説明

衝撃緩衝型単動エアシリンダ及びそれを用いたテープフィーダ

【課題】衝撃緩衝型単動エアシリンダ及びそれを用いたテープフィーダを提供する。
【解決手段】単動シリンダは複動シリンダのロッド側高圧給気パイプ(単動シリンダの空気抜き孔51)を密閉してロッド側のシリンダ室47の内部を外気から遮断された気密室に構成する。通常の単動シリンダの形状と比べると、伸長したロッド部28を退縮状態に戻すための螺旋バネをロッド側のシリンダ室47から除去した形状となっている。部品搭載装置側の高圧空気供給口に通じる電磁弁が一定時間開くと、高圧空気導入パイプ43を介してロッド反対側のシリンダ室46に高圧空気が供給され、ピストン44がストロークエンドへ急速に移行を開始するが、ストロークエンドでは気密室(シリンダ室47)の空気圧が上昇し、ピストン44は圧縮された空気圧の抵抗により速度がゼロとなって停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衝撃緩衝型単動エアシリンダ及びそれを用いたテープフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ状電子部品(以下、単に部品という)を保持して、この部品を部品搭載装置に供給するテープ式部品供給装置(以下、単にテープフィーダという)がある。
このテープフィーダは、通常、その後端部にテープリールを着脱自在に装着しており、そのテープリールには部品を満載した部品テープが巻着されている。
【0003】
部品テープは、本体テープとこの本体テープに側端部を貼り合わせられたトップカバーテープ(以下、トップテープという)の二種類のテープ部材から成る。
本体テープは、多数の凹部を長手方向に沿って一定間隔で備えており、その凹部に部品を収容している。トップテープは、本体テープの部品を収容した凹部の開口部を上から押さえ込むように貼り合わせられており、これにより、部品が凹部から脱落しないようにしている。
【0004】
部品テープの一方の側端部には、スプロケットの歯が係合する孔が例えば4mm間隔で形成されている。スプロケットは、例えばシリンダ機構によるカム操作とラチェットの作用により、所定のタイミングとテープ送り速度で、部品テープをテープリールから引き出して部品供給口への送り出す。
【0005】
部品供給口では本体テープからトップテープが剥離され、凹部内で外部に露出した部品が部品搭載装置の吸着ノズルに供給される。このときトップテープを剥離された本体テープから部品が逸脱して外部にこぼれ落ちることのないように、通常、部品供給口には、部品吸着の直前まで部品供給口を閉鎖し吸着時に開口するシャッタ部材が配設されている。
【0006】
上記のシリンダ機構によるカム操作と複数の連結部材とラチェットの作用によりスプロケットを回転駆動すると同時にシャッタ部材を開閉駆動する構成は比較的古くから存在する。
【0007】
そして、シリンダ機構によるカム操作と複数の連結部材の中に摺動部分があることから生じる磨耗による短寿命化の欠点を解消するために、連結部材を4点から6点に増やす構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
ところで、上記特許文献1の示す改善案は良いとしても、同文献の段落0028に見られる「次に図7(c) はシリンダ21のロッド21aを没入させ、スプリング31の付勢力によってリンク部材32が元の位置に復帰する状態を示している」との記載から判るように、ここで使用されているシリンダ機構は単動エアシリンダである。
【0008】
図4(a),(b) は、そのような従来の単動エアシリンダの内部構成を示す断面図である。同図(a) はピストン1がシリンダ2のロッド反対側シリンダ室3の終端に突き当たってロッド部4が全退縮したときの状態を示しており、同図(b) はピストン1がストロークエンド(ロッド部伸長時の終点)で内部バネ5を介してシリンダ2のロッド側シリンダ室6の終端に突き当たってロッド部4が全伸長したときの状態を示している。
【0009】
同図(a) は、高圧給気パイプ7の流路が不図示のバルブにより外部に開放されてロッド反対側シリンダ室3の空気が矢印aで示すように自由に抜ける状態のもとで、圧縮されていた内部螺旋バネ5の復元力と不図示の外部配置の引き螺旋バネにより、ピストン1がロッド反対側シリンダ室3の終端まで押されたものであり、これに伴って矢印bで示すように空気抜き孔8から外気がロッド側動作部6内に流入する。
【0010】
これに対して同図(b) では、矢印cで示すように、高圧給気パイプ7から高圧空気がロッド反対側シリンダ室3に供給され、この圧力でピストン1が内部バネ5の押し付勢力に抗して、その内部バネ5を圧縮しながら内部バネ5を介してシリンダ2のロッド側シリンダ室6の終端まで押されたものであり、これに伴って矢印dで示すように空気抜き孔8からロッド側シリンダ室6内の空気が外部に流出する。
【0011】
このような単動エアシリンダにおいては、ロッド部4はストロークエンドで最高速となるから、ロッド部4の伸縮速度を高速に設定すると、ストロークエンドでピストン1が内部バネ5を介してシリンダ2のロッド側終端と衝突して急停止するときの衝撃が大きく、このため各部が大きく振動する。
【0012】
特に、テープフィーダのシャッタ部材が部品供給口から退避して部品供給口を開放する際に、このような大きな振動が発生すると、部品供給口から部品が飛び出してしまうことがある。部品が飛び出さないまでも、部品と本体テープの収容部とに比較的大きな間隙を有するものでは、部品が本体テープの収容部内で転がって、位置が大きくずれたり、表裏が反転したりする。いずれにしても、ノズルによる吸着エラーが発生する。
【0013】
それであるからといって、その不具合を防止するために、ロッド部4の伸縮速度を低速に設定すると、装置全体の動作速度が低下してタクトタイムが長くなるという他の問題が発生する。
【0014】
タクトタイムを長くせずに、ロッド部4のストロークエンドにおける衝撃を緩和するには、例えば、複動エアシリンダを使用する方法がある。
図5(a),(b) は複動エアシリンダの内部構成を示す断面図である。同図(a) はピストン10がシリンダ11のロッド反対側シリンダ室12の終端に突き当たってロッド部13が全退縮したときの状態を示しており、同図(b) はピストン10がストロークエンドでシリンダ11のロッド側シリンダ室14の終端に突き当たってロッド部13が全伸長したときの状態を示している。
【0015】
同図(a) は、ロッド反対側高圧給気パイプ15の流路が不図示のバルブにより外部に開放されてロッド反対側シリンダ室12の空気が矢印eで示すように自由に抜ける状態のもとで、ロッド側高圧給気パイプ16から高圧空気が矢印fで示すようにロッド側シリンダ室14に供給され、ピストン10がロッド反対側シリンダ室12の終端まで押されたものである。
【0016】
これに対して同図(b) では、ロッド側高圧給気パイプ16の流路が不図示のバルブにより外部に開放されてロッド側シリンダ室14の空気が矢印hで示すように自由に抜ける状態のもとで、ロッド反対側高圧給気パイプ15から高圧空気が矢印gで示すようにロッド反対側シリンダ室12に供給され、ピストン10がロッド側シリンダ室14の終端まで押されたものである。
【0017】
このような複動エアシリンダは、ロッド部の伸縮の動きを所望の状態に制御できるから、ロッド部のストロークエンドにおける衝撃を緩和するのも容易であある。しかし、単動エアシリンダを使用していたシステムに複動エアシリンダを用いる場合は、従来の単動エアシリンダ用のシステムに高圧空気の圧入経路を2つ設ける必要があり、この改造は手数と時間と費用が掛かりすぎて実用的でない。
【0018】
このような問題を解決するために、単動エアシリンダ機構のロッド部の伸長終端と退縮終端のそれぞれに対応する連結部材の適宜の2箇所に、弾性部材を配設するようにした構成が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開2000−252692号公報(要約、図4)
【特許文献2】特開2001−168585号公報(要約、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献2のように、連結部材の適宜の2箇所に、弾性部材を配設する構成は、部品が増えることによるコストアップが避けられない。
また、現今のように部品サイズの小型化が進むと、シリンダ機構の連結部材に対する外付けの弾性部材の配設では、小型部品に対する衝撃の緩和は、さほど期待できない。
【0020】
ところで、特許文献2の段落0032には「また、弾性部材71、72を設ける代わりに、エアーシリンダー62自体にストロークエンドでクッションが作用するような構成を採用し、このクッション構成(衝撃緩和手段)によってシャッター部材43を非閉塞位置に移動させる際の衝撃を緩和するように構成してもよい」との記載が見られる。しかし、これは単なる示唆のみで、そのような具体的な構成はどこにも記載されていない。
【0021】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、衝撃緩衝型単動エアシリンダ及びそれを用いたテープフィーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
先ず、第1の発明の単動シリンダは、ピストンからロッド側のシリンダ室の空気抜き孔を密閉され上記ロッド側のシリンダ室の内部を外気から遮断されて気密室に構成されると共に、伸長したロッド部を退縮状態に戻すための螺旋ばねを上記気密室から除去された形状を有して構成される。
【0023】
この単動シリンダにおいて、例えば、上記空気抜き孔は、複動エアシリンダのロッド側高圧給気パイプであり、上記気密室は、上記複動エアシリンダのロッド側シリンダ室である。
【0024】
また、この単動エアシリンダにおいて、例えば、ロッド反対側シリンダ室に高圧空気を供給されて上記ピストンがロッド部のストロークエンドの状態へ移行するとき、上記ピストンは上記気密室の空気が最大に圧縮される位置で停止するように構成される。
【0025】
次に、第2の発明の単動エアシリンダは、伸長したロッド部を退縮状態に戻すための螺旋ばねを内蔵したロッド側のシリンダ室の内部を外気から遮断して気密室に構成したことを特徴とする。
【0026】
更に、第3の発明のテープフィーダは、ロッド反対側シリンダ室を部品搭載装置の高圧空気供給パイプに接続される上記第1又は第2の発明の単動エアシリンダを駆動原として備えるように構成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、単動エアシリンダのピストンからロッド側のシリンダ室の空気抜き孔を密閉して気密室を構成し、この気密室から伸長したロッド部を退縮状態に戻すための螺旋ばねを排除する構成としたので、ロッド反対側シリンダ室に高圧空気を供給されてピストンがロッド部のストロークエンドの状態へ移行するとき、ピストンは気密室の空気が最大に圧縮される位置で停止するようになり、これにより、安価な構成の単動シリンダで、急速に伸長移動するロッド部の速度をストロークエンドで減速させることができ、したがって、タクトタイムを長くすることなく、ストロークエンド時のテープフィーダ各部に伝わる衝撃を大幅に緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、実施例1におけるテープフィーダの側面図である。同図に示すように、本例のテープフィーダ20は、図では左方となる後端部21のリール装着部22にテープリール23を着脱自在に装着している。
【0030】
テープリール23には、部品(図示省略)を満載した部品テープが巻着されている。部品テープは、本体テープ24と、この本体テープ24に側端部を貼り合わせられた図では定かに見えないトップテープの二種類のテープ部材から形成されている。
【0031】
本体テープ24は、ポケットとも呼ばれる多数の凹部25を長手方向に沿って一定間隔で備えており、その凹部25に部品を収容している。トップテープは、本体テープ24の部品を収容した凹部25の開口部を上から押さえ込むように貼り合わせられており、これにより、部品が本体テープ24から脱落しないようにしている。
【0032】
部品テープの一方の側端部(例えば図面奥行き方向手前側の端部)には、スプロケット26の歯が係合する孔が通常4mm間隔で形成されている。
スプロケット26は、単動シリンダ27のロッド部28の伸長移動により、ロッド部28の端部に係合する第1連結部材29及び第2連結部材31を介して間歇的に回転駆動される。
【0033】
この間歇的回転駆動により、スプロケット26は、部品テープ24を、矢印i、j、kで示すように搬送すると共に、シャッタ32を部品と共に移動させ、部品吸着時はシャッタ32を開放して後方の退避位置に移動させ部品供給口33を開放する。
【0034】
また、これと同時に、上記の第1連結部材29に連結されている第3連結部材34が後方に移動し、第4連結部材35を反時計回り方向に回動させ、この第4連結部材35に連結する図では定かに見えないギアを反時計回り方向に駆動して、トップテープを本体テープ24から剥離させるようになっている。
【0035】
シャッタ32から開放された部品供給口33において、トップテープを剥離された本体テープ24の凹部25内に露出した部品は、不図示の部品搭載装置の搭載ヘッドにより、その先端に装着されているノズルによって吸着され、部品搭載装置内に搬入されて位置決めされている基板上に移載される。
【0036】
スプロケット26は、ラッチによって逆回転を抑止されており、部品供給口33から部品が吸着されたのちは、単動シリンダ27のロッド分28が、シリンダ内部の圧縮空気(これについては後述する)の膨張と、第1連結部材29に係合する外部配置の引き螺旋バネ36の引き付勢力により、伸長前の退縮位置に復帰する。
【0037】
これにより、シャッタ32が後方の退避位置から前方に移動して部品供給口33を外部から遮蔽し、第2連結部材31は次の部品テープ送りを行うスプロケット26駆動位置に待機し、第4連結部材35は時計回り方向に戻って次のトップテープ剥離を行う位置に待機する。
【0038】
このテープフィーダ20は、取っ手37を現場オペレータにより持ち上げられて部品搭載装置の所望の装着位置に持ち運ばれる。現場オペレータは、操作桿38を支持ピン39を支点にして反時計回り方向に回動させて上後方(図では左上方向)に引き起こした状態にする。
【0039】
これにより、この操作桿38に連動するローラ付き固定フック41が前方上向き(図1では右方上向き)つまり反時計回り方向に回動して持ち上がった状態になる。
次に、現場オペレータは、取っ手37でテープフィーダ20を保持しながら、スライドレール係合部42の先端を、特には図示しないが、部品搭載装置における部品供給ステージの係合溝の手前端部に差し込んで、そのままテープフィーダ20を前方に押し込む。
【0040】
更に、現場オペレータは、テープフィーダ20を、係合溝の最終位置まで押し込んだところで、操作桿38を時計回り方向へ回動させて図に示す位置に倒し込む。
これにより、これに連動してローラ付き固定フック41が時計回り方向に回動して、ローラ付き固定フック41のローラが付いた鉤型の先端が、部品供給ステージの前端部を咥え込むように下面に回り込んで、部品供給ステージに係止し、テープフィーダ20が部品供給ステージに固定される。
【0041】
また、このとき、スライドレール係合部42の後方で、テープフィーダ本体から前方向きに突設されている高圧空気導入パイプ43が、部品供給ステージの後端面に設けられている高圧空気供給口に嵌入する。
【0042】
高圧空気導入パイプ43は、内側端部が単動シリンダ27のロッド反対側のシリンダ室に連結されている。これにより、部品搭載装置側からの高圧空気の供給によって、単動シリンダ27のロッド部28の伸長駆動が可能となる。
【0043】
図2(a),(b) は、上記単動シリンダ27の内部構成を示す断面図である。同図(a) はピストン44がシリンダ45のロッド反対側のシリンダ室46の終端に突き当たってロッド部28が全退縮したときの状態を示している。
【0044】
また、同図(b) は、ピストン44がストロークエンドで、シリンダ45のロッド側のシリンダ室47の終端に突き当たってロッド部28が全伸長したときの状態を示している。
ピストン44には、シリンダ室46及び47の内壁に摺接するピストンパッキン48が外嵌しており、ロッド部28のロッド本体には、シリンダ内周面の溝48内に位置固定され、ロッド本体に摺接するリング状のロッドパッキン49が外嵌して係合している。
【0045】
本例の単動シリンダ27においては、ピストン44からロッド側のシリンダ室47は、その空気抜き孔51に封止部材52をねじ込んだ状態で空気抜き孔51は外気から密閉されている。
【0046】
これにより、ロッド側のシリンダ室47は、ピストンパッキン48、ロッドパッキン49、及び封止部材52により、内部を外気から遮断されて気密室に構成されている。
また、この単動シリンダ27は、通常の単動シリンダの構造から、伸長したロッド部28を退縮状態に戻すための螺旋バネ(図4(a),(b) の内部螺旋バネ5参照)を気密室(ロッド側のシリンダ室47)から除去された形状を有している。
【0047】
本例における単動シリンダ27は、部品の費用を低廉でまかなうために、図5(a),(b) に示した複動シリンダのロッド側高圧給気パイプ16を、図2(a),(b) に示す空気抜き孔51として、この空気抜き孔51を密閉している。
【0048】
そして、気密室となっているシリンダ室47は、図5(a),(b) に示した複動エアシリンダのロッド側シリンダ室14である。このように複動エアシリンダを転用することで、本例の単動シリンダ27は極めて安価に構成される。
【0049】
この単動シリンダ27は、部品搭載装置の制御部からの指示により、部品供給ステージの高圧空気供給口に通じる電磁弁が、予め設定された一定時間開くように作動する。
これにより、高圧空気導入パイプ43を介してロッド反対側のシリンダ室46に高圧空気が供給され、ピストン44がロッド部28のストロークエンドの状態へと移行を開始する。
【0050】
図1において、ロッド部28が伸長し、これにより、第1連結部材29を介して第2連結部材31及び第3連結部材34が駆動されて、トップテープを剥離された本体テープ24が、部品を凹部25に露出させた状態で部品供給口33に搬送される。
【0051】
部品供給口33において、部品の上部には、シャッタ32が存在し、吸着位置(ピック点)まで本体テープ24の浮き上がりを防止するために本体テープ24の両側部を抑えながら部品と共に移動する。
【0052】
トップテープが剥離された後のロッド部28のストロークエンドでは、気密室(シリンダ室47)の空気圧が上昇しているため、ピストン44は気密室(シリンダ室47)の空気が最大に圧縮される位置で空気圧の抵抗により速度がゼロとなって停止する。これにより、衝撃を生じない形でロッド部28の伸長動作を完了することができる。
【0053】
この後、部品搭載装置側からの指示が終了して電磁弁が閉じ、ロッド部28は、ピストン44に加わる気密室の膨張空気圧と、外付けの引き螺旋バネ36の引き付勢力で、伸長前の元の位置に退縮する。
【0054】
このように、急速に伸長移動するロッド部28の速度をストロークエンドで衝撃を生じない形で速度ゼロまで減速させることができる。したがって、タクトタイムを長くすることなく、ストロークエンド時のテープフィーダ20の各部に伝わる衝撃を無くすことができる。
【0055】
また、このように安価な構成の単動シリンダで、単動シリンダ以外に部材を増やすこともなく、タクトタイムを長くすることなく、ロッド部28の速度をストロークエンドで衝撃を生じない形で速度ゼロに減速させることができる。
【0056】
また、これにより、微小サイズの部品が本体テープ24の凹部25から転がり出ることなく部品供給口33まで送ることが容易に出来るようになる。
実験における実際的な使用においても、ストロークエンドでピストンの速度がかなり低下するためロッド部の衝撃が大きく緩和され、実際の部品送りで大きな効果が得られている。
【0057】
尚、本例の構造においては、負荷の変動によりストロークが変化するため、シリンダ室47の初期圧は、本体で最も圧力が低下する条件よりも更に10%程度下げたところに圧力を設定する。
【0058】
また、使用環境の温度差がストローク量に影響を与えるので、予め温度差分のストローク量を突き当てる方向に設ける。例えば、30℃分のストローク変化量として0.5mmを干渉代として設定するとよい。
【0059】
また、上記の動作と同じ動作を外付けのアブソーバで行おうとした場合は、単動シリンダと同額以上の費用を必要とするから、極めてコストの高い構成となって不経済である。
【実施例2】
【0060】
図3は、実施例2における単動シリンダの内部構成を示す断面図である。図3に示す単動シリンダは、図4に示した従来の単動シリンダの、伸長したロッド部4を退縮状態に戻すための螺旋ばね5を内蔵したロッド側シリンダ室6の空気抜き孔8を、適宜の封止部材53で封止して、ロッド側シリンダ室6の内部を外気から遮断して気密室に構成したものである。このようにしても、実施例1の場合と同様の衝撃緩和の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1における単動シリンダを備えたテープフィーダの側面図である。
【図2】(a),(b) は実施例1における単動シリンダの内部構成を示す断面図である。
【図3】実施例2における単動シリンダの内部構成を示す断面図である。
【図4】(a),(b) は従来の単動エアシリンダの内部構成を示す断面図である。
【図5】(a),(b) は従来の複動エアシリンダの内部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ピストン
2 シリンダ
3 ロッド反対側シリンダ室
4 ロッド部
5 内部螺旋バネ
6 ロッド側シリンダ室
7 高圧給気パイプ
8 空気抜き孔
10 ピストン
11 シリンダ
12 ロッド反対側シリンダ室
13 ロッド部
14 ロッド側シリンダ室
15 ロッド反対側高圧給気パイプ
16 ロッド側高圧給気パイプ
20 テープフィーダ
21 後端部
22 リール装着部
23 テープリール
24 本体テープ
25 凹部
26 スプロケット
27 単動シリンダ
28 ロッド部
29 第1連結部材
31 第2連結部材
32 シャッタ
33 部品供給口
34 第3連結部材
35 第4連結部材
36 引き螺旋バネ
37 取っ手
38 操作桿
39 支持ピン
41 ローラ付き固定フック
42 スライドレール係合部
43 高圧空気導入パイプ
44 ピストン
45 シリンダ
46 ロッド反対側のシリンダ室
47 ロッド側のシリンダ室
48 ピストンパッキン
49 ロッドパッキン
51 空気抜き孔
52、53 封止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンからロッド側のシリンダ室の空気抜き孔を密閉され前記ロッド側のシリンダ室の内部を外気から遮断されて気密室に構成されると共に、伸長したロッド部を退縮状態に戻すための螺旋ばねを前記気密室から除去された形状を有する、ことを特徴とする単動エアシリンダ。
【請求項2】
前記空気抜き孔は、複動エアシリンダのロッド側高圧給気パイプであり、前記気密室は、前記複動エアシリンダのロッド側シリンダ室である、ことを特徴とする請求項1記載の単動エアシリンダ。
【請求項3】
ロッド反対側シリンダ室に高圧空気を供給されて前記ピストンがロッド部のストロークエンドの状態へ移行するとき、前記ピストンは前記気密室の空気が最大に圧縮される位置で停止する、ことを特徴とする請求項1記載の単動エアシリンダ。
【請求項4】
伸長したロッド部を退縮状態に戻すための螺旋ばねを内蔵したロッド側のシリンダ室の内部を外気から遮断して気密室に構成したことを特徴とする単動エアシリンダ。
【請求項5】
ロッド反対側シリンダ室を部品搭載装置の高圧空気供給パイプに接続される請求項1、2、3又は4記載の単動エアシリンダを駆動原として備えることを特徴とするテープフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−250580(P2007−250580A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67910(P2006−67910)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000178022)山形カシオ株式会社 (65)
【Fターム(参考)】