説明

表示装置、携帯型電子機器、携帯通信端末

【課題】外部から荷重が加えられても表示パネルが破損し難い表示装置を提供する。
【解決手段】筺体40と、筺体40に支持される液晶表示パネル41と、筺体40と液晶表示パネル41を挟んで反対側で、筺体40に支持されるスクリーン42と、を備える。筺体40は、ヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されている。また、液晶表示パネル41は弾性体49を介して筺体40に支持されている。また、液晶表示パネル41は、厚さが0.5mmに設定されている。液晶表示パネル41とスクリーン42の間のギャップg1と、液晶表示パネル41と筺体40の間のギャップg2と、は何れも0.5mmに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置、携帯型電子機器、携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1は、液晶パネルを表示板と筺体部材によって挟んだ構成の表示装置を開示する。この表示装置では、液晶パネルと表示板との間、加えて、液晶パネルと筺体部材との間に弾性部材を設置しており、もって、外部から強い衝撃が加えられても液晶パネルが損傷し難いようになっている。特に、上記の弾性部材は液晶パネルの表示領域を囲うように途切れなく形成されており、いわゆる空気ダンパとしての機能が実現されている。
【0003】
上記の特許文献1においては、上記筺体部材は非弾性体で形成されることが望ましいとしており、例えば、プラスチックや金属、ガラス、セラミックスなどが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−73072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的な表示装置では上記の筺体部材としては、ヤング率が概ね2000〜3000MPa程度のプラスチックが採用されている。というのも、ヤング率を高くすればするほど成型加工後の反りが強く発生し、結果として歩留りの低下を招いてしまうからである。また、周知の通り、2000〜3000MPa程度のヤング率を有するプラスチックは量産効果により極めて安価となっており、近年の価格競争に極めて有利となる点も見逃せない。
【0006】
しかしながら、昨今の携帯型電子機器の分野に関しては、機能や性能面での競争のみならず、端末自体のデザインや薄型化について激しい競争が繰り広げられている。特に筺体自体の薄型化について言えば、外部から受ける荷重からの液晶パネルの保護と如何にして両立させるかが重要な開発テーマとなっている。
【0007】
本願発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、外部から荷重が加えられても表示パネルが破損し難い表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の観点によれば、以下のように構成される、表示装置が提供される。即ち、表示装置は、筺体と、前記筺体に支持される表示パネルと、前記筺体と前記表示パネルを挟んで反対側で、前記筺体に支持される表示板と、を備える。前記筺体は、ヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、外部から荷重が加えられても前記表示パネルが破損し難い表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施形態に係る液晶表示装置の断面図
【図2】第二実施形態に係る液晶表示装置を備えた折畳み式携帯電話機の外観斜視図
【図3】図2のIII−III線断面図
【図4】図3のIV−IV線断面図
【図5】図4に類似する図であって、変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
以下、図1を参照しつつ、本願発明の第一実施形態を説明する。本実施形態では、携帯型電子機器の一例として携帯通信端末を取り上げる。また、携帯通信端末の一例として、携帯電話機を取り上げる。図1には、本実施形態に係る携帯電話機1の表示装置3の断面が示されている。
【0012】
本実施形態に係る表示装置3は、筺体40と、この筺体40に支持される表示パネルとしての液晶表示パネル41と、筺体40と液晶表示パネル41を挟んで反対側で、筺体40に支持される表示板としてのスクリーン42と、を備えている。そして、上記の筺体40は、本実施形態において、ヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されている。なお、本明細書において、素材のヤング率は何れもJIS K7203(硬質プラスチックの曲げ試験方法)によって測定するものとする。
【0013】
上記の液晶表示パネル41は、第一透明電極としての上側ガラス43及び第二透明電極としての下側ガラス44を備えている。上側ガラス43と下側ガラス44は平行に対向している。そして、下側ガラス44に対向する上側ガラス43の面には透明電極が形成されている。同様に、上側ガラス43に対向する下側ガラス44の面にも透明電極が形成されている。これら上側ガラス43と下側ガラス44との間には液晶が封入されており、この封入された液晶により液晶層が形成されている。この液晶表示パネル41の外側の面には偏光フィルムが貼り付けられている。また、下側ガラス44は上側ガラス43よりも図1の紙面左右方向に長く、下側ガラス44のうち上側ガラス43に対して対向していない部分には表示装置3の表示を制御するためのコントローラLSI45が形成されている。
【0014】
上記のスクリーン42は、本実施形態において強化ガラスによって構成されている。強化ガラスとは、例えば、板ガラスを約700度まで加熱した後、ガラスの表面に空気を吹き付けて均一に急冷し、表面側に圧縮層を形成したものである。
【0015】
上記の筺体40は、上述したように本実施形態においてヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されている。この高剛性プラスチックに該当するものとして、例えば、ポリアセタール樹脂やポリアミドMXD6樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。このように、ヤング率が極めて高い高剛性プラスチックは、現在の技術常識では携帯電話機1の筺体に全く不向きであるとされている。これは以下の理由による。即ち、携帯電話機1の筺体として一般的に採用されているプラスチックは、ヤング率が概ね2000〜3000MPa程度のプラスチックとされている。このような低剛性プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネイト樹脂やABS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。ここに列挙した低剛性プラスチックが採用されるのは、ヤング率を高くすればするほど成型加工後の反りが強く発生し、結果として歩留りの低下を招いてしまうからである。例えば、上記の低剛性プラスチックの歩留りを1とすると、上述した高剛性プラスチックの歩留りは概ね0.6〜0.7とされる。また、周知の通り、2000〜3000MPa程度のヤング率を有するプラスチックは極めて安価であり、近年の価格競争に極めて有利となる点も見逃せない。従って、上記のようにヤング率が極めて高い高剛性プラスチックは、携帯電話機1の筺体に全く不向きと言える。
【0016】
これに対し、本願発明者は、鋭意研究の末、上記のデメリットを甘受しつつも敢えて不利される上記高剛性プラスチックを採用することで、以下のような優れた技術的特性が得られることを見出した。
【0017】
第一に、本願発明者は、携帯電話機1を所定の高さからコンクリート製の試験床に適宜の姿勢で落下させ、筺体40の衝撃に対する耐性を試験する落下衝撃試験を実施した。所定の高さとしては、1.0m、1.1m、1.2m、・・・1.8m、1.9m、2.0mを用意した。そして、携帯電話機1を落下させる高さを0.1mずつ順に大きくしていき、筺体40に亀裂などの破損が発生したときの落下高さを記録した。筺体40の素材としては、高剛性プラスチックとしてポリアミドMXD6樹脂(ヤング率=14,000MPa)を採用し、低剛性プラスチックとしてポリカーボネイト樹脂(ヤング率=2,600MPa)を採用した。また、このときのスクリーン42の素材は、強化ガラスではなく、ヤング率が3,000MPa程度のアクリルを採用した。この試験によると、上記の筺体40として低剛性プラスチックを採用した場合、携帯電話機1を1.2mの高さから落下させただけで筺体40が破損したのに対し、高剛性プラスチックを採用した場合、携帯電話機1を1.5mの高さから落下させても筺体40が破損しなかった。即ち、筺体40として高剛性プラスチックを採用すると、低剛性プラスチックを採用する場合と比較して、落下衝撃試験では概ね1.25倍、良好な結果を得ることができた。なお、1.5mは、成人男性が携帯電話機1を落とすと想定される最大の高さである。
【0018】
第二に、本願発明者は、携帯電話機1の表示装置3に対して所定の荷重を筺体40に対して垂直に加え、筺体40の耐荷重を試験する耐荷重試験を実施した。所定の荷重としては、100N、200N、300N、400N、500N、600Nを用意した。そして、携帯電話機1の表示装置3に対して加える荷重を100Nずつ順に大きくしていき、液晶表示パネル41に亀裂が入ったときの荷重を記録した。筺体40とスクリーン42の素材は上記の落下衝撃試験と同じである。この試験によると、上記の筺体40として低剛性プラスチックを採用した場合、携帯電話機1の表示装置3に対して300Nの荷重を加えただけで液晶表示パネル41に亀裂が入ったのに対し、高剛性プラスチックを採用した場合、携帯電話機1の表示装置3に対して500Nの荷重を加えても液晶表示パネル41に亀裂が一切入らなかった。なお、500Nは、成人男性が携帯電話機1の表示装置3に対して加えると想定される最大の荷重である。
【0019】
上述したように本願発明者が現在の技術常識に反するかたちで筺体40としてヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックを採用するに至ったのには明確な技術的意義があり、即ち、外部から荷重が加えられても液晶表示パネル41が破損し難い表示装置を提供することができるというものである。上記の採用は、現在の常識的な技術の方向性からは完全に逸脱するものであり、そこに、上記採用の本質的な価値があると考える。
【0020】
なお、筺体40として採用する高剛性プラスチックのヤング率の上限値は、コスト面にのみ着目して設定するとすれば、概ね15,000MPa程度が妥当と言える。
【0021】
<第二実施形態>
次に、本願発明の第二実施形態を説明する。本実施形態は、上記第一実施形態の技術的特徴をすべて含んでいる。なお、上記第一実施形態の構成要素と対応する構成要素については原則として同一の符号を付すこととする。上記第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明については適宜、割愛する。
【0022】
図2に示すように携帯電話機1(携帯型電子機器、携帯通信端末)は、操作装置2と、表示装置3と、を備える。操作装置2は、その表面側4に、操作ボタン群7と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部8と、を備える。操作ボタン群7は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン9と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタン10と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン11と、を備える。操作装置2の一側面13には、イヤホン接続部14、及び外部接続部15が設けられ、これらの接続部14,15はそれぞれ、開閉可能なキャップ16,17にて覆われている。表示装置3は、閉じた際に操作装置2における表面側4と向かい合う表面側25に、各種情報を表示するためのメイン表示面26と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部27と、を備える。操作装置2と表示装置3とは、ヒンジ機構35を介して連結されている。そして、携帯電話機1は、ヒンジ機構35を介して連結された操作装置2と表示装置3とを相対的に動かすことにより、操作装置2と表示装置3とを、互いに開いた状態にしたり折り畳んだ状態にしたりすることが可能である。
【0023】
図3に示すように、本実施形態に係る表示装置3は、筺体40と、この筺体40に支持される表示パネルとしての液晶表示パネル41と、筺体40と液晶表示パネル41を挟んで反対側で、筺体40に支持される表示板としてのスクリーン42と、を備えている。上記の筺体40は、液晶表示パネル41と対面する第一支持板としてのパネル支持板46と、液晶表示パネル41とパネル支持板46を挟んで反対側に設けられる第二支持板としての外枠47と、を含んで構成されている。パネル支持板46は図示しない位置で外枠47に対して固定されており、パネル支持板46と外枠47は所定のギャップGを空けて配置されている。また、外枠47の外縁部には側壁48が外枠47を囲うように環状に形成されており、スクリーン42は側壁48に対して接着固定されている。即ち、本実施形態において、筺体40は、ベースとなる外枠47と、この外枠47からギャップGだけ空けて配置されるパネル支持板46と、外枠47を囲うように環状に形成される側壁48と、から構成されている。この構成で、筺体40に支持される液晶表示パネル41は、詳しくは、筺体40のパネル支持板46に支持されている。
【0024】
本実施形態においてスクリーン42は強化ガラス(高剛性材料)であり、そのヤング率は70000MPa以上となっている。このようにスクリーン42を極めて高剛性とすることで、以下の効果が得られる。即ち、液晶表示パネル41が共に高剛性な筺体40とスクリーン42によって挟まれているので、外部から荷重が加えられても、その荷重は筺体40又はスクリーン42が殆ど変形することなく受け止めることとなるので、液晶表示パネル41の変形を効果的に抑制することができる。なお、スクリーン42として採用する強化ガラスのヤング率の上限値は、コスト面にのみ着目して設定するとすれば、概ね80,000MPa程度が妥当と言える。
【0025】
また、液晶表示パネル41は、筺体40のパネル支持板46に対して弾性体49を介して支持されている。この弾性体49の存在により、外部から加えられた衝撃が液晶表示パネル41に伝播し難くなるので、外部から加えられた衝撃に対して液晶表示パネル41が破損し難くなっている。
【0026】
上記の弾性体49として、例えば、天然ゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、ブチルゴム、モルトプレンゴム、シリコーンゴムなどを採用することができる。この中でも、特にシリコーンゴムは、温度安定性や製造容易性といった側面から特に好ましい。
【0027】
本実施形態において液晶表示パネル41は、図4に示すように略矩形状に形成されている。具体的には、上側ガラス43と下側ガラス44は何れも略矩形状に形成されている。そして、上記の弾性体49は、液晶表示パネル41の4つの隅部41aに配置されている。更に詳しくは、上記の弾性体49は、液晶表示パネル41のうち上側ガラス43と下側ガラス44とが重複している重複領域41Dにおける4つの隅部41aに配置されている。以上の構成によれば、上記特許文献1と異なり、弾性体49が非連続的な配置とされるので、その分、弾性体49は変形し易く、もって、外部から加えられた衝撃が液晶表示パネル41に一層伝播し難くなる。なお、図4に示される弾性体49の投影面積は、衝撃伝播を阻止する観点から、可及的に小さくすることが好ましい。
【0028】
本実施形態では弾性体49は図4に示すように液晶表示パネル41の4つの隅部41aにのみ配置することとしたが、他の位置に追加で配置してもよいし、上記4つの隅部41aに代えて他の位置に配置してもよい。弾性体49が図4に示すように液晶表示パネル41の4つの隅部41aにのみ配置されていると、弾性体49による液晶表示パネル41の支持面積が極めて小さくなるので、外部から加えられた衝撃が液晶表示パネル41に一層伝播し難くなるという効果がある。
【0029】
一方、図4に示すように液晶表示パネル41が長辺50と短辺51を有している場合は、弾性体49は、図5に示すように、液晶表示パネル41の長辺50の中央近傍の夫々に更に配置してもよい。以上の構成によれば、筺体40は液晶表示パネル41を一層バランスよく支持することができるようになる。なお、弾性体49を設置する個数が増えると液晶表示パネル41の撓みが抑制されるというメリットがある一方で、外部から加えられた衝撃が液晶表示パネル41に伝播され易くなるというデメリットがある。このメリット・デメリットを比較検討することで弾性体49の設置する個数は適宜に決定するとよい。
【0030】
図4に示すように、弾性体49は、液晶表示パネル41の法線方向から見て略円形に形成されていることが好ましい。これは、外部から衝撃が加えられたときに弾性体49の外縁において液晶表示パネル41に応力集中が発生することを抑制できるからである。
【0031】
図3において弾性体49は、液晶表示パネル41及び筺体40のパネル支持板46に対して例えばシリコーンゴム専用接着剤などといった接着剤を用いて接着されている。
【0032】
そして、本実施形態において液晶表示パネル41の厚みは0.5mmに設定されている。ここで、液晶表示パネル41の厚みとは、上側ガラス43の厚みと下側ガラス44の厚みの合計を意味する。このように液晶表示パネル41の厚みを0.5mmに設定すると、一般的に採用される厚み(0.8〜1.2mm)に設定される場合と比較して、絶対的な耐力が低下してしまう。このような技術的デメリットを甘受しつつも、上記のように液晶表示パネル41の厚みを0.5mmに設定することで、液晶表示パネル41が撓んだ際に撓みの外側で発生する引張応力を強力に抑えることができ、かえって液晶表示パネル41の破損を抑制することができる、という特段の効果が得られる。
【0033】
また、液晶表示パネル41とスクリーン42の間のギャップg1と、液晶表示パネル41と筺体40のパネル支持板46の間のギャップg2と、は何れも0.5mmに設定されている。以上の設定によれば、外部から衝撃が加えられたとき、液晶表示パネル41は僅かに撓んだだけでスクリーン42又は筺体40のパネル支持板46に対して接触することとなる。即ち、衝撃発生時における液晶表示パネル41の撓みそのものに対して強力な制限が与えられることになる。そして、この強力な制限は、液晶表示パネル41の破損の防止に寄与する。特に、本願発明者は、厚みが0.5mmに設定された液晶表示パネル41の曲げ試験を実施したところ、撓みが2mm程度となると液晶表示パネル41が破損し始めることを把握している。従って、上記のギャップg1及びギャップg2の設定は、この曲げ試験の結果と若干のマージンを考慮すれば極めて合理的であると言える。なお、ギャップg1及びg2は、液晶表示パネル41のパネル中央で測定するものとする。パネル中央が最も撓む部位であるからである。
【0034】
図3に示すように、前述したパネル支持板46と外枠47との間のギャップGには、表示装置3を駆動するための駆動回路60が収容されている。即ち、筺体40をパネル支持板46と外枠47によって構成し、パネル支持板46を外枠47に対いて固定すると共に、パネル支持板46と外枠47とを所定のギャップGを空けて配置することで以下の効果が得られる。即ち、液晶表示パネル41を筺体40に支持しつつも、スクリーン42と液晶表示パネル41を挟んで反対側に、液晶表示パネル41を駆動するための駆動回路60を問題なく収容することができるようになる。なお、駆動回路60とコントローラLSI45は図示しないフレキシブル配線によって接続されている。
【0035】
以上に説明した各実施形態を更に別の観点からまとめると、以下のようになる。
【0036】
(1)上記実施形態の表示装置3は、筺体40と、筺体40に支持される液晶表示パネル41と、筺体40と液晶表示パネル41を挟んで反対側で、筺体40に支持されるスクリーン42と、を備える。筺体40は、ヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されている。スクリーン42は、ヤング率が70000MPa以上の高剛性材料によって形成されている。以上の構成によれば、外部から荷重が加えられても液晶表示パネル41が破損し難い表示装置3を提供することができる。上記の構成は、特に、表示装置3の上に人体や荷物といった重量物が乗せられることで発生する静的な荷重に対して、液晶表示パネル41の変形を防止できるという点で有益である。
【0037】
(2)また、液晶表示パネル41は弾性体49を介して筺体40に支持されている。液晶表示パネル41は略矩形状である。弾性体49は、液晶表示パネル41の4つの隅部41aのみに配置されている。以上の構成によれば、外部から加えられた動的な衝撃が液晶表示パネル41に伝播し難くなるので、液晶表示パネル41が破損し難くなる。
【0038】
(3)液晶表示パネル41は、厚さが0.5mmに設定されている。液晶表示パネル41とスクリーン42の間のギャップg1と、液晶表示パネル41と筺体40の間のギャップg2と、は何れも0.5mmに設定されている。以上の構成によれば、外部から加えられた動的な衝撃の慣性力によって液晶表示パネル41が大きく変形してしまうのを抑制することができ、また、例え変形したとしても液晶表示パネル41に発生する引張応力を強力に低減することができる。
【0039】
以上に本願発明の好適な実施形態を説明した。上記の各実施形態では、携帯型電子機器の一例として携帯通信端末を取り上げ、携帯通信端末の一例として携帯電話機を取り上げた。言うまでもなく本願発明は、携帯型電子機器としては、携帯通信端末のみならず、携帯情報処理装置やその他の携帯型電子機器に適用することができる。携帯情報処理装置としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータなどが挙げられる。また、携帯通信端末としては、例えば、携帯電話機やPHS(Personal Handy−phone System)などが挙げられる。また、その他の携帯型電子機器としては、例えば、携帯型音楽再生機、携帯型ゲーム機、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0040】
1 携帯電話機
2 操作装置
3 表示装置
40 筺体
41 液晶表示パネル(表示パネル)
42 スクリーン(表示板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筺体に支持される表示パネルと、
前記筺体と前記表示パネルを挟んで反対側で、前記筺体に支持される表示板と、
を備え、
前記筺体は、ヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されている、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記表示板は、ヤング率が70000MPa以上の高剛性材料によって形成されている、
表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記表示板は強化ガラスである、
表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の表示装置であって、
前記表示パネルは弾性体を介して前記筺体に支持されている、
表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは略矩形状であって、
前記弾性体は、少なくとも、前記表示パネルの4つの隅部に配置されている、
表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記弾性体は、前記表示パネルの4つの隅部のみに配置されている、
表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは長辺と短辺を有し、
前記弾性体は、前記表示パネルの長辺の中央近傍の夫々に更に配置されている、
表示装置。
【請求項8】
請求項4〜7の何れかに記載の表示装置であって、
前記弾性体は、前記表示パネルの法線方向から見て略円形に形成されている、
表示装置。
【請求項9】
請求項4〜8の何れかに記載の表示装置であって、
前記弾性体は、前記表示パネル及び前記筺体に対して接着されている、
表示装置。
【請求項10】
請求項4〜9の何れかに記載の表示装置であって、
前記弾性体は、天然ゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、ブチルゴム、モルトプレンゴム、シリコーンゴムの何れかによって形成されている、
表示装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の表示装置であって、
前記表示パネルは、厚さが0.5mmに設定される、
表示装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の表示装置であって、
前記表示パネルと前記表示板の間のギャップと、前記表示パネルと前記筺体の間のギャップと、は何れも0.5mmに設定される、
表示装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れかに記載の表示装置であって、
前記筺体は、前記表示パネルと対面する第一支持板と、前記表示パネルと前記第一支持板を挟んで反対側に設けられる第二支持板と、を含んで構成され、
前記第一支持板は前記第二支持板に対して所定のギャップを空けて固定されている、
表示装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れかに記載の表示装置であって、
前記表示パネルは液晶表示パネルである、
表示装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかに記載の表示装置を備えた携帯通信端末。
【請求項16】
請求項1〜14の何れかに記載の表示装置を備えた携帯型電子機器。
【請求項17】
筺体と、
前記筺体に支持される表示パネルと、
前記筺体と前記表示パネルを挟んで反対側で、前記筺体に支持される表示板と、
を備え、
前記筺体は、ヤング率が10000MPa以上の高剛性プラスチックによって形成されており、
前記表示板は、ヤング率が70000MPa以上の高剛性材料によって形成されている、
表示装置。
【請求項18】
請求項17に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは弾性体を介して前記筺体に支持されており、
前記表示パネルは略矩形状であって、
前記弾性体は、前記表示パネルの4つの隅部のみに配置されている、
表示装置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは、厚さが0.5mmに設定されており、
前記表示パネルと前記表示板の間のギャップと、前記表示パネルと前記筺体の間のギャップと、は何れも0.5mmに設定されている、
表示装置。
【請求項20】
請求項17〜19の何れかに記載の表示装置を備えた携帯通信端末。
【請求項21】
請求項17〜19の何れかに記載の表示装置を備えた携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112903(P2011−112903A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269825(P2009−269825)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】