説明

表示制御方法、表示制御プログラム及び表示装置

【課題】表示装置にコストアップに繋がる記憶装置を新たに搭載せずに、ネットワークに接続された複数の表示装置による表示処理を制御する表示制御方法、表示制御プログラム及び表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、投写コンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各プロジェクターが取得するコンテンツ分担情報を決定するステップS15と、各プロジェクターが投写するコンテンツの投写順序を定めた投写計画を作成するステップS17と、コンテンツ分担情報及び投写計画を他のプロジェクター3,5,7に送信するステップ19と、コンテンツ分担情報に基づき、プロジェクター1が分担するコンテンツを取得するステップS21と、投写計画に基づき、取得したコンテンツを他のプロジェクター3,5,7に送信するステップS33と、投写計画に基づき、取得したコンテンツ及び他のプロジェクター3,5,7から受信したコンテンツを投写するステップS37と、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の表示装置による表示処理を制御する表示制御方法、表示制御プログラム及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台の表示装置を1台のパソコンで一元的に管理制御し、それぞれの表示装置に要望通りのコンテンツを配信し、各表示装置へ表示させる制御システムが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数のプロジェクターに投影情報を一括して配信して表示させたり、各プロジェクターの動作状況を把握したりして、制御装置が各プロジェクターを一括して管理制御する制御システムが記載されている。
【0004】
1台のパソコンで複数のプロジェクターを一元管理することによって、多人数の会議室や広い展示会場において2以上のプロジェクターに一斉に投写したり、巨大スクリーンに対し投写される投写データを分割して、各分割されたデータごとにそれぞれプロジェクターを割り当て、かかる2以上のプロジェクターにより巨大な投写画像を完成させたりすることができる。
【0005】
ところで、近年、デジタルカメラやプロジェクターなどのデジタル家電製品や、ファクシミリ装置や携帯電話などの通信機器とった様々な機器には組込型のコンピューターが組み込まれている。このような機器の中には、コンピューターのOS(Operating System)プラットフォーム上で仮想マシン(Virtual Machine)を動作させ、プラットフォーム独立の実行形式のコード(いわゆる「バイトコード(中間コード)」)を仮想マシンに実行させて、OSプラットフォームの違いに依存しないアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と言う)の実行環境を実現しているものがある。これによれば、アプリケーション開発者がOSプラットフォームの違いを意識する必要がないため、アプリケーション開発の労力の低減が図られる(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
上記の仮想マシンとしては、Java(登録商標)仮想マシンが広く用いられている。Java(登録商標)仮想マシンは、特定のファイルフォーマット、すなわちクラスファイルフォーマットのプログラムを認識して実行するものであり、また、クラスファイルは、Java(登録商標)仮想マシンの命令(又は上記バイトコード)を保持したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−198994号公報
【特許文献2】特開2007−206869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、Java(登録商標)仮想マシンを、例えばプロジェクターやデジタルテレビなどの表示装置に実装することで、機種を問わずにJava(登録商標)仮想マシン上で、上述したバイトコードで書かれたアプリケーションを実行させることができる。例えば、表示装置に実装されたJava(登録商標)仮想マシン上で、ネットワーク管理機能を提供するアプリケーションを実行させることによって、ネットワークに接続されている複数の表示装置を一括管理することもできる。従来のようにホストコンピューターを必要とせずとも、複数の表示装置による表示処理を一括管理することができる。
【0009】
ネットワーク上の複数の表示装置を一括して管理することによって、複数のファイルからなるコンテンツを、ネットワークに接続されている複数の表示装置へ同時に表示させたり、複数の表示装置により1つの巨大な画像を完成させたりすることができる。ところがこのような場合、各表示装置には各ファイルを保持するための記憶装置を備える必要がある。
【0010】
しかしながら、表示装置に十分な容量の記憶装置を備えようとすると、表示装置のコストアップに繋がるため、好ましくない。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、表示装置にコストアップに繋がる記憶装置を新たに搭載せずに、ネットワークに接続された複数の表示装置による表示処理を制御する表示制御方法、表示制御プログラム及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決することのできる本発明は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の表示装置による表示処理を制御する表示制御方法であって、前記表示装置は、表示対象とされたコンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定するステップと、前記各表示装置が表示する前記コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成するステップと、前記分担情報及び前記表示計画を他の表示装置に送信するステップと、前記分担情報に基づき、前記表示装置が分担する前記コンテンツを取得するステップと、前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツを前記他の表示装置に送信するステップと、前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツ及び前記他の表示装置から受信したコンテンツを表示するステップと、を実行することを特徴とする。
上記構成によれば、表示装置は、コンテンツの分担情報を決定し、他の表示装置へ送信する。したがって、分担情報を受信した各表示装置は、分担情報に基づいて自己が分担するコンテンツのみを取得すればよい。また、表示装置は、コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成し、他の表示装置へ送信する。したがって、各表示装置は、表示計画に定められた表示順序にしたがってコンテンツを表示することができる。さらに、表示装置は、自ら取得したコンテンツ以外に、他の表示装置から受信したコンテンツを表示することができる。つまり、表示装置は、表示する全てのコンテンツを取得し保持する必要がなく、他の表示装置にコンテンツを分担して取得させることができる。自己が保持していないコンテンツを表示する際には、表示対象となるコンテンツを保持している他の表示装置からコンテンツを受信し表示する。したがって、表示装置にコストアップに繋がる記憶装置を新たに備えずとも、ネットワークに接続された複数の表示装置による表示制御をスムースに実現することができる。
【0013】
また、本発明の表示処理制御方法において、前記表示装置は、表示対象とされたコンテンツのコンテンツリストと、各表示装置の装置情報と、に基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定するステップを実行することが好ましい。
上記構成によれば、各表示装置の装置情報に基づき、表示装置が取得するコンテンツの分担情報を決定する。すなわち、表示装置毎に異なる装置情報を考慮した分担情報を決定することができる。装置情報として表示装置のリソース量を一例とすれば、各表示装置のリソース量に基づいて分担情報を決定するので、各表示装置のリソースを効率的に利用することができる。このため、表示装置に過剰な記憶容量を与える必要がなく、ハードウェアのコストを低減することが可能となる。
また、装置情報にはリソース量以外にデータの転送能力(データの転送速度:byte per second)、CPUの処理能力等を利用してもよい。
【0014】
また、本発明の表示処理制御方法において、前記コンテンツを取得した表示装置は、前記コンテンツを表示する絶対時刻を指定し、前記他の表示装置に対して前記絶対時刻を送信するステップを実行することが好ましい。
上記構成によれば、絶対時刻を指定することができるので、各表示装置においてコンテンツを表示させる時刻を指定することができ、同時刻に一斉にコンテンツを表示させることができる。
【0015】
また、本発明の表示処理制御方法において、前記コンテンツを取得した表示装置は、前記コンテンツを表示する相対時刻を指定し、前記他の表示装置に対して前記相対時刻を送信するステップを実行するが好ましい。
上記構成によれば、相対時刻を表示させることができるので、各表示装置において所定時間の経過後に一斉にコンテンツを表示させることができる。
【0016】
また、本発明の表示処理制御方法において、前記コンテンツを取得した表示装置は、前記他の表示装置にテスト信号を送信し、前記テスト信号に対する応答時間を取得するステップを実行し、前記応答時間に基づき前記相対時刻を指定することが好ましい。
上記構成によれば、ネットワークに接続されている他の表示装置の応答時間を取得することができるので、通信タイムラグを考慮した相対時刻を指定することができる。したがって、コンテンツをより正確に一斉に表示させることができる。
【0017】
また、本発明の表示処理制御方法において、前記コンテンツを取得した表示装置は、前記コンテンツの表示方式を指定し、前記表示方式を前記他の表示装置に送信するステップを実行することが好ましい。
上記構成によれば、コンテンツの表示方式を指定し、他の表示装置に送信することができるので、ネットワークに接続されている他の表示装置において同じ表示形式によってコンテンツを表示させることができる。
【0018】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の表示装置による表示処理を制御するための表示制御プログラムであって、前記表示装置が備えるコンピューターに、表示対象とされたコンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定するステップと、前記各表示装置が表示する前記コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成するステップと、前記分担情報及び前記表示計画を他の表示装置に送信するステップと、前記分担情報に基づき、前記表示装置が分担する前記コンテンツを取得するステップと、前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツを前記他の表示装置に送信するステップと、前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツ及び前記他の表示装置から受信したコンテンツを表示するステップと、を実行させることを特徴とする。
上記構成によれば、表示装置にコストアップに繋がる記憶装置を新たに搭載せずに、ネットワークに接続された複数の表示装置による表示処理を制御するための表示制御プログラムを提供することができる。
【0019】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、ネットワークを介して複数の表示装置と通信可能に接続された表示装置であって、前記表示装置は、表示対象とされたコンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定し、前記各表示装置が表示する前記コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成する作成部と、前記分担情報に基づき、前記表示装置が分担する前記コンテンツを取得する取得部と、前記分担情報及び前記表示計画を他の表示装置に送信し、前記取得部が取得した前記コンテンツを前記表示計画に基づき前記他の表示装置に送信する送信部と、前記表示計画に基づき、前記取得部が取得した前記コンテンツ及び前記他の表示装置から受信したコンテンツを表示する表示部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、表示装置にコストアップに繋がる記憶装置を新たに搭載せずに、ネットワークに接続された複数の表示装置による表示処理をスムースに実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態のプロジェクターの内部構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のプロジェクターのアプリケーション実行環境を説明するソフトウェア階層図である。
【図3】本実施形態のコンテンツ取得分配機能の概要を説明するためのネットワーク図である。
【図4】本実施形態の各プロジェクターの内部処理を説明するための機能ブロック図である。
【図5】プロジェクター1によるコンテンツ取得分配処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】他のプロジェクター3,5,7によるコンテンツ取得分配処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】各プロジェクターの装置情報を示す図である。
【図8】投写処理を計画するためにPCに表示される入力画面の例である。
【図9】コンテンツリストを示す図である。
【図10】図9のコンテンツリストに基づき決定されたコンテンツ分担情報である。
【図11】プロジェクター1のコンテンツ分担情報である。
【図12】プロジェクター3のコンテンツ分担情報である。
【図13】プロジェクター5のコンテンツ分担情報である。
【図14】プロジェクター7のコンテンツ分担情報である。
【図15】全てのプロジェクターによる投写計画を示す図である。
【図16】プロジェクター1とプロジェクター3,5,7との通信タイムラグを示した図である。
【図17】プロジェクター3,5,7に指定する投写タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る表示制御方法、表示制御プログラム及び表示装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る表示装置の一実施の形態に係るネットワークプロジェクター(以下、単に「プロジェクター」と言う)1の概略構成を示す図である。この図に示すように、プロジェクター1は、制御部10と、投写ユニット11と、拡張スロット12と、ネットワークカード13と、フラッシュROM14とを有している。
【0023】
制御部10は、プロジェクター1の各部を中枢的に制御するものであり、演算処理プロセッサとしてのCPU15と、このCPU15により実行される制御プログラム(いわゆるファームウェア)が格納されるROM17と、CPU15のワークエリアとして機能して演算結果や各種データを一時的に格納するRAM16とを有している。
【0024】
投写ユニット11は、例えば、放電発光型の光源ランプや、LED(Light Emitting Diode)等の固体発光素子等からなる光源と、光源から射出された光束を画像信号に基づいて変調して画像光を形成する光変調装置(例えば、液晶パネル、入射側偏光板および射出側偏光板を備えた液晶ライトバルブやマイクロミラーを用いたデバイス等)と、画像光を拡大投写する投写レンズ等と、を備えて構成されている。
【0025】
拡張スロット12は、プロジェクター1に内設され、当該プロジェクター1の機能を拡張するためのカード型の回路が挿脱されるソケットであり、この拡張スロット12には、上記ネットワークカード13が挿着されている。
【0026】
ネットワークカード13は、データ通信部18と周辺機器接続部19とを有し、建物内に敷設されたLANやインターネット等のネットワーク2を介して他のプロジェクター3,5,7や通信端末(例えばコンテンツサーバー)とデータ通信する機能、および、周辺機器を接続する機能を有するものである。すなわち、上記データ通信部18は、TCP/IP等の所定の通信プロトコルに基づいて信号処理するネットワークコントローラー21と、有線または無線にてネットワーク2に接続される通信I/F22とを有して構成されている。また、周辺機器接続部19は、周辺機器を接続するためのものであり、例えばUSB規格やIEEE1394規格等の所定規格に準拠して信号処理を実行する接続I/Fコントローラー23と、周辺装置24の接続口たる複数(図示例では2つ)の接続コネクタ25を備えている。
【0027】
フラッシュROM14は、書き換え可能な不揮発性メモリーであり、各種のアプリケーションが格納されている。これらのアプリケーションは、例えばメモリカード等の記録媒体26に記録されて配布され、或いは、ネットワーク2等の電気通信回線を通じて配布され、そして、このようにして配布されたアプリケーションがフラッシュROM14にインストール可能に構成されている。また、制御部10のROM17に格納される制御プログラムもアプリケーションと同様に、記録媒体26、あるいは、ネットワーク2等の電気通信回線を介して配布可能であり、このように配布された制御プログラムがROM17にインストール可能に構成されている。
【0028】
上記フラッシュROM14等に格納されるアプリケーションとしては、プロジェクターによって投写される投写コンテンツをネットワークから取得し、通信可能に接続されている他のプロジェクターとの間で、分担して取得したコンテンツのファイルを互いに配信するアプリケーションがある。このアプリケーションの実行環境について図2を参照して説明する。
【0029】
図2は、プロジェクター1のアプリケーション実行環境を示すソフトウェア概略構成図である。この図に示すように、プロジェクター1の制御部10には、OSプラットフォーム30上にインタプリタ環境であるソフトウェアプラットフォーム31が構成されている。ソフトウェアプラットフォーム31は、Java(登録商標)プラットフォームのランタイム環境として構成されており、インタプリタとしてのJava(登録商標)VM(Java(登録商標)仮想マシン)32、ライブラリー33およびフレームワーク群34を備えて構成されている。
ライブラリー33は標準のAPIライブラリーとプロジェクター1に専用のライブラリーを含んで構成されており、OSプラットフォーム30が提供する抽象化された各種コンピューター資源を、さらにソフトウェアプラットフォーム31専用のモデルによって抽象化して、この上で動作するアプリケーションのための実行環境を提供する。
【0030】
フレームワーク群34はOSGi(Open Service Gateway initiative)フレームワーク34aを含んで構成されており、このOSGiフレームワーク34aは単一のJava(登録商標)VM32上に複数のアプリケーションを動作させる。また、OSGiフレームワーク34aは、アプリケーションのライフサイクルの管理やアプリケーション間通信機能などを提供する。このOSGiフレームワーク34a上には、複数のシステムサービスがプリインストールされている。システムサービスには、新たなアプリケーションを追加したり更新したり削除したりするためのアプリケーション管理サービス等がある。
【0031】
以下では、図2に示したアプリケーション実行環境において実行される、本実施形態におけるアプリケーション(表示制御プログラム)が提供するコンテンツ取得配信機能について説明する。
【0032】
<コンテンツの取得配信機能の概要について>
まず、コンテンツの取得配信機能の概略について図3を参照して説明する。
図3に示すように、本実施形態では、各プロジェクター1,3,5,7はネットワーク2に接続されているコンテンツサーバー20−1、20−2や、プロジェクターに直接接続されているUSBメモリー等に記憶されているコンテンツを取得することができる。また、各プロジェクター1,3,5,7は、自己が取得した投写コンテンツを他のプロジェクターへ配信(送信)することができる。
【0033】
図3では、プロジェクター1が、PC50から取得した投写コンテンツのコンテンツリストに基づいて各プロジェクター1,3,5,7によるコンテンツ分担情報を決定し、他のプロジェクター3,5,7へ送信する。コンテンツリストとコンテンツ分担情報の詳細は後述する。他のプロジェクター3,5,7はプロジェクター1から受信したコンテンツ分担情報に基づいて、自己が分担する投写コンテンツをネットワーク2の該当する格納場所から取得する。また、プロジェクター1も同様に、自己が担当する投写コンテンツを該当する格納場所から取得する。
【0034】
さらに、プロジェクター1は、投写コンテンツの投写順序を定めた投写計画を作成し、各プロジェクター3,5,7へ送信する。各プロジェクター1,3,5,7は、投写計画に基づき、次に投写する投写コンテンツを保持しているプロジェクターから、該当する投写コンテンツの配信を受け、投写ユニット11(表示部)によって投写する。
【0035】
すなわち、複数のプロジェクターによって投写コンテンツを分担して取得し、保持しておくことで、自己が保持していない投写コンテンツを表示させる際に、その投写コンテンツを保持している他のプロジェクターから受信して投写することができる。このため、何れのプロジェクターにも、投写対象となる全ての投写コンテンツを取得して保持することがないので、大容量の記憶装置を備えることなく、従来と同様の記憶装置によって、投写コンテンツをスムースに投写させることができるようになっている。
【0036】
<コンテンツの取得配信機能の内部処理について>
次に、上述したアプリケーションが提供するコンテンツ取得配信機能の内部処理について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、アプリケーションが実行されると、プロジェクター1の制御部10には、コンテンツ取得分担決定部51、投写計画作成部53、コンテンツ取得部55、コンテンツ配信部57、コンテンツ表示タイミング指定部59及び属性指定部61が構成される。また、プロジェクター1には、記憶部として、プロジェクター情報記憶部63、コンテンツリスト情報記憶部65、取得コンテンツ情報記憶部67、投写計画情報記憶部69及び投写コンテンツ記憶部71が設定される。各記憶部は、RAM21の所定の記憶領域や、フラッシュROM14に設定される。なお、本実施形態のプロジェクター1は、ネットワーク2上から取得した投写コンテンツを記憶するためのフラッシュメモリーを別途備えており、投写コンテンツ記憶部71は、フラッシュメモリーに設定されている。
【0037】
また、プロジェクター3,5,7においても、制御部10には、コンテンツ取得部55、コンテンツ配信部57、コンテンツ表示タイミング指定部59及び属性指定部61が構成される。また、プロジェクター3,5,7には、記憶部として、取得コンテンツ情報記憶部67、投写計画情報記憶部69及び投写コンテンツ記憶部71が設定される。各記憶部は、RAM21の所定の記憶領域や、フラッシュROM14に設定されている。プロジェクター3,5,7にも、ネットワーク上から取得した投写コンテンツを記憶するためのフラッシュメモリーを別途備えており、投写コンテンツ記憶部71は、フラッシュメモリーに設定される。
【0038】
コンテンツ取得分担決定部51は、投写対象とされた投写コンテンツのファイルサイズ、投写コンテンツのファイル名、投写コンテンツの格納場所を定めたコンテンツリスト及び各プロジェクター1,3,5,7のリソース量(装置情報)に基づき、各プロジェクター1,3,5,7がネットワーク2上から取得する投写コンテンツのコンテンツ分担情報を決定する。
【0039】
投写計画作成部53(作成部)は、各プロジェクター1,3,5,7が投写する投写コンテンツの投写順序、投写コンテンツのファイル名、投写コンテンツを取得して記憶しているプロジェクターのID、各プロジェクター1,3,5,7で投写処理を同期させるか否か、投写コンテンツの属性情報(表示方式)を定めた投写計画を作成する。
【0040】
コンテンツ取得部55は、コンテンツ取得分担決定部51が決定した分担情報に基づき、各プロジェクター1,3,5,7が分担する投写コンテンツをネットワーク2上から取得する。各プロジェクター1,3,5,7は、分担情報に含まれる投写コンテンツの格納場所にアクセスして、自己が分担する投写コンテンツをダウンロードする。
【0041】
コンテンツ配信部57は、投写計画作成部53が作成した投写計画に基づき、コンテンツ取得部55が取得した投写コンテンツを他のプロジェクター1,3,5,7へ配信する。すなわち、プロジェクター1が取得した投写コンテンツをプロジェクター3,5,7へ配信し、プロジェクター3が取得した投写コンテンツをプロジェクター1,5,7へ配信し、プロジェクター5が取得した投写コンテンツをプロジェクター1,3,7へ配信し、プロジェクター7が取得した投写コンテンツをプロジェクター1,3,5へ配信する。
【0042】
コンテンツ表示タイミング指定部59は、取得した投写コンテンツを表示する絶対時刻を指定し、他のプロジェクターに対して絶対時刻を送信する。
また、コンテンツ表示タイミング指定部59は、投写コンテンツを表示する相対時刻を指定し、他のプロジェクターに対して相対時刻を送信してもよい。相対時刻を指定する場合は、他のプロジェクターに対して、例えばPing等のテスト信号を送信し、テスト信号に対する応答時間を取得し、応答時間に基づいて相対時刻を指定する。
【0043】
属性指定部61は、取得した投写コンテンツの属性を指定し、属性情報を他のプロジェクターに送信する。属性情報としては、明るさ、コントラスト、色合い、音量、音質、音位などがある。
【0044】
プロジェクター情報記憶部63は、ブロードキャスト通信によって他のプロジェクター3,5,7から取得した装置情報を記憶する。
コンテンツリスト情報記憶部65は、投写コンテンツのファイルサイズ、投写コンテンツのファイル名、投写コンテンツの格納場所を定めたコンテンツリストを記憶する。
取得コンテンツ情報記憶部67は、コンテンツ取得分担決定部51が決定したコンテンツ分担情報を記憶する。
投写計画情報記憶部69は、投写計画作成部53が作成した投写計画を記憶する。
投写コンテンツ記憶部71は、コンテンツ分担情報に基づいてコンテンツ取得部55がネットワーク2から取得した投写コンテンツを記憶する。
【0045】
次に、各プロジェクター1,3,5,7が投写コンテンツを分担して取得し、取得した投写コンテンツを他のプロジェクターへ配信し、各プロジェクター1,3,5,7によって投写コンテンツを投写する投写制御方法について図5及び図6のフローチャートにしたがい、図7から図17を参照しつつ説明する。
【0046】
まず、プロジェクター1は、LANに接続されている他のプロジェクターをブロードキャスト通信によって探索する(ステップS11)。探索された他のプロジェクターは、プロジェクター1からのブロードキャスト通信に返答する(ステップS51)。これにより、プロジェクター1は、他のプロジェクター3,5,7のID、IPアドレス、プロジェクター3,5,7が備えるリソースの容量(投写コンテンツのファイルを記憶させるフラッシュメモリーの容量)等の装置情報を取得する。
図7にプロジェクター1の装置情報及びブロードキャスト通信によって取得した各プロジェクター3,5,7の装置情報を示す。このように、各プロジェクター1,3,5,7のリソース容量を取得することによって、何れのプロジェクターに、何れの投写コンテンツを取得させるかを決定することができる。例えば、リソース容量の大きいプロジェクターに、ファイルサイズの大きい投写コンテンツを取得させたり、各プロジェクターにできるだけ均等なファイルサイズとなるように投写コンテンツを取得させたりすることができる。
【0047】
次に、ユーザーがPC50からプロジェクター1のIPアドレスにWebブラウザでアクセスすると、図8に示す投写処理を計画するための入力画面200が表示される。ユーザーは投写コンテンツのファイル名と、投写コンテンツの格納場所を指定する。
ここでは、最初に投写するコンテンツのファイル名[タイトル.bmp]を指定し、そのファイルの格納場所としてサーバー20−1のdataフォルダ[\\192.168.234.100\data]を指定する。また、2番目に投写するコンテンツのファイル名[目次.ppt]を指定し、そのファイルの格納場所として同様にサーバー20−1のdataフォルダ[\\192.168.234.100\data]を指定する。続いて、3番目に投写するコンテンツのファイル名[説明.ppt]を指定し、そのファイルの格納場所としてプロジェクター1に接続されたUSBメモリー[\\192.168.123.101\usb]を指定する。続いて、4番目に投写するコンテンツのファイル名[動画.wmv]を指定し、そのファイルの格納場所としてコンテンツサーバー20−2のmovieフォルダ[\\192.168.234.222\movie]を指定する。そして、最後に投写するコンテンツのファイル名[資料.xls]を指定し、そのファイルの格納場所として、コンテンツサーバー20−2のdataフォルダ[\\192.168.234.222\data]を指定する。
【0048】
さらに、各投写コンテンツを投写させる際に、全てのプロジェクター1,3,5,7で投写処理を同期させるか否かをチェックボックスに入力し、投写コンテンツの属性情報を一致させるか否かをチェックボックスに入力する。ここでは、明るさ合わせを行うか否かを設定することもできる。
入力処理が完了し決定ボタン210が選択されると、PC100からプロジェクター1に投写コンテンツのファイル情報が送信される。ファイル情報を受信したプロジェクター1は、投写コンテンツの格納場所として指定された場所にアクセスし、各投写コンテンツのファイルサイズを取得する(ステップS13)。
【0049】
次に、プロジェクター1は、投写コンテンツのファイル情報と、投写コンテンツのファイルサイズからコンテンツリストを作成し、コンテンツリスト情報記憶部65に記憶する。図9に示すように、コンテンツリストは、各投写コンテンツのファイルID、ファイル名、格納場所及びファイルサイズを含んでいる。そして、図9のコンテンツリストに基づき、コンテンツ取得分担決定部51が、各プロジェクター1,3,5,7のコンテンツ分担情報を決定する(ステップS15)。
【0050】
図10はコンテンツ分担情報であり、プロジェクターIDがP00(リソース量が5MByte)であるプロジェクター1が分担する投写コンテンツは、コンテンツIDがC01(1MByte)及びC03(3MByte)の2つの投写コンテンツであることがわかる。また、2つの投写コンテンツの合計コンテンツ量は、4MByteであり、プロジェクター1のリソース量を超えないため、2つの投写コンテンツを分担することが可能であることがわかる。このように、コンテンツ取得分担決定部51は、各プロジェクターのリソース量を超えないよう投写コンテンツの分担を決定する。
【0051】
次に、プロジェクター1の投写計画作成部53は、図9に示したコンテンツリスト及び図10に示したコンテンツ分担情報に基づき、投写コンテンツの投写計画を作成する(ステップS17)。図15に示すように、投写計画は、各プロジェクター1,3,5,7が投写する各投写コンテンツの投写順序、投写コンテンツのファイルID、ファイル名、投写コンテンツの配信元となるプロジェクターのID、投写処理を同期するか否か及び属性情報が含まれている。ここで、投写コンテンツの配信元となるプロジェクターは、コンテンツ分担情報で決定された、分担する投写コンテンツを取得するプロジェクターである。
【0052】
コンテンツ取得分担決定部51は、図10のコンテンツ分担情報を決定すると、プロジェクター1,3,5,7毎のコンテンツ分担情報を作成して、該当する他のプロジェクター3,5,7へ送信する(ステップS19)。図11は、プロジェクター1のコンテンツ分担情報100であり、図12は、プロジェクター3のコンテンツ分担情報300であり、図13は、プロジェクター5のコンテンツ分担情報500であり、図14は、プロジェクター7のコンテンツ分担情報700である。
【0053】
コンテンツ分担情報100はプロジェクター1の取得コンテンツ情報記憶部67に記憶される。コンテンツ分担情報300はプロジェクター3へ送信され、プロジェクター3はコンテンツ分担情報300を受信すると取得コンテンツ情報記憶部67に記憶する(ステップS53)。コンテンツ分担情報500はプロジェクター5へ送信され、プロジェクター5は取得コンテンツ情報記憶部67に記憶する(ステップS53)。プロジェクター7のコンテンツ分担情報はプロジェクター7へ送信され、プロジェクター7はコンテンツ分担情報300を受信すると取得コンテンツ情報記憶部67に記憶する(ステップS53)。
【0054】
また、ステップS17で作成した投写計画も同様に他のプロジェクター3,5,7へ送信され(ステップS19)、他のプロジェクター3,5,7は投写計画を受信すると投写計画情報記憶部69に記憶する(ステップS53)。
【0055】
各プロジェクター1,3,5,7は、コンテンツ分担情報100,300,500,700に基づき、自己が分担する投写コンテンツを該当する格納場所から取得し(ステップS21,ステップS55)、投写コンテンツ記憶部71に記憶する。
他のプロジェクター3,5,7は、自己が担当する投写コンテンツの取得が完了すると、プロジェクター1に対して取得完了を通知する(ステップS57)。プロジェクター1は他のプロジェクター3,5,7から取得完了を待ち受け(ステップS23)、全てのプロジェクター3,5,7から取得完了を受信すると(ステップS25:Yes)、他のプロジェクター3,5,7に対して、投写処理を開始するよう通知する(ステップS27)。
【0056】
プロジェクター1は、投写計画に基づき、次に投写する投写コンテンツを準備する(ステップS29)。一方、他のプロジェクター3,5,7もプロジェクター1から投写開始を受信すると(ステップS59:Yes)、次に投写する投写コンテンツを準備する(ステップS61)。各プロジェクター1,3,5,7は、次の投写コンテンツを投写コンテンツ記憶部71に保持しているか否かを判定し、保持していると判定した場合は(ステップS31:Yes,ステップS63:Yes)、他のプロジェクターへ配信する(ステップS33,ステップS65)。
【0057】
コンテンツ分担情報100によれば、プロジェクター1はステップS21でファイル名[タイトル.bmp]のファイルを取得し保持しているはずである。また図15の投写計画によると、投写順序が1番目の投写コンテンツは、プロジェクター1(プロジェクターID:P00)が配信元となっているため、プロジェクター1は他のプロジェクター3,5,7へファイル名[タイトル.bmp]のファイルを配信する。一方、他のプロジェクター3,5,7は、ステップS63において投写コンテンツを保持していないと判定し(ステップS63:No)、プロジェクター1から投写コンテンツを受信する(ステップS67)。
【0058】
また、コンテンツコンテンツ分担情報700によれば、プロジェクター7はステップS55でファイル名[目次.ppt]のファイルを取得し保持しているはずである。また図15の投写計画によると、投写順序が2番目の投写コンテンツは、プロジェクター7(プロジェクターID:P03)が配信元となっているため、プロジェクター7は他のプロジェクター1,3,5へファイル名[タイトル.bmp]のファイルを配信する。一方、プロジェクター1はステップS31において、投写コンテンツを保持していないと判定し(ステップS31:No)、他のプロジェクター7から投写コンテンツを受信する(ステップS35)。
また、プロジェクター3,5もステップ65において投写コンテンツを保持していないと判定し(ステップS65:No)、他のプロジェクター7から投写コンテンツを受信する(ステップS67)。
【0059】
また、投写コンテンツを保持する各プロジェクター1,3,5,7のコンテンツタイミング指定部59は、投写処理を同期するよう投写計画に設定されていれば、投写コンテンツを投写する投写タイミングを指定し、他のプロジェクターに対して投写タイミングを指示する(ステップS34,ステップS66)。
【0060】
投写タイミングを指定する方法としては、例えば、投写コンテンツを投写する絶対時刻、あるいは相対時刻を指定し、他のプロジェクターに指示する方法がある。絶対時刻を指定する場合は全てのプロジェクター1,3,5,7で時刻が一致していることが必要である。投写タイミングを指定する方法については後ほど詳述する。
【0061】
さらに、投写コンテンツを保持する各プロジェクター1,3,5,7の属性指定部61は、投写計画に各投写コンテンツの明るさが設定されていれば、投写コンテンツの属性情報を指定する。そして、ステップS34,ステップS66において、上述した投写タイミングとともに、他のプロジェクターに対して投写コンテンツの属性情報を送信する。ここでは、明るさが8に設定されているので、その明るさ情報を属性情報として送信する。
【0062】
なお、属性情報は、明るさに限られず、コントラスト、色合い、音量、音質及び音位などを設定することもできる。また、属性情報の値は、各投写コンテンツ毎に変更することもできる。さらに、予め全てのプロジェクター1,3,5,7の属性情報を取得することができれば、特定のプロジェクターの属性情報に合わせることも可能である。
【0063】
このように、次に投写する投写コンテンツの準備が完了すると、投写ユニット11が投写コンテンツを投写する(ステップS37,ステップS69)。ファイル単位での投写コンテンツの投写が終了したら(ステップS39:Yes,ステップS71:Yes)、全ての投写コンテンツの投写が終了したか否かを判定する。全ての投写コンテンツの投写が終了していなければ(ステップS41:No,ステップS73:No)、ステップS29あるいはステップS61に戻り、次に投写する投写コンテンツの準備を行なう。一方、全ての投写コンテンツの投写が終了した場合は(ステップS41:Yes,ステップS73:Yes)、投写処理を終了する。
【0064】
<投写タイミングを指定する方法について>
次に、ステップS34及びステップS66において投写タイミングとして絶対時刻を指定する方法について説明する。
ステップS33及びステップS65において、自己が保持する投写コンテンツが他のプロジェクターに配信されると、コンテンツタイミング指定部59は、内蔵されているリアルタイムクロックからそのときの時刻情報を取得する。取得した時刻情報に対して1秒程度を加算した時間を、投写開始時刻として他のプロジェクターに送信する。なお、1秒を加算するのは、プロジェクター間の通信タイムラグ(応答時間)を考慮したものである。このため、1秒と限らず、Pingなどのテスト通信を実行して、最長の通信タイムラグに応じて加算秒数を決定してもよい。
【0065】
このように通信タイムラグを考慮した絶対時刻を指定することによって、投写コンテンツを受信したプロジェクターは、投写コンテンツの受信後、すぐに投写するのではなく、プロジェクター内の時計と照らし合わせて、指定された時刻に投写を開始するため、複数のプロジェクターにおいて投写処理を同期することができる。
【0066】
次に、ステップS34及びステップS66において投写タイミングとして相対時刻を指定する方法について説明する。
ステップS33及びステップS65において、自己が保持する投写コンテンツが他のプロジェクターに配信されると、コンテンツタイミング指定部59は、2秒後に投写を開始する、という内容の投写開始指示を、全てのプロジェクターに指示する。投写開始指示を受信したプロジェクターは、指示を受信した後、指定秒数後に投写を開始する。
このように相対時刻を指定する場合は、リアルタイムクロックなどの時計を搭載していないプロジェクターであっても、投写処理を同期させることができる。
【0067】
なお、0秒後ではなく2秒後に投写開始を指定するのは、プロジェクター間の通信タイムラグを考慮したものである。Pingなどのテスト通信を実行して、プロジェクター毎に通信タイムラグを算出し、何秒後に投写開始するかを決定する。
図16に示すように、例えばプロジェクター1が他のプロジェクター3,5,7に対してテスト通信を行った結果、プロジェクター3(プロジェクターID:P01)との通信タイムラグが100[msec]、プロジェクター5(プロジェクターID:P02)との通信タイムラグが1500[msec]、プロジェクター7(プロジェクターID:P03)との通信タイムラグが10[msec]であったとする。最大の通信タイムラグが、プロジェクター5との間の1500[msec]であるため、最大の通信タイムラグ−各タイムラグを相対時刻として指定する秒数とする。
【0068】
すなわち図17に示すように、プロジェクター3に指定する相対時刻を、1500[msec]−100[msec]=1400[msec]とし、プロジェクター3に指定する相対時刻を、1500[msec]−100[msec]=1400[msec]とし、プロジェクター5に指定する相対時刻を、1500[msec]−1500[msec]=0[msec]とし、プロジェクター7に指定する相対時刻を、1500[msec]−10[msec]=1490[msec]とする。
【0069】
また、最大の通信タイムラグ−各タイムラグ+αを相対時刻として指定してもよい。αをプロジェクター毎に異なる値にすることで、順番にパタパタと投写画面が切り替わっていく特殊効果を出すこともできる。このような場合は、図8に示した入力画面200に特殊効果の選択肢を設けてもよい。
【0070】
このように上記実施形態では、プロジェクター1は、ステップS15において、コンテンツ分担情報を決定し、他のプロジェクター3,5,7へ送信する。したがって、コンテンツ分担情報を受信した他のプロジェクター3,5,7は、コンテンツ分担情報に基づいて自己が分担する投写コンテンツのみをネットワーク上から取得すればよい。
【0071】
また、プロジェクター1は、ステップS17において、投写コンテンツの投写順序を定めた投写計画を作成し、他のプロジェクター3,5,7へ送信する。したがって、各プロジェクター1,3,5,7は、投写計画に定められた投写順序にしたがって投写コンテンツを投写することができる。
【0072】
さらに、各プロジェクター1,3,5,7は、自ら取得した投写コンテンツ以外に、他のプロジェクターから受信した投写コンテンツを投写することができる。つまり、各プロジェクター1,3,5,7は、投写する全ての投写コンテンツのファイルを取得し保持する必要がなく、他のプロジェクターにコンテンツを分担して取得させることができる。したがって、プロジェクター1,3,5,7にコストアップに繋がる大容量の記憶装置を新たに備えずとも、ネットワークに接続された複数のプロジェクターによる投写制御をスムースに実現することができる。
【0073】
なお、上記実施形態では、装置情報としてプロジェクターのリソース量を一例として説明したが、装置情報にはリソース量以外にデータの転送能力(データの転送速度)やCPUの処理能力等を利用してもよい。データの転送速度やCPUの処理能力に基づいて投写コンテンツの分担情報を決定すれば、転送速度が他のプロジェクターと比較して遅いプロジェクターあるいは処理能力が他のプロジェクターと比較して低いプロジェクターに、小さいファイルサイズの投写コンテンツを分担させたりすることもできる。これにより、システム全体の処理速度を極端に低下させることを防止することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,3,5,7:プロジェクター、2:ネットワーク、10:制御部、11:投写ユニット、12:拡張スロット、13:ネットワークカード、15:CPU、16:RAM、17:ROM、18:データ通信部、19:周辺機器接続部、20−1,20−2:コンテンツサーバー、21:ネットワークコントローラー、22:通信I/F、23:接続I/Fコントローラー、24:周辺装置、25:接続コネクタ、26:記憶媒体、30:OSプラットフォーム、31:ソフトウェアプラットフォーム、32:Java(登録商標)VM、33:ライブラリー、34:フレームワーク群、34a:OSGiフレームワーク、51:コンテンツ取得分担決定部、53:投写計画作成部、55:コンテンツ取得部、57:コンテンツ配信部、59:コンテンツ表示タイミング指定部、61:属性指定部、63:プロジェクター情報記憶部、65:コンテンツリスト情報記憶部、67:取得コンテンツ情報記憶部、69:投写計画情報記憶部、71:投写コンテンツ記憶部、100,300,500,700:コンテンツ分担情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の表示装置による表示処理を制御する表示制御方法であって、
前記表示装置は、
表示対象とされたコンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定するステップと、
前記各表示装置が表示する前記コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成するステップと、
前記分担情報及び前記表示計画を他の表示装置に送信するステップと、
前記分担情報に基づき、前記表示装置が分担する前記コンテンツを取得するステップと、
前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツを前記他の表示装置に送信するステップと、
前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツ及び前記他の表示装置から受信したコンテンツを表示するステップと、を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項2】
前記表示装置は、
表示対象とされたコンテンツのコンテンツリストと、各表示装置の装置情報と、に基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定するステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の表示制御方法。
【請求項3】
前記コンテンツを取得した表示装置は、前記コンテンツを表示する絶対時刻を指定し、前記他の表示装置に対して前記絶対時刻を送信するステップを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御方法。
【請求項4】
前記コンテンツを取得した表示装置は、前記コンテンツを表示する相対時刻を指定し、前記他の表示装置に対して前記相対時刻を送信するステップを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御方法。
【請求項5】
前記コンテンツを取得した表示装置は、前記他の表示装置にテスト信号を送信し、前記テスト信号に対する応答時間を取得するステップを実行し、前記応答時間に基づき前記相対時刻を指定することを特徴とする請求項4に記載の表示制御方法。
【請求項6】
前記コンテンツを取得した表示装置は、前記コンテンツの表示方式を指定し、前記表示方式を前記他の表示装置に送信するステップを実行することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の表示制御方法。
【請求項7】
ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の表示装置による表示処理を制御するための表示制御プログラムであって、
前記表示装置が備えるコンピューターに、
表示対象とされたコンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定するステップと、
前記各表示装置が表示する前記コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成するステップと、
前記分担情報及び前記表示計画を他の表示装置に送信するステップと、
前記分担情報に基づき、前記表示装置が分担する前記コンテンツを取得するステップと、
前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツを前記他の表示装置に送信するステップと、
前記表示計画に基づき、取得した前記コンテンツ及び前記他の表示装置から受信したコンテンツを表示するステップと、を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項8】
ネットワークを介して複数の表示装置と通信可能に接続された表示装置であって、
前記表示装置は、
表示対象とされたコンテンツを定めたコンテンツリストに基づき、各表示装置が取得する前記コンテンツの分担情報を決定し、前記各表示装置が表示する前記コンテンツの表示順序を定めた表示計画を作成する作成部と、
前記分担情報に基づき、前記表示装置が分担する前記コンテンツを取得する取得部と、
前記分担情報及び前記表示計画を他の表示装置に送信し、前記取得部が取得した前記コンテンツを前記表示計画に基づき前記他の表示装置に送信する送信部と、
前記表示計画に基づき、前記取得部が取得した前記コンテンツ及び前記他の表示装置から受信したコンテンツを表示する表示部と、を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2011−99881(P2011−99881A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252515(P2009−252515)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】