表示体及びラベル付き物品
【課題】優れた偽造防止効果を達成可能とする。
【解決手段】本発明の表示体10は、規則的に配列し、各々が表示用パターンDP1、DP2a又はDP2bを含んだ複数の単位表示部と、規則的に配列した複数のレンズ122を含み、それら単位表示部と向き合ったレンズアレイとを具備し、単位表示部は、表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、表示用パターンが第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含み、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bとレンズ122とは、それらの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像を表示するように配置されており、この合成像として、第2像の拡大像を表示せずに、第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする。
【解決手段】本発明の表示体10は、規則的に配列し、各々が表示用パターンDP1、DP2a又はDP2bを含んだ複数の単位表示部と、規則的に配列した複数のレンズ122を含み、それら単位表示部と向き合ったレンズアレイとを具備し、単位表示部は、表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、表示用パターンが第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含み、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bとレンズ122とは、それらの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像を表示するように配置されており、この合成像として、第2像の拡大像を表示せずに、第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造防止には、例えば、潜像が記録された表示体や、観察角度などに応じて色変化を生じる像を表示する表示体を利用することがある。潜像は、例えば、万線モアレを利用して形成することができる。また、観察角度などに応じた色変化は、例えば、回折格子や、特許文献1に記載されているホログラムなどを利用して生じさせることができる。
【0003】
しかしながら、偽造技術の進歩は著しい。それゆえ、偽造防止技術には更なる進歩が望まれている。
【特許文献1】特開平10−123919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れた偽造防止効果を達成可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面によると、規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部と、規則的に配列した複数のレンズを含み、前記複数の単位表示部と向き合ったレンズアレイとを具備し、前記複数の単位表示部は、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含み、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンと前記複数のレンズとは、それらの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像を表示するように配置されており、前記合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体が提供される。
【0006】
本発明の第2側面によると、規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部を具備した表示体であって、前記表示体は、前記複数の単位表示部の一部を含んだ第1表示部と、前記複数の単位表示部の他の一部を含んだ第1表示部とを備え、前記第1表示部は、前記複数の単位表示部の前記一部として、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含むと共に、規則的に配列した複数のレンズを含んだレンズアレイを重ねたときに、前記複数の単位表示部の前記一部の配列と前記複数のレンズの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、それら単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体が提供される。
【0007】
本発明の第3側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、これを支持した物品とを含んだことを特徴とするラベル付き物品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、優れた偽造防止効果を達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全ての図面を通じて同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明の第1態様に係る表示体を示す斜視図である。図2は、図1に示す表示体の分解斜視図である。図3は、図1に示す表示体を概略的に示す平面図である。図4は、図1に示す表示体のIV−IV線に沿った断面図である。
【0011】
なお、これらの図面において、X方向は表示体の主面に平行な方向であり、Y方向は表示体の主面に平行であり且つX方向と交差する方向であり、Z方向はX方向及びY方向に対して垂直な方向である。ここでは、X方向とY方向とを略直交させているが、それらは斜めに交差していてもよい。
【0012】
この表示体10は、図1、図2及び図4に示すように、構造層11とレンズ層12とを含んでいる。構造層11とレンズ層12とは、向き合っており、図1及び図4に示すように、接着剤層13を介して貼り合わされている。この表示体10の前面側はレンズ層12側であり、背面側は構造層11側である。
【0013】
構造層11は、図4に示すように、基材111と凹凸形成層112との積層体を含んでいる。構造層11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0014】
基材111は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネート(PC)などの樹脂からなるフィルム又はシートである。基材111の材料として、ガラスなどの無機材料を使用してもよい。基材111は、透明であってもよく、不透明であってもよい。基材111は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。基材111には、反射防止処理、低反射防止処理、ハードコート処理、帯電防止処理及び防汚処理などの処理を施してもよい。基材111は、省略することができる。
【0015】
凹凸形成層112は、基材111の一方の主面を被覆している。凹凸形成層112は、透明であってもよく、不透明であってもよい。
【0016】
構造層11の一方の主面、ここでは、凹凸形成層112側の主面は、規則的に配列した複数の単位領域を含んでいる。図2及び図3において、破線BLは、これら単位領域の境界を表している。なお、構造層11のうち複数の単位領域に対応した部分は、それぞれ、単位表示部に相当している。
【0017】
これら単位領域は、例えば、正方格子、矩形格子及び三角格子などの格子状に配列させることができる。ここでは、一例として、単位領域は略正方格子状に配列していることとする。
【0018】
各単位領域の一部には、表示用パターンとして、図4に示す凹凸パターンDPが設けられている。各凹凸パターンDPは、回折格子及びホログラムなどの回折構造を構成している。ここでは、一例として、各凹凸パターンDPは、回折格子を構成しているとする。
【0019】
大部分の単位領域において、凹凸パターンDPは、図3に示す第1表示用パターンDP1を構成している。これら表示用パターンDP1を構成している凹凸パターンDPは、構造が互いに等しく、方位も互いに等しい。
【0020】
残りの単位領域では、凹凸パターンDPは、図3に示す第2表示用パターンDP2a又はDP2bを構成している。表示用パターンDP2aと表示用パターンDP1とは、少なくとも平面形状が異なっている。表示用パターンDP2bは、表示用パターンDP2aと同様の構造を含んでおり、平面形状がA字形の構造を更に含んでいる。
【0021】
凹凸パターンDPは、単位領域に対応して規則的に配列していている。ここでは、一例として、各凹凸パターンDPは、単位領域の略中央に位置しているとする。
【0022】
凹凸形成層112は、例えば、表面レリーフ型ホログラムの製造で行われているように、微細な凸部及び/又は凹部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。例えば、凹凸形成層112は、基材111上に形成された熱可塑性樹脂層に、凸部及び/又は凸部が設けられた金型を、熱を印加しながら押し当てる方法、即ち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、凹凸形成層112は、基材111上に紫外線硬化樹脂を塗布し、これに金型を押し当てながら基材111側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、金型を取り除く方法により形成することも可能である。
【0023】
この金型は、例えば、電子線描画装置を用いて製造する。例えば、まず、レジスト層への電子線描画を行って、樹脂からなる凹凸パターンを含んだ原版を得る。次いで、電鋳によって、原版に設けられた凹凸パターンの反転パターンを含んだ金型を得る。その後、この金型のパターンを熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂層に転写して複数の版を製造し、これら版から電鋳によって複数の金型を製造する。このようにして得られた金型の凹凸パターンを樹脂層に転写することにより、一方の主面に凹凸パターンDPが設けられた凹凸形成層112を得ることができる。
【0024】
凹凸形成層112の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系/スチレン系共重合樹脂等の熱可塑性樹脂材料又は紫外線硬化樹脂を使用することができる。凹凸形成層112の材料として、樹脂を使用する代わりに、珪酸塩を含んだ無機系材料を使用してもよい。
【0025】
構造層11の凹凸パターンDPが設けられた面は、図4に示すように反射層14で被覆されている。反射層14は、例えば、凹凸パターンDPの回折効率を高める。反射層14は、パターニングされていてもよい。例えば、凹凸パターンDPのみを被覆していてもよい。反射層14は、省略することができる。
【0026】
反射層14は、例えば、金属層である。金属層の材料としては、例えば、アルミニウム、銀又はそれらの合金を使用することができる。金属層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。金属又は合金からなる反射層14を気相堆積法により形成する場合、その厚さは、例えば30乃至100nm程度で十分である。
【0027】
反射層14は、1層又は多層の誘電体膜であってもよい。反射層14として、例えば、透明な単層の誘電体膜を使用した場合、肉眼で表示体10を観察したときに表示体10の背面側にある物体を視認できる可能性がある。反射層14として多層誘電体膜を使用した場合には、表示体10に波長選択性を与えることができる。従って、反射層14として金属蒸着層や単層の誘電体膜を使用した場合とは異なる視覚効果を得ることができる。多層誘電体膜は、基材11上に、例えば、硫化亜鉛などの高屈折率材料とフッ化マグネシウムなどの低屈折率の材料とを交互に蒸着することによって得られる。
レンズ層12は、図1、図2及び図4に示すように、透明基材121と、複数のレンズ122とを含んでいる。
【0028】
透明基材121は、例えば、PET及びPCなどの樹脂からなるフィルム又はシートである。基材121の材料として、ガラスなどの無機材料を使用してもよい。透明基材121は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。基材121には、反射防止処理、低反射防止処理、ハードコート処理、帯電防止処理及び防汚処理などの処理を施してもよい。基材121は、省略することができる。
【0029】
レンズ122は、透明基材121の一方の主面上で規則的に配列している。レンズ122は、例えば、正方格子、矩形格子及び三角格子などの格子状に配列させることができる。ここでは、一例として、レンズ122は略正方格子状に配列していることとする。
【0030】
レンズ122は、例えば球面レンズである。レンズ122は、非球面レンズ又は矩形状レンズであってもよい。なお、球面レンズは、球面の一部分からなる面を持つレンズである。非球面レンズは、形状を若干ずらした球面の一部分からなる面を持つレンズである。矩形状レンズは、Z方向に平行な断面が矩形状又は正方形状のレンズであって、Z方向に平行な方向から観察した場合に例えば格子状又は縞状のレンズアレイを構成する。
【0031】
レンズ122が球面レンズ及び比球面レンズなどの凸レンズである場合、レンズ122の焦点から凹凸パターンDPまでの距離を短くすると、表示体10に、より鮮明な像を表示させることができる。レンズ122の焦点から凹凸パターンDPまでの距離は、例えば、レンズ122の焦点距離及び/又は基材121などの厚さによって制御できる。なお、レンズ122の焦点に凹凸パターンDPを位置させ、焦点から外れた位置に他のパターンを設けると、表示体10に、奥行き感のある像を表示させることができる。
【0032】
レンズ122が矩形状レンズであって、これらがZ方向に平行な方向から観察したときに格子状又は縞状のレンズアレイを構成している場合、焦点は存在しない。従って、この場合、レンズアレイから凹凸パターンDPまでの距離を厳密に制御する必要がない。
【0033】
レンズアレイは、例えば、複数の凹部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。例えば、レンズアレイは、基材121上に形成された熱可塑性樹脂層に、レンズ122に対応した形状の凹部が設けられた金型を、熱を印加しながら押し当てる方法、即ち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、レンズアレイは、基材121上に紫外線硬化樹脂を塗布し、これに金型を押し当てながら基材121側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、金型を取り除く方法により形成することも可能である。
【0034】
レンズアレイの材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系/スチレン系共重合樹脂等の熱可塑性樹脂材料又は紫外線硬化樹脂を使用することができる。レンズアレイの材料として、樹脂を使用する代わりに、珪酸塩を含んだ無機系材料を使用してもよい。レンズアレイの材料は、凹凸形成層112の材料と比較して粘性が高くてもかまわない。
【0035】
接着剤層13は、透明であり、構造層11とレンズ層12とを貼り合わせている。接着剤層13の材料としては、例えば紫外線硬化樹脂を使用することができる。
【0036】
接着剤層13は、省略することができる。この場合、構造層11とレンズ層12とは、固定具を用いて一体化してもよい。なお、接着剤層13を省略した場合、構造層11とレンズ層12との間に空気層が生じるため、反射層14を省略しても高い回折効率を容易に達成できる。
【0037】
この表示体10では、凹凸パターンDP、即ち表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bを、図3に示すように単位領域に対応して規則的に配置し、レンズ122を凹凸パターンDPの配列と同じ周期で規則的に配置している。そして、凹凸パターンDPの配列と、レンズ122の配列との方位を僅かに異ならしめている。加えて、この表示装置10では、表示用パターンDP1を、表示用パターンDP2a及びDP2bと比較してより多く配置している。
【0038】
このように、凹凸パターンの配列とレンズ122の配列とをずらして重ね合わせると、モアレ効果により、複数の凹凸パターンDPがそれぞれ表示する複数の回折像を合成してなる合成像が表示される。この合成像は、表示用パターンDP2a及びDP2bが表示用パターンDP1と比較して少なく、表示用パターンDP1が略均一に分布している場合には、表示用パターンDP1が表示する像の拡大像となり、表示用パターンDP2a又はDP2bの拡大像が表示されることはない。即ち、表示用パターンDP2a及びDP2bは、例えば、肉眼では知覚できず、顕微鏡などを用いた観察によって知覚可能な潜像を保持している。
【0039】
図5は、レンズアレイを省略した場合に図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図である。図6は、図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図である。図7は、図1に示す表示体が表示する像の他の例を概略的に示す平面図である。なお、図5には、表示体の一部のみを描いており、図6及び図7には表示体の全体を描いている。
【0040】
表示体10からレンズアレイを省略した場合、モアレ効果は生じない。そのため、表示DP1、DP2a及びDP2bの各々が表示する回折像は合成されず、表示体10は、図5に示すように、複数の単位領域に対応して複数の回折像I1、I2a及びI2bを表示する。
【0041】
レンズアレイを省略せずに、図3を参照しながら説明したように凹凸パターンDPの配列とレンズ122の配列とをずらして重ね合わせると、モアレ効果を生じ、表示体10は、図5に示す複数の回折像I1、I2a及びI2bを合成してなる合成像として、回折像I1の拡大像を表示する。例えば、表示体10は、図6に示すように1つの拡大像I1’を表示するか、図7に示すように2つの拡大像I1’を表示するか、又は、それより多くの拡大像I1’を表示する。
【0042】
このように、この表示体10は、回折像I1を拡大してなる拡大像I1’を表示し、回折像I2a及びI2bの拡大像は表示しない。そして、回折像I2a及びI2bは、顕微鏡などを用いた観察によると知覚可能であるが、通常、肉眼による観察では知覚できない。加えて、顕微鏡を用いて観察した場合であっても、多数の回折像I21が、回折像I2a及びI2bの存在を分かり難くする。
【0043】
それゆえ、表示用パターンDP2a及び/又はDP2bを識別情報として利用した場合、識別情報の存在を悟られ難い。従って、この表示体10を使用すると、優れた偽造防止効果を達成することが可能となる。
【0044】
また、この表示体10は、上記の通り、小さな回折像I1を拡大してなる拡大像I1’を表示する。そして、拡大像I1’は複数の回折像I1等を合成してなる合成像であるので、一部の表示用パターンDP1に欠落部が生じていたとしても、この欠落部が拡大像I1’に知覚できるほどの影響を及ぼすことは殆どない。また、電子線描画装置の動作及び/又はその周辺の環境が描画開始から終了までの間に変動し、これに起因して、描画開始直後のパターンと描画終了直前のパターンとで形状に不一致を生じたとしても、この不一致が拡大像I1’に知覚できるほどの影響を及ぼすことは殆どない。
【0045】
加えて、この表示体10では、凹凸パターンDPを単位領域の全体に設けずに、単位領域の一部にのみ設けている。それゆえ、凹凸パターンDPを単位領域の全体に設けた場合と比較して、原版を製造するための電子線描画に要する時間を短縮でき、描画開始直後のパターンと描画終了直前のパターンとで生じる形状の不一致を小さくすることができる。加えて、描画時間を短縮できるので、描画条件の変動が小さくなり、それゆえ、その制御が容易になる。
【0046】
また、凹凸パターンDPを単位領域の一部にのみ設けた場合、凹凸パターンDPを単位領域の全体に設けた場合と比較して、凹凸形成層112の金型からの離型性が不十分となるのを容易に防止できる。即ち、原版からの金型の剥離や金型からの樹脂層の剥離を小さな力で行うことが、並びに、原版からの金型の剥離時や金型からの樹脂層の剥離時におけるジッピングなどに起因した剥離ムラ及びパターンの欠落を抑制することが容易である。従って、スループットの低減や離型性向上のための対策を必要とすることなしに、形状精度に優れた凹凸パターンDPを形成することができる。また、これと同じ理由により、この金型の製造プロセスにおいても同様の効果を得ることができる。
【0047】
従って、この表示体10は、表示領域が大きい場合であっても、高い生産性で製造することと、設計通りの像を表示させることとが容易である。
【0048】
この表示体10では、例えば、単位領域の80%以上において、凹凸パターンDPとして表示用パターンDP1を配置する。表示用パターンDP1が少ないと、拡大像I1’が不鮮明となる。
【0049】
回折像I1の寸法に対する拡大像I1’の比、即ち拡大率は、図3に示す角度αに応じて変化する。なお、角度αは、単位領域の列とレンズ122の列とが為す角度である。角度αを小さくするほど、拡大率は大きくなる。但し、角度αを0°にすると、拡大像I1’は無限大の大きさになるため、その全体を観察することはできない。角度αは、例えば数度、典型的には2°程度とする。
【0050】
この表示体10では、図3を参照しながら説明した構造によってモアレ効果を生じさせているが、モアレ効果は、他の構造を採用した場合にも生じさせることができる。例えば、単位領域の配列とレンズ122の配列とで方位を一致させ、それら配列のX方向及びY方向の各々に関するピッチを異ならしめてもよい。或いは、単位領域の配列とレンズ122の配列とで方位及びピッチを一致させ、単位領域に対する凹凸パターンDPの相対位置を、単位領域間で異ならしめてもよい。例えば、略中央の単位領域では凹凸パターンDPをその単位領域の中央に位置させ、先の単位領域から離れるに応じて凹凸パターンDPの位置を単位領域の中央から外側にずらしてもよい。
【0051】
上記の通り、この表示体10では、各凹凸パターンDPは、回折構造を構成している。凹凸パターンDPの一部又は全部は、溝などの凹部及び/又は筋などの凸部を不規則に又は低い秩序度で配置してなる散乱構造であってもよい。或いは、凹凸パターンDPの一部又は全部は、溝などの凹部及び/又は筋などの凸部を可視光域の最短波長よりも短いピッチで不規則に又は規則的に配置してなる微細構造であってもよい。
【0052】
この表示体10は、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bの少なくとも1つの代わりに、印刷パターンを含んでいてもよい。但し、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bの全てを印刷パターンで置換すると、表示体10の偽造が容易になる。
【0053】
或いは、この表示体10は、複数の単位領域とそれぞれ向き合った複数の印刷パターンを更に含んでいてもよい。即ち、各単位表示部は、凹凸パターンDPに加え、印刷パターンを更に含んでいてもよい。
【0054】
例えば、単位表示部の多くに、同一の印刷パターンを設ける。そして、単位表示部内における凹凸パターンDPと印刷パターンとの相対位置を、表示体10のほぼ全体で一定とする。こうすると、表示体10は、肉眼で観察すると、上述した拡大像I1’に加え、モアレ効果により、各印刷パターンが表示する印刷像の拡大像を表示する。
【0055】
或いは、単位表示部の少数に印刷パターンを設ける。こうすると、この表示体10は、肉眼で観察すると、上述した拡大像I1’を表示し、印刷像は表示しない。従って、この場合、印刷パターンを識別情報又はその一部として利用することができる。
【0056】
印刷パターンは、例えば、反射層14と接着剤層13との間に配置する。反射層14が光透過性を有している場合、印刷パターンは、反射層14と凹凸形成層112との間に、又は、凹凸形成層112と基材111との間に配置してもよい。
【0057】
この表示体10には、図4に示す積層構造の代わりに、他の積層構造を採用することができる。
【0058】
図8乃至図12は、変形例に係る表示体を概略的に示す断面図である。
【0059】
図8に示す表示体10は、基材111がレンズ層12と向き合うように構造層11をレンズ層12に貼り合わせていること以外は、図4に示す表示体10と同様の構造を有している。この構造では平坦面同士を接着しているため、貼り合わせが容易である。また、この表示体10から接着剤層13を省略した構造は、レンズ層12との摩擦によって凹凸パターンDP又は反射層14が損傷を受けることがない。
【0060】
図9に示す表示体10は、レンズ122が構造層11と向き合うようにレンズ層12を構造層11に貼り合わせていること以外は、図4に示す表示体10と同様の構造を有している。この構造では、基材111及び121を最外層としているので、それらの間に介在したレンズ122等の部材の損傷を生じ難い。
【0061】
図10に示す表示体10は、レンズ122が構造層11と向き合うようにレンズ層12を構造層11に貼り合わせていること以外は、図8に示す表示体10と同様の構造を有している。この構造では、レンズ122の損傷を生じ難い。また、この表示体10から接着剤層13を省略した構造は、レンズ層12との摩擦によって凹凸パターンDP又は反射層14が損傷を受けることがない。
【0062】
図11に示す表示体10は、基材121及び接着剤層13を省略したこと以外は、図4に示す表示体10と同様の構造を有している。即ち、この表示体10では、反射層14上にレンズ122が形成されている。この表示体10は、図4に示す表示体10と比較して部品点数が少ないため、より少ない工程数で製造することができる。また、この表示体10は、図4に示す表示体10と比較して、より薄く形成できるのに加え、レンズ122の焦点と凹凸パターンDPとの距離の制御が容易である。
【0063】
図12に示す表示体10は、基材121及び接着剤層13を省略したこと以外は、図8に示す表示体10と同様の構造を有している。即ち、この表示体10では、基材111上にレンズ122が形成されている。この表示体10は、図8に示す表示体10と比較して部品点数が少ないため、より少ない工程数で製造することができる。また、この表示体10は、図8に示す表示体10と比較してより薄く形成できるのに加え、レンズ122の焦点と凹凸パターンDPとの距離の制御が容易である。
【0064】
上述した表示体10には、レンズ122の形状及び凹凸パターンDPの配置などを工夫することにより、3次元像を表示させることができる。また、レンズ122のピッチを一定とする代わりに、これを変調させると、視覚効果を変化させることができる。
【0065】
次に、本発明の第2態様について説明する。
図13は、本発明の第2態様に係る表示体を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の一例を概略的に示す平面図である。図15は、図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の他の例を概略的に示す平面図である。
【0066】
図13に示す表示体11’は、レンズ層12及び接着剤層13などを省略し、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図4を参照しながら説明した表示体10と同様である。
【0067】
即ち、この表示体11’は、図4及び図5に示す構造層11とほぼ同様の構造を有している。そして、この表示体11’は、第1部分A1と第2部分A2とを含んでいる。なお、構造層11の少なくとも一部は、反射層14で被覆してもよい。
【0068】
第1部分A1の各単位領域は、表示用パターンDP1又はDP2aを含んでいる。第1部分A1では、大部分の単位領域に表示用パターンDP1が設けられており、残りの単位領域に表示用パターンDP2aが設けられている。
【0069】
第2部分A2も、第1部分A1と同様に、各単位領域は、表示用パターンDP1又はDP2aを含んでいる。但し、第2部分A2では、大部分の単位領域に表示用パターンDP2aが設けられており、残りの単位領域に表示用パターンDP1が設けられている。
【0070】
例えば、表示用パターンDP1及びDP2aを十分に小さくし、それらにほぼ同じ色を表示させ、それらの面積をほぼ等しくする。こうすると、この表示体11’を肉眼で観察した場合に、表示用パターンDP1と表示用パターンDP2aとを互いから識別すること、又は、第1部分A1と第2部分A2とを互いから識別することを不可能又は困難とすることができる。
【0071】
図14及び図15に示す検証具12’は、上述したレンズ層12と同様の構造を有している。
【0072】
図14に示すように、第1部分A1に検証具12’を重ねると、第1部分A1は、表示用パターンDP2aが表示する回折像の拡大像は表示せずに、表示用パターンDP1が表示する回折像の拡大像I1’を表示する。図15に示すように、第2部分A2に検証具12’を重ねると、第2部分A2は、表示用パターンDP1が表示する回折像の拡大像は表示せずに、表示用パターンDP2aが表示する回折像の拡大像I2a’を表示する。
【0073】
そして、第1部分A1と第2部分A2との双方と向き合うように検証具12’を重ねた場合、表示体11’は、例えば、拡大像I1’及びI2a’の何れも表示しないか、又は、それらを鮮明には表示しない。それゆえ、例えば、第2部分A2が第1部分A1を取り囲んでいる場合には、検証具12’の寸法を第1部分A1の寸法と等しくするか又はこれよりも小さくし、検証具12’を、これが第2部分A2と向き合わないように第1部分A1と重ねなければ、拡大像I1’を表示させることができないか、又は、これを鮮明に表示させることはできない。
【0074】
このように、この表示体11’では、表示用パターンDP1は第1部分A1において検証具12’を重ねることによって可視化する潜像を構成し、表示用パターンDP2aは第2部分A2において検証具12’を重ねることによって可視化する潜像を構成している。そして、この表示体11’では、肉眼で観察した場合に、表示用パターンDP1と表示用パターンDP2aとを互いから識別すること、及び、第1部分A1と第2部分A2とを互いから識別することを不可能又は困難とすることができる。加えて、この表示体11’で鮮明な拡大像I1’又はI2a’を得るためには、第1部分A1及び第2部分A2の一方のみに検証具12’を重ねることが必要である。
【0075】
それゆえ、表示用パターンDP1及び/又はDP2aを識別情報として利用した場合、識別情報の存在を悟られ難い。そして、仮に識別情報の存在を悟られたとしても、各識別情報が表示体11’のどの部分に記録されているかを判別することは困難である。従って、この表示体10を使用すると、優れた偽造防止効果を達成することが可能となる。
【0076】
この表示体11’は、表示用パターンDP1及びDP2a側が前面側であってもよく、その裏面側が前面側であってもよい。
【0077】
この表示体11’は、表示体10について説明したのと同様に、表示用パターンDP1及びDP2aの少なくとも一方の代わりに、印刷パターンを含んでいてもよい。この表示体11’は、表示体10について説明したのと同様に、複数の単位領域とそれぞれ向き合った複数の印刷パターンを更に含んでいてもよい。
【0078】
この表示体11’では、第1部分A1で多数を占める表示用パターン及び第2部分A2で少数を占める表示用パターンとして表示用パターンDP1を使用し、第1部分A1で少数を占める表示用パターン及び第2部分A2で多数を占める表示用パターンとして表示用パターンDP2aを使用している。
【0079】
第1部分A1で多数を占める表示用パターンと、第2部分A2で少数を占める表示用パターンとは、互いに異なっていてもよい。また、第1部分A1で少数を占める表示用パターンと、第2部分A2で多数を占める表示用パターンとは、互いに異なっていてもよい。但し、第1部分A1と第2部分A2とで同一の表示用パターンを使用すると、肉眼で観察した場合に、第1部分A1と第2部分A2との互いからの識別を不可能又は困難とすることが容易である。
【0080】
表示体10及び11’は、例えば、偽造又は不正使用等が抑制されるべき物品に支持させる。例えば、この表示体10又は11’とこれを支持した物品とを含んだラベル付き物品を真正品とした場合、真正であるか否かが未知の物品が上述した特徴の1つ以上を示さないときには、その物品は非真正品であると判断することができる。即ち、真正であるか否かが未知の物品を真正品と非真正品との間で判別することができる。従って、例えば、有価証券、銀行券、身分証明書などの証明書、及びクレジットカードなどの印刷物や美術品及び工芸品などの高級品の偽造を防止又は抑制することができる。
【0081】
なお、表示体10又は11’をラベルとして利用する場合、表示体10又は11’は物品に様々な方法で支持させることができる。例えば、表示体10又は11’に粘着剤層を設け、この粘着剤層を介して表示体10又は11’を物品に貼り付けてもよい。或いは、表示体10又は11’、特には表示体11’と熱可塑性樹脂からなる接着層とを含んだ転写箔を製造し、熱及び圧力を利用した転写により、表示体10を物品に貼り付けてもよい。或いは、表示体10又は11’を含んだタグを製造し、これを紐及び鎖などの取付具を介して物品に支持させてもよい。或いは、表示体10又は11’を含んだ包装材料を製造し、この包装材料で物品を包装してもよい。
【0082】
この表示体10及び11’は、偽造防止以外の目的で使用することも可能である。例えば、表示体10と拡大鏡などの検証具とを含んだ光学キットや、表示体11’と検証具12’とを含んだ光学キットは、先の真偽判定に利用可能であるのに加え、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。即ち、これら表示体10及び11’は、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する。
【実施例】
【0083】
(例1)
本例では、接着剤層13を省略したこと以外は図1乃至図4を参照しながら説明したのとほぼ同様の構造を有する表示体10を製造した。
【0084】
具体的には、構造層11は、以下の方法により作製した。まず、電子描画装置を用いて樹脂からなる原版を製造し、電鋳によりこの原版から金型を製造した。次に、この金型に紫外線硬化樹脂としてアクリル系樹脂を注入し、この樹脂層と厚さが50μmのPETフィルム111とをラミネートした。PETフィルム111側から紫外線を照射して樹脂を硬化させ、その後、PETフィルム111を硬化させた樹脂層と共に金型から剥離した。これにより、PETフィルム111と凹凸形成層112とを含んだ回折構造シート11を得た。
【0085】
なお、金型は、凹凸形成層112の表面のうち、一辺が100mmの正方形の領域内で、凹凸パターンDPが、100μmのピッチで正方格子状に配列するように設計した。凹凸パターンDPの溝の空間周波数は、約1500本/mmとした。凹凸パターンDPとしては、20μm角の正方形状を有している4つの凹凸パターンと、直径が20μmの円形状を有している多数の凹凸パターンとを配置した。具体的には、先の正方形の領域の1つの角の頂点を原点とし、この角を形成している一対の辺をそれぞれX軸及びY軸としたデカルト座標系(単位mm)を考えたときに、座標(10,10)、座標(90,10)、座標(10,90)及び座標(90,90)で表される4つの位置に正方形の凹凸パターンを配置し、残りの位置に円形の凹凸パターンを配置した。
【0086】
また、ここでは、金型に離型処理は施さなかった。そして、ラミネート圧は、凹凸形成層112の厚さが約15μmとなるように軽めに設定した。この金型と凹凸形成層112とを調べたところ、成形時の剥離ムラはなく、樹脂層を金型から綺麗に剥離できたことを確認することができた。
【0087】
凹凸形成層112上には、蒸着法によりアルミニウムからなる反射層14を形成した。反射層14の厚さは、約40乃至約60nmとした。
【0088】
レンズ層12は、以下の方法により作製した。まず、金型に紫外線硬化樹脂としてアクリル系/スチレン系共重合樹脂を注入し、この樹脂層と厚さが75μmのPETフィルム121とをラミネートした。PETフィルム121側から紫外線を照射して樹脂を硬化させ、その後、PETフィルム121を硬化させた樹脂層と共に金型から剥離した。これにより、PETフィルム121上に、ピッチが100μmであり、高さが約26μmであり、焦点距離が約90μmであるレンズ122を正方格子状に配列させてなるマイクロレンズシート12を得た。
【0089】
このようにして得られた回折構造シート11とマイクロレンズシート12とを、それらの間に反射層14が介在するように重ね合わせた。以上のようにして、表示体10を完成した。
【0090】
回折構造シート11を固定し、マイクロレンズシート12をその法線の周りで回転させたところ、表示体10は凹凸パターンに対して拡大された円形の像を表示し、この像の寸法は回転角度に応じて変化した。また、この表示体10が表示する拡大像を観察したところ、電子線描画時のムラや蒸着ムラなどに起因した表示ムラは見られず、回折光もはっきりと知覚できた。
【0091】
(例2)
本例では、図12を参照しながら説明したのとほぼ同様の構造を有する表示体10を製造した。
【0092】
具体的には、厚さが90μmのPETフィルム111を使用し、凹凸パターンDPのピッチを85μmとした。そして、座標(50,50)で表される位置の凹凸パターンDPを、円形とA字形とを組み合わせてなる形状とした。これ以外は例1で説明したのと同様の方法により、回折構造シート11を作製した。本例でも、例1と同様に、成形時の剥離ムラはなく、樹脂層を金型から綺麗に剥離できた。
【0093】
次に、基材111の凹凸形成層112を形成した面の裏面に、以下の方法によりレンズ122を形成した。まず、金型に紫外線硬化樹脂としてアクリル系/スチレン系共重合樹脂を注入し、この樹脂層と回折構造シート11とを、紫外線硬化樹脂層が基材111と向き合うようにラミネートした。
【0094】
凹凸形成層112側から紫外線を照射して樹脂を硬化させ、その後、回折構造シート11を硬化させた樹脂層と共に金型から剥離した。これにより、PETフィルム111上に、レンズ122を正方格子状に配列させてなるマイクロレンズシート12を得た。
【0095】
なお、レンズ122のピッチ、高さ及び焦点距離は、例1と同様とした。また、レンズ122の配列方向、即ちレンズアレイの方位は、凹凸パターンDPの配列方向と一致させた。
【0096】
その後、凹凸形成層112上に、例1で説明したのと同様の反射層14を形成した。以上のようにして、表示体10を完成した。
【0097】
この表示体は、凹凸パターンに対して拡大された円形の像を表示した。また、この表示体10が表示する拡大像を観察したところ、電子線描画時のムラや蒸着ムラなどに起因した表示ムラは見られず、回折光もはっきりと知覚できた。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1態様に係る表示体を示す斜視図。
【図2】図1に示す表示体の分解斜視図。
【図3】図1に示す表示体を概略的に示す平面図。
【図4】図1に示す表示体のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】レンズアレイを省略した場合に図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図。
【図6】図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図。
【図7】図1に示す表示体が表示する像の他の例を概略的に示す平面図。
【図8】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図9】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図10】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図11】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図12】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図13】本発明の第2態様に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図14】図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の一例を概略的に示す平面図。
【図15】図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の他の例を概略的に示す平面図。
【符号の説明】
【0099】
10…表示体、11…構造層、11’…表示体、12…レンズ層、12’…検証具、13…接着剤層、14…反射層、111…基材、112…凹凸形成層、121…基材、122…レンズ、BL…単位領域の境界、DP…凹凸パターン、DP1…表示用パターン、DP2a…表示用パターン、DP2b…表示用パターン、I1…回折像、I2a…回折像、I2b…回折像。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造防止には、例えば、潜像が記録された表示体や、観察角度などに応じて色変化を生じる像を表示する表示体を利用することがある。潜像は、例えば、万線モアレを利用して形成することができる。また、観察角度などに応じた色変化は、例えば、回折格子や、特許文献1に記載されているホログラムなどを利用して生じさせることができる。
【0003】
しかしながら、偽造技術の進歩は著しい。それゆえ、偽造防止技術には更なる進歩が望まれている。
【特許文献1】特開平10−123919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れた偽造防止効果を達成可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面によると、規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部と、規則的に配列した複数のレンズを含み、前記複数の単位表示部と向き合ったレンズアレイとを具備し、前記複数の単位表示部は、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含み、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンと前記複数のレンズとは、それらの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像を表示するように配置されており、前記合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体が提供される。
【0006】
本発明の第2側面によると、規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部を具備した表示体であって、前記表示体は、前記複数の単位表示部の一部を含んだ第1表示部と、前記複数の単位表示部の他の一部を含んだ第1表示部とを備え、前記第1表示部は、前記複数の単位表示部の前記一部として、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含むと共に、規則的に配列した複数のレンズを含んだレンズアレイを重ねたときに、前記複数の単位表示部の前記一部の配列と前記複数のレンズの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、それら単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体が提供される。
【0007】
本発明の第3側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、これを支持した物品とを含んだことを特徴とするラベル付き物品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、優れた偽造防止効果を達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全ての図面を通じて同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明の第1態様に係る表示体を示す斜視図である。図2は、図1に示す表示体の分解斜視図である。図3は、図1に示す表示体を概略的に示す平面図である。図4は、図1に示す表示体のIV−IV線に沿った断面図である。
【0011】
なお、これらの図面において、X方向は表示体の主面に平行な方向であり、Y方向は表示体の主面に平行であり且つX方向と交差する方向であり、Z方向はX方向及びY方向に対して垂直な方向である。ここでは、X方向とY方向とを略直交させているが、それらは斜めに交差していてもよい。
【0012】
この表示体10は、図1、図2及び図4に示すように、構造層11とレンズ層12とを含んでいる。構造層11とレンズ層12とは、向き合っており、図1及び図4に示すように、接着剤層13を介して貼り合わされている。この表示体10の前面側はレンズ層12側であり、背面側は構造層11側である。
【0013】
構造層11は、図4に示すように、基材111と凹凸形成層112との積層体を含んでいる。構造層11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0014】
基材111は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネート(PC)などの樹脂からなるフィルム又はシートである。基材111の材料として、ガラスなどの無機材料を使用してもよい。基材111は、透明であってもよく、不透明であってもよい。基材111は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。基材111には、反射防止処理、低反射防止処理、ハードコート処理、帯電防止処理及び防汚処理などの処理を施してもよい。基材111は、省略することができる。
【0015】
凹凸形成層112は、基材111の一方の主面を被覆している。凹凸形成層112は、透明であってもよく、不透明であってもよい。
【0016】
構造層11の一方の主面、ここでは、凹凸形成層112側の主面は、規則的に配列した複数の単位領域を含んでいる。図2及び図3において、破線BLは、これら単位領域の境界を表している。なお、構造層11のうち複数の単位領域に対応した部分は、それぞれ、単位表示部に相当している。
【0017】
これら単位領域は、例えば、正方格子、矩形格子及び三角格子などの格子状に配列させることができる。ここでは、一例として、単位領域は略正方格子状に配列していることとする。
【0018】
各単位領域の一部には、表示用パターンとして、図4に示す凹凸パターンDPが設けられている。各凹凸パターンDPは、回折格子及びホログラムなどの回折構造を構成している。ここでは、一例として、各凹凸パターンDPは、回折格子を構成しているとする。
【0019】
大部分の単位領域において、凹凸パターンDPは、図3に示す第1表示用パターンDP1を構成している。これら表示用パターンDP1を構成している凹凸パターンDPは、構造が互いに等しく、方位も互いに等しい。
【0020】
残りの単位領域では、凹凸パターンDPは、図3に示す第2表示用パターンDP2a又はDP2bを構成している。表示用パターンDP2aと表示用パターンDP1とは、少なくとも平面形状が異なっている。表示用パターンDP2bは、表示用パターンDP2aと同様の構造を含んでおり、平面形状がA字形の構造を更に含んでいる。
【0021】
凹凸パターンDPは、単位領域に対応して規則的に配列していている。ここでは、一例として、各凹凸パターンDPは、単位領域の略中央に位置しているとする。
【0022】
凹凸形成層112は、例えば、表面レリーフ型ホログラムの製造で行われているように、微細な凸部及び/又は凹部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。例えば、凹凸形成層112は、基材111上に形成された熱可塑性樹脂層に、凸部及び/又は凸部が設けられた金型を、熱を印加しながら押し当てる方法、即ち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、凹凸形成層112は、基材111上に紫外線硬化樹脂を塗布し、これに金型を押し当てながら基材111側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、金型を取り除く方法により形成することも可能である。
【0023】
この金型は、例えば、電子線描画装置を用いて製造する。例えば、まず、レジスト層への電子線描画を行って、樹脂からなる凹凸パターンを含んだ原版を得る。次いで、電鋳によって、原版に設けられた凹凸パターンの反転パターンを含んだ金型を得る。その後、この金型のパターンを熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂層に転写して複数の版を製造し、これら版から電鋳によって複数の金型を製造する。このようにして得られた金型の凹凸パターンを樹脂層に転写することにより、一方の主面に凹凸パターンDPが設けられた凹凸形成層112を得ることができる。
【0024】
凹凸形成層112の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系/スチレン系共重合樹脂等の熱可塑性樹脂材料又は紫外線硬化樹脂を使用することができる。凹凸形成層112の材料として、樹脂を使用する代わりに、珪酸塩を含んだ無機系材料を使用してもよい。
【0025】
構造層11の凹凸パターンDPが設けられた面は、図4に示すように反射層14で被覆されている。反射層14は、例えば、凹凸パターンDPの回折効率を高める。反射層14は、パターニングされていてもよい。例えば、凹凸パターンDPのみを被覆していてもよい。反射層14は、省略することができる。
【0026】
反射層14は、例えば、金属層である。金属層の材料としては、例えば、アルミニウム、銀又はそれらの合金を使用することができる。金属層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。金属又は合金からなる反射層14を気相堆積法により形成する場合、その厚さは、例えば30乃至100nm程度で十分である。
【0027】
反射層14は、1層又は多層の誘電体膜であってもよい。反射層14として、例えば、透明な単層の誘電体膜を使用した場合、肉眼で表示体10を観察したときに表示体10の背面側にある物体を視認できる可能性がある。反射層14として多層誘電体膜を使用した場合には、表示体10に波長選択性を与えることができる。従って、反射層14として金属蒸着層や単層の誘電体膜を使用した場合とは異なる視覚効果を得ることができる。多層誘電体膜は、基材11上に、例えば、硫化亜鉛などの高屈折率材料とフッ化マグネシウムなどの低屈折率の材料とを交互に蒸着することによって得られる。
レンズ層12は、図1、図2及び図4に示すように、透明基材121と、複数のレンズ122とを含んでいる。
【0028】
透明基材121は、例えば、PET及びPCなどの樹脂からなるフィルム又はシートである。基材121の材料として、ガラスなどの無機材料を使用してもよい。透明基材121は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。基材121には、反射防止処理、低反射防止処理、ハードコート処理、帯電防止処理及び防汚処理などの処理を施してもよい。基材121は、省略することができる。
【0029】
レンズ122は、透明基材121の一方の主面上で規則的に配列している。レンズ122は、例えば、正方格子、矩形格子及び三角格子などの格子状に配列させることができる。ここでは、一例として、レンズ122は略正方格子状に配列していることとする。
【0030】
レンズ122は、例えば球面レンズである。レンズ122は、非球面レンズ又は矩形状レンズであってもよい。なお、球面レンズは、球面の一部分からなる面を持つレンズである。非球面レンズは、形状を若干ずらした球面の一部分からなる面を持つレンズである。矩形状レンズは、Z方向に平行な断面が矩形状又は正方形状のレンズであって、Z方向に平行な方向から観察した場合に例えば格子状又は縞状のレンズアレイを構成する。
【0031】
レンズ122が球面レンズ及び比球面レンズなどの凸レンズである場合、レンズ122の焦点から凹凸パターンDPまでの距離を短くすると、表示体10に、より鮮明な像を表示させることができる。レンズ122の焦点から凹凸パターンDPまでの距離は、例えば、レンズ122の焦点距離及び/又は基材121などの厚さによって制御できる。なお、レンズ122の焦点に凹凸パターンDPを位置させ、焦点から外れた位置に他のパターンを設けると、表示体10に、奥行き感のある像を表示させることができる。
【0032】
レンズ122が矩形状レンズであって、これらがZ方向に平行な方向から観察したときに格子状又は縞状のレンズアレイを構成している場合、焦点は存在しない。従って、この場合、レンズアレイから凹凸パターンDPまでの距離を厳密に制御する必要がない。
【0033】
レンズアレイは、例えば、複数の凹部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。例えば、レンズアレイは、基材121上に形成された熱可塑性樹脂層に、レンズ122に対応した形状の凹部が設けられた金型を、熱を印加しながら押し当てる方法、即ち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、レンズアレイは、基材121上に紫外線硬化樹脂を塗布し、これに金型を押し当てながら基材121側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、金型を取り除く方法により形成することも可能である。
【0034】
レンズアレイの材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系/スチレン系共重合樹脂等の熱可塑性樹脂材料又は紫外線硬化樹脂を使用することができる。レンズアレイの材料として、樹脂を使用する代わりに、珪酸塩を含んだ無機系材料を使用してもよい。レンズアレイの材料は、凹凸形成層112の材料と比較して粘性が高くてもかまわない。
【0035】
接着剤層13は、透明であり、構造層11とレンズ層12とを貼り合わせている。接着剤層13の材料としては、例えば紫外線硬化樹脂を使用することができる。
【0036】
接着剤層13は、省略することができる。この場合、構造層11とレンズ層12とは、固定具を用いて一体化してもよい。なお、接着剤層13を省略した場合、構造層11とレンズ層12との間に空気層が生じるため、反射層14を省略しても高い回折効率を容易に達成できる。
【0037】
この表示体10では、凹凸パターンDP、即ち表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bを、図3に示すように単位領域に対応して規則的に配置し、レンズ122を凹凸パターンDPの配列と同じ周期で規則的に配置している。そして、凹凸パターンDPの配列と、レンズ122の配列との方位を僅かに異ならしめている。加えて、この表示装置10では、表示用パターンDP1を、表示用パターンDP2a及びDP2bと比較してより多く配置している。
【0038】
このように、凹凸パターンの配列とレンズ122の配列とをずらして重ね合わせると、モアレ効果により、複数の凹凸パターンDPがそれぞれ表示する複数の回折像を合成してなる合成像が表示される。この合成像は、表示用パターンDP2a及びDP2bが表示用パターンDP1と比較して少なく、表示用パターンDP1が略均一に分布している場合には、表示用パターンDP1が表示する像の拡大像となり、表示用パターンDP2a又はDP2bの拡大像が表示されることはない。即ち、表示用パターンDP2a及びDP2bは、例えば、肉眼では知覚できず、顕微鏡などを用いた観察によって知覚可能な潜像を保持している。
【0039】
図5は、レンズアレイを省略した場合に図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図である。図6は、図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図である。図7は、図1に示す表示体が表示する像の他の例を概略的に示す平面図である。なお、図5には、表示体の一部のみを描いており、図6及び図7には表示体の全体を描いている。
【0040】
表示体10からレンズアレイを省略した場合、モアレ効果は生じない。そのため、表示DP1、DP2a及びDP2bの各々が表示する回折像は合成されず、表示体10は、図5に示すように、複数の単位領域に対応して複数の回折像I1、I2a及びI2bを表示する。
【0041】
レンズアレイを省略せずに、図3を参照しながら説明したように凹凸パターンDPの配列とレンズ122の配列とをずらして重ね合わせると、モアレ効果を生じ、表示体10は、図5に示す複数の回折像I1、I2a及びI2bを合成してなる合成像として、回折像I1の拡大像を表示する。例えば、表示体10は、図6に示すように1つの拡大像I1’を表示するか、図7に示すように2つの拡大像I1’を表示するか、又は、それより多くの拡大像I1’を表示する。
【0042】
このように、この表示体10は、回折像I1を拡大してなる拡大像I1’を表示し、回折像I2a及びI2bの拡大像は表示しない。そして、回折像I2a及びI2bは、顕微鏡などを用いた観察によると知覚可能であるが、通常、肉眼による観察では知覚できない。加えて、顕微鏡を用いて観察した場合であっても、多数の回折像I21が、回折像I2a及びI2bの存在を分かり難くする。
【0043】
それゆえ、表示用パターンDP2a及び/又はDP2bを識別情報として利用した場合、識別情報の存在を悟られ難い。従って、この表示体10を使用すると、優れた偽造防止効果を達成することが可能となる。
【0044】
また、この表示体10は、上記の通り、小さな回折像I1を拡大してなる拡大像I1’を表示する。そして、拡大像I1’は複数の回折像I1等を合成してなる合成像であるので、一部の表示用パターンDP1に欠落部が生じていたとしても、この欠落部が拡大像I1’に知覚できるほどの影響を及ぼすことは殆どない。また、電子線描画装置の動作及び/又はその周辺の環境が描画開始から終了までの間に変動し、これに起因して、描画開始直後のパターンと描画終了直前のパターンとで形状に不一致を生じたとしても、この不一致が拡大像I1’に知覚できるほどの影響を及ぼすことは殆どない。
【0045】
加えて、この表示体10では、凹凸パターンDPを単位領域の全体に設けずに、単位領域の一部にのみ設けている。それゆえ、凹凸パターンDPを単位領域の全体に設けた場合と比較して、原版を製造するための電子線描画に要する時間を短縮でき、描画開始直後のパターンと描画終了直前のパターンとで生じる形状の不一致を小さくすることができる。加えて、描画時間を短縮できるので、描画条件の変動が小さくなり、それゆえ、その制御が容易になる。
【0046】
また、凹凸パターンDPを単位領域の一部にのみ設けた場合、凹凸パターンDPを単位領域の全体に設けた場合と比較して、凹凸形成層112の金型からの離型性が不十分となるのを容易に防止できる。即ち、原版からの金型の剥離や金型からの樹脂層の剥離を小さな力で行うことが、並びに、原版からの金型の剥離時や金型からの樹脂層の剥離時におけるジッピングなどに起因した剥離ムラ及びパターンの欠落を抑制することが容易である。従って、スループットの低減や離型性向上のための対策を必要とすることなしに、形状精度に優れた凹凸パターンDPを形成することができる。また、これと同じ理由により、この金型の製造プロセスにおいても同様の効果を得ることができる。
【0047】
従って、この表示体10は、表示領域が大きい場合であっても、高い生産性で製造することと、設計通りの像を表示させることとが容易である。
【0048】
この表示体10では、例えば、単位領域の80%以上において、凹凸パターンDPとして表示用パターンDP1を配置する。表示用パターンDP1が少ないと、拡大像I1’が不鮮明となる。
【0049】
回折像I1の寸法に対する拡大像I1’の比、即ち拡大率は、図3に示す角度αに応じて変化する。なお、角度αは、単位領域の列とレンズ122の列とが為す角度である。角度αを小さくするほど、拡大率は大きくなる。但し、角度αを0°にすると、拡大像I1’は無限大の大きさになるため、その全体を観察することはできない。角度αは、例えば数度、典型的には2°程度とする。
【0050】
この表示体10では、図3を参照しながら説明した構造によってモアレ効果を生じさせているが、モアレ効果は、他の構造を採用した場合にも生じさせることができる。例えば、単位領域の配列とレンズ122の配列とで方位を一致させ、それら配列のX方向及びY方向の各々に関するピッチを異ならしめてもよい。或いは、単位領域の配列とレンズ122の配列とで方位及びピッチを一致させ、単位領域に対する凹凸パターンDPの相対位置を、単位領域間で異ならしめてもよい。例えば、略中央の単位領域では凹凸パターンDPをその単位領域の中央に位置させ、先の単位領域から離れるに応じて凹凸パターンDPの位置を単位領域の中央から外側にずらしてもよい。
【0051】
上記の通り、この表示体10では、各凹凸パターンDPは、回折構造を構成している。凹凸パターンDPの一部又は全部は、溝などの凹部及び/又は筋などの凸部を不規則に又は低い秩序度で配置してなる散乱構造であってもよい。或いは、凹凸パターンDPの一部又は全部は、溝などの凹部及び/又は筋などの凸部を可視光域の最短波長よりも短いピッチで不規則に又は規則的に配置してなる微細構造であってもよい。
【0052】
この表示体10は、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bの少なくとも1つの代わりに、印刷パターンを含んでいてもよい。但し、表示用パターンDP1、DP2a及びDP2bの全てを印刷パターンで置換すると、表示体10の偽造が容易になる。
【0053】
或いは、この表示体10は、複数の単位領域とそれぞれ向き合った複数の印刷パターンを更に含んでいてもよい。即ち、各単位表示部は、凹凸パターンDPに加え、印刷パターンを更に含んでいてもよい。
【0054】
例えば、単位表示部の多くに、同一の印刷パターンを設ける。そして、単位表示部内における凹凸パターンDPと印刷パターンとの相対位置を、表示体10のほぼ全体で一定とする。こうすると、表示体10は、肉眼で観察すると、上述した拡大像I1’に加え、モアレ効果により、各印刷パターンが表示する印刷像の拡大像を表示する。
【0055】
或いは、単位表示部の少数に印刷パターンを設ける。こうすると、この表示体10は、肉眼で観察すると、上述した拡大像I1’を表示し、印刷像は表示しない。従って、この場合、印刷パターンを識別情報又はその一部として利用することができる。
【0056】
印刷パターンは、例えば、反射層14と接着剤層13との間に配置する。反射層14が光透過性を有している場合、印刷パターンは、反射層14と凹凸形成層112との間に、又は、凹凸形成層112と基材111との間に配置してもよい。
【0057】
この表示体10には、図4に示す積層構造の代わりに、他の積層構造を採用することができる。
【0058】
図8乃至図12は、変形例に係る表示体を概略的に示す断面図である。
【0059】
図8に示す表示体10は、基材111がレンズ層12と向き合うように構造層11をレンズ層12に貼り合わせていること以外は、図4に示す表示体10と同様の構造を有している。この構造では平坦面同士を接着しているため、貼り合わせが容易である。また、この表示体10から接着剤層13を省略した構造は、レンズ層12との摩擦によって凹凸パターンDP又は反射層14が損傷を受けることがない。
【0060】
図9に示す表示体10は、レンズ122が構造層11と向き合うようにレンズ層12を構造層11に貼り合わせていること以外は、図4に示す表示体10と同様の構造を有している。この構造では、基材111及び121を最外層としているので、それらの間に介在したレンズ122等の部材の損傷を生じ難い。
【0061】
図10に示す表示体10は、レンズ122が構造層11と向き合うようにレンズ層12を構造層11に貼り合わせていること以外は、図8に示す表示体10と同様の構造を有している。この構造では、レンズ122の損傷を生じ難い。また、この表示体10から接着剤層13を省略した構造は、レンズ層12との摩擦によって凹凸パターンDP又は反射層14が損傷を受けることがない。
【0062】
図11に示す表示体10は、基材121及び接着剤層13を省略したこと以外は、図4に示す表示体10と同様の構造を有している。即ち、この表示体10では、反射層14上にレンズ122が形成されている。この表示体10は、図4に示す表示体10と比較して部品点数が少ないため、より少ない工程数で製造することができる。また、この表示体10は、図4に示す表示体10と比較して、より薄く形成できるのに加え、レンズ122の焦点と凹凸パターンDPとの距離の制御が容易である。
【0063】
図12に示す表示体10は、基材121及び接着剤層13を省略したこと以外は、図8に示す表示体10と同様の構造を有している。即ち、この表示体10では、基材111上にレンズ122が形成されている。この表示体10は、図8に示す表示体10と比較して部品点数が少ないため、より少ない工程数で製造することができる。また、この表示体10は、図8に示す表示体10と比較してより薄く形成できるのに加え、レンズ122の焦点と凹凸パターンDPとの距離の制御が容易である。
【0064】
上述した表示体10には、レンズ122の形状及び凹凸パターンDPの配置などを工夫することにより、3次元像を表示させることができる。また、レンズ122のピッチを一定とする代わりに、これを変調させると、視覚効果を変化させることができる。
【0065】
次に、本発明の第2態様について説明する。
図13は、本発明の第2態様に係る表示体を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の一例を概略的に示す平面図である。図15は、図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の他の例を概略的に示す平面図である。
【0066】
図13に示す表示体11’は、レンズ層12及び接着剤層13などを省略し、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図4を参照しながら説明した表示体10と同様である。
【0067】
即ち、この表示体11’は、図4及び図5に示す構造層11とほぼ同様の構造を有している。そして、この表示体11’は、第1部分A1と第2部分A2とを含んでいる。なお、構造層11の少なくとも一部は、反射層14で被覆してもよい。
【0068】
第1部分A1の各単位領域は、表示用パターンDP1又はDP2aを含んでいる。第1部分A1では、大部分の単位領域に表示用パターンDP1が設けられており、残りの単位領域に表示用パターンDP2aが設けられている。
【0069】
第2部分A2も、第1部分A1と同様に、各単位領域は、表示用パターンDP1又はDP2aを含んでいる。但し、第2部分A2では、大部分の単位領域に表示用パターンDP2aが設けられており、残りの単位領域に表示用パターンDP1が設けられている。
【0070】
例えば、表示用パターンDP1及びDP2aを十分に小さくし、それらにほぼ同じ色を表示させ、それらの面積をほぼ等しくする。こうすると、この表示体11’を肉眼で観察した場合に、表示用パターンDP1と表示用パターンDP2aとを互いから識別すること、又は、第1部分A1と第2部分A2とを互いから識別することを不可能又は困難とすることができる。
【0071】
図14及び図15に示す検証具12’は、上述したレンズ層12と同様の構造を有している。
【0072】
図14に示すように、第1部分A1に検証具12’を重ねると、第1部分A1は、表示用パターンDP2aが表示する回折像の拡大像は表示せずに、表示用パターンDP1が表示する回折像の拡大像I1’を表示する。図15に示すように、第2部分A2に検証具12’を重ねると、第2部分A2は、表示用パターンDP1が表示する回折像の拡大像は表示せずに、表示用パターンDP2aが表示する回折像の拡大像I2a’を表示する。
【0073】
そして、第1部分A1と第2部分A2との双方と向き合うように検証具12’を重ねた場合、表示体11’は、例えば、拡大像I1’及びI2a’の何れも表示しないか、又は、それらを鮮明には表示しない。それゆえ、例えば、第2部分A2が第1部分A1を取り囲んでいる場合には、検証具12’の寸法を第1部分A1の寸法と等しくするか又はこれよりも小さくし、検証具12’を、これが第2部分A2と向き合わないように第1部分A1と重ねなければ、拡大像I1’を表示させることができないか、又は、これを鮮明に表示させることはできない。
【0074】
このように、この表示体11’では、表示用パターンDP1は第1部分A1において検証具12’を重ねることによって可視化する潜像を構成し、表示用パターンDP2aは第2部分A2において検証具12’を重ねることによって可視化する潜像を構成している。そして、この表示体11’では、肉眼で観察した場合に、表示用パターンDP1と表示用パターンDP2aとを互いから識別すること、及び、第1部分A1と第2部分A2とを互いから識別することを不可能又は困難とすることができる。加えて、この表示体11’で鮮明な拡大像I1’又はI2a’を得るためには、第1部分A1及び第2部分A2の一方のみに検証具12’を重ねることが必要である。
【0075】
それゆえ、表示用パターンDP1及び/又はDP2aを識別情報として利用した場合、識別情報の存在を悟られ難い。そして、仮に識別情報の存在を悟られたとしても、各識別情報が表示体11’のどの部分に記録されているかを判別することは困難である。従って、この表示体10を使用すると、優れた偽造防止効果を達成することが可能となる。
【0076】
この表示体11’は、表示用パターンDP1及びDP2a側が前面側であってもよく、その裏面側が前面側であってもよい。
【0077】
この表示体11’は、表示体10について説明したのと同様に、表示用パターンDP1及びDP2aの少なくとも一方の代わりに、印刷パターンを含んでいてもよい。この表示体11’は、表示体10について説明したのと同様に、複数の単位領域とそれぞれ向き合った複数の印刷パターンを更に含んでいてもよい。
【0078】
この表示体11’では、第1部分A1で多数を占める表示用パターン及び第2部分A2で少数を占める表示用パターンとして表示用パターンDP1を使用し、第1部分A1で少数を占める表示用パターン及び第2部分A2で多数を占める表示用パターンとして表示用パターンDP2aを使用している。
【0079】
第1部分A1で多数を占める表示用パターンと、第2部分A2で少数を占める表示用パターンとは、互いに異なっていてもよい。また、第1部分A1で少数を占める表示用パターンと、第2部分A2で多数を占める表示用パターンとは、互いに異なっていてもよい。但し、第1部分A1と第2部分A2とで同一の表示用パターンを使用すると、肉眼で観察した場合に、第1部分A1と第2部分A2との互いからの識別を不可能又は困難とすることが容易である。
【0080】
表示体10及び11’は、例えば、偽造又は不正使用等が抑制されるべき物品に支持させる。例えば、この表示体10又は11’とこれを支持した物品とを含んだラベル付き物品を真正品とした場合、真正であるか否かが未知の物品が上述した特徴の1つ以上を示さないときには、その物品は非真正品であると判断することができる。即ち、真正であるか否かが未知の物品を真正品と非真正品との間で判別することができる。従って、例えば、有価証券、銀行券、身分証明書などの証明書、及びクレジットカードなどの印刷物や美術品及び工芸品などの高級品の偽造を防止又は抑制することができる。
【0081】
なお、表示体10又は11’をラベルとして利用する場合、表示体10又は11’は物品に様々な方法で支持させることができる。例えば、表示体10又は11’に粘着剤層を設け、この粘着剤層を介して表示体10又は11’を物品に貼り付けてもよい。或いは、表示体10又は11’、特には表示体11’と熱可塑性樹脂からなる接着層とを含んだ転写箔を製造し、熱及び圧力を利用した転写により、表示体10を物品に貼り付けてもよい。或いは、表示体10又は11’を含んだタグを製造し、これを紐及び鎖などの取付具を介して物品に支持させてもよい。或いは、表示体10又は11’を含んだ包装材料を製造し、この包装材料で物品を包装してもよい。
【0082】
この表示体10及び11’は、偽造防止以外の目的で使用することも可能である。例えば、表示体10と拡大鏡などの検証具とを含んだ光学キットや、表示体11’と検証具12’とを含んだ光学キットは、先の真偽判定に利用可能であるのに加え、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。即ち、これら表示体10及び11’は、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する。
【実施例】
【0083】
(例1)
本例では、接着剤層13を省略したこと以外は図1乃至図4を参照しながら説明したのとほぼ同様の構造を有する表示体10を製造した。
【0084】
具体的には、構造層11は、以下の方法により作製した。まず、電子描画装置を用いて樹脂からなる原版を製造し、電鋳によりこの原版から金型を製造した。次に、この金型に紫外線硬化樹脂としてアクリル系樹脂を注入し、この樹脂層と厚さが50μmのPETフィルム111とをラミネートした。PETフィルム111側から紫外線を照射して樹脂を硬化させ、その後、PETフィルム111を硬化させた樹脂層と共に金型から剥離した。これにより、PETフィルム111と凹凸形成層112とを含んだ回折構造シート11を得た。
【0085】
なお、金型は、凹凸形成層112の表面のうち、一辺が100mmの正方形の領域内で、凹凸パターンDPが、100μmのピッチで正方格子状に配列するように設計した。凹凸パターンDPの溝の空間周波数は、約1500本/mmとした。凹凸パターンDPとしては、20μm角の正方形状を有している4つの凹凸パターンと、直径が20μmの円形状を有している多数の凹凸パターンとを配置した。具体的には、先の正方形の領域の1つの角の頂点を原点とし、この角を形成している一対の辺をそれぞれX軸及びY軸としたデカルト座標系(単位mm)を考えたときに、座標(10,10)、座標(90,10)、座標(10,90)及び座標(90,90)で表される4つの位置に正方形の凹凸パターンを配置し、残りの位置に円形の凹凸パターンを配置した。
【0086】
また、ここでは、金型に離型処理は施さなかった。そして、ラミネート圧は、凹凸形成層112の厚さが約15μmとなるように軽めに設定した。この金型と凹凸形成層112とを調べたところ、成形時の剥離ムラはなく、樹脂層を金型から綺麗に剥離できたことを確認することができた。
【0087】
凹凸形成層112上には、蒸着法によりアルミニウムからなる反射層14を形成した。反射層14の厚さは、約40乃至約60nmとした。
【0088】
レンズ層12は、以下の方法により作製した。まず、金型に紫外線硬化樹脂としてアクリル系/スチレン系共重合樹脂を注入し、この樹脂層と厚さが75μmのPETフィルム121とをラミネートした。PETフィルム121側から紫外線を照射して樹脂を硬化させ、その後、PETフィルム121を硬化させた樹脂層と共に金型から剥離した。これにより、PETフィルム121上に、ピッチが100μmであり、高さが約26μmであり、焦点距離が約90μmであるレンズ122を正方格子状に配列させてなるマイクロレンズシート12を得た。
【0089】
このようにして得られた回折構造シート11とマイクロレンズシート12とを、それらの間に反射層14が介在するように重ね合わせた。以上のようにして、表示体10を完成した。
【0090】
回折構造シート11を固定し、マイクロレンズシート12をその法線の周りで回転させたところ、表示体10は凹凸パターンに対して拡大された円形の像を表示し、この像の寸法は回転角度に応じて変化した。また、この表示体10が表示する拡大像を観察したところ、電子線描画時のムラや蒸着ムラなどに起因した表示ムラは見られず、回折光もはっきりと知覚できた。
【0091】
(例2)
本例では、図12を参照しながら説明したのとほぼ同様の構造を有する表示体10を製造した。
【0092】
具体的には、厚さが90μmのPETフィルム111を使用し、凹凸パターンDPのピッチを85μmとした。そして、座標(50,50)で表される位置の凹凸パターンDPを、円形とA字形とを組み合わせてなる形状とした。これ以外は例1で説明したのと同様の方法により、回折構造シート11を作製した。本例でも、例1と同様に、成形時の剥離ムラはなく、樹脂層を金型から綺麗に剥離できた。
【0093】
次に、基材111の凹凸形成層112を形成した面の裏面に、以下の方法によりレンズ122を形成した。まず、金型に紫外線硬化樹脂としてアクリル系/スチレン系共重合樹脂を注入し、この樹脂層と回折構造シート11とを、紫外線硬化樹脂層が基材111と向き合うようにラミネートした。
【0094】
凹凸形成層112側から紫外線を照射して樹脂を硬化させ、その後、回折構造シート11を硬化させた樹脂層と共に金型から剥離した。これにより、PETフィルム111上に、レンズ122を正方格子状に配列させてなるマイクロレンズシート12を得た。
【0095】
なお、レンズ122のピッチ、高さ及び焦点距離は、例1と同様とした。また、レンズ122の配列方向、即ちレンズアレイの方位は、凹凸パターンDPの配列方向と一致させた。
【0096】
その後、凹凸形成層112上に、例1で説明したのと同様の反射層14を形成した。以上のようにして、表示体10を完成した。
【0097】
この表示体は、凹凸パターンに対して拡大された円形の像を表示した。また、この表示体10が表示する拡大像を観察したところ、電子線描画時のムラや蒸着ムラなどに起因した表示ムラは見られず、回折光もはっきりと知覚できた。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1態様に係る表示体を示す斜視図。
【図2】図1に示す表示体の分解斜視図。
【図3】図1に示す表示体を概略的に示す平面図。
【図4】図1に示す表示体のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】レンズアレイを省略した場合に図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図。
【図6】図1に示す表示体が表示する像の一例を概略的に示す平面図。
【図7】図1に示す表示体が表示する像の他の例を概略的に示す平面図。
【図8】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図9】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図10】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図11】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図12】変形例に係る表示体を概略的に示す断面図。
【図13】本発明の第2態様に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図14】図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の一例を概略的に示す平面図。
【図15】図13に示す表示体が検証具を重ねたときに表示する像の他の例を概略的に示す平面図。
【符号の説明】
【0099】
10…表示体、11…構造層、11’…表示体、12…レンズ層、12’…検証具、13…接着剤層、14…反射層、111…基材、112…凹凸形成層、121…基材、122…レンズ、BL…単位領域の境界、DP…凹凸パターン、DP1…表示用パターン、DP2a…表示用パターン、DP2b…表示用パターン、I1…回折像、I2a…回折像、I2b…回折像。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部と、規則的に配列した複数のレンズを含み、前記複数の単位表示部と向き合ったレンズアレイとを具備し、前記複数の単位表示部は、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含み、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンと前記複数のレンズとは、それらの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像を表示するように配置されており、前記合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体。
【請求項2】
前記第2像は前記第1像を含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記第2像は前記第1像と他の像とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項4】
規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部を具備した表示体であって、前記表示体は、前記複数の単位表示部の一部を含んだ第1表示部と、前記複数の単位表示部の他の一部を含んだ第1表示部とを備え、前記第1表示部は、前記複数の単位表示部の前記一部として、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含むと共に、規則的に配列した複数のレンズを含んだレンズアレイを重ねたときに、前記複数の単位表示部の前記一部の配列と前記複数のレンズの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、それら単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体。
【請求項5】
前記第2表示部は、前記複数の単位表示部の前記他の一部として、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第3像を表示する複数の第3単位表示部と、前記表示用パターンが前記第3像とは異なる第4像を表示する1つ以上の第4単位表示部とを含むと共に、前記レンズアレイを重ねたときに、前記複数の単位表示部の前記他の一部の配列と前記複数のレンズの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、それら単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像として、前記第4像の拡大像を表示せずに、前記第3像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする請求項4に記載の表示体。
【請求項6】
前記第4像は前記第2像と等しいことを特徴とする請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
前記複数の単位表示部は、これらに対応して配列した複数の単位領域を一方の主面が含み、それら単位領域の少なくとも1つに凹凸パターンが設けられた構造層を構成しており、前記複数の単位表示部の少なくとも1つは前記表示用パターンの少なくとも一部として前記凹凸パターンを含んでいることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体。
【請求項8】
前記凹凸パターンの少なくとも一部は回折構造を形成していることを特徴とする請求項7に記載の表示体。
【請求項9】
前記複数の単位表示部の少なくとも1つは前記表示用パターンの少なくとも一部として印刷パターンを含んでいることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の表示体。
【請求項10】
前記主面の少なくとも一部を被覆した反射層を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の表示体。
【請求項11】
前記レンズアレイは前記構造層の前記一方の主面又は他方の主面上に形成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項12】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、他方の主面が前記構造層の他方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項13】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、前記レンズアレイを間に挟んで前記構造層の他方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項14】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、他方の主面が前記構造層の前記一方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項15】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、前記レンズアレイを間に挟んで前記構造層の前記一方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを含んだことを特徴とするラベル付き物品。
【請求項1】
規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部と、規則的に配列した複数のレンズを含み、前記複数の単位表示部と向き合ったレンズアレイとを具備し、前記複数の単位表示部は、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含み、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンと前記複数のレンズとは、それらの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、前記複数の単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像を表示するように配置されており、前記合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体。
【請求項2】
前記第2像は前記第1像を含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記第2像は前記第1像と他の像とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項4】
規則的に配列し、各々が表示用パターンを含んだ複数の単位表示部を具備した表示体であって、前記表示体は、前記複数の単位表示部の一部を含んだ第1表示部と、前記複数の単位表示部の他の一部を含んだ第1表示部とを備え、前記第1表示部は、前記複数の単位表示部の前記一部として、前記表示用パターンが第1像を表示する複数の第1単位表示部と、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第2像を表示する1つ以上の第2単位表示部とを含むと共に、規則的に配列した複数のレンズを含んだレンズアレイを重ねたときに、前記複数の単位表示部の前記一部の配列と前記複数のレンズの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、それら単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像として、前記第2像の拡大像を表示せずに、前記第1像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする表示体。
【請求項5】
前記第2表示部は、前記複数の単位表示部の前記他の一部として、前記表示用パターンが前記第1像とは異なる第3像を表示する複数の第3単位表示部と、前記表示用パターンが前記第3像とは異なる第4像を表示する1つ以上の第4単位表示部とを含むと共に、前記レンズアレイを重ねたときに、前記複数の単位表示部の前記他の一部の配列と前記複数のレンズの配列との重ね合わせによって生じるモアレ効果により、それら単位表示部の前記表示用パターンがそれぞれ表示する複数の像を合成してなる合成像として、前記第4像の拡大像を表示せずに、前記第3像の拡大像を1つ以上表示することを特徴とする請求項4に記載の表示体。
【請求項6】
前記第4像は前記第2像と等しいことを特徴とする請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
前記複数の単位表示部は、これらに対応して配列した複数の単位領域を一方の主面が含み、それら単位領域の少なくとも1つに凹凸パターンが設けられた構造層を構成しており、前記複数の単位表示部の少なくとも1つは前記表示用パターンの少なくとも一部として前記凹凸パターンを含んでいることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体。
【請求項8】
前記凹凸パターンの少なくとも一部は回折構造を形成していることを特徴とする請求項7に記載の表示体。
【請求項9】
前記複数の単位表示部の少なくとも1つは前記表示用パターンの少なくとも一部として印刷パターンを含んでいることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の表示体。
【請求項10】
前記主面の少なくとも一部を被覆した反射層を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の表示体。
【請求項11】
前記レンズアレイは前記構造層の前記一方の主面又は他方の主面上に形成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項12】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、他方の主面が前記構造層の他方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項13】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、前記レンズアレイを間に挟んで前記構造層の他方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項14】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、他方の主面が前記構造層の前記一方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項15】
一方の主面が前記レンズアレイを支持し、前記レンズアレイを間に挟んで前記構造層の前記一方の主面と向き合った透明基材を更に具備したことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを含んだことを特徴とするラベル付き物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−86041(P2009−86041A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252499(P2007−252499)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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