説明

表示ドライバIC及び表示装置

【課題】パネル制御信号のON/OFF電圧レベルを、電源出力端子との外部結線によって選択する。
【解決手段】表示ドライバIC(100)は、パネル制御端子(10,20)、パネルON/OFFレベル用の電源(30)、及び、これらを制御するロジック回路(40)を備え、表示ドライバIC外部の結線およびON/OFFレベル用電源の電圧の設定変更の組み合わせにより、パネル制御端子のON/OFFレベルを変更する。また、このような変更により複数のパネルの制御を単一の表示ドライバICで実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ドライバIC及び表示装置に関し、特にパネル制御信号のON/OFF電圧レベル切り替え可能な表示ドライバIC及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置のパネル制御のON/OFFレベルはパネルの種類によって異なる。また、表示装置のパネル制御のON/OFFレベルはマルチプレクサ制御信号やゲート制御信号など制御信号の種類によって異なる。
【0003】
なお、LTPS(低温ポリシリコン)のパネルでは、マルチプレクサ回路やゲート回路をガラス上に実装可能である。また、LTPS(低温ポリシリコン)のパネルでは、COG(Chip On Glass)で結線が可能である。
【0004】
また、表示ドライバIC(Integrated Circuit:集積回路)には、複数の異なる電圧レベルの電圧を出力する電源回路を搭載することが可能である。
【0005】
図1を参照して、従来の表示ドライバIC及び表示装置の第1の構成を用いて説明する。
従来の表示ドライバIC及び表示装置101は、Xドライバ回路110と、Yドライバ回路120と、液晶素子210と、X側電力供給回路310と、Y側電力供給回路320と、ドライバコントロール回路410を備える。
【0006】
Xドライバ、Yドライバの電圧レベルの電圧は電力供給回路から供給される。すなわち、Xドライバ回路110の電圧レベル(VHX,VCX,VLX)の電圧はX側電力供給回路310から供給される。Yドライバ回路120の電圧レベル(VHY,VCY,VLY)の電圧はY側電力供給回路320から供給される。
【0007】
図2を参照して、従来の表示ドライバIC及び表示装置の第2の構成について説明する。
表示ドライバIC102は、マルチプレクサ制御端子11と、ゲート制御端子21と、電源回路31と、ロジック回路(LOGIC)41を備える。
【0008】
表示ドライバIC102は、液晶パネル等に画像データを書き込む役割を担うドライバICである。
【0009】
マルチプレクサ制御端子11は、マルチプレクサ制御信号を出力する。ゲート制御端子21は、ゲート制御信号を出力する。電源回路31は、複数の異なる電圧レベルの電圧を出力する。ロジック回路41は、これらのマルチプレクサ制御信号、ゲート制御信号、及び電源回路31を制御する。
【0010】
また、パネルタイプAにおいては、表示ドライバIC102には、電源出力端子VGHと、電源出力端子VGLと、接地端子VSSが設けられている。パネルタイプBにおいては、表示ドライバIC102には、電源出力端子VGHと、電源出力端子VPLと、接地端子VSSが設けられている。
【0011】
電源出力端子VGH,VGL,VPLは、電源回路30に接続され、それぞれ異なる電圧レベルの電圧を出力する。このとき、パネルタイプAにおいては、電圧レベル(VGH=10V,VGL=−5V)の電圧を出力する。パネルタイプBにおいては、電圧レベル(VGH=10V,VPL=−1.5V)の電圧を出力する。
【0012】
接地端子VSSは、接地されたグランド(GND)端子等であり、所定の電圧レベル(VSS=0V)の電圧を出力する。
【0013】
パネルタイプAにおいては、マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のONレベルは電源出力端子VGH、OFFレベルはそれぞれ電源出力端子VGL、接地端子VSSにIC内部で接続されており、それぞれ10V〜5Vで振幅する。ここでは、マルチブレクサ制御端子10のONレベル=ゲート制御端子20のONレベル=VGH=10Vとなる。また、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル=VGL=−5Vとなり、ゲート制御端子20のOFFレベル=VSS=0Vとなる。
【0014】
パネルタイプBにおいては、マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のONレベルは電源出力端子VGH、OFFレベルはVPLにIC内部で接続されており、マルチプレクサ、ゲート制御信号は共に10V〜−1.5Vで振幅する。ここでは、マルチブレクサ制御端子10のONレベル=ゲート制御端子20のONレベル=VGH=10Vとなる。また、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル=ゲート制御端子20のOFFレベル=VPL=−1.5Vとなる。
【0015】
関連する技術として、特開2000−147455号公報(特許文献1)に液晶パネルの駆動装置及び液晶装置が開示されている。
この関連技術では、Yドライバ回路及びXドライバ回路が、階調データの示す階調レベルに応じた大きさの実効値を有する印加電圧を液晶素子に供給する。また、ドライバコントロール回路が、Xドライバ回路における各階調レベルに対する印加電圧の実効値の各大きさの設定を、光源の非点灯に応じて反射型表示用の設定に切り換え、光源の点灯に応じて透過型表示用の設定に切り換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2000−147455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図1の構成では、Yドライバの全ての出力端子の電圧は同一の電圧である。すなわち、Yドライバの全ての出力端子の電圧レベルは同一である。ON/OFFレベルが異なる複数のパネル制御信号を単一の表示ドライバICで制御することはできない。ON/OFFレベルが信号の種類やパネルの種類に応じて異なる場合、それぞれのパネル専用の表示ドライバICが必要になる。
【0018】
図2の構成では、マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のOFF電圧レベルは変更することはできない。OFFレベルの異なるパネルタイプA、パネルタイプBを制御する場合、それぞれのパネル専用の表示ドライバICが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、表示装置のパネル制御用ドライバ、パネル制御ON/OFFレベル用電源、及びこれらを制御するロジック回路を備えた表示ドライバIC及び表示装置を提供する。
【0020】
本発明の表示ドライバICは、異なる電圧レベルの電圧を出力するための複数の電源出力端子を有する電源回路と、第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)及び第2回路制御端子(ゲート制御端子)のONレベルの電圧が複数の電源出力端子のうちいずれかの端子から供給され、第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)のOFFレベルの電圧が第1外部端子(VB1)から供給され、第2回路制御端子(ゲート制御端子)のOFFレベルの電圧が第2外部端子(VB2)から供給され、第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)から出力される第1制御信号(マルチプレクサ制御信号)及び第2回路制御端子(ゲート制御端子)から出力される第2制御信号(ゲート制御信号)を制御するロジック回路とを具備する。第1外部端子(VB1)及び第2外部端子(VB2)は夫々、第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)及び第2回路制御端子(ゲート制御端子)のONレベルよりも電圧レベルが低い電圧を出力する当該IC(Integrated Circuit)上のいずれかの端子と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする。
【0021】
複数の電源出力端子は、第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)及び第2回路制御端子(ゲート制御端子)のONレベルに電圧を供給する第1電源出力端子(VGH)と、第1電源出力端子(VGH)よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第2電源出力端子(VGL)とを含む。第1外部端子(VB1)は、第2電源出力端子(VGL)と当該ICの外部で結線するように設置され、第2外部端子(VB2)は、当該IC上の接地端子(VSS)と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする。
【0022】
複数の電源出力端子は、第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)及び第2回路制御端子(ゲート制御端子)のONレベルに電圧を供給する第1電源出力端子(VGH)と、第1電源出力端子(VGH)よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第3電源出力端子(VPL)とを含む。第1外部端子(VB1)及び第2外部端子(VB2)は共に、第3電源出力端子(VPL)と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする。
【0023】
複数の電源出力端子は、電圧を出力する第1電源出力端子(VGH)と、第1電源出力端子(VGH)よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第2電源出力端子(VGL)と、第2電源出力端子(VGL)よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第3電源出力端子(VPL)と、第1電源出力端子(VGH)よりも電圧レベルが低く、第2電源出力端子(VGL)よりも電圧レベルが高い電圧を出力する第4電源出力端子(VPH)とを含む。第1回路制御端子(マルチプレクサ制御端子)のONレベルの電圧が第3外部端子(VA1)から供給され、第2回路制御端子(ゲート制御端子)のONレベルの電圧が第4外部端子(VA2)から供給され、第3外部端子(VA1)及び第4外部端子(VA2)は夫々、第1電源出力端子(VGH)及び第4電源出力端子(VPH)のうちいずれかの端子と当該ICの外部で結線するように設置され、第1外部端子(VB1)及び第2外部端子(VB2)は夫々、第2電源出力端子(VGL)、第3電源出力端子(VPL)及び当該IC上の接地端子(VSS)のうちいずれかの端子と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする。
【0024】
電源回路は、複数の電源出力端子のうち少なくとも1つの端子の電圧レベルの電圧設定を変更してパネル制御を行うことを特徴とする。
【0025】
このように、本発明では、パネル制御信号のON/OFF電圧レベルを、電源出力端子との外部結線によって選択する。また、パネル制御信号の種類によって、外部結線の結線先を区別する。
【発明の効果】
【0026】
パネル制御信号の種類によって、外部結線の結線先すなわち電源出力端子を変更することで、パネル制御信号のON/OFF電圧レベルを選択することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の表示ドライバICおよび表示装置の第1の構成を示す図である。
【図2】従来の表示ドライバICおよび表示装置の第2の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例の表示ドライバICおよび表示装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例の表示ドライバICおよび表示装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例で可能な制御方法を示す表である。
【図6】本発明の第3実施例の表示ドライバICおよび表示装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の第1実施例について添付図面を参照して説明する。
図3を参照すると、本実施例において、表示ドライバIC100は、マルチプレクサ制御端子10と、ゲート制御端子20と、電源回路30と、ロジック回路(LOGIC)40を備える。
【0029】
表示ドライバIC100は、液晶パネル等に画像データを書き込む役割を担うドライバICである。なお、表示ドライバIC100は、液晶ディスプレイ等の表示装置に搭載されている。従って、表示ドライバIC100は、表示装置と読み替えることも可能である。
【0030】
マルチプレクサ制御端子10は、マルチプレクサ制御信号を出力する。ゲート制御端子20は、ゲート制御信号を出力する。電源回路30は、複数の異なる電圧レベルの電圧を出力する。ロジック回路40は、これらのマルチプレクサ制御信号、ゲート制御信号、及び電源回路30を制御する。
【0031】
また、表示ドライバIC100には、電源出力端子VGHと、電源出力端子VGLと、電源出力端子VPLと、接地端子VSSと、外部端子VB1と、外部端子VB2が設けられている。
【0032】
電源出力端子VGH,VGL,VPLは、電源回路30に接続され、それぞれ異なる電圧レベル(VGH=10V,VGL=−5V,VPL=−1.5V)の電圧を出力する。ここでは、電源回路30が電源出力端子VGH,VGL,VPLを有している。
【0033】
接地端子VSSは、接地されたグランド(GND)端子等であり、所定の電圧レベル(VSS=0V)の電圧を出力する。
【0034】
マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のONレベルの電圧は、共に電源出力端子VGHから供給される。従って、マルチブレクサ制御端子10のONレベル=ゲート制御端子20のONレベル=VGH=10Vとなる。マルチプレクサ制御信号のOFFレベルの電圧は、外部端子VB1から供給される。ゲート制御信号のOFFレベルの電圧は、外部端子VB2から供給される。
【0035】
パネルタイプAにおいては、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)を「外部結線」により電源出力端子VGLに接続し、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)を「外部結線」により接地端子VSSに接続する。すなわち、外部端子VB1を「外部結線」により電源出力端子VGLに接続し、外部端子VB2を「外部結線」により接地端子VSSに接続する。従って、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)=VGL=−5Vとなり、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)=VSS=0Vとなる。なお、外部結線とは、ICの外部で端子間の結線をすることである。
【0036】
パネルタイプBにおいては、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)、及び、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)を共に「外部結線」により電源出力端子VPLに接続する。すなわち、外部端子VB1,VB2を共に「外部結線」により電源出力端子VPLに接続する。従って、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)=ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)=VPL=−1.5Vとなる。
【0037】
次に、図3の実施例1を用いて、本発明の動作について説明する。
【0038】
パネルタイプAにおいては、マルチプレクサ制御端子10のONレベルはVGH(10V)、OFFレベルはVGL(−5V)なので、信号は10V〜−5Vで振幅する。ゲート制御端子20のONレベルはVGH(10V)、OFFレベルはVSS(0V)なので、信号は10V〜0Vで振幅する。
【0039】
パネルタイプBにおいては、マルチプレクサ制御端子10のONレベルはVGH(10V)、OFFレベルはVGL(−1.5V)なので、信号は10V〜−1.5Vで振幅する。ゲート制御端子20のONレベルはVGH(10V)、OFFレベルはVGL(−1.5V)なので、信号は10V〜1.5Vで振幅する。
【0040】
パネルタイプAとパネルタイプBにおいて、表示ドライバIC100は外部の結線変更のみにより、マルチプレクサ制御端子10とゲート制御端子20のON/OFFレベルの組み合わせを変更することが可能である。すなわち、パネルタイプA専用、パネルタイプB専用と言った専用の表示ドライバICを用意することなく、単一の表示ドライバICによってパネルタイプA、パネルタイプBの制御が可能である。
【0041】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図4を参照すると、本実施例において、表示ドライバIC100は、マルチプレクサ制御端子10と、ゲート制御端子20と、電源回路30と、ロジック回路(LOGIC)40を備える。
【0042】
マルチプレクサ制御端子10は、マルチプレクサ制御信号を出力する。ゲート制御端子20は、ゲート制御信号を出力する。電源回路30は、複数の異なる電圧レベルの電圧を出力する。ロジック回路40は、これらのマルチプレクサ制御信号、ゲート制御信号、及び電源回路30を制御する。
【0043】
本実施例では、電源回路30は設定により出力電圧レベルを変更することが可能である。ここでは、出力電圧レベルVGHを10V又は20Vに変更する。出力電圧レベルVGLを−5V又は−10Vに変更する。出力電圧レベルVPLを−1.5V又は−3Vに変更する。
【0044】
また、表示ドライバIC100には、電源出力端子VGHと、電源出力端子VGLと、電源出力端子VPLと、接地端子VSSと、外部端子VB1と、外部端子VB2が設けられている。
【0045】
電源出力端子VGH,VGL,VPLは、電源回路30に接続され、それぞれ異なる電圧レベル(VGH=10V/20V,VGL=−5V/−10V,VPL=−1.5V/−3V)の電圧を出力する。ここでは、電源回路30が電源出力端子VGH,VGL,VPLを有している。
【0046】
接地端子VSSは、接地されたグランド(GND)端子等であり、所定の電圧レベル(VSS=0V)の電圧を出力する。
【0047】
マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のONレベルの電圧は、共に電源出力端子VGHから供給される。従って、マルチブレクサ制御端子10のONレベル=ゲート制御端子20のONレベル=VGH=10V/20Vとなる。マルチプレクサ制御信号のOFFレベルの電圧は、外部端子VB1から供給される。ゲート制御信号のOFFレベルの電圧は、外部端子VB2から供給される。
【0048】
結線方法Aにおいては、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)を「外部結線」により電源出力端子VGLに接続し、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)を「外部結線」により接地端子VSSに接続する。すなわち、外部端子VB1を「外部結線」により電源出力端子VGLに接続し、外部端子VB2を「外部結線」により接地端子VSSに接続する。従って、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)=VGL=−5V/−10Vとなり、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)=VSS=0Vとなる。
【0049】
結線方法Bにおいては、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)、及び、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)を共に「外部結線」により電源出力端子VPLに接続する。すなわち、外部端子VB1,VB2を共に「外部結線」により電源出力端子VPLに接続する。従って、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)=ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)=VPL=−1.5Vとなる。
【0050】
図4及び図5を参照して、本実施例で可能な制御方法について説明する。
電源回路30において、出力電圧レベルVGHは20V又は10V、出力電圧レベルVGLは−10V又は−5V、出力電圧レベルVPLは−3V又は−1.5Vと、それぞれ電圧設定の変更が可能である。結線方法A、結線方法Bのそれぞれについて電源の電圧設定を変更した場合、図5のように8通りのパネル制御が可能である。
【0051】
図5では、結線方法A、結線方法Bのそれぞれについて、「VGH設定」、「VGL設定」、「VPL設定」、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」、「ゲート制御信号振幅電圧」の電圧設定が示されている。このとき、以下の(1)〜(8)のような8通りのパネル制御が可能である。
【0052】
結線方法Aについては、以下の4通りのパネル制御が可能である。なお、結線方法Aでは、「VPL設定」の電圧設定を考慮する必要がないため空白となっている。
(1)「VGH設定」が20V、「VGL設定」が−10Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が20V〜−10V、「ゲート制御信号振幅電圧」が20V〜0Vとなる。
(2)「VGH設定」が20V、「VGL設定」が−5Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が20V〜−5V、「ゲート制御信号振幅電圧」が20V〜0Vとなる。
(3)「VGH設定」が10V、「VGL設定」が−10Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が10V〜−10V、「ゲート制御信号振幅電圧」が10V〜0Vとなる。
(4)「VGH設定」が10V、「VGL設定」が−5Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が10V〜−5V、「ゲート制御信号振幅電圧」が10V〜0Vとなる。
【0053】
結線方法Bについては、以下の4通りのパネル制御が可能である。なお、結線方法Bでは、「VGL設定」の電圧設定を考慮する必要がないため空白となっている。
(5)「VGH設定」が20V、「VPL設定」が−3Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が20V〜−3.0V、「ゲート制御信号振幅電圧」が20V〜−3.0Vとなる。
(6)「VGH設定」が20V、「VPL設定」が−1.5Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が20V〜−1.5V、「ゲート制御信号振幅電圧」が20V〜−1.5Vとなる。
(7)「VGH設定」が10V、「VPL設定」が−3Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が10V〜−3.0V、「ゲート制御信号振幅電圧」が10V〜−3.0Vとなる。
(8)「VGH設定」が10V、「VPL設定」が−1.5Vであれば、「マルチプレクサ制御信号振幅電圧」が10V〜−1.5V、「ゲート制御信号振幅電圧」が10V〜−1.5Vとなる。
【0054】
このように、本実施例では、表示ドライバIC100は外部の結線変更、及び、電源電圧の設定変更のみにより、マルチプレクサ制御端子10とゲート制御端子20のON/OFFレベルの組み合わせを8通りに変更することが可能である。すなわち、各パネルタイプ専用の表示ドライバICを用意することなく、単一の表示ドライバICによって8通りのパネルの制御が可能である。
【0055】
すなわち、「外部結線」の変更と電源の出力設定変更を組み合わせることで、マルチプレクサ制御端子10とゲート制御端子20のON/OFFレベルの組み合わせを個別に変更することが可能であり、制御可能なパネルのタイプを増やすことが可能である。
【0056】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
図6を参照すると、本実施例において、表示ドライバIC100は、マルチプレクサ制御端子10と、ゲート制御端子20と、電源回路30と、ロジック回路(LOGIC)40を備える。
【0057】
マルチプレクサ制御端子10は、マルチプレクサ制御信号を出力する。ゲート制御端子20は、ゲート制御信号を出力する。電源回路30は、複数の異なる電圧レベルの電圧を出力する。ロジック回路40は、これらのマルチプレクサ制御信号、ゲート制御信号、及び電源回路30を制御する。
【0058】
本実施例では、電源回路30はONレベル電圧として、VGHに加えてVPHを含む。
【0059】
また、第2実施例と同様に、電源回路30は設定により出力電圧レベルを変更することが可能である。ここでは、出力電圧レベルVGHを10V又は20Vに変更する。出力電圧レベルVPHを5V又は6Vに変更する。出力電圧レベルVGLを−5V又は−10Vに変更する。出力電圧レベルVPLを−1.5V又は−3Vに変更する。
【0060】
また、表示ドライバIC100には、電源出力端子VGHと、電源出力端子VPHと、電源出力端子VGLと、電源出力端子VPLと、接地端子VSSと、外部端子VA1と、外部端子VB1と、外部端子VA2と、外部端子VB2が設けられている。
【0061】
電源出力端子VGH,VPH,VGL,VPLは、電源回路30に接続され、それぞれ異なる電圧レベル(VGH=10V/20V,VPH=5V/6V,VGL=−5V/−10V,VPL=−1.5V/−3V)の電圧を出力する。ここでは、電源回路30が電源出力端子VGH,VPH,VGL,VPLを有している。
【0062】
接地端子VSSは、接地されたグランド(GND)端子等であり、所定の電圧レベル(VSS=0V)の電圧を出力する。
【0063】
マルチプレクサ制御信号のONレベルの電圧は、外部端子VA1から供給される。マルチプレクサ制御信号のOFFレベルの電圧は、外部端子VB1から供給される。ゲート制御信号のONレベルの電圧は、外部端子VA2から供給される。ゲート制御信号のOFFレベルの電圧は、外部端子VB2から供給される。
【0064】
マルチブレクサ制御端子10のONレベル(VA1)を「外部結線」により電源出力端子VGH,電源出力端子VPHのいずれかに接続する。すなわち、外部端子VA1を「外部結線」により電源出力端子VGH,電源出力端子VPHのいずれかに接続する。従って、マルチブレクサ制御端子10のONレベル(VA1)=VGH/VPH=20V/10V/6V/5Vとなる。
【0065】
マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)を「外部結線」により接地端子VSS,電源出力端子VGL,電源出力端子VPLのいずれかに接続する。すなわち、外部端子VB1を「外部結線」により接地端子VSS,電源出力端子VGL,電源出力端子VPLのいずれかに接続する。従って、マルチブレクサ制御端子10のOFFレベル(VB1)=VSS/VPL/VGL=0V/−1.5V/−3V/−5V/−10Vとなる。
【0066】
ゲート制御端子20のONレベル(VA2)を「外部結線」により電源出力端子VGH,電源出力端子VPHのいずれかに接続する。すなわち、外部端子VA2を「外部結線」により電源出力端子VGH,電源出力端子VPHのいずれかに接続する。従って、ゲート制御端子20のONレベル(VA2)=VGH/VPH=20V/10V/6V/5Vとなる。
【0067】
ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)を「外部結線」により接地端子VSS,電源出力端子VGL,電源出力端子VPLのいずれかに接続する。すなわち、外部端子VB2を「外部結線」により接地端子VSS,電源出力端子VGL,電源出力端子VPLのいずれかに接続する。従って、ゲート制御端子20のOFFレベル(VB2)=VSS/VPL/VGL=0V/−1.5V/−3V/−5V/−10Vとなる。
【0068】
このように、本実施例では、電源回路30において、出力電圧レベルVGHは20V又は10V、出力電圧レベルVPHは6V又は5V、出力電圧レベルVGLは−10V又は−5V、出力電圧レベルVPLは−3V又は−1.5Vと、それぞれ電圧設定の変更が可能である。
【0069】
マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のONレベルについても、それぞれ外部端子VA1,VA2から供給することで、マルチプレクサ制御信号とゲート制御信号のONレベルを異なる電圧に設定することが可能である。
【0070】
VA1、VA2、VB1、VB2の「外部結線」の接続先、VGH、VPH、VGL、VPLの電圧設定の組み合わせにより、制御可能なパネルタイプを実施例2と比較してさらに増やすことが可能である。
【0071】
本発明により、ON/OFFレベルが異なる複数のパネルの制御を、単一の表示ドライバICにより実現することが可能になる。
【0072】
なお、本発明の表示ドライバIC及び表示装置における「外部結線」は、表示ドライバIC及び表示装置を製造する製造装置により予め当該ICの外部で結線され端子間が接続されているようにしても良い。また、この製造装置は、電源出力端子や外部端子、接地端子を当該ICの外部で結線可能なように設置する。
【0073】
以上のように、本発明においては、表示ドライバICは、パネル制御端子、パネルON/OFFレベル用の電源、及び、これらを制御するロジック回路を備え、表示ドライバIC外部の結線、及び、ON/OFFレベル用電源の電圧の設定変更の組み合わせにより、パネル制御端子のON/OFFレベルを変更し、このような変更により複数のパネルの制御を単一の表示ドライバICで実現する。
【符号の説明】
【0074】
10,11… マルチプレクサ制御端子
20,21… ゲート制御端子
30,31… 電源回路
40,41… ロジック回路(LOGIC)
100,101,102… 表示ドライバIC
110… Xドライバ回路
120… Yドライバ回路
210… 液晶素子
310… X側電力供給回路
320… Y側電力供給回路
410… ドライバコントロール回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる電圧レベルの電圧を出力するための複数の電源出力端子を有する電源回路と、
第1回路制御端子及び第2回路制御端子のONレベルの電圧が前記複数の電源出力端子のうちいずれかの端子から供給され、前記第1回路制御端子のOFFレベルの電圧が第1外部端子から供給され、前記第2回路制御端子のOFFレベルの電圧が第2外部端子から供給され、前記第1回路制御端子から出力される第1制御信号及び前記第2回路制御端子から出力される第2制御信号を制御するロジック回路と
を具備し、
前記第1外部端子及び前記第2外部端子は夫々、前記第1回路制御端子及び前記第2回路制御端子のONレベルよりも電圧レベルが低い電圧を印加する当該IC(Integrated Circuit)上のいずれかの端子と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする
表示ドライバIC。
【請求項2】
請求項1に記載の表示ドライバICであって、
前記複数の電源出力端子は、
前記第1回路制御端子及び前記第2回路制御端子のONレベルに電圧を供給する第1電源出力端子と、
前記第1電源出力端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第2電源出力端子と
を含み、
前記第1外部端子は、前記第2電源出力端子と当該ICの外部で結線するように設置され、
前記第2外部端子は、前記当該IC上の接地端子と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする
表示ドライバIC。
【請求項3】
請求項1に記載の表示ドライバICであって、
前記複数の電源出力端子は、
前記第1回路制御端子及び前記第2回路制御端子のONレベルに電圧を供給する第1電源出力端子と、
前記第1電源出力端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第3電源出力端子と
を含み、
前記第1外部端子及び前記第2外部端子は共に、前記第3電源出力端子と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする
表示ドライバIC。
【請求項4】
請求項1に記載の表示ドライバICであって、
前記複数の電源出力端子は、
電圧を出力する第1電源出力端子と、
前記第1電源出力端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第2電源出力端子と、
前記第2電源出力端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第3電源出力端子と、
前記第1電源出力端子よりも電圧レベルが低く、前記第2電源出力端子よりも電圧レベルが高い電圧を出力する第4電源出力端子と
を含み、
前記第1回路制御端子のONレベルの電圧が第3外部端子から供給され、前記第2回路制御端子のONレベルの電圧が第4外部端子から供給され、前記第3外部端子及び前記第4外部端子は夫々、前記第1電源出力端子及び前記第4電源出力端子のうちいずれかの端子と当該ICの外部で結線するように設置され、
前記第1外部端子及び前記第2外部端子は夫々、前記第2電源出力端子、前記第3電源出力端子及び前記当該IC上の接地端子のうちいずれかの端子と当該ICの外部で結線するように設置されていることを特徴とする
表示ドライバIC。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示ドライバICであって、
前記電源回路は、前記複数の電源出力端子のうち少なくとも1つの端子の電圧レベルの電圧設定を変更してパネル制御を行うことを特徴とする
表示ドライバIC。
【請求項6】
電圧を出力する第1電源出力端子、及び、前記第1電源出力端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力する第2電源出力端子を有する電源回路と、
第1回路制御端子及び第2回路制御端子のONレベルの電圧が前記第1電源出力端子から供給され、前記第1回路制御端子のOFFレベルの電圧が第1外部端子から供給され、前記第2回路制御端子のOFFレベルの電圧が第2外部端子から供給され、前記第1回路制御端子から出力される第1制御信号及び前記第2回路制御端子から出力される第2制御信号を制御するロジック回路と
を具備し、
前記第1外部端子及び前記第2外部端子は夫々、前記第1外部端子及び前記第2外部端子と同一IC(Integrated Circuit)上にある前記第2電源出力端子及び接地端子のいずれかの端子と外部結線により接続するように設置されていることを特徴とする
表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記第1電源出力端子は、電圧を出力するVGH端子であり、
前記第2電源出力端子は、前記VGH端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力するVGL端子であり、
前記接地端子は、前記VGH端子よりも電圧レベルが低く、前記VGL端子よりも電圧レベルが高い電圧を出力するVSS端子であり、
前記第1外部端子は、前記VGL端子と外部結線により接続するように設置され、
前記第2外部端子は、前記VSS端子と外部結線により接続するように設置されていることを特徴とする
表示装置。
【請求項8】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記第1電源出力端子は、電圧を出力するVGH端子であり、
前記第2電源出力端子は、前記VGH端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力するVPL端子であり、
前記第1外部端子及び前記第2外部端子は共に、前記VPL端子と外部結線により接続するように設置されていることを特徴とする
表示装置。
【請求項9】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記第1電源出力端子は、
電圧を出力するVGH端子と、
前記VGH端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力するVPH端子と
を含み、
前記第2電源出力端子は、
前記VPH端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力するVPL端子と、
前記VPL端子よりも電圧レベルが低い電圧を出力するVGL端子と
を含み、
前記接地端子は、
前記VPH端子よりも電圧レベルが低く、前記VPL端子よりも電圧レベルが高い電圧を出力するVSS端子と
を含み、
前記第1回路制御端子のONレベルの電圧が第3外部端子から供給され、前記第2回路制御端子のONレベルの電圧が第4外部端子から供給され、前記第3外部端子及び前記第4外部端子は夫々、前記VGH端子及び前記VPH端子のうちいずれかの端子と外部結線により接続するように設置され、
前記第1外部端子及び前記第2外部端子は夫々、前記VGL端子、前記VPL端子、及び前記VSS端子のいずれかと外部結線により接続するように設置されていることを特徴とする
表示装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一項に記載の表示装置であって、
前記電源回路は、前記第1電源出力端子及び前記第2電源出力端子のうち少なくとも1つの端子の電圧レベルの電圧設定を変更してパネル制御を行うことを特徴とする
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169770(P2010−169770A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10413(P2009−10413)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】