説明

表示装置及び表示方法

【課題】表示パネルを複数の領域に分割して輝度値の処理を行う場合に、対象となる領域とその周辺の領域の輝度値との関係によっては、対象となる領域の輝度値の変化が急峻になり、偽輪郭が生じることにより画像の品位が低下するという問題が生じる。
【解決手段】映像信号に基づいて、光源により照射される対象領域及び対象領域の各周辺領域の輝度値を算定する算定部と、対象領域の輝度値を、対象領域を構成する複数の構成領域ごとの輝度値に補正する補正量を決定する信号補正部と、入力された映像信号を信号補正部の補正量に基づいて補正する映像補正部とを備え、信号補正部は、対象領域の輝度値と対象領域の各周辺領域の輝度値との関係に応じて、補正量を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトを利用した表示装置及び表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光変調素子として液晶表示素子(液晶パネル)を用いた液晶表示装置は、背面に照明光源を備え、その光源から照射される光の透過率を液晶パネルによって制御することで、任意の画像の表示を実現している。
【0003】
これらの表示装置には、表示輝度のダイナミックレンジの拡大や消費電力の低下などを目的とし、表示画面を複数の分割領域に分割し、それぞれの領域に対して少なくともひとつずつの光源を配置し、分割領域ごとに光源の輝度を制御する構成を用いているものがある。このような構成の表示装置では、各分割領域の光源の輝度は、その領域内に表示される映像の特徴に応じて制御される。
ここで、各分割領域内の輝度を設定する方法として、消費電力の低減を図りつつ画質の向上を図ることを目的として、各分割領域における表示輝度を検出し、各光源の発光輝度を各分割領域に対応して配置されていない他の光源の当該領域に対する影響を含めて検出した表示輝度に基づいて算出し、発光輝度と表示画面の各部における表示輝度の最適値とのずれ量に基づいて表示部の各画素に対する補正量を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1等)。
さらには、別の各分割領域内の輝度を設定する方法として、画像表示装置の表示輝度範囲を理想の範囲に拡大し、かつ、画像品質も確保することを目的として、複数の領域に対応する画像信号の輝度分布を算出して領域毎の照明光の明るさを決定する輝度分布算出手段と、前記輝度分布算出手段の決定に基づいて前記照明手段の領域毎の照明光を制御する照明制御手段を採用する構成が知られている(例えば、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−034251号公報
【特許文献2】特開2005−258403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、各光源の発光輝度を各分割領域に対応して配置されていない他の光源の当該領域に対する影響を含めて検出した表示輝度に基づいて算出しているが、この場合には、他の光源からの光量は一定として算出する構成が記載されている。
【0006】
さらに、上記特許文献2においては、バックライトの領域間の輝度分布について近似関数を用いて求める構成が記載されている。
【0007】
しかしながら、実際に各分割領域間の影響を考慮する場合には、高品位で映像信号を表示する場合には、光源に対応する分割領域ではなく、例えば画素単位等のより小さい単位(本願発明においては、構成領域という)ごとの発光輝度を特定しなければ、高品位な映像信号を表示することができないという問題が生じる。
【0008】
ここで、これに対する対策として、図13に示すように、各光源からの発光輝度値を特定し、さらに、各分割領域を構成する構成領域のそれぞれについて、各光源からの距離を考慮して、各構成領域の輝度値を設定する構成が考えられる。
より具体的に説明する。図13では、横軸に各分割領域の距離を示しており、一方、縦軸は各光源の発光輝度を示している。分割領域Aにおいては、光源からの輝度値が200に設定されており、分割領域Bにおいては、光源からの輝度値が80に設定されており、分割領域Cにおいては、光源からの輝度値が40に設定されているものとする。なお、これらの数字は説明の容易化のために使用したものであり、実際にはこれら以外の値であっても良い。
この場合に、分割領域Aと分割領域Bの間の各構成領域については、それぞれの構成領域において、分割領域Aの中心と分割領域Bの中心領域からの距離と分割領域Aと分割領域Bの輝度値に応じて、それぞれの各構成領域の輝度値を設定することが可能になるものである。
しかしながら、さらにこのような対策を行った場合であっても、映像信号が図14に示すような場合には、さらなる問題が生じる。
より具体的に説明する。図14では、図13と同様に、横軸に各分割領域の距離を示しており、一方、縦軸は各光源の発光輝度を示している。分割領域Aにおいては、光源からの輝度値が200に設定されており、分割領域Bにおいては、光源からの輝度値が40に設定されており、分割領域Cにおいては、光源からの輝度値が80に設定されているものとする。なお、図13の場合と同様に、これらの数字は説明の容易化のために使用したものであり、実際にはこれら以外の値であっても良い。
【0009】
この場合、上述したような処理を行った場合には、分割領域Aと分割領域Bとの間の構成領域については、それぞれの構成領域における、分割領域Aの中心と分割領域Bの中心領域からの距離と分割領域Aと分割領域Bの輝度値に応じて、それぞれの各構成領域の輝度値を設定することとなるため、図14に示すように、直線的に各構成領域の輝度が設定されることとなる。
【0010】
同様に、分割領域Bと分割領域Cとの間の構成領域については、それぞれの構成領域における、分割領域Bの中心と分割領域Cの中心領域からの距離と分割領域Bと分割領域Cの輝度値に応じて、それぞれの各構成領域の輝度値を設定することとなるため、図14に示すように、直線的に各構成領域の輝度が設定されることとなる。
分割領域AからCの各輝度値が図14のような場合に、直線的に各構成領域の輝度が設定された場合には、実際には、分割領域Bの中心領域において、輝度値の分布の変化が大きい領域(鋭い折れ点)ができてしまう。そのような場合、急激に変化する輝度値が適用された結果、算出される映像信号補正量も急激に変化することとなる。このような急激に変化する補正量が、なめらかに変化する映像信号に対して適用されてしまうことにより、映像信号に対して疑輪郭を生じさせる可能性があり、映像の品位を下げてしまうという問題が生じる。
【0011】
以上より、本願発明は、従来した課題を解決するために、複数の分割領域間がどのような輝度値の場合であっても、高品位な映像を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本願発明においては、入力された映像信号を表示する表示パネルと前記表示パネルを背面から照射する複数の光源とにより構成された表示装置であって、映像信号に基づいて、光源により照射される第1の領域及び第1の領域の各周辺領域の輝度値を算定する算定部と、算定部で算定された第1の領域の輝度値を、第1の領域を構成する複数の構成領域ごとの輝度値に補正する補正量を決定する信号補正部と、入力された映像信号を信号補正部の補正量に基づいて補正する映像補正部とを備え、信号補正部は、第1の領域の輝度値と第1の領域の各周辺領域の輝度値との関係に応じて、補正量を設定する表示装置である。
また、本願発明においては、信号補正部は、第1の領域の輝度値が第1の領域の周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度値又は高輝度値の場合に、第1の領域を構成する複数の構成領域のうち、所定の構成領域の輝度値を略一定にすることを特徴とする表示装置である。
また、本願発明においては、信号補正部は、第1の領域の輝度値が第1の領域の周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合には、第1の領域を構成する複数の構成領域は、第1の領域の周辺領域の輝度値の中間値であることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は、これらの構成により、信号補正部は、第1の領域の輝度値と第1の領域の各周辺領域の輝度値との関係に応じて、補正量を設定することにより、複数の分割領域間がどのような輝度値の場合であっても、高品位な映像を提供することを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成を示す図
【図2】本発明の信号補正手段の構成を示す図
【図3】本発明の液晶表示装置の処理内容(台形補正)を示す図
【図4】本発明の液晶表示装置の処理内容(台形補正)を示す図
【図5】本発明の液晶表示装置の処理内容(直線補正)を示す図
【図6】本発明の液晶表示装置の処理内容(直線補正)を示す図
【図7】本発明の液晶表示装置の処理内容(台形補正)を示す図
【図8】本発明の液晶表示装置の処理内容(直線補正)を示す図
【図9】本発明の液晶表示装置の処理内容(台形補正)を示す図
【図10】本発明の分割領域と構成領域を示す図
【図11】本発明の液晶表示装置の処理内容を示す図
【図12】本発明の補間手段の構成を示す図
【図13】従来の液晶表示装置の処理内容を示す図
【図14】従来の液晶表示装置の処理内容を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
<1、液晶表示装置の全体構成>
本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図1に示す液晶表示装置は、算定手段102、信号補正手段104、表示パネル駆動手段106、表示パネル108、バックライト駆動手段110、バックライトユニット112により構成される。以下、各構成について詳細に説明する。
<1−1、表示パネルに関する構成>
最初に、算定手段102について説明する。算定手段102では、入力映像信号から輝度値を算定し、信号補正手段104にその算定した輝度値を出力する。この際の輝度値の算定は、後述する表示パネル108を複数の領域に分割した分割領域単位で行われる。算定手段102では、入力映像信号から、各分割領域の画素のピーク値や、平均値等により輝度値を生成する。
【0016】
次に、信号補正手段104について説明する。信号補正手段104では、算定手段102において算定した各分割領域単位の輝度値から、輝度値を補正した上で、後述する表示パネル108の液晶層の透過率を設定する。なお、この信号補正手段104の詳細な構成については、図2を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
次に、表示パネル駆動手段106及び表示パネル108について説明する。表示パネル108は、図示してはいないが、複数のゲート線、複数のソース線、スイッチング素子及び複数の画素セルを備え、複数のソース線及び複数のゲート線の交点にマトリクス状に複数の画素が配置され、水平方向の1ラインの画素から1走査ラインが構成される。
複数のソース線には表示パネル駆動手段106から画素信号が供給され、複数のゲート線には表示パネル駆動手段106から走査信号となるゲートパルスが供給され、各画素に対応する液晶層に信号電圧が与えられることにより透過率が制御される。ここで、表示パネル108は、図1に点線で示したように、表示部が複数の分割領域に分割されている。
【0018】
なお、表示パネル108については、IPS(In Plane Switching)方式の他にVA(Vertical Alignment)方式や紫外線を液晶分子に照射するUV2A(Ultraviolet induced multi-domain Vertical Alignment)方式等のいずれの方式であっても適用可能である。
<1−2、バックライトユニットに関する構成>
バックライトユニット112は、表示パネル108に対して画像を表示させるための照明光を背面から照射する機能を有する。バックライトユニット112は、表示パネル108と同じく複数の領域に分割されている。
各分割領域はそれぞれ、表示パネル108上で同じ位置にある分割領域を照明する。各分割領域には少なくともひとつの光源を持つ。光源としては、白色LEDまたは、RGB三色のLEDを用いて白色光を得るRGBLEDを用いる。
各分割領域に属するLEDは、バックライト駆動手段110によって駆動される。各領域ごとの輝度は、算定手段102により算定された輝度値に基づいて、バックライト駆動手段110によってそれぞれ独立に駆動される。図示されていないが、各分割領域はそれぞれバックライト駆動手段110と制御線で結ばれている。
なお、図1においては、記載されていないが、表示パネル108とバックライトユニット112との間に拡散シートを設けることにより、バックライトユニット112のLEDから照射される光を均一化する構成を採用することも可能である。
<1−3、信号補正手段の構成>
図2に示すように、信号補正手段104は、算定手段102と、映像補正手段160とに接続されており、比較手段150と、直線補正手段152、台形補正手段154、選択手段156、補正手段158により構成されている。
【0019】
この信号補正手段104には、上述した算定手段102により各分割領域の輝度値が算定されており、その各分割領域ごとの輝度値が入力されている。
【0020】
次に、比較手段150において、算定手段102で算定された一つの分割領域の輝度値と、その分割領域の周辺の分割領域の輝度値とを比較する。なお、この算定手段102で算定される輝度値とは、LEDが無発光輝度の状態を0とし、最大発光状態を255と設定しており、本実施の形態においては、説明の簡単化のため、各分割領域に配置されたLEDから発光される輝度値を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各分割領域に配置されたLEDから発光される輝度値に加えて、他の分割領域に配置されたLEDからの発光の影響を加味した値を輝度値として設定することも可能である。なお、この点については、後述する実施の形態2において詳細に説明する。
【0021】
次に、具体例について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3に示すように、A領域は、A(1,1)、A(1,2)、A(1,3)、A(2,1)、A(2,2)、A(2,3)、A(3,1)、A(3,2)、A(3,3)の9つの画素を一つのLEDで発光している例を示している。また、同様に、B領域は、B(1,1)、B(1,2)、B(1,3)、B(2,1)、B(2,2)、B(2,3)、B(3,1)、B(3,2)、B(3,3)の9つの画素を一つのLEDで発光しており、さらに、領域は、C(1,1)、C(1,2)、C(1,3)、C(2,1)、C(2,2)、C(2,3)、C(3,1)、C(3,2)、C(3,3)の9つの画素を一つのLEDで発光している。
図3の下図に示すように、A領域の輝度値は200であり、B領域の輝度値は40であり、C領域の輝度値は80である。ここで、対象領域をBとすると、対象領域Bは、周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度となっている。なお、本実施の形態においては、説明の簡単化のために、水平方向のみの比較を行っているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、垂直方法のみ、垂直方向及び水平方向の両方の領域の比較を行う構成を採用することも可能である。
また、図4の下図に示すように、A領域の輝度値は40であり、B領域の輝度値は200であり、C領域の輝度値は80である。ここで、対象領域をBとすると、対象領域Bは、周辺領域のいずれの輝度値よりも高輝度となっている。なお、本実施の形態においては、説明の簡単化のために、水平方向のみの比較を行っているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、垂直方法のみ、垂直方向及び水平方向の両方の領域の比較を行う構成を採用することも可能である。
【0022】
一方、図5についても図3と同様に、A領域は、A(1,1)、A(1,2)、A(1,3)、A(2,1)、A(2,2)、A(2,3)、A(3,1)、A(3,2)、A(3,3)の9つの画素を一つのLEDで発光している例を示している。また、同様に、B領域は、B(1,1)、B(1,2)、B(1,3)、B(2,1)、B(2,2)、B(2,3)、B(3,1)、B(3,2)、B(3,3)の9つの画素を一つのLEDで発光しており、さらに、領域は、C(1,1)、C(1,2)、C(1,3)、C(2,1)、C(2,2)、C(2,3)、C(3,1)、C(3,2)、C(3,3)の9つの画素を一つのLEDで発光している。
【0023】
図5の下図に示すように、A領域の輝度値は200であり、B領域の輝度値は80であり、C領域の輝度値は40である。ここで、対象領域をBとすると、対象領域Bは、対象領域Aよりは低輝度であるが、対象領域Cよりは高輝度となっており、周辺領域の輝度値の中間輝度値となっている。なお、本実施の形態においては、説明の簡単化のために、水平方向のみの比較を行っているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、垂直方法のみ、垂直方向及び水平方向の両方の領域の比較を行う構成を採用することも可能である。
【0024】
また、図6に示すように、A領域の輝度値は40であり、B領域の輝度値は80であり、C領域の輝度値は200である。ここで、対象領域をBとすると、対象領域Bは、対象領域Cよりは低輝度であるが、対象領域Aよりは高輝度となっており、周辺領域の輝度値の中間輝度値となっている。なお、本実施の形態においては、説明の簡単化のために、水平方向のみの比較を行っているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、垂直方法のみ、垂直方向及び水平方向の両方の領域の比較を行う構成を採用することも可能である。
【0025】
以上のように、比較手段では、算定手段102で算定された一つの分割領域の輝度値と、その分割領域の周辺の分割領域の輝度値とを比較し、対象の分割領域が周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度又は高輝度(図3,図4の場合)であるか、対象の分割領域が周辺領域の輝度値の中間輝度値(図5,図6の場合)のいずれであるかを判別する。
【0026】
次に、直線補正手段152及び台形補正手段154について、図7、図8を参照しながら説明する。図7は、上述した図3及び図4の場合に対する、直線補正手段152及び台形補正手段154の処理を示したものである。実線は、台形補正手段154により補正された輝度値を示しており、一方、点線は直線補正手段152で補正された輝度値を示している。一方、図8は、上述した図5及び図6の場合に対する直線補正手段152及び台形補正手段154の処理を示したものである。実線は、直線補正手段152により補正された輝度値を示しており、一方、点線は台形補正手段154で補正された輝度値を示したものである。
【0027】
この図7から明らかなように、対象の分割領域が周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度又は高輝度の場合には、台形補正手段152においては、対象となる分割領域Bを構成する複数の構成領域のうち、所定の構成領域の輝度値が略一定値となっており、分割領域Bの中心領域において、輝度値の分布の変化が大きい領域(鋭い折れ点)ができてしまうため、偽輪郭が発生し、画像の品位が下がるという問題を解決することが可能になる。一方、直線補正手段152においては、分割領域Bの中心領域において、輝度値の分布の変化が大きい領域(鋭い折れ点)ができてしまうため、画像の品位が下がるという問題が生じる。
【0028】
さらに、図8から明らかなように、対象の分割領域が周辺領域の輝度値の中間輝度値になっている場合には、直線補正手段152においては、対象となる分割領域Bを構成する複数の構成領域が、周辺領域A及び周辺領域Bとの輝度値と直線的な輝度値の分布となる。一方、台形補正手段152においては、対象となる分割領域Bを構成する複数の構成領域のうち、所定の構成領域の輝度値が略一定値となっており、この部分の輝度が均一の輝度となってしまうため、のっぺりとした画像となり、画像の品位が下がるという問題が生じる。
【0029】
そこで、本発明においては、比較手段150により、対象の分割領域の輝度値と周辺領域との輝度値との関係に応じて、直線補正手段152又は台形補正手段154のいずれかを選択手段156において選択することにより、適切な補正方法を選択することが可能になるものである。
【0030】
具体的には、対象の分割領域が周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度又は高輝度の場合には、台形補正手段152を選択することにより、対象となる分割領域Bを構成する複数の構成領域のうち、所定の構成領域の輝度値が略一定値となり、分割領域Bの中心領域において、輝度値の分布の変化が大きい領域(鋭い折れ点)ができてしまうため、偽輪郭が発生し、画像の品位が下がるという問題を解決することが可能になる。一方、対象の分割領域が周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合には、直線補正手段152を選択することにより、対象となる分割領域Bを構成する複数の構成領域が、周辺領域A及び周辺領域Bとの輝度値と直線的な輝度値に設定することが可能になり、違和感のない画像を提供することが可能になるものである。
【0031】
次に、この選択手段156により選択された直線補正手段152又は台形補正手段154のいずれかの方法により補正された輝度値に基づいて、映像補正手段160において映像信号を補正し、補正後の映像信号に基づいて表示パネル108の透過率を設定する。
【0032】
以上の構成により、対象の分割領域の輝度値と対象の分割領域の各周辺領域の輝度値との関係に応じて、補正量を設定することにより、複数の分割領域間がどのような輝度値の場合であっても、高品位な映像を提供することが可能になるものである。
【0033】
なお、台形補正手段152の処理としては、上述した所定の構成領域の輝度値が略一定値方法以外に、図9に示すように、入力された映像信号に対して、輝度値の傾きを変更することにより、実現することも可能である。この場合には、図示していないが、台形補正手段152内に、傾斜補正手段を設け、算定手段102により算定された輝度値の角度を補正することにより、上述した所定の構成領域の輝度値が略一定値となるように設定することが可能になるものである。
【0034】
つまり、傾斜補正手段においては、対象となる領域の輝度値が対象となる領域の周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合と比較して、対象となる領域の輝度値が対象となる領域の周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度値又は高輝度値の場合において、対象となる領域の輝度値の変化量を緩やかに設定する
なお、上述した構成領域は、一つの画素単位で形成されていてもよく、また複数の画素により構成されていてもよい。
(実施の形態2)
本発明では、上述した実施の形態1に加えて、以下の内容を追加することも可能である。実施の形態1においては、各分割領域自体の輝度値は、各分割領域を構成する複数の構成領域においても一定であることを前提として説明した。
しかしながら、実際には、分割領域を構成する複数の構成領域において、例えば、分割領域の中心に位置する構成領域と他の分割領域との境界付近に位置する構成領域では、他の分割領域との境界付近ほど、他の分割領域において発光された光の影響を受けやすくなる。例えば、図10に示すように、構成領域a、b、c、d、f、g、h、iは、いずれも他の分割領域と接しており、他の分割領域と接していない構成領域eとの他の分割領域からの光の影響は異なる。
そこで、本発明においては、図11に示すように、複数の分割領域の中心からの各画素の位置に応じて、分割領域ごとに設定された輝度値を補正することにより、分割領域を構成する構成領域の位置に応じた輝度値を設定することが可能になるものである。つまり、対象となる分割領域に配置された光源からの輝度分布と対象となる分割領域の周辺の分割領域に配置された光源からの輝度分布に応じて各構成領域の輝度値を変更することが可能になるものである。
具体的な構成としては、図12に示すように、補間手段202において、分割領域1及び分割領域2の光源の輝度値と水平方向の座標値であるxを入力し、図11におけるA地点の輝度値を補間する。同様に、補間手段204において、分割領域3及び分割領域4の光源の輝度値と水平方向の座標値であるxを入力し、図11におけるB地点の輝度値を補間する。さらに、補間手段206において、A地点における輝度値とB地点における輝度値と垂直方向の座標値であるyを入力し、図11における推定対象画素の輝度値を補間する。
このような構成により、分割領域を構成する複数の構成領域がいずれの位置であっても、輝度分布に応じて適切な輝度値に補正をすることが可能になり、より高品位な画像を提供することが可能になるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
入力された映像信号を表示する表示パネルと前記表示パネルを背面から照射する複数の光源とにより構成された表示装置において、高品位な映像を表示可能な表示装置及び表示方法として有用である。
【符号の説明】
【0036】
102 算定手段
104 信号補正手段
106 パネル駆動手段
108 表示パネル
110 バックライト駆動手段
112 バックライトユニット
150 比較手段
152 直線補正手段
154 台形補正手段
156 選択手段
160 映像補正手段
202 補間手段
204 補間手段
206 補間手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号を表示する表示パネルと前記表示パネルを背面から照射する複数の光源とにより構成された表示装置であって、
前記映像信号に基づいて、前記光源により照射される第1の領域及び前記第1の領域の各周辺領域の輝度値を算定する算定部と、
前記算定部で算定された前記第1の領域の輝度値を、前記第1の領域を構成する複数の構成領域ごとの輝度値に補正する補正量を決定する信号補正部と、
入力された映像信号を前記信号補正部の補正量に基づいて補正する映像補正部とを備え、
前記信号補正部は、前記第1の領域の輝度値と前記第1の領域の各周辺領域の輝度値との関係に応じて、前記補正量を設定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記信号補正部は、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度値又は高輝度値の場合に、前記第1の領域を構成する複数の構成領域のうち、所定の構成領域の輝度値を略一定にすることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記信号補正部は、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合には、前記第1の領域を構成する複数の構成領域は、前記第1の領域の周辺領域の輝度値の中間値であることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記信号補正部は、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合と比較して、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度値又は高輝度値の場合において、前記第1の領域の輝度値の変化量を緩やかに設定する傾斜補正手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記信号補正部は、前記第1の領域を構成する複数の構成領域について、前記第1の領域に配置された光源からの輝度値分布に応じて輝度値を補正することを特徴とする請求項1から4記載の表示装置。
【請求項6】
前記信号補正部は、前記第1の領域を構成する複数の構成領域について、前記第1の領域に配置された光源からの輝度値分布及び前記第1の領域の周辺領域に配置された光源からの輝度分布に応じて輝度値を補正することを特徴とする請求項1から4記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の領域を構成する複数の構成領域は、複数の画素又は画素単位で構成されていることを特徴とする請求項1から6記載の表示装置。
【請求項8】
入力された映像信号を表示する表示パネルと前記表示パネルを背面から照射する複数の光源とにより構成された表示方法であって、
前記映像信号に基づいて、前記光源により照射される第1の領域及び前記第1の領域の各周辺領域の輝度値を算定する算定ステップと、
前記算定ステップで算定された前記第1の領域の輝度値を、前記第1の領域を構成する複数の構成領域ごとの輝度値に補正する補正量を決定する信号補正ステップと、
入力された映像信号を前記信号補正ステップの補正量に基づいて補正する映像補正ステップとを備え、
前記信号補正ステップは、前記第1の領域の輝度値と前記第1の領域の各周辺領域の輝度値との関係に応じて、前記補正量を設定することを特徴とする表示方法。
【請求項9】
前記信号補正ステップは、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度値又は高輝度値の場合に、前記第1の領域を構成する複数の構成領域のうち、所定の構成領域の輝度値を略一定にすることを特徴とする請求項8記載の表示方法。
【請求項10】
前記信号補正ステップは、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合には、前記第1の領域を構成する複数の構成領域は、前記第1の領域の周辺領域の輝度値の中間値であることを特徴とする請求項8又は9記載の表示方法。
【請求項11】
前記信号補正ステップは、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域の輝度値の中間輝度値の場合と比較して、前記第1の領域の輝度値が前記第1の領域の周辺領域のいずれの輝度値よりも低輝度値又は高輝度値の場合において、前記第1の領域の輝度値の変化量を緩やかに設定する傾斜補正ステップを有することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の表示方法。
【請求項12】
前記信号補正ステップは、前記第1の領域を構成する複数の構成領域について、前記第1の領域に配置された光源からの輝度値分布に応じて輝度値を補正することを特徴とする請求項8から11記載の表示方法。
【請求項13】
前記信号補正ステップは、前記第1の領域を構成する複数の構成領域について、前記第1の領域に配置された光源からの輝度値分布及び前記第1の領域の周辺領域に配置された光源からの輝度分布に応じて輝度値を補正することを特徴とする請求項8から11記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1の領域を構成する複数の構成領域は、複数の画素又は画素単位で構成されていることを特徴とする請求項8から13記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−19922(P2013−19922A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259623(P2009−259623)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】