説明

表示装置及びその製造方法

【課題】画素電極及び対向電極間に配置する活性材料を各画素全域に渡って膜厚ばらつきが低減された表示装置を提供する。
【解決手段】アレイ基板10上にマトリクス状に配置された島状の下部電極26と、前記下部電極26の行方向に隣接する下部電極26,26間に配置され、下部電極26の列方向に沿って形成される帯状の隔壁24と、帯状の隔壁24の側面に沿って形成される溝34と、下部電極26上に配置される活性層30,32と、活性層30,32を挟んで下部電極26に対向配置される対向電極とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置等のアクティブマトリクス型表示装置は、アレイ基板上に走査線、走査線に直交するように配置された信号線、信号線と走査線との交点付近に配置されたスイッチング素子である画素TFT、画素TFTに接続されマトリクス状に配置された画素などを有し、各画素からの光出力により文字や画像を表示させている。
【0003】
有機EL表示装置に用いられる画素は、アレイ基板側に配置される下部電極(陽極)と、下部電極上に配置される発光層と、発光層上に配置される上部電極(陰極)とによって構成される。
【0004】
このような表示装置において、画素を分離する隔壁をストライプ状に配置した表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−59660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の表示装置において、発光層はインクジェット方式によって形成され、液体状の発光材料をインクジェットヘッドのノズルから吐出させて下部電極上に滴下し、発光層を形成している。
【0006】
このような液体状の発光材料を滴下した場合に、画素の平面形状が矩形であるため、液体状の発光材料が画素の角部まで広がらずに、中央部のみ液体状の発光材料が集まり、表示特性が不均一になるという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、画素電極及び対向電極間に配置する活性材料を各画素全域に渡って膜厚ばらつきが低減された表示装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板上にマトリクス状に配置された島状の画素電極と、前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置され、前記画素電極の列方向に沿って形成される帯状の隔壁と、前記帯状の隔壁に沿って形成されるスリットと、前記画素電極上に配置される活性層と、前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置される対向電極とを備えることを特徴とする表示装置である。
【0009】
本発明は、基板上にマトリクス状に配置された島状の画素電極を形成する工程と、前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置されるように前記画素電極の列方向に沿って帯状の隔壁を形成すると共に、前記帯状の隔壁の側面にスリットを形成する工程と、前記画素電極上に活性層を配置する工程と、前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置されるように対向電極を形成する工程とを備えることを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0010】
本発明は、基板上にマトリクス状に配置され、かつ、列方向に溝を有する島状の画素電極を形成する工程と、前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置されるように前記画素電極の列方向に沿って帯状の隔壁を形成すると共に、前記帯状の隔壁の側面と前記画素電極の溝とでスリットを形成する工程と、前記画素電極上に活性層を配置する工程と、前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置されるように対向電極を形成する工程とを備えることを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0011】
本発明は、基板上にマトリクス状に配置された島状の画素電極を形成する工程と、前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置されるように前記画素電極の列方向に沿って帯状の隔壁を形成すると共に、前記帯状の隔壁の側面と前記島状の画素電極の列方向の端部とでスリットを形成する工程と、前記画素電極上に活性層を配置する工程と、前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置されるように対向電極を形成する工程とを備えることを特徴とする表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画素電極及び対向電極間に配置する活性材料を各画素全域に渡って膜厚ばらつきを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態のフルカラー有機EL表示装置について図1〜図3に基づいて説明する。
【0014】
図1は、有機EL表示装置の一部構造を概略的に示す縦断面図であり、ここでは特に一画素分で、かつ、発光層を形成する前のアレイ基板10の縦断面図を示している。
【0015】
アレイ基板10上には、走査線と、この走査線に直交するように配置された信号線と、信号線と走査線との交点付近に配置されたスイッチング素子である画素TFTと、画素TFTを介して信号線に接続された駆動トランジスタ14と、駆動トランジスタ14より供給される駆動信号に応じて表示動作をする画素をマトリクス状に有している。
【0016】
図1に示すように、例えばガラス基板でなる支持基板12上には画素TFT(薄膜トランジスタ)、駆動トランジスタ14等が形成されている。これら画素TFT、駆動トランジスタ14は、支持基板12上に形成されたポリシリコン半導体層Pと、このポリシリコン半導体層Pと第1絶縁膜16を介して配置されたゲート電極Gと、第1絶縁膜16と第2絶縁膜18を介してポリシリコン半導体層Pのソース領域にコンタクトしたソース電極Sと、第1絶縁膜16及び第2絶縁膜18を介してポリシリコン半導体層Pのドレイン領域にコンタクトしたドレイン電極Dを備えている。画素TFTのソース電極には信号線が接続され、ゲート電極には走査線が接続されている。また、駆動トランジスタ14のゲート電極Gには画素TFTのドレイン電極が接続され、ソース電極Sには高電位端子、ドレイン電極Dには画素を介して低電位端子が接続される。
【0017】
画素は、第2絶縁膜18の上に配置された第3絶縁膜22の上に配置されている。
【0018】
各画素は、下部電極(画素電極ともいう)26と、下部電極26上に配置され少なくとも発光層を含む活性層30,32と、活性層30,32を挟んで下部電極(画素電極)26と対向配置される対向電極とから構成される。
【0019】
詳しくは、画素の下部電極(ここでは陽極)26が第3絶縁膜22の上層にマトリクス状に形成され、第3絶縁膜22に設けられているコンタクトホール28によって駆動トランジスタ14のドレイン電極Dと接続されている。下部電極26は、光透過性導電材料であるITO(Indium Tin Oxide)で形成されている。
【0020】
この下部電極26の上層にはアクリル樹脂よりなる隔壁24が形成されている。隔壁24はマトリクス状に配置された画素電極の行方向に隣接する画素配置され、画素電極の列方向に沿って帯状に形成される。図3に示すように行方向に隣接する画素間には配置されず、全体としては、画素の発光色毎に連続するストライプ状に活性層を区画するよう形成される。このアクリル樹脂で形成された隔壁24を形成するには、UV光でマスク露光する。ここでは、隔壁24は、高さ3μm、底面の幅35μm、表示エリアの対向辺を結ぶ略台形状に形成される。
【0021】
また、本実施形態では、下部電極26の両側からそれぞれ斜めに立ち上がった隔壁24の側面には、それぞれスリットとして溝34が帯状の隔壁に沿って設けられている。隔壁24に溝34を形成するには、UV光でマスク露光するときに溝34に位置する箇所のみマスクを形成せず、UV光の回り込みで一部露光させて溝34を形成する。この溝34を設ける位置は、隔壁24の高さの1/4〜2/3の間に設定することが好ましい。また、この溝34の幅は1μm〜10μmの間に設定することが好ましい。
【0022】
図2に示すように、隣接する隔壁24間に位置する画素の下部電極26の上には、少なくとも発光層を含む活性層が積層されている。この活性層は、下部電極26に対向配置された上部電極(対向電極)との間に挟持されるものである。ここでは、上部電極は陰極として機能する。この活性層は、RGB各色共通に形成されるホール輸送層、エレクトロン輸送層、及び各色毎に形成される有機発光層の多層構造で構成されるか、または、機能的に複合された層構造で構成されている。本実施形態では、ホール輸送層30と有機発光層32の二層構造で説明する。
【0023】
ホール輸送層30は、芳香族アミン誘導体やポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体より形成され、有機発光層は赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する有機化合物によって形成されている。この有機発光層32は、例えば高分子系材料を採用する場合には、PPV(ポリパラフェニデンビニデン)やポリフルオレン誘導体またはその前駆体などを積層して構成されている。
【0024】
このホール輸送層30と有機発光層32を形成には、まず、インクジェット方式等の選択塗布法により活性層を構成する活性材料を滴下塗布する。ここでは、ホール輸送層30を形成する材料を滴下した後、その上に有機発光層32を形成する材料を滴下する。
【0025】
この滴下した液状の発光材料が図3に示す平面形状矩形の画素の下部まで均等に広がるようにするために、隔壁24の両側面に上記した溝34がそれぞれ設けられている。下部電極26に液体状の発光材料がインクジェットヘッドのノズル36から滴下すると図3に示すように、画素の列方向に沿って設けられている溝34に沿って流れ、平面形状矩形の画素の角部まで均等に広がる。したがって、有機発光層32の膜厚を均等に形成することができる。
【0026】
なお、第1の実施形態では隔壁24にスリットとして溝34を設けたが、これに限らず隔壁24に段部を形成しても、同様に液体状材料を膜厚ばらつきが低減された状態で塗布することが可能となる。
【0027】
第2の実施形態の有機EL表示装置について図4及び図5に基づいて説明する。
【0028】
本実施形態と、第1の実施形態の異なる点は、インクジェット方式によりノズル36から滴下された液体状の活性材料を均等に広げるための構造にある。
【0029】
本実施形態では、第3絶縁膜22における画素の周辺縁に対応する位置に列方向に連続する凹み部38を設け、この凹み部38が設けられた第3絶縁膜22の上に下部電極26を積層する。これによって、各画素列の下部電極26の両側に沿って一対の溝40が形成される。そして、この溝40の位置から隔壁24が立ち上がるように形成し、溝40と隔壁24の側面とで構成されるスリットを配置する。
【0030】
この状態でインクジェットヘッドのノズル36からホール輸送層30を塗布、形成した後有機発光層32の液体状の発光材料をそれぞれ滴下する。下部電極26によって形成されている列方向に延びる溝40に沿って液体状の発光材料が毛細管現象によって広がり、平面形状矩形の画素の角部まで均等に広がり、有機発光層32の膜厚ばらつきが発生するのを低減できる。
【0031】
第3の実施形態の有機EL表示装置について図6及び図7に基づいて説明する。
【0032】
本実施形態と第2の実施形態の異なる点は、第2の実施形態では第3絶縁膜22に凹み部38を設けて、下部電極26に溝40を設けたが、本実施形態では第3絶縁膜22は平らに形成し、各画素列において、島状の下部電極26の列方向の端部と隔壁側面とを離間配置することにより形成された溝42をスリットとして配置している。
【0033】
例えば、図7に示すように下部電極26をマスク露光で形成するときにマスクを用いて下部電極材料をパターン露光し、島状の下部電極26と、各画素列の両側に下部電極26と離間配置され、かつ、列方向に延在するスリットパターン27とを形成する。これにより、スリットパターン27端面と島状の下部電極26端面との間に、列方向に延在形成された溝42を配置することができる。
【0034】
上記のようにして溝42が形成された島状の下部電極26の上に液体状の発光材料をノズル36から滴下すると、この一対の溝42に沿って毛細管現象が働き平面形状矩形の画素の角部まで均等に広がり、膜厚ばらつきの低減された活性層を形成できる。
【0035】
さらに、スリットパターン27も各画素列の画素両縁に沿って延在形成されたパターンであるため、スリットとしても機能し、活性材料を塗布した際により一掃膜厚ばらつきの低減された膜状態を得ることができる。
【0036】
また、上述の効果に加え、選択塗布法にて活性材料を塗布形成する場合にも、ある方向に延在形成されたスリットを設けることにより、各画素全域に渡ってまんべんなく活性材料を配置することが可能となり、画素不良の発生を低減することが可能となる。特に画素面積が増大した場合にも膜の成膜状態の良好な活性層を得ることができる。また、隔壁を帯状に形成し、活性層を各画素列に対応したストライプ状に形成することにより、画素面積を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態のアレイ基板の縦断面図である。
【図2】同じく画素部分の拡大縦断面図である。
【図3】画素の平面図である。
【図4】第2の実施形態の画素の拡大縦断面図である。
【図5】同じく画素の平面図である。
【図6】第3の実施形態の画素の拡大縦断面図である。
【図7】同じく画素の平面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 アレイ基板
22 第3絶縁膜
24 隔壁
26 下部電極
28 コンタクトホール
30 ホール輸送層
32 有機発光層
34 溝
36 ノズル
38 凹み部
40 溝
42 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマトリクス状に配置された島状の画素電極と、
前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置され、前記画素電極の列方向に沿って形成される帯状の隔壁と、
前記帯状の隔壁に沿って形成されるスリットと、
前記画素電極上に配置される活性層と、
前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置される対向電極とを備える
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記スリットは、前記隔壁の側面に形成された溝である
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記隔壁の側面と前記画素電極の溝とで構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記隔壁の側面と前記島状の画素電極の列方向の端部とで構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
基板上にマトリクス状に配置された島状の画素電極を形成する工程と、
前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置されるように前記画素電極の列方向に沿って帯状の隔壁を形成すると共に、前記帯状の隔壁の側面にスリットを形成する工程と、
前記画素電極上に活性層を配置する工程と、
前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置されるように対向電極を形成する工程とを備える
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項6】
基板上にマトリクス状に配置され、かつ、列方向に溝を有する島状の画素電極を形成する工程と、
前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置されるように前記画素電極の列方向に沿って帯状の隔壁を形成すると共に、前記帯状の隔壁の側面と前記画素電極の溝とでスリットを形成する工程と、
前記画素電極上に活性層を配置する工程と、
前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置されるように対向電極を形成する工程とを備える
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
基板上にマトリクス状に配置された島状の画素電極を形成する工程と、
前記画素電極の行方向に隣接する前記画素電極間に配置されるように前記画素電極の列方向に沿って帯状の隔壁を形成すると共に、前記帯状の隔壁の側面と前記島状の画素電極の列方向の端部とでスリットを形成する工程と、
前記画素電極上に活性層を配置する工程と、
前記活性層を挟んで前記画素電極に対向配置されるように対向電極を形成する工程とを備える
ことを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−128688(P2007−128688A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318769(P2005−318769)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】