表示装置
【課題】映像の開始エッジと終了エッジが近い位相でレベル遷移する映像信号に対して自動位相調整を行う。
【解決手段】表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段の量子化クロックの位相を調整する。位相調整手段は、量子化クロックの位相変化に対するレベル遷移波形を取得し、レベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルからより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相、第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相、第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相および第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する。第1の位相と第4の位相のうち大きい方の重複期間開始位置と第2の位相と第3の位相のうち小さい方の重複期間終了位置との間の位相を量子化クロックの位相として設定する。
【解決手段】表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段の量子化クロックの位相を調整する。位相調整手段は、量子化クロックの位相変化に対するレベル遷移波形を取得し、レベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルからより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相、第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相、第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相および第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する。第1の位相と第4の位相のうち大きい方の重複期間開始位置と第2の位相と第3の位相のうち小さい方の重複期間終了位置との間の位相を量子化クロックの位相として設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタやディスプレイ等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータによって作成される文書やグラフィック等のアナログ映像信号を表示装置により表示する場合、映像信号の量子化クロックや有効映像領域をコンピュータと表示装置とで一致させる必要がある。表示装置では、水平および垂直同期信号の周波数や極性等の属性と量子化クロックや有効映像領域を関連付けた信号フォーマットテーブルを保有する。そして、コンピュータから出力される同期信号の属性を読み取ることで、信号フォーマットの判別が可能となる。
表示装置において、コンピュータからのアナログ映像信号を量子化する際に必要となる量子化クロックは、通常は水平同期信号を逓倍することによって生成される。この量子化クロックの周波数は、先に述べた同期信号の情報から適切な値を知ることが可能である。しかし、位相に関してはコンピュータ毎に適切値が異なる。これは、コンピュータから伝送される水平同期信号と映像信号には、コンピュータ毎に異なる時間差が生じているためである。
そのため、良好な量子化を行うためには、表示装置側で上記の時間差を補償する自動位相調整機能が必要となる。
特許文献1には、量子化クロックの位相の自動調整機能として以下の技術が開示されている。まず、水平映像開始・終了座標での各クロック位相における映像レベルを検出し、同位相のレベルを合成する。これにより、入力されたアナログ映像信号における立ち上がり期間と立下り期間を反映させた映像レベルデータを得る。そして、この映像レベルデータが最大となっているクロック位相を映像レベルの変化が少ない安定部分と見なし、そこにクロック位相を合わせることで量子化クロックの自動位相調整を行う。
特許文献2には、以下の技術が開示されている。まず、1フレームの入力映像信号において、隣接する1組または2組以上の画素データの絶対差分値を取得する処理を各位相に対して実行する。そして、取得された絶対差分値が最大となるようにクロックの周波数と位相を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−122624号公報
【特許文献2】特開平11−177847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて開示された技術では、映像開始エッジおよび映像終了エッジがそれぞれ、1量子化クロックの前半と後半にレベル遷移することが前提となっている。このため、図13に示すように、ほぼ同位相でレベル遷移を開始する映像信号には対応できない。
また、特許文献2にて開示された技術では、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所がある程度存在することを前提としており、その箇所が多いほど調整精度が良くなる。そのため、プレゼンテーションのタイトルでよく使う映像では、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所が少ないため、隣接画素との絶対差分値の差はほとんどつかず、自動位相調整を正しく行えない。
本発明は、映像開始エッジと映像終了エッジが近い位相でレベル遷移する映像信号に対して自動位相調整することを可能にした表示装置を提供する。また、本発明は、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所が少ない映像に対しても、他の映像と同等の自動位相調整精度を有する表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、水平方向における映像の開始位置であってAD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、水平方向における映像の終了位置であってAD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出手段に画素レベルを逐次検出させ、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む範囲における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、水平開始位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、水平開始位置を含む範囲におけるレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲におけるレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、第1の位相と第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および第2の位相と第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、重複期間開始位置と重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、第1の位相と第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および第2の位相と第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、重複期間開始位置と重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、水平方向における映像の開始位置であってAD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、水平方向における映像の終了位置であってAD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出手段に画素レベルを逐次検出させ、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む範囲における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、水平開始位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第1の位相と第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
さらに本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第1の位相と第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、水平方向における映像の開始位置であってAD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、水平方向における映像の終了位置であってAD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出手段に画素レベルを逐次検出させ、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む範囲における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲のレベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第3の位相と第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定する。
また、本発明のさらに他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第3の位相と第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、映像開始エッジと映像終了エッジが近い位相でレベル遷移する映像信号に対して自動位相調整を行うことができる。さらに、本発明によれば、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所が少ない映像に対して自動位相調整の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1における量子化クロックの自動調整フローを示す図。
【図2】実施例1である表示装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施例1における位相ループでの画素レベル取得イメージを示す図。
【図4】(a)は実施例1において位相ループで取得される水平開始波形および水平終了波形の例を示す図。(b)は実施例1における白安定期間を表す遷移波形の例を示す図。(c)は実施例1における黒安定期間を表す遷移波形の例を示す図。
【図5】本発明の実施例2である表示装置の構成を示すブロック図。
【図6】実施例2においてAD変換器に入力されるアナログ映像信号の例を示す図。
【図7】(a)は実施例2において位相ループで取得される水平開始波形および水平終了波形の例を示す図。(b)は実施例2における白安定期間を表す遷移波形の例を示す図。(c)は実施例2における黒安定期間を表す遷移波形の例を示す図。
【図8】本発明の実施例3である表示装置の構成を示すブロック図。
【図9】実施例3における量子化クロックの自動調整フローを示す図。
【図10】実施例3における開始位置変化位相の検出例を示す図。
【図11】実施例3における開始位置変化位相(a)および終了位置変化位相(b)の検知例を示す図。
【図12】(a)は実施例3における白安定期間を表す遷移波形の例を示す図。(b)は実施例3における黒安定期間を表す遷移波形の例を示す図。
【図13】高レベルへの遷移と低レベルの遷移が開始される位相が同位相である映像信号の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施例1である表示装置について説明する。まず、本実施例の表示装置の構成について図2を用いて説明する。
制御部1は、メモリ2に格納された各種プログラムに従って、表示装置内の各部の動作を制御する。
D−Sub15ピン端子3は、コンピュータ等のRGBアナログ映像信号用の入力端子である。
同期信号検出器4は、同期信号の有無の判定と、水平同期信号の周期と、垂直同期信号一周期における水平同期信号のカウント数(垂直ライン数)の検出とを行う。また、同期信号検出器4は、垂直同期信号に同期した割り込み信号を制御部1に対して出力する。
クロック生成器5は、水平同期信号を制御部1により設定される倍率で逓倍した量子化クロックを生成して出力する。量子化クロックの位相は、制御部1にて設定できる。本実施例では、位相について、例として、0〜31の32段階の設定ができるものとする。
AD変換器6は、アナログ映像信号をクロック生成器5より出力される量子化クロックでAD変換し、RGBデジタル映像信号とクロック信号とを出力する。
水平開始終了座標検出器(水平開始座標検出手段、水平終了座標検出手段)7は、水平方向の映像有効領域の開始位置(水平開始位置)とその垂直位置からなる開始座標(水平開始座標)を検出する。また、水平開始終了座標検出器7は、該映像有効領域の終了位置(水平終了位置)とその垂直位置からなる終了座標(水平終了座標)を検出する。開始位置および終了位置の判定は、制御部1により設定される閾値レベルに基づいて行われる。
すなわち、水平開始終了座標検出器7は、水平同期信号が到来してからクロックをカウントし、RGBの何れかのチャンネルにてAD変換器6の出力値が初めて所定の閾値レベルを上回った位置を開始位置とする。また、AD変換器6の出力値が最後に閾値レベルを上回る位置を終了位置とする。そして、水平開始終了座標検出器7は、次期垂直同期信号が到来するまで、開始位置での最小値と終了位置での最大値の保持を続ける。また、垂直同期信号が到来してから水平同期信号のカウントも同時に行っており、最後に開始位置および終了位置を記録した際の垂直位置の保持も行う。
記憶される値は垂直同期信号によりリセットされ、制御部1からの取得要求に対しては、水平開始終了座標検出器7は、前フレームの開始位置および終了位置におけるそれぞれの水平/垂直座標を出力する。
指定画素レベル検出器8は、入力されるRGBデジタル映像信号から、制御部1により指定された水平/垂直座標およびRGBチャンネルにおける画素レベルの検出を行う。記憶される値はフレーム毎に更新され、指定画素レベル検出器8は、制御部1からの取得要求に対して前フレームの画素レベルを出力する。
映像信号処理部9は、RGBデジタル映像信号に適切な変換処理を行い、図示していない表示部に対し出力し、そこで映像を表示する。
次に、位相調整手段としての制御部1がクロック生成器5に設定する位相、すなわち量子化クロック位相の自動調整機能(自動調整処理)について、図1を用いて説明する。
メインルーチンの動作から説明する。f101において、制御部1は、各種変数の定義を行う。レベル遷移波形である水平開始波形Swf[]および水平終了波形Ewf[]はそれぞれ要素数96の配列を有し、水平開始位置の近傍範囲および水平終了位置の近傍範囲のレベル遷移の様子(波形)を表すデータを格納する。
白安定期間開始位置(第1の位相)Wsは、高レベル遷移(第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移)を終了する位相、すなわち該高レベル遷移後の信号安定期間の開始位相を格納する。また、白安定期間終了位置(第2の位相)Weは、高レベル遷移後の信号安定期間の終了位相、すなわち低レベル遷移(第2のレベルから第1のレベルへの遷移)を開始する位相を格納する。
同様に、黒安定期間開始位置(第4の位相)Bsは、低レベル遷移が終了する位相、すなわち該低レベル遷移後の信号安定期間の開始位相を格納する。また、黒安定期間終了位置(第3の位相)Beは、低レベル遷移終了後の信号安定期間の終了位相、すなわち高レベル遷移を開始する位相を格納する。適切位相Bpは、できるだけ又は最も良好な、すなわち適切な量子化クロック位相を格納する。
f102では、制御部1は、後述する水平開始波形および水平終了波形取得処理(サブルーチン1)を実行し、水平開始波形Swf[0]〜Swf[95]と水平終了波形Ewf[0]〜Ewf[95]の各値を取得する。
f103では、制御部1は、後述する白安定期間および黒安定期間算出処理a(サブルーチン2)を実行する。これにより、先の処理で取得した各レベル遷移波形から、白安定期間開始位置Ws、白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bsおよび黒安定期間終了位置Beを算出する。
f104では、制御部1は、後述する適切位相算出処理(サブルーチン3)を実行し、先の処理で取得した各位置から、適切位相Bpを算出する。
f105では、制御部1は、適切位相Bpをクロック生成器5に設定して本処理を終了する。
水平開始波形および水平終了波形取得処理(サブルーチン1)について説明する。
f106において、制御部1は、各種変数の定義を行う。位相ループ変数nはループ変数であり、クロック生成器5に設定される位相の値としても使用される。水平開始水平位置Shおよび水平開始垂直位置Svはそれぞれ、水平開始終了座標検出器7から取得できる水平開始位置およびそれを記録した垂直位置を格納する。同様に、水平終了水平位置Ehおよび水平終了垂直位置Evはそれぞれ、水平開始終了座標検出器7から取得できる水平終了位置およびそれを記録した垂直位置を格納する。
f107において、制御部1は、クロック生成器5の位相を0に設定し、その後、水平開始終了座標検出器7の出力に反映されるまでの時間として、同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待つ。その後、制御部1は、水平開始終了座標検出器7により水平開始位置および水平終了位置の値とそれを記憶した時の垂直位置とを取得する。さらに、それぞれを、Sh(水平開始水平位置)、Eh(水平終了水平位置)、Sv(水平開始垂直位置)、Ev(水平終了垂直位置)に格納する。
f108〜f110bでは、制御部1は位相ループ処理を行う。ここでは、位相ループ変数をnとし、f109での処理の後にf110aにおいてnを1ずつ増加し、f110bにてn=32になった時点でループを終了する。
位相ループ処理は、以下の通りである。f109において、制御部1は、クロック生成器5の位相をnに設定し、その後、指定画素レベル検出器8の出力に反映されるまでの時間として、同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待つ。その後、指定画素レベル検出器8より座標(Sh, Sv)、(Sh−1, Sv)、(Sh−2, Sv)、(Eh+1, Ev)、(Eh, Ev)、(Eh−1, Ev)の画素レベルを取得する。そして、それぞれを、Swf[64+n]、Swf[32+n]、Swf[n]、Ewf[64+n]、Ewf[32+n]、Ewf[n]に格納する。
このようにして、位相調整手段としての制御部1は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出器8に画素レベルを逐次検出させる。そして、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む所定の範囲(近傍範囲)における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する。
元のアナログ映像信号と位相ループ処理で取得される画素レベルとの関係を図3に示す。位相ループ処理がn=31まで終了すると、図4(a)に示すような3量子化クロック期間におけるレベル遷移過程が、水平開始位置においてはSwf[0]〜Swf[95]に、水平終了位置においてはEwf[0]〜Ewf[95]に記憶される。3量子化クロックの期間において画素レベルを取得する理由は、アナログ映像信号、水平開始終了座標検出器7の閾値およびn=0の時の量子化クロックとの関係に依存せずに遷移の開始点と終了点を確実に取り込むためである。
白安定期間および黒安定期間の算出処理a(サブルーチン2)について説明する。算出処理aは、第1の位置算出処理、第2の位置算出処理、第3の位置算出処理および第4の位置算出処理に相当する。
ここでは、先の処理f102で取得した黒レベル(第1のレベル)から高レベル(第2のレベル)への遷移と高レベルから黒レベルへの遷移が始終する位相は、他のレベルから他のレベルへの遷移であっても遷移区間が大きく伸びることはないとの前提に基づく。すなわち、全てのレベル遷移が始終する位相は、先の処理f102で取得した水平開始波形Swf[]と水平終了波形Ewf[]の遷移が始終する位相で代用することができる。
以下、水平開始波形Swf[]と水平終了波形Ewf[]から、白安定期間開始位置Wsと白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bsおよび黒安定期間終了位置Beを算出する処理について説明する。
f111において、制御部1は、水平開始波形Swf[]のレベル遷移開始後1/8および7/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似し、その直線が最高レベルと交わる位相を白安定期間開始位置Wsとする。
f112において、制御部1は、水平終了波形Ewf[]のレベル遷移開始後7/8および1/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似する。そして、その直線が最高レベルと交わる位相に、白安定期間開始位置Wsとの関係を考慮して、1クロック分に相当する32を足した値を白安定期間終了位置Weとする。白安定期間のイメージを図4(b)に示す。
f113において、制御部1は、水平終了波形Ewf[]のレベル遷移開始後7/8および1/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似し、その直線が黒レベルと交わる位相を黒安定期間開始位置Bsとする。
f114において、制御部1は、水平開始波形Swf[]のレベル遷移開始後1/8および7/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似する。そして、その直線が黒レベルに交わる位相に、黒安定期間開始位置Bsとの関係を考慮して、1クロック分に相当する32を足した値を黒安定期間終了位置Beとする。黒安定期間のイメージを図4(c)に示す。
なお、ここでは、位相が0のときに遷移が終了しているものとして説明してきたが、位相が0のときに遷移中である場合は、f107で取得する水平開始終了座標について、遷移の前後関係が開始と終了で一致しない場合が生じる。この状態を補償するために、制御部1は、f115〜f118で各安定開始終了位置の修正を行う。
f115では、制御部1は、黒安定期間を示すBe−Bsが1クロックに納まるかどうかの判定を行う。1クロックに納まらないと判定した場合は、制御部1は、f116に進み、水平開始波形Swf[]から算出した黒安定期間終了位置Beと白安定期間開始位置Wsを1クロック分シフトさせる。一方、f115においてBe−Bsが1クロックに納まると判定した場合は、制御部1は、以下の白安定期間の確認に移る。
f117では、制御部1は、白安定期間を示すWe−Wsが1クロックに納まるかどうかの判定を行う。1クロックに納まらないと判定した場合は、制御部1は、f118に進み、水平終了波形Ewf[]から算出した白安定期間終了位置Weと黒安定期間開始位置Bsを1クロック分シフトさせる。
次に、重複期間位置算出処理および適切位相の算出処理(サブルーチン3)について説明する。
f119において、制御部1は、各種変数の定義を行う。制御部1は、重複安定期間開始位置(重複期間開始位置)Osおよび重複安定期間終了位置(重複期間終了位置)Oeに、白安定期間と黒安定期間の重複期間の開始位置および終了位置をそれぞれ格納する。
f120〜f122(重複期間位置算出処理)において、制御部1は、黒安定期間開始位置(第4の位相)Bsと白安定期間開始位置(第1の位相)Wsのうち大きい方の値(位相)を重複安定期間開始位置Osに格納する。
f123〜f125(重複期間位置算出処理)において、制御部1は、黒安定期間終了位置(第3の位相)Beと白安定期間終了位置(第2の位相)Weのうち小さい方の値(位相)を重複安定期間終了位置Oeに代入する。
f126において、制御部1は、重複安定期間開始位置Osと重複安定期間終了位置Oeとの間の重複安定期間(位相区間)に含まれる位相、ここでは重複安定期間の中点を求める。そして、それを1クロック分に相当する位相周期32で割った余りを、量子化クロックの適切位相Bpに格納(設定)する。
ここまでは、各安定期間が存在することを前提として説明してきたが、高周波クロックの映像フォーマットにおいては1クロックではレベル遷移が完了しない、つまり、安定期間が存在しないものもある。このような場合においても、この適切位相算出処理(サブルーチン3)をそのまま適用することができ、遷移が最も進んだ位置が適切位相となる。
以上説明したように、量子化クロック位相の自動調整を行うと、黒レベルから高レベルへの遷移および高レベルから黒レベルへの遷移のいずれにおいても、遷移が終了した後の安定期間で良好な量子化が行える。
本実施例では、白安定期間および黒安定期間の算出処理a(サブルーチン2)において二点間の直線近似を用いたが、他の近似手法を用いてもよい。また、本実施例では、適切位相算出処理(サブルーチン3)において、重複安定期間開始位置と終了位置との間の位相区間の中点を適切位相として設定したが、該位相区間内で十分なマージンを持っていればいずれの位置を適切位相としてもよい。
【実施例2】
【0010】
図5〜図7を参照して、本発明の実施例2である表示装置について説明する。まず、図5を用いて本実施例の表示装置の構成について説明する。実施例1との違いは、AD変換器6の前段にLPF10が追加された点である。
LPF10は、RGBアナログ映像信号から高周波ノイズ成分を減衰させるためのローパスフィルタ処理を行う。周波数特性が異なる複数のフィルタが存在し、制御部1により選択が可能である。その他の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
次に、本実施例における量子化クロック位相の自動調整処理について説明する。基本的には実施例1と同じであるが、LPF10が追加されたことで、図1に記したf126での適切位相の算出方法が異なる。
図6に示すように、LPF10のローパスフィルタ処理により、高周波ノイズに対する耐性は強くなるが、アナログ映像信号の高周波成分に対しても減衰させてしまう。その結果、取得される水平開始波形および水平終了波形は、図7(a)に示すようになり、白および黒安定期間は、図7(b)および(c)のようになる。これらの図からも分かるように、画素レベルが頻繁に遷移するような映像では、白安定期間および黒安定期間がともに終了位置に近い方が元の映像信号のレベルに近づく。そこで、図1におけるf126の適切位相Bpの求め方を次式のように、重複安定期間終了位置Oeに近づくようにずらす。
【0011】
【数1】
【0012】
このように、アナログ映像信号から減衰される成分は、LPF10のカットオフ周波数が量子化クロックの周波数に近づくほど多くなる。このため、カットオフ周波数が量子化クロックの周波数に近いほど、量子化クロックの位相を重複安定期間終了位置(重複安定期間の終端)に近づける。これにより、元の映像信号に近い信号が得られ、より良好な量子化を行うことが可能となる。
本実施例では、適切位相の演算において、カットオフ周波数/クロック周波数が1.5のときに重複安定期間の3/4の位置となるように設定したが、他の設定を用いてもよい。
【実施例3】
【0013】
次に、図8〜図12を参照して、本発明の実施例3である表示装置について説明する。まず、本実施例の表示装置の構成について、図8を用いて説明する。実施例1との違いは、指定画素レベル検出器8が無い点と、水平開始終了座標検出器7に代わって水平開始終了位置検出器11が追加された点である。その他の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
水平開始終了位置検出器(水平開始位置検出手段および水平終了位置検出手段)11は、水平方向の映像有効領域の開始位置と終了位置の検出を行う。開始位置および終了位置の判定は、制御部1により設定される閾値レベルに基づいて行われる。閾値レベルは、白レベルに対して、1/8、2/8、…、8/8のレベルでの設定を可能とする。水平開始終了位置検出器11は、水平同期信号が到来してからクロックをカウントし、RGBの何れかのチャンネルにおいて初めて閾値レベルを上回った位置を開始位置とし、最後に閾値を上回った位置を終了位置とする。
そして、水平開始終了位置検出器11は、次期垂直同期信号が到来するまで、開始位置での最小値と終了位置での最大値の保持を続ける。記憶される値は垂直同期信号によりリセットされ、制御部1からの取得要求に対して、水平開始終了位置検出器11は、前フレームの開始位置および終了位置を出力する。また、閾値レベルを超える値(画素レベル)の画素が存在しない場合は0を出力する。
次に、量子化クロック位相の自動調整処理について、図9を用いて説明する。メインルーチンの動作から説明する。
f301において、位相調整手段としての制御部1は、各種変数の定義を行う。開始位置変化位相Sth[]は、要素数7の配列を有し、水平開始終了位置検出器11が各閾値レベルにて出力する水平開始位置が連続する位相間で変化する開始位置変化位相を格納する。終了位置変化位相Eth[]は、要素数7の配列を有し、水平開始終了位置検出器11が各閾値レベルにて出力する水平終了位置が連続する位相間で変化する終了位置変化位相を格納する。
制御部1は、白安定期間開始位置Ws、白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bs、黒安定期間終了位置Beおよび適切位相Bpに、実施例1と同様の値を格納する。
f302では、制御部1は、後述する開始位置変化位相取得処理(サブルーチン4)を実行し、開始位置変化位相Sth[0]〜Sth[6]の各値を取得する。
f303では、制御部1は、後述する終了位置変化位相取得処理(サブルーチン5)を実行し、終了位置変化位相Eth[0]〜Eth[6]の各値を取得する。
f304では、制御部1は、後述する白安定期間および黒安定期間算出処理b(サブルーチン6)を実行する。これにより、先の処理で取得した各変化位相から、白安定期間開始位置Ws、白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bsおよび黒安定期間終了位置Beを算出する。
f305では、制御部1は、適切位相算出処理(図1のサブルーチン3と同じ処理)を実行し、先の処理f304で取得された各位置から適切位相Bpを算出する。
f306において、制御部1は、適切位相Bpをクロック生成器5に設定し、本処理を終了する。
開始位置変化位相取得処理(サブルーチン4)について説明する。
f307において、閾値レベル調整手段としての制御部1は、各種変数の定義を行う。位相変数nは、クロック生成器5に設定される位相を管理するための変数(位相調整値)であり、1クロックに相当する32が初期値として与えられている。閾値変数mは、水平開始終了位置検出器11に設定される閾値レベルを管理するための変数であり、0が初期値として与えられている。現在水平開始位置Pcは、現位相設定における水平開始終了位置検出器11から取得される水平開始位置を格納する。前回水平開始位置Ppは、前回位相設定において水平開始終了位置検出器11から取得された水平開始位置を格納する。
f308において、制御部1は、クロック生成器5の位相を0に設定する。
f309において、制御部1は、水平開始終了位置検出器11に対し、閾値レベルを(m+1)/8に設定した後、出力に反映されるまでの時間として同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待ってから水平開始位置を取得してPcに格納する。
f310では、制御部1は、先の処理f309で取得した水平開始位置Pcが0以外であるかどうかの判定を行う。0であると判定した場合は、制御部1は、f311に進み、閾値レベルを上回る値の画素が存在しないことを示す−1を開始位置変化位相Sth[m]に代入する。一方、水平開始位置Pcが0以外であると判定した場合は、制御部1は、f312に進み、位相を巡回させながら水平開始位置が変化する位相の検出処理に移る。
f312において、制御部1は、次の位相設定での水平開始位置を取得するために、nを1増加させ、現在水平開始位置Pcを前回水平開始位置Ppにコピーする。
f313において、制御部1は、クロック生成器5の位相にnを32で割った余りを設定する。その後、出力に反映されるまでの時間として同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待ってから水平開始終了位置検出器11の水平開始位置を取得してPcに格納する。
f314では、制御部1は、nが64のときは、PpとPcが等しいか否かを判定する。また、nが64以外のときは、Pp−Pcが1であるか否かを判定する。どちらも満たさない場合はf312に戻り、条件を満たすnを探し続ける。この条件は、図10に示すように、位相変数がnとn−1であるときにそれぞれ設定される位相間で、アナログ入力映像信号が閾値レベルに到達したか否かを判定しているに等しい。nが64のときの位相を別扱いする理由は、該位相が、水平開始終了位置検出器11がカウントを開始するクロックの変わり目に相当する位相だからである。f314の条件を満たす場合は、f315に進む。
f315では、制御部1は、そのときのnをSth[m]に格納し、次の閾値レベルでの検出を行うためにnを1戻してmを1増加させる。nを1戻す理由は、次の閾値レベルにおける開始位置変化位相の検出処理をnから開始する準備のためである。
f316では、制御部1は、開始位置変化位相の検出処理が最大閾値レベルである6まで終了したか否かを判定する。終了していない場合はf309に戻り、次の閾値レベルでの検出を行う。以上の処理により、低レベルから高レベルへの遷移における各閾値レベルに到達する位相が、開始位置変化位相Sth[]に格納される。
終了位置変化位相取得処理(サブルーチン5)について説明する。開始位置変化位相取得処理(サブルーチン4)と異なる点は、レベル遷移の傾斜が逆向きになるため、位相変数nの初期値が63となり、減少方向へ巡回していく点である。他の動作はほぼ同じであるため、詳細な説明は省略する。
この処理により、高レベルから低レベルへの遷移における各閾値レベルまで降下する位相が、終了位置変化位相Eth[]に格納される。開始位置変化位相Sth[]および終了位置変化位相Eth[]を図11(a),(b)に示す。
白安定期間および黒安定期間算出処理b(サブルーチン6)について説明する。
f327において、制御部1は、各種変数の定義を行う。開始位置最大閾値Smおよび終了位置最大閾値Emはそれぞれ、開始位置変化位相Sth[]および終了位置変化位相Eth[]において有効な位置が格納されている要素の最大値を格納する。
f328において、制御部1は、開始位置最大閾値Smおよび終了位置最大閾値Emにそれぞれ、Sth[m]およびEth[m]が−1でない最大のmを格納する。
f329において、制御部1は、高レベル遷移における最大閾値レベルに到達する位相であるSth[Sm]に、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Sth[Sm]−Sth[0])/Smを足した位相を白安定期間開始位置Wsとする。
f330において、低レベル遷移における最大閾値レベルにまで降下する位相であるEth[Em]から、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Eth[0]−Eth[Em])/Emを減じる。そして、これに1クロックシフトに相当する32を足した位相を白安定期間終了位置Weとする。白安定期間のイメージを図12(a)に示す。
f331において、制御部1は、低レベル遷移における最小閾値レベルまで降下する位相であるEth[0]に、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Eth[0]−Eth[Em])/Emを足した位相を黒安定期間開始位置Bsとする。
f332において、制御部1は、高レベルへの遷移における最小閾値レベルに到達する位相であるSth[0]から、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Sth[Sm]−Sth[0])/Smを減じる。そして、これに1クロックシフトに相当する32を足した位相を黒安定期間終了位置Beとする。黒安定期間のイメージを図12(b)に示す。
本実施例では、位相が0のときには遷移が終了しているものとして説明してきたが、位相が0のときに遷移中であった場合は、水平開始位置と水平終了位置について、遷移の前後関係が開始と終了で一致しない場合が生じる。この状態を補償するために、制御部1は、図1のf114〜f117と同様の処理をf323〜f326で行う。
以上のように量子化クロック位相の自動調整を行うと、黒レベルから高レベルへの遷移においても、高レベルから黒レベルへの遷移においても、遷移が終了した後の安定期間による良好な量子化が行える。
本実施例では、白安定期間および黒安定期間算出処理b(サブルーチン6)において、二点間の直線近似を用いたが、他の近似手法を用いてもよい。
また、本実施例では、適切位相算出処理(サブルーチン3)において、重複安定期間開始位置と終了位置との間の位相区間の中点を適切位相として設定したが、該位相区間内で十分なマージンを持っていればいずれの位置を適切位相としてもよい。さらに、実施例2にて説明したようにLPFを設け、適切位相を中点よりも安定期間終了位置側に近づけて設定してもよい。
さらに、上記各実施例では、白安定期間と黒安定期間の重複期間に含まれる位相を適切位相として設定する場合について説明した。しかし、実施例1〜3と同様の処理を行う中で、第1の位相である白安定期間開始位置と白安定期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を適切位相として設定してもよい。また、第3の位相である黒安定期間終了位置と第4の位相である黒安定期間開始位置との間の位相区間に含まれる位相を適切位相として設定してもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
映像信号に対する自動位相調整を行うプロジェクタやディスプレイ等の表示装置を提供できる。
【符号の説明】
【0015】
1 制御部
5 クロック生成器
6 AD変換器
7 水平開始終了座標検出器
8 指定画素レベル検出器
9 映像信号処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタやディスプレイ等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータによって作成される文書やグラフィック等のアナログ映像信号を表示装置により表示する場合、映像信号の量子化クロックや有効映像領域をコンピュータと表示装置とで一致させる必要がある。表示装置では、水平および垂直同期信号の周波数や極性等の属性と量子化クロックや有効映像領域を関連付けた信号フォーマットテーブルを保有する。そして、コンピュータから出力される同期信号の属性を読み取ることで、信号フォーマットの判別が可能となる。
表示装置において、コンピュータからのアナログ映像信号を量子化する際に必要となる量子化クロックは、通常は水平同期信号を逓倍することによって生成される。この量子化クロックの周波数は、先に述べた同期信号の情報から適切な値を知ることが可能である。しかし、位相に関してはコンピュータ毎に適切値が異なる。これは、コンピュータから伝送される水平同期信号と映像信号には、コンピュータ毎に異なる時間差が生じているためである。
そのため、良好な量子化を行うためには、表示装置側で上記の時間差を補償する自動位相調整機能が必要となる。
特許文献1には、量子化クロックの位相の自動調整機能として以下の技術が開示されている。まず、水平映像開始・終了座標での各クロック位相における映像レベルを検出し、同位相のレベルを合成する。これにより、入力されたアナログ映像信号における立ち上がり期間と立下り期間を反映させた映像レベルデータを得る。そして、この映像レベルデータが最大となっているクロック位相を映像レベルの変化が少ない安定部分と見なし、そこにクロック位相を合わせることで量子化クロックの自動位相調整を行う。
特許文献2には、以下の技術が開示されている。まず、1フレームの入力映像信号において、隣接する1組または2組以上の画素データの絶対差分値を取得する処理を各位相に対して実行する。そして、取得された絶対差分値が最大となるようにクロックの周波数と位相を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−122624号公報
【特許文献2】特開平11−177847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて開示された技術では、映像開始エッジおよび映像終了エッジがそれぞれ、1量子化クロックの前半と後半にレベル遷移することが前提となっている。このため、図13に示すように、ほぼ同位相でレベル遷移を開始する映像信号には対応できない。
また、特許文献2にて開示された技術では、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所がある程度存在することを前提としており、その箇所が多いほど調整精度が良くなる。そのため、プレゼンテーションのタイトルでよく使う映像では、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所が少ないため、隣接画素との絶対差分値の差はほとんどつかず、自動位相調整を正しく行えない。
本発明は、映像開始エッジと映像終了エッジが近い位相でレベル遷移する映像信号に対して自動位相調整することを可能にした表示装置を提供する。また、本発明は、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所が少ない映像に対しても、他の映像と同等の自動位相調整精度を有する表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、水平方向における映像の開始位置であってAD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、水平方向における映像の終了位置であってAD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出手段に画素レベルを逐次検出させ、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む範囲における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、水平開始位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、水平開始位置を含む範囲におけるレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲におけるレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、第1の位相と第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および第2の位相と第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、重複期間開始位置と重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、第1の位相と第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および第2の位相と第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、重複期間開始位置と重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、水平方向における映像の開始位置であってAD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、水平方向における映像の終了位置であってAD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出手段に画素レベルを逐次検出させ、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む範囲における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、水平開始位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲のレベル遷移波形から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第1の位相と第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
さらに本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第1の位相と第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、水平方向における映像の開始位置であってAD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、水平方向における映像の終了位置であってAD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出手段に画素レベルを逐次検出させ、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む範囲における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、水平終了位置を含む範囲のレベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第3の位相と第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定する。
また、本発明のさらに他の一側面としての表示装置は、アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、アナログ映像信号に対するAD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、映像の水平方向においてAD変換手段の出力値が閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有する。位相調整手段は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、開始位置変化位相から、アナログ映像信号が第1のレベルから第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、終了位置変化位相から、アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行う。そして、位相調整手段は、第3の位相と第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を量子化クロックの位相として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、映像開始エッジと映像終了エッジが近い位相でレベル遷移する映像信号に対して自動位相調整を行うことができる。さらに、本発明によれば、映像レベルの変化の傾きが画素毎に反転する箇所が少ない映像に対して自動位相調整の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1における量子化クロックの自動調整フローを示す図。
【図2】実施例1である表示装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施例1における位相ループでの画素レベル取得イメージを示す図。
【図4】(a)は実施例1において位相ループで取得される水平開始波形および水平終了波形の例を示す図。(b)は実施例1における白安定期間を表す遷移波形の例を示す図。(c)は実施例1における黒安定期間を表す遷移波形の例を示す図。
【図5】本発明の実施例2である表示装置の構成を示すブロック図。
【図6】実施例2においてAD変換器に入力されるアナログ映像信号の例を示す図。
【図7】(a)は実施例2において位相ループで取得される水平開始波形および水平終了波形の例を示す図。(b)は実施例2における白安定期間を表す遷移波形の例を示す図。(c)は実施例2における黒安定期間を表す遷移波形の例を示す図。
【図8】本発明の実施例3である表示装置の構成を示すブロック図。
【図9】実施例3における量子化クロックの自動調整フローを示す図。
【図10】実施例3における開始位置変化位相の検出例を示す図。
【図11】実施例3における開始位置変化位相(a)および終了位置変化位相(b)の検知例を示す図。
【図12】(a)は実施例3における白安定期間を表す遷移波形の例を示す図。(b)は実施例3における黒安定期間を表す遷移波形の例を示す図。
【図13】高レベルへの遷移と低レベルの遷移が開始される位相が同位相である映像信号の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施例1である表示装置について説明する。まず、本実施例の表示装置の構成について図2を用いて説明する。
制御部1は、メモリ2に格納された各種プログラムに従って、表示装置内の各部の動作を制御する。
D−Sub15ピン端子3は、コンピュータ等のRGBアナログ映像信号用の入力端子である。
同期信号検出器4は、同期信号の有無の判定と、水平同期信号の周期と、垂直同期信号一周期における水平同期信号のカウント数(垂直ライン数)の検出とを行う。また、同期信号検出器4は、垂直同期信号に同期した割り込み信号を制御部1に対して出力する。
クロック生成器5は、水平同期信号を制御部1により設定される倍率で逓倍した量子化クロックを生成して出力する。量子化クロックの位相は、制御部1にて設定できる。本実施例では、位相について、例として、0〜31の32段階の設定ができるものとする。
AD変換器6は、アナログ映像信号をクロック生成器5より出力される量子化クロックでAD変換し、RGBデジタル映像信号とクロック信号とを出力する。
水平開始終了座標検出器(水平開始座標検出手段、水平終了座標検出手段)7は、水平方向の映像有効領域の開始位置(水平開始位置)とその垂直位置からなる開始座標(水平開始座標)を検出する。また、水平開始終了座標検出器7は、該映像有効領域の終了位置(水平終了位置)とその垂直位置からなる終了座標(水平終了座標)を検出する。開始位置および終了位置の判定は、制御部1により設定される閾値レベルに基づいて行われる。
すなわち、水平開始終了座標検出器7は、水平同期信号が到来してからクロックをカウントし、RGBの何れかのチャンネルにてAD変換器6の出力値が初めて所定の閾値レベルを上回った位置を開始位置とする。また、AD変換器6の出力値が最後に閾値レベルを上回る位置を終了位置とする。そして、水平開始終了座標検出器7は、次期垂直同期信号が到来するまで、開始位置での最小値と終了位置での最大値の保持を続ける。また、垂直同期信号が到来してから水平同期信号のカウントも同時に行っており、最後に開始位置および終了位置を記録した際の垂直位置の保持も行う。
記憶される値は垂直同期信号によりリセットされ、制御部1からの取得要求に対しては、水平開始終了座標検出器7は、前フレームの開始位置および終了位置におけるそれぞれの水平/垂直座標を出力する。
指定画素レベル検出器8は、入力されるRGBデジタル映像信号から、制御部1により指定された水平/垂直座標およびRGBチャンネルにおける画素レベルの検出を行う。記憶される値はフレーム毎に更新され、指定画素レベル検出器8は、制御部1からの取得要求に対して前フレームの画素レベルを出力する。
映像信号処理部9は、RGBデジタル映像信号に適切な変換処理を行い、図示していない表示部に対し出力し、そこで映像を表示する。
次に、位相調整手段としての制御部1がクロック生成器5に設定する位相、すなわち量子化クロック位相の自動調整機能(自動調整処理)について、図1を用いて説明する。
メインルーチンの動作から説明する。f101において、制御部1は、各種変数の定義を行う。レベル遷移波形である水平開始波形Swf[]および水平終了波形Ewf[]はそれぞれ要素数96の配列を有し、水平開始位置の近傍範囲および水平終了位置の近傍範囲のレベル遷移の様子(波形)を表すデータを格納する。
白安定期間開始位置(第1の位相)Wsは、高レベル遷移(第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移)を終了する位相、すなわち該高レベル遷移後の信号安定期間の開始位相を格納する。また、白安定期間終了位置(第2の位相)Weは、高レベル遷移後の信号安定期間の終了位相、すなわち低レベル遷移(第2のレベルから第1のレベルへの遷移)を開始する位相を格納する。
同様に、黒安定期間開始位置(第4の位相)Bsは、低レベル遷移が終了する位相、すなわち該低レベル遷移後の信号安定期間の開始位相を格納する。また、黒安定期間終了位置(第3の位相)Beは、低レベル遷移終了後の信号安定期間の終了位相、すなわち高レベル遷移を開始する位相を格納する。適切位相Bpは、できるだけ又は最も良好な、すなわち適切な量子化クロック位相を格納する。
f102では、制御部1は、後述する水平開始波形および水平終了波形取得処理(サブルーチン1)を実行し、水平開始波形Swf[0]〜Swf[95]と水平終了波形Ewf[0]〜Ewf[95]の各値を取得する。
f103では、制御部1は、後述する白安定期間および黒安定期間算出処理a(サブルーチン2)を実行する。これにより、先の処理で取得した各レベル遷移波形から、白安定期間開始位置Ws、白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bsおよび黒安定期間終了位置Beを算出する。
f104では、制御部1は、後述する適切位相算出処理(サブルーチン3)を実行し、先の処理で取得した各位置から、適切位相Bpを算出する。
f105では、制御部1は、適切位相Bpをクロック生成器5に設定して本処理を終了する。
水平開始波形および水平終了波形取得処理(サブルーチン1)について説明する。
f106において、制御部1は、各種変数の定義を行う。位相ループ変数nはループ変数であり、クロック生成器5に設定される位相の値としても使用される。水平開始水平位置Shおよび水平開始垂直位置Svはそれぞれ、水平開始終了座標検出器7から取得できる水平開始位置およびそれを記録した垂直位置を格納する。同様に、水平終了水平位置Ehおよび水平終了垂直位置Evはそれぞれ、水平開始終了座標検出器7から取得できる水平終了位置およびそれを記録した垂直位置を格納する。
f107において、制御部1は、クロック生成器5の位相を0に設定し、その後、水平開始終了座標検出器7の出力に反映されるまでの時間として、同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待つ。その後、制御部1は、水平開始終了座標検出器7により水平開始位置および水平終了位置の値とそれを記憶した時の垂直位置とを取得する。さらに、それぞれを、Sh(水平開始水平位置)、Eh(水平終了水平位置)、Sv(水平開始垂直位置)、Ev(水平終了垂直位置)に格納する。
f108〜f110bでは、制御部1は位相ループ処理を行う。ここでは、位相ループ変数をnとし、f109での処理の後にf110aにおいてnを1ずつ増加し、f110bにてn=32になった時点でループを終了する。
位相ループ処理は、以下の通りである。f109において、制御部1は、クロック生成器5の位相をnに設定し、その後、指定画素レベル検出器8の出力に反映されるまでの時間として、同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待つ。その後、指定画素レベル検出器8より座標(Sh, Sv)、(Sh−1, Sv)、(Sh−2, Sv)、(Eh+1, Ev)、(Eh, Ev)、(Eh−1, Ev)の画素レベルを取得する。そして、それぞれを、Swf[64+n]、Swf[32+n]、Swf[n]、Ewf[64+n]、Ewf[32+n]、Ewf[n]に格納する。
このようにして、位相調整手段としての制御部1は、量子化クロックの位相調整値を順次変更して、水平開始座標および水平終了座標のそれぞれを含む範囲において指定画素レベル検出器8に画素レベルを逐次検出させる。そして、水平開始位置および水平終了位置のそれぞれを含む所定の範囲(近傍範囲)における量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する。
元のアナログ映像信号と位相ループ処理で取得される画素レベルとの関係を図3に示す。位相ループ処理がn=31まで終了すると、図4(a)に示すような3量子化クロック期間におけるレベル遷移過程が、水平開始位置においてはSwf[0]〜Swf[95]に、水平終了位置においてはEwf[0]〜Ewf[95]に記憶される。3量子化クロックの期間において画素レベルを取得する理由は、アナログ映像信号、水平開始終了座標検出器7の閾値およびn=0の時の量子化クロックとの関係に依存せずに遷移の開始点と終了点を確実に取り込むためである。
白安定期間および黒安定期間の算出処理a(サブルーチン2)について説明する。算出処理aは、第1の位置算出処理、第2の位置算出処理、第3の位置算出処理および第4の位置算出処理に相当する。
ここでは、先の処理f102で取得した黒レベル(第1のレベル)から高レベル(第2のレベル)への遷移と高レベルから黒レベルへの遷移が始終する位相は、他のレベルから他のレベルへの遷移であっても遷移区間が大きく伸びることはないとの前提に基づく。すなわち、全てのレベル遷移が始終する位相は、先の処理f102で取得した水平開始波形Swf[]と水平終了波形Ewf[]の遷移が始終する位相で代用することができる。
以下、水平開始波形Swf[]と水平終了波形Ewf[]から、白安定期間開始位置Wsと白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bsおよび黒安定期間終了位置Beを算出する処理について説明する。
f111において、制御部1は、水平開始波形Swf[]のレベル遷移開始後1/8および7/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似し、その直線が最高レベルと交わる位相を白安定期間開始位置Wsとする。
f112において、制御部1は、水平終了波形Ewf[]のレベル遷移開始後7/8および1/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似する。そして、その直線が最高レベルと交わる位相に、白安定期間開始位置Wsとの関係を考慮して、1クロック分に相当する32を足した値を白安定期間終了位置Weとする。白安定期間のイメージを図4(b)に示す。
f113において、制御部1は、水平終了波形Ewf[]のレベル遷移開始後7/8および1/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似し、その直線が黒レベルと交わる位相を黒安定期間開始位置Bsとする。
f114において、制御部1は、水平開始波形Swf[]のレベル遷移開始後1/8および7/8の二点を結ぶ直線で遷移傾斜を近似する。そして、その直線が黒レベルに交わる位相に、黒安定期間開始位置Bsとの関係を考慮して、1クロック分に相当する32を足した値を黒安定期間終了位置Beとする。黒安定期間のイメージを図4(c)に示す。
なお、ここでは、位相が0のときに遷移が終了しているものとして説明してきたが、位相が0のときに遷移中である場合は、f107で取得する水平開始終了座標について、遷移の前後関係が開始と終了で一致しない場合が生じる。この状態を補償するために、制御部1は、f115〜f118で各安定開始終了位置の修正を行う。
f115では、制御部1は、黒安定期間を示すBe−Bsが1クロックに納まるかどうかの判定を行う。1クロックに納まらないと判定した場合は、制御部1は、f116に進み、水平開始波形Swf[]から算出した黒安定期間終了位置Beと白安定期間開始位置Wsを1クロック分シフトさせる。一方、f115においてBe−Bsが1クロックに納まると判定した場合は、制御部1は、以下の白安定期間の確認に移る。
f117では、制御部1は、白安定期間を示すWe−Wsが1クロックに納まるかどうかの判定を行う。1クロックに納まらないと判定した場合は、制御部1は、f118に進み、水平終了波形Ewf[]から算出した白安定期間終了位置Weと黒安定期間開始位置Bsを1クロック分シフトさせる。
次に、重複期間位置算出処理および適切位相の算出処理(サブルーチン3)について説明する。
f119において、制御部1は、各種変数の定義を行う。制御部1は、重複安定期間開始位置(重複期間開始位置)Osおよび重複安定期間終了位置(重複期間終了位置)Oeに、白安定期間と黒安定期間の重複期間の開始位置および終了位置をそれぞれ格納する。
f120〜f122(重複期間位置算出処理)において、制御部1は、黒安定期間開始位置(第4の位相)Bsと白安定期間開始位置(第1の位相)Wsのうち大きい方の値(位相)を重複安定期間開始位置Osに格納する。
f123〜f125(重複期間位置算出処理)において、制御部1は、黒安定期間終了位置(第3の位相)Beと白安定期間終了位置(第2の位相)Weのうち小さい方の値(位相)を重複安定期間終了位置Oeに代入する。
f126において、制御部1は、重複安定期間開始位置Osと重複安定期間終了位置Oeとの間の重複安定期間(位相区間)に含まれる位相、ここでは重複安定期間の中点を求める。そして、それを1クロック分に相当する位相周期32で割った余りを、量子化クロックの適切位相Bpに格納(設定)する。
ここまでは、各安定期間が存在することを前提として説明してきたが、高周波クロックの映像フォーマットにおいては1クロックではレベル遷移が完了しない、つまり、安定期間が存在しないものもある。このような場合においても、この適切位相算出処理(サブルーチン3)をそのまま適用することができ、遷移が最も進んだ位置が適切位相となる。
以上説明したように、量子化クロック位相の自動調整を行うと、黒レベルから高レベルへの遷移および高レベルから黒レベルへの遷移のいずれにおいても、遷移が終了した後の安定期間で良好な量子化が行える。
本実施例では、白安定期間および黒安定期間の算出処理a(サブルーチン2)において二点間の直線近似を用いたが、他の近似手法を用いてもよい。また、本実施例では、適切位相算出処理(サブルーチン3)において、重複安定期間開始位置と終了位置との間の位相区間の中点を適切位相として設定したが、該位相区間内で十分なマージンを持っていればいずれの位置を適切位相としてもよい。
【実施例2】
【0010】
図5〜図7を参照して、本発明の実施例2である表示装置について説明する。まず、図5を用いて本実施例の表示装置の構成について説明する。実施例1との違いは、AD変換器6の前段にLPF10が追加された点である。
LPF10は、RGBアナログ映像信号から高周波ノイズ成分を減衰させるためのローパスフィルタ処理を行う。周波数特性が異なる複数のフィルタが存在し、制御部1により選択が可能である。その他の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
次に、本実施例における量子化クロック位相の自動調整処理について説明する。基本的には実施例1と同じであるが、LPF10が追加されたことで、図1に記したf126での適切位相の算出方法が異なる。
図6に示すように、LPF10のローパスフィルタ処理により、高周波ノイズに対する耐性は強くなるが、アナログ映像信号の高周波成分に対しても減衰させてしまう。その結果、取得される水平開始波形および水平終了波形は、図7(a)に示すようになり、白および黒安定期間は、図7(b)および(c)のようになる。これらの図からも分かるように、画素レベルが頻繁に遷移するような映像では、白安定期間および黒安定期間がともに終了位置に近い方が元の映像信号のレベルに近づく。そこで、図1におけるf126の適切位相Bpの求め方を次式のように、重複安定期間終了位置Oeに近づくようにずらす。
【0011】
【数1】
【0012】
このように、アナログ映像信号から減衰される成分は、LPF10のカットオフ周波数が量子化クロックの周波数に近づくほど多くなる。このため、カットオフ周波数が量子化クロックの周波数に近いほど、量子化クロックの位相を重複安定期間終了位置(重複安定期間の終端)に近づける。これにより、元の映像信号に近い信号が得られ、より良好な量子化を行うことが可能となる。
本実施例では、適切位相の演算において、カットオフ周波数/クロック周波数が1.5のときに重複安定期間の3/4の位置となるように設定したが、他の設定を用いてもよい。
【実施例3】
【0013】
次に、図8〜図12を参照して、本発明の実施例3である表示装置について説明する。まず、本実施例の表示装置の構成について、図8を用いて説明する。実施例1との違いは、指定画素レベル検出器8が無い点と、水平開始終了座標検出器7に代わって水平開始終了位置検出器11が追加された点である。その他の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
水平開始終了位置検出器(水平開始位置検出手段および水平終了位置検出手段)11は、水平方向の映像有効領域の開始位置と終了位置の検出を行う。開始位置および終了位置の判定は、制御部1により設定される閾値レベルに基づいて行われる。閾値レベルは、白レベルに対して、1/8、2/8、…、8/8のレベルでの設定を可能とする。水平開始終了位置検出器11は、水平同期信号が到来してからクロックをカウントし、RGBの何れかのチャンネルにおいて初めて閾値レベルを上回った位置を開始位置とし、最後に閾値を上回った位置を終了位置とする。
そして、水平開始終了位置検出器11は、次期垂直同期信号が到来するまで、開始位置での最小値と終了位置での最大値の保持を続ける。記憶される値は垂直同期信号によりリセットされ、制御部1からの取得要求に対して、水平開始終了位置検出器11は、前フレームの開始位置および終了位置を出力する。また、閾値レベルを超える値(画素レベル)の画素が存在しない場合は0を出力する。
次に、量子化クロック位相の自動調整処理について、図9を用いて説明する。メインルーチンの動作から説明する。
f301において、位相調整手段としての制御部1は、各種変数の定義を行う。開始位置変化位相Sth[]は、要素数7の配列を有し、水平開始終了位置検出器11が各閾値レベルにて出力する水平開始位置が連続する位相間で変化する開始位置変化位相を格納する。終了位置変化位相Eth[]は、要素数7の配列を有し、水平開始終了位置検出器11が各閾値レベルにて出力する水平終了位置が連続する位相間で変化する終了位置変化位相を格納する。
制御部1は、白安定期間開始位置Ws、白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bs、黒安定期間終了位置Beおよび適切位相Bpに、実施例1と同様の値を格納する。
f302では、制御部1は、後述する開始位置変化位相取得処理(サブルーチン4)を実行し、開始位置変化位相Sth[0]〜Sth[6]の各値を取得する。
f303では、制御部1は、後述する終了位置変化位相取得処理(サブルーチン5)を実行し、終了位置変化位相Eth[0]〜Eth[6]の各値を取得する。
f304では、制御部1は、後述する白安定期間および黒安定期間算出処理b(サブルーチン6)を実行する。これにより、先の処理で取得した各変化位相から、白安定期間開始位置Ws、白安定期間終了位置We、黒安定期間開始位置Bsおよび黒安定期間終了位置Beを算出する。
f305では、制御部1は、適切位相算出処理(図1のサブルーチン3と同じ処理)を実行し、先の処理f304で取得された各位置から適切位相Bpを算出する。
f306において、制御部1は、適切位相Bpをクロック生成器5に設定し、本処理を終了する。
開始位置変化位相取得処理(サブルーチン4)について説明する。
f307において、閾値レベル調整手段としての制御部1は、各種変数の定義を行う。位相変数nは、クロック生成器5に設定される位相を管理するための変数(位相調整値)であり、1クロックに相当する32が初期値として与えられている。閾値変数mは、水平開始終了位置検出器11に設定される閾値レベルを管理するための変数であり、0が初期値として与えられている。現在水平開始位置Pcは、現位相設定における水平開始終了位置検出器11から取得される水平開始位置を格納する。前回水平開始位置Ppは、前回位相設定において水平開始終了位置検出器11から取得された水平開始位置を格納する。
f308において、制御部1は、クロック生成器5の位相を0に設定する。
f309において、制御部1は、水平開始終了位置検出器11に対し、閾値レベルを(m+1)/8に設定した後、出力に反映されるまでの時間として同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待ってから水平開始位置を取得してPcに格納する。
f310では、制御部1は、先の処理f309で取得した水平開始位置Pcが0以外であるかどうかの判定を行う。0であると判定した場合は、制御部1は、f311に進み、閾値レベルを上回る値の画素が存在しないことを示す−1を開始位置変化位相Sth[m]に代入する。一方、水平開始位置Pcが0以外であると判定した場合は、制御部1は、f312に進み、位相を巡回させながら水平開始位置が変化する位相の検出処理に移る。
f312において、制御部1は、次の位相設定での水平開始位置を取得するために、nを1増加させ、現在水平開始位置Pcを前回水平開始位置Ppにコピーする。
f313において、制御部1は、クロック生成器5の位相にnを32で割った余りを設定する。その後、出力に反映されるまでの時間として同期検出器4より出力される垂直同期割り込みを最低2回待ってから水平開始終了位置検出器11の水平開始位置を取得してPcに格納する。
f314では、制御部1は、nが64のときは、PpとPcが等しいか否かを判定する。また、nが64以外のときは、Pp−Pcが1であるか否かを判定する。どちらも満たさない場合はf312に戻り、条件を満たすnを探し続ける。この条件は、図10に示すように、位相変数がnとn−1であるときにそれぞれ設定される位相間で、アナログ入力映像信号が閾値レベルに到達したか否かを判定しているに等しい。nが64のときの位相を別扱いする理由は、該位相が、水平開始終了位置検出器11がカウントを開始するクロックの変わり目に相当する位相だからである。f314の条件を満たす場合は、f315に進む。
f315では、制御部1は、そのときのnをSth[m]に格納し、次の閾値レベルでの検出を行うためにnを1戻してmを1増加させる。nを1戻す理由は、次の閾値レベルにおける開始位置変化位相の検出処理をnから開始する準備のためである。
f316では、制御部1は、開始位置変化位相の検出処理が最大閾値レベルである6まで終了したか否かを判定する。終了していない場合はf309に戻り、次の閾値レベルでの検出を行う。以上の処理により、低レベルから高レベルへの遷移における各閾値レベルに到達する位相が、開始位置変化位相Sth[]に格納される。
終了位置変化位相取得処理(サブルーチン5)について説明する。開始位置変化位相取得処理(サブルーチン4)と異なる点は、レベル遷移の傾斜が逆向きになるため、位相変数nの初期値が63となり、減少方向へ巡回していく点である。他の動作はほぼ同じであるため、詳細な説明は省略する。
この処理により、高レベルから低レベルへの遷移における各閾値レベルまで降下する位相が、終了位置変化位相Eth[]に格納される。開始位置変化位相Sth[]および終了位置変化位相Eth[]を図11(a),(b)に示す。
白安定期間および黒安定期間算出処理b(サブルーチン6)について説明する。
f327において、制御部1は、各種変数の定義を行う。開始位置最大閾値Smおよび終了位置最大閾値Emはそれぞれ、開始位置変化位相Sth[]および終了位置変化位相Eth[]において有効な位置が格納されている要素の最大値を格納する。
f328において、制御部1は、開始位置最大閾値Smおよび終了位置最大閾値Emにそれぞれ、Sth[m]およびEth[m]が−1でない最大のmを格納する。
f329において、制御部1は、高レベル遷移における最大閾値レベルに到達する位相であるSth[Sm]に、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Sth[Sm]−Sth[0])/Smを足した位相を白安定期間開始位置Wsとする。
f330において、低レベル遷移における最大閾値レベルにまで降下する位相であるEth[Em]から、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Eth[0]−Eth[Em])/Emを減じる。そして、これに1クロックシフトに相当する32を足した位相を白安定期間終了位置Weとする。白安定期間のイメージを図12(a)に示す。
f331において、制御部1は、低レベル遷移における最小閾値レベルまで降下する位相であるEth[0]に、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Eth[0]−Eth[Em])/Emを足した位相を黒安定期間開始位置Bsとする。
f332において、制御部1は、高レベルへの遷移における最小閾値レベルに到達する位相であるSth[0]から、1閾値レベル遷移分に相当する位相増加分の概算値である(Sth[Sm]−Sth[0])/Smを減じる。そして、これに1クロックシフトに相当する32を足した位相を黒安定期間終了位置Beとする。黒安定期間のイメージを図12(b)に示す。
本実施例では、位相が0のときには遷移が終了しているものとして説明してきたが、位相が0のときに遷移中であった場合は、水平開始位置と水平終了位置について、遷移の前後関係が開始と終了で一致しない場合が生じる。この状態を補償するために、制御部1は、図1のf114〜f117と同様の処理をf323〜f326で行う。
以上のように量子化クロック位相の自動調整を行うと、黒レベルから高レベルへの遷移においても、高レベルから黒レベルへの遷移においても、遷移が終了した後の安定期間による良好な量子化が行える。
本実施例では、白安定期間および黒安定期間算出処理b(サブルーチン6)において、二点間の直線近似を用いたが、他の近似手法を用いてもよい。
また、本実施例では、適切位相算出処理(サブルーチン3)において、重複安定期間開始位置と終了位置との間の位相区間の中点を適切位相として設定したが、該位相区間内で十分なマージンを持っていればいずれの位置を適切位相としてもよい。さらに、実施例2にて説明したようにLPFを設け、適切位相を中点よりも安定期間終了位置側に近づけて設定してもよい。
さらに、上記各実施例では、白安定期間と黒安定期間の重複期間に含まれる位相を適切位相として設定する場合について説明した。しかし、実施例1〜3と同様の処理を行う中で、第1の位相である白安定期間開始位置と白安定期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を適切位相として設定してもよい。また、第3の位相である黒安定期間終了位置と第4の位相である黒安定期間開始位置との間の位相区間に含まれる位相を適切位相として設定してもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
映像信号に対する自動位相調整を行うプロジェクタやディスプレイ等の表示装置を提供できる。
【符号の説明】
【0015】
1 制御部
5 クロック生成器
6 AD変換器
7 水平開始終了座標検出器
8 指定画素レベル検出器
9 映像信号処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
水平方向における映像の開始位置であって前記AD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、
水平方向における前記映像の終了位置であって前記AD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、
指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始座標および前記水平終了座標のそれぞれを含む範囲において前記指定画素レベル検出手段に前記画素レベルを逐次検出させ、前記水平開始位置および前記水平終了位置のそれぞれを含む範囲における前記量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、
前記水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、
前記水平開始位置を含む範囲における前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第1のレベルから前記第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲における前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、
前記第1の位相と前記第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および前記第2の位相と第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行い、
前記重複期間開始位置と前記重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、
前記映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が前記閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、
前記閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および前記水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の前記閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第1のレベルから前記第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、
前記第1の位相と前記第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および前記第2の位相と前記第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行い、
前記重複期間開始位置と前記重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
水平方向における映像の開始位置であって前記AD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、
水平方向における前記映像の終了位置であって前記AD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、
指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始座標および前記水平終了座標のそれぞれを含む範囲において前記指定画素レベル検出手段に前記画素レベルを逐次検出させ、前記水平開始位置および前記水平終了位置のそれぞれを含む範囲における前記量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、
前記水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行い、
前記第1の位相と前記第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、
前記映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が前記閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、
前記閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および前記水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の前記閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行い、
前記第1の位相と前記第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
水平方向における映像の開始位置であって前記AD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、
水平方向における前記映像の終了位置であって前記AD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、
指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始座標および前記水平終了座標のそれぞれを含む範囲において前記指定画素レベル検出手段に前記画素レベルを逐次検出させ、前記水平開始位置および前記水平終了位置のそれぞれを含む範囲における前記量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、
前記水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行い、
前記第3の位相と前記第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、
前記映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が前記閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、
前記閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および前記水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の前記閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第1のレベルから前記第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行い、
前記第3の位相と前記第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記AD変換手段の前段に、ローパスフィルタ処理を行うフィルタ処理手段を有し、
前記位相調整手段は、前記フィルタ処理手段におけるローパスフィルタのカットオフ周波数が前記量子化クロックの周波数に近いほど、前記位相区間の終端に近い位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項1】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
水平方向における映像の開始位置であって前記AD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、
水平方向における前記映像の終了位置であって前記AD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、
指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始座標および前記水平終了座標のそれぞれを含む範囲において前記指定画素レベル検出手段に前記画素レベルを逐次検出させ、前記水平開始位置および前記水平終了位置のそれぞれを含む範囲における前記量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、
前記水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、
前記水平開始位置を含む範囲における前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第1のレベルから前記第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲における前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第2のレベルから第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、
前記第1の位相と前記第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および前記第2の位相と第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行い、
前記重複期間開始位置と前記重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、
前記映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が前記閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、
前記閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および前記水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の前記閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第1のレベルから前記第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理と、
前記第1の位相と前記第4の位相のうち大きい方の位相である重複期間開始位置、および前記第2の位相と前記第3の位相のうち小さい方の位相である重複期間終了位置を算出する重複期間位置算出処理とを行い、
前記重複期間開始位置と前記重複期間終了位置との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
水平方向における映像の開始位置であって前記AD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、
水平方向における前記映像の終了位置であって前記AD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、
指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始座標および前記水平終了座標のそれぞれを含む範囲において前記指定画素レベル検出手段に前記画素レベルを逐次検出させ、前記水平開始位置および前記水平終了位置のそれぞれを含む範囲における前記量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、
前記水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行い、
前記第1の位相と前記第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、
前記映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が前記閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、
前記閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および前記水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の前記閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を終了する第1の位相を算出する第1の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を開始する第2の位相を算出する第2の位置算出処理とを行い、
前記第1の位相と前記第2の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
水平方向における映像の開始位置であって前記AD変換手段の出力値が最小となる水平開始位置と該水平開始位置の垂直位置とを示す水平開始座標を検出する水平開始座標検出手段と、
水平方向における前記映像の終了位置であって前記AD変換手段の出力値が最大となる水平終了位置と該水平終了位置の垂直位置とを示す水平終了座標を検出する水平終了座標検出手段と、
指定された水平位置および垂直位置において画素レベルを検出する指定画素レベル検出手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始座標および前記水平終了座標のそれぞれを含む範囲において前記指定画素レベル検出手段に前記画素レベルを逐次検出させ、前記水平開始位置および前記水平終了位置のそれぞれを含む範囲における前記量子化クロックの位相に対するレベル遷移波形を取得する波形取得処理と、
前記水平開始位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が第1のレベルから該第1のレベルより高い第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記水平終了位置を含む範囲の前記レベル遷移波形から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行い、
前記第3の位相と前記第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換するAD変換手段と、
前記アナログ映像信号に対する前記AD変換手段での量子化クロックの位相を調整する位相調整手段と、
映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が所定の閾値レベルを上回る最小値となる水平開始位置を検出する水平開始位置検出手段と、
前記映像の水平方向において前記AD変換手段の出力値が前記閾値レベルを上回る最大値となる水平終了位置を検出する水平終了位置検出手段と、
前記閾値レベルを調整する閾値レベル調整手段とを有し、
前記位相調整手段は、
前記量子化クロックの位相調整値を順次変更して、前記水平開始位置を変化させる開始位置変化位相および前記水平終了位置を変化させる終了位置変化位相をそれぞれ少なくとも2段階の前記閾値レベルに対して取得する位相取得処理と、
前記開始位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第1のレベルから前記第2のレベルへの遷移を開始する第3の位相を算出する第3の位置算出処理と、
前記終了位置変化位相から、前記アナログ映像信号が前記第2のレベルから前記第1のレベルへの遷移を終了する第4の位相を算出する第4の位置算出処理とを行い、
前記第3の位相と前記第4の位相との間の位相区間に含まれる位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記AD変換手段の前段に、ローパスフィルタ処理を行うフィルタ処理手段を有し、
前記位相調整手段は、前記フィルタ処理手段におけるローパスフィルタのカットオフ周波数が前記量子化クロックの周波数に近いほど、前記位相区間の終端に近い位相を前記量子化クロックの位相として設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−154060(P2011−154060A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13789(P2010−13789)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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