表示装置
【課題】ランニングコストの低減が図られると共に、表示内容の更新に際する物理的な損傷のおそれを低減せしめ、更に、表示装置乃至は制御装置の機種変更にも有利に対応することの出来る、新規な構造の表示装置を提供すること。
【解決手段】コレステリック液晶素子20を備えた液晶表示装置12と、該液晶表示装置12との間で電力および制御信号を伝送する表示制御装置14とを互いに独立して別体形成すると共に、電磁誘導作用を利用して信号送受信を行なう制御用対向型インターフェースにおける一方のコイルヘッド38,39を該液晶表示装置12に装着せしめると共に他方84,85を該表示制御装置14に装着せしめる一方、電磁誘導作用を利用して電力送受信を行なう給電用対向型インターフェースにおける一方のコイルヘッド40,41を該液晶表示装置12に装着せしめると共に他方86,87を該表示制御装置14に装着せしめた。
【解決手段】コレステリック液晶素子20を備えた液晶表示装置12と、該液晶表示装置12との間で電力および制御信号を伝送する表示制御装置14とを互いに独立して別体形成すると共に、電磁誘導作用を利用して信号送受信を行なう制御用対向型インターフェースにおける一方のコイルヘッド38,39を該液晶表示装置12に装着せしめると共に他方84,85を該表示制御装置14に装着せしめる一方、電磁誘導作用を利用して電力送受信を行なう給電用対向型インターフェースにおける一方のコイルヘッド40,41を該液晶表示装置12に装着せしめると共に他方86,87を該表示制御装置14に装着せしめた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を用いた表示装置に係り、特に、コレステリック液晶を用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の数字や文字、図形を表示する表示装置として液晶表示器が広く用いられている。液晶表示器は、陰極線管などに比して薄く小型に出来ることから、近年ではテレビのみならず、駅の広告や時刻表、或いはスーパーの値札や病室の患者名を示す名札などへの利用も検討されている。
【0003】
ところで、液晶表示器としては、ネマティック液晶が用いられたものが多い。このような液晶表示器は、一般的には、少なくとも一枚が透明とされた電極板間に挟まれるネマティック液晶に電圧を印加して、液晶分子の配列状態を変化せしめることによってその光学的性質を変化せしめるようになっている。そして、ネマティック液晶においては、電圧が除去されると分子の配列状態が元に戻ってしまうことから、表示内容を保つためには、液晶に常に電圧を印加していなければならなかった。それ故、液晶表示器の外部から常に電力を供給するか、例えば特許文献1に記載のように、太陽電池などの電源を内蔵する必要があって、表示内容の更新がそれほど頻繁でもない上述の広告や名札などに適用するには不経済であった。
【0004】
そこで、近年では、電力の供給を停止しても表示内容を保持することの出来るコレステリック液晶が実用化されつつある。コレステリック液晶は、ネマティック液晶とは異なる分子構造を有しており、画面の光を通すフォーカルコニック状態と、特定の光を反射(波長選択反射)するプレーナ状態の何れの状態も電圧を印加しなくても安定する双安定性を有している。これにより、電力を供給しなくても表示内容を保持することが可能となり、書き換えの頻度がそれ程多くは無い上述の広告や名札などに好適に採用することが出来る。
【0005】
しかし、コレステリック液晶においても、表示内容を書き換える際には電力が必要である。そこで、表示内容を書き換える際には、例えば特許文献2や特許文献3に開示されているように、液晶を備える表示装置と表示装置の作動を制御する制御装置をコネクタ接続することによって、電力を供給すると共にシリアル通信などを用いて制御コマンドを送信して表示内容を書き換えるようになっている。
【0006】
ところが、かかる書き換え時にコネクタを抜き差しすることによって、コネクタに無理な力が加わって破損するおそれがあった。特に製造工程においては、正常な書き換えが行なえるか否かを検査するためにコネクタを抜き差しする回数も多くなり、コネクタを破損するおそれがより高かった。また、表示装置および制御装置の何れかのコネクタ形状に変更が生じると、他方のコネクタも交換しなければならず、コネクタが多種になると対応することが困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開平8−160386号公報
【特許文献2】特開平7−128680号公報
【特許文献3】特開平8−166590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ランニングコストの低減が図られると共に、表示内容の更新に際する物理的な損傷のおそれを低減せしめ、更に、表示装置乃至は制御装置の機種変更にも有利に対応することの出来る、新規な構造の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様は、コレステリック液晶素子および該コレステリック液晶素子の駆動回路を含んで構成された液晶表示装置と、該液晶表示装置の該駆動回路との間で、表示制御信号を送受信するコントロール回路および電力を供給する給電回路を含んで構成された表示制御装置とを、相互に独立して別体形成すると共に、第一のコイル部材に第一のコア部材を組み合わせて該第一のコイル部材の周囲に磁路を形成した第一のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第一のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して信号送受信を行う制御用対向型インターフェースを構成し、該制御用対向型インターフェースにおける該一対の第一のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめる一方、第二のコイル部材に第二のコア部材を組み合わせて該第二のコイル部材の周囲に磁路を形成した第二のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第二のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して電力送受信を行う給電用対向型インターフェースを構成し、該給電用対向型インターフェースにおける該一対の第二のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめたコレステリック液晶表示装置にある。
【0011】
本態様に従う構造とされたコレステリック液晶装置においては、表示素子としてコレステリック液晶を採用したことから、電圧を印加せずとも表示内容を保持することが出来る。これにより、表示内容を維持するために常に電力を供給することが不要とされて、ランニングコストの軽減を図ることが出来る。従って、表示内容の書き換え頻度がそれほど多くない例えば駅の広告や時刻表、スーパーの値札や病室の名札等に好適に適用することが出来る。
【0012】
そして、信号の送受信を行う制御用対向型インターフェースと電力の送受信を行う給電用対向型インターフェースを備えたことによって、表示制御装置から液晶表示装置に信号と電力の両方を同時に送信することが出来る。従って、表示内容の書き換え時にのみ電力が必要とされるコレステリック液晶を備えた液晶表示装置に対して、電力が必要とされる信号の送受信時、換言すれば表示内容の書き換え時にのみ電力を供給することが出来て、効率の良い電力供給を行うことが可能となる。これにより、液晶表示器の省電力化が図られるのみならず、液晶表示装置に蓄電池などの電源装置を内蔵することも不要とされることから、液晶表示装置の回路構成をより簡易にすることが出来て、製造をより容易にすることが出来ると共に、液晶表示装置のコンパクト化を図ることも出来る。即ち、本態様に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置においては、表示内容の書き換え時以外は電力の供給を必要としないコレステリック液晶の特性を巧く利用して、液晶表示装置には情報を表示するために最低限必要な構成のみを備え、液晶表示装置と独立して形成された表示制御装置にコントロール回路および給電回路を備えてこれらコントロール回路および給電回路を液晶表示装置から切り離して構成することによって、液晶表示装置のコンパクト化と省電力化を図ることが可能とされたのである。
【0013】
さらに、特に本態様におけるコレステリック液晶表示装置においては、液晶表示装置と表示制御装置が相互に独立して別体形成されており、コイルヘッドのコア部材によって形成された送受面を相互に対向位置せしめることによって、表示制御装置と液晶表示装置を物理的に接続することの無い非接触状態で電力および信号の送受信を行うことが出来る。従って、例えばコネクタ接続のような抜き差しに際する物理的な損傷のおそれを回避することが出来る。また、コネクタのような嵌合が不要とされることによって、互いのコア部材やコイル部材の形状変更にもより柔軟に対応することが出来て、液晶表示装置乃至は表示制御装置に機種変更が生じた場合にもより柔軟に対応することが出来る。加えて、互いのコア部材の送受面を非接触状態で対向位置せしめるのみで電気的な接続が行えることから、接続の自由度も向上せしめられて、液晶表示装置と表示制御装置の電気的な接続をより容易に行うことも出来る。
【0014】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記制御用対向型インターフェースと前記給電用対向型インターフェースの少なくとも一方において、前記コイルヘッドを構成する前記コア部材及び前記コイル部材の少なくとも一方を該コイルヘッドが装着された前記液晶表示装置又は前記表示制御装置に対して着脱可能としたことを、特徴とする。
【0015】
本態様に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置においては、コア部材およびコイル部材の交換を容易に行うことが出来る。これにより、要求される信号および電力の送受信の精度や大きさのレベル、或いは電磁ノイズなどの周囲の環境に応じて、コア部材およびコイル部材を適当なものに変更したりチューニングすることがより容易になると共に、コア部材やコイル部材の形状変更にもより柔軟に対応することが出来る。
【0016】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に電磁遮蔽部材が配設されていることを、特徴とする。本態様によれば、コイルヘッドから生ぜしめられる電磁波が他の電子部品に与える影響を抑えることが出来ると共に、他の電子部品から受けるノイズを軽減することも出来て、信号および電力の送受信をより安定して行うことが出来る。
【0017】
本発明の第四の態様は、前記第一乃至三の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に低透磁率部材が配設されていることを、特徴とする。本態様によれば、コア部材の周囲の比透磁率をコア部材よりも十分に低くすることによって、コア部材からの漏れ磁束をより有効に抑えることが出来て、より優れた伝送効率を得ることが出来る。ここにおいて、低透磁率部材としては、例えばポリテトラフルオロエチレンやエポキシ樹脂等従来公知の部材が適宜に採用可能である。なお、本態様においては、前記第三の態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記コア部材と前記電磁遮蔽部材との間に低透磁率部材が介在せしめられている態様が、好適に採用される。このようにすれば、コイルヘッドから発せられる磁力線によって電磁遮蔽部材に生ぜしめられる渦電流を抑えることが出来て、渦電流によってコイルヘッドの磁気エネルギーが吸収されるようなことを抑えることが出来る。
【0018】
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記液晶表示装置及び前記表示制御装置のそれぞれにおける前記第一のコイルヘッドと前記第二のコイルヘッドが同心軸上に配設されていることを、特徴とする。
【0019】
本態様によれば、第一および第二の一対のコイルヘッドをスペース効率良く配設することが出来て、液晶表示装置および表示制御装置の更なるコンパクト化を図ることが出来る。それと共に、液晶表示装置および表示制御装置に設けられたコイルヘッドの周方向の位置決めも不要とされることから、表示内容を書き換える際に互いのコイルヘッドの位置合わせをより容易に行うことが出来て、書き換えの作業効率を向上することも出来る。
【0020】
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が同一平面上に位置せしめられていることを、特徴とする。本態様によれば、液晶表示装置および表示制御装置に設けられた第一および第二のコア部材を容易に対向位置せしめることが出来る。
【0021】
本発明の第七の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が異なる平面上に位置せしめられていることを、特徴とする。
【0022】
本態様によれば、信号送受信を行なう第一のコア部材と電力送受信を行なう第二のコア部材のそれぞれが対向せしめられる位置をずらすことによって、第一のコア部材間で生ぜしめられる電磁誘導作用と第二のコア部材間で生ぜしめられる電磁誘導作用が他方に及ぼす影響を軽減することが出来る。これにより、送信電力の損失や信号ノイズの発生を抑えて、より安定した送受信を行なうことが出来る。
【0023】
本発明の第八の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコイルヘッド及び前記第二のコイルヘッドが共通のコア部材及びコイル部材によって構成されていることを、特徴とする。本態様によれば、第一のコイルヘッド及び第二のコイルヘッドを単一のコア部材とコイル部材で構成することによって、液晶表示装置及び表示制御装置の更なるコンパクト化を図ることが出来る。
【0024】
本発明の第九の態様は、前記第一乃至第八の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材がポット型コアであることを、特徴とする。本態様によれば、ポット型コアの中心軸上で磁束を生ぜしめることによって、受信側のコイルに磁束を安定して鎖交せしめることが出来る。これにより、信号及び電力のより安定した送受信を行なうことが出来る。なお、本態様は、特に前記第五の態様と組み合わせて好適に用いられる。即ち、第一及び第二のコア部材として周方向の位置合わせが不要とされるポット型コアを用いると共に、これら第一及び第二のコア部材を同心軸上に配設することによって、液晶表示装置と表示制御装置のそれぞれに設けられたコイルヘッドを周方向で位置合わせすることが不要とされることから、コレステリック液晶素子の書き換えの作業効率を向上することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としてのコレステリック液晶表示装置10を示す。コレステリック液晶表示装置10は、互いに独立して別体形成された表示装置としての液晶表示器12と、液晶表示器12に電力を供給すると共に制御信号の送受信を行なうことによって液晶表示器12の作動を制御する表示制御装置としてのコントローラ14とを含んで構成されている。
【0027】
より詳細には、液晶表示器12の内部には、図2および図3に示す液晶モジュール16が収容されている。液晶モジュール16は、例えばシリコン等から形成された絶縁性を有する基板18の一方の面に、コレステリック液晶素子としての液晶パネル20が設けられる一方、液晶パネル20の反対側の面には、液晶パネル20の作動を制御するための駆動回路22、液晶パネル20に電力を供給するための整流安定化回路24、コントローラ14との間で制御信号の送受信を行なうための液晶側通信用回路26、およびコントローラ14との間で電力および制御信号の送受信を行なうための一次側伝送用端子28等の各種の電子部品が設けられている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、表面とは液晶パネル20が設けられた面を言い、裏面および背面とは、液晶パネル20と反対側の面を言うものとする。
【0028】
液晶パネル20は、従来公知のコレステリック液晶を用いた液晶パネルであり、コレステリック液晶の特徴である双安定性を利用することによって、電圧が印加されずともその表示内容が維持出来るようにされている。かかる液晶パネル20には、行電極を1行毎に順次走査する走査ドライバ回路30と、表示しようとする画像データに基づいて、走査された行電極上の所望する列に対応する列電極に駆動電圧を印加するデータドライバ回路32が接続されている。そして、これら走査ドライバ回路30およびデータドライバ回路32はフラットケーブル34と電気的に接続されており、かかるフラットケーブル34が基板18を回り込んで、基板18における液晶パネル20の反対側の面に設けられたコネクタ36と接続されることによって、駆動回路22等と電気的に接続されている。
【0029】
さらに、基板18における液晶パネル20と反対側の面には、一次側伝送用端子28が設けられている。図4および図5に、一次側伝送用端子28を示す。一次側伝送用端子28は、第一のコイル部材としての信号用一次側コイル38が巻回せしめられた第一のコア部材としての信号用一次側コア39と、第二のコイル部材としての電力用一次側コイル40が巻回せしめられた第二のコア部材としての電力用一次側コア41とが、収容ケース42に収容されて構成されている。
【0030】
信号用一次側コア39は、フェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図5中、右方向)の端面43に開口するリード溝44が全周に亘って形成されている。そして、リード溝44内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、信号用一次側コイル38が形成されている。これにより、本実施形態においては、信号用一次側コア39および信号用一次側コイル38によって、液晶表示器12側の第一のコイルヘッドが構成されており、信号用一次側コア39によって信号用一次側コイル38の磁路が形成されると共に、信号用一次側コア39の端面43が送受面とされている。なお、信号用一次側コイル38の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、信号用一次側コイル38をリード溝44の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、信号用一次側コイル38をリード溝44内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0031】
一方、電力用一次側コア41は、フェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図5中、右方向)の端面46に開口するリード溝48が全周に亘って形成されている。ここにおいて、電力用一次側コア41の内径寸法は、信号用一次側コア39の外径寸法よりも大きくされている。そして、リード溝48内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、電力用一次側コイル40が形成されている。これにより、本実施形態においては、電力用一次側コア41および電力用一次側コイル40によって、液晶表示器12側の第二のコイルヘッドが構成されており、電力用一次側コア41によって電力用一次側コイル40の磁路が形成されると共に、電力用一次側コア41の端面46が送受面とされている。なお、電力用一次側コイル40の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、電力用一次側コイル40をリード溝48の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、電力用一次側コイル40をリード溝48内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0032】
そして、信号用一次側コア39および電力用一次側コア41が、一次側収容ケース42に収容状態で組み付けられている。一次側収容ケース42は、例えばアルミニウムや銅等の非磁性材料で形成されており、軸方向(図5中、左右方向)の中間部分を挟んだ一方に小径部50が形成されると共に、他方に小径部50よりも大きな径寸法を有する大径部52が同心軸上に形成されることによって、大径部52の中央から小径部50が突出せしめられた全体として段付円柱形状を有している。
【0033】
さらに、一次側収容ケース42の小径部50には、突出先端面に開口する円形の第一開口部54が形成されている一方、大径部52には、小径部50が形成された側の端面に開口すると共に小径部50よりも大きな内径寸法を有する円環形状の第二開口部56が形成されている。そして、第一開口部54に信号用一次側コア39が収容されている一方、第二開口部56に電力用一次側コア41が収容されている。かかる収容状態において、信号用一次側コア39と電力用一次側コア41は同心軸上に配設されると共に、それぞれ、送受面となる端面43、46を除く外周部分が一次側収容ケース42に覆われるようになっている。これにより、一次側収容ケース42によって電磁遮蔽構造が構成されており、信号用一次側コア39や電力用一次側コア41から漏れ出す磁力線が、基板18に設けられた各電子部品に影響を与えたり、基板18に設けられた各電子部品からの磁力線が信号用一次側コア39や電力用一次側コア41の電磁誘導作用に影響を与えるおそれが軽減されている。
【0034】
さらに、特に本実施形態においては、信号用一次側コア39および電力用一次側コア41と一次側収容ケース42との間には、低透磁率部材としてのギャップ部材58,60が介在せしめられており、両コア39,41は、送受面となる端面43,46を除く外周面がギャップ部材58,60によって覆われている。ここにおいて、ギャップ部材58,60としては、比透磁率の小さな従来公知の部材が適宜に採用可能であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレンやエポキシ樹脂などが例示される。より好適には、ギャップ部材58,60としては、非導電性を有する部材が採用される。本実施形態においては、ギャップ部材58,60としてポリテトラフルオロエチレンが用いられている。これにより、両コア39,41からの漏れ磁束が抑えられると共に、磁力線の影響によって一次側収容ケース42に渦電流が生ぜしめられることも抑えられており、渦電流によって両コア39,41の磁気エネルギーが減少せしめられるおそれも軽減されている。
【0035】
このような一次側伝送用端子28は、基板18における背面の隅部に配設されている。そして、図6に示すように、液晶モジュール16を液晶パネル20の反対側から覆って収容する背面ケース61に形成された開口部62を通じて、信号用一次側コア39および電力用一次側コア41それぞれの送受面となる端面43,46が、液晶モジュール16の背面に露出せしめられるようになっている。
【0036】
一方、コントローラ14は、入力装置64に送信機66が接続された構造とされている。入力装置64は、数値や文字を入力可能なキーボードやボタン等によって構成された入力部68と、入力内容や各種情報を表示可能な液晶表示板等によって構成された表示部70を備えている。
【0037】
そして、入力装置64には、入力装置64の駆動電力を供給すると共に、液晶表示器12に駆動電力を供給するための給電回路としての電源回路72(図11参照)や、入力部68からの入力情報に基づいて液晶表示器12の作動を制御するコントロール回路としての制御回路74(図11参照)が内蔵されている。
【0038】
さらに、入力装置64には、接続ケーブル76を介して送信機66が接続されている。図7にも示すように、送信機66は、略棒形状とされた把持部78を有しており、かかる把持部78の一方の端部から、接続ケーブル76が延び出されている一方、他方の端部には、把持部78の延出方向(図7中、上下方向)から略直角に屈曲せしめられて先端部が開口せしめられた開口部80が形成されている。そして、開口部80に、二次側伝送用端子82が露出せしめられている。
【0039】
図8および図9に、二次側伝送用端子82を示す。二次側伝送用端子82は、第一のコイル部材としての信号用二次側コイル84が巻回せしめられた第一のコア部材としての信号用二次側コア85と、第二のコイル部材としての電力用二次側コイル86が巻回せしめられた第二のコア部材としての電力用二次側コア87とが、二次側収容ケース88に収容されて構成されている。
【0040】
信号用二次側コア85は、例えばフェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図9中、左方向)の端面89に開口するリード溝90が全周に亘って形成されている。そして、リード溝90内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、信号用二次側コイル84が形成されている。これにより、本実施形態においては、信号用二次側コア85および信号用二次側コイル84によって、コントローラ14側の第一のコイルヘッドが構成されており、信号用二次側コア85によって信号用二次側コイル84の磁路が形成されると共に、信号用二次側コア85の端面89が送受面とされている。なお、信号用二次側コイル84の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、信号用二次側コイル84をリード溝90の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、信号用二次側コイル84をリード溝90内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0041】
一方、電力用二次側コア87は、例えばフェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図9中、左方向)の端面91に開口するリード溝92が全周に亘って形成されている。ここにおいて、電力用二次側コア87の内径寸法は、信号用二次側コア85の外径寸法よりも大きくされている。そして、リード溝92内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、電力用二次側コイル86が形成されている。これにより、本実施形態においては、電力用二次側コア87および電力用二次側コイル86によって、コントローラ14側の第二のコイルヘッドが構成されており、電力用二次側コア87によって電力用二次側コイル86の磁路が形成されると共に、電力用二次側コア87の端面91が送受面とされている。なお、電力用二次側コイル86の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、電力用二次側コイル86をリード溝92の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、電力用二次側コイル86をリード溝92内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0042】
そして、信号用二次側コア85および電力用二次側コア87が、二次側収容ケース88に収容状態で組み付けられている。二次側収容ケース88は、例えばアルミニウムや銅等の非磁性材料で形成されており、軸方向一方(図9中、左方向)の端面93に開口する開口部94が中央部分に形成された全体として略有底円筒形状とされている。
【0043】
さらに、二次側収容ケース88の開口部94には、底面95に開口する円形の第一開口部96が形成されている一方、開口部94の外側には、端面93に開口する円環形状の第二開口部97が形成されている。そして、第一開口部96に信号用二次側コア85が収容されている一方、第二開口部97に電力用二次側コア87が収容されている。かかる収容状態において、信号用二次側コア85と電力用二次側コア87は同心軸上に配設されると共に、それぞれ、送受面となる端面89、91を除く外周部分が二次側収容ケース88に覆われるようになっている。これにより、二次側収容ケース88によって電磁遮蔽構造が構成されており、信号用二次側コア85や電力用二次側コア87から漏れ出す磁力線がコントローラ14に設けられた他の電子部品に影響を与えたり、コントローラ14に設けられた各電子部品からの磁力線が信号用二次側コア85や電力用二次側コア87の電磁誘導作用に影響を与えるおそれが軽減されている。
【0044】
さらに、特に本実施形態においては、信号用二次側コア85および電力用二次側コア87と二次側収容ケース88との間には、低透磁率部材としてのギャップ部材98、99が介在せしめられている。ギャップ部材98,99は、前述のギャップ部材58,60と略同様の構造とされており、両コア85,87は、送受面となる端面89、91を除く外周面がギャップ部材98,99によって覆われている。これにより、両コア85,87からの漏れ磁束が抑えられると共に、磁力線の影響によって二次側収容ケース88に渦電流が生ぜしめられることも抑えられており、渦電流によって両コア85,87の磁気エネルギーが減少せしめられるおそれも軽減されている。
【0045】
このような二次側伝送用端子82は、接続ケーブル76を介して、入力装置64に設けられた電源回路72や制御回路74と電気的に接続された状態で、開口部80を通じて送信機66の外部に露出せしめられている。
【0046】
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、液晶表示器12の表示内容を更新する場合には、コントローラ14に適当な書換情報を入力した後に、図10に示すように、液晶表示器12の一次側伝送用端子28の小径部50を、コントローラ14の二次側伝送用端子82の開口部94に嵌め入れるようにして、これら一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を重ね合わせる。これにより、信号用一次側コア39の端面43と、信号用二次側コア85の端面89が僅かに離隔した非接触状態で対向位置せしめられて、信号用一次側コイル38と信号用二次側コイル84が電磁結合せしめられると共に、電力用一次側コア41の端面46と電力用二次側コア87の端面91が僅かに離隔した非接触状態で対向位置せしめられて、電力用一次側コイル40と電力用二次側コイル86が電磁結合せしめられる。その結果、液晶表示器12とコントローラ14との間で、互いに非接触の状態で制御信号および電力の伝送が行えるようになっている。このように、本実施形態においては、信号用一次側コイル38、信号用一次側コア39と、信号用二次側コイル84、信号用二次側コア85によって制御用対向型インターフェースが構成されていると共に、電力用一次側コイル40、電力用一次側コア41と、電力用二次側コイル86、電力用二次側コア87によって給電用対向型インターフェースが構成されている。ここにおいて、特に本実施形態においては、一次側収容ケース42が全体として凸形状断面とされる一方、二次側収容ケース88が全体として凹形状断面とされていることによって、信号用一次側コア39および信号用二次側コア85の端面43、89と、電力用一次側コア41および電力用二次側コア87の端面46、91が、異なる平面上で対向位置せしめられるようになっている。なお、図10においては、一次側伝送用端子28における端面43,46と二次側伝送用端子82における端面89,91が僅かに離隔せしめられており、本実施形態においては、このような非接触状態で制御信号および電力の伝送が可能とされているが、これら端面43、89および46、91を互いに接触せしめても良い。
【0047】
次に、図11に基づいて、コントローラ14から液晶表示器12に供給される電力の伝送経路を説明する。先ず、コントローラ14の電源回路72には、インバータ104が接続されている。インバータ104としては、例えば、CVCF型やVVVF型の従来公知のインバータが適宜に採用可能である。そして、電源回路72の直流電圧が、インバータ104によって高周波電圧に変換される。ここにおいて、インバータ104によって変換された高周波電圧の周波数(出力周波数)は、供給する電力や使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜500MHz程度の範囲内で適当に設定されている。
【0048】
そして、インバータ104によって変換された高周波電圧が、電力用二次側コイル86に給電されることによって、電力用二次側コイル86を貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生する。電力用二次側コイル86を貫く磁束は、電力用二次側コア87から液晶表示器12に設けられた電力用一次側コア41の中を通って、電力用一次側コイル40と鎖交する。その結果、電力用一次側コイル40には、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、電力用二次側コイル86に供給された高周波電圧が、電力用一次側コイル40から取り出される。このようにして、電源回路72から供給される電力が、電力用二次側コイル86から電力用一次側コイル40に非接触の状態で伝送される。そして、電力用一次側コイル40から取り出された高周波電圧は、整流安定化回路24によって直流電圧に変換された後に、駆動回路22や液晶側通信用回路26に供給される。
【0049】
次に、図11に基づいて、コントローラ14と液晶表示器12の間で送受信される制御信号の伝送経路を説明する。先ず、コントローラ14の制御回路74には、制御側通信用回路106が接続されている。そして、制御回路74によって生成された制御信号は、制御側通信用回路106によって高周波電圧に重畳された後に、信号用二次側コイル84に供給される。なお、制御信号が重畳される高周波電圧は、制御側通信用回路106によって生成されるようになっており、その周波数は、制御信号のデータサイズや使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜10GHz程度の範囲内で適当に設定されている。
【0050】
そして、信号用二次側コイル84に高周波電圧が給電されることによって、信号用二次側コイル84を貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生する。信号用二次側コイル84を貫く磁束は、信号用二次側コア85から液晶表示器12に設けられた信号用一次側コア39の中を通って、信号用一次側コイル38と鎖交する。その結果、信号用一次側コイル38には、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、信号用二次側コイル84に供給された高周波電圧が、信号用一次側コイル38から取り出される。このようにして、制御回路74から送信された制御信号が、信号用二次側コイル84から信号用一次側コイル38に非接触の状態で伝送される。そして、信号用一次側コイル38から取り出された高周波電圧に重畳されている制御信号は、液晶側通信用回路26によって取り出された後に、駆動回路22に送信される。これにより、駆動回路22は、受信した制御信号に基づいて走査ドライバ回路30およびデータドライバ回路32の作動を制御することによって、液晶パネル20に目的とする画像を表示する。そして、本実施形態においては、液晶パネル20としてコレステリック液晶が用いられていることから、送信機66を液晶表示器12から離して、液晶表示器12への電力の供給を停止しても、表示内容が維持されるのである。
【0051】
なお、本実施形態においては、例えば液晶パネル20の書き換えが完了したことを通知する制御信号を液晶表示装置12からコントローラ14に向けて送信する場合等のように、液晶表示器12からコントローラ14へ制御信号を送信することも可能とされている。液晶表示器12からコントローラ14への制御情報を送信する場合には、前記コントローラ14から液晶表示器12へ制御情報を送信した場合とは逆に、駆動回路22で生成された制御信号が、液晶側通信用回路26で高周波電圧に重畳されて信号用一次側コイル38から信号用二次側コイル84に信号用一次側コア39および信号用二次側コア85を介して非接触の状態で伝送された後に、制御側通信用回路106によって高周波電圧から取り出されて、制御回路74に送信されることとなる。
【0052】
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10においては、液晶パネル20としてコレステリック液晶を採用したことによって、表示内容を維持するために常に電力を供給することが不要とされる。これにより、液晶表示器12の省電力化を図ることが出来る。
【0053】
そして、コントローラ14から液晶表示器12への制御信号の送受信時に、コントローラ14から液晶表示器12に駆動用の電力が供給されるようになっている。これにより、液晶表示器12内に電源装置を内蔵せしめることが不要とされて、液晶表示器12をよりコンパクトに構成することが出来る。即ち、本実施形態におけるコレステリック液晶表示装置10においては、書き換え時にのみ電力が必要とされるコレステリック液晶の特性を巧く利用して、書き換えに際する制御信号の送受信時に、書き換えに必要な駆動電力をコントローラ14から液晶表示器12に併せて供給することによって、液晶表示器12内に電源装置を内蔵せしめることを不要として、液晶表示器12のコンパクト化を図り得たのである。
【0054】
さらに、本実施形態においては、液晶パネル20の表示内容を書き換える場合には、液晶表示器12の一次側伝送用端子28にコントローラ14の二次側伝送用端子82を非接触の状態で対向位置せしめることによって、液晶表示器12に対する電力の供給と制御信号の送受信が可能とされている。これにより、コネクタのような物理的な接続が不要とされて、繰り返しの書き換えによっても、液晶表示器12とコントローラ14との接続部分を損傷してしまうおそれを軽減することが出来る。それと共に、一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を対向位置せしめるのみで液晶表示器12とコントローラ14の電気的な接続が可能とされることから、接続の自由度も大きくされて、容易に接続することが出来る。特に本実施形態においては、信号用一次側及び二次側コア39、85と、電力用一次側及び二次側コア41,87として何れもポット型コアを採用したことによって、これらの送受面が回転対称形状とされていることから、両伝送用端子28、82の周方向の位置決めも不要とされており、接続をより容易に行なうことが可能とされている。更にまた、一次側伝送用端子28が全体として凸状断面とされていると共に、二次側伝送用端子82が全体として凹状断面とされていることから、互いに凹凸嵌合せしめるようにして、軸直方向の位置合わせを容易に行うことも可能とされている。
【0055】
加えて、特に本実施形態においては、信号用一次側コア39と信号用二次側コア85の対向面と、電力用一次側コア41と電力用二次側コア87の対向面が異なる平面上に位置せしめられている。これにより、制御信号を伝送する電磁波と電力を伝送する電磁波が互いに影響を及ぼすことが軽減されて、ノイズの発生や電力の損失を抑えることも出来る。
【0056】
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、例えばスーパーの値札、病院において病室の患者名を示す名札、駅構内の時刻表やポスターなど、表示内容を更新する頻度がそれ程多くない様々な用途に好適に用いることが出来る。以下に、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置10の具体的な使用例を幾つか示すが、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置の用途が以下の使用例に限定されることを示すものではないことが理解されるべきである。
【0057】
例えば、本発明に従う構造とされた液晶表示器12を、図12に示すように、スーパーの陳列棚の値札として用いることが出来る。本用途においては、陳列棚110の柵112に、液晶表示器12が取り付けられており、液晶表示器12の液晶パネル20には、商品の値段が表示されている。そこにおいて、本発明に従う構造とされた液晶表示器12においては、電池などを内蔵することが不要とされていることから、特に食材の近辺などにも衛生的に配設することが出来る。そして、陳列する商品を交換したり、商品の値段を変更する場合には、例えばスーパーの店員がコントローラ14を持ち歩いて、変更後の商品名や値段をコントローラ14に入力した後に、前述のように当該液晶表示器12の一次側伝送用端子28に送信機66の二次側伝送用端子82を重ね合わせることによって、液晶表示器12の表示内容を変更することが出来る。
【0058】
また、図13に示すように、液晶表示器12を病室の患者名を示す名札として用いることも出来る。本用途においては、病院の壁114に、液晶表示器12が取り付けられており、液晶表示器12の液晶パネル20には、病室内の入院患者の氏名が表示されている。そして、入院患者が入れ替わった場合には、前記と同様に、コントローラ14を用いて液晶表示器12に表示されている患者名を変更することが出来る。
【0059】
さらに、図14に示すように、液晶表示器12をポスターとして使用することも出来る。ここにおいて、表示内容がボタン入力が困難な画像などの場合には、例えば別途コンピュータ等を用いて表示しようとする画像を作成し、かかる画像データをケーブル接続等を用いてコンピュータからコントローラ14内に予め記憶せしめる。そして、コントローラ14に記憶された画像データを液晶表示器12に伝送することによって、写真や絵柄などの画像も液晶表示器12に容易に表示させることが出来る。
【0060】
また、例えば液晶表示器12を大型のポスターなどに用いる場合には、図14にも示すように、一次側伝送用端子28を液晶パネル20と同じ側に露出せしめることも可能である。このようにすれば、液晶表示器12の表側から送信機66を重ね合わせることが出来ることから、液晶表示器12の裏面を壁面に固定すること等も可能となる。
【0061】
更にまた、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、図15に示すように、液晶表示器12の製造工程において好適に用いることが出来る。即ち、液晶表示器12の製造工程においては、作動を検査するために液晶表示器12とそれを駆動せしめるコントローラ14との接続を行う機会が多くなるが、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置10によれば、液晶表示装置12とコントローラ14を互いに非接触状態で接続出来ることから、例えばコネクタ接続などのように、繰り返しの物理的な接続に起因して損傷するようなおそれも軽減されるのである。
【0062】
ここにおいて、図15にも示すように、液晶表示器12の一次側伝送用端子28を液晶表示器12の表面に露出せしめた構造とすれば、製造ライン上を流れる各液晶表示器12に順に送信機66を重ねることによって、液晶表示装置12の検査をより容易に行なうことが出来る。
【0063】
以上、本発明の一実施形態と幾つかの用途について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態および用途における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。なお、以下に記載の各構成において、前述の実施形態と実質的に同じ部材については、前述の実施形態と同一の符号を付することによって、詳細な説明を省略する。
【0064】
例えば、前記実施形態においては、一次側伝送用端子28における信号用一次側コア39と電力用一次側コア41、および二次側伝送用端子82における信号用二次側コア85と電力用二次側コア87は、互いに同心軸上に配設されると共に、それらの端面43,46、89,91が異なる平面上に位置せしめられていたが、例えば図16乃至図18に示す一次側伝送用端子130及び図19に示す二次側伝送用端子132のように、これらコア39,41および85,87の中心軸を異ならせると共に、これらの端面43,46および89,91を同一平面上に位置せしめるなどしても良い。
【0065】
本態様における一次側伝送用端子130および二次側伝送用端子132は、互いに略同様の構造とされていることから、一次側伝送用端子130を例に説明すると、本態様における収容ケース134は、略矩形ブロック形状とされており、一方の端面135に開口する第一開口部136および第二開口部138が形成されている。そして、これら第一開口部136および第二開口部138に、前述の実施形態と同様の構造とされた信号用一次側コア39および電力用一次側コア41が、ギャップ部材58,60を介して収容状態で組み付けられている。かかる収容状態において、送受面とされる信号用一次側コア39の端面43および電力用一次側コア41の端面46が、収容ケース134の端面135と同一平面上に位置せしめられている。また、二次側伝送用端子132は、一次側伝送用端子130と略同様の構造とされた収容ケース134に、信号用二次側コア85および電力用二次側コア87が、一次側伝送用端子130と左右(図16および図19中、左右方向)を反対に配設されて、信号用二次側コア85の端面89および電力用二次側コア87の端面91が、一次側伝送用端子130の信号用一次側コア39の端面43および電力用一次側コア41の端面46と重なり合うようにされている。
【0066】
このような構造とされた一次側伝送用端子130および二次側伝送用端子132は、図20に示すように、互いに離隔した非接触状態で重ね合わされることによって、信号用一次側コア39の端面43と信号用二次側コア85の端面89、および電力用一次側コア41の端面46と電力用二次側コア87の端面91が、互いに非接触状態で対向位置せしめられることとなる。このようにすれば、一次側伝送用端子130および二次側伝送用端子132の軸方向寸法(図20中、左右方向寸法)を小さくすることが出来ると共に、一次側および二次側伝送用端子130,132を容易に重ね合わせることが出来る。
【0067】
また、図21に信号用一次側コア39および信号用一次側コイル38を例として示すように、コア部材やコイル部材を基板18から取外し可能にするなどしても良い。本態様においては、一方に開口する有底筒形状の取付金具140が基板18に設けられている。そして、かかる取付金具140の開口部に信号用一次側コア39が着脱可能に嵌め込まれると共に、信号用一次側コア39に、信号用一次側コイル38が着脱可能に差し込まれるようになっている。なお、信号用一次コイル38を構成するリード線のそれぞれの端部にはコネクタ142、142が設けられており、基板18に設けられたコネクタ144、144と嵌合せしめられることによって、基板18に設けられた電子部品と電気的に接続されるようになっている。また、図21に示す取付金具140は有底形状とされているが、底部は必ずしも必要ではなく、例えば取付金具140として軸方向両側に開口する筒形状のものを採用する等しても良い。
【0068】
このようにすれば、要求される伝送精度や電磁ノイズなどの周囲の環境に応じて、コア部材およびコイル部材を適当なものに変更したりチューニングすることがより容易となる。なお、本態様においては、取付金具140を例えばアルミニウムなどの非磁性材料で形成することによって、取付金具140を電磁遮蔽部材として用いる態様が好適に採用されるが、電磁遮蔽部材は必ずしも必要ではない。従って、コア部材を着脱可能とするその他の態様としては、例えば、コア部材を基板18にネジ止めするなどしても良い。また、本態様から明らかなように、前述の実施形態におけるギャップ部材58も必ずしも必要ではないが、例えば、信号用一次側コア39と取付金具140の間にギャップ部材58を介在せしめることも勿論可能である。
【0069】
また、前記実施形態においては、例えば一次側伝送用端子28における信号用一次側コア39と電力用一次側コア41は、電磁遮蔽部材としての共通の一次側収容ケース42に収容されていたが、電磁遮蔽部材は必ずしも単一の部材である必要は無いのであって、それぞれのコア部材用に電磁遮蔽部材を設けて、それぞれのコア部材を各別に電磁遮蔽部材で覆うことも可能である。
【0070】
更にまた、図22および図23に信号用一次側コア39を例に示すように、基板18の厚さ方向に貫通する挿通孔150を形成して、かかる挿通孔150に信号用一次側コア39を挿通せしめて基板18に固定することも可能である。本態様においては、信号用一次側コイル38は、基板18における液晶パネル20と反対側の面上に、プリント配線によって形成されている。そして、信号用一次側コア39が、基板18における液晶パネル20と同じ側から挿通孔150に挿通されて、液晶パネル20と反対側に突出せしめられることによって、信号用一次側コア39のリード溝44内に信号用一次側コイル38が収容されるようになっている。なお、本態様における信号用一次側コア39のリード溝44の外周壁部の一部には切欠152が形成されており、かかる切欠152を通じて、信号用一次側コイル38のプリント配線が信号用一次側コア39の外に延び出されるようになっている。
【0071】
なお、図22においては、信号用一次側コア39の端面43が液晶パネル20の反対側に位置せしめられていたが、例えば、信号用一次側コア39を基板18における液晶パネル20と反対側から挿し通して、端面43を液晶パネル20側に向けて配設することも可能である。このようにすれば、例えば信号用一次側コア39を液晶パネル20の背後に位置せしめて視認不可能とすることによって液晶表示器12の外観を向上せしめることが出来る。それと共に、コントローラ14に設けられた二次側伝送用端子82を液晶パネル20の正面から重ね合わせて背後の一次側伝送用端子28と重ね合わせることが出来ることから、液晶表示器12の正面側から一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を対向位置せしめることが出来て、電力及び信号の伝送を容易に行なうことも出来る。
【0072】
また、二次側伝送用端子82を備える送信機66の具体的な構造は前述の如き態様に限定されるものではなく、例えば図24に示すような送信機160を採用することも可能である。送信機160は、ヒンジ162を中心に開閉可能なクリップ164の一方の先端部分に、二次側伝送用端子82が設けられている。なお、二次側伝送用端子82は、前記実施形態と同様に、接続ケーブル76によってコントローラ14と接続されている。そして、クリップ164で液晶表示器12を挟むことによって、液晶表示器12に設けられた一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を重ね合わせることが出来る。このようにすれば、一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82の重ね合わせ状態を安定して維持することが出来て、電力及び信号の伝送をより安定して行なうことが出来る。
【0073】
さらにまた、前述の実施形態においては、一次側伝送用端子28および二次側伝送用端子82のそれぞれにおいて、制御用対向型インターフェースを構成するコイルヘッドと給電用対向型インターフェースを構成するコイルヘッドが別途に設けられていたが、例えば図25に示すように、1つのコイルヘッドを、制御用対向型インターフェースおよび給電用対向型インターフェースとして共通して使用することも可能である。本態様における液晶表示器12およびコントローラ14には、それぞれ、単一のコア部材(図示せず)およびコイル170、172によって構成されたコイルヘッドが設けられている。
【0074】
なお、単一のコア部材およびコイルから構成されるコイルヘッドは、例えば前記実施形態における一次側及び二次側伝送用端子28,82のそれぞれから、信号用コア39、85と信号用コイル38、84の組および電力用コア41、87と電力用コイル40、86の組の何れか一方を取り除くことによって容易に構成することが出来る。そして、液晶表示器12に設けられたコイル170に、液晶側通信用回路26と整流安定化回路24が接続される一方、コントローラ14に設けられたコイル172に、制御側通信用回路106とインバータ104が接続されている。
【0075】
このようにすれば、一つのコイル170,172を液晶側通信用回路26、制御側通信用回路106間、およびインバータ104、整流安定化回路24間で共通して用いることが出来て、部品点数を抑えると共に、コイルヘッドのコンパクト化を図ることも出来る。更に、1組のコイルヘッドを対向位置せしめるのみで済むことから、両コイルヘッドの位置合わせをより容易且つ確実に行なうことが出来て、信号及び電力の伝送精度の向上も図られ得る。
【0076】
また、前述の実施形態においては、各コア39,41、85,87のリード溝44、48、90,92は何れも外部に開口せしめられていたが、例えば、各コア39,41、85,87と同様の強磁性材によって、これらリード溝44、48、90,92を覆蓋する等しても良い。
【0077】
更にまた、前述の実施形態においては、互いに対向位置せしめられる信号用一次側コア39と信号用二次側コア85や、電力用一次側コア41と電力用二次側コア87は、互いに略等しい内径寸法および外径寸法を有していたが、これらの寸法は必ずしも互いに等しくされている必要は無いのであって、伝送に支障が生じない程度に異ならされていても良い。
【0078】
加えて、互いに独立して形成された第一のコイル部材と第二のコイル部材を、互いの磁路が干渉しないように共通のコア部材に組み付けることによって、第一のコア部材と第二のコア部材を共通のコア部材を用いて構成する等しても良い。このようにしても、両コイルヘッドの位置合わせを容易に行なうことが出来る。即ち、本発明は、第一のコイルヘッドと第二のコイルヘッドを一体化した構造を含む。具体的には、例えば特開平7−66057号公報に開示されているように、単一のコア部材に対して第一のコイル部材と第二のコイル部材を巻装することで、単一のコア部材で第一および第二のコア部材を構成し、信号送受信用の磁路と電力送受信用の磁路の両方がかかるコア部材において構成されるようにしても良い。
【0079】
また、前記実施形態におけるコントローラ14はあくまでも例示であって、例えば入力装置64としてコンピュータを用いて、前記入力装置64に設けられた入力部68および表示部70として、コンピュータのキーボードおよびモニタを用いる等してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態としてのコレステリック液晶表示装置を示す説明図。
【図2】液晶モジュールの正面を概略的に示す説明図。
【図3】同液晶モジュールの背面を概略的に示す説明図。
【図4】液晶表示装置に設けられるコイルヘッドを概略的に示す正面図。
【図5】図4におけるV−V断面に相当する説明図。
【図6】液晶表示装置の背面を概略的に示す説明図。
【図7】送信機の正面を概略的に示す説明図。
【図8】表示制御装置に設けられるコイルヘッドを概略的に示す正面図。
【図9】図8におけるIX−IX断面に相当する説明図。
【図10】図4及び図8に示したコイルヘッドを重ね合わせた状態を概略的に示す断面説明図。
【図11】コレステリック液晶表示装置を概略的に示すブロック図。
【図12】液晶表示装置の使用例を説明するための説明図。
【図13】液晶表示装置の異なる使用例を説明するための説明図。
【図14】液晶表示装置の更に異なる使用例を説明するための説明図。
【図15】液晶表示装置の更に異なる使用例を説明するための説明図。
【図16】液晶表示装置に設けられるコイルヘッドの異なる態様を概略的に示す正面図。
【図17】図16におけるXVII−XVII断面に相当する説明図。
【図18】図16におけるXVIII−XVIII断面に相当する説明図。
【図19】表示制御装置に設けられるコイルヘッドの異なる態様を概略的に示す正面図。
【図20】図16及び図19に示したコイルヘッドを重ね合わせた状態を概略的に示す断面説明図。
【図21】コア部材およびコイル部材の異なる態様を説明するための説明図。
【図22】コア部材およびコイル部材の更に異なる態様を説明するための説明図であって、図23におけるXXII−XXII断面に相当する説明図。
【図23】コア部材およびコイル部材の更に異なる態様を説明するための説明図。
【図24】表示制御装置の異なる態様を説明するための説明図。
【図25】コレステリック液晶表示装置の異なる態様を概略的に示すブロック図。
【符号の説明】
【0081】
10:コレステリック液晶表示装置、12:液晶表示器、14:コントローラ、20:液晶パネル、22:駆動回路、38:信号用一次側コイル、39:信号用一次側コア、40:電力用一次側コイル、41:電力用一次側コア、72:電源回路、74:制御回路、84:信号用二次側コイル、85:信号用二次側コア、86:電力用二次側コイル、87:電力用二次側コア
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を用いた表示装置に係り、特に、コレステリック液晶を用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の数字や文字、図形を表示する表示装置として液晶表示器が広く用いられている。液晶表示器は、陰極線管などに比して薄く小型に出来ることから、近年ではテレビのみならず、駅の広告や時刻表、或いはスーパーの値札や病室の患者名を示す名札などへの利用も検討されている。
【0003】
ところで、液晶表示器としては、ネマティック液晶が用いられたものが多い。このような液晶表示器は、一般的には、少なくとも一枚が透明とされた電極板間に挟まれるネマティック液晶に電圧を印加して、液晶分子の配列状態を変化せしめることによってその光学的性質を変化せしめるようになっている。そして、ネマティック液晶においては、電圧が除去されると分子の配列状態が元に戻ってしまうことから、表示内容を保つためには、液晶に常に電圧を印加していなければならなかった。それ故、液晶表示器の外部から常に電力を供給するか、例えば特許文献1に記載のように、太陽電池などの電源を内蔵する必要があって、表示内容の更新がそれほど頻繁でもない上述の広告や名札などに適用するには不経済であった。
【0004】
そこで、近年では、電力の供給を停止しても表示内容を保持することの出来るコレステリック液晶が実用化されつつある。コレステリック液晶は、ネマティック液晶とは異なる分子構造を有しており、画面の光を通すフォーカルコニック状態と、特定の光を反射(波長選択反射)するプレーナ状態の何れの状態も電圧を印加しなくても安定する双安定性を有している。これにより、電力を供給しなくても表示内容を保持することが可能となり、書き換えの頻度がそれ程多くは無い上述の広告や名札などに好適に採用することが出来る。
【0005】
しかし、コレステリック液晶においても、表示内容を書き換える際には電力が必要である。そこで、表示内容を書き換える際には、例えば特許文献2や特許文献3に開示されているように、液晶を備える表示装置と表示装置の作動を制御する制御装置をコネクタ接続することによって、電力を供給すると共にシリアル通信などを用いて制御コマンドを送信して表示内容を書き換えるようになっている。
【0006】
ところが、かかる書き換え時にコネクタを抜き差しすることによって、コネクタに無理な力が加わって破損するおそれがあった。特に製造工程においては、正常な書き換えが行なえるか否かを検査するためにコネクタを抜き差しする回数も多くなり、コネクタを破損するおそれがより高かった。また、表示装置および制御装置の何れかのコネクタ形状に変更が生じると、他方のコネクタも交換しなければならず、コネクタが多種になると対応することが困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開平8−160386号公報
【特許文献2】特開平7−128680号公報
【特許文献3】特開平8−166590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ランニングコストの低減が図られると共に、表示内容の更新に際する物理的な損傷のおそれを低減せしめ、更に、表示装置乃至は制御装置の機種変更にも有利に対応することの出来る、新規な構造の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様は、コレステリック液晶素子および該コレステリック液晶素子の駆動回路を含んで構成された液晶表示装置と、該液晶表示装置の該駆動回路との間で、表示制御信号を送受信するコントロール回路および電力を供給する給電回路を含んで構成された表示制御装置とを、相互に独立して別体形成すると共に、第一のコイル部材に第一のコア部材を組み合わせて該第一のコイル部材の周囲に磁路を形成した第一のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第一のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して信号送受信を行う制御用対向型インターフェースを構成し、該制御用対向型インターフェースにおける該一対の第一のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめる一方、第二のコイル部材に第二のコア部材を組み合わせて該第二のコイル部材の周囲に磁路を形成した第二のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第二のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して電力送受信を行う給電用対向型インターフェースを構成し、該給電用対向型インターフェースにおける該一対の第二のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめたコレステリック液晶表示装置にある。
【0011】
本態様に従う構造とされたコレステリック液晶装置においては、表示素子としてコレステリック液晶を採用したことから、電圧を印加せずとも表示内容を保持することが出来る。これにより、表示内容を維持するために常に電力を供給することが不要とされて、ランニングコストの軽減を図ることが出来る。従って、表示内容の書き換え頻度がそれほど多くない例えば駅の広告や時刻表、スーパーの値札や病室の名札等に好適に適用することが出来る。
【0012】
そして、信号の送受信を行う制御用対向型インターフェースと電力の送受信を行う給電用対向型インターフェースを備えたことによって、表示制御装置から液晶表示装置に信号と電力の両方を同時に送信することが出来る。従って、表示内容の書き換え時にのみ電力が必要とされるコレステリック液晶を備えた液晶表示装置に対して、電力が必要とされる信号の送受信時、換言すれば表示内容の書き換え時にのみ電力を供給することが出来て、効率の良い電力供給を行うことが可能となる。これにより、液晶表示器の省電力化が図られるのみならず、液晶表示装置に蓄電池などの電源装置を内蔵することも不要とされることから、液晶表示装置の回路構成をより簡易にすることが出来て、製造をより容易にすることが出来ると共に、液晶表示装置のコンパクト化を図ることも出来る。即ち、本態様に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置においては、表示内容の書き換え時以外は電力の供給を必要としないコレステリック液晶の特性を巧く利用して、液晶表示装置には情報を表示するために最低限必要な構成のみを備え、液晶表示装置と独立して形成された表示制御装置にコントロール回路および給電回路を備えてこれらコントロール回路および給電回路を液晶表示装置から切り離して構成することによって、液晶表示装置のコンパクト化と省電力化を図ることが可能とされたのである。
【0013】
さらに、特に本態様におけるコレステリック液晶表示装置においては、液晶表示装置と表示制御装置が相互に独立して別体形成されており、コイルヘッドのコア部材によって形成された送受面を相互に対向位置せしめることによって、表示制御装置と液晶表示装置を物理的に接続することの無い非接触状態で電力および信号の送受信を行うことが出来る。従って、例えばコネクタ接続のような抜き差しに際する物理的な損傷のおそれを回避することが出来る。また、コネクタのような嵌合が不要とされることによって、互いのコア部材やコイル部材の形状変更にもより柔軟に対応することが出来て、液晶表示装置乃至は表示制御装置に機種変更が生じた場合にもより柔軟に対応することが出来る。加えて、互いのコア部材の送受面を非接触状態で対向位置せしめるのみで電気的な接続が行えることから、接続の自由度も向上せしめられて、液晶表示装置と表示制御装置の電気的な接続をより容易に行うことも出来る。
【0014】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記制御用対向型インターフェースと前記給電用対向型インターフェースの少なくとも一方において、前記コイルヘッドを構成する前記コア部材及び前記コイル部材の少なくとも一方を該コイルヘッドが装着された前記液晶表示装置又は前記表示制御装置に対して着脱可能としたことを、特徴とする。
【0015】
本態様に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置においては、コア部材およびコイル部材の交換を容易に行うことが出来る。これにより、要求される信号および電力の送受信の精度や大きさのレベル、或いは電磁ノイズなどの周囲の環境に応じて、コア部材およびコイル部材を適当なものに変更したりチューニングすることがより容易になると共に、コア部材やコイル部材の形状変更にもより柔軟に対応することが出来る。
【0016】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に電磁遮蔽部材が配設されていることを、特徴とする。本態様によれば、コイルヘッドから生ぜしめられる電磁波が他の電子部品に与える影響を抑えることが出来ると共に、他の電子部品から受けるノイズを軽減することも出来て、信号および電力の送受信をより安定して行うことが出来る。
【0017】
本発明の第四の態様は、前記第一乃至三の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に低透磁率部材が配設されていることを、特徴とする。本態様によれば、コア部材の周囲の比透磁率をコア部材よりも十分に低くすることによって、コア部材からの漏れ磁束をより有効に抑えることが出来て、より優れた伝送効率を得ることが出来る。ここにおいて、低透磁率部材としては、例えばポリテトラフルオロエチレンやエポキシ樹脂等従来公知の部材が適宜に採用可能である。なお、本態様においては、前記第三の態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記コア部材と前記電磁遮蔽部材との間に低透磁率部材が介在せしめられている態様が、好適に採用される。このようにすれば、コイルヘッドから発せられる磁力線によって電磁遮蔽部材に生ぜしめられる渦電流を抑えることが出来て、渦電流によってコイルヘッドの磁気エネルギーが吸収されるようなことを抑えることが出来る。
【0018】
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記液晶表示装置及び前記表示制御装置のそれぞれにおける前記第一のコイルヘッドと前記第二のコイルヘッドが同心軸上に配設されていることを、特徴とする。
【0019】
本態様によれば、第一および第二の一対のコイルヘッドをスペース効率良く配設することが出来て、液晶表示装置および表示制御装置の更なるコンパクト化を図ることが出来る。それと共に、液晶表示装置および表示制御装置に設けられたコイルヘッドの周方向の位置決めも不要とされることから、表示内容を書き換える際に互いのコイルヘッドの位置合わせをより容易に行うことが出来て、書き換えの作業効率を向上することも出来る。
【0020】
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が同一平面上に位置せしめられていることを、特徴とする。本態様によれば、液晶表示装置および表示制御装置に設けられた第一および第二のコア部材を容易に対向位置せしめることが出来る。
【0021】
本発明の第七の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が異なる平面上に位置せしめられていることを、特徴とする。
【0022】
本態様によれば、信号送受信を行なう第一のコア部材と電力送受信を行なう第二のコア部材のそれぞれが対向せしめられる位置をずらすことによって、第一のコア部材間で生ぜしめられる電磁誘導作用と第二のコア部材間で生ぜしめられる電磁誘導作用が他方に及ぼす影響を軽減することが出来る。これにより、送信電力の損失や信号ノイズの発生を抑えて、より安定した送受信を行なうことが出来る。
【0023】
本発明の第八の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコイルヘッド及び前記第二のコイルヘッドが共通のコア部材及びコイル部材によって構成されていることを、特徴とする。本態様によれば、第一のコイルヘッド及び第二のコイルヘッドを単一のコア部材とコイル部材で構成することによって、液晶表示装置及び表示制御装置の更なるコンパクト化を図ることが出来る。
【0024】
本発明の第九の態様は、前記第一乃至第八の何れか一つの態様に係るコレステリック液晶表示装置において、前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材がポット型コアであることを、特徴とする。本態様によれば、ポット型コアの中心軸上で磁束を生ぜしめることによって、受信側のコイルに磁束を安定して鎖交せしめることが出来る。これにより、信号及び電力のより安定した送受信を行なうことが出来る。なお、本態様は、特に前記第五の態様と組み合わせて好適に用いられる。即ち、第一及び第二のコア部材として周方向の位置合わせが不要とされるポット型コアを用いると共に、これら第一及び第二のコア部材を同心軸上に配設することによって、液晶表示装置と表示制御装置のそれぞれに設けられたコイルヘッドを周方向で位置合わせすることが不要とされることから、コレステリック液晶素子の書き換えの作業効率を向上することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としてのコレステリック液晶表示装置10を示す。コレステリック液晶表示装置10は、互いに独立して別体形成された表示装置としての液晶表示器12と、液晶表示器12に電力を供給すると共に制御信号の送受信を行なうことによって液晶表示器12の作動を制御する表示制御装置としてのコントローラ14とを含んで構成されている。
【0027】
より詳細には、液晶表示器12の内部には、図2および図3に示す液晶モジュール16が収容されている。液晶モジュール16は、例えばシリコン等から形成された絶縁性を有する基板18の一方の面に、コレステリック液晶素子としての液晶パネル20が設けられる一方、液晶パネル20の反対側の面には、液晶パネル20の作動を制御するための駆動回路22、液晶パネル20に電力を供給するための整流安定化回路24、コントローラ14との間で制御信号の送受信を行なうための液晶側通信用回路26、およびコントローラ14との間で電力および制御信号の送受信を行なうための一次側伝送用端子28等の各種の電子部品が設けられている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、表面とは液晶パネル20が設けられた面を言い、裏面および背面とは、液晶パネル20と反対側の面を言うものとする。
【0028】
液晶パネル20は、従来公知のコレステリック液晶を用いた液晶パネルであり、コレステリック液晶の特徴である双安定性を利用することによって、電圧が印加されずともその表示内容が維持出来るようにされている。かかる液晶パネル20には、行電極を1行毎に順次走査する走査ドライバ回路30と、表示しようとする画像データに基づいて、走査された行電極上の所望する列に対応する列電極に駆動電圧を印加するデータドライバ回路32が接続されている。そして、これら走査ドライバ回路30およびデータドライバ回路32はフラットケーブル34と電気的に接続されており、かかるフラットケーブル34が基板18を回り込んで、基板18における液晶パネル20の反対側の面に設けられたコネクタ36と接続されることによって、駆動回路22等と電気的に接続されている。
【0029】
さらに、基板18における液晶パネル20と反対側の面には、一次側伝送用端子28が設けられている。図4および図5に、一次側伝送用端子28を示す。一次側伝送用端子28は、第一のコイル部材としての信号用一次側コイル38が巻回せしめられた第一のコア部材としての信号用一次側コア39と、第二のコイル部材としての電力用一次側コイル40が巻回せしめられた第二のコア部材としての電力用一次側コア41とが、収容ケース42に収容されて構成されている。
【0030】
信号用一次側コア39は、フェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図5中、右方向)の端面43に開口するリード溝44が全周に亘って形成されている。そして、リード溝44内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、信号用一次側コイル38が形成されている。これにより、本実施形態においては、信号用一次側コア39および信号用一次側コイル38によって、液晶表示器12側の第一のコイルヘッドが構成されており、信号用一次側コア39によって信号用一次側コイル38の磁路が形成されると共に、信号用一次側コア39の端面43が送受面とされている。なお、信号用一次側コイル38の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、信号用一次側コイル38をリード溝44の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、信号用一次側コイル38をリード溝44内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0031】
一方、電力用一次側コア41は、フェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図5中、右方向)の端面46に開口するリード溝48が全周に亘って形成されている。ここにおいて、電力用一次側コア41の内径寸法は、信号用一次側コア39の外径寸法よりも大きくされている。そして、リード溝48内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、電力用一次側コイル40が形成されている。これにより、本実施形態においては、電力用一次側コア41および電力用一次側コイル40によって、液晶表示器12側の第二のコイルヘッドが構成されており、電力用一次側コア41によって電力用一次側コイル40の磁路が形成されると共に、電力用一次側コア41の端面46が送受面とされている。なお、電力用一次側コイル40の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、電力用一次側コイル40をリード溝48の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、電力用一次側コイル40をリード溝48内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0032】
そして、信号用一次側コア39および電力用一次側コア41が、一次側収容ケース42に収容状態で組み付けられている。一次側収容ケース42は、例えばアルミニウムや銅等の非磁性材料で形成されており、軸方向(図5中、左右方向)の中間部分を挟んだ一方に小径部50が形成されると共に、他方に小径部50よりも大きな径寸法を有する大径部52が同心軸上に形成されることによって、大径部52の中央から小径部50が突出せしめられた全体として段付円柱形状を有している。
【0033】
さらに、一次側収容ケース42の小径部50には、突出先端面に開口する円形の第一開口部54が形成されている一方、大径部52には、小径部50が形成された側の端面に開口すると共に小径部50よりも大きな内径寸法を有する円環形状の第二開口部56が形成されている。そして、第一開口部54に信号用一次側コア39が収容されている一方、第二開口部56に電力用一次側コア41が収容されている。かかる収容状態において、信号用一次側コア39と電力用一次側コア41は同心軸上に配設されると共に、それぞれ、送受面となる端面43、46を除く外周部分が一次側収容ケース42に覆われるようになっている。これにより、一次側収容ケース42によって電磁遮蔽構造が構成されており、信号用一次側コア39や電力用一次側コア41から漏れ出す磁力線が、基板18に設けられた各電子部品に影響を与えたり、基板18に設けられた各電子部品からの磁力線が信号用一次側コア39や電力用一次側コア41の電磁誘導作用に影響を与えるおそれが軽減されている。
【0034】
さらに、特に本実施形態においては、信号用一次側コア39および電力用一次側コア41と一次側収容ケース42との間には、低透磁率部材としてのギャップ部材58,60が介在せしめられており、両コア39,41は、送受面となる端面43,46を除く外周面がギャップ部材58,60によって覆われている。ここにおいて、ギャップ部材58,60としては、比透磁率の小さな従来公知の部材が適宜に採用可能であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレンやエポキシ樹脂などが例示される。より好適には、ギャップ部材58,60としては、非導電性を有する部材が採用される。本実施形態においては、ギャップ部材58,60としてポリテトラフルオロエチレンが用いられている。これにより、両コア39,41からの漏れ磁束が抑えられると共に、磁力線の影響によって一次側収容ケース42に渦電流が生ぜしめられることも抑えられており、渦電流によって両コア39,41の磁気エネルギーが減少せしめられるおそれも軽減されている。
【0035】
このような一次側伝送用端子28は、基板18における背面の隅部に配設されている。そして、図6に示すように、液晶モジュール16を液晶パネル20の反対側から覆って収容する背面ケース61に形成された開口部62を通じて、信号用一次側コア39および電力用一次側コア41それぞれの送受面となる端面43,46が、液晶モジュール16の背面に露出せしめられるようになっている。
【0036】
一方、コントローラ14は、入力装置64に送信機66が接続された構造とされている。入力装置64は、数値や文字を入力可能なキーボードやボタン等によって構成された入力部68と、入力内容や各種情報を表示可能な液晶表示板等によって構成された表示部70を備えている。
【0037】
そして、入力装置64には、入力装置64の駆動電力を供給すると共に、液晶表示器12に駆動電力を供給するための給電回路としての電源回路72(図11参照)や、入力部68からの入力情報に基づいて液晶表示器12の作動を制御するコントロール回路としての制御回路74(図11参照)が内蔵されている。
【0038】
さらに、入力装置64には、接続ケーブル76を介して送信機66が接続されている。図7にも示すように、送信機66は、略棒形状とされた把持部78を有しており、かかる把持部78の一方の端部から、接続ケーブル76が延び出されている一方、他方の端部には、把持部78の延出方向(図7中、上下方向)から略直角に屈曲せしめられて先端部が開口せしめられた開口部80が形成されている。そして、開口部80に、二次側伝送用端子82が露出せしめられている。
【0039】
図8および図9に、二次側伝送用端子82を示す。二次側伝送用端子82は、第一のコイル部材としての信号用二次側コイル84が巻回せしめられた第一のコア部材としての信号用二次側コア85と、第二のコイル部材としての電力用二次側コイル86が巻回せしめられた第二のコア部材としての電力用二次側コア87とが、二次側収容ケース88に収容されて構成されている。
【0040】
信号用二次側コア85は、例えばフェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図9中、左方向)の端面89に開口するリード溝90が全周に亘って形成されている。そして、リード溝90内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、信号用二次側コイル84が形成されている。これにより、本実施形態においては、信号用二次側コア85および信号用二次側コイル84によって、コントローラ14側の第一のコイルヘッドが構成されており、信号用二次側コア85によって信号用二次側コイル84の磁路が形成されると共に、信号用二次側コア85の端面89が送受面とされている。なお、信号用二次側コイル84の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、信号用二次側コイル84をリード溝90の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、信号用二次側コイル84をリード溝90内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0041】
一方、電力用二次側コア87は、例えばフェライト等の強磁性材から形成されて略円環形状を有する所謂ポット型コアとされており、軸方向の一方(図9中、左方向)の端面91に開口するリード溝92が全周に亘って形成されている。ここにおいて、電力用二次側コア87の内径寸法は、信号用二次側コア85の外径寸法よりも大きくされている。そして、リード溝92内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、電力用二次側コイル86が形成されている。これにより、本実施形態においては、電力用二次側コア87および電力用二次側コイル86によって、コントローラ14側の第二のコイルヘッドが構成されており、電力用二次側コア87によって電力用二次側コイル86の磁路が形成されると共に、電力用二次側コア87の端面91が送受面とされている。なお、電力用二次側コイル86の巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、電力用二次側コイル86をリード溝92の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、電力用二次側コイル86をリード溝92内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
【0042】
そして、信号用二次側コア85および電力用二次側コア87が、二次側収容ケース88に収容状態で組み付けられている。二次側収容ケース88は、例えばアルミニウムや銅等の非磁性材料で形成されており、軸方向一方(図9中、左方向)の端面93に開口する開口部94が中央部分に形成された全体として略有底円筒形状とされている。
【0043】
さらに、二次側収容ケース88の開口部94には、底面95に開口する円形の第一開口部96が形成されている一方、開口部94の外側には、端面93に開口する円環形状の第二開口部97が形成されている。そして、第一開口部96に信号用二次側コア85が収容されている一方、第二開口部97に電力用二次側コア87が収容されている。かかる収容状態において、信号用二次側コア85と電力用二次側コア87は同心軸上に配設されると共に、それぞれ、送受面となる端面89、91を除く外周部分が二次側収容ケース88に覆われるようになっている。これにより、二次側収容ケース88によって電磁遮蔽構造が構成されており、信号用二次側コア85や電力用二次側コア87から漏れ出す磁力線がコントローラ14に設けられた他の電子部品に影響を与えたり、コントローラ14に設けられた各電子部品からの磁力線が信号用二次側コア85や電力用二次側コア87の電磁誘導作用に影響を与えるおそれが軽減されている。
【0044】
さらに、特に本実施形態においては、信号用二次側コア85および電力用二次側コア87と二次側収容ケース88との間には、低透磁率部材としてのギャップ部材98、99が介在せしめられている。ギャップ部材98,99は、前述のギャップ部材58,60と略同様の構造とされており、両コア85,87は、送受面となる端面89、91を除く外周面がギャップ部材98,99によって覆われている。これにより、両コア85,87からの漏れ磁束が抑えられると共に、磁力線の影響によって二次側収容ケース88に渦電流が生ぜしめられることも抑えられており、渦電流によって両コア85,87の磁気エネルギーが減少せしめられるおそれも軽減されている。
【0045】
このような二次側伝送用端子82は、接続ケーブル76を介して、入力装置64に設けられた電源回路72や制御回路74と電気的に接続された状態で、開口部80を通じて送信機66の外部に露出せしめられている。
【0046】
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、液晶表示器12の表示内容を更新する場合には、コントローラ14に適当な書換情報を入力した後に、図10に示すように、液晶表示器12の一次側伝送用端子28の小径部50を、コントローラ14の二次側伝送用端子82の開口部94に嵌め入れるようにして、これら一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を重ね合わせる。これにより、信号用一次側コア39の端面43と、信号用二次側コア85の端面89が僅かに離隔した非接触状態で対向位置せしめられて、信号用一次側コイル38と信号用二次側コイル84が電磁結合せしめられると共に、電力用一次側コア41の端面46と電力用二次側コア87の端面91が僅かに離隔した非接触状態で対向位置せしめられて、電力用一次側コイル40と電力用二次側コイル86が電磁結合せしめられる。その結果、液晶表示器12とコントローラ14との間で、互いに非接触の状態で制御信号および電力の伝送が行えるようになっている。このように、本実施形態においては、信号用一次側コイル38、信号用一次側コア39と、信号用二次側コイル84、信号用二次側コア85によって制御用対向型インターフェースが構成されていると共に、電力用一次側コイル40、電力用一次側コア41と、電力用二次側コイル86、電力用二次側コア87によって給電用対向型インターフェースが構成されている。ここにおいて、特に本実施形態においては、一次側収容ケース42が全体として凸形状断面とされる一方、二次側収容ケース88が全体として凹形状断面とされていることによって、信号用一次側コア39および信号用二次側コア85の端面43、89と、電力用一次側コア41および電力用二次側コア87の端面46、91が、異なる平面上で対向位置せしめられるようになっている。なお、図10においては、一次側伝送用端子28における端面43,46と二次側伝送用端子82における端面89,91が僅かに離隔せしめられており、本実施形態においては、このような非接触状態で制御信号および電力の伝送が可能とされているが、これら端面43、89および46、91を互いに接触せしめても良い。
【0047】
次に、図11に基づいて、コントローラ14から液晶表示器12に供給される電力の伝送経路を説明する。先ず、コントローラ14の電源回路72には、インバータ104が接続されている。インバータ104としては、例えば、CVCF型やVVVF型の従来公知のインバータが適宜に採用可能である。そして、電源回路72の直流電圧が、インバータ104によって高周波電圧に変換される。ここにおいて、インバータ104によって変換された高周波電圧の周波数(出力周波数)は、供給する電力や使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜500MHz程度の範囲内で適当に設定されている。
【0048】
そして、インバータ104によって変換された高周波電圧が、電力用二次側コイル86に給電されることによって、電力用二次側コイル86を貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生する。電力用二次側コイル86を貫く磁束は、電力用二次側コア87から液晶表示器12に設けられた電力用一次側コア41の中を通って、電力用一次側コイル40と鎖交する。その結果、電力用一次側コイル40には、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、電力用二次側コイル86に供給された高周波電圧が、電力用一次側コイル40から取り出される。このようにして、電源回路72から供給される電力が、電力用二次側コイル86から電力用一次側コイル40に非接触の状態で伝送される。そして、電力用一次側コイル40から取り出された高周波電圧は、整流安定化回路24によって直流電圧に変換された後に、駆動回路22や液晶側通信用回路26に供給される。
【0049】
次に、図11に基づいて、コントローラ14と液晶表示器12の間で送受信される制御信号の伝送経路を説明する。先ず、コントローラ14の制御回路74には、制御側通信用回路106が接続されている。そして、制御回路74によって生成された制御信号は、制御側通信用回路106によって高周波電圧に重畳された後に、信号用二次側コイル84に供給される。なお、制御信号が重畳される高周波電圧は、制御側通信用回路106によって生成されるようになっており、その周波数は、制御信号のデータサイズや使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜10GHz程度の範囲内で適当に設定されている。
【0050】
そして、信号用二次側コイル84に高周波電圧が給電されることによって、信号用二次側コイル84を貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生する。信号用二次側コイル84を貫く磁束は、信号用二次側コア85から液晶表示器12に設けられた信号用一次側コア39の中を通って、信号用一次側コイル38と鎖交する。その結果、信号用一次側コイル38には、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、信号用二次側コイル84に供給された高周波電圧が、信号用一次側コイル38から取り出される。このようにして、制御回路74から送信された制御信号が、信号用二次側コイル84から信号用一次側コイル38に非接触の状態で伝送される。そして、信号用一次側コイル38から取り出された高周波電圧に重畳されている制御信号は、液晶側通信用回路26によって取り出された後に、駆動回路22に送信される。これにより、駆動回路22は、受信した制御信号に基づいて走査ドライバ回路30およびデータドライバ回路32の作動を制御することによって、液晶パネル20に目的とする画像を表示する。そして、本実施形態においては、液晶パネル20としてコレステリック液晶が用いられていることから、送信機66を液晶表示器12から離して、液晶表示器12への電力の供給を停止しても、表示内容が維持されるのである。
【0051】
なお、本実施形態においては、例えば液晶パネル20の書き換えが完了したことを通知する制御信号を液晶表示装置12からコントローラ14に向けて送信する場合等のように、液晶表示器12からコントローラ14へ制御信号を送信することも可能とされている。液晶表示器12からコントローラ14への制御情報を送信する場合には、前記コントローラ14から液晶表示器12へ制御情報を送信した場合とは逆に、駆動回路22で生成された制御信号が、液晶側通信用回路26で高周波電圧に重畳されて信号用一次側コイル38から信号用二次側コイル84に信号用一次側コア39および信号用二次側コア85を介して非接触の状態で伝送された後に、制御側通信用回路106によって高周波電圧から取り出されて、制御回路74に送信されることとなる。
【0052】
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10においては、液晶パネル20としてコレステリック液晶を採用したことによって、表示内容を維持するために常に電力を供給することが不要とされる。これにより、液晶表示器12の省電力化を図ることが出来る。
【0053】
そして、コントローラ14から液晶表示器12への制御信号の送受信時に、コントローラ14から液晶表示器12に駆動用の電力が供給されるようになっている。これにより、液晶表示器12内に電源装置を内蔵せしめることが不要とされて、液晶表示器12をよりコンパクトに構成することが出来る。即ち、本実施形態におけるコレステリック液晶表示装置10においては、書き換え時にのみ電力が必要とされるコレステリック液晶の特性を巧く利用して、書き換えに際する制御信号の送受信時に、書き換えに必要な駆動電力をコントローラ14から液晶表示器12に併せて供給することによって、液晶表示器12内に電源装置を内蔵せしめることを不要として、液晶表示器12のコンパクト化を図り得たのである。
【0054】
さらに、本実施形態においては、液晶パネル20の表示内容を書き換える場合には、液晶表示器12の一次側伝送用端子28にコントローラ14の二次側伝送用端子82を非接触の状態で対向位置せしめることによって、液晶表示器12に対する電力の供給と制御信号の送受信が可能とされている。これにより、コネクタのような物理的な接続が不要とされて、繰り返しの書き換えによっても、液晶表示器12とコントローラ14との接続部分を損傷してしまうおそれを軽減することが出来る。それと共に、一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を対向位置せしめるのみで液晶表示器12とコントローラ14の電気的な接続が可能とされることから、接続の自由度も大きくされて、容易に接続することが出来る。特に本実施形態においては、信号用一次側及び二次側コア39、85と、電力用一次側及び二次側コア41,87として何れもポット型コアを採用したことによって、これらの送受面が回転対称形状とされていることから、両伝送用端子28、82の周方向の位置決めも不要とされており、接続をより容易に行なうことが可能とされている。更にまた、一次側伝送用端子28が全体として凸状断面とされていると共に、二次側伝送用端子82が全体として凹状断面とされていることから、互いに凹凸嵌合せしめるようにして、軸直方向の位置合わせを容易に行うことも可能とされている。
【0055】
加えて、特に本実施形態においては、信号用一次側コア39と信号用二次側コア85の対向面と、電力用一次側コア41と電力用二次側コア87の対向面が異なる平面上に位置せしめられている。これにより、制御信号を伝送する電磁波と電力を伝送する電磁波が互いに影響を及ぼすことが軽減されて、ノイズの発生や電力の損失を抑えることも出来る。
【0056】
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、例えばスーパーの値札、病院において病室の患者名を示す名札、駅構内の時刻表やポスターなど、表示内容を更新する頻度がそれ程多くない様々な用途に好適に用いることが出来る。以下に、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置10の具体的な使用例を幾つか示すが、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置の用途が以下の使用例に限定されることを示すものではないことが理解されるべきである。
【0057】
例えば、本発明に従う構造とされた液晶表示器12を、図12に示すように、スーパーの陳列棚の値札として用いることが出来る。本用途においては、陳列棚110の柵112に、液晶表示器12が取り付けられており、液晶表示器12の液晶パネル20には、商品の値段が表示されている。そこにおいて、本発明に従う構造とされた液晶表示器12においては、電池などを内蔵することが不要とされていることから、特に食材の近辺などにも衛生的に配設することが出来る。そして、陳列する商品を交換したり、商品の値段を変更する場合には、例えばスーパーの店員がコントローラ14を持ち歩いて、変更後の商品名や値段をコントローラ14に入力した後に、前述のように当該液晶表示器12の一次側伝送用端子28に送信機66の二次側伝送用端子82を重ね合わせることによって、液晶表示器12の表示内容を変更することが出来る。
【0058】
また、図13に示すように、液晶表示器12を病室の患者名を示す名札として用いることも出来る。本用途においては、病院の壁114に、液晶表示器12が取り付けられており、液晶表示器12の液晶パネル20には、病室内の入院患者の氏名が表示されている。そして、入院患者が入れ替わった場合には、前記と同様に、コントローラ14を用いて液晶表示器12に表示されている患者名を変更することが出来る。
【0059】
さらに、図14に示すように、液晶表示器12をポスターとして使用することも出来る。ここにおいて、表示内容がボタン入力が困難な画像などの場合には、例えば別途コンピュータ等を用いて表示しようとする画像を作成し、かかる画像データをケーブル接続等を用いてコンピュータからコントローラ14内に予め記憶せしめる。そして、コントローラ14に記憶された画像データを液晶表示器12に伝送することによって、写真や絵柄などの画像も液晶表示器12に容易に表示させることが出来る。
【0060】
また、例えば液晶表示器12を大型のポスターなどに用いる場合には、図14にも示すように、一次側伝送用端子28を液晶パネル20と同じ側に露出せしめることも可能である。このようにすれば、液晶表示器12の表側から送信機66を重ね合わせることが出来ることから、液晶表示器12の裏面を壁面に固定すること等も可能となる。
【0061】
更にまた、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、図15に示すように、液晶表示器12の製造工程において好適に用いることが出来る。即ち、液晶表示器12の製造工程においては、作動を検査するために液晶表示器12とそれを駆動せしめるコントローラ14との接続を行う機会が多くなるが、本発明に従う構造とされたコレステリック液晶表示装置10によれば、液晶表示装置12とコントローラ14を互いに非接触状態で接続出来ることから、例えばコネクタ接続などのように、繰り返しの物理的な接続に起因して損傷するようなおそれも軽減されるのである。
【0062】
ここにおいて、図15にも示すように、液晶表示器12の一次側伝送用端子28を液晶表示器12の表面に露出せしめた構造とすれば、製造ライン上を流れる各液晶表示器12に順に送信機66を重ねることによって、液晶表示装置12の検査をより容易に行なうことが出来る。
【0063】
以上、本発明の一実施形態と幾つかの用途について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態および用途における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。なお、以下に記載の各構成において、前述の実施形態と実質的に同じ部材については、前述の実施形態と同一の符号を付することによって、詳細な説明を省略する。
【0064】
例えば、前記実施形態においては、一次側伝送用端子28における信号用一次側コア39と電力用一次側コア41、および二次側伝送用端子82における信号用二次側コア85と電力用二次側コア87は、互いに同心軸上に配設されると共に、それらの端面43,46、89,91が異なる平面上に位置せしめられていたが、例えば図16乃至図18に示す一次側伝送用端子130及び図19に示す二次側伝送用端子132のように、これらコア39,41および85,87の中心軸を異ならせると共に、これらの端面43,46および89,91を同一平面上に位置せしめるなどしても良い。
【0065】
本態様における一次側伝送用端子130および二次側伝送用端子132は、互いに略同様の構造とされていることから、一次側伝送用端子130を例に説明すると、本態様における収容ケース134は、略矩形ブロック形状とされており、一方の端面135に開口する第一開口部136および第二開口部138が形成されている。そして、これら第一開口部136および第二開口部138に、前述の実施形態と同様の構造とされた信号用一次側コア39および電力用一次側コア41が、ギャップ部材58,60を介して収容状態で組み付けられている。かかる収容状態において、送受面とされる信号用一次側コア39の端面43および電力用一次側コア41の端面46が、収容ケース134の端面135と同一平面上に位置せしめられている。また、二次側伝送用端子132は、一次側伝送用端子130と略同様の構造とされた収容ケース134に、信号用二次側コア85および電力用二次側コア87が、一次側伝送用端子130と左右(図16および図19中、左右方向)を反対に配設されて、信号用二次側コア85の端面89および電力用二次側コア87の端面91が、一次側伝送用端子130の信号用一次側コア39の端面43および電力用一次側コア41の端面46と重なり合うようにされている。
【0066】
このような構造とされた一次側伝送用端子130および二次側伝送用端子132は、図20に示すように、互いに離隔した非接触状態で重ね合わされることによって、信号用一次側コア39の端面43と信号用二次側コア85の端面89、および電力用一次側コア41の端面46と電力用二次側コア87の端面91が、互いに非接触状態で対向位置せしめられることとなる。このようにすれば、一次側伝送用端子130および二次側伝送用端子132の軸方向寸法(図20中、左右方向寸法)を小さくすることが出来ると共に、一次側および二次側伝送用端子130,132を容易に重ね合わせることが出来る。
【0067】
また、図21に信号用一次側コア39および信号用一次側コイル38を例として示すように、コア部材やコイル部材を基板18から取外し可能にするなどしても良い。本態様においては、一方に開口する有底筒形状の取付金具140が基板18に設けられている。そして、かかる取付金具140の開口部に信号用一次側コア39が着脱可能に嵌め込まれると共に、信号用一次側コア39に、信号用一次側コイル38が着脱可能に差し込まれるようになっている。なお、信号用一次コイル38を構成するリード線のそれぞれの端部にはコネクタ142、142が設けられており、基板18に設けられたコネクタ144、144と嵌合せしめられることによって、基板18に設けられた電子部品と電気的に接続されるようになっている。また、図21に示す取付金具140は有底形状とされているが、底部は必ずしも必要ではなく、例えば取付金具140として軸方向両側に開口する筒形状のものを採用する等しても良い。
【0068】
このようにすれば、要求される伝送精度や電磁ノイズなどの周囲の環境に応じて、コア部材およびコイル部材を適当なものに変更したりチューニングすることがより容易となる。なお、本態様においては、取付金具140を例えばアルミニウムなどの非磁性材料で形成することによって、取付金具140を電磁遮蔽部材として用いる態様が好適に採用されるが、電磁遮蔽部材は必ずしも必要ではない。従って、コア部材を着脱可能とするその他の態様としては、例えば、コア部材を基板18にネジ止めするなどしても良い。また、本態様から明らかなように、前述の実施形態におけるギャップ部材58も必ずしも必要ではないが、例えば、信号用一次側コア39と取付金具140の間にギャップ部材58を介在せしめることも勿論可能である。
【0069】
また、前記実施形態においては、例えば一次側伝送用端子28における信号用一次側コア39と電力用一次側コア41は、電磁遮蔽部材としての共通の一次側収容ケース42に収容されていたが、電磁遮蔽部材は必ずしも単一の部材である必要は無いのであって、それぞれのコア部材用に電磁遮蔽部材を設けて、それぞれのコア部材を各別に電磁遮蔽部材で覆うことも可能である。
【0070】
更にまた、図22および図23に信号用一次側コア39を例に示すように、基板18の厚さ方向に貫通する挿通孔150を形成して、かかる挿通孔150に信号用一次側コア39を挿通せしめて基板18に固定することも可能である。本態様においては、信号用一次側コイル38は、基板18における液晶パネル20と反対側の面上に、プリント配線によって形成されている。そして、信号用一次側コア39が、基板18における液晶パネル20と同じ側から挿通孔150に挿通されて、液晶パネル20と反対側に突出せしめられることによって、信号用一次側コア39のリード溝44内に信号用一次側コイル38が収容されるようになっている。なお、本態様における信号用一次側コア39のリード溝44の外周壁部の一部には切欠152が形成されており、かかる切欠152を通じて、信号用一次側コイル38のプリント配線が信号用一次側コア39の外に延び出されるようになっている。
【0071】
なお、図22においては、信号用一次側コア39の端面43が液晶パネル20の反対側に位置せしめられていたが、例えば、信号用一次側コア39を基板18における液晶パネル20と反対側から挿し通して、端面43を液晶パネル20側に向けて配設することも可能である。このようにすれば、例えば信号用一次側コア39を液晶パネル20の背後に位置せしめて視認不可能とすることによって液晶表示器12の外観を向上せしめることが出来る。それと共に、コントローラ14に設けられた二次側伝送用端子82を液晶パネル20の正面から重ね合わせて背後の一次側伝送用端子28と重ね合わせることが出来ることから、液晶表示器12の正面側から一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を対向位置せしめることが出来て、電力及び信号の伝送を容易に行なうことも出来る。
【0072】
また、二次側伝送用端子82を備える送信機66の具体的な構造は前述の如き態様に限定されるものではなく、例えば図24に示すような送信機160を採用することも可能である。送信機160は、ヒンジ162を中心に開閉可能なクリップ164の一方の先端部分に、二次側伝送用端子82が設けられている。なお、二次側伝送用端子82は、前記実施形態と同様に、接続ケーブル76によってコントローラ14と接続されている。そして、クリップ164で液晶表示器12を挟むことによって、液晶表示器12に設けられた一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82を重ね合わせることが出来る。このようにすれば、一次側伝送用端子28と二次側伝送用端子82の重ね合わせ状態を安定して維持することが出来て、電力及び信号の伝送をより安定して行なうことが出来る。
【0073】
さらにまた、前述の実施形態においては、一次側伝送用端子28および二次側伝送用端子82のそれぞれにおいて、制御用対向型インターフェースを構成するコイルヘッドと給電用対向型インターフェースを構成するコイルヘッドが別途に設けられていたが、例えば図25に示すように、1つのコイルヘッドを、制御用対向型インターフェースおよび給電用対向型インターフェースとして共通して使用することも可能である。本態様における液晶表示器12およびコントローラ14には、それぞれ、単一のコア部材(図示せず)およびコイル170、172によって構成されたコイルヘッドが設けられている。
【0074】
なお、単一のコア部材およびコイルから構成されるコイルヘッドは、例えば前記実施形態における一次側及び二次側伝送用端子28,82のそれぞれから、信号用コア39、85と信号用コイル38、84の組および電力用コア41、87と電力用コイル40、86の組の何れか一方を取り除くことによって容易に構成することが出来る。そして、液晶表示器12に設けられたコイル170に、液晶側通信用回路26と整流安定化回路24が接続される一方、コントローラ14に設けられたコイル172に、制御側通信用回路106とインバータ104が接続されている。
【0075】
このようにすれば、一つのコイル170,172を液晶側通信用回路26、制御側通信用回路106間、およびインバータ104、整流安定化回路24間で共通して用いることが出来て、部品点数を抑えると共に、コイルヘッドのコンパクト化を図ることも出来る。更に、1組のコイルヘッドを対向位置せしめるのみで済むことから、両コイルヘッドの位置合わせをより容易且つ確実に行なうことが出来て、信号及び電力の伝送精度の向上も図られ得る。
【0076】
また、前述の実施形態においては、各コア39,41、85,87のリード溝44、48、90,92は何れも外部に開口せしめられていたが、例えば、各コア39,41、85,87と同様の強磁性材によって、これらリード溝44、48、90,92を覆蓋する等しても良い。
【0077】
更にまた、前述の実施形態においては、互いに対向位置せしめられる信号用一次側コア39と信号用二次側コア85や、電力用一次側コア41と電力用二次側コア87は、互いに略等しい内径寸法および外径寸法を有していたが、これらの寸法は必ずしも互いに等しくされている必要は無いのであって、伝送に支障が生じない程度に異ならされていても良い。
【0078】
加えて、互いに独立して形成された第一のコイル部材と第二のコイル部材を、互いの磁路が干渉しないように共通のコア部材に組み付けることによって、第一のコア部材と第二のコア部材を共通のコア部材を用いて構成する等しても良い。このようにしても、両コイルヘッドの位置合わせを容易に行なうことが出来る。即ち、本発明は、第一のコイルヘッドと第二のコイルヘッドを一体化した構造を含む。具体的には、例えば特開平7−66057号公報に開示されているように、単一のコア部材に対して第一のコイル部材と第二のコイル部材を巻装することで、単一のコア部材で第一および第二のコア部材を構成し、信号送受信用の磁路と電力送受信用の磁路の両方がかかるコア部材において構成されるようにしても良い。
【0079】
また、前記実施形態におけるコントローラ14はあくまでも例示であって、例えば入力装置64としてコンピュータを用いて、前記入力装置64に設けられた入力部68および表示部70として、コンピュータのキーボードおよびモニタを用いる等してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態としてのコレステリック液晶表示装置を示す説明図。
【図2】液晶モジュールの正面を概略的に示す説明図。
【図3】同液晶モジュールの背面を概略的に示す説明図。
【図4】液晶表示装置に設けられるコイルヘッドを概略的に示す正面図。
【図5】図4におけるV−V断面に相当する説明図。
【図6】液晶表示装置の背面を概略的に示す説明図。
【図7】送信機の正面を概略的に示す説明図。
【図8】表示制御装置に設けられるコイルヘッドを概略的に示す正面図。
【図9】図8におけるIX−IX断面に相当する説明図。
【図10】図4及び図8に示したコイルヘッドを重ね合わせた状態を概略的に示す断面説明図。
【図11】コレステリック液晶表示装置を概略的に示すブロック図。
【図12】液晶表示装置の使用例を説明するための説明図。
【図13】液晶表示装置の異なる使用例を説明するための説明図。
【図14】液晶表示装置の更に異なる使用例を説明するための説明図。
【図15】液晶表示装置の更に異なる使用例を説明するための説明図。
【図16】液晶表示装置に設けられるコイルヘッドの異なる態様を概略的に示す正面図。
【図17】図16におけるXVII−XVII断面に相当する説明図。
【図18】図16におけるXVIII−XVIII断面に相当する説明図。
【図19】表示制御装置に設けられるコイルヘッドの異なる態様を概略的に示す正面図。
【図20】図16及び図19に示したコイルヘッドを重ね合わせた状態を概略的に示す断面説明図。
【図21】コア部材およびコイル部材の異なる態様を説明するための説明図。
【図22】コア部材およびコイル部材の更に異なる態様を説明するための説明図であって、図23におけるXXII−XXII断面に相当する説明図。
【図23】コア部材およびコイル部材の更に異なる態様を説明するための説明図。
【図24】表示制御装置の異なる態様を説明するための説明図。
【図25】コレステリック液晶表示装置の異なる態様を概略的に示すブロック図。
【符号の説明】
【0081】
10:コレステリック液晶表示装置、12:液晶表示器、14:コントローラ、20:液晶パネル、22:駆動回路、38:信号用一次側コイル、39:信号用一次側コア、40:電力用一次側コイル、41:電力用一次側コア、72:電源回路、74:制御回路、84:信号用二次側コイル、85:信号用二次側コア、86:電力用二次側コイル、87:電力用二次側コア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリック液晶素子および該コレステリック液晶素子の駆動回路を含んで構成された液晶表示装置と、該液晶表示装置の該駆動回路との間で、表示制御信号を送受信するコントロール回路および電力を供給する給電回路を含んで構成された表示制御装置とを、相互に独立して別体形成すると共に、第一のコイル部材に第一のコア部材を組み合わせて該第一のコイル部材の周囲に磁路を形成した第一のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第一のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して信号送受信を行う制御用対向型インターフェースを構成し、該制御用対向型インターフェースにおける該一対の第一のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめる一方、第二のコイル部材に第二のコア部材を組み合わせて該第二のコイル部材の周囲に磁路を形成した第二のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第二のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して電力送受信を行う給電用対向型インターフェースを構成し、該給電用対向型インターフェースにおける該一対の第二のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめたことを特徴とするコレステリック液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御用対向型インターフェースと前記給電用対向型インターフェースの少なくとも一方において、前記コイルヘッドを構成する前記コア部材及び前記コイル部材の少なくとも一方を該コイルヘッドが装着された前記液晶表示装置又は前記表示制御装置に対して着脱可能とした請求項1に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項3】
前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に電磁遮蔽部材が配設されている請求項1又は2に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に低透磁率部材が配設されている請求項1乃至3の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示装置及び前記表示制御装置のそれぞれにおける前記第一のコイルヘッドと前記第二のコイルヘッドが同心軸上に配設されている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項6】
前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が同一平面上に位置せしめられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が異なる平面上に位置せしめられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項8】
前記第一のコイルヘッド及び前記第二のコイルヘッドが共通のコア部材及びコイル部材によって構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項9】
前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材がポット型コアである請求項1乃至8の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項1】
コレステリック液晶素子および該コレステリック液晶素子の駆動回路を含んで構成された液晶表示装置と、該液晶表示装置の該駆動回路との間で、表示制御信号を送受信するコントロール回路および電力を供給する給電回路を含んで構成された表示制御装置とを、相互に独立して別体形成すると共に、第一のコイル部材に第一のコア部材を組み合わせて該第一のコイル部材の周囲に磁路を形成した第一のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第一のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して信号送受信を行う制御用対向型インターフェースを構成し、該制御用対向型インターフェースにおける該一対の第一のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめる一方、第二のコイル部材に第二のコア部材を組み合わせて該第二のコイル部材の周囲に磁路を形成した第二のコイルヘッドの一対を用い、それぞれの該第二のコア部材によって形成された該磁路の開放面からなる送受面を相互に対向位置せしめることにより電磁誘導作用を利用して電力送受信を行う給電用対向型インターフェースを構成し、該給電用対向型インターフェースにおける該一対の第二のコイルヘッドの一方を該液晶表示装置に装着すると共に他方を該表示制御装置に装着せしめたことを特徴とするコレステリック液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御用対向型インターフェースと前記給電用対向型インターフェースの少なくとも一方において、前記コイルヘッドを構成する前記コア部材及び前記コイル部材の少なくとも一方を該コイルヘッドが装着された前記液晶表示装置又は前記表示制御装置に対して着脱可能とした請求項1に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項3】
前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に電磁遮蔽部材が配設されている請求項1又は2に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材における前記送受面を除く外周に低透磁率部材が配設されている請求項1乃至3の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示装置及び前記表示制御装置のそれぞれにおける前記第一のコイルヘッドと前記第二のコイルヘッドが同心軸上に配設されている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項6】
前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が同一平面上に位置せしめられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一のコア部材の送受面と前記第二のコア部材の送受面が異なる平面上に位置せしめられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項8】
前記第一のコイルヘッド及び前記第二のコイルヘッドが共通のコア部材及びコイル部材によって構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項9】
前記第一のコア部材及び前記第二のコア部材の少なくとも一方のコア部材がポット型コアである請求項1乃至8の何れか一項に記載のコレステリック液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−134191(P2009−134191A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311714(P2007−311714)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(599078163)三重電子株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(599078163)三重電子株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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