表示装置および表示装置の制御方法
【課題】キャラクタROMの容量を増やさずに表示装置の高性能化と低価格化とを同時に達成する。
【解決手段】RAM13は、VFD22の表示面の同一表示位置に対応したアドレスを各々が有する第1領域と第2領域とを有して形成され、第1領域にはフォントデータ、または、フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、第2領域にはフォントデータを加工した処理データが記憶され、制御回路11は、第1領域に記憶されたフォントデータ、または、反転フォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示と、が交互に表示部になされるように制御をする。
【解決手段】RAM13は、VFD22の表示面の同一表示位置に対応したアドレスを各々が有する第1領域と第2領域とを有して形成され、第1領域にはフォントデータ、または、フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、第2領域にはフォントデータを加工した処理データが記憶され、制御回路11は、第1領域に記憶されたフォントデータ、または、反転フォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示と、が交互に表示部になされるように制御をする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の表示装置が産業用の用途および家庭的な用途に用いられている。この表示装置の中で、蛍光表示管(VFD:Vacuum Fluoresent Display)を利用するものが表示装置において広く用いられている。このような蛍光表示管を制御する制御装置は、外部機器であるホスト機器から送られてくる情報に基づいて、制御装置の内部で表示データを個々のVFDに合わせて生成し、表示データをVFDに送出する機能を有する(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照)。制御装置は要求される時間ごとに画面を更新し、かつ、ちらつき等のない良好な表示品質を保つ必要がある。より具体的には、ホスト機器から送られてくる表示の指示情報(文字コード、配置位置等)に従って、文字コードに対応するフォントデータをキャラクタ・ロム(ROM)から読み出し、1画面分の表示データをビデオ・ラム(RAM)に展開する。ここで、キャラクタROMに記憶されているフォントデータは、1画素について1ビット分の情報(1=点灯/0=非点灯)だけを有している。そして、ビデオRAMから表示データを読み出して、それをCIGVFD(Chip In Glass VFD)へシリアル転送しつつ、CIGVFDへの制御信号を制御して、画面表示を更新する。このとき、表示データをビデオRAMに展開する際の加工処理負荷が少なくなるように、キャラクタROMのデータ構成を工夫していた(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平9−288475号公報
【非特許文献1】岸野隆雄 「蛍光表示管」、平成2年10月31日初版、産業図書株式会社
【非特許文献2】双葉電子工業株式会社 製品カタログAN−B−1003「蛍光表示管」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
VFDに表示される表示データは、キャラクタROMのフォントデータをもとにビデオRAMへ記憶されるので、表示する文字のフォント(字体)を増やす場合にはそのフォントデータをキャラクタROMに追加するのが従来一般に採用される方法であった。しかしながら、表示する文字のフォントを増やすと、キャラクタROMの記憶容量を増加させなければならないので、ROM素子の価格が、より高いものとなる。また、表示するフォントを変更すると、異なる種類のキャラクタROMを新たに採用することとなり、管理すべきキャラクタROMの種類が増えて、管理コストが増える。
【0004】
また、1画素について1ビット分を割り付けること無く、1画素について1アドレスを割り付け、フォントデータを多値データとする場合にも同様にキャラクタROMの記憶容量が増加する。例えば、8ビット幅のキャラクタROMを用いる場合には、1画素当たり8ビットのデータ領域が確保されることとなるが、仮に、フォントデータを多値データとするに際して、2ビット分しか使用しなければ、残りの6ビット分の記憶容量は無駄になってしまう。なお、キャラクタROMのみならず、ビデオRAMも8ビット幅を有しているので、キャラクタROMにおけると同様に無駄な記憶領域が発生してしまう。そして、これらの無駄な領域をCPU(Central Processing Unit)で管理することは、CPUの処理負荷が増大することとなる。
【0005】
また、キャラクタROMの記憶容量を増加することなく、キャラクタROMに記憶されたデータの内容をCPUで処理して、元のフォントを修飾した新たなフォントを逐次生成して、この新たなフォントをビデオRAMに記憶することも考えられるが、この場合にはCPUに対する処理の負担が増大する。また、この場合においても、発光、非発光の2状態のいずれか以外の輝度設定をおこなうことは極めて困難である。さらに、CPUは、VFDに画像を表示するための種々の処理をおこなわなければならないので、一般的には、キャラクタROMに記憶されたデータの内容をCPUで処理することは困難であるのが現状である。特に、近年は、VFDの低価格化に対する要求が大きく、価格が高い高速で動作するCPUの使用がコスト面から制限される現実があるので、キャラクタROMに記憶されたデータの内容をCPUで処理することをますます困難なものとしている。
【0006】
また、CPUを用いることなく、ゲートアレイを用いて表示制御をするVFDでは、キャラクタROMに2値データを記憶する構成から多値データを記憶する構成に変更する場合には、ゲートアレイ自体を造り変えなければならず、開発費用、ゲートアレイの単価、開発から製品化までの時間が必要となってしまう。
【0007】
市場における、フォントの種類を増やして欲しいという要望は大きなものであるが、背景技術に示した技術では、係る課題の解決は困難であった。本発明は、CPUの処理負荷を大きく増やすことなく、また、ゲートアレイを作り直すことなく、表示装置に表示されるフォントの種類を増やす技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記表示部における前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置であって、前記ラムは、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを各々が有する第1領域と第2領域とを有して形成され、前記第1領域には前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、前記第2領域には前記フォントデータを加工した処理データが記憶され、前記第1領域に記憶された前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、が交互に前記表示部になされる。
【0009】
本発明の表示装置の制御方法は、発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置の制御方法であって、前記ラムには、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを有する第1領域と第2領域とを形成し、前記第1領域には、前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータを記憶し、前記第2領域には、前記フォントデータを加工した処理データを記憶し、前記表示部には、前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、を交互にする。
【0010】
本発明の技術では、発光と非発光との2状態の組み合わせによって、表示部に表示されるフォントのデータであるフォントデータがキャラクタ・ロム(ROM)に記憶されている。また、表示装置はラム(RAM)を備えており、このラムには第1領域と第2領域が設けられている。この第1領域と第2領域との、その各々には、表示部の表示面に1対1に対応するアドレスが付与されている。また、第1領域には、フォントデータ、または、フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、第2領域にはフォントデータを加工した処理データが記憶される。そして、第1領域に記憶されたフォントデータ、または、反転フォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示と、が交互になされることによって、キャラクタ・ロムに記憶されているフォントを修飾して表示部に表示することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の技術によれば、ラムには少なくとも第1領域と第2領域とを設け、第1領域と第2領域とのデータに基づく表示を交互に表示部にすることによって、ハードウエア資源を有効に活用し、キャラクタ・ロムの種類を増やすことなく、高精度の演算装置を用いることなく、影付きフォント、太いフォント等のフォントの種類を増やすことができるので、表示装置の高性能化と低価格化とを同時に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を引用して、発明を実施するための最良の形態である実施形態の説明をする。
【0013】
(蛍光表示管の制御装置の概要)
図1は、実施形態の蛍光表示管を用いた表示装置のブロック図を示す図である。図1に沿って、実施形態の蛍光表示管の制御装置の概要について説明をする。図1の左部分はCIGVFD(Chip In Glass VFD)とされる蛍光表示管を駆動する制御装置(以下、単に制御装置と省略する)のブロック図であり、図1の右部分はCIGVFDのブロック図である。CIGVFD20は、シリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21を蛍光表示部(VFD)22とともに蛍光表示管20を形成する密封容器の内部に封止して形成されている。このような構成を採用することによって、シリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21と蛍光表示部22との間におけるアノード駆動信号23とグリッド駆動信号24とが伝送される接続線を外部に取り出すことなく、密封容器の内部で接続して、外部回路との接続のためのリード本数を減らすことができる。また、別途に高耐圧ドライバを用意することなく制御装置10によって直接にCIGVFD20を制御できるので、実装性が向上する。
【0014】
CIGVFD20を制御する制御装置10は、制御回路11とキャラクタROM12と表示データのRAM13とシリアルデータ16をCIGVFD20に対して伝送するシリアルI/O14とを主要なる構成部として構成されている。制御回路11はCPU(Central Processing Unit)、または、デジタル論理回路で構成されている。より具体的には、CPUの場合にはMPU(Micro Processing Unit)として形成され、デジタル論理回路の場合にはゲートアレイとして形成されている。制御回路11とキャラクタROM12と表示データのRAM13とシリアルI/O14とはバスラインで相互に接続されている。そして、ホスト機器50から制御装置10に対しては、制御回路11を介して表示に関する指令が発せられる。なお、図1では、制御回路11とキャラクタROM12と表示データのRAM13とシリアルデータ16を伝送するシリアルI/O14とは各々が個別の構成部とされているが、ワンチップマイコンとして、すべての上述した構成部が一体として構成されるものであっても良い。
【0015】
図2は、別の実施形態の蛍光表示管を用いた表示装置のブロック図を示す図である。図2では、密封容器の内部にはVFD22のみを収納し、高耐圧ドライバ40は密封容器の外部に配置されている。高耐圧ドライバ40と密封容器の内部のVFD22とは多数のリード線を介して接続されており、そのリード線によって、アノード駆動信号23とグリッド駆動信号24とを伝送するようにされている。制御装置30と高耐圧ドライバ40との間はパラレル線によって接続され、アノード信号37とグリッド信号38とが伝送される。
【0016】
制御装置30は、制御回路31とキャラクタROM12と表示データのRAM13とパラレルデータを伝送するパラレルI/O34とを主要なる構成部として構成されている。制御回路31はCPU(Central Processing Unit)またはデジタル論理回路で構成されている。制御回路31とキャラクタROM12と表示データのRAM13とパラレルI/O34とはバスラインで相互に接続されている。そして、制御装置30に対しては、制御回路31を介してホスト機器から表示に関する指令が発せられる。なお、図2では、制御回路31とキャラクタROM12と表示データのRAM13とパラレルデータを伝送するパラレルI/O34とは各々が個別の構成部とされているが、ワンチップマイコンとして、すべての上述した構成部が一体として構成されるものであっても良い。
【0017】
図1、図2に示す実施形態の蛍光表示管の制御装置10または制御装置30のいずれを用いても、実施形態の要部の説明においては大きな差異がなく、両者ともに同様に機能をさせることができるので、図1に示す制御装置10を引用して、以下の説明をする。すなわち、制御装置10と制御装置30とは、制御装置10のI/O14がシリアルインターフェイスとされているのに対して、制御装置30のI/O34がパラレルインターフェイスとされている点に違いがあるものの、図1に示す制御装置に替えて、図2に示す制御装置30を用いる場合にも特段の大きな違いはない。制御装置10と制御装置30とで、違いが生じる場合には、その都度、差異を説明する。
【0018】
上述した制御装置10の各部の機能について、簡単に説明をする。制御回路11は、ホスト機器50との通信、表示データの作成、VFD22の仕様に合わせたデータをVFDへ送る処理の制御をおこなう。表示データのRAM(以下、単にRAMと省略する)13は表示データを一時記憶する。キャラクタROM12にはフォントデータが記憶されている。I/O14はCIGVFD20に対して表示のためのデータをシリアルデータとして伝送する。制御装置30のI/O34においては、VFD22に供給されるアノード駆動信号23およびグリッド駆動信号24に1対1に対応するアノード信号37およびグリッド信号38をパラレルデータとして伝送する。以上が各構成部の簡単な機能説明であるが、以下の説明において、必要な部分は個別に詳細に説明をする。
【0019】
図3は、CIGVFDの構造を模式的に図示するものである。CIGVFD20は、シリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21をVFD(蛍光表示部)22とともに密封容器の内部に封止して形成されている。密封容器は、ベースプレート122、と表示された画面を視認可能とするガラス容器とで形成されている。密封容器からは、フィラメントリード123、フィラメントリード124が引き出され、フィラメントに電流を流すことができるようになされている。また、シリアルデータ(図1を参照)を伝送するためのドライバチップ用リード216が密封容器から引き出されている。
【0020】
図4は、CIGVFDと制御装置とホスト機器とがどの様に接続されるかを模式的に示す図である。図4では、制御装置としては、マイクロコントローラ(MICRO CONTROLLER)60が用いられている。マイクロコントローラ60は、ワンチップマイコンを用いて構成されており、ワンチップマイコンにはCPUとキャラクタROM12の機能とRAM13の機能とが1チップに収納されている。フィラメントには、トランスを用いて商用電圧を降圧した電圧が印加され、トランス2次側の中点タップにはツエナーダイオードZDと抵抗Rとを用いて、一定の電圧が印加されている。各種信号がマイクロコントローラ60からCIGVFD20に供給されている。信号DataはVFD22に表示される内容に関する信号であり、信号Clockはこの信号Dataの各々のビットの切れ目を示すためのビット同期を得る信号であり、信号Latchはこの信号DataのData単位の切れ目を示すためのワード同期を得るための信号であり、信号Blankは、データラッチ時の誤表示を防ぐためにドライバ出力をOFFする信号であり、1ワードのデータごとに出力される信号である。また電圧VDDはシリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21の信号処理回路に供給され、電圧VHはシリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21を介して、CIGVFD20のアノード電極に供給される。
【0021】
(キャラクタROMに記憶されたフォントデータの各種処理について)
キャラクタROM12について説明をする。図5は、キャラクタROMにどのようにフォントデータが格納されているかを示す図である。実施形態のキャラクタROM12には、1ワードを8ビットとして、6ワードで1キャラクタを表すようにフォントデータが格納されている。図5はアルファベットの“D”のフォントデータの構造を示す図であり、黒色部に該当する箇所のデータの内容は“1”とされ、白色部(紙面の色と同色部)に該当する箇所のデータの内容は“0”とされている。ここで、フォントデータは、表示部として機能するVFD22の表示面に発光部と非発光部との組み合わせによって特定されて表示されるフォントのデータであるが、キャラクタ・ロムに記憶された“1”は発光部、キャラクタ・ロムに記憶された“0”は非発光部に対応するものであるとして以下の説明をおこなう。
【0022】
上述したように、フォントデータは、1ビットが2値のビットマップデータとして構成されているので、このキャラクタROM12に配置された1ワードのデータのMSBからLSBまでの各々のビットが並んでいる方向(ビット方向)をVFD22の表示面の縦方向、0ワード目から5ワード目の各々のワードが並んでいる方向(ワード方向)を横方向に配置することによって、アルファベットの“D”をVFD22に表示することができる。そして、6ワードで表現できる範囲であれば、その範囲ではフォントの種類を増やすことができる。しかしながら、フォントの種類を増やすと1個のフォントに対して6ワード分のキャラクタROM12の容量の追加が必要とされる。また、キャラクタROM12は、製造後の書き換えができないので、フォントを追加する場合には、キャラクタROM12を造り変えなければならない。
【0023】
また、1ビットが2値のビットマップデータとしてフォントは構成されているので、“1”を発光する状態の発光部に対応させ、“0”を非発光の状態の非発光部に対応させることはできても、中間的な明度で発光させる発光部を形成することはできない。実施形態においては以下に示す処理によって、キャラクタROM12を造り直すこと無く、フォントの種類を増やし、中間的な明度を有するフォントも生成している。
【0024】
(フォントデータの右側影付処理)
図6はフォントデータの右側影付処理について示す図である。図6(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。このフォントデータは、0ワード目のデータはMSBから順に並べると、“11111110”であり、1ワード目のデータはMSBから順に並べると、“10000010”であり、2ワード目のデータはMSBから順に並べると、“10000010”であり、3ワード目のデータはMSBから順に並べると、“01000100”であり、4ワード目のデータはMSBから順に並べると、“00111000”であり、5ワード目のデータはMSBから順に並べると、“00000000”である。ここで、各々のワードに+の符号が付されているのは、相対アドレスであることを明示するためであり、実際にキャラクタROMのフォントデータにアクセスする場合には0ワード目の絶対アドレスを指定して、6ワード分を一括して読み出すようにしている。図6(a)の“1”が灰色で表されているのは視覚的に処理を理解する便宜のためである。
【0025】
図6(b)は、“D”のフォントに対して、右側影付処理のための処理用フォントデータ(処理データ)である。処理データは以下のルールによって生成されている。0ワード目のデータには処理を施さない。1ワード目以降の処理データは前の順番のデータとそのワードのデータとにおいて、各々のビット毎のOR演算をおこなう。具体的には、1ワード目の処理データは、0ワード目のデータと1ワード目のデータのOR演算、“11111110”と“10000010”とのORの演算をおこない、“11111110”を得る。2ワード目の処理データは、1ワード目のデータと2ワード目のデータとのOR演算、“10000010”と“10000010”とのOR演算をおこない、“10000010”を得る。3ワード目の処理データは、2ワード目のデータと3ワード目のデータとのOR演算、“10000010”と“01000100”とのOR演算をおこない、“11000110”を得る。4ワード目の処理データは、3ワード目のデータと4ワード目のデータとのOR演算、“01000100”と“00111000”とのOR演算をおこない、“01111100”を得る。5ワード目の処理データは、4ワード目のデータと5ワード目のデータとのOR演算、“00111000”と“00000000”とのOR演算をおこない、“00111000”を得る。
【0026】
図6(c)は、図6(a)と図6(b)との各々の対応するワードの各々の対応するビットを加算して、1(フォントデータ)+1(処理データ)=2、1(フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(フォントデータ)+1(処理データ)=1、0(フォントデータ)+0(処理データ)=0、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図6(c)に図示される演算結果の、黒部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部(図6(a)、図6(b)で、ハッチング部分を指す、他の図面においても灰部はハッチング部を指し示すものである)は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、白部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。どのようにして、発光輝度100%、発光輝度50%、発光輝度0%の表示をおこなうかについては、後述する。
【0027】
図6(c)から見てとれるように、“D”に対して右側影付の処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントに右側影付処理を施すことができる。
【0028】
(フォントデータの下側影付処理)
図7はフォントデータの下側影付処理について示す図である。図7(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図7(b)は、“D”のフォントに対して、下側影付処理のための処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。各々のワードのMSBから2SBまでの各々に対して1ビットずつより下位ビットにビットシフトしてMSBは“0”として、ビットシフト前のデータとビットシフト後のデータとのOR演算をおこなう。具体的には、0ワード目に対しては、“11111110”と“011111111”とのORの演算をおこない、“11111111”を得る。1ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”とのORの演算をおこない、“11000011”を得る。2ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”とのORの演算をおこない、“11000011”を得る。3ワード目に対しては、“010001000”と“001000100”とのORの演算をおこない、“01100110”を得る。4ワード目に対しては、“00111000”と“00011100”とのORの演算をおこない、“00111100”を得る。5ワード目に対しては、“00000000”と“00000000”とのORの演算をおこない、“00000000”を得る。
【0029】
図7(c)は、図7(a)と図7(b)との各々のワードを加算して、1(フォントデータ)+1(処理データ)=2、1(フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(フォントデータ)+1(処理データ)=1、0(フォントデータ)+0(処理データ)=0、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図7(c)に図示される演算結果の、黒部は発光輝度100%、灰部は発光輝度50%、白部は発光輝度0%、に各々対応するものである。図7(c)から見てとれるように、“D”に対して下側影付の処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントに下側影付処理を施すことができる。
【0030】
(フォントデータの斜め影付処理)
図8はフォントデータの斜め影付処理について示す図である。図8(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図8(b)は、“D”のフォントに対して、斜め影付処理のための処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。0ワード目のデータには処理を施さない。1ワード目以降の処理データは、MSBに0を代入して1ビットだけ下位ビットにシフトした前の順番のワードのデータとそのワードのデータとにおいて、各々のビット毎のOR演算をおこなう。さらに、OR演算をおこなった各々のワードについて、“1”と“1”とに挟まれた中間のビットが“0”である場合には“1”に置き換える。具体的には、1ワード目の処理データは、0ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “01111111”と1ワード目のデータ“10000010”とのOR演算をおこない、“11111111”を得る。この場合には、“0”を“1”に置き換えるビットは存在しない。2ワード目の処理データは、1ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “01000001”と2ワード目のデータ“10000010”とのOR演算をおこない、“11000011”を得る。この場合には、“0”を“1”に置き換えるビットは存在しない。3ワード目の処理データは、2ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “01000001”と3ワード目のデータ“01000100”とのOR演算をおこない、“01000101”を得、OR演算をおこなったワードの3SBとLSBとの中間の“0”を“1”に置き換え、“01000111”を得る。4ワード目の処理データは、3ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “00100010”と4ワード目のデータ“00111000”とのOR演算をおこない、“00111010”を得、OR演算をおこなったワードの4SBと2SBとの中間の“0”を“1”に置き換え、“00111110”を得る。5ワード目の処理データは、4ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “00011100”と5ワード目のデータ“00000000”とのOR演算をおこない、“0”を“1”に置き換えることなく、“00011100”を得る。
【0031】
上述した、フォントデータの影付処理の要点は、影が付く方向が、右側方向、下側方向、斜め方向の各々に変化するものの、各々が6ワードで形成されるフォントデータと処理データとを対比すれば、フォントデータと処理データとの同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“1”となるビットと、同じワードの同じビット位置の各々のビットの一方が“1”となり、他方が“0”となるビットと、同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“0”となるビットとを処理データ側に造り出す処理である。この処理と後述する第1領域と第2領域とを有するRAMの構成によって、一方が“1”となり、他方が“0”となるビットが影の部分となるものであるが、これに付いては、より詳細に後述する。
【0032】
(フォントデータの反転処理)
図9は、発光部と非発光部とが反転した反転文字を得るための処理を模式的に示す図である。例えば、図5に示すフォント“D”に対応したビットマップと、図9に示すビットマップとでは、発光部と非発光部とを反転するために、各々のビットが、すべて反転している。このようにして、影付処理をしない場合には、“D”以外の他のフォントについても同様にして、“1”を“0”に、“0”を“1”に反転することによって、容易に反転文字を得るための処理(反転処理)をすることができる。すなわち、VFD22における発光、非発光のルールが一定である場合には、図9に示すように、“D”の発光部と非発光部とが反転している。ここで、1のフォント、例えば、上述するフォント“D”に対して、図5に示すフォント“D”に対応したビットマップを形成するためのデータが上述したフォントデータであり、図9に示すような、“0”と“1”とが反転したデータを反転フォントデータと称するものである。
【0033】
(フォントデータの右側影付処理の反転処理)
図10はフォントデータの右側影付処理を反転する処理について示す図である。図10(a)は図6(a)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(反転フォントデータ)であり、図10(b)は図6(b)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(処理データ)である。図10(c)は、図10(a)と図10(b)との各々の対応するビットを加算して、1(反転フォントデータ)+1(処理データ)=2、1(反転フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+1(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+0(処理データ)=0、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図10(c)に図示される演算結果の、白部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、黒部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。
【0034】
(フォントデータの下側影付処理の反転処理)
図11はフォントデータの下側影付処理の反転処理について示す図である。図11(a)は図7(a)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(反転フォントデータ)であり、図11(b)は図7(b)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(処理データ)である。図11(c)は、図11(a)と図11(b)との各々の対応するビットを加算して、0(反転フォントデータ)+0(処理データ)=0、1(反転フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+1(処理データ)=1、1(反転フォントデータ)+1(処理データ)=2、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図11(c)に図示される演算結果の、黒部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、白部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。
【0035】
(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)
図12はフォントデータの斜め影付処理の反転処理について示す図である。図12(a)は図8(a)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(反転フォントデータ)であり、図12(b)は図8(b)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(処理データ)である。図12(c)は、図12(a)と図12(b)との各々の対応するビットを加算して、0(反転フォントデータ)+0(処理データ)=0、1(反転フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+1(処理データ)=1、1(反転フォントデータ)+1(処理データ)=2、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図12(c)に図示される演算結果の、黒部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、白部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。
【0036】
上述した、フォントデータの影付処理の反転処理(反転フォントデータの影付き処理)の要点は、影が付く方向が、右側方向、下側方向、斜め方向の各々に変化するものの、フォントデータの“1”と“0”とを反転して反転フォントデータを生成し、上述した影付き処理を同様に適用するものである。反転フォントデータと処理データとを用いる影付き処理の内容は、フォントデータと処理データとを用いる影付き処理と変わるところはなく、これに付いては、後述する。
【0037】
(フォントデータの横方向太字処理)
図13は、フォントデータの横方向太字処理について示す図である。図13(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図13(b)は、“D”のフォントに対して、横方向太字処理のための処理用のデータである処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。0ワード目のデータは“00000000”とする。1ワード目以降の処理データは前の順番のワードのデータとそのワードのデータとをビット毎に加算する演算をおこない、その結果を以下の様にビット毎に置き換えて処理データを生成する。1(その前のワードのフォントデータ)+1(処理データ)=0、1(その前のワードのフォントデータ)+0(処理データ)=1、0(その前のワードのフォントデータ)+1(処理データ)=1、0(その前のワードのフォントデータ)+0(処理データ)=0。上述した演算の後に、そのワードのフォントデータとその演算後のワードデータとをビット毎に加算して以下の演算をおこなって、その演算後のワードデータを、さらに、置き換えて、処理データを得る。1(そのワードのフォントデータ)+1(演算後のワードデータ)=0、1(そのワードのフォントデータ)+0(演算後のワードデータ)=0、0(そのワードのフォントデータ)+1(演算後のワードデータ)=1、0(そのワードのフォントデータ)+0(演算後のワードデータ)=0。
【0038】
具体的には、1ワード目の処理データは、0ワード目のデータと1ワード目のデータのビット毎の加算演算、“11111110”と“10000010”との加算演算をおこない、“21111120”を得、さらに、“01111100”を得、また、さらに、“10000010”と“01111100”とをビット毎に加算して、“01111100”を得る。2ワード目の処理データは、1ワード目のデータと2ワード目のデータとの加算演算、“10000010”と“10000010”との加算演算をおこない、“20000020”を得、さらに、“00000000”を得、また、さらに、“10000010”と“00000000”とを加算して、“00000000”を得る。3ワード目の処理データは、2ワード目のデータと3ワード目のデータとの加算演算、“10000010”と“01000100”との加算演算をおこない、“11000110”を得、また、さらに、“01000100”と“11000110”とを加算して、“10000010”を得る。4ワード目の処理データは、3ワード目のデータと4ワード目のデータとの加算演算、“01000100”と“00111000”との加算演算をおこない、“01111100”を得、また、さらに、“00111000”と“01111100”とを加算して、“01000100”を得る。5ワード目の処理データは、4ワード目のデータと5ワード目のデータとの加算演算、“00111000”と“00000000”との加算演算をおこない、“00111000”を得、また、さらに、“00000000”と“00111000”とを加算して、“00111000”を得る。
【0039】
そして、図13(c)は演算結果としてVFDに表示される発光輝度を表すものであり、黒部は、VFD22における発光輝度が100%、白部は、VFD22における発光輝度が0%に各々対応するものである。どのようにして、発光輝度100%、発光輝度0%の表示をおこなうかについては、後述する。
【0040】
図13(c)から見てとれるように、“D”に対して、右側の横方向に太字処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントに右側の横方向に太字処理を施すことができる。
【0041】
(フォントデータの上下方向太字処理)
図14は、フォントデータの上下方向太字処理について示す図である。図14(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図14(b)は、“D”のフォントに対して、上下方向太字処理のための処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。各々のワードのMSBから2SBまでの各々に対して1ビットずつより下位ビットにビットシフトしてMSBは“0”として、ビットシフト前のデータとビットシフト後のデータとの加算演算をおこない、その演算結果を次式に従って書き直す。1(ビットシフト前のそのビットのデータ)+1(ビットシフト後のそのビットのデータ)=0(ビットシフト後のそのビットの処理データ)、1(ビットシフト前のそのビットのデータ)+0(ビットシフト後のそのビットのデータ)=0(ビットシフト後のそのビットの処理データ)、0(ビットシフト前のそのビットのデータ)+1(ビットシフト後のそのビットのデータ)=1(ビットシフト後のそのビットの処理データ)、0(ビットシフト前のそのビットのデータ)+0(ビットシフト後のそのビットのデータ)=0(ビットシフト後のそのビットの処理データ)。
【0042】
具体的には、0ワード目に対しては、“11111110”と“011111111”との演算をおこない、“00000001”を得る。1ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”との演算をおこない、“01000001”を得る。2ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”との演算をおこない、“01000001”を得る。3ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”との演算をおこない、“01000001”を得る。4ワード目に対しては、“00111000”と“00011100”との演算をおこない、“00000100”を得る。5ワード目に対しては、“00000000”と“00000000”との演算をおこない、“00000000”を得る。
【0043】
そして、図14(c)は演算結果としてVFDに表示される発光輝度を表すものであり、黒部は、VFD22における発光輝度が100%、白部は、VFD22における発光輝度が0%に各々対応するものである。
【0044】
図14(c)から見てとれるように、“D”に対して、下方向に太字処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントの下方向に太字処理を施すことができる。
【0045】
上述した、フォントを太くするためのフォントデータの太字処理の要点は、太くなる方向が、右側方向、下側方向、斜め方向の各々に変化するものの、各々が6ワードで形成されるフォントデータと処理データとを対比すれば、フォントデータと処理データとの同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“1”となるビットを無くし、同じワードの同じビット位置の各々のビットの一方が“1”となり、他方が“0”となるビットと、同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“0”となるビットとを処理データ側に造り出し、太字が不自然となる部分を埋める処理である。この処理と後述する第1領域と第2領域とを有するRAMの構成によって、一方が“1”となるビットに対応する部分が発光部、両方が“0”となるビットに対応する部分が非発光部となるものであるが、これに付いては、後述する。
【0046】
(ホスト機器の指令によってVFDに画像を表示するまでの動作)
上述した、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)の各々の処理において生成された処理データをどのようにして用いて、発光輝度100%、発光輝度50%、発光輝度0%の発光をさせるかについて、詳細に説明をする。
【0047】
ホスト機器50から制御装置10に画像表示の指令が発せられる。画像表示の指令は、ホスト機器50から制御装置10に対してはシリアルデータ、または、パラレルデータを用いておこなわれる。制御装置10(図1を参照)からCIGVFD20に対する制御は、シリアルI/O14からシリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21に対してシリアルデータ16を送出することによっておこなわれる。ホスト機器50は、制御装置10に対して、キャラクタROM12に格納されているフォントを指定する情報に加え、フォント処理の内容を指定する情報を送出する。フォント処理の内容を指定する情報としては、(フォント処理なし)、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)のいずれかである。
【0048】
ホスト機器50によって制御される制御装置10においては、制御回路11に配されたCPUで種々の処理がおこなわれる。CPUにおける処理は多岐に渡るが、実施形態の説明に必要な範囲の処理としては、ホスト機器50から発せられる制御指令を解読する制御指令解読処理、フォント情報の取り込みをおこなうフォント取り込み処理と、フォント取り込み処理によって得られたフォントをRAM13の第1領域に展開する第1領域書き込み処理と、フォントデータを加工するフォントデータ加工処理と、フォントデータ加工処理によって得られたフォントをRAM13の第2領域に展開する第2領域書き込み処理と、この第1領域からのデータとこの第2領域からのデータとをシリアルI/O14に順次書き込むI/O制御処理がある。以下これらの処理の内容について説明をする。
【0049】
(CPUでおこなう処理の内容)
制御指令解読処理は、ホスト機器50からどの様な指令が発せられたかをCPUが解読する処理である。ホスト機器50は、予め定められた、フォント表示に関する制御指令を含む種々の制御指令を制御装置10に対して発する。フォント表示に関する制御以外の制御としては、CIGVFD20の表示をOFF(表示停止)、CIGVFD20の表示をON(表示開始)とする制御、その他種々の制御に関する制御指令がある。CPUはこれらの制御指令を個々に解読して必要な処理をおこなうが、これらのフォント表示に関する制御以外の制御については説明を省略する。
【0050】
制御指令解読処理について説明する。フォント表示をする場合には、ホスト機器50は、フォントを表示する指令であることを明示する制御指令であるフォント表示指令を発し、そのフォント表示指令に続いて、フォントデータの内容およびフォントデータ加工の内容を明示する情報を制御装置10に対して送出する。制御装置10のCPUは、フォント表示指令であることを解読し、続いて送出されるフォントデータの内容の情報によって、キャラクタROM12に予め登録されているどのフォントであるかを特定する。また、フォントデータの内容の情報に続いて、または、フォントデータの内容の情報に先立ち、送出されるフォントデータ加工の内容の情報によって、どのような加工をするかを特定する。ここでフォントデータ加工は、(フォント処理なし)、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)の上述した各種のいずれかである。
【0051】
フォント取り込み処理について説明をする。CPUは、ホスト機器50がコードで特定したフォントが格納されているキャラクタROM12の記憶領域のアドレスを特定する。この特定は、6バイト構成とされる各々のフォントの0バイト目のアドレスを特定することによっておこなわれ、CPUは、特定された0バイト目のデータから5バイト目のデータの各々を取り込む。
【0052】
第1領域書き込み処理について説明をする。第1領域書き込み処理は、フォント取り込み処理によって得られたフォントを順次、RAM13の第1領域に展開するものである。ここで、RAM13の第1領域は、VFD22の表示面に対応して設けられており、RAM13のアドレスを特定すれば、VFD22の表示面を特定することとなるようにされている。そして、CPUは、フォントのコードからキャラクタROM12のアドレスを解読して、CPUに読み取る毎に、読み取ったビットマップデータを順次、RAM13に転送して書き込む。ここで、書き込むべき、RAM13のアドレスの特定は、ホスト機器50と制御装置10との間の予めの取り決めに従うものである。例えば、2次元面として形成されるVFD22の表示面の一点(始点)を特定し、その一点のデータを特定後、順次、送られてくるフォントデータを、順次、予め定められて順序でVFD22の表示面に配列するように取り決めた場合には、始点特定の情報は、制御指令の一つとしてCPUに認識させることができるので、CPUが、始点のデータから何番目のフォントデータであるかを認識しておくことによって、RAM13のアドレスの特定は問題なくおこなうことができる。また、ホスト機器50と制御装置10との間の予めの取り決めとして、フォント表示指令に続き、そのフォントを表示すべきVFD22の表示面のアドレスを特定する情報を送出するようにしておけば、CPUがその表示面のアドレスを解読することによって、RAM13のアドレスの特定をおこなうことができ、VFD22の表示面に表示される画像の一部書き換え等の処理も容易におこなうことができる。
【0053】
フォントデータ加工処理について説明をする。CPUは、フォント表示指令とともに送出されるフォントデータ加工の内容の情報を解読して、(フォント処理なし)、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)のいずれの処理であるかを特定する。(フォント処理なし)の場合には、フォントデータ加工処理においては何の処理もしない。
【0054】
(フォントデータの右側影付処理)の場合には、上述したように、0ワード目のデータには処理を施さず、1ワード目から5ワード目のデータの各々については、ビット毎にOR演算をおこなう。その他の、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)の各々についても、上述した各々の演算によって処理データを得る。
【0055】
第2領域書き込み処理においては、上述の様にして、CPUで得られた処理データを、順次、RAM13の第2領域に書き込む、第2領域における書き込むべきアドレスの特定は、第1領域書き込み処理と同じである。実施形態の場合には、第1領域と第2領域との記憶容量は同一とされている。また、RAM13の第2領域も第1領域と同様に、VFD22の表示面に対応して設けられており、RAM13のアドレスを特定すれば、VFD22の表示面を特定することとなるようにされている。
【0056】
I/O制御処理について説明をする。I/O制御処理においては、CPUは、シリアルI/O14に対して、順次、どの様なデータをCIGVFD20に対して送出するかを指定する処理をおこなう。図15は、I/O制御処理の内容を模式的に示す図である。図15(a)は従来技術において用いられるI/O制御処理の概要を示す図である。従来技術においては、CPUは、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ、すなわち、キャラクタROM12の内容を、順次、CIGVFD20に対して送出するようにシリアルI/O14を制御する。図15(b)は実施形態において用いられるI/O制御処理の概要を示す図である。実施形態では、シリアルI/O14は図15(b)に示すように、スイッチとして機能し、CPUは、RAM13の第1領域に書き込まれたデータとRAM13の第2領域に書き込まれた処理データとを交互にCIGVFD20に対して送出するようにシリアルI/O14を制御する。ここで、交互に繰り返すための一区切りの単位は、基本はVFD22の1画面単位であるが、例えば、VFD22の行方向に1行単位、VFD22の列方向に1列単位等の、他の単位ごとに繰り返すこともできる。なお、本実施形態の処理においては、RAM13の第1領域に書き込まれたデータとRAM13の第2領域に書き込まれた処理データとを交互に出力して1つの表示がなされるので、従来技術におけるような1回の出力で1つの表示をする場合と同じ周期で1つの表示をするためには、RAM13の第1領域に書き込まれたデータとRAM13の第2領域に書き込まれた処理データとを、例えば、従来の2倍のデータ転送速度を有して出力して、第1領域に書き込まれたデータを従来の1/2の時間の間だけ表示し、第2領域に書き込まれた処理データを同様に従来の1/2の時間の間だけ表示し、従来と同一の周期で、第1領域に書き込まれたデータと第2領域に書き込まれた処理データとの両方を表示することとなる。
【0057】
図15(b)に示すようなI/O制御処理をおこなうことによって、実効的にはVFD22の1ドットを2ビットの輝度情報で制御することと等価となる。すなわち、図6(C)、図7(c)、図8(C)、図10(c)、図11(C)、図12(c)、図13(C)、図14(c)の各々に示すように、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ、例えば、図6(a)に示すデータの1のビットが発光を指示し、RAM13の第2領域に書き込まれたデータ(例えば、上述の図6(a)に示すデータの1のビットとVFD22の表示面において対応する位置にある図6(b)の1ビット(同一対応位置ビット))が発光を指示する場合には発光輝度100%の輝度で発光し、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(a)の1のビット)、または、RAM13の第2領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(b)の同一対応位置ビット)、のいずれか一方のみが、発光を指示する場合には発光輝度50%の輝度で発光し、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(a)の1のビット)、および、RAM13の第2領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(b)の同一対応位置ビット)のいずれもが、発光を指示しない場合には発光輝度0%の輝度で発光する。
【0058】
ここで、発光輝度100%、発光輝度50%、発光輝度0%、の各々の定義は、該当するフォントにおいて最も輝度が高い部分を発光輝度100%と定義し、最も輝度が低い非発光の部分を発光輝度0%と定義するものであり、絶対輝度を定義するものではない。例えば、影付き処理における発光輝度100%は、フォントを太くする処理における発光輝度100%よりも輝度が高い。具体例で説明すると、影付き処理においては、3段階の発光輝度を生じさせるために、第1領域に記憶されたフォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示とで、連続して同じ部分を発光させ影でない発光部を生成し、この部分の発光輝度を100%とする。これに対して、太字処理では、発光輝度を2段階とするために、第1領域に記憶されたフォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示とが、連続して同じ部分を発光さることはなく、この状態を発光輝度100%とする。このような場合において、発光輝度を規格化するためには、通常用いられる公知の技術であるアノード駆動信号の時比率を制御するPWM処理を用いることができる。
【0059】
上述したCPUにおける処理の要点は以下である。キャラクタROMに記憶されたフォントデータから、反転フォントデータを生成する処理、各種処理(フォントデータの下側影付処理、フォントデータの斜め影付処理、フォントデータの反転処理、フォントデータの右側影付処理の反転処理、フォントデータの下側影付処理の反転処理、フォントデータの斜め影付処理の反転処理、フォントデータの横方向太字処理、フォントデータの上下方向太字処理)によって処理データを生成する処理をおこなう。また、CPUは、フォントデータまたは反転フォントデータをRAMの第1領域に記憶し、処理データをRAMの第2領域に記憶するための制御をおこなう。ここで、フォントデータまたは反転フォントデータを記憶するRAMの第1領域のアドレスと、処理データを記憶するRAMの第2領域のアドレスとは、VFDの表示面において同一の表示位置に対応するものとされる。また、CPUは、RAMの第1領域に記憶されたフォントデータ、または、反転フォントデータに基づいた表示とRAMの第2領域に記憶された処理データに基づいた表示とが交互に表示部(VFD)になされるように制御する。
【0060】
上述した実施形態によれば、少ないハードウエア資源、低い処理能力の制御回路で、しかも従来から使っている2階調のフォントデータをもとに、視覚的効果を付加して多種類の字体に加工し、その表示を可能とする表示装置を提供できる。実施形態では、影付処理によって中間階調(50%輝度)も用いるので、これによって、文字を立体的に見せることができる。また、実施形態では、太字処理によって文字を強調して見せることができる。
【0061】
(実施形態の変形例)
上述した実施形態では、RAM13の第1領域とRAM13の第2領域とを設け、第1領域にはフォントデータ、第2領域には処理データ(第1の処理データ)を格納するようにしたが、RAM13に第3領域をさらに設け、第3領域には、第1領域に記憶されたフォントデータと第2領域に記憶された第1処理データとから得られる第2の処理データを格納して、第1領域からのデータと、第2領域からの第1処理データと、第3領域からの第2処理データとを交互CIGVFD20に対して送出するようにシリアルI/O14を制御することによって、さらに、多くのフォントを生成することができる。また、第1領域と第2領域とを設ける場合には各々のドットの輝度を、100%、50%、0%の3段階に分離することができたが、第1領域と第2領域と第3領域とを設ける場合には各々のドットの輝度を、100%、66%、33%、0%の4段階に分離することができる。
【0062】
本発明は、当然に、上述した実施形態の範囲に限られるものではない。例えば、フォントは、実施形態に示すアルファベットに限らず、数字、特殊文字、さらには、文字、記号、以外の表示形態も含むものであり、表示装置は蛍光表示管を用いるものに限らず、液晶、有機EL等を用いるものも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態の表示装置のブロック図を示す図である。
【図2】別の実施形態の蛍光表示管を用いた表示装置のブロック図を示す図である。
【図3】CIGVFDの構造を模式的に示す図である。
【図4】CIGVFDと制御装置とホスト機器とがどの様に接続されるかを模式的に示す図である。
【図5】キャラクタROMにどのようにフォントデータが格納されているかを示す図である。
【図6】フォントデータの右側影付処理について示す図である。
【図7】フォントデータの下側影付処理について示す図である。
【図8】フォントデータの斜め影付処理について示す図である。
【図9】反転文字を得るための処理を模式的に示す図である。
【図10】フォントデータの右側影付処理を反転する処理について示す図である。
【図11】フォントデータの下側影付処理の反転処理について示す図である。
【図12】フォントデータの斜め影付処理の反転処理について示す図である。
【図13】フォントデータの横方向太字処理について示す図である。
【図14】フォントデータの上下方向太字処理について示す図である。
【図15】I/O制御処理の内容を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10、30 制御装置、 11、31 制御回路、 12キャラクタ・ロム(ROM)、 13 ラム(RAM)、 14 シリアルI/O、 16 シリアルデータ、 20 CIGVFD(蛍光表示管)、 21 パラレル変換器・高耐圧ドライバ、 22 VFD(蛍光表示部)、 23 アノード駆動信号、 24 グリッド駆動信号、 34 パラレルI/O、 37 アノード信号、 38 グリッド信号、 40 高耐圧ドライバ、 50 ホスト機器、 60 マイクロコントローラ、 122 ベースプレート、 123 フィラメントリード、
124 フィラメントリード、 216 ドライバチップ用リード
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の表示装置が産業用の用途および家庭的な用途に用いられている。この表示装置の中で、蛍光表示管(VFD:Vacuum Fluoresent Display)を利用するものが表示装置において広く用いられている。このような蛍光表示管を制御する制御装置は、外部機器であるホスト機器から送られてくる情報に基づいて、制御装置の内部で表示データを個々のVFDに合わせて生成し、表示データをVFDに送出する機能を有する(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照)。制御装置は要求される時間ごとに画面を更新し、かつ、ちらつき等のない良好な表示品質を保つ必要がある。より具体的には、ホスト機器から送られてくる表示の指示情報(文字コード、配置位置等)に従って、文字コードに対応するフォントデータをキャラクタ・ロム(ROM)から読み出し、1画面分の表示データをビデオ・ラム(RAM)に展開する。ここで、キャラクタROMに記憶されているフォントデータは、1画素について1ビット分の情報(1=点灯/0=非点灯)だけを有している。そして、ビデオRAMから表示データを読み出して、それをCIGVFD(Chip In Glass VFD)へシリアル転送しつつ、CIGVFDへの制御信号を制御して、画面表示を更新する。このとき、表示データをビデオRAMに展開する際の加工処理負荷が少なくなるように、キャラクタROMのデータ構成を工夫していた(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平9−288475号公報
【非特許文献1】岸野隆雄 「蛍光表示管」、平成2年10月31日初版、産業図書株式会社
【非特許文献2】双葉電子工業株式会社 製品カタログAN−B−1003「蛍光表示管」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
VFDに表示される表示データは、キャラクタROMのフォントデータをもとにビデオRAMへ記憶されるので、表示する文字のフォント(字体)を増やす場合にはそのフォントデータをキャラクタROMに追加するのが従来一般に採用される方法であった。しかしながら、表示する文字のフォントを増やすと、キャラクタROMの記憶容量を増加させなければならないので、ROM素子の価格が、より高いものとなる。また、表示するフォントを変更すると、異なる種類のキャラクタROMを新たに採用することとなり、管理すべきキャラクタROMの種類が増えて、管理コストが増える。
【0004】
また、1画素について1ビット分を割り付けること無く、1画素について1アドレスを割り付け、フォントデータを多値データとする場合にも同様にキャラクタROMの記憶容量が増加する。例えば、8ビット幅のキャラクタROMを用いる場合には、1画素当たり8ビットのデータ領域が確保されることとなるが、仮に、フォントデータを多値データとするに際して、2ビット分しか使用しなければ、残りの6ビット分の記憶容量は無駄になってしまう。なお、キャラクタROMのみならず、ビデオRAMも8ビット幅を有しているので、キャラクタROMにおけると同様に無駄な記憶領域が発生してしまう。そして、これらの無駄な領域をCPU(Central Processing Unit)で管理することは、CPUの処理負荷が増大することとなる。
【0005】
また、キャラクタROMの記憶容量を増加することなく、キャラクタROMに記憶されたデータの内容をCPUで処理して、元のフォントを修飾した新たなフォントを逐次生成して、この新たなフォントをビデオRAMに記憶することも考えられるが、この場合にはCPUに対する処理の負担が増大する。また、この場合においても、発光、非発光の2状態のいずれか以外の輝度設定をおこなうことは極めて困難である。さらに、CPUは、VFDに画像を表示するための種々の処理をおこなわなければならないので、一般的には、キャラクタROMに記憶されたデータの内容をCPUで処理することは困難であるのが現状である。特に、近年は、VFDの低価格化に対する要求が大きく、価格が高い高速で動作するCPUの使用がコスト面から制限される現実があるので、キャラクタROMに記憶されたデータの内容をCPUで処理することをますます困難なものとしている。
【0006】
また、CPUを用いることなく、ゲートアレイを用いて表示制御をするVFDでは、キャラクタROMに2値データを記憶する構成から多値データを記憶する構成に変更する場合には、ゲートアレイ自体を造り変えなければならず、開発費用、ゲートアレイの単価、開発から製品化までの時間が必要となってしまう。
【0007】
市場における、フォントの種類を増やして欲しいという要望は大きなものであるが、背景技術に示した技術では、係る課題の解決は困難であった。本発明は、CPUの処理負荷を大きく増やすことなく、また、ゲートアレイを作り直すことなく、表示装置に表示されるフォントの種類を増やす技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記表示部における前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置であって、前記ラムは、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを各々が有する第1領域と第2領域とを有して形成され、前記第1領域には前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、前記第2領域には前記フォントデータを加工した処理データが記憶され、前記第1領域に記憶された前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、が交互に前記表示部になされる。
【0009】
本発明の表示装置の制御方法は、発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置の制御方法であって、前記ラムには、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを有する第1領域と第2領域とを形成し、前記第1領域には、前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータを記憶し、前記第2領域には、前記フォントデータを加工した処理データを記憶し、前記表示部には、前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、を交互にする。
【0010】
本発明の技術では、発光と非発光との2状態の組み合わせによって、表示部に表示されるフォントのデータであるフォントデータがキャラクタ・ロム(ROM)に記憶されている。また、表示装置はラム(RAM)を備えており、このラムには第1領域と第2領域が設けられている。この第1領域と第2領域との、その各々には、表示部の表示面に1対1に対応するアドレスが付与されている。また、第1領域には、フォントデータ、または、フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、第2領域にはフォントデータを加工した処理データが記憶される。そして、第1領域に記憶されたフォントデータ、または、反転フォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示と、が交互になされることによって、キャラクタ・ロムに記憶されているフォントを修飾して表示部に表示することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の技術によれば、ラムには少なくとも第1領域と第2領域とを設け、第1領域と第2領域とのデータに基づく表示を交互に表示部にすることによって、ハードウエア資源を有効に活用し、キャラクタ・ロムの種類を増やすことなく、高精度の演算装置を用いることなく、影付きフォント、太いフォント等のフォントの種類を増やすことができるので、表示装置の高性能化と低価格化とを同時に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を引用して、発明を実施するための最良の形態である実施形態の説明をする。
【0013】
(蛍光表示管の制御装置の概要)
図1は、実施形態の蛍光表示管を用いた表示装置のブロック図を示す図である。図1に沿って、実施形態の蛍光表示管の制御装置の概要について説明をする。図1の左部分はCIGVFD(Chip In Glass VFD)とされる蛍光表示管を駆動する制御装置(以下、単に制御装置と省略する)のブロック図であり、図1の右部分はCIGVFDのブロック図である。CIGVFD20は、シリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21を蛍光表示部(VFD)22とともに蛍光表示管20を形成する密封容器の内部に封止して形成されている。このような構成を採用することによって、シリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21と蛍光表示部22との間におけるアノード駆動信号23とグリッド駆動信号24とが伝送される接続線を外部に取り出すことなく、密封容器の内部で接続して、外部回路との接続のためのリード本数を減らすことができる。また、別途に高耐圧ドライバを用意することなく制御装置10によって直接にCIGVFD20を制御できるので、実装性が向上する。
【0014】
CIGVFD20を制御する制御装置10は、制御回路11とキャラクタROM12と表示データのRAM13とシリアルデータ16をCIGVFD20に対して伝送するシリアルI/O14とを主要なる構成部として構成されている。制御回路11はCPU(Central Processing Unit)、または、デジタル論理回路で構成されている。より具体的には、CPUの場合にはMPU(Micro Processing Unit)として形成され、デジタル論理回路の場合にはゲートアレイとして形成されている。制御回路11とキャラクタROM12と表示データのRAM13とシリアルI/O14とはバスラインで相互に接続されている。そして、ホスト機器50から制御装置10に対しては、制御回路11を介して表示に関する指令が発せられる。なお、図1では、制御回路11とキャラクタROM12と表示データのRAM13とシリアルデータ16を伝送するシリアルI/O14とは各々が個別の構成部とされているが、ワンチップマイコンとして、すべての上述した構成部が一体として構成されるものであっても良い。
【0015】
図2は、別の実施形態の蛍光表示管を用いた表示装置のブロック図を示す図である。図2では、密封容器の内部にはVFD22のみを収納し、高耐圧ドライバ40は密封容器の外部に配置されている。高耐圧ドライバ40と密封容器の内部のVFD22とは多数のリード線を介して接続されており、そのリード線によって、アノード駆動信号23とグリッド駆動信号24とを伝送するようにされている。制御装置30と高耐圧ドライバ40との間はパラレル線によって接続され、アノード信号37とグリッド信号38とが伝送される。
【0016】
制御装置30は、制御回路31とキャラクタROM12と表示データのRAM13とパラレルデータを伝送するパラレルI/O34とを主要なる構成部として構成されている。制御回路31はCPU(Central Processing Unit)またはデジタル論理回路で構成されている。制御回路31とキャラクタROM12と表示データのRAM13とパラレルI/O34とはバスラインで相互に接続されている。そして、制御装置30に対しては、制御回路31を介してホスト機器から表示に関する指令が発せられる。なお、図2では、制御回路31とキャラクタROM12と表示データのRAM13とパラレルデータを伝送するパラレルI/O34とは各々が個別の構成部とされているが、ワンチップマイコンとして、すべての上述した構成部が一体として構成されるものであっても良い。
【0017】
図1、図2に示す実施形態の蛍光表示管の制御装置10または制御装置30のいずれを用いても、実施形態の要部の説明においては大きな差異がなく、両者ともに同様に機能をさせることができるので、図1に示す制御装置10を引用して、以下の説明をする。すなわち、制御装置10と制御装置30とは、制御装置10のI/O14がシリアルインターフェイスとされているのに対して、制御装置30のI/O34がパラレルインターフェイスとされている点に違いがあるものの、図1に示す制御装置に替えて、図2に示す制御装置30を用いる場合にも特段の大きな違いはない。制御装置10と制御装置30とで、違いが生じる場合には、その都度、差異を説明する。
【0018】
上述した制御装置10の各部の機能について、簡単に説明をする。制御回路11は、ホスト機器50との通信、表示データの作成、VFD22の仕様に合わせたデータをVFDへ送る処理の制御をおこなう。表示データのRAM(以下、単にRAMと省略する)13は表示データを一時記憶する。キャラクタROM12にはフォントデータが記憶されている。I/O14はCIGVFD20に対して表示のためのデータをシリアルデータとして伝送する。制御装置30のI/O34においては、VFD22に供給されるアノード駆動信号23およびグリッド駆動信号24に1対1に対応するアノード信号37およびグリッド信号38をパラレルデータとして伝送する。以上が各構成部の簡単な機能説明であるが、以下の説明において、必要な部分は個別に詳細に説明をする。
【0019】
図3は、CIGVFDの構造を模式的に図示するものである。CIGVFD20は、シリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21をVFD(蛍光表示部)22とともに密封容器の内部に封止して形成されている。密封容器は、ベースプレート122、と表示された画面を視認可能とするガラス容器とで形成されている。密封容器からは、フィラメントリード123、フィラメントリード124が引き出され、フィラメントに電流を流すことができるようになされている。また、シリアルデータ(図1を参照)を伝送するためのドライバチップ用リード216が密封容器から引き出されている。
【0020】
図4は、CIGVFDと制御装置とホスト機器とがどの様に接続されるかを模式的に示す図である。図4では、制御装置としては、マイクロコントローラ(MICRO CONTROLLER)60が用いられている。マイクロコントローラ60は、ワンチップマイコンを用いて構成されており、ワンチップマイコンにはCPUとキャラクタROM12の機能とRAM13の機能とが1チップに収納されている。フィラメントには、トランスを用いて商用電圧を降圧した電圧が印加され、トランス2次側の中点タップにはツエナーダイオードZDと抵抗Rとを用いて、一定の電圧が印加されている。各種信号がマイクロコントローラ60からCIGVFD20に供給されている。信号DataはVFD22に表示される内容に関する信号であり、信号Clockはこの信号Dataの各々のビットの切れ目を示すためのビット同期を得る信号であり、信号Latchはこの信号DataのData単位の切れ目を示すためのワード同期を得るための信号であり、信号Blankは、データラッチ時の誤表示を防ぐためにドライバ出力をOFFする信号であり、1ワードのデータごとに出力される信号である。また電圧VDDはシリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21の信号処理回路に供給され、電圧VHはシリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21を介して、CIGVFD20のアノード電極に供給される。
【0021】
(キャラクタROMに記憶されたフォントデータの各種処理について)
キャラクタROM12について説明をする。図5は、キャラクタROMにどのようにフォントデータが格納されているかを示す図である。実施形態のキャラクタROM12には、1ワードを8ビットとして、6ワードで1キャラクタを表すようにフォントデータが格納されている。図5はアルファベットの“D”のフォントデータの構造を示す図であり、黒色部に該当する箇所のデータの内容は“1”とされ、白色部(紙面の色と同色部)に該当する箇所のデータの内容は“0”とされている。ここで、フォントデータは、表示部として機能するVFD22の表示面に発光部と非発光部との組み合わせによって特定されて表示されるフォントのデータであるが、キャラクタ・ロムに記憶された“1”は発光部、キャラクタ・ロムに記憶された“0”は非発光部に対応するものであるとして以下の説明をおこなう。
【0022】
上述したように、フォントデータは、1ビットが2値のビットマップデータとして構成されているので、このキャラクタROM12に配置された1ワードのデータのMSBからLSBまでの各々のビットが並んでいる方向(ビット方向)をVFD22の表示面の縦方向、0ワード目から5ワード目の各々のワードが並んでいる方向(ワード方向)を横方向に配置することによって、アルファベットの“D”をVFD22に表示することができる。そして、6ワードで表現できる範囲であれば、その範囲ではフォントの種類を増やすことができる。しかしながら、フォントの種類を増やすと1個のフォントに対して6ワード分のキャラクタROM12の容量の追加が必要とされる。また、キャラクタROM12は、製造後の書き換えができないので、フォントを追加する場合には、キャラクタROM12を造り変えなければならない。
【0023】
また、1ビットが2値のビットマップデータとしてフォントは構成されているので、“1”を発光する状態の発光部に対応させ、“0”を非発光の状態の非発光部に対応させることはできても、中間的な明度で発光させる発光部を形成することはできない。実施形態においては以下に示す処理によって、キャラクタROM12を造り直すこと無く、フォントの種類を増やし、中間的な明度を有するフォントも生成している。
【0024】
(フォントデータの右側影付処理)
図6はフォントデータの右側影付処理について示す図である。図6(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。このフォントデータは、0ワード目のデータはMSBから順に並べると、“11111110”であり、1ワード目のデータはMSBから順に並べると、“10000010”であり、2ワード目のデータはMSBから順に並べると、“10000010”であり、3ワード目のデータはMSBから順に並べると、“01000100”であり、4ワード目のデータはMSBから順に並べると、“00111000”であり、5ワード目のデータはMSBから順に並べると、“00000000”である。ここで、各々のワードに+の符号が付されているのは、相対アドレスであることを明示するためであり、実際にキャラクタROMのフォントデータにアクセスする場合には0ワード目の絶対アドレスを指定して、6ワード分を一括して読み出すようにしている。図6(a)の“1”が灰色で表されているのは視覚的に処理を理解する便宜のためである。
【0025】
図6(b)は、“D”のフォントに対して、右側影付処理のための処理用フォントデータ(処理データ)である。処理データは以下のルールによって生成されている。0ワード目のデータには処理を施さない。1ワード目以降の処理データは前の順番のデータとそのワードのデータとにおいて、各々のビット毎のOR演算をおこなう。具体的には、1ワード目の処理データは、0ワード目のデータと1ワード目のデータのOR演算、“11111110”と“10000010”とのORの演算をおこない、“11111110”を得る。2ワード目の処理データは、1ワード目のデータと2ワード目のデータとのOR演算、“10000010”と“10000010”とのOR演算をおこない、“10000010”を得る。3ワード目の処理データは、2ワード目のデータと3ワード目のデータとのOR演算、“10000010”と“01000100”とのOR演算をおこない、“11000110”を得る。4ワード目の処理データは、3ワード目のデータと4ワード目のデータとのOR演算、“01000100”と“00111000”とのOR演算をおこない、“01111100”を得る。5ワード目の処理データは、4ワード目のデータと5ワード目のデータとのOR演算、“00111000”と“00000000”とのOR演算をおこない、“00111000”を得る。
【0026】
図6(c)は、図6(a)と図6(b)との各々の対応するワードの各々の対応するビットを加算して、1(フォントデータ)+1(処理データ)=2、1(フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(フォントデータ)+1(処理データ)=1、0(フォントデータ)+0(処理データ)=0、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図6(c)に図示される演算結果の、黒部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部(図6(a)、図6(b)で、ハッチング部分を指す、他の図面においても灰部はハッチング部を指し示すものである)は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、白部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。どのようにして、発光輝度100%、発光輝度50%、発光輝度0%の表示をおこなうかについては、後述する。
【0027】
図6(c)から見てとれるように、“D”に対して右側影付の処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントに右側影付処理を施すことができる。
【0028】
(フォントデータの下側影付処理)
図7はフォントデータの下側影付処理について示す図である。図7(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図7(b)は、“D”のフォントに対して、下側影付処理のための処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。各々のワードのMSBから2SBまでの各々に対して1ビットずつより下位ビットにビットシフトしてMSBは“0”として、ビットシフト前のデータとビットシフト後のデータとのOR演算をおこなう。具体的には、0ワード目に対しては、“11111110”と“011111111”とのORの演算をおこない、“11111111”を得る。1ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”とのORの演算をおこない、“11000011”を得る。2ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”とのORの演算をおこない、“11000011”を得る。3ワード目に対しては、“010001000”と“001000100”とのORの演算をおこない、“01100110”を得る。4ワード目に対しては、“00111000”と“00011100”とのORの演算をおこない、“00111100”を得る。5ワード目に対しては、“00000000”と“00000000”とのORの演算をおこない、“00000000”を得る。
【0029】
図7(c)は、図7(a)と図7(b)との各々のワードを加算して、1(フォントデータ)+1(処理データ)=2、1(フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(フォントデータ)+1(処理データ)=1、0(フォントデータ)+0(処理データ)=0、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図7(c)に図示される演算結果の、黒部は発光輝度100%、灰部は発光輝度50%、白部は発光輝度0%、に各々対応するものである。図7(c)から見てとれるように、“D”に対して下側影付の処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントに下側影付処理を施すことができる。
【0030】
(フォントデータの斜め影付処理)
図8はフォントデータの斜め影付処理について示す図である。図8(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図8(b)は、“D”のフォントに対して、斜め影付処理のための処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。0ワード目のデータには処理を施さない。1ワード目以降の処理データは、MSBに0を代入して1ビットだけ下位ビットにシフトした前の順番のワードのデータとそのワードのデータとにおいて、各々のビット毎のOR演算をおこなう。さらに、OR演算をおこなった各々のワードについて、“1”と“1”とに挟まれた中間のビットが“0”である場合には“1”に置き換える。具体的には、1ワード目の処理データは、0ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “01111111”と1ワード目のデータ“10000010”とのOR演算をおこない、“11111111”を得る。この場合には、“0”を“1”に置き換えるビットは存在しない。2ワード目の処理データは、1ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “01000001”と2ワード目のデータ“10000010”とのOR演算をおこない、“11000011”を得る。この場合には、“0”を“1”に置き換えるビットは存在しない。3ワード目の処理データは、2ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “01000001”と3ワード目のデータ“01000100”とのOR演算をおこない、“01000101”を得、OR演算をおこなったワードの3SBとLSBとの中間の“0”を“1”に置き換え、“01000111”を得る。4ワード目の処理データは、3ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “00100010”と4ワード目のデータ“00111000”とのOR演算をおこない、“00111010”を得、OR演算をおこなったワードの4SBと2SBとの中間の“0”を“1”に置き換え、“00111110”を得る。5ワード目の処理データは、4ワード目のデータを1ビットだけビットシフトした “00011100”と5ワード目のデータ“00000000”とのOR演算をおこない、“0”を“1”に置き換えることなく、“00011100”を得る。
【0031】
上述した、フォントデータの影付処理の要点は、影が付く方向が、右側方向、下側方向、斜め方向の各々に変化するものの、各々が6ワードで形成されるフォントデータと処理データとを対比すれば、フォントデータと処理データとの同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“1”となるビットと、同じワードの同じビット位置の各々のビットの一方が“1”となり、他方が“0”となるビットと、同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“0”となるビットとを処理データ側に造り出す処理である。この処理と後述する第1領域と第2領域とを有するRAMの構成によって、一方が“1”となり、他方が“0”となるビットが影の部分となるものであるが、これに付いては、より詳細に後述する。
【0032】
(フォントデータの反転処理)
図9は、発光部と非発光部とが反転した反転文字を得るための処理を模式的に示す図である。例えば、図5に示すフォント“D”に対応したビットマップと、図9に示すビットマップとでは、発光部と非発光部とを反転するために、各々のビットが、すべて反転している。このようにして、影付処理をしない場合には、“D”以外の他のフォントについても同様にして、“1”を“0”に、“0”を“1”に反転することによって、容易に反転文字を得るための処理(反転処理)をすることができる。すなわち、VFD22における発光、非発光のルールが一定である場合には、図9に示すように、“D”の発光部と非発光部とが反転している。ここで、1のフォント、例えば、上述するフォント“D”に対して、図5に示すフォント“D”に対応したビットマップを形成するためのデータが上述したフォントデータであり、図9に示すような、“0”と“1”とが反転したデータを反転フォントデータと称するものである。
【0033】
(フォントデータの右側影付処理の反転処理)
図10はフォントデータの右側影付処理を反転する処理について示す図である。図10(a)は図6(a)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(反転フォントデータ)であり、図10(b)は図6(b)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(処理データ)である。図10(c)は、図10(a)と図10(b)との各々の対応するビットを加算して、1(反転フォントデータ)+1(処理データ)=2、1(反転フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+1(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+0(処理データ)=0、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図10(c)に図示される演算結果の、白部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、黒部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。
【0034】
(フォントデータの下側影付処理の反転処理)
図11はフォントデータの下側影付処理の反転処理について示す図である。図11(a)は図7(a)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(反転フォントデータ)であり、図11(b)は図7(b)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(処理データ)である。図11(c)は、図11(a)と図11(b)との各々の対応するビットを加算して、0(反転フォントデータ)+0(処理データ)=0、1(反転フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+1(処理データ)=1、1(反転フォントデータ)+1(処理データ)=2、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図11(c)に図示される演算結果の、黒部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、白部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。
【0035】
(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)
図12はフォントデータの斜め影付処理の反転処理について示す図である。図12(a)は図8(a)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(反転フォントデータ)であり、図12(b)は図8(b)とフォントデータの“1”と“0”とをすべて反転したデータ(処理データ)である。図12(c)は、図12(a)と図12(b)との各々の対応するビットを加算して、0(反転フォントデータ)+0(処理データ)=0、1(反転フォントデータ)+0(処理データ)=1、0(反転フォントデータ)+1(処理データ)=1、1(反転フォントデータ)+1(処理データ)=2、として各々定義される演算結果を図示するものである。そして、この図12(c)に図示される演算結果の、黒部は2を示し、VFD22における発光輝度は100%、灰部は1を示し、VFD22における発光輝度は50%、白部は0を示し、VFD22における発光輝度は0%、に各々対応するものである。
【0036】
上述した、フォントデータの影付処理の反転処理(反転フォントデータの影付き処理)の要点は、影が付く方向が、右側方向、下側方向、斜め方向の各々に変化するものの、フォントデータの“1”と“0”とを反転して反転フォントデータを生成し、上述した影付き処理を同様に適用するものである。反転フォントデータと処理データとを用いる影付き処理の内容は、フォントデータと処理データとを用いる影付き処理と変わるところはなく、これに付いては、後述する。
【0037】
(フォントデータの横方向太字処理)
図13は、フォントデータの横方向太字処理について示す図である。図13(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図13(b)は、“D”のフォントに対して、横方向太字処理のための処理用のデータである処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。0ワード目のデータは“00000000”とする。1ワード目以降の処理データは前の順番のワードのデータとそのワードのデータとをビット毎に加算する演算をおこない、その結果を以下の様にビット毎に置き換えて処理データを生成する。1(その前のワードのフォントデータ)+1(処理データ)=0、1(その前のワードのフォントデータ)+0(処理データ)=1、0(その前のワードのフォントデータ)+1(処理データ)=1、0(その前のワードのフォントデータ)+0(処理データ)=0。上述した演算の後に、そのワードのフォントデータとその演算後のワードデータとをビット毎に加算して以下の演算をおこなって、その演算後のワードデータを、さらに、置き換えて、処理データを得る。1(そのワードのフォントデータ)+1(演算後のワードデータ)=0、1(そのワードのフォントデータ)+0(演算後のワードデータ)=0、0(そのワードのフォントデータ)+1(演算後のワードデータ)=1、0(そのワードのフォントデータ)+0(演算後のワードデータ)=0。
【0038】
具体的には、1ワード目の処理データは、0ワード目のデータと1ワード目のデータのビット毎の加算演算、“11111110”と“10000010”との加算演算をおこない、“21111120”を得、さらに、“01111100”を得、また、さらに、“10000010”と“01111100”とをビット毎に加算して、“01111100”を得る。2ワード目の処理データは、1ワード目のデータと2ワード目のデータとの加算演算、“10000010”と“10000010”との加算演算をおこない、“20000020”を得、さらに、“00000000”を得、また、さらに、“10000010”と“00000000”とを加算して、“00000000”を得る。3ワード目の処理データは、2ワード目のデータと3ワード目のデータとの加算演算、“10000010”と“01000100”との加算演算をおこない、“11000110”を得、また、さらに、“01000100”と“11000110”とを加算して、“10000010”を得る。4ワード目の処理データは、3ワード目のデータと4ワード目のデータとの加算演算、“01000100”と“00111000”との加算演算をおこない、“01111100”を得、また、さらに、“00111000”と“01111100”とを加算して、“01000100”を得る。5ワード目の処理データは、4ワード目のデータと5ワード目のデータとの加算演算、“00111000”と“00000000”との加算演算をおこない、“00111000”を得、また、さらに、“00000000”と“00111000”とを加算して、“00111000”を得る。
【0039】
そして、図13(c)は演算結果としてVFDに表示される発光輝度を表すものであり、黒部は、VFD22における発光輝度が100%、白部は、VFD22における発光輝度が0%に各々対応するものである。どのようにして、発光輝度100%、発光輝度0%の表示をおこなうかについては、後述する。
【0040】
図13(c)から見てとれるように、“D”に対して、右側の横方向に太字処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントに右側の横方向に太字処理を施すことができる。
【0041】
(フォントデータの上下方向太字処理)
図14は、フォントデータの上下方向太字処理について示す図である。図14(a)は、アルファベットの“D”のフォントである。図14(b)は、“D”のフォントに対して、上下方向太字処理のための処理データである。処理データは以下のルールによって生成されている。各々のワードのMSBから2SBまでの各々に対して1ビットずつより下位ビットにビットシフトしてMSBは“0”として、ビットシフト前のデータとビットシフト後のデータとの加算演算をおこない、その演算結果を次式に従って書き直す。1(ビットシフト前のそのビットのデータ)+1(ビットシフト後のそのビットのデータ)=0(ビットシフト後のそのビットの処理データ)、1(ビットシフト前のそのビットのデータ)+0(ビットシフト後のそのビットのデータ)=0(ビットシフト後のそのビットの処理データ)、0(ビットシフト前のそのビットのデータ)+1(ビットシフト後のそのビットのデータ)=1(ビットシフト後のそのビットの処理データ)、0(ビットシフト前のそのビットのデータ)+0(ビットシフト後のそのビットのデータ)=0(ビットシフト後のそのビットの処理データ)。
【0042】
具体的には、0ワード目に対しては、“11111110”と“011111111”との演算をおこない、“00000001”を得る。1ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”との演算をおこない、“01000001”を得る。2ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”との演算をおこない、“01000001”を得る。3ワード目に対しては、“10000010”と“01000001”との演算をおこない、“01000001”を得る。4ワード目に対しては、“00111000”と“00011100”との演算をおこない、“00000100”を得る。5ワード目に対しては、“00000000”と“00000000”との演算をおこない、“00000000”を得る。
【0043】
そして、図14(c)は演算結果としてVFDに表示される発光輝度を表すものであり、黒部は、VFD22における発光輝度が100%、白部は、VFD22における発光輝度が0%に各々対応するものである。
【0044】
図14(c)から見てとれるように、“D”に対して、下方向に太字処理がなされる。この表示に対するフォントは、“D”のフォントに対して上述した処理を施すことによって得られるものであり、キャラクタROM12には、記憶されていないフォントである。以上は“D”を1例として説明したが、アルファベット、数字等に限らず、どのようなフォントであっても、同様にして、そのフォントの下方向に太字処理を施すことができる。
【0045】
上述した、フォントを太くするためのフォントデータの太字処理の要点は、太くなる方向が、右側方向、下側方向、斜め方向の各々に変化するものの、各々が6ワードで形成されるフォントデータと処理データとを対比すれば、フォントデータと処理データとの同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“1”となるビットを無くし、同じワードの同じビット位置の各々のビットの一方が“1”となり、他方が“0”となるビットと、同じワードの同じビット位置の各々のビットが共に“0”となるビットとを処理データ側に造り出し、太字が不自然となる部分を埋める処理である。この処理と後述する第1領域と第2領域とを有するRAMの構成によって、一方が“1”となるビットに対応する部分が発光部、両方が“0”となるビットに対応する部分が非発光部となるものであるが、これに付いては、後述する。
【0046】
(ホスト機器の指令によってVFDに画像を表示するまでの動作)
上述した、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)の各々の処理において生成された処理データをどのようにして用いて、発光輝度100%、発光輝度50%、発光輝度0%の発光をさせるかについて、詳細に説明をする。
【0047】
ホスト機器50から制御装置10に画像表示の指令が発せられる。画像表示の指令は、ホスト機器50から制御装置10に対してはシリアルデータ、または、パラレルデータを用いておこなわれる。制御装置10(図1を参照)からCIGVFD20に対する制御は、シリアルI/O14からシリアル/パラレル変換器・高耐圧ドライバ21に対してシリアルデータ16を送出することによっておこなわれる。ホスト機器50は、制御装置10に対して、キャラクタROM12に格納されているフォントを指定する情報に加え、フォント処理の内容を指定する情報を送出する。フォント処理の内容を指定する情報としては、(フォント処理なし)、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)のいずれかである。
【0048】
ホスト機器50によって制御される制御装置10においては、制御回路11に配されたCPUで種々の処理がおこなわれる。CPUにおける処理は多岐に渡るが、実施形態の説明に必要な範囲の処理としては、ホスト機器50から発せられる制御指令を解読する制御指令解読処理、フォント情報の取り込みをおこなうフォント取り込み処理と、フォント取り込み処理によって得られたフォントをRAM13の第1領域に展開する第1領域書き込み処理と、フォントデータを加工するフォントデータ加工処理と、フォントデータ加工処理によって得られたフォントをRAM13の第2領域に展開する第2領域書き込み処理と、この第1領域からのデータとこの第2領域からのデータとをシリアルI/O14に順次書き込むI/O制御処理がある。以下これらの処理の内容について説明をする。
【0049】
(CPUでおこなう処理の内容)
制御指令解読処理は、ホスト機器50からどの様な指令が発せられたかをCPUが解読する処理である。ホスト機器50は、予め定められた、フォント表示に関する制御指令を含む種々の制御指令を制御装置10に対して発する。フォント表示に関する制御以外の制御としては、CIGVFD20の表示をOFF(表示停止)、CIGVFD20の表示をON(表示開始)とする制御、その他種々の制御に関する制御指令がある。CPUはこれらの制御指令を個々に解読して必要な処理をおこなうが、これらのフォント表示に関する制御以外の制御については説明を省略する。
【0050】
制御指令解読処理について説明する。フォント表示をする場合には、ホスト機器50は、フォントを表示する指令であることを明示する制御指令であるフォント表示指令を発し、そのフォント表示指令に続いて、フォントデータの内容およびフォントデータ加工の内容を明示する情報を制御装置10に対して送出する。制御装置10のCPUは、フォント表示指令であることを解読し、続いて送出されるフォントデータの内容の情報によって、キャラクタROM12に予め登録されているどのフォントであるかを特定する。また、フォントデータの内容の情報に続いて、または、フォントデータの内容の情報に先立ち、送出されるフォントデータ加工の内容の情報によって、どのような加工をするかを特定する。ここでフォントデータ加工は、(フォント処理なし)、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)の上述した各種のいずれかである。
【0051】
フォント取り込み処理について説明をする。CPUは、ホスト機器50がコードで特定したフォントが格納されているキャラクタROM12の記憶領域のアドレスを特定する。この特定は、6バイト構成とされる各々のフォントの0バイト目のアドレスを特定することによっておこなわれ、CPUは、特定された0バイト目のデータから5バイト目のデータの各々を取り込む。
【0052】
第1領域書き込み処理について説明をする。第1領域書き込み処理は、フォント取り込み処理によって得られたフォントを順次、RAM13の第1領域に展開するものである。ここで、RAM13の第1領域は、VFD22の表示面に対応して設けられており、RAM13のアドレスを特定すれば、VFD22の表示面を特定することとなるようにされている。そして、CPUは、フォントのコードからキャラクタROM12のアドレスを解読して、CPUに読み取る毎に、読み取ったビットマップデータを順次、RAM13に転送して書き込む。ここで、書き込むべき、RAM13のアドレスの特定は、ホスト機器50と制御装置10との間の予めの取り決めに従うものである。例えば、2次元面として形成されるVFD22の表示面の一点(始点)を特定し、その一点のデータを特定後、順次、送られてくるフォントデータを、順次、予め定められて順序でVFD22の表示面に配列するように取り決めた場合には、始点特定の情報は、制御指令の一つとしてCPUに認識させることができるので、CPUが、始点のデータから何番目のフォントデータであるかを認識しておくことによって、RAM13のアドレスの特定は問題なくおこなうことができる。また、ホスト機器50と制御装置10との間の予めの取り決めとして、フォント表示指令に続き、そのフォントを表示すべきVFD22の表示面のアドレスを特定する情報を送出するようにしておけば、CPUがその表示面のアドレスを解読することによって、RAM13のアドレスの特定をおこなうことができ、VFD22の表示面に表示される画像の一部書き換え等の処理も容易におこなうことができる。
【0053】
フォントデータ加工処理について説明をする。CPUは、フォント表示指令とともに送出されるフォントデータ加工の内容の情報を解読して、(フォント処理なし)、(フォントデータの右側影付処理)、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)のいずれの処理であるかを特定する。(フォント処理なし)の場合には、フォントデータ加工処理においては何の処理もしない。
【0054】
(フォントデータの右側影付処理)の場合には、上述したように、0ワード目のデータには処理を施さず、1ワード目から5ワード目のデータの各々については、ビット毎にOR演算をおこなう。その他の、(フォントデータの下側影付処理)、(フォントデータの斜め影付処理)、(フォントデータの反転処理)、(フォントデータの右側影付処理の反転処理)、(フォントデータの下側影付処理の反転処理)、(フォントデータの斜め影付処理の反転処理)、(フォントデータの横方向太字処理)、(フォントデータの上下方向太字処理)の各々についても、上述した各々の演算によって処理データを得る。
【0055】
第2領域書き込み処理においては、上述の様にして、CPUで得られた処理データを、順次、RAM13の第2領域に書き込む、第2領域における書き込むべきアドレスの特定は、第1領域書き込み処理と同じである。実施形態の場合には、第1領域と第2領域との記憶容量は同一とされている。また、RAM13の第2領域も第1領域と同様に、VFD22の表示面に対応して設けられており、RAM13のアドレスを特定すれば、VFD22の表示面を特定することとなるようにされている。
【0056】
I/O制御処理について説明をする。I/O制御処理においては、CPUは、シリアルI/O14に対して、順次、どの様なデータをCIGVFD20に対して送出するかを指定する処理をおこなう。図15は、I/O制御処理の内容を模式的に示す図である。図15(a)は従来技術において用いられるI/O制御処理の概要を示す図である。従来技術においては、CPUは、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ、すなわち、キャラクタROM12の内容を、順次、CIGVFD20に対して送出するようにシリアルI/O14を制御する。図15(b)は実施形態において用いられるI/O制御処理の概要を示す図である。実施形態では、シリアルI/O14は図15(b)に示すように、スイッチとして機能し、CPUは、RAM13の第1領域に書き込まれたデータとRAM13の第2領域に書き込まれた処理データとを交互にCIGVFD20に対して送出するようにシリアルI/O14を制御する。ここで、交互に繰り返すための一区切りの単位は、基本はVFD22の1画面単位であるが、例えば、VFD22の行方向に1行単位、VFD22の列方向に1列単位等の、他の単位ごとに繰り返すこともできる。なお、本実施形態の処理においては、RAM13の第1領域に書き込まれたデータとRAM13の第2領域に書き込まれた処理データとを交互に出力して1つの表示がなされるので、従来技術におけるような1回の出力で1つの表示をする場合と同じ周期で1つの表示をするためには、RAM13の第1領域に書き込まれたデータとRAM13の第2領域に書き込まれた処理データとを、例えば、従来の2倍のデータ転送速度を有して出力して、第1領域に書き込まれたデータを従来の1/2の時間の間だけ表示し、第2領域に書き込まれた処理データを同様に従来の1/2の時間の間だけ表示し、従来と同一の周期で、第1領域に書き込まれたデータと第2領域に書き込まれた処理データとの両方を表示することとなる。
【0057】
図15(b)に示すようなI/O制御処理をおこなうことによって、実効的にはVFD22の1ドットを2ビットの輝度情報で制御することと等価となる。すなわち、図6(C)、図7(c)、図8(C)、図10(c)、図11(C)、図12(c)、図13(C)、図14(c)の各々に示すように、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ、例えば、図6(a)に示すデータの1のビットが発光を指示し、RAM13の第2領域に書き込まれたデータ(例えば、上述の図6(a)に示すデータの1のビットとVFD22の表示面において対応する位置にある図6(b)の1ビット(同一対応位置ビット))が発光を指示する場合には発光輝度100%の輝度で発光し、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(a)の1のビット)、または、RAM13の第2領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(b)の同一対応位置ビット)、のいずれか一方のみが、発光を指示する場合には発光輝度50%の輝度で発光し、RAM13の第1領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(a)の1のビット)、および、RAM13の第2領域に書き込まれたデータ(例えば、図6(b)の同一対応位置ビット)のいずれもが、発光を指示しない場合には発光輝度0%の輝度で発光する。
【0058】
ここで、発光輝度100%、発光輝度50%、発光輝度0%、の各々の定義は、該当するフォントにおいて最も輝度が高い部分を発光輝度100%と定義し、最も輝度が低い非発光の部分を発光輝度0%と定義するものであり、絶対輝度を定義するものではない。例えば、影付き処理における発光輝度100%は、フォントを太くする処理における発光輝度100%よりも輝度が高い。具体例で説明すると、影付き処理においては、3段階の発光輝度を生じさせるために、第1領域に記憶されたフォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示とで、連続して同じ部分を発光させ影でない発光部を生成し、この部分の発光輝度を100%とする。これに対して、太字処理では、発光輝度を2段階とするために、第1領域に記憶されたフォントデータに基づいた表示と、第2領域に記憶された処理データに基づいた表示とが、連続して同じ部分を発光さることはなく、この状態を発光輝度100%とする。このような場合において、発光輝度を規格化するためには、通常用いられる公知の技術であるアノード駆動信号の時比率を制御するPWM処理を用いることができる。
【0059】
上述したCPUにおける処理の要点は以下である。キャラクタROMに記憶されたフォントデータから、反転フォントデータを生成する処理、各種処理(フォントデータの下側影付処理、フォントデータの斜め影付処理、フォントデータの反転処理、フォントデータの右側影付処理の反転処理、フォントデータの下側影付処理の反転処理、フォントデータの斜め影付処理の反転処理、フォントデータの横方向太字処理、フォントデータの上下方向太字処理)によって処理データを生成する処理をおこなう。また、CPUは、フォントデータまたは反転フォントデータをRAMの第1領域に記憶し、処理データをRAMの第2領域に記憶するための制御をおこなう。ここで、フォントデータまたは反転フォントデータを記憶するRAMの第1領域のアドレスと、処理データを記憶するRAMの第2領域のアドレスとは、VFDの表示面において同一の表示位置に対応するものとされる。また、CPUは、RAMの第1領域に記憶されたフォントデータ、または、反転フォントデータに基づいた表示とRAMの第2領域に記憶された処理データに基づいた表示とが交互に表示部(VFD)になされるように制御する。
【0060】
上述した実施形態によれば、少ないハードウエア資源、低い処理能力の制御回路で、しかも従来から使っている2階調のフォントデータをもとに、視覚的効果を付加して多種類の字体に加工し、その表示を可能とする表示装置を提供できる。実施形態では、影付処理によって中間階調(50%輝度)も用いるので、これによって、文字を立体的に見せることができる。また、実施形態では、太字処理によって文字を強調して見せることができる。
【0061】
(実施形態の変形例)
上述した実施形態では、RAM13の第1領域とRAM13の第2領域とを設け、第1領域にはフォントデータ、第2領域には処理データ(第1の処理データ)を格納するようにしたが、RAM13に第3領域をさらに設け、第3領域には、第1領域に記憶されたフォントデータと第2領域に記憶された第1処理データとから得られる第2の処理データを格納して、第1領域からのデータと、第2領域からの第1処理データと、第3領域からの第2処理データとを交互CIGVFD20に対して送出するようにシリアルI/O14を制御することによって、さらに、多くのフォントを生成することができる。また、第1領域と第2領域とを設ける場合には各々のドットの輝度を、100%、50%、0%の3段階に分離することができたが、第1領域と第2領域と第3領域とを設ける場合には各々のドットの輝度を、100%、66%、33%、0%の4段階に分離することができる。
【0062】
本発明は、当然に、上述した実施形態の範囲に限られるものではない。例えば、フォントは、実施形態に示すアルファベットに限らず、数字、特殊文字、さらには、文字、記号、以外の表示形態も含むものであり、表示装置は蛍光表示管を用いるものに限らず、液晶、有機EL等を用いるものも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態の表示装置のブロック図を示す図である。
【図2】別の実施形態の蛍光表示管を用いた表示装置のブロック図を示す図である。
【図3】CIGVFDの構造を模式的に示す図である。
【図4】CIGVFDと制御装置とホスト機器とがどの様に接続されるかを模式的に示す図である。
【図5】キャラクタROMにどのようにフォントデータが格納されているかを示す図である。
【図6】フォントデータの右側影付処理について示す図である。
【図7】フォントデータの下側影付処理について示す図である。
【図8】フォントデータの斜め影付処理について示す図である。
【図9】反転文字を得るための処理を模式的に示す図である。
【図10】フォントデータの右側影付処理を反転する処理について示す図である。
【図11】フォントデータの下側影付処理の反転処理について示す図である。
【図12】フォントデータの斜め影付処理の反転処理について示す図である。
【図13】フォントデータの横方向太字処理について示す図である。
【図14】フォントデータの上下方向太字処理について示す図である。
【図15】I/O制御処理の内容を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10、30 制御装置、 11、31 制御回路、 12キャラクタ・ロム(ROM)、 13 ラム(RAM)、 14 シリアルI/O、 16 シリアルデータ、 20 CIGVFD(蛍光表示管)、 21 パラレル変換器・高耐圧ドライバ、 22 VFD(蛍光表示部)、 23 アノード駆動信号、 24 グリッド駆動信号、 34 パラレルI/O、 37 アノード信号、 38 グリッド信号、 40 高耐圧ドライバ、 50 ホスト機器、 60 マイクロコントローラ、 122 ベースプレート、 123 フィラメントリード、
124 フィラメントリード、 216 ドライバチップ用リード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記表示部における前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置であって、
前記ラムは、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを各々が有する第1領域と第2領域とを有して形成され、
前記第1領域には前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、前記第2領域には前記フォントデータを加工した処理データが記憶され、
前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、が交互に前記表示部になされることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1領域に記憶された前記フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合う部分と、
前記第1領域に記憶された前記フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わない部分と、を有するように前記処理データが加工されて、
前記重なり合わない部分が前記フォントの影の部分となることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1領域に記憶された前記フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わないように、前記処理データが加工されて、
前記フォントがより太く表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1領域に記憶された前記反転フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合う部分と、
前記第1領域に記憶された前記反転フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わない部分と、を有するように前記処理データが加工されて、
前記重なり合わない部分が前記フォントの影の部分となることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1領域に記憶された前記反転フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わないように、前記処理データが加工されて、
前記反転フォントがより太く表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置の制御方法であって、
前記ラムには、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを有する第1領域と第2領域とを形成し、
前記第1領域には、前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータを記憶し、
前記第2領域には、前記フォントデータを加工した処理データを記憶し、
前記表示部には、前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、を交互にすることを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項1】
発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記表示部における前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置であって、
前記ラムは、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを各々が有する第1領域と第2領域とを有して形成され、
前記第1領域には前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータが記憶され、前記第2領域には前記フォントデータを加工した処理データが記憶され、
前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、が交互に前記表示部になされることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1領域に記憶された前記フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合う部分と、
前記第1領域に記憶された前記フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わない部分と、を有するように前記処理データが加工されて、
前記重なり合わない部分が前記フォントの影の部分となることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1領域に記憶された前記フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わないように、前記処理データが加工されて、
前記フォントがより太く表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1領域に記憶された前記反転フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合う部分と、
前記第1領域に記憶された前記反転フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わない部分と、を有するように前記処理データが加工されて、
前記重なり合わない部分が前記フォントの影の部分となることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1領域に記憶された前記反転フォントデータに基づいた発光部と前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた発光部とが前記表示面において重なり合わないように、前記処理データが加工されて、
前記反転フォントがより太く表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
発光部と非発光部との組み合わせによって特定されるフォントのデータであるフォントデータが記憶されたキャラクタ・ロムと、2次元の表示面を有して前記フォントデータに応じたフォントを表示する表示部と、前記フォント表示位置に対応して特定されるアドレスに前記フォントデータを記憶するラムと、を備える表示装置の制御方法であって、
前記ラムには、同一の前記フォント表示位置に対応したアドレスを有する第1領域と第2領域とを形成し、
前記第1領域には、前記フォントデータ、または、前記フォントデータの発光部と非発光部とが反転された反転フォントデータを記憶し、
前記第2領域には、前記フォントデータを加工した処理データを記憶し、
前記表示部には、前記第1領域に記憶された前記フォントデータ、または、前記反転フォントデータに基づいた表示と、前記第2領域に記憶された前記処理データに基づいた表示と、を交互にすることを特徴とする表示装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−86250(P2009−86250A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255348(P2007−255348)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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