説明

表示装置

【課題】
意匠表示部を照明する導光部を利用し、操作部の周縁に光を出射させる光出射部を設けることで、新たな部品を追加することなく、夜間など周囲が暗いときでも操作部の操作を良好に行える表示装置を提供する。
【解決手段】
回路基板40上にスイッチ41を実装し、導光部11はこのスイッチの前面側に配置され、貫通穴101を有し、光源20からの光を導光する。導光部11上に導光部11内を進行する光を拡散する拡散部13と、導光部11よりも屈折率の低い低屈折率部14とを備え、意匠表示部12は光が出射する光出射部121を有し、操作部30は貫通穴101を介し、導光部11の前方側に延びている。光出射部121を貫通穴101の周縁に設け、拡散部13をこの光出射部121に対応する領域に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光体により光源からの光を導いて表示板等を照明する、自動車などに搭載される表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、本願出願人は、導光部材の端部から入射した光を導光し、意匠表示部に合わせて光拡散部を設けることで、導光部における余計な部分から光が出射することを防止又は低減し、意匠表示部が表示する指標部を効率良く照光する表示装置を提案した(特願2010−110608号)。
【0003】
また、従来より、オドメータ及びトリップメータを有する車両用計器は、透明なフロントパネルの前方に突出したトリップシャフトを有し、このトリップシャフトが押し下げられると、文字板の裏側のトリップシャフト構造部を介してメータ本体部の帰零機構が作動して、トリップメータの表示が零に戻るように構成されている。しかし、このようなトリップシャフトは表示部のように照明されていないため、夜間など周囲が暗いときには操作性が低下するという問題があった。
【0004】
これに対し、本願出願人は、
可動部を有するスイッチと、
このスイッチの前方側に配置され貫通穴を有する透光性の前面板と、
前記可動部を操作する操作部材と、光源とを備え、
前記操作部材は、前記貫通穴に挿通され前記前面板の前方側に延びる操作部と、前記光源からの光を受光する受光部と、
この受光部から入射した光を前記操作部側に導く導光部と、
この導光部内を導かれた光を前記前面板の後面側から前記貫通穴の周囲に出射させる出射部とを有する計器装置、すなわち操作部材に受光部と導光部を設けることで操作部を照明し、夜間など周囲が暗いときでも操作部材の操作を良好に行える計器装置を提案した。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−79971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような計器装置は、操作部材に光源からの光を取り込む受光部と、受光部から入射した光を操作部側に導く導光部とを設ける必要があり、このため導光部、受光部といった部品点数が増加し、さらに操作部に受光部と導光部を嵌合する等の組立工数が増加するという問題があった。また、操作部を光輝させるため光源からの光を受光部まで導く採光穴をケースに設ける必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、前述の課題を鑑みて、意匠表示部を照明する導光部を利用し、操作部の周縁に光を出射させる光出射部を設けることで、新たな部品を追加することなく、夜間など周囲が暗いときでも操作部の操作を良好に行える表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するため、請求項1では、スイッチと、このスイッチの前面側に配置され、貫通穴を有し、光源からの光を導光する導光部と、前記導光部内を進行する前記光を拡散する拡散部と、前記導光部よりも屈折率の低い低屈折率部と、前記光が出射する光出射部を有する意匠表示部と、前記貫通穴に挿通され、前記導光部の前方側に延びる操作部と、を備えた表示装置において、
前記光出射部は前記貫通穴の周縁に設けられ、前記拡散部は前記光出射部に対応する領域に配設されるものである。
【0009】
また、請求項2では、前記拡散部は、前記光出射部よりも大きいものである。
【0010】
また、請求項3では、前記低屈折率部は、前記光出射部と重なる領域には配設されないものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、意匠表示部を照明する導光部を利用し、操作部の周縁に光を出射させる光出射部を設けることで、新たな部品を追加することなく、夜間など周囲が暗いときでも操作部の操作を良好に行える表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の部品構成の斜視図
【図2】上記実施形態の表示装置の正面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】図2のB部拡大図
【図5】本発明の実施形態のA−A断面図の要部拡大図
【図6】本発明の第2実施形態A−A断面図
【図7】本発明の第3実施形態A−A断面図
【図8】本発明の第4実施形態A−A断面図
【図9】本発明の第5実施形態A−A断面図
【図10】本発明の第6実施形態A−A断面図
【図11】本発明の第7実施形態A−A断面図
【図12】本発明の第8実施形態A−A断面図
【図13】本発明の第1実施形態の図2のB部拡大図
【図14】本発明の第9実施形態の図13のD−D断面図
【図15】本発明の第9実施形態の図2のB部拡大図
【図16】本発明の第10実施形態の表示装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車載用の表示装置に適用した一実施形態を説明する。
表示装置1は、図1乃至3に示すように、所定の意匠を表示する表示部材10と、光を出射する光源20と、表示部材10の表面に突出した操作部30と、表示装置1の電気的な制御をおこなう回路基板40と、を備える。
表示装置1は、光源20が出射した光を、表示部材10の端部で受光し、表示部材10の所定の領域から出射するものである。具体的に、表示装置1は、例えば、車両用計器、携帯電話、表示ディスプレイ等に用いられる。本実施形態では、表示装置1が、車両用計器のものである。
【0014】
光源20は、光を出射する発光部材からなり、例えば、冷暗極管、発光ダイオード、有機EL素子などの発光素子によって構成される。光源20は、出射する光を後述の導光部11の内部に入射させる位置に設けられ、光源20から出射された光は、導光部11の側面から、導光部11内部に入射する。
【0015】
表示部材10は、導光部11と、意匠表示部12と、光拡散部13と、低屈折率部14と、を備える。また、表示部材10には、後述する操作部30を挿通する貫通穴101が形成されている。
【0016】
導光部11は、光源20が出射した光を導光する。導光部11は、ここでは、透明又は半透明の透光性(半透光性を含む)を有する平板状の合成樹脂製の部材(例えばポリカーボネート板等)であり、導光部11の端面は鏡面ではなく荒れた面、あるいは溝を設けた面である。これにより、光源20から出射された光は、導光部11の端面における反射が低減されるため、効率良く導光部11内に取り込まれる。導光部11は、光源20が出射した光を端面で受光し、受光した光を導光する。
【0017】
意匠表示部12は、導光部11から出射された光を透過し、意匠(指標や操作部照明等)を表示(透過)する光透過部(光出射部)121と、非透光性(遮光性)を有する部材を用いて、光透過部121の部分を切り抜いた部分において光を透過させない不透過部122と、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示素子を配設する補助表示部123と、を備える。
光透過部121は、操作部30が挿通する貫通穴101の周縁に設けられ、操作部30の周縁を光輝(操作部照明)させる周縁透過部121aと、指標(文字、絵、図形、記号等)を表示(透過)する指標透過部121bと、を備える。
ここでは、光透過部121は、意匠表示部12に貫通穴(適宜、切り欠きに変更できる)により形成されるが、意匠表示部12に抜き絵印刷等によって形成されてもよい。また、光を透過すればいいので、例えば、透光性を有する白色印刷等によって形成されてもよい。
【0018】
このように、意匠表示部12の意匠に合わせて、光が透過する光透過部121を設け、それ以外は光が透過しない不透過部122とすることで、導光部11の余計な部分から光が出射することを防止又は低減し、意匠表示部12が表示する意匠を効率良く照光できる。
【0019】
光拡散部13は、導光部11の表面側に配設される表面拡散部13aと、導光部11の裏面側に配設される裏面拡散部13bとからなり、光拡散性を有する材料を用いて、印刷、塗装等によって、導光部11の表面に設けられる。
表面光拡散部13aは、導光部11の表面側に配設され、透過性の光拡散部であり、導光部11の表面側から入射した光を光透過部121側に、主に散乱、屈折等によって、光を拡散する。これにより、光透過部121から光が出射されることで、操作部30の周縁部(周縁透過部121a)と、指標部121bは光輝して視認できる。
また、裏面光拡散部13bは、導光部11の裏面に配設され、不透過性の光拡散部であり、導光部11の裏面から入射した光を導光部11側に、反射、乱反射、散乱等によって、光を拡散する。導光部内に拡散した光は導光部内を表示面の略法線方向に進み、光透過部121から光が出射されることで、操作部30の周縁部(周縁透過部121a)と、指標部121bは光輝して視認できる。
また、光拡散部13は、光透過部121よりも幅広い形状であっても良い。
また、光拡散部13は、光透過部121よりも大きい相似形であっても良い。これにより、光透過部121とずれた位置(つまり、光透過部121と対応する領域から外れた位置)に、光拡散部13が設けられても、光透過部121に向けて光を拡散することができ、光透過部121は、光拡散部13で拡散された光を効率的に出射することができる。また、光透過部121(光る部分)の視野角が広くなる。
【0020】
低屈折率部14は、導光部11の表面側に配設される表面低屈折率部14aと、導光部11の裏面側に配設される裏面低屈折率部14bとからなり、例えば、導光部11よりも光の屈折率が低い合成樹脂を用いて、印刷、塗装等によって導光部11の全体を覆うように形成される。導光部11内を進行してきた光は、表面低屈折率部14aと導光部11との界面、又は裏面低屈折率部14bと導光部11との界面において全反射され、導光部11内をさらに進行する。
【0021】
操作部30は、剛性部材からなり、表示部材10の貫通穴101を介して、表示装置1の表面側に突出している。表面に突出した操作部30の他端は、後述のスイッチ41に面しており、操作部30に働いた押圧操作や回動操作をスイッチ41に伝える。
【0022】
回路基板40は、表示部材10の裏面側に配設され、表示装置1の速度等を示す指針を駆動する駆動本体(図示しない)や、スイッチ41等を実装し、表示装置1の電気的な制御を行うものである。
【0023】
このように構成された表示装置1において、光源20から出射された光は、導光部11の側面に入射する。導光部11に入射した光は、導光部11と低屈折率部14、又は導光部11と空気部との界面で全反射を繰り返し、導光部11の内部を進む。これによって、導光部11は、光源20から出射された光を導光する。導光部11の内部を進む光の一部は、光拡散部13に到達する。光拡散部13に到達した光は、その光拡散部13で拡散される。光拡散部13によって拡散された光のうち、導光部11の表面への入射角が臨界角よりも小さい光は、全反射せず、意匠表示部12の光透過部121(ここでは、貫通した穴)を透過する。
【0024】
以上、上記実施形態に係る表示装置1は、新たな部品を追加することなく、操作部30の周縁を光輝させることで、夜間など周囲が暗いときでも操作部30を視認しやすくできる。
本実施形態の変形例について、図6乃至図16を参照して説明する。
【0025】
上記第1実施形態では、低屈折率部14は、意匠表示部12の周縁透過部121aに重なる領域には配設されないが、図6に示すように、周縁透過部121aに重なる領域に表面低屈折率部14aを配設してもよい。(第2実施形態)
第1実施形態では、拡散部13を印刷等で形成したあとに、低屈折率部14を印刷形成するが、この低屈折率部14の印刷形成において、ずれやにじみが生じ、低屈折率部14が周縁透過部121aにはみ出した場合、低屈折率部14がはみ出した領域とはみ出していない領域とでは、周縁透過部121aの見栄えが異なってしまう。しかし、第2実施形態においては、低屈折率部14は、不透過部122と周縁透過部121aとの境界なく印刷形成されるため、第1実施形態のように印刷ずれやにじみにより、低屈折率部14が周縁透過部121aにはみ出すことは生じなくなり、周縁透過部121aの見栄えを均一にできる。
また、周縁透過部121aに重なる領域に表面低屈折率部14aを配設することで、拡散部13にて拡散された光は低屈折率部14aを介して周縁透過部121aから出射されるため、第1実施形態とは色調(明度、彩度)の異なる光を出射することができる。
【0026】
また、上記第1実施形態では、意匠表示部12に形成される不透過部122は、非透光性(遮光性)を有する部材であったが、半透光性を有する半透過部122aであってもよい。さらに、半透光性を有する半透過部122aは、図7に示すように、周縁透過部121aを覆うように設けられてもよい。(第3実施形態)
このような場合、意匠表示部12において、光拡散部13で拡散された光が半透過部122aを透過する領域が周縁透過部121aになる。つまり、周縁透過部121aは、光拡散部13の形状等によって規定されることになる。なお、この場合における周縁透過部121aの範囲は、光拡散部13で拡散された光が届き透過する範囲となるので、上記第1実施形態において示した遮光性を有する不透過部122が設けられた場合(図5参照)と比べて、広くなる。
【0027】
また、図5乃至7に示す第1乃至3実施形態においては、導光部11の表面と裏面にそれぞれ表面拡散部13aと裏面拡散部13bを設けているが、図8乃至10に示すように、表面拡散部13aまたは裏面拡散部13bのどちらか一方を設けてもよい。(図8;第4実施形態、図9;第5実施形態、図10;第6実施形態)
斯かる構成により、拡散部13の印刷工程を表面、裏面のどちらか一工程に集約できる。また、表面拡散部13aの拡散した光は直接、周縁透過部121aより出射されるが、裏面拡散部13bの拡散した光は少なくとも導光部11を介して周縁透過部121aより出射されるため、表面拡散部13aの拡散した光と裏面拡散部13bの拡散した光では色調が異なる。この色調の違いにより表示装置1の視認者に異なる印象を与えることができる。
【0028】
また、第1実施形態では、拡散部13は、導光部11の表面に印刷などにより略均一に形成されるが、図11に示すように、拡散部13を網点状に形成してもよい。(第7実施形態)
このような構成により網点の密度を変化させることで容易に周縁透過部121aから出射する光を調整することができる。
【0029】
また、第1実施形態では、光を拡散するため導光部11よりも屈折率の高い材料を用いた拡散部13により、光の拡散を行っているが、図12に示すように低屈折率部14と導光部11の界面を凹凸状にすることにより、光を拡散してもよい。(第8実施形態)
このような構成により、拡散部13が不要になるので、材料費を削減できる。
【0030】
また、第1実施形態では、図13に示すように、光源20からみて貫通穴101の背後になる貫通穴暗領域121cの領域では暗くなりやすい。したがって、図14、15に示すように、貫通穴の陰になる領域である貫通穴暗領域121cと、陰にならない領域である貫通穴明領域121dとで、拡散部13の密度を変える。(第9実施形態)
これにより、貫通穴暗領域121cは光の出射を多くし、貫通穴明領域121dは光の出射を少なくなるように調整することで、周縁透過部121aから出射される光の輝度を略均一にすることができる。
【0031】
また、図16に示すように、表示装置1の指針が貫通する指針貫通穴102に、光源20の光を反射させる反射面102aを設けてもよい。(第10実施形態)
このような構成により、貫通穴101の陰になる貫通穴暗領域121cに反射面102aによる反射光を導くことで、周縁透過部121aから出射される光の輝度を略均一にすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 表示装置
10 表示部材
11 導光部
12 意匠表示部
13 光拡散部
13a 表面光拡散部
13b 裏面光拡散部
14 低屈折率部
14a 表面低屈折率部
14b 裏面低屈折率部
20 光源
30 操作部
40 回路基板
41 スイッチ
101 貫通穴
102 指針貫通穴
102a 反射面
121 透過部(光出射部)
121a 周縁透過部
121b 指標透過部
121c 貫通穴暗領域
121d 貫通穴明領域
122 不透過部
122a 半透過部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと、このスイッチの前面側に配置され、貫通穴を有し、光源からの光を導光する導光部と、前記導光部内を進行する前記光を拡散する拡散部と、前記導光部よりも屈折率の低い低屈折率部と、前記光が出射する光出射部を有する意匠表示部と、前記貫通穴に挿通され、前記導光部の前方側に延びる操作部と、を備えた表示装置において、
前記光出射部は前記貫通穴の周縁に設けられ、前記拡散部は前記光出射部に対応する領域に配設される、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記拡散部は、前記光出射部よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記低屈折率部は、前記光出射部と重なる領域には配設されない、ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−167973(P2012−167973A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28108(P2011−28108)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】