説明

表示画面設計支援装置及びプログラム

【課題】画面設計時に作成した表示画面を操作したときの操作性を確認可能にし、実使用時の操作状態を確認しながら画面作成を行えるようにする。
【解決手段】シミュレーション表示処理部51は、プログラマブル操作表示器の表示部の機種ごとの画面情報(画面サイズ、解像度、1ピクセルサイズ等)を含む表示器画面情報53、操作用端末のモニタの画面情報を含む端末モニタ画面情報54、表示画面を操作する操作部の形態情報を含む表示器操作部情報55、及び作成した表示画面上のオブジェクトに関するオブジェクト情報52に基づき、シミュレーション表示画面において、実際の表示状態を示す表示画面の上に操作部の画像を重ねてこれらを実サイズで表示した実操作画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル操作表示器等の表示装置における表示画面の設計を支援する表示画面設計支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場、店舗、オフィス等の種々の施設に設けられる機械や設備等において、中間ユーザによって取り付けられ、エンドユーザによって操作表示パネルとして使用されるプログラマブル操作表示器が広く用いられている。プログラマブル操作表示器は、LCD等の表示デバイスの上にタッチパネル等の操作入力デバイスを搭載した表示部を備えており、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の外部機器と接続され、外部機器の操作、動作状況の表示などを行うものである。
【0003】
この種のプログラマブル操作表示器として、表示デバイス及び操作入力デバイスを有する表示部の他に、オペレーションシステムプログラムを格納したシステムメモリ、オペレーションシステムプログラムに基づいてシステム全体を制御する制御部、外部機器と接続されその外部機器との間でデータを送受信する通信部、表示部の表示画面の設定情報を記憶する設定記憶メモリ等を備えたものが存在する(例えば、特許文献1参照)。表示部の表示画面には、設定情報に基づいて、外部機器操作用の操作ボタンや操作スイッチ等の操作部材、各種表示用の文字や画像等の表示シンボルなどが表示される。表示画面の操作部材などの表示領域を触れることにより、表示画面上の操作入力デバイス及び制御部によって操作部材に対応する操作入力信号が生成され、通信部より出力されて外部機器へ伝送される。
【0004】
上記プログラマブル操作表示器等の表示装置の表示画面は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ上で動作し実行される設計支援ツール等により構成される表示画面設計支援装置を用いて行うことが多い。例えばプログラマブル操作表示器を使用する場合、設置する中間ユーザは、設計者として表示画面設計支援装置にて表示画面の設計を行い、表示画面の表示項目として、操作部材や表示シンボル等に関する設定内容や設定条件を含む設定情報を決定する。設計完了後、表示画面の設定情報をコンピュータからプログラマブル操作表示器に転送し、プログラマブル操作表示器の設定記憶メモリに記憶させる。エンドユーザが使用者として使用する場合、プログラマブル操作表示器は設定情報に基づいて動作し、表示画面の表示内容を確認したり、所定の操作を行うことが可能になる。
【0005】
表示画面設計支援装置を構成する設計支援ツールは、ライン描画や色指定などの描画機能に加え、表示画面に設ける操作部材や表示シンボル等を入力するための様々なオブジェクトライブラリを持っている。オブジェクトライブラリには、スイッチ部品、ランプ部品、キーボード部品、グラフ部品などの各種オブジェクトを準備している。これらのオブジェクトは、表示画面の設計時において、設計者の指示に基づき必要に応じて選択、配置され、そのパラメータ等を含む設定情報が作成される。そして、設計した表示画面を持つプログラマブル操作表示器等の表示装置の運用時には、設定情報のパラメータに基づき、表示画面の各オブジェクトが所定の機能を実現する。
【0006】
上記のような表示画面設計支援装置において、作成した表示画面の動作を端末上で確認するためのシミュレーション機能は存在している。しかし、従来のシミュレーション機能では、スイッチを押した時の動作や表示の切り替わりなど、作成した画面の動きを確認することができるのみであった。このため、実際に表示画面を操作したときの各オブジェクトの配置、実操作時に生じるオブジェクトの間隔や位置等の不具合など、表示画面の実際の操作時の状態を確認することができなかった。例えば、実際に操作者が表示画面上のスイッチを押すときに操作する手や指によって視覚が遮られ、必要な情報を見ながら操作するのが困難な場合がある。
【0007】
表示装置における操作部の大きさ表示機能としては、例えば、特許文献2には対象画像と大きさが既知の人間の手を同一画面上に配置することで、対象画像の物の大きさを認識できる画面表示装置が開示されている。また、特許文献3には、利き腕判定または入力操作によって、写真プリント時の出力画面指示操作がし易いよう、操作ボタンを配置する画像出力装置が開示されている。また、特許文献4には、画面サイズとピクセル数から単位サイズあたりのピクセル数を計算し、実際の大きさを表示するCAD表示装置の図形処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−45110号公報
【特許文献2】特開2003−242495号公報
【特許文献3】特開2004−252715号公報
【特許文献4】特開2004−280271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来の表示画面設計支援装置のシミュレーション機能では、作成した表示画面を実際に操作したときの状態を確認することができなかった。それゆえ、設計者が表示画面の文字やスイッチなどの配置、サイズなどを実感しながら画面作成することができなかった。このため、作成した表示画面の動作をチェックする場合、実際にプログラマブル操作表示器等の表示画面を操作して確認するなどの方法が採られるが、表示画面のデザインを考えたときに、各オブジェクトの操作がやりにくかったり、操作したときに各オブジェクトが見易い配置になっていないなどの問題が確認されることがあった。よって、従来では、設計者が表示画面を再度作成し直して調整するなどの手間がかかるなどの課題が生じていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、画面設計時に作成した表示画面を操作したときの操作性を確認でき、実使用時の操作状態を確認しながら画面作成を行うことが可能な表示画面設計支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表示装置における表示画面の設計に用いる表示画面設計支援装置であって、作成した表示画面を前記表示装置において表示した場合の表示状態を模擬的に示すシミュレーション表示画面を生成し出力するシミュレーション表示処理部を備え、前記シミュレーション表示処理部は、前記表示装置の表示部の機種ごとの画面情報を含む表示器画面情報を入力する表示器画面情報入力部と、前記表示画面上のオブジェクトに関するオブジェクト情報を入力するオブジェクト情報入力部と、前記表示画面を操作する操作部の形態情報を含む表示器操作部情報を入力する表示器操作部情報入力部と、前記表示装置において表示した場合の前記表示画面の画像を示す画面データを設定する画面データ設定部と、前記操作部の画像を示す操作部データを設定する操作部データ設定部と、前記表示画面の上に前記操作部の画像を重ねて表示した実操作画面を含むシミュレーション表示画面を出力するシミュレーション表示画面出力部と、を有する表示画面設計支援装置を提供する。
この構成により、使用が想定される表示部の機種を選択する表示器選択情報を入力することで、作成した表示画面上に操作部画像を重ねて表示器使用時の状態を実現した実操作画面をシミュレーション表示でき、設計者が実使用時の操作状態を確認しながら画面作成を行うことが可能になる。また、操作部を表示画面上で自由に移動させて実際に表示画面のオブジェクトを操作した状態を再現するなど、擬似的な操作状態のシミュレーションを行うことも可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記シミュレーション表示処理部は、さらに、自装置の表示モニタの画面情報を含む端末モニタ画面情報を入力する端末モニタ画面情報入力部と、前記表示器画面情報及び前記端末モニタ画面情報に基づき、前記表示装置において表示した場合の前記表示画面及び前記操作部を自装置の表示モニタ上に実サイズで表示するための拡大・縮小率を算出する拡大率算出部とを有し、前記画面データ設定部は、前記算出した拡大・縮小率に基づく実サイズ表示の画面データを設定するもので、前記操作部データ設定部は、前記算出した拡大・縮小率に基づく実サイズ表示の操作部データを設定するものを含む。
この構成により、使用が想定される表示部の機種を選択する表示器選択情報と、画面設計時に用いている表示モニタの機種を選択する端末モニタ選択情報とを入力することで、作成した表示画面と操作部とを表示器使用時の実寸法で表示した実サイズ表示の実操作画面をシミュレーション表示できる。
【0013】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記画面データ設定部は、前記表示画面を任意のサイズで表示する画面データを設定するもので、前記操作部データ設定部は、前記操作部を前記表示画面のサイズに合わせて表示するための相対サイズ表示の操作部データを設定するものを含む。
この構成により、作成した表示画面を任意のサイズで表示し、表示画面のサイズに合わせて操作部を相対サイズ表示した実操作画面をシミュレーション表示できる。
【0014】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記シミュレーション表示処理部は、さらに、前記操作部の種別を示す操作部選択情報を入力する操作部選択情報入力部を有し、前記操作部データ設定部は、前記操作部選択情報に応じた操作部の画像を示す操作部データを設定するものを含む。
この構成により、使用が想定される操作部を選択する操作部選択情報を入力することで、使用される操作部に応じた操作時の表示状態、操作性などを確認しながら、表示画面の作成が可能になる。
【0015】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記操作部データ設定部は、前記操作部の画像として操作者の手の画像を用い、前記操作部選択情報に応じたサイズの手を示す操作部データを設定するものを含む。
この構成により、大人、子供、外国人、男性、女性などの様々な操作者を考慮して、想定される操作者の手に応じた操作時の表示状態、操作性などを確認しながら、表示画面の作成が可能になる。また、表示画面上に表示させる手のサイズを自由に変更してシミュレーションを行うなど、異なる操作部による操作状態を確認することも可能である。
【0016】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記操作部データ設定部は、前記操作部の画像として操作者の手の画像を用い、前記操作部選択情報に応じた右手または左手を示す操作部データを設定するものを含む。
この構成により、右利き、左利きなどそれぞれの利き腕を持つ操作者を考慮して、想定される操作者の利き腕に応じた操作時の表示状態、操作性などを確認しながら、表示画面の作成が可能になる。
【0017】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記操作部データ設定部は、前記操作部選択情報として操作部の画像データを入力し、入力した画像データを用いて操作部データを設定するものを含む。
この構成により、手だけでなく、ペン操作や手袋の装着状態での操作など、手以外の様々な操作物も考慮して、操作部の画像データをユーザが任意に取り込んで表示することができ、想定される様々な操作部に応じた操作時の表示状態、操作性などを確認しながら、表示画面の作成が可能になる。
【0018】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記シミュレーション表示処理部は、さらに、前記表示装置の使用時における操作位置を示す操作位置情報を入力する操作位置情報入力部と、前記操作位置情報に基づき、操作位置に応じた角度で見た状態を示す視認状態表示画面を表示するための補正量を算出する表示画面補正部とを有し、前記シミュレーション表示画面出力部は、操作位置に応じた使用時の視認状態に補正した視認状態表示画面及び操作部画像を含むシミュレーション表示画面を出力するものを含む。
この構成により、表示装置の使用時の操作位置情報として、操作者の視認位置を示す視認位置情報、表示部の設置位置を示す取付位置情報などを入力することで、実使用状態での操作者から見た角度での視認状態表示画面及び操作部画像をシミュレーション表示できる。よって、操作位置に応じた表示画面と操作部との配置関係、見え方などを確認でき、正面以外の位置から操作することを考慮した画面イメージ、及びその操作性を確認することが可能になる。
【0019】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記シミュレーション表示処理部は、前記シミュレーション表示画面を録画する表示画面録画部と、前記録画したシミュレーション表示画面の動画データを出力する動画データ出力部と、を有するものを含む。
この構成により、シミュレーション表示画面を録画した動画の説明用コンテンツ情報を得ることが可能であり、作成した表示画面に関する動画のマニュアル等として活用することができるようになる。したがって、表示画面の説明をするための動画の操作マニュアル等を容易に作成して提供することが可能であり、表示画面の画面作成から説明用コンテンツ作成までの作業の効率化を図ることができ、説明用コンテンツの作成にかかる時間短縮、処理手順の簡略化を実現可能となる。
【0020】
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記シミュレーション表示処理部は、さらに、前記動画データに対する説明用のテキスト情報を入力して付加するテキスト情報付加部を有するものを含む。
また、本発明は、上記の表示画面設計支援装置であって、前記シミュレーション表示処理部は、さらに、前記動画データに対する説明用の音声情報を入力して付加する音声情報付加部を有するものを含む。
この構成により、シミュレーション表示画面を録画した動画データに対して、説明用のテキスト情報、音声情報を付加することが可能であり、画像データとテキスト情報、音声情報が組み合わされた動画データの説明用コンテンツ情報を生成出力することができるようになる。
【0021】
また、本発明は、コンピュータに、上記いずれかに記載の表示画面設計支援装置の各部の機能を実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画面設計時に作成した表示画面を操作したときの操作性を確認でき、実使用時の操作状態を確認しながら画面作成を行うことが可能な表示画面設計支援装置及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る表示画面設計支援装置及びプログラマブル操作表示器の概略構成を示す模式図
【図2】本実施形態に係る表示画面設計支援装置及びプログラマブル操作表示器を実現する各部の機能的構成を示すブロック図
【図3】本実施形態の表示画面設計支援装置に搭載される表示画面設計支援ツールの動作画面を示す図
【図4】本実施形態の表示画面設計支援ツールの概念的構成を示すブロック図
【図5】第1の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャート
【図6】実サイズデータ作成処理の手順を示すフローチャート
【図7】拡大率算出処理の手順を示すフローチャート
【図8】シミュレーション表示画面における操作部の実サイズ表示の表示例を示す図
【図9】第2の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャート
【図10】第3の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャート
【図11】シミュレーション表示画面における操作部及び操作部選択画面の表示例を示す図
【図12】第4の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャート
【図13】シミュレーション表示画面における実使用時の視認状態の表示例を示す図
【図14】第5の実施形態におけるシミュレーション表示画面出力機能の処理手順を示すフローチャート
【図15】シミュレーション表示画面の録画機能の操作画面の第1例を示す図
【図16】シミュレーション表示画面の録画機能の操作画面の第2例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態では、表示画面設計支援装置及びプログラムの一例として、表示装置として用いられるプログラマブル操作表示器の表示部の表示画面に対応し、この表示画面の設計を支援する装置の構成、機能、及びその動作について説明する。本実施形態の表示画面設計支援装置及びプログラムは、プログラマブル操作表示器と接続されるコンピュータにおいて動作する表示画面設計支援ツールを有して構成される。
【0025】
図1は本実施形態に係る表示画面設計支援装置及びプログラマブル操作表示器の概略構成を示す模式図、図2は本実施形態に係る表示画面設計支援装置及びプログラマブル操作表示器を実現する各部の機能的構成を示すブロック図である。
【0026】
表示画面設計支援装置に搭載される表示画面設計支援ツールは、コンピュータとしてのパーソナルコンピュータ(PC)10において動作し特定の機能を実現するプログラムによって構成される。図1に示すように、設計入力操作用の端末となるパーソナルコンピュータ10は、コンピュータ本体11とモニタ12とを有して構成され、表示画面設計支援ツールの動作画面がモニタ12上に表示される。このパーソナルコンピュータ10は、通信ケーブル20を介してプログラマブル操作表示器30と接続され、表示画面設計支援ツールにより設計した表示画面の設定情報をプログラマブル操作表示器30に伝送して記憶させる。なお、通信ケーブル20の代わりに、図示しないメモリカード等の記憶媒体を用いて、設計した表示画面の設定情報をプログラマブル操作表示器30に転送することも可能である。
【0027】
図2に示すように、コンピュータ本体11には、各種処理を行うプロセッサとしてのCPU13、動作時のプログラムやデータを記憶するメモリ14、表示画面設計支援ツール15を含む各種プログラムやデータを格納するハードディスクやシリコンディスク等からなる情報格納部16、モニタ12に対する出力を中継する表示インタフェース17、通信ケーブル20と接続されプログラマブル操作表示器30との間でデータを送受信する通信インタフェース18、キーボードやマウス等の操作デバイスによる操作部25と接続され操作入力信号を中継する操作インタフェース19が設けられている。一方、プログラマブル操作表示器30には、表示デバイスと操作入力デバイスとを有してなる表示部31、オペレーションシステムプログラムを格納したシステムメモリ32、オペレーションシステムプログラムに基づいてシステム全体を制御する制御部33、通信ケーブル20と接続されパーソナルコンピュータ10との間でデータを送受信する通信部34、表示部31の表示画面の設定情報を記憶する設定記憶メモリ35が設けられている。表示部31は、表示デバイスとしてのLCD36と操作入力デバイスとしてのタッチパネル37とを有して構成される。
【0028】
図3は本実施形態の表示画面設計支援装置に搭載される表示画面設計支援ツールの動作画面を示す図である。パーソナルコンピュータ10において表示画面設計支援ツール15が動作したとき、モニタ12には動作画面として設計画面41などが表示される。設計画面41は、表示画面のオブジェクトの配置や色設定等を行うものであり、設計者が各種部品等の配置オブジェクト42を適宜配置して表示画面の設計を行うものである。設計画面41の右側には、表示画面に用いる操作部材等の各種のオブジェクト44が配列されたオブジェクトライブラリ画面43が表示される。設計者はオブジェクトライブラリ画面43内のオブジェクト44を適宜選択して設計画面41に配置し、オブジェクトの位置、大きさ、色等の設定を行う。
【0029】
図4は本実施形態の表示画面設計支援ツールの概念的構成を示すブロック図である。表示画面設計支援ツール15は、各機能を実現する概念的構成として、シミュレーション表示処理部51、オブジェクト情報52、表示器画面情報53、端末モニタ画面情報54、表示器操作部情報55を有している。
【0030】
シミュレーション表示処理部51は、操作部25の指示操作による操作入力信号等に基づき、作成された表示画面のシミュレーション表示に関する各種処理を行う。この際、作成された表示画面情報、実際に使用するプログラマブル操作表示器30の表示部の機種、仕様等の選択情報を含む表示器選択情報、操作用端末となるパーソナルコンピュータ10のモニタ12の機種、仕様等の選択情報を含む端末モニタ選択情報、プログラマブル操作表示器30を操作する操作者の手等の選択情報を含む操作部選択情報、プログラマブル操作表示器30の操作者の位置等の情報を含む操作位置情報などを入力する。そして、シミュレーション表示処理部51は、シミュレーション表示画面を生成して出力し、パーソナルコンピュータ10のモニタ12上にシミュレーション表示画面を表示させ、操作者の手等及び表示画面を含む実際の操作時の状態を示す表示器画面を模擬的に表現する。設計者は、このシミュレーション表示画面を見て実使用状態での表示画面を確認することができる。
【0031】
オブジェクト情報52は、オブジェクトライブラリとしてプログラマブル操作表示器30の表示画面に用いる各種オブジェクトの情報を有する。表示画面の設計時には、上記オブジェクトライブラリ画面43の表示情報を出力し、モニタ12にオブジェクトライブラリ画面を表示させる。またこの際、オブジェクト情報52の中から設計者の指示によって指定されたオブジェクトの情報を出力する。オブジェクトとしては、スイッチ部品、ランプ部品、キーボード部品、グラフ部品などとともに、文字や画像等のキャラクタ部品を含むものとし、オブジェクト情報52にはこれらのオブジェクトの形状等の情報が格納される。そして、設計者の指示によって選択されたオブジェクトの配置位置、大きさ、色等のパラメータが設定される。
【0032】
表示器画面情報53は、予め表示画面設計支援ツール15に登録された、表示画面作成可能なプログラマブル操作表示器30の機種に対して、各機種の表示部の画面情報(画面サイズ、解像度、1ピクセルサイズ等)を有する。シミュレーション表示の際には、表示器画面情報53の中から設計者の指示によって選択、登録された機種の表示部の画面情報を出力する。
【0033】
端末モニタ画面情報54は、この表示画面設計支援ツール15を動作させる操作用端末のモニタ12の画面情報(画面サイズ、解像度、1ピクセルサイズ等)を有する。実サイズでのシミュレーション表示の際には、端末モニタ画面情報54の中から予め設定、登録された使用モニタの画面情報を出力する。
【0034】
表示器操作部情報55は、プログラマブル操作表示器30を操作する操作者の手、あるいはスタイラスペンなどの操作部の形態情報(形、サイズ等)を有する。操作者の手としては、様々な操作者(大人、子供、外国人、男性、女性など)を考慮して、標準サイズ、小型サイズ、大型サイズなどの複数サイズの手を表現可能なように複数種類の操作部情報を持つようにする。また、右利き、左利きなどを考慮して右手と左手の操作部情報を備える、あるいは、手袋の装着状態の操作部情報を備えるなど、各種の手またはその他の操作部情報を持つようにしてもよい。なお、1つの手の操作部情報を元にサイズや向きなどを変更し、複数の手のサイズや右手、左手などの各種操作部情報を生成して出力することも可能である。実操作状態のシミュレーション表示の際には、表示器操作部情報55の中から設計者の指示によって選択、登録された操作部の形態情報を出力する。
【0035】
本実施形態では、シミュレーション表示画面を作成する際、表示器画面情報53、端末モニタ画面情報54及び表示器操作部情報55を用いて、プログラマブル操作表示器30の実際の使用時の操作状態を示す実操作画面として、実操作状態での表示画面を実サイズで表示し、この表示画面上に操作者の手等の操作部を合わせて表示する。
【0036】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る表示画面設計支援装置の第1の実施形態として、シミュレーション表示における実操作シミュレーション機能について説明する。表示画面設計支援ツール15は、シミュレーション表示処理部51により、作成した表示画面やオブジェクトのピクセル数と、予め登録されている表示器画面情報(表示器の1ピクセルサイズ)及び端末モニタ画面情報(モニタの1ピクセルサイズ)とに基づき、実際の表示状態における拡大・縮小率を算出し、モニタ12上のシミュレーション表示画面において実サイズで表示する。また、予め準備された手の画像をモニタ12上で実寸サイズに表示し、表示画面に重ね合わせて表示させる。以降の実施形態では、操作部として手の指を用いる場合の例を説明する。この際、作成した表示画面に対して、入力操作を行う操作部(指先)の形態を示す画像情報を付加して表示し、操作用端末であるパーソナルコンピュータ10に接続されるマウス等の入力に対応して動作させて、表示画面の実操作シミュレーションを行う。これにより、実使用状態での表示画面及び操作部の実サイズ表示を行った実操作画面を実現し、設計者において、この実操作画面を確認可能にする。
【0037】
ここで、シミュレーション表示処理部51は、表示装置の表示部の機種ごとの画面情報を含む表示器画面情報を入力する表示器画面情報入力部、自装置の表示モニタの画面情報を含む端末モニタ画面情報を入力する端末モニタ画面情報入力部、表示画面上のオブジェクトに関するオブジェクト情報を入力するオブジェクト情報入力部、表示画面を操作する操作部の形態情報を含む表示器操作部情報を入力する表示器操作部情報入力部、表示装置において表示した場合の表示画面の画像を示す画面データを設定する画面データ設定部、表示画面及び操作部を自装置の表示モニタ上に実サイズで表示するための拡大・縮小率を算出する拡大率算出部、操作部の画像を示す操作部データを設定する操作部データ設定部、表示画面の上に操作部の画像を重ねて表示した実操作画面を含むシミュレーション表示画面を出力するシミュレーション表示画面出力部の各機能を有している。
【0038】
図5は第1の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャートである。シミュレーション表示処理部51は、作成した表示画面情報を入力し、表示画面を実サイズ表示するための画面データを作成する実サイズ画面データ作成処理を行う(ステップS11)。次に、実際に使用される操作部の形態を示す表示器操作部情報55を入力し、操作部を実サイズ表示するための操作部データを作成する実サイズ操作部データ作成処理を行う(ステップS12)。これらの実サイズ画面データ作成処理、実サイズ操作部データ作成処理の詳細については後で説明する。
【0039】
そして、シミュレーション表示処理部51は、実サイズ画面データと実サイズ操作部データとを合成し(ステップS13)、表示画面及び操作部を実サイズで表示する実操作画面をシミュレーション表示画面において表示する(ステップS14)。
【0040】
図6は実サイズデータ作成処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、実サイズの表示画面の画像データを作成する実サイズ画面データ作成処理と、実サイズの操作部の画像データを作成する実サイズ操作部データ作成処理とをまとめて実サイズデータ作成処理として説明する。実サイズデータ作成処理では、まず自端末の端末モニタ画面情報54を入力する(ステップS21)。なお、端末モニタ画面情報54は、表示画面設計支援ツール15を動作させる端末のモニタの画面情報(画面サイズ、解像度、1ピクセルサイズ等)を予め登録しておく。端末モニタ画面情報54としては、モニタ12のピクセルサイズ情報などを用いるが、これに限らず、モニタの画面サイズと解像度によってもピクセルサイズを算出可能であるので、これらの情報を用いてもよい。そして、表示器選択情報に基づき、使用機種として予め設定登録されたプログラマブル操作表示器30の機種を判定し(ステップS22)、表示器画面情報53を用いて、実際に使用されるプログラマブル操作表示器30の機種に応じた1ピクセル実寸値Pixを設定する。ここで、プログラマブル操作表示器30の機種がタイプAの場合、例えば1ピクセルの実寸値としてPix=0.1をセットする(ステップS23)。また、プログラマブル操作表示器30の機種がタイプBの場合、例えば1ピクセルの実寸値としてPix=0.2をセットする(ステップS24)。同様に、プログラマブル操作表示器30の機種がタイプNの場合、例えば1ピクセルの実寸値としてPix=Xnをセットする(ステップS25)。その後、シミュレーション表示処理部51は、拡大率算出処理を実行し、実サイズ表示のための拡大・縮小率を算出する(ステップS26)。そして、算出した拡大・縮小率を用いて、表示画面情報を基にした実サイズ画面データ、表示器操作部情報を基にした実サイズ操作部データをそれぞれ作成する(ステップS27)。
【0041】
図7は拡大率算出処理の手順を示すフローチャートである。拡大率算出処理では、端末モニタ選択情報及び表示器選択情報に基づいて設定された端末モニタと表示器の組み合わせにおいて、まず自端末のモニタ12で表示画面を実寸で表示した場合の画面ピクセル数、すなわち使用する表示器の表示画面の画面サイズが端末モニタ上で何ピクセルで表示させることが可能かを算出する(ステップS31)。この際、(実寸サイズをモニタ上で表示する場合の画面ピクセル数)=(表示器ピクセル数)×(表示器の1ピクセルサイズ)/(端末モニタの1ピクセルサイズ)により、表示器画面情報53と端末モニタ画面情報54とからモニタ上での表示画面の実サイズ表示の画面ピクセル数を算出する。そして、使用する表示器の表示画面の解像度と前記算出した端末モニタ上で表現する場合の画面ピクセル数との比を求めて、モニタ12上で実サイズ表示を行うための拡大・縮小率を算出する(ステップS32)。この際、(拡大・縮小率)=(実寸サイズをモニタ上で表示する場合の画面ピクセル数)/(表示器ピクセル数)により、上記算出結果から実寸サイズでの表示を実現する拡大または縮小の倍率を算出する。そして、算出した拡大・縮小率に基づき、作成した表示画面の各オブジェクトのピクセル数をモニタ12上で実寸で表示する場合のピクセル数を算出する(ステップS33)。この際、(端末モニタで実寸表示する場合のオブジェクトのピクセル数)=(オブジェクトのピクセル数)×(拡大・縮小率)により、上記算出結果とオブジェクト情報52、表示器操作部情報55とからモニタ上での対象オブジェクト及び操作部の実サイズ表示のピクセル数を算出する。
【0042】
図8はシミュレーション表示画面における操作部の実サイズ表示の表示例を示す図である。モニタ12上のシミュレーション表示画面には実サイズ表示画面61が表示され、この実サイズ表示画面61上に操作者の手を示す操作部画像62が表示される。これにより、実際の使用状態のサイズで実現された表示画面と操作部がモニタ12において表示され、実際の操作状態が模擬的に表現される。なお、第1の実施形態では、プログラマブル操作表示器30の表示部31の表示画面を正面から見た状態を示す正面画像が表示されるものとする。この実操作画面によって、スイッチ等を操作した時に見えない部分が確認できる。また、実操作画面の表示を見ながら、操作する場合に各オブジェクトが適切な配置かどうかの確認ができる。
【0043】
上述したように、端末モニタ上のシミュレーション表示画面において実サイズによって作成した表示画面及び表示画面上の操作部を表示することにより、表示画面設計支援ツール15を使用する設計者は、実際に使用するプログラマブル操作表示器30において操作する際の表示画面や操作部の実寸表示、表示画面と操作部との配置関係などを確認できる。これによって、操作時の表示状態、操作性などを把握することが可能になる。したがって本実施形態によれば、実際に表示画面を操作した時の操作性をシミュレーションすることができ、画面作成段階で操作性も考慮した表示画面の作成が可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る表示画面設計支援装置の第2の実施形態として、実操作シミュレーション機能の第2例について説明する。第2の実施形態では、作成した表示画面の表示を実サイズに限らず任意の大きさとし、予め準備された手の画像を表示画面の大きさに合わせた相対サイズで表示し、表示画面に重ね合わせて表示させる。これにより、表示画面の表示サイズに合わせた操作時の操作部の相対サイズ表示を行った実操作画面を実現し、設計者において、この実操作画面を確認可能にする。
【0045】
図9は第2の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャートである。シミュレーション表示処理部51は、作成した表示画面情報を入力し、表示画面を所定のサイズで表示するための画面データを作成する画面データ作成処理を行う(ステップS41)。次に、実際に使用される操作部の形態を示す表示器操作部情報55を入力し、操作部を表示画面のサイズに合わせて表示するための操作部データを作成する操作部データ作成処理を行う(ステップS42)。この操作部データ作成処理では、プログラマブル操作表示器30の画面サイズに対する操作部(操作者の手など)のサイズを取得または算出し、所定の拡大・縮小率でサイズ調整を行った操作部データを作成する。
【0046】
そして、シミュレーション表示処理部51は、表示画面の画面データと操作部の操作部データとを合成し(ステップS43)、表示画面及び操作部を所定のサイズで表示する実操作画面をシミュレーション表示画面において表示する(ステップS44)。
【0047】
このように表示画面の大きさに合わせて操作部を表示することにより、表示画面設計支援ツール15を使用する設計者は、実際に使用するプログラマブル操作表示器30において操作する際の表示画面や操作部の配置、寸法等の関係を確認し、操作時の表示状態、操作性などを把握することが可能になる。
【0048】
(第3の実施形態)
本実施形態に係る表示画面設計支援装置の第3の実施形態として、実操作シミュレーション機能の第3例について説明する。第3の実施形態では、作成した表示画面上に表示する操作部を任意に選択して表示可能にする。これにより、想定される操作者などを考慮して選択された操作部を表示し、実使用状態での表示画面及び操作部の実サイズ表示を行った実操作画面を実現し、設計者において、この実操作画面を確認可能にする。なお、実サイズ表示に限らず、第2の実施形態と同様に、選択された操作部を表示画面の大きさに合わせた相対サイズ表示で表示することも可能である。
【0049】
ここで、シミュレーション表示処理部51は、操作部の種別を示す操作部選択情報を入力する操作部選択情報入力部、操作部選択情報に応じた操作部の画像を示す操作部データを設定する操作部データ設定部の各機能を有している。
【0050】
図10は第3の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、前述した第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。シミュレーション表示処理部51は、第1の実施形態と同様にステップS11の実サイズ画面データ作成処理を行い、その後、操作部選択情報を入力して表示する操作部の種類を判定する(ステップS51)。以下、操作部の選択に関する複数の手順の例(1)〜(3)を示す。
【0051】
第1の手順(1)では、操作者の手などの操作部の選択、設定を行う(ステップS52)。この場合、シミュレーション表示処理部51において、設計者の指示操作に基づく操作部選択情報を入力し、表示器操作部情報55に予め準備された複数の手の画像イメージから、選択された手の画像イメージを操作部のシミュレーション用の画像データとして設定する。この際、大人、子供、外国人、男性、女性など、操作者のタイプを入力したり、あるいは、大、中、小などの手のサイズを入力するなどして、標準サイズ、小型サイズ、大型サイズ等の操作部のサイズを設定する。
【0052】
第2の手順(2)では、操作者の手などの操作部の選択、設定を行った後(ステップS53)、利き腕(右利き、左利き)の選択、設定を行い(ステップS54)、利き腕の設定に応じて操作部画像の反転処理を行う(ステップS55)。この場合、シミュレーション表示処理部51において、設計者の指示操作に基づく操作部選択情報を入力し、上記と同様に表示器操作部情報55に予め準備された複数の手の画像イメージから、選択された手の画像イメージを設定し、利き腕の選択に応じて反転処理を行って操作部のシミュレーション用の画像データを決定する。なお、反転処理を行う代わりに、右手と左手のそれぞれの操作部画像を用意して選択するようにしてもよい。
【0053】
第3の手順(3)では、設計者が準備した操作部の画像データを取り込み(ステップS56)、取り込んだ画像データのサイズ調整処理を行う(ステップS57)。この場合、シミュレーション表示処理部51において、操作部選択情報として取得した操作部の画像データを入力する。そして、取り込んだ画像データを自装置で予め準備している操作部の画像データと同様に取り扱えるように、画像サイズを調整し、操作部のシミュレーション用の画像データを設定する。
【0054】
そして、シミュレーション表示処理部51は、第1の実施形態と同様にステップS12の実サイズ操作部データ作成処理を行い、選択された操作部を実サイズ表示するための操作部データを作成する。その後、シミュレーション表示処理部51は、実サイズ画面データと実サイズ操作部データとを合成し、表示画面及び操作部を実サイズで表示する実操作画面をシミュレーション表示画面において表示する。
【0055】
図11はシミュレーション表示画面における操作部及び操作部選択画面の表示例を示す図である。モニタ12上のシミュレーション表示画面には実サイズ表示画面71が表示され、この実サイズ表示画面71上に選択された操作者の手を示す操作部画像72が表示される。これにより、実際の使用状態のサイズで実現された表示画面とともに、選択された操作部が実サイズでモニタ12において表示され、実際の操作状態が模擬的に表現される。また、シミュレーション表示画面の下部には、操作部選択画面73を表示している。この操作部選択画面73において、表示器操作部情報55として予め準備された複数の手の画像を表示することで、設計者が操作状態をシミュレーションをするための操作部画像を適宜選択できる。
【0056】
上述したように、端末モニタ上のシミュレーション表示画面において実サイズによって作成した表示画面とともに、実使用時に想定される操作部を表示画面上に表示することにより、表示画面設計支援ツール15を使用する設計者は、実際に使用するプログラマブル操作表示器30において操作する際の表示画面や操作部の実寸表示、表示画面と操作部との配置関係などを確認できる。これによって、使用される操作部に応じた操作時の表示状態、操作性などを把握することが可能になる。したがって本実施形態によれば、さまざまな人の手(大人、子供、外国人、男性、女性など)で操作した場合を考慮した表示画面の作成が可能になる。また、右利き、左利きなどそれぞれの利き腕の人が操作した場合を考慮した表示画面の作成が可能になる。また、手やペンなどの操作部の画像データをユーザが任意に取り込んで表示することができ、様々な操作部に対応して考慮した表示画面の作成が可能になる。すなわち本実施形態では、様々な操作部を用いる場合の操作性を確認でき、実際に使われる操作部に応じた操作性の良好な表示画面の作成が可能となる。
【0057】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る表示画面設計支援装置の第4の実施形態として、実操作シミュレーション機能の第4例について説明する。第4の実施形態では、シミュレーション表示処理部51において、実使用状態での操作者の操作位置(操作者の視認位置、プログラマブル操作表示器の取付位置など)を入力して、実際に視認する角度での表示画面の表示状態を算出し、モニタ12上のシミュレーション表示画面において実表示状態を擬似的に再現して表示する。また、操作部の画像についても、操作位置を考慮した画像を重ね合わせて表示し、実際の操作状態を擬似的に再現する。これにより、設計者において実使用状態での使用者から見た角度での表示画面及び操作部の実サイズ表示を行った実操作画面を実現し、設計者において、この実操作画面を確認可能にする。
【0058】
ここで、シミュレーション表示処理部51は、表示装置の使用時における操作位置を示す操作位置情報を入力する操作位置情報入力部、操作位置に応じた角度で見た状態を示す視認状態表示画面を表示するための補正量を算出する表示画面補正部、操作位置に応じた使用時の視認状態に補正した視認状態表示画面及び操作部画像を含むシミュレーション表示画面を出力するシミュレーション表示画面出力部の各機能を有している。
【0059】
図12は第4の実施形態における実操作シミュレーション機能の処理手順を示すフローチャートである。シミュレーション表示処理部51は、まずプログラマブル操作表示器30の使用時の操作者の位置等による操作位置情報を入力する(ステップS61)。操作位置情報としては、操作者の視認位置を示す視認位置情報、プログラマブル操作表示器30の設置位置を示す取付位置情報などを入力する。視認位置情報としては、表示画面に対する操作者の目の位置からの角度、表示画面を基準とした操作者の目の位置の座標などを用いる。取付位置情報としては、プログラマブル操作表示器の表示画面の高さ、操作者の目の位置から表示画面への距離、操作者の身長などを用いる。
【0060】
そして、第1の実施形態のステップS11と同様に実サイズ画面データ作成処理を行い(ステップS62)、ステップS61で入力した操作位置情報に基づき、操作位置に応じて補正した表示画面の画面データを作成する(ステップS63)。また、第1の実施形態のステップS12と同様に実サイズ操作部データ作成処理を行い(ステップS64)、ステップS61で入力した操作位置情報に基づき、操作位置に応じて補正した操作部の画面データを作成する(ステップS65)。なお、操作部の画像は、角度によって見える状態は大きく変化がないので、予め上下左右の各方向から見た操作部画像を準備しておき、操作位置に合わせて適応した画像を用いる。
【0061】
そして、シミュレーション表示処理部51は、実サイズ画面データと実サイズ操作部データとを合成し(ステップS66)、表示画面及び操作部を操作位置に応じた見え方で表現した実操作画面をシミュレーション表示画面において表示する(ステップS67)。
【0062】
例えば、表示画面を正面以外から見た場合の操作位置情報を用いた実操作シミュレーションの例を示す。図13はシミュレーション表示画面における実使用時の視認状態の表示例を示す図であり、(a)は斜視画像のシミュレーション表示画面を、(b)は斜視画像サイズの算出方法をそれぞれ示している。モニタ12上のシミュレーション表示画面には実使用時の視認状態に補正された視認状態表示画面81及び操作部画像82が表示され、実際の使用状態でのサイズ及び視認角度で実現された表示画面及び操作部がモニタ12において表示される。この例では、プログラマブル操作表示器30の表示部31の表示画面を斜め横から見た状態を示す斜視画像が表示される。この際、操作位置情報として、表示部31の表示画面に対する操作者の目の位置からの角度、あるいは表示部31の表示画面を基準とした操作者の目の位置の位置座標(α,β)などを入力し、その視認位置から見た斜視状態の表示画面及び操作部を演算により求めて擬似的に再現する。図13(b)のように、横幅方向の正面画像サイズWをW=1とし、斜視角度をθとした場合、斜視画像サイズWsはWs=√{1−(cosθ)2}により求められる。ここで、√{}は{}の平方根を表している。この斜視画像サイズWsによって斜視状態に補正した視認状態表示画面81及び操作部画像82を含むシミュレーション表示画面を生成する。
【0063】
このように操作位置に応じて、実使用状態での操作者から見た角度での表示画面及び操作部を実サイズで表示することにより、表示画面設計支援ツール15を使用する設計者は、実際に使用するプログラマブル操作表示器30において表示され操作者から見える状態での表示画面及び操作部を確認できる。これによって、操作位置に応じた表示画面と操作部との配置関係、見え方などを確認でき、操作時の表示状態、操作性などを把握することが可能になる。したがって本実施形態によれば、正面以外から操作する場合の操作を考慮した表示画面の作成が可能になる。
【0064】
(第5の実施形態)
本実施形態に係る表示画面設計支援装置の第5の実施形態として、シミュレーション表示画面の出力機能について説明する。第5の実施形態では、作成した表示画面の実操作シミュレーションを行う際に、実操作画面を録画した動画データをファイル等として出力する。シミュレーション表示画面の動画データは、画面操作を説明するための説明用コンテンツ情報の一例であり、モニタ等に再生表示することで操作マニュアル等として利用可能なものである。シミュレーション表示処理部51は、実使用状態での表示画面及び操作部の表示を行って実操作画面を実現し、表示画面上の各オブジェクトの動作を模擬的に実行させる。そして、このときの実操作画面の画像を動画データとして記録し、録画した動画データを動画ファイル等により出力する。
【0065】
ここで、シミュレーション表示処理部51は、シミュレーション表示画面を録画する表示画面録画部、録画したシミュレーション表示画面の動画データを出力する動画データ出力部、動画データに対する説明用のテキスト情報を入力して付加するテキスト情報付加部、動画データに対する説明用の音声情報を入力して付加する音声情報付加部の各機能を有している。
【0066】
図14は第5の実施形態におけるシミュレーション表示画面出力機能の処理手順を示すフローチャートである。シミュレーション表示処理部51は、設計者等からの指示入力に基づき、シミュレーション表示画面の動画データを作成するかどうかを判断する(ステップS71)。ここで、動画データを作成しない場合は、上記第1〜第4の実施形態で説明したような実操作シミュレーション機能の処理を実行し(ステップS72)、当該処理を終了する。一方、録画開始等の操作による動画データ作成の指示入力を受けた場合、シミュレーション表示処理部51は、録画処理を開始し(ステップS73)、上記第1〜第4の実施形態で説明したような実操作シミュレーション機能の処理を実行する(ステップS74)。この際、シミュレーション表示処理部51は、シミュレーション表示画面を動画像の画像データとして記録し、パーソナルコンピュータ10のメモリ14、情報格納部16等に保持する。その後、録画停止の指示入力を受けた場合、あるいは、実操作シミュレーションの処理が終了した場合は、録画処理を終了し(ステップS75)、録画した動画データをファイルとして出力する(ステップS76)。
【0067】
また、シミュレーション表示処理部51は、シミュレーション表示画面の説明情報としてのテキスト情報の入力がなされた場合は、テキスト情報の編集処理を行い(ステップS77)、動画データにテキスト情報を付加する。また、シミュレーション表示処理部51は、シミュレーション表示画面の説明情報としての音声情報の入力がなされた場合は、音声情報の編集処理を行い(ステップS78)、動画データに音声情報を付加する。このようにテキスト情報、音声情報の少なくとも一方を含むシミュレーション表示画面の動画データを生成して出力可能である。
【0068】
図15はシミュレーション表示画面の録画機能の操作画面の第1例を示す図である。第1例は、実操作シミュレーション機能に録画機能を付加した場合の操作画面を示したものである。シミュレーション動作時の操作画面110において、シミュレーション表示画面111の下部には、録画スタートボタン112、停止ボタン113を設けている。設計者等が録画スタートボタン112、停止ボタン113を操作指示することによって、実操作シミュレーションを実行しながら、シミュレーション表示画面111の録画開始、録画停止が行われる。シミュレーション表示画面111の内容を録画した動画データは、例えばavi、gif等のデータ形式による動画ファイル114に変換して出力する。この動画ファイル114は、表示画面の実操作シミュレーションの内容を説明する操作マニュアルとして活用可能である。
【0069】
図16はシミュレーション表示画面の録画機能の操作画面の第2例を示す図である。第2例は、録画機能とともにテキスト入力機能及び音声入力機能をさらに付加した場合の操作画面を示したものである。シミュレーション動作時の操作画面120において、シミュレーション表示画面121の側部には、テキスト入力領域124を設け、シミュレーション表示画面121の下部には、録画スタートボタン122、再生ボタン125、一時停止ボタン126、停止ボタン123、音声録音開始ボタン127、音声録音停止ボタン128を設けている。
【0070】
この第2例では、テキスト入力領域124に設計者等が説明文のテキストを入力することによって、録画した動画データに対して説明用のテキスト情報を編集して付加することが可能である。また、設計者等が音声録音開始ボタン127、音声録音停止ボタン128を操作指示することによって、マイク等の音声入力部から音声を入力して録音し、録画した動画データに対して説明用の音声情報を編集して付加することが可能である。この場合、動画データに説明用のテキスト情報、音声情報が付加された動画ファイルが生成出力される。
【0071】
このように、実操作シミュレーション実行時の動画データを作成して出力することにより、シミュレーション表示画面を録画した動画の説明用コンテンツ情報を得ることができ、作成した表示画面に関する動画のマニュアルとして活用できる。また、録画した動画データの全時間のうちの必要な時間に、説明文などのテキスト情報、動作の説明を案内する音声情報を任意に付加することが可能であり、画像データとテキスト情報、音声情報が組み合わされた動画データの説明用コンテンツ情報を生成出力できる。したがって、本実施形態によれば、表示画面設計支援装置において画面設計の機能だけでなく、その後必要となる操作マニュアル等の説明用コンテンツに関する作成支援の機能を持ち合わせることによって、表示画面の説明をするための動画の操作マニュアル等を容易に作成して提供することができるようになる。この際、表示画面の設計と説明用コンテンツの作成とを一連の処理で実行でき、表示画面の作成から説明用コンテンツの作成までの作業の効率化を図ることができる。よって、説明用コンテンツの作成における手間を削減し、処理手順の簡略化を図ることができ、作成にかかる時間を短縮できる。
【0072】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 パーソナルコンピュータ(PC)
11 コンピュータ本体
12 モニタ
13 CPU
14 メモリ
15 表示画面設計支援ツール
16 情報格納部
17 表示インタフェース
18 通信インタフェース
19 操作インタフェース
20 通信ケーブル
25 操作部
30 プログラマブル操作表示器
31 表示部
32 システムメモリ
33 制御部
34 通信部
35 設定記憶メモリ
36 LCD
37 タッチパネル
41 設計画面
42 配置オブジェクト
43 オブジェクトライブラリ画面
44 オブジェクト
51 シミュレーション表示処理部
52 オブジェクト情報
53 表示器画面情報
54 端末モニタ画面情報
55 表示器操作部情報
61、71 実サイズ表示画面
62、72、82 操作部画像
81 視認状態表示画面
110、120 操作画面
111、121 シミュレーション表示画面
112、122 録画スタートボタン
113、123 停止ボタン
114 動画ファイル
124 テキスト入力領域
125 再生ボタン
126 一時停止ボタン
127 音声録音開始ボタン
128 音声録音停止ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置における表示画面の設計に用いる表示画面設計支援装置であって、
作成した表示画面を前記表示装置において表示した場合の表示状態を模擬的に示すシミュレーション表示画面を生成し出力するシミュレーション表示処理部を備え、
前記シミュレーション表示処理部は、
前記表示装置の表示部の機種ごとの画面情報を含む表示器画面情報を入力する表示器画面情報入力部と、
前記表示画面上のオブジェクトに関するオブジェクト情報を入力するオブジェクト情報入力部と、
前記表示画面を操作する操作部の形態情報を含む表示器操作部情報を入力する表示器操作部情報入力部と、
前記表示装置において表示した場合の前記表示画面の画像を示す画面データを設定する画面データ設定部と、
前記操作部の画像を示す操作部データを設定する操作部データ設定部と、
前記表示画面の上に前記操作部の画像を重ねて表示した実操作画面を含むシミュレーション表示画面を出力するシミュレーション表示画面出力部と、
を有する表示画面設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記シミュレーション表示処理部は、さらに、
自装置の表示モニタの画面情報を含む端末モニタ画面情報を入力する端末モニタ画面情報入力部と、
前記表示器画面情報及び前記端末モニタ画面情報に基づき、前記表示装置において表示した場合の前記表示画面及び前記操作部を自装置の表示モニタ上に実サイズで表示するための拡大・縮小率を算出する拡大率算出部とを有し、
前記画面データ設定部は、前記算出した拡大・縮小率に基づく実サイズ表示の画面データを設定するもので、
前記操作部データ設定部は、前記算出した拡大・縮小率に基づく実サイズ表示の操作部データを設定するものである表示画面設計支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記画面データ設定部は、前記表示画面を任意のサイズで表示する画面データを設定するもので、
前記操作部データ設定部は、前記操作部を前記表示画面のサイズに合わせて表示するための相対サイズ表示の操作部データを設定するものである表示画面設計支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記シミュレーション表示処理部は、さらに、
前記操作部の種別を示す操作部選択情報を入力する操作部選択情報入力部を有し、
前記操作部データ設定部は、前記操作部選択情報に応じた操作部の画像を示す操作部データを設定する表示画面設計支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記操作部データ設定部は、前記操作部の画像として操作者の手の画像を用い、前記操作部選択情報に応じたサイズの手を示す操作部データを設定する表示画面設計支援装置。
【請求項6】
請求項4に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記操作部データ設定部は、前記操作部の画像として操作者の手の画像を用い、前記操作部選択情報に応じた右手または左手を示す操作部データを設定する表示画面設計支援装置。
【請求項7】
請求項4に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記操作部データ設定部は、前記操作部選択情報として操作部の画像データを入力し、入力した画像データを用いて操作部データを設定する表示画面設計支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記シミュレーション表示処理部は、さらに、
前記表示装置の使用時における操作位置を示す操作位置情報を入力する操作位置情報入力部と、
前記操作位置情報に基づき、操作位置に応じた角度で見た状態を示す視認状態表示画面を表示するための補正量を算出する表示画面補正部とを有し、
前記シミュレーション表示画面出力部は、操作位置に応じた使用時の視認状態に補正した視認状態表示画面及び操作部画像を含むシミュレーション表示画面を出力する表示画面設計支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記シミュレーション表示処理部は、
前記シミュレーション表示画面を録画する表示画面録画部と、
前記録画したシミュレーション表示画面の動画データを出力する動画データ出力部と、
を有する表示画面設計支援装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記シミュレーション表示処理部は、さらに、
前記動画データに対する説明用のテキスト情報を入力して付加するテキスト情報付加部を有する表示画面設計支援装置。
【請求項11】
請求項9に記載の表示画面設計支援装置であって、
前記シミュレーション表示処理部は、さらに、
前記動画データに対する説明用の音声情報を入力して付加する音声情報付加部を有する表示画面設計支援装置。
【請求項12】
コンピュータに、請求項1〜11のいずれかに記載の表示画面設計支援装置の各部の機能を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−218533(P2010−218533A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224695(P2009−224695)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】