説明

表示装置

本発明は、表示装置(1)であって、環状指示器(2)を備え、環状指示器は周方向(5)に可動に支承されており、さらに駆動ユニット(3)を備え、駆動ユニットは環状指示器(2)を周方向(5)に駆動するようになっており、環状指示器(2)はストッパー(10)と協働して環状指示器の周方向運動を制限するようになっている形式のものに関する。特に同期化に際して従来の環状指示器装置においてはしばしば半径方向でかみ合いが外れており、これは本発明によって解決される。問題の解決のために、本発明の構成では、ストッパー(10)は駆動ユニット(3)の近傍に配置してある。利点として、駆動ユニットから環状指示器(2)に作用する接線方向力は、環状指示器に対してわずかなかみ合い解除モーメントしか生ぜしめないようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置であって、環状指示器を備えており、環状指示器は1つの環状体(リング部材)若しくは円弧部材(リングセグメント)によって形成されていて、周方向に可動に支承されており、さらに駆動ユニットを備えており、駆動ユニットは前記環状指示器を周方向に駆動するようになっており、この場合に環状指示器はストッパー面を有し、かつ表示装置はストッパーを有しており、ストッパーはストッパー面と協働して環状指示器の周方向運動を制限するようになっている形式のものに関する。
【0002】
自動車のコックピット内の情報密度の増大に伴ってコンビネーション器機の製造者は、高い密度の情報を容易に読み取れるようにしたいという高い要求を課せられている。例えば所定の安全規定を考慮して、速度表示器の所定の精度を故障のない状態で保証しなければならない。さらに、複雑な機能を簡単な構成で実現するようにしなければならない。
【0003】
情報の圧縮に際して、環状指示器(リングポインター[ring pointer])は、例えば欧州特許EP 9,9a9,9a7 338 B1号明細書に記載してあるように、有効なものであり、それというのは表示装置に中央の表示器軸を必要とせず、典型的なアナログ表示を可能にすると共に、表示場の中央領域を多機能表示部のための複数の構成要素から解放してあるからである。この種の多機能表示部は、例えば種々の複数の小型表示部若しくはグラフ表示可能な大型の1つのディスプレーから成っている。
【0004】
中央の表示器軸を備える従来の表示装置に比べて、環状指示器の推進、その支承及び同期化は正確な表示により重要である。円形の環状指示器は、一般的に精密構造であるものの、駆動力を受けても強く変形しないように形状安定なものでなければならない。さらに環状指示器は環状指示器の全周に沿った複数の箇所で支承されるようになっており、この場合に全周にわたって3つの半径方向支承部材(ラジアル支承要素若しくはラジアル支承手段)を配置すると有利である。
【0005】
例えば高い精度の速度表示器を必要とする場合には出力の高い駆動ユニットを設けてあり、駆動ユニットは例えば急激な精度の際に環状指示器に十分な加速力を生ぜしめるようになっている。環状指示器へのこのように高い接線方向力は、環状指示器の不都合な半径方向ずれを生ぜしめ、このような半径方向ずれは、表示精度をそこねるだけではなく、環状指示器を非同期化してしまうことになる。最悪の場合には駆動ユニットは、環状指示器が外れる、つまりかみ合いを解除されてしまうことに基づき、環状指示器をもはや駆動できなくなっている。このことを避けるために、従来の構成では半径方向のストッパーを設けてあり、該ストッパーは環状指示器の半径方向ずれを制限しようとするものである。ストッパーを精密構造の環状指示器の形状に合わせて成形するためには、極めて高い製作制度を必要とし、このことは高いコストを伴うことになる。
【0006】
従来技術の前記問題及び欠点に鑑み、本発明の課題は、冒頭に述べた形式の表示装置を改善して、高い駆動出力の場合にも環状指示器の半径方向ずれを特に同期化に際して、零ストッパーに向けた移動によって避けることである。
【0007】
本発明の前記課題を解決するために、本発明の構成ではストッパーを直接に駆動ユニットの周囲若しくは駆動ユニットの近傍に配置してある。
【0008】
ストッパーの本発明に基づく配置によって利点として、駆動ユニットから環状指示器に作用する接線方向力は、同期化の目的で環状指示器を周方向でストッパーに向けて移動させる場合に、駆動ユニットからのストッパーの距離の短いことに基づき、環状指示器にわずかなかみ合い解除力しか生ぜしめなくなっている。このような極めて小さいかみ合い解除力は目立った半径方向ずれを生ぜしめることはなく、従って表示装置の半径方向ずれの制限のための半径方向ストッパーを省略することができるようになっている。
【0009】
ストッパーを駆動ユニットの最も近くに配置することが有利であるものの、環状指示器への駆動ユニットの力導入箇所、例えば出力歯車のかみ合い箇所とストッパーとの間の間隔は、環状指示器の最大の円直径若しくは外径の四分の一までであってよい。環状指示器の円周にわたる角度では、駆動ユニットの力導入箇所とストッパーとの間の間隔は、環状指示器の本来の回転点を中心として45°までである。
【0010】
特に有利な実施態様では、駆動ユニットは出力歯車(被動歯車)を有しており、環状指示器は、周方向に延びる歯列を備えており、該歯列は前記出力歯車とかみ合っている。歯列は有利には半径方向外側に向かっており、これによって環状指示器の内部領域は駆動ユニットから解放されていて別の表示ユニットのために用いられるようになっている。
【0011】
環状指示器の急速な推進の際の過度な騒音発生を避けるために、弾性的な部材を用いた緩衝作用を有する歯車は有利であり、歯列若しくは歯車の歯面の被覆も有利である。
【0012】
本発明の有利な実施態様では表示装置は駆動ユニットの制御装置を有しており、制御装置は、駆動ユニットが同期化のために環状指示器のストッパー面をストッパーに向けて移動させるように形成されている。ストッパー面をストッパーに向けた移動に際して、環状指示器に最大に力が生じ、ひいては環状指示器に対して最大のかみ合い解除モーメントを生ぜしめる。
【0013】
読み取りを容易にするために、環状指示器は1つの指示針を備えている。これによって観察者は、一般的な表示機器のように人間工学的に適していて慣れた読み取りを行うことができるようになっている。環状指示器を周囲に沿った3つの箇所において半径方向でそれぞれ1つの半径方向支承部材(ラジアルベアリング)によって支承することにより、最大の安定性及び精度を達成している。組立を容易にするために、半径方向支承部材はばね弾性式に形成されていて、これによって半径方向で弾性的に変位若しくは後退できるようになっている。
【0014】
環状指示器は有利には、指示部材(若しくは指示針)及び、該指示部材の支持のための基体(ベース部材)を有しており、基体は中心を外して、つまり中心外で支承されている。この場合に基体は環状(リング状)であると有利である。中心外での支承によって、中央の指示器軸を省略して、指示器の通常の回転運動を達成している。表示器の運動軌道によって囲まれた中央の領域は、大きな面の表示部、例えばLCD-表示部を問題なく収容できるようになっている。さらに表示器の駆動ユニットを基体の横に配置してあることによって利点として、フラットな構造、つまり高さ寸法の小さい構造を達成している。この場合に、指示器の支承部は指示器若しくは基体の平面と同一の平面内に配置され、これによって傾倒モーメントを避け、かつ振動発生を減少させている。基体は、文字盤若しくは表示部の平面を貫通することのない中央の案内を有していてよい。この場合に有利には、支承は基体の全周にわたってほぼ均一に分配された3つの支承部若しくは半径方向支承部材を用いて行われる。これによって基体の正確な案内を達成することができるようになっている。支承部は、製作誤差を補償するために支持体に向けて初期締め付け力をかけられるようになっていてよい。この場合に有利には、3つの半径方向支承部材のうちの1つは駆動ユニットに組み込まれている。これによって1つの支承箇所は、駆動ユニットを用いて支承機能を生ぜしめることに基づき省略され、製造費用並びに所要の構成スペースは節減される。
【0015】
半径方向支承部材は軸線方向支承部材(アキシャルベアリング)としても形成されていると有利である。この場合に特に有利な実施態様では、支承部材(支承要素)は、断面U字形の成形部を有し、例えば周面に環状溝を有しており、環状指示器は支持部材の領域で該支持部材によってつかまれ若しくは囲まれるようになっている。さらに有利には、断面U字形の成形部は、環状指示器の歯列とかみ合う歯車として形成されている。
【0016】
環状指示器は、力伝達可能な結合部(連結部)を介して、例えば摩擦結合部を介して、つまり環状指示器に当て付けられた摩擦車を用いて駆動され、若しくはかみ合い結合部(かみ合い連結部)を介して、例えば歯車を用いて駆動されるようになっている。かみ合い結合部を用いると特に高い精度を達成できる。この場合に有利な実施態様では、指示器駆動部(駆動ユニット)は、指示器の基体の歯列に係合する1つの歯車を有している。駆動ユニットは基体の外周に隣接して配置されていてよく、この場合に駆動ユニットと基体とは有利には共通の1つの平面内に配置され、駆動ユニットは支持体の周囲に取り付けられている。これによって駆動ユニットは観察者にとって見えないように配置される。
【0017】
有利な実施態様では、基体は、該基体より下側に位置する付加的な表示部に対する妨げのない観察を可能にするために、中央の貫通開口部を有している。基体のほぼ扁平なプレート形状は特に頑丈若しくはコンパクトである。
【0018】
基体は所定の表示部位を視覚的に際立たせるために、任意の運動軌道、例えば楕円の運動軌道を有していてよい。基体は一般的に円板形状であり、円形リングとして形成されている。
【0019】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。本発明は図示の実施例に限定されるものではない。図面において、
図1は、環状指示器を駆動ユニット及び支承部材と一緒に示した斜視図であり、
図2は、図1の環状指示器を異なる側から見た斜視図である。
【0020】
図1及び図2には、本発明に基づく表示装置1を示してあり、この場合に目盛りは省略してある。図示の構成要素は、環状指示器2、駆動ユニット3並びに支持部材4である。環状指示器は外径に、周方向5に延びる歯列6を備えている。歯列6は、駆動ユニット3の出力歯車7とかみ合うようになっており、駆動ユニットはステップモータを有しており、ステップモータは、環状指示器2を周方向5に若しくは周方向5と逆方向に推進するようになっている。環状指示器2は支持部材4上に3つの半径方向支承部材9,9aを用いて支承されており、半径方向支承部材(ラジアルベアリング)はそれぞれローラを有しており、該ローラは、環状指示器の基部に向けられた断面U字形の成形部を備えており、該成形部内で環状指示器2の歯の付けられた外周部を案内している。符号9aで表す半径方向支承部材9aは、ばね弾性式に形成されていて、従って半径方向外側へ弾性的に変位できるようになっている。駆動ユニット3の近傍で若しくは周囲で支持部材4にストッパー10を配置してあり、該ストッパーは環状指示器2の周方向5での運動を制限するようになっている。環状指示器2は、ストッパー10と合致するストッパー面11を備えており、該ストッパー面は環状指示器2の零位置12でストッパー10と接触するようになっている。ステップモータ8の制御装置12は、同期化のために環状指示器2のストッパー面11をストッパー10に向けて移動させ、これによって零位置を規定するように構成されている。実施例ではストッパー面11は、環状指示器2の基部の構成要素であり、環状指示器2から半径方向内側へ向いている。ストッパー10は出力歯車7の最も近くに配置されており、この場合に間隔は環状指示器2の最大の直径Dの四分の一よりも小さくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】環状指示器の斜視図
【図2】図1の環状指示器を異なる側から見た斜視図
【符号の説明】
【0022】
1 表示装置、 2 環状指示器、 3 駆動ユニット、 4 支持部材、 5 周方向、 6 歯列、 7 出力歯車、 8 ステップモータ、 9,9a 半径方向支承部材、 10 ストッパー、 11 ストッパー面、 12 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置(1)であって、環状指示器(2)を備えており、該環状指示器は1つの環状体若しくは円弧部材によって形成されていて、周方向(5)に可動に支承されており、さらに駆動ユニット(3)を備えており、該駆動ユニットは前記環状指示器(2)を周方向(5)に駆動するようになっており、前記環状指示器(2)はストッパー面(11)を有しており、かつ該表示装置(1)はストッパー(10)を有しており、該ストッパーは前記ストッパー面(11)と協働して環状指示器(2)の周方向運動を制限するようになっている形式のものにおいて、ストッパー(10)は直接に駆動ユニット(3)の近傍に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
環状指示器(2)への駆動ユニット(3)の力導入箇所とストッパー(10)との間の間隔は、環状指示器(2)の最大の直径(D)の四分の一よりも小さくなっている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
駆動ユニット(3)は出力歯車(7)を有しており、環状指示器(2)は、周方向(5)に延びる歯列(6)を備えており、該歯列は前記出力歯車(7)とかみ合っている請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
駆動ユニット(3)の制御装置(12)は、駆動ユニット(3)が同期化のためにストッパー面(11)をストッパー(10)に向けて移動させるように形成されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
環状指示器(2)は1つの指示針(13)を備えている請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
環状指示器(2)は、該環状指示器の外周に沿った3つの箇所でそれぞれ1つの半径方向支承部材(9,9a)を用いて支承されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
半径方向支承部材(9,9a)はばね弾性式に形成されていて、半径方向で弾性的に変位できるようになっている請求項6に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−510420(P2009−510420A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532732(P2008−532732)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066561
【国際公開番号】WO2007/036474
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508029952)ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】VDO Automotive AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】