説明

表示装置、信号線ドライバ、及び、データ転送方法

【課題】表示装置において、映像データ及び制御信号を供給するために必要な配線の数を減らし、走査線ドライバに供給される制御信号が映像データを供給するデータ伝送線に及ぼすノイズの影響を無くす。
【解決手段】液晶表示装置1が、タイミングコントローラ2と液晶表示パネル3と複数のデータドライバ4とゲートドライバ5とを備えている。タイミングコントローラ2は、複数のデータドライバ4のうちの特定ドライバ4L、4Rに制御データを供給する。特定ドライバ4L、4Rは、制御データに応答してゲートドライバ5を制御するゲートドライバ制御信号を生成し、ゲートドライバ制御信号をゲートドライバ5に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、信号線ドライバ、及び、データ転送方法に関し、特に、表示装置における制御信号の伝送と生成に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル表示装置の大型化、及びパネル解像度の向上によるデータ転送量の増加により、表示デバイスを駆動するドライバへのデータ転送方法が問題になっている。例えば、液晶表示装置については、液晶表示パネルのデータ線(信号線)を駆動するデータドライバ(又は、信号線ドライバ、ソースドライバ)にタイミングコントローラから映像データを供給するデータ転送技術が問題になる。
【0003】
このような状況は、特に、大型の表示パネルを駆動する場合に深刻である。大型の表示パネルについては、データ線を駆動するために複数のデータドライバが設けられることになる。現在の大型の液晶表示装置では、配線の数を減らすために共通バスを設け、当該共通バスを介して複数のデータドライバに逐次に映像データを転送することが多いが、このような構成は過大なデータ転送レートが必要になるという問題がある。具体的には、一のデータドライバに映像データを送信するために許容される時間は、水平同期期間の長さをT、データドライバの数をNとした場合にT/Nとなる。従って、表示装置の大型化とパネル解像度の向上に伴ってデータドライバの数が増大すると、一のデータドライバに映像データを送信するために許容される時間は、ますます短くなってしまう。
【0004】
このような問題に対処する一つの手法は、複数のデータドライバのそれぞれにpoint-to-pointで映像データを転送することである。図1は、複数のデータドライバにpoint-to-pointで映像データを転送する大型の液晶表示装置の構成の例を示す図であり、図1の構成は、特開2000−155552号公報(特許文献1)に開示されている。図1の液晶表示装置110は、信号処理回路120と、液晶パネル130と、ソースドライバ202〜216と、ゲートドライバ402〜408とを備えている。ソースドライバ202〜216のそれぞれには、別々の配線を通じて映像データが供給される。
【0005】
ここで、図1の液晶表示装置110は、ゲートドライバ用クロックGCLKが信号処理回路120からゲートドライバ402〜408のそれぞれに供給される一方、ゲートドライバ用スタートパルスGSPは、端に位置するゲートドライバ402のみに供給される構成になっている。ゲートドライバ402は、信号処理回路120から受け取ったゲートドライバ用スタートパルスGSPを受け取ると、所定の待ち時間が経過した後でゲートドライバ404にゲートドライバ用スタートパルスを供給する。同様に、ゲートドライバ406、408は、隣接するゲートドライバ404、406からゲートドライバ用スタートパルスを受け取る。
【0006】
複数のデータドライバのそれぞれにpoint-to-pointで映像データを転送する手法は、データ転送レートの制約を緩和するが、一方で、各データドライバに映像データを供給するデバイス(典型的には、タイミングコントローラ)の出力ピンの数や該デバイスに接続される配線の数が増大するという問題が発生する。図1の液晶表示装置では、シリアル転送を行うことによって出力ピンの数や配線の数を低減させているが、表示装置の実装の容易性やコスト低減の観点からは、出力ピンの数や配線の数がなるべく少ない方が好ましい。
【0007】
タイミングコントローラの出力ピンの数や接続配線の数を減少させるためには、映像データの転送に使用される映像データ信号にデータドライバの制御に使用される制御信号を重畳させる手法がある。例えば、映像データをデータドライバに送るために使用される映像データ信号からクロック再生(CDR:clock data recovery)を行ってクロック信号を生成するデータ転送方法は、映像データとクロック信号とを同じ配線で送信するため、配線数を減らすために有効である。このような手法は、例えば、特開2009−204677号公報(特許文献2)、及び、K. Yamaguchi et al. “A 2.0 Gb/s Clock-Embedded Interface for full-HD 10b 120Hz LCD drivers with 1/5-Rate Noise Tolerant Phase and Frequency
Recovery,” 2009 IEEE International Solid-State Circuits Conference- Digest of
Technical Papers, pp. 192-193, Feb., 2009(非特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−155552号公報
【特許文献2】特開2009−204677号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】K. Yamaguchi et al. “A 2.0 Gb/s Clock-Embedded Interface for full-HD 10b 120Hz LCD drivers with 1/5-Rate Noise Tolerant Phase and Frequency Recovery,” 2009 IEEE International Solid-State Circuits Conference-Digest of Technical Papers, pp. 192-193, Feb., 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明者の一つの知見は、パネル表示装置におけるデータ転送方法の改良においては、ゲート線(又は走査線)を駆動するゲートドライバ(又は、走査線ドライバ)への制御信号の供給を含めて検討すべきであるということである。大型の液晶表示装置では、一般に、FFC(flexible flat cable)及びPCB(printed circuit board)上に形成された配線を介して映像データ信号がデータドライバに供給される。このような構成においてゲートドライバに制御信号を供給する配線を、FFC及びPCB上の映像データ信号を伝送する配線と並行して設けると、FFC及びPCBのコストの増大の要因になる。また、ゲートドライバに制御信号を供給する配線を映像データ信号を伝送する配線と並行して設けると、ゲートドライバに供給される制御信号が映像データ信号を伝送する配線にコモンノイズ等の影響を与える可能性がある。この問題は、特に、映像データ信号の伝送に高速シリアル転送インターフェースが採用される場合に問題になる。上述の先行技術文献では、ゲートドライバへの制御信号の供給の問題については何ら言及がない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の観点においては、表示装置が、表示パネルと、タイミングコントローラと、表示パネルの信号線を駆動する複数の信号線ドライバと、表示パネルの走査線を駆動する走査線ドライバとを備えている。タイミングコントローラは、複数の信号線ドライバのうちの特定ドライバに制御データを供給する。特定ドライバは、制御データに応答して走査線ドライバを制御する走査線ドライバ制御信号を生成し、走査線ドライバ制御信号を走査線ドライバに供給する。
【0012】
本発明の他の観点においては、信号線ドライバが、映像データと制御データとを含む転送データをタイミングコントローラから受け取るレシーバと、映像データに応答して表示パネルの信号線を駆動する駆動回路と、制御データに応答して表示パネルの走査線を駆動する走査線ドライバを制御する制御信号を生成する制御信号生成回路とを備えている。
【0013】
本発明の更に他の観点においては、表示パネルと、タイミングコントローラと、表示パネルの信号線を駆動する複数の信号線ドライバと、表示パネルの走査線を駆動する走査線ドライバとを備える表示装置におけるデータ伝送方法が提供される。当該データ伝送方法は、タイミングコントローラから複数の信号線ドライバのうちの特定ドライバに走査線ドライバを制御する制御データを供給するステップと、特定ドライバにおいて、制御データに応答して走査線ドライバを制御する制御信号を生成するステップと、特定ドライバから走査線ドライバに制御信号を供給するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示装置において、映像データ及び制御信号を供給するために必要な配線の数を減らし、走査線ドライバに供給される制御信号が映像データを供給するデータ伝送線に及ぼすノイズの影響を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるタイミングコントローラとデータドライバの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるデータドライバとゲートドライバの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】好適でない表示装置の構成を示す参考例である。
【図6】本発明の他の実施形態におけるタイミングコントローラとデータドライバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明の一実施形態の表示装置の構成を示す図である。図2の表示装置は、液晶表示装置1として構成されており、タイミングコントローラ2と、液晶表示パネル3と、複数のデータドライバ4と、複数のゲートドライバ5とを備えている。液晶表示パネル3は、ゲート線(走査線)と、データ線(信号線)と、それらが交差する位置の近傍に配置された画素とを備えている。データドライバ4は、液晶表示パネル3のデータ線を駆動し、ゲートドライバ5は、液晶表示パネル3のゲート線を駆動する。タイミングコントローラ2は、データドライバ4に映像データ(即ち、液晶表示パネル3の各画素の階調を示すデータ)を供給し、また、タイミングコントローラ2に供給される同期信号(例えば、Vsync、Hsync、データ有効期間DE)に応答してデータドライバ4とゲートドライバ5とを制御する。
【0017】
本実施形態の液晶表示装置1では、タイミングコントローラ2とデータドライバ4とゲートドライバ5とが、下記のように実装される。複数のデータドライバ4のそれぞれはデータドライバ用COF(chip on film)基板6の上に搭載され、そのデータドライバ用COF基板6がPCB7の上に搭載される。本実施形態では、左右2枚のPCB7が使用される。また、複数のゲートドライバ5のそれぞれはゲートドライバ用COF基板8の上に搭載され、タイミングコントローラ2は、PCB9に搭載される。タイミングコントローラ2が搭載されるPCB9と、データドライバ4が搭載されるPCB7とは、FFC10によって接続されている。
【0018】
タイミングコントローラ2は、データドライバ用COF基板6、PCB7、FFC10、及びPCB9に設けられたデータ伝送線11によってデータドライバ4に接続されている。本実施形態では、タイミングコントローラ2と各データドライバ4との間の通信に、point-to-pointのデータインターフェースが用いられる。即ち、各データドライバ4へのデータ転送には、別々のデータ伝送線11が使用される。
【0019】
本実施形態の液晶表示装置1では、データ伝送線11を介して各データドライバ4に送られる信号に、映像データとデータドライバ4を制御する制御データとが符号化される。データドライバ4を制御するための専用の制御配線は設けられない。これにより、データドライバ用COF基板6、PCB7、FFC10、及びPCB9に設けられる配線の数の低減が図られている。
【0020】
更に、本実施形態の液晶表示装置1では、タイミングコントローラ2から両端に位置するデータドライバ4にゲートドライバ5を制御する制御データが供給され、その制御データに応答して、ゲートドライバ5を制御するゲートドライバ制御信号が両端に位置するデータドライバ4によって生成される。ゲートドライバ5を制御する制御データは、映像データとデータドライバ4を制御する制御データと同様に、データ伝送線11を介して各データドライバ4に送られる信号に符号化される。図2では、左端に位置するデータドライバ4が、符号4Lによって示されており、右端に位置するデータドライバ4が符号4Rによって示されている。
【0021】
詳細には、左端に位置するデータドライバ4Lは、液晶表示パネル3の左辺に設けられたゲートドライバ5に垂直クロック信号VCKを供給し、更に、データドライバ4Lに最近接するゲートドライバ5Lに垂直スタートパルスVSPを供給する。垂直クロック信号VCKは、ゲートドライバ5の動作に使用されるクロック信号であり、垂直スタートパルスVSPは、液晶表示パネル3の左辺に設けられたゲートドライバ5のそれぞれがゲート線の駆動を開始するタイミングを指示する信号である。ゲートドライバ5Lは、垂直スタートパルスVSPを受け取った後、所定時間が経過すると、ゲートドライバ5Lに隣接するゲートドライバ5に垂直スタートパルスVSPを供給する。液晶表示パネル3の左辺に設けられた他のゲートドライバ5にも、同様にして順次に垂直スタートパルスVSPが供給される。
【0022】
同様に、右端に位置するデータドライバ4Rは、液晶表示パネル3の右辺に設けられたゲートドライバ5に垂直クロック信号VCKを供給し、更に、データドライバ4Rに最近接するゲートドライバ5Rに垂直スタートパルスVSPを供給する。ゲートドライバ5Rは、垂直スタートパルスVSPを受け取った後、所定時間が経過すると、ゲートドライバ5Rに隣接するゲートドライバ5に垂直スタートパルスVSPを供給する。液晶表示パネル3の右辺に設けられた他のゲートドライバ5にも、同様にして順次に垂直スタートパルスVSPが供給される。
【0023】
本実施形態の液晶表示装置1では、タイミングコントローラ2とゲートドライバ5とを直接に接続する配線が存在しないことに留意されたい。このような構成は、データドライバ用COF基板6、PCB7、FFC10、及びPCB9に設けられる配線の数の低減に有効である上、データ伝送線11に並行してゲートドライバ制御信号を供給する配線を設ける必要性がなくなるため、データ伝送線11へのノイズの影響を防ぐ点で有利である。以下では、このような構成の液晶表示装置1における、タイミングコントローラ2からデータドライバ4への制御データの供給と、データドライバ4によるゲートドライバ制御信号の生成について詳細に説明する。
【0024】
図3は、本実施形態におけるタイミングコントローラ2とデータドライバ4L、4Rの構成を示すブロック図である。ここで、上述の通り、データドライバ4L、4Rが、両端に位置するデータドライバであり、ゲートドライバ5を制御するゲートドライバ制御信号を生成する機能を有していることに留意されたい。タイミングコントローラ2は、タイミング制御回路21と、コマンド変換回路22と、トランスミッタ23と、PLL24とを備えている。タイミング制御回路21、コマンド変換回路22、トランスミッタ23、及びPLL24は、一つのチップにモノリシックに集積化されている。
【0025】
タイミング制御回路21は、外部から供給される同期信号(例えば、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsynk、データイネーブル信号DE)に応答してゲートドライバ制御信号とデータドライバ制御信号とを生成する。生成したゲートドライバ制御信号は、垂直スタートパルスVSPと垂直クロック信号VCKとを含んでいる。一方、データドライバ制御信号は、水平スタートパルスHSPと、極性信号POLと、ストローブ信号STBとを含んでいる。水平スタートパルスHSPは、各データドライバ4に水平同期期間の開始を知らせるパルスであり、極性信号POLは、データ線を駆動する駆動電圧の極性を各データドライバ4に指示する信号であり、ストローブ信号STBは、各データドライバ4に含まれるラッチ回路が映像データをラッチするタイミングを指示する信号である。
【0026】
コマンド変換回路22は、映像データとゲートドライバ制御信号とデータドライバ制御信号とを符号化して、転送データを生成する。図4に図示されているように、生成された転送データは、映像データと制御データを含んでおり、この制御データは、ゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)のそれぞれがアサートされるタイミングを指定するコマンドデータと、データドライバ制御信号(HSP、POL、STB)のそれぞれがアサートされるタイミングを指定するコマンドデータとを含んでいる。
【0027】
図3に戻り、トランスミッタ23は、PLL(phase locked loop)24から受け取ったクロック信号CLKに同期して転送データに対応するデータ伝送信号を生成し、生成したデータ伝送信号をデータ伝送線11を介してデータドライバ4L、4Rに送る。このデータ伝送信号は、クロック再生(CDR)に対応した方式で生成される。即ち、データドライバ4L、4Rでは、データ伝送線11を介して送られたデータ伝送信号に対してクロック再生が行われる。
【0028】
一方、データドライバ4L、4Rは、レシーバ41と、PLL42と、コマンド変換回路43と、液晶表示パネル駆動回路44とを備えている。ここで、レシーバ41、PLL42、コマンド変換回路43、及び液晶表示パネル駆動回路44が、一つのチップにモノリシックに集積化されていることに留意されたい。レシーバ41とPLL42とは、データ伝送信号から転送データを再生する機能を有している。詳細には、レシーバ41は、タイミングコントローラ2から受け取ったデータ伝送信号に対して波形復元を行ってクロック再生信号を生成し、該クロック再生信号をPLL42に供給する。PLL42は、クロック再生信号に対してクロック再生を行うことによりクロック信号を再生する。レシーバ41は、その再生されたクロック信号に同期してデータ伝送信号をサンプリングし、転送データを再生する。上述のように、転送データは映像データと制御データとを含んでいるから、結果として、映像データと制御データとがデータドライバ4L、4Rにおいて再生されることになる。
【0029】
コマンド変換回路43は、転送データに含まれる映像データを液晶表示パネル駆動回路44に供給する。加えて、コマンド変換回路43は、転送データに含まれる制御データに応答して、ゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)とデータドライバ制御信号(HSP、POL、STB)とを生成する制御信号生成回路としても機能する。上述のように、制御データには、ゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)のそれぞれがアサートされるタイミングを指定するコマンドデータと、データドライバ制御信号(HSP、POL、STB)のそれぞれがアサートされるタイミングを指定するコマンドデータとを含んでいるので、ゲートドライバ制御信号とデータドライバ制御信号とを再生することができる。データドライバ制御信号は、液晶表示パネル駆動回路44に供給され、ゲートドライバ制御信号は対応するゲートドライバ5に供給される。
【0030】
液晶表示パネル駆動回路44は、映像データに応答して液晶表示パネル3の各データ線を駆動する。液晶表示パネル駆動回路44の動作タイミングと各データ線の駆動電圧の極性は、データドライバ制御信号(HSP、POL、STB)によって制御される。
【0031】
データドライバ4L、4R以外のデータドライバ4は、データドライバ4L、4Rと同じくゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)を生成する機能を持っていてもよく、ゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)を生成する機能を有していなくてもよい。ただし、実際に製品を製造するコストを考えた場合、データドライバ4L、4R以外のデータドライバ4がデータドライバ4L、4Rと同じ構成を有していることが好ましい。両端に位置する専用のデータドライバ4を製造することは、コストの観点から好ましくない。この場合、データドライバ4L、4R以外のデータドライバ4については、ゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)を出力する出力ピンにゲートドライバ5が接続されない。また、データドライバ4L、4R以外のデータドライバ4に送られる転送データは、ゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)のそれぞれがアサートされるタイミングを指定するコマンドデータを含んでいる必要はないが、含んでいてもよい。
【0032】
図4は、データドライバ4L、4Rとゲートドライバ5L、5Rの動作を示すタイミングチャートである。本実施形態では、各水平同期期間において、映像データと制御データがタイミングコントローラ2からデータドライバ4L、4Rに送られる。データドライバ4L、4Rは、制御データに応答してデータドライバ制御信号を生成する。図4には、データドライバ制御信号のうち、ストローブ信号STBの波形が図示されている。ストローブ信号STBがアサートされると、直前に送られてきた映像データがラッチされ、ラッチされた映像データに応答してデータ線が駆動される。加えて、データドライバ4L、4Rは、制御データに応答してゲートドライバ制御信号、即ち、垂直ゲートパルスVSPと垂直クロックVCKとを生成する。垂直ゲートパルスVSPがアサートされると、ゲートドライバ5L、5Rは、垂直クロックVCKに同期してゲート線を順次に駆動する動作を開始する。垂直ゲートパルスVSPがアサートされてから最初に垂直クロック信号VCKがアサートされると、第1ゲート線VG1がプルアップされる。続いて垂直クロック信号VCKがアサートされると、第2ゲート線VG2がプルアップされる。同様にして、ゲートドライバ5L、5Rに接続されたゲート線が順次に駆動される。
【0033】
以上に説明されているように、本実施形態の液晶表示装置1では、タイミングコントローラ2から両端に位置するデータドライバ4L、4Rにゲートドライバ5を制御する制御データが供給され、データドライバ4L、4Rが、その制御データに応答して、ゲートドライバ5を制御するゲートドライバ制御信号を生成する。このような構成の液晶表示装置1の利点は2つある。一つは、タイミングコントローラ2の出力ピンの数や、データドライバ用COF基板6、PCB7、FFC10、及びPCB9に設けられる配線の数を低減することができる点である。これは、コストの低減のために有利である。もう一つは、ゲートドライバ制御信号が、タイミングコントローラ2とデータドライバ4L、4Rとを接続するデータ伝送線11に対してコモンモードノイズなどの干渉を起こすことを防ぐことができる点である。図5の参考例に図示されているように、仮に、タイミングコントローラ2からゲートドライバ5に直接にゲートドライバ制御信号(VSP、VCK)を供給する構成をとるとすれば、データドライバ用COF基板6、PCB7、FFC10、及びPCB9上において、データ伝送線11と並行してゲートドライバ制御信号を供給する配線を設けることになる。このような構成では、ゲートドライバ制御信号がデータ伝送線11に対してコモンモードノイズなどの干渉を起こす可能性がある。本実施形態では、ゲートドライバ制御信号をゲートドライバ5に供給する配線が、データドライバ4L、4Rとゲートドライバ5の間にしか設けられないから、ゲートドライバ制御信号による干渉の問題は発生しない。
【0034】
図6は、他の実施形態におけるデータドライバ4L、4Rの構成を示すブロック図である。図6に図示されたデータドライバ4L、4Rの構成は、図3に示されている構成とほぼ同一であるが、セレクタ45を追加して備えている点で異なっている。通常動作時においては、セレクタ45は、ゲートドライバ制御信号を選択し、ゲートドライバ制御信号をセレクタ45の出力に接続された出力ピンから出力する。一方、テスト動作時においては、セレクタ45は、データドライバ制御信号(の少なくとも一の信号)を、セレクタ45の出力に接続された出力ピンから外部に出力する。このような動作は、データドライバ制御信号の波形を直接に観測することを可能にし、データドライバ4L、4Rの出力ピンの数を増大させずにテスタビリティを向上させるために有効である。
【0035】
上記には、本発明の好適な実施形態が具体的に記載されているが、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈してはならない。本発明は、その技術的範囲内において当業者に自明的な様々な変更がなされて実施され得る。
【0036】
例えば、上記には、両端に位置するデータドライバ4L、4Rがゲートドライバ5にゲートドライバ制御信号を供給しているが、両端に位置しないデータドライバ4がゲートドライバ5にゲートドライバ制御信号を供給してもよい。例えば、左から2番目に設けられているデータドライバ4が液晶表示パネル3の左辺に設けられたゲートドライバ5にゲートドライバ制御信号を供給するような構成でもよい。ただし、ゲートドライバ制御信号を供給するデータドライバ4とゲートドライバ5の間に設けられる配線の長さを短縮するためには、両端に位置するデータドライバ4L、4R(即ち、ゲートドライバ5L、5Rに最近接するデータドライバ4)がゲートドライバ5にゲートドライバ制御信号を供給する構成が好ましい。
【0037】
また、上記には液晶表示装置の実施形態が提示されているが、液晶表示パネル以外の表示パネル(例えば、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネル)を用いる表示装置にも本発明が適用可能であることは、当業者には自明的であろう。この場合でも、信号線(即ち、表示パネルにおいて画素の階調に応じて駆動される配線)を駆動するドライバから走査線(即ち、表示パネルの駆動されるべき画素の行(ライン)を選択する配線)を駆動するドライバに制御信号が供給される。これにより、映像データ及び制御信号を供給するために必要な配線の数を減らし、走査線を駆動するドライバに供給される制御信号が映像データを供給するデータ伝送線に及ぼすノイズの影響を無くすことができる
【符号の説明】
【0038】
1:液晶表示装置
2:タイミングコントローラ
3:液晶表示パネル
4、4L、4R:データドライバ
5、5L、5R:ゲートドライバ
6:データドライバ用COF基板
7:PCB
8:ゲートドライバ用COF基板
9:PCB
10:FFC
11:データ伝送線
21:タイミング制御回路
22:コマンド変換回路
23:トランスミッタ
24:PLL
41:レシーバ
42:PLL
43:コマンド変換回路
44:液晶表示パネル駆動回路
45:セレクタ
110:液晶表示装置
120:信号処理回路
130:液晶パネル
202、204、206、208、210、212、214、216:ソースドライバ
402、404、406、408:ゲートドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
タイミングコントローラと、
前記表示パネルの信号線を駆動する複数の信号線ドライバと、
前記表示パネルの走査線を駆動する走査線ドライバ
とを備え、
前記タイミングコントローラは、前記複数の信号線ドライバのうちの特定ドライバに制御データを供給し、
前記特定ドライバは、前記制御データに応答して前記走査線ドライバを制御する走査線ドライバ制御信号を生成し、前記走査線ドライバ制御信号を前記走査線ドライバに供給する
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記タイミングコントローラと前記特定ドライバとがデータ伝送線によって接続され、
前記制御データと前記表示パネルに表示される画像に対応する映像データとが、いずれも、前記データ伝送線を介して前記特定ドライバに供給される
表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記タイミングコントローラは、前記制御データと前記映像データとを含む転送データに対応するデータ伝送信号をクロック信号に同期して生成し、前記データ伝送信号を前記データ伝送線を介して前記特定ドライバに送信し、
前記特定ドライバは、前記データ伝送信号から再生クロック信号を再生し、前記再生クロック信号に応答して前記データ伝送信号をサンプリングして前記制御データと前記映像データとを得る
表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置であって、
前記特定ドライバは、
前記表示パネルの信号線を駆動する駆動回路と、
前記制御データから前記駆動回路を制御する信号線ドライバ制御信号と、前記走査線ドライバ制御信号を生成する制御信号生成回路と、
前記走査線ドライバに接続される出力ピンと、
前記信号線ドライバ制御信号と前記走査線ドライバ制御信号との一方の制御信号を選択するセレクタ
とを備え、
前記セレクタは、前記一方の制御信号を前記出力ピンから出力するように構成された
表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置であって、
前記複数の信号線ドライバは、前記走査線ドライバに接続されていない非接続ドライバを含み、
前記非接続ドライバと前記特定ドライバとが同一の構成を有している
表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置であって、
前記特定ドライバは、前記複数の信号線ドライバのうち前記走査線ドライバに最近接するドライバである
表示装置。
【請求項7】
映像データと制御データとを含む転送データをタイミングコントローラから受け取るレシーバと、
前記映像データに応答して表示パネルの信号線を駆動する駆動回路と、
前記制御データに応答して前記表示パネルの走査線を駆動する走査線ドライバを制御する制御信号を生成する制御信号生成回路
とを備える
信号線ドライバ。
【請求項8】
請求項7に記載の信号線ドライバであって、
更に、
前記走査線ドライバに接続される出力ピンと、
セレクタ
とを備え、
前記制御信号生成回路は、前記制御データから前記駆動回路を制御する信号線ドライバ制御信号を生成し、
前記セレクタは、前記信号線ドライバ制御信号と前記走査線ドライバ制御信号との一方の制御信号を選択し、前記一方の制御信号を前記出力ピンから出力するように構成された
信号線ドライバ。
【請求項9】
表示パネルと、タイミングコントローラと、前記表示パネルの信号線を駆動する複数の信号線ドライバと、前記表示パネルの走査線を駆動する走査線ドライバとを備える表示装置におけるデータ伝送方法であって、
前記タイミングコントローラから前記複数の信号線ドライバのうちの特定ドライバに前記走査線ドライバを制御する制御データを供給するステップと、
前記特定ドライバにおいて、前記制御データに応答して前記走査線ドライバを制御する制御信号を生成するステップと、
前記特定ドライバから前記走査線ドライバに前記制御信号を供給するステップ
とを備える
データ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42575(P2012−42575A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181975(P2010−181975)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】