説明

表示装置

【課題】電気モータにより駆動される表示部を有する表示装置において、構成を簡略にする。
【解決手段】位置センサ22により検出された表示部16の位置、動きに基づき、電気モータ20の制御を行う。表示部16が静止しているときに、これが動かされたことが検知されると、このときの位置と動きの方向により、所定の方向に、所定の位置まで表示部16を移動させるよう、電気モータ20を制御する。電気モータ20の作動の指示を行うためのスイッチ類を、外部に対し露出させて設ける必要がなくなり、構成が簡略となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を備えた表示部が移動することで、表示画面の格納および露出を行う表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両のインストルメントパネルに組み込まれた表示装置が開示されている。この表示装置は、カーナビゲーション装置の表示装置であり、インストルメントパネルの上面に、回動可能に設置されている。回動することにより、使用しないときは表示画面を下に向け、表示画面の背面側がインストルメントパネルと一体となるようにして表示画面を格納し、使用するときには表示画面を正面、すなわち搭乗者を向く位置とすることができる。また、この文献に記載された表示装置は、モータに駆動されて回動する。
【0003】
【特許文献1】特開2000−39847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気モータ等の駆動源により駆動されて表示画面が開閉する表示装置において、開閉動作を指示するためのスイッチが必要である。一般的には、押しボタン型スイッチなどの外部に露出したスイッチを設け、これを操作することにより電気モータに指令する。しかし、スイッチを設けるスペースが必要となる。例えば、上記の特許文献1の装置のように、車両のインストルメントパネルに当該装置を設置する場合、インストルメントパネルには、他の車両搭載機器のスイッチ等が設置されるため、必要なスペースが得られないことがある。
【0005】
本発明は、電気モータの駆動により、表示画面が格納され、また展開される表示装置において、格納および展開の指示を外部に露出されたスイッチによらずに行う装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、表示画面を備え、表示画面が格納された格納位置と、表示画面が露出した展開位置との間で移動可能な表示部を有している。この表示部の移動は、電気モータにより駆動されることにより実現されている。また、表示部の移動方向における位置を検出するための位置センサが設けられている。位置センサにより、表示部が所定の位置で静止しているときに、これが動いたことが検出されると、制御部は、その静止していた位置と動きの方向に基づき、表示部が所定の方向に、所定の位置まで移動するように、電気モータを制御する。
【0007】
表示部が格納位置にあるときに、当該表示部が展開位置から離れる方向に移動したことを位置センサが検出すると、制御部は、表示部を展開位置まで移動させる指令を電気モータに対して行うものとできる。また、表示部が展開位置にあるとき、当該表示部が格納位置から離れる方向に移動したことを位置センサが検出すると、制御部は、表示部を格納位置まで移動させる指令を電気モータに対して行うものとできる。
【0008】
さらに、格納位置と展開位置の間に、少なくとも一つの中間展開位置を設定することができ、電気モータはこの位置に表示部を移動させることができる。このとき、表示部が展開位置か、または最も格納位置に近い中間展開位置以外の中間展開位置にあるとき、当該表示部が格納位置側に移動したことを位置センサが検出すると、制御部は、そのときの位置より一つ格納位置に近い中間展開位置まで表示部を移動させる指令を電気モータに対して行うものとできる。
【0009】
表示部が最も格納位置に近い中間展開位置にあるとき、当該表示部が格納位置側に移動したことを位置センサが検出すると、制御部は、展開位置に表示部を移動させる指令を電気モータに対して行うものとできる。
【0010】
また、表示部が中間展開位置にあるとき、当該表示部が展開位置側に移動したことを位置センサが検出すると、制御部は、格納位置に表示部を移動させる指令を電気モータに対して行うものとできる。
【0011】
また、制御部は、表示部が格納位置になる直前の静止している位置を記憶し、次に表示部を展開する際には、その記憶している位置まで表示部を移動させるように電気モータに対して指令を行うものとできる。
【発明の効果】
【0012】
表示部の位置を検出する位置センサを利用して、表示部の移動を制御することにより、外部に露出したスイッチを設ける必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の表示装置10の概略構成を示す図である。図示する表示装置10は、車両のインストルメントパネルの上面12に設けられた装置である。表示画面14を備えた表示部16は図中の矢印Aの方向に沿って回動可能である。この回動によって、表示部16は、図2(a)に示す表示画面14を正面側、すなわち車両の搭乗者側に向けた展開位置と、図2(b)に示す表示画面14を下側に向けて格納した格納位置をとることができる。格納位置において、表示部16の、表示画面14の反対側の面である意匠面18は、インストルメントパネルの上面12とほぼ面一となって、インストルメントパネル全体に一体感を持たせている。
【0014】
表示部16は、電気モータ(以下、単にモータと記す。)20により格納位置と展開位置との間で回動される。さらに、表示部16の回動方向における位置を検出する位置センサ22が設けられている。位置センサ22は、表示部16の位置に応じた位置信号を、制御部24に対し出力する。制御部24には、この位置信号に基づきモータ20の動作を制御する。
【0015】
表示部16は、格納位置と展開位置の間の中間展開位置でも停止することができる。図3には、表示部16の取り得る静止位置の例が示されている。展開位置にある表示部16が実線で示されており、格納位置が一点鎖線で示されている。格納位置における表示画面14の位置(符号26で示される)を0°とし、図3中左回りに角度位置θをとる。展開位置にある表示画面14の角度位置が符号28で示されている。表示部16は、この例では、二つの中間展開位置をとることができる。この中間展開位置が符号30,32で示され、展開位置に近い方を第1中間展開位置30、遠い方を第2中間展開位置32と記す。中間展開位置30,32を設けることにより、表示画面14の向きを、搭乗者の希望に合わせた向きに調節することを可能とする。また、照明等の表示画面14への映り込みを目立たなくするようにできる。
【0016】
図4は、表示装置10の回路構成を示すブロック図である。制御部24として機能するCPU(中央処理装置)には、車載バッテリからの電源線(+B)、キーシリンダからのアクセサリ信号線(ACC)、イグニッション信号線(IG)、およびグランド線(GND)が接続されている。CPU24には、位置センサ22からの位置信号が入力される。この位置信号は、表示部16の角度位置θに対応した電圧信号である。CPU24は、この電圧値により表示部16の角度位置θを認識する。CPU24はまた、インタフェイス(I/F)36を介してモータ20を制御する。液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイで構成される表示パネル34にはフレキシブルプリント配線板(FPC)等を介して、映像信号が送られる。
【0017】
図5は、表示部16の開閉動作の説明のためのタイミングチャートである。(a)は、アクセサリ信号線(ACC)のオンオフを示し、これがオンの時のみ、表示部16の駆動が許可される。(b)は、表示部16の角度位置θを示し、図においては表示部16が停止する位置として格納位置、展開位置、第1および第2展開位置が示されている。表示部16がこれらの停止しているとき、搭乗者が表示部16を動かすと、この動きの向き、および停止していた位置に基づき、モータが駆動されて表示部が回動する。
(1)表示部16が格納位置にあるときには、角度位置θが小さくなったことが検知されると、表示部16は回動駆動されて、展開位置に達する。
(2)表示部16が展開位置にあるときに、角度位置θが大きくなったことが検知されると、表示部16は回動駆動されて、格納位置に達する。
(3)表示部16が展開位置にあるときに、角度位置θが小さくなったことが検知されると、表示部16は第1中間展開位置まで回動される。
(4)表示部16が第1中間展開位置にあるときに、角度位置θが小さくなったことが検知されると、表示部16は第2中間展開位置まで回動される。
(5)表示部16が第2中間展開位置にあるときに、角度位置θが小さくなったことが検知されると、表示部16は展開位置まで回動される。
【0018】
表示部の回動制御について、図6〜9のフローチャートを用いて、更に詳細に説明する。説明にあたって、表示部16の角度位置θの範囲を図3のようにグループ分けする。第1の範囲R1は、格納位置26と第2中間展開位置32の間および第2中間展開位置32の範囲である。第2の範囲R2は第2中間展開位置32と第1中間展開位置30の間および第1中間展開位置の範囲である。第3の範囲R3は、第1中間展開位置30と展開位置28の間および展開位置の範囲である。
【0019】
図6および図7は、表示部の開閉動作の制御を示すフローチャートである。位置センサ22からの位置信号に基づき、表示部16の動きが監視される。まず、表示部16が、静止している位置から、角度位置θを小さくする方向に動いたかが判断される(S100)。角度位置θが小さくなる方向に動いた場合(Yes)、静止していた位置が、どの位置であったかが判断され(S102)、その位置に応じた目標位置、すなわち表示部16が移動して次に静止する位置が設定される(S104〜S110)。表示部16が第3の範囲R3に静止していた場合には、目標位置が第1中間展開位置30に設定される(S104)。表示部16が第2の範囲R2に静止していた場合には、目標位置が第2中間展開位置32に設定される(S106)。表示部16が第1の範囲R1に静止していた場合には、目標位置は展開位置28に設定される(S108)。表示部16が格納位置26にあった場合には、前回展開していた時の表示部の位置(以下、前回展開位置と記す。)に目標位置が設定される(S110)。前回展開位置は、表示部16を格納したときに、その前の静止位置、すなわち展開位置28、第1または第2中間展開位置30,32が記憶されており、この記憶された位置がステップS110にて目標位置に設定される。なお、前回展開位置の初期値は、展開位置28に設定されている。表示部16の位置が、これ以外であると認識された場合、エラーであると考えられ、そのまま終了する。
【0020】
ステップS100にて、表示部16が角度位置θを小さくする方向には動いていない(No)と判断されると、角度位置θを大きくする方向に動いたかが判断される(S200)。この方向にも動いていない場合(No)、表示部16は動かされておらず、開閉動作制御は終了する。角度位置θを大きくする方向に動いている場合(Yes)、静止していた位置が、どの位置であったかが判断され(S202)、その位置に応じた目標位置の設定(S204〜S208)および前回展開位置の記憶(S210〜S214)が行われる。
【0021】
表示部16が第3の範囲R3に静止していた場合は、目標位置が格納位置28に設定され(S204)、前回展開位置として展開位置28が記憶される(S210)。表示部16が第2の範囲R2に静止していた場合、目標位置が格納位置28に設定され(S206)、前回展開位置として第1中間展開位置30が記憶される(S212)。表示部16が第1の範囲R1に静止していた場合は、目標位置が格納位置28に設定され(S208)、前回展開位置として第2中間展開位置32が記憶される(S214)。表示部16の位置が上記以外とされた場合、エラーであると考えられ、制御を中止し終了する。
【0022】
図6に戻って説明する。設定された目標位置と表示部位置が比較され(S112,S114)、表示部位置より目標位置が大きい、すなわち表示部16を展開位置に向けて移動させる必要がある場合には、表示部の開動作制御が実行される(S116)。表示部位置より目標位置が小さい、すなわち表示部16を格納位置に向けて移動させる必要がある場合には、表示部の閉動作制御が実行される(S118)。
【0023】
図8は、ステップS116(図6参照)の表示部の開動作制御のフローチャートである。前述のように、目標位置の設定は、このフローが実行される以前に完了している。制御部24は、位置センサ22からの位置信号を用いて表示部16の位置を監視しつつ、モータ20を角度位置θが大きくなる方向に駆動する。この間、表示部16の位置と、設定された、すなわち制御部24内のメモリに記憶された目標位置とを比較し、これらが一致するまでモータの駆動を続ける。目標位置に達したら、モータ20を停止する。
【0024】
図9はステップS118(図6参照)の表示部の閉動作制御のフローチャートである。前述のように、目標位置の設定は、このフローが実行される以前に完了している。制御部24は、位置センサ22からの位置信号を用いて表示部の位置を監視しつつ、モータ20を角度位置θが小さくなる方向に駆動する。この間、表示部16の位置と、設定された目標位置を比較し、これらが一致するまでモータの駆動を続ける。目標位置に達したら、モータを停止する。
【0025】
表示部16が手前に引かれた場合(θを小さくする向き)、制御が始まる前の表示部16が展開位置28にある場合には閉動作制御が実行され、第1中間展開位置30に制御され、第1中間展開位置30にある場合には同じく閉動作制御が実行され、第2中間展開位置32に制御される。
【0026】
また、表示部16が手前に引かれた場合であっても、制御が始まる前の表示部16が第2中間展開位置32ある場合には、開動作制御が実行され展開位置28に移動される。表示部16が格納位置26にあった場合に、表示部を押し込むと(θを小さくする向き)、開動作制御が実行され、その前に展開していたときの表示部16の位置、すなわち前回展開位置まで移動される。これは、図7のステップS210〜S214にて記憶された位置である。この前回展開位置を記憶しておくことで、前回表示部16を展開して使用していたときと同じ状態を再現することができる。
【0027】
静止している表示部16を奥方向へ押した場合(θを大きくする向き)、格納位置を除く、いずれの位置にあっても、上記の閉動作制御が実行され、表示部16がどこにあった場合であっても、格納位置26へと制御される。この開動作制御実行前の位置が、前回展開位置として記憶され、次に、表示部16を展開するときには、この記憶された前回展開位置まで展開される。
【0028】
中間展開位置は、2カ所でなく、1カ所でもよく、3カ所以上とすることもできる。また、中間展開位置を設けなくてもよい。表示部の格納、展開は、回動以外の動作で行われてもよい。例えば、スライド動作により表示部の格納、展開を実現することもでき、回動とスライドを組み合わせた動作を採用することもできる。また、車両のインストルメントパネルに備えられた表示部に限らず、表示部がモータで駆動されて格納、展開される表示装置について、上述の制御を実行するようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の表示装置10の概略構成を示す図である。
【図2】表示部16の展開状態と格納状態を示す図である。
【図3】表示部16の角度位置θについての説明図である。
【図4】表示装置10の電気回路の構成を示す図である。
【図5】表示部16の開閉動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】表示部16の開閉動作の制御を示すフローチャートである。
【図7】表示部16の開閉動作の制御を示すフローチャートである。
【図8】表示部16の開動作制御のフローチャートである。
【図9】表示部16の閉動作制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
10 表示装置、14 表示画面、16 表示部、20 モータ、22 位置センサ、24 制御部、26 格納位置、28 展開位置、30 第1中間展開位置、32 第2中間展開位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を備えた表示部を、表示画面が格納された格納位置と、表示画面が露出した展開位置との間で移動可能な表示装置であって、
表示部を、格納位置と展開位置の間で移動させる電気モータと、
表示部の位置を検出する位置センサと、
位置センサが、表示部が静止した状態から動かされたことを検出した場合、その静止していた位置と動かされた方向とに基づき、当該表示部を所定の方向に、所定の位置まで移動させるよう電気モータを制御する制御部と、
を有する、表示装置
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
制御部は、位置センサが、表示部が格納位置に静止しているとき展開位置より離れる方向に移動したことを検出した場合、表示部が展開位置まで移動するよう電気モータを制御し、また位置センサが、表示部が展開位置に静止しているとき更に格納位置より離れる方向に移動したことを検出した場合、表示部が移動位置まで移動するよう電気モータを制御する、
を有する、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
電気モータは、表示部を、格納位置と展開位置の間の少なくとも一つの中間展開位置に移動させることができ、
位置センサが、表示部が、格納位置に最も近い中間展開位置以外の中間展開位置または展開位置に静止しているとき格納位置方向に移動したことを検出した場合、制御部は、そのときの位置より一つ格納位置側の中間展開位置まで表示部が移動するよう電気モータを制御する、
表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、位置センサが、表示部が、格納位置に最も近い中間展開位置に静止しているとき格納位置方向に移動したことを検出した場合、制御部は、表示部が展開位置まで移動するよう電気モータを制御する、表示装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の表示装置であって、位置センサが、表示部が、中間展開位置に静止しているとき展開位置方向に移動したことを検知した場合、制御部は、表示部が格納位置まで移動するように電気モータを制御する、表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の表示装置であって、制御部は、表示部が格納位置となる直前の静止していた位置を記憶し、次回、表示部を展開する際に、この直線の停止していた位置まで表示部が移動するよう電気モータを制御する、表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−1065(P2009−1065A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161607(P2007−161607)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】