説明

表示装置及びその駆動方法並びに電子機器

【課題】 発光素子は、周囲の温度(以下環境温度と表記)により、その抵抗値(内部抵抗値が変化する性質を有する。具体的には、室温を通常の温度としたとき、温度が通常よりも高くなると抵抗値が低下し、温度が通常よりも低くなると抵抗値が上昇する。上述したような発光素子が有する性質により、環境温度が変化したり、経時変化が生じたりすると、輝度にバラツキが生じてしまう。上記の実情を鑑み、本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する表示装置の提供を課題とする。
【解決手段】
本発明の表示装置はモニター素子を設け、電流源よりモニター素子に電流を供給し、モニター素子にかかる電圧を画素の発光素子に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子を含む表示装置及びその駆動方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EL(Electro Luminescence)素子を代表とする発光素子を含む表示装置の開発が進められ、発光型ゆえの高画質、広視野角、薄型、軽量等の利点を活かして、幅広い利用が期待されている。発光素子は、その輝度が電流値に比例する性質を有するため、階調を正確に表現するために、当該発光素子に一定の電流を流す定電流駆動を採用する表示装置がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−323159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発光素子は、周囲の温度(以下環境温度と表記)により、その抵抗値(内部抵抗値)が変化する性質を有する。具体的には、室温を通常の温度としたとき、環境温度が通常の温度よりも高くなると抵抗値が低下し、環境温度が通常よりも低くなると抵抗値が上昇する。そのため、環境温度が高くなると電流値が増加して所望の輝度よりも高い輝度となり、環境温度が低くなると電流値が低下して所望の輝度よりも低い輝度となる。このような発光素子の性質は、発光素子の電圧電流特性と温度の関係のグラフ((図33(A)参照))に示す通りである。また、発光素子は、経時的にその電流値が減少する性質を有する。このような発光素子の性質は、発光素子の電圧電流特性と時間の関係のグラフ((図33(B)参照))に示す通りである。
【0004】
上述したような発光素子が有する性質により、環境温度が変化したり、経時変化が生じたりすると、輝度にバラツキが生じてしまう。上記の実情を鑑み、本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する表示装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示装置は、複数の画素を含む画素領域と、ソースドライバと、ゲートドライバとを有する。複数の画素の各々は、発光素子と、画素に対するビデオ信号の入力を制御する第1のトランジスタと、発光素子の点灯又は非点灯を制御する第2のトランジスタと、ビデオ信号を保持する容量素子とを有する。
【0006】
また、本発明の表示装置は第1電極及び第2電極を備えるモニター素子と、該モニター素子に電流を供給する電流源と、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、該発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
該モニター素子の第1電極及び該発光素子第1電極は定電位電源に接続され、
該モニター素子の第2電極は、該バッファアンプの入力端子と接続され、該発光素子の第2電極は、該駆動トランジスタを介して該バッファアンプの出力端子と接続されている。
【0007】
また、本発明の表示装置は第1電極及び第2電極を備えるモニター素子と、該モニター素子に電流を供給する電流源と、該モニター素子の第2電極の電位を保持する容量素子と、該容量素子と該電流源とを導通又は非導通にする第1のスイッチと、該電流源と該モニター素子とを導通又は非導通にする第2のスイッチと、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、該発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
該モニター素子の第1電極及び該発光素子の第1電極は定電位電源に接続され、
該モニター素子の第2電極は、該バッファアンプの入力端子と、該発光素子の第2電極は、該駆動トランジスタを介して該バッファアンプの出力端子と接続されている。
【0008】
また、本発明の表示装置は第1電極及び第2電極を備える第1のモニター素子と、第1電極及び第2電極を備える第2のモニター素子と、該第1のモニター素子及び第2のモニター素子に電流を供給する電流源と、該電流源と該第1のモニター素子とを導通又は非導通にする第1のスイッチと、該電流源と該第2のモニター素子とを導通又は非導通にする第2のスイッチと、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、該発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
該モニター素子の第1電極及び該発光素子の第1電極は定電位電源に接続され、
該第1のモニター素子の第2電極は、該第1のスイッチを介して該バッファアンプの入力端子と、該第2のモニター素子の第2電極は、該第2のスイッチを介して該バッファアンプの入力端子と接続され、
該発光素子の第2電極は、該駆動トランジスタを介して該バッファアンプの出力端子と接続されている。
【0009】
また、本発明の表示装置は第1電極と第2電極を備えた複数のモニター素子と、該複数のモニター素子に電流を供給する電流源と、該電流源と該第複数のモニター素子のそれぞれの第2電極との間に設けられた複数のスイッチと、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、該発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
該複数のモニター素子のそれぞれの第1電極及び該発光素子の第1電極は定電位電源に接続され、
該複数のモニター素子のそれぞれの第2電極は、該複数のスイッチのいずれか一を介して該バッファアンプの入力端子と接続され、
該発光素子の第2電極は、該駆動トランジスタを介して該バッファアンプの出力端子と接続されている。
【0010】
また、本発明の表示装置の駆動方法は、第1電極と第2電極を備えたモニター素子と、該モニター素子に電流を供給する電流源と、バッファアンプと、第1電極と第2電極を備えた発光素子と、該発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
該モニター素子の第1電極及び該発光素子の第1電極は定電位電源に接続されており、該モニター素子の第2電極の電位をバッファアンプを介して該駆動トランジスタのソース端子に設定する。
【0011】
また、本発明の表示装置の駆動法は、第1電極と第2電極を備えたモニター素子と、該モニター素子に電流を供給する電流源と、該モニター素子の第1電極の電位を保持する容量素子と、該容量素子と該電流源とを導通又は非導通にする第1のスイッチと、該電流源と該モニター素子とを導通又は非導通にする第2のスイッチと、バッファアンプと、第1電極と第2電極を備えた発光素子と、該発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
該モニター素子及び該発光素子の第1電極は定電位電源に接続されており、該第1のスイッチ及び第2のスイッチがオンしているときに、該モニター素子の第2電極の電位をバッファアンプにより検出し、該検出した電位を該発光素子の第2電極に設定し、該第1のスイッチ及び第2のスイッチがオフすると、該第1のスイッチ及び該第2のスイッチをオフにしたときの該モニター素子の第2電極の電位を該容量素子が保持し、該容量素子が保持した該モニター素子の第2電極の電位を該バッファアンプが検出し、該発光素子の第2電極に設定する。
【0012】
また、上記構成の表示装置の駆動方法において、モニター素子に電流を流す期間を、1フレーム期間の30%の期間にする。
【0013】
また、上記構成の表示装置の駆動法は、第1のスイッチ及び第2のスイッチとして極性の異なるトランジスタで形成されている表示装置を用いている。
【0014】
また、上記構成の表示装置の駆動方法は、第1のスイッチ及び第2のスイッチとして同じ極性のトランジスタで形成されている表示装置を用いている。
【0015】
なお、本発明において、適用可能なトランジスタの種類に限定はなく、非晶質シリコンや多結晶シリコンに代表される非単結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)、半導体基板やSOI基板を用いて形成されるMOS型トランジスタ、接合型トランジスタ、バイポーラトランジスタ、有機半導体やカーボンナノチューブを用いたトランジスタ、その他のトランジスタを適用することができる。また、トランジスタが配置されている基板の種類に限定はなく、単結晶基板、SOI基板、ガラス基板などに配置することが出来る。
【0016】
また、本発明において、接続されているとは、電気的に接続されていることと同義である。したがって、本発明が開示する構成において、所定の接続関係に加え、その間に電気的な接続を可能とする他の素子(例えば、別の素子やスイッチなど)が配置されていてもよい。
【0017】
また、画素などにおける容量素子は、トランジスタなどのゲート容量によって、代用することが出来る。その場合は、容量素子を省略できる。
【0018】
また、スイッチは、電気的スイッチでも機械的なスイッチでも何でも良い。電流の流れを制御できるものなら、何でも良い。トランジスタでもよいし、ダイオードでもよいし、それらを組み合わせた論理回路でもよい。よって、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、そのトランジスタは、単なるスイッチとして動作するため、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。ただし、オフ電流が少ない方が望ましい場合、オフ電流が少ない方の極性のトランジスタを用いることが望ましい。オフ電流が少ないトランジスタとしては、LDD領域を設けているもの等がある。また、スイッチとして動作させるトランジスタのソース端子の電位が、低電位側電源(Vss、Vgnd、0Vなど)に近い状態で動作する場合はnチャネル型を、反対に、ソース端子の電位が、高電位側電源(Vddなど)に近い状態で動作する場合はpチャネル型を用いることが望ましい。なぜなら、ゲートソース間電圧の絶対値を大きくできるため、スイッチとして、動作しやすいからである。なお、nチャネル型とpチャネル型の両方を用いて、CMOS型のスイッチにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
本発明による温度及び劣化補償の基本原理として図1を用いて説明する。図1は温度及び劣化補償回路を有する表示装置の模式図を示したものである。
【0022】
本発明の表示装置は、ゲートドライバ107、ソースドライバ108及び画素部109を備える。画素部109は複数の画素106から構成される。そして、本発明の表示装置は温度及び劣化補償回路(以下補償回路という)を有する。
【0023】
補償回路の基本構成について説明する。電流源101、モニター素子102、バッファアンプ103、駆動TFT104、発光素子105を有する。なお、モニター素子102は発光素子105と同一の電流特性を持つ発光素子で形成する。例えばEL素子で発光素子を形成する場合には、モニター素子102のEL素子と発光素子105のEL素子は同じEL材料を、同じ条件で作製するようにする。
【0024】
電流源101はモニター素子102に一定の電流を供給する。つまりモニター素子102の電流値は常に一定である。この状態で環境温度が変化すると、モニター素子102自体の抵抗値が変化する。モニター素子102の抵抗値が変化すると、当該モニター素子102の電流値は一定であることから、モニター素子102の両電極間の電位差が変化する。このモニター素子102の両電極間の電位差を検出することで環境温度の変化を検出する。より詳しくは、モニター素子102の一定の電位に保たれている側の電極の電位、つまり図1では陰極110の電位は変わらないので、電流源101に接続されている側の電位、つまり図1では陽極111側の電位の変化を検出する。
【0025】
図2はモニター素子の電圧電流特性の温度依存性を示す図である。低温(例えば−20℃)、室温(例えば25℃)、高温(例えば70℃)でのモニター素子102の電圧電流特性をそれぞれ線201、202、203に示す。電流源101からモニター素子102へ流れる電流値がI0であるとき、室温ではモニター素子にV0の電圧がかかっていることになる。そして、低温時ではV1の電圧となり、高温時ではV2の電圧となる。
【0026】
このようなモニター素子102の電圧の変化を含む情報は、バッファアンプ103に供給され、陽極111の電位に基づき当該バッファアンプ103で発光素子105に供給する電位を設定する。つまり図2のように環境温度が低温となった場合には発光素子105にV1の電圧がかかるように電位を設定し、高温となった場合には発光素子105にV2の電圧がかかるように電位を設定する。そうすると、温度変化に合わせて、発光素子105に入力する電源電位を補正することができる。つまり、温度変化に起因した電流値の変動を抑制することができる。
【0027】
また、図3はモニター素子102の電圧電流特性の経時変化を示す図である。モニター素子102の初期特性を線301、劣化後の特性を302で表している。なお、初期特性と劣化後の特性は同じ温度条件で測定したものとする。初期特性の状態でモニター素子102に電流I0が流れるとモニター素子102にかかる電圧はV3、劣化後のモニター素子102にかかる電圧はV4となる。よって、このV4の電圧を、同様に劣化した発光素子105に印加するようにすれば、見かけ上の発光素子105の劣化を低減することができる。このように、モニター素子102も発光素子105とともに劣化するため、発光素子105の劣化に対しても補償することができる。
【0028】
このようにモニター素子102の陽極111の電位の変化に合わせて発光素子105の陽極に同電位を設定するバッファアンプ103には、オペアンプを用いたボルテージフォロワ回路を適用することができる。ボルテージフォロワ回路の非反転入力端子は高入力インピーダンスで、出力端子は低出力インピーダンスであるため入力端子と出力端子を同電位とし、電流源101の電流がボルテージフォロワ回路に流れ込むことなく出力端子からは電流を流すことができるからである。
【0029】
本実施の形態の補償回路を有する表示装置の具体的構成について図11を用いて説明する。表示装置はゲートドライバ1107、ソースドライバ1108、画素部1109を有する。ソースドライバはパルス出力回路1119、第1のラッチ回路1110、第2のラッチ回路1111を有する。第1のラッチ回路に入力を行っている時に第2のラッチ回路では出力を行うことができる。そして、ゲートドライバ1107から信号が入力されるゲート線により選択された画素1106のスイッチング用トランジスタ1112がオンする。そして、第2のラッチ回路1111により出力された信号をソース信号線S1〜Smから保持容量1113に書き込む。この保持容量1113に書き込まれた信号によって、駆動トランジスタ1104がオンオフし、発光素子の点灯、非点灯が決まる。つまり、電源線V1〜Vmの電位が、オンしている駆動トランジスタ1104を介して、発光素子1105の陽極に設定され、発光素子1105に電流が供給され、発光する。
【0030】
本発明は、基本電流源1101から、並列接続したモニター素子1102a〜1102nに電流を流す。これらのモニター素子1102a〜1102nの陽極の電位を検出し、ボルテージフォロワ回路1103により電源線V1〜Vmに電位を設定する。こうして、温度及び劣化補償の機能を備えた表示装置を提供することができる。
【0031】
このように温度及び劣化補償の機能を備えた駆動方法のことをコンスタントブライトネスともいう。
【0032】
なお、モニター素子の数は適宜選択することができる。もちろん、一個でも構わないし、図11の様に複数配置しても構わない。モニター素子を一つだけ用いるときには基本電流源1101に流す電流値は各画素の発光素子1105に流したい電流値を設定すればよいため消費電力が少なくてすむ。また、複数のモニター素子を配置すればモニター素子毎の特性のばらつきを平均化することができる。
【0033】
なお、図11の構成では各画素の発光素子1105の陰極はGNDに設定されているがこれに限定されない。
【0034】
また、RGBの画素毎に電源線の電位を設定することもできる。その一例を図12に示す。図11の表示装置と共通のところは共通の符号を用いている。また、詳しい動作については、図11と同じなので省略する。
【0035】
また、画素1106としては、このような構成に限られず、図29や図30に示した構成を適用することもできる。図29に示す画素2906はスイッチング用トランジスタ2901と駆動用トランジスタ2902と、消去用トランジスタ2903と、容量素子2904と発光素子2905を有する。また、図30に示す画素3007は、スイッチング用トランジスタ3001と、制御用トランジスタ3002と、駆動トランジスタ3003と、消去用トランジスタ3004と、容量素子3005と、発光素子3006と有する。
【0036】
図12の表示装置において信号線S1の接続されている画素がRの発光をする画素、信号線S2の接続されている画素がGの発光をする画素、信号線S3の接続されている画素がBの発光をする画素とする。基本電流源1201aはモニター素子1202aに電流を供給し、ボルテージフォロワ回路1203aがモニター素子1202aの陽極の電位を検出し、この電位を電源線V1に設定する。基本電流源1201bはモニター素子1202bに電流を供給し、ボルテージフォロワ回路1203bがモニター素子1202bの陽極の電位を検出し、この電位を電源線V2に設定する。基本電流源1201cはモニター素子1202cに電流を供給し、ボルテージフォロワ回路1203cがモニター素子1202cの陽極の電位を検出し、この電位を電源線V3に設定する。こうして、RGB毎に電位を設定することができるため、例えば、RGB毎のEL材料によって温度特性や劣化特性が異なるときに、所望の電位を発光素子に設定することができる。つまりRGB毎に電源電位を補正することができる。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では劣化補償の精度をさらに高めた構成について説明する。
【0038】
表示装置を長期間使用し続けると、モニター素子と発光素子には劣化の進行に誤差が生じてくる。この誤差は使用期間が長ければ長いほど大きくなり、劣化補償の機能が低下することになる。
【0039】
ここで、劣化の進行に差が生じた場合について図4を用いて説明する。モニター素子102及び発光素子105の電圧電流(VI)特性の初期特性を線401、表示装置をある期間使用したときのモニター素子102の劣化後のVI特性を線402、発光素子105の劣化後のVI特性を線403で表している。このようにモニター素子102の劣化と発光素子105の劣化の進行には差が生じる。なぜならば、表示装置が表示を行っている時には常にモニター素子102には電流が流れ続けている。ところが画素のそれぞれの発光素子105は発光している期間と非発光期間が存在するためモニター素子102と発光素子105の経時劣化には誤差が生じてくる。つまり、モニター素子の劣化に比べ、発光素子の劣化の進行は遅れることになる。
【0040】
ここで、モニター素子102の初期特性において、モニター素子102に電流値I0の電流が流れるとき、初期特性ではモニター素子にはV5の電圧がかかることになる。そして、発光素子105の劣化後ではV6、モニター素子102の劣化後ではV7の電圧がかかることになる。逆に言えば劣化後の発光素子105に電流値I0を流すためにはV6の電圧を印加する必要があり、劣化後のモニター素子102に電流値I0を流すためにはV7の電圧を印加する必要がある。
【0041】
この状態でモニター素子102の陽極111の電位V7を検出し、バッファアンプ103によって発光素子にこの電位V7が設定されると、発光素子に電流値I0を流すために必要な電圧V6以上の電圧が印加されることになり消費電力が大きくなってしまう。また、画素の各々の発光素子は劣化の進行が異なるため、必要以上の電圧が加わると焼きつきが目立つようになる。
【0042】
そこで、本実施の形態では、各々の発光素子の劣化とモニター素子の劣化の進行をより近いものにして、劣化補償の精度を向上させるものである。
【0043】
そのため、本実施の形態では、表示装置の各画素の発光素子の発光期間の平均した期間をモニター素子に流す電流の期間に設定する。好ましくは、表示装置が表示を行っている期間の10%から70%の期間をモニター素子に電流が流れるようにする。
【0044】
ここで、表示装置において各画素の発光素子の発光期間と非発光期間の比の平均値は3:7の比であることが経験的に得られる。よって、より好ましくは表示装置が表示を行っている期間のうち30%の期間をモニター素子に電流を流すようにする。
【0045】
モニター素子の発光期間を設定することができる補償回路の構成を図5に示す。電流源501、モニター素子502、ボルテージフォロワ回路503、駆動トランジスタ504、発光素子505、容量素子506、第一のスイッチ507及び第二のスイッチ508を有する。
【0046】
モニター素子502に定電流を流すときには第一のスイッチ507及び第二のスイッチ508をオンにする。するとモニター素子502に電流が流れ、モニター素子502の陽極509側の電位が容量素子506に蓄積されるとともに、ボルテージフォロア回路503の非反転入力端子にこの電位が入力され、出力端子に同電位が出力される。こうして、環境温度の変化により電圧電流特性の変化した発光素子105に所望の電位を設定することができる。
【0047】
そして、モニター素子502を非発光とするときには、第一のスイッチ507及び第二のスイッチ508をオフにし、モニター素子502の陽極509側の電位を容量素子506に保持させる。このとき第二のスイッチ508は第一のスイッチ507と同時にオフさせるか、少なくとも先にオフさせる。第一のスイッチ507が第二のスイッチ508より先にオフしてしまうと、モニター素子502の陽極側の電位を蓄積していた容量の電位が変動してしまうからである。
【0048】
こうして非発光期間においても、第二のスイッチ508をオフにした瞬間のモニター素子502の陽極509側の電位が、ボルテージフォロワ回路503の非反転入力端子に入力される。そしてボルテージフォロワ回路503の出力端子には同電位が出力され、第二のスイッチ508をオフにした瞬間のモニター素子502に流れていた電流を発光素子に流すことができる。
【0049】
この構成においてはモニター素子に電流を流している期間に温度補償機能を果たすことができるので、劣化補償と温度補償の両方を実現することができる。本実施の形態においては、特に劣化補償の機能が優れている。
【0050】
ここで、表示装置の時間階調表示において、1フレーム期間あたりの各画素の発光と非発光の比の平均値は30:70の比であることが経験的に知られている。よって、表示装置の表示を行っている間中、電流を流し続けるモニター素子に流れる電流量と、各発光素子に流れる電流量の平均の比は100:30になることが分かる。よって、モニター素子に電流を流す期間を1フレーム期間あたり30%に設定することでモニター素子と、画素の発光素子の劣化の進行を近づけることができる。つまり劣化補償の精度を向上させることができる。
【0051】
また、上記構成においてRGB毎に劣化補償のモニター素子を設け、さらなる精度の向上した劣化補償及び温度補償機能を実現することができる。RGB毎にELの劣化進行や寿命が異なる場合や、RGB毎にEL素子の温度特性が異なる場合に、それぞれのRGB毎の発光素子に対応したモニター素子を設けて温度補償及び劣化補償を行うとよい。さらにRGBのそれぞれの発光素子の発光期間と非発光期間の比の平均値(デューティー比)に合わせてそれぞれのRGB毎のモニター素子の発光期間を設定することでさらなる劣化補償の精度が向上する。つまり、モニター素子の劣化進行と各発光素子の劣化の進行の平均値が概ね等しくなるので、より劣化補償の精度が高くなる。さらに、モニター素子も同色のEL材料をもちいることができるので発光素子温度補償の精度も向上させることができる。そのような構成としては、図12に示した表示装置に適用することで実現できる。
【0052】
(実施の形態2)
本実施の形態では温度補償の精度を維持しつつ、劣化補償の精度を高めた表示装置の構成について図6を用いて説明する。
【0053】
表示装置は電流源601、モニター素子602a及びモニター素子602b、ボルテージフォロワ回路603、駆動トランジスタ604、発光素子605、スイッチ606a及びスイッチ606bを有する。
【0054】
本構成の補償回路の動作について簡単に説明する。スイッチ606a又は606bが交互にオンするようにする。すると、必ずモニター素子602a又はモニター素子602bに電流が流れる。そして、これらのモニター素子のどちらかの陽極の電位をボルテージフォロワ回路603で検出し、その電位を発光素子605に設定することができる。また、スイッチ606a及び606bがオンする期間を同じに設定すれば、モニター素子602a及び602bの経時劣化を遅らせることができる。
【0055】
また、常にどちらかのモニター素子に電流を流し、そのモニター素子の陽極の電位を検出し、発光素子の陽極の電位を設定しているため、温度補償も常に行うことができる。
【0056】
このように動作させることができるスイッチの一例を図7に示す。スイッチ701が図6におけるスイッチ606a及び606bの機能を果たす。スイッチ701の端子aは電流源601に接続され、端子bはモニター素子602aの陽極に、端子cはモニター素子602bの陽極に接続されている。モニター素子602aに電流源601からの電流を流すときにはスイッチ701の端子aと端子bが導通状態になり、モニター素子602bに電流を流すときには端子aと端子cが導通状態になる。
【0057】
スイッチ701の具体的構成の例を図8に示す。スイッチ701はアナログスイッチ801及び802並びにインバータ803を有する。制御信号がアナログスイッチ801及びアナログスイッチ802の制御入力端子に入力され、アナログスイッチ801又はアナログスイッチ802のいずれかがオンする。こうして、モニター素子602a又はモニター素子602bのいずれに電流を流すかを選択することができる。
【0058】
また、スイッチ606a及びスイッチ606bの機能を図9に示すようにトランジスタを用いて実現することができる。Pチャネル型のスイッチング用トランジスタ901とNチャネル型のスイッチング用トランジスタ902を用いる。スイッチング用トランジスタ901のソース端子と、スイッチング用トランジスタ902のドレイン端子とが電流源601に接続され、スイッチング用トランジスタ901のドレイン端子がモニター素子602aの陽極と、スイッチング用トランジスタ902のソース端子がモニター素子602bの陽極と接続されている。これらのトランジスタのゲート端子に制御信号が入力される。するとスイッチング用トランジスタ901及び902は極性が異なることからどちらかがオンする。こうしてモニター素子602a又は602bを選択することができる。この構成を表示装置に適用したときの具体的な構成例を図13に示す。図9のトランジスタ901が図13のトランジスタ1302bに対応し、トランジスタ902が図13のトランジスタ1302aに対応する。そして、制御信号が制御線1301からこれらのトランジスタのゲート端子に入力され、Pチャネル型のトランジスタ1302bとNチャネル型のトランジスタ1302aが交互にオンする。
【0059】
なお、図10に示すように同じ極性のトランジスタを用いても同様の機能を果たすことができる。一方のスイッチング用トランジスタ1001の制御入力端子には制御信号をそのまま入力し、他方のスイッチング用トランジスタ1002にはインバータを介して制御信号を入力する。すると制御信号が反転してスイッチング用トランジスタ1002に入力されるため、どちらかのスイッチング用トランジスタを選択することができる。なお、図10においてはPチャネル型のトランジスタ1001及び1002を用いて説明したが、もちろんNチャネル型のトランジスタのみを用いても同様の機能を果たすことができる。この構成を表示装置に適用したときの具体的な構成例を図14に示す。図10のトランジスタ1001が図14のトランジスタ1402bに対応し、トランジスタ1002が図14のトランジスタ1402aに対応する。そして、制御信号が制御線1401から入力され、この信号がトランジスタ1402bのゲート端子に入力される。一方制御信号が反転され、トランジスタ1402bとトランジスタ1402aが交互にオンする。
【0060】
なお、選択するモニター素子は二つに限られず複数を並列に配置して劣化進行をさらに遅くすることができる。したがって三つのモニター素子を並列に配置し、電流を流すモニター素子を順々に選択することにより、発光素子とモニター素子の劣化の進行を近づけることもできる。
【0061】
さらに、劣化補償を高める構成を図15に示す。画素1106の発光素子とモニター素子の劣化の進行を近づけるため、画素部1109の一列に信号を供給するソース信号線をトランジスタ1501a〜1501nのソース端子に接続し、トランジスタ1502a〜1502nのオンオフを設定するようにする。こうすることで、ある列の各発光素子と各モニター素子の発光期間と非発光期間の比を同等にすることができる。なお、図15の構成では信号線S1を、モニター素子のオンオフを設定するトランジスタへ信号を伝えるスイッチング用のトランジスタ1501a〜1501nと接続している。
【0062】
(実施の形態3)
【0063】
図16に示す本実施の形態の表示装置は、発光素子1614とモニター素子1606とを有する。発光素子1614とモニター素子1606は、同一の基板1610上に設けられている。つまり、同一の作製条件により、同一の工程で作成されたものであり、環境温度の変化と経時変化に対して同じ特性を有する。
【0064】
また、本発明の表示装置は、経時測定回路1601、記憶回路1602、補正データ作成回路1603、電源回路1604、定電流源1605を有する。これらの回路は、発光素子1614とモニター素子1606と共に、同一の基板1610上に設けられていてもよい し、別の基板上に設けられていてもよい。
【0065】
基板1610上に設けられた画素領域1609には、複数の画素がマトリクス状に設けられており、複数の画素の各々は発光素子1614と少なくとも2つのトランジスタ(図16では駆動用トランジスタ1613のみを例示)を含む。発光素子1614は、基板1610上に設けられたドライバ(ここでは第1のゲートドライバ1608と、第2のゲートドライバ1611と、ソースドライバ1612を例示)により、点灯と非点灯やその輝度が制御される。
【0066】
モニター素子1606は、基板1610上に1つ又は複数設けられる。1つ又は複数のモニター素子1606を含むモニター用回路1607は、画素領域1609内に設けてもよいし、それ以外の領域に設けてもよい。但し、モニター用回路1607は、画像の表示に影響を及ぼさないように、画素領域1609以外の領域に設けると望ましい。
【0067】
モニター素子1606には定電流源1605により一定の電流が供給される。この状態で環境温度の変化と経時変化が生じると、モニター素子1606自体の抵抗値が変化する。そうすると、モニター素子1606の電流値は常に一定なため、モニター素子1606の両電極間の電位差が変化する。
【0068】
上記構成の場合、モニター素子1606が含む2つの電極のうち、対向電極1615の電位は変化せず、モニター素子1606が含む2つの電極のうち、定電流源1605に接続する側の電極(ここでは第1の電極とよぶ)の電位が変化する。変化したモニター素子1606の第1の電極の電位は、バッファアンプに出力される。
【0069】
経時測定回路1601は、電源回路1604が発光素子1614を含むパネルに電源を供給していた時間を測定する機能、又は、画素領域1609内の各画素に供給するビデオ信号をサンプリングして、発光素子1614の点灯時間を測定する機能を有する。後者の機能の場合、画素領域1609には複数の発光素子1614が設けられており、各々の発光素子1614で点灯時間が異なる。従って、各々の発光素子1614の点灯時間を算出した後、その平均値を用いるとよい。また、複数の発光素子1614から選別したいくつかの発光素子1614の点灯時間を算出し、その平均値を用いるとよい。経時測定回路1601は、上記のどちらかの機能により得た経過時間に関する情報を含む信号を、補正データ作成回路1603に出力する。
【0070】
記憶回路1602は、発光素子1614の電圧電流特性の経時変化を記憶する回路である。つまり、各経過時間における発光素子1614の電電圧流特性を記憶しており、好ましくは1万時間から10万時間分のものを記憶する。記憶回路1602は、補正データ作成回路1603から供給される信号に基づき、その経過時間に対応した発光素子1614の電圧電流特性のデータを補正データ作成回路1603に出力する。
【0071】
補正データ作成回路1603は、モニター素子1606の出力と、記憶回路1602の出力に基づき、発光素子1614を動作させる最適な電圧条件を算出する。つまり、所望の輝度が得られる最適な電圧条件を算出する。そして、その情報を含む信号を電源回路1604に出力する。
【0072】
電源回路1604では、補正データ作成回路1603から供給された信号に基づき、補正した電源電位を発光素子1614に供給する。
【0073】
なお、発光素子1614を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニター素子1606を設けて、各色毎に電源電位を補正するとよい。
【0074】
なお、EL劣化の加速試験を行い、加速係数を算出する。そして、長期の劣化特性を推定したデータを記憶回路1602にいれておくとよい。
【0075】
上記構成を有する本発明によると、モニター素子を用いて、発光素子の電圧条件を最適なものとすることで、温度変化と経時変化の両者に起因した発光素子の電流値の変化による影響を抑制することができる。また、本発明によると、ユーザーによる操作を必要としないため、エンドユーザに渡った後も継続して補正を続けることで、製品としての長寿命化が見込まれる。
【0076】
(実施の形態4)
また、本実施の形態では、実施の形態1乃至3で示した表示装置を用いて、表示をしていない期間に画素内の発光素子の経時劣化補正を行う方法について説明する。
【0077】
発光素子の経時変化の進行の度合いは、初期に大きく、時間と共に段々少なくなっていく。従って、発光素子を用いた表示装置では、発光素子の輝度調整前(例えば出荷前)に、全ての発光素子の初期の経時変化を生じさせてしまう初期エージング処理を行うとよい。このような初期エージング処理を行って、発光素子の初期の急減な経時変化を予め生じさせておけば、その後、経時変化が急激に進行することはないため、発光素子の経時変化を起因とした焼き付きなどの現象を軽減することができる。
【0078】
なお、初期エージング処理は、発光素子をある期間だけ点灯させることで行うが、好ましくは、通常の使用時よりも高い電圧をかけるとよい。そうすれば、初期の経時変化が短時間で生じることになる。
【0079】
また、本発明の表示装置を充電式の蓄電池を用いて動作させる場合には、表示装置の使用状態ではない充電中に、全ての画素を点灯又は点滅させる処理、標準画像(例えば待ち受け画像など)の明暗を反転させた画像を表示する処理、ビデオ信号をサンプリングすることにより、点灯頻度の低い画素を検出して、当該画素を点灯又は点滅させる処理などを行うとよい。上記のように、使用状態ではないときに、焼き付きの低減を目的として行う上記の処理は、フラッシュアウト処理とよぶ。このフラッシュアウト処理を行えば、当該処理後に、焼き付きが生じたとしても、その焼き付いた画像の一番明るい箇所と、一番暗い箇所との差を5階調以下、さらに好ましくは1階調以下に設定することができる。また、焼き付きを軽減するためには、上記の処理以外に、なるべく画像を長時間固定化しないようにする処理を行うとよい。
【実施例1】
【0080】
低消費電力をはかることができる表示装置の構成について図17〜19を参照して説明する。本発明の表示装置は、ソース線Sx(xは自然数、1≦x≦m)と、ゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁体を介して交差する領域に複数の素子を含む画素10を複数有する(図17(A)参照)。画素10は、発光素子13と、容量素子16と、2つのトランジスタとを有する。2つのトランジスタのうち、1つは画素10に対するビデオ信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ11(以下TFT11と表記)であり、もう1つは発光素子13の点灯と非点灯を制御する駆動用トランジスタ12(以下TFT12と表記)である。TFT11、12は電界効果トランジスタであり、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3つの端子を有する。
【0081】
TFT11のゲート電極はゲート線Gyに接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方はTFT12のゲート電極に接続する。TFT12のソース電極及びドレイン電極の一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦m)を介して第1の電源17に接続し、他方は発光素子13の画素電極に接続する。発光素子13の対向電極は第2の電源18に接続する。容量素子16はTFT12のゲート電極とソース電極の間に設けられる。TFT11、12の導電型は制約されず、N型とP型のどちらの導電型でもよいが、図示する構成では、TFT11はN型、TFT12がP型の場合を示す。第1の電源17の電位と第2の電源18の電位も特に制約されないが、発光素子13に順方向バイアス又は逆方向バイアスの電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
【0082】
上記構成を有する本発明の表示装置は、画素10に配置するトランジスタの個数が2つである点を特徴とする。上記特徴により、1つの画素10にレイアウトするトランジスタの個数が少なくし、またトランジスタの個数が少ないことから、必然的に配置する配線の本数を少なくすることができるため、高開口率、高精細化、高歩留まりを実現する。また、高開口率が実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり電流密度を下げることができる。従って、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。また、駆動電圧を下げることで、信頼性を向上させることができる。
【0083】
TFT11、12を構成する半導体は、非晶質半導体(アモルファスシリコン)、微結晶半導体、多結晶半導体(ポリシリコン)、有機半導体等のいずれもよい。微結晶半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成するか、上記に挙げたガスを用いて薄膜を形成後にレーザ光の照射を行って形成してもよい。
TFT11、12のゲート電極は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、窒化タングステン(WN)とその上層にタングステン(W)の積層構造や、モリブデン(Mo)とその上層にアルミニウム(Al)とその上層にMoの積層構造や、窒化モリブデン(MoN)とその上層にMoの積層構造を採用するとよい。
【0084】
TFT11、12が含む不純物領域(ソース電極とドレイン電極)に接続する導電層(ソース配線又はドレイン配線)は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、チタン(Ti)とその上層にアルミニウムシリコン(Al−Si)とその上層にTiの積層構造や、Moとその上層にAl−Siとその上層にMoの積層構造や、MoNとその上層にAl−Siとその上層にMoNの積層構造を採用するとよい。
【0085】
次に、上記構成を有する画素10のレイアウトを図18に示す。このレイアウトでは、TFT11、12、容量素子16、発光素子13の画素電極に相当する導電層19を示す。続いて、このレイアウトのA−B−Cに対応する断面構造を図17(B)に示す。ガラスや石英などの絶縁表面を有する基板20上にTFT11、12、発光素子13、容量素子16が設けられている。
【0086】
発光素子13は、画素電極に相当する導電層19、電界発光層33、対向電極に相当する導電層34の積層体に相当する。導電層19、34の両者が透光性を有する場合、発光素子13は、導電層19に向かう方向と、導電層34に向かう方向に光を発する。つまり発光素子13は両面出射を行う。また、導電層19、34の一方が透光性を有し、他方が遮光性を有する場合、発光素子13は導電層19に向かう方向のみか、導電層34に向かう方向のみに光を発する。つまり発光素子13は上面出射又は下面出射を行う。図17(B)は、発光素子13が下面出射を行う場合の断面構造を示す。
【0087】
容量素子16は、TFT12のゲート電極とソース電極の間に配置され、当該TFT12のゲートソース間電圧を保持する。容量素子16は、TFT11、12が含む半導体層と同じ層に設けられた半導体層21と、TFT11、12のゲート電極と同じ層に設けられた導電層22a、22b(以下総称して導電層22と表記)と、半導体層21と導電層22の間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。
【0088】
また、容量素子16はTFT11、12のゲート電極と同じ層に設けられた導電層22と、TFT11、12のソース電極及びドレイン電極に接続する導電層24〜27と同じ層に設けられた導電層23と、導電層22と導電層23の間の絶縁層により容量を形成する点を特徴とする。
【0089】
上記特徴により、容量素子16はTFT12のゲートソース間電圧を保持するのに十分な容量値を得ることができる。また、容量素子16は、電源線を構成する導電層の下部に設けられており、そのために、容量素子16の配置による開口率の減少は生じない。
【0090】
また、TFT11、12のソース配線又はドレイン配線に相当する導電層23〜27の厚さは、500乃至2000nm、好ましくは500乃至1300nmである点を特徴とする。導電層23〜27は、ソース線Sxや電源線Vxを構成しているため、上記特徴のように、導電層23〜27の膜厚を厚くすることで、電圧降下による影響を抑制することができる。なお、導電層23〜27を厚くすると配線抵抗を小さくすることができるが、逆に、導電層23〜27を厚くしすぎると、パターン加工を正確に行うことが困難になったり、表面の凸凹が問題になったりする。つまり、導電層23〜27の厚さは、配線抵抗と、パターン加工のし易さと表面の凸凹の影響とを考慮して、上記の範囲内で決定するとよい。
【0091】
また、TFT11、12を覆う絶縁層28、29(以下総称して第1の絶縁層30と表記)と、第1の絶縁層30上に設けられた第2の絶縁層31とを有し、第2の絶縁層31上に画素電極に相当する導電層19を有する点を特徴とする。仮に、第2の絶縁層31を設けないとすると、ソース又はドレイン配線に相当する導電層23〜29と、導電層19とは同じ層に設けることになる。そうすると、導電層19を設ける領域は、導電層23〜29を設けた領域以外に制約されてしまう。しかしながら、第2の絶縁層31を設けることにより、導電層19を設ける領域のマージンが広がり、高開口率を実現する。上面出射の場合、この構成は特に有効である。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、駆動電圧を下げて、消費電力を削減することができる。
【0092】
なお第1の絶縁層30と第2の絶縁層31は、酸化珪素や窒化珪素等の無機材料、ポリイミドやアクリル等の有機材料等を用いて形成する。第1の絶縁層30と第2の絶縁層31を同じ材料で形成してもよいし、互いに異なる材料で形成してもよい。絶縁層の材料としては、シロキサン系の材料を用いればよく、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基にフッ素、アルキル基、芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む材料を用いる。
【0093】
また、画素10の間に隔壁層32(バンクともよぶ)が設けられるが、容量素子16上の隔壁層32の幅35(図19参照)は、その下部に設けられた配線を隠すことができる幅であればよい。具体的には、幅35は、7.5乃至27.5μm、好ましくは10μm乃至25μmである点を特徴とする。このように、隔壁層32の幅を狭くすることで、高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、駆動電圧を下げて、消費電力を削減することができる。
【0094】
なお、図示するレイアウトによれば、画素の開口率は約50%である。図19では、レイアウトの画素10の列方向(縦方向)の長さは幅38で示し、行方向(横方向)の長さは幅37で示す。隔壁層32は、無機材料と有機材料のどちらの材料を用いて形成してもよい。但し、隔壁層32に接するように、電界発光層を設けるため、当該電界発光層にピンホールなどが生じないように、曲率半径が連続的に変化する形状を有するとよい。
【0095】
また、隔壁層32は遮光性を有する点を特徴とする。上記特徴により、画素10間の輪郭が明瞭なものとなり、高精細な画像を表示することができる。着色されているために、遮光性を有する。
【0096】
また、本発明の表示装置は、図20に示したように、上述した画素10がマトリクス状に複数配置された画素領域40と、第1のゲートドライバ41と、第2のゲートドライバ42と、ソースドライバ43とを有する(図20参照)。第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42は、画素領域40を挟んで対向するように配置するか、画素領域40の上下左右の四方のうち一方に配置する。
【0097】
ソースドライバ43は、パルス出力回路44、ラッチ45及び選択回路46を有する。ラッチ45は第1のラッチ47と第2のラッチ48を有する。選択回路46は、トランジスタ49(以下TFT49と表記)と、アナログスイッチ50を有する。TFT49とアナログスイッチ50は、ソース線Sxに対応して、各列に設けられる。インバータ51は、WE信号(Write Erase)の反転信号を生成するためのものであり、外部からWE信号の反転信号を供給する場合には設けなくてもよい。
【0098】
TFT49のゲート電極は選択信号線52に接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方は電源53に接続する。アナログスイッチ50は、第2のラッチ48とソース線Sxの間に設けられる。つまり、アナログスイッチ50の入力ノードは第2のラッチ48に接続し、出力ノードはソース線Sxに接続する。アナログスイッチ50の2つの制御ノードは、一方は選択信号線52に接続し、他方はインバータ51を介して選択信号線52に接続する。電源53の電位は、画素10が含むTFT12をオフにする電位であり、TFT12がN型の場合は電源53の電位をLレベルとし、TFT12がP型の場合は電源53の電位をHレベルとする。
【0099】
第1のゲートドライバ41はパルス出力回路54と選択回路55を有する。第2のゲートドライバ42はパルス出力回路56と選択回路57を有する。選択回路55、57は、選択信号線52に接続する。但し、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57は、インバータ58を介して選択信号線52に接続する。つまり、選択信号線52を介して、選択回路55、57に入力されるWE信号は、互いに反転した関係にある。
【0100】
選択回路55、57の各々はトライステートバッファを有する。トライステートバッファの入力ノードはパルス出力回路54又はパルス出力回路56に接続し、制御ノードは選択信号線52に接続する。トライステートバッファの出力ノードはゲート線Gyに接続する。トライステートバッファは、選択信号線52から伝達される信号がHレベルのときに動作状態となり、Lレベルのときに不定状態となる。
【0101】
ソースドライバ43が含むパルス出力回路44、第1のゲートドライバ41が含むパルス出力回路54、第2のゲートドライバ42が含むパルス出力回路56は、複数のフリップフロップ回路からなるシフトレジスタやデコーダ回路に相当する。パルス出力回路44、54、56として、デコーダ回路を適用すれば、ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができる。ソース線Sx又はゲート線Gyをランダムに選択することができると、時間階調方式を適用した場合に生じる疑似輪郭の発生を抑制することができる。
【0102】
なおソースドライバ43の構成は上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42の構成も上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、上記には記載していないが、ソースドライバ43、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42は、保護回路を有することを特徴とする。保護回路を有するドライバの構成については、以下の実施の形態2において後述する。
【0103】
また本発明の表示装置は、電源制御回路63を有することを特徴とする。電源制御回路63は、発光素子13に電源を供給する電源回路61とコントローラ62を有する。電源回路61は、TFT12と電源線Vxを介して発光素子13の画素電極に接続する。また、電源回路61は、電源線を介して、発光素子13の対向電極に接続する。
【0104】
発光素子13に順方向バイアスの電圧を印加して、発光素子13に電流を流して発光させるときは、第1の電源17の電位が、第2の電源18の電位よりも高くなるように、第1の電源17と第2の電源18の電位差を設定する。一方、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、第1の電源17の電位が、第2の電源18の電位よりも低くなるように、第1の電源17と第2の電源18の電位を設定する。このような電源の設定は、コントローラ62から電源回路61に所定の信号を供給することにより行われる。
【0105】
本発明は、電源制御回路63を用いて、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加することで、発光素子13の経時劣化を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、発光素子13は、異物の付着や、陽極又は陰極にある微細な突起によるピンホール、電界発光層の不均一性を起因として、陽極と陰極が短絡する初期不良が生じることがある。このような初期不良が発生すると、信号に応じた点灯及び非点灯が行われず、電流のほとんどすべてが短絡部を流れて素子全体が消光する現象が生じたり、特定の画素が点灯又は非点灯しない現象が生じたりして、画像の表示が良好に行われないという問題が発生する。しかしながら、本発明の構成によると、発光素子に逆方向バイアスを印加することができるため、陽極と陰極の短絡部のみに局所的に電流を流し、該短絡部を発熱させ、その結果、短絡部を酸化又は炭化して絶縁化することができる。その結果、初期不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、このような初期不良の絶縁化は、出荷前に行うとよい。また、初期不良だけでなく、時間の経過に伴い、新たに陽極と陰極の短絡が発生することがある。このような不良は進行性不良とも呼ばれるが、本発明の構成によると、定期的に発光素子に逆方向バイアスを印加することができるので、進行性不良が生じても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。なお、発光素子13に逆方向バイアスの電圧を印加するタイミングには特に制約はない。
【0106】
また本発明の表示装置は、モニター回路64と制御回路65を有することを特徴とする。モニター回路64は、周囲の温度(以下環境温度と表記)に基づき動作する。制御回路65は定電流源とバッファを有する。図示する構成では、モニター回路64は、モニター素子66(以下発光素子66と表記)を有する。
【0107】
制御回路65は、モニター回路64の出力に基づき、電源電位を変更する信号を、電源制御回路63に供給する。電源制御回路63は、制御回路65から供給される信号に基づき、画素領域40に供給する電源電位を変更する。上記構成を有する本発明は、環境温度の変化に起因した電流値の変動を抑制して、信頼性を向上させることができる。
【0108】
定電圧駆動を行う本発明は、発光素子の輝度が500cd/m2、画素の開口率が50%のとき、消費電力が1W以下(950mW)となった。一方、定電流駆動を行う表示装置は、発光素子の輝度が500cd/m2、画素の開口率が25%のとき、消費電力は約2W(2040mW)であった。つまり、定電圧駆動を採用することで、消費電力を削減することができるが分かる。なお、定電圧駆動を採用することで、消費電力は1W以下、好ましくは0.7W以下にまで削減することができる。
【0109】
なお、上記の消費電力の値は、画素領域のみの消費電力であり、駆動回路部分の消費電力は含まれていない。また、両者とも時間階調の表示デューティーは70%である。
【0110】
なお、すでに述べたように、本発明におけるトランジスタは、どのようなタイプのトランジスタでもよいし、どのような基板上に形成されていてもよい。したがって、図20で示したような回路が、全てガラス基板上に形成されていてもよいし、プラスチック基板に形成されていてもよいし、単結晶基板に形成されていてもよいし、SOI基板上に形成されていてもよいし、どのような基板上に形成されていてもよい。あるいは、図20における回路の一部が、ある基板に形成されており、図20における回路の別の一部が、別の基板に形成されていてもよい。つまり、図20における回路の全てが同じ基板上に形成されていなくてもよい。例えば、図20において、画素40とゲートドライバ41とは、ガラス基板上にTFTを用いて形成し、ソースドライバ43(もしくはその一部)は、単結晶基板上に形成し、そのICチップをCOG(Chip On Glass)で接続してガラス基板上に配置してもよい。あるいは、そのICチップをTAB(Tape Auto Bonding)やプリント基板を用いてガラス基板と接続してもよい。
【0111】
本発明の表示装置が有するソースドライバ43の構成について図21〜23を参照して説明する。ソースドライバ43はパルス出力回路44、NAND71、第1のラッチ47、第2のラッチ48、選択回路46(図面では第1のラッチ47、第2のラッチ48及び選択回路46を総称してSLATと表記)を有する(図21参照)。パルス出力回路44は、複数の単位回路(SSR)70が縦列接続した構成を有する。パルス出力回路44には、クロック信号(SCK)、クロックバック信号(SCKB)、スタートパルス(SSP)が供給される。第1のラッチ47にはデータ信号(DataR、DataG、DataB)が供給される。第2のラッチ48にはラッチパルス(SLAT)、ラッチパルスの反転パルス(SLATB)が供給される。選択回路46には書き込み消去信号(SWE、Write Erase信号、以下WE信号と表記することがある)と、WE信号の反転信号(SWEB)が供給される。
【0112】
パルス出力回路44が含む単位回路70は、複数のトランジスタと論理回路を有する(図22参照)。単位回路70は、クロック信号又はクロックバック信号が入力される入力ノードに、保護回路として抵抗素子72が設けられている。また第1のラッチ47の入力ノードであって、データ信号が供給される入力ノードに、保護回路として抵抗素子76〜78が設けられている(図23参照)。また図21には示していないが、選択回路46の下段には、レベルシフタ73、バッファ74が設けられ、当該バッファ74の下段に、保護回路75が設けられている。保護回路75は、ソース線1本に対して、4つのトランジスタ79〜82を含む。なおバッファ74に供給される電源電位83〜85は、ソース線Sxに接続する画素が発光する色に応じて、電位が設定される。
【0113】
ソースドライバ43は、パルス出力回路44の入力ノードに接続する第1の保護回路(図示する構成では抵抗素子72に相当)と、第1のラッチ47の入力ノードに接続する第2の保護回路(図示する構成では抵抗素子76〜78に相当)と、選択回路46の下段に設けられた第3の保護回路(図示する構成ではトランジスタ79〜82に相当)とを有する点を特徴とする。上記特徴により、静電気に起因した素子の劣化や破壊を抑制することができる。
【0114】
次に、第1のゲートドライバ41の構成について図24、25を参照して説明する。第2のゲートドライバ42の構成は、第1のゲートドライバ41と同様であるため、ここでは、その構成の説明を省略する。第1のゲートドライバ41は、パルス出力回路54、レベルシフタ(GLS)86、選択回路55を有する(図24参照)。パルス出力回路54の構成は、ソースドライバ43が含むパルス出力回路44と同じ構成であり、複数の単位回路(GSR)70が縦続接続した構成を有し、その入力ノードには保護回路が設けられている。
【0115】
選択回路55はトライステートバッファ87と、保護回路88を有する(図25参照)。トライステートバッファ87は、第1のゲートドライバ41及び第2のゲートドライバ42の一方がゲート線Gyの充放電を行う際に、他方のドライバの出力がそれを阻害しないようにするものである。従って、選択回路55としては、上記のような機能を有するものであれば、トライステートバッファだけでなく、アナログスイッチやクロックドインバータ等を用いてもよい。保護回路88は、素子群89、90を有する。
【0116】
第1のゲートドライバ41は、パルス出力回路54の入力ノードに接続する第1の保護回路と、選択回路55の下段に設けられた第2の保護回路88を有する点を特徴とする。上記特徴により、静電気に起因した素子の劣化や破壊を抑制することができる。より具体的には、入力ノードに入力されるクロック信号やデータ信号には雑音が含まれている場合があり、この雑音により、瞬間的に高い電圧又は低い電圧が素子に与えられることがある。しかしながら、保護回路を有する本発明は、素子の誤作動、素子の劣化や破壊を抑制することができる。
【0117】
なお保護回路は、抵抗素子やトランジスタだけでなく、抵抗素子、容量素子及び整流素子から選択された1個又は複数個から構成される。整流素子とはゲート電極とドレイン電極が接続されたトランジスタ又はダイオードである。
【0118】
次に、保護回路の動作について簡単に説明する。ここでは、第1のゲートドライバ41が含む保護回路88の動作について説明する。
【0119】
まず、雑音等の影響により、トライステートバッファ87の出力ノードから、VDDよりも高い電圧の信号が供給されたとする。そうすると、そのゲートソース間電圧の関係から、素子群89はオフ、素子群90はオンとなる。そうすると、トライステートバッファ87にチャージした電荷は、VDDを伝達する電源線に放電して、ゲート線Gxの電位は、VDD、又はVDD+αの電位となる。
【0120】
一方、トライステートバッファ87の出力ノードから、VSSよりも低い電圧の信号が供給されたとする。そうすると、そのゲートソース間電圧の関係から、素子群89がオン、素子群90はオフとなる。そうすると、ゲート線Gxの電位は、VSS、又はVSS−αの電位となる。
【0121】
このように、雑音等により、トライステートバッファ87の出力ノードから供給される電圧が、瞬間的に、VDDより高くなったり、VSSよりも低くなったりしても、ゲート線Gxに与えられる電圧は、VDDよりも高くならず、またVSSよりも低くならない。従って、雑音や静電気等に起因した素子の誤作動、損傷、破壊を抑制することができる。
【0122】
また本発明の表示装置は、FPC(flexible print circuit)等の接続フィルムと、ゲートドライバ41、42又はソースドライバ43との間に設けられた保護回路を有する。ソースドライバ43であれば、SCK、SSP、DataR、DataG、DataB、SLAT及びSWE等の信号は、接続フィルムを介して外部から供給されるが、保護回路は、上記に挙げた信号を伝達する配線と、接続フィルムとの間に設けられる。また、ゲートドライバ41であれば、GCK、G1SP、PWC及びWE等の信号は、接続フィルムを介して外部から供給されるが、保護回路は、上記に挙げた信号を伝達する配線と、接続フィルムとの間に設けられる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0123】
本発明の温度補償機能は、周囲の温度に基づき動作するモニター回路64、制御回路65及び電源制御回路63により実行される(図26参照)。モニター回路64は、図示する構成では発光素子66を有する。発光素子66の一方の電極は一定の電位の保たれた電源に接続し(図示する構成では接地している)、他方の電極は制御回路65に接続する。制御回路65は、定電流源91とアンプ92を有する。電源制御回路63は電源回路61とコントローラ62とを有する。なお、電源回路61は、供給する電源電位を変えることができる可変電源であることが好ましい。
【0124】
発光素子66を用いて環境温度の変化を検出する仕組みについて説明する。発光素子66の両電極間には、定電流源91から一定の電流が供給される。つまり発光素子66の電流値は常に一定である。この状態で環境温度が変化すると、発光素子66自体の抵抗値が変化する。発光素子66の抵抗値が変化すると、当該発光素子66の電流値は常に一定であることから、発光素子66の両電極間の電位差が変化する。この発光素子66の両電極間の電位差の変化を検出することで、環境温度の変化を検出する。より詳しくは、発光素子66の一定の電位に保たれている側の電極の電位は変わらないので、定電流源91に接続する側の電極の電位の変化を検出する。このような発光素子の電位の変化の情報を含む信号は、アンプ92に供給され、当該アンプ92で増幅された後、電源制御回路63に出力される。電源制御回路63は、アンプ92を介して、モニター回路64の出力に基づき、画素領域40に供給する電源の電位を変える。そうすると、温度変化に合わせて、電源電位を補正することができる。つまり、温度変化に起因した電流値の変動を抑制することができる。
【0125】
なお図示する構成では、発光素子66を複数有するが、本発明はこれに制約されない。モニター回路64に設ける発光素子66の個数は制約されない。また、発光素子66を用いる場合であっても、当該発光素子66にトランジスタを直列に接続した構成を適用してもよい。その場合は、必要なときに、発光素子66に直列に接続するトランジスタをオン状態にする。またモニター回路64として、発光素子66を用いているが、本発明はこれに制約されず、公知の温度センサを用いてもよい。公知の温度センサを用いる場合は、画素領域40と同じ基板上に設けてもよいし、ICを用いて外付けにしてもよい。本発明の温度補償機能は、ユーザによる操作を必要としないため、エンドユーザに表示装置が渡った後も、継続して補正することができるため、製品として、長寿命化を図ることができる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0126】
本実施の形態の表示装置の動作について図20、27を参照して説明する。まず、ソースドライバの動作について説明する(図20、27(A)参照)。パルス出力回路44には、クロック信号(SCK)、クロック反転信号(SCKB)及びスタートパルス(SSP)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、第1のラッチ47にサンプリングパルスを出力する。データが入力される第1のラッチ47は、サンプリングパルスが入力されるタイミングに従って、1列目から最終列目までビデオ信号を保持する。第2のラッチ48は、ラッチパルスが入力されると、第1のラッチ47に保持されていたビデオ信号を、一斉に第2のラッチ48に転送する。
【0127】
ここで、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における選択回路46の動作について説明する。期間T1、T2は水平走査期間の半分の期間に相当し、期間T1を第1のサブゲート選択期間、期間T2を第2のサブゲート選択期間ともよぶ。
【0128】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルであり、TFT49はオン状態、アナログスイッチ50は非導通状態となる。そうすると、複数の信号線S1〜Snは、各列に配置されたTFT49を介して、電源53と電気的に接続する。つまり、複数の信号線S1〜Snは、電源53と同電位になる。
このとき、画素10が含むTFT11はオン状態であり、当該TFT11を介して、電源53の電位がTFT12のゲート電極に伝達される。そうすると、TFT12はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は同電位となる。つまり、発光素子13が含む両電極間には電流が流れず非発光となる。このように、ビデオ線に入力されるビデオ信号の状態に関係なく、電源53の電位がTFT12のゲート電極に伝達されて、当該TFT11がオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が同電位になる動作を消去動作とよぶ。
【0129】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルであり、TFT49はオフ状態、アナログスイッチ50は導通状態となる。そうすると、第2のラッチ48に保持されたビデオ信号は、1行分が同時に複数の信号線S1〜Snに伝達される。このとき、画素10が含むTFT11はオン状態であり、当該TFT11を介して、ビデオ信号がTFT12のゲート電極に伝達される。そうすると、入力されたビデオ信号に従って、TFT12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極は、互いに異なる電位又は同電位となる。より詳しくは、TFT12がオン状態になると、発光素子13が含む2つの電極は互いに異なる電位となり、発光素子13に電流が流れる。つまり、発光素子13は発光する。なお発光素子13に流れる電流は、TFT12のソースドレイン間に流れる電流と同じである。一方、TFT12がオフ状態になると、発光素子13が含む2つの電極は同電位となり、発光素子13に電流は流れない。つまり、発光素子13は非発光となる。このように、ビデオ信号に従って、TFT12がオン状態又はオフ状態になり、発光素子13が含む2つの電極の電位が互いに異なる電位又は同電位となる動作を書き込み動作とよぶ。
【0130】
次に、第1のゲートドライバ41、第2のゲートドライバ42の動作について説明する。パルス出力回路54には、G1CK、G1CKB、G1SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路55に順次パルスを出力する。パルス出力回路56には、G2CK、G2CKB、G2SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路57に順次パルスを出力する。図27(B)には、i行目、j行目、k行目、p行目(i、j、k、pは自然数、1≦i、j、k、p≦n)の各列の選択回路55、57に供給されるパルスの電位を示す。
【0131】
ここで、ソースドライバ43の動作の説明と同様に、選択信号線52から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における第1のゲートドライバ41が含む選択回路55と、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57の動作について説明する。なお、図27(B)のタイミングチャートでは、第1のゲートドライバ41から信号が伝達されたゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)の電位をGy41と表記し、第2のゲートドライバ42から信号が伝達されたゲート線の電位をGy42と表記する。そして、言うまでもなく、Gy41とGy42は、同じ配線を示す。
【0132】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はLレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、LレベルのWE信号が入力され、選択回路55は不定状態となる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、WE信号が反転したHレベルの信号が入力され、選択回路57は動作状態となる。つまり、選択回路57はHレベルの信号(行選択信号)をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第2のゲートドライバ42によりi行目のゲート線Giが選択される。その結果、画素10が含むTFT11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む電源53の電位がTFT12のゲート電極に伝達され、TFT12はオフ状態となり、発光素子13の両電極の電位は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13が非発光となる消去動作が行われる。
【0133】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線52から伝達されるWE信号はHレベルである。そうすると、第1のゲートドライバ41が含む選択回路55には、HレベルのWE信号が入力され、選択回路55は動作状態となる。つまり、選択回路55はHレベルの信号をi行目のゲート線Giに伝達し、ゲート線GiはHレベルの信号と同電位となる。つまり、第1のゲートドライバ41により、i行目のゲート線Giが選択される。その結果、画素10が含むTFT11はオン状態となる。そして、ソースドライバ43が含む第2のラッチ48からビデオ信号がTFT12のゲート電極に伝達され、TFT12はオン状態又はオフ状態となり、発光素子13が含む2つの電極の電位は、互いに異なる電位又は同電位となる。つまり、この期間では、発光素子13は発光又は非発光となる書き込み動作が行われる。一方、第2のゲートドライバ42が含む選択回路57には、Lレベルの信号が入力され、不定状態となる。
【0134】
このように、ゲート線Gyは、期間T1(第1のサブゲート選択期間)において第2のゲートドライバ42により選択され、期間T2(第2のサブゲート選択期間)において第1のゲートドライバ41により選択される。つまり、ゲート線は、第1のゲートドライバ41と第2のゲートドライバ42により、相補的に制御される。そして、第1及び第2のサブゲート選択期間において、一方で消去動作を行って、他方で書き込み動作を行う。
【0135】
なお第1のゲートドライバ41がi行目のゲート線Giを選択する期間では、第2のゲートドライバ42は動作していない状態(選択回路57が不定状態)、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。同様に、第2のゲートドライバ42がi行目のゲート線Giに行選択信号を伝達する期間は、第1のゲートドライバ41は不定状態、又はi行目を除く他の行のゲート線に行選択信号を伝達する。
【0136】
また上記のような動作を行う本発明は、発光素子13を強制的にオフにすることができるために、階調数が多くなった場合にも、デューティー比の向上を実現する。さらに、発光素子13を強制的にオフにすることができるにも関わらず、容量素子16の電荷を放電するTFTを設ける必要がないために、高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。
【0137】
なお、本発明は、ゲート選択期間を2分割する上記の形態に制約されない。ゲート選択期間を3つ以上に分割してもよい。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0138】
なお、ゲート選択期間の前半(第1のサブゲート選択期間)には、画素に消去信号が入力され、ゲート選択期間の後半(第2サブゲート選択期間)には、画素に画像(ビデオ)信号が入力されているが、これに限定されない。ゲート選択期間の前半(第1のサブゲート選択期間)には、画素に画像(ビデオ)信号が入力され、ゲート選択期間の後半(第2サブゲート選択期間)には、画素に消去信号が入力されてもよい。
【0139】
またあるいは、ゲート選択期間の前半(第1のサブゲート選択期間)にも、画素に画像(ビデオ)信号が入力され、ゲート選択期間の後半(第2サブゲート選択期間)にも、画素に画像(ビデオ)信号が入力されてもよい。各々には、異なるサブフレームに相当する信号を入力すればよい。その結果、消去期間を設けずに、点灯期間が連続的に配置されるようにして、サブフレーム期間を設けることが出来る。この場合は、消去期間を設ける必要が無いため、デューティー比を高くすることが出来る。
【0140】
本実施の形態の表示装置の動作について、縦軸が走査線、横軸が時間のタイミングチャート(図28(A)(C))と、i行目のゲート線Gi(1≦i≦m)のタイミングチャート(図28(B)(D))を用いて説明する。時間階調方式は、1フレーム期間は複数のサブフレーム期間SF1、SF2、・・・、SFn(nは自然数)を有する。
【0141】
複数のサブフレーム期間の各々は、書き込み動作又は消去動作を行う複数の書き込み期間Ta1、Ta2、・・・、Tanから選択された一つと、複数の点灯期間Ts1、Ts2、・・・、Tsnから選択された一つとを有する。複数の書き込み期間の各々は、複数のゲート選択期間を有する。複数のゲート選択期間の各々は、複数のサブゲート選択期間を有する。ゲート選択期間の各々の分割数は特に制約されないが、好ましくは2つ〜8つに分割し、さらに好ましくは2つ〜4つに分割するとよい。また点灯期間Ts1:Ts2:・・・:Tsnは、その長さの比を、例えば2(n-1):2(n-2):・・・:21:20とする。つまり、点灯期間Ts1、Ts2、・・・、Tsnは、各ビットで長さが異なるように設定する。
【0142】
以下には、まず、交流駆動期間FRBを含まない場合であって、3ビット階調(8階調)を表現する場合のタイミングチャートについて説明する(図28(A)(B)参照)。この場合、1フレーム期間を3つのサブフレーム期間SF1〜SF3に分割する。サブフレーム期間SF1〜SF3は、書き込み期間Ta1〜Ta3から選択された1つと、点灯期間Ts1〜Ts3から選択された1つとを有する。書き込み期間は、複数のゲート選択期間を有する。複数のゲート選択期間の各々は、複数のサブゲート選択期間を有するが、ここでは、複数のゲート選択期間の各々は、2つのサブゲート選択期間を有し、第1のサブゲート選択期間において消去動作を行い、第2のサブゲート選択期間において書き込み動作を行う場合について示す。
【0143】
なお、消去動作は、発光素子を非発光にするために行う動作であり、必要なサブフレーム期間においてのみに行う動作である。
【0144】
次に、交流駆動期間FRBを含む場合のタイミングチャートについて説明する(図28(C)(D)参照)。交流駆動期間FRBは消去動作のみを行う書き込み期間TaRBと、発光素子の両電極間に印加する電位の上下関係(高低差)を逆にして、全ての発光素子に同時に逆方向バイアスを印加する逆バイアス印加期間RBを有する。
【0145】
なお、交流駆動期間FRBは、各フレーム期間に設ける必要はなく、複数のフレーム期間毎に設けてもよい。また、サブフレーム期間SF1〜SF3と交流駆動期間FRBを別に設ける必要はなく、あるサブフレーム期間の点灯期間Ts1〜Ts3中に設けてもよい。
【0146】
また、サブフレーム期間の順序は、上位ビットから下位ビットの順序に出現する上記記載に制約されず、出現する順序はランダムでもよい。さらに、フレーム期間毎に、サブフレーム期間が出現する順序をランダムにしてもよい。
【0147】
また、複数のサブフレーム期間から選択された1つ又は複数の期間を複数に分割してもよい。その場合、分割された1つ又は複数のサブフレーム期間の各々と、分割されていない1つ又は複数のサブフレーム期間の各々は、複数の書き込み期間Ta1、Ta2、・・・、Tam(mは自然数)から選択された1つと、複数の点灯期間Ts1、Ts2、・・・、Tsmから選択された1つとを有する。
【実施例2】
【0148】
本発明は、定電流駆動を行う表示装置にも適用することができる。本実施例では、複数のモニター素子を用いて経時変化の度合いを検出する場合であって、この検出結果を基に、ビデオ信号又は電源電位を補正することで、発光素子の経時変化を補償する場合について、図34を参照して説明する。
【0149】
本実施例は、複数の(少なくとも2つの)モニター素子を用いて行うものであり、ここでは2つのモニター素子3401、3402を設ける。1つのモニター素子3401には定電流源3403から一定の電流が供給され、もう1つのモニター素子3402には定電流源3404から一定の電流が供給される。
定電流源3403から供給される電流値と、定電流源3404から供給される電流値を変えることで、モニター素子3401、3402に流れる総電流量は異なるものとなる。そうすると、モニター素子3401、3402の間には経時変化 の違いが生じる。
【0150】
モニター素子3401、3402は演算回路3405に接続しており、当該演算回路3405では、モニター素子3401の出力と、モニター素子3402の出力の差(電圧値)を算出する。
【0151】
演算回路3405で算出された電圧値は、ビデオ信号発生回路3406に供給される。ビデオ信号発生回路3406では、演算回路3405から供給される電圧値を基に、各画素に供給するビデオ信号を補正する。上記構成により、発光素子の経時変化を補償することができる。
【0152】
また、トランジスタのゲート電極を、電位が固定の電源線Vaxに接続させることで、トランジスタを飽和領域で動作させて、 発光素子の点灯と非点灯をビデオ信号で行うような場合は、ビデオ信号の補正は行わず、演算回路3405から供給される電圧値を基に、電源線Vaxの電位を変えればよい。なお、電源線Vaxは、電源回路3407に接続されている。よって、電源回路3407は、演算回路3405から供給される電圧値に基づき、電源線Vaxの電位を補正する。
【0153】
上記構成を有する本実施例の表示装置は、発光素子の経時劣化に即した補償を行うことができる。
【0154】
なお、モニター素子3401と演算回路3405の間と、モニター素子3402と演算回路3405の間には、バッファアンプなどの電位の変動を防止する回路を設けるとよい。
なお、定電流駆動を行う構成を有する画素としては、例えば、カレントミラー回路を用いた図35(A)に示す画素や、別の方式を用いた図35(B)に示す画素などがある。
【実施例3】
【0155】
本発明が適用されるパッシブマトリクス型の表示装置について図36を参照して説明する。パッシブマトリクス型の表示装置は、基板上に形成された画素部、該画素部の周辺に配置されたカラム信号線駆動回路3602(電流源3604、3605、3606、3607及びスイッチ3608、3609、3610、3611を含む)、ロウ信号線駆動回路3603(スイッチ3612、3613、3614、3615を含む)、駆動回路3602、3603を制御するコントローラ3630を有する。画素部は、列方向に配置 されたx本のカラム信号線C1〜Cx、及び行方向に配置されたy本のロウ信号線L1〜L y、並びにマトリクス状に配置された複数の発光素子を有する(x、yは自然数)。 カラム信号線駆動回路3602及びロウ信号線駆動回路3603は、LSIチップにより 構成され、FPCによって基板上に形成された画素部と接続される。また、画素部が形成された基板上には、モニター用回路3640が設けられる。
【0156】
図37にはカラム信号線駆動回路3602の構成例を示す。定電圧源3701は一定の電圧を発生させる機能を有し、公知のバンドギャップレギュレータ等の温度係数の小さな定電圧源が用いられる。定電圧源3701から発生した電圧は、オペアンプ3702、 トランジスタ3703及び抵抗3704により、温度係数が小さな定電流に変換される。 そして変換された電流は、トランジスタ3705〜3709及び抵抗3714〜3718により構成されるカレントミラー回路で反転且つ複数に複写され、スイッチ3710〜3713を介してカラム信号線に供給される。
【0157】
本実施例の表示装置では、モニター用回路3640を用いて、カラム信号線駆動回路3602に入力される画像データ、又は定電圧源3701から発生される電圧を、温度変化及び経時変化に応じて補正することで、温度変化及び経時変化の両者に起因する影響を防止する。
【実施例4】
【0158】
発光素子を含む画素領域を備えた表示装置を用いた電子機器として、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(携帯電話機)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、モニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。これらの電子機器の表示部に本発明の表示装置を適用することができる。その電子機器の具体例について、図31を参照して説明する。
【0159】
図31(A)に示す本発明の表示装置を用いた携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図31(B)に示す本発明の表示装置を用いたデジタルビデオカメラは、表示部9701、9702等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図31(C)に示す本発明の表示装置を用いた携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図31(D)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図31(E)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図31(F)に示す本発明の表示装置を用いたテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。上記に挙げた電子機器において、バッテリーを用いているものは、消費電力を削減した分、電子機器の使用時間を長持ちさせることができ、バッテリーを充電する手間を省くことができる。
【実施例5】
【0160】
本実施例では、本発明の表示装置を室温で動作させたときの試験結果について図32(A)及び図32(B)を参照して説明する。図32(A)は発光素子の電流値の時間変動特性(260時間)を示し、図32(B)は発光素子の輝度の時間変動特性(260時間)を示す。 図32(A)、(B)の両グラフにおいて、サンプルAは本発明の補償機能を含むパネル、サンプルBとサンプルCは補償機能を含まないパネルである。サンプルA、Bは 定電圧駆動、サンプルCは定電流駆動を行うパネルである。
【0161】
図32(A)、(B)の両グラフにおいて、横軸は時間(hour)であり、図32(A)の縦軸は実際の電流値を規格化した値(%)であり、図32(B)の縦軸は実際の輝度を規格化した値(%)である。
【0162】
なお、全てのサンプルにおいて、モニター素子のDuty比は100%であり、発光素子のDuty比は約64%であった。また、モニター素子と発光素子の総電流量は同じであるが、モニター素子の瞬間的な電流値と、発光素子の 瞬間的な電流値とは異なるものであった。
【0163】
図32(A)から、サンプルAは時間の経過に伴い電流値が増加傾向であることが分かる。サンプルBは電流値の変動が激しく、時間の経過に伴い電流値が減少傾向であることが分かる。サンプルCは電流値の変動が少なく、時間が経過しても、電流値の値はほぼ一定であることが分かる。サンプルAにおいて、時間の経過に伴い電流値が増加傾向にあるのは、モニター素子のDuty比が100%である一方、発光素子のDuty比が64%であるためであり、発光素子よりもモニター素子の方が経時変化の進行具合が早いことによる。
【0164】
また、図32(B)から、サンプルAは時間が経過しても、輝度の変化が小さく、ほぼ一定の輝度を保っていることが分かる。サンプルBは輝度の変動が激しく、時間の経過に伴い輝度は減少傾向であることが分かる。サンプルCは輝度の変動が少ないものの、サンプルBと同様に、時間の経過に伴い輝度は減少傾向であることが分かる。
【0165】
図32(A)、(B)の結果をふまえると、本発明を適用したサンプルAは、その電流値が増加傾向にあるものの、その輝度は一定であることが分かる。これは、電流値が増加傾向にあるものの、電流値の+Δの増加分だけ、経時変化が早く進むことに起因する。つまり、補償機能による電流値の+Δの増加分と、経時変化の進行による電流値の減少分とが丁度キャンセルされることにより、本発明を適用したサンプルAはほぼ一定の輝度を保つことができる。
【0166】
上記の動作をふまえると、本発明の補償機能を有する表示装置は、一定の輝度を保つことができるため、定輝度表示装置と呼ぶことができる。
【0167】
また、本発明のような補償機能を有する表示装置の駆動方法は、定輝度駆動方法(コンスタントブライトネス法、コンスタントルミネッセンス法、ブライトネスコントロール法、コントロールブライトネス法、ブライトコントロール法)と呼ぶことができる。この駆動方法は、上述の通り、補償機能による電流値の増加分と、経時変化に よる電流値の減少分とを予め求めておき、それらが丁度キャンセルされるような電圧 条件で発光素子を駆動する駆動方法である。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の表示装置を説明する図。
【図2】モニター素子の電圧電流特性の温度依存性を説明する図
【図3】モニター素子の電圧電流特性の経時劣化を説明する図
【図4】モニター素子と発光素子の劣化を説明する図。
【図5】本発明の温度補償機能を説明する図。
【図6】本発明の温度補償機能を説明する図。
【図7】本発明の温度補償機能を説明する図。
【図8】本発明に適用可能なスイッチの構成を説明する図。
【図9】本発明の温度補償機能を説明する図。
【図10】本発明の温度補償機能を説明する図。
【図11】本発明の表示装置を説明する図。
【図12】本発明の表示装置を説明する図。
【図13】本発明の表示装置を説明する図。
【図14】本発明の表示装置を説明する図。
【図15】本発明の表示装置を説明する図。
【図16】本発明の表示装置を説明する図。
【図17】本発明の表示装置が含む画素とその断面構造を説明する図。
【図18】本発明の表示装置が含む画素のマスクレイアウトを説明する図。
【図19】本発明の表示装置が含む画素のマスクレイアウトを説明する図。
【図20】本発明の表示装置の構成を説明する図。
【図21】本発明の表示装置が含むソースドライバの構成を説明する図。
【図22】本発明の表示装置が含むソースドライバの構成を説明する図。
【図23】本発明の表示装置が含むソースドライバの構成を説明する図。
【図24】本発明の表示装置が含むゲートドライバの構成を説明する図。
【図25】本発明の表示装置が含むゲートドライバの構成を説明する図。
【図26】本発明の温度補償機能を説明する図。
【図27】本発明の表示装置の動作を説明する図。
【図28】時間階調方式を説明する図。
【図29】本発明の適用することができる画素構成を示す図。
【図30】本発明の適用することができる画素構成を示す図。
【図31】本発明の表示装置を具備する電子機器を示す図。
【図32】(A)発光素子の電流値の時間変動特性を示す図。(B)発光素子の輝度の時間変動特性示す図。
【図33】(A)発光素子のVI特性と温度の関係を示す図、(B)発光素子のVI特性と時間の関係を示す図。
【図34】本発明の表示装置を説明する図。
【図35】本発明の表示装置を説明する図。
【図36】本発明の表示装置を説明する図。
【図37】本発明の表示装置を説明する図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を備えるモニター素子と、前記モニター素子に電流を供給する電流源と、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
前記モニター素子の第1電極及び前記発光素子第1電極は定電位電源に接続され、
前記モニター素子の第2電極は、前記バッファアンプの入力端子と接続され、前記発光素子の第2電極は、前記駆動トランジスタを介して前記バッファアンプの出力端子と接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1電極及び第2電極を備えるモニター素子と、前記モニター素子に電流を供給する電流源と、前記モニター素子の第2電極の電位を保持する容量素子と、前記容量素子と前記電流源とを導通又は非導通にする第1のスイッチと、前記電流源と前記モニター素子とを導通又は非導通にする第2のスイッチと、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
前記モニター素子の第1電極及び前記発光素子の第1電極は定電位電源に接続され、
前記モニター素子の第2電極は、前記バッファアンプの入力端子と、前記発光素子の第2電極は、前記駆動トランジスタを介して前記バッファアンプの出力端子と接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
第1電極及び第2電極を備える第1のモニター素子と、第1電極及び第2電極を備える第2のモニター素子と、前記第1のモニター素子及び第2のモニター素子に電流を供給する電流源と、前記電流源と前記第1のモニター素子とを導通又は非導通にする第1のスイッチと、前記電流源と前記第2のモニター素子とを導通又は非導通にする第2のスイッチと、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
前記モニター素子の第1電極及び前記発光素子の第1電極は定電位電源に接続され、
前記第1のモニター素子の第2電極は、前記第1のスイッチを介して前記バッファアンプの入力端子と、前記第2のモニター素子の第2電極は、前記第2のスイッチを介して前記バッファアンプの入力端子と接続され、
前記発光素子の第2電極は、前記駆動トランジスタを介して前記バッファアンプの出力端子と接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
第1電極と第2電極を備えた複数のモニター素子と、前記複数のモニター素子に電流を供給する電流源と、前記電流源と前記第複数のモニター素子のそれぞれの第2電極との間に設けられた複数のスイッチと、バッファアンプと、第1電極及び第2電極を備える発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
前記複数のモニター素子のそれぞれの第1電極及び前記発光素子の第1電極は定電位電源に接続され、
前記複数のモニター素子のそれぞれの第2電極は、前記複数のスイッチのいずれか一を介して前記バッファアンプの入力端子と接続され、
前記発光素子の第2電極は、前記駆動トランジスタを介して前記バッファアンプの出力端子と接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置を表示部に有することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
第1電極と第2電極を備えたモニター素子と、前記モニター素子に電流を供給する電流源と、バッファアンプと、第1電極と第2電極を備えた発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
前記モニター素子の第1電極及び前記発光素子の第1電極は定電位電源に接続されており、前記モニター素子の第2電極の電位をバッファアンプを介して前記駆動トランジスタのソース端子に設定することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項7】
第1電極と第2電極を備えたモニター素子と、前記モニター素子に電流を供給する電流源と、前記モニター素子の第1電極の電位を保持する容量素子と、前記容量素子と前記電流源とを導通又は非導通にする第1のスイッチと、前記電流源と前記モニター素子とを導通又は非導通にする第2のスイッチと、バッファアンプと、第1電極と第2電極を備えた発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動トランジスタとを有し、
前記モニター素子及び前記発光素子の第1電極は定電位電源に接続されており、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチがオンしているときに、前記モニター素子の第2電極の電位をバッファアンプにより検出し、前記検出した電位を前記発光素子の第2電極に設定し、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチがオフすると、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチをオフにしたときの前記モニター素子の第2電極の電位を前記容量素子が保持し、前記容量素子が保持した前記モニター素子の第2電極の電位を前記バッファアンプが検出し、前記発光素子の第2電極に設定することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項7において、前記モニター素子に電流を流す期間は、1フレーム期間の30%の期間であることを特徴とする表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−11388(P2006−11388A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141219(P2005−141219)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】