説明

表示コードが付された物品、表示コード生成装置および情報伝達方法

【課題】人に目視を通じてメッセージを直接的に伝達することができ、かつ光学的読取機能を備えた機器を介しての情報の間接的な伝達を高精度に行うことができるようにする。
【解決手段】複数の升目12を格子状に配列することによりコード空間11を形成し、コード空間11における複数の升目12のうちから1つ以上の升目12を選び、この選ばれた各升目12にパターン要素15を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターン13が形成され、かつ、コード空間11における複数の升目12のうち、記号配列パターン13を形成するために、パターン要素15が配置された升目12をオンとし、パターン要素15が配置されていない升目12をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報である記号パラメータに前記メッセージと異なる付加情報が付加された表示コード1を物品に付す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージを人の目視を通じて直接的に伝達可能であると共に、メッセージとは異なる情報を光学的読取機能を備えた機器を通じて間接的に伝達可能である表示コードが付された物品、このような表示コードを生成する表示コード生成装置、およびメッセージを人の目視を通じて直接的に伝達すると共に、メッセージとは異なる情報を光学的読取機能を備えた機器を通じて間接的に伝達する情報伝達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品にバーコードを付し、このバーコードを、スキャナを備えた読取装置により読み取ることにより、商品の情報をレジスタや商品管理用コンピュータに入力する技術が現在広く普及している(特許文献1参照)。この技術に用いられるバーコードは、主に、縞模様状の線の太さによって数値や文字を表すコードである。また、このバーコードは、横方向にしか情報を持たない一次元コードである。
【0003】
また、近年、ドットを縦横に配列することによって数値や文字を表すQRコード(登録商標)等の二次元コードが普及している。二次元コードは、一次元コードであるバーコードと比較し、コード化して記録可能な情報量が多いため、大規模工場における部品発注管理、卸売業における商品出荷管理、自動販売機による商品販売管理等、多量な情報を取り扱う分野で用いられている(特許文献2参照)。また、最近は、カメラ付き携帯電話機に二次元コードの読取機能を持たせ、広告に印刷された二次元コードをカメラ付き携帯電話機で読取可能とし、商品やサービス、イベント等の情報を二次元コードおよびカメラ付き携帯電話機を介して消費者に伝達する技術も普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−54211号公報
【特許文献2】特開2003−85625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一次元コードであるバーコードは、太さの異なる線を縞模様状に配列することにより形成されている。このため、バーコードは、スキャナ等の光学的読取機能を備えた機器にとって読み取りやすく、このような機器を介して情報を精度よく伝達することができる点で優れている。しかしながら、バーコードは、人に目視を通じて何のメッセージも伝達することができない。すなわち、バーコードにおける太さの異なる線の配列は、人が目視して認識可能なメッセージを何も表現していない。
【0006】
この点は、QRコード等の二次元コードも同様である。二次元コードにおけるドットの配列は、人が目視しただけでは、ランダムな模様としか認識できず、ここから意味のあるメッセージを看取することはできない。
【0007】
このように、バーコードも二次元コードも商品等の物品に付されて人の目に晒されるのにもかかわらず、人が目視して認識可能なメッセージを何も発信していない。これは、バーコードや二次元コードを物品に付しても、その物品を直接見る消費者等に何も訴求できない点や、バーコードや二次元コードが物品に付されることにより、物品のデザインを悪化させる点などから好ましくない。
【0008】
さらに、バーコードや二次元コードは、人が目視して認識可能なメッセージを何も発信しないため、バーコードや二次元コードを付す場所や機会が物品の利用態様や形態等により制限される。例えば、人前に晒される物品の表面や中央等の目立つ場所にバーコードや二次元コードを配置することは好ましくない。また、表面積が小さい商品の場合には、商品名やメーカー名等を付した上で、さらにバーコードや二次元コードを付す領域を確保することが困難である。
【0009】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、人に目視を通じてメッセージを直接的に伝達することができると共に、光学的読取機能を備えた機器を介しての情報の間接的な伝達を高精度に行うことができる表示コードが付された物品、表示コード生成装置および情報伝達方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の物品は、複数の升目を格子状に配列することにより形成される二次元空間における前記複数の升目のうちから1つ以上の升目を選び、この選ばれた各升目に所定の形状を有するパターン要素を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターンが形成され、かつ、前記二次元空間における前記複数の升目のうち、前記記号配列パターンを形成するために、前記パターン要素が配置された升目をオンとし、前記パターン要素が配置されていない升目をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報に前記メッセージと異なる付加情報が付加された表示コードが付されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の物品は、上述した本発明の第1の物品において、前記表示コードが形成される前記二次元空間には、読取装置により前記表示コードを読み取るときに前記読取装置と前記表示コードとの位置ずれを補正し、または前記読取装置が前記表示コードの読取方向を認識するためのガイドパターンが配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の物品は、上述した本発明の第1または第2の物品において、前記表示コードが形成される前記二次元空間には、前記記号配列パターンの桁数、行数または記号数を示す配列情報パターンが配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の物品は、上述した本発明の第1ないし第3のいずれかの物品において、前記二値情報には複数の付加情報が付加され、前記表示コードが形成される前記二次元空間には、前記二値情報に付加された各付加情報を識別するための識別情報パターンが配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第5の物品は、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの物品において、前記表示コードが形成される前記二次元空間には、前記記号配列パターンの色を示す色情報パターンが配置されていることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1の表示コード生成装置は、人が目視してメッセージとして認識可能でありかつ機器により認識可能な記号配列パターンに前記メッセージとは異なる付加情報を付加することにより形成される表示コードを生成する表示コード生成装置であって、複数の升目を格子状に配列することにより形成される二次元空間における前記複数の升目のうちから1つ以上の升目を選び、この選ばれた各升目に所定の形状を有するパターン要素を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターンを形成するパターン形成手段と、前記パターン形成手段により前記記号配列パターンが形成された前記二次元空間における前記複数の升目のうち、前記記号配列パターンを形成するために、前記パターン要素が配置された升目をオンとし、前記パターン要素が配置されていない升目をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報に前記メッセージと異なる付加情報を付加する情報付加手段とを備えている。
【0016】
また、本発明の第2の表示コード生成装置は、上述した本発明の第1の表示コード生成装置において、読取装置により前記表示コードを読み取るときに前記読取装置と前記表示コードとの位置ずれを補正し、または前記読取装置が前記表示コードの読取方向を認識するためのガイドパターンを前記二次元空間に配置するガイドパターン形成手段を備えている。
【0017】
また、本発明の第3の表示コード生成装置は、上述した本発明の第1または第2の表示コード生成装置において、前記記号配列パターンの桁数、行数または記号数を示す配列情報パターンを前記二次元空間に配置する配列情報パターン形成手段を備えている。
【0018】
また、本発明の第4の表示コード生成装置は、上述した本発明の第1ないし第3のいずれかの表示コード生成装置において、前記情報付加手段が前記二値情報に複数の付加情報を付加することを特徴とし、さらに、本発明の第4の表示コード生成装置は、前記二値情報に付加された各付加情報を識別するための識別情報パターンを前記二次元空間に配置する識別情報パターン形成手段を備えている。
【0019】
また、本発明の第5の表示コード生成装置は、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの表示コード生成装置において、前記パターン形成手段が前記記号配列パターンの色を設定することを特徴とし、さらに、本発明の第5の表示コード生成装置は、前記記号配列パターンの色を示す色情報パターンを前記二次元空間に配置する色情報パターン形成手段を備えている。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の情報伝達方法は、複数の升目を格子状に配列することにより形成される二次元空間における前記複数の升目のうちから1つ以上の升目を選び、この選ばれた各升目に所定の形状を有するパターン要素を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターンが形成され、かつ、前記二次元空間における前記複数の升目のうち、前記記号配列パターンを形成するために、前記パターン要素が配置された升目をオンとし、前記パターン要素が配置されていない升目をオフとし、これらの升目のオン、オフによって特定される二値情報に前記メッセージと異なる付加情報が付加された表示コードを生成する表示コード生成装置により前記表示コードを生成するステップと、前記表示コード生成装置により生成された前記表示コードにおける前記メッセージを表すテキスト情報および前記付加情報の組み合わせまたは前記二値情報および前記付加情報の組み合わせを含む組合せ情報を読取装置に設けられた記憶媒体に記憶するステップと、前記表示コードが付された物品を人が目視し得る場所に配置した後、当該物品に付された前記表示コードを前記読取装置により読み取るステップと、前記読取装置により、読み取った前記表示コードに対応する前記付加情報を、前記読取装置の前記記憶媒体に記憶された前記組合せ情報に基づいて特定し、この特定した前記付加情報を前記読取装置から出力するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、人に目視を通じてメッセージを直接的に伝達すると共に、スキャナ等の光学的読取機能を備えた機器を介しての情報の間接的な伝達を高精度に行うことが可能になり、情報伝達機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態による表示コードが付された物品による情報伝達の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態による表示コードの外観上の構造を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態による表示コードにおける記号配列パターンを形成する記号パターンの構造を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態による表示コードにおける記号パターンの具体例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態による表示コードにおけるガイドパターンおよび拡張パターンを示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態による表示コードにおける配列情報パターンを示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態による表示コードにおける組合せ情報を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態による表示コードが付された電子回路基板を示す説明図である。
【図9】図8中の電子回路基板に付された表示コードを示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態による表示コードが付されたチョコレート菓子を示す説明図である。
【図11】図10中のチョコレート菓子に付された表示コードを示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態による表示コード生成装置を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施形態による表示コード生成装置の表示コード生成画面を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態による表示コード読取装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0024】
(情報伝達の概要)
図1は、本発明の実施形態による表示コードが付された物品による情報伝達の概要を示している。図1において、本発明の実施形態による表示コード1が付された物品による情報伝達は概ね次のように実施される。
【0025】
すなわち、まず、表示コード生成装置により表示コード1を生成する。表示コード1は、人が目視してメッセージとして認識可能でありかつ光学的読取機能を備えた機器により認識可能な記号配列パターンに前記メッセージとは異なる付加情報45を付加することにより形成されるコードである。図1に示す例では、表示コード1における記号配列パターンは「B12」というメッセージを表現している。そして、このメッセージは地下鉄駅の出口番号がB12であることを示している。また、図1の例において付加情報45は、「A駅 B12 出口案内:LM運転免許試験場、PQR出張所、…」であり、A駅からここに列挙した施設に向かうには出口番号B12の出口を利用することが便利である旨を示している。
【0026】
次に、表示コード生成装置により生成された組合せ情報を、光学的読取機能を備えた機器である表示コード読取装置4に転送し、表示コード読取装置4の記憶部に記憶させる。組合せ情報は、表示コード1の生成過程において表示コード生成装置により生成される情報であり、表示コード1における記号配列パターンを二値化した二値情報である記号パラメータと付加情報45との組合せを含んでいる。また、図1に示す例では、表示コード読取装置4はカメラ付き携帯電話機である。
【0027】
次に、表示コード生成装置により生成された表示コード1を物品に付し、この表示コード1が付された物品を人が目視し得る場所に配置する。図1に示す例では、案内板2が物品に当たる。すなわち、表示コード1を案内板2に印刷し、この表示コード1が印刷された案内板2を地下鉄駅の出口番号B12の出口近傍に設置する。
【0028】
次に、人が目視し得る場所に配置した物品に付された表示コード1を表示コード読取装置4により読み取る。例えば地下鉄駅の利用者が、表示コード読取装置4で、案内板2に付された表示コード1を撮影して表示コード読取装置4に読み取らせる。表示コード読取装置4は、読み取った表示コード1に対応する付加情報45を、表示コード読取装置4の記憶部に記憶された組合せ情報に基づいて特定し、この特定した付加情報45を表示コード読取装置4の表示部86に表示する。例えば地下鉄駅の利用者は、表示部86に表示された付加情報45、すなわち出口番号B12の出口案内を見て、出口番号B12の出口を利用すべきかどうか等を決定することができる。
【0029】
このように、表示コード1が付された案内板2によれば、人に目視を通じてメッセージ(「B12」)を直接的に伝達することができると共に、表示コード読取装置4を介しての情報(付加情報45:出口番号B12の出口案内)の間接的な伝達を高精度に行うことができる。
【0030】
(表示コードの構成)
図2は表示コード1の外観上の構造を示している。上述したように、表示コード1は、人が目視してメッセージとして認識可能でありかつ光学的読取機能を備えた機器により認識可能な記号配列パターンに前記メッセージとは異なる付加情報45を付加することにより形成されるコードである。より詳しく説明すると、表示コード1は、図2に示すように、複数の升目12を格子状に配列することによりコード空間11を形成し、このコード空間11における複数の升目12のうちから1つ以上の升目12を選び、この選ばれた各升目12に所定の形状を有するパターン要素15を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターン13が形成され、かつ、コード空間11における複数の升目12のうち、記号配列パターン13を形成するために、パターン要素15が配置された升目12をオンとし、パターン要素15が配置されていない升目12をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報である記号パラメータに前記メッセージと異なる付加情報45が付加されたコードである。
【0031】
すなわち、コード空間11は、縦方向および横方向に拡がる外形が四角形の二次元空間である。コード空間11には、個々の形状が例えば正方形の升目12が、格子を形作るように縦方向および横方向に複数敷き詰められている。
【0032】
また、コード空間11の中央部分には記号配列パターン13が配置される。記号配列パターン13は、単一の記号パターン14または複数の記号パターン14の配列により形成され、人が目視して認識可能なメッセージ(例えば「B12」)を表現する。コード空間11には、最大12個の記号パターン14を配列可能な行を5行設けることができ、これにより最大60個の記号パターン14からなる記号配列パターン13を形成することができる。なお、表示コード1を形成するに当たり、コード空間11に配置される記号パターン14の個数は1個でもよい。また、記号配列パターン13を形成するためにコード空間11に配置可能な記号パターン14の最大個数、一行当たりの最大個数および行数は限定されない。
【0033】
一方、コード空間11の周縁部分には、主に表示コード読取装置4を制御するための制御パターンが配置される。制御パターンには、ガイドパターン21、22、23、拡張パターン24、配列情報パターン25、識別情報パターン26がある。なお、制御パターンは、人が目視して認識可能なメッセージを表すものではない。
【0034】
(記号パターンの構造と種類)
図3は、表示コード1における記号配列パターン13を形成する記号パターン14の構造を示している。図4は記号パターン14の様々な具体例を示している。図3に示すように、記号配列パターン13を形成する各記号パターン14は、升目12が縦方向に13個、横方向に5個配列された合計65個の升目12からなる記号パターン領域31内に形成される。記号パターン14は、記号パターン領域31内の65個の升目12のうちから、記号パターン14を形作るように、単一または複数の升目12を選び、選ばれた各升目12にパターン要素15を配置することにより形成される。各パターン要素15は、升目12とほぼ同一形状およびほぼ同一の大きさを有する。
【0035】
図4に示すように、記号パターン領域31を形成する65個の升目12にパターン要素15を適宜配置することにより、数字(0〜9)、アルファベット(A〜Z、a〜z)およびその他の記号(「!」、「"」、「#」、「$」、「%」、「&」、「'」、「(」、「)」、…)を表す記号パターン14をそれぞれ形成することができる。このように、表示コード1によれば、パーソナルコンピュータのキーボードをタイプすることにより直接入力してモニタに表示することが可能な全ての記号(JISコード32ないし126)を記号パターン14により表すことができる。さらに、これら以外の記号を記号パターン14により表すことも可能である。
【0036】
(ガイドパターン、拡張パターン)
図5はガイドパターン21、22、23および拡張パターン24を示している。ガイドパターン21、22、23は、表示コード読取装置4が表示コード1を読み取るときに表示コード読取装置4と表示コード1との位置ずれを補正し、または表示コード読取装置4が表示コード1の読取方向を認識するためのパターンである。ガイドパターン21は、図5(a)に示すように、コード空間11における所定領域内に配置された複数の升目12のうちから、ガイドパターン21を形作るように、単一または複数の升目12を選び、選ばれた各升目12にパターン要素15を配置することにより形成される。ガイドパターン22、23も、ガイドパターン21と同様に形成される。ガイドパターン21、22、23は、図5(a)、(b)、(c)に示すように、それぞれ固有な態様(形状)を有する。すなわち、ガイドパターン21、22、23の態様は、それぞれ互いに異なり、また、ガイドパターン21、22、23以外の他のいずれの制御パターンの態様とも異なり、さらに、いずれの記号パターン14の態様とも異なる。そして、図2に示すように、ガイドパターン21はコード空間11の左上角部に配置され、ガイドパターン22はコード空間11の右上角部に配置され、ガイドパターン23はコード空間11の右下角部に配置されている。
【0037】
記号配列パターン13が配置される領域の外形が長方形または正方形である場合には、当該領域の4つの頂点のうち3つの頂点の位置が判明すれば、当該領域の外形を把握することができる。したがって、ガイドパターン21、22、23により、記号配列パターン13の外形を表示コード読取装置4に認識させることができる。
【0038】
また、ガイドパターン21とガイドパターン22とを結ぶ直線は、記号配列パターン13の横方向と平行である。したがって、ガイドパターン21、22により、記号配列パターン13の横方向の読取方向を表示コード読取装置4に認識させることができる。また、ガイドパターン22とガイドパターン23とを結ぶ直線は、記号配列パターン13の縦方向と平行である。したがって、ガイドパターン22、23により、記号配列パターン13の縦方向の読取方向を表示コード読取装置4に認識させることができる。
【0039】
さらに、ガイドパターン21は記号配列パターン13の最左側に位置する。したがって、ガイドパターン21により、記号配列パターン13の読取開始位置を表示コード読取装置4に認識させることができる。また、ガイドパターン22、23は記号配列パターン13の最右側に位置する。したがって、ガイドパターン22またはガイドパターン23により、記号配列パターン13の読取終了位置を表示コード読取装置4に認識させることができる。また、記号配列パターン13の行数が2行以上の場合には、ガイドパターン21またはガイドパターン22により、記号配列パターン13の最初の行を表示コード読取装置4に認識させることができ、ガイドパターン23により、記号配列パターン13の最後の行を表示コード読取装置4に認識させることができる。なお、ガイドパターン21、22、23の態様(形状)は、図5(a)、(b)、(c)に示す態様に限定されない。
【0040】
一方、拡張パターン24は、例えば図5(d)に示すように固有な態様を有し、図2に示すように、コード空間11の左下角部に配置されている。拡張パターン24には、その固有な態様またはコード空間11内における固有な位置を利用して、固有な機能を与え、または固有な情報を割り当てることができる。例えば、拡張パターン24の態様を、表示コード1を付すべき物品ごとに変化させ、表示コード1を付すべき物品ごとに態様が異なる複数の拡張パターン24のそれぞれに、互いに異なる情報を割り当ててもよい。また、例えば、拡張パターン24がコード空間11の右下角部に配置されていることを利用して、ガイドパターン21、22、23を用いた表示コード読取装置4における位置ずれ補正または読取方向の認識を補佐する機能を拡張パターン24に持たせもよい。
【0041】
(配列情報パターン)
図6は配列情報パターン25を示している。配列情報パターン25は、表示コード1における記号配列パターン13を形成する記号パターン14の配列の桁数および行数を示すパターンである。配列情報パターン25はコード空間11の上端中央部に配置されている(図2参照)。配列情報パターン25は、横方向に連続して配列された8つの升目12に、記号配列パターン13を形成する記号パターン14の配列の桁数および行数を表す8ビットの2値情報を示すようにパターン要素15を配置することにより形成される。例えば、8ビットの2値情報のうち、下位4ビットが桁数を表し、上位4ビットが行数を表す。
【0042】
例えば、図2に示す記号配列パターン13は、「B」、「1」、「2」をそれぞれ表す3つの記号パターン14を1行に配列したものである。したがって、この記号配列パターン13の桁数は3であり、行数は1である。この場合、配列情報パターン25が示す8ビットの2値情報は「00010011」となり、これに対応する配列情報パターン25は図6に示す通りである。
【0043】
なお、配列情報パターン25の配置や態様は図2に示す位置や図6に示す態様に限定されない。例えば、配列情報パターン25をコード空間11の下端中央部、左端中央部、または右端中央部に配置してもよい。また、例えば、配列情報パターン25を横方向または縦方向に連続して配列された16個の升目12により構成し、16ビットの2値情報を示すようにしてもよいし、配列情報パターン25により記号配列パターン13を形成する記号パターン14の総数(記号数)を示してもよい。
【0044】
(識別情報パターン)
一方、図2に示すように、コード空間11の下端中央部に配置された識別情報パターン26は、表示コード1における記号配列パターン13に付加された付加情報45を識別するためのパターンである。後述するように、表示コード1における記号配列パターン13には、相互に異なる複数の付加情報45を付加することができる。記号配列パターン13に複数の付加情報45を付加した場合には、識別情報パターン26により、記号配列パターン13に付加された複数の付加情報45のうち特定の1つの付加情報45を表示コード読取装置4に認識させることができる。識別情報パターン26は、横方向に連続して配列された8つの升目12に、記号配列パターン13に付加された付加情報45の識別番号(付加情報識別番号44)を表す8ビットの2値情報を示すようにパターン要素15を配置することにより形成される。
【0045】
なお、識別情報パターン26の配置や態様は図2に示す位置や上述した態様に限定されない。例えば、識別情報パターン26をコード空間11の上端中央部、左端中央部、または右端中央部に配置してもよい。また、例えば、識別情報パターン25を横方向または縦方向に連続して配列された16個の升目12により構成し、16ビットの2値情報を示すようにしてもよい。
【0046】
(組合せ情報)
図7は表示コード1における組合せ情報を示している。組合せ情報41は、主として、表示コード1における記号配列パターン13と、この記号配列パターン13に付加された付加情報45との対応関係を示す情報である。組合せ情報41は、表示コード1が生成される過程において表示コード生成装置により生成され、その後、表示コード生成装置から表示コード読取装置4に転送され、表示コード読取装置4の記憶部に記憶される。そして、表示コード読取装置4が、物品に付された表示コード1を読み取って、この表示コード1に対応する付加情報45を表示部86に表示するとき、組合せ情報41を参照して、読み取った表示コード1に対応する付加情報45を特定する。
【0047】
組合せ情報41は、図7に示すように、メッセージテキスト情報42、記号パラメータ43、付加情報識別番号44および付加情報45により構成されている。
【0048】
メッセージテキスト情報42は、表示コード1における記号配列パターン13が表現しているメッセージをテキストで表したものである。例えば、図2に示す表示コード1における記号配列パターン13が表現しているメッセージは「B12」なので、図7に示す通り、メッセージテキスト情報42は「B12」である。
【0049】
記号パラメータ43は、表示コード1における記号配列パターン13を二値化した二値情報である。すなわち、記号パラメータ43は、コード空間11における複数の升目12のうち、記号配列パターン13を形成するために、パターン要素15が配置された升目12をオンとし、パターン要素15が配置されていない升目12をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報である。
【0050】
記号パラメータ43は、記号配列パターン13を形成する個々の記号パターン14を二値化した二値情報を生成し、これら二値情報を、記号配列パターン13における記号パターン14の配列順序に従って接続することにより生成する。そして、個々の記号パターン14の二値情報は、図3に示す記号パターン領域31の各升目12の位置を桁番号xおよび行番号yを用いて(x,y)と表すとすると、(1,1)、(2,1)、(3,1)、(4,1)、(5,1)、(1,2)、(2,2)、…、(4,12)、(5,12)、(1,13)、(2,13)、(3,13)、(4,13)、(5,13)の順序で、各升目12のオン、オフに「1」、「0」をそれぞれ割り当てることにより生成する。例えば、図3に示すように「B]を表す記号パターン14の二値情報は、「1111010001100011000110001111101000110001100011000111110」である。また、図7中に示した記号パラメータ43は、図2に示すように「B12」を表す記号配列パターン13に対応している。なお、記号配列パターン13を二値化する方法は、上述した方法に限らない。
【0051】
一方、付加情報識別番号44は、記号配列パターン13に複数の付加情報45が付加されている場合に、個々の付加情報45を識別するための番号である。付加情報識別番号44は互いに相違する固有な番号である。なお、図7に示す例では、付加情報識別番号44を表す識別情報パターン26が8ビットの2値情報を示すパターンとして形成されるので、付加情報識別番号44を2値情報として示している。
【0052】
付加情報45は、表示コード1における記号配列パターン13に付加された情報である。組合せ情報41の構造に照らして厳密に述べると、付加情報45は、表示コード1における記号パラメータ43(またはメッセージテキスト情報42)に組み合わされた情報である。付加情報45は、1つの記号配列パターン13に複数付加することができる。また、図7に示す付加情報45はテキストであるが、付加情報45は、音声情報、静止画情報、動画情報、コンピュータプログラム等でもよい。
【0053】
(表示コードが付された物品の他の具体例)
図8は、表示コードが付された物品の他の具体例として電子回路基板を示している。図9は、図8中の電子回路基板に付された表示コードの具体例を示している。図8において、表示コード51が付された電子回路基板52は、例えばパーソナルコンピュータその他の電子機器の部品である。そして、表示コード51における記号配列パターンは、電子回路基板52の部品番号を表している。例えば、表示コード51における記号配列パターンは、図9に示すように、「A−1995−260US」を表しており、このうち「A」は電子回路基板52の製造工場を示す記号であり、「1995」は電子回路基板52の製造年であり、「260」は電子回路基板52のロット番号であり、「US」は電子回路基板52の仕様適合国である。そして、表示コード51における記号配列パターンに付加された付加情報は、電子回路基板52の仕様を詳細に示す情報である。
【0054】
電子機器の工場職員は、電子回路基板52の検品を行うときに、表示コード51を目視することにより、電子回路基板52の製造工場、製造年、ロット番号および仕様適合国を即座に認識することができる。さらに、工場職員は、表示コード読取装置を用いて表示コード51を読み取ることにより、電子回路基板52の仕様の詳細を認識することができる。
【0055】
このように、表示コード51が付された電子回路基板52によれば、工場職員に、目視を通じて電子回路基板52について即座に知りたい情報を伝達することができると共に、表示コード読取装置を介して電子回路基板52についてのより詳細な情報を伝達することができる。
【0056】
一方、図10は、表示コードが付された物品のさらなる他の具体例として、包装された小さなチョコレート菓子を示している。図11は、図10中のチョコレート菓子の包装に付された表示コードの具体例を示している。図10において、包装に表示コード53が付されたチョコレート菓子54は、小さなチョコレート菓子であり、メッセージを表示できる領域は、チョコレート菓子54の表面に位置する包装上に形成された、1辺が例えば3cmの正方形状の領域のみである。表示コード53はこの正方形の小さな領域に付されている。表示コード53における記号配列パターンは、図11に示すように、その第1行がチョコレート菓子54の名称「XYZ CHOCO」を表しており、第2行がチョコレート菓子54のメーカー名「TSUKADAYA」を表している。そして、表示コード53における記号配列パターンに付加された付加情報は、チョコレート菓子54の成分、カロリー数値等を示す情報である。
【0057】
消費者は、店舗に陳列されたチョコレート菓子54を手に取り、表示コード53を目視することにより、チョコレート菓子54の名称とメーカー名を即座に認識することができる。さらに、消費者は、表示コード読取装置を用いて表示コード53を読み取ることにより、チョコレート菓子54の成分、カロリー数値等を認識することができる。
【0058】
このように、表示コード53が付されたチョコレート菓子54によれば、消費者に、目視を通じてチョコレート菓子54を概括的に特定するための情報を迅速に伝達することができると共に、表示コード読取装置を介してチョコレート菓子54についてのより詳細な情報を伝達することができる。
【0059】
また、表示コード53における記号配列パターンはメッセージを表しているため、チョコレート菓子54の包装に表示コード53を付しても、従来のバーコードや二次元コードを付す場合と比較して、包装を含めたチョコレート菓子54全体のデザインを悪化させることがない。
【0060】
また、表示コード53における記号配列パターンは、チョコレート菓子54の名称およびメーカー名を表しているため、チョコレート菓子54の表面や中央等の目立つ場所に表示コード53を付すことができる。
【0061】
また、チョコレート菓子54において、メッセージを表示できる領域はきわめて小さく、チョコレート菓子54の名称とメーカー名を表示したら、もはやこれ以上、他のメッセージを表示することはできない。したがって、従来のバーコードや二次元コードをチョコレート菓子54に付すことはできない。しかしながら、表示コード53は、それ自体がチョコレート菓子54の名称とメーカー名を表しているため、チョコレート菓子54の小さな領域に表示コード53を付すことができる。
【0062】
(表示コード生成装置)
図12は表示コード生成装置の構成を示している。図13は表示コード生成装置の表示部に表示された表示コード生成画面を示している。
【0063】
図12において、表示コード生成装置3は、表示コード1を生成する装置であり、パーソナルコンピュータ等により実現することができる。表示コード生成装置3は、記号配列パターン形成部61、情報付加部62、制御パターン形成部63、記憶部64、情報入出力部65、操作部66および表示部67を備えている。
【0064】
記号配列パターン形成部61は、表示コード1における記号配列パターン13を形成する。情報付加部62は、記号配列パターン13に付加情報45を付加する。制御パターン形成部63は、制御パターン、すなわち、ガイドパターン21、22、23、拡張パターン24、配列情報パターン25および識別情報パターン26を形成する。記号配列パターン形成部61、情報付加部62および制御パターン形成部63は、例えば、これらの機能を実現するためのコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータに読み取らせ、このコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータのCPU(Central Processing Unit)により実行させることにより具現化される。
【0065】
記憶部64は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の記憶媒体ないし記憶装置であり、パーソナルコンピュータが一般に備えているものを利用して具現化することができる。記憶部64には、図4に示すような各記号パターン14を例えば上述した方法で二値化した二値情報が記憶されている。また、記憶部64には、表示コード1の生成過程において組合せ情報41が記憶される。
【0066】
情報入出力部65は、USB(Universal Serial Bus)メモリやメモリーカード等の外部メモリを接続して外部メモリとの間で情報の読み書きを行うインタフェース、LAN(Local Area Network)を用いて他の機器と情報の通信を行うLANインタフェース、または光ディスクドライブ等であり、パーソナルコンピュータが一般に備えているものを利用して具現化することができる。情報入出力部65は、生成された表示コード1および組合せ情報41を出力する。
【0067】
操作部66は、例えばキーボード、マウス等であり、表示部67は例えば液晶ディスプレイである。これらは、パーソナルコンピュータが一般に備えているものを利用して具現化することができる。
【0068】
このような構成を有する表示コード生成装置3は次のように動作する。利用者が表示コード生成装置3を起動させると(例えば利用者がパーソナルコンピュータの電源入れ、オペレーティングシステムが起動した後に、表示コード生成装置3を実現するためのコンピュータプログラムを起動させると)、表示部67には、図13に示すような表示コード生成画面71が表示される。表示コード生成画面71は、利用者が表示コード生成装置3により表示コード1の生成作業を行うための画面である。
【0069】
表示コード生成画面71が表示された後、利用者はまず、表示コード1における記号配列パターン13の生成作業を行う。具体的には、利用者は、操作部66を操作し、表示コード1により人の目視を通じて伝達したいメッセージを表すテキスト(例えば「B12」)を、表示コード生成画面71のメッセージ入力領域72に入力し、入力が終了したら、パターン形成ボタン73を押下(クリック)する。
【0070】
これに応じ、記号配列パターン形成部61は、記憶部64に記憶された各記号パターン14の二値情報のうち、メッセージ入力領域72に入力されたテキストに対応するものを、当該テキストを形成する記号(例えば「B」、「1」、「2」)ごとに選択し、選択した記号パターンの二値情報を順次記号パターン14に変換して表示コード生成画面71の記号配列パターン表示領域74に表示する。これにより、記号配列パターン表示領域74には、利用者がメッセージ入力領域72に入力したテキストに対応する記号配列パターン13が表示される。
【0071】
次に、利用者は、記号配列パターン13に付加する付加情報45の生成作業を行う。具体的には、利用者は、操作部66を操作し、表示コード1を表示コード読取装置4で読み取らせることにより伝達したい情報を表すテキスト(例えば「A駅 B12 出口案内:LM運転免許試験場、…)を、表示コード生成画面71の付加情報入力領域75に入力し、入力が終了したら、登録ボタン76を押下する。
【0072】
これに応じ、情報付加部62は、付加情報入力領域75に入力されたテキストに対応する付加情報45を、記号配列パターン表示領域74に現在表示されている記号配列パターン13に付加する。具体的には、情報付加部62は、メッセージ入力領域72に入力されたテキストに対応するメッセージテキスト情報42と、記号配列パターン表示領域74に表示された記号配列パターン13に対応する記号パラメータ43と、最初に付加された付加情報45であることを示す付加情報識別番号44と、付加情報入力領域75に入力されたテキストに対応する付加情報45とを互いに組み合わせた組合せ情報41(図7参照)を生成し、この組合せ情報41を記憶部64に記憶する。
【0073】
次に、表示コード1を表示コード読取装置4で読み取らせることにより伝達したい情報がさらにある場合には、利用者は、追加ボタン77を押下する。すると、付加情報入力領域75がクリアされる。その後、利用者が、表示コード1を表示コード読取装置4で読み取らせることにより伝達したいさらなる情報を付加情報入力領域75に入力して登録ボタン76を押下する。これに応じ、情報付加部62は、2番目に付加された付加情報45であることを示す付加情報識別番号44と、付加情報入力領域75に今回新たに入力されたテキストに対応する付加情報45とを、直前に生成して記憶部64に記憶されている組合せ情報41に追加する。
【0074】
記号配列パターン13に付加する付加情報45の生成作業が終了したら、利用者は終了ボタン78を押下する。これに応じ、記号配列パターン形成部61および制御パターン形成部63は、表示コード1の外観を形成するパターンの全体(以下、これを「表示コードパターン」という。)を生成する。具体的には、記号配列パターン形成部61は、記号配列パターン表示領域74に現在表示されている記号配列パターン13に適合する大きさを有するコード空間11を生成し、このコード空間11に当該記号配列パターン13を配置する。さらに、制御パターン形成部63が、生成したコード空間11の各角部にガイドパターン21、22、23および拡張パターン24を配置する。さらに、制御パターン形成部63は、記号配列パターン表示領域74に現在表示されている記号配列パターン13の桁数および行数を表す配列情報パターン25を生成し、この配列情報パターン25を、生成したコード空間11の上端中央部に配置する。さらに、制御パターン形成部63は、当該記号配列パターン13に最初に付加された付加情報45の識別番号を表す識別情報パターン26を生成し、この識別情報パターン26を、生成したコード空間11の下端中央部に配置する。
【0075】
さらに、当該記号配列パターン13に複数の付加情報45が付加された場合には、記号配列パターン形成部61および制御パターン形成部63は、表示コードパターンを、当該記号配列パターン13に付加された付加情報45の個数に応じて複数生成する。このとき、制御パターン形成部63は、識別情報パターン26を、表示コードパターンごとに異ならせる。
【0076】
このように記号配列パターン形成部61および制御パターン形成部63により生成された、表示コードパターンは記憶部64に記憶される。
【0077】
その後、利用者は、記憶部64に記憶された表示コードパターンおよび組合せ情報41を、情報入出力部65を介して表示コード生成装置3から外部に出力させることが可能になる。利用者は、表示コード生成装置3から出力された表示コードパターンを用いて、表示コード1を物品に付す作業を行う。また、利用者は、表示コード生成装置3から出力された組合せ情報41を表示コード読取装置4に転送ないし入力し、表示コード読取装置4の記憶部に記憶する作業を行う。
【0078】
(表示コード読取装置)
図14は表示コード読取装置4の構成を示している。図14において、表示コード読取装置4は、物品に付された表示コード1を読み取る装置であり、例えば携帯電話機等の端末装置、あるいはコードリーダ装置等により実現することができる。表示コード読取装置4は、読取部81、記憶部82、認識部83、情報入出力部84、操作部85および表示部86を備えている。
【0079】
読取部81は、例えばスキャナまたはカメラ等であり、物品に表示された表示コード1を光学的に読み取る。読取部81は、物品に付された表示コード1を、当該物品から離れた位置で読み取ることができる。
【0080】
記憶部82は、例えばRAM、フラッシュメモリ等の記録媒体により構成されている。記憶部82には、組合せ情報41が記憶される。
【0081】
認識部83は、読取部81により読み取られた表示コード1における記号配列パターン13等を認識し、認識した記号配列パターン13に付加された付加情報45を、記憶部82に記憶された組合せ情報41に基づいて特定する。認識部83は、これを実現するためのコンピュータプログラムを、表示コード読取装置4に設けられたCPU等に実行させることにより具現化される。
【0082】
情報入出力部84は、USBメモリ、カードメモリ等との接続インタフェース、LANインタフェース、通信インタフェース等である。
【0083】
操作部85は表示コード読取装置4を操作するためのキースイッチ等である。表示部86は例えば液晶ディスプレイである。
【0084】
このような構成を有する表示コード読取装置4は次のように動作する。表示コード読取装置4による表示コード1の読取を開始する前に、利用者は、表示コード生成装置3により生成され、表示コード生成装置3から出力された組合せ情報41を、表示コード読取装置4の情報入出力部84を介して表示コード読取装置4に入力し、表示コード読取装置4の記憶部82に記憶する。
【0085】
そして、利用者は、表示コード読取装置4の読取部81を、物品に付された表示コード1に向け、操作部85を操作して読取部81による読取動作を開始させる。これに応じて、読取部81は、物品に付された表示コード1を撮影またはスキャンすることにより光学的に読み取る。
【0086】
続いて、認識部83が、読取部81により読み取られた表示コード1における記号配列パターン13等を認識し、認識した記号配列パターン13に付加された付加情報45を特定する。具体的には、認識部83は、読み取られた表示コード1におけるガイドパターン21、22、23を認識する。そして、認識部83は、ガイドパターン21、22、23の態様および配置に基づいて表示コード1の読取方向が適正かどうかを判定し、読取方向が誤っている場合には、読み取られた表示コード1の表示コードパターン(表示コード1の外観を形成するパターンの全体)を適正な方向となるように回転させる。また、認識部83は、ガイドパターン21、22、23の態様および配置に基づいて、読み取られた表示コード1の表示コードパターンの読取位置のずれやゆがみを補正する。さらに、認識部83は、読み取られた表示コード1の表示コードパターンのコントラストを強調し、ノイズを除去する。続いて、認識部83は、読み取られた表示コード1における記号配列パターン13、拡張パターン24、配列情報パターン25および識別情報パターン26を二値化する。続いて、認識部83は、二値化した配列情報パターン25を切り出して認識し、読み取られた表示コード1における記号配列パターン13の桁数および行数を認識する。続いて、認識部83は、認識した記号配列パターン13の桁数および行数に基づいて、二値化した記号配列パターン13を形成する個々の記号パターン14を切り出し、これらすでに二値化されている記号パターン14を接続して記号パラメータ43を生成する。さらに、認識部83は、二値化した識別情報パターン26を切り出して認識し、付加情報識別番号44を認識する。さらに、認識部83は、必要に応じて、拡張パターン24を切り出して認識し、所定の処理を行う。続いて、認識部83は、記憶部82に記憶された組合せ情報41を参照し、生成した記号パラメータ43に組み合わされた付加情報45を特定する。ここで、生成した記号パラメータ43に組み合わされた付加情報45が複数ある場合には、これら複数の付加情報45のうちから、認識した付加情報識別番号44が指し示す1つの付加情報45を特定する。
【0087】
そして、認識部83により特定された付加情報45は、表示部86に表示される。これにより、利用者は、物品に付された表示コード1における記号配列パターン13が表すメッセージを目視により取得すると同時に、当該記号配列パターン13に付加された付加情報45を、表示コード読取装置4の表示部86を見ることにより取得する。
【0088】
以上説明した通り、本発明の実施形態による表示コード1(51、53)によれば、人が目視して認識可能なメッセージを発信することができるので、表示コード1(51、53)が付された物品を直接目視する者に対して有意義な情報を即座に提供することができる。また、表示コード1(51、53)を付したために物品のデザインが悪化することを防止することができる。
【0089】
さらに、本発明の実施形態による表示コード1(51、53)によれば、人が目視して認識可能なメッセージを発信することができるので、人が目視して認識可能なメッセージを発信することができない従来のバーコードや二次元コードと比較して、物品の利用態様や形態等に制限されずに、表示コード1(51、53)を様々な物品に付することができ、表示コード1(51、53)の利用の自由度を高め、表示コード1(51、53)の利用範囲を拡大することができる。例えば、上述した表示コード53を小さなチョコレート菓子54に付す場合のように、物品の表面や中央等の目立つ場所に表示コード1(51、53)を配置することができ、あるいは、表面積が小さい物品にも表示コード1(51、53)を付すことができる。
【0090】
また、表示コード1(51、53)においてガイドパターン21、22、23を配置することにより、表示コード読取装置4による表示コード1(51、53)の読取および認識の精度を高めることができる。
【0091】
また、表示コード1(51、53)において配列情報パターン25を配置することにより、表示コード読取装置4により記号配列パターン13の認識を行う際に、個々の記号パターン14の切り出し精度を高めることができ、記号配列パターン13の認識精度を向上させることができる。
【0092】
さらに、表示コード1(51、53)における記号配列パターン13に複数の付加情報45を付加することを可能とすることにより、記号配列パターン13が同一で付加情報45が異なる複数の表示コード1(51、53)を簡単に生成することができる。例えば、図1および図7に示すように、地下鉄駅の出口番号「B12」を表す記号配列パターン13に、A駅用の出口案内を示す付加情報45、B駅用の出口案内を示す付加情報45、C駅用の出口案内を示す付加情報45をそれぞれ付加することにより、同じ出口番号を有する複数の異なる地下鉄駅に用いられる案内板2に付すべき複数の表示コード1(51、53)を簡単に生成することができる。
【0093】
また、表示コード1(51、53)において識別情報パターン26を配置することにより、表示コード読取装置4に、記号配列パターン13に付加された複数の付加情報45のうちの1つを容易かつ高精度に特定させることができる。
【0094】
また、本発明の実施形態による表示コード生成装置3によれば、上述した作用効果を有する表示コード1(51、53)を容易に効率よく生成することができる。さらに、本発明の実施形態による表示コード読取装置4によれば、物品に付された表示コード1の高精度な読取および認識を行うことができ、読み取った表示コード1における記号配列パターン13に付加された付加情報45を効率よく特定して利用者に提供することができる。
【0095】
なお、上述した実施形態では、コード空間11の外形を四角形としたが、これを他の形状としてもよい。また、コード空間11における各升目12の形状や各パターン要素15についても、正方形に限らない。
【0096】
また、上述した実施形態では、升目12が縦方向に13個、横方向に5個配列された合計65個の升目12からなる記号パターン領域31に個々の記号パターン14を形成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。記号パターン領域31を形成する升目12の個数を減らしまたは増やしてもよい。もっとも、升目12が縦方向に13個、横方向に5個配列された合計65個の升目12からなる記号パターン領域31に個々の記号パターン14を形成する構成によれば、パーソナルコンピュータのキーボードをタイプすることにより直接入力してモニタに表示することが可能な全ての記号(JISコード32ないし126)の記号パターン14を、必要最小限の個数の升目12により形成することができる。これにより、認識処理の簡単化を図りながら、記号配列パターン13の認識率を高めることができる。
【0097】
また、表示パターン1における記号配列パターン13に複数の色を設定してもよい。この場合には、表示コード1における制御パターンとして、色情報を示す制御パターン(色情報パターン)を追加することが望ましい。色情報を示す制御パターンとして、例えば、各色を示した8ビットないし24ビット程度の二値情報(例えば黒色が00000000で、白色が11111111など)を表したパターンを用いることができる。さらに、この場合には、表示コード生成装置3において、記号配列パターン形成部に、記号配列パターン13に色を設定する機能を追加すると共に、制御パターン形成部63に、色情報を示す制御パターンを生成して、コード空間11に配置する機能を追加することが望ましい。
【0098】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う表示コードが付された物品、表示コード生成装置および情報伝達方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1、51、53 表示コード
2 案内板(物品)
3 表示コード生成装置
4 表示コード読取装置
11 コード空間(二次元空間)
12 升目
13 記号配列パターン
14 記号パターン
15 パターン要素
21、22、23 ガイドパターン
24 拡張パターン
25 配列情報パターン
26 識別情報パターン
41 組合せ情報
42 メッセージテキスト情報(テキスト情報)
43 記号パラメータ(二値情報)
45 付加情報
52 電子回路基板(物品)
54 チョコレート菓子(物品)
61 記号配列パターン形成部(パターン形成手段)
62 情報付加部(情報付加手段)
63 制御パターン形成部(ガイドパターン形成手段、配列情報パターン形成手段、識別情報パターン形成手段、色情報パターン形成手段)
64 記憶部
65 情報入出力部
81 読取部
82 記憶部(記憶媒体)
83 認識部
84 情報入出力部
86 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の升目を格子状に配列することにより形成される二次元空間における前記複数の升目のうちから1つ以上の升目を選び、この選ばれた各升目に所定の形状を有するパターン要素を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターンが形成され、かつ、前記二次元空間における前記複数の升目のうち、前記記号配列パターンを形成するために、前記パターン要素が配置された升目をオンとし、前記パターン要素が配置されていない升目をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報に前記メッセージと異なる付加情報が付加された表示コードが付された物品。
【請求項2】
前記表示コードが形成される前記二次元空間には、読取装置により前記表示コードを読み取るときに前記読取装置と前記表示コードとの位置ずれを補正し、または前記読取装置が前記表示コードの読取方向を認識するためのガイドパターンが配置されている請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記表示コードが形成される前記二次元空間には、前記記号配列パターンの桁数、行数または記号数を示す配列情報パターンが配置されている請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記二値情報には複数の付加情報が付加され、前記表示コードが形成される前記二次元空間には、前記二値情報に付加された各付加情報を識別するための識別情報パターンが配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の物品。
【請求項5】
前記表示コードが形成される前記二次元空間には、前記記号配列パターンの色を示す色情報パターンが配置されている請求項1ないし4のいずれかに記載の物品。
【請求項6】
人が目視してメッセージとして認識可能でありかつ機器により認識可能な記号配列パターンに前記メッセージとは異なる付加情報を付加することにより形成される表示コードを生成する表示コード生成装置であって、
複数の升目を格子状に配列することにより形成される二次元空間における前記複数の升目のうちから1つ以上の升目を選び、この選ばれた各升目に所定の形状を有するパターン要素を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターンを形成するパターン形成手段と、
前記パターン形成手段により前記記号配列パターンが形成された前記二次元空間における前記複数の升目のうち、前記記号配列パターンを形成するために、前記パターン要素が配置された升目をオンとし、前記パターン要素が配置されていない升目をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報に前記メッセージと異なる付加情報を付加する情報付加手段とを備えている表示コード生成装置。
【請求項7】
読取装置により前記表示コードを読み取るときに前記読取装置と前記表示コードとの位置ずれを補正し、または前記読取装置が前記表示コードの読取方向を認識するためのガイドパターンを前記二次元空間に配置するガイドパターン形成手段を備えている請求項6に記載の表示コード生成装置。
【請求項8】
前記記号配列パターンの桁数、行数または記号数を示す配列情報パターンを前記二次元空間に配置する配列情報パターン形成手段を備えている請求項6または7に記載の表示コード生成装置。
【請求項9】
前記情報付加手段は前記二値情報に複数の付加情報を付加し、
前記二値情報に付加された各付加情報を識別するための識別情報パターンを前記二次元空間に配置する識別情報パターン形成手段を備えている請求項6ないし8のいずれかに記載の表示コード生成装置。
【請求項10】
前記パターン形成手段は前記記号配列パターンの色を設定し、
前記記号配列パターンの色を示す色情報パターンを前記二次元空間に配置する色情報パターン形成手段を備えている請求項6ないし9のいずれかに記載の表示コード生成装置。
【請求項11】
複数の升目を格子状に配列することにより形成される二次元空間における前記複数の升目のうちから1つ以上の升目を選び、この選ばれた各升目に所定の形状を有するパターン要素を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターンが形成され、かつ、前記二次元空間における前記複数の升目のうち、前記記号配列パターンを形成するために、前記パターン要素が配置された升目をオンとし、前記パターン要素が配置されていない升目をオフとし、これらの升目のオン、オフによって特定される二値情報に前記メッセージと異なる付加情報が付加された表示コードを生成する表示コード生成装置により前記表示コードを生成するステップと、
前記表示コード生成装置により生成された前記表示コードにおける前記メッセージを表すテキスト情報および前記付加情報の組み合わせまたは前記二値情報および前記付加情報の組み合わせを含む組合せ情報を読取装置に設けられた記憶媒体に記憶するステップと、
前記表示コードが付された物品を人が目視し得る場所に配置した後、当該物品に付された前記表示コードを前記読取装置により読み取るステップと、
前記読取装置により、読み取った前記表示コードに対応する前記付加情報を、前記読取装置の前記記憶媒体に記憶された前記組合せ情報に基づいて特定し、この特定した前記付加情報を前記読取装置から出力するステップとを備えた情報伝達方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−108188(P2011−108188A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265445(P2009−265445)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【特許番号】特許第4629788号(P4629788)
【特許公報発行日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(509255299)
【Fターム(参考)】