説明

表示装置

【課題】 サブフレーム階調表示において、駆動回路を複雑にすることなく、また駆動回路を制御する信号線の本数を増やすことなくホワイトバランス調整を可能にする。
【解決手段】 行選択線(SL)が各行に発光素子(EL)の色と同じ本数設けられて、同色の発光素子の駆動回路(DC)に、データ線(DL)が発光素子の発光または非発光を決定するデータ信号を供給している期間(A)と、データ線が発光素子を非発光にするデータ信号のみを供給している期間(B)とに、交互に、1フレーム期間に複数回、異なる間隔で行選択信号を供給し、各行の複数の行選択線(SL)は、交互に供給される行選択信号のうちの一方を供給する期間が同じであり、他方を供給する期間が異なる表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に有機エレクトロルミネセンス(EL)表示素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置の階調表示方法として、1フレーム期間を長さの異なる複数のサブフレーム期間に分割し、サブフレームごとにデータを書き換えて、発光させるサブフレームを画素別に選択する技術が知られている。カラー有機EL表示装置は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)をそれぞれ発光する3つの有機EL素子で構成される画素を複数備えており、3つの有機EL素子の輝度比を変えてホワイトバランスを調整することができる。特許文献1は、サブフレームごとに、画素のRGBの有機EL素子の点灯タイミングを揃え、消灯タイミングを異ならせることによりホワイトバランスをとる発明を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−259530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RGBの有機EL素子を異なるタイミングで消灯するためには、各EL駆動回路が、データに応じて発光させる回路のほかに、消灯用の回路を備えている必要がある。さらに、行単位でデータを書き込むための制御ラインのほかに、RGB別に消灯用のトランジスタを制御するための制御ラインが各行に3本ずつ配線される。このため、EL駆動回路のトランジスタ、容量などの回路要素を配置するレイアウトスペースが限られてしまい、表示装置の高精細化、小型化が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、EL駆動回路を構成するトランジスタ数や制御ライン本数を最小限に抑えて、ホワイトバランスの調整が可能な表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、
異なる色で発光する発光素子を含む画素が行列状に配列し、前記発光素子に電流を供給する駆動回路と、前記駆動回路に行選択信号を供給する行選択線と、前記駆動回路にデータ信号を供給するデータ線とが設けられている表示装置であって、
前記行選択線は、前記行列状に配列した画素の各行に、前記発光素子の色と同じ本数、設けられて、同色の前記発光素子の前記駆動回路に行選択信号を供給し、
前記行選択線は、前記データ線が前記発光素子の輝度を決定するデータ信号を供給している期間に、第1の行選択信号を前記駆動回路に供給し、前記データ線が前記発光素子を非発光にするデータ信号を供給している期間に、第2の行選択信号を前記駆動回路に供給し、
前記第1と第2の行選択信号は、交互に、1フレーム期間に複数回、前記駆動回路に供給され、
前記各行の複数の行選択線について、前記第1の行選択信号を前記駆動回路に供給する期間が同じであり、前記第2の行選択信号を前記駆動回路に供給する期間が異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、各行において色毎に複数の行選択線を設けるとともに、データ線の発光データもしくは非発光データを供給する期間と非発光データを書き込む期間とをずらせて、点灯動作と消灯動作が同じタイミングにならないようにしているので、消灯用のトランジスタとそれを制御するための信号線を設けずに済む。本発明によって、EL駆動回路を構成する回路素子数とEL駆動回路を制御する信号配線数をふやすことなく、ホワイトバランスのばらつきを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の表示装置における3色の発光素子とその駆動回路である。
【図2】本発明の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の別の形態における点灯と消灯のタイミングを示す図である。
【図5】図4の形態における動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】駆動回路の動作を説明する図である。
【図7】垂直信号生成回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態である有機EL表示装置の画素構成を示す回路図である。赤(R)、緑(G)、青(B)の光で発光する3色の有機EL素子が画素を構成している。各有機EL素子には、第1のトランジスタTr1、第2のトランジスタTr2と保持容量Cを含むEL駆動回路が接続されている。図1では、各色別の回路要素に色を示すR、G、Bの添え字をつけて区別してある。本明細書では、色によらずRGBに共通の説明をするときは、添え字をつけないことにする。
【0010】
図1の各EL駆動回路DCにおけるトランジスタTr1は、ゲートが行選択線SLに接続され、ドレインがデータ線DLに、ソースがトランジスタTr2のゲートに接続されている。トランジスタTr1は、行選択線SLが選択信号レベルになったときに導通状態になり、データ線DLの電圧を保持容量Cに伝える。
【0011】
トランジスタTr2は、ソースが電源VELに、ドレインが有機EL素子ELのアノードに接続されている。有機EL素子ELのカソードは接地されている。保持容量Cは、一方の端子がトランジスタTr1のソースおよびトランジスタTr2のゲートに接続され、他方の端子は固定電位VCになっている。
【0012】
行選択線SLは、画素行列の1行に有機EL素子の色数と同じ本数、今の場合は3本設けられており、1つの行にある同色の有機EL素子の駆動回路はそれぞれ同じ行選択線SLに接続されている。すなわち、赤(R)の有機EL素子ELRの駆動回路DCRにおいては、トランジスタTr1Rのゲートが赤の行選択線SLRに接続され、緑(G)の有機EL素子ELGの駆動回路DCGにおいては、トランジスタTr1Gのゲートが緑の行選択線SLGに接続され、青(B)の有機EL素子ELBの駆動回路DCBにおいては、トランジスタTr1Bのゲートが青の行選択線SLGに接続されている。
【0013】
3本の行選択線SLR,SLG,SLBは、同時または別々のタイミングで、トランジスタTr1を導通させる行選択信号が与えられる。それによってRGBのEL駆動回路が行単位で選択され、そのときのデータ線DLの電圧が画像データとして書き込まれる。また、別のタイミングではデータ線DLから非発光=黒のデータが書き込まれる。
【0014】
データ線DLはEL駆動回路DCの列ごとに設けられ、行選択線SLによって選択されたEL駆動回路DCに画像データもしくは黒データを供給する。図3で詳しく説明するが、データ線DLには、交互に、画像データを供給する期間と黒データのみを供給する期間とがある。
【0015】
図1のEL駆動回路においては、トランジスタTr1,Tr2はともにP型のMOSトランジスタである。電源VELや行選択線、データ線の信号の極性を適宜反転して、一方または両方をN型のトランジスタにすることもできる。また、トランジスタとしては、シリコンウェーハ上に形成したトランジスタでも、ガラス基板上に形成した薄膜トランジスタでもよい。また、有機EL素子ELの代わりに無機EL素子やLEDなどの発光素子を用いてもよい。
【0016】
図2は有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
表示領域1には、図1に示した赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの有機EL素子を画素PXLとして、複数の画素が行方向と列方向に行列状に配列している。水平信号生成回路2は、表示領域の列ごとにデータ電圧を生成し、各データ線DLに出力する。垂直信号生成回路3は、RGB別に行を選択する行選択信号を生成し、それぞれを行選択線SLR,SLG,SLBに出力する。接続端子部4は、水平信号生成回路2と垂直信号生成回路3にクロック信号、画像信号などを入力するための端子であり、配線5によって水平信号生成回路2と垂直信号生成回路3に接続されている。このほかに表示領域1には電源線VELと容量電圧VCとが配置されているが、図2では省略した。
【0018】
図3は、本発明の表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。上から順に、データ線DL、n−1行目のRGBの行選択線SLR_n−1、SLG_n−1、SLB_n−1、n行目のRGBの行選択線SLR_n、SLG_n、SLB_n、n+1行目のRGBの行選択線SLR_n+1、SLG_n+1、SLB_n+1の各信号電圧を示している。横軸は時間である。
【0019】
本発明の表示装置においては、1フレームを複数のサブフレームに分割し、サブフレームごとの発光と非発光を制御することによって階調表示を行う。以下、これをサブフレーム階調方式という。
【0020】
個の中間調を含む階調表示を行うとき、1フレーム期間はN個の期間に分割される。k番目のサブフレーム期間をSFkとする。kは1からNの値をとる整数である。表示装置に入力される画像信号はNビットのデジタル階調信号に変換され、各ビットの1または0の信号が、各サブフレームの発光/非発光の画像データ信号となる。
【0021】
サブフレーム期間SFkを行数で割った区間をCとする。1つの行に割り当てられる区間Cは、少なくとも期間Aと期間Bとを含んでいる。
【0022】
行選択線には、データと同期して期間Aのタイミングと期間Bのタイミングで行選択信号が入る。期間Aで、各EL駆動回路に、データ線から発光素子の発光または非発光を決定する画像データが供給され、行選択線から行選択信号が供給されて、画像データの書き込み動作が行われる。期間Aの終了後は、画像データがEL駆動回路の容量に保持され、書き込まれた画像データに応じて有機EL素子が発光または非発光状態を維持する。期間Bでは、データ線から発光素子を非発光にする消去データのみが供給され、選択線から書き込み動作時と同じ行選択信号が供給されて、データ消去の動作が行われる。その後は非発光状態が維持される。
【0023】
このように、1つのサブフレーム期間SFk内に、各画素は、(a)データの書き込み、(b)発光または非発光、(c)データの消去、(d)非発光の4動作を行う。この動作が1フレーム期間に複数回(サブフレームの個数に等しい回数)繰りかえされる。
【0024】
まず、(a)の動作について説明する。
【0025】
データ線DLは、期間Aで、有機EL素子の点灯とその後の発光を指示する画像データVonまたは有機EL素子の消灯とその後の非発光を指示する画像データVoffをEL駆動回路に供給する。画像データは有機EL素子ごとに個別に与えられ、各画素の有機EL素子の発光/非発光を決定する。
【0026】
行選択線SLn−1には、期間Aで書き込みのための行選択信号(Lレベル)が与えられ、これが各区間Cで順に各行の行選択線SLn,SLn+1、・・・に対して繰り返される。期間Aではデータ線DLに画像データVon/Voffが印加されているので、これによって(a)データ書き込みの動作が行順次で行われる。期間Aの行選択信号は色別の行選択線SLR,SLG,SLBに同時に印加され、RGBの各EL駆動回路に同時に画像データが書き込まれる。
【0027】
行選択信号の印加が終了すると、行選択線は非選択レベル(Hレベル)に戻り、各EL駆動回路DCは保持容量Cに電圧として書き込まれた画像データを保持する。その結果、各画素は(b)発光の動作に移行する。画像データVonが書き込まれたEL駆動回路の有機EL素子には電流が流れて発光し、画像データVoffが書き込まれたEL駆動回路の有機EL素子には電流が流れないので非発光状態になる。
【0028】
期間Aで行選択信号が与えられた行選択線SLは、その後Dの時間を経て、今度は期間Bのタイミングで第2の行選択信号が与えられる。データ線DLは、期間Bで非発光を指示する消去=黒データVoffをEL駆動回路に供給する。期間Bではすべてのデータ線に消去データVoffのみが与えられ、発光を指示するデータVonが与えられることはない。期間Bの行選択信号によって、その行のすべての有機EL素子が消灯される。
【0029】
期間Bの行選択信号も、区間Cごとに順次、各行の行選択線に印加される。期間Bではデータ線DLに黒データVoffが印加されているので、これによって(c)データ消去の動作が行順次で行われる。
【0030】
期間Bで行選択信号が与えられた行選択線SLは、その後再び非選択レベル(H)に戻るので、有機EL素子は(d)非発光の動作になる。この状態は、次のサブフレームで(a)の書き込み動作が行われるまで維持される。
【0031】
1つの行選択線には、画像データの書き込みが行われる期間Aとデータの消去が行われる期間Bが交互に現れる。1つのサブフレーム期間SFにおいて、期間Aの終了から期間Bの開始までが発光期間Dである。期間Aを固定し、期間Bのタイミングを変更することで発光期間Dが調整できる。発光時間を長くするには、期間Bのタイミングを遅らせればよい。
【0032】
以上の説明では、1つの行の3本の行選択線についてみると、期間Aは共通で、期間Bは異なっている。
【0033】
期間Bを固定し、期間Aのタイミングを変更して発光期間Dを調整することも可能であるが、通常の水平回路では画像データは一定のタイミングで生成されるので、これに合わせて期間Aのタイミングを固定し、期間Bのタイミングで発光期間を変えることが好ましい。
【0034】
期間Bは黒データVoffが書き込まれる期間であるから、異なる色の行選択信号が同時に印加されることがあってもよい。図3の例では、n−1行の青(B)を消去するための行選択信号と、n行の赤(R)を消去するための行選択信号と、n+1行の緑(G)を消去するための行選択信号とが、同時に与えられている。これらの行の色は同時に消去される。
【0035】
以上説明した(a)−(d)の動作が1つのサブフレーム期間SF内で各行で順次行われ、このサブフレーム期間の輝度が決定される。同様の動作が他のサブフレームでも行われる。ただし、(b)の期間、すなわち(a)の期間Aの行選択信号終了から(c)の期間Bの行選択信号開始までの間隔Dは、サブフレームごとに異なるようにする。256階調の場合、サブフレーム数Nは8である。サブフレームSF1〜SF8の発光期間を長さ順に並べたときの比が1:2:4:8:16:32:64:128となるようにすれば、256通りの階調数を実現できる。
【0036】
しかし、サブフレーム内の発光期間をRGBで同じにすると、発光中のRGBの輝度比でホワイトバランスが決まってしまう。ホワイトバランスを調整するには、発光中の輝度を調節しなければならず、電源電圧VELをRGBで別々にするなど、表示装置の構成が複雑になる。
【0037】
図3で説明したように、本発明においては、RGBの行選択線SLR,SLG,SLBが別々に設けられているので、期間Aまたは期間BのタイミングをRGB毎に設定することができ、これによりRGBの発光期間を調節してホワイトバランスをとることができる。
【0038】
所望のホワイトバランスに調整されたとき、白色表示を構成する赤、緑、青の明るさの比がR:G:B=x:y:z(x+y+z=1)であったとする。サブフレームごとの明るさ(時間平均をとった輝度)をこの比に等しくとれば、フレーム全体としての明るさも同じ比になる。したがって、各色の発光中の輝度をI,I,Iとすると、k番目のサブフレームの発光期間D(k)、D(k)、D(k)は
(k)/1F=x・(I/2N−k+1)、
(k)/1F=y・(I/2N−k+1)、
(k)/1F=z・(I/2N−k+1
として決めることができる。kは1からNまでの整数である。1Fは1フレーム期間の長さ、Iは白表示の明るさである。
【0039】
上の式からわかるとおり、各サブフレームでRGBの発光期間は異なるが、サブフレーム間の発光時間比は、色によらずすべて同じ1:2:4:8:・・・:2N−1である。
【0040】
以上説明した通り、本発明では、RGBの行選択線を別々にして、各行に色数に等しい本数の行選択線を設ける。そして、各行選択線の発光時間、すなわち期間Aの行選択信号終了から期間Bの行選択信号開始までの期間を異ならせてホワイトバランスを調整する。
【0041】
アナログ階調方式では、各色のガンマ特性に違いがあるために、ガンマ補正回路を設けて中間調でのホワイトバランス(グレーバランス)を調整する必要がある。しかし、サブフレーム階調方式では、各中間調の輝度が各サブフレームの発光時間で決まるので、全発光時間に対する各サブフレームの発光時間の割合は色によらず同じである。すなわち、全サブフレームの合計の発光時間のRGB比率をホワイトバランス(x:y:z)から決めて、サブフレームごとにその時間を1:2:4:8:・・・:2N−1に割り振ればよい。このようにサブフレーム方式では白表示におけるRGBの強度比だけを設定しておけばよく、ガンマ補正は不要となる。
【0042】
垂直信号生成回路3の中で、期間Aまたは期間Bの行選択信号タイミングをRGBでそれぞれ設定できるようにしておくことで、任意のホワイトバランス調整ができる。発光中の輝度が調整されてホワイトバランスがとれている場合でも、好みの白色になるように調整することができる。RGBのうち2色の輝度が調整されているときは、その2色の発光期間は同じにして残る1色の発光期間を調整すればよい。その場合は、残る1色に対応する行選択線の選択信号タイミングが、他の2本の行選択線と異なるように調整される。
【0043】
また、サブフレーム間での期間Aと期間Bの間隔の比はRGBで共通であるから、全サブフレームの合計発光時間または1つのサブフレームでのRGBの発光時間だけを調整しておけば、他のサブフレームではそれに決まった比率を乗じた発光時間になるようにすればよく、サブフレームごとにタイミング調整をする必要はない。
【0044】
図4は図3とは別の駆動方法を示す図である。
【0045】
図3で発光期間Dを調節するには、消灯選択期間を区間Cの単位で前後にずらせるが、区間Cの長さは1つの行にデータを書き込むA+Bの2期間の長さより短くすることはできないから、消灯タイミングの調整精度もこれ以下にはできない。しかし、階調数が増えると発光期間をさらに微細に調節する必要がある。
【0046】
図4に示す駆動方法では、1行の選択期間内で消灯タイミングを調節できるようにした。区間Cを十分に長くし、発光/非発光を指示するデータが供給される期間Aよりも、残りの期間BBを数倍長く(図4では期間Aの11倍に)する。期間A以外は、データ線DLに非発光を指示する黒データを供給する。この黒データ供給期間内のいずれかのタイミングに期間Bを設定し、行選択信号を印加する。期間Bは期間BB内のいずれかに設定される。期間Aと期間Bは重複しない。図4では、期間Bすなわち消灯タイミングは区間Cにおいて11通りの設定が可能となり、高精度で発光期間を調整できる。
【0047】
図5は、1行の選択期間内で消灯タイミングを調節できるようにした場合の駆動方法を示すタイミングチャートである。図4の場合と異なり、消灯タイミングを調節できる期間BBはB1,B2,B3の3期間とした。その他の図3と同じ部分には同じ符号を付した。
【0048】
各サブフレームSFkで、画素の点灯および消灯を決定するデータ期間Aの後に、消灯の黒データが3回引き続いてデータ線に送られている。
【0049】
データ書き込みは、行順に選択される区間Cの先頭の期間Aに行選択信号が供給されることにより行われる。消灯は、同じサブフレームSFkの、期間Aに引き続く3つの期間B1,B2,B3のいずれかに、消灯のための行選択信号が供給されて行われる。消灯が行われる区間C‘は、データ書き込みが行われる期間Cとは異なるのが普通であるが、点灯時間が極めて短いときには、同じ区間C内で書き込みと消灯を行うこともできる。
【0050】
図5では、(n−1)行の画素が、区間CのAの期間でデータが書き込まれる。同じ行の画素は、赤(R)は区間C‘の期間B3で消灯され、緑(G)は区間C‘の期間B2で消灯され、青(B)はその次の区間C“の期間B1で消灯される。消灯タイミングが3つの期間B1,B2,B3から選択できるので、ホワイトバランスの調整をより細かく行うことができる。
【0051】
(駆動回路の動作)
図6はEL駆動回路の動作を説明するための図である。RGBのEL駆動回路の動作は同じなので、代表して1つのEL駆動回路だけを示してある。図1と同じ部分にはRGBの添え字を省いて同じ部号を付した。
【0052】
図3で説明したように、EL駆動回路の動作は、(a)データの書き込み、(b)発光、(c)データの消去、(d)非発光の4つからなる。
【0053】
図6(a)はデータの書き込み動作を示す。
【0054】
データ線DLには、点灯すなわち有機EL素子の発光を指示するデータ電圧=Vonが水平信号生成回路2によって与えられている。行選択線SLは垂直信号生成回路3により選択レベル=Lになっている。この結果、トランジスタTr1はON(導通)状態となり、データ電圧VonがトランジスタTr2のゲートに印加される。保持容量には端子間に電圧VC−Vonが加わる。データ電圧Vonは発光を指示するデータ電圧なので、トランジスタTr2はON状態となり、電源VELから有機EL素子ELに電流Iが供給され、有機EL素子ELが点灯する。
【0055】
有機EL素子ELを発光させない場合は、データ線DLに、有機EL素子を非発光にするデータ電圧=Voffを与える。
【0056】
データを書き込んだ後、EL駆動回路を図6(b)の状態にする。
【0057】
行選択線SLを非選択レベル=Hにして、トランジスタTr1をOFF(非導通)状態にする。保持容量Cは端子間に加えられた電圧VC−Vonをそのまま保持しているので、トランジスタTr2のゲート端子はデータ電圧Vonのままであり、トランジスタTr2はON状態を継続し、有機EL素子ELは発光を継続する。
【0058】
図6(c)は消灯動作を示す。データ線DLには、水平信号生成回路2によって、消灯すなわち有機EL素子の非発光を指示するデータ電圧=Voffが与えられる。行選択線SLは垂直信号生成回路3により再び選択レベル=Lになる。この結果、トランジスタTr1はON状態となり、データ電圧VoffがトランジスタTr2のゲート端子に印加される。保持容量には端子間に電圧VC−Voffが加わる。データ電圧Voffが非発光を指示するデータ電圧なので、トランジスタTr2はOFF状態となり、電源VELから有機EL素子への電流Iが遮断され、発光していた有機EL素子ELは消灯される。(a)で非発光状態にされた有機EL素子は非発光のままである。
【0059】
この後、EL駆動回路を図6(d)の状態にする。行選択線SLが非選択レベル=Hとなり、トランジスタTr1がOFF状態となる。保持容量Cは端子間電圧VC−Voffを保持している。よってトランジスタTr2のゲート端子はデータ電圧Voffのままであり、トランジスタTr2はOFF状態を継続し、有機EL素子ELは非発光を継続する。
【0060】
(垂直信号生成回路)
図7は垂直信号生成回路の構成例を示す回路図である。
【0061】
SR−SELは、図3の期間Aに発生させるパルスを生成するためのシフトレジスタである。各行に対応するシフトレジスタの各段の出力とON−SELとのANDロジックによって、期間Cのうちの期間AにのみLになるパルス生成している。
【0062】
SR−R、SR−G、SR−Bは、それぞれ図3の期間BにSLR、SLG,SLBに出力するパルスを生成するためのシフトレジスタである。各段の出力とOFF−R、OFF−G、OFF−BとのANDロジックによって期間BにのみLになるパルスを生成している。
【0063】
以上の説明では有機EL素子を例にとったが、無機EL素子、LEDなど他の発光素子についても同様に本発明が適用できる。また、画素はR,G,Bの3色の有機EL素子で構成されるとしたが、2色以上の異なる色を含む画素であればよく、他の色の組み合わせでもよい。
【符号の説明】
【0064】
SLR,SLG,SLB 行選択線
DLR、DLG,DLB データ線
DCR,DCG,DCB EL駆動回路
ELR 赤(R)を発光する有機EL素子
ELG 緑(G)を発光する有機EL素子
ELB 青(B)を発光する有機EL素子
PXL 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色で発光する発光素子を含む画素が行列状に配列し、前記発光素子に電流を供給する駆動回路と、前記駆動回路に行選択信号を供給する行選択線と、前記駆動回路にデータ信号を供給するデータ線とが設けられている表示装置であって、
前記行選択線は、前記行列状に配列した画素の各行に、前記発光素子の色と同じ本数、設けられて、同色の前記発光素子の前記駆動回路に行選択信号を供給し、
前記行選択線は、前記データ線が前記発光素子の輝度を決定するデータ信号を供給している期間に、第1の行選択信号を前記駆動回路に供給し、前記データ線が前記発光素子を非発光にするデータ信号を供給している期間に、第2の行選択信号を前記駆動回路に供給し、
前記第1と第2の行選択信号は、交互に、1フレーム期間に複数回、前記駆動回路に供給され、
前記各行の複数の行選択線について、前記第1の行選択信号を前記駆動回路に供給する期間が同じであり、前記第2の行選択信号を前記駆動回路に供給する期間が異なることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記交互に供給される行選択信号のうちの一方を前記駆動回路に供給する期間と他方を前記駆動回路に供給する期間の間隔が、前記表示装置のホワイトバランス調整に応じて変わることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記1フレーム期間に複数回供給される第1の行選択信号と引き続く第2の行選択信号の間隔を、1フレーム期間について長さ順に並べたときの比が、短いほうから1:2:4:8:・・・となることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記1フレーム期間に複数回供給される第1の行選択信号と引き続く第2の行選択信号の間隔を、1フレーム期間について長さ順に並べたときの比が、各行の複数の行選択線について等しいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1期間の後に、複数の前記第2期間が続くことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光素子は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、保持容量とを含む駆動回路に接続され、
前記駆動回路の前記第1のトランジスタは、ソースおよびドレインが前記データ線および前記保持容量に接続され、ゲートが前記行選択線に接続されており、
前記駆動回路の前記第2のトランジスタは、ソースおよびドレインが電源とおよび前記発光素子に接続され、ゲートが前記第1のトランジスタのドレインと前記保持容量とに接続されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29816(P2013−29816A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126380(P2012−126380)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】