説明

表示制御システム

【課題】配信された情報を表示する表示装置を、電力会社の電力使用情報を基にして節電制御するようにした表示制御システムを得る。
【解決手段】遠隔制御装置1は、公衆回線5を介して電力会社2の電力使用情報D1を取得し、表示装置4を制御するための制御条件D2と制御内容D3とを対応付けるように予め定義した制御テーブル11を参照して、電力使用情報D1に該当する制御内容D3を生成して、公衆回線5を介して表示制御装置3に送信し、これを受信した表示制御装置3は、制御内容D3に基づき表示装置4を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、街頭や駅、公共施設などに設置された複数のディスプレイにCM(映像や情報)を表示する表示制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の映像情報配信システムなどの表示制御システムでは、ネットワークに接続された遠隔制御装置と表示装置からなる構成において、遠隔制御装置から発信される緊急情報を表示装置に割り込み映像として表示するようになっている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−271391号公報(第3〜4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表示制御システムでは、運用者は電力会社が提供しているホームページなどから電力情報を入手し、電力使用量のピーク時などに、遠方に設置されている表示装置へ節電を促すための映像を割り込み表示させるため、手動にてその都度操作を行う必要があった。
また、表示装置自体の節電を実施するために、運用者が表示装置の輝度を下げたり、電源を落とすといった作業も手動で行う必要があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、配信された情報を表示する表示装置を、電力会社の電力使用情報を基にして節電制御するようにした表示制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる表示制御システムにおいては、配信された情報を表示する表示装置、この表示装置の表示を制御する表示制御装置、及び電力使用情報を公衆回線を介して取得し、その電力使用情報に応じた表示装置の制御内容を生成し、表示制御装置に送信する遠隔制御装置を備え、遠隔制御装置は、電力使用情報に応じるように設定された表示装置の制御条件と、この制御条件に対応する表示装置の制御内容とを予め定義した制御テーブルを有し、電力使用情報を取得したとき、制御テーブルを参照して、取得した電力使用情報に応じた表示装置の制御条件を求め、この求めた制御条件に対応する表示装置の制御内容を生成して、表示制御装置に送信し、表示制御装置は、遠隔制御装置から送信された表示装置の制御内容に基づき、表示装置を制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、配信された情報を表示する表示装置、この表示装置の表示を制御する表示制御装置、及び電力使用情報を公衆回線を介して取得し、その電力使用情報に応じた表示装置の制御内容を生成し、表示制御装置に送信する遠隔制御装置を備え、遠隔制御装置は、電力使用情報に応じるように設定された表示装置の制御条件と、この制御条件に対応する表示装置の制御内容とを予め定義した制御テーブルを有し、電力使用情報を取得したとき、制御テーブルを参照して、取得した電力使用情報に応じた表示装置の制御条件を求め、この求めた制御条件に対応する表示装置の制御内容を生成して、表示制御装置に送信し、表示制御装置は、遠隔制御装置から送信された表示装置の制御内容に基づき、表示装置を制御するので、電力使用情報を基にして表示装置を節電制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による表示制御システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による表示制御システムの制御テーブル例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による表示制御システムの遠隔制御装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による表示制御システムの制御テーブル例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態3による表示制御システムを示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態3による表示制御システムの制御テーブル例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による表示制御システムを示す構成図である。
図1において、遠隔制御装置1は一定間隔で電力会社2が提供している電力使用情報D1を取得する。遠隔制御装置1は、後述する制御条件D2と制御内容D3とを対応付けた制御テーブル11(図2参照)を予め作成しておき、取得した電力使用情報D1に該当する制御条件D2を、制御テーブル11を参照して求め、この制御条件D2に対応する制御内容D3(電源)を作成し、公衆回線5を介して、表示制御装置3に通知する。表示制御装置3は、受信した制御内容D3により表示装置4の表示を制御する。表示装置4は、表示制御装置3によって制御され、配信された情報を表示する。
【0010】
図2は、この発明の実施の形態1による表示制御システムの制御テーブル例を示す図である。
図2において、制御テーブル11は、電力使用率により、0〜90パーセントと、91〜100パーセントの制御条件D2が設定され、この制御条件D2にそれぞれに対応する制御内容D3は、0〜90パーセントの場合が正常放映、91〜100パーセントの場合が表示装置の電源をオフにする、になっている。つまり、図2の制御内容D3は電源のオンオフに係わるものである。
【0011】
次に、図3を用いて、遠隔制御装置1の制御フローについて説明する。
遠隔制御装置1では、処理開始(S301)後、電力使用情報D1を電力会社2から公衆回線5を介して取得し、現在の電力使用量と最大電力提供量から現在の電力使用率を求める(S302)。この時の電力使用率が、図2の制御テーブル11のどの制御条件D2に含まれるかを判定し(S303)、判定された制御条件D2に対応する、図2の制御内容D3(電源)を選定する(S304)。
次いで、S304で選定された制御内容D3(電源)を、表示制御装置3へ公衆回線5を介して通知する(S305)。
S305で通知完了後、運営終了時刻に達した場合、終了(S307)となり、達していなければ、一定時間後(例えば、5分後)、再度S302からS306を繰返し処理する。
【0012】
実施の形態1によれば、図1のように構成された遠隔制御装置1においては、図2のような制御テーブル11を用いて、図3に示す制御を行うことで、自動的に表示装置4の電源オンオフ制御を行うことができ、節電効果(省エネ)を期待することができる。
すなわち、遠隔制御装置1では電力会社から提供される電力使用情報を収集し、その情報をもとに逼迫した電力使用状況であれば表示装置4の電源を自動的に切断し、電力使用状況がある程度逼迫した状況から脱した際には表示装置4の電源を自動的に復旧すること
で、電力逼迫時における表示装置4の消費電力を抑制することができる。
また、人手による表示装置4の節電のための作業時間を削減するとともに、作業時のヒューマンエラーを削減することができる。
【0013】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による表示制御システムの制御テーブル例を示す図である。
図4において、制御テーブル12は、表示装置の輝度を制御するためのもので、制御条件D2として、電力使用率の0〜70パーセント、71〜80パーセント、81〜90パーセント、91〜100パーセントが設定され、この制御条件D2にそれぞれ対応して、輝度の制御内容D3として、正常放映、表示装置4の輝度を2分の1にする、表示装置4の輝度を4分の1にする、輝度を最低にする、を設定している。
【0014】
実施の形態1は、電力使用情報D1による表示装置4の電源制御について述べたが、実施の形態2は、電力使用情報D1による輝度制御機能についてのものである。
遠隔制御装置1は、実施の形態1の図3のS302と同様に、一定間隔で電力使用情報D1を取得する。
遠隔制御装置1では、取得した電力使用情報D1に基づいて、電力使用率を計算し、図4の制御テーブル12を参照して、計算した電力使用率が、該当する制御条件D2を求め、この制御条件D2に対応する制御内容D3(輝度)を得て、表示制御装置3に対し、表示装置4の制御内容D3(輝度)を通知する。
制御内容D3(輝度)を受信した表示制御装置3は、表示装置4に受信した制御内容D3(輝度)による表示を実施させる。
【0015】
実施の形態2によれば、自動的に表示装置の輝度の制御を行うことができ、節電効果(省エネ)を期待することができる。
【0016】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による表示制御システムを示す構成図である。
図5において、1〜5、D1〜D3は図1におけるものと同一のものである。図4では、遠隔制御装置1は、電力使用情報D1から、節電を促す映像(静止画、テロップ)である緊急映像・テロップ情報D4を作成する。
【0017】
図6は、この発明の実施の形態3による表示制御システムの制御テーブル例を示す図である。
図6において、制御テーブル13は、表示装置4の緊急割り込み表示を制御するためのもので、制御条件D2として、電力使用率の0〜70パーセント、71〜80パーセント、81〜90パーセント、91〜100パーセントが設定され、この制御条件D2にそれぞれ対応して、緊急割り込み表示の制御内容D3として、正常放映、緊急割り込みテロップ「この映像装置は節電のため、輝度を2分の1にして放映しております。節電にご協力ください。」を表示させる、緊急割り込み映像を表示させる、クリア、を設定している。
ここで、クリアは、電源を落とすか、または輝度をゼロにすることにより、画面を真っ黒にする処理である。
【0018】
実施の形態1及び実施の形態2では、電力使用情報D1による表示装置4の電源制御、輝度制御について述べたが、実施の形態3は、電力使用情報D1による緊急映像表示機能についてのものである。
実施の形態3では、遠隔制御装置1は、実施の形態1及び実施の形態2と同様に一定間隔で電力使用情報D1を取得する。
そして、得られた電力使用情報D1に基づいて、電力使用率を計算し、制御テーブル1
3を参照して、計算した電力使用率に該当する制御条件D2を選定するとともに、節電を促す映像(静止画、テロップ)である緊急映像・テロップ情報D4を作成する。
制御テーブル13を参照して、制御条件D2に応じた制御内容D3を表示制御装置3へ送信し、表示制御装置3により、表示装置4に節電を促す映像(静止画、テロップ)を緊急割り込み映像として表示させる。
【0019】
実施の形態3によれば、実施の形態1の図2の制御テーブル、または実施の形態2の図4の制御テーブルに加え、図6の制御テーブルを設定しておくことで、作成した映像を表示制御装置3に配信すると、表示制御装置3では、表示装置4に緊急割り込み映像として表示する。
この実施の形態3は、実施の形態1または実施の形態2で述べた機能と併用することで、輝度調整中には表示装置4の節電を行うだけではなく、周りに節電を促す情報を発信することができる。
【0020】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 遠隔制御装置
2 電力会社
3 表示制御装置
4 表示装置
5 公衆回線
11 制御テーブル
12 制御テーブル
13 制御テーブル
D1 電力使用情報
D2 制御条件
D3 制御内容
D4 緊急映像・テロップ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信された情報を表示する表示装置、
この表示装置の表示を制御する表示制御装置、
及び電力使用情報を公衆回線を介して取得し、その電力使用情報に応じた上記表示装置の制御内容を生成し、上記表示制御装置に送信する遠隔制御装置を備え、
上記遠隔制御装置は、
上記電力使用情報に応じるように設定された上記表示装置の制御条件と、この制御条件に対応する上記表示装置の制御内容とを予め定義した制御テーブルを有し、
上記電力使用情報を取得したとき、上記制御テーブルを参照して、上記取得した電力使用情報に応じた上記表示装置の制御条件を求め、この求めた制御条件に対応する上記表示装置の制御内容を生成して、上記表示制御装置に送信し、
上記表示制御装置は、上記遠隔制御装置から送信された上記表示装置の制御内容に基づき、上記表示装置を制御することを特徴とする表示制御システム。
【請求項2】
上記制御条件は、電力使用率であり、上記表示装置の制御内容は、上記表示装置の電源オンオフ制御であることを特徴とする請求項1記載の表示制御システム。
【請求項3】
上記制御条件は、電力使用率であり、上記表示装置の制御内容は、上記表示装置の輝度制御であることを特徴とする請求項1記載の表示制御システム。
【請求項4】
上記制御条件は、電力使用率であり、上記表示装置の制御内容は、上記表示装置の緊急割り込み映像の制御であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の表示制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88795(P2013−88795A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232542(P2011−232542)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】