説明

表示画像取得装置、表示画像取得プログラム

【課題】 表示画像に一体形成されるポインタの位置を画像表示用信号から算出する表示画像取得装置及び表示画像取得プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 画像表示用信号を取得するビデオ取込装置42と、画像表示用信号を一定周期で連続して抽出する画像サンプリング装置43と、画像表示用信号を、該画像表示用信号に応じた表示画像に変換する画像変換装置44と、連続する表示画像から差分画像を生成して2値化し、差分値が存在する領域をポインタが占めるポインタ候補領域として特定し、ポインタ候補領域のうち、差分画像の左上を基準とした場合における、当該基準から最も近いポインタ候補領域内の一部分をポインタの位置情報としてデータベース48に記憶させるポインタ位置算出装置45と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに表示される表示画像を取得して蓄積していく表示画像取得装置に関し、特に表示画像に一体形成されるポインタの位置を算出する表示画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末を利用して、遠隔地から提供されるプレゼンテーション用の画像・音声を視聴したり、当該プレゼンテーションを保存して後から視聴したりすることが知られている。例えば、特許文献1では、プレゼンテーション用の画像等をビデオ情報として保存することが開示されている。
【0003】
一般に、プレゼンテーションは、静止画であるスライド画像、スライド画像を説明するための音声、スライド画像中の注目領域を示すポインタの位置や形状等に関する情報(以下、ポインタ情報という。)があれば、プレゼンテーションの内容を十分に伝達することができると考えられる。このような事情に鑑みて、例えば、特許文献2では、情報端末から直接スライド画像、音声及びポインタ情報を取得して記録する記録装置が開示されている。
【0004】
さらに、ポインタ情報の取得技術として、例えば特許文献3や特許文献4に開示されるように、指示棒やレーザポインタによるポインタ情報、利用者の手振りによるポインタ情報を取得するものも知られている。
【0005】
一方、情報端末から出力されるRGB信号等のディスプレイ信号(以下、画像表示用信号という。)を取得し、当該画像表示用信号に応じた表示画像に変換して蓄積していく表示画像取得装置も知られている。表示画像取得装置は、画像表示用信号を監視し、該信号が大きく変化した時点で画像表示用信号を取得するため、例えばスライド画像等の表示画像の切り替えを判別でき、表示画像を効率良く蓄積できる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−187542号公報
【特許文献2】特開2003−58901号公報
【特許文献3】特開2000−276297号公報
【特許文献4】特開2001−5609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1に開示される保存は、保存対象がビデオ情報であるため大容量の記憶装置が必要となり設備費用が増大する可能性がある。また、特許文献2に開示される記録装置を利用する場合に、情報端末に当該記録装置を利用するためのソフトウェアを事前に導入しなければならないという制限がある。さらに、特許文献3や特許文献4に開示されるポインタ位置取得技術は、画像表示用信号を対象としたものではない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表示画像上に一体形成されるポインタの位置を画像表示用信号から算出する表示画像取得装置及び表示画像取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、画像表示用信号を取得する取得手段と、画像表示用信号を一定周期で連続して抽出する抽出手段と、画像表示用信号を、該画像表示用信号に応じた表示画像に変換する変換手段と、連続する表示画像から差分画像を生成して2値化し、差分値が存在する領域をポインタが占めるポインタ候補領域として特定し、ポインタ候補領域のうち、差分画像の左上を基準とした場合における、当該基準から最も近いポインタ候補領域内の一部分をポインタの位置情報として記憶手段に記憶させるポインタ位置算出手段と、を有することを特徴とする表示画像取得装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ポインタ位置算出手段は、ポインタ候補領域が2箇所ある場合に、時刻毎にそれぞれのポインタの位置情報を記憶させることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、ポインタ位置算出手段は、2値化した結果得られる差分値の数がポインタの占める画素数の2倍より大きい場合に、その時刻におけるポインタの位置を算出する処理を中止することを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、ポインタ位置算出手段は、ポインタ候補領域が3箇所以上ある場合に、その時刻におけるポインタの位置を算出する処理を中止することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、ポインタ位置算出手段は、連続するポインタ候補領域のそれぞれに対してエッジ抽出処理を行い、当該抽出処理による互いのエッジ形状の類似度が高い場合に、ポインタの位置を算出することを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、ポインタ位置算出手段は、エッジ形状を整形してポインタの形状を記憶させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示画像取得装置。
【0015】
請求項7に記載の発明は、コンピュータを、画像表示用信号を取得する取得手段と、画像表示用信号を一定周期で連続して抽出する抽出手段と、画像表示用信号を、該画像表示用信号に応じた表示画像に変換する変換手段と、連続する表示画像から差分画像を生成して2値化し、差分値が存在する領域をポインタが占めるポインタ候補領域として特定し、ポインタ候補領域のうち、差分画像の左上を基準とした場合における、当該基準から最も近いポインタ候補領域内の一部分をポインタの位置情報として記憶手段に記憶させるポインタ位置算出手段として機能させることを特徴とする表示画像取得プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、表示画像上に一体形成されるポインタの位置を画像表示用信号から算出できる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、ポインタの移動が時系列に把握できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、スライド画像の切り替えをポインタの移動とする誤判断を抑制できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、ポインタの大きさ相当の画像をポインタとする誤判断を抑制できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、ポインタ以外の画像をポインタとする誤判断を抑制を抑制できる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ポインタの再現性が向上する。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、表示画像上に一体形成されるポインタの位置を画像表示用信号から算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る表示画像取得装置を適用したシステム(以下、表示画像取得システムという。)の構成図、図2は表示画像取得装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
表示画像取得システムは、図1に示すように、情報端末10、スプリッタ202、プロジェクタ30、表示画像取得装置40等から構成される。
【0025】
情報端末10は、キーボードやマウス等の入力装置、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示装置、これらの装置を制御するコンピュータ等の制御装置等から構成される。図1においては、ノート型PCが記載されているが、携帯電話やPDA、スタンドアローン型のPCであってもよい。制御装置は、表示装置に表示すべき画像をVGA信号やRGB信号等の画像表示用信号として出力するとともに、当該信号をスプリッタ20に向けて出力する。
【0026】
スプリッタ20は、画像表示用信号を分離する機器であって、情報端末10と投影装置30との間に設置される。スプリッタ20は画像表示用信号を受信すると、一方を投影装置30に、他方をスプリッタ20にケーブル等で接続された表示画像取得装置40に分離して出力する。尚、図1において、スプリッタの分離は、2方向としているが、3方向以上であってもよい。
【0027】
投影装置30は、いわゆるプロジェクタであって、画像表示用信号を受信すると、当該信号に応じた画像を投影画像としてスクリーンや壁面等に投影する。投影装置30の代わりに、上述した表示装置を使用するようにしてもよい。
【0028】
表示画像取得装置40は、画像表示用信号を受信し、当該画像表示用信号に応じた表示画像に変換し、表示画像を記憶装置に蓄積していく装置である。表示画像取得装置40は、コンピュータ、すなわち、図2に示すように、CPU40a等の処理装置、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NVRAM(Non Volatile RAM)等のRAM40b、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)40c、スプリッタ20等の外部機器との入出力を行うI/F40d、図示しないハードディスク等の磁気ディスク等がバス40eにより接続されたハードウェア構成により実現される。
【0029】
したがって、CPU40aがROM40cやハードディスク等に格納された所要のプログラムを読み込み、当該プログラムに従った演算を行うことにより、表示画像取得装置40内の各機能が実現される。また、情報端末10の制御装置についても同様の構成を有する。尚、このようなプログラムとしては後述するフローチャートに応じたプログラムとすることができる。
【0030】
ここで、上述した表示画像取得装置40について図3を参照してさらに詳しく説明する。
図3は表示画像取得装置40の要部構成を示す機能ブロック図である。
表示画像取得装置40は、図3に示すように、入出力装置41、ビデオ取込装置42、画像サンプリング装置43、画像変換装置44、ポインタ位置算出装置45、更新装置46、テキスト抽出装置47、データベース48及びバス49等から構成される。各装置はバス49を介して互いに接続される。
【0031】
入出力装置41は、ケーブル等を接続するコネクタ等で構成される。入出力装置41は、ケーブルを介して上述したスプリッタ20と接続され、画像表示用信号を受信して、ビデオ取込装置42に出力する。尚、ケーブルを使用せずにワイヤレス形式としてもよい。
【0032】
ビデオ取込装置42は、本発明の取得手段の一例であって、入出力装置41から出力される画像表示用信号を取り込む。
画像サンプリング装置43は、本発明の抽出手段の一例であって、ビデオ取込装置42から受信した画像表示用信号を一定周期で連続して抽出する。一定周期は、例えば、1/29.97秒おきのビデオレートでもよいし、0.5秒おき程度でもよい。この間隔が短いほどスライド画像の切り替わりやポインタ移動の検出を精度良く行える。
【0033】
画像変換装置44は、本発明の変換手段の一例であって、画像サンプリング装置43によって抽出された画像表示用信号を取得し、順次その画像表示用信号に応じた表示画像に変換する。表示画像は、例えば、BMP(ビットマップ)形式や、JPEG形式、TIFF形式、GIF形式等の種々の形式を利用できる。画像変換装置44は、表示画像への変換後、当該表示画像を順々にポインタ位置算出装置45に送信する。
【0034】
ポインタ位置算出装置45は、本発明のポインタ位置算出手段の一例であって、連続する表示画像から差分画像を生成して2値化し、差分値が存在する領域をポインタが占めるポインタ候補領域として特定し、ポインタ候補領域のうち、差分画像の左上を基準とした場合における、当該基準から最も近いポインタ候補領域内の一部分をポインタの位置情報としてデータベース48に記憶させる。尚、ポインタの形状の特性として対称性を有することに着目し、差分値が存在する領域のうち、対象性を有する領域をポインタ候補領域としてもよい。これによりポインタであることの判断の正確さが増加する。
【0035】
更新装置46は、タイトル情報、発表者氏名等を、同じ発表として分類された表示画像すべてに対して属性情報として付与する。
テキスト抽出装置47は、格納対象として選択された表示画像に対して文字認識処理(OCR)を適用することによってテキスト情報を抽出する。尚、この処理は、テキスト情報にもとづいて記録蓄積した表示画像の検索や、表示画像に記載された発表者の氏名や発表の題目(タイトル)を分類された表示画像群に索引として付与するために行うものである。
【0036】
データベース48は、画像変換装置44で変換された表示画像や、ポインタ位置算出装置45で算出されたポインタ位置情報を時刻毎に記憶する。
【0037】
次に上述したポインタ位置算出装置45の動作について図4から図13を参照して説明する。
図4はポインタ位置算出装置45の動作の一例を示すフローチャート、図5は差分画像の生成を説明するための図、図6は2値化曲線のグラフ、図7はポインタの位置の算出を説明するための図、図8はポインタの位置の算出を中止する場合を説明するための図、図9は差分画像の生成を説明するための他の図、図10はポインタの位置の算出を中止する場合を説明するための他の図、図11はポインタの移動前後の形状の類似度を判定するための数式、図12はポインタの位置の算出を中止する場合を説明するための他の図、図13はデータベースにおけるポインタの位置の記憶例である。
【0038】
ポインタ位置算出装置45は、図4に示すように、まず、画像変換装置44から表示画像を順次受信して、連続する表示画像から差分画像を生成する(ステップS1)。例えば、図5(a)に示すように、時刻t−1に表示画像It−1を受信した後に、同図(b)に示すように、時刻tに表示画像Iを受信した場合には、表示画像Iと表示画像It−1とから、同図(c)に示すように、差分画像Dを生成する。これにより、移動前後のポインタPtが差分画像D内に生成される。
【0039】
ポインタ位置算出手段45は、次いで、差分画像Dを2値化する(ステップS2)。2値化は例えば図6に示す2値化曲線Lによって行われる。2値化曲線Lは、0から離れるに従い表示画像Iと表示画像It−1との濃度値の差が大きく、0に近づくにつれて表示画像Iと表示画像It−1との濃度値の差が小さいことを表している。
【0040】
したがって、濃度値の差が明確な部分を差分値1とし、そうでない部分を差分値0とする。この明確さを分ける閾値Pは、図6に数値として具体的に示していないが、例えば−60から60程度の差であれば濃度値の差が明確でないとすることができる。この結果、差分画像Dは、図7(a)に示すように、差分値が0となる部分と差分値が1となる部分とに区別される。
【0041】
ポインタ位置算出手段45は、ここで、差分画像D全体から差分値が1となる部分の数を計数し、この数が20以上1000以下であるか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、計数結果が1000を超える場合には、図8に示すように、ポインタPtの表示や移動でなく、例えば、表示画像It−1から表示画像Iへの切り替え等によって差分画像D内に差分値が1となる部分が大量に現われ計数されたものとして当該時刻におけるポインタ位置の算出処理を中止し、次の時刻の処理を行う。また、計数結果が20を下回る場合には、ポインタの表示や移動がないものとして当該時刻におけるポインタ位置の算出処理を中止し、次の時刻の処理を行う。
【0042】
尚、この判定基準となる20以上1000以下は、表示画像内におけるポインタの占める部分の数とその倍数の範囲内であれば特に限定されるものでなく、ポインタの大きさに応じて変更してもよい。これは、差分画像D内にポインタPtの移動のみが差分として残る場合、差分画像D上には多くても2個のポインタPtが現われるためである。この結果、計数結果が20以上1000以下であると判定された場合には、後続する処理に移行する。
【0043】
ポインタ位置算出手段45は、次いで、差分画像Dの局所性について判定する(ステップS5)。より詳しくは、図7(b)に示すように、差分画像Dの左上隅を基準点Oとし、左から右へ、上から順に、差分値が1となる部分を探索する。そして、当該部分が検出された場合には、その部分を基準に上下左右に探索し差分値が1となる部分を計数する。尚、一度計数した部分には、計数済のフラグ等を付与し、重複した計数がなされないようにする。この結果、差分値が1となる部分が1つの集合体(又は領域)を形成している場合には、同図(b)に示すように、その集合体をポインタ候補領域ARとする。
【0044】
差分値が1となる部分の探索は、差分画像Dの右下隅に至るまで行われる。この結果、ポインタ候補領域ARが1個又は2個である場合には、後続の処理を行う。尚、1個の場合とは、例えば図9に示すように、ポインタPtが移動したが、移動量が少なく、差分画像Dを生成した場合に、移動前後でポインタPtが重なっている状態を示す。
【0045】
一方、ポインタ候補領域ARが0個又は3個以上である場合には、その時刻におけるポインタ位置の算出処理を中止する。ここでポインタ候補領域が3個である場合とは、例えば、図10に示すように、差分画像DにポインタPtが2つ含まれるとともに、スライド画像のアニメーション効果等により、ポインタPtの大きさに相当する文字情報Txや画像情報等が差分画像Dに含まれた場合等がある。
【0046】
ポインタ位置算出装置45は、次いで、移動前後のポインタPtの形状(輪郭)が一致するか否かを判定する(ステップS5)。尚、ポインタPtの移動前後の形状が一致するか否かは完全一致でなく、類似度が概ね高ければ足りる。
【0047】
ここで、ポインタPtの移動前後の類似度が高いか否かは、図11に示す数式によって判断する。図11に示す数式において、E(x,y)は、時刻tにおけるポインタ候補領域ARのエッジマップ、Et−1(x+Δx,y+Δy)は、時刻t−1におけるポインタ候補領域ARのエッジマップを示している。ポインタ候補領域ARのエッジマップは、一般的な技術によって生成することができ、例えばSobelフィルタと2値化処理とを組み合わせて生成することができる。
【0048】
そして、図11に示す数式による計算結果Sは、ポインタ候補領域AR内でエッジマップE、エッジマップEt−1におけるエッジ形状が移動分を除いて同じ場合に1となり、全く異なる場合に非常に小さい値となる。例えば、図12に示すような差分画像Dが得られるような場合に、全く異なる形状と判断され、非常に小さい値となる。ポインタ位置算出装置450は、ポインタPtの移動前後の位置が概ね一致すると判定した場合には、後続の処理を行う。逆に、計算結果が非常に小さい値となった場合には、類似度が低いと判定し、その時刻におけるポインタ位置算出処理を中止する。
【0049】
ポインタ位置算出装置45は、次いで、ポインタPtの位置を算出する(ステップS6)。ポインタPtの位置の算出にあたっては、図7(b)に示すように、例えば差分画像Dの左上隅を基準点Oとした場合において、当該基準点Oから最も近い、ポインタ候補領域AR内の差分値が1となる一部分とすることができる。この際、差分画像D内に時刻tにおけるポインタPtと時刻t−1におけるポインタPtが併存する場合には、時刻毎にそれぞれの位置を算出する。この結果、同図(b)に示すように、時刻t−1におけるポインタPtの座標Aは(25,10)とすることができ、時刻tにおけるポインタPtの座標Bは(60,50)とすることができる。
【0050】
ポインタ位置算出装置45は、次いで、ステップS6の処理によって算出されたポインタPtの位置をデータベース48に記憶させる。データベース48への記憶は、図13に示すように、時刻毎に記憶させることが望ましく、これにより、ポインタPtの時系列的な追尾が可能となる。また、ポインタPtの形状も併せて記憶させてもよい。当該形状は、上述したステップS5のエッジ抽出処理によって得られるポインタPtのエッジを記憶させることで実現できる。さらに、ポインタの位置について、1サンプリング間隔前の位置が既に記憶されている場合もある。このような場合には、同一時刻に対して記憶された複数のポインタの位置から適切な値、例えば平均値や最新の記憶値を用いてもよい。
【0051】
尚、図9を参照して説明したように、差分画像D内にポインタPtが重なって含まれた場合には、図14に示すように、ポインタ候補領域ARが1個となる。この場合には、ポインタPtのそれぞれに対しエッジ抽出処理を行い、図11に示す数式を適用しても完全一致とならない可能性がある。したがって、このような場合には、概ね計算結果が0.5以上であれが、2つのポインタPtは同一のものと判断することとし、そうでない場合には、ポインタPtとテキスト情報Tx等と判断する。これにより、ポインタPtの少量の移動であっても、ポインタの位置の検出が可能となる。尚、図14によれば、この結果、得られる時刻t−1の座標Cは例えばC(25,10)となる。
【0052】
また、表示画像取得装置40に、情報端末10からの要求に応じてデータベース48に記憶される表示画像やポインタ情報を送信する情報送信装置を設けてもよい。情報端末10では、受信した表示画像にポインタ情報に応じた時間と場所にポインタPtを重ねて表示できる。
【0053】
また、ポインタ情報に基づいて、時刻と時刻との間を補間してポインタPtを表示させるようにしてもよい。図15は時刻t−2から時刻t−1にかけてのポインタPtの軌跡を示す図である。ポインタ情報は、それぞれの時刻t−2、t−1、t+1におけるポインタPtの各位置を含んでいるが、これらを表示画像上に表示させた場合には、不連続にポインタPtが表示されることととなる。したがって、それぞれの時刻に基づいて補間法等の手法を使用することにより連続したポインタPtの移動が可能となる。補間法には例えばスプライン補間等を用いてもよい。記憶したポインタ情報の時刻が多いほど、円滑で正確なポインタの位置を再現することができる。
【0054】
さらに、ポインタPtが抽出された後の表示画像であって、ポインタ以外の多くの部分を共有する画像を1つの表示画像としてまとめてデータベース48に蓄積するようにしてもよい。表示画像とポインタとを分離して記憶することで、記憶容量の低減が図れる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本発明のプログラムを通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0056】
また、上述した説明におけるポインタは、カーソルやマウスポインタ、マウスカーソル等いずれの名称をも適用できる。また、上述した説明において差分値が1となる部分は表示装置における1個の画素とすることもできるし、例えば4個や9個等の画素の集合体を差分値1となる部分としてもよい。さらに、ポインタの位置を算出する際の基準点は差分画像の四隅であればいずれでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、表示画像上に一体形成されるポインタの位置を画像表示用信号から算出でき、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】表示画像システムの構成図である。
【図2】表示画像取得装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】表示画像取得装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】表示画像取得装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】差分画像の生成を説明するための図である。
【図6】2値化曲線のグラフである。
【図7】ポインタの位置の算出を説明するための図である。
【図8】ポインタの位置の算出を中止する場合を説明するための図である。
【図9】差分画像の生成を説明するための他の図である。
【図10】ポインタの位置の算出を中止する場合を説明するための他の図である。
【図11】ポインタの移動前後の形状の類似度を判定するための数式である。
【図12】ポインタの位置の算出を中止する場合を説明するための他の図である。
【図13】データベースにおけるポインタの位置の記憶例である。
【図14】ポインタの位置の算出を説明するための他の図である。
【図15】ポインタの位置の算出を説明するための他の図である。
【符号の説明】
【0059】
10 情報端末
20 スプリッタ
30 投影装置
40 表示画像取得装置
40a CPU
40b RAM
40c ROM
40d I/F
400e バス
41 入出力装置
42 ビデオ取込装置
43 画像サンプリング装置
44 画像変換装置
45 ポインタ位置算出装置
46 更新装置
47 テキスト抽出装置
48 データベース
49 バス
、It−1 表示画像
差分画像
Pt ポインタ
AR ポインタ候補領域
Tx テキスト情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示用信号を取得する取得手段と、
前記画像表示用信号を一定周期で連続して抽出する抽出手段と、
前記画像表示用信号を、該画像表示用信号に応じた表示画像に変換する変換手段と、
連続する前記表示画像から差分画像を生成して2値化し、差分値が存在する領域をポインタが占めるポインタ候補領域として特定し、前記ポインタ候補領域のうち、差分画像の左上を基準とした場合における、当該基準から最も近いポインタ候補領域内の一部分をポインタの位置情報として記憶手段に記憶させるポインタ位置算出手段と、
を有することを特徴とする表示画像取得装置。
【請求項2】
前記ポインタ位置算出手段は、前記ポインタ候補領域が2箇所ある場合に、時刻毎にそれぞれのポインタの位置情報を記憶させることを特徴とする請求項1に記載の表示画像取得装置。
【請求項3】
前記ポインタ位置算出手段は、2値化した結果得られる差分値の数がポインタの占める画素数の2倍より大きい場合に、その時刻におけるポインタの位置を算出する処理を中止することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示画像取得装置。
【請求項4】
前記ポインタ位置算出手段は、前記ポインタ候補領域が3箇所以上ある場合に、その時刻におけるポインタの位置を算出する処理を中止することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示画像取得装置。
【請求項5】
前記ポインタ位置算出手段は、連続するポインタ候補領域のそれぞれに対してエッジ抽出処理を行い、当該抽出処理による互いのエッジ形状の類似度が低い場合に、ポインタの位置を算出する処理を中止することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示画像取得装置。
【請求項6】
前記ポインタ位置算出手段は、前記エッジ形状を整形してポインタの形状を記憶させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示画像取得装置。
【請求項7】
コンピュータを、
画像表示用信号を取得する取得手段と、
前記画像表示用信号を一定周期で連続して抽出する抽出手段と、
前記画像表示用信号を、該画像表示用信号に応じた表示画像に変換する変換手段と、
連続する前記表示画像から差分画像を生成して2値化し、差分値が存在する領域をポインタが占めるポインタ候補領域として特定し、前記ポインタ候補領域のうち、差分画像の左上を基準とした場合における、当該基準から最も近いポインタ候補領域内の一部分をポインタの位置情報として記憶手段に記憶させるポインタ位置算出手段として機能させることを特徴とする表示画像取得プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−26262(P2009−26262A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191685(P2007−191685)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】