔構造〕
図1〜4に示すように、本実施の形態の衛生薄葉紙10は、2層以上の多層となっている。ここで、注意を要するのは、本発明の「層」とは、いわゆる「プライ」を意味するものではない。つまり、本衛生薄葉紙10は、図示例のように、1プライであっても、図示はしないが、2プライ、3プライ、4プライ又はそれ以上の複数プライであってもよい。この際、各プライは、相互に重なり合う複数の層で構成されていても、各層単独で構成されていてもよい。
【0016】
ただし、図1に示すように、本衛生薄葉紙10は、一方の外層11以外の少なくともいずれかの層が、図示例では、中層21が、液不透過性となっている。これにより、一方の外層11に吸収(吸水)された鼻水などのウィルスを含む液Wの裏抜け(他方の外層12への抜け)が防止され、不衛生であるとの問題が解決される。この際、液不透過性の層が、何層あるかは特に限定されず、例えば、他方の外層12をも液不透過性とすることや、図2に示すように、中層21,21を2層以上の複数層とし、これらを全て液不透過性とすることもできる。また、図1及び図2の衛生薄葉紙10は、それぞれ3層又は4層となっているが、図3に示すように、2層とすることもできる。ただし、この図3の形態や、図1及び図2の他方の外層12を液不透過性とする形態では、一方の外層11側のみが使用面となってしまうため、図1及び図2に示すように、3層以上の多層とし、かつ両外層11,12を、ともに液透過性とする方がよい。なお、本明細書では、衛生薄葉紙10の両表面を構成する層を、外層11,12、この外層11,12に挟まれる層を全て中層21と表現している。
【0017】
本衛生薄葉紙10において、液不透過性の層(21)は、用途に応じて、例えば、ティシュペーパーであれば、少なくともティシュペーパーを手で保持している間において、鼻水が裏抜けしない程度に、液不透過性を有するものであれば足りる。具体的には、10点法に基づく液不透過度が、0〜9点となっているのが好ましく、0〜5点となっているのがより好ましく、0〜2点となっているのが特に好ましい。また、10点法に基づく液不透過度を、0〜2点とした場合は、図4に示すように、衛生薄葉紙10を使用後に丸めると、鼻水などのウィルスを含む液Wが包み込まれた状態で保持され続けることになるため、特に好ましいものとなる。
【0018】
ここで、10点法とは、液不透過性の程度を示すための評価方法である。この評価方法においては、まず、ろ紙を3枚重ね、その上に試験片、更にその上に図6に示す測定板40を置く。そして、測定板40の各穴41,41…に、水滴を充填し、2秒以内に3紙に吸収される数を数え、この数を点数として示す。なお、測定板40は、厚さが、8mmとなっており、また、各穴41,41…の直径は、10mmとなっている。
【0019】
本衛生薄葉紙10は、図1を例に説明すると、液不透過性の層21の一方外層11側表面11aに、抗ウィルス剤が塗布されていると、より好ましいものとなる。この形態によると、一方外層11に吸収され、透過した液Wが、表面11aに塗布された抗ウィルス剤と接した状態でとどまることになるため、抗ウィルス剤の死滅作用が効果的に発現することになる。ただし、本抗ウィルス剤は、表面11aに塗布しなければならないものではなく、液不透過性の層21に内添することもできる。例えば、10点法に基づく液不透過度が、7〜9点と、比較的に低い場合は、液Wの表面11aにとどまる時間が短くなるため、むしろ内添の方が、好ましいものとなる。
【0020】
抗ウィルス剤を塗布(外添)する方法は、特に限定されない。例えば、スプレー塗布、グラビア塗布、スロット塗布等を、例示することができる。また、抗ウィルス剤の塗布量も特に限定されない。例えば、塗布量を、片面あたり、絶乾質量で、5〜50質量%とすることができる。一方、抗ウィルス剤を内添する方法も、特に限定されない。例えば、マイクロカプセルを利用することなどができる。
【0021】
相互に重なり合う各層11,21,12は、熱融着、超音波融着、粘着剤及びプライボンディングの少なくともいずれか1つの加工を施すのが好ましい。本衛生薄葉紙10は、各層の組み合わせによって、効果を奏するものであるため、かかる加工を施し、各層を一体性あるものとすると、本発明の効果が確実に奏せられるようになる。
【0022】
ここで、本明細書において、プライボンディングとは、層同士を密着させる処理をいい、例えば、エンボスの付与、スリットの形成、接着等を例示することができる。
【0023】
本衛生薄葉紙10において、以上の加工をどの程度の強度で施すか(層同士がどの程度密着するように施すか)は、特に限定されない。例えば、強く施して、複数の層が1プライとなるようにしても、弱く施して、各層が1プライとなるようにしてもよい。
【0024】
本衛生薄葉紙10は、ソフトネスが0.5〜3.0gとされ、かつKES肌触り指数が8〜15とされているのが好ましい。この値を満たせば、衛生薄葉紙10は、十分な柔らかさとなる。
【0025】
ここで、ソフトネスとは、10cm巾の衛生薄葉紙を端子によって巾5.0mmの隙間に押し込んだときの抵抗値(縦横の平均値)であり、値が小さいほど、柔らかいことを意味する。本明細書でソフトネス は、ハンドルオメータ法(JIS L−1096 E法)によって測定した値をいう。ソフトネスは、例えば、坪量、層の数、層を形成する繊維・フィルム等の種類、融着加工条件などを変化させることにより、調節することができる。
【0026】
一方、KES肌触り指数とは、次に示す方法によって測定された値である。
すなわち、この測定においては、通常のMMD試験機、例えば、図7〜図9に示すように、カトーテック株式会社製の摩擦感テスター「KES SE」の基台上に人工皮革(サプラーレ:旭化成)を敷いて固定するとともに、測定端子を人工皮革(サプラーレ:旭化成)にて被覆し、その測定端子の測定面の人工皮革で被覆された部分(接触平面)にオリーブオイル(BOSCOエクストラバージンオイル:日清精油)4mgを均一に塗布し、MMDの測定手順と同様にして行なう。詳細には、人工皮革で構成される接触平面は、横断面直径0.5mmにピアノ線からなり、先端の曲率半径が0.25mmの単位膨出部が隣接して有し、全幅が10mmの連続した測定面を有し、その測定面の長さが10mmとされるほぼ10mm四方の測定面を有するMMD測定用端子を、前記人工皮革で被覆して形成することができる。人工皮革による前記端子の被覆は、10mm四方の接触平面が形成されるように端子の測定面に対して人工皮革がぴったりと接触するように、あるいは若干の張力をもたせてぴったりと被覆することにより達成できる。人工皮革を端子に固定するにあたっては、測定時、すなわち紙試料を移動させたときに人工皮革と内部の端子とがずれて人工皮革に接触平面に歪みなどが生じないようにしっかりと固定することが重要である。固定は例えば、前記接触平面が構成されるように前記端子を被覆したのち、接触平面を構成しない部位を輪ゴム等で装置の測定に影響が出ない部位、例えば端子の支持材等にしっかり固定する。また、MMD試験機の基台上には人工皮革を敷いて接着テープ等で固定する。このとき、測定時に歪まないように基台に人工皮革をしっかりと固定することが重要である。また、基台上に敷く人工皮革は、前記接触平面を構成する人工皮革と同じものを用いる。なお、紙試料は、10cm四方に裁断して用い、人工皮革を敷いた基台に固定する。測定に際しては、紙試料の上に試料押さえ用錘(約100g)で押さえる。また、試験機の測定端子への荷重を50gとして人工皮革で構成される接触平面全体が50gf/cm2の接触圧で紙試料に接触するようにするが、これは、MMD測定と同様に、円盤状の錘を端子上部に取り付けることで達成できる。もちろん、支持材の一方の端部(紙試料の移動方向と反対の端部)の固定の仕方はMMDの測定に準ずる。測定は、紙試料の縦方向について3回、横方向について3回の計6回を行い、測定値(KES肌触り指数)についてはその6回の平均値とする。
【0027】
このKES肌触り指数は、例えば、外層を形成する繊維の種類・繊維長・繊度等を変化させ、あるいは外層にグリセリンやシリコンなどを内添、外添することにより、調節することができる。
【0028】
本衛生薄葉紙10は、例えば、2枚重ねで一組(2プライ)のティシュペーパーとする場合、各シート(1枚)のJIS P 8124に基づく米坪(坪量)を、10〜13g/m2とするのが好ましく、11.9〜12.7g/m2とするのがより好ましい。坪量が、10g/m2未満であると、抄造が困難となる。他方、坪量が、13g/m2を超えると、柔らかさが低下し、使用感や収納箱からの引き出し性能が低下する。
【0029】
また、ティシュペーパーとする場合は、2枚重ね一組での紙厚が、90〜120μmであるのが好ましく、94〜112μmであるのがより好ましい。紙厚が薄すぎると、使用者が感じる紙薄感が顕著になり、また、吸水性に劣りティシュペーパーとしての機能が低下する。他方、紙厚が厚すぎると、所定枚数を収納箱に収めて製品としたときの引き出し性能に劣るようになる。
【0030】
〔原料等〕
本衛生薄葉紙10において、各層の原料は、特に限定されず、ティシュペーパー、トイレットペーパー等の用途に応じて、適宜の原料を使用することができる。原料として、パルプ繊維を使用する場合、このパルプ繊維(原料パルプ)としては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ、などから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0031】
ただし、液透過性の層は、セルロース、ヘミセルロース、親水性アセテートセルロース及び親水性不織布の少なくともいずれか1つが原料とされているのが好ましい。
【0032】
一方、液不透過性の層は、フィルム、撥水性不織布及びアセテートセルロースの少なくともいずれか1つが原料とされているのが好ましい。もっとも、液不透過性の層が、パルプ繊維を原料とする場合も、サイズ剤を、パルプ絶乾質量に対する固形分質量比で0.02〜0.06%含むと好ましいものとなり、0.03〜0.05%含むとより好ましいものとなる。サイズ剤の配合量が、0.02質量%未満であると、液の裏抜けを十分に低減することができなくなる。他方、サイズ剤の配合量が、0.06質量%を超えると、撥水性が強くなり過ぎるとの問題が生じる。
【0033】
サイズ剤としては、例えば、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、無水ステアリン酸等の中性サイズ剤、けん化天然ロジン、強化ロジン等の酸性サイズ剤などを、使用することができる。
【0034】
ところで、液不透過性の層が、例えば、フィルムなどを原料として形成されている場合、かかるフィルムには、微孔が形成されていなくてもよいが、衛生薄葉紙の柔らかさを追及するという観点からは、複数の微孔が形成されている方が、好ましい。この複数の微孔の開口径は、0.1〜40nmとされているのが好ましく、0.5〜30nmとされているのがより好ましく、10〜20nmとされているのが特に好ましい。開口が小さ過ぎると、衛生薄葉紙の柔らかさ増加効果が、十分なものとはならなくなる。他方、開口が大きすぎると、ウィルスが本液不透過性の層を抜けてしまうおそれがある。なお、ウィルスの大きさは、20〜250nm程度である。
【0035】
微孔の形成されていないフィルムは、例えば、疎水性の熱可塑性樹脂から形成することができる。他方、微孔の形成されたフィルム(多孔性フィルム)は、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等と、を溶融混練してフィルムを形成し、このフィルムを一軸又は二軸延伸して形成することができる。以上の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン等を使用することができる。また、このポリオレフィンとしては、例えば、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどから一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0036】
また、以上の不織布としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂単独からなる繊維や、これらの樹脂を二種以上用いてなる芯鞘型、サイドバイサイト型の構造を有する複合繊維で形成された不織布などを使用することができる。本不織布は、エアースルー法、メルトブローン法、ヒートシール法、スパンボンド法、サクションヒートボンド法等の一般的な製法によって製造されているのが好ましい。
【0037】
パルプ繊維等の原料は、例えば、公知の抄紙工程、具体的には、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等を経るなどして、1つの層とする。この抄紙に際しては、例えば、分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動変性剤、歩留まり向上剤などの適宜の薬品を添加することができる。
【0038】
本衛生薄葉紙10において、使用することができる抗ウィルス剤の種類は、特に限定されない。例えば、オシメン、カンフェン、リモネン、サビネン、ミルセン、テルピネン、ピネン、シメン等の植物抽出成分中に含まれるモノテルペン炭化水素類や、シトロネロール、ゲラニオール、イソプレゴール、リナロール、テルピネロール等のモノテルペンアルコール類、アネトール、カルバクロール、オイゲノール、チモール、パラクレゾール、カビコール等のフェノール類、t−アネトール、チャビコールメチルエーテル、サフロール等のフェノールエーテル類、アセトアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ゲラニアール、ペリルアルデヒド、パレラナール等のアルデヒド類、アセトフェノン、カンファー、ジャスモン、ノートカトン、メントン、フェンコン、カルボン、プレゴン等のケトン類、カリオレフィンオキサイド、シネオール、ビサボロールオキサイド等の酸化物類、カテキン、プロアントシアニディン、フラボン、フラバノン、アントシアニン、フェノール類、フラボノール等のフラボノイド類、などの薬効成分の中から、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。また、例えば、アスコルビン酸、カルボン酸、クエン酸等の有機酸や、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを使用することもできる。
【0039】
〔製造方法〕
次に、本衛生薄葉紙10の製造方法について、3層化する場合を例に、説明する。
本製造方法においては、図5に示すように、まず、リール31から液不透過性の中層21を繰り出す。この繰り出した中層21には、次いで、その一方又は両方の表面に、図示例では両方の表面に、抗ウィルス剤塗布手段35,36によって、抗ウィルス剤を塗布する。そして、抗ウィルス剤を塗布した中層21には、その両面にそれぞれ吸水性・液透過性を有する一方の外層11又は他方の外層12を重ねる。本製造例では、一方の外層11は、リール32から、他方の外層12は、リール33から、それぞれ繰り出して、中層21に重ねるようになっている。このようにして3層となった衛生薄葉紙10は、例えば、リール34に巻き上げて、適宜保管などすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ティシュペーパーやトイレットペーパー等の衛生薄葉紙として、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】衛生薄葉紙の断面模式図である(3層)。
【図2】衛生薄葉紙の断面模式図である(4層)。
【図3】衛生薄葉紙の断面模式図である(2層)。
【図4】衛生薄葉紙の断面模式図である(廃棄時)。
【図5】衛生薄葉紙の製造フローを示す図である。
【図6】測定板の斜視図である。
【図7】KES肌触り指数の測定方法を説明するための図である。
【図8】KES肌触り指数の測定方法を説明するための図である。
【図9】KES肌触り指数の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
10…衛生薄葉紙、11,12…外層、21…中層、W…液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層以上の多層とされた衛生薄葉紙であって、
一方の外層以外の少なくともいずれかの層が、液不透過性とされている、ことを特徴とする衛生薄葉紙。
【請求項2】
液不透過性の層は、10点法に基づく液不透過度が、0〜9点とされている、請求項1記載の衛生薄葉紙。
【請求項3】
液不透過性の層の、一方外層側の表面に、抗ウィルス剤が塗布されている、請求項1又は請求項2記載の衛生薄葉紙。
【請求項4】
液不透過性の層に、抗ウィルス剤が内添されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【請求項5】
液不透過性の層は、パルプ繊維を原料とし、サイズ剤を、パルプ絶乾質量に対する固形分質量比で0.02〜0.06%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【請求項6】
液不透過性の層は、複数の微孔が形成されており、この複数の微孔の開口径が、0.1〜40nmとされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【請求項7】
相互に重なり合う各層が、熱融着、超音波融着、粘着剤及びプライボンディングの少なくともいずれか1つの加工を施されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
【請求項8】
ソフトネスが0.5〜3.0gとされ、かつKES肌触り指数が8〜15とされている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−68296(P2006−68296A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255511(P2004−255511)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】