説明

表示装置および表示装置の駆動方法

【課題】画面を複数の領域に分割しつつ、領域間の輝度差を抑制しうる表示装置を実現する。
【解決手段】複数の領域に分割された表示部と、前記領域ごとに設けられる複数のソースドライバとを備え、前記複数のソースドライバに個別に入力されるラッチストローブ信号(LS1、LS2)のタイミングを用いて、前記複数の領域に個別にデータ信号(Vs1、Vs2)を出力する表示装置であって、前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号(Vs1、Vs2)のパルス幅が互いに異なるものが含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面を複数の領域に分割して駆動する表示装置およびその駆動に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置(例えば、液晶表示装置)の高精細化に伴う各画素への書き込み時間の短縮や表示装置の大型化に伴う信号波形の鈍りに対応するため、表示部を複数の領域に分割し、各領域を別々に駆動する構成が提案されている(例えば特許文献1〜5参照)。
【0003】
特許文献1(図6参照)には、表示部を、複数のソースライン(HS1〜HSm)および複数のゲートライン(G1〜G(n/2))を含む第1の領域と、複数のソースライン(HS1’〜HSm’)および複数のゲートライン(G(n/2+1)〜Gn)を含む第2の領域とに分割し、第1の領域を駆動するソースドライバ2およびゲートドライバ3を設けるとともに、第2の領域を駆動するソースドライバ2’およびゲートドライバ3’を設けた表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−102172号公報(公開日:1999年4月13日)
【特許文献2】特開2005−70722号公報(公開日:2005年3月17日)
【特許文献3】特開2005−91781号公報(公開日:2005年4月7日)
【特許文献4】特開2000−180822号公報(公開日:2000年6月30日)
【特許文献5】特開平5−80714号公報(公開日:1993年4月2日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように表示部を複数の領域に分割する構成においては、領域ごとの形成条件の相違に起因して、ゲートバスラインやソースバスラインなどのバスラインの抵抗分・容量分が領域間で異なり得る。また、画素を構成するTFTや液晶容量、補助容量、寄生容量など、バスラインに接続されている抵抗分・容量分も領域間で異なり得る。さらに、信号配線の配置が領域間で異なるなどして信号遅延の大きさも領域間で異なり得る。
【0005】
従って、同一階調表示をしても領域ごとに輝度が異なってしまう場合がある。ここで本願発明者は、このような場合に各領域を同じように駆動すると、領域間の輝度差が目立ち、各領域の境界が認識されるなどして表示品位が低下するおそれがあることを見出した。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画面を複数の領域に分割しつつ、領域間の輝度差を抑制しうる表示装置、および、表示装置の駆動方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、上記課題を解決するために、複数の領域に分割された表示部と、前記領域ごとに設けられる複数のソースドライバとを備え、前記複数のソースドライバが、前記複数のソースドライバに個別に入力されるラッチストローブ信号のタイミングを用いて前記複数の領域に個別にデータ信号を出力する表示装置であって、前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、表示部を分割する領域の中に、ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれている。そのため、例えば表示部を2分割とした場合には、領域ごとに、ラッチストローブ信号のパルス幅を異ならせることができるため、ソースドライバから出力されるデータ信号の出力タイミングを領域ごとに異ならせることができる。すなわち、画素へのデータ信号の書き込み開始タイミングを領域ごとに変えることができる。
【0009】
ここで、各領域においてゲートクロック信号を共通とした場合、走査信号線(画素)の選択期間は同一となる。そのため、画素へのデータ信号の書き込み開始タイミングは領域ごとに異なる一方、書き込み終了タイミングは、走査信号線の選択終了期間に同期して、各領域で同じタイミングで終了することになる。これにより、領域ごとに、画素へのデータ信号の充電(書き込み)時間を異ならせることが可能となる。
【0010】
例えば、表示部を下上2分割とした場合、下側領域に対応するラッチストローブ信号のパルス幅を、上側領域に対応するラッチストローブ信号のパルス幅よりも大きくすることにより、下側領域の画素の充電時間が、上側領域の画素の充電時間よりも短くなるため、それだけ輝度も低下する。この充電率を適切に設定することにより、上側領域の画素の輝度と、下側領域の画素の輝度とを揃えることができるようになる。
【0011】
上記表示装置では、前記パルス幅が異なる前記ラッチストローブ信号どうしは、パルス終了タイミングが互いに異なっていることが好ましい。
【0012】
また、前記ソースドライバは、前記ラッチストローブ信号のパルス終了タイミングに同期して前記データ信号を出力することが好ましい。
【0013】
これにより、ソースドライバのデータ信号の出力タイミングを異ならせることができる。
【0014】
上記表示装置では、前記複数の領域に対応するそれぞれのゲートドライバに入力されるそれぞれのゲートクロック信号は、その周期およびパルス幅が互いに等しいことが好ましい。
【0015】
本発明の表示装置の駆動方法は、上記課題を解決するために、複数の領域に分割された表示部と、前記領域ごとに設けられる複数のソースドライバとを備え、前記複数のソースドライバが、該複数のソースドライバに個別に入力されるラッチストローブ信号のタイミングを用いて、前記複数の領域に個別にデータ信号を出力する表示装置の駆動方法であって、前記複数のソースドライバは、前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれるように、前記複数の領域に個別に前記データ信号を出力することを特徴としている。
【0016】
上記表示装置の駆動方法では、前記パルス幅が異なる前記ラッチストローブ信号どうしは、パルス終了タイミングが互いに異なっていることが好ましい。
【0017】
上記表示装置の駆動方法では、前記ソースドライバは、前記ラッチストローブ信号のパルス終了タイミングに同期して前記データ信号を出力することが好ましい。
【0018】
上記表示装置の駆動方法では、前記複数の領域に対応するそれぞれのゲートドライバに入力されるそれぞれのゲートクロック信号は、その周期およびパルス幅が互いに等しいことが好ましい。
【0019】
上述の表示装置の駆動方法によれば、上記表示装置の構成により奏する効果と同一の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の表示装置は、以上のように、前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれている。
【0021】
これにより、画面を複数の領域に分割しつつ、領域間の輝度差を抑制しうる表示装置を実現することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明の表示装置の駆動方法は、以上のように、前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれるように、前記複数の領域に個別に前記データ信号を出力する。
【0023】
これにより、画面を複数の領域に分割しつつ、領域間の輝度差を抑制しうる表示装置の駆動方法を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると以下の通りである。
【0025】
図2に、本実施形態に係る液晶表示装置(表示装置)1の構成を示す。
【0026】
液晶表示装置1はアクティブマトリクス型の表示パネルであって、パネル基板2、上側ソース基板3、下側ソース基板4、複数の上側ソースドライバ3a…、複数の下側ソースドライバ4a…、複数の上側ゲートドライバ5a…、複数の下側ゲートドライバ6a…、表示制御回路7、および、入力ケーブル8・9を備えている。
【0027】
パネル基板2はTFT基板と対向基板との間に液晶層が挟持された構成であり、その中に表示部10が形成されている。表示部10は画素が作り込まれた領域であり、境界線Hを分割境界として、上側領域10aと下側領域10bとの2つの領域に分割されている。上側ソースドライバ3a…と下側ソースドライバ4a…とは、表示部10を挟んで互いに対向するように配置され、ここでは上側ソースドライバ3a…は、一端がパネル基板2の上端部に接続されたSOF(System On Film)の形態で実装されており、下側ソースドライバ4a…は、一端がパネル基板2の下端部に接続されたSOFの形態で実装されている。また、上側ソースドライバ3a…のパネル基板2側とは反対側の端部は上側ソース基板3に接続されており、下側ソースドライバ4a…のパネル基板2側とは反対側の端部は下側ソース基板4に接続されている。
【0028】
また、上側ソース基板3への信号は、表示制御回路7から入力ケーブル8を介して供給され、下側ソース基板4への信号は、表示制御回路7から入力ケーブル9を介して供給される。
【0029】
また、上側ゲートドライバ5a…および下側ゲートドライバ6a…は、ともに一端がパネル基板2の一端部に接続されたSOFの形態で実装されている。ゲート基板は用いられず、表示制御回路7から上側ゲートドライバ5a…への配線L1は上側ソースドライバ3a…を介して、下側ゲートドライバ6a…への配線L2は下側ソースドライバ4a…を介して、それぞれパネル基板2上を引き回されている。
【0030】
上側ソースドライバ3a…のデータ信号出力端子には、表示部10において上側領域10a側を境界線Hに直交する方向に延びるように設けられたデータ信号線SL1…が接続されている。下側ソースドライバ4a…のデータ信号出力端子には、表示部10において下側領域10b側を境界線Hに直交する方向に延びるように設けられたデータ信号線SL2…が接続されている。図2では便宜上、一部の走査信号線SL1…・SL2…のみを示してある。
【0031】
上側ゲートドライバ5a…のゲート信号出力端子には、表示部10において上側領域10a側を境界線Hと平行な方向に延びるように設けられた走査信号線GL1…が接続されている。下側ゲートドライバ6a…のゲート信号出力端子には、表示部10において下側領域10b側を境界線Hと平行な方向に延びるように設けられた走査信号線GL2…が接続されている。図2では便宜上、一部の走査信号線GL1…・GL2…のみを示してある。
【0032】
以上の構成により、上側領域10aは上側ソースドライバ3a…と上側ゲートドライバ5a…とにより駆動され、下側領域10bは下側ソースドライバ4a…と下側ゲートドライバ6a…とにより駆動される。
【0033】
また、走査信号線GL1…・GL2…と平行な方向に延びるように図示しない補助容量配線が設けられている。上側領域10aに設けられた補助容量配線は上側ソース基板3から引き回されており、下側領域10bに設けられた補助容量配線は下側ソース基板4から引き回されている。
【0034】
表示制御回路7は、CPU制御、各種画像処理、テレビジョン表示パネルの場合の走査方式変換、タイミング信号生成などを行うASICが、1チップあるいは複数チップ設けられて構成されており、外部の信号源(例えばチューナ)から、表示すべき画像を表すデジタルビデオ信号Dvと、当該デジタルビデオ信号Dvに対応する水平同期信号HSYおよび垂直同期信号VSYと、表示動作を制御するための制御信号Dcとを受け取る。また、表示制御回路7は、受け取ったこれらの信号Dv,HSY,VSY,Dcに基づき、そのデジタルビデオ信号Dvの表す画像を表示部に表示させるための信号として、データクロック信号SCKと、データスタートパルス信号SSPと、ラッチストローブ信号LSと、表示すべき画像を表すデジタル画像信号DA(ビデオ信号Dvに対応する信号)と、ゲートスタートパルス信号GSPと、ゲートクロック信号GCKと、ゲートドライバ出力制御信号GOEとを生成し、これらを出力する。
【0035】
より詳しくは、ビデオ信号Dvを内部メモリで必要に応じてタイミング調整等を行った後に、デジタル画像信号DAとして表示制御回路7から出力し、そのデジタル画像信号DAの表す画像の各画素に対応するパルスからなる信号としてデータクロック信号SCK(SCK1・SCK2)を生成し、水平同期信号HSYに基づき1水平走査期間毎に所定期間だけハイレベル(Hレベル)となる信号としてデータスタートパルス信号SSP(SSP1・SSP2)を生成し、垂直同期信号VSYに基づき1フレーム期間(1垂直走査期間)毎に所定期間だけHレベルとなる信号としてゲートスタートパルス信号GSP(GSP1・GSP2)を生成し、水平同期信号HSYに基づきゲートクロック信号GCK(GCK1・GCK2)を生成し、水平同期信号HSYおよび制御信号Dcに基づきラッチストローブ信号LS(LS1・LS2)、ならびにゲートドライバ出力制御信号GOE(GOE1・GOE2)を生成する。
【0036】
上記のようにして表示制御回路7において生成された信号のうち、デジタル画像信号DA1、ラッチストローブ信号LS1、信号電位(データ信号電位)の極性を制御する信号POL1、データスタートパルス信号SSP1、およびデータクロック信号SCK1、信号電位(データ信号電位)の極性を制御する信号POL1が、上側ソースドライバ3a…に入力され、デジタル画像信号DA2、ラッチストローブ信号LS2、信号電位(データ信号電位)の極性を制御する信号POL2、データスタートパルス信号SSP2、およびデータクロック信号SCK2、信号電位(データ信号電位)の極性を制御する信号POL2が、下側ソースドライバ4a…に入力される。また、ゲートスタートパルス信号GSP1、ゲートクロック信号GCK1、ゲートドライバ出力制御信号GOE1が、上側ゲートドライバ5a…に入力され、ゲートスタートパルス信号GSP2、ゲートクロック信号GCK2、ゲートドライバ出力制御信号GOE2が、下側ゲートドライバ6a…に入力される。
【0037】
上側ソースドライバ3a…および下側ソースドライバ4a…は、デジタル画像信号DA1・DA2、データクロック信号SCK1・SCK2、ラッチストローブ信号LS1・LS2、データスタートパルス信号SSP1・SSP2、および極性反転信号POL1・POL2に基づき、デジタル画像信号DA1・DA2の表す画像の各走査信号線における画素値に相当するアナログ電位としてのデータ信号を1水平走査期間毎に順次生成し、これらのデータ信号をデータ信号線SL1・SL2に出力する。
【0038】
また、パネル基板2上には、上側領域10aと上側ソースドライバ3a…との間に配線Lcs1が、また、下側領域10bと下側ソースドライバ4a…との間に配線Lcs2が、それぞれ走査信号線GL…の延びる方向と平行に延びるように設けられている。液晶表示装置1では例えばドット反転駆動を行い、配線Lcs1は水平帰線期間にデータ信号線SL1…どうしを接続し、データ信号線SL1…間で電荷の相殺を行う、いわゆるチャージシェアリングを行う。また、配線Lcs2は水平帰線期間にデータ信号線SL2…どうしを接続し、データ信号線SL2…間で同じくチャージシェアリングを行う。なお、チャージシェアリングを行うのに、配線Lcs1・Lcs2の一端にコモン電圧Vcomを供給するようにしてもよい。
【0039】
上側ゲートドライバ5a…および下側ゲートドライバ6a…は、それぞれ、ゲートスタートパルス信号GSP1・GSP2およびゲートクロック信号GCK1・GCK2と、ゲートドライバ出力制御信号GOE・GOE2とに基づき、走査信号を生成し、これらを走査信号線GL1・GL2に出力し、これによって走査信号線GL1・GL2を選択的に駆動する。
【0040】
上記のようにソースドライバおよびゲートドライバにより表示部(液晶パネル)のデータ信号線および走査信号線が駆動されることで、選択された走査信号線に接続されたTFTを介して、データ信号線から画素電極に信号電位が書き込まれる。これにより各画素の液晶層にデジタル画像信号DAに応じた電圧が印加され、その電圧印加によってバックライトからの光の透過量が制御され、デジタルビデオ信号Dvの示す画像が画素に表示される。
【0041】
次に、図3に、液晶表示装置1の画素PIXの構成を示す。画素PIXは上側領域10aと下側領域10bとに共通の構成である。
【0042】
画素PIXは、走査信号線GLとデータ信号線SLとの交差部に対応して設けられており、TFT11、液晶容量CL、および、補助容量Ccsを備えている。TFT11のゲート(G)は走査信号線GLに、ソース(S)はデータ信号線SLに、ドレイン(D)は画素電極12に、それぞれ接続されている。液晶容量CLは、画素電極12とコモン電圧Vcomに保持された対向電極13との間に形成される容量であり、補助容量Ccsは、画素電極12と補助容量電圧Vcsが印加された電極14との間に形成される容量である。電極14は補助容量配線に接続されており、補助容量電圧Vcsは当該補助容量配線を介して電極14に印加される。補助容量電圧Vcsはコモン電圧Vcomに等しく取ることもできる。また、画素PIXには、その他に、画素電極12と走査信号線GLとの間に形成された寄生容量Cgdが存在する。
【0043】
TFT11は、アクティブマトリクス型の画素におけるアクティブ素子としての3端子素子である。TFT11は、走査信号線GLを介してゲートに画素PIXを選択期間とする走査信号が印加された場合にON状態となり、走査信号線GLを介してゲートに画素PIXを非選択期間とする走査信号が印加された場合にOFF状態となる。TFT11のON期間には、データ信号線SLからTFT11のソースおよびドレインを介して画素PIXにデータ信号が供給され、TFT11のOFF期間には、画素PIXは前回の選択期間に供給されたデータ信号が書き込まれた状態を保持する。
【0044】
(駆動方法について)
次に、本実施形態における液晶表示装置1の駆動方法について説明する。
【0045】
液晶表示装置1の製造過程においてはパネルの点灯検査が行われる。このとき、表示制御回路7のタイミングコントローラ内では、表示制御回路7の外部から設定したタイミングで信号が生成される。例えばラッチストローブ信号LS1・LS2は、表示制御回路7に外部からソフトウェアによって書き込まれた制御信号Dcと水平同期信号HSYとに従って、タイミングコントローラが生成する信号である。
【0046】
パネルの点灯検査においては、まず初期設定された制御信号Dcと水平同期信号HSYとに従ったラッチストローブ信号LS1・LS2を用いてパネル表示を行う。このとき、もし、前述したような領域ごとの形成条件の相違によって、上側領域10aの輝度と下側領域10bの輝度とが異なった場合には、以下の処理を行う。
【0047】
ここでは、点灯検査において例えば上側領域10aの輝度が下側領域10bの輝度よりも小さかった場合を考える。
【0048】
図1(a)に、上側領域10a用のラッチストローブ信号LS1、走査信号VG1、および、データ信号Vs1の波形を示す。図1(b)に、下側領域10b用のラッチストローブ信号LS2、走査信号VG2、および、データ信号Vs2の波形を示す。
【0049】
図1(a)のラッチストローブ信号LS1は、パネルの点灯検査を行ったときの信号波形であり、図1(b)のラッチストローブ信号LS2は、パネルの点灯検査の結果を考慮した波形であって、パルス周期は変えずに、パルス幅がラッチストローブ信号LS1よりも大きくなるように、表示制御回路7に外部から再び書き込んで設定したものである。ラッチストローブ信号LS2のパルス幅を大きくするにあたっては、パルスの開始タイミング(ここではパルスの立ち上がりタイミング)がラッチストローブ信号LS1と同じになるようにするとともに、パルスの終了タイミング(ここではパルスの立ち下がりタイミング)がラッチストローブ信号LS1よりも遅くなるようにしている。
【0050】
上側ソースドライバ3a…は、表示制御回路7から供給されたラッチストローブ信号LS1を用いてデータ信号Vs1を出力する。すなわち、データ信号Vs1は、ラッチストローブ信号LS1の立ち下がりのタイミングで該当する行に出力される。また、データ信号Vs1は、ラッチストローブ信号LS1がハイ(「H」)レベルの期間(Tcs)は、コモン電圧Vcomとなっている。これは、チャージシェアを行うことにより実現可能である。これにより、図1(a)に示すように、ラッチストローブ信号LS1のパルスの立ち下がりから次のパルスの立ち上がりまでの期間、画素PIXに対応するプラス極性のデータ信号Vs1が出力されることになる。そして、走査信号VG1のゲートハイ電圧Vghの期間(Tg−on1)だけ、対応する画素PIXが選択され、その選択期間に、画素PIXにデータ信号Vs1が供給される。これにより、画素PIXには、期間Ts1に応じたデータ信号Vs1が充電される。
【0051】
これに対して、ラッチストローブ信号LS2は、図1(b)に示すように、そのパルス幅がラッチストローブ信号LS1よりも大きい。これにより、ラッチストローブ信号LS1のパルスの立ち下がりから次のパルスの立ち上がりまでの期間、画素PIXに対応するプラス極性のデータ信号Vs2が出力されることになる。そして、走査信号VG2のゲートハイ電圧Vghの期間(Tg−on2)だけ、対応する画素PIXが選択され、その選択期間に、画素PIXにデータ信号Vs2が供給される。これにより、画素PIXには、期間Ts2に応じたデータ信号Vs2が充電される。
【0052】
ここで、走査信号VG1・VG2は、表示制御回路7から出力される共通の信号であるため、対応する画素PIXの選択期間Tg−on1・Tg−on2は互いに等しくなる。そのため、走査信号VG2のゲートハイ電圧Vghの期間(選択期間Tg−on2)のうち、対応する画素PIXをデータ信号Vs2で目的の電圧に充電する期間Td2は、走査信号VG1のゲートハイ電圧Vghの期間(選択期間Tg−on1)のうち、対応する画素PIXをデータ信号Vs1で目的の電圧に充電する期間Td1よりも短くなる(Td1>Td2)。これにより、図1(a)の場合と、図1(b)の場合とで、画素PIXへのデータ信号の充電時間を異ならせることができる。
【0053】
このように、選択期間を決める走査信号VG1・VG2が互いに共通する構成において、ラッチストローブ信号LS1・LS2のパルス幅を異ならせることにより、対応する画素PIXの充電率を変化させることができる。図1(a)および図1(b)では、ラッチストローブ信号LS2のパルス幅を大きくしたので、下側領域10bの画素PIX…の充電率が低下し、それだけ輝度も低下する。この充電率を適切に設定することにより、上側領域10aの画素PIX…の輝度と、下側領域10bの画素PIX…の輝度とを揃えることができるようになる。
【0054】
(ソースドライバの構成について)
次に、上記駆動方法を実現するためのソースドライバの構成について説明する。
【0055】
図4は、本液晶表示装置1のソースドライバの概略構成を示す図である。なお、図4では、一例として、上側ソースドライバ3a…の1つを示している。
【0056】
ソースドライバ3aは、シフトレジスタ3bおよびサンプリング回路3cを備え、サンプリング回路3cは、シフトレジスタ3bの各フリップフロップ(図示せず)から順次入力される信号により、映像信号DA1のラッチを行う第1ラッチ回路3d、第1ラッチ回路3dから出力されるデータをラッチして保持する第2ラッチ回路3e、第2ラッチ回路3eから出力されるデータをD/A変換してデータ信号線SL1(1)〜SL1(n+1)に向けて出力するD/A変換部3fを備えている。
【0057】
シフトレジスタ3bは、表示制御部7から入力されるデータクロック信号SCKおよびデータスタートパルス信号SSPに基づいて、サンプリング信号SMPを出力する。第1ラッチ回路3dは、サンプリング信号SMPおよびデータ信号DA1に基づいてラッチ動作を行う。第2ラッチ回路3eは、第1ラッチ回路3dの出力データ(全ての行データ)を、ラッチストローブ信号LS1に基づいて取り込むとともに、ラッチ動作を行う。ここで、第2ラッチ回路3eは、ラッチストローブ信号LS1のパルスの立ち下がりのタイミングで第1ラッチ回路3dの出力データをラッチし、次のパルスの立ち上がりのタイミングまでデータを保持する。なお、データを保持する期間は、パルスの立ち下がりから、次のパルスの立ち下がりまでであってもよい。
【0058】
第2ラッチ回路3eの出力は、D/A変換部3fにおいてD/A変換された後、データ信号Vs1(1)〜Vs1(n+1)として、データ信号線SL1(1)〜SL1(n+1)に出力される。
【0059】
(チャージシェアについて)
図5(a)に、本液晶表示装置において、リフレッシュ期間を設ける場合のソースドライバの構成を示す。図5(a)に示すように、この場合のソースドライバには、各データ信号線に対応してバッファ31と、データ出力用スイッチSWaと、リフレッシュ用スイッチSWbとが設けられる。バッファ31には対応するデータdが入力され、バッファ31の出力は、データ出力用スイッチSWaを介してデータ信号線への出力端に接続されている。また、隣り合う2本のデータ信号線それぞれに対応する出力端は、リフレッシュ用スイッチSWbを介して互いに接続されている。すなわち、各リフレッシュ用スイッチSWbは直列に接続され、その一端がリフレッシュ電位供給源35(Vcom)に接続されている。ここで、データ出力用スイッチSWaのゲート端子には、チャージシェア信号shがインバータ33を介して入力され、リフレッシュ用スイッチSWbのゲート端子には、チャージシェア信号shが入力される。
【0060】
なお、図5(a)に示すソースドライバを図5(b)のように構成してもよい。すなわち、リフレッシュ用スイッチSWcを、対応するデータ信号線とリフレッシュ電位供給源35(Vcom)にのみに接続し、各リフレッシュ用スイッチSWcを直列に接続しない構成とする。こうすれば、1水平走査期間の冒頭において、所定期間Tcs(図1)だけ、各データ信号線に速やかにリフレッシュ電位(Vcom)を供給することができる。
【0061】
以上、本実施形態について述べた。
【0062】
なお、上記実施形態では、画面を2つの領域に分割したが、これに限らず一般に複数の領域に分割してよい。例えば、図2において、上側ゲートドライバ5a…および下側ゲートドライバ6a…との間に表示部10を挟むように上下のゲートドライバを備え、画面を4つの領域に分割するようにしてもよい。ゲートクロック信号は、各ゲートドライバに個別に供給される。また、複数の領域のうち、一部のみが互いに図1(a)および図1(b)の関係にあってもよい。
【0063】
また、チャージシェアリングは行わなくてもよい。
【0064】
また、表示素子は液晶素子に限らず、EL表示装置など、アクティブマトリクス型の表示装置は全て本発明の対象となる。
【0065】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、液晶表示装置に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(a)および(b)は、本発明の実施形態を示すものであり、表示装置の各電圧波形を示す波形図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の表示装置が備える画素の等価回路を示す回路図である。
【図4】図2の表示装置が備えるソースドライバの構成例を示す回路ブロック図である。
【図5】図2の表示装置が備えるソースドライバにおいてチャージシェアを行う場合の構成例を示す回路図である。
【図6】従来技術を示すものであり、上下分割された画面を備える表示装置の構成を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
1 液晶表示装置(表示装置)
10 表示部
10a 上側領域(領域)
10b 下側領域(領域)
3a 上側ソースドライバ
3b シフトレジスタ
3c サンプリング回路
3d 第1ラッチ回路
3e 第2ラッチ回路
3f D/A変換部
4a 下側ソースドライバ
5a 上側ゲートドライバ
6a 下側ゲートドライバ
VG1 走査信号
VG2 走査信号
LS1 ラッチストローブ信号
LS2 ラッチストローブ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域に分割された表示部と、前記領域ごとに設けられる複数のソースドライバとを備え、前記複数のソースドライバが、該複数のソースドライバに個別に入力されるラッチストローブ信号のタイミングを用いて前記複数の領域に個別にデータ信号を出力する表示装置であって、
前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記パルス幅が異なる前記ラッチストローブ信号どうしは、パルス終了タイミングが互いに異なっていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ソースドライバは、前記ラッチストローブ信号のパルス終了タイミングに同期して前記データ信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の領域に対応するそれぞれのゲートドライバに入力されるそれぞれのゲートクロック信号は、その周期およびパルス幅が互いに等しいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の領域に分割された表示部と、前記領域ごとに設けられる複数のソースドライバとを備え、前記複数のソースドライバが、前記複数のソースドライバに個別に入力されるラッチストローブ信号のタイミングを用いて前記複数の領域に個別にデータ信号を出力する表示装置の駆動方法であって、
前記複数のソースドライバは、前記複数の領域の中に、前記ラッチストローブ信号のパルス幅が互いに異なるものが含まれるように、前記複数の領域に個別に前記データ信号を出力することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記パルス幅が異なる前記ラッチストローブ信号どうしは、パルス終了タイミングが互いに異なっていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記ソースドライバは、前記ラッチストローブ信号のパルス終了タイミングに同期して前記データ信号を出力することを特徴とする請求項5または6に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記複数の領域に対応するそれぞれのゲートドライバに入力されるそれぞれのゲートクロック信号は、その周期およびパルス幅が互いに等しいことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−265334(P2009−265334A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114247(P2008−114247)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】