説明

表示用前面板、表示用前面板の製造方法、表示装置および表示装置の製造方法

【課題】意匠層のある非表示領域における外光の反射を防止し、表示装置の表示特性を損なわせないこと。
【解決手段】表示用前面板40は、表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する。表示用前面板40は、透明基板20と、透明基板20の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで設けられた反射防止膜30と、透明基板20の観察者側に設けられて非表示領域を形成する意匠層10と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板とその製造方法と、このような表示用前面板を含む表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイ(以下、LCDとも言う。)やプラズマディスプレイ(以下、PDPとも言う)などの表示部の観察者側に、表示部を保護するための表示用前面板を設けることが知られている。この表示用前面板の観察者側の最表面をガラス基板などの透明基板とする場合、透明基板/空気界面の屈折率差により反射が起こる。
【0003】
また、表示用前面板は、透明基板の表示部側に設けられ、周縁部に位置して非表示領域を形成する意匠層を備えている。この点、表示用前面板の周縁部が枠体によって支えられている場合には、この意匠層は観察者側から見えないのであるが、このような枠体がない場合や表示用前面板が枠体によって挟持されているだけで表示用前面板の観察者側の表面が枠体によって覆われていない場合には、意匠層が観察者側から見えてしまう。このため、このような場合には、透明基板での外光の反射が、意匠層のある非表示領域で目立ってしまい、外光の映り込みを発生させてしまい、本来意図する表示装置の表示特性が損なわれてしまう。
【0004】
このため、通常、表示用前面板には反射防止フィルムが設置されている(例えば、特許文献1の図6(B)(C)参照)。この反射防止フィルムは、Tac(セルローストリアセテートフレークスを主原料とし、溶剤にメチレンクロライド、可塑剤にトリフェニールフォスフェートなどを用いるもの)フィルムやPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの基材フィルムに反射防止材料を塗布したものからなっている。
【0005】
ここで、透明基板に反射防止フィルムが貼り付けられる態様について図8(a)−(g)を用いて説明する。まず、透明基板20が準備される(図8(a)参照)。次に、透明基板20の表示部側(図8(b)の上側)の周縁部に意匠層10が印刷されて形成される(図8(b)参照)。他方、このような意匠層10の設けられた透明基板20が準備されるのとは別に、ロール状になった基材フィルム35が広げられ(図8(d)参照)、当該基材フィルム35の一面に反射防止材30’がコーティングされて(図8(e)参照)、反射防止材30’が乾燥された後で露光されることで、反射防止フィルムが準備される。
【0006】
そして、意匠層10の設けられた透明基板20が180°反転されて(図8(c)参照)、透明基板20に接着剤やテープなどの接着層を介して基材フィルム35が貼り付けられる(図8(f)参照)。その後、透明基板20からはみ出た反射防止フィルムが切断される(図8(g)参照)。
【0007】
このように反射防止フィルムを用いた場合には、上記のように反射防止フィルムを透明基板20に貼る作業が発生し、反射防止フィルムを透明基板20に貼る際に異物や気泡の混入などのリスクが生じる。また、基材フィルム35によって、透過率が低下してしまう。また、このように反射防止フィルムを用いた場合には、透明基板20から面方向にはみ出た部分をカットする必要が生じ、無駄が生じてしまう。さらに、基材フィルム35にはうねりがあるため、このうねりによって見た目が不均一になってしまう。
【0008】
また、例え反射防止フィルムを透明基板20に貼っても、意匠層10のある非表示領域では外光が反射してしまい(外光の反射が目立ち)、表示装置の表示特性が損なわれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−215056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、反射防止フィルムを用いることによって生じる不都合を回避するとともに、意匠層のある非表示領域における外光の反射を防止して表示装置の表示特性を損なわせない表示用前面板とその製造方法、および、このような表示用前面板を含む表示装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による表示用前面板は、
表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板であって、
透明基板と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで設けられた反射防止膜と、
前記透明基板の観察者側に設けられて前記非表示領域を形成する意匠層と、
を備えている。
【0012】
本発明による表示用前面板において、
前記反射防止膜は、前記表示領域のみに設けられてもよい。
【0013】
本発明による表示用前面板において、
前記反射防止膜は、前記表示領域および前記非表示領域に設けられてもよい。
【0014】
本発明による表示用前面板において、
前記反射防止膜は、前記非表示領域において、前記意匠層の観察者側に設けられてもよい。
【0015】
本発明による表示用前面板において、
前記反射防止膜は、前記非表示領域において、前記意匠層の表示部側に設けられてもよい。
【0016】
本発明による表示用前面板において、
前記塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法によって塗布されてもよい。
【0017】
本発明による表示用前面板は、センサ部を含むタッチパネルセンサをさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明による表示用前面板において、
前記センサ部が前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていてもよい。
【0019】
本発明による表示用前面板において、
前記センサ部に信号処理部が接続されていてもよい。
【0020】
本発明による表示用前面板は、前記透明基板よりも表示部側に位置する偏光板をさらに備えていてもよい。
【0021】
本発明による表示用前面板は、前記透明基板よりも表示部側に位置するカラーフィルタをさらに備えていてもよい。
【0022】
本発明による表示用前面板は、前記反射防止膜の観察者側に設けられた観察者側接着層をさらに備えていてもよい。
【0023】
本発明による表示用前面板は、前記観察者側接着層の観察者側に設けられた保護層をさらに備えていてもよい。
【0024】
本発明による表示用前面板は、表示部側の最表面に位置する表示部側接着層をさらに備えていてもよい。
【0025】
本発明による表示用前面板の製造方法は、
表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板の製造方法において、
透明基板を準備する工程と、
前記透明基板の観察者側に意匠層を形成する工程と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液を塗布して、反射防止膜を形成する工程と、
を備えている。
【0026】
本発明による表示用前面板の製造方法において、
前記反射防止膜は、前記表示領域のみに形成されてもよい。
【0027】
本発明による表示用前面板の製造方法において、
前記意匠層を形成した後で、前記反射防止膜を前記表示領域および前記非表示領域に形成してもよい。
【0028】
本発明による表示用前面板の製造方法において、
前記反射防止膜を形成した後で、前記意匠層を形成してもよい。
【0029】
本発明による表示用前面板の製造方法において、
前記塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法によって塗布されてもよい。
【0030】
本発明による表示装置は、
表示部と、
前記表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板と、を備え、
表示用前面板は、
透明基板と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで設けられた反射防止膜と、
前記透明基板の観察者側に設けられて前記非表示領域を形成する意匠層と、
を有している。
【0031】
本発明による表示装置において、
前記表示部が、センサ部を含むタッチパネルセンサを有していてもよい。
【0032】
本発明による表示装置において、
前記表示部が、カラーフィルタをさらに有していてもよい。
【0033】
本発明による表示装置において、
前記タッチパネルセンサが、前記カラーフィルタと一体に形成されていてもよい。
【0034】
本発明による表示装置において、
前記表示用前面板が、センサ部を含むタッチパネルセンサを有していてもよい。
【0035】
本発明による表示装置において、
前記センサ部が前記表示用前面板の前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていてもよい。
【0036】
本発明による表示装置の製造方法は、
表示部を準備する工程と、
表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板を製造する工程と、
前記表示用前面板を前記表示部の観察者側に配置して取り付ける工程と、を備え、
前記表示用前面板を製造する工程が、
透明基板を準備する工程と、
前記透明基板の観察者側に意匠層を形成する工程と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液を塗布して、反射防止膜を形成する工程と、
を有している。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで反射防止膜が設けられる。このため、反射防止フィルムを用いることによって生じる不都合を回避することができる。
【0038】
また、本発明によれば、透明基板の観察者側に非表示領域を形成する意匠層が設けられている。このため、意匠層のある非表示領域において透明基板で外光が反射することを防止することができ、外光が映り込むことを防止することができ、ひいては、表示装置の表示特性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表示装置の構成を示す側方断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による表示用前面板の製造方法を示した側方断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態による表示装置の構成を示す側方断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態による表示用前面板の製造方法を示した側方断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態による表示装置の構成を示す側方断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態による表示用前面板の製造方法を示した側方断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態と第3の実施の形態を組み合わせた表示装置の構成を示す側方断面図。
【図8】反射防止フィルムを用いた表示用前面板の製造方法を示した側方断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態による表示装置を示す側方断面図。
【図10】本発明の第5の実施の形態による表示用前面板を示す側方断面図。
【図11】図10に示す表示用前面板がさらに保護層を含む例を示す側方断面図。
【図12】本発明の第5の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す側方断面図。
【図13】本発明の第6の実施の形態による表示用前面板を示す側方断面図。
【図14】本発明の第7の実施の形態による表示装置を示す側方断面図。
【図15】図14に示す表示装置がさらに接着層を含む例を示す側方断面図。
【図16A】タッチパネルセンサの一例を示す平面図。
【図16B】図16AのタッチパネルセンサをXVIB−XVIB方向から見た断面図。
【図16C】図16AのタッチパネルセンサをXVIC−XVIC方向から見た断面図。
【図17】図14に示すタッチパネルセンサが信号処理部を有する例を示す側方断面図。
【図18】図15に示すタッチパネルセンサが信号処理部を有する例を示す側方断面図。
【図19】本発明の第8の実施の形態による表示装置を示す側方断面図。
【図20】表示部のLCDパネルを示す側方断面図。
【図21】図19に示す表示装置がさらに光学補償フィルムを含む例を示す側方断面図。
【図22】表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図23】表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図24】表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図25】図19に示す表示装置の変形例を示す断面図。
【図26】図21に示す表示装置の変形例を示す断面図。
【図27】図22に示す中間製品の変形例を示す断面図。
【図28】図23に示す中間製品の変形例を示す断面図。
【図29】図24に示す中間製品の変形例を示す断面図。
【図30】タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの一例を示す側方断面図。
【図31】図30に示すタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを含む表示装置を示す側方断面図。
【図32】本発明の第9の実施の形態による表示装置を示す側方断面図。
【図33】表示装置を形成するために用いられる中間製品の一例を示す図。
【図34】本発明の第10の実施の形態による表示用前面板を示す側方断面図。
【図35】タッチパネルセンサを有する表示用前面板を備えた表示装置の一例を示す側方断面図。
【図36】本発明の第10の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す側方断面図。
【図37】本発明の第10の実施の形態の変形例による表示用前面板を示す側方断面図。
【図38】図34に示す表示用前面板がさらに偏光板を有する例を示す側方断面図。
【図39】図38に示す表示用前面板がさらにカラーフィルタを有する例を示す側方断面図。
【図40】本発明の第11の実施の形態において、センサ部と一体に形成された表示用前面板を示す側方断面図。
【図41】図40に示す表示用前面板がさらに接着層を有する例を示す側方断面図。
【図42】図40に示す表示用前面板がさらに信号処理部を有する例を示す側方断面図。
【図43】図41に示す表示用前面板がさらに信号処理部を有する例を示す側方断面図。
【図44】図42に示す表示用前面板がさらに偏光板を有する例を示す側方断面図。
【図45】図44に示す表示用前面板がさらにカラーフィルタを有する例を示す側方断面図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る表示用前面板、表示装置、表示用前面板の製造方法および表示装置の製造方法の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1および図2は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0041】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置は、LCD、PDP、有機ELなどの表示部50と、表示部50に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板40と、を備えている。なお、本実施の形態の表示装置は、表示用前面板40の周縁部を支える枠体がないものや、表示用前面板40が枠体によって挟持されているだけで表示用前面板40の観察者側の表面が枠体によって覆われていないものを想定している。
【0042】
上記の表示用前面板40は、表示部50を保護するためのものであり、0.5mm以上の厚みからなっている。また、表示用前面板40は、面方向に沿って表示領域と非表示領域とを有している。さらに、表示用前面板40は、略矩形状からなりガラス基板などの透明基板20と、透明基板20の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで設けられた反射防止膜30と、透明基板20の観察者側(図1の上方側)に設けられて透明基板20の周縁部に位置して非表示領域を形成する意匠層10と、を備えている。なお、本実施の形態では、反射防止膜30は表示領域のみに設けられている。
【0043】
このうち、反射防止膜30は低屈折率層のみからなる単層構成でもよいが、多層構造からなってもよい。そして、多層構造からなる場合には、一般に、最表面に適切な膜厚の低屈折率層を形成し、さらに高屈折率層などの層を低屈折率層の下層に設けることで作製することができ、より具体的には、透明基板20側から順番に、高/低屈折率層、中/高/低屈折率層、ハードコート層/中/高/低屈折率層などからなる。また、反射防止膜30をドライ法で形成すると、コストが高くなり生産性が低くなることから、本実施の形態の反射防止膜30は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法で形成される。なお、材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を導入したり、密度を下げたり(空隙を導入したり)することで実現することができる。なお、反射防止膜30に用いられる材料などについては、特開2005−43749号に開示されており、当該特開2005−43749号に開示されている材料を用いることができる。
【0044】
また、意匠層10は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷などの公知の印刷法、または手描きなどによってインキによって形成することができる。また、全面ベタ柄の場合は、グラビアコート、ロールコート、スプレーコートなどの公知の塗工法によって塗料で形成することもできる。使用するインキまたは塗料としては、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂などの樹脂を、一種又は二種以上混合したものに着色剤、適宜その他添加剤を添加した物を用いることができる。なお、より詳細については、特開2005−43749号に開示されており、当該特開2005−43749号に開示されている着色剤などを用いることができる。
【0045】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。
【0046】
最初に、本実施の形態による表示用前面板40および表示装置の製造方法について説明する。
【0047】
まず、透明基板20が準備される(図2(a)参照)。
【0048】
次に、透明基板20の観察者側(図2(b)の上方側)の周縁部に意匠層10が印刷されて形成される(図2(b)参照)。
【0049】
次に、透明基板20の観察者側(図2(c)の上方側)に反射防止材料を含む塗布液が直接塗布されて、表示領域のみに反射防止膜30が形成される(図2(c)参照)。このとき、塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法で塗布される。なお、表示領域のみに反射防止膜30を形成する方法としては、非表示領域にマスクを施して表示領域のみ(本実施の形態では透明基板20のみ)に塗布液を塗布してもよいし、塗布液を非表示領域と表示領域の両方(本実施の形態では透明基板20と意匠層10の両方)に塗布液を塗布した後で非表示領域(本実施の形態では意匠層10)に形成された反射防止膜30を除去してもよい。なお、反射防止膜30を除去する方法としては、ローラ、粘着膜を有するテープ、スキージ、ワイプなどによって除去することが考えられる。また、このように反射防止膜30を除去する際には、より容易に反射防止膜30を除去するために、溶剤、アルカリ性の薬液、酸性の薬液、水、アセトンなどを用いることができる。
【0050】
上記のように表示領域のみに反射防止膜30が形成されると、反射防止膜30が乾燥された後で露光されたり、乾燥された後で加熱されたり、乾燥された後で露光および加熱されたり、乾燥のみされたりすることで、反射防止膜30が硬化される。(なお一般に、反射防止材料に紫外線硬化樹脂が含まれている場合には反射防止膜30を露光することで硬化させ、反射防止材料に熱硬化樹脂が含まれている場合には反射防止膜30を加熱することで硬化させることとなる。)以上の工程によって、表示用前面板40が製造される。
【0051】
そして、このように製造された表示用前面板40を表示部50の観察者側に配置して取り付けることで表示装置が製造される(図1参照)。
【0052】
本実施の形態によれば、透明基板20の観察者側に非表示領域を形成する意匠層10が設けられている。このため、意匠層10のある非表示領域において透明基板20で外光が反射することを防止することができ、外光が映り込むことを防止することができる。このため、表示装置が本来意図している表示特性を維持することができる。
【0053】
すなわち、従来技術によれば、反射防止フィルムが透明基板20に貼られていることから、反射防止フィルムを通過した外光の透明基板20での反射がどうしても発生してしまう。そして、表示領域に入り込んだ外光は表示部50からの発光によって打ち消されるのに対して、意匠層10のある非表示領域での外光の反射が目立ってしまい、表示装置が本来意図している表示特性が損なわれてしまうこととなる。
【0054】
これに対して、本実施の形態によれば、意匠層10が最表面に位置しており、意匠層10のある非表示領域において透明基板20に外光が入り込むことを防止することができる。そして、意匠層10は一般にインキによって形成されるため外光の反射は起こりにくく、また例え意匠層10で外光が反射しても表示装置の表示特性に悪影響を及ぼさないので、表示装置が本来意図している表示特性を維持することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、透明基板20に反射防止材料を含む塗布液が直接塗布されるので、反射防止フィルムを用いた際に必要となる反射防止フィルムをカットしたり反射防止フィルムを透明基板20に貼り付けたりする作業が不要となるので、工程数を削減することができる。また、反射防止フィルムをカットする作業自体がないため、反射防止フィルムをカットすることで生じる無駄を無くすことができる。また、反射防止フィルムの基材フィルム35にはうねりがあるが、本実施の形態では、塗布液を直接塗布して基材フィルム35を用いないので、基材フィルム35のうねりによって見た目が不均一になることを防止することができる。さらに、反射防止フィルムを透明基板20に貼り付ける作業自体がないため、反射防止フィルムを透明基板20に貼り付ける際に生じる異物や気泡の混入などのリスクを無くすことができ、歩留まりを向上させることができる。
【0056】
第2の実施の形態
次に、図3および図4により、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0057】
第1の実施の形態は、表示領域のみに反射防止膜30が形成される態様であったが、本実施の形態では、反射防止膜30は、表示領域および非表示領域の両方に設けられ、かつ、非表示領域においては意匠層10の観察者側(図3の上方側)に設けられる態様になっている。第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0058】
図3および図4に示す第2の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
最初に、本実施の形態による表示用前面板40および表示装置の製造方法について説明する。なお、第1の実施の形態と重複する部分については適宜省略しつつ説明する。
【0060】
まず、透明基板20が準備される(図4(a)参照)。
【0061】
次に、透明基板20の観察者側(図4(b)の上方側)の周縁部に意匠層10が印刷されて形成される(図4(b)参照)。
【0062】
次に、透明基板20と意匠層10の観察者側(図4(c)の上方側)に反射防止材料を含む塗布液が直接塗布されて、表示領域と非表示領域の両方(本実施の形態では透明基板20と意匠層10の両方)に反射防止膜30が形成される(図4(c)参照)。このとき、塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法で塗布される。
【0063】
上記のように表示領域と非表示領域の両方に反射防止膜30が形成されると、反射防止膜30が乾燥された後で露光されたり、乾燥された後で加熱されたり、乾燥された後で露光および加熱されたり、乾燥のみされたりすることで、反射防止膜30が硬化される。以上の工程によって、表示用前面板40が製造される。
【0064】
そして、このように製造された表示用前面板40を表示部50の観察者側に配置して取り付けることで表示装置が製造される(図3参照)。
【0065】
本実施の形態によれば、透明基板20の観察者側に非表示領域を形成する意匠層10が設けられている。このため、意匠層10のある非表示領域において透明基板20で外光が反射することを防止することができ、外光が映り込むことを防止することができる。このため、表示装置が本来意図している表示特性を維持することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、反射防止膜30は意匠層10の観察者側(図3の上方側)にも設けられている。このため、そもそも外光の反射の起こりにくい意匠層10での反射をより確実に防止することができ、表示装置が本来意図している表示特性をより確実に維持することができる。
【0067】
また、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、反射防止フィルムを用いた際に必要となる反射防止フィルムをカットしたり反射防止フィルムを透明基板20に貼り付けたりする作業が不要となるので、工程数を削減することができる。また、反射防止フィルムをカットすることで生じる無駄を無くすことができる。また、基材フィルム35のうねりによって見た目が不均一になることを防止することができる。さらに、反射防止フィルムを透明基板20に貼り付ける際に生じる異物や気泡の混入などのリスクを無くすことができ、歩留まりを向上させることができる。
【0068】
第3の実施の形態
次に、図5および図6により、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0069】
第2の実施の形態は、反射防止膜30は、表示領域および非表示領域の両方に設けられ、かつ、非表示領域においては意匠層10の観察者側(図3の上方側)に設けられる態様になっていたが、本実施の形態では、反射防止膜30は、表示領域および非表示領域の両方に設けられ、かつ、非表示領域においては意匠層10の表示部側(図5の下方側)に設けられる態様になっている。第3の実施の形態において、その他の構成は、第2の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0070】
図5および図6に示す第3の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態および図3および図4に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
最初に、本実施の形態による表示用前面板40および表示装置の製造方法について説明する。なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態と重複する部分については適宜省略しつつ説明する。
【0072】
まず、透明基板20が準備される(図6(a)参照)。
【0073】
次に、透明基板20の観察者側(図6(b)の上方側)に反射防止材料を含む塗布液が直接塗布されて、透明基板20に反射防止膜30が形成される(図6(b)参照)。このとき、塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法で塗布される。次に、反射防止膜30が乾燥された後で露光されたり、乾燥された後で加熱されたり、乾燥された後で露光および加熱されたり、乾燥のみされたりすることで、反射防止膜30が硬化される。
【0074】
次に、透明基板20の観察者側(図6(c)の上方側)の周縁部に意匠層10が印刷されて形成される(図6(c)参照)。以上の工程によって、表示用前面板40が製造される。
【0075】
そして、このように製造された表示用前面板40を表示部50の観察者側に配置して取り付けることで表示装置が製造される(図5参照)。
【0076】
本実施の形態によれば、透明基板20の観察者側に非表示領域を形成する意匠層10が設けられている。このため、意匠層10のある非表示領域において透明基板20で外光が反射することを防止することができ、外光が映り込むことを防止することができる。このため、表示装置が本来意図している表示特性を維持することができる。
【0077】
また、本実施の形態でも、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様、反射防止フィルムを用いた際に必要となる反射防止フィルムをカットしたり反射防止フィルムを透明基板20に貼り付けたりする作業が不要となるので、工程数を削減することができる。また、反射防止フィルムをカットすることで生じる無駄を無くすことができる。また、基材フィルム35のうねりによって見た目が不均一になることを防止することができる。さらに、反射防止フィルムを透明基板20に貼り付ける際に生じる異物や気泡の混入などのリスクを無くすことができ、歩留まりを向上させることができる。
【0078】
なお、上記の第2の実施の形態と第3の実施の形態を組み合わせてもよく、反射防止膜30は、表示領域および非表示領域の両方に設けられ、かつ、非表示領域においては意匠層10の観察者側と表示部側の両方に設けられる態様からなってもよい。この場合には、例えば図7に示すように、まず、透明基板20の観察者側に反射防止膜30aが設けられ、次に、反射防止膜30aの周縁部に意匠層10が設けられ、その後、意匠層10と透明基板20の観察者側に反射防止膜30bが設けられることで、表示用前面板40が製造されてもよい。
【0079】
ところで、上述した各実施の形態では従来のように反射防止フィルムを用いていないので、万が一、透明基板20が破損した場合に透明基板20の破片が飛散する可能性がある。このため、透明基板20として例えば強化ガラスを用いたり、表示用前面版を樹脂によってLCD、PDP、有機ELなどの表示部50に貼り付けたりすることが好ましい。このように強化ガラスを用いたり樹脂を用いたりすることによって、万が一、透明基板20が破損しても透明基板20の破片が飛散することを防止することができるためである。
【0080】
また、上述した各実施の形態において、反射防止膜30が、低屈折率層のみからなる単層構成となっている例、および、反射防止膜30が、最表面に位置する低屈折率層と、低屈折率層の下層に設けられた高屈折率層などの層とからなる多層構成となっている例を示した。なお、単層構成および多層構成いずれの場合においても、反射防止膜30の観察者側の最表面の層は低屈折率層となっている。この低屈折率層の光屈折率は、反射防止膜30における外光の反射を少なくするため、好ましくは、透明基板20の光屈折率よりも小さくなっている。例えば、透明基板20が、1.50の光屈折率を有するガラスからなっている場合、反射防止膜30の低屈折率層の光屈折率は、1.50よりも小さくなっており、好ましくは1.35よりも小さくなっている。これによって、反射防止膜30における外光の反射を低減することができる。また光の干渉が生じるのを防ぐため、反射防止膜30の低屈折率層の厚みは、可視光の波長の1/4よりもほぼ小さくなっている。例えば、反射防止膜30の低屈折率層の厚みは、80〜150nmの範囲内となっている。これによって、反射防止膜30の低屈折率層において光の干渉が生じるのを防ぐことができる。
【0081】
なお本明細書において、光屈折率は、波長550nmの光に対する屈折率となっている。屈折率の測定方法は特に限定されないが、分光反射スペクトルから算出する方法、エリプソメーターを用いて測定する方法及びアッベ法を挙げることができる。
エリプソメーターとしてはジョバンーイーボン社製UVSELが挙げられる。
なお、本件の屈折率はテクノ・シナジー社製DF1030Rにて測定した値である。
【0082】
第4の実施の形態
次に図9を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。ここで図9は、本発明の第4の実施の形態による表示装置を示す断面図である。
【0083】
図9に示す第4の実施の形態は、表示用前面板が、透明基板の表示部側に設けられた追加反射防止膜をさらに備えた点が異なるのみであり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。図9に示す第4の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0084】
図9に示すように、表示用前面板40は、透明基板20の観察者側に設けられた反射防止膜30および意匠層10と、透明基板20の表示部側に設けられた追加反射防止膜35と、を備えている。追加反射防止膜35は、反射防止膜30の場合と同様に、透明基板20の表示部側に反射防止材料を含む塗布液を塗布することにより形成されている。このような追加反射防止膜35を透明基板20の表示部側に設けることにより、表示部50からの光が表示用前面板40の表示部側で反射するのを防ぐことができる。
なお、透明基板20の表示部側に反射防止材料を含む塗布液を塗布する方法は、上述の反射防止膜30の場合と略同一である。すなわち、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法によって、透明基板20表示部側に反射防止材料を含む塗布液を塗布することができる。また、透明基板20の表示部側に塗布された反射防止材料を含む塗布液からなる追加反射防止膜35を硬化する方法もまた、上述の反射防止膜30の場合と略同一である。すなわち、追加反射防止膜35が乾燥された後で露光されたり、乾燥された後で加熱されたり、乾燥された後で露光および加熱されたり、乾燥のみされたりすることで、追加反射防止膜35が硬化される。(なお一般に、反射防止材料に紫外線硬化樹脂が含まれている場合には追加反射防止膜35を露光することで硬化させ、反射防止材料に熱硬化樹脂が含まれている場合には追加反射防止膜35を加熱することで硬化させることとなる。)
【0085】
追加反射防止膜35は、図9に示すように、追加低屈折率層36のみからなる単層構成となっていてもよく、若しくは図示はしないが、表示部側の最表面に位置する追加低屈折率層36と、追加低屈折率層36と透明基板20との間に設けられた高屈折率層などの層とからなる多層構成となっていてもよい。なお、単層構成および多層構成いずれの場合においても、追加反射防止膜35の表示部側の最表面の層は追加低屈折率層36となっている。追加反射防止膜35の追加低屈折率層36の光屈折率は、追加反射防止膜35における光の反射を少なくするため、好ましくは、透明基板20の光屈折率よりも小さくなっている。例えば、透明基板20が、1.50の光屈折率を有するガラスからなっている場合、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36の光屈折率は、1.50よりも小さくなっており、好ましくは1.35よりも小さくなっている。例えば、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36における光屈折率は、反射防止膜30の低屈折率層31における光屈折率と略同一になっている。これによって、表示部50からの光が表示用前面板40の表示部側で反射するのをより確実に防ぐことができる。また光の干渉が生じるのを防ぐため、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36の厚みは、可視光の波長の1/4よりもほぼ小さくなっている。例えば、追加低屈折率層36の厚みは、80〜150nmの範囲内となっている。これによって、追加低屈折率層36において光の干渉が生じるのを防ぐことができる。
【0086】
変形例
なお本実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態による表示用前面板40にさらに追加反射防止膜35が設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図3および図4に示す第2の実施の形態による表示用前面板40や、図5および図6に示す第3の実施の形態による表示用前面板40が、追加反射防止膜35をさらに備えていてもよい。また、図7に示す表示用前面板40がさらに追加反射防止膜35を備えていてもよい。
【0087】
また本実施の形態において、追加反射防止膜35が、透明基板20の表示部側の表示領域および非表示領域の両方に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、追加反射防止膜35が、透明基板20の表示部側の表示領域のみに設けられていてもよい。
【0088】
第5の実施の形態
次に図10乃至図12を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。図10乃至図12に示す本実施の形態は、表示用前面板が接着層をさらに有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。図10乃至図12に示す第5の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0089】
表示用前面板
本実施の形態による表示用前面板40は、一の製造業者または製造場所において製造された表示用前面板40が、その他の製造業者または製造場所において表示部や後述するタッチパネルセンサまたは保護層などと組み合わされるという場合を想定して構成されたものである。
【0090】
図10に示すように、表示用前面板40は、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた反射防止膜30および意匠層10と、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層(観察者側接着層)100と、を備えている。このうち接着層100は、表示領域に設けられた反射防止膜30を覆うとともに、非表示領域に設けられた意匠層10をも覆うよう設けられている。すなわち接着層100は、表示用前面板40の観察者側の最表面の全域を占めるよう設けられている。
【0091】
また反射防止膜30は、観察者側の最表面に位置する低屈折率層31を有している。なお「観察者側の最表面に位置する低屈折率層31」という文言は、反射防止膜30が複数の層から構成される場合に、それら各層のうち観察者側の最表面に位置する層が低屈折率層31からなっていることを意味している。すなわち「観察者側の最表面に位置する低屈折率層31」という文言は、表示用前面板40において、反射防止膜30の観察者側にさらに接着層100などのその他の層が設けられる形態を除外するものではない。
【0092】
(接着層)
透明基板20の観察者側に設けられた接着層100は、保護層など表示用前面板40の観察者側に配置され得る部材に表示用前面板40を密着させるために設けられる層である。表示用前面板40がこのような接着層100を予め備えることにより、表示用前面板40と保護層などとを組み合わせる作業を容易化することができる。
【0093】
接着層100を構成する材料は、表示用前面板40と組み合わされる部材や表示用前面板40の使用環境に応じて適宜選択される。例えば、所望の可塑度を有するポリオルガノシロキサン組成物(例えば特開2004−212521号公報に記載のポリオルガノシロキサン組成物)からなる粘着剤(シリコーン系粘着剤)や、アクリル系粘着剤(例えば特開2002−348546号公報に記載のアクリル系粘着剤)からなる透明粘着シートが、接着層100として用いられる。このような透明粘着シートは、例えば、アクリル酸エステル共重合体をエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系あるいは金属化合物系の架橋剤で架橋させたものや紫外線硬化型のアクリル系粘着剤などをシート状に加工することにより得られる。
【0094】
接着層100の厚みは、用いられる材料、表示用前面板40と組み合わされる部材や表示用前面板40の使用環境などに応じて適宜選択されるが、例えば1〜200μmの範囲内となっている。
【0095】
なお図示はしないが、表示用前面板40の接着層100がPETなどからなるフィルムによって覆われていてもよい。これによって、接着層100の粘着力が劣化するのを防ぐことができ、また、表示用前面板40の取り回し性を向上させることができる。
【0096】
(変形例)
なお図11に示すように、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に、さらに保護層105が予め設けられていてもよい。この保護層105は、仮に表示用前面板40の透明基板20が破損してしまった場合であっても、透明基板20の破片が飛散することを防ぐことなどを意図して設けられる層である。このような保護層105の材料として、例えば光硬化樹脂タイプ、熱硬化樹脂タイプ、2液混合反応液タイプ、両面粘着シールタイプの材料等が挙げられる。このうち光硬化樹脂タイプにおいては、ラジカル系硬化系やカチオン系硬化系の材料が用いられる。ラジカル系硬化系の材料には、アクリル系、エン/チオール系、ビニルエーテル系の材料などが含まれ、カチオン系硬化系の材料には、エポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系の材料などが含まれる。また、熱硬化樹脂タイプの材料には、エポキシ系、フェノール系、ポリエステル系の材料などが含まれる。
【0097】
なお図10および図11において、接着層100が表示領域および非表示領域の両方に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、接着層100が非表示領域にのみ設けられていてもよい。このように接着層100が非表示領域にのみ設けられている場合であっても、飛散防止フィルムなどからなる保護層105を接着層100の観察者側に設けることにより、透明基板20が破損してしまった場合に透明基板20の破片が飛散することを防ぐことができる。
【0098】
(接着層が表示部側に設けられる例)
また上述の図10および図11に示す形態において、接着層100が表示用前面板40の観察者側に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、接着層100が表示用前面板40の表示部側に位置していてもよい。例えば図12に示すように、表示用前面板40が、表示部側の最表面に位置する接着層(表示部側接着層)100を有していてもよい。
【0099】
表示用前面板40において、表示部側の最表面に接着層100を設けることの目的として、主に以下の2つを挙げることができる。
1つは、接着層100が表示用前面板40の観察者側に設けられる場合と同様に、飛散防止フィルムからなる保護層105などと組み合わせることによって、透明基板20が破損してしまった場合に透明基板20の破片が飛散することを防ぐという目的である。この場合、接着層100は、図12に示すように表示領域および非表示領域の両方に設けられていてもよく、若しくは、図示はしないが、非表示領域にのみ設けられていてもよい。
もう1つは、接着層100を設けることにより、表示部や後述するタッチパネルセンサなど表示用前面板40の表示部側に設けられる部材との間にエアギャップが生じるのを防ぐという目的である。この場合、接着層100は、少なくとも表示領域を覆うよう設けられる。また接着層100の光屈折率は、接着層100と透明基板20との界面で光の反射が生じるのを防ぐのに適切な値、例えば透明基板20の光屈折率と略同一の値に設定される。これによって、表示部50からの光が表示用前面板40の表示部側で反射されるのを抑えることができ、このことにより、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0100】
(その他の変形例)
また上述の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態による表示用前面板40にさらに接着層100が設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図3および図4に示す第2の実施の形態による表示用前面板40や、図5および図6に示す第3の実施の形態による表示用前面板40が、接着層100や保護層105をさらに備えていてもよい。また、図7に示す表示用前面板40がさらに接着層100や保護層105を備えていてもよい。また、上述の第4の実施の形態の場合と同様に、表示用前面板40が追加反射防止膜35をさらに備えていてもよい。この場合、追加反射防止膜35の表示部側に接着層100が設けられていてもよい。
【0101】
第6の実施の形態
次に図13を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。図13に示す本実施の形態は、追加反射防止膜の追加低屈折率層の高硬度化が図られている点が異なるのみであり、他の構成は、図9に示す第4の実施の形態と略同一である。図13に示す第6の実施の形態において、図9に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0102】
表示用前面板
図13に示すように、表示用前面板40は、透明基板20の観察者側に設けられた反射防止膜30および意匠層10と、透明基板20の表示部側に設けられた追加反射防止膜35と、を備えている。このうち反射防止膜30は、反射防止膜30の観察者側の最表面に位置する低屈折率層31を有しており、また追加反射防止膜35は、追加反射防止膜35の表示部側の最表面に位置する追加低屈折率層36Aを有している。本実施の形態は、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36Aの耐擦傷性が、反射防止膜30の低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くなっていることを特徴としている。このように、低屈折率層31の耐擦傷性と追加低屈折率層36Aの耐擦傷性に差を設けることにより、後述するように、表示用前面板40の製造工程や表示用前面板40が他の部材と組み合わされる工程において低屈折率層31および追加低屈折率層36Aが損傷することを防ぐことが可能となる。
【0103】
一般に、透明基板20の両側に層が形成される場合、はじめに透明基板20を準備し、次に透明基板20の上側(一側)に第1の層を形成する。その後、第1の層が形成された透明基板20を上下反転させ、次に、透明基板20の上側(他側)に第2の層を形成する。従って、第2の層が形成される際、第1の層は透明基板20の下側に位置していることになる。このため、第2の層が形成される間、第1の層は、搬送台などの製造設備と接触することになり、この間に第1の層が損傷してしまうことが考えられる。
【0104】
一方、本実施の形態によれば、透明基板20に反射防止膜30、意匠層10および追加反射防止膜35を形成する場合、はじめに透明基板20の上側(表示部側)に追加反射防止膜35を形成し、次に透明基板20を上下反転させ、その後に透明基板20の上側(観察者側)に意匠層10および反射防止膜30を形成する。ここで上述のように、追加反射防止膜35の追加低屈折率層36Aの耐擦傷性は、反射防止膜30の低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くなっている。従って、意匠層10および反射防止膜30が形成される間に追加反射防止膜35の追加低屈折率層36Aが搬送台などの製造設備と接触するとしても、追加低屈折率層36が損傷するのを防ぐことができる。
【0105】
(追加低屈折率層)
次にこのような追加低屈折率層36Aを構成するための具体的な方法について説明する。一般に、層を構成する材料の光屈折率を低くすることと、層を構成する材料の耐擦傷性を高くすることはトレードオフの関係にある。従って一般に、追加低屈折率層36Aの光屈折率を低屈折率層31の光屈折率よりも高くすることにより、追加低屈折率層36Aの耐擦傷性を低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くすることが可能となる。例えば、低屈折率層31の光屈折率が透明基板20の光屈折率よりも十分に小さい値、例えば1.35となっている場合、追加低屈折率層36Aの光屈折率は、低屈折率層31の光屈折率よりも大きくかつ透明基板20の光屈折率よりも小さい値、例えば1.45に設定される。これによって、追加低屈折率層36Aに、低屈折率層31よりも高い耐擦傷性を付与することができる。このような追加低屈折率層36Aは、好ましくは、600gの荷重をかけたスチールウール(No.0000)を追加低屈折率層36A上で掃引させる(往復10回、ストローク100mm)場合であっても掃引後の追加低屈折率層36Aに擦傷痕が視認されない程度の耐擦傷性を有している。
【0106】
また一般に、光屈折率と反射率との間には、光屈折率が小さいほど反射率が低くなるという対応関係があることが知られている。従って、追加低屈折率層36Aの反射率が低屈折率層31の反射率よりも高くなるよう追加低屈折率層36Aを構成することにより、追加低屈折率層36Aの耐擦傷性を低屈折率層31の耐擦傷性よりも高くすることもできる。例えば、低屈折率層31の反射率が1%以下であり、追加低屈折率層36Aの反射率が1〜2%の範囲内となるよう、低屈折率層31および追加低屈折率層36Aが構成されていてもよい。
【0107】
なお本実施の形態およびその変形例において、追加反射防止膜35が追加低屈折率層36Aのみからなる形態を示した。しかしながら、これに限られることはなく、追加反射防止膜35が高屈折率層をさらに有していてもよい。同様に、反射防止膜30が高屈折率層をさらに有していてもよい。これによって、反射防止膜30および追加反射防止膜35が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
また上述の第5の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側または追加反射防止膜35の表示部側に接着層100が設けられていてもよい。これによって、表示用前面板40とその他の部材とを組み合わせる作業を容易化することや、その他の部材との間にエアギャップが生じるのを防ぐことができる。また上述の第5の実施の形態の変形例の場合と同様に、接着層100が、飛散防止フィルムからなる保護層105などと組み合わされていてもよい。これによって、透明基板20が破損してしまった場合に透明基板20の破片が飛散することを防ぐことができる。
【0108】
第7の実施の形態
次に図14乃至図18を参照して、本発明の第7の実施の形態について説明する。図14乃至図18に示す本実施の形態は、表示装置の表示部がタッチパネルセンサを有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。図14乃至図18に示す第7の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0109】
表示装置
図14に示すように、表示装置は、表示部50と、表示部50に対して観察者側に配置された表示用前面板40と、を備えている。表示用前面板40としては、上述の第1乃至第6の実施の形態において示される表示用前面板40のいずれかが適宜用いられる。また表示部50は、図14に示すように、映像を表示するための光を観察者側に放射する表示ユニット151と、表示ユニット151の観察者側に設けられ、表示装置が観察者側からタッチされる際のタッチ箇所を検出するタッチパネルセンサ110と、を有している。表示ユニット151としては、上述の各実施の形態の場合と同様に、LCD、PDP、有機EL、無機ELまたは電界放射型などの様々なタイプのものが用いられ得る。
【0110】
なお、表示用前面板40と表示部50とを強固に密着させることが望まれる場合、好ましくは、表示部側の最表面に位置する接着層100を有する表示用前面板40が用いられる。これによって、表示用前面板40と表示部50とを強固に密着させ、このことにより、表示用前面板40と表示部50との間にエアギャップが生じるのを防ぐことができる。
【0111】
若しくは、図15に示すように、表示部50が、タッチパネルセンサ110の観察者側に設けられた接着層101をさらに有していてもよい。表示部50がこのような接着層101を予め有することにより、表示部50と表示用前面板40とを強固に密着させることができ、かつ、表示部50と表示用前面板40とを組み合わせる作業を容易化することができる。
【0112】
タッチパネルセンサ
次に、表示部50のタッチパネルセンサ110について詳細に説明する。表示部50に包含されるタッチパネルセンサ110のタイプが特に限られることはなく、様々なタイプのタッチパネルセンサ110が適宜用いられ得る。例えば、被検出体からの圧力に基づいてタッチ箇所を検出する抵抗膜方式のタッチパネルセンサや、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のタッチパネルセンサが用いられ得る。
【0113】
その他にも、光センサ方式、マトリクス・スイッチ方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式など、様々な方式のタッチパネルセンサが用いられ得る。このうち光センサ方式のタッチパネルセンサは、光を受光して光電変換する光センサと、光センサよりも観察者側に光センサと対向するよう設けられ、特定波長域の光を選択的に透過させる選択透過層と、を有している。この場合、光センサは主として、選択透過層を透過した特定波長域の光を受光する。そして、指などの被検出体からの反射光を光センサが検出することにより、被検出体が表示装置に観察者側からタッチしたことが検知される。なお、このような光センサ方式のタッチパネルセンサにおいては、被検出体からの反射光に基づいてタッチ箇所が検出されるため、被検出体が指などの人体に限られることはなく、様々な物体のタッチ箇所を検出することが可能となる。このような光センサ方式のタッチパネルセンサのさらなる詳細は、例えば特開2009−151039号公報、特開2007−192713号公報などに記載されている。
【0114】
(静電容量方式のタッチパネルセンサ)
次に図16A乃至図16Cを参照して、タッチパネルセンサ110が静電容量方式のものである場合の、タッチパネルセンサ110の構成の一例について説明する。図16Aは、静電容量方式のタッチパネルセンサ110を示す平面図であり、図16Bは,図16Aのタッチパネルセンサ110をXVIB−XVIB方向から見た断面図であり、図16Cは,図16Aのタッチパネルセンサ110をXVIC−XVIC方向から見た断面図である。
【0115】
図16A乃至図16Cに示すように、静電容量方式のタッチパネルセンサ110は、タッチパネルセンサ用基板116と、タッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に所定のパターンで設けられた複数のx透明導電パターン111およびy透明導電パターン112とを有している。図16Aに示すように、x透明導電パターン111はx方向に延びており、またy透明導電パターン112はx方向に直交するy方向に延びている。
【0116】
各x透明導電パターン111は、略正方形の形状を有する複数のx電極単位111aと、隣接するx電極単位111a間をx方向において接続するx接続部111bと、を有している。このようなx透明導電パターン111により、被検出体のタッチ箇所のy方向における位置が検出される。また、各y透明導電パターン112は、略正方形の形状を有する複数のy電極単位112aと、隣接するy電極単位112a間をy方向において接続するy接続部112bと、を有している。このようなy透明導電パターン112により、被検出体のタッチ箇所のx方向における位置が検出される。
【0117】
またタッチパネルセンサ用基板116上には、所定のパターンで設けられ、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112にそれぞれ電気的に接続された取出配線113および取出配線114と、取出配線113および取出配線114に接続され、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112からの信号を外部へ取り出すための端子部115と、が設けられている。
【0118】
タッチパネルセンサ110においては、上述の各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115の組合体により、タッチ位置を検出するとともに検出信号を外部へ取り出すというタッチパネル機能を実現するセンサ部120が構成されている。
【0119】
次に、タッチパネルセンサ110の各構成要素の材料について説明する。各x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112は、映像を表示させるための表示領域に配置される。このため各x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112は、導電性および透明性を有する材料、例えばITOなどから構成される。一方、取出配線113、取出配線114および端子部115は、表示領域の周縁に位置する非表示領域に配置される。このため、取出配線113、取出配線114および端子部115を構成する材料が透明性を有する必要はない。従って取出配線113、取出配線114および端子部115は一般に、x透明導電パターン111およびy透明導電パターン112の材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
【0120】
タッチパネルセンサ用基板116の材料は、各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115を支持するとともに、透明性を有する限り特に限定されない。例えばタッチパネルセンサ用基板116の材料として、透明性を有するガラスやポリマーなどが用いられる。
【0121】
図16Bおよび図16Cに示すように、各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115を含むセンサ部120は、タッチパネルセンサ用基板116上にITOや金属材料などを積層させることにより形成される。なお図16Bおよび図16Cに示すように、x接続部111bとy接続部112bとが電気的に接続されることを防ぐため、x接続部111bとy接続部112bとの間に絶縁層117が介在されていてもよい。また、図16Bおよび図16Cにおいて一点鎖線で示されているように、各導電パターン111,112、取出配線113,114および端子部115を保護するための保護層119が設けられていてもよい。保護層119としては、透明性および絶縁性を有する樹脂材料などが適宜用いられる。
【0122】
本実施の形態によれば、表示装置の表示部50がタッチパネルセンサ110を有している。このため、表示装置にタッチパネル機能を付与することができる。また表示部50のタッチパネルセンサ110の観察者側には、上述の第1乃至第6の形態による表示用前面板40が設けられている。このため、表示用前面板40によってタッチパネルセンサ110を適切に保護することができ、かつ、表示装置の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0123】
なお上述の例においては、センサ部120がタッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、センサ部120がタッチパネルセンサ用基板116の表示部側の面上に設けられていてもよい。
また、センサ部120の各構成要素の一部分がタッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に設けられ、センサ部120の各構成要素のその他の部分がタッチパネルセンサ用基板116の表示部側の面上に設けられていてもよい。例えば、x透明導電パターン111がタッチパネルセンサ用基板116の観察者側の面上に設けられ、y透明導電パターン112がタッチパネルセンサ用基板116の表示部側の面上に設けられていてもよい。
【0124】
(変形例)
図17に示すように、タッチパネルセンサ110は、タッチパネルセンサ用基板116およびセンサ部120に加えて、センサ部120により検出された信号を処理するための信号処理部125をさらに有していてもよい。信号処理部125は、例えば、プリント基板と、プリント基板上に設けられ、センサ部120からの信号に基づいてタッチ箇所を解析する処理用ICとを含んでいる。また、電気信号を外部に取り出すため配線が信号処理部125に含まれていてもよい。このような配線は、例えばフレキシブル基板から構成されていてもよい。
信号処理部125は、例えば図16Aにおいて一点鎖線で示されているように、センサ部120の端子部115に接続される。
【0125】
また図18に示すように、タッチパネルセンサ110が信号処理部125をさらに有し、かつ、タッチパネルセンサ110と表示用前面板40との間に接着層101が設けられていてもよい。
【0126】
第8の実施の形態
次に図19乃至図31を参照して、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、上述の各実施の形態における表示装置の表示部がLCDタイプのものである場合の具体的な構成例について説明する。図19乃至図31に示す第8の実施の形態において、上述の各実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0127】
図19は、LCDタイプの表示部50を備えた表示装置の一例を示す図である。図19に示すように、表示部50は、LCDタイプの表示ユニット151と、表示ユニット151の観察者側に設けられたタッチパネルセンサ110とを有している。
【0128】
(表示ユニット)
表示ユニット151は、バックライトユニット158と、バックライトユニット158の観察者側に設けられた光源側偏光板156と、光源側偏光板156の観察者側に設けられたLCDパネル155と、LCDパネル155の観察者側に設けられた観察者側偏光板154と、を有している。バックライトユニット158としては、蛍光管やLEDなど様々なタイプの光源が用いられ得る。また、蛍光管やLEDなどの外側(観察者側と反対の側)に、蛍光管やLEDなどからの光を反射する反射板がさらに包含されていてもよい。観察者側偏光板154および光源側偏光板156としては、LCDタイプの表示部において周知の偏光板が適宜用いられ得る。なお図示はしないが、表示装置の各構成要素間には接着層が介在されていてもよい。
【0129】
(LCDパネル)
LCDパネル155は、図20に示すように、TFT基板210と、TFT基板210の観察者側に設けられたカラーフィルタ200と、TFT基板210とカラーフィルタ200との間に充填された液晶層215と、を含んでいる。TFT基板210は、図示はしないが、各々が表示装置の単位画素に対応し、液晶215に所定の電圧を印加して液晶層215の状態を制御する複数の液晶駆動部を含んでいる。またカラーフィルタ200は、カラーフィルタ用基板201と、カラーフィルタ用基板201上に所定パターンで設けられたブラックマトリクス層202と、ブラックマトリクス層202間に設けられた複数色の着色層203と、を含んでいる。
【0130】
カラーフィルタ用基板201の材料は、ブラックマトリクス層202および着色層203を適切に支持するとともに、透明性を有する限り特に限定されない。例えばカラーフィルタ用基板201の材料として、透明性を有するガラスやポリマーなどが用いられる。
【0131】
本実施の形態によれば、LCDタイプの表示装置は、表示部50と、表示部50の観察者側に設けられた表示用前面板40とを備えている。このため、LCDタイプの表示装置の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0132】
また本実施の形態によれば、表示部50はタッチパネルセンサ110を有している。このため、LCDタイプの表示装置にタッチパネル機能を付与することができる。
【0133】
(変形例)
なお本実施の形態において、図21に示すように、表示ユニット151が、光源側偏光板156とバックライトユニット158との間に設けられた光学補償フィルム157をさらに含んでいてもよい。光学補償フィルム157は、例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルムまたは導光板などからなっている。このような光学補償フィルム157をさらに設けることにより、バックライトユニット158から光源側偏光板156に入射される光の品質をより高くすることができる。なお光学補償フィルム157は、バックライトユニット158とは別途の構成要素となっていてもよく、または、バックライトユニット158に含まれる構成要素となっていてもよい。
【0134】
(中間製品)
なお上述の本実施の形態およびその変形例において、バックライトユニット158を含む表示ユニット151がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、表示ユニット151が形成されるよりも前の段階で、表示ユニット151の各構成要素、例えば観察者側偏光板154やLCDパネル155がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされてもよい。
【0135】
例えば図22に示すように、観察者側偏光板154およびLCDパネル155がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
また図23に示すように、観察者側偏光板154,LCDパネル155および光源側偏光板156がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
また図24に示すように、観察者側偏光板154,LCDパネル155,光源側偏光板156および光学補償フィルム157がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
【0136】
(タッチパネルセンサの配置の変形例)
また上述の本実施の形態およびその変形例において、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151とは別個の構成要素となっており、かつ、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151のLCDパネル155の観察者側に設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151に包含され、かつ、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154とLCDパネル155との間に設けられていてもよい。
【0137】
図25乃至図29は、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154とLCDパネル155との間に設けられる形態の例を示す図である。図25乃至図29に示す形態はそれぞれ、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154とLCDパネル155との間に設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、図19,図21乃至図24に示す形態と略同一である。
【0138】
なお「タッチパネルセンサ110が表示ユニット151とは別個の構成要素となっている」とは、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151とは別個に取引、搬送などされることを意味している。また、「タッチパネルセンサ110が表示ユニット151に包含されている」とは、タッチパネルセンサ110が表示ユニット151と同時に取引、搬送などされることを意味している。
【0139】
(タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの例)
また上述の本実施の形態およびその変形例において、タッチパネルセンサ110がLCDパネル155のカラーフィルタ200とは別個の構成要素となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサがカラーフィルタ200と一体に形成されていてもよい。なお「タッチパネルセンサがカラーフィルタと一体に形成される」とは、以下に図30を参照して説明するように、タッチパネルセンサ用の基板とカラーフィルタ用の基板とが共通になっていることを意味している。
【0140】
図30は、タッチパネル機能を有するタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aを示す図である。図30に示すように、カラーフィルタ200Aは、カラーフィルタ用基板201と、カラーフィルタ用基板201の観察側に設けられたセンサ部120と、カラーフィルタ用基板201の表示部側に設けられたブラックマトリクス層202および着色層203と、を有している。ここでセンサ部120は、図14乃至図18に示す第7の実施の形態におけるセンサ部120と略同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0141】
本変形例においては、LCDパネル155Aがタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aを有することにより、LCDパネル155Aにタッチパネル機能が付与されている。図31は、タッチパネル機能を有するLCDパネル155Aを備えた表示装置を示す図である。
【0142】
本変形例によれば、上述のように、タッチパネルセンサがカラーフィルタと一体に形成される。これによって、表示装置により簡易にタッチパネル機能を付与することができる。また、カラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とが別体で構成される場合に比べて、タッチパネルセンサ用の基板を不要にすることができる。従って、タッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aを用いてタッチパネル機能付きの表示装置を構成する場合、タッチパネルセンサ用の基板の分だけ表示装置の厚みおよび重量を低減することができる。
なお、カラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とが別体で構成される場合、カラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とが接着層などにより貼り合わされることが考えられる。このため、接着層の分だけタッチパネルセンサ110における光の透過率が低下することが考えらえる。一方、本変形例によれば、タッチパネルセンサとカラーフィルタとを一体に形成することにより、貼り合わせのための接着層が不要となっている。これによって、光の透過率を向上させることができる。また、接着層を用いてカラーフィルタ200とタッチパネルセンサ110とを貼り合わせる工程が不要となる。これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる不具合を回避することができる。例えば、貼り合わせの際に気泡などが混入し、これによって歩留りが低下するというような懸念をなくすことができる。
【0143】
なお本明細書において、「表示装置/表示部50/表示ユニット151がタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む」とは、表示装置/表示部50/表示ユニット151が、独立して取引、搬送などされ得るタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む場合だけでなく、カラーフィルタなどの表示装置/表示部50/表示ユニット151の所定の構成要素にセンサ部120が包含されている場合も含む概念となっている。
【0144】
第9の実施の形態
次に図32および図33を参照して、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、上述の第1乃至第7の実施の形態における表示装置の表示部が有機ELまたは無機ELタイプのものである場合の具体的な構成例について説明する。図32および図33に示す第9の実施の形態において、上述の各実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0145】
図32は、有機ELまたは無機ELタイプの表示部50を備えた表示装置の一例を示す図である。図32に示すように、表示部50は、有機ELまたは無機ELタイプの表示ユニット151と、表示ユニット151の観察者側に設けられたタッチパネルセンサ110とを有している。
【0146】
(表示ユニット)
表示ユニット151は、反射電極層164と、反射電極層164の観察者側に設けられ、有機発光材料または無機発光材料からなる発光層163と、発光層163の観察者側に設けられたカラーフィルタ200と、カラーフィルタ200の観察者側に設けられた観察者側偏光板154と、を有している。なお図示はしないが、表示装置の各構成要素間には接着層が介在されていてもよい。
【0147】
本実施の形態によれば、有機ELまたは無機ELタイプの表示装置は、表示部50と、表示部50の観察者側に設けられた表示用前面板40とを備えている。このため、有機ELまたは無機ELタイプの表示装置の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0148】
また本実施の形態によれば、表示部50はタッチパネルセンサ110を有している。このため、有機ELまたは無機ELタイプの表示装置にタッチパネル機能を付与することができる。
【0149】
(中間製品)
なお上述の本実施の形態において、反射電極層164を含む表示ユニット151がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、表示ユニット151が形成されるよりも前の段階で、表示ユニット151の各構成要素、例えば観察者側偏光板154やカラーフィルタ200がタッチパネルセンサ110や表示用前面板40と組み合わされてもよい。
【0150】
例えば図33に示すように、観察者側偏光板154,カラーフィルタ200および発光層163がタッチパネルセンサ110および表示用前面板40と組み合わされ、これによって、表示装置のための中間製品220が構成されてもよい。
【0151】
また本実施の形態においても、図30および図31に示す形態の場合と同様に、タッチパネル機能を有するタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタ200Aが用いられてもよい。これによって、表示装置により簡易にタッチパネル機能を付与することができる。
【0152】
また本実施の形態においても、図25乃至図29に示す形態の場合と同様に、タッチパネルセンサ110が観察者側偏光板154の表示部側に設けられていてもよい。
【0153】
第10の実施の形態
次に図34乃至図39を参照して、本発明の第10の実施の形態について説明する。図34乃至図39に示す本実施の形態は、表示用前面板がタッチパネルセンサを有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。図34乃至図39に示す第10の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0154】
表示用前面板
図34に示すように、表示用前面板40Aは、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた反射防止膜30および意匠層10と、透明基板20の表示部側に設けられたタッチパネルセンサ110と、を有している。このように本実施の形態においては、表示用前面板40Aがタッチパネルセンサ110を有することにより、表示用前面板40Aにタッチパネル機能が付与されている。
【0155】
図35は、表示部50と、表示部50の観察者側に設けられ、タッチパネルセンサ110を有する表示用前面板40Aと、を備えた表示装置を示す図である。本実施の形態によれば、タッチパネル機能付きの表示用前面板40Aを用いることにより、表示装置にタッチパネル機能をより簡易に付与することができ、かつ、表示装置の観察者側において外光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0156】
ところで、図34に示す表示用前面板40Aにおいては、透明基板20に直接的にタッチパネルセンサ110が接している。この場合、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間に部分的にエアギャップが生じることが考えられ、このエアギャップに起因して透明基板20の表示部側で光の反射が生じることが考えられる。以下、このような光の反射を防ぐための変形例について説明する。
【0157】
(第1の変形例)
図36は、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間に接着層100が設けられる例を示す図である。このような接着層100を設けることにより、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間にエアギャップが生じるのを防ぐことができ、これによって、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0158】
(第2の変形例)
図37は、透明基板20の表示部側に追加反射防止膜35が設けられる例を示す図である。図37に示す形態においては、追加低屈折率層36からなる追加反射防止膜35を設けることにより、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。なお追加反射防止膜35は、耐擦傷性が高められた追加低屈折率層36Aからなっていてもよい。
【0159】
(その他の変形例)
なお本実施の形態およびその変形例において、図1および図2に示す第1の実施の形態による表示用前面板にさらにタッチパネルセンサ110が設けられ、これによってタッチパネル機能付きの表示用前面板40Aが構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図3および図4に示す第2の実施の形態による表示用前面板40や、図5および図6に示す第3の実施の形態による表示用前面板40が、タッチパネルセンサ110をさらに備えていてもよい。また、図7に示す表示用前面板40がさらにタッチパネルセンサ110を備えていてもよい。
【0160】
また本実施の形態およびその変形例において、反射防止膜30または追加反射防止膜35が低屈折率層31または追加低屈折率層36,36Aのみからなる形態を示した。しかしながら、これに限られることはなく、反射防止膜30または追加反射防止膜35が高屈折率層をさらに有していてもよい。これによって、反射防止膜30および追加反射防止膜35が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。
また上述の第5の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に接着層100が設けられていてもよい。また上述の第5の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に、飛散防止フィルムからなる保護層105などが設けられていてもよい。これによって、表示用前面板40とその他の部材とを組み合わせる作業を容易化することや、透明基板20が破損してしまった場合に透明基板20の破片が飛散することを防ぐことができる。
【0161】
また本実施の形態及び変形例において、表示用前面板40Aが、観察者側偏光板154やカラーフィルタ200などをさらに有していてもよい。例えば図38に示すように、透明基板20とタッチパネルセンサ110との間に観察者側偏光板154が設けられていてもよく、また図39に示すように、タッチパネルセンサ110の表示部側にカラーフィルタ200が設けられていてもよい。また、図示はしないが、図38および図39に示すタッチパネルセンサ110の配置と観察者側偏光板154の配置とが入れ替えられてもよい。
【0162】
第11の実施の形態
次に図40乃至図45を参照して、本発明の第11の実施の形態について説明する。図40乃至図45に示す本実施の形態は、タッチパネルセンサが表示用前面板と一体に形成されている点が異なるのみであり、他の構成は、図34乃至図39に示す第10の実施の形態と略同一である。図40乃至図45に示す第11の実施の形態において、図34乃至図39に示す第10の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0163】
図40は、タッチパネルセンサと一体に形成された表示用前面板40Aを示す図である。図40に示すように、表示用前面板40Aは、透明基板20と、透明基板20の観察者側に設けられた反射防止膜30および意匠層10と、透明基板20の表示部側の面上に設けられたセンサ部120と、を有している。ここでセンサ部120は、上述の第7の実施の形態において示したセンサ部120と略同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0164】
ここで「タッチパネルセンサが表示用前面板40Aと一体に形成される」とは、図40に示されているように、タッチパネルセンサ用の基板と表示用前面板用の透明基板とが共通になっていることを意味している。
【0165】
このように本実施の形態によれば、タッチパネルセンサが表示用前面板40Aに一体化されている。これによって、より簡易に表示用前面板40Aにタッチパネル機能を付与することができる。また、タッチパネルセンサ110と表示用前面板40とが別体で構成される場合に比べて、タッチパネルセンサ用の基板を不要にすることができる。従って、表示用前面板40Aを用いてタッチパネル機能付きの表示装置を構成する場合、タッチパネルセンサ用の基板の分だけ表示装置の厚みおよび重量を低減することができる。
【0166】
また本実施の形態によれば、透明基板20の表示部側の面がセンサ部120によって覆われている。従って、透明基板20の表示部側の面にエアギャップが形成されることはない。このため、上述の第10の実施の形態の場合のように透明基板20の表示部側に接着層100などを設けることなく、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。すなわち本実施の形態によれば、表示用前面板40Aにタッチパネル機能を付与するだけでなく、同時に、透明基板20の表示部側において光の反射が生じるのを防ぐこともできる。
また、センサ部120と透明基板20との間に接着層100が介在されないようにすることにより、センサ部120の感度を向上させるとともに、光の透過率を向上させることができる。また、接着層100を介して透明基板20とタッチパネルセンサ110とを貼り合わせる工程が不要となり、これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる不具合を回避することができる。例えば、貼り合わせの際に気泡などが混入し、これによって歩留りが低下するというような懸念をなくすことができる。
【0167】
なお本明細書において、「表示用前面板40Aがタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む」とは、表示用前面板40Aが、独立して取引、搬送などされ得るタッチパネルセンサ110を備えた/有する/含む場合だけでなく、表示用前面板40Aの透明基板20上にセンサ部120が形成されている場合も含む概念となっている。
【0168】
(変形例)
なおタッチパネルセンサと一体に形成された表示用前面板40Aの形態が図40に示す形態に限られることはなく、その他の様々な形態が考えられ得る。例えば図41に示すように、センサ部120の表示部側に接着層100が設けられていてもよい。また図42および図43に示すように、センサ部120に信号処理部125が取り付けられていてもよい。また図44に示すように、センサ部120の表示部側に観察者側偏光板154が設けられていてもよい。また図45に示すように、観察者側偏光板154の表示部側にカラーフィルタ200がさらに設けられていてもよい。またセンサ部120が透明基板20の表示部側の面上に形成されている例を示したが、これに限られることはなく、センサ部120が透明基板20の観察者側の面上に形成されていてもよい。
【0169】
(その他の変形例)
なお本実施の形態およびその変形例において、タッチパネルセンサが、図1および図2に示す第1の実施の形態による表示用前面板と一体に形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサが、図3および図4に示す第2の実施の形態による表示用前面板40や、図5および図6に示す第3の実施の形態による表示用前面板40と一体に形成されてもよい。また、タッチパネルセンサが、図7に示す表示用前面板40と一体に形成されてもよい。
【0170】
また本実施の形態およびその変形例において、反射防止膜30が低屈折率層31のみからなる形態を示した。しかしながら、これに限られることはなく、反射防止膜30が高屈折率層をさらに有していてもよい。これによって、反射防止膜30が外光の反射を防止する効果をより高くすることができる。また、上述の第4の実施の形態の場合と同様に、表示用前面板40Aが追加反射防止膜35をさらに備えていてもよい。
また上述の第5の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に接着層100が設けられていてもよい。また上述の第5の実施の形態の変形例の場合と同様に、反射防止膜30の観察者側に設けられた接着層100の観察者側に、飛散防止フィルムからなる保護層105などが設けられていてもよい。これによって、表示用前面板40とその他の部材とを組み合わせる作業を容易化することや、透明基板20が破損してしまった場合に透明基板20の破片が飛散することを防ぐことができる。
【0171】
また本実施の形態の変形例において、タッチパネル機能付きの表示用前面板40Aが観察者側偏光板154やカラーフィルタ200をさらに有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネル機能を有さない表示用前面板40が観察者側偏光板154やカラーフィルタ200をさらに有していてもよい。
【0172】
また、上記各実施の形態による表示用前面板40,40Aの観察者側の非表示領域内に形成される意匠層10が、各種のセンサとしての機能を有していてもよい。例えば、意匠層10が光センサとしての機能を有していてもよい。意匠層10が光センサとしての機能を有している場合、意匠層10が、タッチパネルセンサや近接センサなどとして用いられ得るようになる。
近接センサとは、物体が近づいたことを、物体と接触することなく感知することができるセンサである。このような近接センサがスイッチとして用いられる場合、スイッチがあるということが第3者に認識されることなくスイッチとしてのオンオフ切替機能を発揮することが可能となる。例えばタッチパネルセンサ付き携帯電話機等では、人が通話をしようとして耳を携帯電話機等に近づけると、近接センサは、携帯電話機等に耳が近づいたことを感知する。これによって、自動的にタッチパネルディスプレイのオンオフを切り替えることができ、このような仕組みにより、消費電力を節約することができる。また、仮に耳が近づいているときに顔がタッチパネルセンサに接触したとしても、その接触がタッチパネルセンサを用いた操作を目的とするものではないという判断をすることが可能となり、これによって誤動作を防ぐことができる。
近接センサは、近くに物体が存在するかどうかだけでなく、物体までの距離を確認することもできる。このため、例えばデジタルサイネージ用ディスプレイで近接センサが用いられる場合、人が所定の距離まで近づいた場合にのみ電源をオンすることが可能となる。さらに、年齢や性別などを判断するソフトと組み合わせることで、最適な情報を提供することが可能となる。
【0173】
(透明基板の変形例)
また上記各実施の形態において、透明基板20としてガラスが用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、透明基板20として、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリルなどのプラスチック基板を用いてもよい。
また、透明基板20としてガラスが用いられる場合、様々なタイプのガラスが用いられ得る。例えば、ソーダガラスやホウケイ酸ガラスなどのアルカリガラスを用いてもよく、または無アルカリガラスを用いてもよい。また、ガラスの表面に化学強化層が設けられた化学強化ガラスが用いられてもよい。ここで化学強化層とは、ガラス中のナトリウムをカリウムに置換することにより形成される層である。このような化学強化層をガラスの表面に形成することにより、透明基板20に何らかの衝撃が加えられた場合に透明基板20が割れてしまうことを抑制することができる。なお、このような化学強化層の厚みが特に限られることはなく、求められる特性に応じて化学強化層の厚みが適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、化学強化層の厚みが約5〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、化学強化層の厚みは、約10〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。なお、化学強化層の厚みが約10〜35μmの範囲内となっている場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、化学強化層の厚みが35μm以上となっている場合は、仮にダイヤモンドカッターなどの高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。従って、化学強化層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、好ましくは、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に化学強化層が形成される。
このように表面に化学強化層が形成されたガラスの例としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)などが挙げられる。
【0174】
(低屈折率層の材料の変形例)
また上記各実施の形態において、表示用前面板40のうち観察者側の最表面に位置する層、例えば低屈折率層31や保護層105が、汚れの付着を防止する防汚層としての機能をさらに有していてもよい。防汚層としての機能とは、例えば、人の手が触れることにより付着する油脂成分である指紋に対する耐指紋性、雨水に対する撥水性、汚れの拭取り性に対する滑り性、さらにはマジックを用いた落書きに対する耐マジック性などである。低屈折率層31や保護層105に防汚層としての機能を付与する方法としては、例えば、低屈折率層31や保護層105に所定の割合でケイ素元素、炭素元素およびフッ素元素を含有させることが挙げられる。
【0175】
(反射防止膜の形成方法の例)
また上記各実施の形態において、反射防止膜30または追加反射防止膜35が、反射防止材料を含む塗布液をダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法で塗布することにより形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、反射防止材料を含む塗布液をインクジェット法により透明基板20上に点状に塗布することにより、反射防止膜30または追加反射防止膜35を形成してもよい。また塗布方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法が用いられてもよい。これらの塗布方法のうち、好ましくは、上述のようにコストおよび生産性の観点から、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウエット法が採用される。
なお塗布液とは、上述の反射防止材料からなる固形分と、適切な溶媒とを混合することにより構成されるものである。塗布液全体に対する固形分の比率は、塗布方法に応じて適宜設定されるが、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内となっており、より好ましくは1〜5重量%の範囲内となっている。
【0176】
また上記各実施の形態において、反射防止材料または追加反射防止膜35に光硬化樹脂が含まれている場合には、反射防止膜30または追加反射防止膜35を露光することで硬化が達成される例を示した。この際、露光の際に所定のパターンを有するフォトマスクを用いることにより、露光、現像に基づくパターニング性が実現されてもよい。これによって、反射防止膜30または追加反射防止膜35に所定のパターンを付与することが可能となる。
【0177】
(比較例)
ガラス基板(透明基板)20の表示部側(裏面)に、黒色インキを用いたスクリーン印刷により意匠パタン(意匠層)10を印刷した。ガラス基板20の観察者側(表面)に、TACを基材フィルム35とした反射防止フィルムを接着剤によって貼り付けた。このようにして生成された表示用前面板40における、非表示領域である意匠パタン10上でのガラス/空気界面の視感反射率は1.5%となった。
【0178】
(実施例1)
ガラス基板(透明基板)20の観察者側(表面)に、黒色インキを用いたスクリーン印刷により意匠パタン(意匠層)10を印刷した。その後、意匠パタン10の施されていないガラス基板20にダイコーターによって、反射防止材料を含む塗布液を塗布して反射防止膜30を形成した。そして、この反射防止膜30を乾燥後に露光することで硬化させた。このようにして生成された表示用前面板40における、非表示領域である意匠パタン10での視感反射率は、1.0%となった。このため、比較例と比較して、格段に外光の反射を抑えることができることが分かった。
【0179】
(実施例2)
ガラス基板(透明基板)20の観察者側(表面)に、黒色インキを用いたスクリーン印刷により意匠パタン(意匠層)10を印刷した。その後、ガラス基板20と意匠パタン10の両方にダイコーターによって、反射防止材料を含む塗布液を塗布して反射防止膜30を形成した。そして、この反射防止膜30を乾燥後に露光することで硬化させた。このようにして生成された表示用前面板40における、非表示領域である意匠パタン10での視感反射率は、0.63%となった。このため、比較例と比較して、格段に外光の反射を抑えることができることが分かった。
【符号の説明】
【0180】
10 意匠層
20 透明基板
30 反射防止膜
31 低屈折率層
35 追加反射防止膜
36 追加低屈折率層
40 表示用前面板
40A タッチパネル機能付き表示用前面板
50 表示部
100 接着層
101 接着層
105 保護層
110 タッチパネルセンサ
111 x透明導電パターン
111a x電極単位
111b x接続部
112 y透明導電パターン
112a x電極単位
112b x接続部
113 取出配線
114 取出配線
115 端子部
116 タッチパネルセンサ用基板
117 絶縁層
119 保護層
120 センサ部
125 信号処理部
151 表示ユニット
152 液晶ユニット
154 観察者側偏光板
155 LCDパネル
155A タッチパネル機能付きLCDパネル
156 光源側偏光板
157 光学補償フィルム
158 バックライトユニット
163 発光層
164 反射電極層
200 カラーフィルタ
200A タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタ
201 カラーフィルタ用基板
202 ブラックマトリクス層
203 着色層
210 TFT基板
215 液晶層
220 中間製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板において、
透明基板と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで設けられた反射防止膜と、
前記透明基板の観察者側に設けられて前記非表示領域を形成する意匠層と、
を備えたことを特徴とする表示用前面板。
【請求項2】
前記反射防止膜は、前記表示領域のみに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示用前面板。
【請求項3】
前記反射防止膜は、前記表示領域および前記非表示領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示用前面板。
【請求項4】
前記反射防止膜は、前記非表示領域において、前記意匠層の観察者側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の表示用前面板。
【請求項5】
前記反射防止膜は、前記非表示領域において、前記意匠層の表示部側に設けられている請求項3または4のいずれかに記載のことを特徴とする表示用前面板。
【請求項6】
前記塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法によって塗布されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示用前面板。
【請求項7】
前記反射防止膜は、観察者側の最表面に位置する低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の光屈折率は前記透明基板の光屈折率よりも小さく、かつ、前記低屈折率層の厚みは80〜150nmの範囲内となっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表示用前面板。
【請求項8】
前記低屈折率層の光屈折率は、1.35よりも小さくなっていることを特徴とする請求項7に記載の表示用前面板。
【請求項9】
前記透明基板の表示部側に設けられた追加反射防止膜をさらに備え、
前記追加反射防止膜は、表示部側の最表面に位置する追加低屈折率層を有し、
前記追加低屈折率層の光屈折率は前記透明基板の光屈折率よりも小さく、かつ前記追加低屈折率層の厚みは80〜150nmの範囲内となっていることを特徴とする請求項7または8に記載の表示用前面板。
【請求項10】
前記追加反射防止膜の前記追加低屈折率層の光屈折率は、前記反射防止膜の前記低屈折率層の光屈折率よりも大きくなっていることを特徴とする請求項9に記載の表示用前面板。
【請求項11】
センサ部を含むタッチパネルセンサをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示用前面板。
【請求項12】
前記センサ部が前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の表示用前面板。
【請求項13】
前記センサ部に信号処理部が接続されていることを特徴とする請求項11または12に記載の表示用前面板。
【請求項14】
前記透明基板よりも表示部側に位置する偏光板をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の表示用前面板。
【請求項15】
前記透明基板よりも表示部側に位置するカラーフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の表示用前面板。
【請求項16】
前記反射防止膜の観察者側に設けられた観察者側接着層をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の表示用前面板。
【請求項17】
前記観察者側接着層の観察者側に設けられた保護層をさらに備えたことを特徴とする請求項16に記載の表示用前面板。
【請求項18】
表示部側の最表面に位置する表示部側接着層をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の表示用前面板。
【請求項19】
表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板の製造方法において、
透明基板を準備する工程と、
前記透明基板の観察者側に意匠層を形成する工程と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液を塗布して、反射防止膜を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする表示用前面板の製造方法。
【請求項20】
前記反射防止膜は、前記表示領域のみに形成されることを特徴とする請求項19に記載の表示用前面板の製造方法。
【請求項21】
前記意匠層を形成した後で、前記反射防止膜を前記表示領域および前記非表示領域に形成することを特徴とする請求項19に記載の表示用前面板の製造方法。
【請求項22】
前記反射防止膜を形成した後で、前記意匠層を形成することを特徴とする請求項19に記載の表示用前面板の製造方法。
【請求項23】
前記塗布液は、ダイコート法、スピンコート法またはディップコート法によって塗布されることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載の表示用前面板の製造方法。
【請求項24】
表示部と、
前記表示部に対して観察者側に配置され、表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板と、を備え、
表示用前面板は、
透明基板と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液が塗布されることで設けられた反射防止膜と、
前記透明基板の観察者側に設けられて前記非表示領域を形成する意匠層と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項25】
前記表示部が、センサ部を含むタッチパネルセンサを有することを特徴とする請求項21に記載の表示装置。
【請求項26】
前記表示部が、カラーフィルタをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の表示装置。
【請求項27】
前記タッチパネルセンサが、前記カラーフィルタと一体に形成されていることを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項28】
前記表示用前面板が、センサ部を含むタッチパネルセンサを有することを特徴とする請求項24に記載の表示装置。
【請求項29】
前記センサ部が前記表示用前面板の前記透明基板の観察者側の面上または表示部側の面上に形成されていることを特徴とする請求項28に記載の表示装置。
【請求項30】
表示部を準備する工程と、
表示領域と非表示領域とを有する表示用前面板を製造する工程と、
前記表示用前面板を前記表示部の観察者側に配置して取り付ける工程と、を備え、
前記表示用前面板を製造する工程は、
透明基板を準備する工程と、
前記透明基板の観察者側に意匠層を形成する工程と、
前記透明基板の観察者側に反射防止材料を含む塗布液を塗布して、反射防止膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−88683(P2012−88683A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83844(P2011−83844)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】