説明

表示装置および屋外表示システム

【課題】吸気口から排気口へ流れる空気流を発生させて自機を冷却するものであって、内部に雨・埃等が入らないようにしつつも、空気流を促進することが可能となる表示装置を提供する。
【解決手段】表示部と、吸気口と、排気口と、吸気口から排気口へ表示部に沿って流れる空気流を発生させる送風部と、下方に開口を有し、排気口から排出された空気を該開口へ導く排気側ダクトと、を備える表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを表示する表示装置、およびこれを備えた屋外表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルサイネージと呼ばれる、表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイ等によって映像や情報を表示する広告媒体が登場している。これらの端末(広告媒体)はバス停等の公共交通機関の停留所にも用いられている(特許文献1)。
【0003】
このような広告媒体には、屋外での使用を想定して製造された屋外向けの表示装置が利用される。屋外では、季節等による温度変動や直射日光等の影響が大きく、屋外向けの表示装置は、これらにも耐え得る仕様とすることが重要である。
【0004】
特に真夏の炎天下等における屋外では、屋内では想定されないような高温となることがある。このような高温下では、各部品が誤作動を起こすおそれがある。また液晶パネルが用いられている場合、液晶の変質が生じてブラックアウトが発生するおそれもある。
【0005】
そのため特に屋外向けの表示装置は、自機を十分に冷却する手段を備えることが不可欠である。このような手段の一例としては、ファンを用いて表示装置の吸気口から排気口へ流れる空気流を発生させ、自機を冷却する冷却機構が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−294284号公報(図3)
【特許文献2】特開平11−344954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような冷却機構を用いる場合、吸気口や排気口から表示装置内部へ雨や埃などが入るおそれがある。特に吸気口においては、表示装置の外部から内部へ空気が流れるため、このような雨・埃等が入り易くなる。
【0008】
雨・埃等が入ると、表示装置の機能に様々な支障が生じるおそれがある。例えば、液晶パネルの前側に雨・埃等が付着すると、コンテンツのクリアな表示が阻害されることになる。そのため表示装置の内部には、雨・埃等が極力入らないようになっていることが望ましい。
【0009】
なお、表示装置の外部から吸気口へ向かう空気の流路(空間)が確実に確保されなければ、空気流を促進させることが難しく、表示装置を十分に冷却することが出来なくなるおそれがある。
【0010】
本発明は上述した問題に鑑み、吸気口から排気口へ流れる空気流を発生させて自機を冷却するものであって、内部に雨・埃等が入らないようにしつつも、空気流を促進することが可能となる表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示装置は、表示部と、吸気口と、排気口と、吸気口から排気口へ表示部に沿って流れる空気流を発生させる送風部と、下方に開口を有し、排気口から排出された空気を該開口へ導く排気側ダクトと、を備える構成とする。
【0012】
本構成によれば、内部に雨・埃等が入らないようにしつつも、空気流を促進することが可能となる。
【0013】
また本発明に係る表示装置は、表示部と、吸気口と、排気口と、吸気口から排気口へ表示部に沿って流れる空気流を発生させる送風部と、下方に開口を有し、該開口から流入した空気を前記吸気口へ導く吸気側ダクトと、を備える構成とする。本構成によれば、内部に雨・埃等が入らないようにしつつも、空気流を促進することが可能となる。
【0014】
また上記構成としてより具体的には、吸気口は表示部の一方の側部に、排気口は該表示部の他方の側部にそれぞれ設けられた構成としてもよい。
【0015】
また本発明に係る表示装置は、表示部と、吸気口と、排気口と、表示部の前面側に該表示部と離間して設けられた透明保護部材と、吸気口から、表示部と透明保護部材の間の空間を経由して、排気口へ向かう空気流を発生させる送風部と、該表示部の一方の側部に垂直方向に設けられ、排気口から排出された空気を外部へ導く排気側ダクトと、該表示部の他方の側部に垂直方向に設けられ、外部の空気を吸気口へ導く吸気側ダクトと、を備える構成とする。
【0016】
また本発明に係る屋外表示システムは、太陽電池と、上記構成の表示装置と、該表示装置の下方に設けられ、太陽電池で発電された電力を変換して表示装置へ供給する制御装置と、を備え、排気側ダクト又は吸気側ダクトの少なくとも一方が、該制御装置の側方に延在する構成とする。
【発明の効果】
【0017】
上述した通り、本発明に係る表示装置によれば、内部に雨・埃等が入らないようにしつつも、空気流を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る屋外表示システムの斜視図である。
【図2】当該屋外表示システムの別の斜視図である。
【図3】当該屋外表示システムの側面図である。
【図4】当該屋外表示システムの構成に関するブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る表示装置の外観図である。
【図6】当該表示装置の断面図である。
【図7】当該表示装置の別の断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る冷却ケースの外観図である。
【図9】当該冷却ケースの断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る屋外表示システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態(第1実施形態および第2実施形態)について、屋外で利用される屋外表示システムを例に挙げて以下に説明する。
【0020】
1.第1実施形態
[屋外表示システムの構成等について]
まず第1実施形態について説明する。図1から図3の各々は、当該屋外表示システム9の外観図である。なお、図1は斜め前方から見た図(斜視図)、図2は斜め後方から見た図(斜視図)、図3は横から見た図(側面図)を、それぞれ表している。
【0021】
これらの図に示すように、屋外表示システム9は、表示装置4や冷却ケース7などが収納された本体ケース91を有している。なお表示装置4には、タッチパネル46や照度センサ50bが設けられており(図5等を参照)、これらは本体ケース91の前面から露出している。表示装置4や冷却ケース7の詳細な構成や役割については、後述する説明によって明らかとなる。
【0022】
本体ケース91の下部には、地面に固定可能である脚部92が設けられており、屋外表示システム9は屋外に固定的に設置することが可能となっている。また本体ケース91の下底面には、開口部91aが設けられている。開口部91aにおいて、本体ケース91の内部と外部は導通しており、空気が自由に出入りできる状態となっている。なお開口部91aは、後述する吸気用ダクトおよび排気用ダクトに対応するように、本体ケース91の下底面における左右の両側に設けられている。また本体ケース91の上部には、支持部93に支えられるようにして、屋根94が設けられている。屋根94の上面には、太陽光を受光する太陽電池パネル95が敷かれている。なお屋根94の角度は、太陽電池パネル95へ太陽光が効率的に入射するように、適切に設定されている。
【0023】
図4は、屋外表示システム9の構成を表すブロック図である。本図に示すように屋外表示システム9は、太陽電池1、蓄電池2、コントローラ(コントロールモジュール)3、表示装置4、電源用冷却ファン5、ファン制御装置6、およびインバータ8などを備えている。
【0024】
太陽電池1は、太陽電池パネル95などから形成されており、受光した太陽光を光電変換することにより発電を行う。また蓄電池2は、例えばリチウムイオンバッテリー(バッテリーパック)である。
【0025】
コントローラ3は、太陽電池1が発電した電力を、蓄電池2および表示装置4へ供給する。なおコントローラ3は、原則的に、太陽電池1が発電した電力の大部分をそのまま表示装置4へ供給し、余剰電力(太陽電池1による発電電力と表示装置4の消費電力の差分電力)を蓄電池2へ供給する。但しコントローラ3は、発電電力の不足時(例えば夜間や雨天時)には、蓄電池2から表示装置4へ電力供給がなされるようにする。
【0026】
またコントローラ3には、直流電力を交流電力に変換するインバータ8が接続されている。インバータ8は、例えばコントローラ3を通じて表示装置4に電力が供給される際に、コントローラ3から出力される直流電力(供給電力)を、交流電力に変換して表示装置4(後述する電源回路47)に送出する役割を果す。
【0027】
なお、このような変換の動作が必要ではない場合(電源回路47が直流電力の供給を受付ける場合)には、インバータ8の設置が省略されるようにしても構わない。また蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8は、冷却ケース7に収納され、十分に冷却されるように配慮されている。この点については、改めて詳しく説明する。
【0028】
表示装置4は、コンテンツを表示する液晶表示装置であり、受信部41、蓄積部42、表示制御部43、液晶パネル(液晶表示パネル)44、バックライト45、タッチパネル46、電源回路47、制御部48、パネル用冷却ファン49、温度センサ50a、および照度センサ50bなどを備えている。
【0029】
受信部41は、外部のコンテンツサーバ(例えば、ASPサーバ、パソコンなど)から無線通信(例えば、WiMAX、IEEE802.11b/gなどの方式)により送信されるコンテンツ信号(広告コンテンツ等のコンテンツを含む信号)を受信するアンテナと、アンテナで受信した信号に対し復調処理などを行う信号処理部などを備える。
【0030】
コンテンツ信号が、例えば、OFDM方式により変調されて伝送されたMPEG2−TS形式の信号であれば、受信部41はOFDM変調を行い、MPEG2−TS信号を抽出する。受信部41によって所定の処理がなされたコンテンツ信号は、蓄積部42へ伝送される。
【0031】
蓄積部42は、受信部41からコンテンツ信号を受取ることにより、コンテンツを取得して保存する。なおコンテンツがリアルタイムコンテンツである場合(受信したコンテンツを即時に表示するような場合)、蓄積部42はバッファメモリとして機能する。コンテンツがユーザの操作に応じて表示されるコンテンツ、或いは予め設定されたタイムスケジュールに基づいて表示されるコンテンツである場合、蓄積部42はストレージメディアとして機能する。
【0032】
表示制御部43は、液晶パネル44での表示制御を行う表示制御回路を有している。この表示制御回路は、コンテンツの画像処理などを実行し、液晶パネル44においてコンテンツが適切に表示されるようにする。なお表示制御回路は、液晶パネル44の背面側に配置されている。
【0033】
液晶パネル44は、表示制御部43による表示制御に従って、各画素に対応する液晶の変調がなされる。これにより液晶パネル44は、バックライト45の光の透過度合が変化し、全体としてコンテンツ(画像)を表示する。なおバックライト45は、液晶パネル44に白色光を照射するものであり、例えば冷陰極管(CCFL)やLEDが用いられる。
【0034】
タッチパネル46は、静電容量方式の透明なタッチパネルとして形成されており、液晶パネル44の前面側に(より詳細には、液晶パネル44の前面に配置された前面ガラスに)配置されている。タッチパネル46は、ユーザの指が触れた位置等を検出し、その情報を制御部48に伝送する。
【0035】
電源回路47は、外部(コントローラ3側)から供給された電力を用いて、表示装置4の各部に対し電源供給を行う。なお電源回路47は、商用電源等(交流電源)が供給された場合にも、これを直流に変換して表示装置4の各部へ電源供給することが可能となっている。すなわち電源回路47は、外部から供給された交流電力を直流に変換するようになっている。供給された電源は、コンテンツの表示やパネル用冷却ファン49の駆動など、各種動作の実行に用いられることになる。制御部48は、CPU[Central Processing Unit]等によって形成されており、表示装置4が適切に動作するように、表示装置4における各部の制御を行う。
【0036】
パネル用冷却ファン49は、表示装置4の内部(特に、液晶パネル44とタッチパネル46)を冷却するためのファンであり、ファンA1〜A6の6個のファンの総称である。なおファンA1〜A3の3個のファンは、表示装置4の外部から内部への吸気を促す吸気用ファン49aであり、ファンA4〜A6の3個のファンは、表示装置4の内部から外部への排気を促す排気用ファン49bである。
【0037】
温度センサ50aは、先述した表示制御回路上に設けられたサーミスタである。温度センサ50aによって検出された温度の情報は、液晶パネル44の表示制御に利用される。また温度センサ50aによって検出された温度の情報は、制御部48に伝送され、パネル用冷却ファン49の駆動制御にも利用可能となっている。なお温度センサ50aの種類や位置などについては、その他の形態とすることも可能である。
【0038】
照度センサ50bは、表示装置4の前面外部(図5を参照)に設けられており、照度を検出する。照度センサ50bによって検出された照度の情報は、制御部48に伝送され、パネル用冷却ファン49の駆動制御に利用可能となっている。なお各種のセンサ(50a、50b)は、それぞれ複数個が設けられるようにしても構わない。この場合、例えば検出値の平均値、最大値、或いは最小値などが適宜算出され、算出された値を検出値として採用することも可能である。
【0039】
電源用冷却ファン5は、コントローラ2、蓄電池3、およびインバータ8を冷却するためのファンであり、ファンB1〜B6の6個のファンの総称である。電源用冷却ファン5は、何れも冷却ケース7に取付けられている。
【0040】
なおファンB1〜B3の3個のファンは、冷却ケース7の外部から内部への吸気を促す吸気用ファン5aであり、ファンB4〜B6の3個のファンは、冷却ケース7の内部から外部への排気を促す排気用ファン5bである。電源用冷却ファン5の駆動は、ファン制御装置6によって制御されるようになっている。ファン制御装置6は、例えば冷却ケース7に取付けられており、コントローラ3側から供給される電源を用いて、電源用冷却ファン5の駆動を制御する。
【0041】
[表示装置の詳細な構成等について]
次に、表示装置4の詳細な構成について、パネル用冷却ファン49を利用した冷却機構に言及しながら説明する。
【0042】
図5は、表示装置4の外観図(斜め前方から見た図)である。また図6は、水平面で切断したときの表示装置4の断面図である。また図7は、図6の線分Xを含む鉛直面で切断したときの、表示装置4の断面図である。
【0043】
これらの図に示すように、表示装置4は、フロントキャビネットFCとバックキャビネットBCが前後方向に結合し、ほぼ一体的となった筐体を形成している。なおバックキャビネットBCの側面には、吸気用ダクト11もしくは排気用ダクト12が取付けられている。
【0044】
またバックキャビネットBCの内部には液晶パネル44が設けられており、その後にはバックライト45も設けられている。またフロントキャビネットFCには、液晶パネル44と向い合う位置に、透明な前面ガラス13(透明部材の一種)が設けられている。前面ガラス13の前側の表面には、タッチパネル46が設けられている。
【0045】
液晶パネル44に表示されたコンテンツ(画像)の光は、前面ガラス13およびタッチパネル46を介して前方に届けられる。なお図1に示したように、タッチパネル46は前方に向けて露出しているため、屋外表示システム9の前方に居る観察者(通行人など)は、この表示されたコンテンツを見ることが可能となっている。
【0046】
ところで表示装置4において、特に液晶パネル44は、バックライトによって強く熱せられることになる。また液晶パネルの温度が高くなり過ぎると、液晶の液化による表示障害(ブラックアウト)が生じるおそれがある。そのため、液晶パネル44を冷却することは特に重要である。また温度変化によるタッチパネル46の誤動作を防ぐため、タッチパネル46を冷却することも重要である。
【0047】
そこで表示装置4には、特に液晶パネル44とタッチパネル46を効率よく冷却するための、冷却機構が設けられている。この冷却機構の形態について、以下に説明する。
【0048】
表示装置4の筐体内部においては、空気を流すための流路(空間)SPが設けられている。この流路SPは、図6に示すように、吸気口14から、液晶パネル44と前面ガラス13の間を介して、排気口15に達する形態となっている。なお図7に示すように、吸気口14は、表示装置4(バックキャビネットBC)の側面に、上下方向に並ぶように3箇所に設けられている。また排気口15は、表示装置4(バックキャビネットBC)の反対側の側面に、上下方向に並ぶように3箇所に設けられている。なお吸気口14や排気口15には、表示装置4の内部に雨・埃等が入らないようにするためのフィルタが設けられていても良い。
【0049】
そしてパネル用冷却ファン49のうち、吸気用ファン49a(ファンA1〜A3)は、吸気口14の各々に設けられている。また排気用ファン49b(ファンA4〜A6)は、排気口15の各々に設けられている。
【0050】
パネル用冷却ファン49が回転することにより、流路SPにおいて、吸気口14から排気口15へ向かう方向、すなわち図6や図7に矢印FLで示す方向の送風が行われる。このように表示装置4においては、パネル用冷却ファン49や流路SP等によって、冷却機構が形成されている。
【0051】
すなわちパネル用冷却ファン49を回転させると、液晶パネル44と前面ガラス13との間を含む流路SPに、吸気口14から排気口15へ流れる空気流が発生する。その結果、この空気流が液晶パネル44および前面ガラス13から熱を奪うことになり、液晶パネル44、および前面ガラス13に設けられたタッチパネル46を、効率良く冷却することが可能となっている。
【0052】
なお、パネル用冷却ファン49の回転速度(単位時間あたりの回転数)または駆動個数(駆動させるファンの個数)を増大させるほど、空気流の勢いが強まり、より強い冷却が実現される。但しこのようにするほど、消費電力は増大し、一般的に騒音も大きくなる。そのためパネル用冷却ファン49の駆動は、冷却が過不足無く行われる程度に、制御されるようになっている。パネル用冷却ファン49の制御方法については、改めて詳細に説明する。
【0053】
また表示装置4の側面のうち、吸気口14が設けられている側には、吸気用ダクト11が取付けられている。吸気用ダクト11は、吸気口14の全てを外側から覆うように、バックキャビネットBCの側面に沿って、上下方向に伸びた形状となっている。
【0054】
また吸気用ダクト11の下端(各吸気口14より低い位置となっている)には、下向きに(開口部91aに向けて)開口したダクト吸気口11aが設けられている。吸気用ダクト11は、ダクト吸気口11aと各吸気口14においてのみ開口した空間(空気の流路)を形成している。
【0055】
吸気用ダクト11は上述した形態となっており、ダクト吸気口11aには、開口部91aを通じて本体ケース91の外部から入ってきた空気が流入する。そして吸気用ダクト11は、ダクト吸気口11aから流入した空気を各吸気口14へ導くとともに、雨や埃などが吸気口14に到達し難くする役割を果す。
【0056】
なお雨や埃などは上側から落ちてくる(下側に向かって進む)ことが多いところ、ダクト吸気口11aは下向きに開口しているため、吸気用ダクト11自体にも雨・埃等が入り難くなっている。そして更に、吸気用ダクト11は上下方向に伸びており、ダクト吸気口11aは低い位置に設けられている。これらのことから、吸気用ダクト11によれば、吸気口14に雨・埃等が到達することを十分に抑制することが可能となっている。
【0057】
また表示装置4の側面のうち、排気口15が設けられている側には、排気用ダクト12が取付けられている。排気用ダクト12は、排気口15の全てを外側から覆うように、バックキャビネットBCの側面に沿って、上下方向に伸びた形状となっている。
【0058】
また排気用ダクト12の下端(各排気口15より低い位置となっている)には、下向きに(開口部91aに向けて)開口したダクト排気口12aが設けられている。排気用ダクト12は、ダクト排気口12aと各排気口15においてのみ開口した空間(空気の流路)を形成している。
【0059】
排気用ダクト12は上述した形態となっており、各排気口15から排出された空気をダクト排気口12aへ導くとともに、雨や埃などが排気口15に到達し難くする役割を果す。ダクト排気口12aへ導かれた空気は、更に開口部91aを通じて、本体ケース91の外部へ排出されることとなる。なおダクト排気口12aは下向きに開口しているため、排気用ダクト12自体にも雨・埃等が入り難くなっている。更に、排気用ダクト12は上下方向に伸びており、ダクト排気口12aは低い位置に設けられている。これらのことから、排気用ダクト12によれば、排気口15に雨・埃等が到達することを十分に抑制することが可能となっている。
【0060】
上述したように表示装置4においては、吸気口14や排気口15に雨・埃等が到達し難くなっているため、表示装置4の内部に雨・埃等が入り難くなっている。また吸気口14や排気口15にフィルタが設けられている場合には、雨・埃等によるフィルタの目詰まりが極力抑えられ、表示装置4の内部における空気流が促進されるようになっている。
【0061】
[パネル用冷却ファンの制御方法について]
表示装置4は、パネル用冷却ファン49を適切に駆動させ、表示装置4を冷却させるようになっている。パネル用冷却ファン49の駆動は、種々の制御方法によって制御することが可能である。
【0062】
ここで当該制御方法の具体例について、温度センサ50aの検出結果に基づくもの(第1の制御方法)、照度センサ50bの検出結果に基づくもの(第2の制御方法)、およびこれらの双方のセンサ(50a、50b)の検出結果に基づくもの(第3の制御方法)の各々を挙げて、以下に説明する。
【0063】
まず第1の制御方法によれば、温度センサ50aによる検出温度が高いほど、ファンの回転速度または駆動個数が増大するように、パネル用冷却ファン49の駆動が制御される。例えば、検出温度が所定の閾値α1を超えたときは、通常時(超えていないとき)に比べてファンの回転速度または駆動個数が増大するように、パネル用冷却ファン49の駆動が制御される。
【0064】
これにより、表示装置4を出来るだけ過不足無く冷却することが可能となる。すなわち、温度上昇の抑制と消費電力の低減の双方を出来るだけ両立させるように、表示装置4を冷却することが可能となる。なお、タッチパネル46の誤動作の発生等を抑えるため、表示装置4の温度の変化速度が極力小さくなるように配慮しても良い。パネル用冷却ファン49の回転速度または駆動個数を変化させる際に、この変化が徐々に進むようにすることで、表示装置4の温度の変化速度を小さくすることが可能である。
【0065】
また第2の制御方法によれば、照度センサ50bの検出照度が所定の閾値α2を超えたときは、通常時(超えていないとき)に比べてファンの回転速度または駆動個数が増大するように、パネル用冷却ファン49の駆動が制御される。なお閾値α2は、直射日光が当たったときに超えると想定される値(一例としては、10000ルクス)に設定される。
【0066】
これにより、表示装置4に直射日光が当たる状況、すなわち急激な温度上昇が想定される状況において強い冷却がなされることになり、表示装置4の温度が過剰に高くなることを極力抑えることが可能となる。
【0067】
なお照度センサ50bによれば、直射日光が当たる状況となったことを、これによる温度上昇が生じる前に検出することが可能であり、ひいては、温度センサに比べてより迅速に検出することが可能である。そのため第2の制御方法によれば、直射日光が当たる状況となったことを迅速に検出し、温度上昇が生じる前に冷却を強めることで、温度上昇を事前に抑えることが可能である。
【0068】
また第3の制御方法によれば、温度センサ50aの検出温度が閾値α1を超えたとき、または、照度センサ50bの検出照度が閾値α2を超えたときに、通常時に比べてファンの回転速度または駆動個数が増大するように、パネル用冷却ファン49の駆動が制御される。
【0069】
第3の制御方法によれば、第2の制御方法の場合と同様に、直射日光が当たる状況となったことを迅速に検出し、温度上昇が生じる前に冷却を強めることで、温度上昇を事前に抑えることが可能である。そして更に第3の制御方法によれば、直射日光に起因しない温度上昇(外気温の上昇や内部発熱等による温度上昇)が生じた場合であっても、温度センサ50aによってこれを検出し、冷却を強めて温度上昇を抑えることが可能である。
【0070】
[蓄電池等の冷却形態について]
先述したように蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8は、冷却ケース7の内部に収納された状態で、本体ケース91内に設置されている。この点について、以下に詳細に説明する。
【0071】
図8は、蓄電池2等が収納された冷却ケース7の外観図(斜視図)である。なお図8における点線は、蓄電池2等が配置されている様子を表している。また図9は、蓄電池2等が収納された冷却ケース7についての断面図(鉛直面で切断した場合)である。
【0072】
これらの図に示すように冷却ケース7は、直方体の筐体を形成しており、その内部に、蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8を収納している。当該筐体の一方の側面には、上下方向に並ぶように3箇所の吸気口71が設けられており、その反対側の側面には、上下方向に並ぶように3箇所の排気口72が設けられている。
【0073】
そして電源用冷却ファン5のうち、吸気用ファン5a(ファンB1〜B3)は、吸気口71の各々に設けられている。また排気用ファン5b(ファンB4〜B6)は、排気口72の各々に設けられている。
【0074】
電源用冷却ファン5が回転することにより、冷却ケース7の内部において、吸気口71から排気口72へ向かう方向、すなわち図9に矢印FLで示す方向の送風が行われる。すなわち電源用冷却ファン5を回転させると、冷却ケース7の内部において、吸気口71から排気口72へ流れる空気流が発生する。その結果、この空気流が蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8から熱を奪うことになり、これらを効率良く冷却することが可能となっている。
【0075】
なお冷却ケース7の内部は、吸気口71と排気口72を除いて略密閉状態となっており、空気の分散が抑制されるようになっている。そのため、電源用冷却ファン5を回転させると、冷却ケース7の内部に効率良く空気流を発生させることが可能となっている。これにより屋外表示システム9は、蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8を、効率良く冷却することが可能となっている。
【0076】
また冷却ケース7内部の配置形態に着目すると、特に発熱し易いインバータ8は、蓄電池2およびコントローラ3よりも、吸気口71に近い位置に配置されている。このようにインバータ8は、蓄電池2およびコントローラ3に比べて空気流の上流側に配置されており、より効率良く冷却することが可能となっている。
【0077】
なお、例えば図9に示すようにコントローラ3を蓄電池2の上方に配置する場合、コントローラ3を蓄電池2の上に直接乗せるようにしても良く、放熱効率を上げるため、コントローラ3を棚等に乗せる(コントローラ3と蓄電池2を離す)ようにしても良い。
【0078】
また冷却ケース7にも、先述した表示装置4と同様に、吸気用ダクト73および排気用ダクト74が取付けられている。これらの構成や役割については、表示装置4に取付けられている吸気用ダクト11および排気用ダクト74と基本的に同等であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0079】
冷却ケース7に収納されている蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8は、温度が高くなり過ぎると(特に、定格温度を超えると)、正常に動作しなくなるおそれがある。そのためファン制御装置6は、このような事態が生じないように電源用冷却ファン5を適切に駆動させ、これらを冷却させるようになっている。
【0080】
なお電源用冷却ファン5の駆動についても、パネル用冷却ファン49の場合と同様に、種々の制御方法によって制御することが可能であり、先述した第1〜第3の制御方法、或いはこれに準じた制御方法などを適用することが可能である。すなわち温度センサ50a等の検出結果に応じて、ファンの回転速度や駆動個数を調節することが可能である。
【0081】
また蓄電池2などに温度センサを直接取付けておき、この温度センサによる検出温度が所定の閾値を超えたときは、超えていないときに比べてファンの回転速度または駆動個数が増大するように、電源用冷却ファン5の駆動が制御されるようにしても良い。また季節などに応じて、ファンの駆動個数が設定されるようにしても良い。例えば、夏季には、電源用冷却ファン5を全て駆動するようにし、冬季には、吸気ファン5aと排気ファン5bを1個ずつ駆動するようにしても良い。
【0082】
2.第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。なお第2実施形態は、吸気側ダクト11および排気側ダクト12に関する点を除いて、基本的に第1実施形態と同等である。第2実施形態の説明にあたっては、第1実施形態と異なる点に重点を置き、共通する点については説明を省略する。
【0083】
図10は、第2実施形態に係る屋外表示システム90の外観図(斜視図)である。本図に示すように吸気側ダクト110および排気側ダクト120は、第1実施形態の屋外表示システム9の吸気側ダクト11、排気側ダクト12と同様、表示装置4の側方に設けられる点では同じであるが、更に表示装置4の下方に延びている点で相違する。これらのダクト110、120の下部は、それぞれ冷却ケース7の右方、左方に配備される。なお蓄電池2、コントローラ3、およびインバータ8が収納された冷却ケース7は、表示装置4の下方に設けられ、太陽電池1で発電された電力を変換して表示装置4へ供給する制御装置の一例といえる。
【0084】
これにより本実施形態では、吸気側ダクト110のダクト吸気口が開口部91aへより近接し、本体ケース91の外部から当該ダクト吸気口へ空気がより流入し易くなっている。また更に、排気側ダクト120のダクト排気口が開口部91aへより近接し、当該ダクト排気口から本体ケース91の外部へ空気がより排出され易くなっている。なお本実施形態では、吸気側ダクト110および排気側ダクト120の両方が、上述した制御装置の側方に延在しているが、何れか一方のみが、当該制御装置の側方に延在した形態となっていても良い。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。例えば表示装置4は、液晶ディスプレイに限らず、プラズマディスプレイ等であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、屋外で用いられる屋外表示システムなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 太陽電池
2 蓄電池
3 コントローラ
4 表示装置
5 電源用冷却ファン
5a 吸気ファン
5b 排気ファン
6 ファン制御装置
7 冷却ケース
8 インバータ
9 屋外表示システム
11 吸気側ダクト
11a ダクト吸気口
12 排気側ダクト
12a ダクト排気口
13 前面ガラス(透明保護部材)
14 吸気口
15 排気口
41 受信部
42 蓄積部
43 表示制御部
44 液晶パネル
45 バックライト
46 タッチパネル
47 電源回路
48 制御部
49 パネル用冷却ファン
49a 吸気ファン
49b 排気ファン
50a 温度センサ
50b 照度センサ
71 吸気口
72 排気口
73 吸気側ダクト
73a ダクト吸気口
74 排気側ダクト
74a ダクト排気口
91 本体ケース
92 脚部
93 支持部
94 屋根
95 太陽電池パネル
FC フロントキャビネット
BC バックキャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
吸気口と、
排気口と、
吸気口から排気口へ表示部に沿って流れる空気流を発生させる送風部と、
下方に開口を有し、排気口から排出された空気を該開口へ導く排気側ダクトと、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示部と、
吸気口と、
排気口と、
吸気口から排気口へ表示部に沿って流れる空気流を発生させる送風部と、
下方に開口を有し、該開口から流入した空気を前記吸気口へ導く吸気側ダクトと、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
吸気口は表示部の一方の側部に、排気口は該表示部の他方の側部にそれぞれ設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示部と、
吸気口と、
排気口と、
表示部の前面側に該表示部と離間して設けられた透明保護部材と、
吸気口から、表示部と透明保護部材の間の空間を経由して、排気口へ向かう空気流を発生させる送風部と、
該表示部の一方の側部に垂直方向に設けられ、排気口から排出された空気を外部へ導く排気側ダクトと、
該表示部の他方の側部に垂直方向に設けられ、外部の空気を吸気口へ導く吸気側ダクトと、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
太陽電池と、
請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置と、
該表示装置の下方に設けられ、太陽電池で発電された電力を変換して表示装置へ供給する制御装置と、を備え、
排気側ダクト又は吸気側ダクトの少なくとも一方が、該制御装置の側方に延在することを特徴とする、屋外表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−133256(P2012−133256A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287021(P2010−287021)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】