説明

表示パネル

本発明は、基板(5)に形成され、かつ、少なくとも1つの光放出層(9)及び該光放出層の上又は上方に堆積された少なくとも1つの電極層(10)すなわちカソードを備える複数の表示画素(3)を有する表示パネル(1)に関する。表示パネル(1)はさらに、電極層(10)に分路を設ける導電構造(7)を有する。好ましくは、表示画素(3)を分離する隔壁構造が導電構造(7)として用いられる。本発明は、適当な透明性と合理的な低電気抵抗とを兼ね備えたカソード(10)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板に形成され、かつ、少なくとも1つの光放出層、及び該光放出層の上又は上方に配置された少なくとも1つの電極層を備えた表示画素を複数有する表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上又は上方にエレクトロルミネセント(EL)材料を含む表示画素を用いる表示パネルが次第に知られるようになってきている。これらの光放出素子は、行及び列のマトリックスに配列された表示画素に組み込まれる、或いはそれら表示画素を形成する発光ダイオード(LED)とし得る。このようなLEDに採用される材料は、特殊ポリマー(PLED)又は小分子有機(SMOLED)材料等の、電流がこれら材料を通って伝導されるときに光を発生するのに適した材料である。従って、電流がこれらのEL材料を通って駆動され得るようにLEDが配置されなければならない。一般に、パッシブ駆動及びアクティブ駆動のマトリックス型ディスプレーに区別される。アクティブマトリックス型ディスプレーでは、表示画素自体が1つ以上のトランジスタ等の能動回路を有する。
【0003】
PLED材料は熱的安定性、柔軟性、及び水性溶液若しくは溶媒への溶解度といったその本質的な特性のためにSMOLED材料よりも優位である。その結果として、PLED材料はスピンコーティング又はインクジェットによる堆積等の湿式の化学的手法によって塗布することも可能である。
【0004】
透明画素電極が透明基板上に形成された有機EL素子が開示されている(特許文献1参照)。EL材料を含む液体インクの滴が隣の表示画素に意図せず流れるのを防止するために、フォトリソグラフィで定められたフォトレジストの土手が画素電極間に形成される。
【0005】
例えば上面放出型又は半透過型の表示パネル等の、幾つかの表示パネルでは、電流をEL材料に与える表面電極層は表示画素から放射された光に対して透明であるべきである。このような透明電極層は比較的高い電気抵抗を本質的に有する。故に、このような表示パネルでは、電気抵抗を低減するために透明性を犠牲にして電極層を厚くするか、かなり大きい電気抵抗を生じさせ当該表示パネルを使用する装置の電力消費に不利な影響を有するものの、透明性を高めるために表面電極層を薄くするかの何れにするかという悩ましい問題が生じる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0892028号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低抵抗の光透明電極を備えた表示パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記電極層に分路を設ける電気伝導構造をさらに有する表示パネルを提供することによって上述の目的は達成される。分路を設けることにおいて、電極層が1つ以上の電気伝導構造により相互接続され、電気伝導構造は該電気伝導構造の上方にある電極層を流れる電流の一部を迂回させることができる。この表示装置では、電極層の厚さに影響しない外付け手段によって電極層の電気抵抗が低減される。故に、電極層の電気抵抗が許容できないほど増大することなく、電極層の厚さを合理的に薄く維持することが可能である。
【0008】
本発明の一実施形態では、表示画素が前記電気伝導構造を形成する隔壁構造によって分離され、かつ、前記電極層が該電極層に分路を設けるために前記隔壁構造に接触している。隔壁構造自体は一般に従来から表示画素間にあるので、分路を設けるためのこれら隔壁構造の使用法は付加的な製造工程を必要とせず、表示画素の開口率もこのような電気伝導構造によっては低下されない。隔壁構造は画素に対応する‘小さなカップ’状のものを形成し、このカップは光放出ポリマーで充填される。有機物の隔壁構造とは対照的に、金属隔壁構造は1つの画素から別の画素への水の拡散に対する障壁を形成する。
【0009】
本発明の一実施形態では、隣接する表示画素の前記隔壁構造が電気的に接触している。本質的要素ではないが、電極層自体が既に隔壁に接続しているので、隔壁構造間の電気的接触がさらに電気経路の抵抗を低減し、分路の性能が向上される結果となる。
【0010】
本発明の一実施形態では、絶縁層が光放出層を前記隔壁構造から分離している。光放出層は導電性であるので、この絶縁層によって、光放出層下の電極と前記電極層との間をリーク電流が隔壁構造を介して流れるのを阻止する。さらに、PEDOT正孔注入層等の特定の材料の化学活性が隔壁構造を腐食又は酸化し、この領域の電極層との電気接触不良をもたらす可能性がある。好ましくは、隔壁構造は、例えばフォトレジスト層又はアモルファスシリコン層等の絶縁スペーサ層としての疎水性の絶縁層によって覆われている側壁を有する。その代わりに、隔壁構造が前記基板に対して実質的に傾斜した向きを持つ側壁を有し、該側壁が陽極酸化された絶縁スペーサ層によって覆われていてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態では、表示パネルは電極層を局所的に分離するための構造をさらに有する。前記構造は、一般にパッシブマトリックス型表示パネルで用いられる、電極層を複数のストリップに分離するために使用され得る備え付けのシャドーマスクであってもよい。これらのストリップはやはり、個々のストリップの表示画素の隔壁構造によって分路を設けられる。
【0012】
本発明の一実施形態では、隔壁構造は例えば外部電極と接触するために、当該表示パネルの少なくとも1つのエッジで、或いは該エッジ付近で利用可能である。
【0013】
本発明の一実施形態では、隔壁構造は少なくとも1つの光吸収性電気伝導層によって少なくとも部分的に覆われている。この光吸収層は上面放出型表示パネルで金属隔壁構造の光散乱を低減するために有効であり、日光下でのコントラストを改善する。好ましくは、前記光吸収層は酸化材料、又は酸化物と金属の合成材料を有する。このような層は、本質的に光吸収性である、或いは、後に堆積される電極層等の表示パネルのその他の層と反応して堆積後に光吸収性になるか光吸収性のままである、の何れでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態では、隔壁構造は完全な反射性であるか反射層で覆われているかの何れかであり、表示パネルがさらに、例えば円偏光子等の光遮蔽層を有する。如何なる入射光も、隔壁構造によって完全に反射され、続いて、光散乱が低減又は除去されるように完全に遮られる。
【0015】
理解されるべきは、上述の表示パネルは電子装置の一部分又は電子装置それ自体の何れをも構成し得る。このような電子装置は、パーソナルコンピュータのモニター、テレビセット又は例えば車のダッシュボード等のディスプレーだけでなく、例えば移動電話、携帯情報端末(PDA)又はポータブルコンピュータ等の手で保持する装置にも関する。
【0016】
本発明はさらに、基板への表示パネルの製造方法であって:
前記基板の上又は上方への導電性隔壁構造の堆積によって複数の表示画素領域を定める工程;
前記隔壁構造によって囲まれる分離した前記表示画素領域を、光放出層を形成する少なくとも1つの材料で満たす工程;
電極層を前記光放出層の上又は上方に、前記隔壁構造と接触させて堆積する工程;
を有する製造方法に関する。
【0017】
この方法により、電極層の電気抵抗が許容できないほど増大することなく、電極層の厚さが合理的に薄く維持され得るところの表示装置が提供される。隔壁構造自体は従来から表示画素間にあるので、分路を設けるためのこれら隔壁構造の使用法は付加的な製造工程を必要とせず、表示画素の開口率も追加の電気伝導構造によっては低下されない。
【0018】
本発明の一実施形態では、製造方法はさらに、ポリマー材料と前記隔壁構造との間に絶縁スペーサ層を形成する工程を有する。このような絶縁層により、リーク電流を低減又は除去し、隔壁構造の化学分解を回避することができる。
【0019】
本発明の好ましい一実施形態では、製造方法はさらに:
マスク層を前記隔壁構造の上又は上方に設ける工程;
前記隔壁構造に実質的に傾斜した側壁を形成するために前記マスク層をアンダーエッチングする工程;
対極を用いて、かつ前記導電性隔壁構造を第2電極として陽極酸化溶液の中で接続して、陽極酸化処理を行うことによって酸化物の絶縁スペーサ層を堆積する工程;
を有する。
【0020】
導電性隔壁構造は、当該隔壁構造が陽極酸化槽内の電極を構成するように、外部接続のために利用可能にされ得るので、これらの工程は都合がよいことが判明した。隔壁構造にTiW及びAlの積層体を用い、かつ第1の電極としてAlを用いる陽極酸化処理を行うためには、意外にも水が理想的な液体として発見された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明についてさらに、本発明に従った好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して例示する。本発明がこれらの具体的で好ましい実施形態には決して限定されないことは理解されるであろう。
【0022】
図1は電子装置2の表示パネルであって、行及び列のマトリックスに配列された複数の表示画素3を有する表示パネル1を概略的に示している。表示パネル1はポリマー発光ダイオード(PLED)若しくは小分子発光ダイオード(SMOLED)を含むアクティブマトリックス型表示パネル又はパッシブマトリックス型表示パネルの何れでもよい。
【0023】
図2は本発明の第1実施形態に従った表示パネル1の一部分を例示しており、3つの表示画素3を備えている。図3は図2に示された表示パネル1の一部分のI−I線に沿った断面図を示している。
【0024】
一般にアノードと参照される第1電極層4が基板5の上又は上方に、例えば真空蒸着又はスパッタによって設けられる。アノード4は引き続いて、破線で挟まれた領域として図2に示されるように、フォトリソグラフィによってパターン化される。アノード4は表示パネル1に要求される放出型式に応じて透明性、吸収性又は反射性の何れでもあり得る。一般に、光が基板5を通って放出される底面放出型の表示パネル1、又は表示パネル1が完全に透明である半透過型表示パネル1では、アノード4は透明にされる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)等の透明正孔注入電極材料が用いられ得る。一方、基板5と分離された表示パネル1から光が放出される上面放出型の表示パネルでは、アノード4は通常は反射性にされる。この場合、アノード4は金属でもよいし、或いはITOで覆われた金属でもよい。
【0025】
アノード4をパターニングした後、例えば二酸化シリコン等の絶縁層6、並びに、例えばアルミニウム層及びモリブデン層等の1以上の電気伝導層が堆積される。電気伝導層は電気伝導構造7を規定するために引き続きパターン化される。この実施形態においては、電気伝導構造7は隣り合う表示画素3を規定又は分離する隔壁構造7として用いられる。さらに、SiO2層6が表示画素領域Aの部分のアノード4を露出させるように定められ、必要に応じて、電気的な層間接続のための孔部が定められる。
【0026】
隔壁構造7は画素に対応する‘小さなカップ’状のものを形成し、それらは後の工程にて発光ポリマーで満たされる。有機物の隔壁構造と対照的に、金属隔壁構造7は1つの画素から他の画素への水の拡散に対する障壁を形成する。この水とは例えば、隔壁構造7によって形成されたカップ内に堆積される導電性ポリマーに存在し得るものである。好ましくは、隔壁構造7は図2に示されるように電気的に接触している。隔壁構造の厚さ又は高さは典型的に0.1乃至5μmの範囲で異なるが、より好ましくは1.5μmのように0.5乃至3μmの範囲内である。隔壁構造7の最小幅は例えば5μmのように1乃至10μmの範囲とし得る。表示パネル1のエッジ付近では、隔壁構造7の幅は例えば数cmなど遙かに大きくしてもよい。
【0027】
パッシブマトリックス型表示パネル1には、そして同様にアクティブマトリックス型表示パネル1にも時折、追加構造8が用いられ得る。
【0028】
続いて、ポリマー9が例えばインクジェット印刷法によって堆積される。表示画素3はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)層及び発光ポリマー(LEP)であるポリフェニレンビニレン(PPV)等の幾層かの導電性ポリマー層を有してもよい。カラー発光ディスプレーには異なる発光材料が用いられてもよい。SiO2層6が親水性である一方で、金属隔壁構造7は典型的に疎水性である。故に、発光材料は表示画素領域Aのほぼ全体に拡がる。
【0029】
最後に、一般にカソードと参照される電極層10が表示パネル上に堆積される。明瞭性の目的のため、このカソード10は図2には示されていない。典型的にアクティブマトリックス型表示パネル1ではカソードは隔たりのない厚板である。すなわち、共通のカソードが全ての表示画素3に用いられる。一方、パッシブマトリックス型表示パネルでは、カソードは追加構造8によって行又は列毎に分離される。カソード10は透明又は反射性の何れにもされ得る。特に透明カソード10には高い電気抵抗率が存在する。カソード10は電気伝導性隔壁構造7を介して分路を設けられ、その結果、カソード10の厚さの大幅な低減が実現され得る。好ましくは、カソード10の厚さは10乃至100nmの範囲内であり、より好ましくは30nmなど10乃至80nmの範囲内である。この大幅に低減された厚さはカソードの透明性を有意に高めることになる。隔壁構造7は金属でもよいし、カソード10の電流伝導を可能にする金属部分を有してもよい。カソード10が隔壁構造7の上表面と少なくとも電気的に接触しているとき、隔壁構造7の壁は急な勾配を有していてもよい。しかしながら、カソード層10による優れたステップカバレージ性を実現する浅い隔壁構造を得るために、隔壁構造7の壁は好ましくは例えば図5に示されるように基板5に対して傾斜した向きを有する。
【0030】
パッシブマトリックス型表示パネル1の場合には、カソード10は追加構造8によってライン状に構築され、隔壁構造7による分路は各々に特有のラインに設けられる。
【0031】
ポリマー物質の表示画素領域Aへの堆積により、しばしば、PEDOTと金属隔壁構造7とが接触することになる。PEDOTは導電性であるので、電気伝導性構造7を介してアノード4とカソード10との間にリーク電流が流れるおそれがある。さらに、PEDOT溶液は酸性であるので、隔壁構造7のアルミニウムが悪影響を受け局所的に腐食する原因になるおそれがある。このことは最終的に、隔壁構造7とカソード10との接触不良をもたらすおそれがある。
【0032】
図4及び5に示された実施形態は、ポリマー9を隔壁構造7から分離する絶縁層11を設けることによって、これらの影響を考慮したものである。
【0033】
図4において、隔壁構造7は絶縁スペーサ層11として、アモルファスシリコン又はフォトレジスト等の疎水性の絶縁層で覆われた側壁を有する。スペーサ層11がポリマー9によって濡らされないように、スペーサ層11は疎水性であるか、ポリマー処理前に疎水化されることが好ましい。
【0034】
この実施形態では、フォトレジストが例えばスピンコーティングによって表示パネル上に堆積される。追加構造8が設けられるべき場合には、この工程は好ましくはこれら追加構造8の形を定める前に取り入れられる。フォトレジスト層は好ましくは、表示パネル1上でのフォトレジストの平坦化を回避するために、隔壁構造7の高さよりあまり大きくない厚さに堆積される。レジストの堆積後、隔壁構造7の側壁に絶縁スペーサ層11が形成されるように、O2プラズマを用いて異方性RIEエッチングが為される。スペーサ層11は滑らかであるので、カソード10(図4には示さず)はこの構造を途切れなく覆うように堆積され得る。スペーサ層11は上述の悪影響が生じない或いは生じにくいように、金属隔壁構造7をポリマー9、特にPEDOTから保護する。
【0035】
図5では、隔壁構造7が、基板5に対して実質的に傾斜した向きの側壁12を有する。側壁12は陽極酸化された絶縁スペーサ層11で覆われる。絶縁スペーサ層11はこの場合も、金属隔壁構造7をPEDOT材料による悪影響を受けることから保護する。
【0036】
図6及び7は図5に示された実施形態の好ましい製造プロセスを例示している。金属隔壁構造7の規定後、ウェットエッチング又はプラズマエッチングの何れかによって隔壁構造7を定めるために用いられるフォトレジストマスク13をアンダーエッチングすることによって、傾斜した側壁12が形成される。フォトレジストマスク13は続く陽極酸化処理で用いられるように残される。陽極酸化処理は絶縁スペーサ層11を傾斜した側壁12の表面に設けるための処理である。金属隔壁構造7は表示パネル1で接触要素14との電気的接触のために利用可能である。隔壁構造がTiW及びAlを有する場合、水15が絶縁スペーサ層11を傾斜した側壁12の表面に設けるための酸化剤として用いられ得ることが観察された。接触要素14とAl対極17との間に30Vを印加する電圧源16によりAlOスペーサ層11が得られることが判明した。陽極酸化処理後にフォトレジストマスク13が除去される。必要な場合、その後、追加構造8が表示パネルに定められる。接触要素14はそれぞれの隔壁構造7の間に短絡回路を提供するものであるので、この接触要素14は除去することができる。しかし、共通カソード10を備えるアクティブマトリックス型表示パネルでは、接触要素14はカソード10とコンタクトをとるために残されてもよい。
【0037】
述べてきた実施形態は全て、さらなる層又は構造を有してもよく、また、一般にふたをされて保護されてもよい。
【0038】
要するに、本発明はカソード10に分路を設けること、好ましくは表示画素3間の隔壁構造7を用いることにより、カソード10が適切な透明性と妥当な低電気抵抗を兼ね備えることを可能になる。隔壁構造7は、液体発光ポリマーのためのダムを形成すること、及びカソード10に分路を設けることの2つの機能を果たす。
【0039】
図8は上面放出表示パネル1のための本発明の実施形態を概略的に示している。この実施形態では、隔壁構造7は少なくとも1つの光吸収性の電気伝導層18で覆われている。この層は以降、ブラック層18としても参照される。ブラック層18は、当該層を構築する前の、隔壁構造7を得るための電気伝導層の頂部に堆積されてもよい。ブラック層18はRuO2、IrO2、Pb2Ru2O7、Bi2Ru2O7又はPb3Rh7O15等の導電性を有する酸化材料を有してもよい。前記の層18はカソード10の材料と反応せず、また、本質的に吸収性かつ導電性である。別の種類の材料として、カソード10と反応するが、発光ポリマーの印刷、カソード10の堆積、及び封止のような更なる処理には抵抗力を有する材料があり得る。カソード10との反応後、これらの材料は吸収性になる、或いは吸収性及び導電性のままである。材料はSiOとAl、SiOとAg、又はその他の酸化物と金属の合成、の混合物を有してもよい。ブラック層18は好ましくは100nmなど、例えば20乃至500nmの範囲内等の限られた厚さを有する。
【0040】
図9は、隔壁構造7が完全に反射性であるか、反射層19で覆われており、かつ、表示パネル1が例えば円偏光子等のコントラスト強調層20を有する本発明の実施形態を概略的に示している。反射層19は反射率を上げるために追加されてもよい。反射層19は、高度に反射性である層を得るため、例えば20乃至100nmの範囲内など薄いことが好ましい。コントラスト強調層20は表示パネル1の頂部に設けられ、保護構造21上に位置する。如何なる入射光も、隔壁構造7又は反射層19により完全に反射され、続いて、入射する日光からの光散乱が低減又は除去されるように、遮光層20により完全に遮られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に従った表示パネルを備える電子装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に従った表示パネルの一部分を示す図である。
【図3】図2のI−I線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に従った表示パネルの一部分を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に従った表示パネルの一部分を示す断面図である。
【図6】図5の表示パネルを製造中の表示パネルの一部分を示す断面図である。
【図7】図6に示された表示パネルでの陽極酸化処理を例示する図である。
【図8】本発明の第4実施形態に従った表示パネルの一部分を示す断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に従った表示パネルの一部分を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成され、かつ、少なくとも1つの光放出層及び該光放出層の上又は上方に堆積された少なくとも1つの電極層を備える複数の表示画素を有する表示パネルであって、前記電極層に分路を設ける電気伝導構造をさらに有する表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルであって、前記表示画素が前記電気伝導構造を形成する隔壁構造によって分離され、かつ、前記電極層が該電極層に分路を設けるために前記隔壁構造に接触している、ところの表示パネル。
【請求項3】
請求項2に記載の表示パネルであって、隣接する表示画素の前記隔壁構造が電気的に接触している、ところの表示パネル。
【請求項4】
請求項2に記載の表示パネルであって、少なくとも1つの絶縁層が前記光放出層を前記隔壁構造から分離している、ところの表示パネル。
【請求項5】
請求項2に記載の表示パネルであって、前記隔壁構造が、アモルファスシリコン層又はフォトレジスト層等の絶縁スペーサ層としての疎水性の絶縁層によって覆われている側壁を有する、ところの表示パネル。
【請求項6】
請求項2に記載の表示パネルであって、前記隔壁構造が前記基板に対して実質的に傾斜した向きを持つ側壁を有し、該側壁が陽極酸化された絶縁スペーサ層によって覆われている、ところの表示パネル。
【請求項7】
請求項2に記載の表示パネルであって、前記電極層を局所的に分離するための構造をさらに有する表示パネル。
【請求項8】
請求項2に記載の表示パネルであって、前記隔壁構造が当該表示パネルの少なくとも1つのエッジで、或いは該エッジ付近で利用可能である、ところの表示パネル。
【請求項9】
請求項2に記載の表示パネルであって、前記隔壁構造が少なくとも1つの光吸収性電気伝導層によって少なくとも部分的に覆われている、ところの表示パネル。
【請求項10】
請求項9に記載の表示パネルであって、前記光吸収性電気伝導層が酸化材料、又は酸化物と金属の合成材料を有する、ところの表示パネル。
【請求項11】
請求項2に記載の表示パネルであって、前記隔壁構造が完全な反射性であるか反射層で覆われているかの何れかであり、かつ、当該表示パネルが偏光層をさらに有する、ところの表示パネル。
【請求項12】
基板への表示パネルの製造方法であって:
前記基板の上又は上方への導電性隔壁構造の堆積によって複数の表示画素領域を定める工程;
前記隔壁構造によって囲まれる分離した前記表示画素領域を、光放出層を形成するための少なくとも1つの材料で満たす工程;
電極層を前記光放出層の上又は上方に、前記隔壁構造と接触させて堆積する工程;
を有する製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の表示パネルの製造方法であって、ポリマーの前記材料と前記隔壁構造との間に絶縁スペーサ層を形成する工程をさらに有する製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の表示パネルの製造方法であって:
マスク層を前記隔壁構造の上又は上方に設ける工程;
前記隔壁構造に実質的に傾斜した側壁を形成するために前記マスク層をアンダーエッチングする工程;
対極を用いて、かつ前記導電性隔壁構造を第2電極として陽極酸化溶液の中で接続して、陽極酸化処理を行うことによって酸化物の絶縁スペーサ層を堆積する工程;
を有する製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の表示パネルの製造方法であって、前記陽極酸化溶液が前記側壁を酸化するための水を含む、ところの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−512666(P2007−512666A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540725(P2006−540725)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052449
【国際公開番号】WO2005/051049
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】