説明

表示装置

【課題】表示メモリー性機能を有する表示装置において、電力の供給がなくなった場合のセキュリティを確保する。
【解決手段】表示装置は、メモリー性を有する表示部14と、第1の電力供給部10の電力を検出する検出部12と、検出部12で、第1の電力供給部10の電力が所定値より小さいと検出すると、表示部14に供給する電力として第2の電力供給部11の電力を選択し、かつ、表示部14における表示内容を初期化するよう制御する制御部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、表示メモリー性機能を有する表示装置における情報の機密性維持に関する。
【背景技術】
【0002】
表示メモリー性機能を有する表示装置は、電力の供給がなくなると、そのとき表示していた内容を表示し続けることになる。したがって、情報の機密性が維持できないという問題が生じてしまう。
【0003】
特許文献1では、電池残量が少なくなると、記憶性表示体に表示されているコンテンツを認識困難な状態へと書き換える表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−165232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示メモリー性機能を有する表示装置への電力の供給が突然途絶えた場合には、表示内容を書き換えることや、消去することができない。なお、電力の供給が突然途絶える場合として、電力を供給している電池を機器から取り外した場合や、電源プラグを外した場合などが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、メモリー性を有する表示部と、第1の電力供給部の電力を検出する検出部と、検出部で、第1の電力供給部の電力が所定値より小さいと検出すると、表示部に供給する電力として第2の電力供給部の電力を選択し、かつ、表示部における表示内容を初期化するよう制御する制御部と、を備えることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
表示メモリー性機能を有する表示装置における情報の機密性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(A)表示装置の構成を示す図,(B)表示装置の動作を示すフローチャート。
【図2】(A)表示装置の構成を示す図,(B)表示装置の動作を示すフローチャート。
【図3】表示装置の構成を示す図。
【図4】表示装置の構成を示す図。
【図5】表示部14に適用可能な回路構成の一例を示す図。
【図6】酸化物半導体を用いたトランジスタの特性評価用回路図。
【図7】酸化物半導体を用いたトランジスタの特性を示す図。
【図8】酸化物半導体を用いたトランジスタの特性を示す図。
【図9】酸化物半導体を用いたトランジスタの特性を示す図。
【図10】トランジスタの作製方法の一例を示す図。
【図11】表示装置に適用可能な電力供給部の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1(A)に基づいて、表示装置の構成を説明する。この表示装置は、第1の電力供給部10,第2の電力供給部11,検出部12,制御部13および表示部14を備えている。
【0010】
第1の電力供給部10および第2の電力供給部11として、さまざまなタイプの電池、ワイヤレス電源、コンセントから電力を供給される電源回路、などが適用できる。
【0011】
検出部12は、第1の電力供給部10の電力を検出し、その結果を制御部13に送信する。
【0012】
制御部13は、検出部12の検出結果に応じて、第1の電力供給部10または第2の電力供給部11のどちらの電力を表示部14に供給するかを選択する。また、第2の電力供給部11の電力を供給すると選択した場合は、表示部14の表示内容を初期化するよう制御する。
【0013】
なお、初期化とは、表示装置を起動させたときに表示される画面を表示する状態を意味するほか、表示内容を消去し画面に何も表示されない状態にすることなどをいう。
【0014】
表示部14は、メモリー性を有する画素により、文字や画像を表示する。
【0015】
続いて、図1(B)に基づいて、この表示装置の動作を説明する。
【0016】
まず、ステップS1で、第1の電力供給部10の電力を検出する。
【0017】
次に、ステップS2で、第1の電力供給部10の電力が所定値以上であると検出すると、ステップS3で表示部14に供給する電力として第1の電力供給部10の電力を選択し、ステップS4で通常駆動がされる。
【0018】
一方、ステップS2で、第1の電力供給部10の電力が所定値より小さいと検出すると、ステップS5で表示部14に供給する電力として第2の電力供給部11の電力を選択し、ステップS6で表示内容が初期化される。
【0019】
なお、「所定値」とは表示部14の全画素を書き換えるのに必要な電力値をいう。また、第1の電力供給部10の電力が所定値より小さい場合には、第1の電力供給部10の電力がゼロである場合も含まれる。
【0020】
以上のとおり、第1の電力供給部10の電力が所定値よりも小さい場合において、表示内容を初期化することによって、表示部14の情報を消去することができるため、機密性を高めることができる。
【0021】
(実施の形態2)
実施の形態1で示した表示装置とは異なる表示装置の構成を説明する。
【0022】
図2(A)に示す表示装置は、第1の電力供給部10と表示部14が、制御部13を介さずに接続されている点が、実施の形態1で示した表示装置とは異なる。
【0023】
図2(B)に基づいて、この表示装置の動作のフローチャートを説明する。
【0024】
まず、ステップS11で、第1の電力供給部10の電力を検出する。
【0025】
次に、ステップS12で、第1の電力供給部10の電力が所定値以上であると検出すると、ステップS13で通常駆動がされる。
【0026】
一方、ステップS12で、第1の電力供給部10の電力が所定値より小さいと検出すると、ステップS14で表示部14に供給する電力として第2の電力供給部11の電力を選択し、ステップS15で表示内容が初期化される。
【0027】
以上のとおり、第1の電力供給部10が供給する電力が制御部13において消費されることを抑制することができるため、消費電力の低減を図ることができる。
【0028】
ここで、図11(A)〜(C)を参照して、バッテリを用いた、第1の電力供給部10及び第2の電力供給部11の一方又は双方に用いることが可能な電力供給部について説明する。
【0029】
図11(A)に示す電力供給部30は、電池パック31及び電源回路32を有する。図11(B)に示すように、電池パック31は、バッテリ33及び保護回路34等を有する。あるいは、図11(C)に示すように、電池パック31は、バッテリ33、保護回路34、サーミスタ37及び温度ヒューズ38等を有する。また、電源回路は、スイッチングレギュレータ35及びボルテージレギュレータ36等を有する。
【0030】
電池パック31は、バッテリと、バッテリを保護するための回路や素子と、を容器にまとめたものである。
【0031】
電源回路32は、電池パックから取り出した電力を用いて各回路や各ICに必要な電圧を生成する。
【0032】
バッテリ33としては、鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム二次電池又はリチウムイオン電池などがある。
【0033】
保護回路34は、バッテリ33の電圧を測定する。あるいは、保護回路34は、バッテリ33を構成する複数のセルの電圧を1セル毎に測定する。そして、測定した電圧が規定以上の電圧であれば、バッテリ33への電圧又は電流の供給を遮断し、バッテリ33への過充電を防止する。また、保護回路34は、バッテリ33に供給される電圧又は電流を測定する。あるいは、保護回路34は、バッテリ33を構成する複数のセルに供給される電圧又は電流を1セル毎に測定する。そして、測定した電圧又は電流が規定以上の電圧であれば、バッテリ33への電圧又は電流の供給を遮断し、バッテリ33への過電流を防止する。
【0034】
サーミスタ37は、バッテリ33の温度又は電池パック31内の温度を測定する。サーミスタ37により、バッテリ33の温度又は電池パック31内の温度が規定以上になれば、バッテリ33への電圧又は電流の供給を遮断する。なお、バッテリ33への電圧又は電流を供給するかしないかは、保護回路34によって制御されてもよいし、新たに設けた制御回路によって制御されてもよい。また、制御回路を電池パック31の外部に設けることにより、電池パック31として汎用品を用いることが可能になり、部品コストの削減を図ることができる。
【0035】
温度ヒューズ38は、バッテリ33とバッテリ33への電圧又は電流の供給源との間に接続されている。そして、バッテリ33の温度又は電池パック31内の温度が規定以上になれば、電池パック31への電圧又は電流の供給を遮断する。温度ヒューズ38を設けることにより、保護回路34が正常に動作しない場合やサーミスタ37が正常な特性を示さない場合においても、バッテリ33への過充電や過電流を防止することができる。よって、バッテリ33の発熱による発火等を防止することができ、安全性を高めることができる。
【0036】
図3(A)に示す表示装置は、電力供給手段として第1の電池パック15および第2の電池パック16を備え、電池パックごとに独立して電源回路を備える構成とはせずに、電源回路17を共有している。第1の電池パック15及び第2の電池パック16で共通の電源回路17を用いることにより、回路規模を低減することができる。また、部品点数の削減を図ることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0037】
図3(B)に示す表示装置は、電力供給手段として第1のバッテリ18および第2のバッテリ19を備え、保護回路20および電源回路17を共有している。第1の電池パック15及び第2の電池パック16で共通の電源回路17及び保護回路20を用いることにより、回路規模を低減することができる。また、部品点数の削減を図ることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0038】
図4に示す表示装置は、表示部14以外の構成部分、例えば、RF部21やセンサ部22などに、第2の電力供給部11の電力が供給されない構成である。第2の電力供給部11の電力が表示部14以外の構成部分に供給されないようにすることで、第2の電力供給部11の容量を小さくすることができる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態1,2に示した、メモリー性を有する画素により、文字や画像を表示する表示部の例を説明する。
【0040】
メモリー性を有する画素は、メモリー性を有する表示素子を備える構成とすることができる。メモリー性を有する表示素子の例としては、電気泳動表示用マイクロカプセルなどが挙げられる。
【0041】
また、メモリー性を有する画素は、表示素子と、酸化物半導体を用いたトランジスタを備える構成とすることもできる。この場合、表示素子は、メモリー性を有する表示素子またはメモリー性を有さない表示素子が適用可能である。メモリー性を有さない表示素子の例としては、液晶素子などが挙げられる。
【0042】
図5に基づいて、表示素子と、酸化物半導体を用いたトランジスタを備える、メモリー性を有する画素に適用可能な回路構成の一例について説明する。
【0043】
図5(A)は、表示素子と、酸化物半導体を用いたトランジスタを備える表示パネルの概略図である。この表示パネル50は、画素部51,ゲート信号線52,ゲート信号線駆動回路52D,データ信号線53,データ信号線駆動回路53D,画素54,コモン電極55,容量線56および端子部57を備えている。
【0044】
図5(B)は、図5(A)に示した画素54を抜き出して示した図である。この画素54は、酸化物半導体を用いたトランジスタQ1,表示素子58および保持容量C1を備えている。
【0045】
続いて、図5(C)に基づいて、表示パネル50の駆動方法の一例について説明する。まず、画像信号V/Iを画素に書き込むために、トランジスタQ1を導通状態として、画像信号に基づく電圧を表示素子58の画素電極に供給する期間T1(以下、「書き込み期間T1」と記す)を設ける。書き込み期間T1において、駆動回路制御信号が表示部14の駆動回路に供給されるため、これらの回路は動作している。
【0046】
書き込み期間T1を経て、表示素子58の画素電極には、電圧Vpixが発生する。その後、トランジスタQ1を非導通状態とすることにより、表示素子58の画素電極には電圧Vpixが保持される。
【0047】
続く表示素子58の画素電極に電圧Vpixが保持される期間T2(以下、「保持期間T2」と記す)において、画像信号V/Iの書き込みはなされない。また、駆動回路制御信号は表示部14の駆動回路に供給されないため、これらの回路は非動作となる。
【0048】
保持期間T2の長さは、トランジスタQ1のオフ電流IQ1および表示素子58のリーク電流I58により変動する。これらの電流の変動に起因する画面のちらつき防止を目的として、定期的に画面を書き換えるリフレッシュ動作が必要なためである。
【0049】
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタQ1のオフ電流IQ1は極めて小さい。そのため、保持期間T2は、表示素子58のリーク電流I58の影響によってのみ変動するといえる。したがって、画素に書き込まれた画像信号V/Iを長時間保持し続けることができる。
【0050】
また、通常駆動をする場合も、通常1秒間に60回行われる画面の書き換えを、その1/1000程度の回数とすることが可能となる。つまり、消費電力を低減することが可能である。さらに、保持期間T2中は、表示部14の駆動回路が非動作である。そのため、表示部14による消費電力も、1/1000程度に低減することが可能となる。
【0051】
(酸化物半導体を用いたトランジスタについて)
本明細書に開示する酸化物半導体について説明する。
トランジスタに用いる酸化物半導体は、ドナーの原因である水素、水分、水酸基または水酸化物(水素化合物ともいう)などの不純物を意図的に排除したのち、これらの不純物の排除工程において同時に減少してしまう酸素を供給することで、高純度化および電気的にi型(真性)化されている。トランジスタの電気的特性の変動を抑制するためである。
【0052】
このように、高純度化された酸化物半導体を用いたトランジスタは、光劣化が少ない。
【0053】
酸化物半導体に含まれる水素を極力除去することで、酸化物半導体中のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、より好ましくは1×1010/cm未満となる。
【0054】
ワイドギャップ半導体である酸化物半導体は、少数キャリア密度が低く、また、少数キャリアが誘起されにくい。そのため、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、トンネル電流が発生し難く、ひいては、オフ電流が流れ難いといえる。
【0055】
また、ワイドギャップ半導体である酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、衝突イオン化ならびにアバランシェ降伏が起きにくい。したがって、酸化物半導体を用いたトランジスタは、ホットキャリア劣化への耐性があるといえる。なお、ホットキャリア劣化の主な要因は、アバランシェ降伏によってキャリアが増大し、高速に加速されたキャリアがゲート絶縁膜へ注入されることである。
【0056】
なお、本明細書においてオフ電流とは、室温において、−20[V]以上−5[V]以下の範囲で任意のゲート電圧を印加したときに、しきい値電圧Vthが正であるnチャネル型トランジスタのソース−ドレイン間を流れる電流を指す。なお、室温とは、15℃以上25℃以下の温度を指す。
【0057】
高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いたトランジスタは、室温において、チャネル幅W=1[μm]あたりの電流値が、10−16[A/μm]以下、好ましくは10−18[A/μm]=1[aA/μm](a:アト)以下、さらに好ましくは10−21[A/μm]=1[zA/μm](z:ゼプト)以下である。
【0058】
(オフ電流の測定結果について)
高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いたトランジスタのオフ電流を測定した結果について説明する。
【0059】
まず、電流測定方法に用いた特性評価用素子について、図6に基づいて説明する。
図6に示す特性評価用素子は、測定系60が3つ並列に接続されている。測定系60はそれぞれ、キャパシタC60,高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いたトランジスタM60,61およびトランジスタM62,63から構成される。
【0060】
トランジスタM60のソースまたはドレインの一方は電圧V2を供給する電源に、ソースまたはドレインの他方はトランジスタM61のソースまたはドレインの一方に、ゲートは電圧Vext_b2を供給する配線に、それぞれ接続されている。
【0061】
トランジスタM61のソースまたはドレインの他方は電圧V1を供給する電源に、ゲートは電圧Vext_b1を供給する配線に、それぞれ接続されている。
【0062】
トランジスタM62のソースまたはドレインの一方は電圧V2を供給する電源に、ソースまたはドレインの他方は出力端子に、ゲートはキャパシタC60の一端に、それぞれ接続されている。
【0063】
トランジスタM63のソースまたはドレインの一方は出力端子に、ソースまたはドレインの他方はゲートに、それぞれ接続されている。
【0064】
キャパシタC60の他端は、電圧V2を供給する電源に、接続されている。
【0065】
続いて、図6に示す特性評価用素子を用いた電流測定方法について説明する。
最初に、オフ電流を測定するための電位差を付与する初期期間について説明する。初期期間において、トランジスタM61のゲートにトランジスタM61を導通状態とする電圧Vext_b1を入力し、トランジスタM61を導通状態とする。すると、トランジスタM60のソースまたはドレインの他方と接続されるノード(つまり、トランジスタM61のソースまたはドレインの一方、キャパシタC60の一端、およびトランジスタM62のゲートに接続されるノード)であるノードAに、電圧V1が入力される。ここで、電圧V1は、高電圧とする。また、トランジスタM60は非導通状態としておく。
【0066】
その後、トランジスタM61のゲートに、トランジスタM61を非導通状態とする電圧Vext_b1を入力し、トランジスタM61を非導通状態とする。トランジスタM61を非導通状態とした後に、電圧V1を低電圧とする。ここでも、トランジスタM60は非導通状態としておく。また、電圧V2は、電圧V1と同じく低電圧とする。
【0067】
以上で、初期期間が終了する。初期期間が終了した状態では、ノードAと、トランジスタM60のソースまたはドレインの一方との間に、電位差が生じている。また、ノードAと、トランジスタM61のソースまたはドレインの他方との間にも、電位差が生じている。そのため、トランジスタM60およびトランジスタM61にはわずかに電荷が流れる。つまり、オフ電流が発生する。
【0068】
次に、オフ電流の測定期間について説明する。測定期間において、電圧V1,V2はともに低電圧に固定する。また、ノードAは、フローティング状態とする。その結果、トランジスタM60には電荷が流れ、時間の経過とともにノードAに保持される電荷量は変動する。すなわち、ノードAの電位が変動し、出力端子の出力電圧Voutも変動する。
【0069】
続いて、得られた出力電位Voutから、オフ電流を算出する方法について説明する。ノードAの電位Vは、出力電位Voutの関数として次の式(1)で表される。
【数1】

【0070】
また、ノードAの電荷Qは、次の式(2)で表される。
【数2】

:ノードAに接続される容量(キャパシタC60の容量と他の容量との和)
【0071】
ノードAの電流Iは、ノードAに流れ込む電荷(またはノードAから流れ出る電荷)の時間微分により求められる。よって、ノードAの電流Iは、次の式(3)で表される。
【0072】
【数3】

【0073】
以下に示す電流測定において、特性評価用素子のトランジスタM60〜M63は、高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いたトランジスタである。トランジスタは、W/L=50/10[μm]である。また、並列された各測定系60において、キャパシタC60の容量値はそれぞれ、100[fF],1[pF],3[pF]である。
【0074】
また、高電圧は5V,低電圧は0Vとした。測定期間において、電圧V1は原則として低電圧であるが、出力電位Voutを測定するタイミングにおいて、出力回路を動作させる必要が生じるため、10〜300[sec]ごとに、100[msec]の期間だけ高電圧とした。また、式(3)におけるΔtは、約30000[sec]とした。
【0075】
図7は、電流測定に係る経過時間Timeと、出力電位Voutとの関係を示す図である。これより、時間の経過にしたがって、電位が変化する様子が確認できる。
【0076】
図8は、電流測定によって算出された室温(25℃)におけるオフ電流を示す図である。なお、図8は、ソース−ドレイン電圧Vと、オフ電流Iとの関係を表している。図8から、ソース−ドレイン電圧が4[V]の条件において、オフ電流Iは約40[zA/μm]であることがわかる。また、ソース−ドレイン電圧が3.1[V]の条件において、オフ電流は10[zA/μm]以下であることがわかる。
【0077】
図9は、電流測定によって算出された85℃の温度環境下におけるオフ電流を示す図である。図9は、85℃の温度環境下におけるソース−ドレイン電圧Vと、オフ電流Iとの関係を表している。図9から、ソース−ドレイン電圧が3.1[V]の条件において、オフ電流は100[zA/μm]以下であることがわかる。
【0078】
(酸化物半導体を用いたトランジスタの作製方法の一例について)
続いて、高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いたトランジスタの作製方法の一例について、図10に基づいて説明する。
【0079】
まず、基板100上に下地膜となる絶縁層101を形成する。絶縁層101は、処理室内の残留水分を除去しつつ成膜するとよい。絶縁層101に水素、水、水酸基または水酸化物などが含まれないようにするためである。
【0080】
次に、絶縁層101上に、酸化物半導体層をスパッタリング法により成膜する。なお、酸化物半導体層の成膜前に、絶縁層101が形成された基板100を予備加熱するとよい。酸化物半導体層に、水素、水分および水酸基が極力含まれないようにするためである。予備加熱により、基板100に吸着した水素、水分などの不純物は脱離し、排気される。
【0081】
酸化物半導体層のターゲットとしては、酸化亜鉛を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。例えば、組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1、すなわち、In:Ga:Zn=1:1:0.5のターゲットを用いることができる。これ以外にも、In:Ga:Zn=1:1:1またはIn:Ga:Zn=1:1:2の組成比を有するターゲットを用いることもできる。
【0082】
その他、In−Sn−Ga−Zn−O,In−Sn−Zn−O,In−Al−Zn−O,Sn−Ga−Zn−O,Al−Ga−Zn−O,Sn−Al−Zn−O,In−Zn−O,Sn−Zn−O,Al−Zn−O,Zn−Mg−O,Sn−Mg−O,In−Mg−O,In−O,Sn−O,Zn−Oなどの金属酸化物をターゲットとして用いることができる。
【0083】
また、酸化物半導体層として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることもできる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた1または複数の金属元素である。例えば、Mとして、Ga、GaおよびAl、GaおよびMn、もしくはGaおよびCoが挙げられる。
【0084】
成膜した酸化物半導体層は、第1のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層102に加工される(図10(A)参照)。その後、酸化物半導体層102から水素、水、および水酸基等を除去するために、基板を電気炉に導入し、加熱処理する。この加熱処理は、酸化物半導体層102に対する脱水化、脱水素化の効果を奏する。
【0085】
この加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満とする。また、この加熱処理の雰囲気は、水、水素などが含まれないようにする。
【0086】
この加熱処理の後、連続して酸素雰囲気または窒素および酸素を含む雰囲気(例えば、窒素:酸素の体積比=4:1)で加熱処理するとよい。酸化物半導体層102中に生じた酸素欠損を修復するためである。
【0087】
その後、絶縁層101および酸化物半導体層102上に、第1の電極103aおよび第2の電極103bを形成する(図10(B)参照)。第1の電極103aは、ソース電極およびドレイン電極の一方として機能する。第2の電極103bは、ソース電極およびドレイン電極の他方として機能する。
【0088】
次に、絶縁層101,酸化物半導体層102,第1の電極103aおよび第2の電極103b上にゲート絶縁層104を形成する(図10(C)参照)。なお、ゲート絶縁層104の成膜雰囲気には、水素が含まれないようにするとよい。
【0089】
続いて、ゲート絶縁層104の一部を除去することにより、第1の電極103a,第2の電極103bに達する開口105a,105bを形成する(図10(D)参照)。
【0090】
そして、ゲート絶縁層104および開口105a,105b上に、ゲート電極106,第1の配線107aおよび第2の配線107bを形成する(図10(E)参照)。
【0091】
以上のように、高純度化および電気的にi型(真性)化された酸化物半導体を用いたトランジスタを作製することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 第1の電力供給部
11 第2の電力供給部
12 検出部
13 制御部
14 表示部
15 第1の電池パック
16 第2の電池パック
17 電源回路
18 第1のバッテリ
19 第2のバッテリ
20 保護回路
21 RF部
22 センサ部
31 電池パック
32 電源回路
33 バッテリ
34 保護回路
35 スイッチングレギュレータ
36 ボルテージレギュレータ
37 サーミスタ
38 温度ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリー性を有する表示部と、
第1の電力供給部と、
第2の電力供給部と、
前記第1の電力供給部の電力を検出する検出部と、
前記検出部で、前記第1の電力供給部の電力が所定値より小さいと検出すると、前記表示部に供給する電力として前記第2の電力供給部の電力を選択し、かつ、前記表示部における表示内容を初期化するよう制御する制御部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の電力供給部と前記第2の電力供給部は、ともに前記制御部を介して前記表示部と接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1の電力供給部は、前記制御部を介さずに前記表示部と接続され、
前記第2の電力供給部は、前記制御部を介して前記表示部と接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第1の電力供給部と前記第2の電力供給部は、ともに電池パックを備え、
前記第1の電力供給部と前記第2の電力供給部とで、電源回路を共有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記電池パックは、保護回路と、サーミスタと、温度ヒューズと、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第1の電力供給部と前記第2の電力供給部は、ともにバッテリを備え、
前記第1の電力供給部と前記第2の電力供給部とで、保護回路および電源回路を共有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記表示部は、複数の画素を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、酸化物半導体を用いたトランジスタ、表示素子および保持容量を有し、
前記トランジスタのソース及びドレインの一方がソース信号線と接続され、
前記トランジスタのソース及びドレインの他方が前記表示素子及び前記保持容量と接続され、
前記トランジスタのゲートがゲート信号線と接続されることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記表示部は、複数の画素を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、電気泳動素子を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−203728(P2011−203728A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46029(P2011−46029)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】