説明

表示装置及びその駆動方法

【課題】 発光素子の輝度を一定に保つようにコンピュータなどの外部装置を使ってその補正をしなければならず表示装置の複雑化及び大型化を招いていた。発光素子の劣化特性をコンピュータに記憶させても、その履歴によって劣化特性は任意に変化してしまうので輝度変化を補正することは出来なかった。
【解決手段】 表示部に設けた表示用発光素子と、それと同等のモニタ用発光素子を複数個備えている。複数のモニタ用発光素子から選ばれた少なくとも一を表示用発光素子と異なる駆動条件で動作させ、表示用発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御する。複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子が所定の電圧又は所定の時間に達したら、表示用発光素子と同等の条件で駆動していた他のモニタ用発光素子から選ばれる一と選択を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動方法に係り、特に発光素子を用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence)(以下「EL」ともいう。)材料を用いた発光素子で、表示画面を形成する表示装置が開発されている。この種の表示装置は、駆動方式やパネル構成について複数のものが知られているが、例えば、温度モニタ用の発光素子をパネル内に設け、周囲の温度が変化しても画素の発光素子に流れる電流の大きさが一定に保たれるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、複数の発光部から構成される表示パネルと、入力信号に応じて定電流駆動信号を供給する駆動手段と、発光部に生じる電圧を検出する検出手段と、その電圧変化に応じて定電流駆動信号を制御する制御手段とを含む表示装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この表示装置によれば、発光素子の劣化により輝度が低下しても、駆動手段から発光素子に接続された信号電極の電圧を検出し、輝度が一定に保たれるように駆動手段からの電流を増加させることで、輝度を一定に保つようにしている。
【特許文献1】特開2002−333861号公報
【特許文献2】特許第3390214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子における発光強度(輝度)の変動は、温度要因以外にもある。例えば、発光素子の劣化により発光強度(輝度)が低下することが知られている。この劣化は、発光素子に一定電流を流して動作させた場合、時間の経過と共に輝度が低下してしまう現象である。このことは、単に発光素子に流れる電流が一定になるように制御するのみでは、発光素子の発光強度(輝度)を一定に保つことはできないことを意味している。
【0005】
しかしながら、従来では、発光素子の輝度を一定に保つように電流値を補正するためには、コンピュータなどの外部装置を使ってその補正値を決めるなど、表示装置の複雑化及び大型化を免れることはできなかった。また、発光素子の劣化特性を予めコンピュータに記憶させておいても、発光素子の特性は製造毎にばらつき、さらに駆動条件など発光素子の履歴によって劣化特性は任意に変化してしまうので、輝度変化を正確に補正することは出来なかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑み、発光素子の輝度特性の変化を補償することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一は、表示部に設けた発光素子と、該発光素子と同等のモニタ用発光素子を備え、この両者を異なる駆動条件で動作させ、表示部に設けた発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御することを要旨とする。
【0008】
本発明の一は、表示部に設けた表示用発光素子と、それと同等のモニタ用発光素子を複数個備えている。複数のモニタ用発光素子から選ばれた少なくとも一を、表示用発光素子と異なる駆動条件で動作させ、表示用発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御する。このとき、他のモニタ用発光素子は、表示用発光素子と同等の条件で駆動させておけば良い。複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子が、所定の電圧又は所定の時間に達したら、表示用発光素子と同等の条件で駆動していた他のモニタ用発光素子から選ばれる一と選択を切り替える。そして、新たに選択された一のモニタ用発光素子を、表示用発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすような駆動条件で動作させる。このように、本発明は、複数のモニタ用発光素子を用いて駆動することを要旨とする。
【0009】
発光素子の輝度の劣化は、初期劣化及び中長期的な劣化を考慮して決める。初期劣化は、発光素子に通電後、数時間から数十時間において生じる急峻な輝度の時間的な変化をいう。また、中長期的な劣化は、それ以降に継続して続く輝度の劣化であり、この劣化には電流密度に依存しない要素も含まれる。
【0010】
本発明は、発光素子に係る劣化が、当該発光素子に流れる総電荷量に依存することに着目している。表示部に設けた発光素子の輝度の変化を補正するために、モニタ用発光素子に流れる総電荷量を単にモニタするのみでなく、発光素子に生ずる本質的な劣化を考慮して、表示部の発光素子に流れる電荷量と、モニタ用素子に流れる電荷量を対比して、表示用発光素子の輝度が一定となるように補正する。
【0011】
本発明は、表示用発光素子と、モニタ用発光素子との駆動条件を異ならせて駆動する。特に、モニタ用発光素子の駆動条件を、表示用発光素子の駆動条件よりも過負荷となるようにする。
【0012】
異なる駆動条件とは、モニタ用発光素子を定電流駆動し、表示用発光素子を定電圧駆動する条件が含まれる。また、異なる駆動条件には、モニタ用発光素子と表示用発光素子の発光時間を異ならせた駆動条件が含まれる。なお、本明細書では、発光素子の駆動条件を表すものとして、発光期間と非発光期間の一方若しくは双方を含む一定期間における発光期間の割合(以下「デューティー比」ともいう)を用いる。一定期間の例としては、1フレーム期間を適用することができる。一定期間における発光期間の割合(デューティー比)が100%とは連続発光する状態を示し、その割合(デューティー比)が50%とは、一定期間内において正味の発光期間が半分であることを示す。発光時間を異ならせる駆動条件の一例としては、モニタ用発光素子の発光を連続発光させ(100%点灯)、表示用発光素子の平均発光時間をその10〜35%の割合で点灯させる。若しくは、モニタ用発光素子の発光時間を50〜100%の割合で点灯させ、表示用発光素子の発光時間を平均10〜35%の割合で点灯させる。その他に、モニタ用発光素子の電流値が50〜100%とするのに対し、表示用発光素子の電流値が10〜35%となるように駆動する。
【0013】
このように、モニタ用発光素子の駆動条件を、表示用発光素子の駆動条件よりも過負荷となるように駆動させ、表示用発光素子の輝度を一定に保つように制御することで、表示用発光素子の輝度を一定に保つように補正することができる。
【0014】
本発明の一は、電流源に接続するモニタ用発光素子と、電流源とモニタ用発光素子とに接続しモニタ用発光素子にかかる電位を入力電位とする電圧発生回路と、電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子とを有する表示装置である。
【0015】
本発明の一は、電流源に接続し、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が50%乃至100%で駆動されるモニタ用発光素子と、電流源とモニタ用発光素子とに接続し、モニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、電圧発生回路の出力電圧が印加され、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比の平均が5%乃至45%で駆動される表示用発光素子とを有する表示装置である。
【0016】
本発明の一は、電流源と並列に接続する複数のモニタ用発光素子と、電流源と複数のモニタ用発光素子の接続を制御する第1の接続切替手段と、電流源とモニタ用発光素子とに接続し複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、複数のモニタ用発光素子と電圧発生回路との接続を制御する第2の接続切替手段と、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子へ電圧発生回路との接続の変更を第2の接続切替手段に命令するコントローラと、電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子とを有する表示装置である。
【0017】
本発明の一は、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が異なる条件で駆動される複数のモニタ用発光素子と、電流源とモニタ用発光素子とに接続し複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子とを有する表示装置である。
【0018】
本発明の一は、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が異なる条件で駆動される複数のモニタ用発光素子と、電流源とモニタ用発光素子とに接続し複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、複数のモニタ用発光素子と電圧発生回路との接続を制御する接続切替手段と、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を接続切替手段に命令するコントローラと、電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子とを有する表示装置である。
【0019】
本発明の一は、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比の平均が5%乃至45%の範囲となるように駆動する表示用発光素子と、電流源に接続し、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が50%乃至100%の範囲となるように駆動する一のモニタ用発光素子と、電流源に接続し、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が表示用発光素子と発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が同等となるように駆動する他のモニタ用発光素子と、電流源と一のモニタ用発光素子とに接続し、モニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を接続切替手段に命令するコントローラとを有し、表示用発光素子には、電圧発生回路の出力電圧が印加される表示装置である。
【0020】
この表示装置におけるコントローラは、一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子へ電圧発生回路との接続の変更を接続切替手段に命令するコントローラに置き換えても良い。
また、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子へ電圧発生回路との接続の変更を第2の接続切替手段に命令するか、一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子へ電圧発生回路との接続の変更を接続切替手段に命令するか、いずれか一方を選択して命令するコントローラとしても良い。
【0021】
本発明の一は、モニタ用発光素子とモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と電圧発生回路と表示用発光素子とを備え、モニタ用発光素子及び表示用発光素子の一方の端子を固定電位とし、モニタ用発光素子の他方の端子の電位を電圧発生回路により検出し、該電位を表示用発光素子の駆動電圧にする表示装置の駆動方法である。
【0022】
本発明の一は、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が50%乃至100%の範囲となるようにモニタ用発光素子を駆動させ、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比の平均が5%乃至45%の範囲となるように表示用発光素子を駆動させ、モニタ用発光素にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を表示用発光素子の駆動電圧にすること表示装置の駆動方法である。
【0023】
本発明の一は、モニタ用発光素子とモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と電圧発生回路と表示用発光素子とを備え、モニタ用発光素子及び表示用発光素子の一方の端子を固定電位とし、電流源によりモニタ用発光素子を定電流駆動して、モニタ用発光素子の他方の端子の電位を電圧発生回路により検出し、該電位を表示用発光素子の駆動電圧にする表示装置の駆動方法である。
【0024】
本発明の一は、複数のモニタ用発光素子と複数のモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と電圧発生回路と表示用発光素子とを備え、複数のモニタ用発光素子を、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が異なる条件でそれぞれ駆動して、複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を表示用発光素子の駆動電圧にする表示装置の駆動方法である。
【0025】
本発明の一は、複数のモニタ用発光素子と複数のモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と電圧発生回路と表示用発光素子とを備え、複数のモニタ用発光素子を、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が異なる条件でそれぞれ駆動して、複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を表示用発光素子の駆動電圧にし、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、該電圧が設定された値に達したときに、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替える表示装置の駆動方法である。
【0026】
本発明の一は、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比の平均が5%乃至45%の範囲となるように表示用発光素子を駆動させ、複数のモニタ用発光素子から選ばれた一を、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が50%乃至100%の範囲となるように駆動させ、他のモニタ用発光素子を表示用発光素子と発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が同等となるように駆動させ、複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を表示用発光素子の駆動電圧にし、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、該電圧が設定された値に達したときに、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替えると共に、該モニタ用発光素子を発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が50%乃至100%の範囲となるように駆動させる表示装置の駆動方法である。
【0027】
この表示装置の駆動方法において、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に接続を切り替えるときに、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定する代わりに、当該一のモニタ用発光素子の累積駆動時間で判定しても良い。また、当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧又は累積駆動時間の一方を選択して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替えても良い。
【0028】
本発明は、モニタ用発光素子の駆動条件を、表示用発光素子の駆動条件よりも過負荷となるように駆動させ、表示用発光素子の輝度を一定に保つように制御する表示装置及び表示装置の駆動方法である。表示用発光素子の輝度を一定に保つこの方法をコンスタントルミネセント駆動(以下「CL駆動」ともいう。)、又はコンスタントブライトネス駆動という。
【0029】
なお、ここでいうモニタ用発光素子及び表示用発光素子は、便宜上両者を区別するためにいうものであり、これらの発光素子は、モニタ用又は表示用の用途のみに用いられるものではない。例えば、モニタ用発光素子の一部又は全てを表示用発光素子として用いても良いし、表示用発光素子の一部又は全てをモニタ用発光素子として利用しても良い。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、温度及び経時変化を補償する回路を表示装置に設けることにより、表示用発光素子の輝度を一定に保つことができる。この補償回路は、電流源、モニタ用発光素子、電圧発生回路によって簡便に構成することが出来る。さらに、予め発光素子の劣化特性を取得しなくても、表示用発光素子を駆動しながらその場に応じて輝度の変化を補正することができる。
【0031】
本発明によれば、発光素子に流れる電荷量に基づいて輝度の劣化を考慮することにより、表示用発光素子の電荷量と、モニタ用発光素子に流れる電荷量を対比して、表示用発光素子の輝度が一定となるように補正をするCL駆動を行うことができる。そして、定電圧駆動を用いる本発明は、定電流駆動を用いる場合と比較すると、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0033】
本発明の表示装置の態様について、図1を参照して説明する。図1で示す表示装置は、表示部109を備えている。表示部109には、表示用発光素子105が設けられている。表示用発光素子105は駆動用トランジスタ104と接続されている。画素110は、表示用発光素子105と駆動用トランジスタ104を含んで構成される。画素110には、外部から入力される映像信号によって表示用発光素子105の発光を制御するスイッチング用のトランジスタを必要とする場合もあるが、図1はそれを省略している。この表示部109は、画素110をマトリクス状に配列させて構成されていても良い。
【0034】
図1で示す表示装置は、表示部109の表示用発光素子105の他に、モニタ用発光素子102を備えている。モニタ用発光素子102は、一つ又は複数設けることができる。モニタ用発光素子102は表示部109の外側に隣接して設けても良いし、表示部109の中に設けても良い。また、表示部109が形成される基板の他の部分に設けても良い。その他に走査線駆動回路107、データ線駆動回路108が備えられていても良い。これらの駆動回路は、外部から入力される信号に基づいて表示用発光素子105の発光又は非発光を制御する。
【0035】
この表示装置において、モニタ用発光素子102と表示用発光素子105は、同じ製造工程で作製されたものであることが望ましい。発光素子の構造と構成する材料を同じものとして、類似の特性が得られるようにすることで、補正の精度を高めることができる。表示用発光素子105とモニタ用発光素子102の構造は、典型的には、一対の電極間にELを発現する材料を含む層(以下「EL層」ともいう。)を介在させた構造を有している。
【0036】
EL層は、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層と呼ばれる層を含んでいても良い。正孔注入層と正孔輸送層との区別は必ずしも厳密なものではなく、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特性である意味において同じである。便宜上正孔注入層は陽極に接する側の層であり、正孔注入層に接する層を正孔輸送層と呼んで区別する。電子輸送層、電子注入層についても同様であり、陰極に接する層を電子注入層と呼び、電子注入層に接する層を電子輸送層と呼ぶ。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ぶ。適用されるEL層は、有機材料のみでなく、有機材料と無機材料との複合化物、有機材料に金属錯体を添加したものなどを用いても、同様な機能を発現するものであれば置き換えして適用することが出来る。
【0037】
勿論、ELを発現するための層構造は変化し得るものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容される。
【0038】
電極材料は、便宜上、陽極と陰極とを区別して呼ぶ場合がある。陽極はEL層に正孔を注入する側の電極であり、陰極はEL層に電子を注入する側の電極である。陽極は、仕事関数が4eV以上(好ましくは4.5eV以上)の材料で形成し、主にインジウム錫酸化物(ITOとも呼ばれる。)や、酸化珪素が添加されたインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、ガリウムをドープした酸化亜鉛、窒化チタンなどを用いる。陰極は仕事関数が4eV以下の材料で形成し、主にアルカリ金属やアルカリ土類金属を含む材料を用いる。
【0039】
また、多色表示(カラー表示)を行う場合、発光波長帯の異なるEL層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応したEL層を設けるとよい。この場合、赤、緑、青の各色に対応したモニタ用発光素子を設けて、各色毎に電源電位を補正する。発光素子の光の出射側に、その発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすると、色純度の向上や、表示部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。また、当該フィルターを設けると、従来必要であるとされていた円偏光板等を省略することが可能となり、EL層から出射する光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から表示部を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。EL層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、発光素子の光の出射側に特定の波長の光を透過するフィルターを設けた構成とすれば、多色表示を行うことができる。
【0040】
EL層には、一重項励起からの発光を呈する材料(以下一重項励起発光材料と表記)や、三重項励起からの発光を呈する材料(以下三重項励起発光材料と表記)を用いる。例えば、赤色に発光する発光素子、緑色に発光する発光素子及び青色に発光する発光素子のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色のものを三重項励起発光材料で形成し、他のものを一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという利点がある。
【0041】
また、赤色に発光する発光素子と、緑色に発光する発光素子とを三重項励起発光材料で形成し、青色に発光する発光素子を一重項励起発光材料で形成して、組み合わせても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、さらなる低消費電力化を図ることができる。なお三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をゲスト材料として用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などがある。また、電界発光層には、低分子材料、中分子材料、高分子材料のいずれの材料を用いてもよい。
【0042】
モニタ用発光素子102は、電流源101と接続している。電流源101に接続するモニタ用発光素子102の一方の端子は、電圧発生回路103の入力側とも接続している。電圧発生回路103の出力側は、駆動用トランジスタ104において表示用発光素子105と接続していない他方の端子と接続している。
【0043】
表示部109において表示用発光素子105を駆動するとき、電流源101はモニタ用発光素子102に一定の電流を供給する。モニタ用発光素子102を定電流駆動した状態で表示装置の温度が変化すると、モニタ用発光素子102の抵抗値が変化する。ここで、表示装置の温度とは、特に表示部若しくは表示部周辺の温度であり、モニタ用発光素子と表示用発光素子の電流電圧特性に影響を与える部位の温度を指している。
【0044】
モニタ用発光素子102の抵抗値が変化すると、当該モニタ用発光素子102に流れる電流値は一定であることから、モニタ用発光素子102の両端における電位差が変化する。モニタ用発光素子102において、電流源101に接続しない他方の端子は一定電位となっている。従って、モニタ用発光素子102の電流源101に接続されている側の電位を電圧発生回路103の入力とすることで、温度変化に応じた駆動電圧を表示用発光素子105に与えることができる。
【0045】
また、定電流駆動されるモニタ用発光素子102の発光特性が経時変化により変化する場合にも、モニタ用発光素子102の抵抗値が変化する。すなわち、モニタ用発光素子102の累積発光時間の増加により、電流効率が低下して、一定電流を流し続けても輝度が低下する。それと共に、モニタ用発光素子102の抵抗値が増大する。この場合にも同様に、モニタ用発光素子102の電位差を電圧発生回路103で参照することで、表示用発光素子105の駆動条件に反映させることができる。つまり、発光輝度の劣化の度合いに応じた駆動電圧を設定することができる。
【0046】
電圧発生回路103は、モニタ用発光素子102が電流源101と接続する側の電位を検出する。電圧発生回路103から出力される電位は、モニタ用発光素子102で検出した電位と同電位であり、駆動用トランジスタ104を介して表示用発光素子105の駆動電圧として与えらえる。この電圧発生回路103により、モニタ用発光素子102が温度や経時変化による輝度変化を、表示用発光素子105の駆動電圧に反映させることができる。
【0047】
電圧発生回路103は、例えば、オペアンプを用いたボルテージフォロワ回路で構成することができる。ボルテージフォロワ回路の非反転入力端子は高入力インピーダンスであり出力端子は低出力インピーダンスであるため、入力側と出力側を同電位として出力し、電流源101の電流がボルテージフォロワ回路に流れ込むことなく出力端子からは電流を流すことができる。勿論、ボルテージフォロワ回路のように、入力側と出力側を同電位として出力することが可能な回路であれば、他の回路構成を適用することもできる。
【0048】
以上に説明したように、この表示装置は、電流源101、モニタ用発光素子102、電圧発生回路103によって、温度及び経時変化補償回路(以下、単に「補償回路」ともいう)を構成している。本発明は、表示部に設けた表示用発光素子と、それと同等のモニタ用発光素子の両者を、異なる駆動条件で動作させ、表示用発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の経時劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御することで、輝度の劣化を補正した表示をする。この場合、表示用発光素子の輝度を一定に保つように、モニタ用発光素子を利用して補正を行うには、モニタ用発光素子の総電荷量が表示用発光素子の総電荷量よりも多くなるように駆動する。そのような駆動方式のとして、発光素子の発光時間を制御しても良い。例えば、また、モニタ用発光素子の発光を連続発光させ(100%点灯)、表示用発光素子の平均発光時間をその10〜35%の割合で点灯させる。若しくは、モニタ用発光素子の発光時間を50〜100%の割合で点灯させ、表示用発光素子の発光時間を平均10〜35%の割合で点灯させる。その他に、モニタ用発光素子の電流値が50〜100%とするのに対し、表示用発光素子の電流値が10〜35%となるように駆動する。
【0049】
モニタ用発光素子の総電荷量が表示用発光素子の総電荷量よりも多くなるように駆動することで、モニタ用発光素子にかかるストレスは大きくなる。そこで、モニタ用発光素子を長期間、安定的に駆動するために、補償回路にモニタ用発光素子を複数個設けても良い。補償回路にモニタ用発光素子を複数個備えることで、長期間、安定的に温度及び経時劣化の補正を表示用発光素子に対して行うことができる。次に、補償回路にモニタ用発光素子を複数個設けた構成例を図2に示す。
【0050】
モニタ用発光素子102a、モニタ用発光素子102b、モニタ用発光素子102cは電流源101と並列に接続している。モニタ用発光素子102aと電流源101との間には、スイッチング用トランジスタ106aが設けられている。モニタ用発光素子102bと電流源101との間には、スイッチング用トランジスタ106bが設けられている。モニタ用発光素子102cと電流源101との間には、スイッチング用トランジスタ106cが設けられている。
【0051】
スイッチング用トランジスタ106a〜106cは、所定のタイミングでオンオフするように、ゲートにコントローラ111から信号が入力される。このスイッチング用トランジスタのオンオフにより、モニタ用発光素子の発光期間を制御する。すなわち、スイッチング用トランジスタ106a〜106cは、電流源101とモニタ用発光素子102a〜102cとの間の接続切替手段を実現している。
【0052】
このスイッチング用トランジスタ106a〜106cの選択により、発光期間と非発光期間の比であるデューティー比が、100%で駆動するモニタ用発光素子102aと、60%で駆動するモニタ用発光素子102bと、30%で駆動するモニタ用発光素子102cとを同時に駆動することができる。ここで、デューティー比が100%とは、発光期間が連続していることであり、この場合、非発光期間はない。また、デューティー比が60%とは、全期間のうち発光期間が60%で非発光期間が40%である場合を指す。
【0053】
また、モニタ用発光素子102a〜102cと電圧発生回路103との間には接続切替手段112が設けられている。接続切替手段112はトランジスタに代表されるスイッチング素子で実現することが出来る。この接続切替手段112は、コントローラ111によって動作の制御がされ、モニタ用発光素子102a〜102cのいずれか一と電圧発生回路103との接続を選択する。これによって、上記のように所定のデューティー比で駆動するモニタ用発光素子の電位差を電圧発生回路103に入力して、表示用発光素子105の駆動電圧を制御することができる。
【0054】
図2に示す構成により、モニタ用発光素子を適宜切り替えてCL駆動を行うことができる。例えば、デューティー比100%で駆動するモニタ用発光素子102aと、30%で駆動するモニタ用発光素子102bと、30%で駆動するモニタ用発光素子102cとを同時に駆動する。そして、一定の期間、デューティー比が100%で駆動するモニタ用発光素子102aを接続切替手段112で選択し、その電圧を電圧発生回路103に入力して表示用発光素子105の補正を行う。
【0055】
その後、モニタ用発光素子102aの電圧が所定の値に達したら、それをコントローラ111で判断して、接続切替手段112により、モニタ用発光素子102bの接続に切り替える。また、それに伴って、スイッチング用トランジスタ106bのゲート信号を変更して、デューティー比が100%になるように駆動条件を変更する。
【0056】
これまで、30%のデューティー比で駆動してきたモニタ用発光素子102bは、表示用発光素子105とほぼ同等の経時劣化をしているので、ここで駆動条件を補正用に変更することにより、継続して表示用発光素子105のCL駆動をすることができる。
【0057】
モニタ用発光素子102bの電圧が所定の値になったと判断されたら、同様にしてモニタ用発光素子102cに切り替えることで、継続してCL駆動をすることができる。
【0058】
また、モニタ用発光素子の電圧により切り替える代わりに、モニタ用発光素子がデューティー比100%で駆動する時間をコントローラに内在させるカウンタで計測して、所定の時間が来たら選択するモニタ用発光素子を切り替えるようにしても良い。その他に、モニタ用発光素子の電圧と、駆動時間の両方をモニタして、基準値に早く達した方の値を判定基準としても良い。
【0059】
本発明は、発光素子に生じる本質的な劣化を考慮することにより、表示用発光素子105の電荷量と、モニタ用発光素子102に流れる電荷量を対比して、表示用発光素子105の輝度が一定となるように補正する。それにより、表示用発光素子105の輝度を一定に保つCL駆動を行うことができる。
【0060】
以下に、本発明に係るCL駆動の原理を説明する。ここで説明に用いる発光素子は、本実施の形態に係る発光素子と同様に、一対の電極間にELを発現する有機材料を含む薄膜を介在させた構造を備えている。
【0061】
EL層に流れる電流はトラップ電荷制限電流(Trap Charge Limited Current ; TCLC)と呼ばれ、次式で表すことができる。
J=S・Vn ・・・(1)
ここで、Jは電流密度、Vは電圧、Sは発光素子の材料や構造で決まる値、nは2以上の数値である。
【0062】
式(1)を変形すると、次式が得られる。
log J=n・log V + log S ・・・(2)
式(2)は、対数目盛で表す電流・電圧特性において傾きnの直線で示され、log Sの値が小さい程、その直線は高電圧側にシフトすることとなる。
【0063】
図3は代表的な発光素子の電流密度対電圧特性を示すグラフである。素子の構造は陽極\DNTPD\NPB\Alq:C6\Alq\CaF2\Alである。同グラフ中には、初期特性、室温で1000時間保持した後の特性、室温で1000時間定電流駆動したときの特性を示している。
【0064】
図3で示すように、発光素子を室温で1000時間、定電流駆動することで電流密度対電圧特性は、初期特性に比べて高電圧側にシフトしている。また、電流を流さずに同じ時間室温で保持した場合にも、同様に高電圧側にシフトしていることが示されている。
【0065】
次に、実用的な輝度が得られる電流密度領域において、上記三種類の条件の電流密度対電圧特性を、式(2)に基づいて両対数グラフにプロットした結果を図4に示す。図4に示すグラフでは、100〜10000cd/m2の輝度が得られる1〜100mA/cm2の電流密度に対してプロットしている。図4で示すグラフは、電流密度対電圧の特性が傾きnの直線で示されている。
【0066】
このグラフより求めたnとSの変化を図5に示す。図5のグラフで示すように、式(2)に基づくnとSのパラメータは特徴的な変化を示している。このうち、Sは発光素子を室温で保存した状態では変化せず、電流を流すことにより大幅に減少している。これに対し、nは発光素子に電流を流した場合のみでなく、室温で同じ時間保持した場合でも同様に低下している。その減少率は、発光素子に電流を流したときと、流さなかった場合でほぼ同じである。すなわち、nは電流を流すか流さないかにかかわらず、ほぼ時間経過のみで低下していくパラメータと考えられる。
【0067】
この結果より、nは時間の関数として式(3)で表すことができる。
n=f(t) ・・・(3)
nはダイオード特性の急峻さを表すものであることから、発光素子のダイオード特性は、電流を流す、流さないにかかわらず、時間の経過と共に変化する(nの値が小さくなり、傾きが小さくなる)ことを示している。
【0068】
一方、Sは室温で保存するだけではほとんど変化せず、電流を流すことにより変化するパラメータである。Sが時間に依存せず、電流を流すことにより変化するということは、総電荷量Q(電流×時間)の関数で表すことができ、次式を導くことができる。
S=g(Q) ・・・(4)
なお、Sは発光素子に電流を流すことで減少していくことから、g(Q)は単調減少の関数と考えられる。Sはダイオード特性のしきい値と考えることが出来るので、発光素子のダイオード特性のしきい値は、電流を流すことで高電圧側にシフトすると説明できる。
【0069】
式(1)(3)(4)より、モニタ用発光素子の電流密度対電圧特性、及び表示用発光素子の電流密度対電圧特性は次式で表すことができる。
Jo=g(Qm)・Vf(t) ・・・(5)
Jp=g(Qp)・Vf(t) ・・・(6)
ここで、Joはモニタ用発光素子の電流密度(一定)、Jpは画素の電流密度、Qmはモニタ用発光素子に流れた総電荷量、Qpは画素に流れた総電荷量、Vは電圧、tは時間である。
【0070】
式(5)(6)から、画素に流れる電流密度Jpは次式で表すことができる。
Jp=Jo・g(Qp)/g(Qm) ・・・(7)
ここで、g(Q)は単調減少の関数なので、モニタ用発光素子と表示用発光素子の電流を変えることにより、JoとJpは異なる値をとる。例えば、表示用発光素子よりもモニタ用発光素子の方により多くの電流を流せば(つまりQm>Qp)、常にJpはJoよりも大きくなる。
【0071】
表示用発光素子の輝度を一定に保つCL駆動を理想的に行うには、以下のことを考慮する必要がある。まず、画素の輝度をL、電流効率をηとすると、次式が与えられる。
L=η・Jp ・・・(8)
また、初期輝度をLo、初期の電流密度をJoとすると、電流効率ηは、
η=(Lo/Jo)・exp{−(k・t)β} ・・・(9)
という劣化曲線となる。ここで、kは速度定数、βは初期劣化を表すパラメータである。
【0072】
従って、式(8)(9)より式(10)が得られる。
L=Jp・(Lo/Jo)・exp{−(k・t)β} ・・・(10)
ここで、輝度を一定にするためには、L=Lo(一定)とならなければいけないため、式(10)にL=Loを代入することにより、次の式(11)が得られる。
Jp=Jo・exp{(k・t)β} ・・・(11)
【0073】
つまり、Jpを式(11)に従って上昇させることにより、CL駆動をすることができる。結局、式(7)(11)から、
g(Qp)/g(Qm)=exp{(k・t)β} ・・・(12)
が得られるため、「g(Qp)/g(Qm)」がexp{(k・t)β}に近くなるようにQpとQmを制御することで、CL駆動をすることができる。
【0074】
以上のように、発光素子に流れる電荷量に基づいて輝度の劣化を考慮することにより、表示用発光素子の電荷量と、モニタ用発光素子に流れる電荷量を対比して、表示用発光素子の輝度が一定となるように補正をするCL駆動を行うことができる。
【0075】
モニタ用発光素子と表示用発光素子を備えた表示装置を、本発明に基づいて動作させた一例を、図6(A)及び図6(B)を参照して説明する。
【0076】
図6(A)は発光素子の電流値の時間変動特性(260時間)を示し、図6(B)は発光素子の輝度の時間変動特性(260時間)を示す。図6(A)(B)の両グラフにおいて、サンプルAは本発明の補償機能を含むパネル、サンプルBとサンプルCは補償機能を含まないパネルである。サンプルA、Bは 定電圧駆動、サンプルCは定電流駆動を行うパネルである。
【0077】
図6(A)、(B)の両グラフにおいて、横軸は時間(hour)であり、図6(A)の縦軸は実際の電流値を規格化した値(%)であり、図6(B)の縦軸は実際の輝度を規格化した値(%)である。なお、全てのサンプルにおいて、モニタ用発光素子のデューティー比は100%であり、表示用発光素子のデューティー比は約64%であった。また、モニタ用発光素子と発光素子の総電流量は同じであるが、モニタ用発光素子の瞬間的な電流値と、発光素子の瞬間的な電流値とは異なるものであった。
【0078】
図6(A)から、サンプルAは時間の経過に伴い電流値が増加傾向であることが分かる。サンプルBは電流値の変動が激しく、時間の経過に伴い電流値が減少傾向であることが分かる。サンプルCは電流値の変動が少なく、時間が経過しても、電流値の値はほぼ一定であることが分かる。サンプルAにおいて、時間の経過に伴い電流値が増加傾向にあるのは、モニタ用発 光素子のデューティー比が100%である一方、発光素子のデューティー比が64%であるためであり、発光素子よりもモニタ用発光素子の方が経時変化の進行具合が早いことによる。
【0079】
また、図6(B)から、サンプルAは時間が経過しても、輝度の変化が小さく、ほぼ一定の輝度を保っていることが分かる。サンプルBは輝度の変動が激しく、時間の経過に伴い輝度は減少傾向であることが分かる。サンプルCは輝度の変動が少ないものの、サンプルBと同様に、時間の経過に伴い輝度は減少傾向であることが分かる。
【0080】
図6(A)(B)の結果をふまえると、本発明を適用したサンプルAは、その電流値が増加傾向にあるものの、その輝度は一定であることが分かる。これは、電流値が増加傾向にあるものの、電流値の+Δの増加分だけ、経時変化が早く進むことに起因する。つまり、補償機能による電流値の+Δの増加分と、経時変化の進行による電流値の減少分とがちょうどキャンセルされることにより、本発明を適用したサンプルAはほぼ一定の輝度を保つことができる。
【0081】
上記の動作を考慮すると、本発明の補償機能を有する表示装置は、一定の輝度を保つことができる。また、本発明のような補償機能を有することにより、CL駆動を実現することができる。この駆動方法は、上述の通り、補償機能による電流値の増加分と、経時変化による電流値の減少分とを予め求めておき、それらがちょうどキャンセルされるような電圧条件で発光素子を駆動する。
【実施例1】
【0082】
モニタ用発光素子を備えCL駆動をする表示装置の一例について、図7を参照して説明する。
【0083】
この表示装置は走査線駆動回路107、データ線駆動回路108、表示部109を備えている。表示部109には、スイッチング用トランジスタ114、駆動用トランジスタ104、容量素子113、表示用発光素子105を含む画素110が配置されている。
【0084】
データ線駆動回路108はパルス出力回路115、第1のラッチ回路116、第2のラッチ回路117を有する。このデータ線駆動回路108において、第1のラッチ回路116にデータを入力しているとき、第2のラッチ回路117は出力を行うことができる。
【0085】
表示部109は、走査線駆動回路107につながる走査線G1〜Gnと、データ線駆動回路108につながるデータ信号線D1〜Dmを含んでいる。走査線駆動回路107から信号が入力される走査線G1は、画素110のスイッチング用トランジスタ114のゲートに信号を送る。走査線G1によって選択されたスイッチング用トランジスタ114はオンとなり、第2のラッチ回路117によりデータ信号線D1に出力されたデータ信号を容量素子113に書き込む動作を行う。この容量素子113に書き込まれたデータ信号によって、駆動用トランジスタ104が動作して、表示用発光素子105の発光状態又は非発光状態を制御する。つまり、オンにある駆動用トランジスタ104を介して、電源線V1〜Vmの電位が表示用発光素子105に与えることにより、表示用発光素子105の発光又は非発光の制御が行われる。
【0086】
モニタ用発光素子102の数は適宜選択することができる。モニタ用発光素子は一つでも構わないし、複数個を配置しても良い。図7で示す表示装置は、n(n>1)個のモニタ用発光素子102a〜102nを備え、それ画素一列分と等しい数で設けられている。n個のモニタ用発光素子102a〜102nを配置することで、個々のモニタ用発光素子における特性ばらつきを平均化することができる。
【0087】
図7におけるモニタ用発光素子102a〜102nは、電流源101と並列に接続されている。表示用発光素子105が、データ信号によって発光又は非発光の状態をとるのに対し、モニタ用発光素子102a〜102nは、定電流駆動され常時点灯している。これらのモニタ用発光素子102a〜102nにおいて、電流源101に接続する側の電極電位を検出し、電圧発生回路103により電源線V1〜Vmの電位を設定する。電圧発生回路103は、代表的には、ボルテージフォロワ回路で構成されている。
【0088】
この構成によれば、モニタ用発光素子102a〜102nが定電流駆動している状態で表示装置の温度が変化すると、モニタ用発光素子102a〜102nの抵抗値が変化する。その抵抗値の変化に伴って、モニタ用発光素子102a〜102nの両電極間における電位が変化することとなる。その変化した電位は電圧発生回路103で検出し、温度変化に応じた駆動電圧を表示用発光素子105に与えることができる。また、モニタ用発光素子102a〜102nの発光特性が経時変化により変化する場合にも、モニタ用発光素子102a〜102nの抵抗値が変化するので、同様に表示用発光素子105の駆動電圧に劣化による変化分を反映させることができる。このような動作により、表示用発光素子105をCL駆動することができる。
【0089】
表示部109は、白色発光する表示用発光素子105で構成することができる。そのとき、モニタ用発光素子102a〜102nも同様に白色発光素子で構成する。また、異なる発光色を呈する表示用発光素子を複数組み合わせて表示部109を構成しても良い。例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)若しくはそれに近い発光色を呈する発光素子を組み合わせて表示部を構成しても良い。そのとき、モニタ用発光素子102a〜102nは、赤(R)、緑(G)、青(B)若しくはそれに近い発光色を呈する一種の発光素子で形成すれば良い。
【0090】
図8は、モニタ用発光素子を各発光色に応じて設けた表示装置の一例を示している。データ信号線D1の接続されている画素110aが赤(R)の発光色を呈する画素、データ信号線D2の接続されている画素110bが緑(G)の発光をする画素、データ信号線D3の接続されている画素110cが青(B)の発光をする画素とする。第1電流源1101aはモニタ用発光素子1102aに電流を供給し、第1電圧発生回路1103aがモニタ用発光素子1102aの電位を検出し、この電位を電源線V1に設定する。第2電流源1101bはモニタ用発光素子1102bに電流を供給し、第2電圧発生回路1103bがモニタ用発光素子1102bの電位を検出し、この電位を電源線V2に設定する。第3電流源1101cはモニタ用発光素子1102cに電流を供給し、第3電圧発生回路1103cがモニタ用発光素子1102cの電位を検出し、この電位を電源線V3に設定する。この構成によれば、各発光色に対応する表示用発光素子の駆動電圧を、それに応じたモニタ用発光素子によって設定することができる。なお、図8で示す表示装置の他の構成及び動作については、図7に示す表示装置と同様である。
【0091】
図9は、図7及び図8の表示装置の画素110に適用することのできる他の構成例を示している。図9(A)の画素120aは、スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104に加え、消去用トランジスタ118と消去用のゲート線Ryを設けている。表示用発光素子105の一方は駆動用トランジスタ104と接続し、他方は対向電源119に接続している。消去用トランジスタ118により、強制的に表示用発光素子105に電流が流れない状態を作ることができるため、画素110に対する信号の書き込みを待つことなく、データ信号の書き込み期間の開始と同時又は直後に発光期間を設けることができる。これによりデューティー比を向上させることが出来、発光と非発光の期間を強制的に制御するので、特に動画の表示に適している。
【0092】
図9(B)は、トランジスタ121とトランジスタ122を直列に接続して駆動用トランジスタとして機能させている。さらにトランジスタ121のゲートに接続する電源線Vax(xは自然数、1≦x≦m)とを設けた画素120bの構成を示している。電源線Vaxは電源123に接続する。この画素120bは、トランジスタ121のゲートを一定電位の電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ121のゲート電位を飽和領域で動作する電位に固定する。トランジスタ122は線形領域で動作させるので、そのゲートには画素120bの発光又は非発光の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ122のソースとドレイン間電圧は小さいため、トランジスタ122のゲート及びソース間電圧の僅かな変動は、表示用発光素子105に流れる電流値に影響を及ぼさない。従って、表示用発光素子105に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ122により決定される。上記構成は、トランジスタ121の特性バラツキに起因した表示用発光素子105の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。
【0093】
また、上記以外の画素回路として、スイッチング用トランジスタ114を省略して駆動用トランジスタ104と表示用発光素子105で画素を構成してもよい。この場合、パッシブマトリクス型のディスプレイと同じ動作を行う。
【0094】
以上に説明したように、この表示装置は電流源、モニタ用発光素子、電圧発生回路によって、温度及び輝度劣化の補償回路を構成している。すなわち、表示用発光素子とそれと同等のモニタ用発光素子の両者を、異なる駆動条件で動作させ、表示部に設けた発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比を、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御することができる。
【0095】
本実施例は、表示用発光素子の電荷量と、モニタ用発光素子に流れる電荷量を対比して、表示用発光素子の輝度が一定となるように補正をする。例えば、モニタ用発光素子をデューティー比50〜100%で定電流駆動して、その時のモニタ用発光素子の電位差を電圧発生回路により表示用発光素子の駆動電圧に反映させることで、式(12)で示す(g(Qp)/g(Qm))がexp{(k・t)β}に近くなるようにQpとQmを制御することが出来、表示用発光素子の輝度を一定に保つCL駆動を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0096】
本実施例は、モニタ用発光素子と表示用発光素子を組み合わせてCL駆動する表示装置における他の構成例を示す。
【0097】
本実施例では、画素における表示用発光素子の平均発光期間を考慮してモニタ用発光素子の電流量、すなわち電荷量を設定する。ここで、各画素の表示用発光素子の発光期間と非発光期間の比の平均値は3:7の比であることが経験的に知られている。式(12)で説明したように、(g(Qp)/g(Qm))がexp{(k・t)β}に近くなるように、モニタ用発光素子の電荷量Qmと、表示用発光素子の電荷量Qpとを制御するには、モニタ用発光素子の発光期間を調整すれば良い。ここで、モニタ用発光素子のデューティー比は50〜100%とすれば良い。
【0098】
図10は、モニタ用発光素子の発光期間を制御する補償回路の一例を示す。この補償回路は、電流源101、モニタ用発光素子102、電圧発生回路103、容量素子145、第1スイッチ124及び第2スイッチ125を有している。電圧発生回路103の出力は、駆動用トランジスタ104を介して表示用発光素子105を駆動するのに供している。
【0099】
モニタ用発光素子102に電流源101から電流を流すときは、第1スイッチ124及び第2スイッチ125をオンにする。この状態でモニタ用発光素子102に電流が流れると、容量素子145には、モニタ用発光素子102にかかる電圧Vmまで電荷が蓄積される。その後、第2スイッチ125を、第1スイッチ124と同時又はそれより先にオフする。こうして、第2スイッチ125をオフにしたときのモニタ用発光素子102にかかる電圧Vmが、電圧発生回路103に入力される。そして、電圧発生回路103は同じ電位を出力する。この電位は表示用発光素子105の駆動電圧に反映される。
【0100】
こうして非発光期間においても、第二のスイッチ125をオフとしたときのモニタ用発光素子102の電圧Vmが電圧発生回路103に入力される。そして電圧発生回路103の出力側には同電位が出力され、第二のスイッチ125をオフにしたときのモニタ用発光素子102に流れていた電流を表示用発光素子105に流すことができる。
【0101】
この構成によれば、モニタ用発光素子102の発光期間を50〜100%の範囲で制御することが出来る。そして、モニタ用発光素子に電流を流している期間に温度補償機能を果たすことができるので、劣化補償と温度補償の両方を実現することができる。
【0102】
ここで、時間階調表示を行う場合において、1フレーム期間あたりの表示用発光素子の発光と非発光の比は、経験的に3:7であることが知られている。よって、表示期間中に電流が流れ続ける場合、モニタ用発光素子102の電荷量と表示用発光素子105に流れる電荷量の比は10:3になる。そこで、モニタ用発光素子102に電流を流す期間を1フレーム期間あたり50〜100%に設定することで、モニタ用発光素子の電荷量Qmと、表示用発光素子の電荷量Qpとの比をexp{(k・t)β}になるように整合させることができる。
【0103】
また、発光色の異なる複数種の表示用発光素子を表示部に設ける場合には、それに対応したモニタ用発光素子を設けると良い。特に、複数種の表示用発光素子間で、温度特性をはじめ劣化速度や寿命時間が異なる場合には、モニタ用発光素子もそれに対応して設けることでCL駆動をすることができる。さらに、発光色毎のデューティー比の平均値に合わせてそれぞれのモニタ用発光素子の発光期間を設定することで、さらなるCL駆動の精度を向上することができる。
【0104】
以上に説明したように、この表示装置は電流源、モニタ用発光素子、電圧発生回路によって、温度及び輝度劣化の補償回路を構成している。すなわち、表示用発光素子と、それと同等のモニタ用発光素子の両者を、異なる駆動条件で動作させ、表示部に設けた発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御している。それにより、表示用発光素子の輝度を一定に保つCL駆動を行うことができる。
【実施例3】
【0105】
本実施例は、モニタ用発光素子と表示用発光素子を組み合わせたCL駆動する表示装置において、モニタ用発光素子による補正機能を長期間維持することのできる構成例を示す。
【0106】
図11にモニタ用発光素子の経時劣化を補正する補償回路の一例を示す。この補償回路は、電流源101、モニタ用発光素子102a及びモニタ用発光素子102b、電圧発生回路103、スイッチ126aとスイッチ126bを含むスイッチ回路126有している。電圧発生回路103の出力は、駆動用トランジスタ104を介して表示用発光素子105を駆動するのに供している。
【0107】
スイッチ126aとスイッチ126bは、電流源101とモニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bの接続状態を切り替える。このスイッチ126aとスイッチ126bを動作させることにより、モニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bに、電流源101からの電流を交互に供給することができる。このとき、モニタ用発光素子102aにかかる電位Vma又はモニタ用発光素子102bにかかる電位Vmbを電圧発生回路103で検出し、その電位を表示用発光素子105の駆動電圧に反映させることができる。
【0108】
スイッチ126aとスイッチ126bが切り替わる期間を適宜設定すれば、モニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bの経時劣化の程度を調節することができる。例えば、スイッチ126aとスイッチ126bの切り替えるタイミングを同じにすれば、見かけ上モニタ用発光素子102a及びモニタ用発光素子102bの経時劣化の速度は半減する。また、一方のモニタ用発光素子の発光期間を長くして、そのモニタ用発光素子の寿命が来たら、他方のモニタ用発光素子に切り替えて使うこともできる。この方法によれば、長期に渡って補償回路を動作させることができる。
【0109】
例えば、モニタ用発光素子102aをデューティー比80%で駆動し、モニタ用発光素子102bをデューティー比20%とする。最初、モニタ用発光素子102aの電圧Vmaを補正電圧としてCL駆動を行い、モニタ用発光素子102aの電圧Vmaがある一定水準まで上昇したら、モニタ用発光素子102bをデューティー比80%で駆動するように切り替える。その後は、モニタ用発光素子102bの電圧VmbをCL駆動の補正電圧とする。このようにして、表示用発光素子105のCL駆動を長期に渡って実施することができる。
【0110】
いずれにしても、モニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bの一方に常に電流を流し、そのモニタ用発光素子の電位を検出し、表示用発光素子の駆動電位を設定しているため、温度補償も常に行うことができる。
【0111】
スイッチ回路126はさまざまな技術的手段で実現することができる。その一例を図12に示す。アナログスイッチ201及びアナログスイッチ202並びにインバータ203により実現することができる。制御信号がアナログスイッチ201及びアナログスイッチ202の制御入力端子に入力され、アナログスイッチ201又はアナログスイッチ202のいずれかがオンする。こうして、モニタ用発光素子102a又はモニタ用発光素子102bのいずれに電流を流すかを選択することができる。
【0112】
勿論、スイッチ回路126は、図12の構成に限定されず、同様な機能を実現するものであれば、他の構成を用いることも出来る。例えば、スイッチ126の機能を図13に示すようにトランジスタを用いて実現した表示装置とすることもできる。pチャネル型のスイッチング用トランジスタ126cとnチャネル型のスイッチング用トランジスタ126dを用いる。pチャネル型のスイッチング用トランジスタ126cのソースと、nチャネル型のスイッチング用トランジスタ126dのドレインとが電流源101に接続され、pチャネル型のスイッチング用トランジスタ126cのドレインがモニタ用発光素子102aと、nチャネル型のスイッチング用トランジスタ126dのソースがモニタ用発光素子102bと接続されている。これらのスイッチング用トランジスタのゲートに制御信号が入力されると、どちら一方がオンすることとなる。こうしてモニタ用発光素子102a又はモニタ用発光素子102bを選択することができる。
【0113】
また、図14に示すように同じ極性のトランジスタを用いてもスイッチ126の機能を実現することができる。一方のスイッチング用トランジスタ126eのゲートには制御信号をそのまま入力し、他方のスイッチング用トランジスタ126fには制御信号をインバータ127を介して入力する。これにより、制御信号が反転してスイッチング用トランジスタ126fに入力されるため、どちらか一方のスイッチング用トランジスタを選択することができる。なお、図14においてはpチャネル型のスイッチング用トランジスタ126e及び126fを用いて説明したが、nチャネル型のトランジスタを用いても同様の機能を果たすことができる。
【0114】
図13で示すスイッチを適用した表示装置の一例を図15に示す。ここでスイッチング用トランジスタ126cとスイッチング用トランジスタ126dが一対となってスイッチの機能を備えている。制御線128から入力される制御信号を、スイッチング用トランジスタのゲートに入力する。それにより、pチャネル型のスイッチング用トランジスタ126cとnチャネル型のスイッチング用トランジスタ126dを交互にオンすることができる。すなわち、モニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bに交互に電流を供給する構成となっている。他の構成は図7と同様である。
【0115】
図14で示すスイッチを適用した表示装置の一例を図16に示す。ここで、スイッチング用トランジスタ126eとスイッチング用トランジスタ126fが一対となってスイッチの機能を備えている。制御信号線129に入力された制御信号は、制御信号線129aと制御信号線129bに伝送される。このとき、制御信号線129aには、インバータ127により反転信号が伝送される。制御信号線129aはスイッチング用トランジスタ126eに、制御信号線129bはスイッチング用トランジスタ126fのゲートに信号を入れるので、制御信号の極性に応じて一方のスイッチング用トランジスタがオンする。すなわち、モニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bに交互に電流を供給する構成となっている。他の構成は図7と同様である。
【0116】
なお、選択するモニタ用発光素子は二つに限られず複数を並列に配置しても良い。例えば、表示用発光素子の発光色に対応させて、赤(R)、緑(G)、青(B)のモニタ用発光素子を設け、それを適宜スイッチング用トランジスタで切り替える構成としても良い。
【0117】
以上に説明したように、この表示装置は電流源、複数のモニタ用発光素子及び電圧発生回路によって、温度及び輝度劣化の補償回路を構成している。すなわち、表示用発光素子と、それと同等のモニタ用発光素子の両者を、異なる駆動条件で動作させ、表示部に設けた発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御している。それにより、表示用発光素子の輝度を一定に保つCL駆動を行うことができる。
【実施例4】
【0118】
本実施例は、発光素子の経過時間に合わせて補正を行うCL駆動及びそれを行う表示装置の一例について、図17を参照して説明する。
【0119】
図17に示す表示装置は、表示部109に表示用発光素子105とモニタ用発光素子102とを有する。表示用発光素子105とモニタ用発光素子102は同じ作製工程で製造されたものであることが望ましい。それにより、この両者の発光素子は、環境温度の変化と経時変化に対して近い特性とすることができる。
【0120】
この表示装置は、時間測定回路130、記憶回路131、補正データ作成回路132、電源回路133、電流源101を有している。これらの回路は、表示用発光素子105とモニタ用発光素子102と共に同一の基板上に設けられていてもよいし、別部品として実装されていても良い。
【0121】
表示部109には、表示用発光素子105と駆動用トランジスタ104を含む画素110が設けられている。表示用発光素子105は、基板上に設けられた走査線駆動回路107とデータ線駆動回路108を用いて発光又は非発光の制御がされている。
【0122】
モニタ用発光素子102は一つ又は複数設けられる。一つ又は複数のモニタ用発光素子102は表示部109内に設けてもよいし、それ以外の領域に設けてもよい。モニタ用発光素子102には電流源101により一定の電流が供給される。この状態で、表示装置の温度の変化及び/又は発光素子の経時変化が生じると、モニタ用発光素子102自体の抵抗値が変化する。モニタ用発光素子102の電流値は一定なため、モニタ用発光素子102の両電極間にかかる電圧Vmが変化する。この電圧Vmを、バッファアンプなどを使って補正データ作成回路132の入力電圧として取得する。
【0123】
時間測定回路130は、電源回路133が表示用発光素子105を含むパネルに電源を供給していた時間を測定する機能を備えている。または、表示部109内の各画素に供給するビデオ信号をサンプリングして、表示用発光素子105の点灯時間を測定する機能を有している。複数個設けられた画素110の、表示用発光素子105の発光時間は、任意の画像を表示するため画素毎に異なっている。そのため、表示用発光素子105の発光時間をそれぞれ積算し、その積算値を合算して平均発光時間を設けることが好ましい。また、任意に選択された表示用発光素子105の発光時間を算出し、その平均値を用いることが出来る。時間測定回路130は、上記の機能により得た経過時間に関する情報を含む信号を、補正データ作成回路132に出力する。
【0124】
記憶回路131は、表示用発光素子105の電流電圧特性の経時変化特性を記憶する回路である。つまり、各経過時間における表示用発光素子105の電流電圧特性を記憶しており、好ましくは1万時間から10万時間分のものを記憶する。記憶回路131は、補正データ作成回路132から供給される信号に基づき、その経過時間に対応した表示用発光素子105の電流電圧特性のデータを補正データ作成回路132に出力する。
【0125】
補正データ作成回路132は、モニタ用発光素子102の出力と、記憶回路131の出力に基づき、表示用発光素子105を動作させる最適な電圧条件を算出する。つまり、所望の輝度が得られる最適な電圧条件を決定し、その情報を含む信号を電源回路133に出力する。
【0126】
電源回路133では、補正データ作成回路132から供給された信号に基づき、補正した電源電位を表示用発光素子105に供給する。なお、表示用発光素子105を含むパネルを用いてカラー表示を行う場合、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に設けるとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を設けるとよい。この場合、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応したモニタ用発光素子102を設けて、各色毎に電源電位を補正するとよい。記憶回路131には、発光素子の劣化の加速試験を行い、加速係数を記憶させておく。そして、その加速係数を用いて補正データを算出する。
【0127】
本実施例によれば、モニタ用発光素子を用いて、発光素子の電圧条件を最適なものとすることで、温度変化と経時変化の両者に起因した発光素子の電流値の変化による影響を抑制することができる。また、本実施例によると、利用者による操作を必要としないため、製品としての長寿命化を図ることができる。
【実施例5】
【0128】
モニタ用発光素子に逆方向電圧を印加することを可能とし、CL駆動をする表示装置の一例について、図18を用いて説明する。本実施例は、モニタ用発光素子に直列に接続する交流用トランジスタを有している。
【0129】
図18において、交流用トランジスタ134のゲートは、スイッチ135を介して、電圧発生回路103の入力端子に接続する。また、交流用トランジスタ134のゲートは、スイッチ136を介して交流用電源138に接続する。交流用トランジスタ134のソース及びドレインの一方は交流用電源137に接続し、他方はモニタ用発光素子102に接続する。交流用トランジスタ134は、モニタ用発光素子102に逆方向電圧を印加するために設けられたものである。ここで、逆方向電圧の印加とは、発光素子の両端子に、発光させるときに印加する電圧とは逆極性の電圧を印加することである。発光素子の一方の端子(陽極)に正の電圧を、他方の端子(陰極)に負の電圧を印加して発光させる場合には、一方の端子(陽極)に負の電圧を、他方の端子(陰極)に正の電圧を印加することで逆方向電圧の印加をする。
【0130】
モニタ用発光素子102に逆方向電圧を印加する際は、スイッチ135をオフにして、電圧発生回路103とモニタ用発光素子102との間を電気的に接続しないように設定する。また、スイッチ136をオンにして、交流用電源138の電位を交流用トランジスタ134に与えることで、当該交流用トランジスタ134をオンにする。そして、対向電源119の電位と交流用電源137の電位の大小関係を適宜設定する。モニタ用発光素子102に逆方向電圧を印加することで、モニタ用発光素子102の陽極と陰極の短絡箇所に局所的に電流を流し、当該短絡箇所を絶縁化することができる。そうすると、モニタ用発光素子102の短絡部による不良を解消することができる。
【0131】
なお、容量素子145は、モニタ用発光素子102に逆方向の電圧を印加する際、電圧発生回路103の入力端子の電位を維持するために設けられている。この表示装置の構成は、容量素子145に制約されず、電位を保持することが可能な容量素子145以外の回路を用いてもよい。
【0132】
一方、モニタ用発光素子102に順方向バイアスの電圧を印加する際は、スイッチ135をオンにして、スイッチ136をオフにする。なお、図示する構成では、交流用トランジスタ134はpチャネル型トランジスタで示しているが、勿論nチャネル型のトランジスタでも良い。また、交流用トランジスタ134のゲートは、電圧発生回路103の入力端子に接続するが、本実施例の表示装置はこの構成に制約されない。独立した制御回路を設けて、当該制御回路により、交流用トランジスタ134のオンとオフを制御してもよい。
【0133】
モニタ用発光素子に逆方向電圧を印加することが出来、CL駆動をする表示装置の他の一例について、図19を参照して説明する。
【0134】
電圧発生回路103の入力端子に接続する容量素子145と、表示用発光素子105と電圧発生回路103の出力端子との間に設けられた第1のスイッチ143と、表示用発光素子105と交流用電源146との間に設けられた第2のスイッチ141と、モニタ用発光素子102と電圧発生回路103の入力端子との間に設けられた第3のスイッチ142と、モニタ用発光素子102と交流用電源146との間に設けられた第4のスイッチ140と、電流源101と電圧発生回路103の入力端子の間に設けられた第5のスイッチ144とを有している。第1のスイッチ143、第2のスイッチ141、第3のスイッチ142及び第4のスイッチ140には、トランジスタなどの公知のスイッチング機能を有する素子を用いるとよい。
【0135】
表示用発光素子105とモニタ用発光素子102に逆方向電圧を印加する場合は、制御回路139により、第1のスイッチ143と第3のスイッチ142と第5のスイッチ144を非導通状態にし、第2のスイッチ141と第4のスイッチ140とを導通状態にする。そして、対向電源119と交流用電源146の電位の大小関係を適当な関係に設定する。上述したように、表示用発光素子105とモニタ用発光素子102に逆方向電圧を印加することで、短絡部を絶縁化し、当該短絡部による不良を解消することができる。
【0136】
一方、表示用発光素子105とモニタ用発光素子102に順方向電圧を印加する際は、制御回路139により、第1のスイッチ143と第3のスイッチ142と第5のスイッチ144を導通状態にし、第2のスイッチ141と第4のスイッチ140とを非導通状態にする。
【0137】
なお、容量素子145は、表示用発光素子105とモニタ用発光素子102に逆方向電圧を印加する際、電圧発生回路103の入力端子の電位を維持するために設けられている。本発明では容量素子145に制約されず、電位を保持することが可能な容量素子145以外の回路を用いてもよい。
【0138】
モニタ用発光素子に逆方向電圧を印加することが出来、CL駆動をする表示装置の一例について、図20を参照して説明する。
【0139】
この表示装置は、電流源の代わりに電流源用トランジスタ147を有している。電流源用トランジスタ147は、モニタ用発光素子102に直列に接続されており、そのゲートは電源149に接続する。電流源用トランジスタ147のソース及びドレインの一方はモニタ用発光素子102の一方の電極と接続し、他方は電源148と接続する。
【0140】
電流源用トランジスタ147は、電流源として用いるために飽和領域で動作させる。従って、電源148、149の電位を適当な値に設定して、電流源用トランジスタ147のゲートとソース間電圧を適宜調整する。また、電流源用トランジスタ147を飽和領域で動作させるために、電流源用トランジスタ147のチャネル長とチャネル幅の比(L/W)は2〜100に設定することが好ましい。なお、図20の構成では、電流源用トランジスタ147の導電型はpチャネル型であるが、本実施例はこの構成に制約されずnチャネル型のトランジスタを適用しても良い。
【0141】
図21に示す構成は、電圧発生回路103の入力端子とモニタ用発光素子102との間に設けられた抵抗素子150を有している。抵抗素子150は可変抵抗又は固定抵抗であれば良い。
【0142】
抵抗素子150は、ある一定の期間あたり(例えば1フレーム期間あたり)のモニタ用発光素子102の総電流量と、表示用発光素子105の総電流量の相違を調整する。これは、電流源101を用いてモニタ用発光素子102を通常に動作させた場合、当該モニタ用発光素子102のデューティー比が100%である一方、表示用発光素子105のデューティー比は全白表示でも70%程度であり、点灯率を考慮すると更に低い値となるためである。つまり、通常に動作させた場合、表示用発光素子105とモニタ用発光素子102とを比較すると、モニタ用発光素子102の経時劣化が早く進む。
【0143】
従って、この構成では、抵抗素子150を配置して、ある瞬間でのモニタ用発光素子102の電流値を表示用発光素子105の電流値よりも低い値にすることで、ある一定の期間当たりの総電流量を同じにして、経時劣化を調整することもできる。その結果、より表示用発光素子105の経時劣化に即した電源電位の補正を行うことができる。
【0144】
次に、上記構成と同様に抵抗素子を用いる場合であって、上記とは異なる構成について、図22を参照して説明する。この構成ではモニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bを備えている。モニタ用発光素子102aとモニタ用発光素子102bはそれぞれ複数個設けても良い。一方のモニタ用発光素子102aに接続するように、抵抗素子151と、電圧発生回路153と、電流源155と、抵抗素子157とを設ける。また、他方のモニタ用発光素子102bに接続するように、抵抗素子152と、電圧発生回路154と、電流源156と、抵抗素子158とを設ける。
【0145】
上記構成によると、抵抗素子151と抵抗素子152の抵抗値を変えれば、一方のモニタ用発光素子102aの瞬間的な電流値と、他方のモニタ用発光素子102bの瞬間的な電流値とを変えることができる。従って、一方の列のモニタ用発光素子102aと、他方の列のモニタ用発光素子102bとでその総電流量を変えることができる。また、上記構成によると、バッファアンプ153の出力端子と、バッファアンプ154の出力端子は電圧発生回路103の入力端子に接続される。従って、電圧発生回路103の出力端子から出力される電位は、バッファアンプ153の出力とバッファアンプ154の出力の平均値となる。
【0146】
図22に示す構成によれば、表示用発光素子のデューティー比が20〜50%の間である場合に活用することができる。このような場合、一方のモニタ用発光素子102aの総電流量を、デューティー比が20%の表示用発光素子の総電流量にそろえて、他方のモニタ用発光素子102bの総電流量を、デューティー比が50%の表示用発光素子の総電流量にそろえる。そうすれば、電圧発生回路103からの出力は、表示用発光素子のデューティー比(20〜50%)の平均値である35%の表示用発光素子の経時変化に即した電源電位とすることができる。
【0147】
図23の構成は、モニタ用発光素子102に直列に接続する順バイアス用トランジスタ159を備えている。順バイアス用トランジスタ159のゲートは、画素110のスイッチング用トランジスタ114と同じ行のゲート線に接続する。順バイアス用トランジスタ159のソース及びドレインの一方は、モニタ用発光素子102に接続し、他方は順バイアス用電源161に接続する。順バイアス用トランジスタ159は、モニタ用発光素子102に順方向バイアスの電圧を印加するために設けられたものである。
【0148】
モニタ用発光素子102に順方向バイアスの電圧を印加する際は、順バイアス用トランジスタ159をオンにして、対向電源119の電位と順バイアス用電源161の電位の大小関係を適宜設定する。モニタ用発光素子102に順方向電圧を印加することで、モニタ用発光素子102の短絡部に局所的に電流を流し、該短絡部を絶縁化する。その結果、モニタ用発光素子102の短絡による不良を抑制することができる。なお、上記構成は、順バイアス用トランジスタ159に加えて、リミッタ用トランジスタ160を設けている。
【0149】
本実施例で示すいずれか一の構成を適用すれば、表示装置の温度変化と経時変化に合わせて、表示用発光素子の輝度補正を行うことができる。
【0150】
なお、カラー表示を行う場合には、発光波長帯の異なる電界発光層を画素毎に形成するとよく、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を画素毎に形成する。このような場合は、赤、緑、青の各色に対応したモニタ用発光素子102、電流源101及び電圧発生回路103を少なくとも設けて、電源電位の補正を各色に対応させるとよい。
【実施例6】
【0151】
モニタ用発光素子を備え、CL駆動をする表示装置の一例について、図24を参照して説明する。この表示装置は、画素110がマトリクス状に複数配置された表示部109と、第1走査線駆動回路107aと、第2走査線駆動回路107bと、データ線駆動回路108とを有する。第1走査線駆動回路107aと第2走査線駆動回路107bは、表示部109を挟んで対向するように配置する。または、表示部109の四方のうち一方に配置する。
【0152】
データ線駆動回路108は、パルス出力回路115、第1のラッチ回路116と第2のラッチ回路117、選択回路166を有する。選択回路166は、トランジスタ169とアナログスイッチ167を有する。トランジスタ169とアナログスイッチ167は、データ線Dxに対応して各列に設けられる。インバータ168は、WE信号(Write Erase)の反転信号を生成するためのものであり、外部からWE信号の反転信号を供給する場合には設けなくてもよい。
【0153】
トランジスタ169のゲートは選択信号線171に接続し、ソース及びドレインの一方はデータ線Dxに接続し、他方は電源170に接続する。アナログスイッチ167は、第2のラッチ回路117とデータ線Dxの間に設けられる。つまり、アナログスイッチ167の入力ノードは第2のラッチ回路117に接続し、出力ノードはデータ線Dxに接続する。アナログスイッチ167の2つの制御ノードは、一方は選択信号線170に接続し、他方はインバータ168を介して選択信号線170に接続する。電源171の電位は、画素110が含む駆動用トランジスタ104をオフにする電位であり、駆動用トランジスタ104がnチャネル型の場合は電源171の電位をLレベルとし、駆動用トランジスタ104がpチャネル型の場合は電源171の電位をHレベルとする。
【0154】
第1走査線駆動回路107aはパルス出力回路173と選択回路172を有する。第2走査線駆動回路107bはパルス出力回路176と選択回路175を有する。選択回路172、175は、選択信号線170に接続する。ただし、第2走査線駆動回路107bが含む選択回路175は、インバータ178を介して選択信号線170に接続する。つまり、選択信号線170を介して、選択回路172、175に入力されるWE信号は、互いに反転した関係にある。
【0155】
選択回路172、175の各々はトライステートバッファを有する。トライステートバッファの入力ノードはパルス出力回路173又はパルス出力回路176に接続し、制御ノードは選択信号線170に接続する。トライステートバッファの出力ノードは走査線Gyに接続する。トライステートバッファは、選択信号線170から伝達される信号がHレベルのときに動作状態となり、Lレベルのときに不定状態となる。
【0156】
データ線駆動回路108が含むパルス出力回路115、第1走査線駆動回路107aが含むパルス出力回路173、第2走査線駆動回路107bが含むパルス出力回路176は、複数のフリップフロップ回路からなるシフトレジスタやデコーダ回路で構成される。パルス出力回路115、173、175として、デコーダ回路を適用すれば、データ線Dx又は走査線Gyをランダムに選択することができる。データ線Dx又は走査線Gyをランダムに選択することができると、時間階調方式を適用した場合に生じる疑似輪郭の発生を抑制することができる。
【0157】
データ線駆動回路108の構成は上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、第1走査線駆動回路107aと第2走査線駆動回路107bの構成も上記の記載に制約されず、レベルシフタやバッファを設けてもよい。また、データ線駆動回路108、第1走査線駆動回路107a、第2走査線駆動回路107bに保護回路を組み入れても良い。
【0158】
電源制御回路163は、表示用発光素子105に電源を供給する電源回路165とコントローラ164を有する。電源回路165は、駆動用トランジスタ104と電源線Vxを介して表示用発光素子105の画素電極に接続する。また、電源回路165は、電源線を介して、表示用発光素子105の対向電極に接続する。
【0159】
表示用発光素子105に順方向バイアスの電圧を印加して、表示用発光素子105を発光させるときは、第1電源線162aの電位が、第2の電源線162bの電位よりも高くなるように、第1電源線162aと第2電源線162bの電位差を設定する。一方、表示用発光素子105に逆方向バイアスの電圧を印加する際は、第1電源線162aの電位が、第2電源線162bの電位よりも低くなるように、第1電源線162aと第2電源線162bの電位を設定する。このような電源の設定は、コントローラ164から電源回路165に所定の信号を供給することにより行う。
【0160】
本実施例の表示装置は、電源制御回路163を用いて表示用発光素子105に逆方向電圧を印加することで、表示用発光素子105の経時劣化を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、表示用発光素子105の短絡欠陥を修復することができる。表示用発光素子105おける短絡欠陥は、異物の混入や下地の突起などによりEL層に欠陥があると、EL層を挟む上下の電極が短絡して発生する。このような初期不良が発生すると、信号に応じて発光又は非発光を制御することが出来なくなる。表示用発光素子に短絡欠陥があると、電流が短絡部を流れてしまい、正常な発光は望めない。このような短絡欠陥に対し、表示用発光素子に逆方向バイアスを印加すると、その欠陥部分を修復することが出来る。表示用発光素子105に逆方向電圧を印加することにより、短絡部のみに局所的に電流を流し、該短絡部を発熱させることが出来る。それにより、短絡部を酸化又は炭化して絶縁化することができる。その結果、短絡不良が生じても、その不良を解消し画像の表示を良好に行うことができる。
【0161】
表示用発光素子の短絡不良は、時間の経過と共に発生する場合があるので、適宜発光素子に逆方向バイアスを印加することが望ましい。本実施例の表示装置によれば、電源制御回路163により、表示用発光素子105に逆バイアスを印加することができるので、このような短絡欠陥が発生しても、その不良を解消し、画像の表示を良好に行うことができる。表示用発光素子105に逆方向バイアスの電圧を印加するタイミングには特に制約はない。
【0162】
また本実施例の表示装置は、モニタ用発光素子102を備えている。モニタ用発光素子102は制御回路180により制御される。制御回路180は定電流源とバッファを有する。制御回路180は、モニタ用発光素子102の出力に基づき、電源電位を変更する信号を電源制御回路163に出力する。電源制御回路163は、制御回路180から供給される信号に基づき、表示部109に供給する電源電位を変更する。上記構成を有する本実施例の表示装置は、温度変化に起因する発光素子の電流値の変動を抑制してCL駆動をする。
【0163】
図24で示す表示装置は、ガラス基板、プラスチック基板又は単結晶半導体基板などさまざまな基板を使って実現することができる。図24における表示装置の回路の一部がある基板に形成されており、他の回路が別の基板に形成されていてもよい。例えば、図24の表示装置において、表示部109と走査線駆動回路107とが、ガラス基板上に薄膜トランジスタを用いて形成し、データ線駆動回路108を単結晶半導体基板上に形成し、ドライバICとしてCOG(Chip On Glass)でガラス基板上に実装しても良い。あるいは、そのドライバICをTAB(Tape Auto Bonding)によりガラス基板と接続してもよい。
【0164】
図25はモニタ用発光素子102とその制御回路180の詳細を示す。モニタ用発光素子102は二端子素子であり、一方の端子は一定電位の電源に接続し(図示する構成では接地している)、他方の端子は制御回路180に接続する。制御回路180は、電流源181と増幅回路182を有する。電源制御回路163は電源回路165とコントローラ164とを有する。なお、電源回路165は、供給する電源電位を変えることができる可変電源であることが好ましい。
【0165】
図25において、モニタ用発光素子102が環境温度を検出する仕組みについて説明する。モニタ用発光素子102の両端子には、電流源181から一定の電流が供給される。この状態で表示装置の温度が変化すると、モニタ用発光素子102の抵抗値が変化する。モニタ用発光素子102の抵抗値が変化すると、モニタ用発光素子102の電流値は一定であることから両端子間の電位差が変化する。この温度変化によるモニタ用発光素子102の電位差の変化を検出することで、表示装置の温度の変化を知ることができる。より詳しくは、モニタ用発光素子102の一定の電位に保たれている側の電極の電位は変わらないので、電流源181に接続する側の電極電位の変化を検出する。このような電位の変化の情報を含む信号は、増幅回路182に供給されて増幅された後、電源制御回路163に出力される。電源制御回路163は、増幅回路182を介して表示部に供給する電源の電位を変える。それにより、温度変化に合わせて、電源電位を補正することができる。つまり、温度変化に起因した電流値の変動を抑制することができる。
【0166】
なお図示する構成では、モニタ用発光素子102を複数有するが、本実施例はこれに制約されない。モニタ用発光素子102はトランジスタと直列に接続して、必要なときに、モニタ用発光素子102に電流を流すことのできる構成としても良い。
【0167】
図24で示す表示装置の動作について図27を参照して説明する。データ線駆動回路108は次のように動作する。パルス出力回路115には、クロック信号(以下SCKと表記)、クロック反転信号(以下SCKBと表記)及びスタートパルス(以下SSPと表記)が入力され、これらの信号のタイミングに従って、第1のラッチ回路116にサンプリングパルスを出力する。データが入力される第1のラッチ回路116は、サンプリングパルスが入力されるタイミングに従って、1列目から最終列目までビデオ信号を保持する。第2のラッチ回路117は、ラッチパルスが入力されると、第1のラッチ回路116に保持されていたビデオ信号を、一斉に第2のラッチ回路117に転送する。
【0168】
選択信号線170から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における選択回路166の動作について説明する。期間T1、T2は水平走査期間の半分の期間に相当し、期間T1を第1のサブゲート選択期間、期間T2を第2のサブゲート選択期間とも呼ぶ。
【0169】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線170から伝達されるWE信号はLレベルであり、トランジスタ169はオン、アナログスイッチ167はオフとなる。この状態で、複数の信号線D1〜Dnは、各列に配置されたトランジスタ169を介して、電源171と電気的に接続する。つまり、複数の信号線D1〜Dnは、電源171と同電位になる。このとき、画素110のスイッチング用トランジスタ114はオンであり、当該スイッチング用トランジスタ114を介して、電源171の電位が駆動用トランジスタ104のゲートに伝達される。そうすると、駆動用トランジスタ104はオフとなり、表示用発光素子105の両端子間は同電位となる。つまり、表示用発光素子105の両端子間には電流が流れず非発光となる。このように、ビデオ線に入力されるビデオ信号の状態に関係なく、電源171の電位が駆動用トランジスタ104のゲート電極に伝達されて、当該トランジスタ114がオフになり、表示用発光素子105の両端子間の電位が同電位になる動作を消去動作と呼ぶ。
【0170】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線170から伝達されるWE信号はHレベルであり、トランジスタ169はオフ、アナログスイッチ167はオンとなる。この状態で、第2のラッチ回路117に保持されたビデオ信号は、1行分が同時に複数の信号線D1〜Dnに伝達される。このとき、画素110のスイッチング用トランジスタ114はオンであり、それを介してビデオ信号が駆動用トランジスタ104のゲートに伝達される。そうすると、入力されたビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ104はオン又はオフとなり、表示用発光素子105の両端子間は互いに異なる電位又は同電位となる。このとき、駆動用トランジスタ104がオンになると、表示用発光素子105の両端子間は互いに異なる電位となり、表示用発光素子105に電流が流れて発光する。なお表示用発光素子105に流れる電流は、駆動用トランジスタ104のソースとドレイン間に流れる電流と同じである。一方、駆動用トランジスタ104がオフになると、表示用発光素子105の両端子間は同電位となり電流は流れず非発光となる。このように、ビデオ信号に従って、駆動用トランジスタ104がオン又はオフになり、表示用発光素子105の発光又は非発光を制御する動作を書き込み動作と呼ぶ。
【0171】
次に、第1走査線駆動回路107a、第2走査線駆動回路107bの動作について説明する。パルス出力回路173には、G1CK、G1CKB、G1SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路172に順次パルスを出力する。パルス出力回路176には、G2CK、G2CKB、G2SPが入力され、これらの信号のタイミングに従って、選択回路175に順次パルスを出力する。図27(B)には、i行目、j行目、k行目、p行目(i、j、k、pは自然数、1≦i、j、k、p≦n)の各列の選択回路172、175に供給されるパルスの電位を示す。
【0172】
ここで、データ線駆動回路108の動作の説明と同様に、選択信号線170から伝達されるWE信号がLレベルのときを期間T1とし、WE信号がHレベルのときを期間T2として、各期間における第1走査線駆動回路107aが含む選択回路172と、第2走査線駆動回路107bが含む選択回路175の動作について説明する。なお、図27(B)のタイミングチャートでは、第1走査線駆動回路107aから信号が伝達された走査線Gy(yは自然数、1≦y≦n)の電位をGy41と表記し、第2走査線駆動回路107bから信号が伝達された走査線の電位をGy42と表記する。
【0173】
期間T1(第1のサブゲート選択期間)において、選択信号線170から伝達されるWE信号はLレベルである。そうすると、第1走査線駆動回路107aの選択回路172には、LレベルのWE信号が入力され、選択回路172は不定状態となる。一方、第2走査線駆動回路107bが含む選択回路175には、WE信号が反転したHレベルの信号が入力され、選択回路175は動作状態となる。つまり、選択回路175はHレベルの信号(行選択信号)をi行目の走査線Giに伝達し、走査線GiはHレベルの信号と同電位となる。第2走査線駆動回路107bによりi行目の走査線Giが選択される。その結果、画素110のスイッチング用トランジスタ114はオンとなる。データ線駆動回路108の電源171の電位は駆動用トランジスタ104のゲートに伝達され、駆動用トランジスタ104はオフとなる。表示用発光素子105の両端子間は同電位となり消去動作が行われる。
【0174】
期間T2(第2のサブゲート選択期間)において、選択信号線170から伝達されるWE信号はHレベルである。そうすると、第1走査線駆動回路107aの選択回路172には、HレベルのWE信号が入力され、選択回路172は動作状態となる。つまり、選択回路172はHレベルの信号をi行目の走査線Giに伝達し、走査線GiはHレベルの信号と同電位となる。第1走査線駆動回路107aにより、i行目の走査線Giが選択される。その結果、画素110のスイッチング用トランジスタ114はオンとなる。データ線駆動回路108の第2のラッチ回路117は、ビデオ信号を駆動用トランジスタ104のゲート電極に伝達する。駆動用トランジスタ104のオン又はオフが選択されることにより、表示用発光素子105の両端子間の電位は互いに異なる電位又は同電位となる。この期間では、表示用発光素子105は発光又は非発光となる書き込み動作が行われる。一方、第2走査線駆動回路107bの選択回路175には、Lレベルの信号が入力され、不定状態となる。
【0175】
このように、走査線Gyは、期間T1(第1のサブゲート選択期間)において第2走査線駆動回路107bにより選択され、期間T2(第2のサブゲート選択期間)において第2走査線駆動回路107bにより選択される。走査線は、第1走査線駆動回路107aと第2走査線駆動回路107bにより、相補的に制御される。そして、第1及び第2のサブゲート選択期間において、一方で消去動作を行って、他方で書き込み動作を行うことができる。
【0176】
なお第1走査線駆動回路107aがi行目の走査線Giを選択する期間では、第2走査線駆動回路107bは動作していない状態(選択回路175が不定状態)、又はi行目を除く他の行の走査線に行選択信号を伝達する。同様に、第2走査線駆動回路107bがi行目の走査線Giに行選択信号を伝達する期間は、第1走査線駆動回路107aは不定状態、又はi行目を除く他の行の走査線に行選択信号を伝達する。
【0177】
また上記のような動作を行う本発明は、表示用発光素子105を強制的にオフにすることができるために、階調数が多くなった場合にも、デューティー比の向上を実現する。さらに、表示用発光素子105を強制的にオフにすることができるにも関わらず、容量素子113の電荷を放電するトランジスタを設ける必要がないために高開口率を実現する。高開口率を実現すると、光を発する面積の増加に伴って、発光素子の輝度を下げることができる。つまり、駆動電圧を下げることができるため、消費電力を削減することができる。
【0178】
本実施例は、ゲート選択期間を2分割する上記の形態に制約されない。ゲート選択期間を3つ以上に分割してもよい。なお、ゲート選択期間の前半(第1のサブゲート選択期間)には、画素に消去信号が入力され、ゲート選択期間の後半(第2サブゲート選択期間)には、画素に画像(ビデオ)信号が入力されているが、これに限定されない。ゲート選択期間の前半(第1のサブゲート選択期間)には、画素に画像(ビデオ)信号が入力され、ゲート選択期間の後半(第2サブゲート選択期間)には、画素に消去信号が入力されてもよい。またあるいは、ゲート選択期間の前半(第1のサブゲート選択期間)にも、画素に画像(ビデオ)信号が入力され、ゲート選択期間の後半(第2サブゲート選択期間)にも、画素に画像(ビデオ)信号が入力されてもよい。各々には、異なるサブフレームに相当する信号を入力すればよい。その結果、消去期間を設けずに、点灯期間が連続的に配置されるようにして、サブフレーム期間を設けることが出来る。この場合は、消去期間を設ける必要が無いため、デューティー比を高くすることが出来る。
【0179】
この表示装置の動作について、縦軸が走査線、横軸が時間のタイミングチャート(図28(A)(C))と、i行目の走査線Gi(1≦i≦m)のタイミングチャート(図28(B)(D))を参照して説明する。時間階調方式は、1フレーム期間は複数のサブフレーム期間SF1、SF2、・・・、SFn(nは自然数)を有する。複数のサブフレーム期間の各々は、書き込み動作又は消去動作を行う複数の書き込み期間Ta1、Ta2、・・・、Tanから選択された一つと、複数の点灯期間Ts1、Ts2、・・・、Tsnから選択された一つとを有する。複数の書き込み期間の各々は、複数のゲート選択期間を有する。複数のゲート選択期間の各々は、複数のサブゲート選択期間を有する。ゲート選択期間の各々の分割数は特に制約されないが、好ましくは2つ〜8つに分割し、さらに好ましくは2つ〜4つに分割するとよい。また点灯期間Ts1:Ts2:・・・:Tsnは、その長さの比を、例えば2(n-1):2(n-2):・・・:21:20とする。つまり、点灯期間Ts1、Ts2、・・・、Tsnは、各ビットで長さが異なるように設定する。
【0180】
以下には、交流駆動期間を含まない場合の動作について、図28(A)(B)参照して説明する。ここでは、3ビット階調(8階調)を表現する場合について例示する。この場合、1フレーム期間を3つのサブフレーム期間SF1〜SF3に分割する。サブフレーム期間SF1〜SF3は、書き込み期間Ta1〜Ta3から選択された一と、点灯期間Ts1〜Ts3から選択された一とを有する。書き込み期間は、複数のゲート選択期間を有する。複数のゲート選択期間の各々は、複数のサブゲート選択期間を有するが、ここでは、複数のゲート選択期間の各々は、2つのサブゲート選択期間を有し、第1のサブゲート選択期間において消去動作を行い、第2のサブゲート選択期間において書き込み動作を行う場合について示す。なお、消去動作は、発光素子を非発光にするために行う動作であり、必要なサブフレーム期間においてのみに行う動作である。
【0181】
次に、交流駆動期間を含む場合の動作について、図28(C)(D)を参照説明する。交流駆動期間FRBは消去動作のみを行う書き込み期間TaRBと、発光素子に印加する電位の上下関係(高低差)を逆にして、全ての発光素子に同時に逆方向電圧を印加する逆方向電圧印加期間RBを有する。なお、交流駆動期間FRBは、各フレーム期間に設ける必要はなく、複数のフレーム期間毎に設けてもよい。また、サブフレーム期間SF1〜SF3と逆方向電圧印加期間RBを別に設ける必要はなく、あるサブフレーム期間の点灯期間Ts1〜Ts3中に設けてもよい。
【0182】
また、サブフレーム期間の順序は、上位ビットから下位ビットの順序に出現することに制約されず、出現する順序は任意でもよい。さらに、フレーム期間毎に、サブフレーム期間が出現する順序を任意にしてもよい。また、複数のサブフレーム期間から選択された1つ又は複数の期間を複数に分割してもよい。その場合、分割された1つ又は複数のサブフレーム期間の各々と、分割されていない1つ又は複数のサブフレーム期間の各々は、複数の書き込み期間Ta1、Ta2、・・・、Tam(mは自然数)から選択された1つと、複数の点灯期間Ts1、Ts2、・・・、Tsmから選択された1つとを有する。
【0183】
そこで、上位ビットのサブフレーム期間が複数に分割され、なお且つ、サブフレーム期間の出現する順序が任意である場合のタイミングチャートについて説明する(図28参照)。図示するタイミングチャートは、6ビット階調を表現するものであり、サブフレーム期間SF1を3つに分割し(図中SF1−1〜SF1−3で示す)、サブフレーム期間SF2を2つに分割し(図中SF2−1、SF2−2で示す)、サブフレーム期間SF3を2つに分割(図中SF3−1、SF3−2で示す)している。そして、初行画素の表示のタイミングと、最終行画素の表示のタイミングと、消去用の走査線駆動回路の走査タイミングと、書き込み用の走査線駆動回路の走査タイミングとを示す。なお図示するタイミングチャートの表示デューティー比は51%の例を示している。
【実施例7】
【0184】
実施例1〜6の表示装置において、白色発光する発光素子を用いてCL駆動する表示装置の一例について図34を参照して説明する。
【0185】
基板20に表示部109が形成されている。表示部109は、駆動用トランジスタ104、白色の発光を呈する表示用発光素子105、容量素子113を含む画素110を有している。隣接する画素間において、表示用発光素子105は隔壁層411で分離されている。この隔壁層411は有機又は無機絶縁材料を用いて形成する。例えば、非感光性のポリイミド、アクリル又はシロキサンを含む絶縁材料を塗布して被膜を形成しその後エッチング加工して隔壁層411を形成することができる。または、感光性のポリイミド、アクリルなどの有機物を塗布した後、隔壁層411のパターンに合わせて感光させて形成することができる。この場合に、カーボン粒子、チタン粒子、顔料などを含ませて、隔壁層411に遮光性を持たせても良い。
【0186】
この基板20に相対して対向基板406を用い、表示部109がこの両基板間に封止されるように固定する。基板20と対向基板406は、表示部109の外側に配設された封止材408によって固定されている。対向基板406には、着色層451〜453が設けられている。この着色層451〜453は、表示用発光素子105に対応するように配置されている。この着色層451〜453は、表示用発光素子105で発光した白色光の内、特定の波長の光を透過する。着色層451、着色層452、着色層453の光学特性を異ならせることにより透過光の波長が異なり、多色表示が可能な表示装置とすることができる。
【0187】
多色表示を行うために、表示用発光素子のEL層の発光色毎に異ならせる方法も有効であるが、EL層を作り分けるために画素のピッチが大きくなってしまうことがある。すなわち、表示部において隔壁層の占める割合が大きくなってしまう。これに対して、EL層を白色発光とし、着色層と組み合わせれば、EL層を作り分ける必要がないために、画素や隔壁層の間隔を広くする必要がなく、高精細化を実現することができる。
【0188】
白色を発光するEL粗素には一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。また、白色発光を得るために、青色用の電界発光層を含め、2層或いは3層の発光層を設けることで、白色発光するような発光素子を構成すればよく、また、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで白色発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。
【0189】
このとき、モニタ用発光素子も表示用発光素子と同様に形成する。このとき、モニタ用発光素子は、各発光色に対応して設けても良い。好適には、表示される色は異なるものの、発光素子は同じなので、モニタ用発光素子は共通化することもできる。
【実施例8】
【0190】
本実施例では、実施例1〜実施例6で示した表示装置において、非表示期間に表示用発光素子の経時劣化補正を行う一例について示す。
【0191】
EL材料を用いた発光素子の輝度の劣化は、初期劣化と中長期的な劣化に分けることが出来る。初期劣化は、製造された直後の発光素子に電流を流してから、数時間乃至数十時間の間に起きる急激な輝度の劣化である。また、中長期的な劣化は、それ以降に継続して続く輝度の劣化であり、この劣化には電流密度に依存しない要素も含まれている。
【0192】
このような発光素子を用いた表示装置では、表示部の輝度調整前に発光素子の初期劣化を生じさせるエージング処理を行うことで、安定化を図ることができる。すなわち、エージング処理を行って、発光素子の初期の急減な経時変化を予め生じさせておけば、その後、経時変化が急激に進行することはないため、表示部内における発光輝度のばらつきやその固定化現象(焼き付き)などを軽減することができる。
【0193】
このエージング処理は、発光素子をある期間だけ点灯させることで行うが、好ましくは、通常の使用時よりも高い電圧をかけるとよい。そうすれば、初期の経時変化が短時間で生じることになる。
【0194】
また、本発明の表示装置を充電式の蓄電器を用いて動作させる場合には、表示装置の使用状態ではない充電中に、全ての画素を点灯又は点滅させる処理、標準画像(例えば待ち受け画像など)の明暗を反転させた画像を表示する処理、ビデオ信号をサンプリングすることにより、点灯頻度の低い画素を検出して、当該画素を点灯又は点滅させる処理などを行うとよい。
【0195】
上記のように、使用状態ではないときに、焼き付きの低減を目的として行う上記の処理は、フラッシュアウト処理とも呼ぶ。このフラッシュアウト処理を行えば、当該処理後に、焼き付きが生じたとしても、その焼き付いた画像の一番明るい箇所と、一番暗い箇所との差を5階調以下、さらに好ましくは1階調以下に設定することができる。また、焼き付きを軽減するためには、上記の処理以外に、画像をなるべく固定化しないようにする処理を行うとよい。
【実施例9】
【0196】
本発明は定電流駆動を行う表示装置にも適用することができる。本実施例では、複数のモニタ用発光素子を用いて経時変化の度合いを検出し、この検出結果を基に、ビデオ信号又は電源電位を補正する構成について図26を参照して説明する。
【0197】
図26で示す表示装置は、二つのモニタ用発光素子102a、102bを用いている。一方のモニタ用発光素子102aには第1電流源101aから一定の電流が供給され、他方のモニタ用発光素子102bには第2電流源101bから一定の電流が供給される。第1電流源101aから供給される電流値と、第2の電流源101bから供給される電流値を変えることで、一方のモニタ用発光素子102aと他方のモニタ用発光素子102bに流れる総電荷量を異ならせる。それにより、一方のモニタ用発光素子102aと他方のモニタ用発光素子102bの経時劣化に違いが生じる。
【0198】
モニタ用発光素子102a、102bは演算回路183に接続している。演算回路183では、モニタ用発光素子102aの出力と、モニタ用発光素子102bの出力の差(電圧値)を求める。演算回路183で算出された電圧値は、ビデオ信号発生回路184に供給される。ビデオ信号発生回路184では、演算回路183から供給される電圧値を基に、各画素に供給するビデオ信号を補正する。そして、その信号をデータ線駆動回路108に供給する。この構成により、表示用発光素子の経時変化を補償することができる。
【0199】
なお、モニタ用発光素子102aと演算回路183の間と、モニタ用発光素子102bと演算回路183の間には、バッファアンプなどの電位の変動を防止する回路を設けても良い。画素110の構成はカレントミラー回路などを用いて表示用発光素子105を定電流駆動するのに適した回路構成とすれば良い。
【0200】
本実施例のように、複数のモニタ用発光素子を用いて経時劣化を検出し、この検出結果を基に、ビデオ信号又は電源電位を補正することで、輝度劣化を補正することができる。すなわち、表示用発光素子と、それと同等のモニタ用発光素子の両者を、異なる駆動条件で動作させ、表示部に設けた発光素子とモニタ用発光素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御している。それにより、表示用発光素子の輝度を一定に保つCL駆動を行うことができる。
【実施例10】
【0201】
本発明の表示装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。ただし、デジタルのビデオ信号を用いる場合、そのビデオ信号が電圧を用いているのか、電流を用いているのかで異なる。つまり、発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがある。ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。ビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の表示装置には、定電流駆動を行うものと、定電圧駆動を行うもののどちらを用いてもよい。ただし、本発明の表示装置には電圧のビデオ信号を用いる。
【実施例11】
【0202】
実施例1〜10で示す表示装置の画素の一構成例について、図29、図30、図31を参照して説明する。
【0203】
図29(A)で示す画素110は、二つのトランジスタを備えた構成を例示している。この画素110はデータ線Dx(xは自然数、1≦x≦m)と、走査線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁層を介して交差して設けられている。画素110は表示用発光素子105と、容量素子113と、スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104を有している。スイッチング用トランジスタ114は、ビデオ信号の入力を制御し、駆動用トランジスタ104は表示用発光素子105の発光と非発光を制御する。これらのトランジスタは電界効果トランジスタであり、例えば、薄膜トランジスタを利用することができる。
【0204】
スイッチング用トランジスタ114のゲートは走査線Gyに接続し、ソース電極及びドレインの一方はデータ線Dxに接続し、さらに駆動用トランジスタ104のゲートに接続する。駆動用トランジスタ104のソース及びドレインの一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦m)を介して第1電源線162aに接続し、他方は表示用発光素子105に接続する。表示用発光素子105において、第1電源線162aに接続しない他方の端子は第2電源線162bに接続する。
【0205】
容量素子113は駆動用トランジスタ104のゲートとソースの間に設けられる。スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104は、nチャネル型又はpチャネル型を選択することができる。図29で示す画素110は、スイッチング用トランジスタ114をnチャネル型、駆動用トランジスタ104をpチャネル型とした場合を示している。第1電源線162aの電位と第2電源線162bの電位も特に制約されない。表示用発光素子105に順方向電圧又は逆方向電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
【0206】
このような画素110の平面図を図30に示す。スイッチング用トランジスタ114、駆動用トランジスタ104及び容量素子113が配置されている。第1電極19は、表示用発光素子105の一方の電極であり、この上にEL層を積層することにより駆動用トランジスタ104に接続する表示用発光素子105を形成する。開口率を大きくするために、容量素子113は電源線Vxと重畳して設けられている。
【0207】
また、図30に示すA−B−Cの切断線に対応する断面構造を図31に示す。ガラスや石英などの絶縁表面を有する基板20上にスイッチング用トランジスタ114、駆動用トランジスタ104、表示用発光素子105、容量素子113が設けられている。スイッチング用トランジスタ114はオフ電流を低減するためにマルチゲートとすることが好ましい。スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104のチャネル部を形成する半導体はさまざまな材料を適用できる。例えば、シリコンを主成分とする非晶質半導体、セミアモルファス半導体(微結晶半導体ともいう)又は多結晶半導体を用いることができる。その他に、有機半導体を用いることもできる。セミアモルファス半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成する。また、スパッタリング法などの物理的成膜法又は気相成長法など化学的成膜法で形成した非晶質半導体を、レーザビームなど電磁エネルギーの照射により結晶化させた多結晶半導体を用いることができる。スイッチング用トランジスタ114及び駆動用トランジスタ104のゲートは、タングステン(W)/窒化タングステン(WN)の積層構造や、モリブデン(Mo)/アルミニウム(Al)/Mo、Mo/窒化モリブデン(MoN)の積層構造を採用するとよい。
【0208】
スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104のソース又はドレインに接続する配線24、25、26、27は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、チタン(Ti)/アルミニウムシリコン(Al−Si)/Ti、Mo/Al−Si/Mo、MoN/Al−Si/MoNの積層構造である。
【0209】
表示用発光素子105は、画素電極に相当する第1電極19、EL層33、対向電極に相当する第2電極34の積層構造を有している。第1電極19の端部は隔壁層32で囲まれている。EL層33と第2電極34は、隔壁層32の開口部で第1電極19と重畳するように積層されている。この重畳する部位が表示用発光素子105となる。第1電極19、第2電極34の両者が透光性を有する場合、表示用発光素子105は、第1電極19に向かう方向と、第2電極34に向かう方向に光を発する。つまり表示用発光素子105は双方向に光を放射する構成となる。また、第1電極19と第2電極34の一方が透光性を有し、他方が遮光性を有する場合、表示用発光素子105は第1電極19に向かう方向か、第2電極34に向かう方向に光を発する。つまり表示用発光素子105は上面出射又は下面出射を行う。
【0210】
図31は、表示用発光素子105が下面出射を行う場合の断面構造を例示している。容量素子113は、駆動用トランジスタ104のゲートとソースの間に配置され、そのゲート及びソース間電圧を保持する。容量素子113は、スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104を形成する半導体層と同じ層に設けられた半導体層21と、スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104のゲートと同じ層に設けられた導電層22a、22b(以下総称して導電層22と表記)と、その間の絶縁層により容量を形成する。
【0211】
また、容量素子113は、スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104のゲートと同じ層に設けられた導電層22と、スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104のソース及びドレインに接続する配線24〜27と同じ層に設けられた配線23と、その間の絶縁層により容量を形成する。これにより、容量素子113は駆動用トランジスタ104のゲートとソース間電圧を保持するのに十分な容量を得ることができる。また、容量素子113は、電源線を構成する導電層に重畳させて形成することで、容量素子113の配置による開口率の減少を抑えている。
【0212】
スイッチング用トランジスタ114と駆動用トランジスタ104のソース又はドレインに接続する配線23〜27の厚さは、500〜2000nm、好ましくは500〜1300nmである。配線23〜27は、データ線Dxや電源線Vxを構成しているため、上記特徴のように、配線23〜27の膜厚を厚くすることで、電圧降下による影響を抑制することができる。
【0213】
第1の絶縁層30と第2の絶縁層31は、酸化珪素や窒化珪素等の無機材料、ポリイミド、アクリル等の有機材料等を用いて形成する。第1の絶縁層30と第2の絶縁層31を同じ材料で形成してもよいし、互いに異なる材料で形成してもよい。有機材料としては、シロキサン系の材料を用いればよく、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基にフッ素、アルキル基、芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む材料を用いる。
【実施例12】
【0214】
実施例11の表示装置の一形態である、表示部109と、走査線駆動回路107と、データ線駆動回路108とを搭載したパネルについて説明する。基板20上には、表示用発光素子105を含む画素を複数有する表示部109、走査線駆動回路107、データ線駆動回路108及び接続フィルム407が設けられる(図32(A)参照)。接続フィルム407は外部回路と接続する。
【0215】
図32(B)はパネルのA−Bにおける断面図を示し、表示部109に設けられた駆動用トランジスタ104と表示用発光素子105と容量素子113と、データ線駆動回路108に設けられたトランジスタを示す。表示部109と走査線駆動回路107、データ線駆動回路108の周囲には封止材408が設けられ、表示用発光素子105は、封止材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、表示用発光素子105を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。基板20上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型、軽量、薄型が実現される。
【0216】
なお上記の図32に示す構成では、表示用発光素子105の第1電極19は透光性を有し第2電極34は遮光性を有する。従って、表示用発光素子105は基板20側に光を放射する。図33(A)で示すように、上記とは異なる構成として、表示用発光素子105の第1電極19は遮光性を有し第2電極34は透光性を有する構成とすることもできる。この場合、表示用発光素子105は上面出射を行う。また、図33(B)に示すように、上記とは異なる構成として、発光素子105の第1電極19と第2電極34の両者を透光性電極として、両面から光を放射する構成とすることも出来る。これらの態様において、モニタ用発光素子は、表示用発光素子と同じ構成で設ければ良い。
【0217】
なお、表示部109は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたトランジスタにより構成し、走査線駆動回路107及びデータ線駆動回路108はICチップにより構成してもよい。ICチップは、COG方式により基板20上に実装する、又は基板20に接続する接続フィルム407に実装してもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
【実施例13】
【0218】
発光素子を含む表示部を備えた表示装置を用いた電子機器として、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(携帯電話機)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、モニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。これらの電子機器の表示部に本発明の表示装置を適用することができる。その電子機器の具体例について、図35を参照して説明する。
【0219】
図35(A)に示す本発明の表示装置を用いた携帯情報端末は、本体301、表示部302等を含み、本発明により表示部302の輝度の低下を抑制して、その寿命を延ばすことができる。また、定電圧駆動を用いることで、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0220】
図35(B)に示す本発明の表示装置を用いたデジタルビデオカメラは、本体303、表示部304等を含み、本発明により表示部304の輝度の低下を抑制して、その寿命を延ばすことができる。また、定電圧駆動を用いることで、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0221】
図35(C)に示す本発明の表示装置を用いた携帯端末は、本体305、表示部306等を含み、本発明により表示部306の輝度の低下を抑制して、その寿命を延ばすことができる。また、定電圧駆動を用いることで、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0222】
図35(D)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のテレビジョン装置は、本体307、表示部308等を含み、本発明により表示部308の輝度の低下を抑制して、その寿命を延ばすことができる。また、定電圧駆動を用いることで、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0223】
図35(E)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のコンピュータは、本体309、表示部310等を含み、本発明により表示部310の輝度の低下を抑制して、その寿命を延ばすことができる。また、定電圧駆動を用いることで、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0224】
図35(F)に示す本発明の表示装置を用いたテレビジョン装置は、本体311、表示部312等を含み、本発明により表示部312の輝度の低下を抑制して、その寿命を延ばすことができる。また、定電圧駆動を用いることで、発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、消費電力を削減することができる。
【0225】
上記に挙げた電子機器において、バッテリーを用いているものは、消費電力を削減した分、電子機器の使用時間を長持ちさせることができ、バッテリーを充電する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】本発明の表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えた表示装置の構成を説明する図である。
【図2】本発明の表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えた表示装置の構成を説明する図である。
【図3】代表的な発光素子の電流密度対電圧特性を示すグラフである。
【図4】発光素子の実用的な輝度が得られる電流密度領域において電流密度対電圧特性を示すグラフである。
【図5】式(2)に基づくパラメータnとSの変化を説明するグラフである。
【図6】(A)発光素子の電流値の時間変動特性を示す図。(B)発光素子の輝度の時間変動特性示す図。
【図7】本発明の表示装置であって表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えCL駆動をする一構成例を示す図である。
【図8】本発明の表示装置であって表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えCL駆動をする表示装置の一構成例を示す図である。
【図9】本発明の表示装置に適用できる画素回路の構成を説明する図である。
【図10】本発明の表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えCL駆動をする表示装置の一例を示す図である。
【図11】本発明の表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えた表示装置の構成を説明する図である。
【図12】本発明におけるモニタ用発光素子の制御回路の一部を説明する図である。
【図13】本発明の表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えた表示装置の構成を説明する図である。
【図14】本発明の表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えた表示装置の構成を説明する図である。
【図15】本発明の表示装置での一構成例を示す図である。
【図16】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図17】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図18】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図19】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図20】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図21】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図22】本発明におけるモニタ用発光素子とその制御回路の詳細を示す図である。
【図23】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図24】本発明の表示装置の一構成例を示す図である。
【図25】本発明におけるモニタ用発光素子とその制御回路の詳細を示す図である。
【図26】本発明の表示装置であって表示用発光素子とモニタ用発光素子を備えCL駆動をする表示装置の一構成例を示す図である。
【図27】本発明の表示装置の動作の一例を説明する信号波形図である。
【図28】本発明の表示装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図29】本発明の表示装置における画素の回路の一例を示す図である。
【図30】本発明の表示装置における画素の一例を示す図である。
【図31】本発明の表示装置における表示部の一構成例を示す縦断面図である。
【図32】本発明の表示装置であって、表示部と走査線駆動回路とデータ線駆動回路との一構成例を示す図である。
【図33】本発明の表示装置であって、表示部と走査線駆動回路とデータ線駆動回路との一構成例を示す図である。
【図34】本発明の表示装置であって、表示部の一構成例を示す図である。
【図35】本発明の電子機器の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0227】
101 電流源
102 モニタ用発光素子
103 電圧発生回路
104 駆動用トランジスタ
105 表示用発光素子
106 スイッチング用トランジスタ
107 走査線駆動回路
108 データ線駆動回路
109 表示部
110、120 画素
111 コントローラ
112 接続切替手段
113 容量素子
114 スイッチング用トランジスタ
115 パルス出力回路
116、117 ラッチ回路
118 消去用トランジスタ
119 対向電源
121、122 トランジスタ
123 電源
124〜126 スイッチ
127 インバータ
128 制御線
129 制御信号線
130 時間測定回路
131 記憶回路
132 補正データ作成回路
133 電源回路
134 交流用トランジスタ
135、136 スイッチ
137、138 交流用電源
139 制御回路
140〜144 スイッチ
145 容量素子
146 交流用電源
147 電流源用トランジスタ
148、149 電源
150〜153 抵抗素子
153、154 電圧発生回路
155、156 電流源
157、158 抵抗素子
159 順バイアス用トランジスタ
160 リミッタ用トランジスタ
161 順バイアス用電源
162 電源線
163 電源制御回路
164 コントローラ
165、166 電源回路
167 アナログスイッチ
168 インバータ
169 トランジスタ
170 選択信号線
171 電源
172 選択回路
173 パルス出力回路
175 選択回路
176 パルス出力回路
178 インバータ
180 制御回路
181 電流源
182 増幅回路
183 演算回路
184 ビデオ信号発生回路
201、202 アナログスイッチ
203 インバータ
301、303、305、307、309、311 本体
302、304、306、308、310、312 表示部
406 対向基板
407 接続フィルム
408 封止材
451〜453 着色層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源と並列に接続する複数のモニタ用発光素子と、
前記電流源と前記複数のモニタ用発光素子の接続を制御する第1の接続切替手段と、
前記電流源と前記モニタ用発光素子とに接続し前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
前記複数のモニタ用発光素子と前記電圧発生回路との接続を制御する第2の接続切替手段と、
当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子へ電圧発生回路との接続の変更を前記第2の接続切替手段に命令するコントローラと、
前記電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
電流源と並列に接続する複数のモニタ用発光素子と、
前記電流源と前記複数のモニタ用発光素子の接続を制御する第1の接続切替手段と、
前記電流源と前記モニタ用発光素子とに接続し前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
前記複数のモニタ用発光素子と前記電圧発生回路との接続を制御する第2の接続切替手段と、
当該一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子へ電圧発生回路との接続の変更を前記接続切替手段に命令するコントローラと、
前記電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
発光期間と非発光期間の比が異なる条件で駆動される複数のモニタ用発光素子と、
電流源と前記モニタ用発光素子とに接続し前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
前記電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
発光期間と非発光期間の比が異なる条件で駆動される複数のモニタ用発光素子と、
電流源と前記モニタ用発光素子とに接続し前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
前記複数のモニタ用発光素子と前記電圧発生回路との接続を制御する接続切替手段と、
当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を前記接続切替手段に命令するコントローラと、
前記電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
発光期間と非発光期間の比が異なる条件で駆動される複数のモニタ用発光素子と、
前記電流源と前記モニタ用発光素子とに接続し前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
前記複数のモニタ用発光素子と前記電圧発生回路との接続を制御する接続切替手段と、
当該一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を前記接続切替手段に命令するコントローラと、
前記電圧発生回路の出力電圧が印加される表示用発光素子と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
電流源に接続し、一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%で駆動されるモニタ用発光素子と、
前記電流源と前記モニタ用発光素子とに接続し、前記モニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
前記電圧発生回路の出力電圧が印加され、一フレーム期間における発光期間の割合の平均が5%乃至45%で駆動される表示用発光素子と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
一フレーム期間における発光期間の割合の平均が5%乃至45%の範囲となるように駆動する表示用発光素子と、
電流源に接続し、一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%の範囲となるように駆動する一のモニタ用発光素子と、
前記電流源に接続し、発光期間と非発光期間の比が前記表示用発光素子と発光期間と非発光期間の比が同等となるように駆動する他のモニタ用発光素子と、
前記電流源と前記一のモニタ用発光素子とに接続し、前記モニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を前記接続切替手段に命令するコントローラとを有し、
前記表示用発光素子に前記電圧発生回路の出力電圧が印加されること
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
一フレーム期間における発光期間の割合の平均が5%乃至45%の範囲となるように駆動する表示用発光素子と、
電流源に接続し、一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%の範囲となるように駆動する一のモニタ用発光素子と、
前記電流源に接続し、発光期間と非発光期間の比が前記表示用発光素子と発光期間と非発光期間の比が同等となるように駆動する他のモニタ用発光素子と、
前記電流源と前記一のモニタ用発光素子とに接続し、前記モニタ用発光素子にかかる電圧を入力電位とする電圧発生回路と、
当該一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を前記接続切替手段に命令するコントローラとを有し、
前記表示用発光素子に前記電圧発生回路の出力電圧が印加されること
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記電圧発生回路がボルテージフォロワ回路で構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、
前記モニタ用発光素子と表示用発光素子が同一基板に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、
前記モニタ用発光素子と表示用発光素子は、一対の電極間にエレクトロルミネセンスを発現する材料を含んだ層を介在させて形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
モニタ用発光素子と、前記モニタ用発光素子に電流を供給する電流源と、電圧発生回路と、表示用発光素子とを備え、
前記モニタ用発光素子及び前記表示用発光素子の一方の端子を固定電位とし、
前記モニタ用発光素子の他方の端子の電位を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にすること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項13】
モニタ用発光素子と、前記モニタ用発光素子に電流を供給する電流源と、電圧発生回路と、表示用発光素子とを備え、
前記モニタ用発光素子及び前記表示用発光素子の一方の端子を固定電位とし、
前記電流源により前記モニタ用発光素子を定電流駆動して、前記モニタ用発光素子の他方の端子の電位を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にすること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項14】
複数のモニタ用発光素子と、前記複数のモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と、電圧発生回路と、表示用発光素子とを備え、
前記複数のモニタ用発光素子を、発光期間と非発光期間の比が異なる条件でそれぞれ駆動して、前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にすること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項15】
複数のモニタ用発光素子と、前記複数のモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と、電圧発生回路と、表示用発光素子とを備え、
前記複数のモニタ用発光素子を、発光期間と非発光期間の比が異なる条件でそれぞれ駆動して、前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にし、
当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、該電圧が設定された値に達したときに、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替えること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項16】
複数のモニタ用発光素子と、前記複数のモニタ用発光素子に電流を供給する電流源と、電圧発生回路と、表示用発光素子とを備え、
前記複数のモニタ用発光素子を、発光期間と非発光期間の比が異なる条件でそれぞれ駆動して、前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にし、
当該一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、該累積駆動時間が設定された時間に達したときに、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替えること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項17】
請求項15乃至17のいずれか一項において、前記モニタ用発光素子の発光期間と非発光期間の比が、前記表示用発光素子の発光期間と非発光期間の比よりも大きいことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項18】
一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%の範囲となるようにモニタ用発光素子を駆動させ、
一フレーム期間における発光期間の割合の平均が5%乃至45%の範囲となるように表示用発光素子を駆動させ、
前記モニタ用発光素にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にすること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項19】
一フレーム期間における発光期間の割合が5%乃至45%の範囲となるように表示用発光素子を駆動させ、
複数のモニタ用発光素子から選ばれた一を、一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%の範囲となるように駆動させ、他のモニタ用発光素子を前記表示用発光素子と発光期間と非発光期間の比が同等となるように駆動させ、
前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にし、
当該一のモニタ用発光素子にかかる電圧を判定して、該電圧が設定された値に達したときに、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替えると共に、該モニタ用発光素子を一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%の範囲となるように駆動させること
を特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項20】
一フレーム期間における発光期間の割合の平均が5%乃至45%の範囲となるように表示用発光素子を駆動させ、
複数のモニタ用発光素子から選ばれた一を、一フレーム期間における発光期間の割合が50%乃至100%の範囲となるように駆動させ、他のモニタ用発光素子を前記表示用発光素子と発光期間と非発光期間の比が同等となるように駆動させ、
前記複数のモニタ用発光素子から選ばれた一のモニタ用発光素子にかかる電圧を電圧発生回路により検出し、該電位を前記表示用発光素子の駆動電圧にし、
当該一のモニタ用発光素子の累積駆動時間を判定して、該累積駆動時間が設定された時間に達したときに、一のモニタ用発光素子から他のモニタ用発光素子に電圧発生回路への接続を切り替えると共に、該モニタ用発光素子を一フレーム期間における発光期間の割合の比が50%乃至100%の範囲となるように駆動させること
を特徴とする表示装置の駆動方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2006−58873(P2006−58873A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212628(P2005−212628)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】