説明

表示装置および電子機器

【課題】カーソルの座標情報を高い操作性の下に入力することができ、かつデザイン性を良好に保つことができる電子機器を提供すること。
【解決手段】表示面41aを有する表示部41と、表示面の上方に配置されたタッチパネル式の入力部42と、入力部の上方に配置されたカバー部3と、カバー部を変位可能に支持する支持部と、カバー部の変位を検出する変位検出部62cと、変位検出部の検出結果に応じて表示部の画面中に表示すべきカーソルの位置を制御する演算制御部とを電子機器1に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像およびカーソルを表示部に表示する電子機器では、カーソルの座標情報を入力するために、マウス、タッチパッド、タッチペン、ジョイスティック、ポインティングスティック、カーソル移動キー等のポインティングデバイスが設けられる。例えば特許文献1には、スティック状の荷重センサからなるポインティングデバイスが記載されており、特許文献2には、歪み検出素子が配置された基板に軸を設けると共にこの軸の上部に板状の操作部を設けた荷重センサからなるポインティングデバイスが記載されている。
【0003】
また、平板状の本体の1つの主面の略全体に亘るタッチパネル式ディスプレイを備えたいわゆるスレートPCと呼ばれる携行型電子機器には、デザイン性を高めるために、例えば特許文献1,2に記載されたポインティングデバイスのように筐体から外部に露出するポインティングデバイスを用いずに、タッチパネルからカーソルの座標情報を入力するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−174646号公報
【特許文献2】特開平9−265348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルからカーソルの座標情報を入力するときには、画面の少なくとも一部がユーザの指や手で必然的に覆い隠されてしまうため、操作性が低下する場合がある。例えば、ゲームのキャラクタをカーソルで指定してこのキャラクタをジグザグ状等、複雑な方向に移動させるとき等においては、操作性が低下して所望の操作を行い難い。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、カーソルの座標情報を高い操作性の下に入力することができ、かつデザイン性を良好に保つことができる表示装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、表示面を有する表示部と、前記表示面の上方に配置されて該表示面に表示された画面に対する入力を検出するタッチパネル式の入力部と、前記入力部の上方に配置されたカバー部と、前記カバー部を変位可能に支持する支持部と、前記カバー部の変位を検出する変位検出部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の電子機器は、表示面を有する表示部と、前記表示面の上方に配置されて該表示面に表示された画面に対する入力を検出するタッチパネル式の入力部と、前記入力部の上方に配置されたカバー部と、前記カバー部を変位可能に支持する支持部と、前記カバー部の変位を検出する変位検出部と、前記表示部の画面中に表示すべきカーソルの位置を前記変位検出部の検出結果に応じて制御する演算制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置では、カバー部を押圧したときに変位検出部によって検出されるカバー部の変位をカーソルの座標情報として用いることができる。このため、変位検出部を表示部の周囲に配置することにより、画面を指や手で覆い隠すことなくカーソルの座標情報を入力することが可能になる。また、変位検出部は、当該表示装置の表面に露出させずにカバー部の下方に配置することができる。これらの結果として、本発明の表示装置では、カーソルの座標情報を高い操作性の下に入力することができ、かつデザイン性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1による電子機器の一例を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した電子機器の一部を示す拡大図である。
【図3】図3は、図2に示したIII−III線断面の概略図である。
【図4】図4は、図2に示したIV−IV線断面の概略図である。
【図5】図5は、図1に示した電子機器でカーソルの座標情報を入力する際の操作の一例を概略的に示す平面図である。
【図6】図6は、図1に示した電子機器を概略的に示す機能ブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2による電子機器の一例を概略的に示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態3による電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の表示装置におけるカバー部のうち、複合部材からなるカバー部の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1による電子機器の一例を概略的に示す平面図であり、図2は、図1に示した電子機器の一部を示す拡大図である。これら図1および図2に示す電子機器1は、画像表示および通信ネットワークへの接続が可能な携行型電子機器である。
【0013】
この電子機器1は、開放面2aを有する箱状の筐体2、筐体2に設けられて開放面2aを覆うカバー部3、筐体2に収容されてカバー部3の下方に位置する表示モジュール4、筐体2の内周面とカバー部3の外周面との間を封止する封止材5、および表示モジュール4に表示されるカーソルCの座標情報を入力するためのポインティングデバイス6を備える。図1および図2には現れていないが、電子機器1は、ポインティングデバイス6から入力された座標情報に応じて表示モジュール4に表示すべきカーソルCの位置を制御する演算制御部、および外部通信を行う送受信部等も備える。なお、本説明でいう「カーソル」は、画面上で座標を指定する「ポインタ」を含む。
【0014】
筐体2は、例えば合成樹脂等の有機材料や金属等の無機材料によって作製される。この筐体2には、表示モジュール4、演算制御部、送受信部等が収容される。カバー部3は、透明ガラスや透明合成樹脂等の透明材料からなり、平板状を呈する。表示モジュール4はタッチパネル式ディスプレイによって構成され、表示面4aをカバー部3側に向けて筐体2に収容される。この表示モジュール4は、画像およびカーソルCを表示可能である。封止材5は、例えばエラストマ等の弾性材料によって作製されて、カバー部3と共に筐体2を水密に封止する。
【0015】
ポインティングデバイス6は、筐体2内に固定配置されてカバー部3をその厚さ方向と直交する方向に変位可能に支持する計4つの支持部61a〜61dを有する。また、ポインティングデバイス6は、筐体2内に固定配置されてカバー部3をその厚さ方向と直交する方向に変位可能に支持すると共に、筐体2に対するカバー部3の変位を検出する計4つの変位検出部62a〜62dも有する。さらに、ポインティングデバイス6は、筐体2内に固定配置されて電子装置1全体に働く加速度検出する加速度検出部63も有する。
【0016】
各支持部61a〜61dは、例えば合成ゴムやエラストマ等の弾性材料によって作製され、筐体2の内縁に沿って配置される。また、各変位検出部62a〜62dは、例えば歪みセンサや感圧センサ等の接触式変位センサを用いて構成されて、筐体2内の四隅に分散配置される。個々の変位検出部62a〜62dは、例えば互いに直交する2軸方向の変位を検出可能である。加速度検出部63は、例えば3軸加速度センサを用いて構成されて、例えば筐体2の中央部に配置される。
【0017】
演算制御部は、ポインティングデバイス6から入力された座標情報に応じて、表示モジュール4に表示すべきカーソルCの位置を制御する。さらには、表示モジュール4の動作を制御して、表示モジュール4に所定の画像を表示させる。また、送受信部は、通信ネットワークに接続して、通信ネットワークに接続して、該通信ネットワークへの信号や情報等の送出処理および通信ネットワークからの信号や情報等の受信処理を行う。
【0018】
ここで、図3および図4を参照して、ポインティングデバイス6の構成を更に詳述する。図3は、図2に示したIII−III線断面の概略図であり、図4は、図2に示したIV−IV線断面の概略図である。
【0019】
これら図3および図4に示すように、筐体2の内縁には枠形状のステージ部2bが設けられており、このステージ部2b上に各支持部61a〜61dおよび各変位検出部62a〜62dが固定配置される。図3には支持部61cが現れており、図4には変位検出部62cが現れている。
【0020】
各支持部61a〜61dは、接着剤等の接合材7aによってステージ部2bに接合されると共に接合材7bによってカバー部3の下面内縁部に接合されて、カバー部3を支持する。また、各変位検出部62a〜62dは、所定数のセンサ本体(図示せず)を内蔵するベース部Bと、ベース部Bからカバー部3側に突出してカバー部3の変位をセンサ本体に伝える軸部Sと、可撓性材料や弾性材料によって作製されて軸部Sの上端部を覆うキャップ部Caとを有する。ベース部Bが接着剤等の接合材8aによってステージ部2bに接合され、キャップ部Caの上面が接合材8bによってカバー部3の下面内縁部に接合されて、カバー部3を補助的に支持する。
【0021】
なお、図3および図4に示すように、表示モジュール4は、表示面41aをカバー部3側に向けて配置された液晶表示パネル等のフラットディスプレイパネルを有する表示部41と、表示面41aの上方(前方)に固定配置されて、表示面41aに表示された画面に対する入力を検出するタッチパネル式の入力部42(以下、透明タッチパネル部42という)とを用いて構成可能である。表示部41の表示面41aが表示モジュール4の表示面4aとなる。
【0022】
また、カバー部3は、透明タッチパネル部42の上面(前面)に透明接合材によって接合してもよいし、透明タッチパネル部42が例えば静電容量式である場合には、該透明タッチパネル部42から離隔させて透明タッチパネル部42の上方に配置してもよい。カバー部3を透明タッチパネル部42から離隔させて配置する場合には、表示部41と透明タッチパネル部42とを支持する表示モジュール支持部を筐体2内に配置する。
【0023】
上述したポインティングデバイス6を備える電子機器1では、カバー部3の厚さ方向と直交する方向の分力がカバー部3に働くようにして手の指等でカバー部3を押圧することにより、ポインティングデバイス6からカーソルCの座標情報を入力することができる。カバー部3の押圧は、例えば図5に示すように、変位検出部62c等の所望の変位検出部の上方を手の指Fで押すことによって行うことができる。また、カバー部3の押圧は、変位検出部の上方から外れた箇所を手の指Fで押すことによっても行うこともできる。以下、図6を参照して、ポインティングデバイス6から入力されたカーソルCの座標情報に基づくカーソルCの表示制御について詳述する。
【0024】
図6は、図1に示した電子機器1を概略的に示す機能ブロック図である。図6に示すように、電子機器1は、上述した各構成要素に加えて、記憶部11および電源部12を更に備える。
【0025】
演算制御部9は、ポインティングデバイス6、透明タッチパネル部42、または送受信部10から入力された情報に基づいて表示部41の動作を制御して、カーソルC(図1参照)や所定の画像を表示部41に表示させる。そのために、演算制御部9は、入力情報処理部91、変位補正部92、位置座標演算部93、表示制御部94、および送受信処理部95を有する。
【0026】
入力情報処理部91は、各変位検出部62a〜62dおよび加速度検出部63それぞれの検出結果を変位補正部92に入力すると共に、透明タッチパネル部42からの入力信号をその内容に応じて表示制御部94または送受信処理部95に入力する。また、変位補正部92は、変位検出部62a〜62dの検出結果と加速度検出部63の検出結果とに基づいて、ポインティングデバイス6が操作されたことに起因するカバー部3の変位を求める。位置座標演算部93は、変位補正部92の補正結果に基づいて、画面中でのカーソルCの位置座標を求める。
【0027】
表示制御部94は、位置座標演算部93の演算結果に基づいて表示部41の画面中でのカーソルCの表示位置を制御するカーソル制御部94aを有する。また、表示制御部94は、透明タッチパネル部42からの入力信号や、送受信部10が受信して送受信処理部95により記憶部11に格納された情報等に基づいて表示部41の動作を制御して、所定の画面を表示部41に表示させる主表示制御部94bも有する。
【0028】
送受信処理部95は、送受信部10を通信ネットワークに接続する接続処理および通信ネットワークとの接続を切断する切断処理を行う。また、送受信処理部95は、送受信部10から通信ネットワークに送出する送信信号の作成、および送受信部10が通信ネットワークから受信した受信信号に対応する情報等の記憶部11への格納も行う。
【0029】
送受信部10は、前述したように、通信ネットワークに接続して、該通信ネットワークへの信号や情報等の送出処理および通信ネットワークからの信号や情報等の受信処理を行う。記憶部11には、演算制御部9の制御プログラム、および送受信部10が受信した信号や情報等が格納される。電源部12は、例えば二次電池を用いて構成されて、電子機器1の電力源として機能する。
【0030】
上述の構成を有する電子機器1では、図5に示したようにカバー部3が手の指F等で押圧されると、カバー部3の厚さ方向と直交する方向の分力がカバー部3に働いて当該分力の方向にカバー部3が変位する。この変位は各変位検出部62a〜62dによって検出され、検出結果が変位補正部92に送られる。また、ユーザが電子機器1を動かす等して電子機器1が非慣性運動した場合には、非慣性運動時の加速度が加速度検出部63によって検出されて、検出結果が変位補正部92に送られる。さらには、重力加速度も加速度検出部63によって検出されて、検出結果が変位補正部92に送られる。
【0031】
これらの検出結果を受けた変位補正部92は、変位検出部62a〜62dの検出結果と加速度検出部63の検出結果とに基づいて、ポインティングデバイス6が操作されたことに起因するカバー部3の変位、別言すればカバー部3が押圧されたことに起因するカバー部3の変位を求めて、この変位に係る情報を位置座標演算部93に送る。位置座標演算部93は、上記変位に係る情報に基づいてポインティングデバイス6からのカーソルCの座標情報の入力結果を確定し、この入力結果に基づいて表示部41の画面中でのカーソルCの位置座標を求め、該位置座標に係る情報を表示制御部94に送る。
【0032】
表示制御部94中のカーソル制御部94aは、位置座標演算部93が求めた位置座標の情報に基づいて、表示部41の画面中でのカーソルCの表示位置を制御する。具体的には、カーソルCを上記の分力の方向と同じ方向に移動させる。電子機器1では、たとえカバー部3の変位が封止材5からの反力によって止まったとしても、カバー部3が手の指F等で押圧されている間は、すなわちカバー部3が非押圧状態下の位置から離間する方向に変位していることを変位検出部62a〜62dの少なくとも1つが検出している間は、ポインティングデバイス6からカーソルCの座標情報が入力され続けているものとして扱う。
【0033】
上述のようにしてカーソルCの表示制御を行う電子機器1では、カバー部3を押圧したときに各変位検出部62a〜62dによって検出されるカバー部3の変位をカーソルCの座標情報として用いるので、すなわちポインティングデバイス6によってカーソルCの座標情報を入力することができるので、画面を指や手で覆い隠すことなくカーソルCの座標情報を入力することが可能である。このため、電子機器1では、カーソルCの座標情報を高い操作性の下に入力することができる。例えば、画面に表示したゲームのキャラクタをカーソルCで指定してキャラクタを例えばジグザグ状等、複雑な方向に移動させるとき等においても、高い操作性が得られる。
【0034】
また、各変位検出部62a〜62dは、カバー部3の下方に配置されて筐体2から外部に露出しない。このため、電子機器1では、そのデザイン性をポインティングデバイス6がないときのデザイン性と同様に良好に保つことができる。
【0035】
(実施の形態2)
ポインティングデバイスは、カバー部の1方向の変位を検出する1軸の変位検出部を2つ用いて構成することもできる。この場合、一方の変位検出部が検出するカバー部の変位方向と他方の変位検出部が検出するカバー部の変位方向とが互いに異なるように、好ましくは互いに直交するように、これら2つの変位検出部を配置することが好ましい。
【0036】
図7は、実施の形態2による電子機器の一例を概略的に示す平面図である。図7に示す電子機器101は、図1に示したポインティングデバイス6に代えてポインティングデバイス106を備えるという点を除き、図1に示した電子機器1と同様の構成を有する。図7に示した構成要素のうちで図1に示した構成要素と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0037】
ポインティングデバイス106は、図1に示した支持部61bに代えて2つの支持部61b1,61b2を備えるという点、図1に示した支持部61cに代えて2つの支持部61c1,61c2を備えるという点、および図1に示した計4つの変位検出部62a〜62dに代えて計2つの変位検出部162a,162bを備える点をそれぞれ除き、ポインティングデバイス6と同様の構成を有する。
【0038】
変位検出部162aは、支持部61b1と支持部61b2との間に配置されてカバー部3を補助的に支持すると共に、支持部61b1,61b2の配列方向に沿ったカバー部3の変位を検出する。また、変位検出部162bは、支持部61c1と支持部61c2との間に配置されてカバー部3を補助的に支持すると共に、支持部61c1,61c2の配列方向に沿ったカバー部3の変位を検出する。ポインティングデバイス106によるカーソルCの座標情報の入力は、ポインティングデバイス6によるカーソルCの座標情報の入力と同じ要領で行うことができる。
【0039】
上述の構成を有する電子機器101では、図1に示した電子機器1と同様に、画面を指や手で覆い隠すことなくポインティングデバイス106からカーソルCの座標情報を入力することができるので、カーソルCの座標情報を高い操作性の下に入力することができる。また、電子機器101では、各変位検出部162a,162bがカバー部3の下方に配置されて筐体2から外部に露出しないので、そのデザイン性をポインティングデバイス106がないときのデザイン性と同様に良好に保つことができる。
【0040】
(実施の形態3)
ポインティングデバイスは、タッチパネル式ディスプレイと物理キーボード、仮想キーボード、または操作パネルとを備えた電子機器での表示部の周辺に設けることもできる。
【0041】
図8は、実施の形態3による電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。図8に示す電子機器201は、機器本体202と、表示装置203と、表示装置203を機器本体202の上面上に開閉自在に保持する2つのヒンジ部204a,204bとを有する携行型のコンピュータである。
【0042】
機器本体202は、物理キーボード221を備える。また、機器本体202内には、表示装置203の動作を制御する不図示の演算制御部が内蔵されている。表示装置203は、開放面232aを有する筐体232と、筐体232に設けられて開放面232aを覆うカバー部233と、筐体232に収容されてカバー部233の下方に位置する表示モジュール234と、筐体232の内周面とカバー部233の外周面との間を封止する封止材235と、表示モジュール234に表示されるカーソルCの座標情報を入力するためのポインティングデバイス236とを備える。
【0043】
表示モジュール234は、例えば図3に示した表示モジュール4と同様に表示部と透明タッチパネル部と有するタッチパネル式ディスプレイであり、表示面234aをカバー部233側に向けて筐体232に収容される。ポインティングデバイス236は、図1に示したポインティングデバイス6と同様に計4つの支持部と、計4つの変位検出部と、1つの加速度検出部とを有する。図8には、ポインティングデバイス236の構成要素のうちの変位検出部236a〜236dのみが示されている。ポインティングデバイス236によるカーソルCの座標情報の入力は、ポインティングデバイス6によるカーソルの座標情報の入力と同じ要領で行うことができる。なお、機器本体202に内蔵された演算制御部は、図6に示した演算制御部9と同様に、ポインティングデバイス236が操作されたことに起因するカバー部234の変位に応じて、表示モジュール234の画面中でのカーソルCの表示位置を制御する。
【0044】
上述の構成を有する電子機器201では、表示装置203にポインティングデバイス236が配置されているので、機器本体202にはポインティングデバイスを配置しなくてもよい。結果として、電子機器201では、その小型化を図り易い。また、電子機器201では、画面を指や手で覆い隠すことなくポインティングデバイス236a〜236dからカーソルCの座標情報を入力することができるので、カーソルCの座標情報を高い操作性の下に入力することができる。さらに、電子機器201では、各変位検出部236a〜236bがカバー部3の下方に配置されて筐体232から外部に露出しないので、そのデザイン性をポインティングデバイス236がないときのデザイン性と同様に良好に保つことができる。
【0045】
以上、実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、少なくとも2軸方向の変位を検出する変位検出部を筐体内に固定配置する場合の変位検出部の総数は、1以上の所望数とすることができる。また、1軸方向の変位を検出する変位検出部を筐体内に固定配置する場合の変位検出部の総数は、2以上の所望数とすることができる。
【0046】
変位検出部は、接触式変位センサを用いて構成する他に、光学式変位センサを用いて構成することもできる。光学式変位センサを用いて変位検出部を構成する場合には、筐体内に所望数の支持部を固定配置して当該支持部によってカバー部を変位可能に支持する。接触式変位センサを用いて構成された複数個の変位検出部を筐体内に固定配置する場合には、実施の形態1等で説明した支持部を省略して、当該複数個の変位検出部のみによってカバー部を変位可能に支持することもできる。また、支持部は、摺動材料により形成することも可能である。
【0047】
加速度検出部は、省略することも可能である。ただし、本発明の表示装置を携行型の電子機器の表示装置とする場合や、本発明の電子機器を携行型の電子機器とする場合には、カーソルの座標情報をより正確に入力することを可能にするうえから、加速度検出部を設けた方が好ましい。加速度検出部を省略した場合には、演算制御部における変位補正部を省略することも可能である。変位補正部を省略した場合には、位置座標演算部が変位検出部の検出結果に基づいて画面中でのカーソルの位置座標を求める。
【0048】
封止材も省略することが可能である。ただし、筐体内への塵埃や水分の侵入を防止するという観点からは、封止材を設けた方が好ましい。封止材を設ける場合には、当該封止材を弾性材料によって形成することが好ましい。弾性材料によって封止材を形成すると、ポインティングデバイスの操作によって変位したカバー部が封止材の弾性力によって操作前の位置に自ずと戻るようなる。
【0049】
カバー部は、1つの透明材料からなる平板状の部材であってもよいし、少なくとも1つの透明部材と該透明部材とは異なる材料からなる他の部材とが平板状に接合された複合部材であってもよい。図9は、複合部材からなるカバー部の一例を概略的に示す断面図である。図9に示すカバー部303は、透明部材からなる平板状の主カバー部303aと、主カバー部303aの四方の側面の各々に突き合わせ接続された計4つの副カバー部とからなる。図9には、4つの副カバー部のうちの2つの副カバー部303b,303cが現れている。副カバー部は、不透明材料によって形成してもよいし、半透明材料によって形成してもよいし、透明材料によって形成してもよい。
【0050】
また、カバー部は、平板状部材の縁部に側板を設けたトレー状の部材であってもよい。カバー部をトレー状とした場合、当該カバー部は、筐体の開放面側から該筐体に被せるように配置する。このとき、カバー部での側板の外側面が筐体の内側面と対向するようにカバー部の大きさを選定してもよいし、カバー部での側板の内側面が筐体の外側面と対向するようにカバー部の大きさを選定してもよい。
【0051】
画面中でのカーソルの位置を制御する演算制御部の構成は、該演算制御部を備えた電子機器の使途やグレード等に応じて適宜選定可能である。この演算制御部に変位補正部を設ける場合、変位補正部によってカバー部の変位の演算する際の演算手法も適宜選定可能である。カバー部が押圧されたことに起因するカバー部の変位を正確に演算するうえからは、カバー部に重力が働くことに起因するカバー部の変位、および封止材からの反力に起因するカバー部の変位も加味することが好ましく、そのためにはカバー部の重量のデータや封止材の弾性率のデータを予め記憶部に格納しておくことが好ましい。
【0052】
また、3軸方向の変位を検出する変位検出部を電子機器に設ける場合には、カバー部の厚さ方向に該カバー部が変位したことを当該変位検出部が検出したときに、マウスのクリック操作に相当する操作が行われたものとして所定の機能を実行するように演算制御部を構成することもできる。
【0053】
本発明の表示装置は、タッチパネル式の入力部を備えた携行型および据置き型のいずれの電子機器の表示装置としても用いることができる。また、本発明の電子機器は、タッチパネル式の入力部を有する表示装置を備えた携行型および据置き型のいずれの電子機器であってもよい。携行型の電子機器の具体例としては、携帯電話、携行型ゲーム機、携行型コンピュータ、携行型端末等が挙げられる。据置き型電子機器の具体例としては、炊飯器、ポット、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫、洗濯機、IHクッキングヒータ等のいわゆる白物家電(生活家電)や、電子フォトスタンド、プリンタ、コピー機、ファクシミリ、給湯器のコントロールパネル、工作機械のコントロールパネル等が挙げられる。また、本発明の電子機器は、電子機器本体を遠隔制御するリモートコントローラであってもよい。本発明の表示装置および電子機器の各々については、上述した以外にも様々な変形、装飾、組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,101,201 電子機器
2,232 筐体
2a,232a 開放面
3,233,303 カバー部
4,234 表示モジュール
41 表示部
42 タッチパネル式の入力部(透明タッチパネル部)
6,106,236 ポインティングデバイス
61a〜61d,61b1,61b2,61c1,61c2 支持部
62a〜62d,162a,162b,236a〜236d 変位検出部
63 加速度検出部
9 演算制御部
92 変位補正部
203 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する表示部と、
前記表示面の上方に配置されて該表示面に表示された画面に対する入力を検出するタッチパネル式の入力部と、
前記入力部の上方に配置されたカバー部と、
前記カバー部を変位可能に支持する支持部と、
前記カバー部の変位を検出する変位検出部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
当該表示装置全体に働く加速度を検出する加速度検出部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記変位検出部は、接触式変位センサまたは光学式変位センサであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記検出部は少なくとも2軸方向の変位を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項5】
2つの変位検出部を備え、該2つの変位検出部のうちの一方の変位検出部は、1方向の変位を検出し、他方の変位検出部は、前記一方の変位検出部の検出方向とは異なる方向の変位を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項6】
表示面を有する表示部と、
前記表示面の上方に配置されて該表示面に表示された画面に対する入力を検出するタッチパネル式の入力部と、
前記入力部の上方に配置されたカバー部と、
前記カバー部を変位可能に支持する支持部と、
前記カバー部の変位を検出する変位検出部と、
前記表示部の画面中に表示すべきカーソルの位置を前記変位検出部の検出結果に応じて制御する演算制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
当該電子機器全体に働く加速度を検出する加速度検出部を更に備え、
前記演算制御部は、前記変位検出部の検出結果と前記加速度検出部の検出結果とに基づいて前記カーソルの位置を制御することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−104045(P2012−104045A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254070(P2010−254070)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】