説明

表示装置、表示装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】複数の画像供給装置から入力される画像のいずれかを簡単に選択して表示できる表示装置、表示装置の制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】プロジェクター11は、PC13から入力された入力画像データを表示する投射部3と、スクリーンSC上の表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数のPC13の各々から入力される複数の入力画像データを表示する分割表示状態と、いずれか一つの入力画像データを表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替える表示制御部107と、いずれかの入力画像データが所定の状態であることを検出する画像検出部125と、を備え、表示制御部107は、画像検出部125によっていずれかの入力画像データが所定の状態であると検出された場合に、検出された入力画像データを、投射部3によって全領域表示状態で表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置、表示装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示領域を複数に分割して異なる複数の画像を表示する態様(いわゆる分割表示)と、表示領域全体に一つの画像を表示する通常の態様(いわゆる全画面表示)とを切り替え可能な表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の表示装置は、複数のパーソナルコンピューター等の画像供給装置に接続され、各画像供給装置から入力される画像による分割表示と、いずれかの画像供給装置から入力される画像を表示する全画面表示とを切り替え可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−330468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、分割表示から全画面表示への切り替えを行う場合には、画像供給装置または表示装置を操作して、分割表示している画像のどれか一つを選択するため、何らかの操作を行う必要があり、手間がかかるという問題があった。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、複数の画像供給装置から入力される画像のいずれかを簡単に選択して表示できる表示装置、表示装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、画像供給装置から入力される入力画像を表示する表示装置であって、前記入力画像を表示する表示手段と、前記表示手段の表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数の前記画像供給装置の各々から入力される複数の前記入力画像を表示する分割表示状態と、いずれか一つの前記入力画像を前記表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替える表示制御手段と、いずれかの前記入力画像が所定の状態であることを検出する画像検出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記画像検出手段によっていずれかの前記入力画像が所定の状態であると検出された場合に、検出された前記入力画像を、前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の画像供給装置から入力される入力画像のうち、いずれかの入力画像が所定の状態になると、この入力画像が表示領域全体に表示されるので、分割表示状態からの切り替えを指示する操作や表示領域全体に表示する入力画像を指定する操作等を行わなくても、容易に表示状態を切り替えさせ、所望の入力画像を表示領域全体に表示できる。
【0006】
また、本発明は、上記表示装置において、前記画像検出手段は、前記入力画像が、画像内にウィンドウ枠が設けられてウィンドウ枠内にオブジェクトが表示された枠画像か、又は、画像内にウィンドウ枠のない状態でオブジェクトが画像全体に表示された全画面画像かを判別し、全画面画像であった場合に、この前記入力画像が前記所定の状態であることを検出することを特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置から入力される入力画像が、ウィンドウ枠がない全画面画像であれば、この入力画像が表示領域全体に表示されるので、画像供給装置が出力する画像の状態を制御するだけで、表示装置の表示状態を切り替えさせて、所望の入力画像を表示領域全体に表示できる。
【0007】
また、本発明は、上記表示装置において、前記画像検出手段は、前記所定の状態であることを検出した前記入力画像が、前記所定の状態でなくなったこと検出し、前記表示制御手段は、前記全領域表示状態で表示中の前記入力画像が、前記画像検出手段によって前記所定の状態でなくなったと検出された場合に、前記全領域表示状態から前記分割表示状態に切り替えることを特徴とする。
本発明によれば、表示領域全体に表示されている入力画像が所定の状態でなくなった場合に、分割表示状態に切り替わるので、分割表示状態への切り替えを指示する操作等を行うことなく、容易に分割表示状態に戻すことができる。
【0008】
また、本発明は、上記表示装置において、前記表示制御手段は、いずれかの前記入力画像を前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示中に、前記画像検出手段によって他の前記画像供給装置から入力される前記入力画像が前記所定の状態であることが検出された場合に、この新たに前記所定の状態であることが検出された前記入力画像を前記全領域表示状態で表示することを特徴とする。
本発明によれば、表示領域全体に入力画像を表示している状態で他の入力画像が所定の状態になった場合には、後から所定の状態になった入力画像が表示領域全体に表示されるので、画像供給装置が出力する画像の状態を制御するだけで、入力画像の切り替え等を指示する操作を行うことなく、表示領域全体に表示する画像を切り替えることができる。
【0009】
また、本発明は、上記表示装置において、前記画像供給装置から前記入力画像が入力されるデジタルインターフェイスを備え、このデジタルインターフェイスを介してデジタル画像データが入力されることを特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置から入力される入力画像がデジタル画像データとして入力されるため、画質を劣化させることなく表示することができ、さらに、デジタル処理によって入力画像が所定の状態であることを容易に検出できる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、画像供給装置から入力される入力画像を表示する表示手段を備えた表示装置の制御方法であって、前記表示手段が表示する表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数の前記画像供給装置の各々から入力される複数の前記入力画像を表示する分割表示状態と、いずれか一つの前記入力画像を前記表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替え、いずれかの前記入力画像が所定の状態であることを検出した場合に、検出した前記入力画像を、前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示させることを特徴とする。
本発明の表示方法を実行することにより、複数の画像供給装置から表示装置に入力される入力画像のうち、いずれかの入力画像が所定の状態になると、この入力画像が表示領域全体に表示されるので、分割表示状態からの切り替えを指示する操作や表示領域全体に表示する入力画像を指定する操作等を行わなくても、容易に表示状態を切り替えさせ、所望の入力画像を表示領域全体に表示できる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、画像供給装置から入力される入力画像を表示する表示手段を備えた表示装置を制御するコンピューターが実行可能なプログラムであって、前記コンピューターを、いずれかの前記入力画像が所定の状態であることを検出する画像検出手段と、前記表示手段が表示する表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数の前記画像供給装置の各々から入力される複数の前記入力画像を表示する分割表示状態と、いずれか一つの前記入力画像を前記表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替え、前記画像検出手段によっていずれかの前記入力画像が所定の状態であると検出された場合に、検出された前記入力画像を、前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示させる表示制御手段として機能させるプログラムである。
本発明のプログラムをコンピューターによって実行することにより、複数の画像供給装置から表示装置に入力される入力画像のうち、いずれかの入力画像が所定の状態になると、この入力画像が表示領域全体に表示されるので、分割表示状態からの切り替えを指示する操作や表示領域全体に表示する入力画像を指定する操作等を行わなくても、容易に表示状態を切り替えさせ、所望の入力画像を表示領域全体に表示できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示状態の切り替えを指示する操作や入力画像を指定する操作等を行わなくても、容易に表示状態を切り替えさせて、所望の入力画像を表示領域全体に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した実施形態に係るプロジェクターの構成を示すブロック図である。
【図2】プロジェクターによってスクリーンSCに投射される画像の例を示す図であり、(A)は分割表示状態の例を示し、(B)は全領域表示状態の例を示す。
【図3】PCからプロジェクターに入力される入力画像の例を示す図であり、(A)は枠画像の例であり、(B)は全画面画像の例である。
【図4】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図5】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図6】プロジェクターの動作の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した表示装置としてのプロジェクター11を含む表示システム10の機能的構成を示すブロック図である。プロジェクター11は、画像供給装置としての複数のPC(パーソナルコンピューター)13に通信ネットワーク17を介して接続され、これら複数のPC13からインターフェース(I/F)101を介して入力される入力画像をスクリーンSCに投射する装置である。入力画像をプロジェクター11に供給する画像供給装置としては、ビデオ再生装置、DVD再生装置、テレビチューナー装置、CATVのセットトップボックス、ビデオゲーム装置等の映像出力装置、パーソナルコンピューター等が挙げられるが、本実施形態では一例として、PC13からデジタル画像データが入力される場合について説明する。
通信ネットワーク17は、有線又は無線通信回線により構成されるLAN(Local Area Network)等の双方向通信可能なネットワークであり、各々のPC13とプロジェクター11とを相互に通信可能に接続し、PC13間の相互の通信も可能とする。
【0015】
表示システム10を構成する複数のPC13は、いずれも同一構成を有するので、ここでは一つのPC13について機能的構成を図示する。図1に示すように、PC13は、所定のプログラムを実行してPC13の各部を制御するCPU131、CPU131により実行される基本制御プログラムや基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶したROM132、CPU131が実行するプログラムやデータを一時的に記憶するRAM133、CPU131が実行するアプリケーションプログラム等を記憶する記憶部134、キーボードやマウス等の入力デバイス(図示略)による入力操作を検出する入力部135、及び、CPU131の制御に従って各種画面をモニター14(表示画面)に表示する表示部136を備え、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。
【0016】
PC13は、入力部135が検出した操作に従って動作を開始し、この操作により指定されたアプリケーションプログラムをCPU131によって実行し、例えば、プレゼンテーション用に複数の画像を含むプレゼンテーションファイル等の各種のデータを作成する。また、PC13は、CPU131によりプロジェクター11を制御するためのプロジェクター制御プログラムを実行する。このプロジェクター制御プログラムの実行時、PC13は、表示部136の機能によりモニター14上に画像を表示するとともに、このモニター14に表示されている画面と同じ画面を表示するための画像データをプロジェクター11に送信する。
【0017】
また、プロジェクター11が備えるI/F101は、デジタルインターフェイスであり、DVI規格やHDMI規格等に準拠したコネクター及び入出力回路を備えたインターフェース、或いは、画像データや制御データが入出力されるLANインターフェースが挙げられる。
PC13からI/F101に入力される入力画像の画像データには、画像データ自体とともに、当該画像データの画像フォーマット(立体映像のフォーマットや、フレームレート等を含む)に関する情報が含まれる。
【0018】
プロジェクター11は、静止画像および動画像(映像)のいずれであっても表示可能である。以下の説明では、PC13から入力される静止画像を表示出力する場合を例に挙げて説明するが、以下の説明において入力画像を表示する処理は、動画像を表示する場合にもそのまま適用可能である。
本実施形態では、スクリーンSCはほぼ直立しており、スクリーン面は矩形形状とされている。プロジェクター11に入力される画像は動画像(映像)と静止画像とのどちらでもよく、プロジェクター11は映像をスクリーンSCに投射することも、静止画像をスクリーンSCに投射し続けることも可能である。
【0019】
プロジェクター11は、複数のPC13から入力される入力画像を、スクリーンSC上の表示領域を分割して並べて表示する分割表示状態と、一つのPC13から入力される入力画像をスクリーンSC上の表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替え可能である。なお、表示領域とは、プロジェクター11が投射した画像全体がスクリーンSC等の投射面上で占める領域を示す。例えば、壁面などをスクリーンとして使用する場合には、プロジェクター11の投射光が当たる範囲が表示領域となる。スクリーンSCにおいても壁面においても、プロジェクター11の投射光が当たっていない部分は表示領域に含まれない。
図2は、プロジェクター11がスクリーンSCに投射する画像の例を示す図であり、図2(A)は分割表示状態の例を示し、図2(B)は全領域表示状態の例を示す。
この図2(A)に示す状態では、スクリーンSC上にプロジェクター11の投射光により投射画像200が結像する。投射画像200は、複数の領域201に分割されており、各領域201には、それぞれ異なるPC13からの入力画像が表示されている。投射画像200を分割する数は任意であるが、本実施形態では4つの領域201に分割した例について説明する。また、スクリーンSC上の各領域201は、分割数に応じて略同一サイズの画面に分割される構成であってもよいし、ユーザーが操作パネル45またはリモコン(図示略)の操作を行って、いずれかの領域201を拡大し、これに合わせて残りの領域201を縮小できる構成であってもよい。図2(A)の例ではプロジェクター11に4台のPC13が接続され、画面分割処理部126によって表示領域が4つに分割されているので、同一サイズの4つの領域201が並んでいる。
全領域表示状態において、プロジェクター11は、スクリーンSC上の表示領域に一つの入力画像を表示する。すなわち、図2(B)に例示するように、スクリーンSCの投射画像210では、一つのPC13からの入力画像がスクリーンSC上の表示領域全体に表示されている。また、通常、入力画像の周縁は黒色で縁取られているため、スクリーンSC上の投射画像210にも黒色の縁がある。
【0020】
図1に示すように、プロジェクター11は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う投射部3(表示手段)と、この投射部3に入力される映像信号を電気的に処理する画像処理系とからなる。投射部3は、照明光学系31、光変調装置としての液晶パネル32、及び投射光学系33から構成されている。照明光学系31は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)等からなる光源を備えている。また、照明光学系31は、光源が発した光を液晶パネル32に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよく、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、或いは光源が発した光の光量を液晶パネル32に至る経路上で低減させる調光素子等を備えたものであってもよい。
液晶パネル32は、後述する画像処理系からの信号を受けて、パネル面に画像を形成する。液晶パネル32は、カラーの投影を行うため、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネルからなる。そのため、照明光学系31からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色光は対応する各液晶パネルに入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系33に射出される。
【0021】
投射光学系33は、投射する画像の拡大・縮小および焦点の調整を行うズームレンズ、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター等を備えている。投射光学系33は、液晶パネル32で変調された入射光を、ズームレンズを用いてスクリーンSC上に投射し、結像させる。
投射部3には、制御部103の制御に従って投射光学系33が備える各モーターを駆動する投射光学系駆動部121、及び、制御部103の制御に従って照明光学系31が備える光源を駆動する光源駆動部117が接続されている。
【0022】
画像処理系は、プロジェクター11全体を統合的に制御する制御部103を中心に構成され、制御部103が処理するデータや制御部103が実行する制御プログラム105Aを記憶した記憶部105、操作パネル45及びリモコン受光部41を介した操作を検出する入力処理部123、入力映像を処理する表示制御部107(表示制御手段)、I/F101から入力される入力画像を一時的に格納するバッファー部110、及び、表示制御部107から出力される映像信号に基づいて液晶パネル32を駆動して描画を行う光変調装置駆動部119を備えている。
【0023】
制御部103は、記憶部105に記憶された制御プログラム105Aを読み出して実行することにより、プロジェクター11の各部を制御する。制御部103は、入力処理部123から入力される操作信号に基づいて、ユーザーが行った操作の内容を検出し、この操作に応じて表示制御部107、光変調装置駆動部119、投射光学系駆動部121及び光源駆動部117を制御して、スクリーンSCに映像を投射させる。
【0024】
プロジェクター11の本体には、ユーザーが操作を行うための各種スイッチ及びインジケーターランプを備えた操作パネル45が配置されている。操作パネル45は入力処理部123に接続されており、入力処理部123は、制御部103の制御に従い、プロジェクター11の動作状態や設定状態に応じて操作パネル45のインジケーターランプを適宜点灯或いは点滅させる。この操作パネル45のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応する操作信号が入力処理部123から制御部103に出力される。
また、プロジェクター11は、ユーザーが使用するリモコン(図示略)を有する。リモコンは各種のボタンを備えており、これらのボタンの操作に対応して赤外線信号を送信する。プロジェクター11の本体には、リモコンが発する赤外線信号を受光するリモコン受光部41が配置されている。リモコン受光部41は、リモコンから受光した赤外線信号をデコードして、リモコンにおける操作内容を示す操作信号を生成し、制御部103に出力する。
【0025】
I/F101には、PC13から入力された画像データを一時的に格納するバッファー部110が接続されている。バッファー部110には、複数のPC13から入力される画像データをPC13毎に格納するため、独立した格納領域である複数の画像バッファー110Aが設けられている。画像バッファー110Aは、一つの記憶領域を仮想的に分割したものであってもよい。画像バッファー110Aの数は任意であるが、投射画像200(図2(A))を分割する分割数すなわち領域201の数だけ画像バッファー110Aが設けられていれば、全ての領域201に画像を表示できるので、好ましい。
【0026】
表示制御部107は、制御部103の制御に従って、バッファー部110の画像バッファー110Aに格納された画像データに基づいて、表示信号を生成し、光変調装置駆動部119に出力する。
ここで、表示制御部107は、各画像バッファー110Aに格納された画像データを、図2(A)に示すように表示領域を分割した各領域に並べて表示する分割表示状態と、いずれか一つの画像バッファー110Aに格納された画像データを表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替える画面分割処理部126を備えている。画面分割処理部126は、分割表示状態では、表示領域の分割数に対応した数の画像バッファー110Aを選択し、選択した画像バッファー110Aの画像を分割された各領域に割り当てて配置する。また、画面分割処理部126は、全領域表示状態では、表示制御部107はいずれか一つの画像バッファー110Aを選択し、選択した画像バッファー110Aの画像を表示領域全体に配置する。
【0027】
各画像バッファー110Aに格納された画像データを分割された表示領域のどの領域に割り当てるかは、予め所定の条件に基づいて決められている構成であってもよいし、ユーザーが操作パネル45やリモコン装置(図示略)による操作を行って、所望の領域に割り当ててもよい。或いは、画面分割処理部126によって任意の領域に割り当てられる構成であってもよい。例えば、PC13に割り当てられた通信ネットワーク17上のネットワークアドレスや、PC13がケーブル(図示略)によりI/F101に接続されている場合には各ケーブルが接続されたコネクターに対応付けて、分割された表示領域のどの領域に割り当てるかが予め決められていてもよい。また、PC13がプロジェクター11に接続された順番に応じて、分割された表示領域のどの領域に割り当てるかを決定してもよい。
【0028】
表示制御部107は、画面分割処理部126の選択に従って画像バッファー110A内の画像データを配置して一つの表示用の画像データを生成する画像生成部127を備えている。画像生成部127は、バッファー部110から読み出したデジタル画像データに対して、明度、コントラスト、色の濃さ、色合い、投射画像の形状等の画像の表示状態を調整してフレーム毎の表示用画像を生成し、生成した表示用画像をフレームメモリー115に展開する。表示制御部107は、フレームメモリー115から表示用画像を読み出し、読み出した表示用画像を光変調装置駆動部119に対して出力する。光変調装置駆動部119は、表示制御部107から入力される表示用画像に基づいて、液晶パネル32を駆動する。これにより、PC13より入力されたデジタル画像データに基づいて表示制御部107で処理された表示用画像が、液晶パネル32に描画され、この画像が投射光学系33を介して、スクリーンSC上に投射画像として投射される。
【0029】
表示制御部107は、制御部103の制御に従い、複数のPC13から入力されるデジタル画像データを並べて表示領域に分割表示するか、或いは、いずれか一つのPC13からの入力されるデータを表示領域全体に表示するかを制御する。分割表示するか、或いは、全領域表示状態で表示するかは、各PC13から受信する画面分割制御情報に基づいて決められる。本実施形態においては、画面分割制御情報は、ユーザーが特に指示をしない場合には、画像を分割表示するように初期値が設定されている。
【0030】
すなわち、プロジェクター11にPC13から入力される入力画像データには、各PC13からの入力画像をスクリーンSCにどのように表示するか、すなわちスクリーンSCにおける表示形態を指定する画面分割制御情報が含まれている。この画面分割制御情報は、PC13がCPU131によってプロジェクター制御プログラムを実行することにより、生成される。このプロジェクター制御プログラムの実行中は、PC13の入力部135が検出した操作により、自装置が送信する入力画像データを、上述した分割表示状態で表示するか、或いは、全領域表示状態で表示するかを指定できる。ここで指定された内容は画面分割制御情報として、画像データに付加されてプロジェクター11に送信される。
【0031】
表示制御部107は、画面分割処理部126によって、画像バッファー110Aの入力画像データから各PC13が生成した画面分割制御情報を検出し、いずれかのPC13から入力された画面分割制御情報が全領域表示状態を指定する場合には、そのPC13からの入力画像を全領域表示状態で表示する。また、全てのPC13から入力された画面分割制御情報が分割表示状態を指定している場合には、予め設定された画面の分割数に応じた数の画像バッファー110Aを選択して、上述のように投射部3により分割表示状態で表示させる。
【0032】
さらに、画面分割処理部126は、PC13から入力された画面分割制御情報による制御とは別に、PC13からの入力画像が所定の状態になっている場合に、そのPC13からの入力画像を自動的に全領域表示状態で表示する機能を有する。具体的には、画像検出部125(画像検出手段)が画像バッファー110Aの各入力画像データを取得して、いずれかの入力画像データが、画像を画面全体に表示した全画面画像であることを検出した場合に、その入力画像データを投射部3により全領域表示状態で表示する。
【0033】
図3は、PC13がプロジェクター11に送信する画像の例を示す図であり、図3(A)は枠画像の例であり、図3(B)は全画面画像の例である。
PC13は、通常時はCPU131が実行する基本ソフトウェア(オペレーティングシステム:OS)の機能として生成される背景画面に、実行中のアプリケーションプログラムの操作画像を重ねた画面をモニター14に表示する。この場合に、プロジェクター制御プログラムの機能により、PC13がプロジェクター11に送信する画像データは、モニター14に表示中の画面全体であり、例えば図3(A)に示す枠画像220である。
枠画像220には、OSの機能として表示されるツールバー221が、最下部に配置されている。このツールバー221は、モニター14の画面の下端だけでなく、左端、右端、上端など端部に配置可能である。そして、ツールバー221を除く領域には、アプリケーションプログラムの操作画面としてのウィンドウ枠222が配置されている。ウィンドウ枠222は、所定のデザインの枠内に、例えばプレゼンテーションソフトウェア等のアプリケーションプログラムにより画像や操作用のメニューバー、或いはアイコン等が表示される。ウィンドウ枠222の外枠223のデザインは、OSの仕様、及び、アプリケーションプログラムの仕様により決定される。外枠223の枠内には、オブジェクトとして、アプリケーションプログラムで処理中の画像が表示されている。
【0034】
ここで、OSの機能により、PC13において全画面表示が指示されると、PC13のCPU131は、ウィンドウ枠222に表示中の画像を、モニター14の表示領域である画面全体に表示する。このとき、PC13からプロジェクター11に入力される入力画像データは、図3(B)に例示するように、ウィンドウ枠222に表示されていた画像を拡大した全画面画像230である。全画面画像230においては、PC13のOSが表示していたツールバー221や、外枠223は表示されておらず、図3(A)で外枠223内に表示されていたオブジェクトが全体に表示され、その周縁は黒色で縁取られている。
【0035】
プロジェクター11の画像検出部125は、PC13からの入力画像データが、枠画像であるのか、全画面画像であるのかを判定し、全画面画像になっている入力画像データを検出する。記憶部105には、プレゼンテーションソフトウェア等のPC13で実行される主要なアプリケーションソフトウェアと、主要なOSに対応して、ツールバー221及び外枠223のデザインの特徴を示す情報が、予め記憶されている。すなわち、ツールバー221及び外枠223のサイズ(画素数)、色、形状等の特徴を、1または複数のOS及びアプリケーションプログラムについて記憶している。画像検出部125は、この記憶部105に記憶された情報に基づいて、画像バッファー110Aの各入力画像データからツールバー221または外枠223を検出し、ツールバー221も外枠223も検出されない場合には、その入力画像データを全画面画像と判定し、所定の状態となっている入力画像データとして検出する。画面分割処理部126は、この検出された入力画像データを全領域表示状態で表示する。
また、画像検出部125が、所定の状態となっているデータを検出しなかった場合には、画面分割処理部126は、各PC13から受信する画面分割制御情報に基づいて、表示領域を複数の画面に分割して、上述した分割表示状態で表示する。
【0036】
続いて、プロジェクター11の動作について説明する。
図4は、プロジェクター11の動作を示すフローチャートである。
プロジェクター11は、外部の複数のPC13から画像と、画像分割制御情報とを受信する(ステップS1)。プロジェクター11は、各PC13から送信された画像をI/F101を介して取得し、PC13ごとに、取得した画像をバッファー部110の各画像バッファー110Aに格納する(ステップS2)。ここで、プロジェクター11は、現在の表示状態を取得する(ステップS3)。すなわち、スクリーンSCに投射中の画像が、分割表示状態か、或いは、全領域表示状態かを取得する。
続いて、プロジェクター11は、表示制御部107の画像検出部125によって、各画像バッファー110Aの入力画像データから、全画面画像となっている入力画像データを検出する(ステップS4)。そして、いずれかのPC13が全画面表示中であり、全画面画像となっている入力画像データがあるか否かを判定し(ステップS5)、全画面表示中のPC13がある場合(ステップS5:Yes)、ステップS3で取得した表示状態が全領域表示状態であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0037】
表示状態が全領域表示状態である場合(ステップS6:Yes)、プロジェクター11は、全領域表示状態の状態を維持するとともに、ステップS4で検出された入力画像データを全領域表示状態で表示するよう表示中の画像を更新する(ステップS7)。つまり、プロジェクター11は、すでに全領域表示状態で表示中の画像がある状態で、他のPC13の入力画像データが全画面画像(所定の状態)となったことを検出した場合には、表示する入力画像データを、新たに検出された入力画像データに切り替えて、全領域表示状態で表示する。
一方、現在の表示領域の表示状態が分割表示状態である場合(ステップS6:No)、プロジェクター11は、表示状態を全領域表示状態に切り替えて、ステップS4で検出した入力画像データを表示する(ステップS8)。
【0038】
また、プロジェクター11は、画像検出部125によって、全画面画像となっている入力画像データが無いと判定した場合(ステップS5:No)、ステップS3で取得した表示状態が全領域表示状態か否かを判定する(ステップS9)。全領域表示状態である場合(ステップS9:Yes)、プロジェクター11は、全領域表示状態を解除し(ステップS10)、画面分割処理部126の機能により、設定に従って分割表示状態に移行し、各PC13から入力された画像を分割された各領域に表示する(ステップS11)。また、現在の表示状態が分割表示状態である場合(ステップS9:No)、プロジェクター11は、分割表示状態を継続する(ステップS11)。プロジェクター11は、投射が終了されたか否かを判別し(ステップS12)、投射が終了された場合には、動作を終了する。
【0039】
図5は、プロジェクター11の動作を示すフローチャートであり、詳細には、画像検出部125によって全画面画像となっている入力画像データを検出する動作を示す。
図5に示す処理は、画像検出部125が、複数のPC13から入力された各画像が供給元のPC13で全画面表示中であるかを検出する処理である。画像検出部125は、この定義済み処理を、バッファー部110に格納した全ての入力画像データに対する処理が終了するまで繰り返す。
画像検出部125は、バッファー部110の各画像バッファー110A内に格納された画像を読み出して(ステップS21)、この画像中のツールバーの有無を判別する。ツールバーは、図3(A)に示したツールバー221のように、画面の上下、或いは、左右の辺(端)に沿って配置される帯状のGUI(Graphical User Interface)である。一般に、ツールバーのサイズ(幅)は、使用中のOSの仕様と、画面解像度の設定によって決まっていて、上述のように、OS毎のツールバーの特徴を示す情報が記憶部105に記憶されている。また、ツールバーの色は通常、黒色以外の色である。一方、入力画像が全画面画像である場合は、図3(B)に示したように、画像は黒色の枠内に表示されることが一般的である。画像検出部125は、これらの条件に基づいて画像のツールバーの有無を判別する。
【0040】
画像検出部125は、画像バッファー110Aから画像を取得して、取得した画像の画面の上下左右端で、黒以外の所定以上の長さの線を検出し(ステップS22)、該当する線があるか否かを判定する(ステップS23)。ここで検出される線は、直線状に繋がる同色の画素の配列、或いは、予め記憶しているツールバーの色と同じ配色からなる線である。画面の上下左右端のいずれかに、黒以外の所定以上の長さの線がある場合(ステップS23:Yes)、画像検出部125は、ステップS22で検出した線の色を特定する(ステップS24)。続いて、画像検出部125は、PC13が使用中のOSのツールバーのサイズ(幅)に合わせてステップS22で検出した対象線を移動し、この対象線と同色の所定以上の長さの線を検出し(ステップS25)、該当する線があるか否かを判定する(ステップS26)。PC13が使用するOSが不明な場合、画像検出部125は、記憶部105に特徴を記憶している全てのOSのツールバーの特徴を用いて、ステップS25〜S26の処理を繰り返し実行する。いずれか一つのOSの特徴に対応する線がある場合は、ステップS26ではYesと判定する。
【0041】
ステップS23、及び、ステップS26がともにYesの場合、画面の上下左右いずれかの端に、黒以外の所定以上の長さで、使用中のOS、及び、画面解像度の設定に応じた幅のツールバーがあると判別される。この場合、画像検出部125は、画像バッファー110Aに格納された画像の供給元のPC13は全画面表示中でないと判定する(ステップS27)。その後、画像検出部125は、全PC13に対する処理が終了したかを判定する(ステップS29)。画像検出部125は、例えば、ツールバーの検出処理が終了したPC13に対してフラグを立てて、全ての画像検出部125に対してフラグが立ったときに全PC13に対するツールバーの検出処理が終了したと判定する構成であってもよい。
全てのPC13からの入力画像データに対するツールバーの検出処理が終了していない場合(ステップS29:No)、画像検出部125は、ステップS21に戻って、まだツールバーの検出処理が終了していない入力画像データを画像バッファー110Aから取得して、上記の処理を実行する。全てのPC13に対するツールバーの検出処理が終了したと判定した場合は(ステップS29:Yes)、画像検出部125は図5の定義済み処理を終了する。
【0042】
また、画像検出部125は、画像バッファー110Aから取得した入力画像データに黒以外の所定以上の長さの線が無いと判定した場合(ステップS23:No)、この入力画像データを送信したPC13が全画面表示中であると判定する(ステップS28)。
また、取得した画像の画面の上下左右の端に黒以外の所定以上の長さの線があると判定した場合であっても(ステップS23:Yes)、ツールバーのサイズ(幅)に合わせてステップS22で検出した対象線を移動した場合に対象線と同色の所定以上の長さの線が無いと判定した場合には(ステップS26:No)、画像検出部125は、この入力画像データを送信したPC13が全画面表示中であると判定する。
【0043】
次に、プロジェクター11が実行する全画面表示中のPC13を検出する定義済み処理の別の例について説明する。図5の定義済み処理は、入力画像データにおけるツールバーの有無に基づいて入力画像データが全画面画像か否かを判定する処理であったが、アプリケーションソフトウェアのウィンドウ枠の有無に基づいて入力画像データが全画面画像か枠画像か判定することも可能である。この場合の動作について図6を参照して説明する。
【0044】
図6は、プロジェクター11の動作を示すフローチャートであり、詳細には、画像検出部125によって全画面画像となっている入力画像データを検出する動作を示す。
この図6の処理は、図5の処理に変えて実行されるもので、画像検出部125は、バッファー部110に格納した全ての入力画像データに対する処理が終了するまで図5の処理と同様に繰り返す。
【0045】
画像検出部125は、まず、バッファー部110から、画像バッファー110A内に格納された画像を取得する(ステップS30)。次に、画像検出部125は、記憶部105に予め記憶されている主要アプリケーションソフトウェアのウィンドウ枠形状の特徴パターンを取得し(ステップS31)、これらのウィンドウ枠形状の特徴パターンを用いて、画像バッファー110Aから取得した入力画像データ中のウィンドウ枠を検出し(ステップS32)、ウィンドウ枠があるか否かを判定する(ステップS33)。
【0046】
ウィンドウ枠があると判定すると(ステップS33:Yes)、画像検出部125は、画像バッファー110Aに格納された画像の供給元のPC13が非画面表示中であって、入力画像データが枠画像であると判定する(ステップS34)。
一方、ウィドウ枠が無いと判定すると(ステップS33:No)、画像検出部125は、この入力画像データについて、記憶部105に格納された画像の前回のウィンドウ枠の検出結果を取得する(ステップS35)。ここで、前回のウィンドウ枠の検出結果、及び、前回の全画面画像/枠画像の判定結果は、記憶部105に記憶されているものとする。また、同一の入力画像データであることは、その入力画像データを送信したPC13のアドレスやその他の識別情報、或いは、バッファー部110に付された識別情報をもとに判定できる。画像検出部125は、記憶部105から取得した前回のウィンドウ枠の検出結果を判定し(ステップS36)、前回はウィンドウ枠ありと判定されていた場合(ステップS36:Yes)、入力画像データは全画面画像であり、PC13が全画面表示中であると判定する(ステップS37)。すなわち、入力画像データ中にウィンドウ枠がなく、前回の処理時にウィンドウ枠があったので、PC13においてウィンドウ枠の表示状態から全画面表示への切り替えが行われたと判定する。
【0047】
一方、前回はウィンドウ枠が無いと判定されていた場合(ステップS36:No)、画像検出部125は、さらに前(前々回)の判定結果が全画面画像か枠画像かを判定する(ステップS38)。ここで、全画面画像であると判定されていた場合(ステップS38:Yes)、画像検出部125は、この入力画像データが全画面画像であると判定する(ステップS37)。つまり、以前にウィンドウ枠が検出された入力画像データからウィンドウ枠が検出されていないので、PC13においてウィンドウ枠の表示状態から全画面表示への切り替えが行われたと判定する。
【0048】
また、前回及び前々回の判定で枠画像と判定されていた場合(ステップS38:No)、画像検出部125は、この入力画像データが枠画像であって、この入力画像データを送信したPC13は全画面表示中でないと判定する(ステップS34)。つまり、PC13で、記憶部105に特徴を記憶していないアプリケーションプログラムのウィンドウ枠が表示されていると判定する。
画像検出部125は、全PC13に対するウィンドウ枠の検出処理が終了したと判定した場合に(ステップS39:Yes)、図6の処理を終了する。
この図6の処理によれば、記憶部105に特徴を記憶しているアプリケーションプログラム、すなわち対応済みのアプリケーションプログラムがPC13で使用され、PC13で全画面表示された場合に、プロジェクター11により全領域表示状態で表示することができる。
【0049】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係るプロジェクター11は、PC13から入力された入力画像データを表示する投射部3と、スクリーンSC上の表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数のPC13の各々から入力される複数の入力画像データを表示する分割表示状態と、いずれか一つの入力画像データを表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替える表示制御部107と、いずれかの入力画像データが所定の状態であることを検出する画像検出部125と、を備え、表示制御部107は、画像検出部125によっていずれかの入力画像データが所定の状態であると検出された場合に、検出された入力画像データを、投射部3によって全領域表示状態で表示させる。これにより、複数のPC13から入力される入力画像データのうち、いずれかの入力画像データが所定の状態になると、この入力画像データが表示領域全体に表示されるので、分割表示状態からの切り替えを指示する操作や表示領域全体に表示する入力画像データを指定する操作等を行わなくても、容易に表示状態を切り替えさせ、所望の入力画像データを表示領域全体に表示できる。
【0050】
また、画像検出部125は、入力画像データが、画像内にウィンドウ枠が設けられてウィンドウ枠内にオブジェクトが表示された枠画像か、又は、画像内にウィンドウ枠のない状態でオブジェクトが画像全体に表示された全画面画像かを判別し、全画面画像であった場合に、この入力画像データが所定の状態であることを検出するので、PC13から入力される入力画像データが、ウィンドウ枠がない全画面画像であれば、この入力画像データが表示領域全体に表示される。従って、PC13が出力する画像の状態すなわちPC13のモニター14における表示状態を制御するだけで、プロジェクター11の表示状態を切り替えさせて、所望の入力画像データを表示領域全体に表示できる。
例えば、PC13において画像を全画面表示にする、或いは、スライドショー形式で表示するという簡単な操作を行うだけで、プロジェクター11がスクリーンSCに表示する画像を、全領域表示状態に切り替えることができる。
【0051】
また、画像検出部125は、所定の状態であると検出された入力画像データが、所定の状態でなくなったことを検出し、表示制御部107は、全領域表示状態から分割表示状態に切り替えるので、分割表示状態への切り替えを指示する操作等を行うことなく、容易に分割表示状態に戻すことができる。
【0052】
また、表示制御部107は、全領域表示状態で表示中に、画像検出部125によって他のPC13から入力される入力画像データが所定の状態であることが検出された場合に、この新たに所定の状態であることが検出された入力画像データを全領域表示状態で表示するので、PC13が出力する画像の状態を制御するだけで、入力画像データの切り替え等を指示する操作を行うことなく、スクリーンSCの表示領域全体に表示する画像を切り替えることができる。
また、プロジェクター11は、PC13から入力画像データが入力されるデジタルインターフェイスとしてのI/F101を備え、このI/F101を介してPC13から入力されたデジタル画像データを表示するので、画質を劣化させることなく表示することができ、さらに、デジタル処理によって入力画像データが所定の状態であることを容易に検出できる。
【0053】
なお、上述した実施形態は本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記実施形態では、プロジェクター11に接続された4台のPC13から入力される画像を並べて分割表示する、或いは、4台のうちいずれか1台から入力される画像を単独で全画面表示する場合を例に説明したが、プロジェクター11に4台より少数またはより多数のPC13を接続してもよく、スクリーンSCに分割表示状態で表示する入力画像データを適宜選択できる構成としてもよい。さらに、本発明の表示装置は、スクリーンSCに画像を投射するプロジェクターに限定されず、液晶表示パネルに画像を表示する液晶モニターまたは液晶テレビ、或いは、PDP(プラズマディスプレイパネル)に画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機、OLED(Organic Light-emitting-diode)、OEL(Organic Electro-Luminescence)等と呼ばれる有機EL表示パネルに画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機等の自発光型の表示装置など、各種の直視型の表示装置も本発明の表示装置に含まれ、入力された画像信号に基づく画像をカラー表示することができる携帯型の表示装置も含まれる。この場合、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示パネルが変調手段に相当する。なお、表示装置が液晶テレビ等の直視型の表示装置である場合、表示領域とは、当該表示装置が備える画像を表示するための領域そのものを示す。
【0054】
例えば、上記実施形態では、光源が発した光を変調する変調手段として、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶パネル32を用いた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成してもよい。ここで、変調部として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
【0055】
また、上記実施形態において記憶部105が記憶していた制御プログラム、及び、表示制御部107の各機能の検出結果を不図示の不揮発性メモリーが記憶する構成であってもよいし、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよいし、或いは、プロジェクター11が通信ネットワークを介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶されていてもよい。また、図1に示したプロジェクター11の各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクター11の具体的な細部構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
3…投射部(表示手段)、10…表示システム、11…プロジェクター(表示装置)、14…モニター、13…PC(画像供給装置)、17…通信ネットワーク、101…I/F(デジタルインターフェイス)、103…制御部、105…記憶部、107…表示制御部(表示制御手段)、110…バッファー部、110A…画像バッファー、125…画像検出部(画像検出手段)、126…画面分割処理部、127…画像生成部、131…CPU、136…表示部、200、210…投射画像、201…領域、220…枠画像、230…全画面画像、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像供給装置から入力される入力画像を表示する表示装置であって、
前記入力画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数の前記画像供給装置の各々から入力される複数の前記入力画像を表示する分割表示状態と、いずれか一つの前記入力画像を前記表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替える表示制御手段と、
いずれかの前記入力画像が所定の状態であることを検出する画像検出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記画像検出手段によっていずれかの前記入力画像が所定の状態であると検出された場合に、検出された前記入力画像を、前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示させること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像検出手段は、前記入力画像が、画像内にウィンドウ枠が設けられてウィンドウ枠内にオブジェクトが表示された枠画像か、又は、画像内にウィンドウ枠のない状態でオブジェクトが画像全体に表示された全画面画像かを判別し、全画面画像であった場合に、この前記入力画像が前記所定の状態であることを検出すること、を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像検出手段は、前記所定の状態であることを検出した前記入力画像が、前記所定の状態でなくなったことを検出し、
前記表示制御手段は、前記全領域表示状態で表示中の前記入力画像が、前記画像検出手段によって前記所定の状態でなくなったと検出された場合に、前記全領域表示状態から前記分割表示状態に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、いずれかの前記入力画像を前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示中に、前記画像検出手段によって他の前記画像供給装置から入力される前記入力画像が前記所定の状態であることが検出された場合に、この新たに前記所定の状態であることが検出された前記入力画像を前記全領域表示状態で表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記画像供給装置から前記入力画像が入力されるデジタルインターフェイスを備え、このデジタルインターフェイスを介してデジタル画像データが入力されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
画像供給装置から入力される入力画像を表示する表示手段を備えた表示装置の制御方法であって、
前記表示手段が表示する表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数の前記画像供給装置の各々から入力される複数の前記入力画像を表示する分割表示状態と、いずれか一つの前記入力画像を前記表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替え、
いずれかの前記入力画像が所定の状態であることを検出した場合に、検出した前記入力画像を、前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示させることを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項7】
画像供給装置から入力される入力画像を表示する表示手段を備えた表示装置を制御するコンピューターが実行可能なプログラムであって、
前記コンピューターを、
いずれかの前記入力画像が所定の状態であることを検出する画像検出手段と、
前記表示手段が表示する表示領域を複数の領域に分割し、分割した各領域に、複数の前記画像供給装置の各々から入力される複数の前記入力画像を表示する分割表示状態と、いずれか一つの前記入力画像を前記表示領域全体に表示する全領域表示状態とを切り替え、前記画像検出手段によっていずれかの前記入力画像が所定の状態であると検出された場合に、検出された前記入力画像を、前記表示手段によって前記全領域表示状態で表示させる表示制御手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220595(P2012−220595A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84246(P2011−84246)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】