説明

表示装置

【課題】表示装置において、簡易な構成で、光効率を増加させる。
【解決手段】表示装置2は、カラーフィルタ、フォトニック結晶、及びライト27を備える。カラーフィルタは、R色のカラーフィルタ22rと、G色のカラーフィルタ22gと、B色のカラーフィルタ22bとを有する。フォトニック結晶は、フォトニック結晶23r、23g、23bを有する。ライト27から出射された光が、フォトニック結晶23rに入射すると、R色の光だけが透過してカラーフィルタ22rに入射し、R色以外の光は反射する。そして、G色とB色の光は、反射面26aによって反射し、フォトニック結晶23gに入射すると、G色の光だけが透過してカラーフィルタ22gに入射し、G色以外の色の光はフォトニック結晶23gで反射する。そして、B色の光は、反射面26aによって反射し、フォトニック結晶23bに入射すると、B色の光だけがカラーフィルタ22bに入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特にフォトニック結晶を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラーフィルタと、2つの偏光板と、液晶層と、ライトとを備える液晶表示装置が知られている。この種の液晶表示装置は、ライトから出射された光が、偏光板、液晶層、カラーフィルタ、偏光板の順に透過し外部に出射する。この種の液晶表示装置では、ライトから出射された光の光量が、カラーフィルタで3分の1、偏光板でさらに2分の1に減少するので、光効率が悪いという問題がある。
【0003】
近年、光が伝播できない波長域(フォトニック・バンド・ギャップ)が形成されたフォトニック結晶を用いた液晶表示装置が知られている。特許文献1には、フォトニック結晶を用いた反射型液晶表示装置が開示されている。しかし、この液晶表示装置では、ライトから出射された光の光効率を改善することができない。
【0004】
また、特許文献2には、フォトニック結晶を用いて、電圧によってフォトニック・バンド・ギャップの大きさを調節することにより光調節を行うことができる表示装置が開示されている。また、特許文献3には、電極間にフォトニック結晶を設けて光を変調または発光させる表示装置が開示されている。しかし、これらの表示装置では、電圧調整等を行うための構成が必要であるため装置が複雑になるという問題がある。
【特許文献1】特開2004−4810号公報
【特許文献2】特開2004−62206号公報
【特許文献3】特開2003−344831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、光効率を増加させることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光源から出射される光を選択的に透過させるR、G、B各色のカラーフィルタと、光を反射する反射面を有する反射板とを備える表示装置において、前記カラーフィルタのそれぞれが透過させる光に対応する光を透過させると共に、該カラーフィルタのそれぞれが透過させない光に対応する光を反射させるフォトニック結晶をさらに備え、前記フォトニック結晶は、前記反射板の前記反射面と前記カラーフィルタとの間に配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記フォトニック結晶は、偏光依存性を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の表示装置において、前記フォトニック結晶は、前記カラーフィルタにおける、前記反射板と対向する面上に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示装置において、前記フォトニック結晶は、偏光依存性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、フォトニック結晶は、反射板の反射面とカラーフィルタとの間に配置されるので、従来はカラーフィルタを通過せず、吸収されて損失となっていた光がフォトニック結晶及び反射面で反射され、所定のカラーフィルタに入射するまで反射され続ける。そのため、簡易な構成で、光効率を増加させることができる。
【0011】
また、フォトニック結晶は、カラーフィルタに入射する光の波長域を制限できるので、該カラーフィルタに入射する光の色純度を向上させることができ、表示装置の色再現範囲を拡大させることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、フォトニック結晶は偏光依存性を有するので、従来と異なり、表示装置に偏光板を設ける必要がないので、偏光板による光量の軽減を防ぐことができ、簡易な構成で、光効率を増加させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、フォトニック結晶が、カラーフィルタにおける反射板と対向する面上に配置されるので、カラーフィルタ側からフォトニック結晶に入射する光を、該フォトニック結晶が反射することによって生じる表示装置の著しいコントラストの低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置(以下、LCDという;請求項における表示装置)を備える携帯電話について、図1を参照して説明する。図1は、携帯電話1の外観を示す。
【0015】
携帯電話1は、各種の画像等を表示するためのLCD2と、音声等のデータの送受信を行うための通信部3と、ユーザによって操作される操作部4と、音声を入力するためのマイク5と、通話による音声を出力するスピーカ6と、装置各部を制御する制御用マイコン(図示せず)とを備える。LCD2には、制御用マイコンによってメッセージや画像等が表示される。
【0016】
次に、LCD2について、図2を参照して説明する。図2は、LCD2の概略構成を示す側断面である。ここでは、図中の白抜き矢印方向に光が出射されるものとする。LCD2は、外側(光の出射方向)から内側に向かって順に、第1の偏光板21、カラーフィルタ22、フォトニック結晶23、液晶層24、第2の偏光板25、及び反射板26を備えている。また、LCD2は、反射板26の近傍に光を出射するためのライト27をさらに備える。
【0017】
第1の偏光板21及び第2の偏光板25は、一方向のみの光を通過させ、他方の光を吸収、あるいは、反射や散乱などによって遮断する機能を持つものである。カラーフィルタ22は、R(赤)、G(緑)、B(青)各色から構成される。
【0018】
フォトニック結晶23は、RGB各色のカラーフィルタ22のそれぞれが透過させる光に対応する光を透過させると共に、カラーフィルタ22のそれぞれが透過させない光に対応する光を反射させるものである。詳細については後述する。フォトニック結晶23の製造は、例えば、フォトニックラティス社の自己クローニング法を用いることによって行う。
【0019】
反射板26は、光を反射する反射面26aを有する。反射面26aは、フォトニック結晶23と対向する向きに設けられ、ライト27から出射された光を反射したり、フォトニック結晶23によって反射された光をさらに反射する。
【0020】
次に、カラーフィルタ22及びフォトニック結晶23の詳細構成について、図3を参照して説明する。RGB各色のカラーフィルタ22(図2参照)は、R色の光を出射するカラーフィルタ22rと、G色の光を出射するカラーフィルタ22gと、B色の光を出射するカラーフィルタ22bとを有する。フォトニック結晶23(図2参照)は、第1のフォトニック結晶23rと、第2のフォトニック結晶23gと、第3のフォトニック結晶23bとを有する。
【0021】
第1のフォトニック結晶23rは、カラーフィルタ22rにおける、反射板26の反射面26aと対向する面上に配置される。また、第1のフォトニック結晶23rは、R(赤)色の光を透過させると共に、R色以外の光を透過させずに反射させる。具体的には、第1のフォトニック結晶23rは、赤色に対して補色関係にあるシアン色の光の波長域にフォトニック・バンド・ギャップ(PBG)を有する3次元フォトニック結晶である。
【0022】
第2のフォトニック結晶23gは、カラーフィルタ22gにおける、反射板26の反射面26aと対向する面上に配置される。第2のフォトニック結晶23gは、G(緑)色の光を透過させると共に、G色以外の光を透過させずに反射させる。具体的には、第2のフォトニック結晶23gは、緑色に対して補色関係にあるマゼンタ色の光の波長域にフォトニック・バンド・ギャップ(PBG)を有する3次元フォトニック結晶である。
【0023】
第3のフォトニック結晶23bは、カラーフィルタ22bにおける、反射板26の反射面26aと対向する面上に配置される。第3のフォトニック結晶23bは、B(青)色の光を透過させると共に、B色以外の光を透過させずに反射させる。具体的には、第3のフォトニック結晶23bは、青色に対して補色関係にある光の波長域にフォトニック・バンド・ギャップ(PBG)を有する3次元フォトニック結晶である。
【0024】
次に、ライト27から出射された光の進行状態について、前出図3、図4、及び図5を参照して説明する。図3乃至図5は、順に、ライト27から出射された光がLCD2の外部へ出射する際の様子を示し、図中のLはライト27から出射された光を示す。まず、ライト27から出射されたRGBの3色を含む光Lが、図3に示すように、第1のフォトニック結晶23rに入射すると、R色の光だけが第1のフォトニック結晶23rを透過してカラーフィルタ22rに入射する。一方、R色以外の色の光(ここではG色とB色の光)は、第1のフォトニック結晶23rによって反射される。
【0025】
そして、図4に示すように、G色とB色の光は、反射面26aによって再度反射され、第2のフォトニック結晶23gに入射すると、G色の光だけが第2のフォトニック結晶23gを透過してカラーフィルタ22gに入射する。一方、G色以外の色の光(ここではB色の光)は第2のフォトニック結晶23gで反射する。
【0026】
そして、図5に示すように、B色の光は、反射面26aによって再度反射し、第3のフォトニック結晶23bに入射すると、B色の光だけが第3のフォトニック結晶23bを透過してカラーフィルタ22gに入射する。一方、B色以外の色の光は第3のフォトニック結晶23bで反射する。
【0027】
上述したように、本実施形態に係るLCD2によれば、フォトニック結晶23は、反射板26の反射面26aとカラーフィルタ22との間に配置されるので、従来はカラーフィルタを通過せず、吸収されて損失となっていた光がフォトニック結晶23及び反射面26aで反射され、所定のカラーフィルタ22に入射するまで反射され続ける。そのため、簡易な構成で、光効率を増加させることができる。
【0028】
また、上述したフォトニック結晶23は、偏光依存性を有するものであってもよい。この場合、LCD2には、偏光板を設ける必要がないので、従来と異なり偏光板による光量の減少を防ぐことができ、簡易な構成で、光効率を増加させることができる。偏光依存性を有するフォトニック結晶23の製造方法は、積層構造であるフォトニック結晶23の層のピッチを変えながら積層することによって行う。
【0029】
また、フォトニック結晶23が、カラーフィルタ22における、反射板26の反射面26aと対向する面上に配置されるので、カラーフィルタ22側からフォトニック結晶23に入射する光を、該フォトニック結晶23が反射することによって生じる著しいコントラストの低下を防ぐことができる。
【0030】
また、フォトニック結晶23は、カラーフィルタ22に入射する光の波長域を制限できるので、該カラーフィルタに入射する光の色純度を向上させることができ、LCD2の色再現範囲を拡大させることができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、カラーフィルタがRGB色の3色から構成される場合について説明したが、これに限られず、任意の数の色から構成されるカラーフィルタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係るLCDを備える携帯電話の外観を示す斜視図。
【図2】上記LCDの内部構成を示す概略側断面図。
【図3】上記LCDのカラーフィルタとフォトニック結晶の構成と光の出射状態を示す説明図。
【図4】上記LCDのカラーフィルタとフォトニック結晶における光の出射状態を示す説明図。
【図5】上記LCDのカラーフィルタとフォトニック結晶における光の出射状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0033】
2 LCD(表示装置)
22 カラーフィルタ
23 フォトニック結晶
26 反射板
27 ライト(光源)
22r カラーフィルタ
22g カラーフィルタ
22b カラーフィルタ
23r 第1のフォトニック結晶
23g 第2のフォトニック結晶
23b 第3のフォトニック結晶
26a 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光を選択的に透過させるR、G、B各色のカラーフィルタと、
光を反射する反射面を有する反射板とを備える表示装置において、
前記カラーフィルタのそれぞれが透過させる光に対応する光を透過させると共に、該カラーフィルタのそれぞれが透過させない光に対応する光を反射させるフォトニック結晶をさらに備え、
前記フォトニック結晶は、前記反射板の前記反射面と前記カラーフィルタとの間に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フォトニック結晶は、偏光依存性を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記フォトニック結晶は、前記カラーフィルタにおける、前記反射板と対向する面上に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、液晶表示装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−128823(P2009−128823A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306349(P2007−306349)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】