説明

表示装置及び表示システム

【課題】 自動改札機1の表示部15に表示される決済情報を、誰の決済情報であるかを安全かつ明確に識別可能とする。
【解決手段】 ユーザは、携帯電話機2に設けられた非接触ICカードに所望の画像(ユーザ識別イメージ)を記憶させておく。自動改札機1を通過する際、リーダライタ13に携帯電話機2を近接させると、このリーダライタ13により、非接触ICカードに記憶されているユーザ識別イメージが読み出され、決済情報と共に表示部15に表示される。ユーザは、この決済情報に付加されたユーザ識別イメージを見ることにより、表示部15に、現在、表示されている決済情報が、誰の決済情報であるかを明確に認識することができる。また、このユーザ識別イメージは、ユーザに選択された単なる画像であるため、第三者に盗視されても何ら問題はない。このため、自動改札システムの安全性を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済機能を有する接触型或いは非接触型のICカード装置(IC:Integrated Circuit)に対して、ユーザが所望の情報(画像,文字,記号等)を記憶させておき、店舗や自動改札機に設けられているリーダライタを介して決済した際に、該リーダライタ側で、上記ICチップに記憶されているイメージを読み取り、このイメージを決済情報と共にリーダライタ側の表示部に表示することで、該表示部に表示された決済情報が誰の決済情報であるかを明確に表示するようにした表示装置及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−266178号の公開特許公報(特許文献1)に、携帯端末を使用した電子乗車券システムが開示されている。
【0003】
この電子乗車券システムでは、ユーザが携帯端末を操作して、乗車券類予約販売ホストコンピュータと通信を行い、特急券,指定券,定期券等の所望の車券を予約購入する。乗車券類予約販売ホストコンピュータは、ユーザが指定する銀行やクレジット会社のホストコンピュータに接続されており、上記車券の予約購入がなされた際に、該ユーザが指定した銀行やクレジット会社のホストコンピュータと通信を行い決済処理を行う。
【0004】
また、この乗車券類予約販売ホストコンピュータは、上記決済処理後に、ユーザにより購入された車券を示す購入情報を、ユーザの携帯端末に送信する。ユーザの携帯端末は、この購入情報を、当該携帯端末に設けられたICモジュール内に記憶する。ユーザは、自動改札機を通過する際に携帯端末をかざすと、上記ICモジュール内に記憶された上記購入情報に基づいて自動改札機との間の通信により自動改札が行われる。
【0005】
また、特開2002−197419号の公開特許公報(特許文献2)には、非接触型ICカードの四隅に発光ダイオードを設け、この発光ダイオードを、リーダライタとの通信内容に応じて発光制御することで、各処理の内容をユーザに通知する情報処理装置及びデータ通信方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−266178号公報(第3頁〜第5頁:図1)
【特許文献2】特開2002−197419号公報(第5頁:図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、駅の自動改札機では、該自動改札機の入り口側に設けられたリーダライタにユーザの接触型のICカードを接触させると、該リーダライタが接触型のICカードと通信を行うことで決済を行い、非接触ICカードに記憶されている金銭情報の残高や使用金額等の決済情報を、文字により該自動改札機の出口側に設けられた表示部に表示するようになっている。
【0008】
しかし、駅の自動改札機は、通勤ラッシュ時等には多数のユーザが連続的に通過した場合、次のユーザが出口に到達しているにもかかわらず、前のユーザの決済情報が表示部に表示されたままの状態であるという不都合も多々生ずるうえ、各ユーザの決算情報を文字で表示するようになっているため、表示されている決済情報が、誰の決済情報であるか見分けがつかなくなる問題を生じている。
【0009】
なお、表示されている決済情報のユーザを特定するために、決済情報と共に、非接触ICカードに固有に付された識別情報や個人情報を表示することも考えられるが、この場合、重要な情報が第三者に盗視される恐れがあるため、防犯上、好ましいことではない。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ユーザを特定可能、かつ、第三者に盗視されても悪影響のない情報を、決済情報と共に表示部に表示することで、表示されている決済情報が誰の決済情報であるかを明確化することができるような表示装置及び表示システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示装置は、
接触型或いは非接触型のICカード装置と通信を行うことで、該ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報、及び金銭情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段により取得された金銭情報に基づいて決済処理を行い、この決済情報を形成する決済情報形成手段と、
上記決済情報形成手段により形成された決済情報と共に、上記情報取得手段により上記ICカード装置から取得された画像情報或いは文字情報を、表示手段に表示する表示制御手段と
を有する。
【0012】
また、本発明に係る表示装置は、これら各手段に加え、上記ユーザが選択した画像情報或いは文字情報に代わる代替情報が記憶された記憶手段を有し、
上記表示制御手段は、上記情報取得手段により上記ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報を取得することができなかった場合、上記記憶手段に記憶されている代替情報を読み出し、この代替情報を上記決済情報と共に表示手段に表示制御する。
【0013】
さらに、本発明に係る表示装置は、これら各手段に加え、上記決済処理後における、上記ICカード装置に記憶されている金銭情報の残高を検出する残高検出手段を有し、
上記表示制御手段は、上記残高検出手段により検出された上記金銭情報の残高に応じて、上記ICカード装置から取得された画像情報の表示色又は該画像情報の背景色、又は上記ICカード装置から取得された文字情報の文字色又は該文字情報の背景色、或いは上記代替情報の背景色又は表示色を変更して表示する。
【0014】
また、本発明に係る表示システムは、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報、及び金銭情報が記憶された接触型或いは非接触型のICカード装置を備えた携帯端末装置と、
上記携帯端末装置の上記ICカード装置と通信を行うことで、該ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報、及び金銭情報を取得する情報取得手段と、上記情報取得手段により取得された金銭情報に基づいて決済処理を行い、この決済情報を形成する決済情報形成手段と、上記決済情報形成手段により形成された決済情報と共に、上記情報取得手段により上記ICカード装置から取得された画像情報或いは文字情報を、表示手段に表示する表示制御手段とを備えた表示装置と
を有する。
【0015】
また、本発明に係る表示システムは、これら各手段に加え、上記表示装置が、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報に代わる代替情報が記憶された記憶手段を有し、
上記表示制御手段は、上記情報取得手段により上記ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報を取得することができなかった場合、上記記憶手段に記憶されている代替情報を読み出し、この代替情報を上記決済情報と共に表示手段に表示制御する。
【0016】
また、本発明に係る表示システムは、これら各手段に加え、上記表示装置が、上記決済処理後における、上記ICカード装置に記憶されている金銭情報の残高を検出する残高検出手段を有し、
上記表示制御手段は、上記残高検出手段により検出された上記金銭情報の残高に応じて、上記ICカード装置から取得された画像情報の表示色又は該画像情報の背景色、又は上記ICカード装置から取得された文字情報の文字色又は該文字情報の背景色、或いは上記代替情報の背景色又は表示色を変更して表示する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、予めICカード装置に記憶された、ユーザにより選択された画像情報或いは文字情報を、決済情報に付して表示することで、表示されている決済情報が誰の決済情報であるかを明確化して表示することができる。
【0018】
また、第三者に盗視されても悪影響のない画像情報或いは文字情報を選択して上記ICカード装置に記憶させておくことで、上記決済情報と共に表示される画像情報或いは文字情報が悪用される不都合を防止することができ、当該装置及びシステムの安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、自動改札システムに適用することができる。
【0020】
[自動改札システムの構成]
この本発明の実施の形態となる自動改札システムは、図1に示すように自動改札機1と、非接触ICカードが設けられた携帯電話機2とを有している。
【0021】
〔自動改札機の構成〕
自動改札機1は、当該自動改札機1の入口側に設けられているカード挿入口に挿入された定期券、切符、入場券等に記録された金額情報、有効期限情報、発券駅情報等の磁気記録情報の読み取りを行う磁気リーダ11と、上記カード挿入口に挿入された上記定期券や切符等を、当該自動改札機1の出口側に設けられているカード排出口まで瞬時に搬送する搬送機構12と、上記携帯電話機に設けられている非接触ICカードと非接触無線通信を行うことで、該非接触ICカードに記録されている金銭情報に基づいて運賃の決済を行うと共に、該非接触ICカードに記録されている、ユーザが判別可能な画像情報である「ユーザ識別イメージ」の読み取りを行うリーダライタ13とを有している。
【0022】
また、この自動改札機1は、上記磁気リーダ11における磁気記録情報の情報処理や、上記リーダライタ13の非接触無線通信処理、非接触ICカードに記録されている金銭情報に基づく決済処理、及び非接触ICカードから読み出した「ユーザ識別イメージ」の表示処理等の自動改札制御プログラムが記憶されたメモリ14を有している。
【0023】
また、この自動改札機1は、決済情報と共に上記「ユーザ識別イメージ」が表示される表示部15と、改札結果に応じて開閉制御されるゲート機構16と、上記メモリ14に記憶されている自動改札制御プログラムに基づいて、当該自動改札機1の自動改札動作を制御する制御部17とを有している。
【0024】
図2は、この自動改札機1の外観を示す図である。この図2からわかるように、この自動改札機1は、一対で改札通路を形成するように併設される自動改札機本体20a、20bと、例えば一方の自動改札機本体である上記自動改札機本体20aの入口側に設けられた上記定期券や切符等の挿入口となるカード挿入口21と、該カード挿入口21に隣接するかたちで上記入口側に設けられた上記リーダライタ13とを有している。
【0025】
また、この自動改札機1は、当該自動改札機1の出口側に設けられ、上記搬送機構12により搬送された上記定期券や切符等の排出口となるカード排出口22と、このカード排出口22に隣接するかたちで上記出口側に設けられた上記表示部16と、当該自動改札機1の出口側に設けられた上記ゲート機構16とを有している。
【0026】
〔携帯電話機の構成〕
一方、上記携帯電話機2は、図3に示すように基地局との間でデータの送受信を行うアンテナ31及び通信回路32と、受話音声,動画ファイルの音声,音楽データの音声等の音声出力を得るためのスピーカ部33と、送話音声を集音するマイクロホン部34と、所望の被写体を撮像するカメラ部35と、入力操作を行うための複数のキーが設けられた操作部36とを有している。
【0027】
また、この携帯電話機2は、待ち受け画像や上記カメラ部35で撮像された画像、及び携帯メールの文字等を表示する表示部37と、通信処理プログラム(コミュニケーションプログラム)等のアプリケーションプログラムや、上記カメラ部35で撮像された画像の画像情報、携帯メールの文章情報等が記憶されるメモリ38と、金銭情報及び上記「ユーザ識別イメージ」が記憶された非接触ICカード39と、当該携帯電話機2全体の動作制御を行う制御部40とを有している。
【0028】
非接触ICカード39は、リーダライタとの間で通信を行うアンテナ41と、該リーダライタとの間の通信制御や金銭情報及び「ユーザ識別イメージ」の情報処理制御等を行う制御部42と、少なくとも上記金銭情報が記憶される金銭情報記憶領域44及び上記「ユーザ識別イメージ」が記憶されるアイコンイメージ記憶領域45とを有するメモリ43とを有している。
【0029】
なお、この非接触ICカード39は、当該携帯電話機2に内蔵されているものとして説明を進めるが、当該携帯電話機2に非接触ICカード39の差込口を設け、この差込口に非接触ICカード39を挿入すると、該非接触ICカード39がカードインターフェイス及び制御ラインを介して当該携帯電話機2の制御部40と接続されるようにしてもよい(=非接触ICカード39は、外付けのかたちで当該携帯電話機2に接続されるようにしてもよい。)。
【0030】
[システム動作]
〔携帯電話機2に対するユーザ識別イメージの記憶〕
まず、この自動改札システムを利用する場合、ユーザが所有する携帯電話機2の非接触ICカード39に、ユーザが自分で識別可能なイメージ(画像)を記憶させておく。具体的には、ユーザは、所望のWebサイトからダウンロードし、或いはカメラ部35で撮像することで、例えば図4(a)或いは図4(b)に示すような所望の画像をメモリ38に取り込む。
【0031】
次にユーザは、上記メモリ38に取り込んだ画像を非接触ICカード39に記憶させる動作を、操作部36を操作することで指定する。この指定がなされると、制御部40は、メモリ38に記憶されている上記画像を非接触ICカード39に転送する。この転送がなされると非接触ICカード39の制御部42は、該転送された画像を「ユーザ識別イメージ」としてメモリ43のアイコンイメージ記憶領域45に記憶制御する。
【0032】
これにより、ユーザが自動改札機1を通過する際に、非接触ICカード39に記憶された「ユーザ識別イメージ」を、決済情報と共に自動改札機1の表示部15に表示する、当該自動改札システムのシステム動作が可能となる。
【0033】
なお、この例では、ユーザが自分で識別可能な情報として、非接触ICカード39に画像を記憶させておくこととして説明を進めるが、これは、画像の代わりに文字や記号等の他の情報でもよい。すなわち、ユーザが自分の非接触ICカード39に記憶させた情報であることを判別可能な情報であれば、どのような情報でもよい。
【0034】
〔自動改札機1の動作〕
図5のフローチャートに、自動改札機1において実行される、決済情報と共に「ユーザ識別イメージ」を表示する動作の流れを示す。このフローチャートは、ユーザが自動改札機1を通過する際に、図2に示すリーダライタ13に対して携帯電話機2を近接させることでスタートとなる(=リーダライタ13に携帯電話機2をかざすことでスタートとなる。)。
【0035】
ステップS1では、図1に示す自動改札機1の制御部40が、メモリ14に記憶されている自動改札制御プログラムに基づき、リーダライタ13を介してユーザの携帯電話機2の非接触ICカード39の制御部42と非接触通信を行う。具体的には、リーダライタ13と携帯電話機2との間の距離が一定の距離以下(例えば10cm以下)となると、リーダライタ13からの電磁誘導により携帯電話機2の非接触ICカード39に対して電源供給が開始されて制御部42が起動し、リーダライタ13及び非接触ICカード39との間で非接触通信が開始される。上記相互認証処理は、この通信が開始されてから最初に行われる処理となっている。
【0036】
次にステップS2では、自動改札機1の制御部17が、上記認証処理によりユーザの携帯電話機の非接触ICカード39を認証することができたか否かを判別する。そして、制御部17は、不正使用等により非接触ICカード39の認証を行うことができなかった場合は、そのままこの図5のフローチャートに示す処理を終了し、非接触ICカード39の認証を行うことができた場合に、処理をステップS3に進める。
【0037】
ステップS3では、自動改札機1の制御部17が、非接触ICカード39の制御部42と通信を行うことで、該非接触ICカード39のメモリ43に記憶されている「ユーザ識別イメージ」の転送要求を行う。この要求がなされると、非接触ICカード39の制御部42は、メモリ43のアイコンイメージ記憶領域45から「ユーザ識別イメージ」を検索する。そして、非接触ICカード39の制御部42は、アイコンイメージ記憶領域45に「ユーザ識別イメージ」が記憶されていた場合は、この「ユーザ識別イメージ」を読み出して自動改札機1のリーダライタ13に送信し、アイコンイメージ記憶領域45に「ユーザ識別イメージ」が記憶されていなかった場合は、この「ユーザ識別イメージ」が記憶されていない旨の情報をリーダライタ13に送信する。
【0038】
ステップS4では、自動改札機1の制御部17が、非接触ICカード39から送信された情報に基づいて、非接触ICカード39に「ユーザ識別イメージ」が存在するか否かを判別する。すなわち、「ユーザ識別イメージ」を受信した場合は、非接触ICカード39に「ユーザ識別イメージ」が存在するものと判別できるため、処理をステップS5に進め、「ユーザ識別イメージ」の代わりに、上記「ユーザ識別イメージ」が記憶されていない旨の情報を受信した場合は、非接触ICカード39に「ユーザ識別イメージ」が存在しないものと判別できるため、この場合は処理をステップS10に進める。
【0039】
ステップS10では、非接触ICカード39から「ユーザ識別イメージ」を取得することができないため、自動改札機1の制御部17が、この「ユーザ識別イメージ」の代わりに、メモリ14に記憶されている「代替アイコンイメージ」を読み出し、処理をステップS5に進める。
【0040】
ステップS5では、自動改札機1の制御部17が、非接触ICカード39のメモリ43の金銭情報記憶領域44に記憶されている金銭情報に基づいて、例えば運賃、入場料、乗り越し運賃等の決済処理を行い、ステップS6に処理を進める。
【0041】
次に、ステップS6では、自動改札機1の制御部17が、決済金額、残高等の決済情報と共に、非接触ICカード39から取得した「ユーザ識別イメージ」、或いはこの「ユーザ識別イメージ」の代わりにメモリ14から読み出した「代替アイコンイメージ」を図2に示す当該自動改札機1の表示部15に表示制御する。
【0042】
図6(a),(b)に、表示部15の表示例を示す。このうち、図6(a)は、上記決済情報及び「ユーザ識別イメージ」の表示例であり、また、図6(b)は、上記決済情報及び「代替アイコンイメージ」の表示例である。
【0043】
この図6(a)に示すように、非接触ICカード39から「ユーザ識別イメージ」を取得できた場合、制御部17は、残高等の決済情報と共に、ユーザにより選択された「ユーザ識別イメージ」を表示部15に表示制御する。
【0044】
これに対して、非接触ICカード39から「ユーザ識別イメージ」が取得できなかった場合、制御部17は、図6(b)に示すように、残高等の決済情報と共に、メモリ14から読み出した「代替アイコンイメージ」を表示部15に表示制御する。
【0045】
このように、自動改札の際に、決済情報と共に、ユーザが自分で選択した「ユーザ識別イメージ」を自動改札機1の表示部15に表示することにより、ユーザに対して、現在、表示部15に表示されている決済情報が自分の決済情報であることを明確に認識させることができる。
【0046】
また、決済情報と共に表示する「ユーザ識別イメージ」は、ユーザにより選択された画像ではあるが、非接触ICカード39に固有に付された識別情報や個人情報等の重要な情報ではないため、第三者に盗視され悪用される心配もない。このため、安全性の高いシステムを提供することができる。
【0047】
〔残高に対応するイメージ表示〕
ここで、自動改札機1の制御部17は、決済処理の際に非接触ICカード39の金銭情報記憶領域44に記憶されている金銭情報の残高を表示する際、これをイメージ的に表示するようになっている。
【0048】
具体的には、非接触ICカード39から「ユーザ識別イメージ」を取得できた場合、制御部17は、前述のようにこの「ユーザ識別イメージ」を決済情報と共に表示部15に表示制御するのであるが、この「ユーザ識別イメージ」の背景を、上記残高に対応する色で表示するようになっている。図7に、この背景の表示例を示す。
【0049】
この図7に示す例からわかるように、制御部17は、金銭情報記憶領域44に記憶されている金銭情報の残高が、
0 〜 19 %の場合は「赤色」の背景色を、
20 〜 39 %の場合は「黄色」の背景色を、
40 〜 59 %の場合は「緑色」の背景色を、
60 〜 79 %の場合は「水色」の背景色を、
80 〜100%の場合は「白色」の背景色を、
それぞれ用いて上記「ユーザ識別イメージ」を表示制御する。
【0050】
さらに具体的には、例えば非接触ICカード39の金銭情報記憶領域44に記憶可能な金銭情報の上限額が「50,000円」であるとすると、該非接触ICカード39に「50,000円」の残高がある場合、残高は「100%」であるため、制御部17は、上記「白色」の背景色を用いて「ユーザ識別イメージ」を表示制御する。同様に、非接触ICカード39に「32,500円」の残高がある場合、残高は「65%」であるため、制御部17は、上記「水色」の背景色を用いて「ユーザ識別イメージ」を表示制御する。同様に、非接触ICカード39に「22,500円」の残高がある場合、残高は「45%」であるため、制御部17は、上記「緑色」の背景色を用いて「ユーザ識別イメージ」を表示制御する。同様に、非接触ICカード39に「10,000円」の残高がある場合、残高は「20%」であるため、制御部17は、上記「黄色」の背景色を用いて「ユーザ識別イメージ」を表示制御する。同様に、非接触ICカード39に「5,000円」の残高がある場合、残高は「10%」であるため、制御部17は、上記「赤色」の背景色を用いて「ユーザ識別イメージ」を表示制御する。
【0051】
一方、非接触ICカード39から「ユーザ識別イメージ」を取得できなかった場合、制御部17は、図6(b)に示すように金銭情報の残高を示す帯状のバー50の画像を表示し、このバー50上の上記残高に応じた範囲を、該残高に応じた色で表示する。
【0052】
具体的には、このバー50は、全長が上記残高100%を示している。このため、非接触ICカード39に「50,000円」の残高がある場合、残高は「100%」であるため、制御部17は、バー50全体を上記「白色」で表示する。同様に、非接触ICカード39に「32,500円」の残高がある場合、残高は「65%」であるため、制御部17は、上記バー50の65%の範囲を上記「水色」で表示する。同様に、非接触ICカード39に「10,000円」の残高がある場合、残高は「20%」であるため、制御部17は、上記バー50の20%の範囲を上記「黄色」で表示する。
【0053】
このように「ユーザ識別イメージ」の背景色や「代替アイコンイメージ」を、残高に応じた色で表示することにより、ユーザに対して数字以外の情報で残高を認識させることができる。特に、「黄色」や「赤色」は、人間の注意を喚起するため、黄色や赤色を用いて「ユーザ識別イメージ」の背景色や「代替アイコンイメージ」を表示することで、ユーザに対して金銭情報のチャージを促すことができる。
【0054】
なお、「ユーザ識別イメージ」を表示する場合には、残高に応じて背景色を変更することとしたが、これは、「ユーザ識別イメージ」自体の色を残高に応じて変更するようにしてもよい。
【0055】
次に、このように「ユーザ識別イメージ」或いは「代替アイコンイメージ」を表示部15に表示制御すると、制御部17は、図5のフローチャートのステップS7に処理を進め、このステップS7において、新たな非接触ICカードとの通信が開始されたか否かを判別する。新たな非接触ICカードとの通信の開始を検出した場合、制御部17は、処理をステップS1に戻し、前述の「ユーザ識別イメージ」或いは「代替アイコンイメージ」の表示制御を行う。これにより、前述と同様に、新たな非接触ICカードに記憶されている「ユーザ識別イメージ」或いは「代替アイコンイメージ」が自動改札機1の表示部15に表示制御されることとなる。
【0056】
これに対して、制御部17は、新たな非接触ICカードとの通信の開始を検出しなかった場合、ステップS8において、表示部15に「ユーザ識別イメージ」或いは「代替アイコンイメージ」を表示してから所定時間が経過したか否か(タイムアウト)を判別する。そして、制御部17は、このタイムアウトを検出したタイミングで処理をステップS9に進め、表示部15に表示した「ユーザ識別イメージ」或いは「代替アイコンイメージ」を非表示制御(表示クリア制御)し、この図5のフローチャートに示す全処理を終了する。
【0057】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、この実施の形態の自動改札システムは、ユーザの携帯電話機2に内蔵されている非接触ICカードに、ユーザが自分で認識可能な画像(ユーザ識別イメージ)を記憶させておき、自動改札の際に、自動改札機1の制御部17が、非接触ICカードに記憶されている「ユーザ識別イメージ」を読み取り、これを決済情報と共に当該自動改札機1の表示部15に表示制御する。
【0058】
これにより、自動改札の際に、決済情報と共に、ユーザが自分で選択した「ユーザ識別イメージ」が自動改札機1の表示部15に表示されるため、ユーザは、現在、表示部15に表示されている決済情報が自分の決済情報であることを明確に認識することができる。
【0059】
また、決済情報と共に表示する「ユーザ識別イメージ」は、ユーザにより選択された画像ではあるが、非接触ICカード39に固有に付された識別情報や個人情報等の重要な情報ではないため、第三者に盗視され悪用される心配もない。このため、安全性の高い自動改札システムを提供することができる。
【0060】
また、「ユーザ識別イメージ」の背景色や「代替アイコンイメージ」を、非接触ICカード39に記憶されている金銭情報の残高に応じた色で表示することにより、ユーザに対して数字以外の情報で残高を認識させることができる。特に、「黄色」や「赤色」は、人間の注意を喚起するため、黄色や赤色を用いて「ユーザ識別イメージ」の背景色や「代替アイコンイメージ」を表示することで、ユーザに対して金銭情報のチャージを促すことができる。
【0061】
なお、上述の実施の形態の説明では、携帯電話機2を用いることとしたが、これは、PHS電話機(Personal Handyphone System),PDA装置(Personal Digital Assistant),ノート型のパーソナルコンピュータ装置等の他の携帯端末装置を用いるようにしてもよい。
【0062】
また、非接触ICカード39に「ユーザ識別イメージ」を記憶することとしたが、「ユーザ識別イメージ」を接触型のICカードに記憶するようにしてもよい。
【0063】
また、本発明を自動改札システムに適用することとして説明したが、本発明は、店舗のレジスタ装置や駅の券売機等に設けるようにしてもよい。この場合でも、決済情報と共にユーザが事前に選択した「ユーザ識別イメージ」が、店舗のレジスタ装置や駅の券売機等に表示されることとなるため、上述と同じ効果を得ることができる。
【0064】
最後に、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、該実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を適用した実施の形態となる自動改札システムのブロック図である。
【図2】自動改札システムの自動改札機の斜視図である。
【図3】自動改札システムに適用される非接触ICカードが設けられた携帯電話機のブロック図である。
【図4】非接触ICカードに記憶される「ユーザ識別イメージ」の一例を示す図である。
【図5】自動改札機における「ユーザ識別イメージ」の表示動作の流れを示す図である。
【図6】自動改札機の表示部に決済情報と共に表示された「ユーザ識別イメージ」の表示例を示す図である。
【図7】非接触ICカードに記憶されている金銭情報の残高と、「ユーザ識別イメージ」の背景色との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 自動改札機、2 携帯電話機、11 磁気リーダ、12 搬送機構、13 リーダライタ、14 メモリ、15 表示部、16 ゲート機構、17 制御部、21 カード挿入口、22 カード排出口、39 非接触ICカード、41 非接触ICカードのアンテナ、42 非接触ICカードの制御部、43 非接触ICカードのメモリ、44 金銭情報記憶領域、45 アイコンイメージ記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触型或いは非接触型のICカード装置と通信を行うことで、該ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報、及び金銭情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段により取得された金銭情報に基づいて決済処理を行い、この決済情報を形成する決済情報形成手段と、
上記決済情報形成手段により形成された決済情報と共に、上記情報取得手段により上記ICカード装置から取得された画像情報或いは文字情報を、表示手段に表示する表示制御手段と
を有する表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
上記ユーザが選択した画像情報或いは文字情報に代わる代替情報が記憶された記憶手段を有し、
上記表示制御手段は、上記情報取得手段により上記ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報を取得することができなかった場合、上記記憶手段に記憶されている代替情報を読み出し、この代替情報を上記決済情報と共に表示手段に表示制御すること
を特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の表示装置であって、
上記決済処理後における、上記ICカード装置に記憶されている金銭情報の残高を検出する残高検出手段を有し、
上記表示制御手段は、上記残高検出手段により検出された上記金銭情報の残高に応じて、上記ICカード装置から取得された画像情報の表示色又は該画像情報の背景色、又は上記ICカード装置から取得された文字情報の文字色又は該文字情報の背景色、或いは上記代替情報の背景色又は表示色を変更して表示すること
を特徴とする表示装置。
【請求項4】
ユーザが選択した画像情報或いは文字情報、及び金銭情報が記憶された接触型或いは非接触型のICカード装置を備えた携帯端末装置と、
上記携帯端末装置の上記ICカード装置と通信を行うことで、該ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報、及び金銭情報を取得する情報取得手段と、上記情報取得手段により取得された金銭情報に基づいて決済処理を行い、この決済情報を形成する決済情報形成手段と、上記決済情報形成手段により形成された決済情報と共に、上記情報取得手段により上記ICカード装置から取得された画像情報或いは文字情報を、表示手段に表示する表示制御手段とを備えた表示装置と
を有する表示システム。
【請求項5】
請求項4に記載の表示システムであって、
上記表示装置は、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報に代わる代替情報が記憶された記憶手段を有し、
上記表示制御手段は、上記情報取得手段により上記ICカード装置に記憶されている、ユーザが選択した画像情報或いは文字情報を取得することができなかった場合、上記記憶手段に記憶されている代替情報を読み出し、この代替情報を上記決済情報と共に表示手段に表示制御すること
を特徴とする表示システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の表示システムであって、
上記表示装置は、上記決済処理後における、上記ICカード装置に記憶されている金銭情報の残高を検出する残高検出手段を有し、
上記表示制御手段は、上記残高検出手段により検出された上記金銭情報の残高に応じて、上記ICカード装置から取得された画像情報の表示色又は該画像情報の背景色、又は上記ICカード装置から取得された文字情報の文字色又は該文字情報の背景色、或いは上記代替情報の背景色又は表示色を変更して表示すること
を特徴とする表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−48479(P2006−48479A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230438(P2004−230438)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】