説明

表示装置

【課題】有機EL発光部を有する表示部材を保護すべく、その観察面側を覆うように透光性の保護部材を配置した表示装置において、外光反射を低減して外界の写り込みを低減することができる表示装置を提供する。
【解決手段】一対の電極と、一対の電極間に設けられている有機化合物層25、26、27と、を有する有機EL発光部を有する表示部材31と、表示部材31を収容する筐体30と、を有する表示装置において保護部材1が表示部材31と空隙を隔てて筐体30に設けられており、位相部材21及び偏光部材22が、保護部材1の表示部材31側に、偏光部材22が位相部材21よりも光取り出し側に設けられるようにして積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極と、一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は自発光型表示パネルとして注目されており、素子内の発光層は表示パネルの観察面側と非観察面側との双方へ光エネルギーを放出する。非観察面側へ放射される光エネルギーを有効利用するため、発光層に電荷を注入する電極のうち非観察面側に位置する電極に反射機能をもたせ、非観察面側へと放射される光を観察面側へと反射させることが一般的に行われている。これにより、観察面側から取り出される光エネルギーを増大させることができる。
【0003】
しかし、非観察面側に位置する電極に反射機能をもたせた場合、外界から素子内に入射した光が反射電極により反射され、再び素子外に出射するという現象が生じる。また近年、有機EL素子からなる表示パネルはデジタルスチルカメラや携帯電話等に組み込まれ、屋外で使用する機会が増えている。したがって、反射電極による反射現象が生じると、実際の使用時には外界の映り込み現象として視認されて、表示パネルの表示品質に著しい劣化が生じることになり、有機EL素子を用いた表示パネルに特有の問題として認識されている。
【0004】
特許文献1には、外光反射を抑制する手段として、複数の位相補償フィルムと偏光板を組み合わせることにより、幅広い波長範囲において反射光を低減する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、4分の1位相差の位相補償フィルムと2分の1位相差の位相補償フィルムと直線偏光板を組み合わせた円偏光板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−127885号公報
【特許文献2】特開平10−68816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、有機EL素子(有機EL発光部)を用いた表示部材はデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の筐体に視認可能に組み込まれるので、外部からの圧力や衝撃などの負荷を受け易い。また、有機EL素子は有機化合物層等の薄膜の積層体によって構成されているので、外部からの圧力や衝撃に弱く、それらの負荷によって有機化合物層界面での破壊や、電極間の短絡が起きて、点灯しなくなる可能性がある。したがって、表示部材を保護すべく、その観察面側を覆うように透光性の保護部材を配置している。
【0008】
しかし、通常、この保護部材は、外部から受ける負荷を緩和するために表示部材と空隙を隔てて配置されるので、各部材と空隙との界面で光の反射が生じ、屋外での使用時に外光反射による映り込みを増大させることがあり得る。
【0009】
本発明の課題は、有機EL発光部を有する表示部材を保護すべく、その観察面側を覆うように透光性の保護部材を配置した表示装置において、外光反射を低減して外界の写り込みを低減することができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成すべく、本発明に係る表示装置は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
前記表示部材を収容する筐体と、を有する表示装置において、
保護部材が前記表示部材と空隙を隔てて前記筐体に設けられており、
位相部材及び偏光部材が、前記保護部材上に前記偏光部材が前記位相部材よりも光取り出し側に設けられるようにして積層されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る表示装置は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
前記表示部材を収容する筐体と、を有する表示装置において、
保護部材が前記表示部材の光取り出し側に空隙を隔てて設けられており、
前記保護部材及び前記表示部材からなる構造体が前記筐体に設けられており、
位相部材及び偏光部材が、前記保護部材上に前記偏光部材が光取り出し側に設けられるようにして積層されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る撮像装置は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
撮像手段と、
前記表示部材及び前記撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像装置において、
保護部材が前記表示部材と空隙を隔てて前記筐体に設けられており、
位相部材及び偏光部材が、前記保護部材上に前記偏光部材が前記位相部材よりも光取り出し側に設けられるようにして積層されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機EL発光部を有する表示部材を保護すべく、その観察面側を覆うように空隙を隔てて配置された透光性の保護部材に、位相部材及び偏光部材が積層されている。したがって、表示部材または保護部材と空隙との界面や、表示部材を構成する有機EL発光部の反射機能を有する電極で反射した光は、位相部材及び偏光部材によって遮られるので、外界の写り込みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の表示パネル及び保護部材を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施形態の表示装置としてディスプレイを例示する模式図である。
【図3】本実施形態の表示装置としてデジタル一眼レフカメラを例示する模式図である。
【図4】筐体に配置された表示部材及び保護部材を模式的に示す断面図である。
【図5】本実施形態の表示部材及び保護部材の変形例を模式的に示す断面図である。
【図6】位相部材及び偏光層によって表示部材の反射光を低減する原理を説明する図である。
【図7】空隙とこれに隣接する層との界面において反射する光を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態の表示部材及び保護部材を模式的に示す断面図である。図1において、1は保護部材、21は位相部材、22は偏光部材、23は基板、24は反射電極、25、26及び27は有機化合物層、28は透明電極、29は保護膜、31は表示部材である。
【0017】
本実施形態の表示部材は、基板23上に複数の有機EL発光部が形成されており、各発光部において、対向する反射電極24と透明電極28との間に、少なくとも発光層を有する有機化合物層25、26、27が備えられている。そして、反射電極24または透明電極28の一方が陰極で他方が陽極となるように電気的に接続される。
【0018】
基板23としては、ガラス、シリコン及びSUSなどの硬質基板や、プラスチックやエポキシなどの軟質基板を用いることができる。例えば、ガラス基板としてはコーニング社製の1737基板を用いる。
【0019】
基板23上には、不図示のTFT素子やTFTのスイッチングを制御する配線構造がマトリクス状に形成され、それらの上に反射機能を有する反射電極24が形成されて、電気的に接続されている。反射電極24の材質としては、CrやAlなどの反射率の高い金属材料を用いることができる。この場合、例えば、スパッタ法により基板23上に金属材料を堆積させ、フォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより、反射電極24を形成することができる。また、これらの金属材料の上にITOやIZOなどの透明の電極を形成して積層構造の電極を作成し、これを反射電極24として用いてもよい。また、金属材料と透明の電極の間にスパッタ法により酸化窒化シリコンを堆積させた透明層を設け、かつ透明層に設けたコンタクトホールを介して金属材料と透明電極とを電気的に接続することにより、反射電極24を形成してもよい。
【0020】
この反射電極24の上には、RGBの各色に対応する有機化合物層25、26、27が形成される。これら有機化合物層25、26、27は、少なくとも発光層を有していればよい。有機化合物層の層構成として、例えば、ホール輸送層、発光層及び電子輸送層を積層するものや、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を積層するものが挙げられる。本発明の有機化合物層の層構成はこれらの構成に限るものではなく、他の層構成を採用してもよい。
【0021】
また、これら有機化合物層の膜厚は、発せられる光の主波長に応じて各色それぞれ異なった膜厚に設定してもよい。例えば、発光位置から反射電極24までの光路長が4分の1波長もしくは4分の3波長の長さになるように膜厚を設定してもよい。
【0022】
さらに、有機EL発光部に圧力や衝撃などの負荷が掛かって有機化合物層の界面が破壊され、点灯しなくなるのを防止するために、反射電極24と透明電極28との間には、複数の有機化合物層25、26、27が積層されていることが好ましい。その場合であっても、有機EL発光部の反射電極24と透明電極28との電極間距離は10nm以上1μm以下に設定することが好ましい。
【0023】
また、基板23の平面方向において各有機化合物層25、26、27を分離するために、窒化シリコン、ポリイミド樹脂、またはノボラック系樹脂などで形成された画素分離膜が設置されていてもよい。
【0024】
これら有機化合物層25、26、27上には、透明電極層28が形成される。透明電極28は、例えば、スパッタ法にてITOを積層することにより形成される。ITOの代わりにIZO(酸化亜鉛と酸化インジウムの化合物)を用いてもよい。
【0025】
以上の構造により、基板23上に複数の有機EL発光部が形成される。これら有機EL発光部は、基板23上のTFTマトリクスを介して反射電極24と透明電極28との間に電圧もしくは電流を流すことにより、発光する。
【0026】
水分による有機EL発光部の特性劣化を防ぐために、基板23上に形成された複数の有機EL発光部を覆うように、表示部材全体が保護膜29によって封止されることが好ましい。保護膜29の材料としては、窒化シリコンや酸化窒化シリコンの膜を用いてもよい。また、ガラス基板を保護膜29として基板23に貼り合わせてもよい。なお、保護膜29は基板23上に形成された複数の有機EL発光部が大気暴露されるのを防ぐ目的で基板23上に配置されるものであって、筐体から露出させて設けられる後述の保護部材1とは異なる部材である。そのため、本発明において保護膜29は必ずしも設けられている必要はない。
【0027】
表示部材31は、表示部材31を収容し、表示装置の外観を区画する筐体30に外部から視認可能に配置され、該表示部材31を保護すべく、その観察面側(光取り出し面側)を覆うように空隙を隔てて透光性の保護部材1が配置される(図2から図4参照)。
【0028】
ここで言う筐体30とは、デジタルスチルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像手段を備えた撮像装置や、携帯電話、テレビ受像機などのように、有機EL発光部を有する表示部材を収容し、装置の外観を区画する筐体を意味する。図2及び図3は、本実施形態の表示装置を例示する模式図である。図2は、撮像手段を有する撮像装置であるデジタル一眼レフカメラの背面を示しており、カメラの筐体30から露出するように保護部材1が設けられている。また、図3は、ELディスプレイの前面を示しており、ディスプレイの筐体30から露出するように保護部材1が設けられている。
【0029】
保護部材1は透光性を有する部材であり、例えば、透明の部材により形成される。保護部材1の材料としては、ガラスやポリカーボネイト系材料及びアクリル系材料などを用いることができる。
【0030】
この保護部材1には、位相部材21及び偏光部材22が積層されている。ここで言う保護部材1は、図4に示すように、筐体30に配置されており、筐体30内部に配置された表示部材31を外部からの圧力や衝撃などの負荷から保護する目的で設けられる部材である。
【0031】
保護部材1と位相部材21との間、位相部材21と偏光部材22との間に不図示の接着層を配し、各部材を貼り合わせて積層してもよい。
【0032】
保護部材1、位相部材21及び偏光部材22の配置は、図1においては、光取り出し側(観察面側)から偏光部材22、位相部材21、保護部材1の順に配置している。これに限るものではなく、光取り出し側から保護部材1、偏光部材22、位相部材21の順、あるいは偏光部材22、保護部材1、位相部材21の順に配置してもよい。つまり、いずれの場合にも、位相部材21よりも光取り出し側に偏光部材22が設けられるようにして積層されている。
【0033】
光取り出し側から保護部材1、偏光部材22、位相部材21の順、あるいは偏光部材22、保護部材1、位相部材21の順で積層する場合には、例えば図5に示すように、偏光部材22と保護部材1との間に接着層32を配してもよい。この場合には、接着層32の屈折率は、偏光部材22の屈折率と保護部材1の屈折率との間の数値であると、より外光反射を低減することができる。
【0034】
上記接着層32の材質は特に限定されないが、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、またはゴム系接着剤を用いてもよい。
【0035】
最も光取り出し側に偏光部材22を設置する場合には、保護部材1の材質として、複屈折が認められない材料を用いるのが好ましい。また、最も光取り出し側に配置される偏光部材22もしくは保護部材1の表面に反射防止処理を施してもよい。最も光取り出し側に偏光部材22を設置した場合には、保護部材1から基板23まで至る部位で生じる反射の影響も低減することができる。
【0036】
位相部材21の材料としては、ポリカーボネイト系材料やノルボルネン系材料などを用いることができる。位相部材21はフィルム状のものであることが好ましい。位相部材21としては、少なくとも人間の比視感度曲線のピーク付近である550nmの4分の1付近の位相差を有するものを用いることが好ましい。この場合、位相部材21と偏光部材22との光軸の角度は45度に設定することが好ましい。また、位相補償特性を良好に保つために、上記特許文献2に開示されているように、位相部材21が複数枚の位相部材の積層体により構成されていても構わない。複数枚からなる位相部材を用いる場合には、偏光部材22と位相部材21を構成するフィルムとの光軸の角度は、先の45度という数値にとらわれる必要はなく、それぞれ位相に応じた角度を設定すればよい。例えば、偏光部材22の下に15度傾けた2分の1の位相差をもつ位相部材を配置し、さらにその下である表示部材側(非観察面側)に偏光部材22の光軸に対して75度光軸を傾けた4分の1位相差の位相部材を配置してもよい。この場合、位相部材を一枚のみ使用した場合に比べ、より幅広い波長範囲の外光反射を低減することができる。
【0037】
保護部材1は、図4に示したように、有機EL発光部を有する表示部材31と一定の空隙を隔てて設けられる。空隙には気体が存在していてもよいし、真空であってもよい。空隙に存在する気体は空気であってもよいし、他の気体を封入してもよい。他の気体としては、例えば、N2やAr等の不活性ガスが挙げられる。表示部材31と保護部材1との空隙は、保護部材1に負荷がかかり保護部材1が弾性変形した場合であっても、保護部材1が表示部材31に接触しない距離が好適であり、1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0038】
図4では、保護部材1及び表示部材31の設置方法として、表示部材31を設置する筐体30に、保護部材1と表示部材31とがそれぞれ設置されている。これに限るものではなく、表示部材31に保護部材1が所定の空隙を隔てて設けられていて、保護部材1及び表示部材31からなる構造体が筐体30に設けられていてもよい。この場合、表示部材が筐体30に直接設けられていて、保護部材1が表示部材31に設けられることによって、保護部材1が筐体30に間接的に設けられていてもよい。
【0039】
次に、本実施形態の表示装置の作用を説明する。
【0040】
まず、図6を用いて、本発明の表示装置の比較形態ついての位相部材及び偏光層によって表示装置の反射光を低減する原理を説明する。なお、図6では、光の説明の便宜上から、位相部材12と発光層13との間、及び発光層13と反射層14との間に間隔が存在するように図示しているが、実際には間隔は存在せず密着している。
【0041】
表示部材は、反射層14、発光層13、位相部材12及び偏光層11を積層することにより構成されている。
【0042】
偏光層11は、入射光のうちp波もしくはs波のいずれかのみを通過させる層である。位相部材12は複数の位相フィルムを積層したものであり、幅広い波長範囲において4分の1波長の位相差を有する。すなわち、偏光層11及び位相部材12を通過した光は、幅広い波長範囲においてp波もしくはs波の位相が4分の1波長分ずれるため、円偏光に変換される。
【0043】
発光層13から偏光層11の方向に放出された光16は、偏光層11を通過して表示部材外に射出される。他方、反射層14の方向に放出された光19は反射層14により反射され、その反射光15は発光層13、位相部材12及び偏光層11を通過して表示部材外に射出する。このように発光層13より放出された光16と光19は双方とも表示部材外に射出される。
【0044】
しかし、これらの光16及び19は、偏光層11を通過する際に一方の直線偏光成分のみ通過するため、光強度は減衰する。
【0045】
また、表示部材外から入射した光17の一部は偏光層11の表面で反射光0となる。入射光17のうち偏光層11で反射されなかった光は偏光層11及び位相部材12によって円偏光に変換され、反射層14により反射される。入射光17が反射層14により反射される際、光の位相は半波長ずれるため、次に位相部材12を通過した光18は偏光層11を通過し得ない。
【0046】
このような原理に基づき、反射層14による外光の反射は偏光層11の表面で反射した光0のみとなり、表示部材単体では反射光を低減することができる。
【0047】
しかしながら、図2及び図4に示したように、例えば、表示部材をデジタル一眼レフカメラの筐体に組み込む場合に、表示部材を保護すべく、該表示部材の観察面側を覆うように空隙を隔てて透光性の保護部材を配置している。この保護部材1と表示部材との間の空隙は、本実施形態では1mm以上10mm以下の距離に設定されている。すなわち、本実施形態の表示装置の使用者は透光性を有する保護部材1を介して筐体30の内部に設置された表示部材31を観察する。このように保護部材1は外界に露出するものであり、外界から加わる圧力や衝撃などの負荷を表示部材31に伝えない機能を有する。
【0048】
なお、使用形態によっては、表示部材31の表面を保護する目的でポリマーフィルム、パッシベーション膜、カバーガラスなどで構成される保護膜を表示部材31の表面に接触配置する場合があるが、該保護膜は上記保護部材1とは異なる。
【0049】
このように保護部材1と表示部材31との間には空隙が存在するため、各部材と空隙との界面での光の反射が生じ、屋外での利用時に外光反射による映り込みを増大させることがあり得る。
【0050】
次に、図7を用いて、空隙とこれに隣接する層との界面において反射する光について説明する。なお、図7では、本実施形態の表示装置とは異なり、保護部材1に位相部材21及び偏光部材22が積層されていない。また、光の説明の便宜上から、発光層13と反射層14との間に間隔が存在するように図示しているが、実際には間隔は存在せず密着している。
【0051】
図7において、偏光層11、位相部材12、発光層13及び反射層14は積層され、一体の表示部材が構成される。偏光層11上には、空隙を隔てて保護部材1が設けられている。このような構成において、外界から表示部材に入射する光17は、偏光層11の表面だけでなく、保護部材1の表面においても光2として反射する。これにより、保護部材1を偏光層11と空隙を隔てて配置した場合、外界からの光が保護部材1の表面でも反射光2が生じ、写り込み現象が増加することがあり得る。
【0052】
本実施形態の表示装置によれば、表示部材31を保護すべく、その光取り出し側を覆うように空隙を隔てて透光性の保護部材1が配置され、この保護部材1には位相部材及び偏光部材が積層されている。したがって、表示部材31と空隙との界面、保護部材1と空隙との界面、及び表示部材31を構成する有機EL素子の反射電極24で反射した光は、位相部材21及び偏光部材22によって遮られる。その結果、使用時に外界の映り込み現象として視認さることを減少させ、表示部材31の表示品質を向上させることができる。
【0053】
なお、以上の説明では有機EL発光部から発する光が基板とは反対側から取り出されるトップエミッション型の表示装置について説明したが、本発明は有機EL発光部から発する光が基板側から取り出されるボトムエミッション型の表示装置であってもよい。
【0054】
また、有機EL発光部のスイッチングにTFT素子を用いたが、単純マトリクス配線によるパッシブ駆動を用いても、本発明は同様の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
0 偏光層で反射された光、1 保護部材、2 保護部材で反射された光、11 偏光層、12 位相部材、13 発光層、14 反射層、15 発光層から反射層方向に放出され反射層で反射された光、16 発光層から偏光層方向に放出された光、17 装置外から表示装置内に入射した光、18 装置外より表示装置内に入射し反射層で反射された光、19 発光層から反射層方向に放出された光、21 位相部材、22 偏光部材、23 基板、24 反射電極、25 赤色発光層、26 緑色発光層、27 青色発光層、28 透明電極、29 保護層、30 筐体、31 表示部材、32 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
前記表示部材を収容する筐体と、を有する表示装置において、
保護部材が前記表示部材と空隙を隔てて前記筐体に設けられており、
位相部材及び偏光部材が、前記保護部材の前記表示部材側に、前記偏光部材が前記位相部材よりも光取り出し側に設けられるようにして積層されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
前記表示部材を収容する筐体と、を有する表示装置において、
保護部材が前記表示部材と空隙を隔てて前記筐体に設けられており、
前記保護部材の光取り出し側に偏光部材が積層され、前記保護部材の前記表示部材側に位相部材が積層されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
前記表示部材を収容する筐体と、を有する表示装置において、
保護部材が前記表示部材の光取り出し側に空隙を隔てて設けられており、
前記保護部材及び前記表示部材からなる構造体が前記筐体に設けられており、
位相部材及び偏光部材が、前記保護部材の前記表示部材側に、前記偏光部材が光取り出し側に設けられるようにして積層されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
前記表示部材を収容する筐体と、を有する表示装置において、
保護部材が前記表示部材の光取り出し側に空隙を隔てて設けられており、
前記保護部材及び前記表示部材からなる構造体が前記筐体に設けられており、
前記保護部材の光取り出し側に偏光部材が積層され、前記保護部材の前記表示部材側に位相部材が積層されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記偏光部材は接着層を介して前記保護部材に積層され、前記接着層の屈折率が、前記偏光部材の屈折率と前記保護部材の屈折率との間の値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機化合物層は、複数の層からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記一対の電極間の距離が10nm以上1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記空隙が1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
撮像手段と、
前記表示部材及び前記撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像装置において、
保護部材が前記表示部材と空隙を隔てて前記筐体に設けられており、
位相部材及び偏光部材が、前記保護部材の前記表示部材側に、前記偏光部材が前記位相部材よりも光取り出し側に設けられるようにして積層されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
一対の電極と、前記一対の電極間に設けられている有機化合物層と、を有する有機EL発光部を有する表示部材と、
撮像手段と、
前記表示部材及び前記撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像装置において、
保護部材が前記表示部材と空隙を隔てて前記筐体に設けられており、
前記保護部材の光取り出し側に偏光部材が積層され、前記保護部材の前記表示部材側に位相部材が積層されていることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−133387(P2012−133387A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33939(P2012−33939)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2006−274574(P2006−274574)の分割
【原出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】