説明

表示装置およびその製造方法

【課題】良好な表示性能を確保しつつ、より簡便に製造可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この表示装置は、基体上に、第1電極層、発光層を含む有機層、および第2電極層が順に積層されてなる有機発光素子10を含む画素1が、第2電極層と接続された補助配線層17によって区画された画素領域17Rに形成されたものである。画素1は、隣り合う有機発光素子10同士の間隔D1よりも広い間隔D2を有するようにX方向へ複数配列されており、補助配線層17は、隣り合う画素1同士の間に設けられている。このため、異なる発光色を示す有機発光素子10同士の距離を近づけつつ、補助配線層17の幅を太くするのに有利な構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機層を含む自発光型の発光素子を備えた表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイに代わる表示装置として、有機層を含む自発光型の有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示装置が実用化されている。有機EL表示装置は、自発光型であるので、液晶などに比較して視野角が広く、また、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有するものである。
【0003】
有機EL表示装置における駆動方式のうち、駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)が用いられるアクティブマトリックス方式は、パッシブマトリックス方式と比べて応答性や解像力の点で優れている。このため、アクティブマトリックス方式は、前述した特長を有する有機EL表示装置において特に適した駆動方式と考えられている。このアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置は、有機発光層を含む有機EL素子とこの有機EL表示素子を駆動させるための駆動素子(上記薄膜トランジスタ)とが配設された駆動パネルを有している。さらに、この駆動パネルと封止パネルとが有機EL素子を挟むようにして、互いに接着層により貼り合わされた構成となっている。また、有機EL素子は、一対の電極間に有機発光層が形成された構成を有している。
【0004】
また、有機EL表示装置は、各有機EL素子からの光を上記駆動パネル側に射出する下面発光(ボトム・エミッション)方式と、逆にこの光を上記封止パネル側に射出する上面発光(トップエミッション)方式とに分類される。両者を比較した場合、上面発光方式のほうが、より開口率を高めることができるという点において有利である。
【0005】
ここで、上面発光方式の有機EL表示装置では、光取り出し側、すなわち封止パネル側の電極は、各有機EL素子に共通の電極であると共に、例えばITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)などの光透過性の導電材料により構成されている。ところが、このような光透過性の導電材料は通常の金属材料などと比べ、抵抗率が2〜3桁程度高くなっている。よって、この光取り出し側の電極へ印加された電圧が面内で不均一となるため、各有機EL素子間の発光輝度に位置ばらつきが生じ、表示品質が低下してしまうという問題があった。
【0006】
この問題を解決するものとして、例えば特許文献1,2に開示された有機EL表示装置が知られている。それらの有機EL表示装置では、駆動パネル側に位置する電極(下部電極)と同一階層に光取り出し側の電極(上部電極)と接続される補助配線を形成し、下部電極の面内方向での電圧降下を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−207217号公報
【特許文献2】特開2005−11810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、下部電極および補助配線を形成したのち、発光色ごとに有機層を塗り分けるための個別の蒸着マスクを用い、赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる画素を順次形成している。この際、補助配線上の一部領域には有機層を堆積させず、その領域において補助配線と上部電極とを接続するようにしている。しかしながら、そのような製造方法では、発光色ごとの有機材料の蒸着成膜が必要となり、有機材料が同一種類のものであっても個別の蒸着マスクを用いて別々に形成するため、製造タクトが長くなるうえ、使用する有機材料の総量も大幅に増加する。
【0009】
また、上記特許文献2では、下部電極および補助配線を形成したのち有機層を全面に成膜し、さらに補助配線上に成膜された有機層をレーザ照射により選択的に除去することにより、補助配線と上部電極との接続を実現するようにしている。しかしながら、上述した製造方法では、レーザにより有機材料を除去する工程が増加し製造工程が複雑化するうえ、レーザ光源などの設備コストの増大も問題となる。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、良好な表示性能を確保しつつ、より簡便に製造可能な構成を有する表示装置、およびそのような表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の表示装置は、それぞれ第1電極層、有機層、および第2電極層が順に積層されてなり、その積層面に沿った第1の方向において互いに離間して配置されると共に互いに異なる発光色を示す複数の発光素子を有する画素と、第2電極層と電気的に接続された補助配線層とを備える。ここで、画素は、隣り合う発光素子同士の間隔よりも広い間隔を有するように第1の方向へ複数配列されており、補助配線層は、隣り合う画素同士の間に設けられている。
【0012】
本発明の表示装置では、第1の方向において、複数の画素が、各画素内における発光素子同士の間隔よりも広い間隔を有するように配列されており、補助配線層が、隣り合う画素同士の間に設けられている。このため、異なる発光色を示す発光素子同士の距離を近づけつつ、補助配線層の幅を太くするのに有利な構造となっている。
【0013】
本発明の表示装置の製造方法は、基板上に、第1の方向において互いに離間する複数の補助配線層を形成する工程と、第1電極層と、有機層と、補助配線層と接続される第2電極層との積層構造からなると共に互いに異なる発光色を示す複数の発光素子を有する画素を、隣り合う補助配線層同士の間にそれぞれ形成する工程とを含む。ここで、複数の発光素子を、第1の方向において画素同士の間隔よりも狭い間隔を有するように配列する。
【0014】
本発明の表示装置の製造方法では、第1の方向において、隣り合う画素同士の間に補助配線層を設け、隣り合う画素同士の間隔を、各画素内における発光素子同士の間隔よりも広くするようにしたので、異なる発光色を示す発光素子同士の距離を近づけつつ、補助配線層の幅を太くし易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示装置によれば、第1の方向において、画素同士の間隔を発光素子同士の間隔よりも広くすると共に、複数の補助配線層を隣り合う画素同士の間に設けるようにしたので、開口率を低下させることなく高集積化を図り、かつ、輝度がより均質化された画像を表示することができる。また、高集積化した場合においても、例えば補助配線層に対応する領域を覆い、かつ、それ以外の領域に対応した開口を有する共通のマスクを用いて、有機層のうちの複数の発光素子に共通する層を形成することが可能となる。したがって、高精度な寸法を損なうことなく、より効率的に製造可能なものとなる。
【0016】
本発明の表示装置の製造方法によれば、第1の方向において、画素同士の間隔を発光素子同士の間隔よりも広くすると共に、複数の補助配線層を隣り合う画素同士の間に設けるようにしたので、高集積化した場合においても、補助配線層に対応する領域を覆い、かつ、それ以外の領域に対応した開口を有する共通のマスクを用いて有機層のうちの複数の発光素子に共通する層を形成することができる。よって、より高精度な寸法を有し良好な表示性能を発揮する表示装置を、より効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の構成を表す図である。
【図2】図1に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図3】図1に示した表示領域の構成を表す平面図である。
【図4】図3に示した画素領域の構成を表す断面図である。
【図5】図4に示した有機発光素子の構成を表す断面図である。
【図6】図4に示した有機発光素子の構成を表す他の断面図である。
【図7】図1に示した表示装置の製造方法を説明するための手順を表すフローチャートである。
【図8】図1に示した表示装置の製造方法を説明するための一工程を表す平面図である。
【図9】図8に続く一工程を表す断面図である。
【図10】図9に続く一工程を表す平面図である。
【図11】図10に続く一工程を表す平面図である。
【図12】図11に続く一工程を表す断面図である。
【図13】図12に続く一工程を表す平面図である。
【図14】図13に続く一工程を表す断面図である。
【図15】図4に示した有機発光素子の変形例を表す断面図である。
【図16】上記実施の形態の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図17】上記実施の形態の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図18】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図19】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図20】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図21】適用例5外観を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[表示装置の全体構成]
図1は、本発明における一実施の形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の構成を表すものである。この表示装置は、極薄型の有機発光カラーディスプレイ装置などとして用いられる。この表示装置は、基板111の上に表示領域110が形成されたものである。基板111上の表示領域110の周辺には、例えば映像表示用のドライバである信号線駆動回路120、走査線駆動回路130および電源供給線駆動回路140が形成されている。
【0020】
表示領域110には、マトリクス状に二次元配置された複数の有機発光素子10(10R,10G,10B)と、それらを駆動するための画素駆動回路150とが形成されている。画素駆動回路150において、列方向には複数の信号線120A(120A1,120A2,・・・,120Am,・・・)が配置され、行方向には複数の走査線130A(130A1,・・・,130An,・・・)および複数の電源供給線140A(140A1,・・・,140An,・・・)が配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの各交差点に、有機発光素子10R,10G,10Bのいずれか1つが対応して設けられている。各信号線120Aは信号線駆動回路120に接続され、各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、各電源供給線140Aは電源供給線駆動回路140に接続されている。
【0021】
信号線駆動回路120は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧を、信号線120Aを介して選択された有機発光素子10R,10G,10Bに供給するものである。
【0022】
走査線駆動回路130は、入力されるクロックパルスに同期してスタートパルスを順にシフト(転送)するシフトレジスタなどによって構成されている。走査線駆動回路130は、各有機発光素子10R,10G,10Bへの映像信号の書き込みに際し行単位でそれらを走査し、各走査線130Aに走査信号を順次供給するものである。
【0023】
電源供給線駆動回路140は、入力されるクロックパルスに同期してスタートパルスを順にシフト(転送)するシフトレジスタなどによって構成されている。電源供給線駆動回路140は、走査線駆動回路130による行単位の走査と同期して、各電源供給線140Aに対し互いに異なる第1電位および第2電位のいずれかを適宜供給する。これにより、後述する駆動トランジスタTr1の導通状態または非導通状態の選択が行われる。
【0024】
画素駆動回路150は、基板111と有機発光素子10との間の階層(後述の画素駆動回路形成層112)に設けられている。図2に、画素駆動回路150の一構成例を表す。図2に示したように、画素駆動回路150は、駆動トランジスタTr1および書込トランジスタTr2と、その間のキャパシタ(保持容量)Csと、有機発光素子10とを有するアクティブ型の駆動回路である。有機発光素子10は、電源供給線140Aおよび共通電源供給線(GND)の間において駆動トランジスタTr1と直列に接続されている。駆動トランジスタTr1および書込トランジスタTr2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により構成され、その構成は例えば逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガー構造(トップゲート型)でもよく特に限定されない。
【0025】
書込トランジスタTr2は、例えばドレイン電極が信号線120Aと接続されており、信号線駆動回路120からの映像信号が供給されるようになっている。また、書込トランジスタTr2のゲート電極は走査線130Aと接続されており、走査線駆動回路130からの走査信号が供給されるようになっている。さらに、書込トランジスタTr2のソース電極は、駆動トランジスタTr1のゲート電極と接続されている。
【0026】
駆動トランジスタTr1は、例えばドレイン電極が電源供給線140Aと接続されており、電源供給線駆動回路140による第1電位または第2電位のいずれかに設定される。駆動トランジスタTr1のソース電極は、有機発光素子10と接続されている。
【0027】
保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート電極(書込トランジスタTr2のソース電極)と、駆動トランジスタTr1のソース電極との間に形成されるものである。
【0028】
[表示領域の構成]
図3に、XY平面に広がる表示領域110の一構成例を表す。ここでは、第2電極層16、保護膜18および封止基板19(いずれも後出)を取り去った状態の表示領域110を、上方から眺めた平面構成を表す。表示領域110には、複数の画素(ピクセル)1が、全体としてマトリックス状をなすように順に配列されている。より詳細には、補助配線層17が格子状に設けられており、それによって区画された画素領域17Rの各々に、画素1が1つずつ配置されている。各画素1は、それぞれ、素子分離層24によって輪郭が規定された発光領域20(20R,20G,20B)を含む有機発光素子10R,10G,10Bを1つずつ有している。有機発光素子10Rは赤色光を発し、有機発光素子10Gは緑色光を発し、有機発光素子10Bは青色光を発するものである。各有機発光素子10R,10G,10Bは、Y方向を長手方向とする矩形の平面形状を有している。ここでは、同色光を発する有機発光素子10をY方向に一列に並べ、それをX方向に順に繰り返し配置するようにしている。すなわち、各画素1においては、有機発光素子10R,10G,10Bが例えばX方向において有機発光素子10R,有機発光素子10G,有機発光素子10Bの順に互いに間隔D1を有するように配列されている。複数の画素1は、X方向において、隣り合う有機発光素子同士の間隔D1よりも広い間隔D2を隔てるように配列されている。
【0029】
図3では、各画素領域17Rにおいて実線で示した矩形の発光領域20R,20G,20Bは、有機発光素子10R,10G,10Bを各々構成する第1電極層13(後出)の形状に対応している。なお、図3では、2行×2列の計4個の画素1を示したが、X方向およびY方向に並ぶ画素1の数はこれに限定されるものではない。
【0030】
図4は、表示領域110における、図3に示したIV−IV線に沿ったXZ断面の概略構成を示すものである。図4に示したように、表示領域110では、基板111に画素駆動回路形成層112が設けられてなる基体11の上に、有機発光素子10R,10G,10Bを含む発光素子形成層12が形成されている。有機発光素子10R,10G,10Bの上には、保護膜18と封止基板19とが順に設けられている。有機発光素子10R,10G,10Bは、基板111の側から、例えばアノード電極としての第1電極層13、発光層142(142R,142G,142B)などを含む有機層14、およびカソード電極としての第2電極層16が各々順に積層されたものである。有機層14および第1電極層13は、素子分離層24によって有機発光素子10R,10G,10Bごとに分離されている。一方、第2電極層16は、全ての画素1に共通して設けられている。補助配線層17は、第2電極層16と接続されている。なお、図4では、画素駆動回路形成層112における駆動トランジスタTr1および書込トランジスタTr2などの詳細な構成については図示を省略した。
【0031】
素子分離層24は、隣り合う有機発光素子10における第1電極層13および有機層14同士の隙間を埋めるように設けられている。素子分離層24は、例えばポリイミドなどの電気絶縁性を有する有機材料からなり、第1電極層13と、第2電極層16および補助配線層17との電気絶縁性を確保すると共に、有機発光素子10の発光領域20を所望の形状に正確に規定するものでもある。
【0032】
有機発光素子10を覆う保護膜18は、窒化ケイ素(SiNx )などの絶縁材料からなる。また、その上に設けられた封止基板19は、保護膜18や接着層(図示せず)などと共に有機発光素子10を封止するものであり、発光層142において発生した光を透過する透明なガラスなどの材料により構成されている。
【0033】
[基体および有機発光素子の構成]
次に、図4〜図6を参照して、基体11および有機発光素子10の詳細な構成について説明する。なお、有機発光素子10R,10G,10Bは、互いに有機層14の構成が一部異なることを除き、他は共通の構成であるので、以下では、まとめて説明する。
【0034】
図5は、図3に示した表示領域110の、V−V線に沿った断面図であり、図6は図3に示したVI−VI線に沿った断面図である。なお、図5は、図3に示したV−V線に沿った断面に相当し、図6は、図3に示したVI−VI線に沿った断面に相当している。
【0035】
基体11は、ガラス,シリコン(Si)ウェハあるいは樹脂などよりなる基板111に、画素駆動回路150を含む画素駆動回路形成層112が設けられたものである。基板111の表面には、第1階層の金属層として、駆動トランジスタTr1のゲート電極である金属層211Gと、書込トランジスタTr2のゲート電極である金属層221Gと、信号線120A(図6)とがそれぞれ設けられている。これら金属層211G,221Gおよび信号線120Aは、窒化ケイ素や酸化ケイ素などからなるゲート絶縁膜212によって覆われている。ゲート絶縁膜212上の、金属層211G,221Gに対応する領域には、アモルファスシリコンなどの半導体薄膜からなるチャネル層213,223が設けられている。チャネル層213,223上には、その中心領域であるチャネル領域213R,223Rを占めるように絶縁性のチャネル保護膜214,224が設けられており、その両側の領域には、n型アモルファスシリコンなどのn型半導体薄膜からなるドレイン電極215D,225Dおよびソース電極215S,225Sが設けられている。これらドレイン電極215D,225Dおよびソース電極215S,225Sは、チャネル保護膜214,224によって互いに分離されており、それらの端面がチャネル領域213R,223Rを挟んで互いに離間している。さらに、ドレイン電極215D,225Dおよびソース電極215S,225Sをそれぞれ覆うように、第2階層の金属層として、ドレイン配線としての金属層216D,226Dおよびソース配線としての金属層216S,226Sが設けられている。金属層216D,226Dおよび金属層216S,226Sは、例えばチタン(Ti)層、アルミニウム(Al)層、およびチタン層を順に積層した構造を有するものである。第2階層の金属層としては、上記の金属層216D,226Dおよび金属層216S,226Sのほか、走査線130Aおよび電源供給線140A(図5)が設けられている。なお、ここでは、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)の駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2について説明したが、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)のものであってもよい。また、信号線120Aについては、走査線130Aおよび電源供給線140Aとの交差点以外の領域では第2階層に設けるようにしてもよい。
【0036】
画素駆動回路150は、窒化ケイ素などからなる保護膜(パッシベーション膜)217によって全体的に覆われており、その上には、さらに絶縁性の平坦化膜218が設けられている。平坦化膜218は、その表面が極めて高い平坦性を有するものであることが望まれる。また、平坦化膜218および保護膜217の一部領域には、微細な接続孔124が設けられている(図5参照)。平坦化膜218は、特に保護膜217に比べて厚みが大きいので、例えばポリイミド等の有機材料など、パターン精度が良い材料により構成されていることが好ましい。
【0037】
平坦化膜218の上に形成された第1電極層13は、反射層としての機能も兼ねており、できるだけ高い反射率を有する材料によって構成することが発光効率を高める上で望ましい。第1電極層13は、例えば厚みが100nm以上1000nm以下であり、銀(Ag),アルミニウム(Al),クロム(Cr),チタン(Ti),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),モリブデン(Mo),銅(Cu),タンタル(Ta),タングステン(W),白金(Pt),ネオジウム(Nd)あるいは金(Au)などの金属元素の単体またはそれらの合金により構成されている。第1電極層13は、平坦化膜218の表面を覆うと共に接続孔124を充填するように形成されている。これにより、第1電極層13は、接続孔124を介して駆動トランジスタTr1(のうちの金属層216S)と導通された状態となる。
【0038】
有機層14は、素子分離層24によって画定された発光領域20に全面に亘って隙間無く形成されている。有機層14は、例えば図4〜6に示したように、第1電極層13の側から正孔輸送層141と、発光層142(142R,142G,142B)と、電子輸送層143とが順に積層された積層構造を有する。正孔輸送層141は、発光層142への正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層142は、電界をかけることにより電子と正孔との再結合を生じさせ、構成材料に応じた色の光を発生するものである。電子輸送層143は、発光層142への電子輸送効率を高めるためのものである。
【0039】
有機層14は、有機発光素子10R,10G,10Bの発光色によって異なる発光層142を有している。これに対し、正孔輸送層141および電子輸送層143は、有機発光素子10R,10G,10Bによって共有され、一体となった共通層となっている。
【0040】
なお、有機層14において、正孔輸送層141、発光層142および電子輸送層143以外の層を、必要に応じて設けることができる。例えば第1電極層13と正孔輸送層141との間に、例えば、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)あるいは4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)などからなる正孔注入層を設けるようにしてもよい。その正孔注入層は、正孔注入効率を高めると共にリークを防止するためのバッファ層として機能するものである。さらに、電子輸送層143と第2電極層16との間には、LiF,Li2 Oなどからなる電子注入層(図示せず)を設けてもよい。正孔注入層および電子注入層を設ける場合、それらについても、有機発光素子10R,10G,10Bによって共有された共通層とすることが望ましい。
【0041】
有機発光素子10R,10G,10Bにおいて、正孔輸送層141は、例えば、ビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)により構成され、5nm以上300nm以下の厚みを有しているとよい。電子輸送層143は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されるとよい。
【0042】
有機発光素子10Rの(赤色)発光層142Rは、例えば、8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%の割合で混合したものから構成される。有機発光素子10Gの(緑色)発光層142Gは、例えばAlq3 にクマリン6(Coumarin6)を3体積%混合したものから構成される。有機発光素子10Bの(青色)発光層14Cは、例えばスピロ6Φ(spiro6Φ)により構成される。発光層142R,142G,142Bは、いずれも10nm以上100nm以下の厚みとするとよい。
【0043】
第2電極層16は、例えば、厚みが5nm以上50nm以下であり、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)などの金属元素の単体または合金により構成されている。中でも、マグネシウムと銀との合金(MgAg合金)、またはアルミニウム(Al)とリチウム(Li)との合金(AlLi合金)が好ましい。第2電極層16は、例えば全ての有機発光素子10R,10G,10Bに共通に設けられており、各有機発光素子10R,10G,10Bの第1電極層13と対向配置されている。さらに第2電極層16は、有機層14のみならず、素子分離層24および補助配線層17をも覆うように形成されている。したがって、上述したように、第2電極層16は補助配線層17と電気的に接続された状態となっている。
【0044】
補助配線層17は、第1電極層13と同様に平坦化膜218の表面に形成されており、主たる電極としての第2電極層16における電圧降下を補うものとして機能する。補助配線層17を構成する材料としては、例えば第1電極層13と同種の高導電性の金属材料が好ましい。
【0045】
この補助配線層17が存在しない場合、電源(図示せず)から個々の有機発光素子10R,10G,10Bまでの距離に応じた電圧降下により、共通電源供給線GND(図2参照)と接続された第2電極層16の電位が各有機発光素子10R,10G,10B間で一定とならず、顕著なばらつきを生じ易い。このような第2電極層16の電位のばらつきは、表示領域110における輝度むらの原因となるので好ましくない。補助配線層17は、表示装置が大画面化した場合であっても電源から第2電極層16に至るまでの電圧降下を最小限度に抑え、このような輝度むらの発生を抑制するように機能する。
【0046】
有機発光素子10では、第1電極層13は反射層としての機能を発揮する一方、第2電極層16が半透過性反射層としての機能を発揮する。これら第1電極層13および第2電極層16により、有機層14に含まれる発光層142において発生した光を多重反射させるようになっている。すなわち、有機発光素子10は、第1電極層13の有機層14側の端面を第1端部P1とし、第2電極層16の有機層14側の端面を第2端部P2とし、有機層14を共振部として、発光層142で発生した光を共振させて第2端部P2の側から取り出す共振器構造を有している。このような共振器構造を有することで、発光層142で発生した光が多重反射を起こし、一種の狭帯域フィルタとして作用することによって、取り出される光のスペクトルの半値幅が減少し色純度を高めることができる。また、封止基板19の側から入射した外光についても多重反射により減衰させることができ、さらに位相差板や偏光板(図示せず)との組み合わせにより有機発光素子10における外光の反射率を極めて小さくすることができる。
【0047】
[表示装置の製造方法]
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。以下、図1〜図6に加え、図7〜図14を参照して、本実施の形態の表示装置の製造方法について説明する。図7は、本実施の形態の表示装置の製造方法における手順を表すフローチャートである。
【0048】
まず、上述した材料よりなる基板111の上に画素駆動回路形成層112を形成することにより、基体11を作製する(ステップS101)。具体的には、まず、基板111の上に、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2を含む画素駆動回路150を形成する。ここでは、基板111上に例えばスパッタリングにより金属膜を形成する。そののち、例えばフォトリソグラフィ法やドライエッチング、あるいはウェットエッチングによりその金属膜をパターニングすることで、基板111上に金属層211G,221Gおよび信号線120Aを形成する。次いで、全面をゲート絶縁膜212によって覆う。さらに、ゲート絶縁膜212の上に、チャネル層213,223、チャネル保護膜214,224、ドレイン電極215D,225Dおよびソース電極215S,225S、ならびに、金属層216D,226Dおよび金属層216S,226Sを順に、所定形状に形成する。ここで、金属層216D,226Dおよび金属層216S,226Sの形成と併せて、走査線130Aおよび電源供給線140Aを第2階層の金属層として各々形成する。その際、金属層221Gと走査線130Aとを接続する接続部、金属層226Dと信号線120Aとを接続する接続部、金属層226Sと金属層211Gとを接続する接続部を予め形成しておく。そののち、全体を保護膜217で覆うことにより、画素駆動回路150を完成させる。このとき、保護膜217における金属層216S上の所定位置に、ドライエッチングなどにより開口を形成しておく。
【0049】
画素駆動回路150を形成したのち、スピンコート法などにより、例えばポリイミドを主成分とする感光性樹脂を全面に亘って塗布する。次に、その感光性樹脂に対しフォトリソグラフィ処理を施すことにより、接続孔124を有する平坦化膜218を形成する。具体的には、例えば所定位置に開口を有するマスクを用いた選択的な露光および現像により、保護膜217に設けられた開口と連通する接続孔124を形成する。そののち、平坦化膜218を必要に応じて焼成してもよい。これにより画素駆動回路形成層112が得られ、基体11の作製が完了する。
【0050】
さらに、上述した所定の材料よりなる第1電極層13および補助配線層17を一括して形成する(ステップS102)。具体的には、例えばスパッタリングによって上述の材料からなる金属膜を全面成膜したのち、その金属膜上に所定のマスクを用いて所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、さらにそのレジストパターンをマスクとして用い、金属膜の選択的なエッチングを行う。その際、第1電極層13については、平坦化膜218の表面を覆うと共に接続孔124を充填するように形成する。また、補助配線層17については、平坦化膜218の表面上において第1電極層13を3つずつ取り囲むように格子状に形成する。補助配線層17は、第1電極層13と同種の材料によって形成することが望ましい。このとき、のちに1つの画素1を構成することとなる第1電極層13同士の間隔を、X方向において隣り合う画素1同士の間隔よりも大きくする。
【0051】
こののち、補助配線層17と第1電極層13との隙間、および第1電極層13同士の隙間を充填するように素子分離層24を形成する(ステップS103)。この際、補助配線層17によって区画された各画素領域17R(図3)において、素子分離層24の開口部によって規定される発光領域20同士の間隔D1が、X方向において隣り合う他の画素1との間隔D2よりも狭くなるようにする。
【0052】
次いで、図8〜図10に示したように、共通マスクM1を用いて有機層14のうちの共通層の1つである正孔輸送層141を形成する(ステップS104)。図8〜図10は、本実施の形態の表示装置の製造方法における一工程を表す平面図もしくは断面図であり、図8および図10は図3に対応し、図9は図4に対応している。なお、図9では、基体11の詳細について図示を省略している。ここでは、まず、図8に示したように、画素1が形成される各画素領域R17に対応した(形状および大きさを有する)複数の開口M1Kを有する共通マスクM1を、所定位置に配置する。そののち、図9に示したように、例えば真空蒸着法により、露出部分を完全に覆うように上述した所定の材料および厚みの正孔輸送層141を形成する。最後に、共通マスクM1を取り除くことにより、図10に示したように、のちに有機発光素子10R,10G,10Bとなる3つの第1電極層13を共通して覆う正孔輸送層141が、各画素領域R17に現れる。本実施の形態では、従来構造(補助配線層が有機発光素子を個別に取り囲むような構造)と比較して、画素1同士の間隔D2が大きく確保されている。このため、共通マスクM1が十分な強度を有し撓みを生じることがないので、アライメント精度を極めて向上させることができる。
【0053】
正孔輸送層141を形成したのち、個別マスクM2を用いて発光層142R,142G,142Bを順次形成する(ステップS105)。まず、図11に示したように、第1電極層13に対応した形状および大きさの開口M2Kを複数有する個別マスクM2を所定位置に配置する。ここでは、例えばのちの有機発光素子10Rの発光領域20Rに対応した位置に開口M2Kを合わせるように個別マスクM2を配置する。そののち、図12に示したように、例えば真空蒸着法により、露出部分を完全に覆うように上述した所定の材料および厚みの発光層142Rを形成する。最後に、個別マスクM2を取り除くことにより、図13に示したように、正孔輸送層141の一部を覆う発光層142Rが、発光領域20Rに現れる。発光層142G,142Bについても同様にして順次形成する。その際には、個別マスクM2を、開口M2Kが発光領域20G,20Bに対応した位置となるようにそれぞれ配置する。なお、図11〜図13は、図8〜図10に続く一工程を表す平面図もしくは断面図であり、図11および図13は図3に対応し、図12は図4に対応している。図12では、基体11の詳細について図示を省略している。
【0054】
次に、再び共通マスクM1を用いて、発光層142R,142G,142Bの上に電子輸送層143を形成する(ステップS106)。ここでは、図14に示したように、発光層142R,142G,142Bを全て覆う共通層として電子輸送層143を形成する。これにより、有機層14が完成する。
【0055】
さらに、共通マスクM1を取り除いたのち、全体を覆うように所定の材料を用いて第2電極層16を形成することにより有機発光素子10R,10G,10Bを完成させる。最後に、全体を覆うように保護膜18を形成し、保護膜18の上に接着層を介して封止基板19を貼り合わせる。以上により、表示装置が完成する(ステップS107)。
【0056】
[表示装置の動作]
このようにして得られた表示装置では、各画素に対して走査線駆動回路130から書込トランジスタTr2のゲート電極(金属層221G)を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。その一方で、電源供給線駆動回路140が、走査線駆動回路130による行単位の走査と同期して、各電源供給線140Aに対し第2電位よりも高い第1電位を供給する。これにより駆動トランジスタTr1の導通状態が選択され、各有機発光素子10R,10G,10Bに駆動電流Idが注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、第1電極層13と第2電極層16との間で多重反射し、第2電極層16、保護膜18および封止基板19を透過して上面から取り出される。
【0057】
以上、説明したように、本実施の形態の表示装置では、X方向において、複数の画素1を、各画素1における有機発光素子10同士の間隔D1よりも広い間隔D2を有するように配列すると共に、隣り合う画素1同士の間に補助配線層17を設けるようにしている。このため、開口率を一定とした場合、X方向において、異なる発光色を示す有機発光素子10同士の距離を近づけつつ、補助配線層17の幅を太くすることができる。したがって、開口率を低下させることなく高集積化を図り、かつ、表示領域110において輝度がより均質化された画像を表示することができる。なお、本発明では、間隔D2が間隔D1よりも大きな値となっているが、このこと自体が表示性能を劣化させる直接の要因とはならない。画素1の配列ピッチ、および各有機発光素子10の配列ピッチをより均質に揃えることによって、より均質性に優れた画像が得られる。
【0058】
また、本実施の形態の表示装置の製造方法によれば、補助配線層17に対応する領域を覆い、かつ、画素領域17Rに対応した開口M1Kを有する高強度な共通マスクM1を用いて、有機発光素子10R,10G,10Bに共通する正孔輸送層141および電子輸送層143をそれぞれ一括形成することができる。このため、高集積化した場合であっても高精度な寸法を有し、良好な表示性能を発揮する表示装置を効率的に製造することができる。
【0059】
[変形例]
次に、図15を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と実質的に同一のものについては同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0060】
図15は、本変形例としての表示装置に含まれる画素1Bの断面構成を表すものであり、図4に対応している。上記実施の形態では、有機発光素子10R,10G,10Bに共通する共通層として正孔輸送層141および電子輸送層143を一括形成するようにしたが、本変形例では、さらに(青色)発光層142Bを共通層とするものである。
【0061】
このような画素1Bを形成する際には、まず、上記実施の形態と同様にして正孔輸送層141、(赤色)発光層142R、および(緑色)発光層142Gを順次形成する。そののち、共通マスクM1を用いて、それら全体を覆うように(青色)発光層142Bと、電子輸送層143とを順次を形成することにより有機層14を作製すればよい。
【0062】
本変形例によれば、製造プロセスがより簡素化されて生産効率が向上するうえ、有機層14の作製に要する有機材料の総量を削減することができる。
【実施例】
【0063】
本発明の実施例について説明する。
【0064】
上記実施の形態の表示装置の製造方法により、表示領域(画面)の寸法が対角26インチ(660mm)であり、画素数(解像度)が1920×1080ドットである表示装置を作製した。この場合、X方向における画素のピッチは平均で300μm程度である。
【0065】
本実施例では、共通マスクM1および個別マスクM2として、寸法精度が±15μmのものを用いた。ここでいう寸法精度とは、共通マスクM1および個別マスクM2を製造する際の加工精度、開口M1K,M2Kの位置精度、および有機層14を成膜する際のアライメント精度をすべて含む概念である。また、補助電極層17のX方向の幅を6μmとした。作製する各有機発光素子の寸法は58mm×234mmとした。個別マスクM2の開口M2Kの寸法は、各有機発光素子10の寸法および個別マスクM2の寸法精度から88μm×264μmとなった。また、共通マスクM1の開口M1Kの寸法は、各有機発光素子10の寸法および共通マスクM1の寸法精度から264μm×264μmとなった。共通マスクM1において、開口M1K同士の間隔は36μmとなるので、十分な強度を確保できた。
【0066】
この結果、有機発光素子10同士の間隔D1は30μm、画素1同士の間隔D2は66μmとすることができた。また、開口率については、45%となり、共通マスクM1を用いた場合でも十分な大きさを確保できることが確認できた。
【0067】
(モジュールおよび適用例)
以下、上述した実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0068】
(モジュール)
上記実施の形態の表示装置は、例えば、図16に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板111の一辺に、封止用基板19から露出した領域210を設け、この領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0069】
(適用例1)
図17は、上記実施の形態の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0070】
(適用例2)
図18は、上記実施の形態の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0071】
(適用例3)
図19は、上記実施の形態の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0072】
(適用例4)
図20は、上記実施の形態の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0073】
(適用例5)
図21は、上記実施の形態の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0074】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法や成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、第1電極層13は、ITOまたはIZO(インジウム・亜鉛複合酸化物)により構成されていてもよい。また、第1電極層13は、誘電体多層膜を有するようにすることもできる。
【0075】
また、上記実施の形態では、正孔輸送層141および電子輸送層143の双方を、それぞれ共通層としたが、いずれか一方のみを共通層としてもよい。また、補助配線層17は、下部電極(第1電極層13)と共に一括形成する場合に限定されず、駆動トランジスタTr1および書込トランジスタTr2を構成する金属層と共に一括形成するようにしてもよい。あるいは、独立した工程において形成するようにしてもよい。また、各有機発光素子10R,10G,10Bを全て同一の寸法としてもよいし、互いに異なる寸法としてもよい。
【0076】
加えてまた、上記実施の形態では、有機発光素子10R,10G,10Bの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、第1電極層13と有機層14との間に、酸化クロム(III)(Cr2 3 ),ITO(Indium-Tin Oxide:インジウム(In)およびスズ(Sn)の酸化物混合膜)などからなる正孔注入用薄膜層を備えていてもよい。
【0077】
加えてまた、上記各実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本発明はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記各実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路120や走査線駆動回路130のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…画素、10(10R,10G,10B)…有機発光素子、11…基体、111…基板、112…画素駆動回路形成層、12…発光素子形成層、13…第1電極層、131…第1導電層、132…第2導電層、14…有機層、141…正孔輸送層、142(142R,142G,142B)…発光層、143…電子輸送層、16…第2電極層、17…補助配線層、17R…画素領域、18…保護膜、19…封止基板、20…発光領域、24…素子分離層、124…接続孔、110…表示領域、120…信号線駆動回路、120A…信号線、130…走査線駆動回路、130A…走査線、140…電源供給線駆動回路、140A…電源供給線、150…画素駆動回路、217…保護膜(パッシベーション膜)、218…平坦化膜、Cs…キャパシタ(保持容量)、M1…共通マスク、P1…第1端部、P2…第2端部、Tr1…駆動トランジスタ、Tr2…書込トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1電極層、有機層、および第2電極層が順に積層されてなり、その積層面に沿った第1の方向において互いに離間して配置されると共に互いに異なる発光色を示す複数の発光素子を有する画素と、
前記第2電極層と電気的に接続された補助配線層と
を備え、
前記画素は、隣り合う前記発光素子同士の間隔よりも広い間隔を有するように前記第1の方向へ複数配列されており、
前記補助配線層は、隣り合う前記画素同士の間に設けられている
表示装置。
【請求項2】
前記有機層は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造を含み、
前記正孔輸送層および電子輸送層のうちの少なくとも一方は、前記画素の各々を構成する複数の発光素子によって共有された共通層である
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光素子は、前記第1の方向と直交する第2の方向の寸法が前記第1の方向の寸法よりも大きなものである
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、赤色光を発する赤色発光層を含む赤色発光素子、緑色光を発する緑色発光層を含む緑色発光素子、および青色光を発する青色発光層を含む青色発光素子であり、
前記青色発光層は、前記赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子の全てによって共有された共通層である
請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記画素は、前記第1の方向と直交する第2の方向にも複数配列されており、
前記補助配線層は、前記画素の各々を取り囲むように配置されている
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
基板上に、第1の方向において互いに離間する複数の補助配線層を形成する工程と、
第1電極層と、有機層と、前記補助配線層と接続される第2電極層との積層構造からなると共に互いに異なる発光色を示す複数の発光素子を有する画素を、隣り合う前記補助配線層同士の間にそれぞれ形成する工程と
を含み、
前記複数の発光素子を、前記第1の方向において隣り合う前記画素同士の間隔よりも狭い間隔を有するように配列する
表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記有機層を、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を順に含むように形成し、
前記正孔輸送層および電子輸送層のうちの少なくとも一方を、前記画素の各々を構成する複数の発光素子によって共有される共通層として形成する
請求項6記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記正孔輸送層および電子輸送層のうちの少なくとも一方を、前記補助配線層に対応する領域を覆い、かつ、前記画素に対応する領域に開口を有する共通マスクを用いて形成する
請求項6記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記複数の発光素子として、赤色光を発する赤色発光層を含む赤色発光素子、緑色光を発する緑色発光層を含む緑色発光素子、および青色光を発する青色発光層を含む青色発光素子を形成し、
前記青色発光層を、前記赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子の全てによって共有される共通層として形成する
請求項6記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記画素を、前記第1の方向と直交する第2の方向においても互いに離間するように複数配置し、
前記補助配線層を、前記画素の各々を取り囲むように配置する
請求項6記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−40277(P2011−40277A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186732(P2009−186732)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】