説明

表示システム

【課題】 簡単な操作で、適切な設定変更を行うことができる表示システムを提供する。
【解決手段】 リモコン1から表示装置Aに対して輝度を変更するためのコマンド1が送信されると、表示装置Bは、自装置の輝度値を「1」から「2」へ変更するとともに、他の表示装置の輝度値を「2」に変更するためのコマンド2をリモコン1へ送信する。リモコン1は、コマンド2に基づいて表示装置Bおよび表示装置Cに対して輝度値をそれぞれ「2」に変更するためのコマンド3を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示装置で構成された表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチディスプレイシステムまたはテレビ会議システムは、たとえば複数の表示装置を備えた表示システムである。表示装置の設定値のうち、ユーザが調整可能な設定値には、たとえばスピーカの音量、表示画面の輝度などがある。
【0003】
これらのシステムにおいて、たとえば、各表示装置の設定値の変更を行う場合、変更の対象となる装置に対して設定変更用のコマンドを入力し、表示装置の設定値の変更を行う。
【0004】
変更の対象となる装置が複数ある場合は、複数の装置に対して、有線接続した入力装置から入力してもよいが、赤外線などを利用した無線通信によって入力する遠隔制御用のコマンド入力装置、いわゆるリモートコントローラを用いるほうが、使い勝手がよい。
【0005】
ユーザは、表示装置から離れた場所でリモートコントローラを操作して設定値変更用のコマンドを入力するようにすればよい。
【0006】
ユーザが表示装置を変更しようとするのは、複数の表示装置のうち1つだけ輝度が小さい、音量が小さいなど表示システム全体として統一されていない設定値となっている場合が多い。このとき、ユーザは、設定値が異なっている表示装置に対して、表示システム全体の統一感を得られるように、たとえば他の装置と同じ設定値となるように変更用のコマンドを入力する。
【0007】
しかしながら、複数の表示装置のうち設定が他の装置と異なっている表示装置を見つけ出してその装置に対して設定変更用のコマンドを入力することは困難である。もし見つけ出せたとしても、どの程度設定値を変更すればよいのかを決定することが困難である。
【0008】
特許文献1には、コマンドを入力すると、入力コマンドに付随する付随メモリから付随機能を読み出し、機能を選択すればその機能を駆動するとともに、付随する機能も駆動する音響映像機器装置が開示されている。
【0009】
特許文献2には、キー機能を表わす表示がキートップかキー周辺に施され、1つのキーが押されると、次に押すべきキーが点灯して受付可能となるリモコン装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−5263号公報
【特許文献2】特開平4−299695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1,2に記載の発明を利用したとしても、システムを構成する表示装置のうちのいずれの表示装置に対して調整を行えばいいのか、どのような調整を行えばいいのかがわからず、適切に設定値を調整することができないという問題がある。
【0012】
また、表示システムを構成する複数の表示装置について設定値の変更を行おうとすると、変更の対象となる表示装置の数と同じ数だけ設定値を変更するための操作が必要となるので、表示装置の数が多くなれば、操作の回数が多くなりユーザの負荷が大きくなるという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、簡単な操作で、適切な設定変更を行うことができる表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、通信可能に接続された複数の表示装置と、表示装置に対して命令情報を入力する遠隔制御装置とを有する表示システムであって、
前記遠隔制御装置は、
ユーザの操作によって命令を入力するための入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記命令に基づいて、前記表示装置に送信する第1命令情報を作成する第1作成手段と、
前記表示装置から送信される第2命令情報を受信する遠隔制御装置受信手段と、
前記受信手段が受信した第2命令情報に基づいて、前記第2命令情報を送信した表示装置以外の表示装置の少なくともいずれか1つに送信する第3命令情報を作成する第2作成手段と、
前記第1作成手段が作成した第1命令情報および前記第2作成手段が作成した第3命令情報を前記表示装置に送信する遠隔制御装置送信手段とを備え、
前記表示装置は、
画像を表示する表示手段と、
前記第1命令情報および前記第3命令情報を受信する表示装置受信手段と、
前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報または前記第3命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置の少なくともいずれか1つに対する命令を含む前記第2命令情報を作成する表示装置作成手段と、
前記遠隔制御装置に前記第2命令情報を送信する表示装置送信手段とを備えることを特徴とする表示システムである。
【0015】
また本発明は、前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の輝度値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、変更後の輝度値が、前記第1命令に従って変更された輝度値と同じ値になるように指定する第2命令および第3命令を含むことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の輝度値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量として、前記第1命令で指定する前記変化量と同じ変化量を指定する第2命令および第3命令をそれぞれ含むことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記表示装置は、音声を出力する音声出力手段をさらに備え、
前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の音量値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、変更後の音量値が、前記第1命令に従って変更された音量値と同じ値になるように指定する第2命令および第3命令を含むことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記表示装置は、音声を出力する音声出力手段をさらに備え、
前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の音量値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量として、前記第1命令で指定する前記変化量と同じ変化量を指定する第2命令および第3命令をそれぞれ含むことを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、複数の表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成し、
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報に基づいて、前記複数の表示装置に送信する前記第3命令情報を作成することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、1つの表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成し、
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報に基づいて、前記1つの表示装置に送信する前記第3命令情報を作成し、
前記1つの表示装置が備える前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第3命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、前記1つの表示装置に対する第2命令情報を作成した表示装置とは異なる1つの表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成し、
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報であって、前記1つの表示装置が備える前記表示装置作成手段が作成した第2命令情報に基づいて、前記1つの表示装置に対する第2命令情報を作成した表示装置とは異なる1つの表示装置に送信する前記第3命令情報を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、前記遠隔制御装置では、ユーザが入力手段を操作することによって命令が入力されると、第1作成手段は、入力された前記命令に基づいて、前記表示装置に送信する第1命令情報を作成する。遠隔制御装置送信手段は、前記第1作成手段が作成した第1命令情報を前記表示装置に送信する。
【0022】
前記表示装置では、表示装置受信手段が前記第1命令情報を受信すると、表示装置作成手段が、受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置の少なくともいずれか1つに対する命令情報である第2命令情報を作成する。表示装置送信手段は、前記遠隔制御装置に前記第2命令情報を送信する。
【0023】
前記遠隔制御装置では、遠隔制御装置受信手段が、前記表示装置から送信される第2命令情報を受信し、第2作成手段が、第2命令情報に基づいて、前記第2命令情報を送信した表示装置以外の表示装置の少なくともいずれか1つに送信する第3命令情報を作成する。遠隔制御装置送信手段は、前記第2作成手段が作成した第3命令情報を前記表示装置に送信する。
【0024】
ユーザの操作によって第1命令情報が作成されると、その後に作成される第2命令情報および第3命令情報は、ユーザの操作によらず作成される。
【0025】
したがって、ユーザは、複数の表示装置に対して命令情報を入力する必要があっても、第1命令情報を作成するための命令を入力する操作を行うだけでよいので、簡単な操作で、複数の表示装置の設定変更を行うことができる。また、他の表示装置に対する命令情報は、遠隔制御装置から命令情報を受信した表示装置が作成する命令情報に含まれる命令に基づいて作成されるので、ユーザが他の表示装置に対する命令の具体的な内容を決定する必要がないので、適切な設定変更を行うことができる。
【0026】
また本発明によれば、前記第1命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量を指定する第1命令を含み、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、変更後の輝度値が、前記第1命令に従って変更された輝度値と同じ値になるように指定する第2命令および第3命令を含む。
【0027】
これにより、遠隔制御装置によって、表示手段の輝度値の設定変更を行うことができる。詳細には、ユーザの操作によって、1つの表示装置に、現在の輝度値に対する変化量が指定されると、他の表示装置は、その表示装置の変更後の輝度値と同じ輝度値に設定される。
【0028】
このように、簡単な操作で、複数の表示手段の輝度値を同じ値に設定することができる。
【0029】
また本発明によれば、前記第1命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量を指定する第1命令を含み、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量として、前記第1命令で指定する前記変化量と同じ変化量を指定する第2命令および第3命令を含む。
【0030】
これにより、遠隔制御装置によって、表示手段の輝度値の設定変更を行うことができる。詳細には、ユーザの操作によって、1つの表示装置に、現在の輝度値に対する変化量が指定されると、他の表示装置は、その表示装置の変化量と同じ変化量で変更される。
【0031】
このように、簡単な操作で、複数の表示手段の輝度値を同じ変化量で変更することができる。
【0032】
また本発明によれば、前記第1命令情報は、音声出力手段の現在の音量値に対する変化量を指定する第1命令を含み、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、変更後の音量値が、前記第1命令に従って変更された音量値と同じ値になるように指定する第2命令および第3命令を含む。
【0033】
これにより、遠隔制御装置によって、音声出力手段の音量値の設定変更を行うことができる。詳細には、ユーザの操作によって、1つの表示装置に、現在の音量値に対する変化量が指定されると、他の表示装置は、その表示装置の変更後の音量値と同じ音量値に設定される。
【0034】
このように、簡単な操作で、複数の音声出力手段の音量値を同じ値に設定することができる。
【0035】
また本発明によれば、前記第1命令情報は、音声出力手段の現在の音量値に対する変化量を指定する第1命令を含み、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量として、前記第1命令で指定する前記変化量と同じ変化量を指定する第2命令および第3命令を含む。
【0036】
これにより、遠隔制御装置によって、音声出力手段の音量値の設定変更を行うことができる。詳細には、ユーザの操作によって、1つの表示装置に、現在の音量値に対する変化量が指定されると、他の表示装置は、その表示装置の変化量と同じ変化量で変更される。
【0037】
このように、簡単な操作で、複数の音声出力手段の音量値を同じ変化量で変更することができる。
【0038】
また本発明によれば、前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、複数の表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成する。前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報に基づいて、前記複数の表示装置に送信する前記第3命令情報を作成する。
【0039】
これにより、遠隔制御装置は、複数の表示装置に対して同時に命令情報を送信することができる。
【0040】
また本発明によれば、前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、1つの表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成する。前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報に基づいて、前記1つの表示装置に送信する前記第3命令情報を作成する。
【0041】
前記1つの表示装置が備える前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第3命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、前記1つの表示装置に対する第2命令情報を作成した表示装置とは異なる1つの表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成する。
【0042】
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報であって、前記1つの表示装置が備える前記表示装置作成手段が作成した第2命令情報に基づいて、前記1つの表示装置に対する第2命令情報を作成した表示装置とは異なる1つの表示装置に送信する前記第3命令情報を作成する。
【0043】
要するに、命令情報を受信した表示装置は、自装置以外の別の表示装置に対する命令を含む命令情報を作成して遠隔制御装置に送信し、遠隔制御装置は、受信した命令情報に基づいて、前記別の表示装置に命令情報を送信し、これを順次繰り返し行うことで、複数の表示装置の設定変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】リモコン1の構成を示すブロック図である。
【図2】表示装置8の構成を示すブロック図である。
【図3】表示システム100の第1動作例を表わす模式図である。
【図4】第1動作例を実行するときの表示システム100の全体フローを示す図である。
【図5】表示システム100の第2動作例を表わす模式図である。
【図6】第2動作例を実行するときの表示システム100の全体フローを示す図である。
【図7】表示システム100の第3動作例を表わす模式図である。
【図8】第3動作例を実行するときの表示システム100の全体フローを示す図である。
【図9】表示システム200の第1動作例を表わす模式図である。
【図10】情報処理装置13の構成を示すブロック図である。
【図11】第1動作例を実行するときの表示システム200の全体フローを示す図である。
【図12】各装置の機能51と、その機能を示す機能コード52との対応関係表50を示す図である。
【図13】各装置名61と、その装置を示す機器コード62との対応関係表60を示す図である。
【図14】処理テーブルフォーマット20およびコマンドフォーマット30を示す図である。
【図15】表示システム100の第1動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【図16】表示システム100の第2動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【図17】表示システム100の第3動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【図18】表示システム200の第1動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【図19】リモコン1の設定値変更処理を示すフローチャートである。
【図20A】表示装置8の設定値変更処理を示すフローチャートである。
【図20B】表示装置8の設定値変更処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の表示システムは、複数の表示装置で構成され、たとえばマルチディスプレイシステムで実現される。マルチディスプレイシステムは、複数の表示装置を一列状、マトリクス状などに配置し、1つの画像を分割して表示したり、それぞれの表示装置に表示される画像を連動させたりすることで様々な表示態様に適用可能とする表示システムである。
【0046】
表示システムの各表示装置は、画面表示設定、音声出力設定などを個別に設定することが可能に構成されている。画面表示設定であれば、画面の輝度の変更、表示色の変更などを設定することが可能であり、音声出力設定であれば、音量の変更、主音声・副音声の変更などを設定することが可能である。これらの設定は、たとえば遠隔制御装置であるリモートコントローラ(以下では単に「リモコン」と略称する。)から無線通信または有線通信によって、設定を変更するための命令情報が送信され、表示装置がこれを受信し、受信した命令情報に従って行われる。
【0047】
表示システムは、同じ仕様の表示装置によって構成される場合が多く、上記のような設定に必要な命令情報の入力は、1つのリモコンで複数の表示装置に対応することが可能である。表示システムは、上記のように様々な表示態様に適用可能とするため、複数の表示装置を一体的に動作させる必要がある。したがって、表示システムを構成する表示装置について設定の変更を行う場合には、全ての表示装置に対して設定変更を行う可能性が高い。設定の変更、すなわち命令情報の送信は、リモコンを操作することによって行われるので、1つの表示装置に対して1回のリモコン操作を行うと、表示システムに対する1度の設定変更において、表示装置の数と同数のリモコン操作が必要となる。また、表示システムの設定変更としては、システム全体に統一感を持たせるために、現在の設定値からの変更値(以下では「設定差分値」ということがある。)を全ての表示装置について同じとするか、変更後の設定値(以下では「設定絶対値」ということがある。)を全ての表示装置について同じとするかが必要となる。
【0048】
本発明のような表示システムの設定を変更しようとすると、リモコンの操作回数が多くなり、さらに設定値を特定の値に変更しなければならないので、困難な作業となる。
【0049】
本発明は、リモコンの操作回数を少なく、たとえば1回の操作で全ての表示装置の設定変更が可能であり、容易に設定値の変更を行うことができる。まず、リモコンから表示システムを構成する表示装置のいずれか1つの表示装置に対して設定変更のための命令情報が送信されると、これを受信した表示装置は、自装置に対する命令情報を実行するとともに、予め記憶されている他装置情報および設定値情報をリモコンに対して送信する。リモコンはこれらの情報を受信し、受信した情報に基づいて他の表示装置に命令情報を送信する。この場合の命令情報の送信は、リモコン操作を必要としない。
【0050】
以下では、本発明の実施形態である表示システムを構成する表示装置およびリモコンについて詳細に説明する。
【0051】
図1は、リモコン1の構成を示すブロック図である。リモコン1は、キーボード部2、制御部3、記憶部4および無線通信部5を備え、さらにリモコン1を駆動するための電力源として電源(バッテリ、乾電池など)6および時計部7を備える。
【0052】
キーボード部2は、表示装置の電源をオンまたはオフするときに押下する電源キー2a、表示装置の出力音量をオンするときに押下する音量ONキー2b、表示装置の出力音量をオフするときに押下する音量OFFキー2c、表示装置の出力音量の設定値を現在の値から1単位大きくするときに押下する音量大キー2d、表示装置の出力音量の設定値を現在の値から1単位小さくするときに押下する音量小キー2e、表示装置の画面輝度の設定値を現在の値から1単位大きくするときに押下する輝度大キー2f、表示装置の画面輝度の設定値を現在の値から1単位小さくするときに押下する輝度小キー2g、表示装置のバックライトを点灯させるときに押下するバックライトONキー2hおよび表示装置のバックライトを消灯させるときに押下するバックライトOFFキー2iを含む。キーボード部2は、これらのキーの他に、表示装置の動作を制御するために必要なキー、たとえば設定画面を表示させるためのメニューキー、数字やアルファベットなどを含む文字を入力するための文字キー、画面表示されるカーソルや反転表示箇所などの位置を変更するための4方向カーソルキーなどを含む入力手段である。
【0053】
制御部3は、リモコン1全体の動作制御を行い、本発明特有の構成として、表示装置から送信される命令情報(以下では単に「コマンド」ということがある。)の受信を監視するコマンド受信監視部3a、受信したコマンドから機器コードおよび機能コードを判断するコマンド判断部3bおよび他の装置に送信するコマンドを生成する第1作成手段、第2作成手段であるコマンド生成部3cを含む。
【0054】
記憶部4は、各種プログラム、各種設定値、動作に必要な情報を一時的または永続的に記憶する。記憶部4に記憶されるプログラムとしては、たとえばリモコン1の全体動作を制御するための制御プログラム4a、受信したコマンドから機能コードを抽出するための機能コード抽出処理プログラム4b、受信したコマンドから機器コードを抽出するための機器コード抽出処理プログラム4c、機能コードおよび機器コードから、表示装置に送信するコマンドを生成するコマンド生成プログラム4dなどがある。
【0055】
無線通信部5は、遠隔制御装置受信手段である受信部5aおよび遠隔制御装置送信手段である送信部5bを含み、表示装置と無線接続によりデータ通信する。受信部5aは、表示装置から送信されるコマンドを受信する。送信部5bは、表示装置へコマンドを送信する。無線通信部5は、たとえば赤外線を信号伝達媒体とする無線通信方式によりデータ通信を行う。
【0056】
図2は、表示装置8の構成を示すブロック図である。表示装置8は、制御部9、記憶部10、表示部11および無線通信部12を備える。
【0057】
制御部9は、表示装置8全体の動作制御を行い、入力される画像データに基づく画像を表示部11に表示させる。制御部9は、本発明特有の構成として、リモコン1から送信されるコマンドの受信を監視するコマンド受信監視部9a、受信したコマンドから機器コードおよび機能コードを判断するコマンド判断部9b、リモコン1に送信するコマンドを生成する表示装置作成手段であるコマンド生成部9c、表示部11の画面輝度の現在設定値を取得する輝度値取得部9d、出力音量の現在設定値を取得する音量値取得部9e、受信したコマンドに含まれる送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較する機器コード比較部9f、受信したコマンドに含まれる機能コードを分析する機能コード分析部9g、送信する機器コードを判断し、送信機能コードを抽出する送信機器コード抽出・判断部9hおよび送信先機器コードを抽出する送信先機器コード抽出部9iを有する。
【0058】
記憶部10は、各種プログラム、各種設定値、動作に必要な情報を一時的または永続的に記憶する。記憶部10に記憶されるプログラムとしては、たとえば表示装置8の全体動作を制御するための制御プログラム10c、受信したコマンドから機能コードを抽出するための機能コード抽出処理プログラム10d、受信したコマンドから機器コードを抽出するための機器コード抽出処理プログラム10e、機能コードおよび機器コードから、リモコン1に送信するコマンドを生成するコマンド生成プログラム10f、後述の処理テーブルを検索する処理テーブル検索プログラム10gなどがある。また、記憶部10は、他の装置と識別可能なように自装置に割り当てられた機器コード10aと、受信したコマンドに対応して次に行う処理を記述した処理テーブル10bを記憶する。
【0059】
表示部11は、液晶表示パネル、プラズマ表示パネルなどの画像表示パネルで実現され、制御部9の制御内容に従って、画像を表示する。表示部11は、音声出力部であるスピーカ11aを有する。表示部11に表示する画像データおよびスピーカ11aから出力する音声データは、図示しない入力コネクタを介して外部から入力される。
【0060】
無線通信部12は、表示装置受信手段である受信部12aおよび表示装置送信手段である送信部12bを含み、リモコン1と無線接続によりデータ通信する。受信部12aは、リモコン1から送信されるコマンドを受信する。送信部12bは、リモコン1へコマンドを送信する。無線通信部12は、たとえば赤外線を信号伝達媒体とする無線通信方式によりデータ通信を行う。
【0061】
図3は、表示システム100の第1動作例を表わす模式図である。図4は、第1動作例を実行するときの表示システム100の全体フローを示す図である。
【0062】
第1動作例は、表示部11の輝度調整を行う場合を例としている。表示システム100は、リモコン1と表示装置8とで構成され、本実施形態では1つのリモコンと3台の表示装置A,B,Cで構成されている。表示装置A,B,Cの輝度の現在の設定値はいずれも「1」である。
【0063】
まず、リモコン1がユーザによって操作され、リモコン1から表示装置Aに対して表示部11の画面輝度の設定値を現在値から1単位大きくするコマンド(コマンド1)を送信する。表示装置Aは、コマンド1を受信し、その内容に従って画面輝度の設定値を現在値の「1」から1単位大きくして「2」に変更するとともに、処理テーブルの記述に基づいて、自装置以外の他の装置の設定値の変更内容を含むコマンド(コマンド2)を作成してリモコン1へと送信する。図3に示した例では、表示装置Aから送信されるコマンド2には、表示装置Bおよび表示装置Cの設定値の変更内容が含まれている。また、変更内容は、画面輝度の設定値を「2」に設定するというものである。
【0064】
リモコン1は、表示装置Aからコマンド2を受信すると、その内容に従って表示装置Bおよび表示装置Cに対して、画面輝度の設定値を「2」に設定するコマンド3を送信する。表示装置Bおよび表示装置Cは、コマンド3を受信すると、その内容に従って画面輝度の設定値を「2」に設定する。
【0065】
コマンド3は、リモコン1がユーザによって操作されなくても表示装置Aからコマンド1を受信したことを条件として送信される。したがって、表示システム100を構成する全ての表示装置A,B,Cについて画面輝度を変更するためにリモコン1を操作する回数は、最初の1回だけで済むことになる。さらに、表示装置B,Cの変更内容は、表示システム全体としての統一感が保持されるように、表示装置Aによって決定される。第1動作例では、表示装置B,Cの変更後の設定値が、表示装置Aの変更後の設定値と同じとなるように決定される。
【0066】
図5は、表示システム100の第2動作例を表わす模式図である。図6は、第2動作例を実行するときの表示システム100の全体フローを示す図である。
【0067】
第2動作例は、表示部11の輝度調整を行う場合を例としている。表示システム100は、リモコン1と表示装置8とで構成され、本実施形態では1つのリモコンと3台の表示装置A,B,Cで構成されている。表示装置A,B,Cの輝度の現在の設定値はいずれも「1」である。
【0068】
まず、リモコン1がユーザによって操作され、リモコン1から表示装置Aに対して表示部11の画面輝度の設定値を現在値から1単位大きくするコマンド(コマンド1)を送信する。表示装置Aは、コマンド1を受信し、その内容に従って画面輝度の設定値を現在値の「1」から1単位大きくして「2」に変更するとともに、処理テーブルの記述に基づいて、表示装置Bの設定値の変更内容を含むコマンド(コマンド2)を作成してリモコン1へと送信する。図5に示した例では、表示装置Aから送信されるコマンド2には、表示装置Bの設定値の変更内容が含まれている。また、変更内容は、画面輝度の設定値を「2」に設定するというものである。
【0069】
リモコン1は、表示装置Aからコマンド2を受信すると、その内容に従って表示装置Bに対して、画面輝度の設定値を「2」に設定するコマンド3を送信する。表示装置Bは、コマンド3を受信し、その内容に従って画面輝度の設定値を現在値の「1」から1単位大きくして「2」に変更するとともに、処理テーブルの記述に基づいて、表示装置Cの設定値の変更内容を含むコマンド(コマンド4)を作成してリモコン1へと送信する。図5に示した例では、表示装置Bから送信されるコマンド4には、表示装置Cの設定値の変更内容が含まれている。また、変更内容は、画面輝度の設定値を「2」に設定するというものである。リモコン1は、表示装置Bからコマンド4を受信すると、その内容に従って表示装置Cに対して、画面輝度の設定値を「2」に設定するコマンド5を送信する。表示装置Cは、コマンド5を受信すると、その内容に従って画面輝度の設定値を「2」に設定する。
【0070】
リモコン1から送信されるコマンド3およびコマンド5は、リモコン1がユーザによって操作されなくても表示装置Aからコマンド2を受信したことを条件としてコマンド3が送信され、表示装置Bからコマンド4を受信したことを条件としてコマンド5が送信される。したがって、表示システム100を構成する全ての表示装置A,B,Cについて画面輝度を変更するためにリモコン1を操作する回数は、最初の1回だけで済むことになる。さらに、表示装置Bの変更内容および表示装置Cの変更内容は、表示システム全体としての統一感が保持されるように、表示装置Aおよび表示装置Bによってそれぞれ決定される。第2動作例では、表示装置B,Cの変更後の設定値が、表示装置Aの変更後の設定値と同じとなるように決定される。
【0071】
図7は、表示システム100の第3動作例を表わす模式図である。図8は、第3動作例を実行するときの表示システム100の全体フローを示す図である。
【0072】
第3動作例は、表示装置の音声出力部(スピーカ)などの出力音量調整を行う場合を例としている。表示システム100は、リモコン1と表示装置8とで構成され、本実施形態では1つのリモコンと3台の表示装置A,B,Cで構成されている。表示装置A,B,Cの音量の現在の設定値はいずれも「2」である。
【0073】
まず、リモコン1がユーザによって操作され、リモコン1から表示装置Aに対して出力音量の設定値を現在値から1単位大きくするコマンド(コマンド1)を送信する。表示装置Aは、コマンド1を受信し、その内容に従って出力音量の設定値を現在値の「2」から1単位大きくして「3」に変更するとともに、処理テーブルの記述に基づいて、表示装置Cの設定値の変更内容を含むコマンド(コマンド2)を作成してリモコン1へと送信する。図7に示した例では、表示装置Aから送信されるコマンド2には、表示装置Cの設定値の変更内容が含まれている。また、変更内容は、出力音量の設定値を「3」に設定するというものである。
【0074】
リモコン1は、表示装置Aからコマンド2を受信すると、その内容に従って表示装置Cに対して、出力音量の設定値を「3」に設定するコマンド3を送信する。表示装置Cは、コマンド3を受信すると、その内容に従って出力音量の設定値を「3」に設定する。
【0075】
コマンド3は、リモコン1がユーザによって操作されなくても表示装置Aからコマンド1を受信したことを条件として送信される。したがって、ユーザが、表示装置A,Cについて出力音量を変更するためにリモコン1を操作する回数は、最初の1回だけで済むことになる。さらに、表示装置Cの変更内容は、表示システム全体としての統一感が保持されるように、表示装置Aによって決定される。第3動作例では、表示装置Cの変更後の設定値が、表示装置Aの変更後の設定値と同じとなるように決定される。
【0076】
図9は、表示システム200の第1動作例を表わす模式図である。図10は、情報処理装置13の構成を示すブロック図である。図11は、第1動作例を実行するときの表示システム200の全体フローを示す図である。
【0077】
情報処理装置13は、制御部14、記憶部15、無線通信部16、通信部17およびスピーカ18を備える。
【0078】
制御部14は、情報処理装置13全体の動作制御を行う。制御部14は、本発明特有の構成として、リモコン1から送信されるコマンドの受信を監視するコマンド受信監視部14a、受信したコマンドから機器コードおよび機能コードを判断するコマンド判断部14b、リモコン1に送信するコマンドを生成するコマンド生成部14c、電話回線の接続制御および電話回線を通じた画像データおよび音声データの送受信制御などを行うテレビ会議制御部14d、出力音量の現在設定値を取得する音量値取得部14e、受信したコマンドに含まれる送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較する機器コード比較部14f、受信したコマンドに含まれる機能コードを分析する機能コード分析部14g、送信する機器コードを判断し、送信機能コードを抽出する送信機器コード抽出、判断部14hおよび送信先機器コードを抽出する送信先機器コード抽出部14iを有する。
【0079】
記憶部15は、各種プログラム、各種設定値、動作に必要な情報を一時的または永続的に記憶する。記憶部15に記憶されるプログラムとしては、たとえば情報処理装置13の全体動作を制御するための制御プログラム15c、受信したコマンドから機能コードを抽出するための機能コード抽出処理プログラム15d、受信したコマンドから機器コードを抽出するための機器コード抽出処理プログラム15e、機能コードおよび機器コードから、リモコン1に送信するコマンドを生成するコマンド生成プログラム15f、後述の処理テーブルを検索する処理テーブル検索プログラム15gなどがある。また、記憶部15は、他の装置と識別可能なように自装置に割り当てられた機器コード15aと、受信したコマンドに対応して次に行う処理を記述した処理テーブル15bを記憶する。
【0080】
通信部17は、電話回線網との接続を行うためのインターフェイスであり、テレビ会議用の画像データおよび音声データの送受信を行う。スピーカ18は、通信部17で受信した音声データを出力する。
【0081】
第1動作例は、出力音量調整を行う場合を例としている。表示システム200は、リモコン1と表示装置8とテレビ会議システム用の情報処理装置13とで構成され、本実施形態では1つのリモコンと1台の表示装置Aと1台の情報処理装置Dとで構成されている。表示装置Aの音量の現在の設定値は「2」であり、情報処理装置Dの現在の設定値は「1」である。
【0082】
まず、リモコン1がユーザによって操作され、リモコン1から表示装置Aに対して出力音量の設定値を現在値から1単位大きくするコマンド(コマンド1)を送信する。表示装置Aは、コマンド1を受信し、その内容に従って出力音量の設定値を現在値の「2」から1単位大きくして「3」に変更するとともに、処理テーブルの記述に基づいて、情報処理装置Dの設定値の変更内容を含むコマンド(コマンド2)を作成してリモコン1へと送信する。図9に示した例では、表示装置Aから送信されるコマンド2には、情報処理装置Dの設定値の変更内容が含まれている。また、変更内容は、出力音量の設定値を現在値から1単位大きくするというものである。
【0083】
リモコン1は、表示装置Aからコマンド2を受信すると、その内容に従って情報処理装置Dに対して、出力音量の設定値を現在値から1単位大きくするコマンド3を送信する。情報処理装置Dは、コマンド3を受信すると、その内容に従って出力音量の設定値を「2」に設定する。
【0084】
コマンド3は、リモコン1がユーザによって操作されなくても表示装置Aからコマンド1を受信したことを条件として送信される。したがって、表示装置Aおよび情報処理装置Dについて出力音量を変更するためにリモコン1を操作する回数は、最初の1回だけで済むことになる。さらに、情報処理装置Dの変更内容は、表示システム全体としての統一感が保持されるように、表示装置Aによって決定される。第1動作例では、情報処理装置Dの現在値からの変更値が、表示装置Aの現在値からの変更値と同じとなるように決定される。
【0085】
なお、出力音量については、システム全体の統一感を保持するために、全ての表示装置を同じ設定値とする必要はない。たとえば、システム全体の統一感を保持するために、表示装置の配置位置に応じて設定値をそれぞれ異なる値としてもよい。また、第1、第2動作例の輝度についても、全ての表示装置を同じ設定値とすることは一例であって、常に同じ設定値とする必要はない。設定値をどのような値にするかは、あくまでもシステム全体の統一感を保持する、またはシステムが表示しようとする画像の表示態様に適するような値にすればよい。
【0086】
以下では、本発明の表示ステムにおいて、各装置が作成するコマンドについて詳細に説明する。
【0087】
図12は、各装置の機能51と、その機能を示す機能コード52との対応関係表50を示す図である。
【0088】
音量OFFに対応する機能コードは、「VOL_OFF」であり、音量ONに対応する機能コードは、「VOL_ON」であり、音量を1単位上げるに対応する機能コードは、「VOL_UP」であり、音量を1単位下げるに対応する機能コードは、「VOL_DOWN」であり、音量設定値最小(設定値1)に対応する機能コードは、「VOL_01」であり、音量設定値小(設定値2)に対応する機能コードは、「VOL_02」であり、音量設定値大(設定値3)に対応する機能コードは、「VOL_03」であり、音量設定値最大(設定値4)に対応する機能コードは、「VOL_04」である。
【0089】
バックライトOFFに対応する機能コードは、「BACKLIGHT_OFF」であり、バックライトONに対応する機能コードは、「BACKLIGHT_ON」であり、輝度を1単位上げるに対応する機能コードは、「LIGHT_UP」であり、輝度を1単位下げるに対応する機能コードは、「LIGHT_DOWN」であり、輝度設定値最小(設定値1)に対応する機能コードは、「LIGHT_01」であり、輝度設定値小(設定値2)に対応する機能コードは、「LIGHT_02」であり、輝度設定値大(設定値3)に対応する機能コードは、「LIGHT_03」であり、輝度設定値最大(設定値4)に対応する機能コードは、「LIGHT_04」であり、以降の処理終了に対応する機能コードは、「End」である。
【0090】
図13は、各装置名61と、その装置を示す機器コード62との対応関係表60を示す図である。
【0091】
リモコンを示す機器コードは、「DEV_REMOCON」であり、表示装置Aを示す機器コードは、「DEV_A」であり、表示装置Bを示す機器コードは、「DEV_B」であり、表示装置Cを示す機器コードは、「DEV_C」であり、情報処理装置Dを示す機器コードは、「DEV_D」であり、対象装置なしを示す機器コードは、「NONE」である。
【0092】
各装置は、これらの機能コードと機器コードとを用いて、予め定めるフォーマットに応じてコマンドを作成する。
【0093】
図14は、処理テーブルフォーマット20およびコマンドフォーマット30を示す図である。図14(a)は、処理テーブルフォーマット20を示し、図14(b)は、コマンドフォーマット30を示す。
【0094】
処理テーブルフォーマット20は、リモコン1、表示装置8および情報処理装置13が、それぞれ他装置からコマンドを受信したときに実行する動作の条件を定めるための処理テーブルの記述書式である。処理テーブルフォーマット20は、受信機能コード21、送信機能コード22、第1連動機器コード23および第2連動機器コード24などを含む。
【0095】
受信機能コード21は、設定値の変更内容を示すコードであり、自装置を対象とするコマンドに記述された機能コードと対応する。処理テーブルは、受信機能コード21ごとに、処理テーブルフォーマット20に基づいて、送信機能コード22、第1連動機器コード23および第2連動機器コード24などが記述される。送信機能コード22は、設定値の変更内容を示すコードであり、新たに作成するコマンドにおいて、設定値の変更内容を示すコードである。
【0096】
第1連動機器コード23および第2連動機器コード24は、新たに作成するコマンドにおいて、同じ変更内容で動作させる装置を特定するためのコードである。
【0097】
コマンドフォーマット30は、リモコン1、表示装置8および情報処理装置13が、それぞれ他装置からコマンドを受信したときに、処理テーブルを参照し、他装置へ送信するために作成するコマンドの記述書式である。コマンドフォーマット30は、開始コード31、第1送信先機器コード32、第2送信先機器コード33、送信機能コード34、第1次機器コード35、第2次機器コード36および終了コード37などを含む。
【0098】
開始コード31は、コマンドの開始位置を示すコードであり、コマンドを受信した装置は、開始コード31以降の記述に従って自装置の設定値の変更および他装置へのコマンド作成、送信を行う。第1送信先機器コード32および第2送信先機器コード33は、コマンドの送信先の機器、すなわち本コマンドの対象となる機器を特定するためのコードである。機器コードは、たとえば図13に示したように、表示システム100,200を構成する装置に対して対応付けられたコードである。コマンドを受信した装置は、コマンドに記述された送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較して、受信したコマンドの対象が自装置であるかどうかを判断する。なお、図14に示した例では2つの送信先機器コードが記述されているが、送信先機器コードは本例に限定されるものではなく、最大数としては、表示システムを構成する装置のうち自装置以外の他の全ての装置の数である。
【0099】
送信機能コード34は、コマンドの送信先の機器に対する具体的な設定値の変更内容を示すコードである。機能コードは、たとえば図12に示したように、装置の機能に対して対応付けられたコードであって、コマンドを受信した装置は、送信機能コードに応じて設定値の変更などを行う。第1次機器コード35および第2次機器コード36は、コマンドを受信した装置が新たにコマンドを作成したときの送信先とすべき装置を特定するためのコードである。
【0100】
終了コード37は、コマンドの終了位置を示すコードであり、終了コード37を読み出した時点で、自装置の設定値変更、新たなコマンドの作成を開始する。
【0101】
図15は、表示システム100の第1動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【0102】
図15(a)は、表示装置Aの記憶部10に記憶される処理テーブル20aを示し、図15(b)は、表示装置Bおよび表示装置Cの記憶部10に記憶される処理テーブル20bを示す。図15(c)は、リモコン1から表示装置Aへ送信されるコマンド1の記述例を示すコマンド30aであり、図15(d)は、表示装置Aからリモコン1へ送信されるコマンド2の記述例を示すコマンド30bであり、図15(e)は、リモコン1から表示装置Bおよび表示装置Cへ送信されるコマンド3の記述例を示すコマンド30cである。
【0103】
第1動作例は、まず、リモコン1がユーザによって操作されると、コマンド30aが作成される。コマンド30aの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32として表示装置Aを示す「DEV_A」が記述される。送信機能コード34には、設定値を現在値から1単位大きくする機能として「LIGHT_UP」が記述される。第1次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0104】
リモコン1がコマンド30aを送信し、表示装置Aがコマンド30aを受信すると、コマンド30aの送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較する。コマンド30aの記述によれば、第1送信先機器コード32として「DEV_A」が記述されており、自装置の機器コードと一致するので、送信機能コード34に記述された「LIGHT_UP」を取得して処理テーブルの受信機能コードから「LIGHT_UP」を検索する。
【0105】
検索結果として処理テーブル20aが見つかると、受信機能コード21「LIGHT_UP」に対応する送信機能コード22および連動機器コード23をそれぞれ処理テーブル20aから読み出す。送信機能コード22には「LIGHT_0」が記述されている。ここで「LIGHT_0」は、受信機能コード21に基づいて自装置の輝度設定値を変更した変更後の値に、他の装置の輝度設定値を合わせる機能を示しており、具体的には新たに作成するコマンドにおいて、送信機能コード34に変更後の輝度設定値を記述する。また、第1連動機器コード23および第2連動機器コード24には、それぞれ「DEV_B」および「DEV_C」が記述されているので。新たに作成するコマンドにおいて、第1次機器コード35および第2次機器コード36には、それぞれ「DEV_B」および「DEV_C」を記述する。
【0106】
表示装置Aは、受信機能コード21「LIGHT_UP」に基づいて、自装置の現在の設定値を1単位大きくして「2」とする。また、処理テーブル20aに基づき、コマンド2として新たなコマンド30bを作成する。コマンド30bの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32としてリモコンを示す「DEV_REMOCON」が記述される。送信機能コード34には、輝度設定値を、変更後の輝度設定値「2」とする機能として「LIGHT_02」が記述される。
【0107】
第1次機器コード35および第2次機器コード36には、それぞれ第1連動機器コード23および第2連動機器コード24に記述されていた、「DEV_B」および「DEV_C」が記述される。最後に終了コード37を記述する。
【0108】
表示装置Aは、このようにして作成したコマンド30bを送信する。リモコン1は、コマンド30bを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_REMOCON」であるので、コマンド30bの内容に基づき、コマンド3としてコマンド30cを作成する。リモコン1は、処理テーブルは必要とせず、受信したコマンドに応じて新たなコマンドを作成し、作成したコマンドを送信する。
【0109】
コマンド30cは、コマンド30bの次機器コード35,36に記述されていた「DEV_B」および「DEV_C」を、送信先機器コード32,33として記述し、コマンド30bの送信機能コード34に記述されていた「LIGHT_02」を、コマンド30c送信機能コード34としてそのまま記述する。次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0110】
新たに作成されたコマンド30cは、リモコン1から送信される。表示装置Bおよび表示装置Cは、コマンド30cを受信すると、第1送信先機器コード32および第2送信先機器コード33が「DEV_B」および「DEV_C」であるので、コマンド30cの内容に基づいて、設定値の変更などを行う。
【0111】
送信機能コード34に「LIGHT_02」が記述されているので、表示装置Bおよび表示装置Cは、送信機能コードに基づいて画面輝度の設定値を「2」に設定する。
【0112】
以上のように、表示システムを構成する各装置は、処理テーブルおよび受信したコマンドに基づいて新たなコマンドを作成し、これを送信することで表示システム全体の設定値の変更を少ない操作で、行うことができる。
【0113】
図16は、表示システム100の第2動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【0114】
図16(a)は、表示装置Aの記憶部10に記憶される処理テーブル20aを示し、図16(b)は、表示装置Bの記憶部10に記憶される処理テーブル20bを示し、16(c)は、表示装置Cの記憶部10に記憶される処理テーブル20bを示す。図16(d)は、リモコン1から表示装置Aへ送信されるコマンド1の記述例を示すコマンド30aであり、図16(e)は、表示装置Aからリモコン1へ送信されるコマンド2の記述例を示すコマンド30bであり、図16(f)は、リモコン1から表示装置Bへ送信されるコマンド3の記述例を示すコマンド30cであり、図16(g)は、表示装置Bからリモコン1へ送信されるコマンド4の記述例を示すコマンド30dであり、図16(h)は、リモコン1から表示装置Cへ送信されるコマンド5の記述例を示すコマンド30eである。
【0115】
第2動作例は、まず、リモコン1がユーザによって操作されると、コマンド30aが作成される。コマンド30aの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32として表示装置Aを示す「DEV_A」が記述される。送信機能コード34には、設定値を現在値から1単位大きくする機能として「LIGHT_UP」が記述される。第1次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0116】
リモコン1がコマンド30aを送信し、表示装置Aがコマンド30aを受信すると、コマンド30aの送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較する。コマンド30aの記述によれば、第1送信先機器コード32として「DEV_A」が記述されており、自装置の機器コードと一致するので、送信機能コード34に記述された「LIGHT_UP」を取得して処理テーブルの受信機能コードから「LIGHT_UP」を検索する。
【0117】
検索結果として処理テーブル20aが見つかると、受信機能コード21「LIGHT_UP」に対応する送信機能コード22および連動機器コード23をそれぞれ処理テーブル20aから読み出す。送信機能コード22には「LIGHT_0」が記述されているので、新たに作成するコマンドにおいて、送信機能コード34に変更後の輝度設定値を記述する。また、第1連動機器コード23には、「DEV_B」が記述されているので。新たに作成するコマンドにおいて、第1次機器コード35には、「DEV_B」を記述する。
【0118】
表示装置Aは、受信機能コード21「LIGHT_UP」に基づいて、自装置の現在の設定値を1単位大きくして「2」とする。また、処理テーブル20aに基づき、コマンド2として新たなコマンド30bを作成する。コマンド30bの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32としてリモコンを示す「DEV_REMOCON」が記述される。送信機能コード34には、輝度設定値を、変更後の輝度設定値「2」とする機能として「LIGHT_02」が記述される。
【0119】
第1次機器コード35には、第1連動機器コード23に記述されていた、「DEV_B」が記述される。最後に終了コード37を記述する。
【0120】
表示装置Aは、このようにして作成したコマンド30bを送信する。リモコン1は、コマンド30bを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_REMOCON」であるので、コマンド30bの内容に基づき、コマンド3としてコマンド30cを作成する。リモコン1は、処理テーブルは必要とせず、受信したコマンドに応じて新たなコマンドを作成し、作成したコマンドを送信する。
【0121】
コマンド30cは、コマンド30bの第1次機器コード35に記述されていた「DEV_B」を、送信先機器コード32として記述し、コマンド30bの送信機能コード34に記述されていた「LIGHT_02」を、コマンド30cの送信機能コード34としてそのまま記述する。次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0122】
新たに作成されたコマンド30cは、リモコン1から送信される。表示装置Bは、コマンド30cを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_B」であるので、コマンド30cの内容に基づいて、設定値の変更などを行う。
【0123】
送信機能コード34に「LIGHT_02」が記述されているので、表示装置Bは、送信機能コードに基づいて画面輝度の設定値を「2」に設定するとともに、処理テーブルの受信機能コードから「LIGHT_02」を検索する。
【0124】
検索結果として処理テーブル20bが見つかると、受信機能コード21「LIGHT_02」に対応する送信機能コード22および連動機器コード23をそれぞれ処理テーブル20bから読み出す。送信機能コード22には「LIGHT_02」が記述されているので、新たに作成するコマンドにおいて、送信機能コード34に輝度設定値を「2」に設定するための機能コード「LIGHT_02」を記述する。また、第1連動機器コード23には、「DEV_C」が記述されているので、新たに作成するコマンドにおいて、第1次機器コード35には、「DEV_C」を記述する。
【0125】
表示装置Bは、受信機能コード21「LIGHT_02」に基づいて、自装置の現在の設定値を「2」とする。また、処理テーブル20bに基づき、コマンド3として新たなコマンド30cを作成する。コマンド30dの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32としてリモコンを示す「DEV_REMOCON」が記述される。送信機能コード34には、輝度設定値を、変更後の輝度設定値「2」とする機能として「LIGHT_02」が記述される。第1次機器コード35には、第1連動機器コード23に記述されていた、「DEV_C」が記述される。最後に終了コード37を記述する。
【0126】
表示装置Bは、このようにして作成したコマンド30dを送信する。リモコン1は、コマンド30dを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_REMOCON」であるので、コマンド30dの内容に基づき、コマンド5としてコマンド30eを作成する。リモコン1は、処理テーブルは必要とせず、受信したコマンドに応じて新たなコマンドを作成し、作成したコマンドを送信する。
【0127】
コマンド30eは、コマンド30dの第1次機器コード35に記述されていた「DEV_C」を、送信先機器コード32として記述し、コマンド30dの送信機能コード34に記述されていた「LIGHT_02」を、コマンド30dの送信機能コード34としてそのまま記述する。次機器コード35には、「NONE」が記述される。
【0128】
新たに作成されたコマンド30eは、リモコン1から送信される。表示装置Cは、コマンド30eを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_C」であるので、コマンド30fの内容に基づいて、設定値の変更などを行う。
【0129】
送信機能コード34に「LIGHT_02」が記述されているので、表示装置Bは、送信機能コードに基づいて画面輝度の設定値を「2」に設定するとともに、処理テーブルの受信機能コードから「LIGHT_02」を検索する。
【0130】
検索結果として処理テーブル20cが見つかると、受信機能コード21「LIGHT_02」に対応する送信機能コード22および連動機器コード23をそれぞれ処理テーブル20cから読み出す。送信機能コード22には「END」が記述されているので、新たにコマンドは作成しない。
【0131】
図17は、表示システム100の第3動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【0132】
図17(a)は、表示装置Aの記憶部10に記憶される処理テーブル20aを示し、図17(b)は、表示装置Cの記憶部10に記憶される処理テーブル20bを示す。図17(c)は、リモコン1から表示装置Aへ送信されるコマンド1の記述例を示すコマンド30aであり、図17(d)は、表示装置Aからリモコン1へ送信されるコマンド2の記述例を示すコマンド30bであり、図17(e)は、リモコン1から表示装置Cへ送信されるコマンド3の記述例を示すコマンド30cである。
【0133】
第3動作例は、まず、リモコン1がユーザによって操作されると、コマンド30aが作成される。コマンド30aの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32として表示装置Aを示す「DEV_A」が記述される。送信機能コード34には、設定値を現在値から1単位大きくする機能として「VOL_UP」が記述される。第1次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0134】
リモコン1がコマンド30aを送信し、表示装置Aがコマンド30aを受信すると、コマンド30aの送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較する。コマンド30aの記述によれば、第1送信先機器コード32として「DEV_A」が記述されており、自装置の機器コードと一致するので、送信機能コード34に記述された「VOL_UP」を取得して処理テーブルの受信機能コードから「VOL_UP」を検索する。
【0135】
検索結果として処理テーブル20aが見つかると、受信機能コード21「VOL_UP」に対応する送信機能コード22および連動機器コード23をそれぞれ処理テーブル20aから読み出す。送信機能コード22には「VOL_0」が記述されている。ここで「VOL_0」は、受信機能コード21に基づいて自装置の音量設定値を変更した変更後の値に、他の装置の音量設定値を合わせる機能を示しており、具体的には新たに作成するコマンドにおいて、送信機能コード34に変更後の音量設定値を記述する。また、第1連動機器コード23には、「DEV_C」が記述されているので、新たに作成するコマンドにおいて、第1次機器コード35には、「DEV_C」を記述する。
【0136】
表示装置Aは、受信機能コード21「VOL_UP」に基づいて、自装置の現在の設定値を1単位大きくして「3」とする。また、処理テーブル20aに基づき、コマンド2として新たなコマンド30bを作成する。コマンド30bの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32としてリモコンを示す「DEV_REMOCON」が記述される。送信機能コード34には、音量設定値を、現在の設定値より1単位大きくする機能として「VOL_03」が記述される。
【0137】
第1次機器コード35には、第1連動機器コード23に記述されていた、「DEV_C」が記述される。最後に終了コード37を記述する。
【0138】
表示装置Aは、このようにして作成したコマンド30bを送信する。リモコン1は、コマンド30bを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_REMOCON」であるので、コマンド30bの内容に基づき、コマンド3としてコマンド30cを作成する。リモコン1は、処理テーブルは必要とせず、受信したコマンドに応じて新たなコマンドを作成し、作成したコマンドを送信する。
【0139】
コマンド30cは、コマンド30bの次機器コード35に記述されていた「DEV_C」を、送信先機器コード32として記述し、コマンド30bの送信機能コード34に記述されていた「VOL_03」を、コマンド30cの送信機能コード34としてそのまま記述する。次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0140】
新たに作成されたコマンド30cは、リモコン1から送信される。表示装置Cは、コマンド30cを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_C」であるので、コマンド30cの内容に基づいて、設定値の変更などを行う。
【0141】
送信機能コード34に「VOL_03」が記述されているので、表示装置Cは、送信機能コードに基づいて出力音量の設定値を「2」に設定する。送信機能コード22には「END」が記述されているので、新たにコマンドは作成しない。
【0142】
図18は、表示システム200の第1動作例における処理テーブルおよびコマンドの具体例を示す図である。
【0143】
図18(a)は、表示装置Aの記憶部10に記憶される処理テーブル20aを示し、図18(b)は、情報処理装置Dの記憶部15に記憶される処理テーブル20bを示す。図18(c)は、リモコン1から表示装置Aへ送信されるコマンド1の記述例を示すコマンド30aであり、図18(d)は、表示装置Aからリモコン1へ送信されるコマンド2の記述例を示すコマンド30bであり、図18(e)は、リモコン1から情報処理装置Dへ送信されるコマンド3の記述例を示すコマンド30cである。
【0144】
第1動作例は、まず、リモコン1がユーザによって操作されると、コマンド30aが作成される。コマンド30aの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32として表示装置Aを示す「DEV_A」が記述される。送信機能コード34には、設定値を現在値から1単位大きくする機能として「VOL_UP」が記述される。第1次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0145】
リモコン1がコマンド30aを送信し、表示装置Aがコマンド30aを受信すると、コマンド30aの送信先機器コードと自装置の機器コードとを比較する。コマンド30aの記述によれば、第1送信先機器コード32として「DEV_A」が記述されており、自装置の機器コードと一致するので、送信機能コード34に記述された「VOL_UP」を取得して処理テーブルの受信機能コードから「VOL_UP」を検索する。
【0146】
検索結果として処理テーブル20aが見つかると、受信機能コード21「VOL_UP」に対応する送信機能コード22および連動機器コード23をそれぞれ処理テーブル20aから読み出す。送信機能コード22には「VOL_UP」が記述されているので、新たに作成するコマンドにおいて、送信機能コード34には、同じく「VOL_UP」を記述する。また、第1連動機器コード23には、「DEV_D」が記述されているので、新たに作成するコマンドにおいて、第1次機器コード35には、「DEV_D」を記述する。
【0147】
表示装置Aは、受信機能コード21「VOL_UP」に基づいて、自装置の現在の設定値を1単位大きくして「3」とする。また、処理テーブル20aに基づき、コマンド2として新たなコマンド30bを作成する。コマンド30bの記述内容は、開始コード31のあとに第1送信先機器コード32としてリモコンを示す「DEV_REMOCON」が記述される。送信機能コード34には、音量設定値を、現在の設定値より1単位大きくする機能として「VOL_UP」が記述される。
【0148】
第1次機器コード35には、第1連動機器コード23に記述されていた、「DEV_D」が記述される。最後に終了コード37を記述する。
【0149】
表示装置Aは、このようにして作成したコマンド30bを送信する。リモコン1は、コマンド30bを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_REMOCON」であるので、コマンド30bの内容に基づき、コマンド3としてコマンド30cを作成する。リモコン1は、処理テーブルは必要とせず、受信したコマンドに応じて新たなコマンドを作成し、作成したコマンドを送信する。
【0150】
コマンド30cは、コマンド30bの次機器コード35に記述されていた「DEV_D」を、送信先機器コード32として記述し、コマンド30bの送信機能コード34に記述されていた「VOL_UP」を、コマンド30cの送信機能コード34としてそのまま記述する。次機器コード35には、新たなコマンドの対象となる装置がないものとして「NONE」が記述される。
【0151】
新たに作成されたコマンド30cは、リモコン1から送信される。情報処理装置Dは、コマンド30cを受信すると、第1送信先機器コード32が「DEV_D」であるので、コマンド30cの内容に基づいて、設定値の変更などを行う。
【0152】
送信機能コード34に「VOL_03」が記述されているので、情報処理装置Dは、送信機能コードに基づいて出力音量の設定値を「2」に設定する。送信機能コード22には「END」が記述されているので、新たにコマンドは作成しない。
【0153】
図19は、リモコン1の設定値変更処理を示すフローチャートである。
ステップS1では、設定値の変更を指示するキーが押されたかどうかを判断する。たとえば、音量を変更する音量ONキー2b、音量OFFキー2c、音量大キー2d、音量小キー2e、画面輝度の設定値を変更する輝度大キー2f、輝度小キー2g、バックライトの点灯、消灯を変更するバックライトONキー2h、バックライトOFFキー2iなどのキーが押されれば、設定値の変更を指示するキーが押されたものと判断する。
【0154】
押されたと判断すればステップS2に進み、押されていなければステップS8に進む。ステップS2では、コマンド生成プログラムに基づいて、コマンド生成部3cが、開始コードをセットしてコマンド作成を開始する。ステップS3では、送信先機器コードに表示装置Aをセットする。ステップS4では、送信機能コードとして、ステップS1で押されたと判断したキーの内容に対応する機能コードをセットする。ステップS5では、次機器コードとして「NONE」をセットする。ステップS6では、終了コードをセットしてステップS7で、無線通信部5の送信部5bがコマンドを送信する。
【0155】
ステップS8では、コマンド受信監視部3aが、無線通信部5の受信部5aによって他の装置から送信されたコマンドを受信したかどうかを判断する。コマンドを受信していればステップS9に進み、受信していなければステップS1に戻る。ステップS9では、機器コード抽出処理プログラム4cに基づいて、コマンド判断部3bが、受信したコマンドから送信先機器コードを抽出し、ステップS10では、機能コード抽出処理プログラム4bに基づいて、コマンド判断部3bが、受信したコマンドから機能コードを抽出し、ステップS11では、機器コード抽出処理プログラム4cに基づいて、コマンド判断部3bが、受信したコマンドから次機器コードを抽出する。
【0156】
ステップS12では、抽出した送信先機器コードが「DEV_REMOCON」であるかどうかを判断し、「DEV_REMOCON」であればステップS13に進み、「DEV_REMOCON」でなければステップS1に戻る。ステップS13では、コマンド生成部3cが、開始コードをセットしてコマンド作成を開始する。ステップS14では、抽出した次機器コードが「NONE」かどうかを判断し、「NONE」でなければステップS15に進み、「NONE」であればステップS1戻る。ステップS15では、抽出した次機器コードを送信先機器コードにセットする。ステップS16では、抽出した次機器コードが「END」であるかどうかを判断し、「END」でなければステップS17に進み、「END」であればステップS1に戻る。
【0157】
ステップS17では、抽出した機能コードを送信機能コードとしてセットする。ステップS18では、次機器コードとして「NONE」をセットする。ステップS19では、終了コードをセットしてステップS7に進み、無線通信部5の送信部5bがコマンドを送信する。
【0158】
図20Aおよび図20Bは、表示装置8の設定値変更処理を示すフローチャートである。ステップS21では、コマンド受信監視部9aが、リモコン1からコマンドを受信したかどうかを判断し、受信していればステップS22に進み、受信していなければ待機する。ステップS22では、送信先機器コード抽出部9iが、受信したコマンドから送信先機器コードを抽出する。ステップS23では、機器コード比較部9fが、自装置の機器コードを取得し、ステップS24で、自装置の機器コードが、抽出された送信先機器コードに含まれているかどうかを判断する。含まれていればステップS25に進み、含まれていなければステップS21に戻る。ステップS25では、送信機能コード抽出判断部9hが、受信したコマンドから送信機能コードを抽出し、ステップS26で、抽出した送信機能コードが「END」かどうかを判断し、「END」でなければステップS27に進み、「END」であればステップS1に戻る。
【0159】
ステップS27では、抽出された機能コードに基づいて設定値の変更処理などを実行する。ステップS28では、コマンド生成部9cが、受信したコマンドから次機器コードを抽出する。ステップS29では、開始コードをセットしてコマンド作成を開始する。ステップS30では、送信先機器コードとして「DEV_REMOCON」をセットする。ステップS31では、抽出された次機器コードが「NONE」であるかどうかを判断し、「NONE」であればステップS32に進み、「NONE」でなければステップS48に進む。
【0160】
ステップS32では、機能コード分析部9gが、処理テーブル10bを呼び出して参照し、ステップS33では、抽出した送信機能コードが処理テーブル中で受信機能コードとなっているものを検索する。ステップS34では、検索によって得られた受信機能コードに対応する送信機能コードを抽出する。ステップS35では、抽出された送信機能コードが「END」であるかどうかを判断する。「END」であればステップS21に戻り、「END」でなければステップS36に進む。ステップS36では、コマンドから連動機器コードを抽出し、ステップS37では、連動機器コードが「NONE」であるかどうかを判断し、「NONE」であればステップS21に戻り、「NONE」でなければステップS38に進む。ステップS38では、抽出された送信機能コードが「LIGHT_0」であるかどうかを判断する。「LIGHT_0」であればステップS39に進み、「LIGHT_0」でなければステップS44に進む。ステップS39では、輝度値取得部9dが、現在の画面輝度の設定値を取得する。ステップS40では、コマンド生成部9cが、取得した輝度値に対応する機能コードを、送信機能コードとしてセットする。ステップS41では、抽出された連動機器コードを次機器コードとしてセットする。ステップS42で、終了コードをセットし、ステップS43で送信部12bが、リモコン1へコマンドを送信する。
【0161】
ステップS44では、抽出された送信機能コードが「VOL_0」であるかどうかを判断する。「VOL_0」であればステップS45に進み、「VOL_0」でなければステップS47に進む。ステップS45では、音量値取得部9eが、現在の出力音量の設定値を取得する。ステップS46では、コマンド生成部9cが、取得した音量値に対応する機能コードを、送信機能コードとしてセットして、ステップS41に進む。ステップS47では、抽出された送信機能コードを、リモコン1への送信機能コードとしてセットして、ステップS41に進む。
【0162】
上記では、リモコン1として無線通信によりコマンドの送受信を行う構成について説明したが、これに限らず有線通信によりコマンドの送受信を行う構成であってもよい。
【0163】
有線通信を用いる場合の表示システムの構成は、リモコン1の無線通信部5、表示装置8の無線通信部12および情報処理装置13の無線通信部16を、それぞれ有線通信部に置き換えるだけでよく、他の構成は既に説明したリモコン1、表示装置8、情報処理装置13と共通である。有線通信部は、使用する通信方式によって適宜選択すればよく、インターネットプロトコルで接続する場合は、LAN(Local Area Network)ケーブルによって各装置が接続され、有線通信部としてLANインターフェイスを用いる。RS−232C規格の通信ケーブルを用いて接続する場合は、有線通信部としてRS−232Cインターフェイスを用いる。
【符号の説明】
【0164】
1 リモートコントローラ
2 キーボード部
3,9 制御部
4,10 記憶部
5,12 無線通信部
6 電源
7 時計部
8 表示装置
11 表示部
100,200 表示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能に接続された複数の表示装置と、表示装置に対して命令情報を入力する遠隔制御装置とを有する表示システムであって、
前記遠隔制御装置は、
ユーザの操作によって命令を入力するための入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記命令に基づいて、前記表示装置に送信する第1命令情報を作成する第1作成手段と、
前記表示装置から送信される第2命令情報を受信する遠隔制御装置受信手段と、
前記受信手段が受信した第2命令情報に基づいて、前記第2命令情報を送信した表示装置以外の表示装置の少なくともいずれか1つに送信する第3命令情報を作成する第2作成手段と、
前記第1作成手段が作成した第1命令情報および前記第2作成手段が作成した第3命令情報を前記表示装置に送信する遠隔制御装置送信手段とを備え、
前記表示装置は、
画像を表示する表示手段と、
前記第1命令情報および前記第3命令情報を受信する表示装置受信手段と、
前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報または前記第3命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置の少なくともいずれか1つに対する命令を含む前記第2命令情報を作成する表示装置作成手段と、
前記遠隔制御装置に前記第2命令情報を送信する表示装置送信手段とを備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の輝度値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、変更後の輝度値が、前記第1命令に従って変更された輝度値と同じ値になるように指定する第2命令および第3命令を含むことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項3】
前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の輝度値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記表示手段の現在の輝度値に対する変化量として、前記第1命令で指定する前記変化量と同じ変化量を指定する第2命令および第3命令をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示装置は、音声を出力する音声出力手段をさらに備え、
前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の音量値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、変更後の音量値が、前記第1命令に従って変更された音量値と同じ値になるように指定する第2命令および第3命令を含むことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示装置は、音声を出力する音声出力手段をさらに備え、
前記第1命令情報、前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の音量値を変更する命令を含み、
前記第1命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量を指定する第1命令を含み、
前記第2命令情報および前記第3命令情報は、前記音声出力手段の現在の音量値に対する変化量として、前記第1命令で指定する前記変化量と同じ変化量を指定する第2命令および第3命令をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項6】
前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、複数の表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成し、
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報に基づいて、前記複数の表示装置に送信する前記第3命令情報を作成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項7】
前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第1命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、1つの表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成し、
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報に基づいて、前記1つの表示装置に送信する前記第3命令情報を作成し、
前記1つの表示装置が備える前記表示装置作成手段は、前記表示装置受信手段が受信した前記第3命令情報に基づいて、自装置以外の他の表示装置であって、前記1つの表示装置に対する第2命令情報を作成した表示装置とは異なる1つの表示装置に対する命令情報である前記第2命令情報を作成し、
前記第2作成手段は、前記受信手段が受信した前記第2命令情報であって、前記1つの表示装置が備える前記表示装置作成手段が作成した第2命令情報に基づいて、前記1つの表示装置に対する第2命令情報を作成した表示装置とは異なる1つの表示装置に送信する前記第3命令情報を作成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【公開番号】特開2012−23467(P2012−23467A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158318(P2010−158318)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】