説明

表示装置

光源の2つ又はそれ以上のアレイを有する画像表示装置を開示する。各アレイは、共通軸を中心に回転可能であり、各アレイの光源は、各光源が共通軸を中心に固有軌跡に沿って旋回するように配置されている。光源が、それを組み合わせて観察者が見ることができる所望の画像を残像によりもたらすように、そのそれぞれの固有軌跡を旋回するときに、コントローラは、各光源により発光される光の強度を調整するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源が、観察者が見ることができる画像やメッセージを残像によりもたらすように移動するときに、各々により発光される光の強度が変化させられる複数の移動光源を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の典型的な装置は、発光ダイオード(LED)のアレイが、そこに沿って配置される単一のアームを有する。アームは、各LEDが軌跡を描くように、連続的に又は変動的に回転する。アームが通過する領域にドットマトリクス画像を観察者に見せるように、アームが回転するときにLEDが個々にオン/オフされる。
【0003】
これらの装置は、フルカラーの静止画又は動画像を表示するように、赤色、緑色、青色LEDを組み合わせて適用しても良い。この技術は、通常は桁違いにもっと多くのLEDが必要な画像を、比較的少ない数のLEDを用いて再現することが可能であるため特に有用である。必要なのは、観察者が見ることができる画像を残像によりもたらす程度に十分高速にLEDのアームを回転させるだけである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この形式の表示装置には、高解像度を得るためには、回転するアーム上のLEDを隙間なく配置しなければならず、サイズが小さくなってしまうという問題がある。その結果、光源により発光される光の強度が低くなり、特に強い太陽光下で見るときには、画像が鮮明に見えないことがある。より高出力のLEDも入手可能であるが、これらは非常に大きく、これらをアームに沿って配置することは不可能であり、所望の解像度を保つことは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、画像表示装置は光源の2つ又はそれ以上のアレイを有し、各アレイは共通軸を中心に回転可能であり、各アレイの光源は、各光源が共通軸を中心に固有軌跡に沿って旋回するように配置されている。また、画像表示装置は、光源がそれを組み合わせて観察者が見ることができる所望の画像を残像によりもたらすように、そのそれぞれの固有軌跡を旋回するときに、各光源により発光される光の強度を調整するように構成されるコントローラを有する。
【0006】
本発明は、各々がそれぞれ固有軌跡を旋回する光源の2つ又はそれ以上のアレイを提供することにより、生成される画像の解像度を減少させること無しに、より大きい、明るい光源を用いることが可能である。必要なのは、共通軸を中心に十分高速にアレイを回転させることだけである。最小許容回転速度は、周囲の明るさレベル及び光源の輝度に依存する。毎秒約25回転よりも少ない回転速度では、画像フリッカが分かる程度に存在するが、装置は最低毎秒5回転の回転速度でも動作することが分かった。
【0007】
アレイは線状であれば良く、典型的には各アレイが直線状である。この場合、各アレイの長手方向軸は共通軸に垂直であれば良く、また、代わりに各アレイの長手方向軸は共通軸に平行であっても良い。
【0008】
各アレイの長手方向軸が共通軸に垂直の場合には、長手方向軸は典型的には同一平面内にある。
【0009】
各アレイの長手方向軸が共通軸に平行の場合には、各長手方向軸上の対応する点が共通軸から同じ半径方向距離にあれば良く、典型的には、各長手方向軸上のすべての点が共通軸から同じ半径方向距離にある。
【0010】
他の実施例においては、各アレイが湾曲している。この実施例では、各アレイの長手方向軸は、典型的には円弧を画定する。通常、各円弧は半円状であり、この各々の端部で共通軸と交差する。好ましくは、各円弧の半径は他の円弧の半径とは異なる。
【0011】
各アレイは異なる個数の光源を有していても良い。しかしながら、これは製造するのに能率的ではないため、各アレイは実質的に同一であり同数の光源を有することが好ましい。
【0012】
好適実施例では、装置は2つのアレイを有し、共通軸の法線方向に沿って見ると、一方のアレイの光源による旋回軌跡は、他方のアレイの光源による旋回軌跡とインタレースされるように見える。
【0013】
明らかなように、一方のアレイの光源が他方のアレイの光源と同一平面を旋回するときには、それらは常に互いにインタレースされるように見え、鑑賞方向は無関係となる。しかしながら、あるアレイの光源が他のアレイの光源と異なる面を旋回するときには、視差のために共通軸の法線方向に沿って見たときのみインタレースされるように見える。
【0014】
本明細書中では、インタレースされるという用語は、テレビジョン技術において一般的に用いられる意味で用いられる。これは、1列おきの2組での画像の飛び越し走査を意味するものである。
【0015】
通常、各アレイは他のアレイに対して固定された位置に配置され、すべてのアレイが調和して回転する。
【0016】
典型的には、光源の各アレイは、それぞれプリント基板(PCB)上に載置される。通常、各PCBは共通軸と同軸である回転シャフト上に据え付けられる。この場合、回転シャフトは中心貫通孔を有し、そこを通って、貫通孔の一端に配置された送信機と、送信機から遠い位置の貫通孔内に配置されコントローラに接続された対応する受信機とからなる可視光又は赤外光リンクにより、画像データは外部データソースからコントローラに送信される。
【0017】
好適実施例では、各光源は赤色、緑色、青色の光源のトライアッド(三原色の組)で構成される。典型的には、各光源は発光ダイオード(LED)である。
【0018】
他の手段として、各光源は3色LEDであっても良い。何れにしても、光源又はトライアッド光源は、所望な色の光を発光するように制御可能であれば良い。
【0019】
隣り合う固有軌跡は、重なっていてもいなくても良い。
【0020】
コントローラは、典型的には複数のパルス幅変調器を有し、各々がそれぞれ光源に接続され、各光源により発光される光の強度を調整するための入力信号に応じるものである。
【0021】
各パルス幅変調器は、さらに、光源が所望な色の光を発光するように制御可能なものであれば、入力信号に応じて光源により発光される色を制御するように構成されても良い。
【0022】
さらに、画像表示装置は、半径方向に移動可能な少なくとも1つのバランスウェイトと、振動センサと、振動センサから受信した信号に応じて共通軸からのバランスウェイトの半径方向の距離を可変するように構成されるバランスコントローラとを有していても良い。振動センサは、共通軸に配置される。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、表示システムは、本発明の第1の態様による複数の画像表示装置からなり、複数の画像表示装置のアレイは、各装置により見ることができる所望の画像が1つになって合成画像を生成するように、共通軸を中心に同調して回転するように構成される。
【0024】
各アレイの長手方向軸がそれぞれその共通軸に平行な場合には、共通軸は共通面内に位置する。この場合、共通軸は、典型的には共通面内で一列に位置する。
【0025】
また、各アレイの長手方向軸がそれぞれの共通軸に垂直な場合には、共通軸は共通面に垂直に位置する。
【0026】
典型的には、各画像表示装置のアレイは、共通軸上に位置する各シャフトに取り付けられ、各装置のシャフトは、ギア装置を介して互いに連結される。
【0027】
好ましくは、各シャフトは、シャフトに取り付けられるアレイにより描かれる回転の大きさが隣り合う表示装置のシャフトに取り付けられるアレイにより描かれる回転の大きさと重なり合うように、隣り合う表示装置のシャフトに関連して配置され、回転中に隣り合う装置のアレイに衝突しないように、2つのアレイが各シャフトの周囲に配置される。これにより、観察者に合成画像が一連となっているように見せることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、2つの同一のPCB2a,2bを収容するハウジング1を示している。2つのPCB2a,2bは、モータ(図示せず)により駆動されるシャフト4に接続されるアーム3の両端に据え付けられている。
【0029】
各PCB2a,2bは、LEDの各アレイ5a,5bを保持している。各アレイ5a,5bは、赤色、緑色、青色LEDの個々のトライアッドからなる。図4は、これらのトライアッドの配置を示している。図示の通り、各トライアッドは、赤色LED23aと緑色LED23bと青色LED23cとからなり、LED23a,23b,23cの回転軌跡に沿って一列に配置されている。トライアッドの各LED23a,23b,23cは、トライアッドの隣り合うLED23a,23b,23cから2画素分のピッチだけ離れて配置されている。画素のサイズは、PCB2a,2bが回転中にLED23a,23b,23cを作動させる時間長により決定される。この時間長は、コントローラ(後に詳説する)により制御される。2画素分の間隔は、PCB2a,2bに載置されるLEDを十分に大きく明るくすることを可能とする。
【0030】
表示された画像を補正するために、画像の赤色、緑色、青色成分は、すべての成分が同一の的確な光源から発せられたように見えるように、互いに2画素分オフセットされる。このオフセットは、コントローラへ与える画像データを修正するか、コントローラ自体が画像データに作用するようにすることで提供されれば良い。
【0031】
PCB2a,2bを回転させると、各トライアッドの赤色、緑色、青色LED100,101,102は、回転中にトライアッドのLEDにより描かれる円弧軌跡のすべての点において発光されるべき所望の色の光を生じるように、個々に作動される。したがって、LED100,101,102の個々のトライアッドによる光の発光を同時にコントロールすることにより、利用者が見ることができる画像を残像により生成することが可能となる。この効果を生じさせるためには、PCB2a,2bは十分に早く、例えば毎秒25回転又はそれ以上で回転させられる必要がある。
【0032】
しかしながら、PCB2a,2bの線速度が画像を表示するのに十分な残像とならない、アーム3の中心方向の領域が存在する。そこで、この領域に画像を提供する小さい静止LEDディスプレイ6が提供されている。さらに、通常は円形の画像よりも長方形の画像を有することが望まれるため、PCB2a,2bを用いて画像を表示することができないハウジング1の角の領域を占めるように、4つの周辺ディスプレイ7a,7b,7c,7dが提供されている。
【0033】
PCB2a,2bが回転すると、赤色、緑色、青色LEDのトライアッドがそれぞれ固有軌跡を描く。例えば、PCB2a上のあるトライアッドのLEDが軌跡8aを描き、PCB2b上のあるトライアッドのLEDが軌跡8bを描く。図示の通り、軌跡8aは軌跡8bとインタレースする。したがって、1つのPCB上にLEDを高密度に詰め込まなくても、ある程度の解像度を達成可能である。それどころか、LED5a,5bのアレイが2つのPCB2a,2b上に分配されると、より大きく明るいLEDを用いることも可能となる。空気中のPCB2a,2bの回転運動は、LEDの冷却を提供する利点もある。
【0034】
図2に示される第2実施例では、表示装置は、ACモータ11がその底部に置かれる光学的風防樹脂製筐体(optical perspex enclosure)10に収容されている。スリップリング13を通ってハウジング10の全長にわたるシャフト12であって、ハウジング10の頂部の軸受14に支持されるシャフト12に、このACモータ11の電機子が接続されている。スリップリングはPCB16a,16bを回転させる動力を供給するために用いられる。
【0035】
シャフト12には、対角線上で対向する2つのPCB16a,16bを支持する2つの支持アーム15が据え付けられている。これらのPCB16a,16bの各々は、LED17a,17bのアレイをそれぞれ保持している(図示例ではPCB16b上のLEDアレイ17bは見えない)。これらのPCB16a,16bは図1の実施例に対して説明されたものと同様であり、LED17a,17bの各アレイは、2つのPCB16a,16bがシャフト12を中心に回転するとき、アレイ17aのトライアッドにより描かれる軌跡がアレイ17bのトライアッドにより描かれる軌跡とインタレースするように構成された、赤色、緑色、青色LEDのトライアッドを保持している。したがって、結果として生ずる画像は、円筒状の外見を有し、ハウジング10を介して見ることができる。また、LEDのトライアッドは、すでに説明され図4に示されるように、列を成して配置されている。
【0036】
PCB16a,16bの各々は、シャフト12の中心を貫通する孔の一端にある受信機と光学的に結合する光ファイバ19aを介して、画像データを受信するコントローラPCB18に接続されている。孔の他端では、送信機が他の光ファイバ19bに光学的に結合されている。したがって、画像データは、光導波路としての孔を用いて光ファイバ19a及び19b間を送信される。
【0037】
図6は、シャフト12及びモータ11を通る断面図を示している。これは、光ファイバ19bに取り付けられている送信機200b、及び光ファイバ19aに取り付けられている受信機200aを表している。通常、画像データは、シャフト12の下側の送信機と受信機の間を赤外放射で送信される。しかしながら、勿論、別の光学的放射を用いても良い。送信機200bは、シャフト12がその周りを自由に回転するように、シャフト12内に緩く取り付けられている。
【0038】
コントローラPCBは、図1の実施例でも設けられている。しかしながら、PCBは図1に示した例では表されていない。画像データは、図6に示され上述されたものと同じように、図1のコントローラPCBに送信されれば良い。
【0039】
アレイ5a,5b,17a,17bのトライアッドの1つのための、コントローラPCB18上に置かれる適当なコントローラの電子機器20の概略図が、図3に示される。個別部品で作られる、又は適当にプログラムされたマイクロプロセッサ若しくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であるコントローラ21により、画像データが光ファイバ19を介して受信される。画像データには、トライアッド内の各LEDに要求される強度に関連する情報が含まれる。各トライアッドは、関連するコントローラ21を有し、それには3つの個別パルス幅変調(PWM)コントローラ22a,22b,22cが提供されている。これらは、LEDドライバ24a,24b,24cを介して、トライアッドの1つを形成する赤色、緑色、青色LED23a,23b,23cにそれぞれ接続されている。LEDドライバ24a,24b,24cは、PWMコントローラ22a,22b,22cからの出力信号を、LED23a,23b,23cを駆動するための高出力信号に変換する。
【0040】
PWMコントローラ22a,22b,22cは、それぞれのLEDが所望の光の強度で発光するように、画像データに応じて、各LED23a,23b,23cの輝度を制御するためのパルス幅変調出力を生成するものである。すでに説明されたように、画像データの赤色、緑色、青色成分は、互いにオフセットされる。したがって、遠位の観察者が見たときに、各LED23a,23b,23cにより生成される色は収束し、トライアッドは所望の色及び輝度の光を発光する点光源であるかのように見える。
【0041】
したがって、PCB2a,2b,又は16a,16bが回転中、コントローラ21へ与えられる入力データを変化させることにより、装置に所望の静止又は動画像を表示させることが可能となる。明らかなように、図1に示される装置は平面の画像を生成し、図2に示す装置の画像は円筒の表面上に形成される。
【0042】
第1実施例において既に言及されたように、アレイ5a,5bのシャフト4に最も近いトライアッドは、シャフト4から最も遠いものに比べて線速度がより遅い。したがって、アレイ5a,5bの各LEDが1画素を表示するのに同じ時間長で作動されると、シャフト4に最も近い画素は、シャフト4から最も遠い画素に比べてより小さくなる。これは、特定のトライアッドのLEDが作動される時間を、シャフト4からのトライアッドの半径方向距離に応じて調節することによって補償することが可能である。これが行われれば、シャフト4からの半径方向距離に関係なく、各画素は同じサイズとなる。
【0043】
さらに、シャフト4に最も近いLEDにより描かれる円弧軌跡の円周は、シャフト4から最も遠いLEDによる円弧軌跡の円周よりも小さいため、シャフト4に最も近い軌跡にある画素は、シャフト4から最も遠い軌跡にある画素よりも少ない。これは、各LEDにより描かれる円弧軌跡の各々にどのくらいの画素を有効とするか計算し、画素の有効数に一致するように画像データを再配置することにより補償することが可能である。
【0044】
実施例では2つだけのアームを有するものを説明したが、当然のことながら、関連するLEDのアレイをそれぞれ有するより多くのアームで本発明を動作させることも同様に可能である。つまり、任意の高解像度の表示を達成するために、より多くのアームを提供しても良い。さらに、より多くのアームを用いると、アームを回転させるスピードをより遅くすることができる。ある特定の実施例では、10ヘルツで回転する8つのアームを用いたが、これは動画像を表示するのに特に適している80ヘルツのビデオリフレッシュレートを提供する。
【0045】
どちらの実施例の装置も、例えばテレビ受像機やビデオ信号からの静止画像及び動画像の表示のために用いられ得る。第1実施例の装置は、特にこれに適しており、広告業や他の用途において有用である。また、第2実施例の装置は、例えば飲料用の缶の描写を行うのに使用可能な製品プロモーションにおける用途を有する。
【0046】
LEDを有するPCBが高速で回転するため、バランスが崩れているとシステムが大きな振動を受ける可能性がある。そこで、不平衡状態を補償するために、シャフト4の軸に向かって、又は軸から遠くに、例えばモータにより移動可能な一組のバランスウェイトを各PCBの近傍に提供しても良い。
【0047】
振動センサ110が中央の静止ディスプレイ6の中央に取り付けられているこのようなシステムが、図5に示されている。コントローラ(図示せず)がこの振動センサ110から信号を受信し、これに応じて、PCB2a,2bの各々にそれぞれ載置される一対のステッピングモータ111に出力信号を与える。ステッピングモータは、カウンタバランス113a,113bが載置される各ウォーム駆動部112a,112bに接続されている。レール114a,114bは各ウォーム駆動部112a,112bの近傍に提供されている。ステッピングモータ111a,111bの稼動時に、シャフト4に対して半径方向にウォーム駆動部112a,112bに沿ってカウンタバランスが移動するように、カウンタバランス113a,113bが回転するのを防ぐための各カウンタバランス113a,113bの突出部115a,115bと、各レール114a,114bが協働する。端板116a,116bは、カウンタバランス113a,113bがウォーム駆動部112a,112bの終端から外れるのを防止する。コントローラは、振動センサ110により検出された振動に応じて駆動信号をステッピングモータ111a,111bに与える。ウォーム駆動部112a,112bに沿って正しい半径方向距離にカウンタバランス113a,113bを配置することにより、高速回転による振動を減少させることが可能となる。
【0048】
図7及び図8は、例えば風防樹脂からなる透明な筐体301を有する表示システム300を示している。筐体301内には、図2を参照して説明された第2実施例による6つの表示装置302a−302fがある。但し、この数量は任意であり、より多くの又はより少ない表示装置が提供されても良い。
【0049】
また、これらのうちの3つの表示装置302a−302cが、図7により斜視図として示されている。残りの3つの表示装置302d−302fは簡略化のために図示例では示されていない。しかしながら、各表示装置302a−302fの構造は同一である。これから分かるように、各表示装置302a−302cは、それぞれ対応するシャフト305a−305cに据え付けられる、対応する上部アーム303a−303c及び下部アーム304a−304cを有している。一対のアレイが各上部及び下部アームの対向端に取り付けられている。例えば、アレイ306a,307aが上部アーム303a及び下部アーム304aの対向端に取り付けられている。上述のように、各アレイ306a−306cは、これに対応するアレイ307a,307cに対して半画素分オフセットされている。
【0050】
すべての表示装置302a−302fは、図8に示されるようなギア装置等の適当な不滑性連結部により互いに連結されている。ここで、各ギア308a−308fは、各シャフト305a−305fの一端に取り付けられており、各ギアが隣り合う表示装置302a−302fに取り付けられるギアと噛合している。したがって、すべての表示装置が単一のモータで同調して駆動される。
【0051】
各上部アーム303a−303f及び下部アーム304a−304fは、それらが常に隣り合う上部及び下部アームからオフセットされる方向となるように、それぞれシャフト305a−305fに据え付けられる(すなわち、各一対のアレイは、回転中に隣り合う表示装置のアレイと衝突しないように、各シャフトを中心に配置される)。この目的は、回転中に隣り合うアレイ間の衝突無しに各個別の表示装置から発生した画像から一連の合成画像が生成されるように、各表示装置302a−302fのシャフト305a−305f(したがってアレイ306a−306f及び307a−307f)が隙間なく配置されるようにするためである(すなわち、回転中の各一対のアレイにより描かれる回転の大きさが、隣り合う表示装置の一対のアレイにより描かれる回転の大きさと重なる、又は交差する)。
【0052】
これまでのように、表示装置302a−302fを十分高速に回転し、回転中にこれらの光源により発光する光の強度を調整することによって、各表示装置が画像を生成可能となる。これは、筐体301の周囲すべてにわたって見ることが可能な合成画像をもたらす。この表示システム300は、従前はLED等を用いて大型表示装置を提供するコストが非常に高かった、特に広告業や他の大型表示システムにおける利用を見出す。
【0053】
図9は、本発明の第3実施例を示している。基台400には、モータ(図示せず)が収容されている。モータは、3つの半円状アレイ402,403,404が取り付けられるシャフト41を駆動する。アレイ402,403,404は、それぞれ異なる半径を有し、したがって、回転中に異なる半径の球体を描く。アーム404により描かれる球面405が示されている。
【0054】
これまでのように、LED(単一若しくはトライアッド、又はまったく別の構成)等の複数の光源がアームに沿って一定の間隔で配置されている。光源により発光される光の強度は、アレイ402,403,404の回転中に調整され、こうして各アレイは、これにより描かれる球体の球面上に画像を生成することが可能となる。この場合、3つの画像が生成され、これは真の3次元効果を生ずる。これには種々の用途があるが、1つの可能な例としては、外側アレイ404,403が雲の画像を生成し、内側アレイ402が地球自体の画像を生成するような、地球の描写を生じさせるものである。
【0055】
各アレイ402,403,404が異なる表面上に画像を生じさせる事実から生ずるすべての視差を回避するために、シャフト401の長手方向軸の法線から合成画像を見ることを通常は意図している。勿論、それぞれに対して光源をオフセットすることで、同じ半径を有するアレイで同様の装置を構成することも可能である。これにより、従前可能だった解像度を越えて解像度を高めることが可能となる(上述の実施例と同様に)。この場合、各アレイは同一表面上に画像を生成し、視差は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の第1実施例の斜視図を示している。
【図2】図2は、本発明の第2実施例の斜視図を示している。
【図3】図3は、第1及び第2実施例に用いるのに適したコントローラを示している。
【図4】図4は、PCB上のLEDの配置を示している。
【図5】図5は、バランス機構を示している。
【図6】図6は、コントローラへデータを与える一手段を示している。
【図7】図7は、第2実施例による複数の装置から形成される表示システムを示している。
【図8】図8は、第2実施例による複数の装置から形成される表示システムを示している。
【図9】図9は、本発明の第3実施例を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の2つ又はそれ以上のアレイであって、各アレイは共通軸を中心に回転可能であり、各アレイの光源は各光源が共通軸を中心に固有軌跡に沿って旋回するように配置される、2つ又はそれ以上のアレイと、
光源が、それを組み合わせて観察者が見ることができる所望の画像を残像によりもたらすように、そのそれぞれの固有軌跡を旋回するときに、各光源により発光される光の強度を調整するように構成されるコントローラと、
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、各アレイは線状であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、各アレイは直線状であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の表示装置において、各アレイの長手方向軸は共通軸に垂直であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の表示装置において、各アレイの長手方向軸は共通軸に平行であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の表示装置において、2つのアレイの長手方向軸は同一平面内にあることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置において、各アレイの長手方向軸上の対応する点は共通軸から同じ半径方向距離であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置において、各アレイの長手方向軸上のすべての点は共通軸から同じ半径方向距離にあることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の表示装置において、各アレイは湾曲状であることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置において、各アレイの長手方向軸は円弧を画定することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置において、前記各円弧は半円状であり、この各々の端部で共通軸と交差することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の表示装置において、各円弧の半径は他の円弧の半径とは異なることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、各アレイは同数の光源を有することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、該装置は2つのアレイを有し、共通軸の法線方向に沿って見ると、一方のアレイの光源による旋回軌跡は、他方のアレイの光源による旋回軌跡とインタレースされるように見えることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、各アレイは他のアレイに対して固定された位置に配置され、すべてのアレイが調和して回転することを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、光源の各アレイはそれぞれプリント基板(PCB)上に載置されることを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項16に記載の表示装置において、請求項5に従属するとき、各PCBは共通軸と同軸である回転シャフト上に据え付けられることを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項17に記載の表示装置において、回転シャフトは中心貫通孔を有し、貫通孔の一端に配置される送信機と、送信機から遠い位置の貫通孔内に配置されコントローラに接続される対応する受信機とからなる可視光又は赤外光リンクにより、貫通孔を通って画像データが外部データソースからコントローラに送信されることを特徴とする表示装置。
【請求項19】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、各光源は赤色、緑色、青色の光源のトライアッドで構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項20】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、光源は発光ダイオード(LED)であることを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項1乃至請求項18の何れかに記載の表示装置において、各光源は3色LEDであることを特徴とする表示装置。
【請求項22】
請求項19乃至請求項21の何れかに記載の表示装置において、各光源又は光源のトライアッドは所望な色の光を発光するように制御可能であることを特徴とする表示装置。
【請求項23】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、隣り合う固有軌跡は重なることを特徴とする表示装置。
【請求項24】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、隣り合う固有軌跡は重ならないことを特徴とする表示装置。
【請求項25】
前記何れかの請求項に記載の表示装置において、コントローラは複数のパルス幅変調器を有し、各々がそれぞれ光源に接続され、各光源により発光される光の強度を調整するための入力信号に応じることを特徴とする表示装置。
【請求項26】
請求項25に記載の表示装置において、請求項22に従属するとき、各パルス幅変調器は、さらに、入力信号に応じて光源により発光される色を制御するように構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項27】
請求項26に記載の表示装置であって、さらに、半径方向に移動可能な少なくとも1つのバランスウェイトと、振動センサと、振動センサから受信した信号に応じてバランスウェイトの共通軸からの半径方向の距離を可変するように構成されるバランスコントローラと、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項28】
請求項27に記載の表示装置において、振動センサは共通軸に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項29】
前記何れかの請求項に記載の複数の表示装置を具備する表示システムにおいて、複数の画像表示装置のアレイは、各装置により見ることが可能な所望の画像が1つになって合成画像を生成するように、共通軸を中心に同調して回転するように構成されることを特徴とする表示システム。
【請求項30】
請求項29に記載の表示システムにおいて、請求項5に従属するとき、共通軸は共通面内に位置することを特徴とする表示システム。
【請求項31】
請求項30に記載の表示システムにおいて、共通軸は共通面内で一列に位置することを特徴とする表示システム。
【請求項32】
請求項29に記載の表示システムにおいて、請求項4に従属するとき、共通軸は共通面に垂直に位置することを特徴とする表示システム。
【請求項33】
請求項29乃至請求項32の何れかに記載の表示システムにおいて、各画像表示装置のアレイは共通軸上に位置する各シャフトに取り付けられ、各装置のシャフトはギア装置を介して互いに連結されることを特徴とする表示システム。
【請求項34】
請求項33に記載の表示システムにおいて、各シャフトは、シャフトに取り付けられるアレイにより描かれる回転の大きさが隣り合う表示装置のシャフトに取り付けられるアレイにより描かれる回転の大きさと重なり合うように、隣り合う表示装置のシャフトに関連して配置され、2つのアレイは、回転中に隣り合う装置のアレイに衝突しないように、各シャフトの周囲に配置されることを特徴とする表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−511034(P2008−511034A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528976(P2007−528976)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003313
【国際公開番号】WO2006/021788
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507057310)ライトロジック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】