説明

表示装置

【課題】 表示画素への表示データ(階調電流)の書込動作に際し、書込不足による表示画質の劣化を抑制することができ、さらに、表示パネルの高精細化に良好に対応することができる表示装置及びその駆動制御方法を提供する。
【解決手段】 表示装置100は、走査ライン群SGiを構成する走査ラインSLia、SLibとデータライン群DGjを構成するデータラインDLja、DLjbとの各交点に接続された表示画素EMが配列された表示パネル110Aと、各走査ライン群SGiに順次走査信号Vselを印加することにより、複数行分の表示画素を一斉に選択状態に設定する走査ドライバ120Aと、上記選択された複数行の表示画素EMに階調電流Ipixを一斉に供給する電流ラッチ・分配部140Aと、を備え、少なくとも電流ラッチ・分配部140Aが表示パネル110Aとともに絶縁性の基板BASE上に一体的に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、表示データに応じた電流を供給することにより所定の輝度階調で発光する電流制御型の発光素子を備えた表示画素を、複数配列してなる表示パネルを具備する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)や発光ダイオード(LED)等のように、供給される駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素を、2次元配列した表示パネルを具備する発光素子型のディスプレイ(表示装置)が知られている。
【0003】
特に、アクティブマトリックス駆動方式を適用した発光素子型ディスプレイは、近年普及が著しい液晶表示装置(LCD)に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性もなく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化、低消費電力化等が可能であるとともに、発光素子型の表示画素から構成されるため、液晶表示装置の場合のように、バックライトを必要としないので、一層の薄型軽量化が可能である、という極めて優位な特徴を有しており、次世代のディスプレイとして研究開発が盛んに行われている。
【0004】
図16は、従来技術における発光素子型ディスプレイの要部構成例を示す概略図であり、図17は、従来技術における発光素子型ディスプレイに適用される表示画素の構成例を示す等価回路図である。
図16に示すように、従来技術における発光素子型ディスプレイは、概略、相互に直交するように配設された複数の走査ラインSLと複数のデータラインDLとの各交点近傍に、例えば、後述する発光駆動回路(画素駆動回路)及び電流制御型の発光素子(有機EL素子)を備えた複数の表示画素EMがマトリクス状(n行×m列)に配列された表示パネル110Pと、該表示パネル110Pの走査ラインSLに接続され、各走査ラインSLに所定のタイミングで順次走査信号Vselを印加することにより、行ごとの表示画素EMを選択状態に設定(走査)する走査ドライバ120Pと、表示パネル110PのデータラインDLに接続され、表示データを取り込んで、所定のタイミングで各データラインDLへ表示データに応じた階調電流(階調信号)IPpixを供給するデータドライバ130Pと、を備えた構成を有している。
【0005】
このようなディスプレイにおいて、例えば、外部から供給されるタイミング信号に基づいて生成される走査制御信号及びデータ制御信号等により、走査ドライバ120P及びデータドライバ130Pの動作状態が制御されて、走査信号の印加により選択状態に設定された各行の表示画素に、表示データに応じた階調電流を書き込むことにより、各表示画素が所定の輝度階調で発光動作して、所望の画像情報が表示される。
【0006】
そして、このような発光素子型ディスプレイにおいては、上述した電流制御型の発光素子を発光制御するための駆動制御機構や制御方法が種々提案されている。例えば、特許文献1等に記載されているように、表示パネルを構成する各表示画素ごとに、上記発光素子に加えて、該発光素子を発光制御するための複数のスイッチング手段からなる駆動回路(以下、便宜的に「発光駆動回路」と記す)を備えたものが知られている。
【0007】
具体的には、特許文献1等に記載された表示画素は、図17に示すように、相互に並行して配設された一対の走査ラインSL1、SL2とデータラインDLとの各交点近傍に、ゲート端子が走査ラインSL1に、ソース端子及びドレイン端子がデータラインDL及び接点N121に各々接続された薄膜トランジスタTr121と、ゲート端子が走査ラインSL2に、ソース端子及びドレイン端子が接点N121及び接点N122に各々接続された薄膜トランジスタTr122と、ゲート端子が接点N122に、ドレイン端子が接点N121に各々接続され、ソース端子に高電源電圧Vddが印加された薄膜トランジスタTr123と、ゲート端子が接点N122に接続され、ソース端子に高電源電圧Vddが印加された薄膜トランジスタTr124と、を備えた画素駆動回路DP1、及び、階画素駆動回路DP1の薄膜トランジスタTr124のドレイン端子にアノード端子が接続され、カソード端子に接地電位が印加された有機EL素子OELを有して構成されている。
【0008】
ここで、図17において、薄膜トランジスタTr121はnチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成され、薄膜トランジスタTr122乃至Tr124はpチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成されている。また、CP1は、薄膜トランジスタTr123及びTr124のゲート−ソース間に形成される寄生容量である。
そして、このような構成を有する発光駆動回路DP2においては、薄膜トランジスタTr121乃至Tr124からなる4個のトランジスタ(スイッチング手段)を所定のタイミングでオン、オフ制御することにより、以下に示すように、有機EL素子OELを発光制御する。
【0009】
すなわち、発光駆動回路DP1において、図示を省略した走査ドライバにより、走査ラインSL1にハイレベルの走査信号Vsel1を、走査ラインSL2にローレベルの走査信号Vsel2を各々印加して表示画素を選択状態に設定すると、薄膜トランジスタTr121、Tr122及びTr123がオン動作して、図示を省略したデータドライバによりデータラインDLに供給された、表示データに応じた階調電流Ipixが薄膜トランジスタTr121及びTr123を介して流れる。このとき、Tr122によりTr123のゲート・ドレイン間が電気的に短絡されているため、Tr123は飽和領域で動作する。これにより、該階調電流Ipixの電流レベルが薄膜トランジスタTr123により電圧レベルに変換されてゲート−ソース間に所定の電圧が生じる(書込動作)。この薄膜トランジスタTr123のゲート−ソース間に生じた電圧に応じて薄膜トランジスタTr124がオン動作して、高電源電圧Vddから所定の発光駆動電流が薄膜トランジスタTr124及び有機EL素子OELを介して接地電位に流れ、有機EL素子OELが発光する(発光動作)。
【0010】
次いで、例えば、走査ラインSL2にハイレベルの走査信号Vsel2を印加すると、薄膜トランジスタTr122がオフ動作することにより、薄膜トランジスタTr123のゲート−ソース間に生じた電圧が寄生容量CP1により保持され、次に、走査ラインSL1にローレベルの走査信号Vsel1を印加すると、薄膜トランジスタTr121がオフ動作することにより、データラインDLと画素駆動回路DP1とが電気的に遮断される。これにより、上記寄生容量CP1に保持された電圧に基づく電位差により、薄膜トランジスタTr124が継続してオン動作し、高電源電圧Vddから所定の発光駆動電流が薄膜トランジスタTr124及び有機EL素子OELを介して接地電位に流れ、有機EL素子OELの発光動作が継続される。
【0011】
ここで、薄膜トランジスタTr124を介して有機EL素子OELに供給される発光駆動電流は、表示データの輝度階調に基づいた電流値になるように制御され、この発光動作は、次の表示データに応じた階調電流が各表示画素に書き込まれるまで、例えば、1フレーム期間継続されるように制御される。
このような回路構成を有する画素駆動回路における駆動制御方法は、各表示画素(薄膜トランジスタTr123のゲート端子)に表示データに応じた電流値を指定した階調電流を供給し、該電流値に応じて保持される電圧に基づいて、有機EL素子OELに流す発光駆動電流を制御して、所定の輝度階調で発光動作させていることから、電流印加方式(又は、電流指定方式)と呼ばれている。
【0012】
なお、図示を省略したが、図17と同様に、画素駆動回路と有機EL素子とを備えた表示画素に対して、表示データに応じた電圧値を指定した階調信号電圧を印加し、該電圧値に応じて、有機EL素子OELに流す発光駆動電流を制御して、所定の輝度階調で発光動作させる、電圧印加方式(又は、電圧指定方式)の駆動制御方法も知られている。
【0013】
ここで、電圧指定方式を採用した発光駆動回路においては、選択機能や発光駆動機能を担うスイッチ素子の素子特性(薄膜トランジスタのチャネル抵抗等)が、外部環境(周囲の温度等)や使用時間等に依存してバラツキや変動(劣化)を生じた場合には、発光駆動電流に影響を与えることになり、長期間にわたり安定的に所望の発光特性(所定の輝度階調での表示)を実現することができない、という問題や、表示パネルの高精細化を図るために、各表示画素を微細化すると、発光駆動回路を構成するスイッチ素子の動作特性(薄膜トランジスタのソース−ドレイン間電流等)のバラツキが大きくなるため、適正な階調制御が行えなくなり、各表示画素の発光特性にバラツキが生じて表示画質の劣化を招くという問題を有していた。
【0014】
これに対して、上述した電流指定方式の発光駆動回路においては、各表示画素に供給される表示データに応じた階調電流の電流レベルを電圧レベルに変換する薄膜トランジスタTr123(電流/電圧変換用トランジスタ)及び有機EL素子OELに所定の電流値の駆動電流を供給する薄膜トランジスタTr124(発光駆動用トランジスタ)を備え、有機EL素子OELに供給する発光駆動電流の電流値を設定することにより、各薄膜トランジスタTr123、Tr124の動作特性のバラツキの影響を抑制することができるので、電圧指定方式の発光駆動回路の問題点を解決することができるという利点を有している。
【0015】
【特許文献1】特開2001−147659号公報 (第7頁〜第8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述したような電流指定方式を採用した発光駆動回路においては、以下に示すような問題を有していた。
(1)すなわち、最下位又は比較的輝度の低い表示データに基づく階調電流を各表示画素に書き込む場合(低階調表示時)、表示データの輝度階調に対応した小さい電流値の信号電流を各表示画素に供給する必要がある。
【0017】
ここで、各表示画素に表示データ(階調電流)を書き込む動作は、データラインに寄生する容量成分(配線容量及び表示画素を構成する保持容量)を所定の電圧まで充電することに相当するため、例えば、表示パネルの大型化等によりデータラインの配線長が長くなるとともに、当該データラインに接続される表示画素の数が増加した場合、階調電流の電流値が小さくなるほど(すなわち、低階調表示時ほど)、データラインの充電時間が長くなって、表示画素への書込動作に長時間を要するようになり、予め設定された(既定の)書込時間では表示画素に書き込まれる表示データが充分安定した状態(飽和状態)に達しない、いわゆる、書込不足が生じる。これにより、表示データに応じた適切な輝度階調で発光動作することができない表示画素が発生して、表示パネル内で輝度差が生じて表示画質の劣化を招くという問題を有していた。
【0018】
(2)また、表示パネルを高精細化するために、表示パネルに配設される走査ラインの数を増加させて、各走査ラインの選択期間(すなわち、書込時間)を短く設定した場合においても、階調電流の電流値が小さくなるほど、各表示画素への十分な書込動作が行われなくなり、書込不足が発生して表示画質の劣化を招いたり、表示パネルの高精細化が制約されるという問題を有していた。
【0019】
(3)さらに、図16に示したように、表示画素が2次元配列された表示パネルの周辺領域(例えば、パネル基板上)に、ICチップの形態を有する走査ドライバやデータドライバを端子接続する場合、走査ドライバやデータドライバから出力される走査信号や階調電流が、表示パネルの各行(n本の走査ライン)や各列(m本のデータライン)ごとに1対1で対応しているため、表示パネルを高精細化すると、ドライバチップの出力端子数(すなわち、表示パネルと走査ドライバ又はデータドライバとの接続端子数)が増加するとともに、端子間ピッチ(間隔)が狭小化して、ドライバチップの接続工程における位置合わせの高精度化や工数の増加等を招き、ディスプレイの製品コストが高騰するという問題を有していた。
【0020】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、表示画素に設けられた発光素子を電流印加方式で発光制御するディスプレイにおいて、発光素子を長期間にわたり安定した発光特性で発光動作させることができるとともに、表示画素への表示データ(階調電流)の書込動作に際し、書込不足による表示画質の劣化を抑制することができ、さらに、表示パネルの高精細化に良好に対応することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1記載の発明は、表示パネルを構成する2次元配列された表示画素に対して、表示データに基づく階調電流を供給することにより、各表示画素を前記表示データに基づく所定の輝度階調で発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、少なくとも、前記表示パネルに配列された特定の複数行の前記表示画素を、少なくとも所定の期間、同時に選択状態に設定する走査駆動手段と、前記表示データに基づいて各行ごとの前記表示画素の輝度階調を制御する階調信号を生成する信号駆動手段と、前記信号駆動手段から出力される前記階調信号を取り込んで、前記階調信号に基づく電流値を有する前記階調電流を生成し、前記走査駆動手段により選択状態に設定された前記複数行の前記表示画素の各々に対して、個別のデータラインを介して、前記階調電流を書き込む電流書込手段と、を備え、前記信号駆動手段は、前記階調信号を、前記所定の期間において同時に選択状態に設定される前記特定の複数行の同一列の前記各表示画素ごとに、時系列データとして前記電流書込手段に順次出力し、前記電流書込手段は、前記時系列データとして供給される前記階調信号を各列の各行ごとに個別に保持する信号保持部と、前記信号保持部に保持された前記階調信号に対応する電流を、前記個別のデータラインを介して、前記複数行の前記表示画素の各々に対して、前記階調電流として出力する階調電流出力部と、を、備え、前記階調信号は、前記表示データに対応する電流値を有する信号電流であって、前記信号保持部は、前記信号電流に基づく電荷を蓄積して、電圧成分として保持する電荷蓄積手段を備え、少なくとも、前記表示パネルと前記電流書込手段が、単一の絶縁性基板上に設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記表示パネルは、前記複数行の表示画素に共通に接続された走査ラインを複数備え、前記走査駆動手段は、前記走査ラインの各々に、単一の走査信号を印加することにより、前記複数行の表示画素を同時に選択状態に設定することを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記表示パネルは、各行ごとの前記表示画素に接続された走査ラインを複数備え、前記走査駆動手段は、前記走査ラインの各々に、所定の期間のみ時間的に重なる個別の走査信号を印加することにより、該所定の期間において、前記複数行の表示画素を同時並行的に選択状態に設定することを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記電流書込手段は、各列ごとに、各々、並列に配置された複数組の前記信号保持部及び前記階調電流出力部からなる信号保持・出力部と、前記時系列データとして供給される前記階調信号を、前記複数組の信号保持・出力部に分配して供給する信号分配部と、を備え、前記複数組の信号保持・出力部は、前記個別のデータラインを介して、前記複数行の前記表示画素の各々に対して、前記階調電流を出力することを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の表示装置において、前記電流書込手段は、各列ごとに、前記複数組の信号保持・出力部を複数段備え、一の段の前記信号保持・出力部により前記階調信号を取り込み保持する動作と、他のいずれかの段の前記信号保持・出力部から前記階調電流を出力する動作を、同時に並行して実行することを特徴とする。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の表示装置において、前記電流書込手段は、各列ごとに、前記複数組の信号保持・出力部を一段備え、一の組の前記信号保持・出力部により前記階調信号を取り込み保持すると同時に、前記階調信号に基づく前記階調電流を出力する動作と、他のいずれかの組の前記信号保持・出力部により前記階調信号に基づく前記階調電流を出力する動作を、所定の期間において、同時に並行して実行することを特徴とする。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記電流書込手段は、前記信号駆動手段から供給される前記階調信号に対して、電流極性を反転した前記階調電流を生成して、前記複数行の前記表示画素に出力する電流極性反転部を有していることを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記階調電流出力部は、カレントミラー回路構成を有し、前記信号駆動手段から供給される前記階調信号に対して、所定の電流比率の電流値を有する前記階調電流を生成して、前記複数行の前記表示画素に出力することを特徴とする。
【0029】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置において、前記表示パネルに配列された前記表示画素は、前記電流書込手段から出力される前記階調電流に基づく所定の発光駆動電流を生成する発光駆動回路と、前記発光駆動回路から供給される前記発光駆動電流の電流値に基づいて、所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子と、を備えることを特徴とする。
【0030】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の表示装置において、少なくとも、前記電流書込手段及び前記発光駆動回路は、アモルファスシリコン半導体層をチャネル層とする、単一のチャネル極性を有する電界効果型トランジスタを用いて構成されていることを特徴とする。
【0031】
請求項11記載の発明は、請求項9記載の表示装置において、少なくとも、前記電流書込手段及び前記発光駆動回路は、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする、単一のチャネル極性を有する電界効果型トランジスタを用いて構成されていることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項9乃至11のいずれかに記載の表示装置において、前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセント素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
すなわち、本発明に係る表示装置は、表示信号(表示データ)に応じた階調電流を各表示画素に印加することにより、各表示画素の発光素子(有機EL素子、電流制御型の発光素子)を所定の輝度階調で発光動作させて、所望の画像情報を表示パネルに表示する表示装置において、表示パネルに2次元配列された表示画素に対して、走査ドライバ(走査駆動手段)から走査信号を印加することにより、複数行分の表示画素を、少なくとも所定の期間、同時に選択状態に設定し、データドライバ(信号駆動手段)により当該複数行の表示画素に対応する表示データを順次取り込んで、各行ごとの階調信号(信号電流)を生成し、各列ごとに時系列データ(シリアルデータ)として出力する電流ラッチ・分配部(電流書込手段)により、データドライバから出力される階調信号を各行ごとに取り込んで、該階調信号に基づく階調電流を生成して、上記選択状態に設定された複数行の表示画素に対して、各行ごとに個別のデータラインを介して書き込むように構成されている。
【0033】
ここで、上記走査ドライバ及びデータドライバは、表示パネルが設けられる絶縁性基板とは別個に、ドライバチップとして形成され、電流ラッチ・分配部は、該絶縁性基板上に表示パネルとともに一体的に設けられている。そのため、少なくとも電流ラッチ・分配部及び表示パネルを構成する表示画素(発光駆動回路)は、例えば、同一チャネル極性を有する薄膜トランジスタ(電界効果型トランジスタ)により構成され、特に、アモルファスシリコン半導体層、あるいは、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする薄膜トランジスタを適用して構成されている。
【0034】
また、走査ドライバにより複数行分の表示画素を、少なくとも所定の期間、同時に選択状態に設定する手法としては、複数行の表示画素に共通に接続された走査ラインに対して、単一の走査信号を印加して、複数行の表示画素を同時に選択状態に設定する手法や、各行ごとに表示画素に個別に接続された走査ラインの各々に対して、所定の期間のみ時間的に重なる(オーバーラップする)個別の走査信号を印加して、複数行の表示画素を時間的にずらしながら、かつ、所定の期間において、同時並行的に選択状態に設定する手法を適用することができる。
【0035】
これにより、走査ドライバから単一の走査信号、又は、複数の走査信号を順次印加することにより、同一の走査タイミングで複数行(k行)分の表示画素を選択状態に設定することができるので、1走査ラインに1走査信号を印加して1行の表示画素を選択状態に設定する周知の表示装置及び駆動制御方法に比較して、階調電流の表示画素への書込時間を実質的に複数倍(k倍)に長く設定することができる。
【0036】
また、同一の走査タイミングで選択状態に設定される行の数(k)に応じて、各列に配設されるデータラインの数を設定することにより、各データラインに接続される表示画素の数が削減されるので、各データラインに寄生する容量成分を、各列に1本のみのデータラインを配設した周知の表示装置の構成に比較して、数分の1(1/k)に低減することができるので、各データラインを介して表示画素に供給される階調電流の書込時間を短縮、又は、その遅延を抑制することができる。
【0037】
したがって、各表示画素への表示データの書込時間を充分に長く確保することができるとともに、階調電流の信号遅延を抑制することができるので、表示パネルを大型化した場合や高精細化した場合、あるいは、低階調表示時であっても、表示データの書込不足を解消することができ、各表示画素を表示データに応じた適切な輝度階調で発光動作させて、表示画質の向上を図ることができる。
【0038】
また、表示パネルを高精細化した場合であっても、ドライバチップ(特に、走査ドライバ)の出力端子数の増加を抑制することができるとともに、端子間ピッチ(間隔)の狭小化を抑制することができるので、ドライバチップの接続工程における位置精度の簡略化や工数の削減を図ることができる。さらに、電流ラッチ・分配部を、表示パネル(画素アレイ)と一体的に、同一基板上に形成することができるので、部品点数の増加を抑制して、表示装置の製品コストを抑制することができる。
【0039】
また、本発明に係る表示装置においては、電流ラッチ・分配部の構成として、データドライバから各行ごとに時系列データとして供給される階調信号を、各行ごとに分配する電流分配回路(信号分配部)と、分配された階調信号を各行ごとに保持容量(電荷蓄積手段)に個別に保持するとともに、該階調信号に対応する電流を、個別のデータラインを介して、選択状態に設定された複数行の表示画素に、階調電流として出力する複数(例えば、2組)のラッチ部(信号保持部及び階調電流出力部からなる信号保持・出力部)からなる電流ラッチ回路と、備えた構成を適用することができる。
【0040】
さらに、電流ラッチ・分配部は、各列ごとに、複数のラッチ部を備えた構成を有し、該複数のラッチ部を複数段(例えば、2段)設けて、一方の段のラッチ部により特定の行の階調信号を取り込み保持する動作と、他方の段のラッチ部により1行前の階調信号に基づく階調電流を当該行の表示画素に出力する動作とを、同時に並行して実行する制御動作、あるいは、複数のラッチ部を一段のみ設けて、一方の組のラッチ部により特定の行の階調信号を取り込み保持すると同時に、該階調信号に基づく階調電流を当該行の表示画素に出力する動作と、他方の組のラッチ部により1行前の階調信号に基づく階調電流を当該1行前の表示画素に出力する動作とを、所定の期間において、同時に並行して実行する制御動作を行うものであってもよい。
これにより、データドライバから各列に対応して供給される階調信号を、電流ラッチ・分配部により連続的に取り込み保持しつつ、同時並行して表示画素へ階調電流を供給することができる。
【0041】
また、ラッチ部は、データドライバから供給される階調信号に対して、電流極性を反転した階調電流(例えば、正極性の階調信号に対して、負極性の階調電流)を生成して、複数行の表示画素に出力する機能(電流極性反転部)を有しているものであってもよいし、ラッチ部の出力段(階調電流出力部)に、カレントミラー回路を適用して、データドライバから供給される階調信号に対して、当該カレントミラー回路により設定される所定の電流比率の電流値を有する階調電流を生成して、複数行の表示画素に出力するものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明に係る表示装置について、実施の形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
<表示装置>
図1は、本発明に係る表示装置の全体構成を示す概略ブロック図であり、図2は、本発明に係る表示装置の第1の実施形態を示す要部概略構成図である。
【0043】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る表示装置100は、大別して、複数行(2行)の画素行に対応して配設され、複数本(図2では2本)の走査ラインSLia、SLib(iは、1≦i≦n´の範囲の正の整数であって、例えば、表示パネル110Aに設定された画素行の総数nの約数;n´、nは正の整数)を一組とする走査ライン群SGiと、各列(1列)の画素列に対応して配設され、複数本(図2では2本)のデータラインDLja、DLjb(jは、1≦j≦mの範囲の正の整数;mは正の整数であって、表示パネル110に設定された画素列の総数)を一組とするデータライン群DGjと、各組の走査ライン群SGiを構成する走査ラインSLia、SLibと各組のデータライン群DGjを構成するデータラインDLja、DLjbとの各交点近傍に、選択トランジスタTrselを介して接続された表示画素EMが複数2次元配列(n行×m列)された表示パネル110Aと、該表示パネル110Aの走査ライン群SGiに接続され、各走査ライン群SGiに所定のタイミングで順次走査信号Vselを印加することにより、該走査ライン群SGiに接続された複数行(図2では2行)分の表示画素EMを一斉に選択状態に設定する走査ドライバ(走査駆動手段)120Aと、表示パネル110Aのデータライン群DGjに接続され、後述するデータドライバ130から順次供給される各行の階調信号(信号電流)Icを、所定のタイミングで各行ごとに分配して、上記複数行(図2では2行)分ごとに保持する電流ラッチ・分配部(電流書込手段)140Aと、後述する表示信号生成部160から供給される表示データを取り込み、各行の表示画素ごとに、階調信号Icとして電流ラッチ・分配部140Aに一斉に供給するデータドライバ(信号駆動手段)130と、例えば、表示信号生成部160から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも、走査ドライバ120A、データドライバ130及び電流ラッチ・分配部140Aの動作状態を制御する走査制御信号及びデータ制御信号を生成して出力するシステムコントローラ150と、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号に基づいて、表示データ(例えば、デジタルデータ)を生成してデータドライバ130に供給するとともに、該表示データを表示パネル110Aに画像表示するためのタイミング信号(システムクロック等)を生成、又は、抽出してシステムコントローラ150に供給する表示信号生成部160と、を備えて構成されている。
【0044】
そして、本実施形態に係る表示装置においては、特に、図2に示すように、表示パネル110Aを構成する複数の表示画素EM(すなわち、画素アレイ)が形成される絶縁性の基板BASE上に、該画素アレイとともに、少なくとも電流ラッチ・分配部140Aが一体的に形成された構成を有している。なお、各表示画素EM及び電流ラッチ・分配部140Aの回路構成や素子特性については、詳しく後述する。
【0045】
以下、上記各構成について具体的に説明する。
(表示パネル110A)
本実施形態に係る表示装置に適用可能な表示パネル110Aは、例えば、図2に示すように、各々2本に分岐した走査ラインSLia、SLibを一組とし、2行分の画素行に対応する走査ライン群SGiと、各々2本のデータラインDLja、DLjbを一組とし、1列分の画素列に対応するデータライン群DGjが、相互に直交するように配設され、各走査ラインSLiaとデータラインDLjaとの各交点、及び、各走査ラインSLibとデータラインDLjbとの各交点に、表示画素EMが接続された構成を有している。
ここで、図2に示した構成においては、各走査ライン群SGiの走査ラインSLiaには、奇数行の表示画素EMが接続され、走査ラインSLibには、偶数行の表示画素EMが接続されている。
【0046】
なお、各走査ライン群SGiを構成する走査ラインにより対応する行数は、図2に示したように、各走査ライン群SGiが2行分の表示画素EMに対応した構成を有するものに限らず、例えば、k行(kは、表示パネル110に設定された画素行の総数nの約数)分の表示画素EMに対応し、n/k組(すなわち、上記n′組)の走査ライン群SGiを有するものであってもよいし、表示パネル110Aを構成する全画素行(n行)に対応して一組(単一)の走査ライン群を設け、1画面分の全表示画素EMが該走査ライン群に共通に接続された構成を有するものであってもよい。後者の場合にあっては、走査ドライバ120Aから出力される単一の走査信号により1画面分の全表示画素EMが一括して選択状態に設定される。
【0047】
また、各表示画素EMは、ゲート端子が各走査ラインSLia又はSLibに接続され、ソース端子が各データラインDLja又はDLjbに接続された選択トランジスタTrselの、ドレイン端子に接続された構成を有し、電流ラッチ・分配部140Aから各データラインDLja又はDLjb、及び、上記選択トランジスタTrselを介して供給される階調電流Ipixに基づいて、所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えている。
【0048】
このような構成を有する表示パネル110Aにおいて、後述する走査ドライバ120Aから特定の走査ライン群SGiに走査信号Vselを印加することにより、該走査ライン群SGiを構成する複数(2本)の走査ラインSLia、SLibに接続された選択トランジスタTrselがオン動作して、2行分の表示画素EMが一括して選択状態に設定される。この特定の走査ライン群SGiに走査信号Vselを印加した状態(選択状態)で、後述するデータドライバ130及び電流ラッチ・分配部140Aから各データライン群DGjに表示データに対応する階調電流Ipixを一斉に供給することにより、上記オン動作した選択トランジスタTrselを介して、選択状態に設定された2行分の表示画素EMに一括して表示データが書き込まれる。なお、選択トランジスタを含む表示画素EMの具体回路例や回路動作については詳しく後述する。
【0049】
(走査ドライバ120A)
走査ドライバ120は、システムコントローラ150から供給される走査制御信号に基づいて、上記各走査ライン群SGiに選択レベル(例えば、ハイレベル)の走査信号Vselを印加する動作を順次実行することにより、各走査ライン群SGiを構成する走査ラインSLia、SLibに接続された2行分の表示画素EMを一斉に選択状態に設定し、後述するデータドライバ130により各データライン群DGjを介して供給される表示データに基づく階調電流Ipixを、各表示画素EMに一斉に書き込むように制御する。
【0050】
走査ドライバ120Aは、例えば、図2に示すように、シフトレジスタとバッファからなるシフトブロックSB1、SB2、・・・SBi、・・・SBn′を、各走査ライン群SGiに対応して複数段(図2ではn´=n/2;nは、表示パネル110Aに設定された画素行の総数)備え、後述するシステムコントローラ150から供給される走査制御信号(走査スタート信号SST、走査クロック信号SCK等)に基づいて、シフトレジスタにより表示パネル110Aの上方から下方に順次シフトしつつ出力されるシフト信号が、バッファを介して所定の選択レベル(ハイレベル)を有する走査信号Vselとして各走査ライン群SGiに印加される。
【0051】
なお、上述したように、表示パネル110Aを構成する全ての表示画素EMが単一の走査ライン群SGiに接続された構成を有する場合には、図2に示したようなシフトブロックは必要なく、上記走査制御信号に基づいて、所定のタイミングで単一の走査信号Vselを走査ライン群SGiに印加することにより、1画面分の全ての表示画素EMが一括して選択状態に設定される。
【0052】
(データドライバ130)
データドライバ130は、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号に基づいて、後述する表示信号生成部160から供給される表示データを、所定のタイミングで各行ごとに順次取り込んで保持し、上記表示データの階調値に応じた電流値を有する階調信号(信号電流)Icを、後述する電流ラッチ・分配部140Aに行単位で一斉に供給する動作を一画面分順次繰り返し実行する。なお、データドライバ130の具体的な構成及び動作については詳しく後述する。
【0053】
(電流ラッチ・分配部140A)
電流ラッチ・分配部140Aは、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号に基づいて、データドライバ130から供給される表示データに基づく階調信号Icを、所定のタイミングで各データライン群DGiごとに順次取り込んで、各列の特定の走査ライン群SGiに接続された表示画素EMごとに個別に保持し、上述した走査ドライバ120により特定の走査ライン群SGiを選択状態に設定するタイミングで、上記保持した階調信号Icを階調電流Ipixとして、各データライン群DGjを介して複数行(図2では2行)の表示画素EMに一斉に供給する。
【0054】
電流ラッチ・分配部140Aは、具体的には、例えば、図2に示すように、少なくとも、データドライバ130により表示データに基づいて、各列(各データライン群DGj)に対応して生成された階調信号Icを順次取り込んで、上記特定の走査ライン群SGiに対応する行(表示画素EM)ごとに分配する複数の電流分配回路141と、表示パネル110Aに配設された各データライン群DGjごとに接続され、上記電流分配回路141により分配された各列の各行ごとの階調信号Icを、並列的に保持する複数の電流ラッチ回路142と、を備え、各電流分配回路141及び電流ラッチ回路142からなる構成により、データ制御信号に基づくタイミングで、各走査ライン群SGiを構成する走査ラインSLia、SLibに接続された2行分の表示画素EMの階調信号Icを順次取り込んで、各行ごとに分配して保持し、当該走査ライン群SGiを選択状態に設定するタイミングで、各データライン群DGiを介して2行分の全表示画素EMに対して、上記保持した階調信号Icに基づく階調電流Ipixを生成して一括して供給する。なお、電流ラッチ・分配部140Aの具体的な構成及び動作については詳しく後述する。
【0055】
(システムコントローラ150)
システムコントローラ150は、上述した走査ドライバ120A、データドライバ130及び電流ラッチ・分配部140Aに対して、動作状態を制御する走査制御信号及びデータ制御信号を出力することにより、各ドライバ120A、130及び電流ラッチ・分配部140Aを所定のタイミングで動作させて走査信号Vsel、階調信号Ic及び階調電流Ipixを生成、出力させ、表示信号生成部160により生成される表示データを各表示画素EMに書き込んで発光動作させ、映像信号に基づく所定の画像情報を表示パネル110Aに表示させる制御を行う。
【0056】
(表示信号生成部160)
表示信号生成部160は、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号から輝度階調信号成分を抽出し、表示パネル110Aの1行分ごとに表示データとしてデータドライバ130に供給する。ここで、上記映像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像情報の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成部160は、上記輝度階調信号成分を抽出する機能のほか、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ150に供給する機能を有するものであってもよい。この場合においては、上記システムコントローラ150は、表示信号生成部160から供給されるタイミング信号に基づいて、走査ドライバ120Aやデータドライバ130、電流ラッチ・分配部140Aに対して供給する走査制御信号及びデータ制御信号を生成する。
【0057】
<データドライバの具体例>
次に、本実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバの一構成例について、具体的に説明する。
図3は、本実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバの一例を示すブロック図である。
【0058】
データドライバ130は、例えば、図3に示すように、システムコントローラ150からデータ制御信号として供給されるシフトクロック信号CLKに基づいて、サンプリングスタート信号STRを順次シフトしつつシフト信号を出力するシフトレジスタ回路131と、該シフト信号の入力タイミングに基づいて、表示信号生成部160から供給される1行分の表示データD0〜Dm(デジタルデータ)を順次取り込むデータレジスタ回路132と、データラッチ信号STBに基づいて、データレジスタ回路132により取り込まれた1行分の表示データD0〜Dmを保持するデータラッチ回路133と、図示を省略した電源供給手段から供給される階調基準電圧V0〜Vpに基づいて、上記保持された表示データD0〜Dmを所定のアナログ信号電圧(階調電圧Vpix)に変換するD/Aコンバ−タ134と、アナログ信号電圧に変換された表示データに対応する階調信号(信号電流)Icを生成し、システムコントローラ150から供給される出力イネ−ブル信号OEに基づいて、表示パネル110に配設された各データライン群DGj単位であって、各走査ライン群SGiに接続された複数行(2行)の表示画素EM分ごとに、電流ラッチ・分配部140A(各電流分配回路141及び電流ラッチ回路142)に順次供給する電圧電流変換・電流供給回路135と、を有して構成されている。
【0059】
<電流ラッチ・分配部の具体例>
次に、本実施形態に係る表示装置に適用可能な電流ラッチ・分配部の具体例について説明する。
図4は、本実施形態に係る表示装置のデータドライバに適用可能な電流ラッチ・分配部の一構成例を示す回路構成図である。なお、ここでは、本実施形態に係る表示装置に適用可能な一構成例を示すものにすぎず、この回路構成に何ら限定されるものではない。
【0060】
電流ラッチ・分配部140Aを構成する各電流分配回路(信号分配部)141は、例えば、図4に示すように、上述したデータドライバ130から出力される階調信号Icが電流路の一端側(ソース端子)に供給され、該電流路の他端側(ドレイン端子)が電流ラッチ回路142への第1の出力接点N41aに接続され、システムコントローラ150からデータ制御信号として供給される第1の電流取込信号WToddが制御端子(ゲート端子)に印加される薄膜トランジスタからなるスイッチTr41aと、データドライバ130から出力される階調信号Icが電流路の一端側(ソース端子)に供給され、該電流路の他端側(ドレイン端子)が電流ラッチ回路142への第2の出力接点N41bに接続され、データ制御信号として供給される第2の電流取込信号WTevnが制御端子(ゲート端子)に印加される薄膜トランジスタからなるスイッチTr41bと、を備えた構成を有している。ここで、本実施形態に係る電流分配回路141においては、各スイッチTr41a、Tr41bとして、例えば、アモルファスシリコン半導体層、あるいは、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする、nチャネル型の電界効果型トランジスタが適用される。
【0061】
また、電流ラッチ回路142は、各々、データライン群DGjを構成するデータラインDLjaに共通に接続されるとともに、上述した電流分配回路141から第1の出力接点N41aを介して出力される階調信号Icが共通に供給されるラッチ部(信号保持・出力部)142a、142cと、各々、データラインDLjbに共通に接続されるとともに、電流分配回路141から第2の出力接点N41bを介して出力される階調信号Icが共通に供給されるラッチ部(信号保持・出力部)142b、142dと、を備えた構成を有している。
【0062】
各ラッチ部142a(又は、142c)は、例えば、図4に示すように、上述した電流分配回路141の出力接点N41aと接点N42a(又は、N42c)との間に電流路(ソース−ドレイン)が接続され、制御端子(ゲート)に第1のラッチ信号LCup(又は、第2のラッチ信号LClw)が印加される薄膜トランジスタTr42a(又は、Tr42c)と、接点N42a(又は、N42c)と接点N43a(又は、N43c)との間に電流路が接続され、制御端子に第1のラッチ信号LCup(又は、第2のラッチ信号LClw)が印加される薄膜トランジスタTr43a(又は、Tr43c)と、電流路の一端側が接点N42a(又は、N42c)に接続され、他端側に所定の低電位電圧(−Vcc)が印加され、制御端子が接点N43a(又は、N43c)に接続された薄膜トランジスタTr44a(又は、Tr44c)と、電流路の一端側が接点N42a(又は、N42c)に接続され、他端側がデータラインDLjaに接続され、制御端子に第2のラッチ信号LClw(又は、第1のラッチ信号LCup)が印加される薄膜トランジスタTr45a(又は、Tr45c)と、接点N43a(又は、N43c)と低電位電圧(−Vcc)との間に接続された蓄積容量Ca(又は、Cc)と、を備えた構成を有している。
【0063】
また、各ラッチ部142b(又は、142d)も、上記ラッチ部142a、142cと同様に、例えば、図4に示すように、電流分配回路141の出力接点N41bと接点N42b(又は、N42d)との間に電流路(ソース−ドレイン)が接続され、制御端子(ゲート)に第1のラッチ信号LCup(又は、第2のラッチ信号LClw)が印加される薄膜トランジスタTr42b(又は、Tr42d)と、接点N42b(又は、N42d)と接点N43b(又は、N43d)との間に電流路が接続され、制御端子に第1のラッチ信号LCup(又は、第2のラッチ信号LClw)が印加される薄膜トランジスタTr43b(又は、Tr43d)と、電流路の一端側が接点N42b(又は、N42d)に接続され、他端側に所定の低電位電圧(−Vcc)が印加され、制御端子が接点N43b(又は、N43d)に接続された薄膜トランジスタTr44b(又は、Tr44d)と、電流路の一端側が接点N42b(又は、N42d)に接続され、他端側がデータラインDLjbに接続され、制御端子に第2のラッチ信号LClw(又は、第1のラッチ信号LCup)が印加される薄膜トランジスタTr45b(又は、Tr45d)と、接点N43b(又は、N43d)と低電位電圧(−Vcc)との間に接続された蓄積容量Cb(又は、Cd)と、を備えた構成を有している。
【0064】
ここで、本実施形態に係る電流ラッチ回路142においては、各薄膜トランジスタTr42a〜Tr45a、Tr42b〜Tr45b、Tr42c〜Tr45c、Tr42d〜Tr45dとして、上述した電流分配回路141と同様に、例えば、アモルファスシリコン半導体層、あるいは、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする、nチャネル型の電界効果型トランジスタが適用される。また、各ラッチ部142a〜142dに設けられる蓄積容量Ca〜Cdは、各々、薄膜トランジスタTr44a〜Tr44dのゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよい。
なお、上述した電流ラッチ回路142において、蓄積容量Ca〜Cdは本発明に係る信号保持部及び電荷蓄積手段を構成し、薄膜トランジスタTr44a〜Tr44d及びTr45a〜Tr45dは本発明に係る階調電流出力部を構成する。
【0065】
<電流ラッチ・分配部の動作>
次いで、上述したような構成を有する電流ラッチ・分配部における動作について説明する。
図5は、本実施形態に適用可能な電流ラッチ・分配部の概略動作を示す概念図である。ここでは、各電流ラッチ回路142を構成するラッチ部142a〜142dのうち、便宜的に、ラッチ部142a、142c側のみを図示して説明するが、ラッチ部142b、142d側においても同様の動作が実行される。
【0066】
本実施形態に係る電流ラッチ・分配部140A(電流分配回路141、電流ラッチ回路142)における動作は、データドライバ130から時系列的に供給され、走査ライン群SGiを構成する各走査ラインSLia、SLibに対応する2行の表示画素に書き込む表示データに基づく階調信号(時系列データ)Icを、電流分配回路141により出力接点N41a側とN41b側に分配する電流分配動作と、該電流分配動作に同期して、分配された階調信号Icを、各々、電流ラッチ回路142を構成するラッチ部142a及び142b、又は、142c及び142dのいずれか一方側に取り込んで保持する電流ラッチ動作と、該電流ラッチ動作(電流分配動作)に同期して、上記電流ラッチ回路142を構成するラッチ部142a及び142b、又は、142c及び142dの他方側から、先の電流ラッチ動作で保持した階調信号Icに基づく階調電流Ipixを、データライン群DGjを構成する各データラインDLja、DLjbに一斉に出力する電流出力動作と、を有し、上記電流分配動作を表示パネル110Aの全走査ライン群SGiごとに繰り返し実行しつつ、電流ラッチ回路142を構成するラッチ部142a、142b側と、ラッチ部142c、142d側との間で、上記電流ラッチ動作と電流出力動作を交互に繰り返し実行するように制御される。
【0067】
すなわち、表示データに基づいてデータドライバ130から各列に対応して供給される階調信号Icが、電流ラッチ回路142を構成する一方のラッチ部側に取り込み保持される期間に、同時並行的に、他方のラッチ部側から階調電流Ipixが読み出されて出力されることになり、実質的に、連続的に、表示データに基づく階調信号Icを取り込みつつ、階調電流Ipixを各列のデータライン群DGjに出力する動作が実行される。
【0068】
以下、電流ラッチ・分配部の各回路構成を参照しながら、上記各動作について具体的に説明する。
(電流分配動作)
電流分配動作においては、上述した電流分配回路141において、システムコントローラ150からデータ制御信号として供給する第1及び第2の電流取込信号WTodd、WTevnを、選択的にハイレベルに設定することにより、いずれか一方のスイッチTr41a又はTr41bが順次オン動作し、該オン動作のタイミングに同期して、データドライバ130から連続的に各行の表示画素EMに対応した階調信号Icを出力することにより、階調信号Icが各行ごとに分配されて、各出力接点N41a又はN41bを介して、後述する電流ラッチ回路142を構成する個別のラッチ部142a、142c又は142b、142dに出力される。
【0069】
(電流ラッチ動作/電流出力動作)
上述した電流ラッチ回路142(ラッチ部142a〜142d)において、システムコントローラ150からデータ制御信号として供給する第1及び第2のラッチ信号LCup、LClwを、選択的にハイレベルに設定することにより、出力接点N41aに並列的に接続されたラッチ部142a、142c、又は、出力接点N41bに並列的に接続されたラッチ部142b、142dのうち、いずれか一方側のラッチ部(ラッチ部142a、142b、又は、ラッチ部142c、142d)が電流ラッチ動作状態に設定され、他方側のラッチ部(ラッチ部142c、142d、又は、ラッチ部142a、142b)が後述する電流出力動作状態に設定される。
【0070】
電流ラッチ動作においては、図5(a)に示すように(便宜的に、ラッチ部142a、142cのみを示す)、第1のラッチ信号LCupがハイレベルに設定されるとともに、第2のラッチ信号LClwがローレベルに設定されることにより、出力接点N41aに接続されたラッチ部142aにおいて、薄膜トランジスタTr42a、Tr43a、Tr44aがオン動作し、薄膜トランジスタTr45aがオフ動作する。このとき、Tr44aはTr43aによりゲート・ドレイン間が電気的に短絡されているため、飽和領域で動作する。これにより、データドライバ130から供給され、電流分配回路141のスイッチTr41aを介して出力接点N41aに出力された階調信号Icは、ラッチ部142aの薄膜トランジスタTr42a、Tr44aを介して低電位電圧(−Vcc)側に流れ、階調信号Icの電流レベルが薄膜トランジスタTr44aのゲート−ソース間の電圧レベルに変換されて、蓄積容量Caに電荷として蓄積される。
【0071】
電流出力動作においては、図5(b)に示すように、第1のラッチ信号LCupがローレベルに設定されるとともに、第2のラッチ信号LClwがハイレベルに設定されることにより、上述したラッチ部142aにおいて、薄膜トランジスタTr42a、Tr43aがオフ動作し、薄膜トランジスタTr45aがオン動作する。このとき、上記電流ラッチ動作により蓄積容量Caに蓄積された電荷(階調信号Ic)に基づく電位(高電圧)が接点N43aに保持されるため、薄膜トランジスタTr44aはオン動作を継続する。これにより、表示パネル110(図示を省略)に配設されたデータラインDLjaが、ラッチ部142aの薄膜トランジスタTr45a、Tr44aを介して低電位電圧(−Vcc)に接続され、データラインDLja側(すなわち、表示画素EM側)からラッチ部142a(電流ラッチ回路142)方向に階調電流Ipixが引き込まれるように流れる。
【0072】
また、第1のラッチ信号LCupがローレベルに設定されるとともに、第2のラッチ信号LClwがハイレベルに設定された状態(すなわち、上述したラッチ部142aの電流出力動作状態)においては、出力接点N41aに並列的に接続されたラッチ部142cにおいて、薄膜トランジスタTr42c、Tr43cがオン動作し、Tr44cがTr43aによりゲート・ドレイン間が電気的に短絡されて、飽和領域でオン動作し、薄膜トランジスタTr45cがオフ動作するため、出力接点N41aに出力された階調信号Icが、ラッチ部142cの薄膜トランジスタTr42c、Tr44cを介して低電位電圧(−Vcc)側に流れ、階調信号Icの電流レベルが薄膜トランジスタTr44cのゲート−ソース間の電圧レベルに変換されて、蓄積容量Ccに電荷として蓄積される電流ラッチ動作が実行される。
【0073】
すなわち、ラッチ部142a、142cのいずれか一方側が電流ラッチ動作状態に設定された期間に、同時並行的に、他方側が電流出力動作状態に設定される。このような動作状態は、図示を省略したラッチ部142b、142dの組み合わせにおいても同様に実行される。
【0074】
なお、本実施形態に係る電流ラッチ・分配部140Aにおいては、後述する表示画素EMに設けられる画素駆動回路の回路構成に対応させるために、データドライバ130から供給される正極性の階調信号Icに対応する、負の階調電流Ipixを生成(電流方向を変換)する機能(電流極性反転部)を有し、該階調電流Ipixをデータライン(表示画素)側から引き込む場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示画素EMの回路構成に応じて、正極性の階調電流Ipixを生成して、該階調電流Ipixをデータライン(表示画素)に流し込む構成を有するものであってもよい。なお、一般に市場に流通し、入手することができる周知のデータドライバの大半は、正極性の信号電流(階調信号Ic)を出力する構成を有しているので、上述したような構成を有する電流ラッチ・分配部を適用することにより、周知のデータドライバを用いて、簡易に電流方向を変換した階調電流を生成することができる。
【0075】
<表示装置の駆動制御方法>
次に、上述した構成を有する表示装置における駆動制御動作(駆動制御方法)について、具体的に説明する。
図6は、本実施形態に係る表示装置における駆動制御動作(駆動制御方法)を説明するタイミングチャートである。ここでは、上述した表示装置の各構成を適宜参照しながら説明する。
【0076】
上述したような構成を有する表示装置において、まず、表示信号生成部160により、映像信号から表示パネル110Aを構成する各表示画素(発光素子)EMを所定の輝度階調で発光動作させるためのデジタルデータからなる表示データを抽出し、表示パネル110Aの各行ごとにシリアルデータとしてデータドライバ130に順次供給される。
【0077】
データドライバ130に供給された表示データ(デジタルデータ)は、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号に基づくタイミングで、上記表示データに応じた階調信号Icに変換され、表示パネル110Aに配設された各列のデータライン群DGjに対応して設けられた電流ラッチ・分配部140Aに出力される。ここで、データドライバ130から出力される階調信号Icは、表示パネル110Aの各列に対応するデータライン群DGj単位であって、例えば、該データライン群DGjを構成する各データラインDLja、DLjbに接続された各表示画素EMの各行に対応するように、時系列的に出力される。
【0078】
電流ラッチ・分配部140Aにおいては、図6に示すように、各列ごとの複数行(2行)に配置された表示画素EMに対応する上記階調信号Icを順次取り込んで、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ハイレベルの第1及び第2の電流取込信号WTodd、WTevn)に基づくタイミングで、電流分配回路141のスイッチTr41a、Tr41bが選択的にオン動作して、電流ラッチ回路142のラッチ部142a(又は、142c)及びラッチ部142b(又は、142d)に階調信号Icが順次供給される電流分配動作が実行される。
【0079】
そして、このタイミングに同期して、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ハイレベルの第1のラッチ信号LCup、及び、ローレベルの第2のラッチ信号LClw)に基づいて、電流ラッチ回路142のラッチ部142a及び142bが電流ラッチ動作状態に設定されることにより、各ラッチ部142a、142bにおいて、上記階調信号Icが供給されている期間のみ、各蓄積容量Ca、Cbに各行(例えば、1行目と2行目)の表示画素EMに対応する階調信号Icに基づく電荷が蓄積される電流ラッチ動作が順次実行される。
【0080】
このような電流分配動作及び電流ラッチ動作を、図6に示すように、第1及び第2の電流取込信号WTodd、WTevn、及び、第1及び第2のラッチ信号LCup、LClwの信号レベルを適宜設定して、ラッチ部142a、142b側とラッチ部142c、142d側で、交互に繰り返すことにより、表示データに基づく2行の表示画素EMに対応した階調信号Icが各電流ラッチ回路142に順次保持される。
【0081】
次いで、上記電流ラッチ動作の後に、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ローレベルの第1のラッチ信号LCup、及び、ハイレベルの第2のラッチ信号LClw)に基づいて、電流ラッチ回路142のラッチ部142a及び142bが電流出力動作状態に設定されることにより、各ラッチ部142a、142bにおいて、上記各蓄積容量Ca、Cbに蓄積された電荷に基づく階調電流Ipixが、データライン群DGjを構成する各データラインDLja、DLjbを介して、各行(1行目と2行目)の表示画素EMに一斉に供給される電流出力動作が実行される。
【0082】
したがって、電流ラッチ・分配部140Aから各列のデータライン群DGjを介して階調電流Ipixを出力し、システムコントローラ150から供給される走査制御信号に基づくタイミングで、走査ドライバ120Aからハイレベルの走査信号Vselを特定の走査ライン群SGiに印加することにより、当該走査ライン群SGiを構成する各走査ラインSLia、SLibに接続された全ての選択トランジスタTrselがオン動作して、複数行(1行目と2行目の2行分)の表示画素EMに、上記各データライン群DGjのデータラインDLja、DLjbを介して一斉に供給された階調電流Ipixが各表示画素EMに書き込まれ、該階調電流Ipixに基づく所定の輝度階調で発光動作が実行される。
【0083】
また、各ラッチ部142a、142bにおいて、電流出力動作が実行されている期間においては、図6に示すように、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ローレベルの第1のラッチ信号LCup、及び、ハイレベルの第2のラッチ信号LClw)に基づいて、電流ラッチ回路142のラッチ部142c及び142dが電流ラッチ動作状態に設定されることにより、データドライバ130から連続的に供給される各行の階調信号Icが、各ラッチ部142c、142dに取り込まれて、各蓄積容量Cc、Cdに各行(例えば、3行目と4行目)の表示画素EMに対応する該階調信号Icに基づく電荷が蓄積される電流ラッチ動作が順次実行される。
【0084】
次いで、上記ラッチ部142a、142bにおける電流出力動作の後に、システムコントローラ150により、再び、第1のラッチ信号LCupがハイレベルに、また、第2のラッチ信号LClwがローレベルに設定されることにより、ラッチ部142a及び142bは再び電流ラッチ動作状態に設定されることにより、各ラッチ部142a、142bにおいて、各行(例えば、5行目と6行目)の表示画素EMに対応する該階調信号Icに基づく電荷が各蓄積容量Ca、Cbに蓄積される電流ラッチ動作が順次実行される。
【0085】
また、このとき、電流ラッチ回路142のラッチ部142c及び142dが電流出力動作状態に設定されることにより、先のタイミングで上記各蓄積容量Cc、Cdに蓄積された電荷に基づく階調電流Ipixが、データライン群DGjを構成する各データラインDLja、DLjbを介して、各行(3行目と4行目)の表示画素EMに一斉に供給される電流出力動作が実行される。
【0086】
これにより、電流ラッチ・分配部140Aにおいて、各列に対応して設けられた各電流ラッチ回路142を構成する2段のラッチ部142a、142b側とラッチ部142c、142d側で、電流ラッチ動作と電流出力動作を同時並行的に実行する制御を、所定の動作周期ごとに交互に繰り返すことにより、データドライバ130から出力される、各行の表示データに対応した階調信号Icが連続的に電流ラッチ回路に取り込み保持されて、階調電流Ipixとして複数行の表示画素に一斉に供給される動作が実行される。
【0087】
したがって、本実施形態においては、複数の表示画素が2次元配列された表示パネルに対して、走査ドライバから単一の走査信号を印加することにより、複数行分(2行分)の表示画素を一括して選択状態に設定するように構成され、かつ、データドライバにより当該複数行の表示画素に対応する表示データを順次取り込んで保持し、所定のタイミング(例えば、1走査期間)で、当該複数行分の階調電流を一斉に各表示画素に供給するように構成されているので、1行の走査ラインに1走査信号を印加する周知の駆動制御方法に比較して、単一の走査タイミングで駆動される走査ライン数(選択される表示画素の行数)を複数倍にすることができ、階調電流の表示画素への書込時間を実質的に複数倍(2倍)に長く設定することができる。
【0088】
また、各列に配設されるデータラインを、複数本(2本)を一組とするデータライン群により構成することにより、各データラインに寄生する容量成分(特に、後述する表示画素に設けられる保持容量や寄生容量)を、1列に1本のデータラインを配設した周知の表示装置の構成に比較して、数分の1(1/2)に低減することができるので、各データラインに供給される階調電流の表示画素への書込時間を短縮、又は、その遅延を抑制することができる。
【0089】
これにより、各表示画素への表示データの書込時間を充分に長く確保することができるので、表示パネルを大型化した場合や高精細化した場合、あるいは、低階調表示時であっても、データラインの配線容量を所定の電圧まで充分に充電して、表示データの書込不足を解消することができ、各表示画素を表示データに応じた適切な輝度階調で発光動作させて、表示パネル内で発生する輝度傾斜(表示ムラ)を大幅に低減して表示画質の向上を図ることができる。
【0090】
また、各行に配設される走査ラインを、複数本(2本)を一組とする走査ライン群により構成し、かつ、単一の走査信号により、複数行分(2行分)の表示画素を一括して選択状態に設定するように構成されているので、走査ドライバから表示パネルに出力する走査信号の数を、複数分の1(1/2)に削減することができ、表示パネルと走査ドライバとの接続端子数を複数分の1(1/2)に削減することができる。
【0091】
これにより、表示パネルを高精細化した場合であっても、ドライバチップの出力端子数の増加を抑制することができるとともに、端子間ピッチ(間隔)の狭小化を抑制することができるので、ドライバチップの接続工程における位置精度の簡略化や工数の削減を図ることができる。さらに、電流ラッチ・分配部を、表示パネル(画素アレイ)と一体的に、同一基板上に形成することができるので、部品点数の増加を抑制して、表示装置の製品コストを抑制することができる。
【0092】
なお、本実施形態においては、説明の都合上、2行分の表示画素に対応するように走査ライン群を配設するとともに、該2行分の表示画素に対応するデータライン群を配設し、単一の走査信号により2行分の表示画素を同時に選択状態に設定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0093】
図7は、本実施形態に係る表示装置の他の構成例を示す要部概略構成図であり、図8は、本実施形態に係る表示装置のさらに他の構成例を示す要部概略構成図である。すなわち、例えば、図7に示すように、表示パネル110Aの構成として、2以上の複数行(4行)分の画素行(表示画素EM)に対応するように配設された走査ライン群SGiと、該複数行に対応する本数(4本)のデータラインDLja〜DLjdからなり、各列の画素列に対応するように配設されたデータライン群DGjと、を有し、単一の走査信号Vselにより複数行(4行)分の表示画素EMを同時に選択状態に設定するものであってもよい。
【0094】
また、図8に示すように、複数行分の画素行(表示画素EM)に対応するように配設される走査ライン群の構成(走査ラインのレイアウト形状)として、例えば、1本の走査ラインSLiを分岐することなく、表示パネル110A内で引き回して(折り返して)、複数行(2行)の表示画素EMに共通に接続するものであってもよい。
【0095】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
<表示装置>
図9は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態を示す要部概略構成図であり、図10は、本実施形態に適用可能な電流ラッチ・分配部の一構成例を示す回路構成図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同等又は同一の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
【0096】
上述した第1の実施形態においては、複数行(2行)分の画素行に対応する走査ライン群SGiと、該複数行に対応する複数本のデータラインからなるデータライン群DGjが配設された表示パネル、及び、該表示パネルに対応する周辺回路(走査ドライバ、データドライバ及び電流ラッチ・分配部)を備えた構成を示したが、本実施形態においては、各画素行に対応する個別の走査ラインと、複数行(2行)に対応する複数本のデータラインからなるデータライン群が配設された表示パネル、及び、該表示パネルに対応する周辺回路(走査ドライバ、データドライバ及び電流ラッチ・分配部)を備えた構成を有している。
【0097】
本実施形態に係る表示装置は、図9に示すように、大別して、各行(1行)の画素行に対応して配設された走査ラインSLq(qは、1≦q≦nの範囲の正の整数)、及び、各列(1列)の画素列に対応して配設され、複数本(図9では2本)のデータラインDLja、DLjbを一組とするデータライン群DGjの各交点に、選択トランジスタTrselを介して接続された表示画素EMが複数2次元配列された表示パネル110Bと、該表示パネル110Bの走査ラインSLqに接続され、各走査ラインSLqに所定のタイミングで順次走査信号Vselを印加することにより、該走査ラインSLqに接続された各行(1行)の表示画素EMを順次に選択状態に設定する走査ドライバ(走査駆動手段)120Bと、各データライン群DLjに接続され、上述したデータドライバ130から順次供給される各行の階調信号(信号電流)Icを、所定のタイミングで各行ごとに取り込むと同時に、各列の各行に対応したデータラインDLja、DLjbに階調電流Ipixを順次出力する電流ラッチ・分配部(電流書込手段)140Bと、を備えた構成を有している。
なお、本実施形態に係る表示装置おいて、データドライバ130、システムコントローラ150及び表示信号生成部160については、上述した第1の実施形態(図1参照)と同等であるので、その説明を省略する。
【0098】
そして、本実施形態に係る表示装置においては、特に、図9に示すように、表示パネル110Bを構成する複数の表示画素EM(すなわち、画素アレイ)が形成される絶縁性の基板BASE上に、該画素アレイとともに、少なくとも電流ラッチ・分配部140Bが一体的に形成された構成を有している。
【0099】
ここで、走査ドライバ120Bは、システムコントローラ150から供給される走査制御信号に基づいて、上記各走査ラインSLqに選択レベル(例えば、ハイレベル)の走査信号Vselを印加する動作を順次実行することにより、各走査ラインSLqに接続された各行の表示画素EMを一斉に選択状態に設定するとともに、少なくとも隣り合う行同士の表示画素EMを所定の期間、同時並行して上記選択状態に設定し、上述したデータドライバ130により各データライン群DGjを介して供給される表示データに基づく階調電流Ipixを、各行の表示画素EMに一部同時並行的に書き込むように制御する。
【0100】
走査ドライバ120は、例えば、図9に示すように、シフトレジスタとバッファからなるシフトブロックSB1、SB2、・・・SBi、・・・SBnを、各走査ラインSLqに対応して複数段(図9ではn段)備え、システムコントローラ150から供給される走査制御信号(走査スタート信号SST、走査クロック信号SCK等)に基づいて、シフトレジスタにより表示パネル110Bの上方から下方にシフト信号を順次シフトしつつ、少なくとも隣り合う走査ラインSLqに対して、該シフト信号が所定の期間、同時に(一定期間オーバーラップして)出力され、バッファを介して走査信号Vselとして各走査ラインSLqに印加される。
【0101】
また、電流ラッチ・分配部140Bは、例えば、図9に示すように、少なくとも、各データライン群DGjに個別に接続された電流ラッチ・分配回路143を複数備え、各電流ラッチ・分配回路143は、具体的には、図10に示すように、各データライン群DGjを構成するデータラインDLjaに接続されたラッチ部(信号保持・出力部)143aと、データラインDLjbに接続されたラッチ部(信号保持・出力部)143bと、を有して構成されている。
【0102】
ラッチ部143aは、例えば、図10に示すように、上述したデータドライバ130から出力される階調信号Icが電流路(ソース−ドレイン)の一端側に供給され、他端側が接点N46aに接続され、制御端子(ゲート)に第1の電流取込信号WToddが印加される薄膜トランジスタTr46aと、接点N46aと接点N47aとの間に電流路が接続され、制御端子に第1の電流取込信号WToddが印加される薄膜トランジスタTr47aと、電流路の一端側が接点N46aに接続され、他端側が低電位電圧(−Vcc)に接続され、制御端子が接点N47aに接続された薄膜トランジスタTr48aと、電流路の一端側が低電位電圧(−Vcc)に接続され、他端側がデータラインDLjaに接続され、制御端子が接点N47aに接続された薄膜トランジスタTr49aと、接点N47aと低電位電圧(−Vcc)との間に接続された蓄積容量Ceと、を備えた構成を有している。
【0103】
また、ラッチ部143bも、上記ラッチ部143aと同様に、例えば、図10に示すように、データドライバ130から出力される階調信号Icが電流路(ソース−ドレイン)の一端側に供給され、他端側が接点N46bに接続され、制御端子(ゲート)に第2の電流取込信号WTevnが印加される薄膜トランジスタTr46bと、接点N46bと接点N47bとの間に電流路が接続され、制御端子に第2の電流取込信号WTevnが印加される薄膜トランジスタTr47bと、電流路の一端側が接点N46bに接続され、他端側が低電位電圧(−Vcc)に接続され、制御端子が接点N47bに接続された薄膜トランジスタTr48bと、電流路の一端側が低電位電圧(−Vcc)に接続され、他端側がデータラインDLjbに接続され、制御端子が接点N47bに接続された薄膜トランジスタTr49bと、接点N47bと低電位電圧(−Vcc)との間に接続された蓄積容量Cfと、を備えた構成を有している。
【0104】
ここで、本実施形態に係る電流ラッチ・分配部140Bにおいては、各薄膜トランジスタTr46a〜Tr49a及びTr46b〜Tr49bとして、上述した第1の実施形態と同様に、例えば、アモルファスシリコン半導体層、あるいは、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする、nチャネル型の電界効果型トランジスタが適用される。
なお、上述した電流ラッチ・分配回路143において、蓄積容量Ce、Cfは本発明に係る信号保持部及び電荷蓄積手段を構成し、薄膜トランジスタTr46a、Tr47a及びTr46b、Tr47bは本発明に係る信号分配部を構成し、薄膜トランジスタTr48a、Tr49a及びTr48b、Tr49bは本発明に係る階調電流出力部を構成する。
【0105】
次いで、上述したような構成を有する電流ラッチ・分配部における動作について説明する。
図11は、本実施形態に適用可能な電流ラッチ・分配部の概略動作を示す概念図である。
本実施形態に係る電流ラッチ・分配部140B(電流ラッチ・分配回路143)における動作は、データドライバ130から時系列的に供給される2行分の表示画素に対応する表示データに基づく階調信号Icを、並列的に接続された電流ラッチ・分配回路143の各ラッチ部143a、143bにより順次取り込むと同時に、該階調信号(信号電流)Icに基づく階調電流Ipixを生成して、データライン群DGjを構成する各データラインDLja、DLjbに、所定のタイミングで個別に出力する電流ラッチ・出力動作と、該電流ラッチ・出力動作における上記階調電流Ipixの出力を、所定期間継続する電流出力保持動作と、を有し、ラッチ部143a側と143b側との間で、上記電流ラッチ・出力動作と電流出力保持動作を交互に繰り返すように制御される。これにより、電流ラッチ・出力動作における各ラッチ部143a、143bからの階調電流Ipixの出力期間が、相互に一部重なる(オーバーラップする)ように設定される。
【0106】
以下、電流ラッチ・分配部の各回路構成を参照しながら、上記動作について具体的に説明する。
上述した電流ラッチ・分配回路143(ラッチ部143a、143b)において、システムコントローラ150からデータ制御信号として供給する第1及び第2の電流取込信号WTodd、WTevnを、選択的にハイレベルに設定することにより、並列的に接続されたラッチ部143a及び143bのうち、いずれか一方側のラッチ部(ラッチ部143a又は143b)が、階調信号Icを取り込むと同時に、該階調信号Icに対応する階調電流Ipixを出力する電流ラッチ・出力動作状態に設定され、他方側のラッチ部(ラッチ部143b又は143a)が先のタイミングにおける電流ラッチ・出力動作状態の、階調電流Ipixの出力状態を継続する電流出力保持動作状態に設定される。
【0107】
具体的には、電流ラッチ・出力動作においては、図11(a)に示すように、第1の電流取込信号WToddがハイレベルに設定されるとともに、第2の電流取込信号WTevnがローレベルに設定されることにより、ラッチ部143aにおいて、薄膜トランジスタTr46a、Tr47aがオン動作し、Tr48aがTr47aによりゲート・ドレイン間が電気的に短絡されて、飽和領域でオン動作する。これにより、データドライバ130から供給された階調信号(信号電流)Icは、ラッチ部143aの薄膜トランジスタTr46a、Tr48aを介して低電位電圧(−Vcc)側に流れ、階調信号Icの電流レベルが薄膜トランジスタTr48aのゲート−ソース間の電圧レベルに変換されて、蓄積容量Ceに電荷として蓄積される。
【0108】
このとき、蓄積容量Ceへの電荷の蓄積に伴って、接点N47aの電位が上昇することにより、カレントミラー回路を構成する薄膜トランジスタTr48a及びTr49aがオン動作して、階調信号Icに対して、該カレントミラー回路に設定された所定の電流比率を有する階調電流Ipixが、データラインDLja側から薄膜トランジスタTr49aを介して低電位電圧(−Vcc)方向(すなわち、表示画素EM側からラッチ部143a方向)に引き込まれるように流れる。
【0109】
電流出力保持動作においては、図11(b)に示すように、第1の電流取込信号WToddがローレベルに設定されるとともに、第2の電流取込信号WTevnがハイレベルに設定されることにより、上述したラッチ部143aにおいて、薄膜トランジスタTr46a、Tr47aがオフ動作する。このとき、上記電流ラッチ・出力動作により蓄積容量Caに蓄積された電荷(信号電流Ic)に基づく電位(高電圧)が接点N47aに保持されるため、薄膜トランジスタTr49aがオン状態を継続する。これにより、データラインDLja側からラッチ部143a(電流ラッチ・分配回路143)方向に階調電流Ipixを引き込む動作状態が保持される。
【0110】
また、第1の電流取込信号WToddがローレベルに設定されるとともに、第2の電流取込信号WTevnがハイレベルに設定された状態(すなわち、上述したラッチ部143aの電流出力保持動作状態)においては、ラッチ部143aに並列的に接続されたラッチ部143bにおいて、薄膜トランジスタTr46b、Tr47bがオン動作し、Tr48bがTr47bによりゲート・ドレイン間が電気的に短絡されて、飽和領域でオン動作するため、階調信号Icが、ラッチ部143bの薄膜トランジスタTr46b、Tr48bを介して低電位電圧(−Vcc)側に流れ、階調信号Icの電流レベルが薄膜トランジスタTr48bのゲート−ソース間の電圧レベルに変換されて、蓄積容量Cfに電荷として蓄積されるとともに、接点N47bの電位の上昇に伴って、カレントミラー回路を構成する薄膜トランジスタTr48b及びTr49bがオン動作して、階調信号Icに対して、所定の電流比率を有する階調電流Ipixが、データラインDLjb側から薄膜トランジスタTr49bを介して低電位電圧(−Vcc)方向(すなわち、表示画素EM側からラッチ部143b方向)に引き込まれるように流れる電流ラッチ・出力動作が実行される。
【0111】
すなわち、ラッチ部143a、143bのいずれか一方側が電流ラッチ・出力動作状態に設定された期間に、同時並行的に、他方側が電流出力保持動作状態に設定される。
なお、本実施形態に係る電流ラッチ・分配部140Bにおいても、後述する表示画素EMに設けられる画素駆動回路の回路構成に対応させるために、データドライバ130から供給される正極性の階調信号Icに対応する、負の階調電流Ipixを生成して、該階調電流Ipixをデータライン(表示画素)側から引き込む場合について説明したが、表示画素EMの回路構成に応じて、正極性の階調電流Ipixを生成して、データライン(表示画素)に流し込む構成を有するものであってもよい。
【0112】
<表示装置の駆動制御方法>
次いで、上述したような構成を有する表示装置における駆動制御動作について説明する。
図12は、本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【0113】
上述したような構成を有する表示装置において、まず、表示信号生成部160により抽出された表示データは、データドライバ130により、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号に基づくタイミングで、表示パネル110Bの各行ごとに順次取り込まれ、該表示データに応じた階調信号(信号電流)Icに変換されて、各列のデータライン群DGjに対応して設けられた電流ラッチ・分配部140Bに出力される。
【0114】
電流ラッチ・分配部140Bにおいては、図12に示すように、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ハイレベルの第1の電流取込信号WTodd、及び、ローレベルの第2の電流取込信号WTevn)に基づいて、電流ラッチ・分配回路143のラッチ部143aが電流ラッチ・出力動作状態に設定されることにより、各列ごとの1行分(例えば、1行目)の表示画素EMに対応する上記階調信号Icを取り込み、蓄積容量Ceに当該階調信号Icに基づく電荷を蓄積すると同時に、蓄積容量Ceに蓄積された電荷、及び、カレントミラー回路(薄膜トランジスタTr48a、Tr49a)により設定された電流比率に基づいて、所定の電流値を有する階調電流Ipixを生成して、各データラインDLjaを介して、当該行(1行目)の各表示画素EMに供給する電流ラッチ・出力動作が実行される。
【0115】
次いで、上記電流ラッチ・出力動作の後に、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ローレベルの第1の電流取込信号WTodd、及び、ハイレベルの第2の電流取込信号WTevn)に基づいて、電流ラッチ・分配回路143のラッチ部143aが電流出力保持動作状態に設定されることにより、ラッチ部143aにおいて、上記蓄積容量Ceに蓄積された電荷(すなわち、信号電流Ic)に基づく階調電流Ipixが、各データラインDLjaを介して、当該行(1行目)の各表示画素EMに継続して供給される電流出力保持動作が実行される。
【0116】
また、ラッチ部143aにおいて、電流出力保持動作が実行されている期間においては、図12に示すように、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(ローレベルの第1の電流取込信号WTodd、及び、ハイレベルの第2の電流取込信号WTevn)に基づいて、電流ラッチ・分配回路143のラッチ部143bが電流ラッチ・出力動作状態に設定されることにより、データドライバ130から連続的に供給される次の行(例えば、2行目)の階調信号Icが、ラッチ部143bに取り込まれて、蓄積容量Cfに電荷が蓄積されると同時に、該蓄積容量Cfに蓄積された電荷、及び、カレントミラー回路(薄膜トランジスタTr48b、Tr49b)により設定された電流比率に基づいて、所定の電流値を有する階調電流Ipixを生成して、各データラインDLjbを介して、当該行(2行目)の各表示画素EMに供給する電流ラッチ・出力動作が実行される。
【0117】
次いで、上記ラッチ部143aにおける電流出力保持動作の後に、システムコントローラ150により、再び、第1の電流取込信号WToddがハイレベルに、また、第2の電流取込信号WTevnがローレベルに設定されることにより、ラッチ部143aは再び電流ラッチ・出力動作状態に設定されることにより、次の行(例えば、3行目)の階調信号Icに基づく電荷が蓄積容量Ceに蓄積されると同時に、該蓄積容量Ceに蓄積された電荷、及び、カレントミラー回路により設定された電流比率に基づく階調電流Ipixが、各データラインDLjaを介して、当該行(3行目)の各表示画素EMに供給される電流ラッチ・出力動作が実行される。
【0118】
また、このとき、電流ラッチ・分配回路143のラッチ部142bが電流出力保持動作状態に設定されることにより、先のタイミングで上記蓄積容量Cfに蓄積された電荷に基づく階調電流Ipixが、各データラインDLjbを介して、上記電流ラッチ・出力動作の対象となった行(2行目)の各表示画素EMに供給される電流出力保持動作が実行される。
【0119】
これにより、電流ラッチ・分配部140Bにおいて、各列に対応して設けられた各電流ラッチ・分配回路143を構成する2段のラッチ部143aと143bとの間で、電流ラッチ・出力動作と電流出力保持動作を同時並行的に実行する制御を、所定の動作周期ごとに交互に繰り返すことにより、データドライバ130から順次供給される各行の表示データに対応した階調信号Icが連続的に電流ラッチ回路に取り込み保持されると同時に、階調電流Ipixとして各行の表示画素に一斉に供給される動作が実行される。
【0120】
したがって、電流ラッチ・分配部140Bから各列のデータライン群DLjを介して階調電流Ipixを出力し、システムコントローラ150から供給される走査制御信号に基づくタイミングで、走査ドライバ120からハイレベルの走査信号Vselを、少なくとも隣り合う走査ラインSLqに対して、所定の期間、オーバーラップするように印加することにより、各走査ラインSLiに対応する複数行(例えば、1行目と2行目の2行分)の表示画素EMに、上記各データライン群DLjのデータラインDLja、DLjbを介して順次供給される階調電流Ipixが書き込まれ、該階調電流Ipixに基づく所定の輝度階調で発光動作が実行される。
【0121】
このように、本実施形態においては、複数の表示画素が2次元配列された表示パネルに対して、走査ドライバから、少なくとも隣り合う走査ラインに対して、所定の期間、オーバーラップするように走査信号を印加することにより、各行の表示画素を順次選択状態に設定し、かつ、データドライバにより各行の表示画素に対応する表示データを個別のラッチ部に順次取り込んで保持すると同時に、各行の階調電流を順次各表示画素に供給するように構成されているので、各列のデータライン群を構成するデータライン数分のラッチ部を備えた簡易な構成で、同時並行して複数行の表示画素に対して、表示データに基づく階調電流を書き込むようにすることができ、当該階調電流の書込時間を実質的に長く設定することができる。
【0122】
具体的には、上述したように、各列に配設されるデータライン群が2本のデータラインからなり、当該データラインに対応して電流ラッチ・分配部に2個のラッチ部が設けられた構成においては、走査信号による特定の行の表示画素の選択期間の1/2の期間が、次の行の表示画素の選択期間とオーバーラップするように設定することができる。すなわち、データライン群を構成するデータラインの本数に応じた期間だけ、隣り合う行間で選択期間をオーバーラップするように設定することができる。
【0123】
また、上述した第1の実施形態と同様に、各列のデータライン群を構成する各データラインに接続される表示画素の数を、1列に1本のデータラインを配設した周知の表示装置に比較して、数分の1(1/2)に低減することができるので、各データラインに供給される階調電流の表示画素への書込時間を短縮、又は、その遅延を抑制することができる。
【0124】
なお、本実施形態においては、上述したように、データドライバにより各行の表示画素に対応する表示データをラッチ部に取り込んで保持すると同時に、各行の階調電流を生成して、順次各表示画素に供給するように構成されているため、電流ラッチ・分配回路(ラッチ部)におけるラッチ動作を迅速に実行する必要があり、信号遅延等によりラッチ動作のタイミングにずれが生じた場合には、表示動作に支障を来す可能性がある。
【0125】
そこで、本実施形態においては、電流ラッチ・分配回路(ラッチ部)における表示データ(階調信号)のラッチ動作を小電流で迅速に行うようにするとともに、各データラインへの出力段に、カレントミラー回路構成を適用することにより、階調電流の電流値(絶対値)を簡易に制御して大電流化するようにして、ラッチ動作の遅延を抑制することができる。
【0126】
<表示画素の具体回路例>
次に、本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素の具体回路例について、図面を参照して説明する。
図13は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素(画素駆動回路、発光素子)の具体回路例を示す回路構成図であり、図14は、本実施例に係る画素駆動回路の駆動制御動作を示す概念図である。また、図15は、本実施例に係る表示画素を適用した表示装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
【0127】
図13に示すように、本実施例に係る表示画素EM′(上述した各実施形態に示した表示画素EM及び選択トランジスタTrselからなる構成)は、概略、上述した走査ドライバ120A(又は、120B)から印加される走査信号Vselに基づいて表示画素EM′を選択状態に設定し、該選択状態において電流ラッチ・分配部140A(又は、140B)から供給される階調電流Ipixを取り込み、該階調電流Ipixに応じた発光駆動電流を発光素子に流す画素駆動回路(上述した選択トランジスタTrselを含む;発光駆動回路)DCと、該画素駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、所定の輝度階調で発光動作する有機EL素子OEL等の電流制御型の発光素子と、を有して構成されている。
【0128】
画素駆動回路DCは、例えば、図13に示すように、制御端子(ゲート端子)が走査ラインSLi(上述した各実施形態に示した走査ライン群SGiを構成する各走査ラインSLia、SLib、又は、SLq)に、電流路(ソース−ドレイン)が電源ラインVL及び接点N11に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr11と、制御端子が走査ラインSLiに、電流路がデータラインDLj(上述した各実施形態に示したデータライン群DGjを構成する各データラインDLja、DLjb)及び接点N12に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr12と、制御端子が接点N11に、電流路が電源ラインVL及び接点N12に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr13と、接点N11及び接点N12間に接続されたコンデンサ(保持容量)Csと、を備えた構成を有し、有機EL素子OELのアノード端子が接点N12に、カソード端子が接地電位に各々接続されている。ここで、コンデンサCsは、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよい。また、薄膜トランジスタTr12は、上述した各実施形態に示した選択トランジスタTrselに相当する。
【0129】
このような構成を有する画素駆動回路DCにおける発光素子(有機EL素子OEL)の発光駆動制御は、例えば、一走査期間Tscを1サイクルとして、該一走査期間Tsc内に、複数行の表示画素EM′を同時に、又は、所定の期間、オーバーラップするように選択状態に設定して、表示データに対応する階調電流Ipixを書き込み、電圧成分として保持する選択期間(書込動作期間)Tseと、該選択期間Tseに書き込み保持された電圧成分に基づいて、上記表示データに応じた発光駆動電流を有機EL素子OELに供給して、所定の輝度階調で発光動作させる非選択期間(発光動作期間)Tnseと、を設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。
【0130】
(選択期間)
すなわち、表示画素EM′の選択期間Tseにおいては、まず、走査ドライバから特定の走査ラインSLiに対して、ハイレベルの走査信号Vselが印加されて複数行の表示画素EM′が同時に(又は、所定の期間、オーバーラップするように)選択状態に設定されるとともに、当該複数行の表示画素の電源ラインVLに対して、ローレベルの電源電圧Vscが印加される。また、このタイミングに同期して、電流ラッチ・分配部から当該複数行の表示画素EM′に表示データに応じた負極性の階調電流Ipixが各データラインDLjに供給される。
【0131】
これにより、図14(a)に示すように、画素駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11及びTr12がオン動作して、ローレベルの電源電圧Vscが接点N11(すなわち、薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端)に印加されるとともに、データラインDLを介して電流ラッチ・分配部方向に階調電流Ipixを引き込む動作が行われることにより、ローレベルの電源電圧Vscよりも低電位の電圧レベルが接点N12(すなわち、薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端)に印加される。
【0132】
このように、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間)に電位差が生じることにより、薄膜トランジスタTr13がオン動作して、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12、薄膜トランジスタTr12、データラインDLを介して、電流ラッチ・分配部方向に、階調電流Ipixに対応した書込電流Iaが流れる。
【0133】
このとき、コンデンサCsには、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される(充電される)。また、電源ラインVLには、接地電位以下の電圧レベルを有する電源電圧Vscが印加され、さらに、書込電流IaがデータラインDL方向に流れるように制御されていることから、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも低くなり、有機EL素子OELに逆バイアス電圧が印加されていることになるため、有機EL素子OELには発光駆動電流が流れず、発光動作は行われない。
【0134】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse終了後の非選択期間Tnseにおいては、走査ドライバから特定の走査ラインSLiに対して、ローレベルの走査信号Vselが印加されて複数行の表示画素が非選択状態に設定されるとともに、当該複数行の表示画素の電源ラインVLに対して、ハイレベルの電源電圧Vscが印加される。また、このタイミングに同期して、電流ラッチ・分配部による階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
【0135】
これにより、図14(b)に示すように、画素駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11及びTr12がオフ動作して、接点N11(すなわち、薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端)への電源電圧Vscの印加が遮断されるとともに、接点N12(すなわち、薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端)への電流ラッチ・分配部による階調電流Ipixの引き込み動作に起因する電圧レベルの印加が遮断されるので、コンデンサCsは、上述した選択期間において蓄積された電荷を保持する。
【0136】
このように、コンデンサCsが書込動作時の充電電圧を保持することにより、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)の電位差が保持されることになり、薄膜トランジスタTr13はオン状態を維持する。また、電源ラインVLには、接地電位よりも高い電圧レベルを有する電源電圧Vscが印加されるので、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも高くなる。
【0137】
したがって、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12を介して、有機EL素子OELに順バイアス方向に所定の発光駆動電流Ibが流れ、有機EL素子OELが発光する。ここで、コンデンサCsにより保持される電位差(充電電圧)は、薄膜トランジスタTr13において階調電流Ipixに対応した書込電流Iaを流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流下する発光駆動電流Ibは、上記書込電流Iaと同等の電流値を有することになる。
【0138】
これにより、選択期間Tse後の非選択期間Tnseにおいては、選択期間Tseに書き込まれた表示データ(階調電流Ipix)に対応する電圧成分に基づいて、薄膜トランジスタTr13を介して、発光駆動電流が継続的に供給されることになり、有機EL素子OELは表示データに応じた輝度階調で発光する動作を継続する。
そして、上述した一連の動作を、上述した表示装置の駆動制御動作に基づいて、表示パネル110A(又は、110B)を構成する全ての走査ラインSLiについて順次繰り返し実行することにより、表示パネル1画面分の表示データが書き込まれて、所定の輝度階調で発光し、所望の画像情報が表示される。
【0139】
ここで、本実施例に係る画素駆動回路DCにおいては、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全て同一のチャネル極性(nチャネル型)を有する薄膜トランジスタを用いて構成することができるため、上述した電流ラッチ・分配部(電流分配回路、電流ラッチ回路、電流ラッチ・分配回路)140A、140Bの回路構成と同様に、アモルファスシリコン半導体層、あるいは、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする、nチャネル型の電界効果型トランジスタを適用することができる。
【0140】
これによれば、表示画素が2次元配列された表示パネル(画素アレイ)とともに、上述した電流ラッチ・分配部を単一の絶縁性基板上に一体的に形成することができる。特に、表示パネル及び電流ラッチ・分配部を、アモルファスシリコン半導体層を用いたnチャネル型の電界効果型トランジスタを適用して構成した場合にあっては、すでに確立されたアモルファスシリコンの製造技術を適用して、動作特性の安定した電界効果型トランジスタを比較的安価に製造することができるので、表示パネルを高精細化や大型化した場合であっても、表示画質に優れた表示装置を簡易かつ良好に実現することができる。
【0141】
また、上述したような回路構成を有する画素駆動回路DCによれば、表示データの輝度階調に応じた比較的大きな電流値を有する階調電流Ipixをデータドライバ130により引き込むように流して、有機EL素子OELを発光動作させるための発光制御トランジスタ(薄膜トランジスタTr13)のゲート−ソース間に付設されたコンデンサCsに階調電流Ipixに対応した電圧を良好に充電する(書き込む)ことができるので、上述した表示装置の駆動制御方法により、階調電流の表示画素への書込時間を長く設定できることに加え、その書込速度を向上させて表示応答特性や表示画質の一層の改善を図ることができる。
【0142】
ここで、本実施例に係る画素駆動回路DCにおいて電源ラインVLに所定の電源電圧Vcsを印加する構成としては、例えば、図15に示すように、各行の走査ラインSLiに並行して電源ラインVLiが配設された表示パネル110Cの周辺領域に、該電源ラインVLiが接続した電源ドライバ170を備え、システムコントローラ150から供給される電源制御信号に基づいて、走査ドライバ120Aから走査信号Vselを出力するタイミングに同期して、電源ドライバ170から上記所定の電圧値を有する電源電圧Vcsを各電源ラインVLiに印加するようにした構成を良好に適用することができる。
【0143】
なお、上述した表示画素EM′においては、画素駆動回路DCとして3個の薄膜トランジスタを備え、データラインDLjを介して電流ラッチ・分配部方向(すなわち、データドライバ方向)に階調電流Ipixを引き込む形態の電流印加方式に対応した回路構成を示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、少なくとも、電流印加方式を適用した画素駆動回路を備えた表示装置であって、発光素子への発光駆動電流の供給を制御する発光制御トランジスタ、及び、階調電流の書込動作を制御する書込制御トランジスタを有し、表示データに応じた階調電流(書込電流)を保持した後、該階調電流に基づいて、上記発光制御トランジスタをオン動作させて発光駆動電流を供給して、発光素子を所定の輝度階調で発光させるものであれば、他の回路構成を有するものであればよく、例えば、4個の薄膜トランジスタを備えた回路構成を有するものであってもよく、さらには、電流ラッチ・分配部(すなわち、データドライバ側)からデータラインを介して表示画素(画素駆動回路)方向に階調電流を流し込む形態の回路構成を有するものであってもよい。
【0144】
また、上述した実施例においては、表示画素を構成する発光素子として、有機EL素子を適用した構成を示したが、本発明に係る表示装置はこれに限るものではなく、供給される発光駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子であれば、上述した有機EL素子の他に、例えば、発光ダイオードやその他の発光素子を良好に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明に係る表示装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る表示装置の第1の実施形態を示す要部概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバの一例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る表示装置のデータドライバに適用可能な電流ラッチ・分配部の一構成例を示す回路構成図である。
【図5】本実施形態に適用可能な電流ラッチ・分配部の概略動作を示す概念図である。
【図6】本実施形態に係る表示装置における駆動制御動作(駆動制御方法)を説明するタイミングチャートである。
【図7】本実施形態に係る表示装置の他の構成例を示す要部概略構成図である。
【図8】本実施形態に係る表示装置のさらに他の構成例を示す要部概略構成図である。
【図9】本発明に係る表示装置の第2の実施形態を示す要部概略構成図である。
【図10】本実施形態に適用可能な電流ラッチ・分配部の一構成例を示す回路構成図である。
【図11】本実施形態に適用可能な電流ラッチ・分配部の概略動作を示す概念図である。
【図12】本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素(画素駆動回路、発光素子)の具体回路例を示す回路構成図である。
【図14】本実施例に係る画素駆動回路の駆動制御動作を示す概念図である。
【図15】本実施例に係る表示画素を適用した表示装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図16】従来技術における発光素子型ディスプレイの要部構成例を示す概略図である。
【図17】従来技術における発光素子型ディスプレイに適用される表示画素の構成例を示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0146】
100 表示装置
110A〜110C 表示パネル
120A、120B 走査ドライバ
130 データドライバ
140A、140B 電流ラッチ・分配部
141 電流分配回路
142 電流ラッチ回路
142a、142b ラッチ部
143 電流ラッチ・分配回路
143a、143b ラッチ部
150 システムコントローラ
160 表示信号生成部
EM、EM′ 表示画素
SGi 走査ライン群
DGj データライン群
DC 画素駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを構成する2次元配列された表示画素に対して、表示データに基づく階調電流を供給することにより、各表示画素を前記表示データに基づく所定の輝度階調で発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、
少なくとも、
前記表示パネルに配列された特定の複数行の前記表示画素を、少なくとも所定の期間、同時に選択状態に設定する走査駆動手段と、
前記表示データに基づいて各行ごとの前記表示画素の輝度階調を制御する階調信号を生成する信号駆動手段と、
前記信号駆動手段から出力される前記階調信号を取り込んで、前記階調信号に基づく電流値を有する前記階調電流を生成し、前記走査駆動手段により選択状態に設定された前記複数行の前記表示画素の各々に対して、個別のデータラインを介して、前記階調電流を書き込む電流書込手段と、
を備え、
前記信号駆動手段は、前記階調信号を、前記所定の期間において同時に選択状態に設定される前記特定の複数行の同一列の前記各表示画素ごとに、時系列データとして前記電流書込手段に順次出力し、
前記電流書込手段は、前記時系列データとして供給される前記階調信号を各列の各行ごとに個別に保持する信号保持部と、前記信号保持部に保持された前記階調信号に対応する電流を、前記個別のデータラインを介して、前記複数行の前記表示画素の各々に対して、前記階調電流として出力する階調電流出力部と、を、備え、
前記階調信号は、前記表示データに対応する電流値を有する信号電流であって、前記信号保持部は、前記信号電流に基づく電荷を蓄積して、電圧成分として保持する電荷蓄積手段を備え、少なくとも、前記表示パネルと前記電流書込手段が、単一の絶縁性基板上に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、前記複数行の表示画素に共通に接続された走査ラインを複数備え、
前記走査駆動手段は、前記走査ラインの各々に、単一の走査信号を印加することにより、前記複数行の表示画素を同時に選択状態に設定することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは、各行ごとの前記表示画素に接続された走査ラインを複数備え、
前記走査駆動手段は、前記走査ラインの各々に、所定の期間のみ時間的に重なる個別の走査信号を印加することにより、該所定の期間において、前記複数行の表示画素を同時並行的に選択状態に設定することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記電流書込手段は、各列ごとに、各々、並列に配置された複数組の前記信号保持部及び前記階調電流出力部からなる信号保持・出力部と、
前記時系列データとして供給される前記階調信号を、前記複数組の信号保持・出力部に分配して供給する信号分配部と、を備え、
前記複数組の信号保持・出力部は、前記個別のデータラインを介して、前記複数行の前記表示画素の各々に対して、前記階調電流を出力することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記電流書込手段は、各列ごとに、前記複数組の信号保持・出力部を複数段備え、一の段の前記信号保持・出力部により前記階調信号を取り込み保持する動作と、他のいずれかの段の前記信号保持・出力部から前記階調電流を出力する動作を、同時に並行して実行することを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記電流書込手段は、各列ごとに、前記複数組の信号保持・出力部を一段備え、一の組の前記信号保持・出力部により前記階調信号を取り込み保持すると同時に、前記階調信号に基づく前記階調電流を出力する動作と、他のいずれかの組の前記信号保持・出力部により前記階調信号に基づく前記階調電流を出力する動作を、所定の期間において、同時に並行して実行することを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項7】
前記電流書込手段は、前記信号駆動手段から供給される前記階調信号に対して、電流極性を反転した前記階調電流を生成して、前記複数行の前記表示画素に出力する電流極性反転部を有していることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記階調電流出力部は、カレントミラー回路構成を有し、前記信号駆動手段から供給される前記階調信号に対して、所定の電流比率の電流値を有する前記階調電流を生成して、前記複数行の前記表示画素に出力することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルに配列された前記表示画素は、
前記電流書込手段から出力される前記階調電流に基づく所定の発光駆動電流を生成する発光駆動回路と、
前記発光駆動回路から供給される前記発光駆動電流の電流値に基づいて、所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
少なくとも、前記電流書込手段及び前記発光駆動回路は、アモルファスシリコン半導体層をチャネル層とする、単一のチャネル極性を有する電界効果型トランジスタを用いて構成されていることを特徴とする請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
少なくとも、前記電流書込手段及び前記発光駆動回路は、ポリシリコン半導体層をチャネル層とする、単一のチャネル極性を有する電界効果型トランジスタを用いて構成されていることを特徴とする請求項9記載の表示装置。
【請求項12】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセント素子であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−225492(P2008−225492A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104770(P2008−104770)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【分割の表示】特願2004−160140(P2004−160140)の分割
【原出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】