説明

表示パネルの駆動装置及び駆動方法

【課題】パネル温度が所定の温度範囲外にある場合でも表示画面での不具合発生を抑制することのできる表示パネルの駆動装置及び駆動方法を提供する。
【解決手段】複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子E1が配され、データドライバ2と走査ドライバ3とにより表示用素子E1の駆動がなされる表示パネル1の駆動装置100において、走査ドライバ3における動作クロック周波数を1/Nの周波数に変換するクロック周波数変換手段8aと、表示パネル1の温度を検出する温度検出手段9と、データドライバ2と走査ドライバ3の動作制御を行う制御手段8とを備え、制御手段8は、温度検出手段9により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、クロック周波数変換手段8aによりクロック周波数を変換させ、データドライバ2に供給する映像データを(N−1)フレーム単位で間引く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の走査選択線と複数のデータ線のそれぞれ交点に表示用素子が形成された表示パネルの駆動装置及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用素子として発光素子をマトリクス状に配列して構成される表示パネルを用いたディスプレイの開発が広く進められている。このような表示パネルに用いられる発光素子として、有機材料を発光層に用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が注目されている。これはEL素子の発光層に、良好な発光特性を期待することができる有機化合物を使用することによって、実用に耐えうる高効率化および長寿命化が進んだことも背景にある。
【0003】
かかる有機EL素子を用いた表示パネルとして、EL素子を単にマトリクス状に配列したパッシブマトリクス型表示パネル(例えば、特許文献1参照)と、マトリクス状に配列したEL素子の各々に、TFTからなる能動素子を加えたアクティブマトリクス型表示パネル(例えば、特許文献2参照)が提案されている。後者のアクティブマトリクス型表示パネルは、前者のパッシブマトリクス型表示パネルに比べて、低消費電力を実現することができ、また画素間のクロストークが少ない等の特質を備えており、特に大画面を構成する高精細度のディスプレイに適している。
【特許文献1】特開2003−288053号公報
【特許文献2】特開2003−316315号公報
【0004】
図1には、前記したアクティブマトリクス型表示パネルの構成が示されている。この表示パネル1にはマトリクス状に多数配列された表示画素(ピクセル)のうち、代表して4組の表示画素p11、p12、p21、p22が示されており、これらの各画素の形態は2つのTFTからなるコンダクタンスコントロール方式と呼ばれる有機EL素子を発光素子(表示用素子)とした場合の最も基本的な画素構成を示している。
【0005】
そして、表示パネル1には、データドライバ2からのデータ信号m1、m2、…が縦方向(列方向)に配列され、また、同様に走査ドライバ3からの走査信号線n1、n2、…が横方向(行方向)に配列されている。さらに表示パネル1には、前記各データ信号線に対応して、電源供給回路4からの電源供給線q1、q2、…も縦方向に配列されている。
【0006】
そして、図1に示す表示パネル1における左上の画素p11を構成する各素子に符号を付けたとおり、nチャンネル型TFTで構成された走査選択用トランジスタQ1のゲートは、走査信号線n1に接続され、そのソースはデータ信号線m1に接続されている。また、走査選択用トランジスタQ1のドレインは、pチャンネル型TFTで構成された発光駆動用トランジスタQ2のゲートに接続されると共に、電荷保持用のキャパシタC1の一方の端子に接続されている。
【0007】
また、発光駆動用トランジスタQ2のソースは、前記コンデンサC1の他方の端子に接続されると共に、電源供給線q1に接続されている。さらに、発光駆動用トランジスタQ2のドレインには、発光素子としての有機EL素子E1の陽極端子が接続されると共に、当該EL素子E1の陰極端子は基準電位(グランド)に接続されている。このようにして、前記した構成の発光表示画素は、前記したとおり表示パネル1上に、縦横方向にマトリクス状に多数配列されている。
【0008】
図1に示した構成において、発光表示画素p11における走査選択用トランジスタQ1のゲートに、走査信号線n1を介して走査ドライバ3より走査信号(Select)が供給されると、走査選択用トランジスタQ1はオン状態になされ、そのソースに供給されるデータ信号線m1からのデータ信号(Vdata)に対応した電流をソースからドレインに流す。したがって、走査選択用トランジスタQ1がオンの期間に、前記コンデンサC1にはデータ信号(Vdata)に対応した電圧が充電され、その電圧が発光駆動用トランジスタQ2のゲートに供給される。それゆえ、発光駆動用トランジスタQ2は、そのゲート電圧とソース電圧(Vgs)に基づいた電流をEL素子E1に流し、EL素子を発光駆動させる。
【0009】
一方、走査選択用トランジスタQ1のゲートに対する走査信号(Select)の供給が停止されると、走査選択用トランジスタQ1はいわゆるカットオフとなり、当該トランジスタのドレインは開放状態となるものの、発光駆動用トランジスタQ2はコンデンサC1に蓄積された電荷によりゲート電位が保持される。したがって、次の走査まで駆動用トランジスタQ2の駆動電流が維持され、これによりEL素子E1の発光も維持される。
【0010】
図2には、前記したデータドライバ2及び走査ドライバ3の具体的な構成が示されている。図2に示すように、データドライバ2には、シフトレジスタ2aが具備されており、このシフトレジスタ2aには、図示しないコントローラICよりシフトクロック(SCK)およびスタートパルス(SSP)が供給される。前記シフトレジスタ2aは、これらシフトクロック(SCK)およびスタートパルス(SSP)に基づいて、タイミング信号(シフト出力)を順に出力し、このタイミング信号をデータラッチ群2bに順に供給するよう作用する。
【0011】
前記データラッチ群2bは、各画素に対応する映像データを処理する複数のステージの各ラッチを有している。そして、前記シフトレジスタ2aより順に供給されるタイミング信号によって、前記したコントローラICよりデータバスを介して供給される各画素に対応する映像データ(DATA)を各ラッチに順に書き込み、保持するように作用する。このデータラッチ群2bへの1走査分の映像データの書き込みが終了すると、データラッチ回路2cに対してデータラッチ信号(SLAT)が供給される。
【0012】
これにより、データラッチ群2bに書き込まれた1走査分の映像データは、一斉にデータラッチ回路2cに伝送される。そして、データラッチ回路2cに対して1走査分の映像データを送出し終えたデータラッチ群2bには、シフトレジスタ2aからのタイミング信号を受けて、再び次の1走査分の映像データの書き込みがなされる。
【0013】
前記データラッチ回路2cにおいてラッチされた各画素に対応する映像データは、レベルシフタ2dに供給される。そして、このレベルシフタ2dによって所定のレベルに変換された映像データは、図1に示した表示パネル1の各データ信号線m1、m2、…を介して走査状態の各画素に対し、データ信号(Vdata)として供給される。
【0014】
一方、図2に示す走査ドライバ3においては、走査用のシフトレジスタ3aと、このシフトレジスタから順に出力されるタイミング信号を所定のレベルに変換するレベルシフタ3bが具備されている。そして、走査ドライバ3における前記した走査用のシフトレジスタ3aはアドレス期間中において、走査シフトクロック(GCK)および走査スタートパルス(GSP)を図示せぬコントローラICより受けて、タイミング信号(シフト出力)を順に生成する。このタイミング信号は、前記したとおりレベルシフタにより所定のレベルに変換され、図1に示した表示パネル1の各走査信号線n1、n2、…に対して順次走査信号(GSL)を供給するように作用する。
【0015】
したがって、アドレッシング時において、図1に示した表示パネル1に配列された各走査信号線n1、n2、…には、前記したように走査信号(Select)が順次供給されると共に、これに同期して各データ信号線m1、m2、…には1走査ごとの映像データ信号(Vdata)が供給される。これにより、表示パネル1における各画素には個々に映像データが書き込まれ、表示パネル1には前記映像データに応じて発光制御を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、有機EL素子が動作可能な温度範囲は、約−40℃〜+100℃であることが知られている。このため、単にマトリクス状にEL素子を配置したパッシブマトリクス型表示パネルにおいては、パネル自身における動作温度は約−40℃〜+100℃の範囲内である。しかしながら、前記した画素構成のように表示パネル内にTFTを搭載したアクティブマトリクス型表示パネルでは、特に低電圧で動作する駆動用TFTの動作速度が、約−20℃以下の低温時または+60℃以上の高温時に著しく遅くなるという課題があった。したがって、そのような低温時または高温時においてアクティブマトリクス型表示パネルの駆動を行う場合には、表示画像に不具合が発生する可能性があった。
【0017】
また、有機EL素子以外の表示用素子(例えば、液晶素子等)にあっては、例えば−20℃以下の低温時になると正常に動作しないことが知られている。しかしながら、将来的な技術改良により例えば−40℃の低温時でも正常に動作する表示用素子が有機EL素子以外にも現れる可能性は十分にある。そのような表示用素子を用いた表示パネルを駆動する場合、TFTの性能が現在と同様であれば、前記したような有機EL素子を用いた場合と同様の問題が発生するおそれがある。
【0018】
この発明は、前記した技術的な問題点に着目してなされたものであり、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配された表示パネルの駆動装置において、パネル温度が所定の温度範囲外にある場合においても表示画面での不具合発生を抑制することのできる表示パネルの駆動装置及び駆動方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するためになされた本発明にかかる表示パネルの駆動装置は、請求項1に記載のとおり、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記データドライバに供給する映像データを(N−1)フレーム単位で間引くことに特徴を有する。
【0020】
また、請求項2に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記走査ドライバにより、隣接するN本の走査線ごとに同時に走査させ、前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くことに特徴を有する。
【0021】
また、請求項3に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記走査ドライバにより、N本おきに走査線を飛び越し走査させ、前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くことに特徴を有する。
【0022】
また、請求項4に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記走査ドライバにより、表示領域の全走査線の本数の1/N本の走査線のみを走査させることに特徴を有する。
【0023】
また、請求項5に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされ、1フレームをM個(Mは正の整数)のサブフレームに分割しサブフレーム単位の駆動動作により階調表示を行う表示パネルの駆動装置において、前記データドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段によりデータドライバのクロック周波数を変換させ、1フレームをM/N個のサブフレームに分割し階調表示を行うことに特徴を有する。
【0024】
また、前記課題を解決するためになされた本発明にかかる表示パネルの駆動方法は、請求項9に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、前記表示パネルの温度を検出するステップと、検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、前記データドライバに供給する映像データを(N−1)フレーム単位で間引くステップとを実行することに特徴を有する。
【0025】
また、請求項10に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、前記表示パネルの温度を検出するステップと、検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、前記走査ドライバにより、隣接するN本の走査線ごとに同時に走査させるステップと、前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くステップとを実行することに特徴を有する。
【0026】
また、請求項11に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、前記表示パネルの温度を検出するステップと、検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、前記走査ドライバにより、N本おきに走査線を飛び越し走査させるステップと、前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くステップとを実行することに特徴を有する。
【0027】
また、請求項12に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、前記表示パネルの温度を検出するステップと、検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、前記走査ドライバにより、表示領域の全走査線の本数の1/N本の走査線のみを走査させるステップとを実行することに特徴を有する。
【0028】
また、請求項13に記載の通り、複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされ、1フレームをM個(Mは正の整数)のサブフレームに分割しサブフレーム単位の駆動動作により階調表示を行う表示パネルの駆動方法において、前記表示パネルの温度を検出するステップと、検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記データドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、1フレームをM/N個のサブフレームに分割し階調表示を行うステップとを実行することに特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明にかかる表示パネルの駆動装置及び駆動方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。尚、以下の説明においてはすでに説明した図1、図2に示された各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって個々の機能および動作については適宜説明を省略する。
【0030】
図3は、この発明にかかる表示パネルの駆動装置の第一の実施の形態を示したものである。図3の駆動装置100においては、ガラス基板20による同一平面上に、映像表示領域となる表示パネル1と、データドライバ2と、走査ドライバ3とが設置されている。そして、制御手段としてのコントローラIC8は分周回路8a(クロック周波数変換手段)を具備している。この分周回路8aは、走査ドライバ3に対し通常時に供給される動作クロックを1/N(Nは正の整数)の周波数(以下の説明においては、例えばN=2、すなわち通常時の1/2のクロック周波数とする)に変換して出力するよう構成されている。
【0031】
また、図3に示すように、この駆動装置100においては、表示パネル1の温度を検出する温度検出回路9(温度検出手段)を備え、温度検出回路9は検出結果をコントローラIC8に供給するようになされている。この温度検出回路9は、例えばサーミスタを用いて構成され、検出結果が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合に、その旨を示すパルス信号をコントローラIC8に出力するようになされている。また、サーミスタにおいてヒステリシス特性を付与することによって、閾値である所定の温度付近での出力のばたつきを抑制するように構成されている。
【0032】
このように構成された駆動装置100において、温度検出回路9の検出温度が所定の温度範囲内(例えば−20℃〜+60℃の範囲内)にある場合、コントローラIC8は分周回路8aを利用せず、通常時の動作としてデータドライバ2及び走査ドライバ3に制御信号、クロック信号等を供給する。
【0033】
一方、温度検出回路9の検出温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合、コントローラIC8は分周回路8aから出力されるシステムクロック信号(通常時の1/2の速度のクロック)に基づいて、走査ドライバ3に通常時の1/2の速度の走査シフトクロック(GCK)を供給する。
【0034】
これにより、表示パネル1における表示のフレーム周波数は通常の1/2となるため、特に動画表示を継続できるように、コントローラIC8からデータドライバ2に供給される映像データは、(N−1)フレーム、すなわち1フレーム単位で間引いて供給されるように制御される。
【0035】
以上のように、本発明の第一の実施の形態によれば、表示パネル1の温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合に、表示パネル1における表示のフレーム周波数が通常時の1/Nのフレーム周波数となされ、データドライバ2に供給される映像データが(N−1)フレーム単位で間引いて供給される。このようになされることで、低温または高温によりTFTの動作速度が遅くなっても、通常時よりも一走査分のデータ表示に当てられる時間が長くなるよう制御されるため発光素子(表示用素子)の駆動動作には影響がなく、映像データの表示を継続して行うことができる。
【0036】
続いて、図4及び図5に基づいて、本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第二の実施の形態について説明する。図4は、第二の実施の形態における駆動装置の全体を示したものである。図5は、図4の表示パネルが具備する走査ドライバ内の、より詳細な構成を示したブロック図である。
【0037】
図4の駆動装置100においては、前記した第一の実施の形態と同様に、ガラス基板20の上に、表示パネル1と、データドライバ2と、走査ドライバ3とが設置されている。そして、制御手段としてのコントローラIC8は分周回路8a(クロック周波数変換手段)を具備している。この分周回路8aは、走査ドライバ3に対し通常時に供給される動作クロックを1/N(Nは正の整数)の周波数(以下の説明においては、例えばN=2、すなわち通常時の1/2のクロック周波数とする)に変換して出力するよう構成されている。
また、図4に示すように、この駆動装置100は、第一の実施の形態と同様の機能を有する温度検出回路9(温度検出手段)を備えている。
【0038】
この駆動装置100において、走査ドライバ3には、第一のシフトレジスタ群3aと、第二のシフトレジスタ群3cが具備されている。第一のシフトレジスタ群3aでは、図5に示すように走査線と同数のシフトレジスタ10が配列されて構成されている。そして、それらシフトレジスタ10は、図2に基づいて説明したシフトレジスタ群3aと同様の機能を果たすものであり、走査シフトクロック(GCK)及び走査スタートパルス(GSP)を受けて、タイミング信号(シフト出力)を順に生成するように動作する。
【0039】
また、第二のシフトレジスタ群3cにおいては、隣接したN本の走査線に対し1つの割合でシフトレジスタ10が配置される。すなわち、本実施の形態の例では前記したようにN=2であるため、図5に示すように、隣接する2本の走査線に対して1つの割合でシフトレジスタ10が配列されている。そして、それらシフトレジスタ10は、第一のシフトレジスタ群3aと同様に走査シフトクロック(GCK)及び走査スタートパルス(GSP)を受けて、タイミング信号(シフト出力)を順に生成するように動作する。
【0040】
また、図4に示すように走査ドライバ3は、セレクタ群3dを具備している。図5に示すように、このセレクタ群3dは、走査線の数と同数のセレクタ11が配列されてなり、それぞれ2入力の各セレクタ11には第一のレジスタ群3aからのタイミング信号と第二のレジスタ群3cからのタイミング信号が入力され、セレクト信号(SEL)によりいずれかのタイミング信号が選択されてレベルシフタ3bの各バッファ12に供給されるように構成されている。なお、前記したように第二のシフトレジスタ群3cにおけるシフトレジスタ10の数は、隣接した2つの走査線に対し1つの割合であるため、1つのシフトレジスタ10からのタイミング信号は、隣接した2つの走査線に対して同時に出力される。
【0041】
このように構成された駆動装置100において、温度検出手段9による検出温度が所定の温度範囲内(例えば−20℃〜+60℃の範囲内)にある場合には、コントローラIC8は、分周回路8aを利用せず、セレクト信号(SEL)により第一のレジスタ群3aのタイミング信号(シフト出力)を選択する。これにより、走査ドライバ3からは、セレクタ群3dでの遅延はあるものの、ほぼ図2に示した走査ドライバ3と同じ走査信号が出力されることとなる。
【0042】
一方、温度検出回路9の検出温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合、コントローラIC8は分周回路8aから出力されるシステムクロック信号(通常時の1/2の速度のクロック)に基づいて、走査ドライバ3に通常時の1/2の速度の走査シフトクロック(GCK)を供給する。
【0043】
そして、コントローラIC8は、セレクト信号(SEL)により第二のレジスタ群3cのタイミング信号(シフト出力)を選択する。これにより、走査ドライバ3からは、1つのレジスタ10からの走査信号が隣接した2本の走査線に対しレベルシフタ3bを介して同時に出力される。その場合、同時に走査される2本の走査線では、同じデータが表示されることになる。また、これによりフレーム周波数は通常時と同じになるが、表示可能な走査方向のデータのライン数は1/N、すなわち1/2となるため、映像データは(N−1)本、すなわち1本の走査線ごとに間引いて供給されるようデータドライバ2の出力がコントローラIC8により制御される。
【0044】
以上のように、本発明の第二の実施の形態によれば、表示パネル1の温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合に、表示パネル1における表示のフレーム周波数が通常時の1/Nのフレーム周波数となされ、走査ドライバ3から、隣接するN本の走査線ごとに同時に走査がなされ、データドライバ2には映像データが(N−1)本の走査線ごとに間引いて供給される。このようになされることで、低温または高温によりTFTの動作速度が遅くなっても、通常時よりも一走査線分のデータ表示に当てられる時間が長くなるよう制御されるため発光素子(表示用素子)の駆動動作には影響がなく、映像データの表示を継続して行うことができる。
【0045】
続いて、図4及び図6に基づいて本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第三の実施の形態について説明する。この第三の実施の形態においては、前記した第二の実施の形態と、走査ドライバ3内の構成および駆動方法が異なる。このため第二の実施の形態で用いた図4を再び用いて説明する。なお、図4に示す分周回路8aは、走査ドライバ3に対し通常時に供給される動作クロックを1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するが、以下の説明においては、例えばN=2、すなわち通常時の1/2のクロック周波数に変換するものとする。また、図6は、図4の表示パネルが具備する走査ドライバ内の、より詳細な構成を示したブロック図である。
【0046】
図示するように、走査ドライバ3には、第一のシフトレジスタ群3aと、第二のシフトレジスタ群3cが具備されている。第一のシフトレジスタ群3aでは、図6に示すように走査線と同数のシフトレジスタ10が配列されて構成されている。そして、それらシフトレジスタ10は、図2に基づいて説明したシフトレジスタ群3aと同様の機能を果たすものであり、走査シフトクロック(GCK)及び走査スタートパルス(GSP)を受けて、タイミング信号(シフト出力)を順に生成するように動作する。
【0047】
第二のシフトレジスタ群3cにおいては、隣接したN本の走査線に対し1つの割合でシフトレジスタ10が配置される。本実施の形態の例では、前記したようにN=2であるため、図6に示すように、隣接する2本の走査線に対して1つの割合でシフトレジスタ10が配列されている。そして、それらシフトレジスタ10は、第一のシフトレジスタ群3aと同様に走査シフトクロック(GCK)及び走査スタートパルス(GSP)を受けて、タイミング信号(シフト出力)を順に生成するように動作する。
【0048】
また、図4に示すように走査ドライバ3は、セレクタ群3dを具備している。図6に示すように、このセレクタ群3dは、走査線の数と同数のセレクタ11が配列されている。これらすべての2入力のセレクタ11の一方の入力には、第一のシフトレジスタ群3aからのタイミング信号が入力されている。また、セレクタ11の数は、前記のように走査線と同数であるため、第二のシフトレジスタ群3cの各シフトレジスタ10に対して、それぞれN個、すなわち2個のセレクタ11が対応する。
【0049】
そして、第二のシフトレジスタ群3cの各シフトレジスタ10の出力は、それぞれ対応するN個、すなわち2個のセレクタ11のうち、例えば最上部に位置するセレクタ11の他方の入力に供給されるようになされている。また、残る(N−1)個、すなわち残る1つのセレクタ11の他方の入力には、基準電位(グランド)が入力されている。
このように構成されることにより、セレクタ群3dにおいて、第二のシフトレジスタ群3cの出力が選択される場合には、(N−1)本おき、すなわち1本おきに飛び越し走査がなされることになる。
【0050】
このように構成された駆動装置100において、温度検出手段9による検出温度が所定の温度範囲内(例えば−20℃〜+60℃の範囲内)にある場合には、コントローラIC8は、分周回路8aを利用せず、セレクト信号(SEL)により第一のレジスタ群3aのタイミング信号(シフト出力)を選択する。これにより、走査ドライバ3からは、セレクタ群3dでの遅延はあるものの、ほぼ図2に示した走査ドライバ3と同じ走査信号が出力されることとなる。
【0051】
一方、温度検出回路9の検出温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合、コントローラIC8は分周回路8aから出力されるシステムクロック信号(通常時の1/2の速度のクロック)に基づいて、走査ドライバ3に通常時の1/2の速度の走査シフトクロック(GCK)を供給する。
【0052】
そして、コントローラIC8は、セレクト信号(SEL)により第二のレジスタ群3cのタイミング信号(シフト出力)を選択する。これにより前記したように、(N−1)本おき、すなわち1本おきに飛び越し走査がなされる。また、これによりフレーム周波数は通常時と同じになるが、表示可能な走査方向のデータのライン数は1/N、すなわち1/2となるため、映像データは(N−1)本、すなわち1本の走査線ごとに間引いて供給されるようデータドライバ2の出力がコントローラIC8により制御される。
【0053】
以上のように、本発明の第三の実施の形態によれば、表示パネル1の温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合に、表示パネル1における表示のフレーム周波数が通常時の1/Nのフレーム周波数となされ、走査ドライバ3から、(N−1)本おきに飛び越し走査がなされ、データドライバ2には映像データが(N−1)本の走査線ごとに間引いて供給される。このようになされることで、低温または高温によりTFTの動作速度が遅くなっても、通常時よりも一走査線分のデータ表示に当てられる時間が長くなるよう制御されるため発光素子(表示用素子)の駆動動作には影響がなく、映像データの表示を継続して行うことができる。
【0054】
続いて、本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第四の実施の形態について説明する。図7は、第四の実施の形態における駆動装置の全体を示したものである。図8は、図7の表示パネルが具備する走査ドライバ内の、より詳細な構成を示したブロック図である。図7の駆動装置100においては、前記した第一乃至図三の実施の形態と同様に、ガラス基板20の上に、表示パネル1と、データドライバ2と、走査ドライバ3とが設置されている。この駆動装置100において、走査ドライバ3内の構成は、図2に示した走査ドライバ3の構成に対し、シフトレジスタ3aとレベルシフタ3bとの間にセレクタ群3dが追加された構成とされる。
【0055】
また、図示するように制御手段としてのコントローラIC8は分周回路8a(クロック周波数変換手段)を具備している。この分周回路8aは、走査ドライバ3に対し通常時に供給される動作クロックを1/N(Nは正の整数)の周波数(以下の説明においては、例えばN=2、すなわち通常時の1/2のクロック周波数とする)に変換して出力するよう構成されている。また、図7に示すように、この駆動装置100は、前記した第一乃至第三の実施の形態と同様の機能を有する温度検出回路9(温度検出手段)を備えている。
【0056】
図8に示すように、セレクタ群3d内においては、全走査線数の(1−1/N)本、すなわち全体走査線数の1/2の走査線数と同数のセレクタ11が隣接した走査線に対して設けられている。そして、2入力の各セレクタ11の一方の入力にはシフトレジスタ群3aからのタイミング信号が入力され、他方の入力には基準電位(グランド)とが入力されている。そして、コントローラIC8からのセレクト信号(SELECT)によりいずれかが選択され、バッファ12を介して走査線に出力されるようになされている。
【0057】
また、セレクタ11が対応しない残る所定領域に隣接した走査線には、バッファ12を介してシフトレジスタ10の出力が供給されるように構成されている。このように構成されることにより、セレクタ群3dにおいて、基準電位(グランド)が選択される場合には、表示領域の所定領域に隣接した、全走査線の本数の1/N(すなわち1/2)本の走査線のみが走査されることになる。
【0058】
このように構成された駆動装置100において、温度検出手段9による検出温度が所定の温度範囲内(例えば−20℃〜+60℃の範囲内)にある場合には、コントローラIC8は、分周回路8aを利用せず、セレクト信号(SEL)によりシフトレジスタ群3aのタイミング信号(シフト出力)を選択する。これにより、走査ドライバ3からは、セレクタ群3dでの遅延はあるものの、ほぼ図2に示した走査ドライバ3と同じ走査信号が出力されることとなる。
【0059】
一方、温度検出回路9の検出温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合、コントローラIC8は分周回路8aから出力されるシステムクロック信号(通常時の1/2の速度のクロック)に基づいて、走査ドライバ3に通常時の1/2の速度の走査シフトクロック(GCK)を供給する。
【0060】
そして、コントローラIC8は、セレクト信号(SEL)により基準電位(グランド)を選択する。これにより前記したように、表示領域の所定領域に隣接した、全走査線の本数の1/N(すなわち1/2)本の走査線のみが走査されることになる。すなわち、表示領域の上半分のみに映像データが表示される。また、これによりフレーム周波数は通常時と同じになる。
【0061】
以上のように、本発明の第四の実施の形態によれば、表示パネル1の温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合に、表示パネル1における表示のフレーム周波数が通常時の1/Nのフレーム周波数となされ、走査ドライバ3により、表示領域の所定領域に隣接した、全走査線の本数の1/N本の走査線のみが走査される。このようになされることで、低温または高温によりTFTの動作速度が遅くなっても、通常時よりも一走査線分のデータ表示に当てられる時間が長くなるよう制御されるため発光素子の駆動動作には影響がなく、映像データの表示を継続して行うことができる。
【0062】
続いて、図3及び図9、図10に基づいて、本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第五の実施の形態について説明する。なお、図3は第一の実施の形態で用いた駆動回路の構成であるが、この第五の実施の形態での回路構成と同じであるため、再び用いて説明する。なお、同じ構成であるため、各構成についての説明は簡略化するが、分周回路8aは、データドライバ2に対し通常時に供給される動作クロックを1/N(Nは正の整数)の周波数(以下の説明においては、例えばN=2、すなわち通常時の1/2のクロック周波数とする)に変換して出力するものとする。
【0063】
また、図9は、1フレームを8つのサブフレームに時分割し階調表示する場合に、発光素子の点灯および消灯期間の関係を示す図である。なお、以下の説明では、通常時において1フレームをM個のサブフレームに時分割し階調表示がなされるものとし、M=8の場合を例に説明する。図10は、1フレームを構成するサブフレーム数をM/N個、すなわち4個とした場合の発光素子の点灯および消灯期間の関係を示す図である。
【0064】
図3に示す駆動回路100においては、発光素子であるEL素子に加える駆動電流の供給時間(点灯時間)を変更することができるので、有機EL素子の実質的な発光輝度を制御することができる。このため、図9に示すように、フレーム同期信号Fsによって定められる1フレーム期間を、期間の等しい8つのサブフレーム期間(SF1〜SF8)に時分割した構成とすれば、これらサブフレーム期間における素子の発光期間Lpを適宜または組み合わせて選択することにより、9階調の表現(単純サブフレーム法)を行うことができる。なお、これらの階調制御は制御手段としてのコントローラIC8により行われる。
【0065】
このように構成された駆動装置100において、温度検出手段9による検出温度が所定の温度範囲内(例えば−20℃〜+60℃の範囲内)にある場合には、コントローラIC8は、分周回路8aを利用せず、図9に示すように1フレーム期間をM個、すなわち8つのサブフレーム期間に時分割し階調表示を行う。
【0066】
一方、温度検出回路9の検出温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合、コントローラIC8は分周回路8aから出力されるシステムクロック信号(通常時の1/2の速度のクロック)に基づいて、データドライバ2に通常時の1/N、すなわち1/2の速度のシフトクロック(SCK)を供給する。これにより、データドライバ2から表示パネル1の各データ線(m1、m2、…)には、通常時の1/Nの動作クロック周波数に基づいて映像データが供給される。
【0067】
そして、コントローラIC8は、図10に示すように1フレーム期間をM/N個、すなわち4個のサブフレーム期間に時分割し、サブフレーム単位の点灯駆動動作により階調表示を行う。これにより表現可能な階調数は減少するが、1フレームを構成するサブフレーム数が通常の半分であるため、各サブフレーム期間が長くなり、各画素のTFTによる点灯制御に要するクロック周波数は通常時の1/N、すなわち1/2であるため、フレームごとの映像データ表示を十分に行うことができる。
【0068】
以上のように、本発明の第五の実施の形態によれば、表示パネル1の温度が所定の温度範囲外(例えば−20℃〜+60℃の範囲外)にある場合に、データドライバ2から表示パネル1の各データ線に対し通常時の1/Nのクロック周波数に基づいて映像データが供給される。さらには、通常時の1フレーム期間をM/N個のサブフレーム期間に時分割し階調表示が行われる。このようになされることで、低温または高温によりTFTの動作速度が遅くなっても、各サブフレーム期間が長くなるため、フレームごとの映像データ表示を十分に行うことができ、映像データの表示を継続して行うことができる。
【0069】
なお、本発明にかかる表示パネルの駆動装置及び駆動方法は、特にアクティブマトリクス型表示パネルにおける課題を解決するに最適であり、前記した第一乃至第五の実施の形態においては、アクティブマトリクス型表示装置を例に説明したが、それに限定されるものではなく、パッシブマトリクス型表示パネルに対しても適用することができる。
【0070】
また、前記した第一乃至第五の実施の形態においては、表示用素子として有機EL素子を例に説明したが、本発明にかかる表示パネルの駆動装置及び駆動方法においては、表示用素子を有機EL素子に限定するものではない。例えば、将来的な技術改良により−40℃の低温時または、+60℃以上の高温時でも正常に動作する液晶素子等の表示用素子が現れる可能性があり、そのような表示用素子を用いた表示パネルの駆動装置の場合にも本発明を好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来のアクティブマトリクス型表示パネルにおける画素の最も基本的な回路構成を示す図である。
【図2】従来のデータドライバ及び走査ドライバの具体的な構成を示した駆動装置のブロック図である。
【図3】本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第一、第五の実施の形態を示したものである。
【図4】本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第二、第三の実施の形態を示したものである。
【図5】第二の実施の形態において、図4の表示パネルが具備する走査ドライバ内の、より詳細な構成を示したブロック図である。
【図6】第三の実施の形態において、図4の表示パネルが具備する走査ドライバ内の、より詳細な構成を示したブロック図である。
【図7】本発明にかかる表示パネルの駆動装置の第四の実施の形態を示したものである。
【図8】図7の表示パネルが具備する走査ドライバ内の、より詳細な構成を示したブロック図である。
【図9】1フレームを8つのサブフレームに時分割し階調表示する場合に、発光素子の点灯および消灯期間の関係を示す図である。
【図10】第五の実施の形態において、1フレームを構成するサブフレーム数を4個とした場合の発光素子の点灯および消灯期間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 表示パネル
2 データドライバ
3 走査ドライバ
3a シフトレジスタ群(第一のシフトレジスタ群)
3b レベルシフタ
3c 第二のシフトレジスタ群
3d セレクタ群
8 コントローラ(制御手段)
8a 分周回路(クロック周波数変換手段)
9 温度検出回路(温度検出手段)
10 シフトレジスタ
11 セレクタ
12 バッファ
20 ガラス基板
100 駆動装置
E1 有機EL素子(表示用素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、
前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記データドライバに供給する映像データを(N−1)フレーム単位で間引くことを特徴とする表示パネルの駆動装置。
【請求項2】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、
前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記走査ドライバにより、隣接するN本の走査線ごとに同時に走査させ、前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くことを特徴とする表示パネルの駆動装置。
【請求項3】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、
前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記走査ドライバにより、N本おきに走査線を飛び越し走査させ、前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くことを特徴とする表示パネルの駆動装置。
【請求項4】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動装置において、
前記走査ドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段により走査ドライバのクロック周波数を変換させ、前記走査ドライバにより、表示領域の全走査線の本数の1/N本の走査線のみを走査させることを特徴とする表示パネルの駆動装置。
【請求項5】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされ、1フレームをM個(Mは正の整数)のサブフレームに分割しサブフレーム単位の駆動動作により階調表示を行う表示パネルの駆動装置において、
前記データドライバにおける動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するクロック周波数変換手段と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出手段と、前記データドライバと走査ドライバの動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記クロック周波数変換手段によりデータドライバのクロック周波数を変換させ、1フレームをM/N個のサブフレームに分割し階調表示を行うことを特徴とする表示パネルの駆動装置。
【請求項6】
前記データドライバおよび走査ドライバと前記表示用素子とは、同一平面を成す基板上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された表示パネルの駆動装置。
【請求項7】
前記温度検出手段にヒステリシス特性が付与されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された表示パネルの駆動装置。
【請求項8】
前記表示用素子は有機EL素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された表示パネルの駆動装置。
【請求項9】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、
前記表示パネルの温度を検出するステップと、
検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、
前記データドライバに供給する映像データを(N−1)フレーム単位で間引くステップとを実行することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項10】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、
前記表示パネルの温度を検出するステップと、
検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、
前記走査ドライバにより、隣接するN本の走査線ごとに同時に走査させるステップと、
前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くステップとを実行することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項11】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、
前記表示パネルの温度を検出するステップと、
検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、
前記走査ドライバにより、N本おきに走査線を飛び越し走査させるステップと、
前記データドライバに供給する1フレーム中における映像データを(N−1)本の走査線ごとに間引くステップとを実行することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項12】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされる表示パネルの駆動方法において、
前記表示パネルの温度を検出するステップと、
検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記走査ドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、
前記走査ドライバにより、表示領域の全走査線の本数の1/N本の走査線のみを走査させるステップとを実行することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項13】
複数のデータ線および複数の走査線の各交差位置に表示用素子が配され、データドライバと走査ドライバとにより前記表示用素子の駆動がなされ、1フレームをM個(Mは正の整数)のサブフレームに分割しサブフレーム単位の駆動動作により階調表示を行う表示パネルの駆動方法において、
前記表示パネルの温度を検出するステップと、
検出された前記表示パネルの温度が所定の温度範囲外にある場合に、前記データドライバの動作クロック周波数を1/N(Nは正の整数)の周波数に変換するステップと、
1フレームをM/N個のサブフレームに分割し階調表示を行うステップとを実行することを特徴とする表示パネルの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−235308(P2006−235308A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50714(P2005−50714)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】