説明

表示装置

【課題】 非自発光型の表示装置において電源系統を含む表示系の故障警告を確実に行う。
【解決手段】 非自発光型の表示部1、外部から入力された画像信号及び制御信号に基づき表示部1を駆動する画像処理部2と、画像処理部2に電力を供給する電源回路3と、表示部1に光を照射する光源6と、光源6に電力を供給し、光源6の輝度制御を行う光源ドライバ7と、電源回路5と画像処理部2との間の電源ラインの電流値及び電圧値の少なくとも一方からなる監視値を監視する監視回路8とを備え、監視回路8は、監視値が所定の範囲外となったとき故障が発生したことを示す故障検知信号を光源ドライバ7に出力し、光源ドライバ7は故障検知信号を受けて光源6の輝度等の発光条件を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非自発光型の表示部と前記表示部に光を照射する光源とを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非自発光型表示装置の一種である液晶表示装置は、従来よりパーソナルコンピュータ、携帯電話、テレビ等の一般用電子機器に用いられてきたが、高性能化に伴ってその応用範囲は急速に拡大しており、近年では、例えば自動車、車両、航空機、船舶等の計器類のディスプレイのような高信頼性が要求される分野にも広く使われ始めている。
【0003】
ところで、液晶表示装置の表示の一部又は全部が消えたりするような異常動作をする故障を起こした場合、当該故障は直ちに視認者によって発見される。これは液晶表示装置自体が表示機能を有しており、当該故障は一般的に表示画面上の情報として現れるからである。このため、液晶表示装置における故障警告機能の重要性はそれほど高くなく、現状の携帯電話やテレビ用等の液晶表示装置においては、視認者に故障発生を知らせるための故障警告機能は特段設けられていない。
【0004】
しかしながら、計器類のディスプレイ用の液晶表示装置における故障は、自動車、車両、航空機、船舶等の運行といった安全面に支障をきたすことから、視認者に正確に通知されなければならない。ここで、表示の一部又は全部が消えてしまうという故障モードであれば、視認者によって故障の発生が容易に認識される。ところが、表示内容が更新されることなく画面上に表示され続けるような故障モードの場合、表示画面上には故障を示すような痕跡は発生せず、このため恰も正しい情報が表示されているとの認識の下に異常が発見され難くなり、視認者は誤った表示内容を信じてしまう可能性がある。
【0005】
液晶表示装置の故障を視認者に通知する技術としては、例えば特許文献1において、液晶パネルの背面のバックライトに用いられる蛍光管の故障履歴をOSD(On Screen Display)に表示する技術が提案されている。しかしながら、これはバックライトの故障を知らせるものであり、表示内容が更新されないというような液晶表示装置の表示系の故障には対応することができない。
【特許文献1】特開2004−53988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案するものであり、非自発光型の表示装置において電源系統を含む表示系の故障警告を確実に行うことが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、非自発光型の表示部と、外部から入力された画像信号及び制御信号に基づき前記表示部を駆動する画像処理部と、前記画像処理部に電力を供給する電源回路と、前記表示部に光を照射する光源と、前記光源に電力を供給し、前記光源の輝度制御を行う光源ドライバと、前記電源回路と前記画像処理部との間の電源ラインの電流値及び電圧値の少なくとも一方からなる監視値を監視する監視回路とを備え、前記監視回路は、前記監視値が所定の範囲外となったとき故障が発生したことを示す故障検知信号を前記光源ドライバに出力し、前記光源ドライバは前記故障検知信号を受けて前記光源の発光条件を変化させることを特徴とする。
【0008】
例えば液晶表示パネル等の表示部、表示部を駆動する駆動ドライバ等を含む画像処理部に異常が発生した場合、正常動作時とは異なり、電源回路から画像処理部に電力を供給する電源ラインにおいて電流値や電圧値が大きく変動するので、これらの電流値や電圧値を監視することで、表示系の故障検知が実現される。
【0009】
一方、この故障検知結果を視認者に通知する必要があるが、表示部自体又は画像処理部が故障していることから表示部は正常に機能せず、これを通知に用いることはできない。そこで、以上のような表示装置においては、光源ドライバにより光源の発光条件、例えば輝度を変化させる制御を行い、画面輝度を変化させることによって視認者に故障であることを通知する。表示部と光源とは別個のドライバによって独立して駆動され、一方に故障が生じた場合であっても他方は正常に動作することから、表示部の故障モードが如何なるものであっても故障の通知が確実に実行される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば画面上の表示内容が更新されないような正常時との判別が難しい故障モードに陥った場合であっても、光源の輝度制御等の容易な操作にて表示系の故障発生を視認者に確実に且つわかりやすく警告することができ、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る表示装置として透過型液晶表示装置を例に挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本発明を適用した液晶表示装置は、図1に示すように、非自発光型の表示部である液晶パネル1を備える。液晶パネル1には、外部から入力された画像信号及び制御信号に基づき液晶パネル1の駆動を行う画像処理部2が接続されている。画像処理部2は、液晶駆動ドライバ(駆動ドライバ)4と画像処理回路5とを含んで構成され、電源回路3から供給された電力に基づき動作する。画像処理回路5は、外部から入力された画像信号等を液晶駆動ドライバ4が処理可能なフォーマットの表示データやタイミングデータ等に変換する信号処理を行うとともに、外部から入力された制御信号に基づきタイミング制御を行い、液晶駆動ドライバ4を制御する。液晶駆動ドライバ4は、電源回路3から受けた所定の電力、並びに画像処理回路5から受けたタイミングデータ及び表示データに基づき、液晶パネル1を駆動する。電源回路3は外部から供給された電力を表示系を構成する各部に供給するものであり、例えば外部から供給された電源電圧を所定の電圧値に変換し、出力する。すなわち、液晶表示装置の正常動作時には、電源回路3から所定の電流及び電圧が電源ラインを介して画像処理部2を構成する液晶駆動ドライバ4及び画像処理回路5に供給されることになる。
【0013】
液晶パネル1の背面にはバックライト(光源)6が配置される。バックライト6は液晶パネル1を背面から照明し、液晶パネル1の画像情報を光学的な透過率の変化に変換して画像表示を行わせる。バックライト6にはバックライト6に電力を供給するPWM(Pulse Width Modulation)方式等のバックライトドライバ(光源ドライバ)7が接続される。バックライトドライバ7は、後述する監視回路8からの制御信号に基づいて、外部から供給される電圧をバックライト6に必要な電圧に変換し、バックライト6の輝度及び点灯タイミング等を制御する。
【0014】
液晶表示装置は、さらに、電源回路3と液晶駆動ドライバ4との間の電源ライン、及び電源回路3と画像処理回路5との間の電源ライン間に介在される電流値と電圧値の少なくとも一方からなる監視値を監視する監視回路8を備える。この監視回路8には、画像処理回路5内における動作異常に応動する電流値と電圧値の少なくとも一方のデータが画像処理回路5から提供される。この動作異常に応動する電圧値又は電流値としては、例えば画素電極や対向電極に加わる平均電圧値、最大電圧値、最小電圧値や電流値等が挙げられる。監視回路8は、このデータを基にして正常動作時のデータとの間で変動が生じているか否かを常時監視し、変動が発生した場合には異常と判断してバックライトドライバ7を制御する。又は、監視回路8は、画像処理回路5からのバックライト6の輝度を制御する制御信号に基づきバックライトドライバ7を制御する。
【0015】
ここで先ず、以上のような構成の液晶表示装置の正常時の動作について説明する。液晶表示装置の表示系においては、先に説明したように、電源回路3から所定の電流及び電圧が電源ラインを介して画像処理部2を構成する液晶駆動ドライバ4及び画像処理回路5に供給されるとともに、外部からの画像信号及び制御信号を受けて画像処理回路5が液晶駆動ドライバ4を制御し、液晶パネル1が駆動される。監視回路8は、電源回路3と液晶駆動ドライバ4との間の電源ライン、及び電源回路3と画像処理回路5との間の電源ラインの電流値と電圧値の少なくとも一方の値を監視し、電流値又は電圧値が所定の範囲内にあるときには、表示系が正常に動作しているものとし、故障検知信号の出力を行わない。このとき、バックライトドライバ7は、外部から電力の供給を受けて、バックライト6を所定の輝度で発光させる。この際に、画像処理回路5に供給される制御信号中にバックライト6の輝度を制御する輝度制御情報が含まれている場合、又は、液晶駆動ドライバ4に供給される表示信号と連動させて最適な画質で画像表示をさせるためにバックライト6の輝度を制御する制御信号を画像処理回路5において生成しているような場合には、この画像処理回路5から監視回路8にバックライト6の輝度(発光)を制御する制御信号を供給する。この画像処理回路5から制御信号を受け、これに基づいて監視回路8によってバックライトドライバ7を制御して、例えば所定の輝度を維持する、あるいは表示画像に連動して輝度を制御する等のようにバックライト6の輝度を制御する。
【0016】
次に、液晶表示装置に故障が発生したときの動作について説明する。液晶表示装置の液晶パネル1、液晶駆動ドライバ4及び画像処理回路5のいずれかに異常が発生し、回路系が開放状態となって液晶パネル1における画像の表示が停止すると、多くの場合、電源回路3から画像処理部2に電力を供給する電源ラインにおける電流値が減少するとともに電圧変動が起きる。また、回路系に短絡が発生し、表示停止状態となった場合には、前記電源ラインにおける電流値が増加し同様に電圧変動が発生する。したがって、本発明においては、これらの電流値と電圧値の少なくとも一方の変動を液晶表示装置の表示系の故障の指標とし、故障検知を行う。
【0017】
具体的には、電源回路3と液晶駆動ドライバ4との間の電源ライン、及び電源回路3と画像処理回路5との間の電源ラインの電流値と電圧値の少なくとも一方を監視回路8により監視し、これら電流値や電圧値が所定の範囲外であるとき、監視回路8は表示系に異常が発生したこと、すなわち故障を検知したことを示す故障検知信号をバックライトドライバ7に出力する。監視回路8による監視対象は、電源回路3と液晶駆動ドライバ4との間の電源ライン、及び電源回路3と画像処理回路5との間の電源ラインの両方でもよく、いずれか一方でも構わない。バックライトドライバ7は、監視回路8からの故障検知信号を受けてバックライト6の発光条件を変化させる制御を行い、液晶表示装置の画面輝度や色彩を変化させる。発光条件を変化させる制御とは、例えば、バックライト6の輝度を最高又は最低輝度となるように変化させ、あるいはフラッシング動作をさせる制御や、バックライト6がLED光源等である場合にはその色度を変化させるような制御を言う。これにより、視認者は液晶表示装置に故障が発生したことを知ることができる。ここで、バックライト6の輝度を変化させるとは、バックライト6の輝度を連続的又は段階的に経時変化させること、バックライト6を点滅させること等を含む。
【0018】
上記の説明においては、液晶駆動ドライバ4及び画像処理回路5と電源回路3との間を流れる電流又は電圧変動を直接監視する場合について述べているが、例えば画像処理回路5に供給される画像信号又は制御信号が供給されなくなり、画面上の画像が更新されなくなるような故障等の場合には、必ずしも電源回路3と画像処理部2の電源系統の監視のみでは異常を検出できない場合が想定される。このような場合には、画像処理回路5内に設けた異常検出回路(図示せず)からの検出信号を受けて監視回路8を制御し、バックライトドライバ7を同様に制御するように構成してもよい。
【0019】
以上のように、液晶パネル1とは別個のドライバにより駆動されるバックライト6を利用することで、表示系の故障検知結果を液晶表示装置の画面の輝度や色彩の変化として通知することができ、視認者に対して液晶表示装置の故障警告を確実に行うことができる。また、バックライト6による表示画面の輝度や色彩の変化は視認者に認識され易いため、液晶表示装置に故障が発生したことをわかり易く警告することができる。
【0020】
なお、前述の実施形態では、画像処理部2が液晶駆動ドライバ4と画像処理回路5との両方を含む液晶表示装置を示したが、画像処理部2として液晶駆動ドライバ4のみを含み、画像処理回路5を含まない場合、又は両回路を入れ替えた反対の場合もある。このような構成の液晶表示装置においては、電源回路3と液晶駆動ドライバ4又は画像処理回路5との間の電源ラインのみ監視回路8で監視することによっても、本発明の効果が得られる。
【0021】
また、本発明の液晶表示装置はこれら構成に限らず、少なくとも電源回路と画像処理部との間の電源ラインの監視によって故障検知可能であり、バックライトドライバによりバックライトの輝度や色彩等の発光条件の変化が可能な構成であれば、種々の変更が可能である。また、本発明は、バックライト方式に限らずフロントライト方式の場合にも適用可能である。
【0022】
さらに、前述の実施形態では、表示部に液晶パネルを用いた液晶表示装置を例に挙げたが、画像表示に際して光源からの照明光を必要とする非自発光型の表示装置であれば同様に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の液晶表示装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1 液晶パネル、2 液晶駆動ドライバ、3 電源回路、4 液晶駆動ドライバ、5 画像処理回路、6 バックライト、7 バックライトドライバ、8 監視回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非自発光型の表示部と、
外部から入力された画像信号及び制御信号に基づき前記表示部を駆動する画像処理部と、
前記画像処理部に電力を供給する電源回路と、
前記表示部に光を照射する光源と、
前記光源に電力を供給し、前記光源の輝度制御を行う光源ドライバと、
前記電源回路と前記画像処理部との間の電源ラインの電流値及び電圧値の少なくとも一方からなる監視値を監視する監視回路とを備え、
前記監視回路は、前記監視値が所定の範囲外となったとき故障が発生したことを示す故障検知信号を前記光源ドライバに出力し、
前記光源ドライバは前記故障検知信号を受けて前記光源の発光条件を変化させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像処理部は前記表示部を駆動する駆動ドライバ及び前記駆動ドライバを制御する画像処理回路の少なくとも一方を備え、
前記監視回路は、前記駆動ドライバ及び前記画像処理回路の少なくとも一方と前記電源回路との間の電源ラインの監視値を監視することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記監視回路は前記画像処理回路からのデータに基づき制御されることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部が液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−96660(P2008−96660A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277761(P2006−277761)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】