説明

表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、補正値設定方法

【課題】各画素の発光輝度を光センサで測定して各画素が所要の輝度で発光するように各画素に与える表示データ信号を補正する。この場合に、各光センサの検出ばらつきの影響を受けないで補正値を得ることができるようにする。
【解決手段】少なくとも2以上の画素に対して、各画素から等距離の位置に光センサを設ける。そして一方の画素の発光輝度と他方の画素の発光輝度を、等距離に配置された1つの光センサで検出することで、光センサの検出ばらつきの影響の無い補正値を算出する。さらに他の画素に対しても、既に補正値を更新した画素を一部に用いながら順次連鎖的に補正値を求めていくことで、表示画面を構成する全画素について、光センサの検出ばらつきの影響を排除した補正値を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置と、表示装置における補正値設定方法に関する。また有機エレクトロルミネッセンス表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特表2007−501953号公報
【特許文献2】特表2008−518263号公報
【0003】
例えば有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)発光素子を用いた表示装置など、自発光素子を用いた表示装置では、画素間の発光輝度のばらつきを無くして画面上に生じるムラを無くすことが重要である。
画素の発光輝度のばらつきは、パネル製造時の初期状態でも生じるが、経時変化によっても生じる。
【0004】
上記特許文献1,2では、各画素回路内に光センサを配置して、光センサの検出値をパネル内でフィードバックして発光輝度を補正する方式や、光センサからシステムにフィードバックして補正する方式が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各画素の発光輝度を光センサで測定して、発光輝度が所要の輝度となるように画素に与える信号値を補正することで、画素間の輝度ばらつきを解消できる。
しかしながら、上記特許文献1,2のように、1つの画素について、その画素回路内に1つのセンサを設けて輝度検出を行う方式の場合、光センサ同士の検出ばらつきが生じてしまう。光センサ自体も初期状態或いは経時劣化により検出特性の変動があるため、各光センサ同士での検出ばらつきは排除できない。
すると光センサ同士のばらつきの影響が補正に表れ、適切に画素の発光輝度のばらつきを解消することができないこととなる。
【0006】
また、光センサを用いずに、画素の輝度劣化を予測して補正する方式も考えられるが、あくまで予測によるものの場合、実際の発光輝度の劣化に即した補正は実行できない。
【0007】
本発明では、各画素の発光輝度を光センサで測定して、各画素が所要の輝度で発光するように各画素に与える表示データ信号を補正する方式を採る。この場合に、各光センサの検出ばらつきの影響を受けないようにし、画面上のむらが適切に解消されるような精度の高い補正が実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、複数の発光画素がマトリクス状に配置されるとともに、それぞれが少なくとも2以上の発光画素から等距離の位置となるように配置された複数の光センサを有する表示パネル部と、上記表示パネル部の各画素を入力された表示データ信号に基づいて発光駆動する表示駆動部と、上記各発光画素のそれぞれについての補正値を記憶する補正値格納部と、通常表示動作時には、上記補正値格納部に格納された補正値を用いて各画素の発光輝度補正が行われるようにするとともに、通常表示動作を行わない際に、2以上の発光画素についての基準表示データ信号値でのそれぞれの発光輝度を、当該2以上の発光画素から等距離に配置された光センサの検出値として取り込み、取り込んだ各検出値に基づいて、当該2以上の発光画素のうちの一の発光画素に対する他の発光画素の補正値を算出して当該他の発光画素についての補正値として上記補正値格納部に格納させる補正値設定処理を行う信号処理部とを備える。
【0009】
また上記信号処理部は、上記補正値設定処理を、各光センサに対応する2以上の発光画素について行うことで、補正値設定対象とした全発光画素の補正値を設定する。
また上記信号処理部は、上記補正値設定処理として、2以上の発光画素のうちの一の発光画素を、上記補正値格納部に格納されている補正値を反映させた基準表示データ信号値で発光させて、その発光輝度を、当該2以上の発光画素に対して等距離に配置された光センサの検出値として取り込み、また、上記2以上の発光画素のうちの他の発光画素を、無補正の上記基準表示データ信号値で発光させて、その発光輝度を、当該2以上の発光画素に対して等距離に配置された光センサの検出値として取り込む。そして取り込んだ上記一の発光画素の発光輝度の検出値と、上記他の発光画素の発光輝度の検出値から、上記一の発光画素を基準とした上記他の発光画素の補正値を求め、求められた補正値を、当該他の発光画素についての更新補正値として上記補正値格納部に格納させる処理を、一つの光センサを用いた一連の処理として行う。さらに、更新補正値が得られた発光画素と、補正値の更新前の発光画素を含む2以上の発光画素について、その2以上の発光画素に対して等距離に配置された光センサの検出値を用いて、上記一連の処理を行うことを繰り返すことで、補正値設定処理の対象とする全発光画素について上記補正値格納部に格納される補正値の更新を行う。
また上記信号処理部は、表示装置のパワーオン時の処理として、又はパワーオフ時の処理として、上記補正値設定処理を行う。
【0010】
また、上記発光画素は、有機エレクトロルミネッセンス発光素子を用いた画素である。
また、上記各光センサの全部又は一部は、2つの同色発光画素に対して等距離の位置に配置されているものとする。
また、上記各光センサの全部又は一部は、4つの同色発光画素に対して等距離の位置に配置されているものとする。
また、上記各光センサの全部又は一部は、或る色の2つの同色発光画素に対して等距離であり、かつ、他の色の2つの同色発光画素に対しても等距離である位置に配置されているものとする。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、複数の発光画素がマトリクス状に配置されるとともに、それぞれが少なくとも2以上の発光画素から等距離の位置となるように配置された複数の光センサを有するものである。
【0012】
本発明の補正値設定方法は、複数の発光画素がマトリクス状に配置されるとともに、それぞれが少なくとも2以上の発光画素から等距離の位置となるように配置された複数の光センサを有する表示パネル部と、上記表示パネル部の各画素を入力された表示データ信号に基づいて発光駆動する表示駆動部と、上記各発光画素のそれぞれについての補正値を記憶する補正値格納部と、通常表示動作時には、上記補正値格納部に格納された補正値を用いて各画素の発光輝度補正が行われるようにする信号処理部と、を備えた表示装置の、上記補正値格納部に記憶する補正値を設定する補正値設定方法である。そして、2以上の発光画素についての基準表示データ信号値でのそれぞれの発光輝度を、当該2以上の発光画素から等距離に配置された光センサにより検出し、当該2以上の発光画素についての各検出値に基づいて、当該2以上の発光画素のうちの一の発光画素に対する他の発光画素の補正値を算出し、算出された補正値を、当該他の発光画素についての補正値として上記補正値格納部に格納する。
【0013】
これらの本発明では、少なくとも2以上の画素に対して、各画素から等距離の位置に光センサを設ける。そして、一方の画素の発光輝度と、他方の画素の発光輝度を、当該等距離に配置された1つの光センサで検出する。すると、共通の光センサで各画素の輝度検出値が得られるため、光センサの検出ばらつきの影響の無い補正値を算出できる。つまり1つの光センサから等距離の2以上の画素において、それらが基準表示データ信号値に対して同輝度の発光が行われるように補正値を得ることができる。
これを、さらに他の画素に対しても、既に補正値を更新した画素を一部に用いながら順次連鎖的に実行していけば、補正対象とする全画素について、光センサの検出ばらつきの影響を排除した補正値を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画面を構成する各発光画素について、光センサの経時劣化等による検出ばらつきの影響を排除した補正値を求めることができ、各画素の発光ばらつきを補正できる。従って、表示画面上に表れる輝度ムラを適切に解消できる。
例えば初期状態での輝度ムラを解消できるとともに、随時補正値の更新処理を行うことで経時劣化による輝度ムラも解消でき、高品質な表示画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態としての有機EL表示装置を説明していく。説明は次の順序で行う。
[1.有機EL表示装置の構成]
[2.パワーオン/オフ時の補正係数設定処理]
[3.第1の補正係数設定処理例]
[4.第2の補正係数設定処理例]
[5.第3の補正係数設定処理例]
[6.変形例]
【0016】
[1.有機EL表示装置の構成]

図1に実施の形態の表示装置1の要部の構成を示す。
本例の表示装置1は、有機EL素子を発光素子として用いるディスプレイパネルとして有機ELパネル5を有する。有機ELパネル5は、ゲートドライバ3及びデータドライバ4によって表示駆動される。
【0017】
そして有機ELパネル5に対して供給する表示データ信号について処理を行う部位として、信号処理部2が設けられる。信号処理部2は、入力信号として表示データ信号が入力されると、その入力信号に対して例えば信号値補正などの所要の処理を行い、処理後の表示データ信号をデータドライバ4に出力する。また垂直同期信号、水平同期信号をゲートドライバ3及びデータドライバ4に供給する。
補正係数格納部6は、有機ELパネル5における各画素に対応した補正値として補正係数を格納するメモリである。例えば不揮発性メモリ等で構成される。この補正係数は、画素間の輝度ばらつきを解消するために設定された補正係数である。
【0018】
通常の表示動作時には、信号処理部2は、補正係数格納部6に格納された補正係数を用いて各画素の発光輝度補正が行われるようにする。例えば信号処理部2は、各画素に与える表示データ信号の信号値を、補正係数格納部6に記憶された補正係数によって補正した上で、データドライバ4に出力する。表示データ信号値の補正処理としては、例えば、或る画素に対する表示データ信号値(発光輝度としての階調値)について、その画素に対して設定されている補正係数を乗算する処理などを行う。
なお、補正係数格納部6に格納する補正値は乗算係数に限られず、例えば表示データ信号値に対して加減算を行う補正値などでもよい。
或いは補正係数格納部6に格納する補正値は、表示データ信号の階調値自体を補正するものではなく、例えばデータドライバ4、ゲートドライバ3によって制御される画素回路の発光時間の制御値などであってもよい。その場合、信号処理部2は、補正値に基づいた発光期間制御信号をゲートドライバ3、データドライバ4に与えればよい。
いずれにしても補正係数格納部6に格納する補正値は、各画素毎に発光輝度を調整するための値であればよい。
【0019】
信号処理部2が例えば表示データ信号に補正係数を乗算して補正を行ってデータドライバ4に出力することで、画素間の発光輝度ばらつきが解消され、表示画面上で輝度ムラが生じないようにされる。
仮に全画素を同一の表示データ信号値(階調値)で発光させると、本来は画面上では輝度ムラは生じないはずであるが、実際には各画素の経時劣化の進行具合等により、各画素には発光輝度ムラが生じる。
そのような各画素間の輝度ばらつきを解消する補正係数が設定され、補正係数格納部6に記憶されていれば、信号処理部2がその補正係数を用いて表示データ信号値の補正を行うことで、画面上の輝度ムラが解消されることになる。
【0020】
検出信号生成部7は、後述するように有機ELパネル5に多数配置されている光センサで得られる検出値を信号処理部2に供給する。例えば各光センサの検出値をデジタルデータとして信号処理部2に供給する。
信号処理部2は、後述するように、有機ELパネル5内に多数配置されている光センサの検出値を用いて補正係数格納部6に記憶されている補正係数の設定(更新)を行う。その際、信号処理部2は検出信号生成部7から、所定の光センサの検出値を取り込むことになる。
【0021】
図2、図3を参照して有機ELパネル5、及び有機ELパネル5の駆動を行うゲートドライバ3、データドライバ4について述べる。
図2に有機ELパネル5、ゲートドライバ3、データドライバ4の構成の一例を示す。有機ELパネル5は、有機EL素子を発光素子とし、アクティブマトリクス方式で発光駆動を行う画素回路10を含むものである。
【0022】
図2に示すように、有機ELディスプレイパネルモジュール3は、画素回路10が列方向と行方向にマトリクス状に配列された画素アレイとして構成される。なお、画素回路10には「R」「G」「B」を付しているが、これはR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の発光画素であることを示している。
【0023】
そして各画素回路10を駆動するため、データドライバ4と、ゲートドライバ3が設けられる。ゲートドライバ3はドライブスキャナ11とライトスキャナ12を備える。
またデータドライバ4により選択され、表示データ信号の信号値(階調値)に応じた電圧を画素回路10に供給する信号線DTL1、DTL2・・・が、画素アレイ上で列方向に配されている。信号線DTL1、DTL2・・・は、画素アレイにおいてマトリクス配置された画素回路10の列数分だけ配される。
【0024】
また画素アレイ上に、行方向に書込制御線WSL1,WSL2・・・、電源制御線DSL1,DSL2・・・が配されている。これらの書込制御線WSL及び電源制御線DSLは、それぞれ、画素アレイにおいてマトリクス配置された画素回路10の行数分だけ配される。
書込制御線WSL(WSL1,WSL2・・・)はライトスキャナ12により駆動される。ライトスキャナ12は、設定された所定のタイミングで、行状に配設された各書込制御線WSL1,WSL2・・・に順次、走査パルスWS(WS1,WS2・・・)を供給して、画素回路10を行単位で線順次走査する。
電源制御線DSL(DSL1,DSL2・・・)はドライブスキャナ11により駆動される。ドライブスキャナ11は、ライトスキャナ12による線順次走査に合わせて、行状に配設された各電源制御線DSL1,DSL2・・・に駆動電位(Vcc)、初期電位(Vini)の2値に切り替わる電源電圧としての電源パルスDS(DS1,DS2・・・)を供給する。
データドライバ4は、ライトスキャナ12による線順次走査に合わせて、列方向に配された信号線DTL1、DTL2・・・に対して、画素回路10に対する入力信号としての信号電位(Vsig)と基準電位(Vofs)を供給する。
【0025】
図3に画素回路10の構成例を示している。この画素回路10が、図2の構成における画素回路10のようにマトリクス配置される。なお、図3では簡略化のため、信号線DTLと書込制御線WSL及び電源制御線DSLが交差する部分に配される1つの画素回路10のみを示している。
【0026】
この画素回路10は、発光素子である有機EL素子15と、1個の保持容量Csと、サンプリングトランジスタTrS、駆動トランジスタTrDとしての2個の薄膜トランジスタ(TFT)とで構成されている。サンプリングトランジスタTrS、駆動トランジスタTrDはnチャネルTFTとされている。
【0027】
保持容量Csは、一方の端子が駆動トランジスタTrDのソースに接続され、他方の端子が同じく駆動トランジスタTrDのゲートに接続されている。
画素回路10の発光素子は例えばダイオード構造の有機EL素子15とされ、アノードとカソードを備えている。有機EL素子15のアノードは駆動トランジスタTrDのソースsに接続され、カソードは所定の接地配線(カソード電位Vcath)に接続されている。
サンプリングトランジスタTrSは、そのドレインとソースの一端が信号線DTLに接続され、他端が駆動トランジスタTrDのゲートに接続される。またサンプリングトランジスタTrSのゲートは書込制御線WSLに接続されている。
駆動トランジスタTrDのドレインは電源制御線DSLに接続されている。
【0028】
有機EL素子15の発光駆動は、基本的には次のようになる。
信号線DTLに信号電位Vsigが印加されたタイミングで、サンプリングトランジスタTrSが書込制御線WSLによってライトスキャナ12から与えられる走査パルスWSによって導通される。これにより信号線DTLからの入力信号Vsigが保持容量Csに書き込まれる。駆動トランジスタTrDは、ドライブスキャナ11によって駆動電位Vccが与えられている電源制御線DSLからの電流供給により、保持容量Csに保持された信号電位に応じた電流IELを有機EL素子15に流し、有機EL素子15を発光させる。
【0029】
つまり、各フレーム期間において、画素信号値(階調値)が保持容量Csに書き込まれる動作が行われるが、これにより、階調値によって駆動トランジスタTrDのゲート−ソース間電圧Vgsが決まる。駆動トランジスタTrDは飽和領域で動作することで有機EL素子15に対して定電流源として機能し、ゲート−ソース間電圧Vgsに応じた電流IELを有機EL素子15に流す。これによって有機EL素子15では、階調値に応じた輝度の発光が行われる。
【0030】
各画素回路10に与えられる信号電位Vsigは、その画素に対する表示データ信号値に応じた電圧である。上述のように信号処理部2は、補正係数格納部6に記憶された各画素回路10についての補正係数を用いて、各画素に対する表示データ信号値を補正してデータドライバ4に供給する。
このため、各画素回路10毎に、入力信号電位Vsigに対する発光輝度のばらつきがあったとしても、入力信号電位Vsig自体が補正されていることにより、各画素回路10においては、それぞれ求められる本来の輝度の発光が行われる。これによって画面表示上での輝度ムラが解消されることになる。
【0031】
[2.パワーオン/オフ時の補正係数設定処理]

ところで、そのように表示データ信号の信号値補正によって画面上での輝度ムラを解消させるためには、補正係数が適切に設定されていることが前提となる。
特に各画素回路10毎の発光輝度のばらつき具合は、経時劣化によっても変化するため、補正係数格納部6に記憶された補正係数も、適宜更新されていかなければ、常に輝度ムラのない高品質な画面表示を行うことができない。
【0032】
本実施の形態の表示装置1では、例えばパワーオンにより起動される際、又はパワーオフで終了処理を行う際の一方又は両方で、補正係数の設定処理を行い、補正係数格納部6に記憶されている補正係数を更新する。
【0033】
図4(a)(b)にパワーオン時の処理及びパワーオフ時の処理を示している。
ユーザの操作、もしくはシステム接続された機器からの指令、或いは表示装置1内部のタイマー機能などにより、図1には示していない表示装置1の制御部が、パワーオン要求の発生を認識すると、図4(a)の処理が行われる。
即ち図示しない制御部は、ステップF101として、電源回路から各部への電源供給を開始させると共に、所要の起動処理を行う。また制御部は、信号処理部2に補正係数設定処理を指示する。
【0034】
信号処理部2はステップF102として、有機ELパネル5におけるR画素についての補正係数設定処理を行う。
この補正係数設定処理は、例えば少なくとも有効画像領域における全R画素を補正値設定処理の対象として行い、当該全R画素についての補正係数格納部6に格納される補正係数の設定を行う処理である。
またステップF103でG画素についての補正係数設定処理を行う。
この補正係数設定処理は、例えば少なくとも有効画像領域における全G画素を補正値設定処理の対象として行い、当該全G画素についての補正係数格納部6に格納される補正係数の設定を行う処理である。
さらにステップF104としてB画素についての補正係数設定処理を行う。
この補正係数設定処理は、例えば少なくとも有効画像領域における全B画素を補正値設定処理の対象として行い、当該全B画素についての補正係数格納部6に格納される補正係数の設定を行う処理である。
これらの補正係数設定処理により、補正係数格納部6に格納されている、各画素回路10毎の補正係数が更新されたことになる。具体的な補正係数設定処理例については後述する。
【0035】
これらの補正係数設定処理が終了したら、ステップF105で通常表示を開始する。即ち信号処理部2は、入力される表示データ信号の信号値について、それぞれ画素単位で補正係数を補正係数格納部6から読み出し、信号値を補正してデータドライバ4に供給する動作を開始する。
これによって通常の表示状態においては、最新の補正係数によって補正された表示データ信号に基づき、輝度ムラのない表示動作が行われる。
【0036】
このようなパワーオン時(起動時)ではなく、或いはパワーオン時に加えて、パワーオフ時に補正係数の設定処理を行っても良い。
例えば制御部は、ユーザ操作、タイマー機能、システム接続機器からの指示等として、表示装置1の電源オフの要求が発生した場合に、図4(b)の処理を行う。
まずステップF201で、信号処理部2に対して通常の表示動作を終了させる指示を行う。また制御部は、信号処理部2に補正係数設定処理を指示する。
信号処理部2はステップF202として、有機ELパネル5におけるR画素についての補正係数設定処理を行う。またステップF203でG画素についての補正係数設定処理を行い、さらにステップF204としてB画素についての補正係数設定処理を行う。
これらの補正係数設定処理により、補正係数格納部6に格納されている各画素回路10毎の補正係数が更新される。
その後制御部はステップF205で、所要の終了処理を行い、また電源回路に各部への電源供給を停止させる指示を行って電源オフ状態とする。
【0037】
以上の図4(a)又は図4(b)のいずれかの処理が少なくとも行われることで、補正係数格納部6に記憶された補正係数は、適宜更新されることになり、通常表示動作時には各画素の経時劣化にも対応した発光輝度補正が実現される。
【0038】
[3.第1の補正係数設定処理例]

以下、具体的な補正係数設定処理として第1〜第3の補正係数設定処理について説明していく。なお、図4(a)(b)は、R、G、Bの各画素群について順次補正係数設定処理を行うとしたが、補正係数設定処理自体は同様であるため、以下ではR画素群に対する補正係数設定処理についてのみ述べる。即ち図4(a)のステップF102又は図4(b)のステップF202の処理である。ステップF103,F104、又はステップF203,F204の処理は、対象とする画素群及び使用する光センサが異なるのみで、以下説明する補正係数設定処理が同様に行われると理解すればよい。
【0039】
第1の補正係数設定処理を図5〜図7により説明する。
まず図5、図6で画素及び光センサの配置を説明する。
図5は有機ELパネル5の画素アレイでの画素及び光センサの配置を模式的に示している。方形で示すR画素、G画素、B画素は、それぞれ図2,図3で説明した画素回路10に相当する。
当該画素アレイでは、R画素、G画素、B画素の3つの画素によるユニットが、垂直方向にM個、水平方向にN個配設されているとする。
第1行目で第1列(ユニット単位の先頭列)のR画素、G画素、B画素を、画素R11,G11,B11とする。
第1行目で第N列(ユニット単位の最終列)のR画素、G画素、B画素を、画素R1N,G1N,B1Nとする。
第M行目(最終行)で第1列のR画素、G画素、B画素を、画素RM1,GM1,BM1とする。
第M行目で第N列のR画素、G画素、B画素を、画素RMN,GMN,BMNとする。
【0040】
このような画素アレイにおいて、○で示す画素補正センサが、上下の同色画素から等距離の位置に配置され、また、●で示す列補正センサが、第1行目の上側において、異なる列の同色画素から等距離の位置に配置されている。
なお、○で示す「画素補正センサ」と●で示す「列補正センサ」とは、説明の便宜上、区別しているにすぎず、同一の構造の光センサでよい。もちろん異なる構造であってもよい。
【0041】
図6は、図5の一部として画素R11〜B43の範囲を拡大して示している。
列補正センサS01、S02、S03・・・、及び画素補正センサS11、S12、S13・・・が、図のように配設されている。
この例では、1つの画素補正センサは、2つの画素から等距離の位置に配置される。例えば画素補正センサS11は、画素R11,R21の中間位置とされる。また画素補正センサS21は、画素R21とR31の中間位置とされる。
即ち列方向に隣接する2つのR画素から等距離の位置に、それぞれ画素補正センサが配置されている。G画素の列、B画素の列についても同様である。
この画素補正センサは、上下に隣接する画素同士の間で相対的な発光輝度の差分を検出するものとされる。
【0042】
また1つの列補正センサは、異なる列の2つの同色画素から等距離の位置に配置される。例えば列補正センサS01は、画素R11,R12から等距離の位置とされる。また画素補正センサS04は、画素R12とR13から等距離の位置とされる。
またG画素の列、B画素の列についても同様に列補正センサが設けられる。例えば列補正センサS02は、画素G11とG12から等距離の位置とされ、列補正センサS03は画素B11とB12から等距離の位置とされる。
この列補正センサは、異なる列の同色画素同士の間で相対的な発光輝度の差分を検出するものとされる。
【0043】
このような配置においては、画素補正センサから見れば、それぞれが2つの画素に対応することになる。例えば画素補正センサS11は、画素R11とR21の輝度検出用の光センサとなる。また画素補正センサS21は、画素R21とR31の輝度検出用の光センサとなる。
一方、画素側から見れば、第1行及び第M行以外の画素については、各画素に2つの画素補正センサが対応することになる。例えば画素R21から見れば、画素補正センサS11とS21が対応する。
第1行の各画素は、1つの画素補正センサと1つまたは2つの列補正センサが対応する。例えば画素R11から見れば、画素補正センサS11と列補正センサS01が対応する。また画素R12は、画素補正センサS14と列補正センサS01、S04が対応する。
【0044】
このような対応関係は、特定の一つの基準画素(例えばR画素群については画素R11とする)を起点として、全ての画素(画素RMNまでの全R画素)が、光センサ(画素補正センサまたは列補正センサ)を介して橋渡しされているような状態を形成する。
G画素群、B画素群も同様である。例えばG画素群は、基準画素G11から、画素GMNまでの全G画素が、光センサで橋渡しされているような状態である。
ここで橋渡しという表現は単なる説明上のイメージである。具体的には、2つの画素が共通の光センサで輝度検出されていくことが、順次各光センサについて繰り返されることで、同色の全画素の、基準画素からみた相対的な発光輝度差分を、各光センサの検出ばらつきを排除して得られる構成であることを示している。
【0045】
このように画素及び光センサ(画素補正センサと列補正センサ)を配設することで実現できる補正係数設定処理を説明する。
【0046】
補正係数設定処理の概略は次の(1)〜(6)のとおりである。
(1)基準画素を基準表示データ信号値で点灯させ、その上または下の光センサで測定を行なう。基準画素はパネル内の任意の画素とする。基準表示データ信号値とは、或る特定の階調値である。全画素に基準表示データ信号値を与えて画素毎の発光輝度の差を検出するためである。また基準画素は、本例ではR画素群については画素R11とする。
例えば最初に、基準画素R11としての画素回路10に、基準表示データ信号値による信号電位Vsigを与えて発光させ、発光輝度を画素補正センサS11で検出する。
【0047】
(2)当該検出を行った光センサに隣接する反対側の画素を基準表示データ信号で点灯させて測定を行なう。即ち、例えば次に、画素R21としての画素回路10に、基準表示データ信号値による信号電位Vsigを与えて発光させ、発光輝度を同じく画素補正センサS11で検出する。
【0048】
(3)画素間の輝度差分から補正係数設定を行う。例えば上記(1)(2)により、画素R11,R21の輝度が、共通の画素補正センサS11で得られたことになる。そこで、その検出値から、基準画素R11に対する画素R21の検出値の差分(比)から、補正係数が算出できる。即ち、基準画素R11と同一の輝度で画素R21を発光させるようにするための補正値である。そして算出された補正係数を、画素R21についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
【0049】
(4)次に、補正係数を更新した画素を基準にして、次の画素の補正係数を設定する。例えば先に補正係数を設定した画素R21を基準にして、画素R31の補正係数を設定する。このため、画素R21とR31の間で、上記(1)(2)(3)の処理を行う。
まず画素R21を基準表示データ信号値で発光させ、画素補正センサS21で発光輝度を検出する。但し、この場合は、画素R21に対しては、先に設定した補正係数による補正を行った基準表示データ信号値を与えることとなる。
次に、画素R31を基準表示データ信号値で発光させ、画素補正センサS21で発光輝度を検出する。
そして画素間の輝度差分から補正係数設定を行う。即ち画素R21,R31の輝度が、共通の画素補正センサS21で得られたことになるため、画素R21に対する画素R31の検出値の差分(比)から、補正係数を算出する。即ち、画素R21と同一の輝度で画素R31を発光させるようにするための補正値である。そして算出された補正係数を、画素R31についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。ここで、画素R21については、先に設定した補正係数を反映させた基準表示データ信号値で発光させているため、今回求められた画素R31の補正係数は、基準画素R11と同一の輝度で画素R31を発光させるための補正値となる。
【0050】
(5)以下、列方向に順次同様の処理を行い、列方向の各画素(R41〜RM1)について、それぞれ補正係数を求め、補正係数格納部6に記憶する。
【0051】
(6)次に、他の列の画素について補正係数設定を行う。例えば基準画素R11と画素R12の間で、列補正センサS01を用いて、上記(1)(2)(3)と同様の処理を行う。すると、画素R12について、基準画素R11と同一の輝度で画素R12を発光させるための補正係数を得ることができる。
画素R12の補正係数が設定できたら、次に画素R12とR22の間で、上記(4)の処理を行う。これにより、画素R22についても、基準画素R11と同一の輝度で画素R22を発光させるための補正係数を得ることができる。
以下、R32〜RM2についても同様の処理を繰りかえす。
【0052】
以上のような処理を、画素RMNの補正係数設定まで行うことで、全R画素について、同一の表示データ信号が与えられたときに、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数が得られたことになる。
【0053】
図4(a)のステップF102、または図4(b)のステップF202として、このようなR画素群についての補正係数設定処理を実現する信号処理部2の処理例を図7に示す。
まず信号処理部2は、ステップF300で補正係数格納部6における全R画素についての補正係数をクリアする。次にステップF301で、処理対象の画素を指定する変数m,nについてm=1、n=1とする。
【0054】
ステップF302では、信号処理部2は、画素Rmnについて、特定の階調値Xに相当する基準表示データ信号(以下「基準信号X」)を与えて発光させる。なお、このステップF302では、当該画素Rmnについて、補正係数格納部6に記憶されている補正係数による補正を与える。但し、最初はm=1、n=1であり、画素Rmn=基準画素R11となり、また補正係数はクリアされている。従って、基準画素R11に対して、基準信号Xをそのまま与えることになる。具体的には、データドライバ4に基準信号Xを供給するとともに、ゲートドライバ3及びデータドライバ4に、画素R11の発光を指示する。
【0055】
ステップF303では、信号処理部2は、発光させた画素Rmnの下側の画素補正センサの検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。この場合、基準画素R11の下側の画素補正センサS11の検出値を取り込むことになる。
【0056】
次に信号処理部2はステップF304で、変数mをインクリメントし、ステップF305で、画素Rmnについて、基準信号Xを与えて発光させる。なお、このステップF305は、データドライバ4に供給する基準信号Xについて補正は行わない。この場合、m=2とされているため、画素R21を基準信号Xで発光させることになる。
ステップF306では、信号処理部2は、発光させた画素Rmnの上側の画素補正センサの検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。この場合、画素R21の上側の画素補正センサS11の検出値を取り込むことになる。つまり上記ステップF303と同一の画素補正センサS11の検出値である。
【0057】
信号処理部2は、ステップF307で、上記ステップF303及びF306で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、画素R11、R21について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値である。
この両検出値の差分または比から、画素R21を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得ることができる。
そしてステップF308では、算出された補正係数を、画素R21についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
ここまでの処理で、基準画素R11を基準とした画素R21の補正係数が設定できたことになる。
【0058】
信号処理部2は、ステップF309で変数m=Mであるか否かを確認する。上述のように「M」は最終行の値である。つまりステップF309は、現在の列の最終行の画素まで、補正係数の設定が終えたか否かを確認する処理である。
上記のように画素R21の補正係数設定を行った時点では、まだ補正係数未設定の下方の画素が存在するため、ステップF302に戻る。
【0059】
この場合、ステップF302で信号処理部2は、画素Rmn(つまり画素R21)について、基準信号Xを与えて発光させる。このときは、当該画素Rmn(=R21)について、先に補正係数格納部6に記憶させた補正係数による補正を与える。従って、この時点で画素R21は、基準画素R11と同じ発光輝度で発光していることになる。
そしてステップF303で信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=R21)の下側の画素補正センサ、つまり今度は画素補正センサS21の検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。
【0060】
次に信号処理部2はステップF304で、変数mをインクリメントし、ステップF305で、画素Rmnについて、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。この場合、m=3とされているため、画素R31を基準信号Xで発光させることになる。
ステップF306では、信号処理部2は、発光させた画素Rmnの上側の画素補正センサの検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。この場合、基準画素R31の上側の画素補正センサS21の検出値を取り込むことになる。つまり直前のステップF303と同一の画素補正センサS21の検出値である。
【0061】
信号処理部2は、ステップF307で、上記ステップF303及びF306で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、画素R21、R31について画素補正センサS21で検出した発光輝度の値である。
この両検出値の差分または比から、画素R31を、画素R21と同一の輝度(つまり基準画素R11と同一輝度)で発光させるための補正係数を得ることができる。
そしてステップF308では、算出された補正係数を、画素R31についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
【0062】
以上のステップF302〜F308の処理を、当該列の最終行の画素RM1の補正係数が設定されるまで繰り返していく。
そして画素RM1の補正係数が設定された直後のステップF309では、変数m=Mとなり、この場合、ステップF310に進んで、現在が最終列(第N列)の処理を終了したのか否かを確認する。即ち変数n=Nであるか否かを確認する。
【0063】
上記のように第1列のR画素(R11〜RM1)までの補正係数設定を終えた時点では、第2列以降のR画素が残っている。この時点で変数n=1であって、NではないためステップF311に進む。
信号処理部2は、まず変数mの値をm=1とする。そしてステップF312で画素Rmn(つまりこの場合、基準画素R11)について、基準信号Xを与えて発光させる。ステップF312にでは、先に画素Rmnについて補正係数格納部6に記憶させた補正係数による補正を与えるが、基準画素R11の場合に限っては、実質的に補正はない。例えば補正値を乗算係数とした場合は、基準画素R11についての補正係数=1(加減算値とした場合は補正値=0)であるためである。
そしてステップF313で信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=基準画素R11)に対応する列補正センサ、この場合、列補正センサS01の検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。
【0064】
次に信号処理部2はステップF314で、変数nをインクリメントし、ステップF315で、画素Rmn(この場合画素R12)について、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。
ステップF316では信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=R12)に対応する列補正センサ、この場合、列補正センサS01の検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。つまり直前のステップF313と同一の列補正センサの検出値である。
【0065】
信号処理部2は、ステップF317で、上記ステップF313及びF316で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、基準画素R11、R12について列補正センサS01で検出した発光輝度の値である。
この両検出値の差分または比から、画素R12を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得ることができる。
そしてステップF318では、算出された補正係数を、画素R12についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
【0066】
そしてステップF302に進む。R画素群としての2列目の先頭の画素R12について補正係数が設定されたため、以降、ステップF302〜F308を、当該2列目の各画素について実行することになる。
即ちまず画素R12を、補正係数で補正した基準信号Xで発光させて画素補正センサS14で輝度検出を行う(F302,F303)。次に画素R22を無補正の基準信号Xで発光させて画素補正センサS14で輝度検出を行う(F304,F305,F306)。そして、両検出値から、画素R22を、画素R21と同一の輝度(つまり基準画素R11と同一輝度)で発光させるための補正係数を得、算出された補正係数を、画素R22についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する(F307,F308)。
【0067】
以降、順次、画素R22,R32、画素R32とR34・・・とステップF302〜F308の処理を行い、最終行の画素RM2まで補正係数を設定する。
すると今度は、画素R12とR13の関係で列補正センサS04を用いてステップF311〜F318の処理を行い、その後、ステップF302〜F308で、R画素群としての第3列目の画素(画素R13〜RM3)までの補正係数設定を行う。
このような処理を繰り返し、最終行、最終列の画素RMNの設定が終わった時点で、ステップF310で変数n=Nとなり、R画素群に対する補正係数設定処理が終了する。
【0068】
G画素群については図4のステップF103またはF203で、B画素群については図4のステップF104またはF204で、図7と同様の処理が行われる。即ち図7における画素R11〜RMNを、G画素群については画素G11〜GMN、B画素群については画素B11〜BMNとして考え、またそれぞれ対応する光センサを用いればよい。
【0069】
このような処理を行うことにより、補正係数更新対象とする全画素(少なくとも有効表示領域の全画素)について、補正係数が設定されることになる。
特にパワーオン時、またはパワーオフ時に補正係数更新が行われることで、経時劣化にも対応して適切な補正係数が補正係数格納部6に格納されるように適宜更新されることになる。
その上で、本例の場合、各画素の補正係数は基準画素R11から順次、共通の光センサでの輝度検出値に基づいて算出される。これは、補正係数算出の際に、各光センサの検出ばらつきの影響を受けないことを意味する。
従って補正係数は、各光センサの検出ばらつきの影響を排除した適切な値となる。
これらによって本例の表示装置1は、常に輝度ムラのない高品質な画面表示を行うことができる。
【0070】
なお、以上のような第1の補正係数設定処理を実現するための光センサ配置例は、他にも考えられる。
例えば列補正センサは、第1行目の上側ではなく、第m行目の下側において、異なる列の同色画素から等距離の位置に配置されていてもよいし、配置が可能であれば、途中の行の間に配置されていても良い。あくまでも、或る列の1つの画素と、異なる列の1つの同色画素とから等距離の位置に設けられて、異なる列の画素同士で共通に発光輝度を検出できるようにすればよい。
【0071】
また、図7の処理では列方向の画素について補正係数設定を行った後、列補正センサを介して次の列の補正に進むようにしたが、先に第1行目の全R画素について補正を行い、その後、各列で、画素補正センサを介して、順次列方向に並ぶR画素の補正係数設定を行うようにすることもできる。もちろん他の順序も考えられ、どのような順序で各画素の補正係数設定を行うかは、全く任意である。
【0072】
[4.第2の補正係数設定処理例]

第2の補正係数設定処理を図8〜図10により説明する。
まず図8、図9で光センサの配置を説明する。画素の配置は上述した図5,図6と同様である。
図8に示すように、画素アレイ内において、○で示す画素補正センサが配置される。最外周の画素の周囲には、先に述べた列補正センサは無く、この例では、○で示す画素補正センサが列補正センサとしての機能も果たす。
【0073】
図9に拡大して示すが、各画素補正センサは、4つの同色画素から等距離の位置に配置されている。
例えば画素補正センサS11は、画素R11,R21,R12,R22からそれぞれ等距離の位置とされる。また画素補正センサS21は、画素R21,R31,R22,R32からそれぞれ等距離の位置とされる。G画素群、B画素群についても同様である。
この画素補正センサは、対応する4つの画素同士の間で相対的な発光輝度の差分を検出するものとされる。
【0074】
このような光センサの配置も、特定の一つの基準画素(例えばR画素群については画素R11)を起点として、全ての画素(画素RMNまでの全R画素)が、光センサ(画素補正センサ)を介して橋渡しされているような状態を形成する。
【0075】
このように画素及び光センサを配設することで実現できる補正係数設定処理を図10で説明する。図10は、図4(a)のステップF102、または図4(b)のステップF202として信号処理部2が実行する処理である。
なお、説明の便宜上、1つの画素補正センサに対応する4つの画素を「ブロック」と呼ぶこととする。
【0076】
まず信号処理部2は、ステップF400で補正係数格納部6における全R画素についての補正係数をクリアする。次にステップF401で、処理対象の画素を指定する変数m,nについてm=1、n=1とする。
そしてまず最初に、ステップF402〜F421の処理で、画素R11,R12,R21,R22のブロックについて処理を行う。
【0077】
ステップF402では、信号処理部2は、画素Rmnについて、補正係数を反映させた基準信号Xを与えて発光させる。但し、最初はm=1、n=1であり、画素Rmn=基準画素R11であるため、基準画素R11に対して、基準信号Xをそのまま与えることになる。
ステップF403では、信号処理部2は、発光させた画素Rmnの発光輝度として、現ブロックに対応する画素補正センサの検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。この場合、画素補正センサS11の検出値を基準画素R11の発光輝度として取り込むことになる。
【0078】
次に信号処理部2はステップF404で、m>1であるか否かを確認し、変数m=1の場合(画素Rmnが先頭行の画素であった場合)に、ステップF405に進んで変数nをインクリメントする。
次にステップF406では、画素Rmnについて、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。この場合、n=2とされているため、画素R12を基準信号Xで発光させることになる。
ステップF407では信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=R12)を含む現ブロックに対応する画素補正センサの検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。この場合、画素補正センサS11の検出値を取り込むことになる。つまり上記ステップF403と同一の画素補正センサS11の検出値である。
信号処理部2は、ステップF408で、上記ステップF403及びF407で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、画素R11、R12について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値であり、この両検出値の差分または比から、画素R12を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得る。そしてステップF409で、算出された補正係数を、画素R12についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
【0079】
次に信号処理部2はステップF410で、変数mをインクリメントし、またステップF411で変数nをデクリメントする。そしてステップF412で、n>1であるか否かを確認する。この時点で変数n=1であるためステップF413〜F417の処理を行う。
即ち信号処理部2はステップF413で、画素Rmn(=R21)について、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。そしてステップF414で、現ブロック対応の画素補正センサS11の検出値として、画素R21の発光輝度を取り込む。
次に信号処理部2は、ステップF415で、上記ステップF403及びF415で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、画素R11、R21について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値であり、この両検出値の差分または比から、画素R21を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得る。そしてステップF416で、算出された補正係数を、画素R21についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
そしてステップF417で変数nをインクリメントする。
【0080】
次に信号処理部2はステップF418で、画素Rmn(=R22)について、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。そしてステップF419で、現ブロック対応の画素補正センサS11の検出値として、画素R22の発光輝度を取り込む。
ステップF420では、信号処理部2は、上記ステップF403及びF419で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、画素R11、R22について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値であり、この両検出値の差分または比から、画素R22を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得る。そしてステップF421で、算出された補正係数を、画素R22についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
ここまでの処理で、最初のブロックの画素(R11,R12,R21,R22)について画素補正センサS11を用いて行った補正係数設定が完了する。
【0081】
次に、現在の画素Rmn(=R22)が最終行でなければ、m=Mではないため、ステップF402に戻る。
そして画素Rmn(=R22)を基準として、次のブロックの画素(R21,R22,R31,R32)について、このブロックに対応した画素補正センサS21を用いてステップF402〜F421の処理を行う。
【0082】
まずこのブロックで基準とした補正係数設定済の画素R22を、補正係数を反映させた基準信号Xで発光させ、現ブロックに対応する画素補正センサS21で発光輝度の検出値を得る。
なお、今回のブロックでは、画素R21は既に補正係数設定済であるため、処理は不要である。つまり第2行目(m=2)以降ではブロックの左上の画素の処理は不要である。このためステップF404でm>1の場合は、ステップF410に進む。そして変数mをインクリメント(F410)、変数nをデクリメントし(F411)、ステップF412で、この時点でn=1であるためステップF412からF413に進む。ここでは画素R31について、ステップF413〜F416の処理を行うことになる。
つまり画素R31を基準信号X(無補正)で発光させ(F413)、画素補正センサS21で検出し(F414)、補正係数を算出し(F415)、画素R31の補正係数として補正係数格納部6に記憶する(F416)。
【0083】
さらにステップF417で変数nをインクリメントし、ステップF418〜F421で、画素R32について処理を行う。即ち画素R32を基準信号X(無補正)で発光させ(F418)、画素補正センサS21で検出し(F419)、補正係数を算出し(F420)、画素R32の補正係数として補正係数格納部6に記憶する(F421)。
ここまでの処理で、2番目のブロックの処理が完了する。
【0084】
以降、画素R(M-1)1,R(M-1)1,RM1,RM2のブロックまで同様に処理を行う。画素R(M-1)1,R(M-1)1,RM1,RM2のブロックの処理が完了した時点で、ステップF422で変数m=Mとなり、ステップF423に進む。この時点で変数n=2であり、最終列ではないため、ステップF424で変数m=1としたうえでステップF402に戻る。
【0085】
この時点で画素Rmn=R12となる。そしてR12,R13,R22,R23のブロックを対象としてステップF402〜F421の処理を行う。この場合、画素補正センサS14をブロック対象の光センサとして用いる。
なお、このブロックでは、最初に画素12を基準の画素としてステップF402,F403の処理を行う。
またステップF404の時点ではm=1であるため、画素R13に対してステップF405〜F409の処理を行う。
また2列目以降のブロックについては、n>1なるため(画素R22は処理済みであるため)、ステップF412からF418に進み、画素23についてステップF418〜F421の処理を行う。
【0086】
このように画素R12,R13,R22,R23のブロックを対象としてステップF402〜F421の処理を行ったら、次に画素R22,R23,R32,R33のブロックを対象としてステップF402〜F421の処理を行う。
このブロックでは、最初に画素R23を基準の画素としてステップF402,F403の処理を行う。
またこのブロックではR22、R32は既に処理済みであるため、ステップF404、F411で処理が回避され、ステップFF418〜F421で画素R33について補正係数設定処理が行われる。
【0087】
以降、順次各ブロックで処理が繰り返され、最終行、最終列の画素RMNの設定が終わった時点で、ステップF423で変数n=Nとなり、R画素群に対する補正係数設定処理が終了する。
結局以上の処理では、基準画素R11を基点として、R12→R21→R22→R31→R32→R41→R42→・・・→RM1→RM2→R13→R23→R33・・・という順序で各画素の補正係数が設定されていくことになる。
その後、G画素群、B画素群についても、図10と同様の処理が行われればよい。
【0088】
このような処理を行うことにより、補正係数更新対象とする全画素(少なくとも有効表示領域の全画素)について、補正係数が設定され、上述した第1の補正係数設定処理例と同様の効果が得られる。
またこの例では、1つの画素補正センサで4つの画素の相関で補正係数を算出するため、より精度の高い補正係数が得られる。
なお、各ブロックの処理の順序や、ブロック内での各画素の処理の順序は、上記図10の例以外にも多様に考えられる。
また、図8,図9で示したセンサ配置の場合に、図7で示した第1の画素補正係数設定処理を適用することもできる。例えば図7のステップF302〜F308の繰り返しで、画素R11、R21について画素補正センサS11を用い、また画素R21、R31について画素補正センサS21を用いるというようにして最初の列の画素について補正係数設定を行う。次に画素補正センサS11を列補正センサとして用いて、ステップF312〜F318で画素R11とR12の間で処理を行う。このように第1の画素補正係数設定処理を適用することもできる。
さらにその変形例として、各列で順番に行うのではなく、各行で順番に行うこともできる。例えば図7のステップF302〜F308の繰り返しで、画素R11、R12について画素補正センサS11を用い、また画素R12、R13について画素補正センサS14を用いるというようにして最初の行の画素について補正係数設定を行う。次に画素補正センサS11を用いて、ステップF312〜F318で画素R11とR21の間で処理を行う。そして、画素R12を基準にして、第2行目の各画素の補正係数設定を行っていくような処理である。
【0089】
[5.第3の補正係数設定処理例]

第3の補正係数設定処理を図11〜図13により説明する。
まず図11、図12で光センサの配置を説明する。画素の配置は上述した各例と同様である。
図11に示すように、画素アレイ内において、○で示す画素補正センサ及び●で示す列補正センサが配置される。
図12に拡大して示すが、各画素補正センサは、4つの同色画素から等距離の位置に配置されている。
例えば画素補正センサS11は、画素R11,R21,R12,R22からそれぞれ等距離の位置とされる。また画素補正センサS21は、画素R21,R31,R22,R32からそれぞれ等距離の位置とされる。
列補正センサは、隣接する同色の最上段のブロックにおける画素同士から等距離の位置に配置される。
例えば列補正センサS01は、画素R11,R21,R12,R22のブロックと、このブロックに隣接する画素R13,R23,R14,R24のブロックとを橋渡しするものとして、画素R12と画素R13から等距離の位置に配置される。
G画素群、B画素群についても同様である。
【0090】
このような光センサの配置も、特定の一つの基準画素(例えばR画素群については画素R11)を起点として、全ての画素(画素RMNまでの全R画素)が、光センサ(画素補正センサまたは列補正センサ)を介して橋渡しされているような状態を形成する。
【0091】
このように画素及び光センサを配設することで実現できる補正係数設定処理を図13で説明する。図13は、図4(a)のステップF102、または図4(b)のステップF202として信号処理部2が実行する処理である。
【0092】
まず信号処理部2は、ステップF500で補正係数格納部6における全R画素についての補正係数をクリアする。次にステップF501で、処理対象の画素を指定する変数m,nについてm=1、n=1とする。
そしてまず最初に、ステップF502〜F520の処理で、画素R11,R12,R21,R22のブロックについて処理を行う。
【0093】
ステップF502では、信号処理部2は、画素Rmnについて、補正係数を反映させた基準信号Xを与えて発光させる。但し、最初はm=1、n=1であり、画素Rmn=基準画素R11であるため、基準画素R11に対して、基準信号Xをそのまま与えることになる。
ステップF503では、信号処理部2は、発光させた画素Rmnの発光輝度として、現ブロックに対応する画素補正センサの検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。この場合、画素補正センサS11の検出値を基準画素R11の発光輝度として取り込むことになる。
【0094】
次に信号処理部2はステップF504で、m>1であるか否かを確認し、変数m=1の場合(画素Rmnが先頭行の画素であった場合)に、ステップF505に進んで変数nをインクリメントする。
次にステップF506では、画素Rmnについて、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。この場合、n=2とされているため、画素R12を基準信号Xで発光させる。
ステップF507では信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=R12)を含む現ブロックに対応する画素補正センサS11の検出値を、検出信号生成部7から取り込む。
信号処理部2は、ステップF508で、上記ステップF503及びF507で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、画素R11、R12について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値であり、この両検出値の差分または比から、画素R12を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得る。そしてステップF509で、算出された補正係数を、画素R12についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
【0095】
次に信号処理部2はステップF510で、変数mをインクリメントし、またステップF511で変数nをデクリメントする。
そして信号処理部2はステップF512で、画素Rmn(=R21)について、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。またステップF513で、現ブロック対応の画素補正センサS11の検出値として、画素R21の発光輝度を取り込む。
次に信号処理部2は、ステップF514で、上記ステップF503及びF514で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、両検出値とは、画素R11、R21について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値であり、この両検出値の差分または比から、画素R21を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得る。そしてステップF515で、算出された補正係数を、画素R21についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
そしてステップF516で変数nをインクリメントする。
【0096】
次に信号処理部2はステップF517で、画素Rmn(=R22)について、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。そしてステップF518で、現ブロック対応の画素補正センサS11の検出値として、画素R22の発光輝度を取り込む。
ステップF519では、信号処理部2は、上記ステップF503及びF518で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。即ちこの場合、画素R11、R22について画素補正センサS11で検出した発光輝度の値であり、この両検出値の差分または比から、画素R22を、基準画素R11と同一の輝度で発光させるための補正係数を得る。そしてステップF520で、算出された補正係数を、画素R22についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
ここまでの処理で、最初のブロックの画素(R11,R12,R21,R22)について画素補正センサS11を用いて行った補正係数設定が完了する。
【0097】
次に、現在の画素Rmn(=R22)が最終行でなければ、m=Mではないため、ステップF502に戻る。
そして画素Rmn(=R22)を基準として、次のブロックの画素(R21,R22,R31,R32)について、このブロックに対応した画素補正センサS21を用いてステップF402〜F421の処理を行う。
【0098】
まずこのブロックで基準とした補正係数設定済の画素R22を、補正係数を反映させた基準信号Xで発光させ、現ブロックに対応する画素補正センサS21で発光輝度の検出値を得る。
なお、第2行目(m=2)以降のブロックでは、画素R21は既に補正係数設定済であるため、処理は不要である。そこでステップF504でm>1の場合は、ステップF510に進む。そして変数mをインクリメント(F510)、変数nをデクリメントし(F511)、ステップF512〜F515で画素R31についての処理を行う。
さらにステップF516で変数nをインクリメントし、ステップF418〜F421で、画素R32について処理を行う。
ここまでの処理で、2番目のブロックの処理が完了する。
【0099】
以降、画素R(M-1)1,R(M-1)1,RM1,RM2のブロックまで同様に処理を行う。画素R(M-1)1,R(M-1)1,RM1,RM2のブロックの処理が完了した時点で、ステップF521で変数m=Mとなり、ステップF522に進む。この時点で変数n=2であり、最終列ではないため、ステップF523で変数m=1としたうえでステップF524に進む。
【0100】
信号処理部2は、ステップF524で画素Rmn(=画素R12)について、補正係数で補正した基準信号Xを与えて発光させる。そしてステップF524で信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=画素R12)に対応する列補正センサ、この場合、列補正センサS01の検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。
【0101】
次に信号処理部2はステップF526で、変数nをインクリメントし、ステップF527で、画素Rmn(この場合画素R13)について、基準信号X(無補正)を与えて発光させる。
ステップF528では信号処理部2は、発光させた画素Rmn(=R13)に対応する列補正センサ(S01)の検出値を、検出信号生成部7から取り込んで信号処理部2の内部で記憶する。つまり直前のステップF525と同一の列補正センサの検出値である。
【0102】
信号処理部2は、ステップF529で、上記ステップF525及びF528で取り込んだ両検出値を用いて補正係数を算出する。この場合、両検出値とは、基準画素R12、R13について列補正センサS01で検出した発光輝度の値である。
この両検出値の差分または比から、画素R13を、画素R12と同一の輝度(つまり基準画素R11と同一の輝度)で発光させるための補正係数を得ることができる。
そしてステップF530では、算出された補正係数を、画素R13についての補正係数として補正係数格納部6に記憶する。
【0103】
そしてステップF502に戻る。つまり画素R13,R14,R23,R24のブロックについてステップF502〜F520の処理を行う。
以降、処理が各ブロックについて同様に行われ、またブロックが最終行に達したら、列補正センサを介して、隣接する列のブロックの処理に移行する。
そして最終行、最終列の画素RMNの設定が終わった時点で、ステップF522で変数n=Nとなり、R画素群に対する補正係数設定処理が終了する。
結局以上の処理では、基準画素R11を基点として、R12→R21→R22→R31→R32→R41→R42→・・・→RM1→RM2→R13→R14→R23→R24→R33・・・という順序で各画素の補正係数が設定されていくことになる。
その後、G画素群、B画素群についても、図10と同様の処理が行われればよい。
【0104】
このような処理を行うことにより、補正係数更新対象とする全画素(少なくとも有効表示領域の全画素)について、補正係数が設定され、上述した第1,第2の補正係数設定処理例と同様の効果が得られる。
またこの例では、図11と、図5または図8を比較して分かるように、光センサの数を大幅に削減できるという利点が得られる。
なお、各ブロックの処理の順序や、ブロック内での各画素の処理の順序は、上記図10の例以外にも多様に考えられる。
【0105】
[6.変形例]

以下、各種の変形例を述べる。
図14は、画素補正センサを、R、G、B各画素で共用するようにした例である。
つまりこの場合、各画素補正センサは、或る色の2つの同色発光画素に対して等距離であり、かつ、他の色の2つの同色発光画素に対しても等距離である位置に配置されている。
例えば画素補正センサS11は、画素R11,R21から等距離で、かつ画素G11、G21から等距離で、かつ画素B11,B21から等距離の位置となる。
また画素補正センサS21は、画素R21,R31から等距離で、かつ画素G21、G31から等距離で、かつ画素B21,B31から等距離の位置となる。
列補正センサについては共用していない。即ち画素R11,R12に対して列補正センサS01が等距離に配置され、画素G11,G12に対して列補正センサS02が等距離に配置され、画素B11,B12に対して列補正センサS03が等距離に配置される。
【0106】
このように画素補正センサを各色で共用できるように配置することで、図6のような例に比べて、光センサの数を大幅に削減できる。
またこの場合、処理としては図7と同様の補正係数設定処理を行うことができる。
【0107】
図15は、画面上を領域分割して補正係数設定処理を行う例を示している。
例えば上述した各例では、画面全体の画素について順次、補正係数設定を行っていくため、比較的時間を要する。
この処理時間を短縮するには、例えば図15(a)のように、画面上を領域A、Bに分け、並行して上記各例の処理を行うことが考えられる。
また図15(b)のように領域A,B,C,Dに分ければ、さらに処理時間を短縮できる。
【0108】
但し、このように並行して処理を行う場合、複数の画素が同時発光されることになる。そのため、同時に発光されるうちの一方の画素の発光の影響が他方の画素の発光輝度の検出に表れないよう、同時発光される画素は十分に離れているように、各領域の各画素の処理順序を設定することが必要である。
また、各領域での基準画素同士が、同一の発光輝度でなければならない。例えばR画素群については、画素R11と画素R1qが基準信号Xに対して同一輝度でないと、領域Aの各画素と、領域Bの各画素が、補正後に異なる発光輝度となってしまうためである。
そこで、図15(a)の場合は、まず先頭行のみ、補正係数設定処理を行い、少なくとも画素R1qについて、基準画素R11と同一発光輝度となる補正係数を設定しておく。その後、領域Bについては、画素R1qを基準として、領域Aでの処理と並行して、各画素の補正係数設定を順次行うようにしておけばよい。
同様に図15(b)の場合は、先頭行と、先頭列と、第q列について補正係数設定処理を行い、少なくとも画素R1q、Rp1、Rpqについて、基準画素R11と同一発光輝度となる補正係数を設定しておく。その後、領域Bについては画素R1qを基準とし、領域Cについては画素Rp1を基準とし、領域Dについては画素pqを基準として、それぞれ各領域で各画素の補正係数設定を順次行うようにしておけばよい。
【0109】
また、上述の処理例では、各画素についての発光輝度の測定と補正係数設定を順次行うようにしているが、先に全画素について発光輝度の測定のみを行ってしまっても良い。画素間の相関をとるため、各画素の発光輝度は、それぞれ対応する2つの光センサで発光輝度を測定する。そして全画素を測定した後、測定された検出値を用いた演算で、各画素の補正係数を算出する。このようにすると、演算処理負担は増えるが、全体の処理の時短化に適している。
【0110】
また、光センサを等間隔に配置する事が困難な場合には、光センサからの距離と感度の関係式をあらかじめ求めておく事で、不等間隔の測定差を補正することも考えられる。
【0111】
また、測定する際の基準信号は或る階調の1つの基準信号Xだけでなく、例えば高輝度階調信号の基準信号Xと低輝度階調の基準信号Yの2つ、もしくはそれ以上の信号を入力して測定することで補正係数の精度を高めることも出来る。
【0112】
またシステムの起動時、終了時以外にも、ユーザの操作によって測定を開始して補正を行う事も出来る。
【0113】
また、一つの光センサで隣接する複数の画素を測定する時に、基準信号Xの値を変化させて輝度データを比較する事で、滅点や半滅点の検出も出来る。
また、各画素を複数の光センサで測定を行うので、輝度データを比較する事で光センサの故障を検出することも出来る。
【0114】
なお、光センサの配置例は各種説明したが、RGB各画素配列によって、センサ位置は異なり、また多様に考えられることは言うまでもない。
また実施の形態では有機ELパネルを用いた表示装置について説明したが、有機ELパネル以外でも自発光画素による表示パネルを用いた表示装置でも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施の形態の表示装置の要部のブロック図である。
【図2】実施の形態の有機ELパネルの説明図である。
【図3】実施の形態の有機ELパネルの画素回路の説明図である。
【図4】実施の形態のパワーオン/オフ時の処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態の第1の補正係数設定処理に係る光センサ配置の説明図である。
【図6】実施の形態の第1の補正係数設定処理に係る光センサ配置の拡大説明図である。
【図7】実施の形態の第1の補正係数設定処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態の第2の補正係数設定処理に係る光センサ配置の説明図である。
【図9】実施の形態の第2の補正係数設定処理に係る光センサ配置の拡大説明図である。
【図10】実施の形態の第2の補正係数設定処理のフローチャートである。
【図11】実施の形態の第3の補正係数設定処理に係る光センサ配置の説明図である。
【図12】実施の形態の第3の補正係数設定処理に係る光センサ配置の拡大説明図である。
【図13】実施の形態の第3の補正係数設定処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態の各色共用した光センサ配置の説明図である。
【図15】実施の形態の領域分割した処理動作の説明図である。
【符号の説明】
【0116】
1 表示装置、2 信号処理部、3 ゲートドライバ、4 データドライバ、5 有機ELパネル、6 補正係数格納部、7 検出信号生成部、10 画素回路、11 ドライブスキャナ、12 ライトスキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光画素がマトリクス状に配置されるとともに、それぞれが少なくとも2以上の発光画素から等距離の位置となるように配置された複数の光センサを有する表示パネル部と、
上記表示パネル部の各画素を、入力された表示データ信号に基づいて発光駆動する表示駆動部と、
上記各発光画素のそれぞれについての補正値を記憶する補正値格納部と、
通常表示動作時には、上記補正値格納部に格納された補正値を用いて各画素の発光輝度補正が行われるようにするとともに、通常表示動作を行わない際に、2以上の発光画素についての基準表示データ信号値でのそれぞれの発光輝度を、当該2以上の発光画素から等距離に配置された光センサの検出値として取り込み、取り込んだ各検出値に基づいて、当該2以上の発光画素のうちの一の発光画素に対する他の発光画素の補正値を算出して当該他の発光画素についての補正値として上記補正値格納部に格納させる補正値設定処理を行う信号処理部と、
を備えた表示装置。
【請求項2】
上記信号処理部は、上記補正値設定処理を、各光センサに対応する2以上の発光画素について行うことで、補正値設定対象とした全発光画素の補正値を設定する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記信号処理部は、上記補正値設定処理として、
2以上の発光画素のうちの一の発光画素を、上記補正値格納部に格納されている補正値を反映させた基準表示データ信号値で発光させて、その発光輝度を、当該2以上の発光画素に対して等距離に配置された光センサの検出値として取り込み、
上記2以上の発光画素のうちの他の発光画素を、無補正の上記基準表示データ信号値で発光させて、その発光輝度を、当該2以上の発光画素に対して等距離に配置された光センサの検出値として取り込み、
取り込んだ上記一の発光画素の発光輝度の検出値と、上記他の発光画素の発光輝度の検出値から、上記一の発光画素を基準とした上記他の発光画素の補正値を求め、
求められた補正値を、当該他の発光画素についての更新補正値として上記補正値格納部に格納させる処理を、
一つの光センサを用いた一連の処理として行い、
さらに、更新補正値が得られた発光画素と、補正値の更新前の発光画素を含む2以上の発光画素について、その2以上の発光画素に対して等距離に配置された光センサの検出値を用いて、上記一連の処理を行うことを繰り返すことで、
補正値設定処理の対象とする全発光画素について上記補正値格納部に格納される補正値の設定を行う請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記信号処理部は、表示装置のパワーオン時の処理として、又はパワーオフ時の処理として、上記補正値設定処理を行う請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記発光画素は、有機エレクトロルミネッセンス発光素子を用いた画素である請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
上記各光センサの全部又は一部は、2つの同色発光画素に対して等距離の位置に配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
上記各光センサの全部又は一部は、4つの同色発光画素に対して等距離の位置に配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
上記各光センサの全部又は一部は、或る色の2つの同色発光画素に対して等距離であり、かつ、他の色の2つの同色発光画素に対しても等距離である位置に配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
複数の発光画素がマトリクス状に配置されるとともに、それぞれが少なくとも2以上の発光画素から等距離の位置となるように配置された複数の光センサを有する有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
【請求項10】
複数の発光画素がマトリクス状に配置されるとともに、それぞれが少なくとも2以上の発光画素から等距離の位置となるように配置された複数の光センサを有する表示パネル部と、
上記表示パネル部の各画素を、入力された表示データ信号に基づいて発光駆動する表示駆動部と、
上記各発光画素のそれぞれについての補正値を記憶する補正値格納部と、
通常表示動作時には、上記補正値格納部に格納された補正値を用いて各画素の発光輝度補正が行われるようにする信号処理部と、
を備えた表示装置の、上記補正値格納部に記憶する補正値を設定する補正値設定方法として、
2以上の発光画素についての基準表示データ信号値でのそれぞれの発光輝度を、当該2以上の発光画素から等距離に配置された光センサにより検出し、
当該2以上の発光画素についての各検出値に基づいて、当該2以上の発光画素のうちの一の発光画素に対する他の発光画素の補正値を算出し、
算出された補正値を、当該他の発光画素についての補正値として上記補正値格納部に格納する補正値設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−139945(P2010−139945A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318217(P2008−318217)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】